説明

液晶ポリエステル樹脂組成物

【課題】優れた機械的性質を有し、高い熱変形温度を示し、高温で処理した場合にも反りが少なく、ブリスター発生の少ない液晶ポリエステル樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】式〔1〕で表される繰り返し単位、および/または、式〔2〕で表される繰り返し単位を含み、かつ、式〔1〕で表される繰り返し単位の量が全繰り返し単位中40モル%未満である液晶ポリエステル樹脂100重量部に、断面形状が、長径/短径の平均比率が1.5〜6.0、長径の平均径が10〜40μmの楕円形状であるガラス繊維を10〜250重量部配合してなる液晶ポリエステル樹脂組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械物性に優れ、反りが少なく、ブリスターの発生し難い液晶ポリエステル樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂(以下液晶ポリエステル樹脂またはLCPと略称する)は、耐熱性、剛性等の機械物性、耐薬品性、寸法精度等に優れているため、成形品用途のみならず、繊維やフィルムといった各種用途にその使用が拡大しつつある。
【0003】
特にパーソナル・コンピューターや携帯電話等の情報・通信分野においては、部品の高集積度化、小型化、薄肉化、低背化等が急速に進んでおり、非常に薄い肉厚部が形成されるケースが多い。そこで、LCPはその優れた成形性、すなわち、流動性が良好であり、かつバリが出ないという他の樹脂にない特徴を活かして、その使用量が大幅に増大している。
【0004】
しかしながら、近年、はんだの鉛フリー化によりコネクターなどの電子部品用途において、リフロー温度がより高温化しており、LCPの成形品においてもブリスターと呼ばれる成形品表面の膨れの発生や、成形品の反りが問題となっている。
【0005】
高温下でのブリスターや反りの問題を改善する方法として、全構成単位に対して40〜75モル%という多量の6−オキシ−2−ナフトイル繰り返し単位を含む全芳香族ポリエステル樹脂に対し、扁平比が1.5〜4.0の断面形状が楕円状やまゆ型である扁平ガラス繊維と、平均粒子径が0.5〜200μmのタルクなどの板状充填材を特定の比率で全芳香族ポリエステルに配合する方法が提案されている(特許文献1を参照)。
【0006】
しかし、特許文献1に開示される液晶ポリエステル樹脂組成物においては、靭性(衝撃強度)が低いことや、反りの発生の改善が十分でないなどの問題がある。また、板状充填材としてタルクを用いた場合には、タルクが有する結晶水に起因して、ブリスターが発生しやすいことや、高温での加工中に熱変形温度(荷重撓み温度)や曲げ強度などの機械的性質が低下する問題がある。
【0007】
このため、優れた機械的性質を有し、高い熱変形温度を示し、高温で処理した場合にも反りが少なく、ブリスター発生の少ない液晶ポリエステル樹脂組成物の開発が望まれている。
【特許文献1】特開2003−268252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、優れた機械的性質を有し、高い熱変形温度を示し、高温で処理した場合にも反りが少なく、ブリスター発生の少ない液晶ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式〔1〕で表される繰り返し単位、および/または、式〔2〕で表される繰り返し単位を含み、かつ、式〔1〕で表される繰り返し単位の量が全繰り返し単位中40モル%未満である液晶ポリエステル樹脂100重量部に、断面形状が、長径/短径の平均比率が1.5〜6.0、長径の平均径が10〜40μmの楕円形状であるガラス繊維を10〜250重量部配合してなる液晶ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【化1】

【化2】

【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物に用いる液晶ポリエステル樹脂は、当業者にサーモトロピック液晶ポリエステルと呼ばれる異方性溶融相を形成する液晶ポリエステル樹脂である。
【0011】
液晶ポリエステル樹脂の異方性溶融相の性質は直交偏向子を利用した通常の偏向検査法、すなわち、ホットステージにのせた試料を窒素雰囲気下で観察することにより確認できる。
【0012】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂としては、式〔1〕で表される繰り返し単位、および/または、式〔2〕で表される繰り返し単位を含み、かつ、式〔1〕で表される繰り返し単位の量が全繰り返し単位中40モル%未満である液晶ポリエステル樹脂を、二種以上ブレンドしたものも用いることができる。
【0013】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂は、分子鎖中に脂肪族基を有する半芳香族液晶ポリエステル樹脂、または分子鎖が全て芳香族基より構成される全芳香族液晶ポリエステル樹脂の何れを用いてもよい。これらの液晶ポリエステル樹脂の中では、難燃性や機械的物性が良好であることから全芳香族液晶ポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。
【0014】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂を構成する繰返し単位としては、芳香族オキシカルボニル繰返し単位、芳香族ジカルボニル繰返し単位、芳香族ジオキシ繰返し単位、芳香族オキシジカルボニル繰返し単位、および脂肪族ジオキシ繰返し単位などが挙げられる
【0015】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂は、これらの各繰返し単位の中でも、芳香族オキシカルボニル繰り返し単位として、式〔1〕で表される6−オキシ−2−ナフトイル繰り返し単位、および/または、式〔2〕で表されるパラオキシベンゾイル繰り返し単位を必須に含むものである。
【化3】

【化4】

【0016】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂において、全繰り返し単位中での式〔1〕で表される繰り返し単位の量は、得られる液晶ポリエステル樹脂組成物が高い靭性(衝撃強度)を示すために、40モル%未満であり、35モル%以下であるのが好ましく、30モル%以下であるのが特に好ましい。
【0017】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂において、全繰り返し単位中での式〔2〕で表される繰り返し単位の量は、本発明の目的が達成され、式〔1〕で表される繰り返し単位の全繰り返し単位中の量が40モル%未満である限り、特に制限されないが、80モル%以下であるのが好ましく、75モル%以下であるのが特に好ましい。
【0018】
式〔1〕の繰り返し単位を与える単量体としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が挙げられ、式〔2〕の繰り返し単位を与える単量体としては、パラヒドロキシ安息香酸が挙げられる。これらの単量体はアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体として用いてもよい。
【0019】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂が、式〔1〕および式〔2〕で表される繰り返し単位のみから構成される場合には、液晶ポリエステル樹脂の全繰り返し単位中での式〔1〕で表される繰り返し単位の含有量は、15〜30モル%であるのが好ましく、20〜30モル%であるのが特に好ましい。
【0020】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂は、式〔1〕および式〔2〕以外の芳香族オキシカルボニル繰り返し単位を含んでいても良い。
【0021】
式〔1〕および式〔2〕以外の芳香族オキシカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえばメタヒドロキシ安息香酸、オルトヒドロキシ安息香酸、5−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、3’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、4’−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびに6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸およびパラヒドロキシ安息香酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。これらの単量体はアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体として用いてもよい。
【0022】
本発明において、好ましい全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、式〔1〕で表される繰り返し単位、および/または、式〔2〕で表される繰り返し単位、並びに芳香族ジカルボニル繰り返し単位および芳香族ジオキシ繰り返し単位からなるものである。
【0023】
さらに好ましい全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、式〔1〕で表される繰り返し単位と式〔2〕で表される繰り返し単位の合計量が、全繰り返し単位中50〜90モル%であり、かつ、芳香族ジオキシ繰り返し単位および芳香族ジカルボニル繰り返し単位の含有量が実質的に等モルであるものである。
【0024】
上記のように本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂が、芳香族ジカルボニル繰り返し単位および芳香族ジオキシ繰り返し単位を含むものである場合には、両繰り返し単位の、液晶ポリエステル樹脂の全繰り返し単位中での含有量は実質的に等モルであるのが好ましい。
【0025】
ここで、芳香族ジカルボニル繰り返し単位と芳香族ジオキシ繰り返し単位の含有量が実質的に等モルであるとは、液晶ポリエステル樹脂中での両繰り返し単位の含有量(モル%)の比が95/100〜100/95であることを意味する。
【0026】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂において、芳香族ジカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル等の芳香族ジカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中ではテレフタル酸、および2,6−ナフタレンジカルボン酸が得られる液晶ポリエステルの機械物性、耐熱性、融点温度、成形性を適度なレベルに調整しやすいことから好ましい。
【0027】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂において、芳香族ジオキシ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえばハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニルエ−テル等の芳香族ジオール、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中ではハイドロキノン、レゾルシン、および4,4’−ジヒドロキシビフェニルが重合時の反応性、得られる液晶ポリエステル樹脂の特性などの点から好ましい。
【0028】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂において、芳香族オキシジカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえば3−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジカルボン酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、および5−ヒドロキシイソフタル酸等のヒドロキシ芳香族ジカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0029】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂において、脂肪族ジオキシ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、ならびにそれらのアシル化物が挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレートや、ポリブチレンテレフタレートなどの脂肪族ジオキシ繰返し単位を含有するポリエステルを、前記の芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよびそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などと反応させることによっても、脂肪族ジオキシ繰返し単位を含む液晶ポリエステル樹脂を得ることができる。
【0030】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で、アミド結合やチオエステル結合を含むものであってもよい。このような結合を与える単量体としては、ヒドロキシ芳香族アミン、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸、メルカプト芳香族カルボン酸、および芳香族ジチオールおよびヒドロキシ芳香族チオールなどが挙げられる。これらの単量体の使用量は、芳香族オキシカルボニル繰返し単位、芳香族ジカルボニル繰返し単位、芳香族ジオキシ繰返し単位、芳香族オキシジカルボニル繰返し単位、および脂肪族ジオキシ繰返し単位を与える単量体の合計量に対して10モル%以下であるのが好ましい。
【0031】
これらの繰り返し単位を組み合わせた液晶ポリエステル樹脂は、 モノマーの構成や組成比、ポリマー中での各繰り返し単位のシークエンス分布によっては、異方性溶融相を形成するものとしないものが存在するが、本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂は異方性溶融相を形成するものに限られる。
【0032】
本発明に用いる、好ましい液晶ポリエステル樹脂の具体例としては、例えば下記のモノマー構成単位からなるものが挙げられる。
1)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸共重合体
2)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル共重合体
3)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル共重合体
4)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル/ハイドロキノン共重合体
5)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/ハイドロキノン共重合体
6)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン共重合体
7)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル共重合体
8)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル共重合体
9)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン共重合体
10)4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル共重合体
11)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体
12)4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体
13)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体
14)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン/4,4'−ジヒドロキシビフェニル共重合体
15)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/エチレングリコール共重合体
16)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール共重合体
17)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/エチレングリコール共重合体
18)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール共重合体
19)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル共重合体。
【0033】
これらの中では、耐熱性および機械的性質に優れることなどから、上記1)、13)、または19)から選択される共重合体を、液晶ポリエステル樹脂として用いるのが好ましい。
【0034】
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂の、示差操作熱量計により測定される結晶融解温度(Tm)は特に限定されないが、耐熱性の点から、320〜380℃であるのが好ましく、325〜380℃であるのがより好ましく、330〜380℃であるのが最も好ましい。
【0035】
なお、結晶融解温度(Tm)は以下に記載する方法により測定されるものである。
〈結晶融解温度測定方法〉
示差走査熱量計としてセイコーインスツルメンツ株式会社製Exstar6000を用いる。液晶ポリエステル樹脂の試料を、室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の測定後、Tm1より20〜50℃高い温度で10分間保持する。ついで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却し、さらに、再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を液晶ポリエステル樹脂の結晶融解温度(Tm)とする。
【0036】
また、本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂の、ASTM D648に準拠し測定される荷重撓み温度は、270〜340℃であるのが好ましく、280〜340℃であるのがより好ましく、290〜340℃であるのが最も好ましい。
【0037】
なお、荷重撓み温度は以下に記載する方法により測定されるものである。
〈荷重撓み温度測定方法〉
射出成形機(日精樹脂工業(株)製UH1000−110)を用いて長さ127mm、幅12.7mm、厚さ3.2mmの短冊状試験片を成形し、これを用いてASTM D648に準拠し、荷重1.82MPa、昇温速度2℃/分で測定する。
【0038】
さらに、本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂のキャピラリーレオメーターにより測定される溶融粘度は、10〜100Pa・sであるのが好ましく、10〜80Pa・sであるのがより好ましく、10〜60Pa・sであるのが最も好ましい。
【0039】
なお、溶融粘度は以下に記載する方法により測定されるものである。
〈溶融粘度測定方法〉
溶融粘度測定装置(東洋精機(株)製キャピログラフ1D)を用い、0.7mmφ×10mmのキャピラリーで、結晶融解温度(Tm)+30℃の温度条件にて剪断速度10−1での粘度を測定し、溶融粘度とする。
【0040】
以下、本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
本発明に用いる液晶ポリエステル樹脂の製造方法に特に制限はなく、前記の単量体の組み合わせからなるエステル結合を形成させる公知の重縮合方法、例えば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などを用いることができる。
【0041】
溶融アシドリシス法とは、本発明で用いる液晶ポリエステル樹脂の製造方法に用いるのに好ましい方法であり、この方法は、最初に単量体を加熱して反応物質の溶融液を形成し、続いて反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(例えば、酢酸、水等)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
【0042】
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
【0043】
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法の何れの場合においても、液晶ポリエステルを製造する際に使用する重合性単量体成分は、常温において、ヒドロキシル基および/またはアミノ基をアシル化した変性形態、すなわち低級アシル化物として反応に供することもできる。低級アシル基は炭素原子数2〜5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは前記単量体のアセチル化物を反応に用いる方法が挙げられる。
【0044】
単量体のアシル化物は、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、液晶ポリエステル樹脂の製造時に単量体に無水酢酸等のアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
【0045】
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法の何れの場合においても反応時、必要に応じて触媒を用いてもよい。
【0046】
触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(たとえばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;二酸化チタン、三酸化アンチモン、アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物;カルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩(たとえば酢酸カリウム);無機酸塩類(たとえば硫酸カリウム);ルイス酸(例えば三フッ化硼素);ハロゲン化水素(例えば塩化水素)などの気体状酸触媒などが挙げられる。
【0047】
触媒の使用割合は、通常モノマー全量に対して10〜1000ppm、好ましくは20〜300ppmである。
【0048】
このようにして重縮合反応され得られた液晶ポリエステル樹脂は、それぞれ溶融状態で重合反応槽より抜き出された後に、ペレット状、フレーク状、または粉末状に加工される。
【0049】
ペレット状、フレーク状、または粉末状の液晶ポリエステル樹脂は、分子量を高め耐熱性を向上させる目的などで、減圧下または不活性ガス雰囲気下において、実質的に固相状態において熱処理を行ってもよい。
【0050】
固相状態でおこなう熱処理の温度は、液晶ポリエステル樹脂が溶融しない限り特に限定されないが、260〜350℃、好ましくは280〜320℃で行うのがよい。
【0051】
このようにして得られた、ペレット状、フレーク状、または粉末状の液晶ポリエステル樹脂は、次いで、バンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出し機などを用いて、断面形状が楕円形状のガラス繊維と溶融混練され、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物とされる。
【0052】
溶融混練された液晶ポリエステル樹脂組成物は、ストランド状に押し出されたものをカットし、ペレット形状とするのが好ましい。
【0053】
本発明において、断面形状が楕円形状であるガラス繊維の配合量は、液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、10〜250重量部であるのが好ましく、15〜100重量部であるのが特に好ましく、25〜70重量部であるのが最も好ましい。
【0054】
本発明において、断面形状が楕円形状のガラス繊維は、断面の長径/短径の平均比率が1.5〜6.0、より好ましくは3.0〜5.5のものを用いる。
【0055】
また、断面形状が楕円形状のガラス繊維は、断面の長径の平均径が10〜40μm、より好ましくは12〜35μm、最も好ましくは15〜30μmのものを用いる。
【0056】
断面形状が楕円形状のガラス繊維は、組成物中での平均繊維長が20〜500μm、より好ましくは150〜400μm、最も好ましくは200〜350μmであるのがよい。
【0057】
組成物中でのガラス繊維の平均繊維長は、以下のようにして測定するものである。
〈ガラス繊維長測定方法〉
液晶ポリエステル樹脂および断面形状が楕円形状のガラス繊維が溶融混練された液晶ポリエステル樹脂組成物(本発明の目的を損なわない範囲で他の充填材を含んでいてもよい)を完全に灰化して、残ったガラス繊維を純水と界面活性剤の混合液中にて完全に攪拌、分散させる。その混合液を1mlガラスプレートに取り出し、顕微鏡(オリンパス株式会社製、BX60)にてガラス繊維を観察する。得られた画像を、画像解析ソフト(MITANI Corporation製、Win Roof)に取り込みガラス繊維長を測定する。
【0058】
本発明において、ガラス繊維の断面形状が楕円形状であるとは、幾何学上の楕円形状であることのみを示すものではなく、ガラス繊維の断面を顕微鏡等により拡大視した場合に、その断面が楕円形状に類似するものと認識されるものであればよい(例えば角が丸みを帯びた長方形など)。
【0059】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、断面形状が楕円形状であるガラス繊維以外の、無機充填材および/または有機充填材を配合してもよい。
【0060】
本発明の液晶ポリエステル樹脂に配合してもよい、無機充填材および/または有機充填材としては、たとえば断面が円形状のガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、マイカ、シリカ、グラファイト、ウォラストナイト、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、および酸化チタンからなる群から選択される1種以上が挙げられるが、ただし、板状のものは除く。これらの中では、断面が円形状のガラス繊維を用いるのが、物性とコストのバランスに優れている点で好ましい。
【0061】
本発明の液晶ポリマー組成物における、断面形状が楕円形状であるガラス繊維以外の無機充填材および/または有機充填材の配合量は充填材の種類によっても異なるが、典型的には液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、断面が楕円形状であるガラス繊維との合計量が10〜250重量部であるのがよい。
【0062】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でさらに、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、ポリシロキサン、フッ素樹脂などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて配合されてもよい。
【0063】
高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤などの外部滑剤効果を有するものについては、液晶ポリエステル樹脂組成物を成形するに際して、予め、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物のペレットの表面に付着せしめてもよい。ここで高級脂肪酸とは炭素原子数10〜25のものをいう。
【0064】
また、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに、他の樹脂成分を配合してもよい。他の樹脂成分としては、たとえばポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、およびその変性物、ならびにポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。他の樹脂成分は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。他の樹脂成分の配合量は特に限定的ではなく、液晶ポリエステル樹脂組成物の用途や目的に応じて適宜定めればよい。典型的には液晶ポリエステル樹脂100重量部に対する他の樹脂の合計配合量が0.1〜100重量部、特に0.1〜80重量部となる範囲で添加される。
【0065】
このようにして得られる、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、例えば、円盤状の試験片を用いた、以下に記載する反り試験方法によって、反り量が6.5mm以下、好ましくは6.0mm以下、特に好ましくは5.5mm以下と、極めて少ない反り量を示すものである。
【0066】
〈反り量測定方法〉
射出成形機(日精樹脂株式会社製、UH−1000−110)を用いて、厚さ1.0mm、直径100mmの円盤状の試験片を作成する。この試験片を23℃、相対湿度50%の条件で24時間静置した後、定盤上にてハイトゲージ(株式会社ミツトヨ製、HDM−30)を用いて、定盤面から試験片端部の上面の距離を測定し反り量とする。
【0067】
このようにして得られる本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、射出成形機、押出機などを用いる公知の成形方法によって、成形品、フィルム、シート、および不織布などに加工される。
【0068】
特に、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、成形時の流動性に優れ、高温化においても反りやブリスターが発生し難い為、リフローなど高温下で加工される、スイッチ、リレー、コネクター、チップ、光ピックアップ、インバータトランス、コイルボビンなどの成形材料として好適に用いられる。
【0069】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0070】
まず、実施例および比較例において使用する液晶ポリエステル樹脂の合成例を記す。
以下、合成例における略号は以下の化合物を表す。
〔液晶ポリエステル樹脂合成に用いた単量体〕
BON6:6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
POB:パラヒドロキシ安息香酸
HQ:ハイドロキノン
BP:4,4’−ジヒドロキシビフェニル
TPA:テレフタル酸
NDA:2,6−ナフタレンジカルボン酸
【0071】
[合成例1]
【化5】

【0072】
POB:628.4g(4.55モル)、BON6:24.5g(0.13モル)、HQ:100.2g(0.91モル)、NDA:196.7g(0.91モル)および無水酢酸:684.9g(6.71モル)を、攪拌翼、熱交換器を有する容量2Lのガラス製の反応槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下に室温から145℃まで1時間かけて昇温し、同温度で1時間保持した。
【0073】
その後副生する酢酸を留去しながらさらに7時間かけて345℃まで昇温した。同温度で30分重合反応を行った後、80分かけて大気圧〜10torrまで減圧した。10torr下でさらに1時間反応した時点で所定の攪拌トルクに到達したので、反応槽を密閉した後、窒素ガスにより反応槽を大気圧に戻し反応を終了した。溶融状態のままで内容物を取り出し冷却後に粉砕しフレーク状の重合体を得た。
【0074】
この液晶ポリエステル樹脂の荷重たわみ温度は275℃であり、結晶融解温度は323℃、溶融粘度は42Pa・sであった。
【0075】
[合成例2]
【化6】

【0076】
POB:211kg(1529モル)、BP:61kg(328モル)、TPA:47kg (284モル)、NDA:9kg(44モル)、無水酢酸 232kg (2271モル)、および酢酸カリウム 7g (0.07モル)を攪拌翼、熱交換器を有する0.5mのSUS製の重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下に室温から145℃まで2時間かけて昇温し、同温度で1時間保持した。
【0077】
その後副生する酢酸を留去しながらさらに7時間かけて348℃まで昇温した。同温度で50分重合し所定の攪拌トルクに到達したので系を密閉し反応を終了した。
次いで窒素ガスにより重合槽内を0.1MPaに加圧し、重合槽底部のバルブを開け、ダイスを通しストランド状に抜き出しペレット状のプレポリマーを得た。
【0078】
得られたプレポリマーの示差走査熱量計により測定される結晶融解温度は349℃であった。
【0079】
このプレポリマーペレット10kgを40Lのタンブルドライヤーに槽内気相部分の温度200℃で仕込み、槽内を窒素で置換した後、120L/hrの窒素気流下、15rpmで回転させながら実質的に固体状態のまま槽内温度を300℃まで1時間かけて昇温し、同温度で7時間固相重合を行った。反応終了後、槽内を冷却し、回転を止めペレットを抜き出した。
【0080】
この液晶ポリエステル樹脂の荷重たわみ温度は330℃であり、結晶融解温度は374℃、溶融粘度は42Pa・sであった。
【0081】
[合成例3]
【化7】

【0082】
POB:248Kg(1800モル)、BON6:125Kg(664モル)、無水酢酸259Kg(2537モル)を攪拌翼、熱交換器を有する0.5mのSUS製の重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下に室温から145℃まで2時間かけて昇温し、同温度で0.5時間保持した。
【0083】
その後副生する酢酸を留去しながらさらに6時間かけて325℃まで昇温した。同温度で30分重合反応を行った後、同温度で90分かけて大気圧から100torrまで減圧した。100torr下にてさらに10分間重合を続けた結果、所定のトルクに達したので重合槽を密閉し、窒素ガスにより重合槽内を0.1MPaに加圧し反応を終了した。次いで、重合槽底部のバルブを開け、ダイスを通しストランド状に抜き出しペレット状のポリマーを得た。
【0084】
得られたポリマーの示差走査熱量計により測定される結晶融解温度は279℃であり、荷重撓み温度は174℃、溶融粘度は22Pa・sであった。
【0085】
[合成例4]
【化8】

【0086】
POB:13.8g(0.1モル)、BON6:451.7g(2.40モル)、BP:232.7g(1.25モル)、TPA:207.6g(1.25モル)および無水酢酸:529.4g(5.14モル)を、攪拌翼、熱交換器を有する容量2Lのガラス製の反応槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下に室温から143℃まで1時間かけて昇温し、同温度で1時間保持した。
【0087】
その後副生する酢酸を留去しながらさらに8.5時間かけて365℃まで昇温した。その後、60分かけて大気圧〜10torrまで減圧を行なった。10torrの減圧下にてさらに加熱、攪拌を0.5時間行った時点で所定の攪拌トルクに到達したので、反応槽を密閉した後、窒素ガスにより反応槽を大気圧に戻し反応を終了した。溶融状態のままで内容物を取り出し冷却後に粉砕しフレーク状の重合体を得た。
【0088】
この液晶ポリエステル樹脂の荷重たわみ温度は310℃であり、結晶融解温度は350℃、溶融粘度は20Pa・sであった。
【0089】
[実施例1〜6、比較例1〜5]
実施例中の物性の測定は以下に記載する方法で行った。
(1)曲げ試験
表1の成型条件で試験片を作成し、ASTM D−790に準拠し、曲げ強度を測定した。
(2)荷重撓み温度
表1の成形条件で試験片を作成し、前述の方法に従い測定した。
(3)反り量
表2の成形条件で試験片を作成し、前述の方法に従い測定した。
(4)Izod衝撃強度
表3の成形条件で試験片を作成し、ASTM D−256に準拠し、Izod衝撃強度を測定した。
(5)ブリスター評価
12.7mm×0.8mm×127mmの試験片を表4の成型条件により作成し、ギアオーブンにて所定の温度および時間にて熱処理を行い、表面に膨れが発生するかどうかを目視にて評価した。目視評価の基準を以下に記す。
○:ブリスターの発生が無いか、小さなブリスターがわずかに発生。
△:小さなブリスターが発生。
×:小さなブリスターが多数発生、または大きなブリスターが発生。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【0094】
合成例1〜4により得られた液晶ポリエステル樹脂と各種充填材を表5に示す割合で、二軸押出し機(株式会社日本製鋼所製 TEX−30 α)にて溶融混練し、ペレット化した。得られた液晶ポリエステル樹脂組成物のペレットを用いて、上記方法により各種試験を行った。得られた結果を表6に示す。
【0095】
【表5】

【0096】
○ガラス繊維(楕円形状):日東紡株式会社製、CSG 3PA−820
長径の平均径=28μm、長径/短径比=4
○ガラス繊維(円形状):日東紡績株式会社製、CS 3J−454S
平均径=10μm
○板状充填材(タルク):富士タルク株式会社製、DS−34
平均粒子径=30μm
【0097】
【表6】

【0098】
表6より、断面形状が楕円形状のガラス繊維を使用した系と断面形状が円形状のガラス繊維を使用した系の比較(例えば、実施例1と比較例1や、実施例3と比較例3の比較)より、断面形状が楕円形状のガラス繊維を用いた場合はが反り量が極めて少なく、また高い靭性(Izod衝撃強度)を示すことがわかる。
【0099】
また、断面形状が楕円形状のガラス繊維に加え、板状充填材としてタルクを配合した系(比較例2)においては、反り量については低い値を示すものの、荷重撓み温度と曲げ強度が大きく低化下し強度に問題があるとともに、ブリスターも発生しやすいものであることがわかる。
【0100】
さらに、式〔1〕で表される繰り返し単位(即ち6−オキシ−2−ナフトイル繰り返し単位)を48モル%と多量に含む液晶ポリエステル樹脂と断面形状が楕円形状のガラス繊維を配合した場合(比較例5)には、反り量は高い値を示し、靭性が極めて低いものであることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式〔1〕で表される繰り返し単位、および/または、式〔2〕で表される繰り返し単位を含み、かつ、式〔1〕で表される繰り返し単位の量が全繰り返し単位中40モル%未満である液晶ポリエステル樹脂100重量部に、断面形状が、長径/短径の平均比率が1.5〜6.0、長径の平均径が10〜40μmの楕円形状であるガラス繊維を10〜250重量部配合してなる液晶ポリエステル樹脂組成物。
【化1】

【化2】

【請求項2】
液晶ポリエステル樹脂が全芳香族液晶ポリエステル樹脂である、請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項3】
全芳香族液晶ポリエステル樹脂が、式〔1〕で表される繰り返し単位および式〔2〕で表される繰り返し単位のみからなり、全繰り返し単位中、式〔1〕で表される繰り返し単位が15〜30モル%である請求項2に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項4】
全芳香族液晶ポリエステル樹脂が、式〔1〕で表される繰り返し単位、および/または、式〔2〕で表される繰り返し単位、並びに芳香族ジカルボニル繰り返し単位および芳香族ジオキシ繰り返し単位からなるものである、請求項2に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項5】
式〔1〕で表される繰り返し単位と式〔2〕で表される繰り返し単位の合計量が、全繰り返し単位中50〜90モル%であり、かつ、芳香族ジオキシ繰り返し単位および芳香族ジカルボニル繰り返し単位の含有量が実質的に等モルである、請求項4に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項6】
液晶ポリエステル樹脂が、示差走査熱量計により測定される結晶融解温度が320℃〜380℃のものである請求項1から5いずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂粗組成物。
【請求項7】
液晶ポリエステル樹脂が、荷重撓み温度270℃〜340℃のものである、請求項1〜6の何れかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項8】
液晶ポリエステル樹脂組成物中の、断面が楕円形状であるガラス繊維の平均繊維長が20〜500μmである、請求項1〜7の何れかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項9】
さらに、液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、断面が円形状のガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、マイカ、シリカ、グラファイト、ウォラストナイト、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、および酸化チタンからなる群より選択され、ただし、板状のものは除く、一種以上の有機または無機充填材を、断面が楕円形状であるガラス繊維との合計量が10〜250重量部となるように配合してなる、請求項1〜8の何れかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項10】
該液晶ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる、厚さ1.0mm、直径100mmの円盤状の試験片を、23℃、相対湿度50%の条件で24時間静置した後の反り量が6.5mm以下である、請求項1〜9の何れかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形品。
【請求項12】
成形品がスイッチ、リレー、コネクター、チップ、光ピックアップ、インバータトランスおよびコイルボビンから選択される、請求項11に記載の成形品。

【公開番号】特開2007−161898(P2007−161898A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360665(P2005−360665)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000146423)株式会社ウエノテクノロジー (30)
【Fターム(参考)】