説明

液晶媒体および液晶ディスプレイ

【課題】優れた液晶媒体を提供する。
【解決手段】含酸素6員環を有する4環式の化合物、フェニル環を有する4環式の化合物及びシクロヘキサン環とフェニル環を有する4環式化合物等、の3種の化合物群を含有する液晶媒体であって、任意成分として1種類以上の更なる誘電的に正の化合物、および任意成分として1種類以上の更なる誘電的に中性の化合物を含む誘電的に正の液晶媒体に関し、これらの媒体を含有する液晶ディスプレイ、特に、アクティブマトリックスディスプレイ、および特には、TN、IPSおよびFFSディスプレイに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶媒体、およびこれらの媒体を含有するディスプレイ、特に、アクティブマトリックスによりアドレスされるディスプレイ、特には捩れネマチック(TN:Twisted Nematic)、インプレーンスイッチング(IPS:In Plane Switching)またはフリンジ・フィールド・スイッチング(FFS:Fringe Field Switching)型のディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)は、情報を表示するために多くの分野で使用されている。LCDは、直視ディスプレイ用および投射型ディスプレイ用の両者で使用されている。用いられる電気光学モードは、例えば、捩れネマチック(TN:Twisted Nematic)モード、超捩れネマチック(STN:Super Twisted Nematic)モード、光学補償ベンド(OCB:Optically Compensated Bend)モードおよび電気制御複屈折(ECB:Electrically Controlled Birefringence)モード、およびそれらの種々の変法と共に、ならびに他のモードである。これらのモードは全て、基板または液晶層に実質的に垂直な電界を使用する。これらのモードに加え、基板または液晶層に実質的に平行な電界を用いる電気光学的モード、例えば、インプレーンスイッチング(IPS:In Plane Switching)モード(例えば、独国特許第40 00 451号明細書(特許文献1)および欧州特許第0 588 568号明細書(特許文献2)に開示されている)およびフリンジ・フィールド・スイッチング(FFS:Fringe Field Switching)モード(強力な「フリンジ場」、即ち、電極のエッジ近傍に強力な電界が存在し、セル全体にわたっては、強力な垂直成分および強力な水平成分の両者を有する電界が存在する)などがある。とりわけ、これら後者2つの電気光学的モードは、最新のデスクトップモニター中のLCD用に使用され、テレビセットおよびマルチメディア用途向けディスプレイ中で使用されることが意図されている。本発明による液晶は、好ましくは、この型のディスプレイ中で使用される。一般に、かなり低い誘電異方性の値を有する誘電的に正の液晶媒体はFFSディスプレイ中で使用されるが、場合によっては、僅かに3程度または更に低い誘電異方性を有する液晶媒体でさえもIPSディスプレイ中で使用される。
【0003】
これらのディスプレイには、改良された特性を有する新規な液晶媒体が求められている。特に、アドレス時間が、多くのタイプの用途ために改良されなければならない。よって、より低い粘度(η)、特に、より低い回転粘度(γ)を有する液晶媒体が求められている。特に、モニター用途のためには、回転粘度が80mPa・s以下、好ましくは60mPa・s以下、特には55mPa・s以下でなければならない。このパラメーターに加えて、媒体は適切な幅および値のネマチック相範囲および適切な複屈折(Δn)を有していなければならず、誘電異方性(Δε)は適度に低い動作電圧を可能とするために十分高くなければならない。好ましくは、Δεは2より大きくあるべきで、非常に好ましくは3より大きいが、これは少なくとも相当に高い抵抗を妨げるかもしれないので、好ましくは25以下、特には20以下である。
【0004】
ノートブック用のディスプレイとしての用途または他の携帯用の用途には、好ましくは、回転粘度は120mPa・s以下でなければならず、特に好ましくは100mPa・s以下である。ここで、好ましくは、誘電異方性(Δε)は8より大きくあるべきで、特に好ましくは12より大きい。
【0005】
本発明によるディスプレイは、好ましくはアクティブマトリクス(Active Matrix LCD、略してAMD)、好ましくは薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)のマトリクスによりアドレスされる。しかしながら、本発明による液晶は、他の既知のアドレス手段を有するディスプレイ中においても有益に使用できる。
【0006】
重合性材料と共に低分子量の液晶材料の複合系を使用する、多数の異なるディスプレイモードが存在する。例えば、国際特許出願公開第91/05 029号パンフレット(特許文献3)中で開示される通り、例えば、ポリマー分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)系、ネマチック曲線配向相(NCAP:Nematic Curvilinearly Aligned Phase)系およびポリマーネットワーク(PN:Polymer Network)系、または軸対称微小領域(ASM:Axially Symmetric Microdomain)系などがある。これらとは対照的に、本発明による特に好ましいモードは、表面上で配向されたそのままの液晶媒体を使用する。これらの表面は、液晶材料の均一な配向を達成するため、典型的には予め処理される。本発明によるディスプレイモードは、好ましくは、複合層に実質的に平行な電界を使用する。
【0007】
LCDおよび特にはIPSディスプレイに適切な液晶組成物は、例えば、特開平07−181439号公報(特許文献4)、欧州特許第0 667 555号明細書(特許文献5)、欧州特許第0 673 986号明細書(特許文献6)、ドイツ国特許第195 09 410号明細書(特許文献7)、ドイツ国特許第195 28 106号明細書(特許文献8)、ドイツ国特許第195 28 107号明細書(特許文献9)、国際特許出願公開第96/23 851号パンフレット(特許文献10)および国際特許出願公開第96/28 521号パンフレット(特許文献11)より既知である。しかしながら、これらの組成物は顕著な不具合を有している。他の欠陥の中でも、それらの殆どは好ましくない長い応答時間をもたらし、不十分な抵抗値を有し、および/または過度に高い動作電圧をを必要とする。加えて、LCDの低温挙動を改良する要求もある。ここで、動作特性および貯蔵寿命の両者を改良することも必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第40 00 451号明細書
【特許文献2】欧州特許第0 588 568号明細書
【特許文献3】国際特許出願公開第91/05 029号パンフレット
【特許文献4】特開平07−181439号公報
【特許文献5】欧州特許第0 667 555号明細書
【特許文献6】欧州特許第0 673 986号明細書
【特許文献7】ドイツ国特許第195 09 410号明細書
【特許文献8】ドイツ国特許第195 28 106号明細書
【特許文献9】ドイツ国特許第195 28 107号明細書
【特許文献10】国際特許出願公開第96/23 851号パンフレット
【特許文献11】国際特許出願公開第96/28 521号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって、広いネマチック相範囲、使用されるディスプレイの型に対応する適切な光学異方性Δn、高いΔε、および特に短い応答時間のための特に低い粘度などの実用的な用途のために適切な特性を有する液晶媒体に対する多大な要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここで驚くべきことに、適切に高いΔε、適切な相範囲およびΔnを有する液晶媒体を実現できることが見出され、その媒体は先行技術からの材料の不具合を示さないか、または少なくとも格別により小さな程度にしか示さない。
【0011】
本出願によるこれらの改良された液晶媒体は、以下の成分を含む。
【0012】
・式IAの1種類以上の誘電的に正の化合物、
式IBの1種類以上の誘電的に正の化合物、および
式ICの1種類以上の誘電的に正の化合物。
【0013】
【化1】

式中、
は、炭素数1〜7のアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、または炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニルを表し、好ましくは、アルキルまたはアルケニルであり、
【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
【化4】

【0017】
【化5】

【0018】
【化6】

【0019】
【化7】

【0020】
【化8】

【0021】
【化9】

11〜Z16は、互いに独立に、−CHCH−、−CFCF−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−C≡C−、−CHO−、−CFO−または単結合を表し、好ましくは、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−または単結合であり、特に好ましくは、−CFO−または単結合であり、非常に好ましくは、単結合であり、
11およびL12は、互いに独立に、H、FまたはClを表し、好ましくは、HまたはFであり、好ましくは一方または両方、特に好ましくは両方がFを表し、
は、HまたはFを表し、および
は、CHまたはOを表し、好ましくは、CHである。
【0022】
・媒体は、任意成分(任意に存在することができる成分)として、式IIおよびIIIの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含んでいてもよい。
【0023】
【化10】

式中、
およびRは、互いに独立に、炭素数1〜7のアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、または炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニルを表し、RおよびRは、好ましくは、アルキルまたはアルケニルを表し、
【0024】
【化11】

【0025】
【化12】

21、L22、L31およびL32は、互いに独立に、HまたはFを表し、L21および/またはL31は、好ましくはFを表し、
およびXは、互いに独立に、ハロゲン、炭素数1〜3のハロゲン化されたアルキルまたはアルコキシ、または炭素数2または3のハロゲン化されたアルケニルまたはアルケニルオキシを表し、好ましくは、F、Cl、−OCFまたは−CFであり、非常に好ましくは、F、Clまたは−OCFであり、
は、−CHCH−、−CFCF−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−または単結合を表し、好ましくは、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−または単結合であり、非常に好ましくは、−COO−、トランス−CH=CH−または単結合であり、
mは、0、1または3を表し、好ましくは、1または3であり、特に好ましくは、1であり、および
nは、0、1、2または3を表し、好ましくは、1、2または3であり、特に好ましくは、1であり、
および、
がFを表さない場合、mは2を表してもよい。
【0026】
・媒体は、任意成分(任意に存在することができる成分)として、式IVの1種類以上の化合物を含んでいてもよい。
【0027】
【化13】

式中、
41およびR42は、互いに独立に、式IIにおいてRに上で示される意味を有し、好ましくは、R41がアルキルを表し、R42がアルキルまたはアルコキシを表すか、またはR41がアルケニルを表し、R42がアルキルを表し、
【0028】
【化14】

【0029】
【化15】

41およびZ42は、互いに独立に、およびZ41が2回出現する場合、これらも互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−、−C≡C−または単結合を表し、好ましくは、それらの1つ以上は単結合を表し、および
pは、0、1または2を表し、好ましくは、0または1である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
式IA、IB、IC、IIおよびIIIの化合物は、好ましくは、誘電的に正の化合物であり、好ましくは、3より大きい誘電異方性を有する。
【0031】
式IVの化合物は、好ましくは、誘電的に中性の化合物であり、好ましくは、−1.5〜3の範囲の誘電異方性を有する。
【0032】
本発明による媒体は、好ましくは、3より大きい誘電異方性を有する式IA、IBおよびICの1種類以上の誘電的に正な化合物を、それぞれの場合で含み、式中、パラメーターは式I(式IA、IBおよびIC)において上で示されるそれぞれの意味を有する。
【0033】
本出願による液晶媒体は、好ましくは全体として、
1〜30%、好ましくは5〜25%の式IAの化合物、
1〜30%、好ましくは2〜20%の式IBの化合物、および
1〜30%、好ましくは2〜20%の式ICの化合物
を含む。
【0034】
個々の化合物は、1〜20%、好ましくは、1〜15%の濃度で使用される。特に、これらの限定は、それぞれの場合で同族化合物、即ち、同一の式の化合物を2種類以上使用する場合に適用される。1つの式の単一の物質のみ、即ち、1種類のみの同族化合物を使用する場合、その濃度は2〜20%の範囲内でよく、好ましくは、3〜14%である。
【0035】
媒体中の式IA、IBおよびICの化合物の濃度は、好ましくは10%〜50%、より好ましくは12%〜40%、更により好ましくは15%〜35%、非常に好ましくは20%から、好ましくは23%から30%の範囲内である。それぞれの式IA、IBおよび/またはICの単一の同族化合物を媒体中で使用する場合、それの濃度は好ましくは1%〜20%の範囲内であり、それぞれの式IA、IBおよび/またはICの2種類以上の同族化合物を媒体中で使用する場合、1%〜15%の個々の同族化合物が使用される。
【0036】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、それぞれの場合で、式IA−1〜IA−12の化合物群より選択される、好ましくは、式IA−2から選択される式IAの1種類以上の化合物を含む。
【0037】
【化16】

【0038】
【化17】

式中、Rは、式IAにおいて上で示される意味を有する。
【0039】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、それぞれの場合で、式IB−1〜IB−13の化合物群より選択される、好ましくは、式IB−1および/またはIB−2および/またはIB−6および/またはIB−13から選択される式IBの1種類以上の化合物を含む。
【0040】
【化18】

【0041】
【化19】

式中、Rは、式IBにおいて上で示される意味を有する。
【0042】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、それぞれの場合で、式IC−1〜IC−3の化合物群より選択される式ICの1種類以上の化合物を含む。
【0043】
【化20】

式中、Rは、式ICにおいて上で示される意味を有する。
【0044】
式IA〜IC、またはそれの好ましいサブ式の化合物群より選択される化合物に加え、本発明による媒体は、好ましくは、式IIおよびIIIの群より選択され、3より大きい誘電異方性を有する誘電的に正の化合物を1種類以上含む。
【0045】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式II−1〜II−4、好ましくは、式II−1および/またはII−2の化合物群より選択される:
【0046】
【化21】

(式中、パラメーターは式IIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、および
23およびL24は、互いに独立に、HまたはFを表し、好ましくは、L23がFを表し、および
【0047】
【化22】

式II−1およびII−4の場合、Xは、好ましくはFまたはOCFを表し、特に好ましくはFであり、および
式II−3の場合、
【0048】
【化23】


ただし、式IA、IBおよびICの化合物は除外する。)
および/または、式III−1およびIII−2の化合物群より選択される:
【0049】
【化24】

(式中、パラメーターは、式IIIにおいて与えられる意味を有する。)
1種類以上の化合物を含む。
【0050】
好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式III−1および/またはIII−2の化合物に代えるか加えて、式III−3の1種類以上の化合物を含む。
【0051】
【化25】

式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、パラメーターL31およびL32は、互いにおよび他のパラメーターとは独立に、HまたはFを表す。
【0052】
本発明による媒体は、好ましくは、L21およびL22および/またはL23およびL24の両者がFを表す式II−1〜II−4の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0053】
好ましい実施形態において、媒体は、L21、L22、L23およびL24の全てがFを表す式II−2およびII−4の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0054】
媒体は、好ましくは、式II−1の1種類以上の化合物を含む。式II−1の化合物は、好ましくは、式II−1a〜II−1fの化合物群より選択される。
【0055】
【化26】

式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、および
23、L24、L25およびL26は、互いにおよび他のパラメーターとは独立に、HまたはFを表し、
好ましくは、
式II−1a、II−1bおよびII−1c中において、L21およびL22の両者がFを表し、
式II−1dおよびII−1e中において、L21およびL22の両者がFを表し、および/またはL23およびL24の両者がFを表し、および
式II−1f中において、L21、L22およびL25がFを表し、およびL26がHを表す。
【0056】
式II−1の特に好ましい化合物は、以下である。
【0057】
【化27】

式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0058】
媒体は、式II−2a〜II−2jの化合物群より好ましくは選択される、式II−2の1種類以上の化合物を好ましくは含む。
【0059】
【化28】

【0060】
【化29】

式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、および
23〜L28は、互いに独立に、HまたはFを表し、好ましくは、L27およびL28の両者がHを表し、特に好ましくは、L26がHを表し、ただし、式IA、IBおよびICの化合物は除外される。
【0061】
本発明による媒体は、好ましくは、L21およびL22の両者がFを表し、および/またはL23およびL24の両者がFを表す式II−1a〜II−1jの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0062】
好ましい実施形態において、本発明による媒体は、L21、L22、L23およびL24の全てがFを表す式II−2a〜II−2jの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0063】
式II−2の特に好ましい化合物は、以下の式の化合物である。
【0064】
【化30】

【0065】
【化31】

式中、RおよびXは上で示される意味を有し、およびXは好ましくはFを表し、ただし、式IA、IBおよびICの化合物は除外される。
【0066】
本発明による媒体は、好ましくは、式II−3の1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式II−3a〜II−3cの化合物群より選択される。
【0067】
【化32】

式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、およびL21およびL22は、好ましくは両方がFを表し、ただし、式IA、IBおよびICの化合物は除外される。
【0068】
好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式II−4、好ましくは式II−4aの1種類以上の化合物を含む。
【0069】
【化33】

式中、パラメーターは上で与えられる意味を有し、およびXは、好ましくはFまたはOCF、特に好ましくはFを表す。
【0070】
本発明による媒体は、好ましくは、式III−1の1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式III−1aおよびIII−1bの化合物群より選択される。
【0071】
【化34】

式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、および
パラメーターであるL33およびL34は、互いにおよび他のパラメーターとは独立に、HまたはFを表す。
【0072】
本発明による媒体は、好ましくは式III−1aの1種類以上の化合物を含み、好ましくは式III−1a−1〜III−1a−6の化合物群より選択される。
【0073】
【化35】

式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0074】
本発明による媒体は、好ましくは式III−1bの1種類以上の化合物を含み、好ましくは式III−1b−1〜III−1b−4、好ましくはIII−1b−4の化合物群より選択される。
【0075】
【化36】

【0076】
【化37】


式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0077】
本発明による媒体は、好ましくは、式III−2の1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式III−2a〜III−2jの化合物群より選択される。
【0078】
【化38】

【0079】
【化39】

式中、パラメーターは上で与えられる意味を有し、および
好ましくは、式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、および
パラメーターであるL33、L34、L35およびL36は、互いにおよび他のパラメーターとは独立に、HまたはFを表す。
【0080】
本発明による媒体は、好ましくは、式III−2aの1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式III−2a−1〜III−2a−5の化合物群より選択される。
【0081】
【化40】

式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0082】
本発明による媒体は、好ましくは、式III−2bの1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式III−2b−1およびIII−2b−2、好ましくは、III−2b−2の化合物群より選択される。
【0083】
【化41】

式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0084】
本発明による媒体は、好ましくは、式III−2cの1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式III−2c−1〜III−2c−5の化合物群より選択される。
【0085】
【化42】

式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0086】
本発明による媒体は、好ましくは、式III−2dおよびIII−2eの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式III−2d−1およびIII−2e−1の化合物群より選択される。
【0087】
【化43】

式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0088】
本発明による媒体は、好ましくは、式III−2fの1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式III−2f−1〜III−2f−5の化合物群より選択される。
【0089】
【化44】

式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0090】
本発明による媒体は、好ましくは、式III−2gの1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式III−2g−1〜III−2g−5の化合物群より選択される。
【0091】
【化45】

式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0092】
本発明による媒体は、好ましくは、式III−2hの1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式III−2h−1〜III−2h−3、好ましくは、式III−2h−3の化合物群より選択される。
【0093】
【化46】

式中、パラメーターは上で与えられる意味を有し、Xは好ましくはFを表す。
【0094】
本発明による媒体は、好ましくは、式III−2iの1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式III−2i−1およびIII−2i−2、好ましくは、式III−2i−2の化合物群より選択される。
【0095】
【化47】

式中、パラメーターは上で与えられる意味を有し、Xは好ましくはFを表す。
【0096】
本発明による媒体は、好ましくは、式III−2jの1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式III−2j−1およびIII−2j−2、好ましくは、式III−2j−1の化合物群より選択される。
【0097】
【化48】

式中、パラメーターは上で与えられる意味を有する。
【0098】
式III−1および/またはIII−2の化合物に代えるか加えて、本発明による媒体は、式III−3の1種類以上の化合物を含んでもよい。
【0099】
【化49】

式中、パラメーターは、式IIIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有する。
【0100】
これらの化合物は、好ましくは、式III−3aおよびIII−3bの群より選択される。
【0101】
【化50】

式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0102】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、誘電的に中性の成分である成分Cを含む。この成分は、−1.5〜3の範囲内の誘電異方性を有する。それは、−1.5〜3の範囲内の誘電異方性を有する誘電的に中性の化合物を好ましくは含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、とりわけ好ましくは全てがこれらよりなる。この成分は、−1.5〜3の範囲内の誘電異方性を有する式IVの1種類以上の誘電的に中性の化合物を好ましくは含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。
【0103】
誘電的に中性の成分である成分Cは、好ましくは、式IV−1〜IV−6の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0104】
【化51】

式中、R41およびR42は、式IVにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、および
式IV−1、IV−5およびIV−6中では、R41は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくはアルケニルを表し、およびR42は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくはアルキルを表し、
式IV−2中では、R41およびR42は、好ましくは、アルキルを表し、および
式IV−4中では、R41は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、より好ましくはアルキルを表し、およびR42、好ましくはアルキルまたはアルコキシ、より好ましくはアルコキシを表す。
【0105】
誘電的に中性の成分である成分Cは、好ましくは、式IV−1、IV−4、IV−5およびIV−6の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式IV−1の1種類以上の化合物および式IV−4およびIV−5の群より選択される1種類以上の化合物、より好ましくは、式IV−1、IV−4およびIV−5のそれぞれの1種類以上の化合物、非常に好ましくは、式IV−1、IV−4、IV−5およびIV−6のそれぞれの1種類以上の化合物を含む。
【0106】
好ましい実施形態において、本発明による媒体は、好ましくは、式IV−5の1種類以上の化合物を含み、より好ましくは、それぞれが式IV−5のサブ式である式CCP−V−nおよび/またはCCP−nV−mおよび/またはCCP−Vn−mより選択され、より好ましくは、式CCP−V−nおよび/またはCCP−V2−n、非常に好ましくは、式CCP−V−1およびCCP−V2−1の群より選択される。これらの略号(頭文字)の定義は下で表D中に示されているか、または表A〜Cより明らかである。
【0107】
同様に好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式IV−1の1種類以上の化合物を含み、より好ましくは、それぞれが式IV−1のサブ式である式CC−n−m、CC−n−V、CC−n−Vm、CC−V−V、CC−V−Vnおよび/またはCC−nV−Vmより選択され、より好ましくは、式CC−n−Vおよび/またはCC−n−Vmであり、非常に好ましくは、式CC−3−V、CC−4−V、CC−5−V、CC−3−V1、CC−4−V1、CC−5−V1、CC−3−V2およびCC−V−V1の群より選択される。これらの略号(頭文字)の定義は同様に下で表D中に示されているか、または表A〜Cより明らかである。
【0108】
先のものと同一でも異なっていてもよい本発明の更なる好ましい実施形態において、本発明による液晶混合物は成分Cを含んでおり、成分Cは、上に示される通り、式IV−1〜IV−6、および任意に、式IV−7〜IV−13の化合物群より選択される式IVの化合物を含み、好ましくは大部分がこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。
【0109】
【化52】

式中、
41およびR42は、互いに独立に、炭素数1〜7のアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、または炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニルを表し、および
は、HまたはFを表す。
【0110】
好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式IV−8の1種類以上の化合物を含み、より好ましくは、それぞれが式IV−8のサブ式である式CPP−3−2、CPP−5−2およびCGP−3−2より選択され、より好ましくは、式CPP−3−2および/またはCGP−3−2であり、非常に特に好ましくは、式CPP−3−2である。これらの略号(頭文字)の定義は下で表D中に示されているか、または表A〜Cより明らかである。
【0111】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、式Vの1種類以上の化合物を含む。
【0112】
【化53】

式中、
51およびR52は、互いに独立に、式IIにおいてRに上で示される意味を有し、好ましくは、R51はアルキルを表し、およびR52はアルキルまたはアルケニルを表し、
【0113】
【化54】

【0114】
【化55】

51およびZ52は、互いに独立に、Z51が2回出現する場合は、これらも互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−または単結合を表し、好ましくは、それらの1つ以上が単結合を表し、および
rは0、1または2、好ましくは0または1、特に好ましくは1を表す。
【0115】
式Vの化合物は、好ましくは、−1.5〜3の範囲内である誘電異方性を有する誘電的に中性の化合物である。
【0116】
本発明による媒体は、好ましくは、式V−1およびV−2の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0117】
【化56】

式中、
51およびR52は式Vにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、およびR51は好ましくはアルキルを表し、および
式V−1中、R52は、好ましくはアルケニル、好ましくは−(CH−CH=CH−CHを表し、および
式V−2中、R52は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくは、−(CH−CH=CHまたは−(CH−CH=CH−CHを表す。
【0118】
本発明による媒体は、好ましくは、式V−1およびV−2の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含み、式中、R51は好ましくはn−アルキルを表し、および式V−1中でR52は好ましくはアルケニルを表し、および式V−2中でR52は好ましくはn−アルキルを表す。
【0119】
好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式V−1、より好ましくは式V−1のサブ式PP−n−2Vm、更により好ましくは式PP−1−2V1の1種類以上の化合物を含む。これらの略号(頭文字)の定義は下で表D中に示されているか、または表A〜Cより明らかである。
【0120】
好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式V−2、より好ましくは式V−2のサブ式PGP−n−m、PGP−n−2VおよびPGP−n−2Vm、更により好ましくは式V−2のサブ式PGP−3−m、PGP−n−2VおよびPGP−n−V1、非常に好ましくは式PGP−3−2、PGP−3−3、PGP−3−4、PGP−3−5、PGP−1−2V、PGP−2−2VおよびPGP−3−2Vより選択される1種類以上の化合物を含む。これらの略号(頭文字)の定義は同様に下で表D中に示されているか、または表A〜Cより明らかである。
【0121】
式IIおよび/またはIIIの化合物に代えるか加えて、本発明による媒体は、式VIの1種類以上の誘電的に正の化合物を含んでもよい。
【0122】
【化57】

式中、
は、炭素数1〜7のアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、または炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニルを表し、および好ましくは、アルキルまたはアルケニルを表し、
【0123】
【化58】

61およびL62は、互いに独立に、HまたはFを表し、好ましくは、L61は、Fを表し、および
は、ハロゲン、炭素数1〜3のハロゲン化アルキルまたはアルコキシ、または炭素数2または3のハロゲン化アルケニルまたはアルケニルオキシを表し、好ましくは、F、Cl、−OCFまたは−CF、非常に好ましくは、F、Clまたは−OCFであり、
は、−CHCH−、−CFCF−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−または−CFO−、好ましくは、−CHCH−、−COO−またはトランス−CH=CH−、および非常に好ましくは、−COO−またはトランス−CH=CH−を表し、および
qは、0または1を表す。
【0124】
本発明による媒体は、式VI−1およびVI−2の化合物群より好ましくは選択される、式VIの1種類以上の化合物を好ましくは含む。
【0125】
【化59】

式中、パラメーターは、上で示されるそれぞれの意味を有し、
パラメーターであるL63およびL64は、互いにおよび他のパラメーターとは独立に、HまたはFを表し、および
は、好ましくは、−CH−CH−を表す。
【0126】
式VI−1の化合物は、好ましくは、式VI−1aおよびVI−1bの化合物群より選択される。
【0127】
【化60】

式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0128】
式VI−2の化合物は、好ましくは、式VI−2a〜VI−2dの化合物群より選択される。
【0129】
【化61】

式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0130】
加えて、本発明による液晶媒体は、式VIIの1種類以上の化合物を含むことができる。
【0131】
【化62】

式中
は、式IIにおいてRに上で示される意味を有し、
【0132】
【化63】

他は同一の意味を有するか、互いに独立に、
【0133】
【化64】

71およびZ72は、互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−または単結合を表し、好ましくは、それらの1つ以上が単結合を表し、非常に好ましくは、両者が単結合を表し、
tは0、1または2、好ましくは0または1、より好ましくは1を表し、および
は式IIにおいてXに上で示される意味を有するか、代わりにRとは独立にRに示される意味を有してもよい。
【0134】
式VIIの化合物は、好ましくは、誘電的に正の化合物である。
【0135】
加えて、本発明による液晶媒体は、式VIIIの1種類以上の化合物を含む。
【0136】
【化65】

式中、
81およびR82は、互いに独立に、式IIにおいてRに上で示される意味を有し、および
【0137】
【化66】

【0138】
【化67】

81およびZ82は、互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−または単結合を表し、好ましくは、それらの1つ以上が単結合を表し、非常に好ましくは、両者が単結合を表し、
81およびL82は、互いに独立に、C−FまたはNを表し、好ましくは、L81およびL82の1つまたは両方がC−Fを表し、非常に好ましくは、両者がC−Fを表し、および
sは、0または1を表す。
【0139】
式VIIIの化合物は、好ましくは、誘電的に負の化合物である。
【0140】
本発明による媒体は、好ましくは、式VIIIの1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式VIII−1〜VIII−3の化合物群より選択される。
【0141】
【化68】

式中
81およびR82は、式VIIIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有する。
【0142】
式VIII−1〜VIII−3中、R81は、好ましくは、n−アルキルまたは1E−アルケニルを表し、およびR82は、好ましくは、n−アルキルまたはアルコキシを表す。
【0143】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、式IA、IB、ICおよびII〜VIIIの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式IA、IB、ICおよびII〜VII、より好ましくは、式IA、IB、ICおよびII、IIIおよび/またはIVおよび/またはVIである。それらは、特に好ましくは、大部分がこれらの化合物よりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。
【0144】
本出願において、組成物に関して「含む」は、関連する構成成分、即ち、媒体または成分が、示される1種類の成分または複数種類の成分または1種類の化合物または複数種類の化合物を、好ましくは10%以上、非常に好ましくは20%以上の総濃度で含有することを意味する。
【0145】
この関係において、「大部分が・・・よりなる」は、関連する構成成分が、55%以上、好ましくは60%以上、非常に好ましくは70%以上の、示される1種類の成分または複数種類の成分または1種類の化合物または複数種類の化合物を含有することを意味する。
【0146】
この関係において、「本質的に・・・よりなる」は、関連する構成成分が、80%以上、好ましくは90%以上、非常に好ましくは95%以上の、示される1種類の成分または複数種類の成分または1種類の化合物または複数種類の化合物を含有することを意味する。
【0147】
この関係において、「事実上、完全に・・・よりなる」または「全てが・・・よりなる」は、関連する構成成分が、98%以上、好ましくは99%以上、非常に好ましくは100.0%の、示される1種類の成分または複数種類の成分または1種類の化合物または複数種類の化合物を含有することを意味する。
【0148】
明らかには上述されていない他のメソゲン化合物も、本発明による媒体中において場合により有効に使用できる。そのような化合物は、当業者に既知である。
【0149】
本発明による液晶媒体は、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、特に好ましくは70℃以上、非常に特に好ましくは75℃以上の透明点を有する。
【0150】
本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも0℃以下〜70℃以上、より好ましくは少なくとも−20℃以下〜75℃以上、非常に好ましくは少なくとも−30℃以下〜75℃以上、特には少なくとも−40℃以下〜80℃以上に広がっている。
【0151】
本発明による液晶媒体のΔεは、1kHzおよび20℃において、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、非常に好ましくは6以上である。Δεは、特に好ましくは25以下、好ましい実施形態によっては20以下である。
【0152】
本発明による液晶媒体のΔnは、589nm(Na)および20℃において、好ましくは0.070以上〜0.150以下の範囲内、より好ましくは0.080以上〜0.140以下の範囲内、更により好ましくは0.090以上〜0.135以下の範囲内、非常に特に好ましくは0.100以上〜0.130以下の範囲内である。
【0153】
本出願の好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体のΔnは、好ましくは0.080以上、より好ましくは0.090以上である。
【0154】
この本発明の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは、好ましくは0.090以上〜0.120以下の範囲内、より好ましくは0.095以上〜0.115以下の範囲内、非常に特に好ましくは0.100以上〜0.105以下の範囲内であり、一方、Δεは、好ましくは5以上〜11以下の範囲内、好ましくは6以上〜10以下の範囲内、特に好ましくは7以上〜9以下の範囲内である。
【0155】
この実施形態において、本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも−20℃以下〜70℃以上、より好ましくは少なくとも−20℃以下〜70℃以上、非常に好ましくは少なくとも−30℃以下〜70℃以上、特には少なくとも−40℃以下〜95℃以上に広がっている。
【0156】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体のΔnは、好ましくは0.080以上〜0.1300以下、およびΔεは7以上〜25以下である。
【0157】
本発明によれば、式IA、IBおよびICの化合物は共に、混合物全体の好ましくは1%〜50%、より好ましくは1%〜30%、更により好ましくは2%〜30%、非常に好ましくは3%〜30%の総濃度において媒体中で使用される。
【0158】
式IIおよびIIIの群より選択される化合物は、混合物全体の好ましくは2%〜60%、より好ましくは3%〜35%、更により好ましくは4%〜20%、非常に好ましくは5%〜15%の総濃度において使用される。
【0159】
式IVの化合物は、混合物全体の好ましくは5%〜70%、より好ましくは20%〜65%、更により好ましくは30%〜60%、非常に好ましくは40%〜55%の総濃度において使用される。
【0160】
式Vの化合物は、混合物全体の好ましくは0%〜30%、より好ましくは0%〜15%、非常に好ましくは1%〜10%の総濃度において使用される。
【0161】
式VIの化合物は、混合物全体の好ましくは0%〜50%、より好ましくは1%〜40%、更により好ましくは5%〜30%、非常に好ましくは10%〜20%の総濃度において使用される。
【0162】
物理的特性を調節するために、本発明による媒体は、更なる液晶化合物を任意に含んでよい。そのような化合物は、当業者に既知である。本発明による媒体中のそれらの濃度は、好ましくは0%〜30%、より好ましくは0.1%〜20%、非常に好ましくは1%〜15%である。
【0163】
好ましい実施形態において、本発明による媒体中の式CC−3−Vの化合物の濃度は、50%〜65%、特に好ましくは55%〜60%である。
【0164】
本発明のもう一つの好ましい実施形態において、本発明による媒体中の式CC−3−Vの化合物の濃度は、10%〜35%、特に好ましくは11%〜25%、非常に特に好ましくは12%〜20%である。
【0165】
液晶媒体は、式IA、IB、ICおよびII〜VII、好ましくは、式IA、IB、ICおよびII〜VI、特に好ましくは、式IA、IB、ICおよびII〜V、特には、式IA、IB、IC、II、III、IV、VおよびVII、および非常に特に好ましくは、式IA、IB、IC、II、III、IVおよびVからなる群より選択される化合物を、全体で、好ましくは50%〜100%、より好ましくは70%〜100%、および非常に好ましくは80%〜100%、特には90%〜100%で含む。液晶媒体は、これらの化合物より、好ましくは大部分がこれらよりなり、非常に好ましくは事実上、完全にこれらよりなる。好ましい実施形態において、それぞれの場合、液晶媒体は、これらの式のそれぞれの1種類以上の化合物を含む。
【0166】
本出願において、「誘電的に正」との表現はΔε>3.0である化合物または成分を記載し、「誘電的に中性」との表現は−1.5≦Δε≦3.0である化合物または成分を記載し、「誘電的に負」との表現はΔε<−1.5である化合物または成分を記載する。Δεは1kHzの周波数および20℃において決定される。それぞれの化合物の誘電異方性は、ネマチックホスト混合物中での、個々の化合物のそれぞれの10%の溶液の結果から決定される。それぞれの化合物のホスト混合物中での溶解性が10%未満であるときは、濃度を5%まで低下する。試験混合物の容量は、ホメオトロピック配向を有するセルおよびホモジニアス配向を有するセルの両方において決定する。両方の型のセルのセル厚は、およそ20μmである。印加される電圧は1kHzの周波数および典型的には0.5V〜1.0Vの有効値を有する矩形波であるが、常にそれぞれの試験混合物の容量閾値よりも低く選択される。
【0167】
Δεは(ε−ε)と定義され、一方、εavは(ε+2ε)/3である。
【0168】
誘電的に正の化合物については混合物ZLI−4792が、誘電的に中性および誘電的に負の化合物については、混合物ZLI−3086が、それぞれホスト混合物として使用され、両者ともドイツ国メルク社製である。化合物の誘電率の絶対値は、興味ある化合物を添加した際の、ホスト混合物のそれぞれの値の変化から決定される。その値を、興味ある化合物の濃度100%に外挿する。
【0169】
20℃の測定温度でネマチック相を有する成分は、そのままで測定され、他の全ても化合物の測定と同様に処理される。
【0170】
両方の場合において他に明言しない限り、本出願において「閾電圧」との表現は光学的閾値について言及し、10%相対的コントラスト(V10)についてであり、「飽和電圧」との表現は光学的飽和について言及し、90%相対的コントラスト(V90)についてである。フレデリクス閾値(VFr)とも呼ばれる容量的閾電圧(V)は、明らかに述べる場合にのみ使用する。
【0171】
本出願で示されるパラメーターの範囲は、他に明言しない限り、全て限界値を含む。
【0172】
互いの組み合わせにおいて特性の各種の範囲に示される異なる上限および下限の値は、追加の好ましい範囲である。
【0173】
本出願を通じて、他に明言しない限り、以下の条件および定義を適用する。全ての濃度は質量パーセントで示され、それぞれ混合物全体に関するものであり、全ての温度は、摂氏度であり、全ての温度差は差異度である。全ての物理的特性は、「Merck Liquid Crystals、Physical Properties of Liquid Crystals」、1997年11月刊、ドイツ国メルク社に従って決定され、他に明言しない限り、20℃の温度においてである。光学異方性(Δn)は、589.3nmの波長で決定される。誘電異方性(Δε)は、1kHzの周波数で決定される。閾電圧ならびに他の全ての電気光学的特性は、ドイツ国メルク社で製造された試験セルを使用して決定される。Δεの決定のための試験セルは、約20μmのセル厚を有している。電極は、1.13cmの面積および保護リングを有する円形ITO電極である。配向層は、ホメオトロピック配向(ε)用には日本国日産化学社製SE−1211、ホモジニアス配向(ε)用には日本国日本合成ゴム社製ポリイミドAL−1054である。容量は、0.3Vrmsの電圧を有する正弦波を使用するSolatron1260周波数応答解析装置によって決定する。電気光学的測定において使用される光は、白色光である。ドイツ国Autronic Melchers社製の商業的に入手可能なDMS装置を使用する装置構成を、ここでは用いる。特性電圧を、垂直観察の下で決定した。閾値(V10)、中間灰色(V50)および飽和(V90)電圧を、それぞれ10%、50%および90%相対コントラストで決定した。
【0174】
本発明による液晶媒体は、通常の濃度で更なる添加剤およびキラルドーパントを含むことができる。これらの更なる構成成分の総濃度は、混合物全体に基づいて0%〜10%、好ましくは0.1%〜6%の範囲内である。使用される個々の化合物の濃度は、それぞれ好ましくは0.1%〜3%の範囲内である。これらおよび類似の添加剤の濃度は、本出願において、液晶媒体の液晶成分および化合物の濃度の値および範囲の場合には考慮されない。
【0175】
本発明による液晶媒体は、数種の化合物、好ましくは3〜30種類、より好ましくは4〜20種類、非常に好ましくは4〜16種類の化合物からなる。これらの化合物は、慣用的な方法で混合される。原則として、より少ない量で使用される化合物の所望量を、より多い量で使用される化合物に溶解する。より高い濃度で用いられる化合物の透明点より温度が高い場合には、溶解過程の完了を観察するのは特に容易である。しかしながら、他の慣用の方法、例えば、同族化合物または共融混合物が可能な所謂プレ混合物の使用や、構成成分が使用可能な状態の混合物自身である所謂「マルチ・ボトル」系を使用して媒体を調製することも可能である。
【0176】
適切な添加剤を加えることにより、TN、TN−AMD、ECB−AMD、VAN−AMD、IPS−AMD、FFS−AMD LCDなどのように液晶媒体をそのまま使用するディスプレイ、またはPDLC、NCAP、PN LCD、特にASM−PA LCDなどのように複合材系中で液晶媒体を使用するディスプレイ等の公知の液晶ディスプレイの全ての型において使用できるように、本発明による液晶媒体を改変できる。
【0177】
例えば、液晶の融点T(C,N)またはT(C,S)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)などの全ての温度は、摂氏度である。全ての温度差は差異度である。
【0178】
本発明および特に以下の例において、メソゲン化合物の構造は、頭文字とも呼ばれる略号を用いて示される。これらの頭文字において、化学式は、下の表A〜Cを使用して以下の通り略記される。全ての基C2n+1、C2m+1およびC2l+1またはC2n−1、C2m−1およびC2l−1は、それぞれ炭素数n、mおよびlの直鎖のアルキルまたはアルケニル、好ましくは1E−アルケニルを表す。表Aには化合物の核構造の環構造要素に使用されるコードが列記されており、一方、表Bには結合基が示されている。表Cには、左側または右側の末端基のためのコードの意味が与えられる。頭文字は、任意に存在する結合基と共に環構造要素のコードと、それに続く第1のハイフンおよび左側の末端基のコード、第2のハイフンおよび右側の末端基のコードよりなる。表Dには、それらのそれぞれの略号と共に化合物の構造説明例が示されている。
【0179】
【表1】

【0180】
【表2】

【0181】
【表3】

【0182】
【表4】

式中、nおよびmはそれぞれ整数を表し、3つの点「...」は、この表からの他の略号のためのスペースである。
【0183】
以下の表には、それらのそれぞれの略号と共に構造説明例が示されている。これらは、略号のための規則の意味を説明するために示されている。それらは、更に、好ましく使用される化合物を表している。
【0184】
【表5】

【0185】
【表6】

【0186】
【表7】

【0187】
【表8】

【0188】
【表9】

【0189】
【表10】

【0190】
【表11】

【0191】
【表12】

【0192】
【表13】

【0193】
【表14】

【0194】
【表15】

以下の表である表Eに、本発明によるメソゲン媒体中で安定剤として使用できる化合物の例を示す。
【0195】
【表16】

【0196】
【表17】

【0197】
【表18】

【0198】
【表19】

本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、表Eからの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0199】
以下の表である表Fに、本発明によるメソゲン媒体中でキラルドーパントとして好ましく使用できる化合物の例を示す。
【0200】
【表20】

【0201】
【表21】

【0202】
【表22】

本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、表Fからの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0203】
本出願によるメソゲン媒体は、上の表からの化合物からなる群より選択される、2種類以上、好ましくは4種類以上の化合物を好ましくは含む。
【0204】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、
・7種類以上、好ましくは8種類以上の化合物で、好ましくは、表Dからの化合物群より選択される、3つ以上、好ましくは4つ以上の異なる式を有する化合物を含む。
【実施例】
【0205】
下の例は、本発明を一切制限することなく本発明を説明する。
【0206】
しかしながら、物理的特性は、当業者に、実現可能な特性およびそれらを改変できる範囲を示す。よって、特に、好ましくは達成できる各種特性の組み合わせが、当業者のために十分規定される。
【0207】
以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。
【0208】
<例1>
【0209】
【表23】

<例2>
【0210】
【表24】

<例3>
【0211】
【表25】

<例4>
【0212】
【表26】

<例5>
【0213】
【表27】

<例6>
【0214】
【表28】

<例7>
【0215】
【表29】

<例8>
【0216】
【表30】

例1〜8のこれらの混合物は、IPSおよびFFSモード中のディスプレイ用に非常に極めて適切である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・式IAの1種類以上の誘電的に正の化合物、
式IBの1種類以上の誘電的に正の化合物、および
式ICの1種類以上の誘電的に正の化合物
を含む液晶媒体。
【化1】

(式中、
は、炭素数1〜7のアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、または炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニルを表し、
【化2】


【化3】

【化4】

【化5】

11〜Z16は、互いに独立に、−CHCH−、−CFCF−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−C≡C−、−CHO−、−CFO−または単結合を表し、
11およびL12は、互いに独立に、H、FまたはClを表し、
は、HまたはFを表し、および
は、CHまたはOを表す。)
【請求項2】
・式IIおよびIIIの化合物群より選択される1種類以上の化合物
を含む請求項1に記載の媒体。
【化6】

(式中、
およびRは、互いに独立に、炭素数1〜7のアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、または炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニルを表し、
【化7】

21、L22、L31およびL32は、互いに独立に、HまたはFを表し、
およびXは、互いに独立に、ハロゲン、炭素数1〜3のハロゲン化されたアルキルまたはアルコキシ、または炭素数2または3のハロゲン化されたアルケニルまたはアルケニルオキシを表し、
は、−CHCH−、−CFCF−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−または単結合を表し、および
mは、0、1または3を表し、
nは、0、1、2または3を表し、
および、XがFを表さない場合、mは2を表してもよい。)
【請求項3】
・式IVの1種類以上の化合物
を含む請求項1または2に記載の媒体。
【化8】

(式中、
41およびR42は、互いに独立に、式IIにおいて請求項2中のRに上で示される意味を有し、
【化9】


41およびZ42は、互いに独立に、およびZ41が2回出現する場合、これらも互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−、−C≡C−または単結合を表し、および
pは、0、1または2を表す。)
【請求項4】
該媒体中の式IA、IBおよびICの化合物の総濃度が、5%〜40%の範囲内である請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【請求項5】
請求項2中に示される通りの式IIの1種類以上の化合物を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の媒体。
【請求項6】
請求項2中に示される通りの式IIIの1種類以上の化合物を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【請求項7】
式Vの1種類以上の誘電的に中性の化合物を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【化10】

(式中、
51およびR52は、互いに独立に、請求項2中の式IIにおいてRに示される意味を有し、
【化11】

51およびZ52は、互いに独立に、およびZ51が2回出現する場合、これらも互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−または単結合を表し、
rは、0、1または2を表す。)
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の媒体を含有する液晶ディスプレイ。
【請求項9】
アクティブマトリックスによりアドレスされる請求項8に記載のディスプレイ。
【請求項10】
液晶ディスプレイ中における請求項1〜7のいずれか一項に記載の媒体の使用。
【請求項11】
それぞれの場合において請求項1中で与えられる通りの式IAの1種類以上の化合物、式IBの1種類以上の化合物および式ICの1種類以上の化合物を、請求項2〜7のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物と、および/または更なる液晶化合物および/または1種類以上の添加剤と混合する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の媒体の調製方法。

【公開番号】特開2009−215556(P2009−215556A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57041(P2009−57041)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】