液塗布具の製造方法
【課題】塗布対象毛に対して容易な塗布操作で十分に濃い塗布液を塗布できる。
サービススタッフが正確な作業を遂行し易い。
【解決手段】複数本の芯材11間に繊維素材を挟むように配列した後、前記芯材11をねじることによって繊維素材を折り込んだブラシ素材を構成し、中心部加工空間34と、この中心部加工空間34から放射状の稜線部加工空間35を有する溝形成用治具31を用い、ブラシ素材の芯材11を中心部加工空間34に通しながら、芯材11から放射状に突出するブラシ素材を稜線部加工空間35に分けるように挿入して加熱処理し、加熱処理して得られるブラシ毛材の外表面に縦方向に延長する塗布液保持溝を有する多量塗布ブラシ部を形成する。
サービススタッフが正確な作業を遂行し易い。
【解決手段】複数本の芯材11間に繊維素材を挟むように配列した後、前記芯材11をねじることによって繊維素材を折り込んだブラシ素材を構成し、中心部加工空間34と、この中心部加工空間34から放射状の稜線部加工空間35を有する溝形成用治具31を用い、ブラシ素材の芯材11を中心部加工空間34に通しながら、芯材11から放射状に突出するブラシ素材を稜線部加工空間35に分けるように挿入して加熱処理し、加熱処理して得られるブラシ毛材の外表面に縦方向に延長する塗布液保持溝を有する多量塗布ブラシ部を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は液塗布具の製造方法に関し、特にマスカラブラシや毛染め用ブラシのように塗布対象毛にマスカラや毛染め液などの塗布液を塗布する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の液塗布具として、例えばマスカラブラシとして、特許文献1に開示されているように、ブラシに付着させたマスカラを、まつ毛に塗布するものが用いられている。このマスカラブラシとしての液塗布具R1は、図11に示すように、塗布液容器R2の
取出口R3から、キャヅプR4に固着されたシャフトR5の先端に設けられたブラシ本体R6を出し入れすることにより、ブラシ本体R6を塗布液としてのマスカラに浸して外部に取り出すようになされている。
【0003】
取出口R3の内側には、柔軟性をもったゴム材でなる円筒状のしごき部材R7が設けられ、ブラシ本体R6を取出口R3から引き抜くときに、ブラシ本体R6の周囲に付着している余分な塗布液を、小さい内径を有するしごき部材R7によってしごき落とすことにより、外部に取り出したブラシ本体6やシャフトR5から塗布液をぼた落ちさせないように構成されている。
【特許文献1】特開平5−228018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図11の構成によれば、しごき部材R7としてブラシ本体R6を塗布液容器R2から引き抜いたとき、芯材に植毛されたブラシ毛材R6Aがしごき部材R7によって抜き方向とは逆方向に押し付けられることにより、その方向に一斉に倒れるような動作し、これによりブラシ本体R6の周囲に付着した余分な塗布液がしごき落とされるので、塗布液のぼた落ちを防止する機能をなし得る。
【0005】
このように、ブラシ毛材R6Aは、しごき部材R7を通るとき一旦一斉に倒れるが、しごき部材7を通過した後は、その復元力によって起立するので、塗布液は当該起立したブラシ毛材R6Aの周囲に塗布液が寸着したまま残る。
【0006】
しかしながら、このブラシ毛材R6Aの表面に付着した塗布液は少量なので、まつ毛に塗布できる塗布液の量が不足するため、使用者は5回、6回と塗布操作を繰り返えさないと、まつ毛に濃い塗布液を塗布できない結果になる。
この発明は以上の点を考慮してなされたもので、塗布対象毛に対して容易な塗布操作で十分に濃い塗布液を塗布できるようにしたブラシ構成の液塗布具の製造方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成されている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、複数本の芯材間に繊維素材を挟むように配列した後、前記芯材をねじることによって繊維素材を折り込んだブラシ素材を構成し、
中心部加工空間と、この中心部加工空間から放射状の稜線部加工空間を有する溝形成用治具を用い、
前記ブラシ素材の芯材を中心部加工空間に通しながら、前記芯材から放射状に突出する
前記ブラシ素材を前記稜線部加工空間に分けるように挿入して加熱処理し、
前記加熱処理して得られるブラシ毛材の外表面に縦方向に延長する塗布液保持溝を有する多量塗布ブラシ部を形成することを特徴とする液塗布具の製造方法である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記ブラシ素材の先端部は前記溝形成用治具から突出させて、前記多量塗布ブラシ部の先端に前記ブラシ毛材の外表面に縦方向に延長する前記塗布液保持溝を有しない少量塗布ブラシ部を形成することを特徴とする請求項1に記載の液塗布具の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0011】
請求項1に記載の発明では、ブラシ毛材の外表面に縦方向に延長する塗布液保持溝を形成した多量塗布ブラシ部を簡単に設けることができ、この多量塗布ブラシ部により塗布液容器から液塗布具を引き出すときに塗布液保持溝内にしごき残された塗布液を多量に保持し、容易な塗布操作で、濃い塗布液を塗布対象毛に塗布できる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、多量塗布ブラシ部の先端に少量塗布ブラシ部を簡単に設けることができ、少量塗布ブラシ部によりまつ毛の生え際や下まつ毛に細部の塗布操作を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面について、この発明の液塗布具の製造方法の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
図1の液塗布具1は、第1の実施の形態を示すもので、図1(A)に示すように、シャフト2の先端に全体の外観形状として手元から先端に行くに従って先細りになる断面がほぼ円形形状に成形されたブラシ本体3を有する。
ブラシ本体3は、塗布液でなるマスカラを塗布対象毛でなるまつ毛に濃く塗布する多量塗布ブラシ部4と、この多量塗布ブラシ部4の先端側に設けられ、塗布液を薄く塗布する少量塗布ブラシ部5とを有する。
【0014】
多量塗布ブラシ部4は、図1(B)に示すように、芯材11に植毛されたブラシ毛材12に、1本又は複数本(この場合6本)の塗布液保持溝13が、芯材11に届く深さで、かつ芯材11に沿う方向に向かうように形成されている。
【0015】
この実施の形態の場合、ブラシ本体3は、0.1〜2.0〔mmφ〕の太さの2本のステンレス線材間に、その延長方向に多数のブラシ繊維材料を配列するように挟み込んだ状態において当該2本の線材にねじり加工を施すことにより、当該ねじり加工された2本の線材でなる芯材11を中心として、直線的に外方にブラシ毛材12を突出するように植毛した構成を有する。
【0016】
かくして、多量塗布ブラシ部4は、芯材11から放射状に突出してなる一群のブラシ繊維材料の列でなるブラシ毛材12内に6本の塗布液保持溝13を形成しているので、隣り合う2本の塗布液保持溝13によって挟まれたブラシ毛材12は、芯材11の延長方向に沿って延長する6本のブラシ毛材稜線部14を形成している。
【0017】
これに対して、当該稜線を形成しているブラシ毛材稜線部14に挟まれている塗布液保持溝13は、芯材11の延長方向に沿って延長する6本の谷部を形成している。
【0018】
これに対して、少量塗布ブラシ部5には塗布液保持溝13に相当するような満は形成されておらず、これにより少量塗布ブラシ部5は、図1(C)及び(D)に示すように、芯材11を中心としてブラシ毛材12が放射状に直線的に外方に突出するように構成されている。
【0019】
以上の構成において、液塗布具1が、塗布液容器に差し込まれた状態から引き抜かれると、ブラシ本休3が全体として塗布液容器のしごき部材によってしごかれるが、ブラシ本休3のうち多量塗布ブラシ部4の塗布液保持溝13には、図2(A)に示すように、塗布液15を保持した状態になる。
【0020】
この状態になるのは、ブラシ本休3が塗布液容器のしごき部材によってしごかれるとき、ブラシ毛材12が根元側(すなわちシャフト2側)から先端側に向かって一旦倒され、その後しこき部材を通り過ぎて外に出たときその弾性によって起立した状態に復元するような動作をすることにより、ブラシ毛材12間に保持されていた塗布液がしごき落とされてブラシ毛材12の周囲に塗布液が付着した状態になる。
【0021】
このようにしてブラシ毛材稜線部14を形成しているブラシ毛材12は、しごき動作を受けるのに対して、ブラシ本体3の塗布液保持溝13は、ブラシ毛材稜線部14間の谷部を形成しているので、塗布液容器内において塗布液保持溝13内に入っていた塗布液15は、その全部がしごき落とされることはなく、このしごき落とされずに残った塗布液15を塗布液保持溝13が保持した状態になる(従って多量の塗布液を保持した状態になる)。
【0022】
かくして、ブラシ本体3のうち多量塗布ブラシ部4は、その塗布液保持溝13内に多量の塗布液を保持した状態で、塗布液容器から取り出されることになる。
【0023】
これに対して、少量塗布ブラシ部5においては、多量塗布ブラシ部4の塗布液保持溝13のような溝が形成されていないことにより、ブラシ毛材12間にあった塗布液がしごき部材によってしごき落とされることにより、各ブラシ毛材12の周囲に塗布液が付着した状態(従って少量塗布液保持状態)になる。
【0024】
そこで、液塗布具1の使用者は、ブラシ本体3のうち多量に塗布液を保持している多量塗布ブラシ部4のブラシ毛材12を、図3において矢印aで示すように回転させながらまつ毛20をすくような操作をすれば、塗布液保持溝13内に保持されている塗布液15が直接にまつ毛20に接触することによりまつ毛20にもったりと付着するような濃い塗布状態で塗布できる。
【0025】
このようなまつ毛20への塗布液15の塗布操作は、使用者が引き続きブラシ本体3を回転し続ければ、続いて隣りの塗布液保持溝13に保持されている塗布液15がさらにまつ毛20に塗布されることにより、必要に応じて濃い塗布液をまつ毛20に塗布することができる。
【0026】
かくしてブラシ本体3の多量塗布ブラシ部4を用いて塗布操作をすれば、使用者が1回の回転塗布操作をするだけで、好みに応じた濃さの塗布液をまつ毛20に塗布することができる。
【0027】
かくするにつき、図4に示すように、多量塗布ブラシ部4のうちブラシ毛材稜線部14のブラシ毛材12がまつ毛20をすくような動作をすることにより、まつ毛20が複数本まとまるようなおそれはなく、まつ毛20の一本一本について、濃く塗布した塗布液を薄めるような修正操作をすることができる。
【0028】
また、図5に示すように、使用者はブラシ本体3の少量塗布ブラシ部5を用いてまつ毛20の生え際や、下まつ毛22に対する塗布操作をすれば、少量塗布ブラシ部5のブラシ毛材12は少量の塗布液しか保持していないので、まつ毛20又は下まつ毛22をすくように回転動作させれば、まつ毛20又は下まつ毛22の細部について塗布液を塗布することがてきる。
【0029】
以上の構成によれば、液塗布具1の使用者は、まつ毛20に対して簡単に1回回転操作をするだけで、濃い塗布液をまつ毛20に塗布した後、当該濃い塗布液を薄める修正操作をすることができる。
【0030】
これに加えて、先端部の少量塗布ブラシ部5を用いれば、使用者は、まつ毛20の生え際や下まつ毛22に細部の塗布操作を容易に行うことができる。
(2)第2の実施の形態
図6は第2の実施の形態を示すもので、液塗布具25は、図1との対応部分に同一符号
を付して示すように、ブラシ本体3Xとして、図1において先端の少量塗布ブラシ部5を省略したと同様の構成を有する。
【0031】
かくして、図6の液塗布具25によれば、図2乃至図3について上述したと同様に、液塗布具25を塗布液容器から引き抜いたとき、当該塗布液容器によるしごき動作によりブラシ毛材12によって構成されているブラシ毛材稜線部14が塗布液をしごき落とされて少量の塗布液を保持した状態になっているのに対して、谷部を形成している塗布液保持溝13にはしごき落とされずに残った塗布液を多量に保持した状態になっている。
【0032】
そこで塗布液保持溝13に保持されている多量の塗布液を用いてまつ毛に対して多量の塗布液を塗布できると共に、塗布液保持溝13と隣接するブラシ毛材12を用いてまつ毛に濃く塗布した塗布液を薄めるような修正操作を1回の塗布操作でなし得るような液塗布具を実現できる。
(3)第3の実施の形態
図1及び図6の実施の形態の多量塗布ブラシ部4においては、塗布液保持溝13を芯材11の近傍にまで届く程度に深く形成した場合について述べたが、これに代え、図7に示すように、芯材11の周囲に、ブラシ毛材稜線部14を形成するブラシ毛材12の根元部分が互いに交錯するような交錯領域13X(点線で示す)を設け、当該交錯領域13Xに届く程度に浅い塗布液保持溝13Yを形成するようにする。
図7の構成によれば、塗布液保持溝13Yに入る塗布液の粘度が小さい場合に、当該塗
布液が交錯領域13Xを構成するブラシ毛材12に接触してその接触部分がブラシ毛材12の各毛の間に入ることにより、塗布液保持溝13Y内の塗布液に対する保持力が大きくなる。
【0033】
従って、たとえ塗布液の粘度が小さい場合でも、塗布液保持溝13Yから塗布液がぼた落ちするようなおそれを有効に防止し得る。
(4)塗布液保持溝の加工
上述のブラシ本体3(図1)及び3X(図6)の多量塗布ブラシ部4の塗布液保持溝13や、図7の塗布液保持溝13Yは、図8に示すような溝形成用治具31を用いて成形する。
【0034】
溝形成用治具31は基台32上に、断面扇形形状の6本の加熱金具33を立設した構成を有する。
【0035】
加熱金具33は多量塗布ブラシ部4のブラシ毛材12によって6本のブラシ毛材稜線部14を成形加工するように、加熱金具33の相互間に、中心加工空間34から放射状に延長する6本の稜線部加工空間35を形成している。
【0036】
この実施の形態の場合、加熱金具33は基台32に設けられた電源接続部材36を介して加熱動作する電熱ヒータによって加熱される。
【0037】
また、この実施の形態の場合、ブラシ本体3及び3Xは、直径0.1〜2.0〔mmφ〕の2本のステンレス線材間に、その長手方向に0.05〜0.3〔mmφ〕の合成樹脂材料(ナイロン、テフロン(登録商標)、ポリエステル、ポリエチレンなど)の繊維素材を挟むように配列させると共に、当該線材をねじり加工することにより繊維素材を折り込んだ構成のブラシ素材37から加工される。
【0038】
当該ブラシ素材37は、図9に示すように溝形成用治具31の上方から、芯材11を中心部加工空間34に通すように、しかも当該芯材11から放射状に突出する繊維素材の先端部が加工金具33に突き当たらないように避けながら湾曲させて、稜線部加工空間35に分けるように挿入する。
【0039】
図9の実施の形態の場合、図1の液塗布具1を成形加工する場合を示したもので、このときブラシ素材の先端部は、少量塗布ブラシ部5を形成するように、溝形成用治具31から上方に突出させておく。
【0040】
かくしてブラシ素材の設定が終わると、以下に示す加工温度及び加工時間を加工条件として加熱処理をする。
【0041】
加工温度 加工時間
400℃〜500℃ 1秒〜5秒
300℃〜400℃ 5秒〜20秒
200℃〜300℃ 20秒〜360秒
100℃〜200℃ 360秒〜3600秒
70℃〜100℃ 6時間〜24時間
この加熱処理の結果、ブラシ素材37を構成する合成樹脂材料が熱可塑変形することにより、加熱金具33を避けるように稜線部加工空間35を通る繊維素材が、芯材11に沿って延長しかつ谷部を問に挟んで対向する稜線となるように、ブラシ毛材稜線部14として、成形加工される。
【0042】
これと共に、ブラシ素材37が通らない加熱金具33の部分が、隣接するブラシ毛材稜線部14間の谷部となる塗布液保持溝13として、成形加工される。
【0043】
なお、図8の溝形成用治具31においては、加熱金具33が電熱ヒータによって加熱されるようにしたが、これに代え、電熱ヒータを設けずに、溝形成用治具31を全体として乾燥炉等の加熱室に入れて加熱するような加工方法を用いても、上述の場合と同様の成形加工をすることができる。
【0044】
また、それ以外に電熱ヒータをもたない溝形成用治具に対して、65〔℃〕〜!00〔℃〕の水蒸気又は熱湯の雰囲気中において、6時間〜48時間加熱処理を続ければ、ブラシ素材37の繊維素材を塑性加工できることにより、塗布液保持溝13を有する液塗布貝を成形加工することができる。
【0045】
(5)他の実施の形態(a)上述の実施の形態においては、6本の塗布液保持溝13を芯材11の周囲に形成した場台について述べたが、塗布液保持溝13の本数はこれに限らず、1本又は2本以上複数本形成してもよい。
(b)上述の実施の形態においては、ブラシ本体3及び3Xの全体の外観形状として、手元から先端に行くに従って先細りになる断面円形形状のものを用いたが、ブラシ本体の外観形状はこれに限らず、先端に行くに従って同じ直径の円柱形状のものや、先端に行くに従って一旦太くなった後先細りになるタイコ形状のものや、中間部分が少し細くなるひょうたん形状のものや、断面が三角形状のものなど、種々の形状のものにも適用できる。
(c)上述の実施の形態においては、ブラシ本体3及び3Xがシャフトの延長方向に沿って直線状である場合について述べたが、かかる形状に限らず、例えばまつ毛の形状に沿うように湾曲するといったように、種々の湾曲形状となるような構成にしても良い。
(d)上述の実施の形態においては、塗布液保持溝13の断面形状をV字状に成形した場合について述べたが、この発明はこれに限らず、中心部分に丸みをもたせた断面U字状に形成したり、内径部分から外径部分に至るまでほぼ等間隔の断面長方形状に成形しても良く、要はブラシ毛材稜線部14を形成するブラシ毛材12がほぼ直線状かつ放射状に突出すれば良い。
(e)図8及び図9の実施の形態においては、加熱金具33として断面扇形形状のものを適用した場合について述べたが、加熱金具33の形状としては、これに限らず、図10(A)に示すように断面三角形形状のものや、図10(B)に示すように断面円形形状のものや、図10(C)に示すように断面ほぼ五角形のくさび形形状のものや、図10(D)に示すようにほぼ四角形形状のものなど、種々の形状のものを適用できる。
(f)上述の実施の形態においては、この発明をマスカラブラシに適用した場合について述べたが、これに限らず、例えば毛染め用ブラシとして部分染に用いるものなどのように、要は液を塗布する対象となる塗布対象毛に塗布する場合に広く適用できる。
(g)上述の実施の形態においては、塗布液保持溝13R及び13Yを、芯材11に沿うような方向(従ってほぼ直線状)に形成するようにしたが、この発明はこれに限らず多少曲る(斜めや蛇行する)ようにするか、又は根元を幅広くかつ先端は狭くする(若しくはその逆に根元を狭くかつ先端は広くする)ようにしても良く、要はブラシ毛材の外表面に縦方向に(従ってしごかれる方向)延長するようにすれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は特にマスカラブラシや毛染め用ブラシのように塗布対象毛にマスカラや毛染め液などの塗布液を塗布する液塗布具の製造方法に適用でき、塗布対象毛に塗布液を塗布する場合に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(A)、(B)、(C)及び(D)は、この発明の第1の実施の形態の液塗布具を示す斜視図、(A)のA1−A1断面図、(A)のB1−B1断面図及び(A)の先端面を示す側面図である。
【図2】(A)及び(B)は液塗布具を塗布液容器から引き抜いたときの塗布液の保持状熊を示す断面図である。
【図3】多量塗布動作の説明に供する略線図である。
【図4】修正動作の説明に供する略線図である。
【図5】細部の修正動作の説明に供する略線図である。
【図6】(A)、(B)及び(C)は第2の実施の形態の液塗布具を示す斜視図、(A)のA2−A2断面図及び(A)の先端而構造を示す側面図である。
【図7】第3の実施の形態の多量塗布ブラシ部を示す断面図である。
【図8】溝形成用治具を示す斜視図である。
【図9】ブラシ素材の設定操作の説明に供する斜視図である。
【図10】(A)、(B)、(C)及び(D)は加熱金具の変形例を示す断面図である。
【図11】従来の液塗布具を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1,25,R1 液塗布具
2 シャフト
3 ブラシ本体
4 多量塗布ブラシ部
5 少量塗布ブラシ部
11 芯材
12 ブラシ毛材
13 塗布液保持溝
14 ブラシ毛材稜線部
15 塗布液
20 まつ毛
31 溝形成用治具
32 基台
33 加熱金具
34 中心加工空間
35 稜線部加工空間
36 電源接続部材
37 ブラシ素材
【技術分野】
【0001】
この発明は液塗布具の製造方法に関し、特にマスカラブラシや毛染め用ブラシのように塗布対象毛にマスカラや毛染め液などの塗布液を塗布する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の液塗布具として、例えばマスカラブラシとして、特許文献1に開示されているように、ブラシに付着させたマスカラを、まつ毛に塗布するものが用いられている。このマスカラブラシとしての液塗布具R1は、図11に示すように、塗布液容器R2の
取出口R3から、キャヅプR4に固着されたシャフトR5の先端に設けられたブラシ本体R6を出し入れすることにより、ブラシ本体R6を塗布液としてのマスカラに浸して外部に取り出すようになされている。
【0003】
取出口R3の内側には、柔軟性をもったゴム材でなる円筒状のしごき部材R7が設けられ、ブラシ本体R6を取出口R3から引き抜くときに、ブラシ本体R6の周囲に付着している余分な塗布液を、小さい内径を有するしごき部材R7によってしごき落とすことにより、外部に取り出したブラシ本体6やシャフトR5から塗布液をぼた落ちさせないように構成されている。
【特許文献1】特開平5−228018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図11の構成によれば、しごき部材R7としてブラシ本体R6を塗布液容器R2から引き抜いたとき、芯材に植毛されたブラシ毛材R6Aがしごき部材R7によって抜き方向とは逆方向に押し付けられることにより、その方向に一斉に倒れるような動作し、これによりブラシ本体R6の周囲に付着した余分な塗布液がしごき落とされるので、塗布液のぼた落ちを防止する機能をなし得る。
【0005】
このように、ブラシ毛材R6Aは、しごき部材R7を通るとき一旦一斉に倒れるが、しごき部材7を通過した後は、その復元力によって起立するので、塗布液は当該起立したブラシ毛材R6Aの周囲に塗布液が寸着したまま残る。
【0006】
しかしながら、このブラシ毛材R6Aの表面に付着した塗布液は少量なので、まつ毛に塗布できる塗布液の量が不足するため、使用者は5回、6回と塗布操作を繰り返えさないと、まつ毛に濃い塗布液を塗布できない結果になる。
この発明は以上の点を考慮してなされたもので、塗布対象毛に対して容易な塗布操作で十分に濃い塗布液を塗布できるようにしたブラシ構成の液塗布具の製造方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成されている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、複数本の芯材間に繊維素材を挟むように配列した後、前記芯材をねじることによって繊維素材を折り込んだブラシ素材を構成し、
中心部加工空間と、この中心部加工空間から放射状の稜線部加工空間を有する溝形成用治具を用い、
前記ブラシ素材の芯材を中心部加工空間に通しながら、前記芯材から放射状に突出する
前記ブラシ素材を前記稜線部加工空間に分けるように挿入して加熱処理し、
前記加熱処理して得られるブラシ毛材の外表面に縦方向に延長する塗布液保持溝を有する多量塗布ブラシ部を形成することを特徴とする液塗布具の製造方法である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記ブラシ素材の先端部は前記溝形成用治具から突出させて、前記多量塗布ブラシ部の先端に前記ブラシ毛材の外表面に縦方向に延長する前記塗布液保持溝を有しない少量塗布ブラシ部を形成することを特徴とする請求項1に記載の液塗布具の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0011】
請求項1に記載の発明では、ブラシ毛材の外表面に縦方向に延長する塗布液保持溝を形成した多量塗布ブラシ部を簡単に設けることができ、この多量塗布ブラシ部により塗布液容器から液塗布具を引き出すときに塗布液保持溝内にしごき残された塗布液を多量に保持し、容易な塗布操作で、濃い塗布液を塗布対象毛に塗布できる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、多量塗布ブラシ部の先端に少量塗布ブラシ部を簡単に設けることができ、少量塗布ブラシ部によりまつ毛の生え際や下まつ毛に細部の塗布操作を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面について、この発明の液塗布具の製造方法の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
図1の液塗布具1は、第1の実施の形態を示すもので、図1(A)に示すように、シャフト2の先端に全体の外観形状として手元から先端に行くに従って先細りになる断面がほぼ円形形状に成形されたブラシ本体3を有する。
ブラシ本体3は、塗布液でなるマスカラを塗布対象毛でなるまつ毛に濃く塗布する多量塗布ブラシ部4と、この多量塗布ブラシ部4の先端側に設けられ、塗布液を薄く塗布する少量塗布ブラシ部5とを有する。
【0014】
多量塗布ブラシ部4は、図1(B)に示すように、芯材11に植毛されたブラシ毛材12に、1本又は複数本(この場合6本)の塗布液保持溝13が、芯材11に届く深さで、かつ芯材11に沿う方向に向かうように形成されている。
【0015】
この実施の形態の場合、ブラシ本体3は、0.1〜2.0〔mmφ〕の太さの2本のステンレス線材間に、その延長方向に多数のブラシ繊維材料を配列するように挟み込んだ状態において当該2本の線材にねじり加工を施すことにより、当該ねじり加工された2本の線材でなる芯材11を中心として、直線的に外方にブラシ毛材12を突出するように植毛した構成を有する。
【0016】
かくして、多量塗布ブラシ部4は、芯材11から放射状に突出してなる一群のブラシ繊維材料の列でなるブラシ毛材12内に6本の塗布液保持溝13を形成しているので、隣り合う2本の塗布液保持溝13によって挟まれたブラシ毛材12は、芯材11の延長方向に沿って延長する6本のブラシ毛材稜線部14を形成している。
【0017】
これに対して、当該稜線を形成しているブラシ毛材稜線部14に挟まれている塗布液保持溝13は、芯材11の延長方向に沿って延長する6本の谷部を形成している。
【0018】
これに対して、少量塗布ブラシ部5には塗布液保持溝13に相当するような満は形成されておらず、これにより少量塗布ブラシ部5は、図1(C)及び(D)に示すように、芯材11を中心としてブラシ毛材12が放射状に直線的に外方に突出するように構成されている。
【0019】
以上の構成において、液塗布具1が、塗布液容器に差し込まれた状態から引き抜かれると、ブラシ本休3が全体として塗布液容器のしごき部材によってしごかれるが、ブラシ本休3のうち多量塗布ブラシ部4の塗布液保持溝13には、図2(A)に示すように、塗布液15を保持した状態になる。
【0020】
この状態になるのは、ブラシ本休3が塗布液容器のしごき部材によってしごかれるとき、ブラシ毛材12が根元側(すなわちシャフト2側)から先端側に向かって一旦倒され、その後しこき部材を通り過ぎて外に出たときその弾性によって起立した状態に復元するような動作をすることにより、ブラシ毛材12間に保持されていた塗布液がしごき落とされてブラシ毛材12の周囲に塗布液が付着した状態になる。
【0021】
このようにしてブラシ毛材稜線部14を形成しているブラシ毛材12は、しごき動作を受けるのに対して、ブラシ本体3の塗布液保持溝13は、ブラシ毛材稜線部14間の谷部を形成しているので、塗布液容器内において塗布液保持溝13内に入っていた塗布液15は、その全部がしごき落とされることはなく、このしごき落とされずに残った塗布液15を塗布液保持溝13が保持した状態になる(従って多量の塗布液を保持した状態になる)。
【0022】
かくして、ブラシ本体3のうち多量塗布ブラシ部4は、その塗布液保持溝13内に多量の塗布液を保持した状態で、塗布液容器から取り出されることになる。
【0023】
これに対して、少量塗布ブラシ部5においては、多量塗布ブラシ部4の塗布液保持溝13のような溝が形成されていないことにより、ブラシ毛材12間にあった塗布液がしごき部材によってしごき落とされることにより、各ブラシ毛材12の周囲に塗布液が付着した状態(従って少量塗布液保持状態)になる。
【0024】
そこで、液塗布具1の使用者は、ブラシ本体3のうち多量に塗布液を保持している多量塗布ブラシ部4のブラシ毛材12を、図3において矢印aで示すように回転させながらまつ毛20をすくような操作をすれば、塗布液保持溝13内に保持されている塗布液15が直接にまつ毛20に接触することによりまつ毛20にもったりと付着するような濃い塗布状態で塗布できる。
【0025】
このようなまつ毛20への塗布液15の塗布操作は、使用者が引き続きブラシ本体3を回転し続ければ、続いて隣りの塗布液保持溝13に保持されている塗布液15がさらにまつ毛20に塗布されることにより、必要に応じて濃い塗布液をまつ毛20に塗布することができる。
【0026】
かくしてブラシ本体3の多量塗布ブラシ部4を用いて塗布操作をすれば、使用者が1回の回転塗布操作をするだけで、好みに応じた濃さの塗布液をまつ毛20に塗布することができる。
【0027】
かくするにつき、図4に示すように、多量塗布ブラシ部4のうちブラシ毛材稜線部14のブラシ毛材12がまつ毛20をすくような動作をすることにより、まつ毛20が複数本まとまるようなおそれはなく、まつ毛20の一本一本について、濃く塗布した塗布液を薄めるような修正操作をすることができる。
【0028】
また、図5に示すように、使用者はブラシ本体3の少量塗布ブラシ部5を用いてまつ毛20の生え際や、下まつ毛22に対する塗布操作をすれば、少量塗布ブラシ部5のブラシ毛材12は少量の塗布液しか保持していないので、まつ毛20又は下まつ毛22をすくように回転動作させれば、まつ毛20又は下まつ毛22の細部について塗布液を塗布することがてきる。
【0029】
以上の構成によれば、液塗布具1の使用者は、まつ毛20に対して簡単に1回回転操作をするだけで、濃い塗布液をまつ毛20に塗布した後、当該濃い塗布液を薄める修正操作をすることができる。
【0030】
これに加えて、先端部の少量塗布ブラシ部5を用いれば、使用者は、まつ毛20の生え際や下まつ毛22に細部の塗布操作を容易に行うことができる。
(2)第2の実施の形態
図6は第2の実施の形態を示すもので、液塗布具25は、図1との対応部分に同一符号
を付して示すように、ブラシ本体3Xとして、図1において先端の少量塗布ブラシ部5を省略したと同様の構成を有する。
【0031】
かくして、図6の液塗布具25によれば、図2乃至図3について上述したと同様に、液塗布具25を塗布液容器から引き抜いたとき、当該塗布液容器によるしごき動作によりブラシ毛材12によって構成されているブラシ毛材稜線部14が塗布液をしごき落とされて少量の塗布液を保持した状態になっているのに対して、谷部を形成している塗布液保持溝13にはしごき落とされずに残った塗布液を多量に保持した状態になっている。
【0032】
そこで塗布液保持溝13に保持されている多量の塗布液を用いてまつ毛に対して多量の塗布液を塗布できると共に、塗布液保持溝13と隣接するブラシ毛材12を用いてまつ毛に濃く塗布した塗布液を薄めるような修正操作を1回の塗布操作でなし得るような液塗布具を実現できる。
(3)第3の実施の形態
図1及び図6の実施の形態の多量塗布ブラシ部4においては、塗布液保持溝13を芯材11の近傍にまで届く程度に深く形成した場合について述べたが、これに代え、図7に示すように、芯材11の周囲に、ブラシ毛材稜線部14を形成するブラシ毛材12の根元部分が互いに交錯するような交錯領域13X(点線で示す)を設け、当該交錯領域13Xに届く程度に浅い塗布液保持溝13Yを形成するようにする。
図7の構成によれば、塗布液保持溝13Yに入る塗布液の粘度が小さい場合に、当該塗
布液が交錯領域13Xを構成するブラシ毛材12に接触してその接触部分がブラシ毛材12の各毛の間に入ることにより、塗布液保持溝13Y内の塗布液に対する保持力が大きくなる。
【0033】
従って、たとえ塗布液の粘度が小さい場合でも、塗布液保持溝13Yから塗布液がぼた落ちするようなおそれを有効に防止し得る。
(4)塗布液保持溝の加工
上述のブラシ本体3(図1)及び3X(図6)の多量塗布ブラシ部4の塗布液保持溝13や、図7の塗布液保持溝13Yは、図8に示すような溝形成用治具31を用いて成形する。
【0034】
溝形成用治具31は基台32上に、断面扇形形状の6本の加熱金具33を立設した構成を有する。
【0035】
加熱金具33は多量塗布ブラシ部4のブラシ毛材12によって6本のブラシ毛材稜線部14を成形加工するように、加熱金具33の相互間に、中心加工空間34から放射状に延長する6本の稜線部加工空間35を形成している。
【0036】
この実施の形態の場合、加熱金具33は基台32に設けられた電源接続部材36を介して加熱動作する電熱ヒータによって加熱される。
【0037】
また、この実施の形態の場合、ブラシ本体3及び3Xは、直径0.1〜2.0〔mmφ〕の2本のステンレス線材間に、その長手方向に0.05〜0.3〔mmφ〕の合成樹脂材料(ナイロン、テフロン(登録商標)、ポリエステル、ポリエチレンなど)の繊維素材を挟むように配列させると共に、当該線材をねじり加工することにより繊維素材を折り込んだ構成のブラシ素材37から加工される。
【0038】
当該ブラシ素材37は、図9に示すように溝形成用治具31の上方から、芯材11を中心部加工空間34に通すように、しかも当該芯材11から放射状に突出する繊維素材の先端部が加工金具33に突き当たらないように避けながら湾曲させて、稜線部加工空間35に分けるように挿入する。
【0039】
図9の実施の形態の場合、図1の液塗布具1を成形加工する場合を示したもので、このときブラシ素材の先端部は、少量塗布ブラシ部5を形成するように、溝形成用治具31から上方に突出させておく。
【0040】
かくしてブラシ素材の設定が終わると、以下に示す加工温度及び加工時間を加工条件として加熱処理をする。
【0041】
加工温度 加工時間
400℃〜500℃ 1秒〜5秒
300℃〜400℃ 5秒〜20秒
200℃〜300℃ 20秒〜360秒
100℃〜200℃ 360秒〜3600秒
70℃〜100℃ 6時間〜24時間
この加熱処理の結果、ブラシ素材37を構成する合成樹脂材料が熱可塑変形することにより、加熱金具33を避けるように稜線部加工空間35を通る繊維素材が、芯材11に沿って延長しかつ谷部を問に挟んで対向する稜線となるように、ブラシ毛材稜線部14として、成形加工される。
【0042】
これと共に、ブラシ素材37が通らない加熱金具33の部分が、隣接するブラシ毛材稜線部14間の谷部となる塗布液保持溝13として、成形加工される。
【0043】
なお、図8の溝形成用治具31においては、加熱金具33が電熱ヒータによって加熱されるようにしたが、これに代え、電熱ヒータを設けずに、溝形成用治具31を全体として乾燥炉等の加熱室に入れて加熱するような加工方法を用いても、上述の場合と同様の成形加工をすることができる。
【0044】
また、それ以外に電熱ヒータをもたない溝形成用治具に対して、65〔℃〕〜!00〔℃〕の水蒸気又は熱湯の雰囲気中において、6時間〜48時間加熱処理を続ければ、ブラシ素材37の繊維素材を塑性加工できることにより、塗布液保持溝13を有する液塗布貝を成形加工することができる。
【0045】
(5)他の実施の形態(a)上述の実施の形態においては、6本の塗布液保持溝13を芯材11の周囲に形成した場台について述べたが、塗布液保持溝13の本数はこれに限らず、1本又は2本以上複数本形成してもよい。
(b)上述の実施の形態においては、ブラシ本体3及び3Xの全体の外観形状として、手元から先端に行くに従って先細りになる断面円形形状のものを用いたが、ブラシ本体の外観形状はこれに限らず、先端に行くに従って同じ直径の円柱形状のものや、先端に行くに従って一旦太くなった後先細りになるタイコ形状のものや、中間部分が少し細くなるひょうたん形状のものや、断面が三角形状のものなど、種々の形状のものにも適用できる。
(c)上述の実施の形態においては、ブラシ本体3及び3Xがシャフトの延長方向に沿って直線状である場合について述べたが、かかる形状に限らず、例えばまつ毛の形状に沿うように湾曲するといったように、種々の湾曲形状となるような構成にしても良い。
(d)上述の実施の形態においては、塗布液保持溝13の断面形状をV字状に成形した場合について述べたが、この発明はこれに限らず、中心部分に丸みをもたせた断面U字状に形成したり、内径部分から外径部分に至るまでほぼ等間隔の断面長方形状に成形しても良く、要はブラシ毛材稜線部14を形成するブラシ毛材12がほぼ直線状かつ放射状に突出すれば良い。
(e)図8及び図9の実施の形態においては、加熱金具33として断面扇形形状のものを適用した場合について述べたが、加熱金具33の形状としては、これに限らず、図10(A)に示すように断面三角形形状のものや、図10(B)に示すように断面円形形状のものや、図10(C)に示すように断面ほぼ五角形のくさび形形状のものや、図10(D)に示すようにほぼ四角形形状のものなど、種々の形状のものを適用できる。
(f)上述の実施の形態においては、この発明をマスカラブラシに適用した場合について述べたが、これに限らず、例えば毛染め用ブラシとして部分染に用いるものなどのように、要は液を塗布する対象となる塗布対象毛に塗布する場合に広く適用できる。
(g)上述の実施の形態においては、塗布液保持溝13R及び13Yを、芯材11に沿うような方向(従ってほぼ直線状)に形成するようにしたが、この発明はこれに限らず多少曲る(斜めや蛇行する)ようにするか、又は根元を幅広くかつ先端は狭くする(若しくはその逆に根元を狭くかつ先端は広くする)ようにしても良く、要はブラシ毛材の外表面に縦方向に(従ってしごかれる方向)延長するようにすれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は特にマスカラブラシや毛染め用ブラシのように塗布対象毛にマスカラや毛染め液などの塗布液を塗布する液塗布具の製造方法に適用でき、塗布対象毛に塗布液を塗布する場合に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(A)、(B)、(C)及び(D)は、この発明の第1の実施の形態の液塗布具を示す斜視図、(A)のA1−A1断面図、(A)のB1−B1断面図及び(A)の先端面を示す側面図である。
【図2】(A)及び(B)は液塗布具を塗布液容器から引き抜いたときの塗布液の保持状熊を示す断面図である。
【図3】多量塗布動作の説明に供する略線図である。
【図4】修正動作の説明に供する略線図である。
【図5】細部の修正動作の説明に供する略線図である。
【図6】(A)、(B)及び(C)は第2の実施の形態の液塗布具を示す斜視図、(A)のA2−A2断面図及び(A)の先端而構造を示す側面図である。
【図7】第3の実施の形態の多量塗布ブラシ部を示す断面図である。
【図8】溝形成用治具を示す斜視図である。
【図9】ブラシ素材の設定操作の説明に供する斜視図である。
【図10】(A)、(B)、(C)及び(D)は加熱金具の変形例を示す断面図である。
【図11】従来の液塗布具を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1,25,R1 液塗布具
2 シャフト
3 ブラシ本体
4 多量塗布ブラシ部
5 少量塗布ブラシ部
11 芯材
12 ブラシ毛材
13 塗布液保持溝
14 ブラシ毛材稜線部
15 塗布液
20 まつ毛
31 溝形成用治具
32 基台
33 加熱金具
34 中心加工空間
35 稜線部加工空間
36 電源接続部材
37 ブラシ素材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の芯材間に繊維素材を挟むように配列した後、前記芯材をねじることによって繊維素材を折り込んだブラシ素材を構成し、
中心部加工空間と、この中心部加工空間から放射状の稜線部加工空間を有する溝形成用治具を用い、
前記ブラシ素材の芯材を中心部加工空間に通しながら、前記芯材から放射状に突出する
前記ブラシ素材を前記稜線部加工空間に分けるように挿入して加熱処理し、
前記加熱処理して得られるブラシ毛材の外表面に縦方向に延長する塗布液保持溝を有する多量塗布ブラシ部を形成することを特徴とする液塗布具の製造方法。
【請求項2】
前記ブラシ素材の先端部は前記溝形成用治具から突出させて、前記多量塗布ブラシ部の先端に前記ブラシ毛材の外表面に縦方向に延長する前記塗布液保持溝を有しない少量塗布ブラシ部を形成することを特徴とする請求項1に記載の液塗布具の製造方法。
【請求項1】
複数本の芯材間に繊維素材を挟むように配列した後、前記芯材をねじることによって繊維素材を折り込んだブラシ素材を構成し、
中心部加工空間と、この中心部加工空間から放射状の稜線部加工空間を有する溝形成用治具を用い、
前記ブラシ素材の芯材を中心部加工空間に通しながら、前記芯材から放射状に突出する
前記ブラシ素材を前記稜線部加工空間に分けるように挿入して加熱処理し、
前記加熱処理して得られるブラシ毛材の外表面に縦方向に延長する塗布液保持溝を有する多量塗布ブラシ部を形成することを特徴とする液塗布具の製造方法。
【請求項2】
前記ブラシ素材の先端部は前記溝形成用治具から突出させて、前記多量塗布ブラシ部の先端に前記ブラシ毛材の外表面に縦方向に延長する前記塗布液保持溝を有しない少量塗布ブラシ部を形成することを特徴とする請求項1に記載の液塗布具の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−209778(P2007−209778A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98540(P2007−98540)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【分割の表示】特願2005−316511(P2005−316511)の分割
【原出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(594190884)東京パーツ株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【分割の表示】特願2005−316511(P2005−316511)の分割
【原出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(594190884)東京パーツ株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
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