説明

液晶ポリエステル液状組成物

【課題】液晶ポリエステルと溶媒とを含み、常温で保存しても粘度が上昇し難く、流延後や含浸後に溶媒が除去され易い液状組成物を提供する。
【解決手段】液晶ポリエステルと溶媒とを含む液状組成物において、溶媒として、N−メチルピロリドンと1気圧における沸点が180℃以下である化合物とからなるものを用いる。溶媒の総量に占めるN−メチルピロリドンの割合は、20〜80質量%とする。1気圧における沸点が180℃以下である化合物としては、非プロトン性化合物が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ポリエステルと溶媒とを含む液状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ポリエステルは、耐熱性や強度が高く、吸湿性や誘電損失が低いことから、プリント配線板の絶縁層の材料として検討されている。また、この絶縁層に用いられる液晶ポリエステルフィルムや液晶ポリエステル含浸繊維シートを製造する方法として、液晶ポリエステルと溶媒とを含む液状組成物を用いる方法が検討されている。例えば、特許文献1や特許文献2には、前記液状組成物を支持基板上に流延した後、溶媒を除去することにより、液晶ポリエステルフィルムを製造する方法が開示されている。また、特許文献3や特許文献4には、前記液状組成物を繊維シートに含浸した後、溶媒を除去することにより、液晶ポリエステル含浸繊維シートを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−315678号公報
【特許文献2】特開2005−342980号公報
【特許文献3】特開2006− 1959号公報
【特許文献4】特開2007−146139号公報
【特許文献5】特開2009−227832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜4に開示の如き液晶ポリエステルと溶媒とを含む液状組成物は、常温で保存すると、粘度が上昇し易く、保存が長期になるとゲル化することもある。この問題を解決するため、特許文献5には、前記液状組成物を−5〜10℃で保存する方法が提案されているが、冷却設備を必要とするため、コスト的には不利となる。また、特許文献1〜3の実施例に開示の如き溶媒がN−メチルピロリドンである液状組成物は、特許文献4の実施例に開示の如き溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドである液状組成物に比べれば、粘度が上昇し難いが、N−メチルピロリドンの沸点が202℃と高いため、流延後や含浸後の液状組成物から溶媒を蒸発させて除去する際、時間や手間がかかる。そこで、本発明の目的は、液晶ポリエステルと溶媒とを含み、常温で保存しても粘度が上昇し難く、流延後や含浸後に溶媒が除去され易い液状組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明は、液晶ポリエステルと溶媒とを含む液状組成物であって、前記溶媒がN−メチルピロリドンと1気圧における沸点が180℃以下である化合物とからなり、前記溶媒の総量に占める前記N−メチルピロリドンの割合が20〜80質量%であることを特徴とする液状組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液状組成物は、常温で保存しても粘度が上昇し難く、流延後や乾燥後に溶媒が除去され易い。
【発明を実施するための形態】
【0007】
液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
【0008】
液晶ポリエステルの典型的な例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる化合物とを重合(重縮合)させてなるもの、異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる化合物とを重合させてなるもの、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを重合させてなるものが挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのそれぞれの一部又は全部に代えて、その重縮合可能な誘導体を原料モノマーとして用いてもよい。
【0009】
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重縮合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基やアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの、カルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるものが挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重縮合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるものが挙げられる。芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重縮合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるものが挙げられる。
【0010】
液晶ポリエステルは、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)と、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)とを有するものであることが好ましい。
【0011】
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
【0012】
(Ar1は、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(−NH−)を表す。Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
【0013】
(4)−Ar4−Z−Ar5
【0014】
(Ar4及びAr5は、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
【0015】
ここで、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられ、その炭素数は通常1〜10である。アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は通常6〜20である。アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基が挙げられ、その炭素数は通常1〜10である。
【0016】
繰返し単位(1)は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位であり、Ar1としては、p−フェニレン基(p−ヒドロキシ安息香酸に由来)及び2,6−ナフチレン基(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来)が好ましい。
【0017】
繰返し単位(2)は、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位であり、Ar2としては、p−フェニレン基(テレフタル酸に由来)、m−フェニレン基(イソフタル酸に由来)、2,6−ナフチレン基(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来)及びジフェニルエ−テル−4,4’−ジイル基(ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸に由来)が好ましい。
【0018】
繰返し単位(3)は、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位であり、Ar3としては、p−フェニレン基(ヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来)及び4,4’−ビフェニリレン基(4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来)が好ましい。
【0019】
繰返し単位(1)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量を各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30〜80モル%であり、より好ましくは30〜60モル%であり、さらに好ましくは30〜40モル%である。繰返し単位(1)の含有量が多いほど、液晶ポリエステルの液晶性が向上する傾向にあり、繰返し単位(1)の含有量が少ないほど、液晶性ポリエステルの溶媒に対する溶解性が向上する傾向にある。
【0020】
繰返し単位(2)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10〜35モル%であり、より好ましくは20〜35モル%であり、さらに好ましくは30〜35モル%である。繰返し単位(2)の含有量が多いほど、液晶性ポリエステルの溶媒に対する溶解性が向上する傾向にあり、繰返し単位(2)の含有量が少ないほど、液晶ポリエステルの液晶性が向上する傾向にある。
【0021】
繰返し単位(3)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10〜35モル%であり、より好ましくは20〜35モル%であり、さらに好ましくは30〜35モル%である。繰返し単位(3)の含有量が多いほど、液晶性ポリエステルの溶媒に対する溶解性が向上する傾向にあり、繰返し単位(3)の含有量が少ないほど、液晶ポリエステルの液晶性が向上する傾向にある。
【0022】
繰返し単位(2)と繰返し単位(3)との含有割合は、[繰返し単位(2)]/[繰返し単位(3)](モル/モル)で表して、0.9/1〜1/0.9であることが、液晶ポリエステルが高い液晶性を発現するので、好ましい。
【0023】
液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、X及び/又はYがイミノ基であるものを有すること、すなわち、芳香族ヒドロキシルアミンに由来する繰返し単位及び/又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位を有することが、溶媒に対する溶解性が優れるので、好ましく、実質的に全ての繰返し単位(3)のX及び/又はYがイミノ基であることが、より好ましい。
【0024】
液晶ポリエステルは、原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(プレポリマー)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。前記溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
【0025】
液晶ポリエステルは、その流動開始温度が250℃以上であることが好ましく、250℃〜350℃であることがより好ましく、270℃〜330℃であることがさらに好ましい。液晶ポリエステルの流動開始温度が高いほど、液晶ポリエステルの耐熱性や強度が向上する傾向にあるが、あまり高いと、液晶ポリエステルの溶媒に対する溶解性が低下したり、液状組成物の粘度が増加したりして、取り扱い難くなる。
【0026】
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメータを用い、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下において、4℃/分の昇温速度で液晶ポリエステルの加熱溶融体をノズルから押し出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48,000ポイズ)を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
【0027】
本発明の液状組成物は、前述のような液晶ポリエステルと溶媒とを含むものであり、溶媒としては、用いる液晶ポリエステルが溶解可能なもの、具体的には50℃にて1質量%以上の濃度([液晶ポリエステル]/[液晶ポリエステル+溶媒])で溶解可能なものが用いられる。
【0028】
そして、本発明では、溶媒として、N−メチルピロリドンと、1気圧における沸点が180℃以下、好ましくは170℃以下である化合物(以下、「低沸点化合物」ということがある。)とからなる混合溶媒を用いる。ここで、溶媒の総量に占めるN−メチルピロリドンの割合は、20〜80質量%、好ましくは50〜80質量%とし、すなわち、溶媒の総量に占める低沸点化合物の割合を、20〜80質量%、好ましくは20〜50質量%とする。これにより、常温で保存しても粘度が上昇し難く、流延後や含浸後に溶媒が除去され易い液状組成物を得ることができる。
【0029】
低沸点化合物としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物が好ましく、ハロゲン原子を含まない非プロトン性化合物がより好ましい。また、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、双極子モーメントが3〜5である非プロトン性極性化合物が好ましい。
【0030】
非プロトン性化合物の例(括弧内は1気圧における沸点)としては、1−クロロエタン(12℃)、クロロベンゼン(131℃)、1,1−ジクロロエタン(57℃)、1,2−ジクロロエタン(84℃)、クロロホルム(61℃)、1,1,2,2−テトラクロロエタン(146℃)等のハロゲン系化合物;ジエチルエーテル(35℃)、テトラヒドロフラン(66℃)、1,4−ジオキサン(101℃)等のエーテル系化合物;アセトン(57℃)、シクロヘキサノン(156℃)等のケトン系化合物;酢酸エチル(77℃)等のエステル系化合物;トリエチルアミン(90℃)、ピリジン(115℃)等のアミン系化合物;アセトニトリル(82℃)等のニトリル系化合物;N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(165℃)、テトラメチル尿素(177℃)等のアミド系化合物;ニトロメタン(101℃)等のニトロ系化合物が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
中でも、アミド系化合物が好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドやN,N−ジメチルアセトアミドのようなN,N−ジアルキルアミドがより好ましい。
【0032】
液状組成物中の液晶ポリエステルの含有量は、液晶ポリエステル及び溶媒の合計量に対して、通常5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜45質量%であり、所望の液状組成物の粘度が得られるように、また、液晶ポリエステルフィルムの製造に用いる場合は、所望のフィルム厚が得られるように、また、液晶ポリエステル含浸繊維シートの製造に用いる場合は、所望の含浸量となるように、適宜調整される。
【0033】
なお、液状組成物には、必要に応じて、液晶ポリエステル以外の樹脂、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂;グリシジルメタクリレートとポリエチレンとの共重合体等のエラストマー;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が、1種又は2種以上含まれていてもよいが、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、通常20質量部までである。
【0034】
また、液状組成物には、必要に応じて、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の無機フィラー;硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリル樹脂等の有機フィラー;カップリング剤、レべリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、染料、顔料が、1種又は2種以上含まれていてもよい。
【0035】
こうして得られる液状組成物は、常温で保存しても粘度が上昇し難く、流延後や含浸後に溶媒が除去され易いので、保存後、速やかに、液晶ポリエステルフィルムや液晶ポリエステル含浸繊維シートの製造に用いることができる。
【実施例】
【0036】
〔液晶ポリエステルの流動開始温度の測定〕
フローテスター((株)島津製作所の「CFT−500型」)を用いて、液晶ポリエステル約2gを内径1mm、長さ10mmのダイスを取付けた毛細管型レオメーターに充填し、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下において、昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルの加熱溶融体をノズルから押し出し、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度を測定した。
【0037】
〔液状組成物の粘度の測定〕
B型粘度計(東機産業(株)の「TVL−20型」)を用いて、No.21のローターにより、回転数20rpmで、23℃にて行った。
〔液状組成物の溶媒除去性の評価〕
銅箔(三井金属鉱業(株)の「3EC−VLP」)上に、フィルムアプリケーターを用いて、液状組成物を厚みが400μmになるように流延した後、送風乾燥機を用いて、100℃で10分間乾燥し、液状組成物の質量減少率((乾燥前質量−乾燥後質量)/乾燥前質量)を求めた。
【0038】
製造例1(液晶ポリエステルの製造)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1976g(10.5モル)、4−ヒドロキシアセトアニリド1474g(9.75モル)、イソフタル酸1620g(9.75モル)及び無水酢酸2374g(23.25モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、170分かけて300℃まで昇温し、トルクの上昇が認められた時点で、内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶ポリエステルのプレポリマーを得た。このプレポリマーの流動開始温度は、235℃であった。次いで、このプレポリマーを、窒素雰囲気下、223℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。こうして得られた液晶ポリエステルの流動開始温度は、270℃であった。
【0039】
実施例1、2、比較例1〜3
製造例1で得られた液晶ポリエステル75gを、表1に示す溶媒225gに加え、100℃で2時間攪拌して、液状組成物を溶液として得た。この液状組成物の粘度(初期)を測定すると共に、溶媒除去性を評価し、結果を表1に示した。次いで、この液状組成物を23℃で10日間保管した。この保管後の液状組成物の粘度(10日後)を測定し、結果を表1に示した。
【0040】
【表1】

【0041】
NMP:N−メチルピロリドン
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
*液状組成物がゲル化して、粘度の測定上限値(30000cP)を超えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリエステルと溶媒とを含む液状組成物であって、前記溶媒がN−メチルピロリドンと1気圧における沸点が180℃以下である化合物とからなり、前記溶媒の総量に占める前記N−メチルピロリドンの割合が20〜80質量%であることを特徴とする液状組成物。
【請求項2】
前記液晶ポリエステルが、下記式(1)で表される繰返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位と、下記式(3)で示される繰返し単位とを有する液晶ポリエステルである請求項1に記載の液状組成物。
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(Ar1は、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表す。Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar4−Z−Ar5
(Ar4及びAr5は、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
【請求項3】
前記液晶ポリエステルが、それを構成する全繰返し単位の合計量に対して、前記式(1)で表される繰返し単位を30〜80モル%、前記式(2)で表される繰返し単位を10〜35モル%、前記式(3)で示される繰返し単位を10〜35モル%有する液晶ポリエステルである請求項2に記載の液状組成物。
【請求項4】
X及び/又はYが、イミノ基である請求項2又は3に記載の液状組成物。
【請求項5】
前記液晶ポリマーの含有量が、前記液晶ポリマー及び前記溶媒の合計量に対して、10〜50質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の液状組成物。
【請求項6】
前記化合物が、非プロトン性化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の液状組成物。
【請求項7】
前記非プロトン性化合物が、ハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物である請求項6に記載の液状組成物。
【請求項8】
前記非プロトン性化合物が、アミド系化合物である請求項6又は7に記載の液状組成物。
【請求項9】
前記非プロトン性化合物が、N,N−ジアルキルアミドである請求項6又は7に記載の液状組成物。

【公開番号】特開2012−12467(P2012−12467A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149337(P2010−149337)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】