説明

液晶ポリマー組成物およびそれからなる成形品

【課題】成形時に成形品のブリスターの発生が少ない液晶ポリマー組成物を提供する。
【解決手段】液晶ポリマー100重量部に対して、軟化点が550℃以下である低温軟化性の無機ガラス0.01重量部以上、1重量部未満を含んでなる液晶ポリマー組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形時に成形品のブリスターの発生が少ない液晶ポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
サーモトロピック液晶ポリマー(以下液晶ポリマーまたはLCPと略称する)は、耐熱性、剛性等の機械物性、耐薬品性、寸法精度等に優れているため、成形品用途のみならず、繊維やフィルムといった各種用途にその使用が拡大しつつある。
【0003】
特にパーソナル・コンピューターや携帯電話等の情報・通信分野においては、部品の高集積度化、小型化、薄肉化、低背化が急速に進んでおり、非常に薄い肉厚部が形成されるケースが多い。そこで、LCPはその優れた成形性、すなわち流動性が良好であり、かつバリが出ないという他の樹脂にない特徴を生かして、その使用量が大幅に増大している。
しかしながら、近年、はんだの鉛フリー化により、コネクターなどの電子部品用途において、リフロー温度が高温化しており、液晶ポリマーの成形品においても高温でのリフロー処理により生じるブリスターと呼ばれる成形品表面の膨れの発生が問題となっている。
【0004】
また、リフロー温度が高温化した場合には、液晶ポリマーの成形品に反りが生じやすくなる問題があり、反りの発生を抑制するために液晶ポリマーにタルクなどの充填材を配合することが知られている。
【0005】
しかし、タルクは微量の水分を含有しているために、タルクを含有する液晶ポリマー組成物においては、成形品の反りの発生は抑制されるものの、ブリスターの発生がより増加しやすくなる問題を有するものである。
【0006】
このような、液晶ポリマーの成形品のブリスター発生の問題を解消する方法について多数の方法が提案されている。具体的には、シリコーンゴム、リン化合物、ホウ素化合物などを添加剤として配合する方法(特許文献1〜8を参照)、射出成形時のスクリュー圧縮比を調整する方法(特許文献9を参照)、または液晶ポリマーと無機充填材を溶融混練する場合のスクリュウ噛合率を調整する方法(特許文献10を参照)などが知られている。
【0007】
しかしながら、ブリスターの発生を抑制するために各種の添加剤を配合する方法については、ブリスター発生の抑制効果は改善の余地のあるものであり、添加剤によっては液晶ポリマー組成物の機械物性が大きく低下する問題がある。
【0008】
また、射出成形時や、液晶ポリマーと無機充填材と溶融混練時のスクリューの設定を調整する方法については、添加剤の配合と比較し、大きな作業負担がかかる問題がある。
これらの事情から、液晶ポリマー、特にタルクを含有する液晶ポリマー組成物において、成形時などのスクリューの設定の調整などの操作を行わず、添加剤の配合によって、成形品のブリスターの発生を抑制する方法の開発が強く望まれている。
また、液晶ポリマー組成物としては、種々の充填材、強化材、添加剤を配合したものが知られており、低温軟化性の無機ガラスを配合した例も知られている(特許文献11〜13を参照)。
【0009】
しかし、特許文献11〜13に記載される低温軟化性の無機ガラスを配合した液晶ポリマー組成物は、何れも液晶ポリマーに対して、多量の低温軟化性の無機ガラスを配合した物であり、液晶ポリマーが従来有する利点である精密成形性などに劣るものであった。加えて、少量の低温軟化性の無機ガラスを液晶ポリマーに配合した場合の効果については、なんら検討されていない。
【0010】
【特許文献1】特開平02−075653号公報
【特許文献2】特開平06−032880号公報
【特許文献3】特開平10−036641号公報
【特許文献4】特開平10−158482号公報
【特許文献5】特開平11−140283号公報
【特許文献6】特開平11−199761号公報
【特許文献7】特開2003−096279号公報
【特許文献8】特開2004−196886号公報
【特許文献9】特開平11−048278号公報
【特許文献10】特開2003−211443号公報
【特許文献11】特開平09−022969号公報
【特許文献12】特開平09−019938号公報
【特許文献13】特開平07−309634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、成形品のブリスターの発生が少ない液晶ポリマー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明は、軟化点が550℃以下である低温軟化性の無機ガラス0.01重量部以上、1重量部未満を含んでなる液晶ポリマー組成物に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において用いる液晶ポリマーは、異方性溶融相を形成するポリエステルまたはポリエステルアミドであり、当業者にサーモトロピック液晶ポリエステルまたはサーモトロピック液晶ポリエステルアミドと呼ばれるものであれば特に制限されない。
【0014】
異方性溶融相の性質は直交偏向子を利用した通常の偏向検査法、すなわちホットステージにのせた試料を窒素雰囲気下で観察することにより確認できる。
【0015】
本発明に用いる液晶ポリマーを構成する繰返し単位としては、芳香族オキシカルボニル繰返し単位、芳香族ジカルボニル繰返し単位、芳香族ジオキシ繰返し単位、芳香族アミノオキシ繰返し単位、芳香族アミノカルボニル繰返し単位、芳香族ジアミノ繰返し単位、芳香族オキシジカルボニル繰返し単位、および脂肪族ジオキシ繰返し単位などが挙げられる。
【0016】
これらの各繰返し単位から構成される液晶ポリマーは構成成分およびポリマー中の組成比、シークエンス分布によっては、異方性溶融相を形成するものとしないものが存在するが、本発明に使用される液晶ポリマーは異方性溶融相を形成するものに限られる。
【0017】
芳香族オキシカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえばパラヒドロキシ安息香酸、メタヒドロキシ安息香酸、オルトヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸、3’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸、4’−ヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中ではパラヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が得られる液晶ポリマーの特性や融点を調整しやすいという点から好ましい。
【0018】
芳香族ジカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル等の芳香族ジカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中ではテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が得られる液晶ポリエステルの機械物性、耐熱性、融点温度、成形性を適度なレベルに調整しやすいことから好ましい。
【0019】
芳香族ジオキシ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえばハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニルエ−テル等の芳香族ジオール、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中ではハイドロキノンおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニルが重合時の反応性、得られる液晶ポリマーの特性などの点から好ましい。
【0020】
芳香族アミノオキシ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえばp−アミノフェノール、m−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル等の芳香族ヒドロキシアミン、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物などのエステルまたはアミド形成性誘導体が挙げられる。
【0021】
芳香族ジアミノ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン等の芳香族ジアミン、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物などのアミド形成性誘導体が挙げられる。
【0022】
芳香族アミノカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえばp−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸等の芳香族アミノカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステルまたはアミド形成性誘導体が挙げられる。
【0023】
芳香族オキシジカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえば3−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジカルボン酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、および5−ヒドロキシイソフタル酸等のヒドロキシ芳香族ジカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0024】
脂肪族ジオキシ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、たとえばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、ならびにそれらのアシル化物が挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレートや、ポリブチレンテレフタレートなどの脂肪族ジオキシ繰返し単位を含有するポリエステルを、前記の芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボンおよびそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などと反応させることによっても、脂肪族ジオキシ繰返し単位を含む液晶ポリマーを得ることができる。
【0025】
本発明に用いる液晶ポリマーは本発明の目的を損なわない範囲で、チオエステル結合を含むものであってもよい。このような結合を与える単量体としては、メルカプト芳香族カルボン酸、および芳香族ジチオールおよびヒドロキシ芳香族チオールなどが挙げられる。これらの単量体の使用量は、芳香族オキシカルボニル繰返し単位、芳香族ジカルボニル繰返し単位、芳香族ジオキシ繰返し単位、芳香族アミノオキシ繰返し単位、芳香族ジアミノ繰返し単位、芳香族オキシジカルボニル繰返し単位、および脂肪族ジオキシ繰返し単位を与える単量体の合計量に対して10モル%以下であるのが好ましい。
【0026】
以上、本発明において用いる液晶ポリマーに含まれる繰返し単位とそれを与える単量体について説明したが、本発明において用いる液晶ポリマーは、芳香族オキシカルボニル繰返し単位である、4−オキシベンゾイル繰返し単位および/または6−オキシ−2−ナフトイル繰り返し単位を含むものを用いるのがより好ましい。
【0027】
4−オキシベンゾイル繰返し単位および/または6−オキシ−2−ナフトイル繰り返し単位を含む液晶ポリマーのなかでも、好ましいものとしては、例えば下記のモノマー構成単位からなる共重合体が挙げられる。
1)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸共重合体
2)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル共重合体
3)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル共重合体
4)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル/ハイドロキノン共重合体
5)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/ハイドロキノン共重合体
6)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン共重合体
7)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル共重合体
8)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル共重合体
9)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン共重合体
10)4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル共重合体
11)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体
12)4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体
13)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体
14)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン/4,4’−ジヒドロキシビフェニル共重合体
15)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4−アミノフェノール共重合体
16)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4−アミノフェノール共重合体
17)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4−アミノフェノール共重合体
18)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル /4−アミノフェノール共重合体
19)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/エチレングリコール共重合体
20)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール共重合体
21)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/エチレングリコール共重合体
22)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール共重合体
【0028】
これらの中では、成型加工性や機械的性質などから、1)、9)、13)の共重合体を液晶ポリマーとして用いるのが特に好ましい。
【0029】
本発明における液晶ポリマーは、成形時の流動性を改良するなどの目的で、2種以上の液晶ポリマーをブレンドしたものを用いてもよい。
【0030】
以下、本発明において用いる液晶ポリマーの製造方法について説明する。
本発明において用いる液晶ポリマーの製造方法に特に制限はなく、前記の単量体の組み合わせからなるエステル結合またはアミド結合を形成させる公知の重縮合方法、例えば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などを用いることができる。
【0031】
溶融アシドリシス法とは、本発明で用いる液晶ポリマーの製造方法に用いるのに好ましい方法であり、この方法は、最初に単量体を加熱して反応物質の溶融液を形成し、続いて反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(例えば、酢酸、水等)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
【0032】
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法の何れの場合においても、液晶ポリマーを製造する際に使用する重合性単量体成分は、ヒドロキシル基および/またはアミノ基をアシル化した変性形態、すなわち低級アシル化物として反応に供することもできる。低級アシル基は炭素原子数2〜5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは前記単量体のアセチル化物を反応に用いる方法が挙げられる。
【0033】
単量体のアシル化物は、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、液晶ポリマーの製造時に単量体に無水酢酸等のアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法の何れの場合においても反応時、必要に応じて触媒を用いてもよい。
触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(たとえばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;三酸化アンチモン;二酸化チタン;アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物;カルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩(たとえば酢酸カリウム);無機酸塩類(たとえば硫酸カリウム);ルイス酸(例えば三フッ化硼素);ハロゲン化水素(例えば塩化水素)などの気体状酸触媒などが挙げられる。
【0034】
触媒の使用割合は、通常モノマー重量に対して10〜1000ppm、好ましくは20〜200ppmである。
【0035】
このようにして重縮合反応され得られた液晶ポリマーは、それぞれ溶融状態で重合反応槽より抜き出された後に、ペレット状、フレーク状、または粉末状に加工される。
【0036】
得られた、ペレット状、フレーク状、または粉末状の液晶ポリマーは、分子量を高め耐熱性を向上させる目的などで、減圧下または窒素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下において、実質的に固相状態において熱処理を行ってもよい。
固相状態で熱処理を行う場合の処理温度は、液晶ポリマーが溶融しない限り特に限定されないが、260〜350℃、好ましくは280〜320℃で行うのがよい。
【0037】
なお、本発明において用いる液晶ポリマーはとしては、示差走査熱量計により測定した結晶融解温度が(Tm)が280〜360℃であるものが好ましい。
【0038】
以下に、結晶融解温度の測定方法を説明する。
〈結晶融解温度測定方法〉
示差走査熱量計としてセイコーインスツルメンツ株式会社製Exstar6000を用いる。
試料を、室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の測定後、Tm1より20〜50℃高い温度で10分間保持する。次いで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却し、さらに、再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を結晶融解温度(Tm)とする。
【0039】
このようにして得られた液晶ポリマーは、次いで、軟化点が550℃以下である低温軟化性の無機ガラスを配合され、本発明の液晶ポリマー組成物とされる。
【0040】
以下、本発明において使用する、低温軟化性の無機ガラスについて説明する。
本発明において用いる低温軟化性の無機ガラスは、軟化点が550℃以下、より好ましくは500℃以下のものを用いる。
無機ガラス軟化点の下限としては特に限定的ではないが、液晶ポリマーの結晶融解温度を超える温度であることが好ましく、液晶ポリマーの結晶融解温度+30℃より高い温度であることがより好ましい。
【0041】
本発明において用いる低温軟化性の無機ガラスの軟化点は、示差熱分析装置(DTA)による分析によって、低温側より順に観測される、第一発熱ピーク、第一吸熱ピーク、第二吸熱ピークのうち、第二吸熱ピークの温度として測定されるものである。
【0042】
本発明において用いる低温軟化性の無機ガラスとしては、例えば、B、P、ZnO、PbO、Al、NaO、LiO、KO、CuO、SiO、SO、SnO、CaO、MgO、SrO、Sb、ZrO、BaO、MnO、V、希土類の酸化物、および希土類のフッ化物からなる群から選択される一種以上のものを組み合わせて得られるものが挙げられる。
【0043】
これらの成分の組み合わせにより得られる低温軟化性の無機ガラスの中では、欧州でのRoHS指令などを考慮し鉛を含有しないものを用いるのがより好ましく、鉛を含有しない低温軟化性の無機ガラスとしては、ブリスターの抑制効果が高いことなどから、PおよびZnOを含有する低温軟化性の無機ガラスを用いるのが特に好ましい。
【0044】
本発明において用いる低温軟化性の無機ガラスの形状は特に限定されないが、本発明の液晶ポリマー組成物を成形品とした際に、成形品中に低温軟化性の無機ガラスが均一に分散し、良好なブリスター抑制効果を発揮しやすいことから、粉末状であるのが好ましい。
【0045】
低温軟化性の無機ガラスの形状が粉末状である場合には、その粒子径のメジアン値が0.1〜500μmが好ましく、1〜100μmであるのがより好ましい。
ここで、粉末状の低温軟化性の無機ガラスの粒子径とは、レーザー回折散乱式の粒度分布測定装置により計測される径である。
【0046】
本発明における、低温軟化性の無機ガラスの液晶ポリマーへの配合量は、液晶ポリマー100重量部に対して0.01重量部以上、1重量部未満であり、0.01重量部以上0.9重量部以下であるのがより好ましい。
低温軟化性の無機ガラスの配合量が1重量部を超える場合には、得られる液晶ポリマー組成物が加工時に粘度低下を起こしやすい問題がある。
【0047】
本発明の、低温軟化性無機ガラスを含んでなる液晶ポリマー組成物は、樹脂と充填材とを混合する際に従来から用いられているいずれの方法によって調製してもよい。好適な態様としては、下記の方法が例示される。
1)低温軟化性の無機ガラスを液晶ポリマー中へ溶融混練または類似の方法により分散させる。この態様においては任意成分である低温軟化性の無機ガラス以外の充填材および/またはその他の成分を予め液晶ポリマー中へ分散させておいても、または低温軟化性の無機ガラスと液晶ポリマーとを混練する際に同時に混練してもよい。
【0048】
2)ペレット状、フレーク状、または粉末状などの固体状の液晶ポリマーと、粉末状の低温軟化性の無機ガラスとを混合して、固体液晶ポリマーの表面上に低温軟化性の無機ガラス粉末を付着させる。この態様において、固体状液晶ポリマーは液晶ポリマー中に低温軟化性の無機ガラス以外の充填材および/またはその他の成分が分散されている液晶ポリマー組成物であってもよい。
【0049】
3)溶融混練する等して得られた液晶ポリマーと低温軟化性の無機ガラスとを含有する、ペレット状、フレーク状、または粉末状などの固体状液晶ポリマー組成物と、該液晶ポリマー組成物に含まれるものと同一または別の粉末状の低温軟化性の無機ガラスとを混合して、該固体状の液晶ポリマー組成物表面上に後者の低温軟化性の無機ガラスを付着させる。この態様において、固体状液晶ポリマー組成物はさらに低温軟化性の無機ガラス以外の充填材および/またはその他の成分を含有していてもよい。
【0050】
上記1)等、低温軟化性の無機ガラスを液晶ポリマー組成物中に溶融混練により分散させるには、従来公知のいかなる手段を用いてもよく、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機などを用いて、液晶ポリマーおよび無機ガラスを液晶ポリマーの結晶融解温度近傍ないし結晶融解温度+30℃で溶融混練して液晶ポリマーに配合すればよい。
【0051】
上記2)および3)等、固体状液晶ポリマーまたは液晶ポリマー組成物と粉末状の低温軟化性の無機ガラスとを混合するには、従来公知のいかなる手段を用いてもよく、例えばペレット状、フレーク状、または粉末状などの固体状液晶ポリマーまたは液晶ポリマー組成物と低温軟化性の無機ガラスとをタンブラーミキサー等により均一に混合すればよい。固体状液晶ポリマーまたは液晶ポリマー組成物の形状としては、ペレット状のものが特に好適に用いられる。混合時の温度は液晶ポリマーが溶融しない温度であれば特に制限されないが、典型的には室温で行えばよい。
【0052】
本発明の液晶ポリマー組成物には、成形品の機械物性や、表面特性を改良する目的などで、低温軟化性の無機ガラスの他に、繊維状の充填材、および/または板状または粉状の充填材を含んでいてもよい。
【0053】
本発明において使用される繊維状充填材の具体例としては、ガラス繊維、楕円型ガラス繊維、まゆ型ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、およびウォラストナイトかなる群より選択される1種以上のものが挙げられる。
【0054】
本出願の特許請求の範囲および明細書において、「ガラス繊維」とは断面が円形のガラス繊維をいい、「楕円型ガラス繊維」とは断面が楕円形のガラス繊維をいい、「まゆ型ガラス繊維」とは断面が、2つの円の夫々一部が互いに重なりあった形状のガラス繊維をいう。ここで、ガラス繊維、楕円型ガラス繊維、およびまゆ型ガラス繊維の断面形状の説明において、円形や楕円形とは幾何学上の円形や楕円形のみを示すものではなく、顕微鏡等により拡大視した場合に、円形や楕円形に類似する形状と認識されるものであればよい(たとえば、角が丸みを帯びた正方形や長方形など。)。
【0055】
本発明において用いる繊維状充填材の平均繊維径は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、0.1〜50μmであるのが好ましい。繊維状充填材の断面が円形でない場合には、繊維状充填材の断面外周の任意の二点間の最長の長さを繊維径とする。
【0056】
本発明において使用される板状または粉状の充填材の具体例としては、タルク、マイカ、グラファイト、炭酸カルシウム、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、硫酸バリウム、酸化チタン、および珪藻土からなる群より選択される1種以上のものが挙げられる。
【0057】
なお、本発明において充填材として用いられる種々の形状のガラスは、軟化点が600℃を超えるものであり、上記方法による測定が不可能なほど軟化点が高いものも含まれる。充填材には軟化点550℃以下の無機ガラスは含まれない。
【0058】
本発明の液晶ポリマー組成物における、繊維状の充填材、および/または板状または粉状の充填材の使用量としては、充填材の合計量として、液晶ポリマー100重量部に対して1〜200重量部であり、より好ましくは1〜150重量部であり、最も好ましくは1〜100重量部である。
【0059】
本発明の液晶ポリマー組成物における、充填材の組み合わせとしては、機械物性が優れることから、ガラス繊維、楕円型ガラス繊維、まゆ型ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、およびウォラストナイトからなる群より選択される1種以上の繊維状充填材を含むものが好ましく、中でもコストと物性のバランスに優れることから、これらの中でも、液晶ポリマー組成物の物性とコストのバランスが優れることから、ガラス繊維、楕円型ガラス繊維、およびまゆ型ガラス繊維からなる群より選択される1種以上の繊維状充填材を含むものがより好ましい。
また、上記の繊維状充填材を含む液晶ポリマー組成物の中でも、得られる成形品の反りの発生を抑制する目的などので、板状または粉状の充填材としてタルクを含有するものが特に好ましい。
【0060】
本発明の液晶ポリマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲でさらに他の成分を配合されていてもよい。他の成分としてはこれらに限定されないが、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、ポリシロキサン、フッ素樹脂などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤;流動性改良剤などが例示される。
【0061】
高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤などの外部滑剤効果を有するものについては、成形に際して予め、液晶ポリマーのペレットの表面に付着せしめてもよい。ここで、高級脂肪酸とは炭素原子数10〜25のものをいう。
【0062】
これらの繊維状、板状、または粉状の充填剤、およびその他の成分は、低温軟化性の無機ガラスと同様に、バンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機などを用いて、液晶ポリマーと共に液晶ポリマーの結晶融解温度近傍ないし結晶融解温度+30℃で溶融混練して液晶ポリマーに配合すればよい。
【0063】
このようにして得られる本発明の液晶ポリマー組成物は、射出成形機、押出し機などを用いる公知の成形方法によって、成形品、フィルム、シート、および不織布などに加工される。
【0064】
特に、本発明の液晶ポリマー組成物は、得られる成形品のブリスターの発生が著しく抑制されるため、表面実装時に高温で処理されるスイッチ、リレー、コネクター、コンデンサー、コイル、トランス、カメラモジュール、アンテナ、チップアンテナスイッチなどの表面実装用電子部品、特により高温で処理される鉛フリーはんだを用いる表面実装用電子部品の成形材料として好適に用いられる。
【実施例】
【0065】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。以下に、実施例および比較例において使用した材料の略号について説明する。
【0066】
〈液晶ポリマー〉
LCP1:UENO LCP2100(上野製薬株式会社製、4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン共重合体、結晶融解温度330℃)
LCP2:UENO LCP6000(上野製薬株式会社製、4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体、結晶融解温度320℃)
【0067】
〈無機ガラス〉
GL1:低温軟化性無機ガラス、旭ファイバーグラス株式会社製、ZP150(P−ZnO系無鉛ガラス。軟化点496℃、粒子径メジアン値3.3μmの粉状。)
GL2:低温軟化性無機ガラス、旭ファイバーグラス株式会社製、ZP450(P−ZnO系無鉛ガラス。軟化点398℃、粒子径メジアン値2.7μmの粉状。)
GL3:ミルドガラス繊維、日東紡績株式会社製、PF 20E−001(SiO−CaO−Al−B系無機ガラス、JIS R3103−1により測定した軟化点:840℃、繊維長:20μm、繊維径:10μm)
【0068】
〈繊維状充填材〉
GF1:ガラス繊維(断面:円形)、CS 3J−454S(日東紡績株式会社製、平均径=10μm)
GF2:楕円型ガラス繊維、CSG 3PA−831S(日東紡績株式会社製、長径の平均径=28μm、長径/短径比=4)
【0069】
〈板状または粉状の充填材〉
Talc1:富士タルク工業株式会社製、DS−34(粒子径メジアン値19.8μm)
Talc2:富士タルク工業株式会社製、HK−A(粒子径メジアン値24.0μm)
【0070】
〔実施例1〜4、および比較例1〜3〕
液晶ポリマーとしてLCP1を用い、液晶ポリマー100重量部に対して表2に記載の量の無機ガラスおよび充填材を配合し、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX−30α)にて溶融混練したものをペレット化し、液晶ポリマー組成物を調製した。
【0071】
得られた液晶ポリマー組成物のペレットを、表1に記載の条件で射出成形し、ブリスター評価用の試験片を作成し、ブリスター発生の評価を行った。なお、表2に記載の比較例3の組成については、溶融混練時に樹脂が低粘度化したため一定の形状のペレットを作成できず、ブリスター発生評価用の試験片を成形できなかったために、ブリスター発生の評価は行わなかった。
【0072】
〈ブリスター発生評価方法〉
12.7mm×0.8mm×127mmの試験片を表1の成形条件により作成し、ギアオーブンにて所定の温度で10分間熱処理を行い、試験片を冷却後、目視により、表面に膨れ(ブリスター)の発生した個数の観察を行った。
【0073】
なお、一回の試験につき10本の試験片を評価し、その結果を比較した。ブリスター発生の評価結果を表3に記す。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

*膨れの発生個数が4個以上の試験片については×とした。
【0077】
表3より、液晶ポリマーまたは液晶ポリマー組成物に、少量の低温軟化性の無機ガラスを配合することにより、ブリスターの発生が著しく抑制されることが明らかとなった。
【0078】
〔実施例5〜7、および比較例4〜6〕
液晶ポリマーとしてLCP2を用い、液晶ポリマー100重量部に対して表 4に記載の量の無機ガラスおよび充填材を配合し、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX−30α)にて溶融混練したものをペレット化し、液晶ポリマー組成物を調製した。
実施例1〜4、および比較例1〜3と同様にして、ブリスター発生の評価を行った。その結果を表5に示す。
【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

*膨れの発生個数が4個以上の試験片については×とした。
【0081】
表5より、LCP2においても、液晶ポリマー組成物に、少量の低温軟化性の無機ガラスを配合することにより、ブリスターの発生が著しく抑制されることが明らかである。
また、実施例5および6と、比較例5の比較により、軟化点が550℃を超える無機ガラス粉体を液晶ポリマー組成物に少量配合しても、ブリスター抑制の効果は得られないことが明らかである。
【0082】
〔実施例8および比較例7〕
液晶ポリマーとしてLCP2を用い、液晶ポリマー100重量部に対して表6に記載の量の充填材を配合し、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX−30α)にて溶融混練したものをペレット化し、液晶ポリマー組成物を調整した。
得られた液晶ポリマー組成物のペレットに対して、表6に記載の量の無機ガラスを配合し、タンブラーを用いて混合することにより、液晶ポリマー組成物のペレットの表面に低温軟化性の無機ガラスの紛体が付された液晶ポリマー組成物を得た。
無機ガラスを付着させた液晶ポリマー組成物を実施例8とし、無機ガラスを付着させていない液晶ポリマー組成物を比較例7とした。
実施例1〜4、および比較例1〜3と同様にして、ブリスター発生の評価を行った。その結果を表7に示す。
【0083】
【表6】

【0084】
【表7】

*膨れの発生個数が4個以上の試験片については×とした。
【0085】
表7より、低温軟化性の無機ガラスを液晶ポリマー組成物中に溶融混練していない、液晶ポリマー組成物のペレットに低温軟化性の無機ガラスの粉体を付着させたものであっても、ブリスターの発生は著しく抑制されることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリマー100重量部に対して、軟化点が550℃以下である低温軟化性の無機ガラス0.01重量部以上、1重量部未満を含んでなる液晶ポリマー組成物。
【請求項2】
低温軟化性の無機ガラスが、PおよびZnOを構成成分に含むものである、請求項1に記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項3】
低温軟化性の無機ガラスが、粒子径のメジアン値が0.1〜500μmの粉末状のものである、請求項1または2に記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項4】
さらに、液晶ポリマー100重量部に対して、1〜200重量部の繊維状の充填材、および/または板状または粉状の充填材を含んでなる、請求項1または2に記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項5】
液晶ポリマー組成物が、液晶ポリマー中に溶融混練により低温軟化性の無機ガラスを分散させたものである、請求項1〜4の何れかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項6】
液晶ポリマー組成物が、液晶ポリマーのペレット上に粉末状の低温軟化性の無機ガラスを付着させたものである、請求項1〜4の何れかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項7】
液晶ポリマーのペレットが、液晶ポリマー中に低温軟化性の無機ガラスおよび/または低温軟化性の無機ガラス以外の充填材が分散されてなる液晶ポリマー組成物のペレットである、請求項6記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項8】
繊維状の充填材が、ガラス繊維、楕円型ガラス繊維、まゆ型ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、およびウォラストナイトからなる群より選択される1種以上のものであり、板状または粉状の充填材が、タルク、マイカ、グラファイト、炭酸カルシウム、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、硫酸バリウム、酸化チタン、および珪藻土からなる群より選択される1種以上のものである、請求項4〜7何れかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項9】
充填材が、ガラス繊維、楕円型ガラス繊維、まゆ型ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、およびウォラストナイトからなる群より選択される1種以上の繊維状の充填材である、請求項4〜7何れかにに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項10】
充填材が、ガラス繊維、楕円型ガラス繊維、およびまゆ型ガラス繊維からなる群より選択される1種以上の繊維状充填材である、請求項4〜7いずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項11】
充填材が、ガラス繊維、楕円型ガラス繊維、まゆ型ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、およびウォラストナイトからなる群より選択される1種以上の繊維状の充填材、およびタルクである請求項4〜7いずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項12】
充填材が、ガラス繊維、楕円型ガラス繊維、およびまゆ型ガラス繊維からなる群より選択される1種以上の繊維状の充填材およびタルクである、請求項4〜7いずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項13】
請求項1〜12の何れかに記載の液晶ポリマー組成物を成形して得られた成形品。
【請求項14】
請求項1〜12の何れかに記載の液晶ポリマー組成物を成形して得られた表面実装用電子部品。
【請求項15】
鉛フリーはんだ用のものである、請求項14に記載の表面実装用電子部品。
【請求項16】
スイッチ、リレー、コネクター、コンデンサー、コイル、トランス、カメラモジュール、アンテナ、およびチップアンテナからなる群より選択されるものである、請求項14または15に記載の表面実装用電子部品。

【公開番号】特開2008−291234(P2008−291234A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111106(P2008−111106)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000189659)上野製薬株式会社 (76)
【Fターム(参考)】