説明

液晶シャッタ

【課題】スプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理の時間を短縮した液晶シャッタを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、シャッタ部を備えた液晶シャッタが提供される。シャッタ部は、第1透明電極を有する第1基板部と、第1透明電極に対向する第2透明電極を有する第2基板部と、第1透明電極と第2透明電極との間に設けられた液晶層と、を含む。液晶層の液晶配列は、第1透明電極と第2透明電極との間の電位差が第1電圧に設定されたときにスプレイ配列であり、電位差が第1電圧よりも実効値が大きい第2電圧に設定されたときにベンド配列へ転移する。第1基板部は、液晶層におけるスプレイ配列からベンド配列への転移を促進させる複数の転移核部を有する。第1基板部の周縁部の少なくとも一部における複数の転移核部の密度は、周縁部よりも内側の内側部における複数の転移核部の密度よりも高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶シャッタに関する。
【背景技術】
【0002】
娯楽、教育、放送、医療などの分野において、立体視システムの実用化が進んでいる。立体視システムにおいては、例えば、左右眼の視差に対応した左眼用像と右眼用像とが、左右眼にそれぞれ時分割で呈示される。このための高速応答のシャッタに、液晶が用いられる。
【0003】
例えば、右目用領域と左目用領域とを有する液晶セルを用いたシャッターメガネを用いる立体映像表示装置がある。この液晶セルの液晶層に、ツイステッドネマティック液晶やスーパーツイステッドネマティック液晶を用いた場合は、応答速度が不十分である。また、強誘電性液晶を用いた場合は、耐ショック性や温度特性などの信頼性に関して改善を要する。
【0004】
一方、πセルを応用したOCB(Optically Compensated Bend)モード液晶がある。OCBモードにおいては、液晶のベンド配列を利用することで、高速応答が得られる。また、ネマティック液晶を用いることから信頼性が高い。
【0005】
OCBモードにおいては、初期のスプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理が行われる。そして、ベンド配列状態において、光のスイッチングの動作が行われる。この初期化処理を短時間で均一に実施することが実用的に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−327961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、スプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理の時間を短縮した液晶シャッタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によれば、第1シャッタ部を備えた液晶シャッタが提供される。前記第1シャッタ部は、第1透明電極を有する第1基板部と、前記第1透明電極に対向する第2透明電極を有する第2基板部と、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に設けられた第1液晶層と、を含む。前記第1液晶層の液晶配列は、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間の第1電位差が第1電圧に設定されたときにスプレイ配列であり、前記第1電位差が前記第1電圧よりも実効値が大きい第2電圧に設定されたときにベンド配列へ転移する。前記第1基板部は、前記第1液晶層における前記スプレイ配列から前記ベンド配列への前記転移を促進させる複数の第1転移核部を有する。前記第1基板部の周縁部の少なくとも一部における前記複数の第1転移核部の密度は、前記周縁部よりも内側の内側部における前記複数の第1転移核部の密度よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)〜図1(c)は、第1の実施形態に係る液晶シャッタの構成を例示する模式図である。
【図2】第1の実施形態に係る液晶シャッタが用いられる表示システムの構成を例示する模式図である。
【図3】図3(a)〜図3(c)は、第1の実施形態に係る液晶シャッタの構成を例示する模式図である。
【図4】図4(a)及び図4(b)は、第1の実施形態に係る液晶シャッタの構成を例示する模式的断面図である。
【図5】図5(a)〜図5(d)は、第1の実施形態に係る液晶シャッタの動作を例示する模式的断面図である。
【図6】図6(a)〜図6(c)は、液晶シャッタの初期化処理の状態を例示する模式的斜視図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、液晶層の配列状態を例示する模式図である。
【図8】第1の実施形態に係る液晶シャッタの動作を例示する模式的平面図である。
【図9】図9(a)及び図9(b)は、第1の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
【図10】図10(a)及び図10(b)は、第1の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、第1の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的断面図である。
【図12】図12(a)〜図12(c)は、第2の実施形態に係る液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
【図13】図13(a)〜図13(c)は、第3の実施形態に係る液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
【図14】図14(a)及び図14(b)は、第3の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
【図15】図15(a)及び図15(b)は、第3の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
【図16】図16(a)及び図16(b)は、第3の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
【図17】第4の実施形態に係る液晶シャッタの構成を例示する模式的斜視図である。
【図18】第4の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1(a)〜図1(c)は、第1の実施形態に係る液晶シャッタの構成を例示する模式図である。
図2は、第1の実施形態に係る液晶シャッタが用いられる表示システムの構成を例示する模式図である。
まず、図2により、本実施形態に係る液晶シャッタが用いられる立体視が可能な表示システムの例について説明する。
【0012】
図2に表したように、表示システム11は、ディスプレイ13(表示部)と、液晶シャッタ眼鏡12と、を備える。表示システム11は、3次元表示モードを有している。3次元表示モードにおいては、視差に対応する左眼用像と右眼用像とが表示される。この左眼用像と右眼用像とを、観視者が3次元映像として観視する。なお、表示システム11は、2次元表示モードを有していても良い。2次元表示モードにおいては、ディスプレイ13に表示された像を、観視者が2次元映像として観視する。以下、3次元表示モードについて説明する。
【0013】
ディスプレイ13は、表示面13dを有する。この表示面13dに、左眼用像と右眼用像とに対応した画像が交互に切り替えて表示される。例えば、ディスプレイ13には、アクティブマトリクス型液晶ディスプレイが用いられる。このディスプレイには任意の動作モードが適用できる。ディスプレイには、例えばOCBモードが適用できる。ディスプレイ13は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。例えば、デジタル信号処理により、例えばフィールド周波数が120Hzに変換され、表示が行われる。
【0014】
液晶シャッタ眼鏡12は、第1シャッタ部101及び第2シャッタ部102を有する。第1シャッタ部101及び第2シャッタ部102のそれぞれは、観視者の左眼及び右眼にそれぞれ対向して配置される。観視者は、第1シャッタ部101及び第2シャッタ部102を介して、ディスプレイ13の表示像を観視する。液晶シャッタ眼鏡12においては、時分割シャッタ動作が行われる。ディスプレイ13の表示に同期して、第1シャッタ部101及び第2シャッタ部102が交互に透光状態及び遮光状態となる。
【0015】
なお、第1シャッタ部101及び第2シャッタ部102は、相互に別体として設けられても良い。また、第1シャッタ部101及び第2シャッタ部102は一体的に連続していても良い。例えば、1つの基板の上に、2つの電極が設けられ、2つの電極のそれぞれが、第1シャッタ部101または第2シャッタ部102のそれぞれに含まれても良い。
【0016】
表示システム11においては、左眼用像と右眼用像とを時分割的に観視する方式が適用される。例えば、ディスプレイ13は、左眼及び右眼に対応した画像をフィールドごとに交互に切り替えて表示する。この時、ディスプレイ13に左眼用画像が表示されている期間においては、左眼用のシャッタ部が透光状態とされ、右眼用のシャッタ部が遮光状態とされる。そして、ディスプレイ13に右眼用画像が表示されている期間において、右眼用のシャッタ部が透光状態とされ、左眼用のシャッタ部が遮光状態とされる。
【0017】
例えば、表示システム11は、制御部14をさらに有することができる。シャッタ部の動作は、例えば、制御部14によって行われる。ただし、制御部14の機能は、ディスプレイ13及び液晶シャッタ眼鏡12のいずれかに含まれても良い。制御部14とディスプレイ13との間の信号の授受、制御部14と液晶シャッタ眼鏡12との間の信号の授受、及び、ディスプレイ13と液晶シャッタ眼鏡12との間の信号の授受は、有線または無線の方式によって行われる。
【0018】
表示システム11においては、左眼用画像を左眼で観視し、右眼用画像を右眼で観視することで、立体的な映像を知覚できる。
【0019】
第2シャッタ部102の構成は、第1シャッタ部101の構成と同様とすることができる。以下では、第1シャッタ部101の構成の例について説明する。
【0020】
図3(a)〜図3(c)は、第1の実施形態に係る液晶シャッタの構成を例示する模式図である。
図4(a)及び図4(b)は、第1の実施形態に係る液晶シャッタの構成を例示する模式的断面図である。
図4(a)は、図3(a)のA1−A2線断面図である。図4(b)は、図3(a)のB1−B2線断面図である。
【0021】
図3(a)、図4(a)及び図4(b)に表したように、実施形態に係る液晶シャッタ100は第1シャッタ部101を備える。第1シャッタ部101は、第1基板部110aと、第2基板部120aと、第1液晶層130aと、を含む。
【0022】
第1基板部110aは、第1透明電極112aを有する。第2基板部120aは、第2透明電極122aを有する。第2透明電極122aは、第1透明電極112aに対向する。第1液晶層130aは、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間に設けられる。
【0023】
第1シャッタ部101は、第1シール部180aをさらに含む。第1シール部180aは、第1基板部110aと第2基板部120aとの間において第1液晶層130aを囲む。
【0024】
第1基板部110aから第1基板部120aに向かう方向をZ軸方向とする。Z軸に対して垂直な1つの軸をX軸とする。Z軸とX軸とに対して垂直な軸をY軸とする。
【0025】
図3(b)は、第1基板部110aの構成を例示している。図3(c)は、第2基板部120aの構成を例示している。
【0026】
図3(b)に表したように、第1基板部110aの第1透明電極112aは、第1電圧印加部112asと、第1接続部112acと、を有している。第1電圧印加部112asは、第1液晶層130aに対向する部分である。第1基板部110aは、第1トランスファ部112atをさらに有することができる。第1トランスファ部112atは、第1透明電極112a(第1電圧印加部112as及び第1接続部112ac)と電気的に絶縁されている。第1トランスファ部112atに、第1透明電極112a(第1電圧印加部112as及び第1接続部112ac)に用いられる材料を用いても良い。
【0027】
図3(c)に表したように、第2基板部120aの第2透明電極122aは、第2電圧印加部122asと、第2接続部122acと、を有している。第2電圧印加部122asは、第1液晶層130aに対向する部分である。
【0028】
図4(a)に表したように、第1接続部112acは、第1シール部180aの外側に延出する。第1透明電極112aのうちの第1電圧印加部112asは、第1シール部180aの内側の部分である。第1透明電極112aのうちで第1シール部180aの外側に延出する部分が、第1接続部112acとなる。
【0029】
図4(b)に表したように、第2接続部122acは、第1シール部180aの外側に延出する。第2透明電極122aのうちの第2電圧印加部122asは、第1シール部180aの内側の部分である。第2透明電極122aのうちで第1シール部180aの外側に延出する部分が、第2接続部122acとなる。
【0030】
第1接続部112acと第2接続部122acとの間に電気信号が供給され、第1液晶層130aに電気信号(電圧)が印加される。
【0031】
この例では、第1トランスファ部112atが、第2接続部122acに対向している。そして、第1トランスファ部112atと第2接続部122acとを電気的に接続する導電部材181aが設けられている。
【0032】
図3(a)に表したように、第1トランスファ部112atと第1接続部112acとに駆動部330が接続される。駆動部330から第1トランスファ部112atと第1接続部112acとに電気信号を供給することで、第1電圧印加部112asと第2電圧印加部122asとに電気信号が供給される。すなわち、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間の電位差(第1電位差Va)が、第1液晶層130aに印加される。
【0033】
ただし、実施形態はこれに限らない。例えば、第1トランスファ部112atが設けられず、第1接続部112acと第2接続部122acとに駆動部330が接続されても良い。
【0034】
図4(a)及び図4(b)に表したように、本具体例においては、第1透明電極112aには、複数の第1孔112h(孔)が設けられている。複数の第1孔112hは、例えば、第1透明電極112aを第1透明電極112aの厚さ方向に貫通する。第1孔112hは、第1透明電極112aをZ軸に沿って貫通する。第1孔112hについては後述する。
【0035】
図4(a)に表したように、第1基板部110aは、第1透明電極112aに加え、第1支持基板111aと、第1配向膜113aと、をさらに含む。第1支持基板111aの上に第1透明電極112aが設けられる。第1透明電極112aを覆うように、第1配向膜113aが設けられる。
【0036】
第2基板部120aは、第2透明電極122aに加え、第2支持基板121aと、第2配向膜123aと、をさらに含む。第2支持基板121aの上に第2透明電極122aが設けられる。第2透明電極122aの上に第2配向膜123aが設けられる。
【0037】
なお、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間隔(第1配向膜113aと第2配向膜123aとの間の間隔)を制御するスペーサ(図示しない)を設けても良い。スペーサとしては、例えば、第1基板部110a(例えば第1透明電極112aの上)に設けられた柱状スペーサを用いることができる。柱状スペーサは第2基板部120aに設けられても良い。また、柱状スペーサは、第1基板部110a及び第1基板部120aの両方に設けられても良い。
【0038】
第1シャッタ部101は、第1偏光板160aと、第1光学補償板140aと、第2偏光板170aと、第2光学補償板150aと、をさらに含むことができる。第1偏光板160aと第2偏光板170aとの間に第1基板部110a及び第2基板部120aが配置される。第1偏光板160aと第2基板部120aとの間に第1基板部110aが配置される。第2偏光板170aと第1基板部110aとの間に第2基板部120aが配置される。第1偏光板160aと第1基板部110aとの間に第1光学補償板140aが配置される。第2偏光板170aと第2基板部120aとの間に第2光学補償板150aが配置される。
【0039】
第1支持基板111a及び第2支持基板121aは、透光性である。第1支持基板111a及び第2支持基板121aには、例えばガラスや樹脂などが用いられる。
【0040】
第1透明電極112a及び第2透明電極122aには、液晶シャッタ100において透光及び遮光の動作の対象となる光に対して透光性の導電材料が用いられる。液晶シャッタ100が、例えば液晶シャッタ眼鏡12に用いられる場合には、第1透明電極112a及び第2透明電極122aは、可視光に対して透光性である。第1透明電極112a及び第2透明電極122aには、例えばITO(Indium Tin Oxide)やZnOなどを用いることができる。
【0041】
第1配向膜113a及び第2配向膜123aには、例えばポリイミドを用いることができる。このポリイミド膜には、例えばラビング処理が施される。第1配向膜113aのラビング処理の方向は、第2配向膜123aにおけるラビング処理の方向と、実質的に平行である。第1配向膜113aのラビング処理の方向は、第2配向膜123aにおけるラビング処理の方向と、実質的に同じ向きである。
【0042】
第1液晶層130aにはネマティック液晶が用いられる。第1配向膜113a及び第2配向膜123aの機能により、第1基板部110a及び第2基板部120aの近傍における第1液晶層130aの液晶分子は高いプレチルト角を有する。これにより、第1液晶層130aは、初期状態(電圧が印加されない状態)においてスプレイ配列状態である。電圧印加状態で、ベンド配列状態に転移する。第1シャッタ部101(液晶シャッタ100)は、OCBモードで動作する。
【0043】
第1光学補償板140a及び第2光学補償板150aには、例えば、ディスコティック液晶化合物をハイブリッド配向させた光学異方性層を含む二軸性のフィルム等を用いることができる。
【0044】
図5(a)〜図5(d)は、第1の実施形態に係る液晶シャッタの動作を例示する模式的断面図である。
これらの図において、第1配向膜113a及び第2配向膜123aは省略されている。
【0045】
図5(a)は、第1電圧V1を印加した時の状態を例示している。第1電圧V1は、第1液晶層130aにおける液晶配列がスプレイ配列からベンド配列に転移するしきい値未満の電圧である。第1電圧V1は、例えば、0ボルト(V)である。すなわち、図5(a)は、電源オフ時の状態を例示している。
【0046】
図5(b)は、第2電圧V2を印加した時の状態を例示している。第2電圧V2は、第1液晶層130aにおける液晶配列がスプレイ配列からベンド配列に転移するしきい値以上の電圧である。第2電圧V2の実効値は、第1電圧V1の実効値よりも大きい。すなわち、図5(b)は、初期化処理後の状態を例示している。
【0047】
図5(c)は、初期化処理後のベンド配列状態において、第1ベンド電圧VB1を印加した時の状態を例示している。図5(d)は、初期化処理後のベンド配列状態において、第2ベンド電圧VB2を印加した時の状態を例示している。第2ベンド電圧VB2の実効値は、第1ベンド電圧VB1の実効値よりも大きい。
【0048】
図5(a)に表したように、電源オフ時において、第1液晶層130aの液晶分子130lの配列は、スプレイ配列状態である。
【0049】
そして、液晶シャッタ100において、電源を投入し、初期化処理が行われる。初期化処理においては、所定の転移電圧(ベンド配列に転移させる第2電圧V2)を第1液晶層130aに印加する。
【0050】
これにより、図5(b)に表したように、第1液晶層130aの配列状態が、スプレイ配列からベンド配列に転移する。
【0051】
第1電圧V1は、例えば0Vである。
第2電圧V2は、動作時に直流電圧が残存しないよう、正負交番電圧であることが望ましい。スプレイ配列からベンド配列に速やかに転移させるために、第2電圧V2には、実効値が比較的大きい電圧が用いられる。
【0052】
第2電圧V2の絶対値(例えば実効値)は、例えば、10V〜30Vである。ただし、第2電圧V2の値は、しきい値電圧以上であれば任意である。第2電圧V2の実効値が大きいと、スプレイ配列からベンド配列へ速やかに転移する。具体的には、第2電圧V2には、例えば、+15Vで数百ミリ秒(ms)程度の正極性パルスと、−15Vで数百ミリ秒程度の負極性パルスと、の組み合わせ、を用いることができる。このような第2電圧V2の印加によって第1液晶層130aは、スプレイ配列からベンド配列に転移する。
【0053】
このように、初期化処理が行われた後に、図5(c)及び図5(d)に表した動作が行われる。すなわち、ベンド配列状態において、例えば第1ベンド電圧VB1を印加した状態(図4(b)の状態)と、例えば第2ベンド電圧VB2を印加した状態(図4(c)の状態)と、のスイッチングが行われる。例えば、第1ベンド電圧VB1は、0Vである。第2ベンド電圧VB2は、例えば±5Vである。
【0054】
液晶シャッタ100の動作中は、第1液晶層130aの液晶分子130lの配向状態はベンド配列に維持される。そして、このベンド配列の液晶分子130lに印加される電圧を変化させると配列状態が変化する。この配列状態の変化に対応して、第1液晶層130aのリタデーションが変化する。第1偏光板160a及び第2偏光板170aを用いることで、このリタデーションの変化に応じた透光状態及び遮光状態が得られる。
【0055】
例えば、第1ベンド電圧VB1を印加した時に、液晶シャッタ100は透光状態となり、第2ベンド電圧VB2を印加した時に液晶シャッタ100は遮光状態となる。または、第1ベンド電圧VB1を印加した時に遮光状態となり、第2ベンド電圧VB2を印加した時に透光状態としても良い。
【0056】
液晶シャッタ100が液晶シャッタ眼鏡12に応用される場合は、第1シャッタ部101と第2シャッタ部102とは、交互に透光状態と遮光状態とを繰り返す。例えば、第1シャッタ部101は、奇数フィールドでは遮光状態であり、偶数フィールドでは透光状態である。一方、第2シャッタ部102は、奇数フィールドでは透光状態であり、偶数フィールドでは遮光状態である。
【0057】
例えば、第1シャッタ部101においては、第1フィールドでは、第1液晶層130aに+5Vの電圧(第2ベンド電圧VB2)が印加されて遮光状態とされる。次の第2フィールドでは、第1液晶層130aの印加電圧が0V(第1ベンド電圧VB1)にされ、透光状態とされる。次の第3フィールドでは、第1液晶層130aに−5Vの電圧(第2ベンド電圧VB2)が印加され、遮光状態とされる。次の第4フィールドでは、第1液晶層130aの印加電圧が0V(第1ベンド電圧VB1)にされ、透光状態とされる。
【0058】
また、第2シャッタ部102においては、第1シャッタ部101に対して、奇数フィールドと偶数フィールドとが入れ替わった電圧が印加される。
【0059】
このように、例えば、駆動時において第1液晶層130aには正負交番電圧が印加される。これにより、焼き付きなどを防止することができる。なお、1つのフィールドの期間において、交流電圧を印加しても良い。例えば、バースト信号状の波形が印加されても良い。バースト信号状の波形においては、例えば、奇数フィールドにおいてフィールド周期に相当する周波数よりも高い周波数の±5Vの高周波電圧が印加され、偶数フィールドにおいて、印加電圧が例えば0Vにされる。
【0060】
なお、印加電圧が低い状態(例えば0V)が、一定の期間以上続くと、ベンド配列からスプレイ配列に戻る。上記のように、液晶シャッタ100を液晶シャッタ眼鏡12に応用する場合は、動作中は短い周期でオンとオフとが切り替えられる。このため、長期間にわたり低電圧状態が維持されることがない。これにより、ベンド状態が維持される。また、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間の電圧が、一定以上長い期間、低い値にならないように、定期的にしきい値電圧以上の電圧を、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間に印加しても良い。
【0061】
このように、実施形態に係る液晶シャッタ100における第1液晶層130aの液晶配列は、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間の第1電位差Vaが第1電圧V1に設定されたときにスプレイ配列である。第1電位差Vaが第1電圧V1よりも実効値が大きい第2電圧V2に設定されたときにベンド配列へ転移する。そして、この転移の後に、光スイッチングの動作が行われる。
【0062】
図1(a)は、第1シャッタ部101の平面図を例示している。
図1(a)に表したように、第1基板部110aは周縁部PPと、内側部CPと、を有する。内側部CPは、周縁部PPよりも内側である。
【0063】
図1(b)及び図1(c)は、第1基板部110a(第1透明電極112a)を拡大して示した模式的平面図である。図1(b)は、周縁部PPに対応する。図1(c)は、内側部CPに対応する。
【0064】
図1(b)及び図1(c)に表したように、第1基板部110aは、複数の第1転移核部114aを有している。第1転移核部114aは、第1液晶層130aにおけるスプレイ配列からベンド配列への転移を促進させる。この例では、第1転移核部114aとして、第1孔112hが用いられている。ただし、後述するように、第1転移核部114aとして、第1孔112hの他に、種々の構成を用いることができる。
【0065】
図1(b)に表したように、周縁部PPにおける第1転移核部114aの密度は相対的に高い。図1(c)に表したように、内側部CPにおける第1転移核部114aの密度は相対的に低い。
【0066】
すなわち、第1基板部110aの周縁部PPの少なくとも一部における複数の第1転移核部114aの密度は、周縁部PPよりも内側の内側部CPにおける複数の第1転移核部114aの密度よりも高い。
【0067】
これにより、スプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理の時間を短縮することができる。
【0068】
以下、スプレイ配列からベンド配列への転移に関する発明者が実験の結果について説明する。
発明者は、液晶材料、シール部の材料、配向膜材料、及び、プロセス条件などを変えて、各種の液晶シャッタの試料を作製した。この試料においては、第1転移核部114a(第1孔112h)が設けられていない。または、この試料においては、第1転移核部114a(第1孔112h)が均一な密度で設けられている。そして、スプレイ配列からベンド配列への転移に関して評価した。
【0069】
図6(a)〜図6(c)は、液晶シャッタの初期化処理の状態を例示する模式的斜視図である。
実験の試料において、スプレイ配列からベンド配列への転移が短い時間で完了する領域と、転移に長い時間を要する領域と、が存在することが分かった。
【0070】
図6(a)に表したように、例えば、第1試料109aにおいては、シャッタ部(第1シャッタ部101)の周縁部PX1においては、転移に長い時間を要する。そして、内側部CX1においては、転移の時間が短い。
【0071】
図6(b)に表したように、例えば、第2試料109bにおいては、互いに対向する2つの角部(第1角部PY1及び第2角部PY2)においては、転移に長い時間を要する。そして、これらの角部を除く部分CY1においては、転移の時間が短い。
【0072】
図6(c)に表したように、例えば、第3試料109cにおいては、1つの角部PZ1において、転移に長い時間を要する。そして、これらの角部を除く部分CZ1においては、転移の時間が短い。
なお、上記の第1〜第3試料109a〜109cにおいては、シャッタ部に用いられる材料、または、プロセス条件が互いに異なる。
【0073】
このように、スプレイ配列からベンド配列への転移に時間がかかる領域が存在し、これの領域が、シャッタ部としての初期化処理の時間の短縮の律速になることが分かった。
【0074】
そして、上記のように、発明者が行った独自の実験により、転移の時間が長い領域は、周縁部において発生する場合(図6(a)の状態)があることが分かった。これを第1パターンということにする。
【0075】
また、転移の時間が長い領域は、2つの角部において発生する場合(図6(b)の状態)があることが分かった。これを第2パターンということにする。
【0076】
また、転移の時間が長い領域は、1つの角部において発生する場合(図6(c)の状態)があることが分かった。これを第3パターンということにする。
【0077】
まず、第3パターン(転移の時間が長い領域が1つの角部において発生する状態)に関しては、液晶層内及びシール部などに含まれる不純物などが液晶シャッタの動作によって液晶層の周縁部に押しやられ、その結果、不純物などの濃度が周縁部で高くなることが、転移の時間を長くしていると考えられる。そして、転移の時間が長い領域は、ラビング方向の上流側に位置する場合が多い。一方、転移の時間が長い領域がラビング方向の下流側に位置する場合もあることが確認されている。この場合は、使用環境温度が関係している可能性もある。
【0078】
第2パターン(転移の時間が長い領域が2つの角部において発生する状態)の場合は、上述した現象がラビング処理の方向の上流及び下流側の双方に生じるものと考えられる。
【0079】
一方、第1パターン(転移の時間が長い領域が周縁部において発生する状態)の場合は、上述した不純物が所定の領域に押しやられ、不純物がその場所に滞留するのではなく、逃げ場がなく周縁で対流するものと思われ、このことが周縁全体にわたって転移の時間を長くしていると考えられる。
【0080】
ここで、第1液晶層130aの配列状態について説明する。
図7(a)及び図7(b)は、液晶層の配列状態を例示する模式図である。
図7(a)は、模式的斜視図であり、図7(b)は、模式的平面図である。
図7(a)及び図7(b)に表したように、第1基板部110aにおいて、液晶分子130lを配列させるための配向処理の方向は、第1配向方向118dである。第2基板部120aにおいて、液晶分子130lを配列させるための配向処理の方向は、第2配向方向128dである。
【0081】
第2配向方向128dは、第1配向方向118dと実質的に平行である。第2配向方向128dは、第1配向方向118dと同じ向きである(反平行でない)。例えば、第1配向方向118d及び第2配向方向128dは、例えばX1軸に沿う。X1軸は、Z軸に対して垂直である。ここで、Y1軸は、Z軸及びX1軸に対して垂直であるとする。
【0082】
図7(b)に表したように、液晶分子130lの長軸(光学異方性の異常光の屈折率nが得られる方向)は、X1軸に対して平行である。液晶分子130lの短軸(光学異方性の常光の屈折率nが得られる方向)は、Y1軸に対して平行である。
【0083】
図7(a)に表したように、実施形態において、液晶分子130lのプレチルト角θは比較的大きい。プレチルト角θは、例えば、3度以上、15度以下程度である。なお、第1基板部110aにおけるプレチルト角θは、第2基板部120aにおけるプレチルト角θと同じでも良く、異なっていても良い。
【0084】
液晶分子130lの一端が第1基板部110aから離れ、液晶分子130lの他端が第1基板部110aに接するように、液晶分子130lは配列する。
液晶分子130lの一端が第2基板部120aから離れ、液晶分子130lの他端が第2基板部120aに接するように、液晶分子130lは配列する。
【0085】
第1液晶層130aの液晶配列において、液晶分子130lの一端が第1基板部110aから離れている側(チルト側)は、液晶分子130lの一端が第2基板部120aから離れている側(チルト側)と同じ側である。この構成により、スプレイ配列が得られる。
【0086】
なお、第1液晶層130aの液晶配列において、液晶分子130lの一端が第1基板部110aから離れている側(チルト側)が、液晶分子130lの一端が第2基板部120aから離れている側(チルト側)と逆である場合には、ユニフォーム配列(例えばホモジニアス配列)が得られる。
【0087】
例えば、基板部(第1基板部110a及び第2基板部120a)に施される配向処理がラビング処理である場合は、配向方向(第1配向方向118d及び第2配向方向128d)は、ラビング処理の進入側から出口側に向かう方向(ラビング方向RD)である。すなわち、チルト側は、ラビング処理の出口側である。
【0088】
例えば、第1基板部110aは、第1部分と、第2部分と、を有する。第1部分は、第1基板部110aのうちで、第1液晶層130aの液晶配列において液晶分子130lの一端が第1基板部110aから離れている側(チルト側)である。第2部分は、第1基板部110aのうちで、第1部分とは反対側の部分である。
【0089】
第1部分は、例えば、ラビング処理の出口側の部分である。第2部分は、例えば、ラビング処理の進入側の部分である。
【0090】
なお、第1基板部110aにおいて、チルト側(液晶分子130lの一端が第1基板部110aから離れている側であり、例えば、ラビング方向RDの出口側)は、例えば、以下の素子を評価することで比較的簡便に判断することができる。すなわち、1枚の第1基板部110aを分断し、この分断された第1基板部110aの一部どうしを反平行の状態で対向させて、その間に液晶を挟む素子を作製する。この素子は、ユニフォーム配列を有しており、一様なプレチルト角θを有する。この素子の光学特性(光学的な異方性)を評価することで、チルト側を比較的簡便に判定することが分かる。
【0091】
また、第1基板部110aにラビング処理が施されている場合は、ラビング処理による筋状のむらを例えば顕微鏡で観察することによっても、配向方向及びチルト側(ラビング方向RDの出口側)を判定することもできる。また、液晶シャッタを動作させつつ顕微鏡で第1液晶層130aの光学変化を観察することで、ラビング処理によるむらにより、配向方向及びチルト側(ラビング方向RDの出口側)を判定することもできる。
【0092】
図6(c)に関して説明した第3パターン(転移の時間が長い領域が1つの角部において発生する状態)においては、この1つの角部の位置は、第1基板部110aのうちの第2部分(例えばラビング方向RDの進入側の部分)の位置であることが分かった。
【0093】
上記のように、転移の時間が長い領域が、上記の第1〜第3パターン(周縁部、2つの角部、及び、1つの角部)において発生するという知見に基づき、本実施形態の構成が構築された。
【0094】
すなわち、本実施形態においては、図1(a)〜図1(c)に関して説明したように、第1基板部110aの周縁部PPの少なくとも一部における複数の第1転移核部114aの密度を、周縁部PPよりも内側の内側部CPにおける複数の第1転移核部114aの密度よりも高く設定する。
【0095】
第1転移核部114aとして、例えば、第1孔112hが用いられる。これにより、例えば、第1パターン及び第2パターンが抑制できる。場合によっては、第3パターンも抑制される。
【0096】
第1孔112hが第1転移核部114aとして機能するのは、例えば、第1孔112hにより、液晶分子にツイストの力が作用することによるものと考えられる。
【0097】
図8は、第1の実施形態に係る液晶シャッタの動作を例示する模式的平面図である。
図8に表したように、液晶分子130lの配列方向がX1軸に対して平行であるとする。このとき、第1透明電極112aに第1孔112hが設けられることにより、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間に電圧を印加すると、第1液晶層130aにおいて発生する電界118eは、X1軸に対して交差する成分(例えばY1軸に沿う成分)を有する。
【0098】
すなわち、液晶分子130lの長軸方向に対して直交する成分を有する電界118eが、液晶分子130lに印加される。すなわち、液晶分子130lをツイストさせる電界118e(誘電エネルギーの力)が第1液晶層130aに印加される。液晶分子130lがスプレイ配列状態からベンド状態に転移する際に、ツイストさせる力が作用することで、スプレイ配列からベンド配列への転移がし易くなるものと考えられる。
【0099】
このように、本実施形態においては、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間に電圧が印加されたときの複数の第1転移核部114aの周囲の電界118eは、Z軸方向(第1基板部110aから第2基板部120aに向かう第1方向)に対して垂直な平面内(X−Y平面内)における液晶配列の方向(例えばX1軸方向)と交差する成分を有する。
【0100】
すなわち、複数の第1転移核部114aの周囲の電界118eは、第1液晶層130aの液晶配列を得るために第1基板部110aに実施される配向処理の方向と交差する成分を有する。
【0101】
例えば、配向処理としてラビング処理が用いられる場合には、複数の第1転移核部114aの周囲の電界118eは、ラビング処理の方向(ラビング方向RD)と交差する成分を有する。
【0102】
これにより、液晶分子にツイストの力が作用される。これにより、スプレイ配列からベンド配列への転移がし易くなり、転移の時間が短縮される。
【0103】
このような第1転移核部114aに関して、第1基板部110aの周縁部PPの少なくとも一部における複数の第1転移核部114aの密度を、内側部CPにおける複数の第1転移核部114aの密度よりも高く設定することで、第1パターン及び第2パターンが抑制できる。場合によっては、第3パターンも抑制される。
【0104】
特に、第1基板部110aの周縁部PPにおける複数の第1転移核部114aの密度を、内側部CPにおける複数の第1転移核部114aの密度よりも高く設定することが望ましい。これにより、上記の第1〜第3パターンが特に効果に抑制できる。
【0105】
なお、第1転移核部114aとして、上記のように第1孔112hを用いた場合、第1液晶層130aのうちで第1孔112hに対向する部分は、光スイッチングに寄与しない。例えば、液晶シャッタを液晶シャッタ眼鏡12として用いる際に、内側部CPは、特に光学特性が良好であることが求められる。この内側部CPにおいて、第1孔112hの密度が高いと、光スイッチングの特性に悪影響が生じる場合がある。このため、内側部CPにおいては、第1孔112h(第1転移核部114a)の密度は低くされる。そして、転移に長い時間を要する周縁部PPにおいて、第1孔112h(第1転移核部114a)の密度が高く設定される。
これにより、実用的に良好な光スイッチング特性と、短い転移時間と、が得られる。
【0106】
図1(b)、図1(c)及び図8に例示したように、第1孔112hの平面形状は、例えば長方形または扁平円などである。本具体例では、第1孔112hは、長方形のパターン形状を有している。長方形の長辺の長さは例えば約15μmであり、短辺の長さは例えば約10μmである。
【0107】
図9(a)及び図9(b)は、第1の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
これらの図は、実施形態に係る別の液晶シャッタ100aの構成を例示している。液晶シャッタ100aの全体の構成は、液晶シャッタ100と同様である。図9(a)及び図9(b)は、第1基板部110a(第1透明電極112a)を拡大して示した平面図である。図9(a)は、周縁部PPに対応する。図9(b)は、内側部CPに対応する。
【0108】
図9(a)及び図9(b)に表したように、液晶シャッタ100aにおいても、第1基板部110a(第1透明電極112a)に第1転移核部114aが設けられる。この例では、第1転移核部114aとして第1孔112hが用いられる。そして、液晶シャッタ100aにおいては、第1孔112hの形状(Z軸に沿ってみたときの形状)が、液晶シャッタ100aの場合とは異なる。
【0109】
この例においては、第1孔112hの形状は、縦長の長方形の一端と、横長の長方形の一端と、を連結した形状を有する。すなわち、第1孔112hの形状は、折れ曲がった細線の形状を有する。この場合も、第1孔112hは、第1転移核部114aとして機能する。例えば、第1孔112hの周囲の電界118eは、第1液晶層130aの液晶配列を得るために第1基板部110aに実施される配向処理の方向と交差する成分を有する。
【0110】
そして、図9(a)及び図9(b)に表したように、第1基板部110aの周縁部PPにおける複数の第1転移核部114aの密度は、周縁部PPよりも内側の内側部CPにおける複数の第1転移核部114aの密度よりも高い。これにより、スプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理の時間を短縮することができる。
【0111】
図10(a)及び図10(b)は、第1の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
図10(a)及び図10(b)は、第1基板部110aを拡大して示した平面図である。図10(a)は、周縁部PPに対応する。図10(b)は、内側部CPに対応する。
図11(a)及び図11(b)は、第1の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的断面図である。
図11(a)は、図3(a)のA1−A2線断面に相当する断面図である。図11(b)は、図3(a)のB1−B2線断面に相当する断面図である。
【0112】
図10(a)及び図10(b)に表したように、実施形態に係る別の液晶シャッタ100bにおいては、第1転移核部114aとして、柱状スペーサ117が用いられている。液晶シャッタ100bの全体の構成は、液晶シャッタ100と同様である。以下では、第1転移核部114aとして用いられる柱状スペーサ117に関して説明する。
【0113】
図11(a)及び図11(b)に表したように、柱状スペーサ117は、第1透明電極112aの上に設けられる。柱状スペーサ117は、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間の間隔を制御する。なお、柱状スペーサ117は、第1透明電極112aの上に設けられた別の層の上に設けられても良い。この場合も、柱状スペーサ117が第1透明電極112aの上に設けられる状態に含まれる。
【0114】
柱状スペーサ117は、例えば、第1配向膜113aと第2配向膜123aとの間隔を制御する。柱状スペーサ117は、第1液晶層130aの厚さを制御する。なお、第1配向膜113aは、柱状スペーサ117を覆わなくても良い。
【0115】
柱状スペーサ117の周囲においては、第1液晶層130aの液晶配列が乱される。これにより、柱状スペーサ117の周囲においては、それ以外の部分よりも、スプレイ配列からベンド配列への転移が容易に行われる。
【0116】
このように、複数の第1転移核部114aは、第1透明電極112aの上に設けられ、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間の間隔を制御する複数の柱状スペーサ117を含むことができる。
【0117】
そして、図10(a)及び図10(b)に表したように、第1基板部110aの周縁部PPにおける複数の第1転移核部114a(柱状スペーサ117)の密度は、周縁部PPよりも内側の内側部CPにおける複数の第1転移核部114a(柱状スペーサ117)の密度よりも高い。これにより、スプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理の時間を短縮することができる。
【0118】
本実施形態において、第1基板部110aと第2基板部120aとは、互いに入れ替えが可能である。転移核部は、第2基板部120aに設けられても良い。また、転移核部は、第1基板部110aと第2基板部120aとに設けられても良い。
【0119】
例えば、第1基板部110aが複数の第1転移核部114aを有し、さらに第2基板部120aは、第1液晶層130aにおけるスプレイ配列からベンド配列への転移を促進させる複数の転移核部を有することができる。そして、第1基板部110a及び第2基板部120aの周縁部の少なくとも一部における転移核部(第1転移核部114a、及び、第2基板部の転移核部)の密度は、周縁部よりも内側の内側部における転移核部の密度よりも高く設定することができる。これにより、スプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理の時間を短縮することができる。
【0120】
第1転移核部114aが第1透明電極112aの周縁部PPに設けられ、第1転移核部114aは内側部CPに設けられなくても良い。例えば、第1孔112hが第1透明電極112aの周縁部PPに設けられ、第1孔112hは内側部CPに設けられなくても良い。
【0121】
複数の第1孔112hが第1透明電極112aの周縁部PPに設けられるとき、複数の第1孔112hのうちのいずれかは、第1透明電極112aの外周に露出していても良い。すなわち、複数の第1孔112hのうちの一部の周囲の全てが、第1透明電極112aの材料で囲まれていなくても良い。複数の第1孔112hのうちの一部は、第1透明電極112aの外周に設けられた切り込み状でも良い。
【0122】
本実施形態において、液晶シャッタ100を液晶シャッタ眼鏡12に応用する場合、内側部CPの縦方向の幅は、例えば30ミリメートル(mm)以上70mm以下に設定される。これにより、映像の良好な視認性が得られる。
【0123】
液晶シャッタ100を液晶シャッタ眼鏡12に応用する場合、周縁部PPは、例えば、第1透明電極122aの端から0mmよりも大きく10mm以下の幅の領域とされる。周縁部PPの幅が広いと、周縁部PPに設けられる高密度の第1転移核部114aが、実用的な光学特性に与える影響が大きくなるためである。一方、内側部CPから周縁部PPに向かって徐々に密度を変更することで光学特性に与える影響を抑えることができ、この場合は周縁部PPの幅の自由度を大きくすることができる。
【0124】
(第2の実施の形態)
図12(a)〜図12(c)は、第2の実施形態に係る液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
図12(a)は、本実施形態に係る液晶シャッタ100cの構成を例示する模式的平面図である。
【0125】
図12(a)に表したように、液晶シャッタ100cは第1シャッタ部101を備える。第1シャッタ部101は、第1透明電極112aを有する第1基板部110aと、第1透明電極112aに対向する第2透明電極122aを有する第2基板部120aと、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間に設けられた第1液晶層130aと、を含む。
【0126】
この場合も、第1液晶層130aの液晶配列は、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間の第1電位差Vaが第1電圧V1に設定されたときにスプレイ配列であり、第1電位差Vaが第1電圧V1よりも実効値が大きい第2電圧V2に設定されたときにベンド配列へ転移する。
【0127】
図12(a)に表したように、第1基板部110aは、第1部分P1と、第2部分P2と、を有する。第1部分P1は、第1基板部110aのうちで第1液晶層130aの液晶配列において液晶分子130lの一端が第1基板部110aから離れている側(チルト側)の部分である。第2部分P2は、第1基板部110aのうちで第1部分P1とは反対側の部分である。
【0128】
例えば、第1部分P1は、例えば、ラビング処理(ラビング方向RD)の出口側の部分である。第2部分P2は、例えば、ラビング処理(ラビング方向RD)の進入側の部分である。
【0129】
第1部分P1は、第2部分P2と、配向処理の方向(例えばX1軸方向)に沿って対向する。
【0130】
図12(b)及び図12(c)は、第1基板部110a(第1透明電極112a)を拡大して示した模式的平面図である。図12(b)は、第2部分P2に対応する。図12(c)は、第1部分P1に対応する。
【0131】
図12(b)及び図12(c)に表したように、この場合も、第1基板部110aは、第1液晶層130aにおけるスプレイ配列からベンド配列への転移を促進させる複数の第1転移核部114aを有する。この例では、第1転移核部114aとして、第1孔112hが用いられる。
【0132】
そして、第2部分P2における複数の第1転移核部114a(例えば第1孔112h)の密度は、第1部分P1における複数の第1転移核部114a(例えば第1孔112h)の密度よりも高い。
【0133】
この構成においては、特に、上記で説明した第3パターンの発生を抑制する。すなわち、転移の時間が長い領域が1つの角部において発生する場合に、その角部は、ラビング処理(ラビング方向RD)の進入側の部分の角部である。従って、第2部分P2における第1転移核部114aの密度を、第1部分P1における第1転移核部114aの密度よりも高く設定することで、シャッタ部の全体の転移の時間を短縮できる。
【0134】
これにより、スプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理の時間を短縮することができる。
【0135】
第2の実施形態において、第1転移核部114aとして、第1孔112hが用いられたが、第1転移核部114aとして、柱状スペーサ117を用いても良い。
【0136】
第2の実施形態においても、第1基板部110aと第2基板部120aとは、互いに入れ替えが可能である。転移核部は、第2基板部120aに設けられても良い。また、転移核部は、第1基板部110aと第2基板部120aとに設けられても良い。
【0137】
例えば、第1基板部110aが複数の第1転移核部114aを有し、さらに第2基板部120aは、第1液晶層130aにおけるスプレイ配列からベンド配列への転移を促進させる複数の転移核部を有することができる。
【0138】
第2基板部120aは、第2基板部120aのうちで第1液晶層130aの液晶配列において液晶分子の一端が第2基板部120aから離れている側(チルト側)の部分と、第2基板部120aのうちでチルト側の部分とは反対側の部分と、を有することができる。
【0139】
そして、第1基板部110a及び第2基板部120aのチルト側の部分における複数の転移核部の密度は、チルト側の部分とは反対側の部分における複数の転移核部の密度よりも高く設定することができる。これにより、スプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理の時間を短縮することができる。
【0140】
第1及び第2の実施形態において、第1転移核部114aとして、第1孔112h及び柱状スペーサ117以外のものを用いても良い。
【0141】
例えば、第1転移核部114aとして、部分的にプレチルト角θを大きくする領域を用いても良い。例えば、第1透明電極112aの上に第1配向膜113aを設け、その一部を加工する。そして、加工された部分のプレチルト角θが、加工されていない部分のプレチルト角θとは異なるようにしても良い。これにより、スプレイ配列からベンド配列への転移がより容易な領域を部分的に設けることができる。
【0142】
また、例えば、第1配向膜113aの上に、液晶配列を不均一にする複数の領域を設け、これを第1転移核部114aとして用いても良い。
【0143】
第1転移核部114aには、第1液晶層130aにおけるスプレイ配列からベンド配列への転移を促進させる任意の構成を適用できる。
【0144】
第1転移核部114aに近接する部分におけるスプレイ配列からベンド配列への転移の時間は、第1転移核部114aから離れた部分におけるスプレイ配列からベンド配列への転移の時間よりも短い。
【0145】
換言すれば、例えば、第1液晶層130aの液晶配列の変化を顕微鏡で観察したときに、スプレイ配列からベンド配列への転移の時間が、他の部分におけるスプレイ配列からベンド配列への転移の時間よりも短い複数の領域が存在したとき、その領域に対応する第1基板部110aに含まれる要素が複数の第1転移核部114aである。この要素として、例えば、第1孔112h、柱状スペーサ117、及び、配向性が他と異なる部分などを用いることができる。
【0146】
第1及び第2の実施形態において、第1孔112hの大きさは小さいほうが好ましい。これにより、第1孔112hにより生じる光漏れが実用的に抑制できる。
【0147】
第1孔112hの1つの軸(例えばX軸)に沿った長さは、例えば、5μm以上100μm以下である。第1孔112hの別の軸(例えばY軸)に沿った長さは、例えば、5μm以上100μm以下である。長さが5μm未満の場合は、転移の時間を縮小する効果が小さくなる場合がある。また、加工が困難になる。また、長さが100μmを超えると、光の漏れが生じ、光スイッチングのコントラスト比が低くなる。
【0148】
第1及び第2の実施形態において、柱状スペーサ117の1つの軸(例えばX軸)に沿った長さは、例えば、5μm以上100μm以下である。柱状スペーサ117の別の軸(例えばY軸)に沿った長さは、例えば、5μm以上100μm以下である。長さが5μm未満の場合は、転移の時間を縮小する効果が小さくなる場合がある。また、加工が困難になる。また、長さが100μmを超えると、光の漏れが生じ、光スイッチングのコントラスト比が低くなる。なお、柱状スペーサ117の高さ(例えばZ軸に沿った長さ)は、第1液晶層130aの適正な厚みに応じて定められる。
【0149】
なお、OCBモードを用いたアクティブマトリクス型液晶ディスプレイにおいては、例えば、第1基板部に複数の画素電極と、画素電極のそれぞれに接続されたスイッチング素子(例えば薄膜トランジスタ)と、が設けられる。このような構成の液晶ディスプレイにおいても、スプレイ配列からベンド配列への転移の初期化処理が実施される。しかし、この構成においては、複数の画素電極のそれぞれに転移核部(例えば、孔または柱状スペーサなど)が設けられることはない。例えば、液晶ディスプレイにおいては、柱状スペーサが設けられる場合においても、柱状スペーサは画素電極の上ではなく、例えば配線部やスイッチング素子の上に設けられる。そして、液晶ディスプレイにおいては、1つの透明電極(画素電極)の内部において、柱状スペーサや孔の密度が変更されることはない。
【0150】
これに対して、第1及び第2の実施形態に係る液晶シャッタおいては、1つの透明電極のなかで、第1転移核部114a(例えば第1孔112h及び柱状スペーサ177など)の密度が変更される。
【0151】
(第3の実施の形態)
図13(a)〜図13(c)は、第3の実施形態に係る液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
図13(a)は、本実施形態に係る液晶シャッタ100dの構成を例示する平面図である。図13(b)は、第1基板部110a(第1透明電極112a)を例示する平面図である。図13(c)は、第2基板部120a(第2透明電極122a)を例示する平面図である。
【0152】
図13(a)に表したように、液晶シャッタ100dは第1シャッタ部101を備える。第1シャッタ部101は、第1透明電極112aを有する第1基板部110aと、第1透明電極112aに対向する第2透明電極122aを有する第2基板部120aと、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間に設けられた第1液晶層130aと、を含む。本実施形態においては、第1シャッタ部101は、第1シール部180aをさらに含む。第1シール部180aは、第1基板部110aと第2基板部120aとの間において第1液晶層130aを囲む。
【0153】
そして、この場合も、第1液晶層130aの液晶配列は、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間の第1電位差Vaが第1電圧V1に設定されたときにスプレイ配列であり、第1電位差Vaが第1電圧V1よりも実効値が大きい第2電圧V2に設定されたときにベンド配列へ転移する。
【0154】
図13(a)に表したように、第1透明電極112aは、第1接続部112acと、第1電圧印加部112asと、第1凹凸部112apと、を有する。
【0155】
第1接続部112acは、第1シール部180aの外側に延出する。
第1電圧印加部112asは、第1シール部180aよりも内側である。第1電圧印加部112asは、第1シール部180aよりも第1液晶層130aの側に配置される。第1電圧印加部112asは、第1液晶層130aに対向する。
【0156】
第1凹凸部112apは、第1電圧印加部112asの周縁の少なくとも一部に設けられる。第1凹凸部112apは、第1シール部180aよりも内側である。第1凹凸部112apは、第1シール部180aの内側から第1シール部180aに向かう方向に沿って突出または後退する。
【0157】
すなわち、この例では、第1凹凸部112apとして、第1電圧印加部112asの周縁に設けられた複数の凹部と凸部とが用いられている。
【0158】
一方、この例では、図13(c)に表したように、第2基板部120aの第2透明電極122aのパターン形状は、図3(c)に例示した液晶シャッタ100の第2透明電極122aのパターン形状と同様である。
【0159】
このような構成を有する液晶シャッタ100dにおいて、第1凹凸部112apは、例えば、第1転移核部114aとして機能する。例えば、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間に電圧が印加されたときの第1凹凸部112apの周囲における電界は、X−Y平面(第1基板部110aから第2基板部120aに向かうZ軸方向に対して垂直な平面)内における液晶配列の方向と交差する成分を有する。
【0160】
すなわち、液晶シャッタ100dの構成は、周縁部に第1転移核部114aが設けられていることに相当する。これにより、上記の第1パターンの発生が抑制できる。また、場合によっては、第2パターン及び第3パターンの発生が抑制できる。
【0161】
本実施形態においても、第1基板部110aと第2基板部120aとは、互いに入れ替えが可能である。また、透明電極の凹凸部は、第2基板部120aに設けられても良い。
【0162】
図14(a)及び図14(b)は、第3の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
図14(a)は、本実施形態に係る液晶シャッタ100eにおける第1基板部110a(第1透明電極112a)を例示する平面図である。図14(b)は、第2基板部120a(第2透明電極122a)を例示する平面図である。
【0163】
図14(a)及び図14(b)に表したように、液晶シャッタ100eにおいては、第2基板部120aの第2透明電極122aは、第1シール部180aの外側に延出する第2接続部122acと、第1シール部180aよりも内側の第2電圧印加部122asと、第2電圧印加部122asの周縁の少なくとも一部に設けられ、第1シール部180aの内側から第1シール部180aに向かう方向に沿って突出または後退した第2凹凸部122apと、を有している。第2凹凸部122apも、転移核部として機能する。
【0164】
これにより、スプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理の時間を短縮することができる。
【0165】
液晶シャッタ100d及び100eにおいては、凹凸部(例えば第1凹凸部112ap)は、三角形状である。ただし、実施形態はこれに限らない。凹凸部のパターン形状は任意である。
【0166】
図15(a)及び図15(b)は、第3の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
図15(a)は、本実施形態に係る液晶シャッタ100fにおける第1基板部110a(第1透明電極112a)を例示する平面図である。図15(b)は、第2基板部120a(第2透明電極122a)を例示する平面図である。
【0167】
図15(a)及び図15(b)に表したように、液晶シャッタ100fにおいては、第1凹凸部112apのパターンは、長方形状である。この場合も、スプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理の時間を短縮することができる。
【0168】
また、実施形態において、第1凹凸部112apは、直線状の線分を有する輪郭を有する任意の多角形、及び、曲線状の輪郭を有する任意のパターン形状を有することができる。
【0169】
図16(a)及び図16(b)は、第3の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的平面図である。
これらの図は、本実施形態に係る液晶シャッタ100g及び100hにおける第1基板部110a(第1透明電極112a)を例示している。
【0170】
図16(a)に表したように、液晶シャッタ100gにおいては、第1透明電極112aの第1電圧印加部112asの周縁に、狭い幅の凹部が設けられている。なお、この形状は、広い幅の凸部が設けられていると見なすことができる。このような凹部または凸部を、第1凹凸部112apとして用いることができる。
【0171】
図16(b)に表したように、液晶シャッタ100hにおいては、第1透明電極112aの第1電圧印加部112asの周縁に、狭い幅の凸部が設けられている。なお、この形状は、広い幅の凹部が設けられていると見なすことができる。このような凹部または凸部を、第1凹凸部112apとして用いることができる。
【0172】
本実施形態において、第1凹凸部112apの凹部のピッチは、3μm以上200μm以下とすることができる。3μm未満の微細ピッチで精度よく加工するは困難であり、また高精度な設備の使用が必要となるためコスト増となる。また、ピッチが200μmを超えると、その間隔が広すぎて、転移の時間を縮小する効果が小さくなる場合がある。
【0173】
第1凹凸部112apの突出または後退の長さは、3μm以上200μm以下とすることができる。長さが3μm未満の場合は、転移の時間を縮小する効果が小さくなる場合がある。また、加工が困難になる。また、長さが200μmを超えると、凹凸パターンが視認できるようになり、使用者が違和感を持つ場合がある。
【0174】
なお、OCBモードを用いたアクティブマトリクス型液晶ディスプレイにおいて、複数の画素電極のそれぞれに、例えば、切り込み部を設ける構成がある。これに対し、本実施形態に係る液晶シャッタのシャッタ部においては、1つの基板部には1つの透明電極が設けられる。そして、その透明電極の面積は、液晶ディスプレイの複数の画素電極のそれぞれの面積とは比較できないくらいに大きい。液晶ディスプレイにおいては、開口率が低下するため、画素電極のそれぞれの周縁に凹凸部を設けることは行われない。これに対し、実施形態に係る液晶シャッタにおいては、中央部分のスイッチング特性が主に利用され、周縁部のスイッチング特性は実用的には利用されない。このため、実施形態においては、透明電極の周縁部に凹凸部を設ける。これにより、中央部分のスイッチング特性に悪影響を与えないで、液晶配向の転移の時間を短縮できる。
【0175】
(第4の実施の形態)
図17は、第4の実施形態に係る液晶シャッタの構成を例示する模式的斜視図である。 図17に表したように、本実施形態に係る液晶シャッタ100mは、既に説明した第1シャッタ部101に加え、第2シャッタ部102を備える。第2シャッタ部102は、第1シャッタ部102と並置される。
【0176】
第2シャッタ部102は、第3透明電極112bを有する第3基板部110bと、第3透明電極112bに対向する第4透明電極122bを有する第4基板部120bと、第3透明電極112bと第4透明電極122bとの間に設けられた第2液晶層130bと、を含む。
【0177】
第2液晶層130bの液晶配列は、第3透明電極112bと第4透明電極122bとの間の第2電位差が第3電圧に設定されたときにスプレイ配列であり、第2電位差が第3電圧よりも実効値が大きい第4電圧に設定されたときにベンド配列へ転移する。
【0178】
第2シャッタ部102は、第1シャッタ部101と同様の構成を有することができる。 例えば、第3基板部110bは、第2液晶層130bにおけるスプレイ配列からベンド配列への転移を促進させる複数の第2転移核部114bを有することができる。第2転移核部114bは、第1〜第3の実施形態に関して説明した第1転移核部114aと同様の構成を有することができる。
【0179】
例えば、第3基板部110bの周縁部の少なくとも一部における複数の第2転移核部114bの密度は、第3基板部110bの周縁部よりも内側の内側部における複数の第2転移核部114bの密度よりも高く設定することができる。
【0180】
また、第3基板部110bは、第3基板部110bのうちで第2液晶層130bの液晶配列において液晶分子130lの一端が第3基板部110bから離れている側(チルト側)の第3部分と、第3基板部110bのうちで第3部分とは反対側の第4部分と、を有することができる。そして、第4部分における複数の第2転移核部114bの密度は、第3部分における複数の第2転移核部114bの密度よりも高く設定される。
【0181】
この場合も、複数の第2転移核部114bとして、第3透明電極112bに設けられた複数の孔を用いることができる。また、複数の第2転移核部114bとして、第3透明電極112bの上の設けられた複数の柱状スペーサを用いることができる。
【0182】
また、第2シャッタ部102は、第3基板部110b、第4基板部120b及び第2液晶層130bに加え、第3基板部110bと第4基板部120bとの間において第2液晶層130bを囲む第2シール部をさらに含むことができる。
【0183】
第3透明電極112bは、第3接続部と、第3電圧印加部と、第3凹凸部と、を有することができる。第3接続部は、第2シール部の外側に延出する。第3電圧印加部は、第3シール部よりも内側である。第3凹凸部は、第3電圧印加部の周縁の少なくとも一部に設けられる。第3凹凸部は、第2シール部の内側から第2シール部に向かう方向に沿って突出または後退する。
【0184】
このような構成により、例えば、第1〜第3パターンの転移に長い時間を要する領域が生成されることを抑制することができる。これにより、スプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理の時間を短縮することができる。
【0185】
液晶シャッタ100mは、2つのシャッタ部を備えることで、液晶シャッタ眼鏡12aとして利用することができる。
図17に表したように、例えば、液晶シャッタ100m(液晶シャッタ眼鏡12a)は、第1シャッタ部101と第2シャッタ部102とを連結する連結部355と、左耳用の左支持部351と、右耳用の右支持部352と、をさらに備えることができる。左支持部351は、左耳かけ部353を有し、右支持部352は、右耳かけ部354を有す。
【0186】
例えば、第1シャッタ部101が左眼に対応して配置され、第2シャッタ部102が右眼に対応して配置される。なお、第1シャッタ部101と第2シャッタ部102の配置は逆でも良い。
【0187】
また、第1シャッタ部101の第1基板部110aの側に、第2シャッタ部102の第3基板部110bが配置されているが、第1基板部110aの側に第4基板部120bが配置されても良い。
【0188】
本具体例では、第2基板部120aが、第1基板部110aよりも左耳かけ部353の側に配置され、第4基板部120bが、第3基板部110bよりも右耳かけ部354の側に配置されている。第1基板部110aが、第2基板部120aよりも左耳かけ部353の側に配置され、第3基板部110bが、第4基板部120bよりも右耳かけ部354の側に配置されても良い。
【0189】
図18は、第4の実施形態に係る別の液晶シャッタの構成を例示する模式的斜視図である。
図18に表したように、本実施形態に係る別の液晶シャッタ100nも、第1シャッタ部101と第2シャッタ部102とを備える。この例では、第1基板部110aと第3基板部110bとが同一の支持基板411に設けられ、第2基板部120aと第4基板部120bとが同一の別の支持基板421に設けられている。
【0190】
すなわち、支持基板411の一部に第1透明電極112aが設けられる。支持基板411の別の一部に、第1透明電極112aに並置して第3透明電極112bが設けられる。第1透明電極112aが設けられる部分が第1基板部110aとなる。第3透明電極112bが設けられる部分が第3基板部110bとなる。
【0191】
同様に、別の支持基板421の一部に第2透明電極122aが設けられる。支持基板421の別の一部に、第2透明電極122aに並置して第4透明電極122bが設けられる。第2透明電極122aが設けられる部分が第2基板部120aとなり、第4透明電極122bが設けられる部分が第4基板部120bとなる。
【0192】
このように、第1シャッタ部101と第2シャッタ部102とは、一体的に設けられても良い。
【0193】
上記の液晶シャッタ100m及び100nにおいて、例えば、第1転移核部114aが第1基板部110aに設けられ、第2転移核部114bが第3基板部110bに設けられる。ただし、第1基板部110aと第2基板部120aとは互いに入れ換えができ、第3基板部110bと第4基板部120bとは互いに入れ換えができる。
【0194】
液晶シャッタが液晶シャッタ眼鏡12bに応用される場合において、第1転移核部114a及び第2転移核部114bは、観視者の目に近い側の基板部に設けられても良く、目から遠い側の基板部に設けられても良い。
【0195】
このように、液晶シャッタ(液晶シャッタ眼鏡)は、第1シャッタ部101と、第2シャッタ部102と、装着部360(例えば左支持部351及び右支持部352)と、を備えることができる。装着部360は、第1シャッタ部101及び第2シャッタ部102の少なくともいずれかに連結され、使用者の頭部に装着され、第1シャッタ部101及び第2シャッタ部102を使用者の頭部に固定させる。なお、装着部360は、帯状でも良く、液晶シャッタはゴーグル状の形態でも良い。
【0196】
上記においては、ディスプレイ13としてOCBモードで動作するアクティブマトリクス型液晶ディスプレイを用いる場合として説明したが、実施形態はこれに限定されない。例えば、実施形態に係る液晶シャッタが適用できる表示システム11のディスプレイ13には、高速応答性を有するディスプレイ全般を用いることができる。例えば、ディスプレイ13として、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイなどを用いても良い。
【0197】
なお、実施形態において、スプレイ配列及びベンド配列は、図5(a)〜図5(d)に例示した液晶配列以外の種々の変形の配列を有することができる。
【0198】
例えば、図5(a)に例示した液晶配列では、第1透明電極112aと第2透明電極122aとの間のX軸に沿った全域にわたってスプレイ配列状態である。ただし、実施形態において、例えば、第1透明電極112aの近傍でスプレイ配列で、第2透明電極122aの近傍でベンド配列になっている配列状態(「スプレイ−ベンド配列状態」と言うことにする)もスプレイ配列の1種とする。例えば、第1透明電極112aの近傍でベンド配列で、第2透明電極122aの近傍でスプレイ配列になっている配列状態(「ベンド−スプレイ配列状態」という)もスプレイ配列の1種とする。一方、ベンド配列状態においては、第1透明電極112aの近傍、及び、第2透明電極122aの近傍、の両方でベンド配列である。
【0199】
実施形態によれば、スプレイ配列からベンド配列に転移させる初期化処理の時間を短縮した液晶シャッタが提供される。
【0200】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0201】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、液晶シャッタに含まれる基板部、透明電極、支持基板、配向膜、液晶層、柱状スペーサ及び孔などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0202】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0203】
その他、本発明の実施の形態として上述した液晶シャッタを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての液晶シャッタも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0204】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0205】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0206】
11…表示システム、 12、12a、12b…液晶シャッタ眼鏡、 13…ディスプレイ、 13d…表示面、 14…制御部、 100、100a、100b、100c、100d、110e、100f、110g、110h、100m、100n…液晶シャッタ、 101…第1シャッタ部、 102…第2シャッタ部、 109a〜109c…第1〜第3試料、 110a…第1基板部、 110b…第3基板部、 111a…第1支持基板、 112a…第1透明電極、 112ac…第1接続部、 112ap…第1凹凸部、 112as…第1電圧印加部、 112at…第1トランスファ部、 112b…第3透明電極、 112h…第1孔、 113a…第1配向膜、 114a…第1転移核部、 114b…第2転移核部、 117…柱状スペーサ、 118d…第1配向方向、 118e…電界、 120a…第2基板部、 120b…第4基板部、 121a…第2支持基板、 122a…第2透明電極、 122ac…第2接続部、 122ap…第2凹凸部、 122as…第2電圧印加部、 122b…第4透明電極、 123a…第2配向膜、 128d…第2配向方向、 130a…第1液晶層、 130b…第2液晶層、 130l…液晶分子、 140a…第1光学補償板、 150a…第2光学補償板、 160a…第1偏光板、 170a…第2偏光板、 180a…第1シール部、 181a…導電部材、 330…駆動部、 351…左支持部、 352…右支持部、 353…左耳かけ部、 354…右耳かけ部、 355…連結部、 360…装着部、 411、421…支持基板、 CP…内側部、 CX1…内側部、 CY1…部分、 CZ1…部分、 P1…第1部分、 P2…第2部分、 PP…周縁部、 PX1…周縁部、 PY1、PY2…角部、 PZ1…角部、 RD…ラビング方向、 V1、V2…第1、第2電圧、 VB1、VB2…第1、第2ベンド電圧、 Va…電位差(第1電位差)、 θ…プレチルト角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1透明電極を有する第1基板部と、
前記第1透明電極に対向する第2透明電極を有する第2基板部と、
前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に設けられた第1液晶層と、
を含む第1シャッタ部を備え、
前記第1液晶層の液晶配列は、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間の第1電位差が第1電圧に設定されたときにスプレイ配列であり、前記第1電位差が前記第1電圧よりも実効値が大きい第2電圧に設定されたときにベンド配列へ転移し、
前記第1基板部は、前記第1液晶層における前記スプレイ配列から前記ベンド配列への前記転移を促進させる複数の第1転移核部を有し、
前記第1基板部の周縁部の少なくとも一部における前記複数の第1転移核部の密度は、前記周縁部よりも内側の内側部における前記複数の第1転移核部の密度よりも高いことを特徴とする液晶シャッタ。
【請求項2】
第1透明電極を有する第1基板部と、
前記第1透明電極に対向する第2透明電極を有する第2基板部と、
前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に設けられた第1液晶層と、
を含む第1シャッタ部を備え、
前記第1液晶層の液晶配列は、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間の第1電位差が第1電圧に設定されたときにスプレイ配列であり、前記第1電位差が前記第1電圧よりも実効値が大きい第2電圧に設定されたときにベンド配列へ転移し、
前記第1基板部は、前記第1液晶層における前記スプレイ配列から前記ベンド配列への前記転移を促進させる複数の第1転移核部を有し、
前記第1基板部は、前記第1基板部のうちで前記第1液晶層の前記液晶配列において液晶分子の一端が前記第1基板部から離れている側の第1部分と、前記第1基板部のうちで前記第1部分とは反対側の第2部分と、を有し、
前記第2部分における前記複数の第1転移核部の密度は、前記第1部分における前記複数の第1転移核部の密度よりも高いことを特徴とする液晶シャッタ。
【請求項3】
前記第1部分は、前記第1液晶層の前記液晶配列を得るために前記第1基板部に実施されるラビング処理の出口側の部分であり、
前記第2部分は、前記ラビング処理の進入側の部分であることを特徴とする請求項2記載の液晶シャッタ。
【請求項4】
前記複数の第1転移核部は、前記第1透明電極に設けられた複数の孔を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の液晶シャッタ。
【請求項5】
前記複数の第1転移核部は、前記第1透明電極の上に設けられ、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間の間隔を制御する複数の柱状スペーサを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の液晶シャッタ。
【請求項6】
前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に電圧が印加されたときの前記複数の第1転移核部の周囲の電界は、前記第1基板部から前記第2基板部に向かう第1方向に対して垂直な平面内における前記液晶配列の方向と交差する成分を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の液晶シャッタ。
【請求項7】
第1透明電極を有する第1基板部と、
前記第1透明電極に対向する第2透明電極を有する第2基板部と、
前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に設けられた第1液晶層と、
前記第1基板部と前記第2基板部との間において前記第1液晶層を囲む第1シール部と、
を含む第1シャッタ部を備え、
前記第1液晶層の液晶配列は、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間の第1電位差が第1電圧に設定されたときにスプレイ配列であり、前記第1電位差が前記第1電圧よりも実効値が大きい第2電圧に設定されたときにベンド配列へ転移し、
前記第1透明電極は、
前記第1シール部の外側に延出する第1接続部と、
前記第1シール部よりも内側の第1電圧印加部と、
前記第1電圧印加部の周縁の少なくとも一部に設けられ、前記第1シール部の前記内側から前記第1シール部に向かう方向に沿って突出または後退した第1凹凸部と、
を有することを特徴とする液晶シャッタ。
【請求項8】
前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に電圧が印加されたときの前記第1凹凸部の周囲における電界は、前記第1基板部から前記第2基板部に向かう第1方向に対して垂直な平面内における前記液晶配列の方向と交差する成分を有することを特徴とする請求項7記載の液晶シャッタ。
【請求項9】
前記第1シャッタ部と並置された第2シャッタ部をさらに備え、
前記第2シャッタ部は、
第3透明電極を有する第3基板部と、
前記第3透明電極に対向する第4透明電極を有する第4基板部と、
前記第3透明電極と前記第4透明電極との間に設けられた第2液晶層と、
を含み、
前記第2液晶層の液晶配列は、前記第3透明電極と前記第4透明電極との間の第2電位差が第3電圧に設定されたときにスプレイ配列であり、前記第2電位差が前記第3電圧よりも実効値が大きい第4電圧に設定されたときにベンド配列へ転移し、
前記第3基板部は、前記第2液晶層における前記スプレイ配列から前記ベンド配列への前記転移を促進させる複数の第2転移核部を有し、
第3基板部の周縁部の少なくとも一部における前記複数の第2転移核部の密度は、前記第3基板部の前記周縁部よりも内側の内側部における前記複数の第2転移核部の密度よりも高いことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の液晶シャッタ。
【請求項10】
前記第1シャッタ部と並置された第2シャッタ部をさらに備え、
前記第2シャッタ部は、
第3透明電極を有する第3基板部と、
前記第3透明電極に対向する第4透明電極を有する第4基板部と、
前記第3透明電極と前記第4透明電極との間に設けられた第2液晶層と、
を含み、
前記第2液晶層の液晶配列は、前記第3透明電極と前記第4透明電極との間の第2電位差が第3電圧に設定されたときにスプレイ配列であり、前記第2電位差が前記第3電圧よりも実効値が大きい第4電圧に設定されたときにベンド配列へ転移し、
前記第3基板部は、前記第2液晶層における前記スプレイ配列から前記ベンド配列への前記転移を促進させる複数の第2転移核部を有し、
前記第3基板部は、前記第3基板部のうちで前記第2液晶層の前記液晶配列において液晶分子の一端が前記第3基板部から離れている側の第3部分と、前記第3基板部のうちで前記第3部分とは反対側の第4部分と、を有し、
前記第4部分における前記複数の第2転移核部の密度は、前記第3部分における前記複数の第2転移核部の密度よりも高いことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の液晶シャッタ。
【請求項11】
前記第1シャッタ部と並置された第2シャッタ部をさらに備え、
前記第2シャッタ部は、
第3透明電極を有する第3基板部と、
前記第3透明電極に対向する第4透明電極を有する第4基板部と、
前記第3透明電極と前記第4透明電極との間に設けられた第2液晶層と、
前記第3基板部と前記第4基板部との間において前記第2液晶層を囲む第2シール部と、
を含み、
前記第2液晶層の液晶配列は、前記第3透明電極と前記第4透明電極との間の第2電位差が第3電圧に設定されたときにスプレイ配列であり、前記第2電位差が前記第3電圧よりも実効値が大きい第4電圧に設定されたときにベンド配列へ転移し、
前記第3透明電極は、
前記第2シール部の外側に延出する第3接続部と、
前記第3シール部よりも内側の第3電圧印加部と、
前記第3電圧印加部の周縁の少なくとも一部に設けられ、前記第2シール部の前記内側から前記第2シール部に向かう方向に沿って突出または後退した第3凹凸部と、
を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の液晶シャッタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−189751(P2012−189751A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52551(P2011−52551)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】