説明

液化水素及び液化ネオンを対象とする超伝導式液面測定装置並びに液面レベルを測定するための測定方法

本発明は、液化水素容器、特に自動車用タンクに入った液化水素を対象とする、1つのタンク(5)の内部に二ホウ化マグネシウムMgB2 をベースとする1つの超伝導体(1)が垂直に又は垂線に対して斜めに配置されるとともに、前記超伝導体(1)の上側の領域に1つの可制御式熱源(2)が配置されており、さらに前記超伝導体(1)が1つの可制御式電源(3)並びに1つの電圧測定装置(4)に電気的に接触されるとともに、液面測定が電圧測定として構成される、超伝導式液面測定装置に関する。前記MgB2 材料は、フィラメント線として使用されることが好ましい。空間解像度及び時間解像度が高い連続的な液面測定を、複雑ではない方法で実現することができる。本液面測定装置及び方法は、液化ネオンの液面測定にも適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化水素の貯蔵、生成、及び消費の様々な適用例で使用することができる、液化水素を対象とした超伝導式液面測定装置に関する。この超伝導式液面測定装置は、それ以外にも液化ネオンに使用することができる。さらに本発明は、液面レベルを測定するための測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に入った極低温液体の液面を測定するために、構想上様々な種類の多様な方法及び装置が現況技術で広く一般に知られている。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102 58 235号明細書から、液化ガス用の車両タンク、特に液化水素用の車両タンクのための液面測定装置が知られているが、この液面測定装置は、内部タンクの懸架部に配置された1つのひずみ計と、車両タンクの外部に配置され、1本のラインを介して車両タンクに接続された1つの圧力センサとを使用できるようになっており、その際にひずみ計及び圧力センサは、それぞれ1本のラインを介して車載コンピュータに接続されている。それにより、算出された内部タンクの総重量とこれに付随する圧力から、液面を間接的に計算により帰納的に推論できるようにしている。そのために、適切なソフトウェア及びシステムの較正が必要である。
【0004】
この手法にはさらに、特に重量測定に影響する様々な副次的影響が非常に大きいために、液面の信頼できる決定が不可能であるという短所が付随している。例えば、走行時に常に変化する加速度により生じる様々な誤差が妨害変数となり、液面を高信頼度で決定するのを不可能としている。
【0005】
それ以外にも、個々のセンサごとに気相ないしは液相の存在を確認することができる離散型のセンサ配置方式に基づいて、複数のプローブを適用することが、現況技術で知られている。この場合、離散した測定点に限定される点、すなわち液面高さの連続的な追跡が必然的に不可能である点が、固有の短所となっている。通常は多数にのぼる個別センサの所要数が、高コストをもたらす。複雑な動作制御が必要であるために、この手法を有利に適用できるのは、極わずかなケースに限られている。
【0006】
現在、技術的に実用化され広く普及しているのは、容量性レベル・プローブの原理である。この場合、プローブのサイズがかなり大型で高重量であり、さらに製造時及び後の運転時に製造公差及び寸法精度に高度の要求が課せられる点が短所となっている。pF域の比較的微小な信号レベルでの動作が要求され、それによりこの方法は、機器類に関してコスト高で故障しやすいものとなる。それ以外にも、そもそも算定しなければならない液面が、測定された容量と、圧力や温度など、その他のパラメータから、間接的にしか計算できないようになっている。このため数多くの妨害影響が存在し、評価を複雑で不正確なものとしている。今日車両部門におけるこの方法の使用にあたっては、上述の難点がかなりの制約となっている。
【0007】
現況技術では、別の極低温液体を対象とする、特に液化ヘリウムを対象とする、超伝導材料の使用に基づく液面測定装置が知られている。この場合は、気相と液相とで異なる熱伝導性が利用される。ここでは超伝導材料は一般に、実質的に垂直方向に長く延伸された線条導体の形態で実施される。その際、転移温度が、測定対象である極低温流体のその時々の沸騰温度をわずかだけ上回ることが要求される。この方法の基礎は、気相中の超伝導材料を、適切な熱供給により転移温度を上回る温度に、すなわち常伝導状態に保持することにある。超伝導体の液相中に位置する部分は、それよりも良好に冷却されるために、超伝導状態にとどまっている。電気抵抗の測定のよって、液面レベルの位置を推定することができる。そのような超伝導式液面プローブは、例えばドイツ連邦共和国特許第26 15 407 号明細書及び米国特許第3,943,767 号明細書に記載されている。その基礎的な解説は、以下に記載されている:Efferson, K.R., A Superconducting (Nb-Ti) Liquid Helium Level Detector, Adv. in Cryogenic Engineering, ed. Timmerhaus, Plenum Press, Vol. 15(1970)p.
【0008】
それ以外にも国際特許第91/08449号明細書から、一群の高温超伝導体のうちから選んだいずれか1つの超伝導体を用いて、超伝導効果を利用しながら液位検出を行う、極低温液体、特に液体窒素を対象とする液面検出器が知られている。1つの支持体の表面に、1つの基体、例えば1つのイットリウム安定化ZrO2基体を間に挟んで、1つの超伝導フィルムが被覆されている。この超伝導材料の内部の電気抵抗変化が、1つの検出回路において、低周波サンプリング法により検出され処理されるが、その際に、この超伝導層を通る測定電流の投入がパルス・クロック方式で行われ、それぞれの測定クロックの間に、測定回路用の検定クロックが備えられている。
【0009】
いずれにせよ、この原理を応用した公知である液面測定装置は、液化水素に使用可能ではない。その理由は、液化水素の物性にあり、それがこれまでこの方法の使用を阻んできた。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102 58 235号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許第26 15 407 号明細書
【特許文献3】米国特許第3,943,767 号明細書
【特許文献4】国際公開第91/08449号明細書
【特許文献5】ドイツ連邦共和国特許出願公開第197 55 378号明細書
【特許文献6】ドイツ連邦共和国特許出願公開第198 34 349号明細書
【非特許文献1】Efferson, K.R., A Superconducting (Nb-Ti) Liquid Helium Level Detector, Adv. in Cryogenic Engineering, ed. Timmerhaus, Plenum Press, Vol. 15 (1970)p.
【非特許文献2】W. Goldacker, S. Schlachter et al., Development and performanc e of thin steel reinforced MgB2 wires …, Supercond. Sci. Technol. 17(2004), p . 363-368
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、特に自動車向けの液化水素貯蔵タンクに使用するために、液化水素容器の内部の簡単でしかも高信頼度の測定を可能とする、液化水素を対象とする液面測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、本発明の構想によれば、超伝導材料として二ホウ化マグネシウム(MgB2 )を使用することに基づく、液化水素を対象とする超伝導式液面測定装置により解決される。この材料は、液化水素タンク内での使用に有利な転移温度を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の原理の有利な実施形態は、図1に示されている。図2には、例として1つの液面測定プローブが示されている。
【0013】
上述の課題は特に、液化水素容器、特に自動車用タンクに入った液化水素を対象とする液面測定装置により解決され、この装置では、タンク5の内部にMgB2 をベースとする1つの超伝導体1が垂直に又は垂線に対して斜めに配置されており、超伝導体1の上側の領域には1つの可制御式熱源2が配置されており、その際に超伝導体1が、配線により1つの可変式電源3並びに1つの電圧測定装置4に電気的に接触されており、また液面測定が電圧測定として構成されている。
【0014】
MgB2 をベースとする超伝導体1は、フィラメント線として構成されることが好ましい。これを、導電性の安定化材、又は非導電性の安定化材と組み合わせると有利である。前者は、例えばMgB2 材料から成る1つの芯材を取り囲む金属性のジャケットとして実施されるとよい。その場合、例えば鉄又は鋼から成る組合せを使用すると有利である。それにより、何よりも特に超伝導体1の劣化を、物理的・化学的影響により阻止し、必要とされるフィラメント線の製造工程を簡素化すると同時に、効果的な機械的安定化と、場合によっては電気的な安定化をももたらすことができる。あるいはその代わりに、安定化芯材の表面に、外側からMgB2 材料を被覆するか、又は反応により生成させてもよい。さらに、本発明に従って、MgB2 材料の別の形態を、例えば薄膜の形状で、又はバルク材として使用してもよい。
【0015】
MgB2 材料と複合化されるそのような安定化材の導電性の問題は、ある程度の重要性を有している。
【0016】
安定化材の導電率が比較的微小(絶縁体)である場合は、状況が至極単純明快であり、ここに説明する測定手順においては、MgB2 材料の抵抗変化が液レベルの検出に利用される。
【0017】
安定化材が導電性を有する場合は、それにより与えられる相応のシャント抵抗に同時に配慮しなければならない。測定方式は、やはり説明したとおりに実現することができる。しかし気相と液相間の抵抗変化は、抵抗比及び横断面積の比に応じて、それほどはっきりとは現れなくなってしまう。一例として挙げたMgB2 材料(常伝導状態)と安定化鉄ないしは安定化鋼との組合せの場合は、液化水素温度における比電気抵抗がほぼ同じ大きさとなる。原理的には、例えば横断面が大きい、及び/又は、低温時に優れた導電性を示すが超伝導ではない金属性の安定化材の場合は、非常に低い並列抵抗を幾つか使用して、動作させることができる。
【0018】
さらに、MgB2 材料の均一性と、場合によっては安定化材の材料及び両者間の接合部の均一性も重要である。測定信号と実際の液面との間に単純な相関関係(線形挙動など)をもたせる意味でも、いわゆるセンサ有効長の全体にわたり、可能な限り一様な形態にすると有利である。その時々の横断面積、その時々の比電気抵抗についても、また相互間及び周囲の液体との熱伝導並びに熱結合についても同じことがいえる。むらがあると、センサ機能に支障を来たしたり、誤差を生じたり、場合によっては複雑な較正を不可欠としたり、規定どおりの機能が完全に阻害されたりしてしまう。
【0019】
可制御式熱源2は、本発明に従って様々な方式で実現される。考えられる態様は、例えば、コンスタンタン線の形態をとる抵抗式電気ヒータ、加熱フォイル、又は電気抵抗である。
【0020】
あるいはその代わりに入熱は、温度がより高い領域への熱ブリッジにより行われる。この入熱は、連続的に、又は必要に応じて制御されながら、例えば抵抗方式で、又は放射により、又は誘導方式により行われる。
【0021】
入熱による超伝導体の超伝導特性の遮断に代わる解決策の一例が、いずれも初期領域における、MgB2 材料の適切な劣化による、又は磁場の印加による、超伝導相の一時的又は永久的な阻止である。
【0022】
永久的な適切な劣化は、超伝導体の例えば意図的な汚染、内部拡散、焼鈍処理、又は機械的な変形により行われる。
【0023】
本発明の入熱を不要とする有利な実施形態においては、加熱装置を完全に省略することができ、それにより、リード線とこれに関連した入熱、及び動作制御に関連した様々な技術的な問題も低減されるようになる。
【0024】
その場合、本発明による液化水素容器に入った液面を算出する方法は、典型的には、以下のステップを含む。
【0025】
(a)休止状態、プローブに通電せず、ヒータ2はそのままで起動されず、超伝導体1は、典型的にはその全長にわたり(液相中でも、また気相中でも)超伝導状態にある。
【0026】
(b)測定開始:電流フローを超伝導体1に沿って駆動し、それと同時に、又はその直前又は直後にヒータ2を起動する。
【0027】
(c)初期段階:ヒータ2の影響により、又はその他の外部の影響により、超伝導体1の典型的には上側の端部付近の(任意の小さな)領域が常伝導状態に入り、又は永久的に常伝導状態にある。したがってこの領域内に、電流フローが同時に存在する結果、オーム熱が発生する。
【0028】
(d)伝播段階:この配列の内部で、既に常伝導状態となっているそれぞれの領域内でのこの抵抗発熱が、熱伝導と組み合わさることにより、常伝導相が超伝導体1に沿って伝播する。MgB2 フィラメント線の抵抗発熱と、この加熱に対抗する周囲の冷ガスないしは周囲の液体による冷却とが、互いに適合されなければならない。その際、伝播速度が、電流の強さを介して一定の範囲内で調整可能で、101 〜102 mm/sの範囲にあると有利である。
【0029】
(e)均衡状態への到達:液化水素の表面に近づくにつれて、伝播が次第に遅くなり、電流の強さが適切に調整されている場合は、液相の内部における極めて強力な冷却の結果、最終的には界面の高さで停止する。超伝導体1の全体にわたって測定される電圧降下は、1つの一定値に近づいていく。
【0030】
(f)測定段階:(システムのそれぞれの運転状態において確実に液相に到達するまでの予め設定された待機時間の経過後に、又は、抵抗変化の追跡により検出される)十分に一定である値に到達すると直ちに、その値が電圧測定装置4により自動的に決定され、記憶される。この測定モードは、(例えば液レベルの万一の変動を追跡するために)長時間にわたり維持することができ、あるいは(例えば容器5への入熱を最小限化するために)測定値が記憶される際に、後続の測定までセンサを再び非活動化することもできる。
【0031】
必要とされるセンサ部分(いわゆる活性領域)の典型的な長さは、液化水素の実験室用低温調節器、輸送容器、又は車両タンクの場合は、約0.2 〜1mの範囲にある。有利な実施形態においては、この場合、上述の鋼安定化MgB2 フィラメントの太さが、合計で10μm 〜500 μm であるとよい。超伝導体と安定化材の横断面積の比は、0.1 〜1 :1 である。この場合、典型的には0.1 アンペア〜1 アンペアの電流の強さ、及び0 ボルト〜20ボルトの範囲の電圧で動作されるようになっている。
【0032】
本発明の別の有利な実施形態においては、フィラメント線6は、125 μm の直径、及び最大で0.5mまでの長さを有している。
【0033】
基本的には、活性ゾーンの最大限可能な長さに制限はなく、数メートルとなってもよい。その場合は、上記と同じ線断面及び電流値を用いて動作されるが、出現する最大電圧だけが有効プローブ長に対応して線形に増大される。
【0034】
有利な変形形態は、可制御式熱源2が伝播開始直後には既に再び非活動化されるものである。ここで論じられる温度域においては、固体熱容量が劇的に低下することを鑑みると、そこでは、例えば可制御式熱源2の起動が、合計で例えば1 〜2sに制限されて、積算貯蔵熱が数ジュールとなるとよい。
【0035】
その代わりに、またそれに加えて、超伝導体1の常伝導領域が容器5の内部の気相−液相界面に到達した後(すなわち伝播段階の終了後)に、超伝導体1を通る印加された測定電流が、この常伝導ゾーンの均衡状態を維持するのに十分な、当初の値の約0.5 〜0.7 倍に低下されるようにするとよい。これにより、特に連続測定の場合に、容器5への入熱を有意に低減することができる。
【0036】
逆に、測定値がうまく得られて記憶された後(上記の寸法の場合は、典型的には約10〜20秒後には既にそうなっている)に、プローブを再び非通電状態に切り換えて、102 秒〜104 秒毎に間欠的に新たな測定が開始され、測定値が更新されることにより、本方法の別の有利な実施形態がもたらされる。これは、特に測定対象である液面の稼動に起因する変化が、極めて緩慢なものにしか過ぎない場合に得策である。
【0037】
本発明のさらにもう1つの改良例は、
I.測定プロセスの初期化以降の超伝導体1の全体にわたる電気抵抗の上昇を、1つの評価電子回路により追跡し、その際に伝播段階の間に、電気抵抗の急速な、比較的連続した増大が記録されること、並びに
II.界面に到達した結果、時間的に互いに連続する一連の測定点にわたって、ほぼ一定の抵抗値が確認された後、及び、
III.超伝導体1の液面検出が行われた後に、可制御式熱源2を非通電状態に切り換えることによりもたらされる。
【0038】
その場合、特に液面が高い場合に、入熱の有意な低減がもたらされる。さらに、更新された測定値が、可能な限り速やかに提供されるようになる。
【0039】
超伝導体1は、大半の場合、液化水素タンクの内部に実質的に垂直に配置されるとよい。一変形形態は、例えば測定時のより高い解像度を達成するために、超伝導体が垂線に対して例えば45°の角度で取り付けられるものである。適切な形態(プローブをフレキシブルに構成)である場合は、これを例えばタンクの内側の輪郭形状に沿って取り付けることができるかもしれない。
【0040】
MgB2 線は通常、いわゆるリード式配線を利用して、電気的に接続される。線の両側の端部には、従来型の電気導体がそれぞれ2本ずつ接続され、これらによってタンクの外部に配置される電源及び評価ユニットとの接触が成し遂げられる。これらのリード線のうちの2本を通り、所望の電流がMgB2 線に通して導かれる一方で、残りの2本の給電線を利用して、電圧降下を測定し、それによりMgB2 線の電気抵抗を測定できるようにしている。この回路の長所は、各リード線の妨害影響を実質的に遮断できる点にある。好ましい実施形態においては、上記で言及した抵抗式初期ヒータが、図1に示されるように直列に接続されて、同様に上述のリード線により給電されることにより、さらに別の給電線の必要がなくなる。
【0041】
しかし、以上で説明した図1に示される回路構成のほかにも、さらに多数の別の代替形態が可能である。
【0042】
例えば電気初期ヒータを、直列の代わりに、別々に接続することができる。それにより、例えば入熱を最小にするために、独立した運転が可能となる。
【0043】
あるいはその代わりに、寸法精度に関してある程度の制約を甘受するのであれば、ほかにも2芯技術を利用して動作させることも可能である。特に、それに加えてさらに超伝導体と初期ヒータとを直列に接続すると非常に有利であり、それにより、なおも外部に取り廻す必要があるのは2本の電気導線だけとなる。
【0044】
プローブ電子回路をタンク5の電気アースから切り離す必要がなく、それに加えて電気導線の本数を最小にすべきである場合(電気導線は、漏電リスクとなることが多い上に、価格面でもコスト高である)は、本発明のさらに別の有利な実施形態が推奨される。この場合も、超伝導体及び電気ヒータは直列に接続され、超伝導線は、容器底面まで又はタンク5の壁面まで、下に取り廻されて、そこでこれと電気的に接触されるようになっている。この場合は、なお外部への取り廻しが必要となる電気導線は、2芯技術でつながれるのか、それとも4芯技術でつながれるのかにより、2本だけ、ないしは1本だけとなる。帰線については、いずれもタンク5がこれに取って代わるようになっている。大面積であるタンク外被及びそのリード線の電気抵抗は、一般には極わずかであるために、理想的なケースにおいては、それによって寸法精度に支障を来たすことはほとんどない。
【0045】
さらに別の変形実施形態は、超伝導体が、ただ単に向きを変えるだけで、再び上に向かって初期ヒータの高さまで(タンクから電気的に絶縁して)取り廻されることから成る。この場合は、超伝導体の他方の端部にも1つの初期ヒータが備えられ、あるいは、1つの共通ヒータへの十分な熱結合がもたらされるようにするとよい。この場合は、図1に示される、超伝導体の下側の接続点に取り廻される常伝導配線が、無用の長物となる。伝播は、線の両側の端部から平行に始まり、測定値を取る際には、両方の常伝導部分の抵抗が一まとめに検出される。それにより、配置構成が適切(タンク内の適切な地点にある程度の距離をおいて配置される、超伝導体の鉛直部分)である場合は、タンクが一時的に傾いているときすら、測定誤差が補償されるようになる。(場合によっては、なんと何度も向きを変えられた)超伝導体フィラメントと配線の組合せについては、それ以外の可能性も考えられる。
【0046】
純粋な材料であるMgB2 は、比較的もろく、そのため、これに適したフィラメント線を構成するには不向きである。このため、1つの支持材料又は安定化材が使用されることが好ましい。検討されるのは、クロムニッケル鋼、鉄、又は、その他の金属及び合金である。考えられる形態は、以下の刊行物:W. Goldacker, S. Schlachter et al., Development and performance of thin steel reinforced MgB2 wires …, Supercond. Sci. Technol. 17(2004), p. 363-368 に記載されるような、MgB2 から成る1つの芯材を有するクロムニッケル鋼及び/又は鉄から成る管材からドロー加工された細いフィラメント線である。
【0047】
そこでは、このいわゆる機械的及び電気的な安定化材が、ここでは望ましくないシャント抵抗となる点が問題となる。そのため、例えば純粋なNbTiフィラメントを用いて、さらに別の安定化材を不要として動作させることができる、液化ヘリウムを対象とした超伝導式プローブとは異なり、評価及び測定が複雑なものとなる。MgB2 が超伝導状態で存在する水素の液相領域においては、このシャント抵抗は、まったく問題とはならない。MgB2 材料が後に常伝導状態で存在しなければならない気相領域においては、多くの場合はさらにそれに付け加えて若干の温度依存性を示すこのシャント抵抗の影響に、同時に配慮する必要がある。
【0048】
MgB2 フィラメント線が、上記で説明したように、シャント抵抗が存在するにもかかわらず、安定化の結果、上述の超伝導式液化水素液面プローブに使用するのに優れて適していることが判明した。シャント抵抗の関与を比較的微小にとどめるためには、比較的薄い安定化材を用いて動作させると有利である。腐食及び製造面での理由から、かつ低温時の残留電気抵抗の温度特性に鑑みて、純粋なCrNi鋼から成る1つの安定化外被を用いて動作させると有利である。
【0049】
純粋な材料であるMgB2 は、雰囲気の影響に対し鋭敏であり、例えば湿潤雰囲気に接すると吸湿性を示し劣化する。この安定化ジャケットのさらにもう1つの長所は、封入されたMgB2 材料が、そのような劣化から非常に良好に保護される点にある。それ以外にも安定化材は、過大電流が印加される故障時や、雰囲気温度でのプローブ起動時の熱害(焼損)に対し、MgB2 材料を保護するためにも利用される。
【0050】
上述のように本方法は、超伝導の観点ではMgB2 材料の品質及び形態に対する要求が比較的わずかなものとなっている。絶対圧が1bar〜7barの間の範囲にある液化水素を対象として使用する場合は、主流となる温度が、蒸気圧曲線の推移に応じて20K〜29Kの間となる。MgB2 の報告されている転移温度は39K〜40Kであるが、不純物、ドープ材、所期の機械的予荷重、又は妨害が存在する場合は、それよりもさらに数ケルビン低くなることも多い。上述のような既成のMgB2 フィラメント線の転移温度の測定値は、32K〜38Kの範囲となる。理論的考察からも、また超伝導式液化ヘリウム及び液化窒素レベル・プローブでの実験からも、転移温度が、最適には、測定対象である液体の沸騰温度を数ケルビン上回るべきであることが知られている。この点に関して、ここで説明するMgB2 材料は、液化水素容器内の問題となる沸騰温度との傑出した調和性を示す。
【0051】
本発明によるMgB2 をベースとするレベル・プローブを有する装置、及び本発明による方法の適用の、さらにもう1つの有利な使用分野は、液化ネオンに関する。そこでは、蒸気圧特性の三重点(ネオンの場合は24.5K/0.43bar )と、雰囲気圧力(ネオン:27.1K/1.013bar)からそれよりも格段と高い圧力(例えば34K/5.33bar )までのときの沸騰状態との間のすべての状態がカバーされると有利である。
【0052】
液化ネオンの液面プローブを実現するために、上述の設計が実質的に維持され、最も有利な場合には、同一のプローブを用い、類似の運転パラメータを用いて動作させることが可能である。特に電流値は、場合によっては変わる。
【0053】
それ以外のすべての極低温液体は、沸騰温度が高過ぎ、あるいは、液化ヘリウムの場合は、MgB2 材料の転移温度を遥かに下回り不利である。
【0054】
さらに、いずれにせよ今日知られている標準超伝導材料のうちでそれ以外の材料のどれも、転移温度が低過ぎるか、又は明らかに高過ぎるために、液化水素のレベル・プローブ又は液化ネオンのレベル・プローブの実現に適したものはない。
【0055】
本方法は、MgB2 超伝導体の特定の形態に縛られない。機械的及び化学的な安定性が十分に保証される限り、例えば芯材を取り囲む別の安定化材量、1つの適切な支持材料上のMgB2 フィルム、又は、1つの金属芯材又はその他の1つの支持体上のMgB2 膜、又はほかにも中実のMgB2 バルク材を用いて、動作させることもできる。いずれの場合にも、伝熱、放熱表面、及びMgB2 材料内部のオーム発熱の状況に、場合によってはシャント抵抗も含めて注意しなければならない。
【0056】
本発明の概念は、一例として図2に示される液面測定プローブ13を用いた液面測定方式により実現される。
【0057】
液面測定プローブ13は、複数の開口部10を設けた機械的に安定した保護管7の内部に、超伝導体1を有するフィラメント線6、電気接触部、抵抗式初期ヒータ2、及びフィラメント線6用の張力装置9が配置されるように構成されている。保護管7は、その下側端部に1つの下側の成端片12を、またその上側端部に1つの上側の接続片11を有している。張力装置9は、図示の実施形態においてはばねとして構成され、これがフィラメント線6を張り渡して、温度変動に起因する長さの変化を補償するようにしている。そこではこのばねが、上側の接続片11に固定されており、またフィラメント線6の初期領域は、抵抗式初期ヒータ2とともに、フィラメント線6の上側端部に配置されている。フィラメント線6は、その下側端部で、下側の成端片12を介して保護管7と電気的に接触されている。保護管7には、複数の開口部10が好ましくは穴の形態で配置されており、極低温液体はこれらを通りフィラメント線6と直接接触することができる。図2に示される液面測定プローブ13は、2芯式の回路において、複数の電気線8を介して電気的に接続されており、4芯式の回路に比べて、2本の電気導線を廃止することができる。この構造方式は、プローブの簡単で頑丈な設計構造を特徴としている。その上、部品点数が少なく、また材料の種類数もわずかであるために、安価に実現することが可能である。特に保護管に対しても、またそれぞれの末端片に対しても、特段の要求が課せられることはないく、材料、直径、厚さ、表面処理、公差、又は使用される接合技術については、広い範囲から自由に選ぶことができる。
【0058】
適切な直径及び安定化部分を有する、使用されるMgB2 フィラメント線6は、図示の実施形態の例においては、約0.1mm程度の全直径を有している。フィラメント線6は、適切な取付け具を利用して垂直に向いた姿勢に保持されるとともに、既述のように、例えば1つの機械的ばね9を利用して、保護管7の内部で、両端部の電気接触部を除き接触することなく張り渡された状態に保持されるようになっている。その際、フィラメント線6の常伝導性ジャケットにより、十分な強度がもたらされる。
【0059】
さらに別の実施形態は、超伝導体1が1つの平坦な支持構造上に固定されるものであり、この支持構造は、さらに同時に必要な接触のための配線パターン及び端子点を受け入れることができるようになっている。そこでは、超伝導体1の組付け及び検査を簡単に実行できる点が長所となっている。
【0060】
その際、図2に示されるように、超伝導体、電気接触部、初期ヒータ及び張力装置から成る配列のすべてが、例えば金属性又は非金属性の機械的に安定した保護管7の形態をとる保護ジャケットの内部に格納されると有利である。それにより、プローブの準備、組付け又は運転の間に、鋭敏なフィラメント線6が、線条構造ともども損傷から保護されるようになる。それに加えてさらに、他の組込み部品と、典型的には電気的に絶縁されないフィラメント線との間の短絡を防止することができる。それ以外にも保護管7は、さらに別の役割(張力構造の保持枠、フィラメント線の下側の接触点からの電気帰線)を果たすこともできる。さらにその上に、このシースの適切な形態により、特に例えば複数の画定された側部ボア10を備える、両側が閉止された保護管7により、レベル変動がある場合には、ともすれば所望されるその減衰をもたらすことが可能となる。
【0061】
電流をオンにし、初期ヒータを起動すると、常伝導ゾーンの伝播が始まり、測定対象である、MgB2 フィラメント線長の全体にわたる全抵抗が、典型的には100 〜102 s以内に液体表面に到達するまで、増大する。そのようにして一定の抵抗値に達すると直ちに、MgB2 フィラメントの常伝導部分の単純な抵抗測定により、液面レベルの位置を決定することができる。典型的な0.1 〜1 Aの範囲の動作電流の強さ、及び0 〜20Vの範囲の電圧のとき、MgB2 フィラメントの全体にわたる残留抵抗を、十分な精度で問題なく決定して、周知の材料パラメータ(比電気抵抗、寸法)を用いて、又は独立した較正測定を基準として、液面高さに直接変換することができる。
【0062】
その代案として、ドイツ連邦共和国特許出願公開第197 55 378号明細書及びドイツ連邦共和国特許出願公開第198 34 349号明細書に記載されるように、液面を検出するために、抵抗測定の代わりに、超伝導状態ないしは常伝導状態にあるMgB2 材料のインダクタンスの変化ないしは遮蔽効果の変化が利用されるようになっている。その場合は算出方式が、まったく別の物理原理に基づいており、MgB2 材料の配置方式及び形態を、完全に異なるやり方で構成することができる。
【0063】
重量測定又は容量測定など、別の方法とは異なり、上記で説明した超伝導材料を使用した方法のいずれにおいても、利用される物理効果が、求められる界面の位置と直接関連しており、間接的な、場合によってはさらにその上に誤差がつきまとう液体部分の逆計算は一切不要である。
【0064】
電気制御によって調整を行うことができる測定モードには、様々なものが考えられる。
【0065】
定電流の印加:界面到達後、時間的に連続して測定値を検出し、そこから液レベルの位置を決定することができる。既に判明しているように、この場合は超伝導ゾーンと常伝導ゾーンの間の移行が、なんと場合により変化する液面高さに追従する。毎秒数cm程度の液レベルの上昇又は下降を、問題なく追跡することができる。その上、例えばタンクの内部の数ヘルツの周波数までの波動又は「ハンチング」の存在についても、そのように構成されるプローブによりマッピングすることができる。
【0066】
既に判明しているように、そのように構成された液化水素液面プローブは、それ以外にもさらに一連の有利な特性を有している。
【0067】
・ 連続式(非離散型)レベル決定、
・ 高い解像度及び測定精度(典型的には0.1 〜1mm )、
・ 高い再現精度(典型的には0.1 〜1mm )、
・ 高い線形性(99.9%以上)
・ 時間とともに変化又は変動する液面レベルの良好な再現(測定信号の「立ち上がり勾配」が典型的には101cm/s )、
・ 相応に適合させた場合は、液化イオンにも適する。
【0068】
まさに車両部門における液面測定装置としての組付けの可能性に関しても、様々な長所がもたらされる。
【0069】
これまで使用に供されてきた方法及びプローブ構造に対して、以下の特徴に関して優れている。
【0070】
・ 運動部品が皆無、
・ わずかなプローブ質量、非常に小さい「コールドマス」、
・ わずかなプローブ全高、
・ わずかな材料投入量、同時に低い材料価格、
・ わずかな信号処理コスト、
・ 扱いやすい範囲の電流及び電圧(0.1A及び1 〜10V 程度、すなわちノイズ及び妨害に対し比較的不感;高い線形性と同時に、要求の少ない制御及び評価回路の結果として)、
・ 関心のある量(ここでは液相−気相界面の位置)の直接測定、
・ 低温領域への控え目な入熱、使用事例に応じて広い範囲にわたる変化が可能、
・ 極めて高い精度及び再現精度、
・ 測定対象の液中に粒子や不純物があっても、ほとんど影響なし、
・ 重大な劣化効果は不知。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の有利な実施形態を示す図である。
【図2】液面測定プローブを示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 超伝導体
2 可制御式熱源、抵抗式初期ヒータ
3 電源
4 電圧測定装置、評価
5 液化水素容器
6 フィラメント線
7 保護管
8 電気線
9 張力装置、ばね
10 保護管の開口部、ボア
11 上側の接続片
12 下側の成端片
13 液面測定プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車用タンクに入った液化水素を対象とする、又は液化ネオンを対象とする、超伝導式の液面測定装置において、1つの液化水素容器(5)の内部に二ホウ化マグネシウムMgB2 をベースとする1つの超伝導体(1)が垂直に又は垂線に対して斜めに配置されていること、前記超伝導体(1)の上側の領域に1つの可制御式熱源(2)が配置され、前記超伝導体(1)が配線により1つの電源(3)並びに1つの電圧測定装置(4)と電気的に接触されていること、及び、液面測定が電圧測定として構成されている液面測定装置。
【請求項2】
二ホウ化マグネシウムMgB2 から成る前記超伝導体(1)が、1つのジャケット又は1つの支持体の形態の安定化材を備えることを特徴とする請求項1に記載の液面測定装置。
【請求項3】
前記安定化材が、鉄又はクロムニッケル鋼から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の液面測定装置。
【請求項4】
前記二ホウ化マグネシウムMgB2 から成る超伝導体(1)が、芯材として1つのフィラメント線(6)の内部に配置されていて、1つの金属製のジャケットにより取り囲まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液面測定装置。
【請求項5】
前記フィラメント線(6)が、10μm 〜500 μm の直径を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液面測定装置。
【請求項6】
前記フィラメント線(6)が、125 μmの直径、及び最大で0.5mまでの長さを有することを特徴とする請求項5に記載の液面測定装置。
【請求項7】
前記熱源(2)が、前記超伝導体(1)と直列に接続された抵抗式電気ヒータとして構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液面測定装置。
【請求項8】
前記超伝導体(1)が、2芯式の配線により構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液面測定装置。
【請求項9】
前記超伝導体(1)の回路が、1本の電気導線だけを使用して構成されていること、及び、そのために前記超伝導体(1)が、前記液化水素容器(5)の壁面又は底面まで取り廻さていて、これと電気的に接触されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液面測定装置。
【請求項10】
前記熱源(2)が、温度がより高い領域への熱ブリッジとして構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液面測定装置。
【請求項11】
複数の開口部(10)を備える1つの機械的に安定した保護管(7)の内部に、前記超伝導体(1)を有する前記フィラメント線(6)、電気接触部、前記初期ヒータ(2)、及び前記フィラメント線(6)用の張力装置(9)が配置されているように、液面測定プローブ(13)が構成されていて、その際に前記保護管(7)が、その下側端部に1つの下側の成端片(12)を、その上側端部に1つの上側の接続片(11)を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の液面測定装置。
【請求項12】
液化水素又は液化ネオンのような低沸点の気体を貯蔵する容器の内部の液面を測定する方法において、次の各ステップ、すなわち:
a)休止状態、プローブに通電せず、ヒータ2はそのままで起動されず、超伝導体(1)は、典型的にはその全長にわたり、液相中でも、また気相中でも、超伝導状態にあるステップと、
b)測定開始:電流フローを超伝導体(1)に沿って駆動し、それと同時に、又はその直前もしくは直後に前記ヒータ(2)を起動するステップと、
c)初期段階:ヒータ(2)の影響により、又はその他の外部の影響により、超伝導体 (1)の典型的には上側端部付近の多少なりとも小さな1つの領域、初期領域が、常伝導状態に入り、又は永久的に常伝導状態にあり、したがってこの領域内に、電流フローが同時に存在する結果、オーム熱が発生するステップと、
d)伝播段階:この配列の内部で、既に常伝導状態となっているそれぞれの領域内でのこの抵抗発熱が、熱伝導と組み合わさることにより、常伝導相が超伝導体(1)に沿って伝播し、その際に、MgB2 フィラメント線の前記抵抗発熱と、この加熱に対抗する周囲の冷ガス又は周囲の液体による冷却とが、互いに適合されており、伝播速度が、電流の強さを介して一定の範囲内で調整可能で、101 〜102 mm/sの範囲にあるステップと、
e)均衡状態への到達:液体表面に近づくにつれて、伝播が次第に遅くなり、電流の強さが適切に調整されている場合は、液相の内部における極めて強力な冷却の結果、最終的には界面の高さで停止し、その際に、前記超伝導体(1)の全体にわたって測定される電圧降下が、1つの一定値に近づいていくステップと、
f)測定段階:システムのそれぞれの運転状態において確実に液相に到達するまでの予め設定された待機時間の経過後に、又は、抵抗変化の追跡により、十分に一定である値に到達すると直ちに、その値が電圧測定装置(4)により自動的に決定され、記憶され、その際にこの測定モードが、液レベルの万一の変動を追跡するために、長時間にわたり維持することができ、あるいは、例えば容器(5)への入熱を最小限化するために、測定値が記憶される際に、後続の測定までセンサを再び非活動化することもできるステップと含む方法。
【請求項13】
前記伝播段階の開始後の入熱を1秒〜2秒に制限することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記測定段階において、前記超伝導体(1)の常伝導領域が気相−液相界面に到達した後に、前記プローブを非通電状態に切り換え、102 秒〜104 秒毎に間欠的に新たな測定を開始して、測定値を更新することを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
a)測定プロセスの初期化以降の前記超伝導体(1)の全体にわたる電気抵抗の上昇を、1つの評価電子回路により追跡し、その際に前記伝播段階の間に、電気抵抗の急速な、比較的連続した増大が記録されること、並びに
b)界面に到達した結果、時間的に互いに連続する一連の測定点にわたって、ほぼ一定の抵抗値が確認された後、及び
c)前記超伝導体(1)の液面検出が行われた後に、熱源(2)を非通電状態に切り換えることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
初期領域のMgB2 材料の適切な劣化により、前記超伝導相の一時的又は永久的な阻止を行う工程を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
磁場の印加により、前記超伝導相の一時的又は永久的な阻止が生じることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
低沸点液体として液化水素又は液化ネオンが使用され、その際に動作電流の強さが0.1 〜1 アンペアの間の範囲に、また電圧が0 〜20ボルトの範囲にあることを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−532022(P2008−532022A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557324(P2007−557324)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際出願番号】PCT/DE2006/000408
【国際公開番号】WO2006/094489
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(503435240)テヒニッシェ・ウニヴェルジテート・ドレスデン (2)
【Fターム(参考)】