説明

液晶媒体および液晶ディスプレイ

【課題】優れた液晶媒体を提供する。
【解決手段】本発明は、式Iの誘電的に正の化合物を含む誘電的に正の成分である成分Aを含む誘電的に正の液晶媒体に関し、


式中、パラメーターは明細書で与えられる意味を有し、3より大きい誘電異方性を有する誘電的に正の化合物を1種類以上含む第2の誘電的に正の成分である成分Bを含んでもよく、誘電的に中性の成分である成分Cを含んでもよく、これらの媒体を備える液晶ディスプレイにも関し、特にアクティブマトリックスディスプレイに関し、特にはTNおよびIPSディスプレイに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶媒体およびこれらの液晶媒体を備える液晶ディスプレイ、特にアクティブマトリクスによりアドレスされるディスプレイおよび特には捩れネマチック(TN:Twisted Nematic)またはインプレーンスイッチング(IPS:In−Plane Switching)型のディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)は、情報を表示するために広く使用されている。LCDは、投射型ディスプレイ用と共に、直視型ディスプレイ用として使用されている。用いられる電気光学モードは、例えば捩れネマチック(TN:Twisted Nematic)モード、超捩れネマチック(STN:Super Twisted Nematic)モード、光学補償ベンド(OCB:Optically Compensated Bend)モードおよび電気制御復屈折(ECB:Electrically Controlled Birefringence)モードとそれらの種々の変法および他の方法である。これらのモードは全て、基板と液晶層とにそれぞれ実質的に垂直な電場を使用する。これらのモードに加え、基板と液晶層とにそれぞれ実質的に平行な電場を用いる電気光学的モード、例えばインプレーンスイッチングモード(例えば、独国特許第4000451号明細書(特許文献1)および欧州特許第0588568号明細書(特許文献2)に開示されている)などもある。とりわけ、この電気光学モードは、最新のデスクトップモニタ用のLCDに使用されており、マルチメディア用途のディスプレイに適用することが考えられている。本発明の液晶は、好ましくは、この型のディスプレイで使用される。
【0003】
これらのディスプレイには、改善された特性を有する新規な液晶媒体が求められている。特に、応答時間は、多くの様式の用途ために改善される必要がある。したがって、より低い粘度(η)、特により低い回転粘度(γ)を備えた液晶媒体が要求される。回転粘度は80mPa・s以下、好ましくは60mPa・s以下、特に55mPa・s以下であるべきである。このパラメーターに加えて、媒体は適切に広範囲のネマチック相を示すべきであり、適切な複屈折率(Δn)および誘電異方性(Δε)は適度に低い動作電圧を許容するのに十分高くあるべきである。好ましくは、Δεは3より大きく、極めて好ましくは4より大きくあるべきであるが、少なくとも合理的に高い比抵抗に不利に働くので、好ましくは15以下、特に12以下であるべきである。
【0004】
本発明のディスプレイは、アクティブマトリクス(Active Matrix LCD、略してAMD)、好ましくは薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)のマトリクスによりアドレスされるのが好ましい。しかしながら、本発明の液晶は、他の既知のアドレス手段によるディスプレイにも有益に使用することができる。
【0005】
低分子量液晶材料を高分子材料と共に複合系として使用する種々の異なるディスプレイモードがある。例えば、国際公開第91/05029号パンフレット(特許文献3)に開示された、ポリマー分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)系、ネマチック曲線配向相(NCAP:Nematic Curvilinearily Aligned Phase)系およびポリマーネットワーク(PN:Polymer Network)系、または、軸対称微小領域(ASM:Axially Symmetric Microdomain)系および他のものがある。これらとは対照的に、本発明に特に好ましいのは、液晶媒体を表面に配向させてそのまま使用することである。これらの表面は、典型的には、液晶材料の均一な配向を達成するために前処理されている。本発明によるディスプレイモードは、好ましくは、複合系層に対して実質的に平行な電場を使用する。
【0006】
LCDおよび特にIPSディスプレイに好適な液晶組成物は、例えば、特開平07−181439号公報(特許文献4)、欧州特許第0667555号明細書(特許文献5)、欧州特許第0673986号明細書(特許文献6)、独国特許第19509410号明細書(特許文献7)、独国特許第19528106号明細書(特許文献8)、独国特許第19528107号明細書(特許文献9)、国際公開第96/23851号パンフレット(特許文献10)および国際公開第96/28521号パンフレット(特許文献11)で公知である。これらの組成物は、しかしながら、顕著な欠点を有している。それらの組成物のほとんどは、他の欠点の中でも、応答時間が不都合にも長く、比抵抗値が余りに低く、および/または、余りにも高い動作電圧を要する。
【特許文献1】独国特許第4000451号明細書
【特許文献2】欧州特許第0588568号明細書
【特許文献3】国際公開第91/05029号パンフレット
【特許文献4】特開平07−181439号公報
【特許文献5】欧州特許第0667555号明細書
【特許文献6】欧州特許第0673986号明細書
【特許文献7】独国特許第19509410号明細書
【特許文献8】独国特許第19528106号明細書
【特許文献9】独国特許第19528107号明細書
【特許文献10】国際公開第96/23851号パンフレット
【特許文献11】国際公開第96/28521号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、実用的な用途に好適な特性、例えば、広いネマチック相範囲、使用するディスプレイモードに応じた適切な光学異方性Δn、高いΔε、特に低い粘度などを有する液晶媒体が強く求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここで驚くべきことに、適切に高いΔε、適切な相範囲およびΔnを実現できる液晶媒体であって、従来材料の欠点を示さないか、または少なくとも格別により小さな程度しか示さない液晶媒体が実現されることが見いだされた。
【0009】
本出願のこれらの改善された液晶媒体は、少なくとも以下の成分を含む。
−式Iの誘電的に正の化合物を1種類以上含む第1の誘電的に正の成分である成分A。
【0010】
【化1】

式中、
は、炭素数1〜7のアルキル、アルコキシ、フッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化されたアルケニルであり、好ましくはアルキルまたはアルケニルであり、
は、ハロゲン、炭素数1〜3のハロゲン化されたアルキルまたはアルコキシ、または炭素数2または3のハロゲン化されたアルケニルまたはアルケニルオキシであり、好ましくはF、Cl、−OCFまたは−CFであり、最も好ましくはF、Clまたは−OCFであり、特にはFである。
【0011】
−任意の成分として、好ましくは3より大きい誘電異方性を有し、好ましくは式IIおよびIIIの化合物群より選ばれる誘電的に正の化合物を1種類以上含む第2の誘電的に正の成分である成分B。
【0012】
【化2】

式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜7のアルキル、アルコキシ、フッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化されたアルケニルであり、およびRおよびRは、好ましくはアルキルまたはアルケニルであり、
【0013】
【化3】

【0014】
【化4.1】

【0015】
【化4.2】


21、L22、L31およびL32は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、好ましくはL21および/またはL31はFであり、
およびXは、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、炭素数1〜3のハロゲン化されたアルキルまたはアルコキシ、または炭素数2または3のハロゲン化されたアルケニルまたはアルケニルオキシであり、好ましくはF、Cl、−OCFまたは−CFであり、最も好ましくはF、Clまたは−OCFであり、
は、−CHCH−、−CFCF−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−または単結合であり、好ましくは−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−または単結合であり、最も好ましくは−COO−、トランス−CH=CH−または単結合であり、
l、m、nおよびoは、それぞれ互いに独立に、0または1であり、および
式Iの化合物は除外される。
【0016】
−任意成分として、式IVの誘電的に中性の化合物を1種類以上含む誘電的に中性の成分である成分C。
【0017】
【化5】

式中、
41およびR42は、それぞれ互いに独立に、上式IIでRに与えられる意味を有し、好ましくはR41がアルキルでR42がアルキルまたはアルコキシであるか、またはR41がアルケニルでR42がアルキルであり、
【0018】
【化6.1】

【0019】
【化6.2】


好ましくは、
【0020】
【化7】

41およびZ42は、それぞれ互いに独立に、およびZ41が2回存在している場合は、これらもそれぞれ互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−、−C≡C−または単結合であり、好ましくは少なくとも一方は単結合であり、および
pは、0、1または2、好ましくは0または1である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
成分Aは、3より大きい誘電異方性を有し、パラメーターが上式Iで与えられるそれぞれの意味(好ましくはXはF)を有する式Iの誘電的に正の化合物を1種類以上好ましくは含み、より好ましくは大部分が、さらに好ましくは実質的に、最も好ましくは全てが、これらよりなる。
【0022】
媒体中の成分Aの濃度は、好ましくは1%〜50%、より好ましくは2%〜40%、さらに好ましくは4%〜30%、最も好ましくは5%〜20%の範囲である。
【0023】
好ましくは、本発明の媒体は、第2の誘電的に正の成分である成分Bを含む。この第2の誘電的に正の成分である成分Bは、3より大きい誘電異方性を有する誘電的に正の化合物を好ましくは含み、より好ましくは大部分が、さらに好ましくは実質的に、最も好ましくは全てが、これらよりなる。
【0024】
この成分である成分Bは、式IIおよびIIIの群より選択され、3より大きい誘電異方性を有する誘電的に正の化合物を1種類以上好ましくは含み、より好ましくは大部分が、さらに好ましくは実質的に、最も好ましくは全てが、これらよりなる。
【0025】
本発明の好ましい態様においては、成分Bは、式II−1〜II−3の化合物群より選択され、3より大きい誘電異方性を有する誘電的に正の化合物を1種類以上好ましくは含み、より好ましくは大部分が、さらに好ましくは実質的に、最も好ましくは全てが、これらよりなる。
【0026】
【化8】


式中、パラメーターは、それぞれ上記式IIで与えられる意味を有し、式II−1中において、パラメーターL23およびL24は、互いにおよび他のパラメーターと独立に、HまたはFであり、式II−2中においては、好ましくは、
【0027】
【化9】

好ましくは、成分Bは、L21およびL22またはL23およびL24の両者がFである式II−1〜II−3の化合物群より選ばれる化合物を含む。
【0028】
好ましい実施形態において、成分Bは、L21、L22、L23およびL24の全てがFである式II−1およびII−2の化合物群より選ばれる化合物を含む。
【0029】
好ましくは、成分Bは、式II−1の化合物を1種類以上含む。好ましくは、式II−1の化合物は、式II−1a〜II−1eの化合物群より選ばれる。
【0030】
【化10.1】

【0031】
【化10.2】


式中、パラメーターは、それぞれ上で与えられる意味を有する。
【0032】
好ましくは、成分Bは、L21およびL22またはL23およびL24の両者がFである式II−1a〜II−1eの化合物群より選ばれる化合物を含む。
【0033】
好ましい実施形態において、成分Bは、L21、L22、L23およびL24の全てがFである式II−1a〜II−1eの化合物群より選ばれる化合物を含む。
【0034】
式II−1の特に好ましい化合物は、以下の通りである。
【0035】
【化11.1】

【0036】
【化11.2】

式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0037】
好ましくは、成分Bは、式II−2の化合物を1種類以上含む。好ましくは、式II−2の化合物は、式II−2a〜II−2cの化合物群より選ばれる。
【0038】
【化12】

式中、パラメーターは、それぞれ上で与えられる意味を有し、
好ましくは、L21およびL22の両者はFである。
【0039】
好ましくは、成分Bは、式II−3の化合物を1種類以上含む。好ましくは、式II−3の化合物は、式II−3a〜II−3dの化合物群より選ばれる。
【0040】
【化13.1】

【0041】
【化13.2】

式中、パラメーターは、それぞれ上で与えられる意味を有し、
好ましくは、L21およびL22の両者がFであり、L23およびL24の両者がHであるか、または
21、L22、L23およびL24の全てがFである。
【0042】
式II−3の特に好ましい化合物は、以下の通りである。
【0043】
【化14.1】

【0044】
【化14.2】

式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0045】
本発明の更に好ましい実施形態においては、成分Bは、式III−1およびIII−2の化合物群より選ばれる3より大きい誘電異方性を有する誘電的に正の化合物を1種類以上含むことが好ましく、より好ましくは大部分が、更に好ましくは実質的に、最も好ましくは全てが、これらよりなる。
【0046】
【化15】

式中、パラメーターは、それぞれ上式IIIで与えられる意味を有する。
【0047】
好ましくは、成分Bは、式III−1の化合物を1種類以上含む。好ましくは、式III−1の化合物は、式III−1aおよびIII−1bの化合物群より選ばれる。
【0048】
【化16】

式中、パラメーターは、それぞれ上で与えられる意味を有し、パラメーターL33およびL34は、それぞれ互いにおよび他のパラメーターと独立に、HまたはFである。
【0049】
好ましくは、成分Bは、式III−2の化合物を1種類以上含む。好ましくは、式III−2の化合物は、式III−2a〜III−2hの化合物群より選ばれる。
【0050】
【化17.1】

【0051】
【化17.2】

式中、パラメーターは、それぞれ上で与えられる意味を有し、パラメーターL35およびL36は、それぞれ互いにおよび他のパラメーターと独立に、HまたはFである。
【0052】
好ましくは、成分Bは、式III−1aの化合物を1種類以上含み、好ましくは、式III−1a−1〜III−1a−6の化合物群より選ばれる。
【0053】
【化18.1】

式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0054】
好ましくは、成分Bは、式III−2aの化合物を1種類以上含み、好ましくは、式III−2a−1〜III−2a−4の化合物群より選ばれる。
【0055】
【化19】


式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0056】
好ましくは、成分Bは、式III−2bの化合物を1種類以上含み、好ましくは、式III−2b−1およびIII−2b−2、好ましくはIII−2b−2の化合物群より選ばれる。
【0057】
【化20】

式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0058】
好ましくは、成分Bは、式III−2cの化合物群より選ばれる化合物を1種類以上含み、好ましくは、式III−2c−1〜III−2c−5の化合物群より選ばれる。
【0059】
【化21.1】

【0060】
【化21.2】

式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0061】
好ましくは、成分Bは、式III−2dおよびIII−2eの化合物群より選択される化合物を1種類以上含み、好ましくは、式III−2d−1およびIII−2e−1の化合物群より選ばれる。
【0062】
【化22】

式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0063】
好ましくは、成分Bは、式III−2fの化合物を1種類以上含み、好ましくは、式III−2f−1〜III−2f−5の化合物群より選ばれる。
【0064】
【化23.1】

【0065】
【化23.2】

式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0066】
好ましくは、成分Bは、式III−2gの化合物を1種類以上含み、好ましくは、式III−2g−1〜III−2g−5の化合物群より選ばれる。
【0067】
【化24.1】

【0068】
【化24.2】

式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0069】
好ましくは、成分Bは、式III−2hの化合物を1種類以上含み、好ましくは、式III−2h−1〜III−2h−3の化合物群より選ばれる。
【0070】
【化25】

式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0071】
式III−1および/またはIII−2の化合物に代えてまたは加えて、本発明の媒体は、式III−3の化合物を1種類以上含むこともできる。
【0072】
【化26】

式中、パラメーターは、それぞれ上式IIIで与えられる意味を有し、好ましくは式III−3aである。
【0073】
【化27】

式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0074】
好ましくは、本発明の液晶媒体は、誘電的に中性の成分である成分Cを含有する。この成分は、−1.5〜+3の範囲の誘電異方性を有する。好ましくは、この成分は、誘電異方性が−1.5〜+3の範囲の誘電的に中性の化合物を含むことが好ましく、より好ましくは大部分が、更に好ましくは実質的に、最も好ましくは全てが、これらよりなる。好ましくは、この成分は、式IVの誘電異方性が−1.5〜+3の範囲の誘電的に中性の化合物を1種類以上含むことが好ましく、より好ましくは大部分が、更に好ましくは実質的に、特に全てが、これらよりなる。
【0075】
好ましくは、誘電的に中性の成分である成分Cは、式IV−1〜IV−5の化合物群より選ばれる1種類以上の化合物を含む。
【0076】
【化28】

式中、R41およびR42は、それぞれ上式IVで与えられる意味を有し、式IV−1、IV−4およびIV−5において、R41は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくはアルケニルであり、R42は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくはアルキルであり、式IV−2において、R41およびR42は好ましくはアルキルであり、式IV−3において、R41は好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくはアルキル、R42は好ましくはアルキルまたはアルコキシ、好ましくはアルコキシである。
【0077】
好ましい実施形態において、成分Cは、好ましくは式IV−4、より好ましくは式CCP−V−nおよび/またはCCP−nV−mおよび/またはCCP−Vn−m、より好ましくは式CCP−V−nおよび/またはCCP−V2−nのそれぞれの補助式から選ばれ、最も好ましくは式CCP−V−1およびCCP−V2−1の群から選択される1種類以上の化合物を含む。これらの略称(略号)は、以下の表Bで与えられる。
【0078】
好ましくは、誘電的に中性の成分である成分Cは、式IV−1、IV−3、IV−4およびIV−5の化合物群から選ばれる1種類以上の化合物を含有し、好ましくは、式IV−1の1種類以上の化合物と式IV−3およびIV−4の群から選ばれる1種類以上の化合物を含有し、好ましくは式IV−1、IV−3およびIV−4のそれぞれ1種類以上の化合物を含有し、最も好ましくは式IV−1、IV−3、IV−4およびIV−5のそれぞれ1種類以上の化合物を含有する。
【0079】
本発明の更に好ましい実施形態において、これまでの実施形態と同一でも異なっていてもよいが、本発明の液晶混合物は成分Cを含み、上で示したように式IV−1〜IV−5、および任意に式IV−6〜IV−13の化合物群より選ばれる式IVの化合物を含み、好ましくは大部分が、より好ましくは実質的に、最も好ましくは全てが、これらよりなる。
【0080】
【化29.1】

【0081】
【化29.2】

式中、R41およびR42は、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜7のアルキル、アルコキシ、フッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化されたアルケニルであり、および
は、HまたはFである。
【0082】
式IIおよび/またはIIIの化合物に代えてまたは加えて、本発明の媒体は、式Vの誘電的に正の化合物を1種類以上含むこともできる。
【0083】
【化30】

式中、Rは、炭素数1〜7のアルキル、アルコキシ、フッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化されたアルケニルであり、好ましくはアルキルまたはアルケニルであり、
【0084】
【化31】

51およびL52は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、好ましくはL51はFであり、
は、ハロゲン、炭素数1〜3のハロゲン化されたアルキルまたはアルコキシまたは炭素数2または3のハロゲン化されたアルケニルまたはアルケニルオキシであり、好ましくは、F、Cl、−OCFまたは−CFであり、最も好ましくは、F、Clまたは−OCFであり、
は、−CHCH−、−CFCF−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−または−CHO−であり、好ましくは−CHCH−、−COO−またはトランス−CH=CH−であり、最も好ましくは−COO−または−CHCH−であり、および
qは、0または1である。
【0085】
好ましくは、本発明の媒体は、式Vの化合物を1種類以上含み、好ましくは、式V−1およびV−2の化合物群より選ばれる。
【0086】
【化32】

式中、パラメーターは、それぞれ上で与えられる意味を有し、パラメーターL53およびL54は、それぞれ互いにおよび他のパラメーターと独立に、HまたはFであり、好ましくは、Zは−CH−CH−である。
【0087】
好ましくは、式V−1の化合物は、式V−1aおよびV−1bの化合物群より選ばれる。
【0088】
【化33】

式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0089】
好ましくは、式V−2の化合物は、式V−2a〜V−2dの化合物群より選ばれる。
【0090】
【化34】


式中、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0091】
好ましくは、本発明の液晶媒体は、誘電的に中性の追加成分である成分Dを含有する。この成分は、−1.5〜+3の範囲の誘電異方性を有する。好ましくは、この成分は、誘電異方性が−1.5〜+3の範囲の誘電的に中性の化合物を含むことが好ましく、より好ましくは大部分が、更に好ましくは実質的に、最も好ましくは全てが、これらよりなる。好ましくは、この成分は、式VIの誘電異方性が−1.5〜+3の範囲の誘電的に中性の化合物を1種類以上含むことが好ましく、より好ましくは大部分が、更に好ましくは実質的に、特に全てが、これらよりなる。
【0092】
【化35】

式中、R61およびR62は、それぞれ互いに独立して、上式IIのRで与えられる意味を有し、好ましくは、R61はアルキル基で、R62はアルキルまたはアルケニルであり、
【0093】
【化36.1】

【0094】
【化36.2】

好ましくは、
【0095】
【化37】

61およびZ62は、それぞれ互いに独立して、およびZ61が2つ存在する場合は、これらも互いに独立して、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−または単結合であり、好ましくは、これらの少なくとも1つは単結合であり、および
rは、0、1または2で、好ましくは0または1である。
【0096】
好ましくは、誘電的に中性の成分である成分Dは、式VI−1およびVI−2の化合物群から選ばれる1種類以上の化合物を含む。
【0097】
【化38】

式中、R61およびR62は、それぞれ上式VIで与えられる意味を有し、R61はアルキルが好ましく、式VI−1においては、R62はアルケニルが好ましく、−(CH−CH=CH−CHが好ましく、式VI−2においては、R62はアルキルが好ましい。
【0098】
好ましくは、誘電的に中性の成分である成分Dは式VI−1およびVI−2の化合物群から選ばれる1種類以上の化合物を含有し、そこでR61はn−アルキルが好ましく、式VI−1においては、R62はアルケニルが好ましく、式VI−2においては、R62はn−アルキルが好ましい。
【0099】
好ましい実施形態において、成分Dは、好ましくは式VI−1、より好ましくは、その補助式PP−n−2Vm、より好ましくは式PP−1−2V1の化合物を1種類以上含む。これらの略称(略号)は、以下の表Bで与えられる。
【0100】
好ましい実施形態において、成分Dは、好ましくは式VI−2、より好ましくは、その補助式PGP−n−m、より好ましくは、その補助式PGP−3−m、より好ましくは式PGP−3−2、PGP−3−3、PGP−3−4およびPGP−3−5から選ばれる化合物を1種類以上含む。これらの略称(略号)は、以下の表Bで与えられる。
【0101】
好ましくは、本発明の液晶混合物は、成分AおよびBに加えて、更なる成分を少なくとも1種類含む。この第3の成分は、成分CおよびDの一方でよく、好ましくは、この第3の成分は成分Cである。
【0102】
また、当然、本発明の混合物は成分A、B、CおよびDの全てを含むこともできる。
【0103】
加えて、本発明の液晶混合物は、負の誘電異方性を有する更なる任意成分である成分Eを含有することもでき、好ましくは、式VIIの誘電的に負の化合物を含むことが好ましく、より好ましくは大部分が、更に好ましくは実質的に、最も好ましくは全てが、これらよりなる。
【0104】
【化39】


式中、R71およびR72は、それぞれ互いに独立に、上式IIのRで与えられる意味を有し、
【0105】
【化40】

【0106】
【化41.1】

【0107】
【化41.2】

71およびZ72は、それぞれ互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−または単結合であり、好ましくは、これらの少なくとも一方は単結合であり、最も好ましくは、両方が単結合であり、
71およびL72は、それぞれ互いに独立して、C−FまたはNであり、好ましくはこれらの少なくとも一方はC−Fであり、最も好ましくは、両方がC−Fであり、および
kは、0または1である。
【0108】
加えて、本発明の液晶混合物は、正の誘電異方性を有する更なる任意成分である成分Fを含有することもでき、好ましくは、式VIIIの誘電的に正の化合物を含むことが好ましく、より好ましくは大部分が、更に好ましくは実質的に、最も好ましくは全てが、これらよりなる。
【0109】
【化42】

式中、Rは、上式IIでRに与えられる意味を有し、
【0110】
【化43】

【0111】
【化44】

その他は同じ意味を有するか、それぞれ互いに独立に、
【0112】
【化45】

【0113】
【化46】

81およびZ82は、それぞれ互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−または単結合であり、好ましくは、これらの少なくとも一方は単結合であり、最も好ましくは、両方が単結合であり、
lは0、1または2、好ましくは0または1、より好ましくは1で、
は上式IIでXに与えられる意味を有するか、代わりにRとは独立にRに与えられる意味を有してよい。
【0114】
好ましくは、本発明の液晶媒体は、成分A〜E、好ましくは成分A〜Dおよび最も好ましくは成分A〜Cを含み、より好ましくは大部分が、最も好ましくは全てが、これらよりなり、特には式I〜VII、好ましくは式I〜Vおよび最も好ましくは式I〜IIIの化合物群より選択される化合物である。
【0115】
本出願において「含む」は、組成物の文脈において、例えば媒体または成分などの言及される物が特定の各成分(単数または複数)または各化合物(単数または複数)を含有していることであり、好ましくは合計濃度で10%以上、最も好ましくは20%以上含有していることを意味する。
【0116】
文脈中、「大部分が・・よりなる」は、言及される物が特定の各成分(単数または複数)または各化合物(単数または複数)を55%以上、好ましくは60%以上、最も好ましくは70%以上を含有することを意味する。
【0117】
文脈中、「実質的に・・よりなる」は、言及される物が特定の各成分(単数または複数)または各化合物(単数または複数)を80%以上、好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上を含有することを意味する。
【0118】
文脈中、「全てが・・よりなる」は、言及される物が特定の各成分(単数または複数)または各化合物(単数または複数)を98%以上、好ましくは99%以上、最も好ましくは100.0%を含有することを意味する。
【0119】
成分Eは、式VII、好ましくは、式VII−1〜VII−3からなる化合物群より選ばれる化合物を1種類以上含むことが好ましく、より好ましくは大部分が、最も好ましくは全体が、これらよりなる。
【0120】
【化47】

式中、R71およびR72は、それぞれ上式VIIで与えられる意味を有する。
【0121】
式VII−1〜VII−3において、R71は、好ましくはn−アルキルまたは1−E−アルケニル基であり、R72は、好ましくはn−アルキルまたはアルコキシである。
【0122】
また、本発明の媒体の中で、上では明確には述べていないが、その他のメソゲン性化合物を任意成分として、有利に使用することもできる。そのような化合物は当業者に知られている。
【0123】
本発明の液晶媒体は、70℃以上の、好ましくは75℃以上の透明点によって特徴付けられる。
【0124】
本発明の液晶媒体の589nm(ナトリウムのD線)で20℃におけるΔnは、好ましくは0.060以上0.135以下の範囲、より好ましくは0.070以上0.130以下の範囲、最も好ましくは0.080以上0.122以下の範囲である。
【0125】
本発明の液晶媒体の1kHzで20℃におけるΔεは、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、最も好ましくは6以上である。特には、Δεは12以下である。
【0126】
本発明の媒体のネマチック相は、少なくとも0℃以下から70℃以上、より好ましくは少なくとも−20℃以下から70℃以上まで、最も好ましくは少なくとも−30℃以下から75℃以上まで、特には少なくとも−40℃以下から75℃以上まで広がることが好ましい。
【0127】
本発明の第1の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは、0.090以上から0.125以下の範囲、より好ましくは0.095以上から0.120以下の範囲、最も好ましくは0.100以上から0.115以下の範囲であり、一方、Δεは、好ましくは、3以上12以下、好ましくは10以下の範囲である。
【0128】
本発明の第2の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは、0.085以上0.130以下の範囲であり、より好ましくは0.090以上0.125以下の範囲、最も好ましくは0.095以上0.120以下の範囲であり、一方、Δεは、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、さらにより好ましくは8.0以上、最も好ましくは8.0以上10.0以下の範囲である。
【0129】
この実施形態において、本発明の媒体のネマチック相は、少なくとも−20℃以下から70℃以上、より好ましくは少なくとも−20℃以下から70℃以上まで、最も好ましくは少なくとも−30℃以下から70℃以上まで、特に少なくとも−40℃以下から70℃以上まで広がることが好ましい。
【0130】
本発明の第3の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは、0.070以上0.120以下の範囲であり、より好ましくは0.075以上0.115以下の範囲、最も好ましくは0.080以上0.110以下の範囲であり、一方、Δεは、好ましくは、4.0以上、より好ましくは4.0以上14.0以下の範囲、最も好ましくは、4.0以上6.0以下の範囲であるか、特に好ましくは、6.0以上11.0以下の範囲のいずれかである。
【0131】
この実施形態において、好ましくは、本発明の媒体のネマチック相は、少なくとも−20℃以下から75℃以上、より好ましくは少なくとも−30℃以下から70℃以上まで、最も好ましくは少なくとも−30℃以下から75℃以上まで、特に少なくとも−30℃以下から80℃以上まで広がることが好ましい。
【0132】
本発明の第4の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは、0.090以上0.140以下の範囲であり、一方、Δεは、好ましくは、2.0以上、より好ましくは2.0以上14.0以下の範囲、最も好ましくは、3.0以上12.0以下の範囲である。透明点が約70℃、Δnが0.010、Δεが約3、またはΔεは3より小さくてもよい媒体が特に好ましい。
【0133】
本発明の第5の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは、0.070以上0.120以下の範囲であり、一方、Δεは、ここで再び、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.0以上14.0以下の範囲、最も好ましくは、3.0以上12.0以下の範囲である。ここで、液晶媒体のΔnは、約0.070または約0.080でよい。
【0134】
成分Aは、好ましくは全混合物の1%〜65%、より好ましくは2%〜60%、より好ましくは3%〜50%、最も好ましくは5%〜40%の濃度で使用される。
【0135】
成分Bは、好ましくは全混合物の5%〜60%、より好ましくは10%〜55%、より好ましくは15%〜50%、最も好ましくは20%〜45%の濃度で使用される。
【0136】
成分Cは、好ましくは全混合物の0%〜70%、より好ましくは10%〜60%、より好ましくは20%〜50%、最も好ましくは15%〜50%の濃度で使用される。
【0137】
成分Dは、好ましくは全混合物の0%〜50%、好ましくは1%〜40%、より好ましくは5%〜30%、最も好ましくは10%〜20%の濃度で使用される。
【0138】
成分Eは、好ましくは全混合物の0%〜30%、好ましくは0%〜15%、最も好ましくは1%〜10%の濃度で使用される。
【0139】
任意に、本発明の媒体は、物理的性質を調節するために、さらに液晶化合物を含むことができる。そのような化合物は当業者に知られている。本発明の媒体中におけるそれらの濃度は、好ましくは0%〜30%、より好ましくは0.1%〜20%、最も好ましくは1%〜15%である。
【0140】
上記の本発明の第1の好ましい実施形態においては、成分Aは、好ましくは、全混合物の40%〜65%、より好ましくは45%〜60%、最も好ましくは50%〜57%の濃度で使用され、一方、成分Dは、好ましくは、全混合物の5%〜40%、より好ましくは10%〜35%、最も好ましくは10%〜30%の濃度で使用される。
【0141】
この好ましい実施形態においては、媒体は、好ましくは、式VI、最も好ましくは式VI−2の化合物を1種類以上含む。
【0142】
特に、上記の本発明の第2の好ましい実施形態においては、成分Cは、好ましくは、式IV、より好ましくは式IV−1、より好ましくは式CC−n−Vおよび/またはCC−n−Vm、より好ましくは式CC−n−V1および/またはCC−n−V、最も好ましくは式CC−3−V、CC−4−V、CC−5−VおよびCC−3−V1からなる群より選ばれる化合物を1種類以上含む。これらの略称(略号)の定義は、以下の表B中で与えられる。
【0143】
好ましくは、液晶媒体は、成分A、B、CおよびD、好ましくは成分A、BおよびCの総量で、50%〜100%、より好ましくは70%〜100%、最も好ましくは80%〜100%、特には90%〜100%含み、同様に式I、II、III、IV、V、VIおよびVII、好ましくは式I、II、III、IV、VおよびVIのそれぞれの化合物の1種類以上含有するか、好ましくは大部分が、最も好ましくは全てが、これらよりなる。
【0144】
本出願において、用語「誘電的に正」は、化合物または成分がΔε>3.0であること、用語「誘電的に中性」は、−1.5≦Δε≦3.0であること、用語「誘電的に負」は、Δε<−1.5であることをそれぞれ意味し、Δεは、1kHzの周波数で20℃において決定される。それぞれの化合物の誘電異方性は、ネマチックホスト混合物中での、個別の化合物の10%の溶液の結果から決定される。それぞれの化合物の、ホスト混合物中での溶解性が10%未満であるときは、濃度を5%まで低下して測定する。試験混合物の容量は、ホメオトロピックを有するセル、およびホモジニアス配向を有するセルの両方において決定する。両方の型のセルのセルギャップは、およそ20μmである。印加される電圧は、1kHzの周波数で室温において典型的には0.5V〜1.0Vの二乗平均平方根値を有する矩形波であるが、しかしながら、常にそれぞれの試験混合物の容量の閾値よりも低く選択される。
【0145】
Δεは(ε−ε)で定義され、一方εavは(ε+2ε)/3で定義される。
【0146】
誘電的に正の化合物については、混合物ZLI−4792が、誘電的に中性および誘電的に負の化合物については、混合物ZLI−3086(両方ともメルク社製、ドイツ国)が、それぞれホスト混合物として使用される。化合物の誘電率は、注目している化合物の添加によるそれぞれのホスト化合物の値の変化から決定される。その値を、注目している化合物の濃度100%に外挿する。
【0147】
20℃の測定温度でネマチック相を有する成分は、そのままで測定され、他の全ての点についても化合物の測定と同様に処理される。
【0148】
本出願において、用語「閾値電圧」は、明示的に別のことを述べなければ、光学的閾値を意味し、そして10%相対的コントラスト(V10)について与えられ、また、用語「飽和電圧」は、光学的飽和を意味し、そして90%相対的コントラスト(V90)について与えられる。フレデリクス閾値(VFr)とも呼ばれる容量的閾値電圧(V)は、特に明示的に述べる場合にのみ使用する。
【0149】
本出願で与えられたパラメーターの範囲は、他に明示的に述べなければすべて限界値を含む。
【0150】
本出願を通じて、他に特に述べなければ、全ての濃度は、質量パーセントで与えられ、それぞれの完全の混合物に関するものであり、全ての温度は、摂氏度で与えられ、全ての温度差も摂氏度で与えられる。すべての物理的な特性は、「Merk Liquid Crystals、Physical Properties of Liquid Crystals」、Status誌、1997年11月刊、メルク社、ドイツ国により決定されたか、または決定され、および他に特に述べなければ、20℃の温度に対して与えられる。光学異方性(Δn)については、589.3nmの波長で決定される。誘電異方性(Δε)については、1kHzの周波数で決定される。閾値電圧、並びに他の電気光学的特性は、メルク社、ドイツ国で作製された試験セルで決定された。Δεの決定のための試験セルは、約20μmのセルギャップを有していた。電極は、1.13cmの面積および保護リングを有する円形ITO電極であった。配向層は、ホメオトロピック配向(ε)用にはレシチン、およびホモジニアス配向(ε)用には日本合成ゴム社製ポリイミドAL−1054であった。容量は、0.3Vrmsの電圧を有する正弦波を使用した周波数応答分析装置Solatron1260で決定した。電気光学的測定において使用した光は、白色光であった。用いた構成は、大塚社、日本国より商業的に入手可能な装置であった。特性電圧は、垂直観察の下で決定した。閾値(V10)−中間灰色(V50)−および飽和(V90)電圧は、それぞれ10%、50%および90%相対コントラストで決定した。
【0151】
本発明による液晶媒体は、通常の濃度で添加剤およびキラルドーパントをさらに含むことができる。これらのさらなる構成成分の合計濃度は、混合物の合計を基礎として0%〜10%の範囲、好ましくは、0.1%〜6%である。それぞれ使用される個別の化合物の濃度は、好ましくは0.1%〜3%の範囲である。これらおよび類似の添加物の濃度は、本出願の液晶媒体の液晶成分および化合物の濃度の値および範囲には考慮されない。
【0152】
本出願による発明の液晶媒体は、数種の化合物、好ましくは3〜30種類、より好ましくは4〜20種類、および最も好ましくは4〜16種類の化合物からなる。これらの化合物は、慣用的な方法で混合される。原則として、より少ない量で使用される化合物の所定量を、より大きい量として用いられる化合物に溶解する。温度がより高い濃度で用いられる化合物の透明点を越える場合には、溶解の過程の完了を観察するのは、特に容易である。しかしながら、他の慣用の方法、例えば、同族化合物または共融混合物であることができる、いわゆるプレ混合物の使用や、構成成分が使用可能な状態の混合物自身である、いわゆるマルチ・ボトル・システムにより媒体を調製することもできる。
【0153】
適当な添加物の添加により、本発明による液晶媒体は、すべての既知型の液晶ディスプレイ、例えばTN−、TN−AMD、ECB−AMD、VAN−AMD、IPSおよびOCB LCDのような液晶媒体をそのまま使用するもの、および特にPDLC、NCAP、PN LCDそして特にASM−PA LCDなどの複合システムのいずれにおいても使用可能であるように、変更することができる。
【0154】
液晶の融点T(C,N)、スメクチック相(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)は、摂氏度で与えられる。
【0155】
本出願において、および特に以下に示す例において、液晶化合物の構造は省略形(略号とも呼ばれる)で示される。その略号から対応する構造への変換は、下記表AおよびBに従って直接的に行われる。基C2n+1およびC2m+1は全部が、n個またはm個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖状アルキル基である。表Bの解釈は、それ自体で明らかである。表Aには、構造のコアに対する略号のみが示されている。それぞれの化合物は、コアの略号とそれに続くハイフンおよび以下の置換基R、R、LおよびLを特定するコードで表される。
【0156】
【表1】

<表A>
【0157】
【表2.1】

【0158】
【表2.2】

【0159】
<表B>
【0160】
【表3.1】

【0161】
【表3.2】

【0162】
【表3.3】

【0163】
【表3.4】

【0164】
【表3.5】

【0165】
【表3.6】

【0166】
本発明の液晶媒体は、好ましくは、
・表AおよびBの化合物群から選択される7種類以上、好ましくは、8種類以上の化合物で、好ましくは異なる式の化合物、および/または
・表Aの化合物群から選択される1種類以上、より好ましくは2種類以上の化合物、好ましくは3種類以上の化合物で、好ましくは異なる式の化合物、および/または
・表Bの化合物群から選択される3種類以上、より好ましくは4種類以上、さらに好ましくは5種類以上の化合物で、好ましくは異なる式の化合物を含む。
【実施例】
【0167】
下記の例は、いかなる方法でも制限することなく、本発明を説明するものである。
【0168】
しかしながら、物理的特性の構成は、当業者にどの特性が達成できるか、そして、どの範囲でそれらを変更できるかを説明する。特に、好ましく達成することができる種々の特性の組合せが、このように当業者のために明確にされる。
【0169】
<例1>
以下の表に与えられる組成および特性の液晶混合物を実現する。
【0170】
【表4】

この混合物は、IPSモードで動作するディスプレイに非常に良く適している。
【0171】
<例2>
以下の表に与えられる組成および特性の液晶混合物を実現する。
【0172】
【表5】

この混合物は、IPSモードで動作するディスプレイに非常に良く適している。
【0173】
<例3>
以下の表に与えられる組成および特性の液晶混合物を実現する。
【0174】
【表6】

この混合物は、IPSモードで動作するディスプレイに非常に良く適している。
【0175】
<例4>
以下の表に与えられる組成および特性の液晶混合物を実現する。
【0176】
【表7】

この混合物は、IPSモードで動作するディスプレイに非常に良く適している。
【0177】
<例5>
以下の表に与えられる組成および特性の液晶混合物を実現する。
【0178】
【表8】

この混合物は、IPSモードで動作するディスプレイに非常に良く適している。
【0179】
<例6>
以下の表に与えられる組成および特性の液晶混合物を実現する。
【0180】
【表9】

この混合物は、IPSモードで動作するディスプレイに非常に良く適している。
【0181】
<例7>
以下の表に与えられる組成および特性の液晶混合物を実現する。
【0182】
【表10】

この混合物は、TNモードで動作するディスプレイに非常に良く適している。
【0183】
<例8>
以下の表に与えられる組成および特性の液晶混合物を実現する。
【0184】
【表11】

この混合物は、TNモードで動作するディスプレイに非常に良く適している。
【0185】
<例9>
以下の表に与えられる組成および特性の液晶混合物を実現する。
【0186】
【表12】

この混合物は、TNモードで動作するディスプレイに非常に良く適している。
【0187】
<例10>
以下の表に与えられる組成および特性の液晶混合物を実現する。
【0188】
【表13】

この混合物は、TNモードで動作するディスプレイに非常に良く適している。
【0189】
<例11>
以下の表に与えられる組成および特性の液晶混合物を実現する。
【0190】
【表14】

この混合物は、TNモードで動作するディスプレイに非常に良く適している。
【0191】
<例12>
以下の表に与えられる組成および特性の液晶混合物を実現する。
【0192】
【表15】

この混合物は、TNモードで動作するディスプレイに非常に良く適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−式Iの誘電的に正の化合物を1種類以上含む第1の誘電的に正の成分である成分A、
−任意成分として、式IIおよびIIIの化合物群より好ましくは選ばれる誘電的に正の化合物を1種類以上含む第2の誘電的に正の成分である成分B、および
−任意成分として、式IVの誘電的に中性の化合物を1種類以上含む誘電的に中性の成分である成分C
を含むことを特徴とする液晶媒体。
【化1】

(式中、
は、炭素数1〜7のアルキル、アルコキシ、フッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化されたアルケニルであり、
は、ハロゲン、炭素数1〜3のハロゲン化されたアルキルまたはアルコキシ、または炭素数2または3のハロゲン化されたアルケニルまたはアルケニルオキシである。)
【化2】

(式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜7のアルキル、アルコキシ、フッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化されたアルケニルであり、
【化3.1】

【化3.2】

21、L22、L31およびL32は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、
およびXは、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、炭素数1〜3のハロゲン化されたアルキルまたはアルコキシまたは炭素数2または3のハロゲン化されたアルケニルまたはアルケニルオキシであり、
は、−CHCH−、−CFCF−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−または単結合であり、
l、m、nおよびoは、それぞれ互いに独立に、0または1であり、および
式Iの化合物は除外される。)
【化4】

(式中、
41およびR42は、それぞれ互いに独立に、上式IIでRに与えられる意味を有し、
【化5】

41およびZ42は、それぞれ互いに独立に、およびZ41が2回存在している場合は、これらもそれぞれ互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−、−C≡C−または単結合であり、および
pは、0、1または2である。)
【請求項2】
前記媒体中の前記成分Aの濃度が、1%〜50%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の液晶媒体。
【請求項3】
前記成分Aは、XがFである式Iの化合物を1種類以上含むことを特徴とする請求項1または2記載の液晶媒体。
【請求項4】
請求項1で与えられる式IIの化合物を1種類以上含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶媒体。
【請求項5】
請求項1で与えられる式IIIの化合物を1種類以上含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶媒体。
【請求項6】
請求項1で与えられる式IVの誘電的に中性の化合物を1種類以上含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液晶媒体。
【請求項7】
式VIの化合物を1種類以上含む成分Dを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液晶媒体。
【化6】

(式中、
61およびR62は、それぞれ互いに独立に、前記式IIでRに与えられる意味を有し、
【化7】

61およびZ62は、それぞれ互いに独立に、およびZ61が2回存在している場合は、これらもそれぞれ互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−、−C≡C−または単結合であり、および
rは、0、1または2である。)
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の液晶媒体を含有することを特徴とする液晶ディスプレイ。
【請求項9】
アクティブマトリクスによりアドレスされることを特徴とする請求項8記載の液晶ディスプレイ。
【請求項10】
液晶ディスプレイ中における請求項1〜7のいずれかに記載の液晶媒体の使用。

【公開番号】特開2008−156642(P2008−156642A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326115(P2007−326115)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】