説明

液晶モジュール用帯電防止包装袋及び液晶モジュールの包装方法

【課題】 表面保護カバー材と液晶モジュールの表示画面との密着を防止し、より一層簡易に液晶モジュールを包装できるようにする。
【解決手段】 表面側フィルム部と裏面側フィルム部から構成されてなり、開口部と閉口部を有する袋であって、少なくとも表面側フィルム部は、帯電防止剤を含有し、かつ、少なくとも袋の内側となる内面が凹凸面であることを特徴とする液晶モジュール用帯電防止包装袋を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン、テレビ等の液晶モジュールを包装するのに用いる帯電防止包装袋、及び液晶モジュールの包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン、テレビ等の液晶モジュールは、工場から出荷する際、ゴミ、ホコリ等の付着や、傷、汚れを防止する為に、表示画面を表面保護カバー材で被覆し、さらに液晶モジュール全体をプラスチックフィルム袋に収納し、これを発泡スチロール製、ダンボール製等の保護材で固定し、箱詰めして出荷されている。
【0003】
表面保護カバー材の主な役割は、ゴミ、ホコリ等が表示画面に付着するのを防ぐと共に、表示画面に傷が付くのを防止することにある。ところが、搬送或いは保管時の温度条件及び湿度条件の変化によって、表示画面が結露し、表示画面と表面保護カバー材とが密着してこの密着部に水蒸気が溜まって濡れた状態が続く結果、表示画面に光学的色調の変化などが生じる問題を抱えていた。
【0004】
そこで従来、透湿性に優れた高分子フィルムからなる表面保護カバー材を用いることにより、偏光板表面の密着部と非密着部における吸湿度合いの差を小さくすることにより、前記のような問題を解消することが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、表面保護カバー材の表面に所定の凹凸加工を施し、表示部表面と保護カバー材との密着を防ぐことにより、前記のような問題を解消することも提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−209039号公報
【特許文献2】WO2005/013245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、表面保護カバー材と液晶モジュールの表示画面とが密着するのを防ぐことができ、しかも、より一層簡易に液晶モジュールを包装して出荷することができる、新たな液晶モジュールの包装方法と、それに用いる液晶モジュール用帯電防止包装袋を提案せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液晶モジュールの表示画面を表面保護カバー材で被覆することなく、液晶モジュール用帯電防止包装袋で液晶モジュールを包装する液晶モジュールの包装方法であって、液晶モジュールの表示画面と液晶モジュール用帯電防止包装袋の表面側フィルム部の内面とが対面するように包装することを特徴とする液晶モジュールの包装方法を提案する。
【0009】
そしてまた、このような包装方法に用いる液晶モジュール用帯電防止包装袋として、本発明は、表面側フィルム部と裏面側フィルム部とから構成されてなり、開口部と閉口部を有する袋であって、少なくとも表面側フィルム部は、帯電防止剤を含有し、かつ、表面側フィルム部の少なくとも袋の内側となる内面が凹凸面であることを特徴とする液晶モジュール用帯電防止包装袋を提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明が提案する液晶モジュールの包装方法並びに液晶モジュール用帯電防止包装袋によれば、包装袋内に液晶モジュールを収納することにより、表示画面を表面保護カバー材で被覆しなくても、ゴミ、ホコリ等が表示画面に付着するのを防ぐことができると共に、表示画面に傷が付くのを防止することができ、しかも搬送或いは保管時の温度条件及び湿度条件の変化によって表示画面が結露したとしても、表面側フィルム部の凹凸面によって表示画面と表面保護カバー材とが密着するのを防止することができ、表示画面に光学的色調の変化などが生じる問題を解消することができる。よって、液晶モジュールの包装をより簡易かつ安価に為すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の液晶モジュール用帯電防止包装袋の一例を示した断面図である。
【図2】本発明の液晶モジュール用帯電防止包装袋の一例を用いて液晶モジュールを包装した状態の一例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の一例としての液晶モジュール用帯電防止包装袋(以下、「本帯電防止袋」と称する)について説明する。但し、本発明が、この本帯電防止袋に限定されるものではない。
【0013】
<本帯電防止袋>
本帯電防止袋は、表面側フィルム部と裏面側フィルム部とから構成されてなり、開口部と閉口部を有する袋である。
本帯電防止袋は、開口部と閉口部を有する袋であるため、液晶モジュールを容易、かつ安全に収納することが可能である。この時、フィルム部の対向する2辺を閉じて閉口部とし、残りの2辺を開口部として形成してもよいし、3辺を閉じて閉口部とし、残りの1辺を開口部として形成してもよい。落下防止等の観点から3辺を閉じて3辺を閉口部とし、残りの1辺を開口して開口部とするように形成するのが特に好ましい。
なお、本帯電防止袋は、表面側フィルム部と裏面側フィルム部とが1枚のフィルムから形成してもよいし、また、2枚のフィルムから形成してもよい。
【0014】
(袋)
1枚のフィルムから本帯電防止袋を形成する場合、1枚のフィルムを折り返して、重なった端縁部を融着することで開口部と閉口部を有する袋とすることができる。例えば端縁部のうち2辺を融着することによって、1辺を開口部とし、3辺を閉口部とした袋とすることができる。
他方、2枚のフィルムから本帯電防止袋を形成する場合、2枚のフィルムを重ねて、重なった端縁部を融着することで開口部と閉口部を有する袋とすることができる。例えば端縁部のうち3辺を融着することによって、1辺を開口部とし、3辺を閉口部とした袋とすることができる。
【0015】
2枚のフィルムから本帯電防止袋を形成する場合、表面側フィルムと裏面側フィルムは同一材料からなるフィルムであっても、異なる材料からなるフィルムであってもよい。
表面側フィルムと裏面側フィルムを熱融着して袋を形成する場合、表面側フィルム部の主成分と裏面側フィルム部の主成分は、各々炭素数が同一又は異なるオレフィンモノマーを主として重合されたポリオレフィン系樹脂であることが好ましく、炭素数が同一のオレフィンモノマーを主として重合されたポリオレフィン系樹脂であることが特に好ましい。ただし、これに限定するものではない。
例えば、表面側フィルムの主成分がポリエチレン系樹脂である場合には、裏面側フィルムの主成分もポリエチレン系樹脂であるのが好ましく、又、表面側フィルムの主成分がポリプロピレン系樹脂である場合には、裏面側フィルムの主成分もポリプロピレン系樹脂であるのが好ましい。
【0016】
本帯電防止袋においては、例えば図1に示すように、表面側フィルム部2が裏面側フィルム部3よりも大きく、表面側フィルム部2が袋の開口部5から外側に突出した折り返し部6を備えるのが好ましい。このような折り返し部6を備えていれば、この折り返し部6に案内されるようにして袋内に液晶モジュール10をスムースに入れることができ、液晶モジュール10を袋内に入れた後は、図2に示すように、折り返し部6を表示画面11の反対側にまで折り返して裏面側フィルム部3の外側面にテープ15で留めることにより、ゴミなどが袋内に侵入しないように液晶モジュール10を包装することができる。
但し、裏面側フィルム部3が表面側フィルム部2より大きい態様であっても同様の効果を得ることが出来るため、好適である。
【0017】
本帯電防止袋において、そのフィルム部の硬さは、ループスティッフネス試験機で測定した最大応力時の測定値で評価することが可能である。
表面側フィルム部の硬さSfの値と、裏面側フィルム部の硬さSbの値は、共に80mN以下であることが好ましい。より好ましくは70mN以下であり、特に好ましくは60mN以下である。
通常、包装袋は、液晶モジュールを収納後、開口部を折り返して箱詰めする。硬さが80mNを越えると、折り返す作業性が低下するばかりか、モジュールの形に沿った変形が小さいために、箱詰め作業性および収納性が低下する。
一方、硬さの下限値は特に限定されないが、ハンドリング性や袋として扱う場合に必要なコシの観点から、表面側フィルム部の硬さSfの値と裏面側フィルム部の硬さSbの値は、共に好ましくは1mN以上であり、より好ましくは3mN以上であり、特に好ましくは5mN以上であればよい。
【0018】
また、裏面側フィルム部が柔らかいことで、液晶モジュールを袋内に収納した際、裏面側フィルム部が液晶モジュールの形に沿って柔軟に変形することにより、表面側フィルム部を表示画面に沿った状態に配置することができる。一方、表面側フィルム部が硬いことで、表示画面を保護する役割を果たすことができるばかりか、表面側フィルム部を表示画面に沿った状態に容易に配置することができる。
このことから、表面側フィルム部の硬さSfの値と、裏面側フィルム部の硬さSbの値の関係は、Sf≧Sbであることが好ましく、中でもSf>Sbであることが更に好ましい。
【0019】
(表面側フィルム部)
本帯電防止袋において、表面側フィルム部は、帯電防止剤を含有し、かつ、袋の内側となる内面が凹凸面であることが重要である。
【0020】
表面側フィルム部は、袋の内側となる内面が凹凸面であればよいが、袋の内側となる内面及び袋の外側となる外面が凹凸面であるのがより一層好ましい。例えば、裏面側フィルム部を折り返してテープ止めした際、外面が凹凸面であれば、テープを容易に剥がすことができる。
【0021】
上記凹凸面の凹凸程度は、適宜調整可能であり、具体的には、10点平均粗さで2.0μm〜40.0μmの範囲であるのが好ましい。より好ましくは、2.0μm〜35.0μm、特に好ましくは2.0μm〜30.0μmである。
なお、10点平均粗さは、JIS B0601(1994年版JISに規定)に準拠して測定される値である。
10点平均粗さが2.0μm以上であれば、高温・高湿条件の流通や保管において、表示画面と本帯電防止袋とが密着し、ここに水蒸気が溜まって濡れた状態となるのを効果的に防止することができる。他方、10点平均粗さが40.0μm以下であれば、視認性を十分に確保することができるばかりか、表示画面と本帯電防止袋とが擦れて当該凹凸面の凹凸が削げ落ちることもない。
【0022】
凹凸面を形成する方法は公知の方法を適宜使用することができ、例えば、無機充填物やゴム成分を混入して、フィルム自体が微細な凹凸を持つようにする方法などを挙げることができる。その他、フィルムの製膜時に、かかる表面粗さを有するゴムロールや金属ロールを押し当てることにより凹凸形状を転写させる方法、コロナ処理等により表面を荒らす等の方法などを挙げることができる。
【0023】
表面側フィルム部に帯電防止剤を含有させる手段としては、例えば帯電防止剤をフィルムに練り込んだり、帯電防止剤を練り込んだ樹脂層を共押出成形等によりフィルム表面に積層したり、フィルム表面に帯電防止剤を塗工したりするなど、公知の手段を採用することができる。
【0024】
帯電防止剤の種類としては、高分子材料に添加できるものであれば限定されるものではない。例えばカチオン型、アニオン型、ノニオン型等の各種界面活性剤、ウレタン、アクリル、ポリエステル等をバインダーとした帯電防止塗料、親水性ポリマーをアクリル樹脂等とアロイ化させた永久帯電防止剤、カーボンブラックやグラファイトや、亜鉛酸化物、錫酸化物等の金属酸化物等を用いた導電性フィラー等を使用することができる。
これらの中でも、透明性、ブリードアウト防止、帯電防止性などの観点から、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルとアルキルスルホン酸塩を組み合わせて用いるのが特に好ましい。
【0025】
表面側フィルム部は、単層フィルムから形成することも、外面層と中間層と内面層を備えた積層フィルムから形成することも可能である。
【0026】
表面側フィルム部を単層フィルムから形成する場合、その主成分樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロン樹脂、セルロース系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂等が挙げられる。中でも、ポリオレフィン系樹脂、特にはポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が好適である。
【0027】
ポリエチレン系樹脂としては、エチレンモノマーを主として重合されてなる樹脂であれば良く、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンのほか、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体等を例示することができる。中でも、軟質性の観点から、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が好適である。
【0028】
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンモノマーを主として重合されてなる樹脂であれば良く、ホモポリプロピレン、プロピレンブロック共重合体、プロピレンランダム共重合体等を例示することができる。中でも、軟質性の観点から、プロピレンランダム共重合体が好適であり、その共重合モノマーとしては、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等を含有することが好適である。
【0029】
表面側フィルム部を、外面層と中間層と内面層を備えた積層フィルムから形成する場合、外面層及び内面層は、表示画面の傷つき防止のために、比較的柔らかいことが好ましく、中間層はハンドリング性及び表示画面の保護をするために、比較的硬いことが好ましい。
また、外面層及び内面層と、中間層との層間接着力が良好となることから、類似している樹脂を主成分として各層が構成されていることが好ましい。
かかる観点から、具体的な一例としては、各層の主成分はいずれも、炭素数が同一のオレフィンモノマーを主として重合されたポリオレフィン系樹脂であるのが好ましく、中でもポリプロピレン系樹脂であることが特に好ましい。
さらに、少なくとも内面層に帯電防止剤を含有することが好ましい。
【0030】
表面側フィルム部を構成する積層フィルムのより具体的な一例として、外面層と中間層と内面層のいずれも、共重合モノマーとしてエチレンを含有するプロピレンランダム共重合体を主成分としてなり、外面層及び内面層においては、比較的柔らかくするという観点からプロピレンランダム共重合体中のエチレンの含有量が2〜15モル%であり、且つ、帯電防止剤を含有し、中間層においては、比較的硬くするという観点からプロピレンランダム共重合体中のエチレンの含有量が0〜5モル%である構成例を挙げることができる。
【0031】
表面側フィルム部の厚みは、液晶モジュールの表示画面を傷などから保護する役割と、扱い易さなどの観点から、50μm〜100μmの範囲で適宜設計するのが好ましい。
また、表面側フィルム部が外面層と中間層と内面層を備えた積層フィルムである場合には、内面層の厚みは帯電防止、表示画面の傷付き防止のために5μm以上あることが好ましい。
【0032】
表面側フィルム部は、さらに必要に応じて着色剤、防曇剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤などを、本帯電防止袋の特徴を損なわない範囲で含有しても構わない。
【0033】
(裏面側フィルム部)
裏面側フィルム部は、前述したように、上記表面側フィルム部と同一フィルムから形成してもよいし、また、同一材料の別フィルムから形成してもよいし、また、異なる材料の別フィルムから形成してもよい。
【0034】
上記表面側フィルム部と別フィルムから形成する場合、裏面側フィルム部は、帯電防止剤を含有しなくてもよいが、含有している方が好ましい。この際、帯電防止性を付与する手段並びに帯電防止剤等は、表面側フィルム部と同様である。
また、上記凹凸面を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。この際、凹凸面の凹凸程度や形成手段は表面側フィルム部と同様である。
【0035】
裏面側フィルム部は、前述のように比較的柔らかいことが好ましいから、例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムから形成するのが特に好適である。
裏面側フィルム部の厚みは、50μm〜100μmの範囲で適宜設計するのが好ましい。
【0036】
裏面側フィルム部は、着色剤、防曇剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤などを、本帯電防止袋の特徴を損なわない範囲で含有しても構わない。
【0037】
<包装方法>
本帯電防止袋を用いれば、液晶モジュールの表示画面を表面保護カバー材で被覆することなく、液晶モジュールの表示画面と凹凸面とが対面するように、本帯電防止袋内に液晶モジュールを収納することで、好適に液晶モジュールを包装することができる。すなわち、このようにして本帯電防止袋内に液晶モジュールを収納することにより、表示画面を表面保護カバー材で被覆しなくても、ゴミ、ホコリ等が表示画面に付着するのを防ぐことができると共に、表示画面に傷が付くのを防止することができ、しかも搬送或いは保管時の温度条件及び湿度条件の変化によって表示画面が結露したとしても、表面側フィルム部の凹凸面によって表示画面と表面保護カバー材とが密着するのを防止することができ、表示画面に光学的色調の変化などが生じる問題を解消することができる。
【0038】
<用語の説明>
本発明において「液晶モジュール」とは、パソコン、テレビ、ゲーム機、携帯電話機、携帯用音楽プレイヤー、タッチパネル、液晶パネルを備えたユニットなど、液晶表示画面を備えた電子機器全般を包含する意味である。
また、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。他方、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【0039】
本発明において「主成分」と表現した場合、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)がその層を構成する組成物の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100質量%を含む)を占めるものである。
また、本発明において「主として重合された」と表現した場合、特に記載しない限り、係るモノマー単位が樹脂において50モル%以上、好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90モル%以上(100モル%を含む)を占めるものである。
【0040】
また、本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
【実施例】
【0041】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
なお、実施例に示す測定値および評価は以下に示すようにして行った。
【0042】
<評価方法>
(表面粗さ)
フィルムの外面層側及び内面層側の表面粗さは、JIS B0601(1994年版JISに規定)に準拠して測定した10点平均粗さの値である。
【0043】
(硬さ)
東洋精機製作所製ループスティッフネス試験機(型式:DA型)を用いて測定し、最大応力時の測定値(mN)を硬さとして評価した。試験片大きさは15mm幅×120mm、ループ長80mm、押し込み速度は3.3mm/sec、押し込み量は15mmとした。
【0044】
(結露密着性の評価)
12.1インチの液晶モジュール(ノートPC用、偏光板:クリアタイプ(平滑タイプ))を包装袋に入れ、開口部から50mm付近までを画面とは反対側に折り返し、60℃×85%Rhの環境下の湿熱試験機に画面を上になるようにして放置した。48時間経過後、これを取り出し、画面(偏光板)と袋が結露による密着をしていた場合を「×」、全く密着していない初期の状態を保っていた場合を「○」と評価した。
【0045】
(収納作業性の評価)
上記の液晶モジュールを包装袋に手作業で入れた際に、表面側フィルム部を表示画面に沿った状態に容易に配置することができた場合を「○」、そうでない場合を「×」と評価した。
【0046】
(開口部折り返し作業性の評価)
上記の液晶モジュールを包装袋に入れ、開口部から50mm付近までを、手作業で折り返した際、包装袋が柔軟に液晶モジュールに追従せず、折り返したところが角張っていたり、フィルムが硬いために余分な空間が出来てしまったり、フィルムが折れて永久歪が付いたりした場合は「×」、このような問題がなく折り返せた場合は「○」と評価した。
【0047】
<フィルムの作製>
(フィルムAの作製)
外面層及び内面層を形成する樹脂組成物として、ポリプロピレン系樹脂(ランダム共重合ポリプロピレン、商品名「ノーブレンFS3611」住友化学株式会社製)99質量%にグリセリンエステル系帯電防止剤1質量%を混合した樹脂組成物を用い、中間層を形成する樹脂組成物として、ランダム共重合ポリプロピレン(商品名「ノーブレンWF836DG3」住友化学株式会社製)を用いた。
これらの樹脂組成物を2台の押出機の各ホッパーにそれぞれ供給し、押出機で加熱溶融させた後、Tダイを用いて2種3層となるように押出した。その後、1対のマットロール(外面層側:金属マットロール、内面層側:シリコーンゴムマットロール)にて引取り、シートを冷却固化させて、外面層及び内面層の厚さが10μm、中間層の厚さが80μmの積層フィルム100μmを得た。
【0048】
(フィルムBの作製)
フィルムAの内面層側のロールをシリコーンゴムプレーンロールにした以外は、フィルムAと同様にして、外面層及び内面層の厚さが10μm、中間層の厚さが80μmの積層フィルム100μmを得た。
【0049】
(フィルムCの作製)
フィルムAの引き取り速度を調整した以外はフィルムAと同様にして、外面層及び内面層の厚さが7μm、中間層の厚さが56μmの積層フィルム70μmを得た。
【0050】
(フィルムDの作製)
フィルムAの引き取り速度を調整した以外はフィルムAと同様にして、外面層及び内面層の厚さが12μm、中間層の厚さが86μmの積層フィルム120μmを得た。
【0051】
(フィルムEの作製)
外面層及び内面層を形成する樹脂組成物として、低密度ポリエチレン(商品名「スミカセンF218−0」住友化学製)99質量%にグリセリンエステル系帯電防止剤1質量%を混合した樹脂組成物を用い、中間層を形成する樹脂組成物として、低密度ポリエチレン(商品名「スミカセンF218−0」住友化学製)を用いた。
これらの樹脂組成物を2台の押出機の各ホッパーにそれぞれ供給し、押出機で加熱溶融させた後、Tダイを用いて2種3層となるように押出した。その後、1対のマットロール(外面層側:金属マットロール、内面層側:シリコーンゴムマットロール)にて引取り、シートを冷却固化させて、外面層及び内面層の厚さが10μm、中間層の厚さが80μmの積層フィルム100μmを得た。
【0052】
(フィルムFの作製)
低密度ポリエチレン(商品名「スミカセンF218−0」住友化学製)100質量%を用い、押出機のホッパーに供給し、押出機で加熱溶融させた後、Tダイを用いて押出した。その後、金属鏡面ロールで引取り、シートを冷却固化させて厚さ80μmのフィルムを得た。
【0053】
<実施例1>
表面側フィルムとしてフィルムA、裏面側フィルムとしてフィルムAを用いて袋を作製した。製袋機を用いて、それぞれ350mm幅のロール状フィルムを内面層側がそれぞれ内面になるように2枚重ねて繰り出し、長さ方向片側1辺と、幅方向2辺をインパルスシール機にてシール(熱融着)し、220mm長さでカットし、350mm×220mmの1辺の開口部を有する包装袋を形成した。
【0054】
<実施例2>
表面側フィルムとしてフィルムBを用い、裏面側フィルムとしてフィルムBを用いた以外は、実施例1と同様にして350mm×220mmの1辺の開口部を有する包装袋を形成した。
【0055】
<実施例3>
表面側フィルムとしてフィルムCを用い、裏面側フィルムとしてフィルムCを用いた以外は、実施例1と同様にして350mm×220mmの1辺の開口部を有する包装袋を形成した。
【0056】
<実施例4>
裏面側フィルムとしてフィルムFを用いた以外は、実施例1と同様にして350mm×220mmの1辺の開口部を有する包装袋を形成した。
【0057】
<実施例5>
表面側フィルムとしてフィルムEを用い、裏面側フィルムとしてフィルムCを用いた以外は、実施例1と同様にして350mm×220mmの1辺の開口部を有する包装袋を形成した。
【0058】
<実施例6>
表面側フィルムとしてフィルムEを用い、裏面側フィルムとしてフィルムEを用いた以外は、実施例1と同様にして350mm×220mmの1辺の開口部を有する包装袋を形成した。
【0059】
<実施例7>
表面側フィルムとしてフィルムEを用い、裏面側フィルムとしてフィルムFを用いた以外は、実施例1と同様にして350mm×220mmの1辺の開口部を有する包装袋を形成した。
【0060】
<比較例1>
表面側フィルムとしてとしてフィルムFを用いた以外は、実施例1と同様にして350mm×220mmの1辺の開口部を有する包装袋を形成した。
【0061】
<比較例2>
表面側フィルムとしてフィルムFを用い、裏面側フィルムとしてフィルムDを用いた以外は、実施例1と同様にして350mm×220mmの1辺の開口部を有する包装袋を形成した。
【0062】
<比較例3>
表面側フィルムとしてフィルムFを用い、裏面側フィルムとしてフィルムFを用いた以外は、実施例1と同様にして350mm×220mmの1辺の開口部を有する包装袋を形成した。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
(考察)
表2に示すように、実施例1−7の包装袋は、結露密着性、収納作業性、開口部折り返し作業性のいずれにも優れたものであった。
一方、比較例1−3の包装袋は、いずれも表面側フィルム部の内面に凹凸面を有しないため結露密着性に不具合があった。さらに、表面側フィルム部の硬さより裏面側フィルム部の硬さが硬いものは収納作業性に不具合があり(比較例1及び2)、特に裏面側フィルムの硬さが80mNより硬いものは、裏面側フィルムを折り返す際の開口部折り返し作業性にも不具合があった(比較例2)。
【符号の説明】
【0066】
1:本帯電防止袋、2:表面側フィルム部、3:裏面側フィルム部、
4:凹凸面、5:開口部、6:折り返し部、7:閉口部
10:液晶モジュール、11:表示画面、12:枠(ベセル)
15:テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側フィルム部と裏面側フィルム部とから構成されてなり、開口部と閉口部を有する袋であって、少なくとも表面側フィルム部は、帯電防止剤を含有し、かつ、表面側フィルム部の少なくとも袋の内側となる内面が凹凸面であることを特徴とする液晶モジュール用帯電防止包装袋。
【請求項2】
表面側フィルム部の硬さSf及び裏面側フィルム部の硬さSbが共に80mN以下であり、かつ、Sf≧Sbを満たすことを特徴とする請求項1記載の液晶モジュール用帯電防止包装袋。
【請求項3】
表面側フィルム部の主成分と裏面側フィルム部の主成分は、各々炭素数が同一又は異なるオレフィンモノマーを主として重合されたポリオレフィン系樹脂であり、フィルムの端縁部を熱融着して袋に形成されてなる請求項1又は2に記載の液晶モジュール用帯電防止包装袋。
【請求項4】
表面側フィルム部は、外面層と中間層と内面層を備えた積層フィルムであり、各層の主成分はいずれも炭素数が同一のオレフィンモノマーを主として重合されたポリオレフィン系樹脂であって、少なくとも内面層に帯電防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液晶モジュール用帯電防止包装袋。
【請求項5】
表面側フィルム部は、袋の内側となる内面及び袋の外側となる外面が凹凸面であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液晶モジュール用帯電防止包装袋。
【請求項6】
表面側フィルム部の主成分が、ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の液晶モジュール用帯電防止包装袋。
【請求項7】
表面側フィルム部と裏面側フィルム部のいずれか一方が、袋開口縁から外側に突出した折り返し部を備えていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液晶モジュール用帯電防止包装袋。
【請求項8】
裏面側フィルム部は、帯電防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の液晶モジュール用帯電防止包装袋。
【請求項9】
液晶モジュールの表示画面を表面保護カバー材で被覆することなく、請求項1〜8の何れかに記載の液晶モジュール用帯電防止包装袋で液晶モジュールを包装する液晶モジュールの包装方法であって、
液晶モジュールの表示画面と液晶モジュール用帯電防止包装袋の表面側フィルム部の内面とが対面するように包装することを特徴とする液晶モジュールの包装方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−106792(P2012−106792A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183341(P2011−183341)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】