説明

液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物及びそれを用いた液晶ディスプレイ用衝撃吸収材並びにこれらを用いた液晶ディスプレイ用光学フィルタ及び液晶ディスプレイ

【課題】 透明で、適度な粘着力と液晶ディスプレイの保護に必要な衝撃吸収性を有し、液晶パネルの構成材料を侵すことがない液晶ディスプレイのため衝撃吸収材料を提供する。
【解決手段】 アクリル酸系誘導体ポリマー 10〜80重量部、
アクリル酸系誘導体モノマー 15〜89.9重量部
及び
重合開始剤 0.1〜5重量部
を含有してなる液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。上記ポリマー及びモノマーともに、炭素数が4〜18であるアルキルアクリレートヒドロキシル基含有アクリレートを特定割合で含むものが好ましい。上記衝撃吸収用樹脂組成物を硬化反応させてなる液晶ディスプレイ用衝撃吸収材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイパネルの割れ防止、応力及び衝撃の緩和に有用な液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物及びそれを用いた液晶ディスプレイ用衝撃吸収材並びにこれらを用いた液晶ディスプレイ用光学フィルタ及び液晶ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の大型液晶ディスプレイは液晶パネルの前面偏光板表面を反射低減のためにアンチグレア(AG)処理したものが一般的である。この構成の場合、特に衝撃吸収性に関する手立ては講じられておらず、パネル全体及びセットとしての構造で衝撃耐性を持たせている。この構成の課題はAG処理により画像が滲んで見えること、表面に触るとパネルがたわみ画像が乱れること、AG処理のため汚れが落ちにくく強くこすると傷になりやすいことに加え、今後のパネルの大型化に伴い、パネルの衝撃耐性が低下し、衝撃耐性に問題が発生することが考えられる。
【0003】
そこで、液晶パネルの前にアンチリフレクション(AR)処理を施した前面板を置いてAG処理に由来する欠点の解消を図ることが考えられる。しかし前面板と液晶パネルとの間が空気の場合には透過率の低下、2重映りによる画質の低下などが考えられ、空間を樹脂等で埋めることが提案されてきている(特許文献1,2,3,4)。
【0004】
【特許文献1】特開平05−011239号公報
【特許文献2】特開平03−204616号公報
【特許文献3】特開平06−59253号公報
【特許文献4】特開2004−125868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1で使用されているオイルは漏れを防ぐためのシールが難しく、また液晶パネルに使用されている材料を侵す可能性があり、また前面板が割れた場合にオイルが漏れ出すという問題ある。また特許文献2の不飽和ポリエステルは黄色に着色しやすくディスプレイ装置への適用は望ましくない。特許文献3のシリコーンは密着力が小さく固定のために別途粘着剤が必要になるためプロセスが煩雑になり、さらに粘着剤との接着力もあまり大きくないことから衝撃が加わった際に剥離して気泡が入ってしまうという問題がある。特許文献4のアクリルモノマの重合物は接着力が小さく、小型の機器であれば別途粘着剤を必要としないが、大型ディスプレイの前面板を支えるためには別途粘着剤が必要となり、プロセスが煩雑になる。また原料がモノマのみからなるため粘度が低く、硬化収縮が大きいため大面積のフィルムを均一に作製することが難しいという問題も発生する。
そこで、本発明は、透明で、適度な粘着力と液晶ディスプレイの保護に必要な衝撃吸収性を有し、液晶パネルの構成材料を侵すことがない液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物及びそれを用いた液晶ディスプレイ用衝撃吸収材並びにこれらを用いた液晶ディスプレイ用光学フィルタ及び液晶ディスプレイを提供することを目的とする。
また、液晶パネル前面に上記液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物及びそれを用いた液晶ディスプレイ用衝撃吸収材を介して前面板を貼り付けることにより耐衝撃性に優れ、表面に触れても画像が乱れることがない液晶ディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次のものに関する。
1. アクリル酸系誘導体ポリマー 10〜80重量部、
アクリル酸系誘導体 15〜89.9重量部
及び
重合開始剤 0.1〜5重量部
を含有してなる液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。
2. コポリマー 15〜60重量部
アクリロイル基を1個有するモノマー 39〜84重量部
アクリロイル基を2個以上有するモノマー 0.5〜10重量部
及び
光重合開始剤 0.3〜3重量部
を含有し、
上記のコポリマーが、アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキルアクリレート(以下、AAモノマーという。)50〜87重量%と下記一般式(I)
【0007】
【化1】

CH=CHCOO(C2mO)H (I)
(ただし、式中、mは2、3又は4、nは1〜10の整数をしめす。)
で表されるヒドロキシル基含有アクリレート(以下、HAモノマーという。)13〜50重量%を重合させて得られるものであり、
上記のアクリロイル基を1個有するモノマーとして、AAモノマーを50〜87重量%及びHAモノマーを13〜50重量%の割合になるように使用し、
上記コポリマー中のHAモノマーの割合(P重量%)と、アクリロイル基を1個有するモノマーにおけるHAモノマーの割合(M重量%)との間に、
【0008】
【数1】

−8≦(P−M)≦8
の関係があるように配合されてなる項1記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。
3. 光重合開始剤がα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物あるいはアシルフォスフィンオキサイド系化合物あるいはオリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)である項2記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。
4. AAモノマーが2−エチルヘキシルアクリレートまたはイソオクチルアクリレートまたはn−オクチルアクリレートであり、HAモノマーが2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは1−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシプロピルアクリレートまたは3−ヒドロキシプロピルアクリレートまたは1−ヒドロキシプロピルアクリレートまたは4−ヒドロキシブチルアクリレートまたは3−ヒドロキシブチルアクリレートまたは2−ヒドロキシブチルアクリレートまたは1−ヒドロキシブチルアクリレートである項3又は4記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。
5. コポリマーの重量平均分子量が100,000〜700,000である項2〜4のいずれかに記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。
6. コポリマ 40〜60重量部、
アクリロイル基を1個有するモノマー 39〜59重量部、
アクリロイル基を2個以上有するモノマー 1〜5重量部、
及び
光重合開始剤 0.5〜2.0重量部
を含有する項2〜5のいずれかに記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。
7. 項1〜6のいずれかに記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物を硬化反応させてなる液晶ディスプレイ用衝撃吸収材。
8. 形状がシート状又はフィルム状である項7記載の液晶ディスプレイ用衝撃吸収材。
9. 項1〜6のいずれかに記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物又は項7若しくは8のいずれかに記載の液晶ディスプレイ用衝撃吸収材を使用して得られる液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収層を備えた液晶ディスプレイ用光学フィルタ。
10. 項1〜6のいずれかに記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物又は項7若しくは8のいずれかに記載の液晶ディスプレイ用衝撃吸収材を使用して得られる液晶ディスプレイ。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物は、それを硬化反応させることにより、優れた衝撃吸収性を有し、透明性にも優れる。
また、本発明に係る液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物は、ポリマーとモノマーの組成をほぼ同じにすることによりポリマーの溶解性を高くすることができ、高分子量のポリマーを使用しても透明な樹脂組成物や硬化物を作製できる。さらにモノマーで希釈されているため無溶剤で成形が可能であり、気泡の無い厚いフィルム若しくはシートを作製できる。
また、高分子量のポリマを比較的高濃度で含有しているので、薄い膜厚でも衝撃吸収性に優れる。また、そのために硬さがあり、耐擦傷性の低下を抑制できる。この硬さのため組成変形しにくく、厚い膜厚でより優れた衝撃吸収性を発揮することができる。さらに、凝集力が高く伸縮性もあるためフィルムがたわんだときやロールに巻きつけたときに亀裂が入ったり、筋が入ったりすることが少ない。
また、本発明に係る液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物は、一般に液晶ディスプレイに使用される材料を侵すことが無い。
本発明に係る液晶ディスプレイ用衝撃吸収材は、液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物を硬化反応させて得ることができるが、その形状を容易にシートとすることができる。また、この液晶ディスプレイ用衝撃吸収材には、粘着性が付与されているので、粘着剤又は接着剤を使用することなく、ガラス、その他の基材等に貼合が可能である。
以上の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物又は液晶ディスプレイ用衝撃吸収材を使用して得られる衝撃吸収層を備えた液晶ディスプレイ用光学フィルタ及び液晶ディスプレイは上記した液晶ディスプレイ用衝撃吸収材と同様の作用効果を継承する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明におけるアクリル酸系誘導体ポリマーはアクリル酸誘導体の中で重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーを重合させて得られるものであり、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーを併用してもよい。その重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したもの)が100,000〜700,000であるものが好ましく、150,000〜400,000がより好ましく、200,000〜350,000がより好ましい。
アクリル酸系誘導体ポリマーは、アクリル酸系誘導体以外のモノマーを併用して重合させて得られるポリマーであってもよい。
【0011】
上記のアクリル酸系誘導体として、アクリル酸又はメタクリル酸、それらの誘導体等がある。具体的には、重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーとしては、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、n−オクチルアクリレート等のアルキルアクリレート、ベンジルメタクリレート等のアラルキルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノアルキルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート、ジエチレングリコールエチルエーテルのメタクリル酸エステル、トリエチレングリコールブチルエーテルのメタクリル酸エステル、ジプロピレングリコールメチルエーテルのメタクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのメタクリル酸エステル、ジエチレングリコールエチルエーテルのアクリル酸エステル、トリエチレングリコールブチルエーテルのアクリル酸エステル、ジプロピレングリコールメチルエーテ)のアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのアクリル酸エステル、ヘキサエチレングリコールフェニスエーテルのメタクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのメタクリル酸エステル、ヘキサエチレングリコールフェニスエーテルのアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのアクリル酸エステル、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、メトキシ化シクロデカトリエンメタクリレート、イソボルニルアクリレート、メトキシ化シクロデカトリエンアクリレート等の脂環式基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル、ヘプタデカフロロデシルメタクリレート等のフッ素化アルキルメタクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート等のフッ素化アルキルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、グリセロールアクリレート等の水酸基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等のグリシジル基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル、アクリルアミド等が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上を併用することができる。
【0012】
これらの重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーは、1種で又は2種以上併用して用いることができる。
【0013】
上記の重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーと共に、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーを使用することができる。このようなモノマーとしては、ビスフェノールAジメタクリレート1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリエレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
【0014】
重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーとしては、さらに、一般式(a)
【0015】
【化2】

(ただし、式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、m及びnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を示す)で示されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のジアクリレート、一般式(b)
【0016】
【化3】

(ただし、式中、m及びnはそれぞれ独立に、1〜10の整数を示す)で示されるビスフェノールAのエピクロルヒドリン変性物とアクリル酸の付加エステル化物、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、一般式(c)
【0017】
【化4】

(ただし、式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、m及びnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を示す)で示されるリン酸のアルキレンオキシド付加物のジアクリレート、一般式(d)
【0018】
【化5】

(ただし、式中、m及びnはそれぞれ独立に、1〜10の整数を示す)で示されるフタル酸のエピクロリン変性物とアクリル酸の付加エステル化物、ポリエチレングリコールのジアクリレート、ポリプロピレングリコールのジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、一般式(e)
【0019】
【化6】

(ただし、式中、m及びnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を示す)で示される1,6−ヘキサンジオールのエピクロリン変性物とアクリル酸の付加エステル化物(アクイリル基を一分子中に2個有するもの)、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、一般式(f)
【0020】
【化7】

(ただし、式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、3個のmはそれぞれ独立に、1〜20の整数を示す)で示されるリン酸のアルキンオキシド付加物のトリアクリレート、一般式(g)
【0021】
【化8】

(ただし、式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、m、m′及びm″はそれぞれ独立に、1〜20の整数を示す)で示されるトリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリアクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどが挙げられる。これらのモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
上記のアクリル酸系誘導体以外に、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン等の重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーを使用することができる。また、上記のアクリル酸系誘導体以外のモノマーであって、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマー(ジビニルベンゼン等)を使用することもできる。
以上において、本発明における効果を得るためには、使用するモノマーの全量の内、アクリル酸系誘導体以外のモノマーの使用量は90重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、特に、20重量%以下が好ましい。
また、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーの使用量は使用するモノマー全量に対して10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。10重量%以上使用すると、衝撃で衝撃吸収層が裂け易くなる傾向がある。
【0023】
前記アクリル酸系誘導体ポリマー10〜80重量部に対してアクリル酸系誘導体15〜89.9重量部使用され、重合開始剤が0.1〜5重量部で全体が100重量部になるように使用されることが好ましい。配合は、アクリル酸系誘導体ポリマー15〜60重量部、アクリル酸系誘導体35〜84.9重量部、重合開始剤が0.1〜5重量部で全体が100重量部になるように使用されることがより好ましい。
【0024】
前記したモノマーの重合方法としては、溶液重合、乳化重合及び塊状重合等の既知の重合方法を用いることができる。これらの方法は、前記アクリル酸系誘導体ポリマーの合成にも利用できる。
【0025】
重合開始剤としては、光重合開始剤を使用することができ、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の材料から選ぶことができる。
光重合開始剤として、さらに具体的には、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ―1,2−ジフェニルエタン―1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の芳香族ケトン化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、β−(アクリジン−9−イル)アクリル酸のジエステル化合物、9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等が挙げられる。また、特に、樹脂組成物を着色させないものとしては1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)及びこれらを組み合わせたものが好ましい。また、特に厚いシートを作製するためには、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を含む光重合開始剤が好ましい。また、シートの臭気を減らすためにはオリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)が好ましい。これらの光重合開始剤は複数を組み合わせて使用しても良い。
【0026】
重合開始剤として、熱重合開始剤を使用してもよい。熱重合開始剤としては、熱によりラジカルを発生する開始剤であり、具体的には、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドの様な有機過酸化物が挙げられる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]のようなアゾ系化合物が挙げられる。
【0027】
本発明に用いる樹脂材料は、ガラス転移温度(Tg)が、0℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が0℃を超えると衝撃吸収層が硬くなり、衝撃で裂けやすくなる。Tgは−20〜−60℃であることがより好ましい。
本発明に用いる樹脂材料となるポリマーの分子中には、粘着性を大きくする目的で、極性基を付与しておくことが好ましい。ガラスとの粘着性を大きくする極性基としては、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、グリシジル基等の極性基があるが、これらの基は、この様な基を有するモノマーを共重合させることにより導入することができる。
本発明における液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物及びそれを用いた液晶ディスプレイ用衝撃吸収材は、また、ディスプレイ装置に使用するためには、液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物及びそれを用いた液晶ディスプレイ用衝撃吸収材の可視光透過率を80%以上とすることが好ましい。
【0028】
本発明における液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物としては、
コポリマー 15〜60重量部
アクリロイル基を1個有するモノマー 39〜84重量部
アクリロイル基を2個以上有するモノマー 0.5〜10重量部
及び
光重合開始剤 0.3〜3重量部
を含有し、
上記のコポリマーが、アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキルアクリレート(以下、AAモノマーという。)50〜87重量%と下記一般式(I)
【0029】
【化9】

(ただし、式中、mは2、3又は4、nは1〜10の整数をしめす。)
で表されるヒドロキシル基含有アクリレート(以下、HAモノマーという。)13〜50重量%を重合させて得られるものであり、
上記のアクリロイル基を1個有するモノマーとして、AAモノマーを50〜87重量%及びHAモノマーを13〜50重量%の割合になるように使用し、
上記コポリマー中のHAモノマーの割合(P重量%)と、アクリロイル基を1個有するモノマーにおけるHAモノマーの割合(M重量%)との間に、
【0030】
【数1】

の関係があるように配合されてなるものが、特に好ましい。
ここで、光重合開始剤としては、前記したものが使用できる。
【0031】
上記のAAモノマーとしてはn−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート等が挙げられるが、n−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレートが好ましく、エチルヘキシルアクリレートが特に好ましい。またこれらのアクリレートは2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
【0032】
上記のHAモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、1−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、1−ヒドロキシブチルアクリレート等の水酸基含有アクリレート、ジエチレングリコールやトリエチレングリコール等のポリエチレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールやトリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコールモノアクリレート、ジブチレングリコールやトリブチレングリコール等のポリブチレングリコールモノアクリレートなどが挙げられるが、2−ヒドロキシエチルアクリレート、1−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、1−ヒドロキシブチルアクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチルアクリレートが特に好ましい。また、これらのアクリレートは2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
【0033】
本発明おけるAAモノマーとHAモノマー重合させて得られるコポリマーはその重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したもの、以下同様)が、100,000〜600,000であるものが好ましく、150,000〜400,000がより好ましく、200,000〜350,000がより好ましい。
コポリマーの合成方法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合及び塊状重合等の既知の重合方法を用いることができるが、溶液重合あるいは塊状重合が好ましい。重合開始剤としては、熱によりラジカルを発生する化合物を用いることができ、具体的には、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、ジドデシルパーオキシドの様な有機過酸化物や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニル)。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]のようなアゾ系化合物が挙げられる。
【0034】
本発明おいて、アクリロイル基を2個以上有するモノマーとしては、ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリブチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のアクリレートモノマ、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリルアクリレート等のアクリルオリゴマが挙げられるが、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等のジアクリレートが好ましい。その他前記した重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーのなかからアクリロイル基を2個以上有するものを適宜選択して使用できる。
【0035】
本発明の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物は、
コポリマー 15〜60重量部、好ましくは、30〜60重竜部、より好ましくは40〜60重量部
アクリロイル基を1個有するモノマー 39〜84重量部、好ましくは、39〜69重量部、より好ましくは39〜59重量部、
アクリロイル基を2個以上有するモノマー 0.5〜10重量部、好ましくは、1〜10重量部、
及び
光重合開始剤 0.3〜3重量部、好ましくは、0.5〜2重量部
を含有するものである。
コポリマーが少なすぎると機械的特性に問題が生じ、液晶ディスプレイ用衝撃吸収層に使用した場合に衝撃吸収性が低下する。また硬化収縮が大きくなり膜の平坦性に問題が生じやすくなる。逆に多すぎると組成物の粘度が高くなりすぎシート作製が困難になる。
アクリロイル基を1個有するモノマーが、少なすぎると組成物の粘度が高くなりすぎシート作製が困難になり、多すぎると機械的特性に問題が生じる。
アクリロイル基を2個以上有するモノマーが少なすぎると、樹脂組成物の硬化物が形状を保つことが困難であり、逆に多すぎると樹脂組成物の硬化物が脆くなり機械的特性に問題が生じる。
光重合開始剤が少なすぎると反応が十分に進行せず、逆に多すぎると光重合開始剤が大量に残存し、光学的な特性や機械的特性に問題が生じる。なお、上記の液晶ディスプレイ用衝撃吸収材を電子線の照射で硬化させる場合には、光重合開始剤を使用しなくてもよい。
【0036】
前記コポリマーは、AAモノマー50〜87重量%、好ましくは60〜70重量%とHAモノマー13〜50重量%、好ましくは30〜40重量%を重合させて得られたものである。
また、前記したアクリロイル基を1個有するモノマーとしては、AAモノマー50〜87重量%、好ましくは60〜70重量%とHAモノマー13〜50重量%、好ましくは30〜40重量%を使用するものである。
これらにおいて、AAモノマーが多すぎると、従って、HAモノマーが少なすぎると吸湿時に本発明に係る衝撃吸収材の硬化物が白濁しやすくなり、逆に、HAモノマーが多すぎると、従って、AAモノマーが少なすぎると吸湿時に本発明に係る衝撃吸収材の硬化物が変形しやすくなる。
【0037】
また、本発明おいて、上記コポリマー中のHAモノマーの割合(P重量%)と、アクリロイル基を1個有するモノマーにおけるHAモノマーの割合(M重量%)との間に、
【0038】
【数1】

の関係があるようにそれぞれの配合が調整される。(P−M)が上記の式を満足しない場合、硬化時に本発明に係る衝撃吸収材が白濁しやすくなる。前記コポリマー及びアクリロイル基を1個有するモノマーにおいて、AAモノマー(及びHAモノマー)が、前記した好ましい割合にあるときは、常にこの条件を満足する。
【0039】
本発明における液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物は、ディスプレイ表面に膜厚が0.1mm〜3mmになるように製膜又は積層することが好ましい。透明保護板と併用しない場合は衝撃吸収性を考慮すると0.2mm以上の厚さがより好ましい。特に、衝撃吸収性を大きくしたいときは、厚さを1.3mm以上にすることが好ましい。一方、透明保護板と併用する場合は、0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以下であることが特に好ましい。ディスプレイ表面、又は光学フィルタの基材等に塗布して製膜した後、紫外線等の光線、電子線などの放射線を照射して硬化させる。光学フィルタを作製する場合、光学フィルタの基材又は機能層の上に本発明における液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物を製膜した後、さらに、光学フィルタの基材、機能層又は保護層を積層してから、放射線を照射して硬化させてもよい。
本発明における液晶ディスプレイ用衝撃吸収材は、上記液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物を硬化反応させることにより得ることが出来る。形状がシート又はフィルム状である場合は、膜厚が0.1mm〜3mmのものであることが好ましい。透明保護板と併用しない場合は衝撃吸収性を考慮すると0.2mm以上の厚さがより好ましい。特に、衝撃吸収性を大きくしたいときは、厚さを1.3mm以上にすることが好ましい。一方、透明保護板と併用する場合は、0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以下であることが特に好ましい。これは、前記したモノマー原料と重合開始剤の混合物を注形成形することにより製造することができる。また、汎用の塗工機を用い所望の厚みを塗工し、紫外線等の光線、電子線などの放射線を照射して硬化させることにより製造することができる。
【0040】
本発明における液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物に紫外線等を照射して重合させる場合、酸素が存在すると重合が阻害される場合には、樹脂表面を酸素を遮断するための透明フィルム又は透明ガラスで覆うことが好ましい。紫外線照射装置としては枚葉式、コンベア式等の紫外線照射装置を使用することができる。また、紫外線照射用の光源としては低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等が使用できるが、高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましい。
本発明の衝撃吸収用樹脂組成物は厚く製膜しても、また、本発明の衝撃吸収材が厚いものであっても、高分子量のコポリマーを含むので、その硬化樹脂は、硬さがあり、衝撃に対して、組成変形しにくく、従って、厚くして衝撃吸収性を向上させやすい。
【0041】
本発明の衝撃吸収用樹脂組成物又は上記衝撃吸収材は、反射防止層、防汚層、色素層、ハードコート層などの機能性を有する層をポリエチレンフィルム等の基材フィルムなどに製膜又は積層した多層物、あるいはガラス、アクリル、ポリカーボネートなどの板、あるいはこれらの板に機能性を有する層を製膜又は積層した多層物と組み合わせて、また、このような多層物からなる光学用フィルタとして使用することができる。
反射防止層は、可視光反射率が5%以下となる反射防止性を有している層であればよく、透明なプラスチックフィルム等の透明基材に既知の反射防止方法で処理された層を用いることができる。
防汚層は表面に汚れがつきにくくするためのもので、表面張力を下げるためにフッ素系樹脂やシリコン系樹脂等の層が使用されるが、これら既知の層を使用することができる。
色素層は色純度を高めるために使用されるもので、液晶表示セルから発する光の色純度が低い場合に不要な光を低減するために使用される。不要な部分の光を吸収する色素を樹脂に溶解させ、ポリエチレンフィルム等の基材フィルムなどに製膜又は積層したり、粘着剤に混合するなどして形成する。
ハードコート層は表面硬度を高くするために使用される。ハードコート層としてはウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等のアクリル樹脂やエポキシ樹脂等をポリエチレンフィルム等の基材フィルムなどに製膜又は積層したものを使用することができる。同様に表面硬度を高めるためにガラス、アクリル、ポリカーボネートなどの板、あるいはこれらの板にハードコート層を製膜又は積層したものを使用することもできる。
本発明における衝撃吸収用樹脂組成物又は上記衝撃吸収材は、反射防止層等の機能性を有する層と、適宜必要なものを積層して使用することができる。この場合、機能性を有する層は、透明基材の一方に積層されていてもよく、透明基材の両側に機能の異なる層が別々に、また、その両側に機能の同じ層が積層されていても良い。機能性を有する層の積層順序は任意である。
これら機能性を有する層と組み合わせる場合、本発明の衝撃吸収用樹脂組成物又は上記衝撃吸収材はこれらの層の液晶パネル側に使用することが好ましい。
また偏光板と積層して使用することもできる。この場合偏光板の視認面側に使用することもでき、偏光板と液晶セルの間に使用することもできる。偏光板の視認面側に使用する場合には本発明の衝撃吸収用樹脂組成物又は上記衝撃吸収材のさらに視認面側に反射防止層、防汚層、ハードコート層を積層することができ、偏光板と液晶セルの間に使用する場合には、偏光板の視認面側に機能性を有する層を積層することができる。
【0042】
本発明における衝撃吸収用樹脂組成物又は上記衝撃吸収材は、反射防止層等の機能性を有する層と、適宜必要なものを積層して使用することができる。この場合、機能性を有する層は、透明基材の一方に積層されていてもよく、透明基材の両側に機能の異なる層が別々に、その両側に機能の同じ層が積層されていても良い。機能性を有する層の積層順序は任意である。
このような多層物とする場合、本発明における液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物又は上記液晶ディスプレイ用衝撃吸収材が最外層となるようにすることが好ましい。
これらの層は、必要なら各層の間に粘着層を介しロールラミネートや枚葉貼合機で積層することができる。さらに、ロールラミネートや枚葉貼合機で積層した多層材は、ロールラミネータ又は枚葉貼合機を用いて液晶ディスプレイ前面又は液晶ディスプレイ用前面板に貼合することができる。
【0043】
本発明おける液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物又は上記液晶ディスプレイ用衝撃吸収材は、液晶ディスプレイの液晶表示セルより、視認側の適当は位置に配置される。液晶表示セルと透明保護基板の間に適用されることが特に好ましい。
本発明における透明保護板は一般的にな光学用透明基板を使用することができる。具体的にはガラス板、アクリル板、ポリカーボネート板等の板や、厚手のポリエステルシート等が挙げられる。高い表面硬度が必要な場合にはガラス、アクリル等の板が好ましく、ガラス板がより好ましい。これらの透明保護板の表面には反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていても良い。これらの表面処理は透明保護板の片面でも良く、両面に処理されていても良い。これらの透明保護板は複数を組み合わせて使用することもできる。
本発明における偏光板は一般的な偏光板を使用することができる。これらの偏光板の表面には反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていても良い。これらの表面処理は偏光板の片面でも良く、両面に処理されていても良い。
本発明における液晶表示セルは一般的な液晶表示セルを使用することができる。液晶表示セルは液晶の制御方法によりTN、STN、VA、IPS等に別けられるが、いずれの制御方法を使用した液晶表示セルでも使用することができる。
図面を用いて説明する。図1及び図2は、従来の液晶ディスプレイを示す断面模式図、図3、図4、図5及び図6は、本発明の液晶ディスプレイを示す断面模式図である。
従来の液晶ディスプレイの構造は、1例として図1に示すように、液晶表示セル1と、その両面に貼り付けられた偏光板2、前面に空隙3を設けて配置された透明保護板5とから構成される。液晶表示セル1は、透明な二枚のガラスに液晶を封入した構造体で、そのガラスの外側の両面に偏光板2等が貼り付けられている。液晶表示セル1の下部4は、反射板又はバックライトシステムである。この場合透明保護板5の前面に反射防止層、防汚層、ハードコート層などが適宜積層される。図2に従来の他の液晶ディスプレイを示すが、液晶表示セル1と、その両面に貼り付けられた偏光板2と反射板又はバックライトユニット4を備えたものである。この場合、偏光板2の前面に反射防止層、防汚層、ハードコート層などが適宜積層される。これに対し、本発明における液晶ディスプレイとして、図3に、透明な衝撃吸収材を介して構成される液晶ディスプレイの一例を示す。液晶表示セル1の両面に偏光板2が積層され、一方偏光板2の上にシート(液晶ディスプレイ用衝撃吸収材)3’、その上に透明保護板5が積層されて視認側を構成し、他方偏光板2に反射板又はバックライトシステム4が配置されている。
また、図4のように図3における構成で、液晶ディスプレイ用衝撃吸収材3’と視認側の偏光板2の順番を入れ替えても良い。この場合透明保護板5と偏光板2を貼り付けるために粘着剤等を使用しても良い。図3や図4のように透明保護板5を使用する場合、透明保護板5の表面に反射防止層、防汚層、ハードコート層などが適宜積層されても良い。また偏光板2の表面に反射防止層、防汚層、ハードコート層などが積層されていても良いが、これらの機能性を有する層が無くても良い。
また、図3及び図4における液晶ディスプレイの構成に対応して、図5及び図6のように透明保護板5を配置しない構成もある。ただし、図6では、さらに、液晶ディスプレイ用衝撃吸収材3’と偏光板2の順番を入れ替えている。図5のように偏光板2が最前面にある場合には偏光板2の表面に反射防止層、防汚層、ハードコート層などが積層されていても良い。図6のように液晶ディスプレイ用衝撃吸収材3’が最前面にある場合には液晶ディスプレイ用衝撃吸収材3’の前面に反射防止層、防汚層、ハードコート層などが積層されていても良く、少なくともハードコート層が積層されていることが特に好ましい。
【実施例1】
【0044】
冷却管、温度計、撹拌装置、滴下漏斗及び窒素注入管の付いた反応容器に初期モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート84.0gと2−ヒドロキシエチルアクリレート36.0g並びにメチルイソブチルケトン150.0gをとり100ml/minの風量で窒素置換しながら、15分間で常温から70℃まで加熱した。その後、この温度に保ちながら、追加モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート21.0gと2−ヒドロキシエチルアクリレート9.0gを使用し、これらに並びにラウリルパーオキシド0.6gを溶解した溶液を準備し、この溶液を60分間かけて滴下し滴下終了後さらに2時間反応させた。続いて、メチルイソブチルケトンを溜去することにより2−エチルヘキシルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートのコポリマー(重量平均分子量250,000)を得た。
次に、このコポリマー 44.50g、
2−エチルヘキシルアクリレート 38.25g、
2−ヒドロキシエチルアクリレート 16.25g、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 1.00g、
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン 0.50g
を加え、攪拌混合して、液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物を作製した後、幅100mm、奥行き100mm、深さ0.5mmの枠に流し込み、上部を紫外線透過ガラスで覆った状態で、紫外線照射装置を用いて紫外線を2,000mJ照射したところ透明なシートを得た。次にこのシートを前面ガラス用の2.8mm厚のフロートガラスに貼合し、さらに0.7mm厚のガラスに貼り合わせて耐衝撃性の試験を行ったところ、0.6Jでは前面ガラスが破損せず、0.75Jで破損した。
また幅40mm、奥行き40mm、深さ10mmの枠に流し込み、上部を紫外線透過ガラスで覆った状態で、紫外線照射装置を用いて紫外線を9,000mJ照射しゴム硬度測定用のサンプルを作製し、ゴム硬度の測定を行ったところゴム硬度は2であった。
【実施例2】
【0045】
実施例1のコポリマー 42.75g
2−エチルヘキシルアクリレート 36.58g、
2−ヒドロキシエチルアクリレート 15.67g、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 5.00g、
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン 0.50g
を加え、攪拌混合した後、幅100mm、奥行き100mm、深さ0.5mmの枠に流し込み、上部を紫外線透過ガラスで覆った状態で、紫外線照射装置を用いて紫外線を2,000mJ照射したところ透明なシートを得た。次にこのシートを前面ガラス用の2.8mm厚のフロートガラスに貼合し、さらに0.7mm厚のガラスに貼り合わせて耐衝撃性の試験を行ったところ、1.0Jでは前面ガラスが破損せず、1.25Jで破損した。
また幅40mm、奥行き40mm、深さ10mmの枠に流し込み、上部を紫外線透過ガラスで覆った状態で、紫外線照射装置を用いて紫外線を9,000mJ照射しゴム硬度測定用のサンプルを作製し、ゴム硬度の測定を行ったところゴム硬度は22であった。
【実施例3】
【0046】
実施例1のコポリマー 40.5g
2−エチルヘキシルアクリレート 34.65g、
2−ヒドロキシエチルアクリレート 14.85g、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 10.00g、
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン 0.50g
を加え、攪拌混合した後、幅100mm、奥行き100mm、深さ0.5mmの枠に流し込み、上部を紫外線透過ガラスで覆った状態で、紫外線照射装置を用いて紫外線を2,000mJ照射したところ透明なシートを得た。次にこのシートを前面ガラス用の2.8mm厚のフロートガラスに貼合し、さらに0.7mm厚のガラスに貼り合わせて耐衝撃性の試験を行ったところ、0.5Jでは前面ガラスが破損せず、0.75Jで破損した。
また幅40mm、奥行き40mm、深さ10mmの枠に流し込み、上部を紫外線透過ガラスで覆った状態で、紫外線照射装置を用いて紫外線を9,000mJ照射しゴム硬度測定用のサンプルを作製し、ゴム硬度の測定を行ったところゴム硬度は38であった。
【実施例4】
【0047】
実施例1の樹脂を幅100mm、奥行き100mm、深さ0.15mmの枠に流し込み、上部を紫外線透過ガラスで覆った状態で、紫外線照射装置を用いて紫外線を2,000mJ照射したところ透明なシートを得た。次にこのシートを前面ガラス用の2.8mm厚のフロートガラスに貼合し、さらに0.7mm厚のガラスに貼り合わせて耐衝撃性の試験を行ったところ、0.75Jでは前面ガラスが破損せず、1.0Jで破損した。
【実施例5】
【0048】
実施例1と同様に作製したシートを前面ガラス用の6.0mm厚のフロートガラスに貼合し、さらに0.7mm厚のガラスに貼り合わせて耐衝撃性の試験を行ったところ、2.75Jでは前面ガラスが破損せず、3.0Jで破損した。
【実施例6】
【0049】
実施例1と同様に作製したシートを前面ガラス用の1.3mm厚のフロートガラスに貼合し、さらに0.7mm厚のガラスに貼り合わせて耐衝撃性の試験を行ったところ、0.4Jでは前面ガラスが破損せず、0.5Jで破損した。
【実施例7】
【0050】
対角32インチの液晶表示セルの表面に貼り付けられたAG処理された偏光板の4辺に厚さ0.5mm、幅5mmの短冊を貼り付け型枠とした。そこに実施例1と同じ液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物を流し込み、対角32インチで厚さ2.8mmの、表面に反射防止層を製膜したソーダガラスで気泡が入らないように表面を覆った。次にメタルハライドランプを使用したコンベア型紫外線照射装置を使用して積算露光量2,000mJで露光し、樹脂を硬化させて液晶ディスプレイ用衝撃吸収材と透明保護板を有する液晶表示セルを得た。この液晶表示セルをバックライトユニットや駆動回路を有する筐体にセットし、液晶ディスプレイとした。この液晶ディスプレイは内部の樹脂材料の着色による色の変化はなく、また液晶ディスプレイ用衝撃吸収材や透明保護板の界面での剥離や浮きは見られなかった。また2重映りによる画像劣化がなく、表面に触ってもパネルのたわみによる画質の劣化も見られなかった。
【0051】
比較例1
実施例1のコポリマー 31.5g
2−エチルヘキシルアクリレート 26.95g、
2−ヒドロキシエチルアクリレート 11.55g、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 30.00g、
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン 0.50g
を加え、攪拌混合した後、幅100mm、奥行き100mm、深さ0.5mmの枠に流し込み、上部を紫外線透過ガラスで覆った状態で、紫外線照射装置を用いて紫外線を2,000mJ照射したところ透明なシートを得た。次にこのシートを前面ガラス用の2.8mm厚のフロートガラスに貼合し、さらに0.7mm厚のガラスに貼り合わせて耐衝撃性の試験を行ったところ、0.25Jで前面ガラスが破損した。
また幅40mm、奥行き40mm、深さ10mmの枠に流し込み、上部を紫外線透過ガラスで覆った状態で、紫外線照射装置を用いて紫外線を9,000mJ照射しゴム硬度測定用のサンプルを作製し、ゴム硬度の測定を行ったところゴム硬度は75であった。
【0052】
比較例2
実施例1の樹脂を幅100mm、奥行き100mm、深さ1.0mmの枠に流し込み、上部を紫外線透過ガラスで覆った状態で、紫外線照射装置を用いて紫外線を2,000mJ照射したところ透明なシートを得た。次にこのシートを前面ガラス用の2.8mm厚のフロートガラスに貼合し、さらに0.7mm厚のガラスに貼り合わせて耐衝撃性の試験を行ったところ、0.25Jでは前面ガラスが破損せず、0.4Jで破損した。
【0053】
比較例3
0.7mmのガラスのみで耐衝撃性の試験を行ったところ0.25Jでガラスが破損した。
【0054】
実施例及び比較例での試験方法を次に示す。
(重量平均分子量測定)
重量平均分子量の測定はTHFを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使用して行い、標準ポリスチレンの検量線を使用して重量平均分子量を決定した。
(耐衝撃性試験)
耐衝撃性試験は、前面ガラスに前記の樹脂シートを貼合したものをさらに厚さ0.7mmの液晶パネルに使用されているものと同等のガラスに貼合し、前面ガラス側に510gの鋼球を落下させて評価した。5cm、8cm、10cm、12cm、15cm、以降は5cm刻みで鋼球の中心高さを変えて鋼球を落下させ、前面ガラスが割れるかどうかで判定を行った。衝撃強さは下記の式から計算した。
衝撃強さ=鋼球重さ(Kg)×高さ(m)×9.8(m/s
例えば高さ5cmの場合、0.51×0.05×9.8=0.25Jとなる。
(ゴム硬度測定)
幅40mm、奥行き40mm、深さ10mmのサンプルを使用し、西東京精密株式会社製スプリング式硬度計(型式:WR−104A)でゴム硬度を測定した。測定は5点行い、5点の平均値をゴム硬度とした。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】従来の液晶ディスプレイを示す断面模式図。
【図2】従来の液晶ディスプレイの他の例を示す断面模式図。
【図3】本発明の液晶ディスプレイを示す断面模式図。
【図4】本発明の液晶ディスプレイの他の例を示す断面模式図。
【図5】本発明の液晶ディスプレイの他の例を示す断面模式図。
【図6】本発明の液晶ディスプレイの他の例を示す断面模式図。
【符号の説明】
【0056】
1 液晶表示セル
2 偏光板
3 空隙(空気層)
3’ 液晶ディスプレイ用衝撃吸収材
4 バックライトシステム
5 透明保護板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル酸系誘導体ポリマー 10〜80重量部、
アクリル酸系誘導体 15〜89.9重量部
及び
重合開始剤 0.1〜5重量部
を含有してなる液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。
【請求項2】
コポリマー 15〜60重量部
アクリロイル基を1個有するモノマー 39〜84重量部
アクリロイル基を2個以上有するモノマー 0.5〜10重量部
及び
光重合開始剤 0.3〜3重量部
を含有し、
上記のコポリマーが、アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキルアクリレート(以下、AAモノマーという。)50〜87重量%と下記一般式(I)
【化1】

(ただし、式中、mは2、3又は4、nは1〜10の整数をしめす。)
で表されるヒドロキシル基含有アクリレート(以下、HAモノマーという。)13〜50重量%を重合させて得られるものであり、
上記のアクリロイル基を1個有するモノマーとして、AAモノマーを50〜87重量%及びHAモノマーを13〜50重量%の割合になるように使用し、
上記コポリマー中のHAモノマーの割合(P重量%)と、アクリロイル基を1個有するモノマーにおけるHAモノマーの割合(M重量%)との間に、
【数1】

の関係があるように配合されてなる請求項1記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。
【請求項3】
光重合開始剤がα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物あるいはアシルフォスフィンオキサイド系化合物あるいはオリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)である請求項2記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。
【請求項4】
AAモノマーが2−エチルヘキシルアクリレートまたはイソオクチルアクリレートまたはn−オクチルアクリレートであり、HAモノマーが2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは1−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシプロピルアクリレートまたは3−ヒドロキシプロピルアクリレートまたは1−ヒドロキシプロピルアクリレートまたは4−ヒドロキシブチルアクリレートまたは3ヒドロキシブチルアクリレートまたは2−ヒドロキシブチルアクリレートまたは1−ヒドロキシブチルアクリレートである請求項3又は4記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。
【請求項5】
コポリマーの重量平均分子量が100,000〜700,000である請求項2〜4のいずれかに記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。
【請求項6】
コポリマ 40〜60重量部、
アクリロイル基を1個有するモノマー 39〜59重量部、
アクリロイル基を2個以上有するモノマー 1〜5重量部、
及び
光重合開始剤 0.5〜2.0重量部
を含有する請求項2〜5のいずれかに記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物を硬化反応させてなる液晶ディスプレイ用衝撃吸収材。
【請求項8】
形状がシート状又はフィルム状である請求項7記載の液晶ディスプレイ用衝撃吸収材。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物又は請求項7若しくは8のいずれかに記載の液晶ディスプレイ用衝撃吸収材を使用して得られる液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収層を備えた液晶ディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の液晶ディスプレイ向け衝撃吸収用樹脂組成物又は請求項7若しくは8のいずれかに記載の液晶ディスプレイ用衝撃吸収材を使用して得られる液晶ディスプレイ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−9115(P2007−9115A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194019(P2005−194019)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】