液晶媒体
【課題】優れた液晶媒体を提供する。
【解決手段】本発明は、式Iの1種類以上の化合物を含む液晶媒体、更に式Iの新規な化合物、それの調製方法、電子および電気光学的装置、特にLCディスプレイ中でのそれの使用、および同化合物を備えるLCディスプレイに関する。
(式中、R0はアルキル基等、L1はHまたはF、nは1または2、環Aおよび環Bは、シクロへキシレン基、フェニレン基等を表す。)
【解決手段】本発明は、式Iの1種類以上の化合物を含む液晶媒体、更に式Iの新規な化合物、それの調製方法、電子および電気光学的装置、特にLCディスプレイ中でのそれの使用、および同化合物を備えるLCディスプレイに関する。
(式中、R0はアルキル基等、L1はHまたはF、nは1または2、環Aおよび環Bは、シクロへキシレン基、フェニレン基等を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は−O−CH=CF2末端基を有する1種類以上の化合物を含む液晶媒体(LC媒体)、この型の新規な化合物、これの調製方法、電気光学的目的のためのそのLC媒体および化合物の使用、およびそのようなLC媒体および化合物を備えるLCディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶は、印加電圧によって物質の光学的性質を変化させることができるため、主にディスプレイ装置の中の誘電体として使用される。液晶に基づいた電気光学的装置は、当業者に極めて公知であり、種々の効果に基づくことができる。そのような装置の例として、動的散乱を有するセル、DAP(整列相の変形:Deformation of Aligned Phases)セル、ゲスト/ホストセル、捩れネマチック構造を有するTNセル、STN(スーパーツイストネマチック)セル、SBE(超複屈折効果:Superbirefringence Effect)セルおよびOMI(光学モード干渉:Optical Mode Interference)セルが挙げられる。最も一般的なディスプレイ装置は、Schadt−Helfrich効果に基づく、ツイストネマチック構造を有する。加えて、例えばIPS(面内スイッチング:In−Plane−Switching)セルのような基体および液晶面に平行な電場で動作するセルもある。現在のところ商業的には、特に、TN、STNおよびIPSセルが本発明の媒体を応用するにおいて興味ある分野である。
【0003】
液晶材料としては、良好な化学的および熱的安定性を有すると共に、電場と電磁線放射に対しても優れた安定性を有することが必要である。さらに、液晶材料は低粘度であり、セル中で、アドレス時間が短く、閾電圧が低くおよびコントラストが高いものでなければならない。
【0004】
さらに、液晶材料は、通常の動作温度において、即ち、室温以上または室温以下の出来る限り広い範囲において、適切な中間相、例えば前述のセル用のネマチックまたはコレステリック中間相を有していなければならない。液晶は通常、複数成分の混合物として使用されるため、成分が互いに容易に混和することも重要である。さらに導電性、誘電異方性および光学異方性のような特性は、セルの型および用途分野に応じて、種々の要求を満足しなければならない。 例えば、ツイストネマチック構造を有するセル用の材料は、正の誘電異方性および低い導電率を有していなければならない。
【0005】
例えば、個々のピクセルのスイッチングのために集積非線形素子を有するマトリックス型液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)については、大きな正の誘電異方性、広いネマチック相、比較的小さな複屈折率、非常に高い比抵抗、優れたUVおよび温度安定性、および低い蒸気圧を有する媒体が望まれる。
【0006】
この型のマトリックス型液晶ディスプレイは公知である。個々のピクセルのそれぞれのスイッチングに使用することができる非線形素子の例は、アクティブ素子(つまりトランジスター)である。そして使用される用語「アクティブマトリックス」は、2つの区別される型に分けられる。
【0007】
1.基板としてのシリコンウエハー上のMOS(Metal Oxide Semiconductor、金属酸化物半導体)または他のダイオード。
【0008】
2.基板としてのガラス板上の薄膜トランジスター(Thin−Film Transistor、TFT)。
【0009】
基板材料として単結晶シリコンを使用すると、色々な部品ディスプレイのモジュール組み立て品の場合であっても接続部での問題が生じるため、ディスプレイの大きさが制限される。
【0010】
好適であってより有望な第2の型の場合には、TN効果が通常、電気光学的効果として使用される。区別される2つの技術がある。即ち、例えばCdSeのように化合物半導体を含むTFTと、多結晶またはアモルファスシリコンに基づいたTFTとである。後者の技術について、世界的に集中した研究がなされている。
【0011】
TFTマトリックスは、ディスプレイの1つのガラス板の内面に形成され、もう一方のガラス板は、内面に透明な対向電極を有する。ピクセル電極の大きさと比較して、TFTは非常に小さく、事実上、画像に対する悪影響はない。この技術は、フルカラー対応のディスプレイにも適用できる。このディスプレイでは、フィルター素子がスイッチング可能なピクセルの各々に対向するように、赤、緑および青フィルターのモザイクが配置される。
【0012】
TFTディスプレイは、通常、透過光に対して直交した偏光板を備えたTNセルを作動させ、バックライトで照らされる。
【0013】
ここで用語「MLCディスプレイ」は、集積非線形素子を備えた全てのマトリックスディスプレイも含む。即ち、アクティブマトリックスに加えて、バリスターまたはダイオード(MIM、即ち、metal−insulator−metal)のような受動型素子を備えたディスプレイも含む。
【0014】
この型のMLCディスプレイは、特にテレビ用途(例えばポケットテレビ)、またはコンピュータ用(ラップトップ)および自動車または航空機内で使用される高度情報表示装置用途に適している。コントラストの角度依存性と応答時間の問題に加えて、MLCディスプレイにおいては、液晶混合物の比抵抗が十分に高くないことに起因する問題がある[TOGASHI,S.、SEKIGUCHI,K.、TANABE,H.、YAMAMOTO,E.、SORIMACHI,K.、TAJIMA,E.、WATANABE,H.およびSHIMIZU,H.、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第A210−288号、第141ff頁(非特許文献1)およびSTROMER,M.、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第145ff頁(非特許文献2)参照]。抵抗の低下に伴い、MLCディスプレイのコントラストが劣化し、また、残像消去の問題も生じ得る。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内部表面との相互作用のために、一般に、MLCディスプレイの寿命に全体に渡って低下するので、許容される耐用年数を得るためには、高い(初期)抵抗を有することが非常に重要である。特に、低電圧用混合物の場合には、高い抵抗値を達成することは従来不可能であった。さらに、温度の上昇および加熱および/またはUV照射後に、比抵抗の低下が可能な限り小さいことも重要である。また、先行技術による混合物の低温特性も特に良くない。低温であっても、結晶および/またはスメクティック相が生じないことが要求され、さらに、粘性の温度依存性も可能な限り低いことが要求される。よって、先行技術のMLCディスプレイは今日の必要条件を満たさない。
【0015】
バックライトを使用する液晶ディスプレイ、即ち、透過型および必要により半透過型動作に加えて、反射型液晶ディスプレイも特に興味をもたれている。これらの反射型液晶ディスプレイは情報表示装置のために周囲光を使用する。そのため、対応する大きさおよび解像度を有するバックライト液晶ディスプレイより、消費エネルギーが著しく少ない。TN効果は非常によいコントラストによって特徴付けられるので、このタイプの反射ディスプレイは、明るい周囲状況下で容易に読むことができる。これは、例えば時計およびポケット計算機に使用されているような単純な反射TNディスプレイとしてすでに知られている。しかしながら、この原理はまた、例えばTFTディスプレイのように高品質およびより高解像度のアクティブマトリックス駆動ディスプレイに適用することができる。ここで、通常慣用型である透過TFT−TNディスプレイで既に使用されるように、低複屈折率(Δn)の液晶を使用することが、低い光学遅延(d・Δn)を達成するために必要である。この低い光学遅延により、通常は、コントラストの視野角依存性が許容できる程度に低くなる(特許文献1:独国特許第3022818号明細書参照)。反射ディスプレイでは、光が通過する有効な層の厚さは、同じ層厚を有する透過ディスプレイに比べて反射ディスプレイでは約2倍になるので、低複屈折率の液晶の使用は、透過ディスプレイよりもさらに重要である。
【0016】
テレビおよびビデオに応用するために、応答時間が短いディスプレイが必要である。そのような短い応答時間は、特に低い値の粘度、特に回転粘度γ1を有する液晶媒体を使用することで達成できる。しかしながら、希釈剤は一般に透明点を低下させ、よって媒体の動作温度範囲が減少する。
【0017】
したがって、非常に高い比抵抗を有すると同時に、広い動作温度範囲、低温でも短い応答時間および低い閾電圧を有しており、これらの不都合を有していないか、有していたとしてもより少ない程度であるMLCディスプレイが引き続き強く要求されている。
【0018】
TN(Schadt−Helfrich)セルでは、セル中で次の利点を容易にする媒体が望まれる:
−拡大されたネマチック相範囲(特に、低い温度までの)、
−極度に低い温度でのスイッチ能力(屋外用途、自動車、航空電子工学)、
−紫外線照射に対する増大された抵抗(より長い寿命)、
−低い閾電圧。
【0019】
先行技術から入手可能な媒体では、これらの利点を、同時に他のパラメーターを保持しながら達成することはできない。
【0020】
スーパーツイスト型(STN)セルの場合には、より大きな時分割駆動および/またはより低い閾電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に、低温において)を可能にする媒体が望まれる。この目的のために、利用可能なパラメーターの範囲(透明点、スメクティック−ネマチックの相転移または融点、粘度、誘電パラメーター、弾性パラメーター)を一層広げることが、至急望まれている。
【0021】
特に、ビデオおよびビデオ用途(例えば、LCD TV、モニター、PDA、ノート型パソコン、ゲーム器コンソール)用のLCディスプレイの場合、応答時間が著しく短縮されていることが望まれる。したがっで、応答時間の短縮を容易にし、同時に例えば透明点、誘電異方性Δεまたは複屈折ΔnなどのLC媒体の他の特性を損なうことないLC媒体用の化合物に対する要求がある。特に、この目的には低い回転粘度が望ましい。
【特許文献1】独国特許第3022818号明細書
【非特許文献1】TOGASHI,S.、SEKIGUCHI,K.、TANABE,H.、YAMAMOTO,E.、SORIMACHI,K.、TAJIMA,E.、WATANABE,H.およびSHIMIZU,H.、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第A210−288号、第141ff頁
【非特許文献2】STROMER,M.、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第145ff頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、特にこの型のMLC、TNまたはSTNまたはIPSディスプレイ用で、上で示される望ましい特性を有し、上記の不具合を示さないか、示しても低減されている媒体を提供する目的に基づいている。特に、LC媒体は、速い応答時間および低い回転粘度と同時に高い誘電異方性を有していなければならない。加えて、LC媒体は、高い透明点、広いネマチック相範囲および低い閾電圧を有していなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0023】
ここで、この目的は、−O−CH=CF2末端基を有する式Iの1種類以上の化合物を含むLC媒体を使用することで、達成できることが見出された。式Iの化合物により、上で示される望ましい特性を有するLC媒体が結果として得られる。
【0024】
本発明は、式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体に関する。
【0025】
【化1】
式中、
R0は、炭素数1〜15のアルキルまはたアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基の1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CF2O−、−CH=CH−、
【0026】
【化2】
−O−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、式中加えて、1個以上の水素原子はハロゲンで置き換えられていてもよく、
L1は、HまたはFを表し、
nは、1または2を表し、および
【0027】
【化3】
を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、更に、電子および電気光学的装置中、特にLCディスプレイ中における本発明のLC媒体の使用に関する。
【0029】
本発明は、更に、電気光学的ディスプレイ、特に本発明のLC媒体を備えるLCディスプレイ、特にMLC、TN、STNまたはIPSディスプレイに関する。
【0030】
驚くべきことに、式Iの化合物を1種類以上含むLC媒体は低い回転粘度γ1および高い正の誘電異方性を同時に有し、および速い応答時間、高い弾性定数K11、K22およびK33、低い閾電圧、高い透明点および広いネマチック相範囲を有することが見出された。
【0031】
式Iの化合物は、広範囲の用途分野を有する。置換基の選択に応じて、これらの化合物は、液晶媒体を主に構成する基礎材料となり得るが、例えば、この型の誘電体の誘電的および/または光学的異方性を修正したり、および/またはそれの閾電圧および/または粘度を最適なものとするために、他に分類される化合物からの液晶基礎材料を式Iの化合物に加えることもできる。
【0032】
L1がFを表す式Iの化合物が特に好ましい。
【0033】
更に、R0が炭素数1〜8の直鎖状アルキルまたはアルコキシ基または炭素数2〜7の直鎖状アルケニルまたはアルケニルオキシを表す式Iの化合物が好ましい。
【0034】
更に、環Aがシクロヘキシル環を表さない場合、環Bも同様にシクロヘキシル環を表さない式Iの化合物、および/または
【0035】
【化4】
式Iの化合物が好ましい。
【0036】
更に式I好ましい化合物は、以下の式から選択されるものである。
【0037】
【化5.1】
【0038】
【化5.2】
【0039】
【化5.3】
【0040】
【化5.4】
【0041】
【化5.5】
【0042】
式中、R0およびL1は上で示される意味を有し、L1は好ましくはFを表し、R0は好ましくは炭素数1、2、3、4、5、6、7または8の直鎖状アルキル基を表す。
【0043】
上および下において式中のR0がアルキル基および/またはアルコキシ基を表している場合、これは直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、直鎖状で、2、3、4、5、6または7個の炭素原子を有しており、従って、好ましくは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシであり、さらに、メチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシまたはテトラデシルオキシを表す。
【0044】
オキサアルキルは、好ましくは、直鎖の2−オキサプロピル(即ちメトキシメチル)、2−(即ちエトキシメチル)または3−オキサブチル(即ちメトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニル、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0045】
R0がアルキル基を表し、1個のCH2基が−CH=CH−基で置き換えられている場合、これは直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、直鎖状で、2〜10個の炭素原子を有している。従って、特に、ビニル、プロパ−1−または−2−エニル、ブタ−1−、−2−または−3−エニル、ペンタ−1−、−2−、−3−または−4−エニル、ヘキサ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−エニル、ヘプタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−エニル、オクタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−または−7−エニル、ノナ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−エニル、デカ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、−8−または−9−エニルを表す。これらの基は、1ハロゲン化または多ハロゲン化されていてもよい。
【0046】
R0がアルキルまたはアルケニル基を表し、それがハロゲンによって少なくとも1置換されている場合、この基は好ましくは直鎖であり、ハロゲンは好ましくはFまたはClである。多置換の場合、ハロゲンは好ましくはFである。得られる基は、ペルフルオロ化された基も含む。1置換の場合、フッ素または塩素置換は何れの所望の箇所でも構わないが、好ましくはω位である。
【0047】
本発明は、更に、
R0、L1、n、AおよびBは、上で示される意味を有し、および
【0048】
【化6】
および/または、nが、2である式Iの化合物に関する。
【0049】
特に好ましくは、
【0050】
【化7】
化合物であり、特にその中でL1が同時にFを表すものである。
【0051】
更に、nが2である化合物が好ましい。
【0052】
更に、サブ式I3〜I31の化合物が好ましい。
【0053】
本発明は、更に、式Iの化合物の調製方法、電子および電気光学的装置、特にLCディスプレイにおけるそれの使用、および同化合物を備えるLCディスプレイに関する。
【0054】
式Iの化合物は、純粋な状態で無色であり、電気光学的な使用のために好ましい温度範囲で液晶中間相を形成する。これらの化合物は、化学的に、熱的に、および光に対して安定である。
【0055】
式Iの化合物は、文献(例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag社、Stuttgart市のような標準的な著作)に記載されるようなそれ自身は公知の方法により、正確には公知のその反応に適する反応条件により調製される。ここで、それ自身は公知で、ここで更に非常に詳細には述べていない変法も利用できる。環AおよびBがフェニルまたはシクロヘキシルを表す式Iの化合物の合成については、例えばWO1992/21734A1に記載されている。フッ素化されたフェニル環AおよびBを含む式Iの化合物は文献より既知の方法、特に下の反応スキーム1によるかそれに類似して調製することができる(式中、XはHまたはFを表し、Rは、式IのR0またはR0−A−を表す)。
【0056】
【化8】
【0057】
本発明のLC媒体の特に好ましい実施形態を下に示す。
【0058】
−媒体は、式IIおよび/またはIIIの1種類以上の化合物を更に含む。
【0059】
【化9】
式中、
環Cは、1,4−フェニレンまたはトランス−1,4−シクロヘキシレンを表し、
aは、0または1であり、
R3は、炭素数2〜9のアルケニル基を表し、および
R4は式I中のR0について示される意味の1つを有し、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基または炭素数2〜9のアルケニル基を表す。
【0060】
−式IIの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【0061】
【化10.1】
【0062】
【化10.2】
式中、R3aおよびR4aは、それぞれ互いに独立に、H、CH3、C2H5またはC3H7を表し、およびalkylは、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基を表す。特に好ましくは、式IIaおよびIIfの化合物、その中で特に式中R3aがHまたはCH3を表すもの、および式IIcの化合物、その中で特に式中R3aおよびR4aがH、CH3またはC2H5を表すものである。
【0063】
−式IIIの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【0064】
【化11】
【0065】
式中、alkylおよびR3aは上で示される意味を有し、R3aは好ましくはHまたはCH3を表す。式IIIbの化合物が特に好ましい。
【0066】
−媒体は、以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含む。
【0067】
【化12】
式中、R0は式Iで示される意味を有し、
Y1〜4は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
X0は、F、Cl、CN、SF5、SCN、NCS、炭素数6までのハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基を表し、
Z0は、−C2H4−、−(CH2)4−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C2F4−、−CH2CF2−、−CF2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−CF2O−または−OCF2−を表し、式VおよびVI中では単結合も表し、および
rは、0または1を表す。
【0068】
−式IVの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【0069】
【化13】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFまたはOCF3を表す。
【0070】
−媒体はZ0が単結合を表す式Vの1種類以上の化合物を含み、特に好ましくは以下の式から選択されるものである。
【0071】
【化14.1】
【0072】
【化14.2】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。
【0073】
−媒体はZ0が−COO−を表す式Vの1種類以上の化合物を含み、特に好ましくは以下の式から選択されるものである。
【0074】
【化15.1】
【0075】
【化15.2】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。
【0076】
−媒体は、式VI−1の1種類以上の化合物を含む。
【0077】
【化16】
特に好ましくは、以下の式から選択されるものである。
【0078】
【化17】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。
【0079】
−媒体は、式VI−2の1種類以上の化合物を含む。
【0080】
【化18】
特に好ましくは、以下の式から選択されるものである。
【0081】
【化19.1】
【0082】
【化19.2】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFまたはOCF3を表す。
【0083】
−媒体はZ0が−CF2O−を表す式VIIの1種類以上の化合物を含み、特に好ましくは以下の式から選択されるものである。
【0084】
【化20】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。
【0085】
−媒体はZ0が−COO−を表す式VIIの1種類以上の化合物を含み、特に好ましくは以下の式から選択されるものである。
【0086】
【化21】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。
【0087】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。
【0088】
【化22】
式中、
R0、X0、Y1およびY2は、上で示される意味を有し、および
【0089】
【化23】
を表し、
ただし、環DおよびEは同時にはシクロヘキシレンを表さない。
【0090】
−式IXの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【0091】
【化24】
式中、R0、Y1およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。式IXaの化合物が特に好ましい。
【0092】
−媒体は、以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含む。
【0093】
【化25】
式中、
R0、X0およびY1〜4は、式Iで示される意味を有し、および
【0094】
【化26】
を表す。
【0095】
−式XおよびXIの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【0096】
【化27.1】
【0097】
【化27.2】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。Y1がFを表し、Y2がHまたはF、好ましくはFを表す化合物が特に好ましい。
【0098】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。
【0099】
【化28】
式中、R1およびR2は、それぞれ互いに独立に、炭素数9までのn−アルキル基、アルコキシ基、オキサアルキル基、フルオロアルキル基またはアルケニル基を表し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、Y1はHまたはFを表す。
【0100】
−媒体は、以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含む。
【0101】
【化29】
式中、R0、X0、Y1およびY2は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFまたはClを表す。
【0102】
−式XIII、XIVおよびXVの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【0103】
【化30】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はClを表す。
【0104】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。
【0105】
【化31】
式中、Y1、Y2、R0およびX0は上で示される意味を有し、Y1およびY2は同時にはHを表さない。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFまたはClを表す。以下の式の化合物が、特に好ましい。
【0106】
【化32】
式中、R0およびX0は上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFまたはClを表す。
【0107】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。
【0108】
【化33】
式中、Y1、R1およびR2は上で示される意味を有する。R1およびR2は、好ましくは、それぞれ互いに独立に炭素数1〜8のアルキル基を表す。
【0109】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。
【0110】
【化34】
式中、X0およびY1は上で示される意味を有し、alkenylは炭素数2〜7のアルケニル基を表す。以下の式の化合物が、特に好ましい。
【0111】
【化35】
式中、R3aは上で示される意味を有し、好ましくはHを表す。
【0112】
−媒体は、以下の式から選択させる1種類以上の化合物を更に含む。
【0113】
【化36】
式中、Y1〜4、R0およびX0は、それぞれ互いに独立に、上で示される意味の1つを有する。X0は、好ましくは、F、Cl、CF3、OCF3またはOCHF2であり、R0は、好ましくは、それぞれ炭素数8までのアルキル基、アルコキシ基、オキサアルキル基、フルオロアルキル基またはアルケニル基を表す。
【0114】
−式XXIの化合物は、好ましくは、以下の式から選択される。
【0115】
【化37】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8までのアルキル基を表し、X0はFまたはOCF3を表す。
【0116】
−式XXIIの化合物は、好ましくは、以下の式から選択される。
【0117】
【化38】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8までのアルキル基を表し、X0はFまたはOCF3を表す。
【0118】
−媒体は、以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含む。
【0119】
【化39】
式中、R1およびR2は上で示される意味を有し、好ましくは、炭素数1〜8までのアルキル基またはアルコキシ基を表す。
【0120】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。
【0121】
【化40】
式中、環D、環E、R0、X0およびY1、Y2は上で示される意味を有し、ただし、環Dおよび環Eは、同時にはシクロヘキシレンを表さない。
【0122】
−式XXVIIの化合物は、好ましくは、以下の式から選択される。
【0123】
【化41】
式中、R0およびX0は上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。
【0124】
【化42】
は、好ましくは、
【0125】
【化43.1】
【0126】
【化43.2】
である。
【0127】
−R0は、炭素数2〜7の直鎖状アルキルまたはアルケニルである。
【0128】
−X0は、Fである。
【0129】
−媒体は、式Iの1種類、2種類、3種類、4種類または5種類の化合物を含む。
【0130】
−媒体は、式I、II、III、V、VI−2、VII、XI、XII、XIV、XV、XXI、XXIIおよびXXVIIから選ばれる化合物を含む。
【0131】
−媒体は、式Iの化合物を1〜55質量%、好ましくは3〜45質量%含む。
【0132】
−混合物全体における式II〜XXVIIの化合物の割合は、20〜99質量%である。
【0133】
−媒体は、式IIおよび/またはIIIの化合物を5〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%含む。
【0134】
−媒体は、式VI−2の化合物を5〜30質量%、特に好ましくは8〜25質量%含む。
【0135】
−媒体は、式VIIの化合物を5〜40質量%、特に好ましくは8〜30質量%含む。
【0136】
−媒体は、式XIの化合物を3〜35質量%、特に好ましくは5〜20質量%含む。
【0137】
−媒体は、式XIVの化合物を2〜25質量%、特に好ましくは3〜15質量%含む。
【0138】
−媒体は、式XVの化合物を1〜15質量%、特に好ましくは2〜10質量%含む。
【0139】
−媒体は、式XXIおよび/またはXXIIの化合物を3〜30質量%、特に好ましくは6〜20質量%含む。
【0140】
−媒体は、式XXVIIの化合物を1〜25質量%、特に好ましくは2〜20質量%含む。
【0141】
たとえ比較的少ない量であっても式Iの化合物を、従来の液晶材料、しかしながら特に式II〜XXVIIの1種類以上の化合物と混合することにより、結果として光安定性が著しく増加し複屈折率の値が低くなり、同時に広い範囲でのネマチック相および低いスメクチック−ネマチック転移温度が観測され、貯蔵寿命が改良されることが判明した。同時に、混合物は、非常に低い閾電圧およびUVに曝露した際に非常に優れるVHRの値を示す。
【0142】
用語「アルキル(alkyl)」または「アルキル*(alkyl*)」は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖および分岐のアルキル基を網羅し、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルの直鎖基である。1〜6個の炭素原子を有する基が一般に好ましい。
【0143】
用語「アルケニル(alkenyl)」は、2〜7個の炭素原子を有する直鎖および分岐のアルケニル基を網羅し、特に直鎖基である。とりわけ好ましいアルケニル基は、C2−C7−1E−アルケニル、C4−C7−3E−アルケニル、C5−C7−4−アルケニル、C6−C7−5−アルケニルおよびC7−6−アルケニル、特にC2−C7−1E−アルケニル、C4−C7−3E−アルケニルおよびC5−C7−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例としては、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニル等を挙げることができる。5個までの炭素原子を有する基が一般に好ましい。
【0144】
用語「フルオロアルキル(fluoroalkyl)」は、好ましくは、末端にフッ素を有する直鎖基、即ち、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルを網羅する。しかしながら、フッ素の他の置換位置を除外するものではない。
【0145】
用語「オキサアルキル(oxaalkyl)」または「アルコキシ(alkoxy)」は、好ましくは、式CnH2n+1−O−(CH2)mの直鎖基を網羅する。但し、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6で、mは0も表す場合がある。好ましくは、nは1でmは1〜6であるか、mが0でnが1〜3である。
【0146】
上および下の式において、X0は、好ましくは、F、Cl、1フッ素化または多フッ素化された炭素数1、2または3のアルキルまたはアルコキシ、1フッ素化または多フッ素化された炭素数2または3のアルケニルである。X0は、特に好ましくは、F、Cl、CF3、CHF2、OCF3、OCHF2、OCFHCF3、OCFHCHF2、OCFHCH2F、OCF2CH3、OCF2CHF2、OCF2CH2F、OCF2CF2CHF2、OCF2CF2CH2F、OCFHCF2CF3、OCFHCF2CHF2、OCF2CF2CF3、OCF2CF2CClF2、OCClFCF2CF3またはCH=CF2であり、非常に好ましくはF、ClまたはOCF3である。
【0147】
R0およびX0の意味を適切に選択することにより、アドレス時間、閾電圧、透過特性曲線の急峻性などを所望の様式に修正することができる。例えば、1E−アルケニル基、3E−アルケニル基、2E−アルケニルオキシ基などを使用すると、アルキルまたはアルコキシ基と比較して、一般により短いアドレス時間、ネマチック性向の改善、および弾性定数k33(ベンド)とk11(スプレイ)のより高い比率を達成することができる。4−アルケニル基、3−アルケニル基などは、アルキルおよびアルコキシ基と比較して、一般に低い閾電圧およびより低いk33/k11値を与える。本発明の混合物は高いk1値で特に特徴付けられ、よって、先行技術の混合物より極めて速い応答時間を有する。
【0148】
上述の式の化合物の最適な混合比は、所望の特性、上述の式の成分の選択、および存在する場合もある他の成分の選択に、実質上依存する。
【0149】
上で示される範囲内での適切な混合比は、場合ごとに容易に決めることができる。
【0150】
本発明の混合物中の上述の式の化合物の総量は、決定的なものではない。したがって、混合物は、様々な特性の最適化のために、さらに1種類以上の更なる成分を含むことができる。しかしながら、上述の化合物の総量が多くなるほど、混合物の特性の好ましい改良の観測される効果は、一般に大きくなる。
【0151】
特に好ましい実施形態において、本発明の媒体は、X0が、F、OCF3、OCHF2、OCF=CF2またはOCF2−CF2Hである式IV〜VIIIの化合物を含む。式Iの化合物との好ましい相乗効果により、特に有利な特性が得られる。特に、式I、VおよびVIの化合物を含む混合物は、閾電圧が低いことで特徴付けられる。
【0152】
本発明の媒体で使用できる上述の式およびそれのサブ式のそれぞれの化合物は公知であるか、公知の化合物に類似して調製できる。
【0153】
本発明は、また、この型の液晶媒体を含む例えばTN、STN、IPSまたはMLCディスプレイのような電気光学的ディスプレイに関し、外枠と共にセルを構成する2枚の平行な外板、各ピクセルをスイッチングするための外板上の集積非線形素子、およびセル中に配置されて正の誘電異方性および高い比抵抗を有するネマチック液晶混合物を備え、およびこれらの媒体を電気光学的目的のために使用することに関する。
【0154】
本発明の液晶混合物により、利用できるパラメータの範囲を著しく広げることができる。透明点、低温における粘度、熱的およびUV安定性および高い光学異方性の組み合わせを実現できることは、先行技術による従来の材料より極めて優れている。
【0155】
本発明の混合物は、例えばPDA、ノート型パソコン、LCD、テレビおよびモニターのような携帯用の分野およびΔnの高いTFT分野に特に好適である。
【0156】
本発明の液晶混合物は、好ましくは−20℃まで、特に好ましくは−30℃まで、非常に特に好ましくは−40℃までネマチック相を有し、好ましくは60℃以上、特に好ましくは65℃以上、非常に特に好ましくは70℃以上の透明点を有する。
【0157】
回転粘度γ1は、好ましくは150mPa・s以下、特に好ましくは90mPa・s以下である。このため速い応答時間を有するMLCディスプレイを達成できる。
【0158】
本発明の液晶混合物の誘電異方性Δεは、好ましくは+1.5以上、特に好ましくは+3以上である。加えて、混合物は低い動作電圧で特徴付けられる。本発明の液晶混合物の閾電圧は、好ましくは2.0V以下である。
【0159】
本発明の液晶混合物の複屈折率Δnは、好ましくは0.07以上、特に好ましくは0.08以上である。
【0160】
本発明の液晶混合物のネマチック相の範囲は、好ましくは少なくとも90℃の幅であり、特には少なくとも100℃である。この範囲は、好ましくは、少なくとも−25℃から+70℃に及んでいる。
【0161】
言うまでもなく、本発明による混合物の成分を適切に選択することにより、他の有利な性質を保持しながら、より高い閾電圧においてより高い透明点(例えば100℃を超え)を達成できるか、またはより低い閾電圧においてより低い透明点を達成することも可能である。粘度の対応する上昇を僅かにとどめながら、より高いΔεと従ってより低い閾電圧を達成することも同様に可能である。本発明のMLCディスプレイは、好ましくは、グーチ・タリーの第1次透過極小で動作させることが好ましい(C.H.GoochおよびH.A.Tarry、Electron.Lett.、1974年、第10巻、第2〜4頁;C.H.GoochおよびH.A.Tarry、Appl.Phys.、1975年、第8巻、第1575〜1584頁)。ただし、例えば特性線の高い急峻性およびコントラストの低視野角依存性(独国特許第3022818号明細書)のような特に好ましい電気光学的特性に加え、第2次極小で類似するディスプレイと同じ閾電圧において、より小さな誘電異方性でも十分である。これにより、第1次極小で本発明の混合物を使用することにより、シアノ化合物を含む混合物の場合に比べ、極めて高い比抵抗値を達成することができる。個々の成分とその質量比を適切に選択することにより、当業者は簡単な日常的方法によりMLCディスプレイのあらかじめ指定された層の厚さに必要な複屈折率を設定することができる。
【0162】
電圧保持率(HR)を測定[S.Matsumotoら、Liquid Crystals、1989年、第5巻、第1320頁;K.Niwaら、Proc.SID Conference、サンフランシスコ、1984年6月、第304頁、;G.Weberら、Liquid Crystals、1989年、第5巻、第1381頁]した結果、
【0163】
【化44】
のシアノフェニルシクロヘキサン類、または以下の式
【0164】
【化45】
のエステル類を式Iの化合物の代わりに含み本発明と類似した混合物に比べて、式Iの化合物を含む本発明の混合物の方が、UVの曝露によるHRの低下が著しく小さいことが示された。
【0165】
本発明の混合物の光安定性およびUV安定性は極めて優れている。即ち、これらの混合物は、光またはUVに暴露されてもHRの低下が著しく小さい。混合物中の式Iの化合物の割合が低い(10質量%未満)場合においても、先行技術による混合物と比較して、6%以上もHRが増加する。
【0166】
偏光板、電極基板および表面処理された電極からの本発明のMLCディスプレイの構成は、この型のディスプレイの普通の構成に対応する。「普通の構成」という用語は、ここでは広い意味で用いられ、MLCディスプレイに関する全ての誘導および変形を網羅し、特に多結晶シリコンTFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子を含む。
【0167】
しかしながら、本発明のディスプレイと従来の捩れネマチックセルに基づくディスプレイとの大きな相違点は、液晶層の液晶パラメーターの選択にある。
【0168】
本発明で使用できる液晶媒体は、例えば式Iの1種類以上の化合物を式II〜XXVIIの1種類以上の化合物または更なる液晶成分および/または添加剤と混合して、それ自体従来の方法で調製される。一般に、より少ない量で使用される成分の所望の量を、主要な組成を構成する成分中で、好ましくは加温して溶解する。さらに、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノールの有機溶媒中で液晶成分溶液を混合し、完全に混合後、例えば蒸留によって溶媒を再び除去することも可能である。
【0169】
誘電体は、当業者に公知で文献記載の添加剤、例えば、チバ社製のTinuvin(登録商標)のようなUV安定剤、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤などのようなものをさらに含んでもよい。例えば0〜15%の多色性色素またはキラルドーパントを加えることができる。適切な安定剤およびドーパントは以下の表Cおよび表Dに示されている。
【0170】
本出願および以下に示す例において、液晶化合物の構造は略号で示されており、その化学式への変換は以下の表AおよびBに従って行われる。全ての基CnH2n+1およびCmH2m+1は、nおよびm個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖のアルキル基である。nおよびmは整数で、好ましくは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を表す。表Bのコードは、それ自体で明らかである。表Aには、親構造にかかわる略号のみが示されている。それぞれの場合において、この親構造の略号の後に、ダッシュにより分離されて、置換基R1*、R2*、L1*およびL2*のためのコードが続く。
【0171】
【表1】
【0172】
好ましい混合物成分を、表Aおよび表Bに示す。
【0173】
【表2】
【0174】
【表3.1】
【0175】
【表3.2】
【0176】
式Iの化合物に加え、少なくとも1、2、3または4種類以上の表Bの化合物を含む液晶混合物が特に好ましい。
【0177】
表Cは、一般に本発明による混合物に添加される使用可能なドーパントを示す。混合物は、好ましくは0〜10質量%、特には0.01〜5質量%、特に好ましくは、0.01〜3質量%のドーパントを含む。
【0178】
【表4.1】
【0179】
【表4.2】
例えば本発明の混合物に、0〜10質量%の量で添加することができる安定剤を下に示す。
【0180】
【表5.1】
【0181】
【表5.2】
【0182】
【表5.3】
【0183】
【表5.4】
【実施例】
【0184】
以下の例は、制限することなく、本発明を説明するものである。
【0185】
上および下において、パーセンテージのデータは質量パーセントである。温度はすべて摂氏で示される。m.p.は融点を表わし、cl.p.は透明点を表わす。さらに、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクティック相、およびIは等方相を表す。これらの記号間のデータは相転移温度を表す。さらに、
−Δnは589nmおよび20℃における光学異方性を表わし、
−γ1は20℃における回転粘度(mPa・s)を表わし、
−V10は透過(基板表面に垂直な視角)が10%となる電圧(V)を表し(閾電圧)、
−Δεは20℃および1kHzにおける誘電異方性(Δε=ε‖ε−ε⊥、ここでε‖は分子の長軸に平行な誘電率、ε⊥はそれに垂直な誘電率を表す)を表す。
【0186】
電気光学的データは、特に別に述べない限り、20℃において第1次極小(即ち、0.5μmのd・Δn値)でTNセル中において測定する。光学的データは、特に別に述べない限り、20℃で測定する。全ての物理的特性は、「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月、ドイツ国メルク社にしたがって測定され、、特に別に述べない限り、20℃の温度で行う。
【0187】
<実施例1>
化合物(1)を上に記載したようにして調製した。
【0188】
【化46】
相挙動:C21N90.4I、Δn=0.1510、Δε=+14.0。
【0189】
類似して、以下の化合物を調製した。
【0190】
R−A1−A2−A3−A4−O−CH=CF2
【0191】
【表6.1】
【0192】
【表6.2】
【0193】
【表6.3】
【0194】
【表6.4】
【0195】
【表6.5】
【0196】
【表6.6】
【0197】
【表6.7】
【0198】
【表6.8】
<比較例1>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0199】
【表7】
【0200】
<混合物例1>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0201】
【表8】
【0202】
比較例1と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0203】
<混合物例2>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0204】
【表9】
比較例1と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0205】
<混合物例3>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0206】
【表10】
比較例1と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0207】
<混合物例4>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0208】
【表11】
比較例1と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0209】
<混合物例5>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0210】
【表12】
比較例1と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度およびより高い透明点を有している。
【0211】
<比較例2>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0212】
【表13】
<混合物例6>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0213】
【表14】
比較例2と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度およびより高い複屈折を有している。
【0214】
<比較例3>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0215】
【表15】
【0216】
<混合物例7>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0217】
【表16】
比較例3と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0218】
<混合物例8>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0219】
【表17】
比較例3と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0220】
<比較例4>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0221】
【表18】
【0222】
<混合物例9>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0223】
【表19】
比較例4と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0224】
<混合物例10>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0225】
【表20】
比較例4と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0226】
<比較例5>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0227】
【表21】
【0228】
<混合物例11>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0229】
【表22】
比較例5と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0230】
<比較例6>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0231】
【表23】
【0232】
<混合物例12>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0233】
【表24】
比較例6と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0234】
<比較例7>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0235】
【表25】
【0236】
<混合物例13>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0237】
【表26】
比較例7と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0238】
<比較例8>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0239】
【表27】
【0240】
<混合物例14>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0241】
【表28】
比較例8と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度およびより高い透明点を有している。
【技術分野】
【0001】
本発明は−O−CH=CF2末端基を有する1種類以上の化合物を含む液晶媒体(LC媒体)、この型の新規な化合物、これの調製方法、電気光学的目的のためのそのLC媒体および化合物の使用、およびそのようなLC媒体および化合物を備えるLCディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶は、印加電圧によって物質の光学的性質を変化させることができるため、主にディスプレイ装置の中の誘電体として使用される。液晶に基づいた電気光学的装置は、当業者に極めて公知であり、種々の効果に基づくことができる。そのような装置の例として、動的散乱を有するセル、DAP(整列相の変形:Deformation of Aligned Phases)セル、ゲスト/ホストセル、捩れネマチック構造を有するTNセル、STN(スーパーツイストネマチック)セル、SBE(超複屈折効果:Superbirefringence Effect)セルおよびOMI(光学モード干渉:Optical Mode Interference)セルが挙げられる。最も一般的なディスプレイ装置は、Schadt−Helfrich効果に基づく、ツイストネマチック構造を有する。加えて、例えばIPS(面内スイッチング:In−Plane−Switching)セルのような基体および液晶面に平行な電場で動作するセルもある。現在のところ商業的には、特に、TN、STNおよびIPSセルが本発明の媒体を応用するにおいて興味ある分野である。
【0003】
液晶材料としては、良好な化学的および熱的安定性を有すると共に、電場と電磁線放射に対しても優れた安定性を有することが必要である。さらに、液晶材料は低粘度であり、セル中で、アドレス時間が短く、閾電圧が低くおよびコントラストが高いものでなければならない。
【0004】
さらに、液晶材料は、通常の動作温度において、即ち、室温以上または室温以下の出来る限り広い範囲において、適切な中間相、例えば前述のセル用のネマチックまたはコレステリック中間相を有していなければならない。液晶は通常、複数成分の混合物として使用されるため、成分が互いに容易に混和することも重要である。さらに導電性、誘電異方性および光学異方性のような特性は、セルの型および用途分野に応じて、種々の要求を満足しなければならない。 例えば、ツイストネマチック構造を有するセル用の材料は、正の誘電異方性および低い導電率を有していなければならない。
【0005】
例えば、個々のピクセルのスイッチングのために集積非線形素子を有するマトリックス型液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)については、大きな正の誘電異方性、広いネマチック相、比較的小さな複屈折率、非常に高い比抵抗、優れたUVおよび温度安定性、および低い蒸気圧を有する媒体が望まれる。
【0006】
この型のマトリックス型液晶ディスプレイは公知である。個々のピクセルのそれぞれのスイッチングに使用することができる非線形素子の例は、アクティブ素子(つまりトランジスター)である。そして使用される用語「アクティブマトリックス」は、2つの区別される型に分けられる。
【0007】
1.基板としてのシリコンウエハー上のMOS(Metal Oxide Semiconductor、金属酸化物半導体)または他のダイオード。
【0008】
2.基板としてのガラス板上の薄膜トランジスター(Thin−Film Transistor、TFT)。
【0009】
基板材料として単結晶シリコンを使用すると、色々な部品ディスプレイのモジュール組み立て品の場合であっても接続部での問題が生じるため、ディスプレイの大きさが制限される。
【0010】
好適であってより有望な第2の型の場合には、TN効果が通常、電気光学的効果として使用される。区別される2つの技術がある。即ち、例えばCdSeのように化合物半導体を含むTFTと、多結晶またはアモルファスシリコンに基づいたTFTとである。後者の技術について、世界的に集中した研究がなされている。
【0011】
TFTマトリックスは、ディスプレイの1つのガラス板の内面に形成され、もう一方のガラス板は、内面に透明な対向電極を有する。ピクセル電極の大きさと比較して、TFTは非常に小さく、事実上、画像に対する悪影響はない。この技術は、フルカラー対応のディスプレイにも適用できる。このディスプレイでは、フィルター素子がスイッチング可能なピクセルの各々に対向するように、赤、緑および青フィルターのモザイクが配置される。
【0012】
TFTディスプレイは、通常、透過光に対して直交した偏光板を備えたTNセルを作動させ、バックライトで照らされる。
【0013】
ここで用語「MLCディスプレイ」は、集積非線形素子を備えた全てのマトリックスディスプレイも含む。即ち、アクティブマトリックスに加えて、バリスターまたはダイオード(MIM、即ち、metal−insulator−metal)のような受動型素子を備えたディスプレイも含む。
【0014】
この型のMLCディスプレイは、特にテレビ用途(例えばポケットテレビ)、またはコンピュータ用(ラップトップ)および自動車または航空機内で使用される高度情報表示装置用途に適している。コントラストの角度依存性と応答時間の問題に加えて、MLCディスプレイにおいては、液晶混合物の比抵抗が十分に高くないことに起因する問題がある[TOGASHI,S.、SEKIGUCHI,K.、TANABE,H.、YAMAMOTO,E.、SORIMACHI,K.、TAJIMA,E.、WATANABE,H.およびSHIMIZU,H.、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第A210−288号、第141ff頁(非特許文献1)およびSTROMER,M.、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第145ff頁(非特許文献2)参照]。抵抗の低下に伴い、MLCディスプレイのコントラストが劣化し、また、残像消去の問題も生じ得る。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内部表面との相互作用のために、一般に、MLCディスプレイの寿命に全体に渡って低下するので、許容される耐用年数を得るためには、高い(初期)抵抗を有することが非常に重要である。特に、低電圧用混合物の場合には、高い抵抗値を達成することは従来不可能であった。さらに、温度の上昇および加熱および/またはUV照射後に、比抵抗の低下が可能な限り小さいことも重要である。また、先行技術による混合物の低温特性も特に良くない。低温であっても、結晶および/またはスメクティック相が生じないことが要求され、さらに、粘性の温度依存性も可能な限り低いことが要求される。よって、先行技術のMLCディスプレイは今日の必要条件を満たさない。
【0015】
バックライトを使用する液晶ディスプレイ、即ち、透過型および必要により半透過型動作に加えて、反射型液晶ディスプレイも特に興味をもたれている。これらの反射型液晶ディスプレイは情報表示装置のために周囲光を使用する。そのため、対応する大きさおよび解像度を有するバックライト液晶ディスプレイより、消費エネルギーが著しく少ない。TN効果は非常によいコントラストによって特徴付けられるので、このタイプの反射ディスプレイは、明るい周囲状況下で容易に読むことができる。これは、例えば時計およびポケット計算機に使用されているような単純な反射TNディスプレイとしてすでに知られている。しかしながら、この原理はまた、例えばTFTディスプレイのように高品質およびより高解像度のアクティブマトリックス駆動ディスプレイに適用することができる。ここで、通常慣用型である透過TFT−TNディスプレイで既に使用されるように、低複屈折率(Δn)の液晶を使用することが、低い光学遅延(d・Δn)を達成するために必要である。この低い光学遅延により、通常は、コントラストの視野角依存性が許容できる程度に低くなる(特許文献1:独国特許第3022818号明細書参照)。反射ディスプレイでは、光が通過する有効な層の厚さは、同じ層厚を有する透過ディスプレイに比べて反射ディスプレイでは約2倍になるので、低複屈折率の液晶の使用は、透過ディスプレイよりもさらに重要である。
【0016】
テレビおよびビデオに応用するために、応答時間が短いディスプレイが必要である。そのような短い応答時間は、特に低い値の粘度、特に回転粘度γ1を有する液晶媒体を使用することで達成できる。しかしながら、希釈剤は一般に透明点を低下させ、よって媒体の動作温度範囲が減少する。
【0017】
したがって、非常に高い比抵抗を有すると同時に、広い動作温度範囲、低温でも短い応答時間および低い閾電圧を有しており、これらの不都合を有していないか、有していたとしてもより少ない程度であるMLCディスプレイが引き続き強く要求されている。
【0018】
TN(Schadt−Helfrich)セルでは、セル中で次の利点を容易にする媒体が望まれる:
−拡大されたネマチック相範囲(特に、低い温度までの)、
−極度に低い温度でのスイッチ能力(屋外用途、自動車、航空電子工学)、
−紫外線照射に対する増大された抵抗(より長い寿命)、
−低い閾電圧。
【0019】
先行技術から入手可能な媒体では、これらの利点を、同時に他のパラメーターを保持しながら達成することはできない。
【0020】
スーパーツイスト型(STN)セルの場合には、より大きな時分割駆動および/またはより低い閾電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に、低温において)を可能にする媒体が望まれる。この目的のために、利用可能なパラメーターの範囲(透明点、スメクティック−ネマチックの相転移または融点、粘度、誘電パラメーター、弾性パラメーター)を一層広げることが、至急望まれている。
【0021】
特に、ビデオおよびビデオ用途(例えば、LCD TV、モニター、PDA、ノート型パソコン、ゲーム器コンソール)用のLCディスプレイの場合、応答時間が著しく短縮されていることが望まれる。したがっで、応答時間の短縮を容易にし、同時に例えば透明点、誘電異方性Δεまたは複屈折ΔnなどのLC媒体の他の特性を損なうことないLC媒体用の化合物に対する要求がある。特に、この目的には低い回転粘度が望ましい。
【特許文献1】独国特許第3022818号明細書
【非特許文献1】TOGASHI,S.、SEKIGUCHI,K.、TANABE,H.、YAMAMOTO,E.、SORIMACHI,K.、TAJIMA,E.、WATANABE,H.およびSHIMIZU,H.、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第A210−288号、第141ff頁
【非特許文献2】STROMER,M.、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第145ff頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、特にこの型のMLC、TNまたはSTNまたはIPSディスプレイ用で、上で示される望ましい特性を有し、上記の不具合を示さないか、示しても低減されている媒体を提供する目的に基づいている。特に、LC媒体は、速い応答時間および低い回転粘度と同時に高い誘電異方性を有していなければならない。加えて、LC媒体は、高い透明点、広いネマチック相範囲および低い閾電圧を有していなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0023】
ここで、この目的は、−O−CH=CF2末端基を有する式Iの1種類以上の化合物を含むLC媒体を使用することで、達成できることが見出された。式Iの化合物により、上で示される望ましい特性を有するLC媒体が結果として得られる。
【0024】
本発明は、式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体に関する。
【0025】
【化1】
式中、
R0は、炭素数1〜15のアルキルまはたアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基の1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CF2O−、−CH=CH−、
【0026】
【化2】
−O−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、式中加えて、1個以上の水素原子はハロゲンで置き換えられていてもよく、
L1は、HまたはFを表し、
nは、1または2を表し、および
【0027】
【化3】
を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、更に、電子および電気光学的装置中、特にLCディスプレイ中における本発明のLC媒体の使用に関する。
【0029】
本発明は、更に、電気光学的ディスプレイ、特に本発明のLC媒体を備えるLCディスプレイ、特にMLC、TN、STNまたはIPSディスプレイに関する。
【0030】
驚くべきことに、式Iの化合物を1種類以上含むLC媒体は低い回転粘度γ1および高い正の誘電異方性を同時に有し、および速い応答時間、高い弾性定数K11、K22およびK33、低い閾電圧、高い透明点および広いネマチック相範囲を有することが見出された。
【0031】
式Iの化合物は、広範囲の用途分野を有する。置換基の選択に応じて、これらの化合物は、液晶媒体を主に構成する基礎材料となり得るが、例えば、この型の誘電体の誘電的および/または光学的異方性を修正したり、および/またはそれの閾電圧および/または粘度を最適なものとするために、他に分類される化合物からの液晶基礎材料を式Iの化合物に加えることもできる。
【0032】
L1がFを表す式Iの化合物が特に好ましい。
【0033】
更に、R0が炭素数1〜8の直鎖状アルキルまたはアルコキシ基または炭素数2〜7の直鎖状アルケニルまたはアルケニルオキシを表す式Iの化合物が好ましい。
【0034】
更に、環Aがシクロヘキシル環を表さない場合、環Bも同様にシクロヘキシル環を表さない式Iの化合物、および/または
【0035】
【化4】
式Iの化合物が好ましい。
【0036】
更に式I好ましい化合物は、以下の式から選択されるものである。
【0037】
【化5.1】
【0038】
【化5.2】
【0039】
【化5.3】
【0040】
【化5.4】
【0041】
【化5.5】
【0042】
式中、R0およびL1は上で示される意味を有し、L1は好ましくはFを表し、R0は好ましくは炭素数1、2、3、4、5、6、7または8の直鎖状アルキル基を表す。
【0043】
上および下において式中のR0がアルキル基および/またはアルコキシ基を表している場合、これは直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、直鎖状で、2、3、4、5、6または7個の炭素原子を有しており、従って、好ましくは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシであり、さらに、メチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシまたはテトラデシルオキシを表す。
【0044】
オキサアルキルは、好ましくは、直鎖の2−オキサプロピル(即ちメトキシメチル)、2−(即ちエトキシメチル)または3−オキサブチル(即ちメトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニル、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0045】
R0がアルキル基を表し、1個のCH2基が−CH=CH−基で置き換えられている場合、これは直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、直鎖状で、2〜10個の炭素原子を有している。従って、特に、ビニル、プロパ−1−または−2−エニル、ブタ−1−、−2−または−3−エニル、ペンタ−1−、−2−、−3−または−4−エニル、ヘキサ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−エニル、ヘプタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−エニル、オクタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−または−7−エニル、ノナ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−エニル、デカ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、−8−または−9−エニルを表す。これらの基は、1ハロゲン化または多ハロゲン化されていてもよい。
【0046】
R0がアルキルまたはアルケニル基を表し、それがハロゲンによって少なくとも1置換されている場合、この基は好ましくは直鎖であり、ハロゲンは好ましくはFまたはClである。多置換の場合、ハロゲンは好ましくはFである。得られる基は、ペルフルオロ化された基も含む。1置換の場合、フッ素または塩素置換は何れの所望の箇所でも構わないが、好ましくはω位である。
【0047】
本発明は、更に、
R0、L1、n、AおよびBは、上で示される意味を有し、および
【0048】
【化6】
および/または、nが、2である式Iの化合物に関する。
【0049】
特に好ましくは、
【0050】
【化7】
化合物であり、特にその中でL1が同時にFを表すものである。
【0051】
更に、nが2である化合物が好ましい。
【0052】
更に、サブ式I3〜I31の化合物が好ましい。
【0053】
本発明は、更に、式Iの化合物の調製方法、電子および電気光学的装置、特にLCディスプレイにおけるそれの使用、および同化合物を備えるLCディスプレイに関する。
【0054】
式Iの化合物は、純粋な状態で無色であり、電気光学的な使用のために好ましい温度範囲で液晶中間相を形成する。これらの化合物は、化学的に、熱的に、および光に対して安定である。
【0055】
式Iの化合物は、文献(例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag社、Stuttgart市のような標準的な著作)に記載されるようなそれ自身は公知の方法により、正確には公知のその反応に適する反応条件により調製される。ここで、それ自身は公知で、ここで更に非常に詳細には述べていない変法も利用できる。環AおよびBがフェニルまたはシクロヘキシルを表す式Iの化合物の合成については、例えばWO1992/21734A1に記載されている。フッ素化されたフェニル環AおよびBを含む式Iの化合物は文献より既知の方法、特に下の反応スキーム1によるかそれに類似して調製することができる(式中、XはHまたはFを表し、Rは、式IのR0またはR0−A−を表す)。
【0056】
【化8】
【0057】
本発明のLC媒体の特に好ましい実施形態を下に示す。
【0058】
−媒体は、式IIおよび/またはIIIの1種類以上の化合物を更に含む。
【0059】
【化9】
式中、
環Cは、1,4−フェニレンまたはトランス−1,4−シクロヘキシレンを表し、
aは、0または1であり、
R3は、炭素数2〜9のアルケニル基を表し、および
R4は式I中のR0について示される意味の1つを有し、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基または炭素数2〜9のアルケニル基を表す。
【0060】
−式IIの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【0061】
【化10.1】
【0062】
【化10.2】
式中、R3aおよびR4aは、それぞれ互いに独立に、H、CH3、C2H5またはC3H7を表し、およびalkylは、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基を表す。特に好ましくは、式IIaおよびIIfの化合物、その中で特に式中R3aがHまたはCH3を表すもの、および式IIcの化合物、その中で特に式中R3aおよびR4aがH、CH3またはC2H5を表すものである。
【0063】
−式IIIの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【0064】
【化11】
【0065】
式中、alkylおよびR3aは上で示される意味を有し、R3aは好ましくはHまたはCH3を表す。式IIIbの化合物が特に好ましい。
【0066】
−媒体は、以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含む。
【0067】
【化12】
式中、R0は式Iで示される意味を有し、
Y1〜4は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
X0は、F、Cl、CN、SF5、SCN、NCS、炭素数6までのハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基を表し、
Z0は、−C2H4−、−(CH2)4−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C2F4−、−CH2CF2−、−CF2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−CF2O−または−OCF2−を表し、式VおよびVI中では単結合も表し、および
rは、0または1を表す。
【0068】
−式IVの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【0069】
【化13】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFまたはOCF3を表す。
【0070】
−媒体はZ0が単結合を表す式Vの1種類以上の化合物を含み、特に好ましくは以下の式から選択されるものである。
【0071】
【化14.1】
【0072】
【化14.2】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。
【0073】
−媒体はZ0が−COO−を表す式Vの1種類以上の化合物を含み、特に好ましくは以下の式から選択されるものである。
【0074】
【化15.1】
【0075】
【化15.2】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。
【0076】
−媒体は、式VI−1の1種類以上の化合物を含む。
【0077】
【化16】
特に好ましくは、以下の式から選択されるものである。
【0078】
【化17】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。
【0079】
−媒体は、式VI−2の1種類以上の化合物を含む。
【0080】
【化18】
特に好ましくは、以下の式から選択されるものである。
【0081】
【化19.1】
【0082】
【化19.2】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFまたはOCF3を表す。
【0083】
−媒体はZ0が−CF2O−を表す式VIIの1種類以上の化合物を含み、特に好ましくは以下の式から選択されるものである。
【0084】
【化20】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。
【0085】
−媒体はZ0が−COO−を表す式VIIの1種類以上の化合物を含み、特に好ましくは以下の式から選択されるものである。
【0086】
【化21】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。
【0087】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。
【0088】
【化22】
式中、
R0、X0、Y1およびY2は、上で示される意味を有し、および
【0089】
【化23】
を表し、
ただし、環DおよびEは同時にはシクロヘキシレンを表さない。
【0090】
−式IXの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【0091】
【化24】
式中、R0、Y1およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。式IXaの化合物が特に好ましい。
【0092】
−媒体は、以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含む。
【0093】
【化25】
式中、
R0、X0およびY1〜4は、式Iで示される意味を有し、および
【0094】
【化26】
を表す。
【0095】
−式XおよびXIの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【0096】
【化27.1】
【0097】
【化27.2】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。Y1がFを表し、Y2がHまたはF、好ましくはFを表す化合物が特に好ましい。
【0098】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。
【0099】
【化28】
式中、R1およびR2は、それぞれ互いに独立に、炭素数9までのn−アルキル基、アルコキシ基、オキサアルキル基、フルオロアルキル基またはアルケニル基を表し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、Y1はHまたはFを表す。
【0100】
−媒体は、以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含む。
【0101】
【化29】
式中、R0、X0、Y1およびY2は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFまたはClを表す。
【0102】
−式XIII、XIVおよびXVの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。
【0103】
【化30】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はClを表す。
【0104】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。
【0105】
【化31】
式中、Y1、Y2、R0およびX0は上で示される意味を有し、Y1およびY2は同時にはHを表さない。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFまたはClを表す。以下の式の化合物が、特に好ましい。
【0106】
【化32】
式中、R0およびX0は上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFまたはClを表す。
【0107】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。
【0108】
【化33】
式中、Y1、R1およびR2は上で示される意味を有する。R1およびR2は、好ましくは、それぞれ互いに独立に炭素数1〜8のアルキル基を表す。
【0109】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。
【0110】
【化34】
式中、X0およびY1は上で示される意味を有し、alkenylは炭素数2〜7のアルケニル基を表す。以下の式の化合物が、特に好ましい。
【0111】
【化35】
式中、R3aは上で示される意味を有し、好ましくはHを表す。
【0112】
−媒体は、以下の式から選択させる1種類以上の化合物を更に含む。
【0113】
【化36】
式中、Y1〜4、R0およびX0は、それぞれ互いに独立に、上で示される意味の1つを有する。X0は、好ましくは、F、Cl、CF3、OCF3またはOCHF2であり、R0は、好ましくは、それぞれ炭素数8までのアルキル基、アルコキシ基、オキサアルキル基、フルオロアルキル基またはアルケニル基を表す。
【0114】
−式XXIの化合物は、好ましくは、以下の式から選択される。
【0115】
【化37】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8までのアルキル基を表し、X0はFまたはOCF3を表す。
【0116】
−式XXIIの化合物は、好ましくは、以下の式から選択される。
【0117】
【化38】
式中、R0およびX0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8までのアルキル基を表し、X0はFまたはOCF3を表す。
【0118】
−媒体は、以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含む。
【0119】
【化39】
式中、R1およびR2は上で示される意味を有し、好ましくは、炭素数1〜8までのアルキル基またはアルコキシ基を表す。
【0120】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。
【0121】
【化40】
式中、環D、環E、R0、X0およびY1、Y2は上で示される意味を有し、ただし、環Dおよび環Eは、同時にはシクロヘキシレンを表さない。
【0122】
−式XXVIIの化合物は、好ましくは、以下の式から選択される。
【0123】
【化41】
式中、R0およびX0は上で示される意味を有する。好ましくは、R0は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X0はFを表す。
【0124】
【化42】
は、好ましくは、
【0125】
【化43.1】
【0126】
【化43.2】
である。
【0127】
−R0は、炭素数2〜7の直鎖状アルキルまたはアルケニルである。
【0128】
−X0は、Fである。
【0129】
−媒体は、式Iの1種類、2種類、3種類、4種類または5種類の化合物を含む。
【0130】
−媒体は、式I、II、III、V、VI−2、VII、XI、XII、XIV、XV、XXI、XXIIおよびXXVIIから選ばれる化合物を含む。
【0131】
−媒体は、式Iの化合物を1〜55質量%、好ましくは3〜45質量%含む。
【0132】
−混合物全体における式II〜XXVIIの化合物の割合は、20〜99質量%である。
【0133】
−媒体は、式IIおよび/またはIIIの化合物を5〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%含む。
【0134】
−媒体は、式VI−2の化合物を5〜30質量%、特に好ましくは8〜25質量%含む。
【0135】
−媒体は、式VIIの化合物を5〜40質量%、特に好ましくは8〜30質量%含む。
【0136】
−媒体は、式XIの化合物を3〜35質量%、特に好ましくは5〜20質量%含む。
【0137】
−媒体は、式XIVの化合物を2〜25質量%、特に好ましくは3〜15質量%含む。
【0138】
−媒体は、式XVの化合物を1〜15質量%、特に好ましくは2〜10質量%含む。
【0139】
−媒体は、式XXIおよび/またはXXIIの化合物を3〜30質量%、特に好ましくは6〜20質量%含む。
【0140】
−媒体は、式XXVIIの化合物を1〜25質量%、特に好ましくは2〜20質量%含む。
【0141】
たとえ比較的少ない量であっても式Iの化合物を、従来の液晶材料、しかしながら特に式II〜XXVIIの1種類以上の化合物と混合することにより、結果として光安定性が著しく増加し複屈折率の値が低くなり、同時に広い範囲でのネマチック相および低いスメクチック−ネマチック転移温度が観測され、貯蔵寿命が改良されることが判明した。同時に、混合物は、非常に低い閾電圧およびUVに曝露した際に非常に優れるVHRの値を示す。
【0142】
用語「アルキル(alkyl)」または「アルキル*(alkyl*)」は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖および分岐のアルキル基を網羅し、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルの直鎖基である。1〜6個の炭素原子を有する基が一般に好ましい。
【0143】
用語「アルケニル(alkenyl)」は、2〜7個の炭素原子を有する直鎖および分岐のアルケニル基を網羅し、特に直鎖基である。とりわけ好ましいアルケニル基は、C2−C7−1E−アルケニル、C4−C7−3E−アルケニル、C5−C7−4−アルケニル、C6−C7−5−アルケニルおよびC7−6−アルケニル、特にC2−C7−1E−アルケニル、C4−C7−3E−アルケニルおよびC5−C7−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例としては、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニル等を挙げることができる。5個までの炭素原子を有する基が一般に好ましい。
【0144】
用語「フルオロアルキル(fluoroalkyl)」は、好ましくは、末端にフッ素を有する直鎖基、即ち、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルを網羅する。しかしながら、フッ素の他の置換位置を除外するものではない。
【0145】
用語「オキサアルキル(oxaalkyl)」または「アルコキシ(alkoxy)」は、好ましくは、式CnH2n+1−O−(CH2)mの直鎖基を網羅する。但し、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6で、mは0も表す場合がある。好ましくは、nは1でmは1〜6であるか、mが0でnが1〜3である。
【0146】
上および下の式において、X0は、好ましくは、F、Cl、1フッ素化または多フッ素化された炭素数1、2または3のアルキルまたはアルコキシ、1フッ素化または多フッ素化された炭素数2または3のアルケニルである。X0は、特に好ましくは、F、Cl、CF3、CHF2、OCF3、OCHF2、OCFHCF3、OCFHCHF2、OCFHCH2F、OCF2CH3、OCF2CHF2、OCF2CH2F、OCF2CF2CHF2、OCF2CF2CH2F、OCFHCF2CF3、OCFHCF2CHF2、OCF2CF2CF3、OCF2CF2CClF2、OCClFCF2CF3またはCH=CF2であり、非常に好ましくはF、ClまたはOCF3である。
【0147】
R0およびX0の意味を適切に選択することにより、アドレス時間、閾電圧、透過特性曲線の急峻性などを所望の様式に修正することができる。例えば、1E−アルケニル基、3E−アルケニル基、2E−アルケニルオキシ基などを使用すると、アルキルまたはアルコキシ基と比較して、一般により短いアドレス時間、ネマチック性向の改善、および弾性定数k33(ベンド)とk11(スプレイ)のより高い比率を達成することができる。4−アルケニル基、3−アルケニル基などは、アルキルおよびアルコキシ基と比較して、一般に低い閾電圧およびより低いk33/k11値を与える。本発明の混合物は高いk1値で特に特徴付けられ、よって、先行技術の混合物より極めて速い応答時間を有する。
【0148】
上述の式の化合物の最適な混合比は、所望の特性、上述の式の成分の選択、および存在する場合もある他の成分の選択に、実質上依存する。
【0149】
上で示される範囲内での適切な混合比は、場合ごとに容易に決めることができる。
【0150】
本発明の混合物中の上述の式の化合物の総量は、決定的なものではない。したがって、混合物は、様々な特性の最適化のために、さらに1種類以上の更なる成分を含むことができる。しかしながら、上述の化合物の総量が多くなるほど、混合物の特性の好ましい改良の観測される効果は、一般に大きくなる。
【0151】
特に好ましい実施形態において、本発明の媒体は、X0が、F、OCF3、OCHF2、OCF=CF2またはOCF2−CF2Hである式IV〜VIIIの化合物を含む。式Iの化合物との好ましい相乗効果により、特に有利な特性が得られる。特に、式I、VおよびVIの化合物を含む混合物は、閾電圧が低いことで特徴付けられる。
【0152】
本発明の媒体で使用できる上述の式およびそれのサブ式のそれぞれの化合物は公知であるか、公知の化合物に類似して調製できる。
【0153】
本発明は、また、この型の液晶媒体を含む例えばTN、STN、IPSまたはMLCディスプレイのような電気光学的ディスプレイに関し、外枠と共にセルを構成する2枚の平行な外板、各ピクセルをスイッチングするための外板上の集積非線形素子、およびセル中に配置されて正の誘電異方性および高い比抵抗を有するネマチック液晶混合物を備え、およびこれらの媒体を電気光学的目的のために使用することに関する。
【0154】
本発明の液晶混合物により、利用できるパラメータの範囲を著しく広げることができる。透明点、低温における粘度、熱的およびUV安定性および高い光学異方性の組み合わせを実現できることは、先行技術による従来の材料より極めて優れている。
【0155】
本発明の混合物は、例えばPDA、ノート型パソコン、LCD、テレビおよびモニターのような携帯用の分野およびΔnの高いTFT分野に特に好適である。
【0156】
本発明の液晶混合物は、好ましくは−20℃まで、特に好ましくは−30℃まで、非常に特に好ましくは−40℃までネマチック相を有し、好ましくは60℃以上、特に好ましくは65℃以上、非常に特に好ましくは70℃以上の透明点を有する。
【0157】
回転粘度γ1は、好ましくは150mPa・s以下、特に好ましくは90mPa・s以下である。このため速い応答時間を有するMLCディスプレイを達成できる。
【0158】
本発明の液晶混合物の誘電異方性Δεは、好ましくは+1.5以上、特に好ましくは+3以上である。加えて、混合物は低い動作電圧で特徴付けられる。本発明の液晶混合物の閾電圧は、好ましくは2.0V以下である。
【0159】
本発明の液晶混合物の複屈折率Δnは、好ましくは0.07以上、特に好ましくは0.08以上である。
【0160】
本発明の液晶混合物のネマチック相の範囲は、好ましくは少なくとも90℃の幅であり、特には少なくとも100℃である。この範囲は、好ましくは、少なくとも−25℃から+70℃に及んでいる。
【0161】
言うまでもなく、本発明による混合物の成分を適切に選択することにより、他の有利な性質を保持しながら、より高い閾電圧においてより高い透明点(例えば100℃を超え)を達成できるか、またはより低い閾電圧においてより低い透明点を達成することも可能である。粘度の対応する上昇を僅かにとどめながら、より高いΔεと従ってより低い閾電圧を達成することも同様に可能である。本発明のMLCディスプレイは、好ましくは、グーチ・タリーの第1次透過極小で動作させることが好ましい(C.H.GoochおよびH.A.Tarry、Electron.Lett.、1974年、第10巻、第2〜4頁;C.H.GoochおよびH.A.Tarry、Appl.Phys.、1975年、第8巻、第1575〜1584頁)。ただし、例えば特性線の高い急峻性およびコントラストの低視野角依存性(独国特許第3022818号明細書)のような特に好ましい電気光学的特性に加え、第2次極小で類似するディスプレイと同じ閾電圧において、より小さな誘電異方性でも十分である。これにより、第1次極小で本発明の混合物を使用することにより、シアノ化合物を含む混合物の場合に比べ、極めて高い比抵抗値を達成することができる。個々の成分とその質量比を適切に選択することにより、当業者は簡単な日常的方法によりMLCディスプレイのあらかじめ指定された層の厚さに必要な複屈折率を設定することができる。
【0162】
電圧保持率(HR)を測定[S.Matsumotoら、Liquid Crystals、1989年、第5巻、第1320頁;K.Niwaら、Proc.SID Conference、サンフランシスコ、1984年6月、第304頁、;G.Weberら、Liquid Crystals、1989年、第5巻、第1381頁]した結果、
【0163】
【化44】
のシアノフェニルシクロヘキサン類、または以下の式
【0164】
【化45】
のエステル類を式Iの化合物の代わりに含み本発明と類似した混合物に比べて、式Iの化合物を含む本発明の混合物の方が、UVの曝露によるHRの低下が著しく小さいことが示された。
【0165】
本発明の混合物の光安定性およびUV安定性は極めて優れている。即ち、これらの混合物は、光またはUVに暴露されてもHRの低下が著しく小さい。混合物中の式Iの化合物の割合が低い(10質量%未満)場合においても、先行技術による混合物と比較して、6%以上もHRが増加する。
【0166】
偏光板、電極基板および表面処理された電極からの本発明のMLCディスプレイの構成は、この型のディスプレイの普通の構成に対応する。「普通の構成」という用語は、ここでは広い意味で用いられ、MLCディスプレイに関する全ての誘導および変形を網羅し、特に多結晶シリコンTFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子を含む。
【0167】
しかしながら、本発明のディスプレイと従来の捩れネマチックセルに基づくディスプレイとの大きな相違点は、液晶層の液晶パラメーターの選択にある。
【0168】
本発明で使用できる液晶媒体は、例えば式Iの1種類以上の化合物を式II〜XXVIIの1種類以上の化合物または更なる液晶成分および/または添加剤と混合して、それ自体従来の方法で調製される。一般に、より少ない量で使用される成分の所望の量を、主要な組成を構成する成分中で、好ましくは加温して溶解する。さらに、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノールの有機溶媒中で液晶成分溶液を混合し、完全に混合後、例えば蒸留によって溶媒を再び除去することも可能である。
【0169】
誘電体は、当業者に公知で文献記載の添加剤、例えば、チバ社製のTinuvin(登録商標)のようなUV安定剤、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤などのようなものをさらに含んでもよい。例えば0〜15%の多色性色素またはキラルドーパントを加えることができる。適切な安定剤およびドーパントは以下の表Cおよび表Dに示されている。
【0170】
本出願および以下に示す例において、液晶化合物の構造は略号で示されており、その化学式への変換は以下の表AおよびBに従って行われる。全ての基CnH2n+1およびCmH2m+1は、nおよびm個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖のアルキル基である。nおよびmは整数で、好ましくは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を表す。表Bのコードは、それ自体で明らかである。表Aには、親構造にかかわる略号のみが示されている。それぞれの場合において、この親構造の略号の後に、ダッシュにより分離されて、置換基R1*、R2*、L1*およびL2*のためのコードが続く。
【0171】
【表1】
【0172】
好ましい混合物成分を、表Aおよび表Bに示す。
【0173】
【表2】
【0174】
【表3.1】
【0175】
【表3.2】
【0176】
式Iの化合物に加え、少なくとも1、2、3または4種類以上の表Bの化合物を含む液晶混合物が特に好ましい。
【0177】
表Cは、一般に本発明による混合物に添加される使用可能なドーパントを示す。混合物は、好ましくは0〜10質量%、特には0.01〜5質量%、特に好ましくは、0.01〜3質量%のドーパントを含む。
【0178】
【表4.1】
【0179】
【表4.2】
例えば本発明の混合物に、0〜10質量%の量で添加することができる安定剤を下に示す。
【0180】
【表5.1】
【0181】
【表5.2】
【0182】
【表5.3】
【0183】
【表5.4】
【実施例】
【0184】
以下の例は、制限することなく、本発明を説明するものである。
【0185】
上および下において、パーセンテージのデータは質量パーセントである。温度はすべて摂氏で示される。m.p.は融点を表わし、cl.p.は透明点を表わす。さらに、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクティック相、およびIは等方相を表す。これらの記号間のデータは相転移温度を表す。さらに、
−Δnは589nmおよび20℃における光学異方性を表わし、
−γ1は20℃における回転粘度(mPa・s)を表わし、
−V10は透過(基板表面に垂直な視角)が10%となる電圧(V)を表し(閾電圧)、
−Δεは20℃および1kHzにおける誘電異方性(Δε=ε‖ε−ε⊥、ここでε‖は分子の長軸に平行な誘電率、ε⊥はそれに垂直な誘電率を表す)を表す。
【0186】
電気光学的データは、特に別に述べない限り、20℃において第1次極小(即ち、0.5μmのd・Δn値)でTNセル中において測定する。光学的データは、特に別に述べない限り、20℃で測定する。全ての物理的特性は、「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月、ドイツ国メルク社にしたがって測定され、、特に別に述べない限り、20℃の温度で行う。
【0187】
<実施例1>
化合物(1)を上に記載したようにして調製した。
【0188】
【化46】
相挙動:C21N90.4I、Δn=0.1510、Δε=+14.0。
【0189】
類似して、以下の化合物を調製した。
【0190】
R−A1−A2−A3−A4−O−CH=CF2
【0191】
【表6.1】
【0192】
【表6.2】
【0193】
【表6.3】
【0194】
【表6.4】
【0195】
【表6.5】
【0196】
【表6.6】
【0197】
【表6.7】
【0198】
【表6.8】
<比較例1>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0199】
【表7】
【0200】
<混合物例1>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0201】
【表8】
【0202】
比較例1と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0203】
<混合物例2>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0204】
【表9】
比較例1と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0205】
<混合物例3>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0206】
【表10】
比較例1と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0207】
<混合物例4>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0208】
【表11】
比較例1と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0209】
<混合物例5>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0210】
【表12】
比較例1と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度およびより高い透明点を有している。
【0211】
<比較例2>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0212】
【表13】
<混合物例6>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0213】
【表14】
比較例2と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度およびより高い複屈折を有している。
【0214】
<比較例3>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0215】
【表15】
【0216】
<混合物例7>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0217】
【表16】
比較例3と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0218】
<混合物例8>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0219】
【表17】
比較例3と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0220】
<比較例4>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0221】
【表18】
【0222】
<混合物例9>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0223】
【表19】
比較例4と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0224】
<混合物例10>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0225】
【表20】
比較例4と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0226】
<比較例5>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0227】
【表21】
【0228】
<混合物例11>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0229】
【表22】
比較例5と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0230】
<比較例6>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0231】
【表23】
【0232】
<混合物例12>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0233】
【表24】
比較例6と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0234】
<比較例7>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0235】
【表25】
【0236】
<混合物例13>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0237】
【表26】
比較例7と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度を有している。
【0238】
<比較例8>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0239】
【表27】
【0240】
<混合物例14>
以下のようにLC混合物を調合する。
【0241】
【表28】
比較例8と比較して、他の特性が実質的に変化することなく、この混合物はより低い粘度およびより高い透明点を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体。
【化1】
(式中、
R0は、炭素数1〜15のアルキルまはたアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基の1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CF2O−、−CH=CH−、
【化2】
−O−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、式中加えて、1個以上の水素原子はハロゲンで置き換えられていてもよく、
L1は、HまたはFを表し、
nは、1または2を表し、および
【化3】
を表す。)
【請求項2】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項1記載の液晶媒体。
【化4.1】
【化4.2】
【化4.3】
【化4.4】
【化4.5】
【化4.6】
(式中、R0およびL1は、請求項1中に示される意味を有する。)
【請求項3】
式IIおよび/またはIIIの1種類以上の化合物を更に含む請求項1または2記載の液晶媒体。
【化5】
(式中、
環Cは、1,4−フェニレンまたはトランス−1,4−シクロヘキシレンを表し、
aは、0または1であり、
R3は、炭素数2〜9のアルケニル基を表し、および
R4は、請求項1中のR0に対して示される意味を有する。)
【請求項4】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項1ないし3いずれか一項記載の液晶媒体。
【化6.1】
【化6.2】
(式中、
R3aおよびR4aは、それぞれ互いに独立に、H、CH3、C2H5またはC3H7を表し、および
alkylは、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基を表す。)
【請求項5】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし4いずれか一項記載の液晶媒体。
【化7】
(式中、
R0は、請求項1中に示される意味を有し、
Y1〜4は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
X0は、F、Cl、CN、SF5、SCN、NCS、炭素数6までのハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基を表し、
Z0は、−C2H4−、−(CH2)4−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C2F4−、−CH2CF2−、−CF2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−CF2O−または−OCF2−を表し、式VおよびVI中では単結合も表し、および
rは、0または1を表す。)
【請求項6】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項1ないし5いずれか一項記載の液晶媒体。
【化8】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項7】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項1ないし6いずれか一項記載の液晶媒体。
【化9.1】
【化9.2】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項8】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項1ないし7いずれか一項記載の液晶媒体。
【化10】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項9】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項1ないし8いずれか一項記載の液晶媒体。
【化11】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項10】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし9いずれか一項記載の液晶媒体。
【化12】
(式中、
R0、X0およびY1〜4は、請求項5中に示される意味を有し、および
【化13】
を表す。)
【請求項11】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし10いずれか一項記載の液晶媒体。
【化14】
(式中、R1およびR2は、それぞれ互いに独立に、炭素数9までのn−アルキル基、アルコキシ基、オキサアルキル基、フルオロアルキル基またはアルケニル基を表す。)
【請求項12】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし11いずれか一項記載の液晶媒体。
【化15】
(式中、R0、X0、Y1およびY2は、請求項5中に示される意味を有する。。)
【請求項13】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし12いずれか一項記載の液晶媒体。
【化16.1】
【化16.2】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項14】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし13いずれか一項記載の液晶媒体。
【化17】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項15】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし14いずれか一項記載の液晶媒体。
【化18】
(式中、
環DおよびEは、請求項10中に示される意味を有し、
R0、X0、Y1およびY2は、請求項5中に示される意味を有し、および
環DおよびEは、同時にシクロヘキシレンを表さない。)
【請求項16】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項15記載の液晶媒体。
【化19】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項17】
1〜25質量%の式Iの化合物と、
25〜80質量%の式IIおよび/またはIIIの化合物と、
5〜30質量%の式VI−2の化合物と
を含む請求項1ないし16いずれか一項記載の液晶媒体。
【請求項18】
式Iの化合物。
【化20】
(式中、
R0、n、A、BおよびL1は、請求項1中に示される意味を有し、
【化21】
および/または、nは、2である。)
【請求項19】
【化22】
請求項18記載の化合物。
【請求項20】
L1はFを表す請求項18または19
記載の化合物。
【請求項21】
以下の式から選ばれる請求項18ないし20いずれか一項記載の化合物。
【化23.1】
【化23.2】
【化23.3】
【化23.4】
【化23.5】
(式中、R0およびL1は、請求項18中に示される意味を有する。)
【請求項22】
電気光学的目的のための請求項1ないし21いずれか一項記載の液晶媒体または化合物の使用。
【請求項23】
請求項1ないし21いずれか一項記載の液晶媒体または化合物を備える電気光学的液晶ディスプレイ。
【請求項24】
請求項1または2で定義される式Iの化合物の1種類以上を、請求項3ないし16いずれか一項記載の化合物の1種類以上と、または更なる液晶化合物および/または添加剤と混合する請求項1ないし17いずれか一項記載の液晶媒体の調製方法。
【請求項1】
式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体。
【化1】
(式中、
R0は、炭素数1〜15のアルキルまはたアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基の1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CF2O−、−CH=CH−、
【化2】
−O−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、式中加えて、1個以上の水素原子はハロゲンで置き換えられていてもよく、
L1は、HまたはFを表し、
nは、1または2を表し、および
【化3】
を表す。)
【請求項2】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項1記載の液晶媒体。
【化4.1】
【化4.2】
【化4.3】
【化4.4】
【化4.5】
【化4.6】
(式中、R0およびL1は、請求項1中に示される意味を有する。)
【請求項3】
式IIおよび/またはIIIの1種類以上の化合物を更に含む請求項1または2記載の液晶媒体。
【化5】
(式中、
環Cは、1,4−フェニレンまたはトランス−1,4−シクロヘキシレンを表し、
aは、0または1であり、
R3は、炭素数2〜9のアルケニル基を表し、および
R4は、請求項1中のR0に対して示される意味を有する。)
【請求項4】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項1ないし3いずれか一項記載の液晶媒体。
【化6.1】
【化6.2】
(式中、
R3aおよびR4aは、それぞれ互いに独立に、H、CH3、C2H5またはC3H7を表し、および
alkylは、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基を表す。)
【請求項5】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし4いずれか一項記載の液晶媒体。
【化7】
(式中、
R0は、請求項1中に示される意味を有し、
Y1〜4は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
X0は、F、Cl、CN、SF5、SCN、NCS、炭素数6までのハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基を表し、
Z0は、−C2H4−、−(CH2)4−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C2F4−、−CH2CF2−、−CF2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−CF2O−または−OCF2−を表し、式VおよびVI中では単結合も表し、および
rは、0または1を表す。)
【請求項6】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項1ないし5いずれか一項記載の液晶媒体。
【化8】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項7】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項1ないし6いずれか一項記載の液晶媒体。
【化9.1】
【化9.2】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項8】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項1ないし7いずれか一項記載の液晶媒体。
【化10】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項9】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項1ないし8いずれか一項記載の液晶媒体。
【化11】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項10】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし9いずれか一項記載の液晶媒体。
【化12】
(式中、
R0、X0およびY1〜4は、請求項5中に示される意味を有し、および
【化13】
を表す。)
【請求項11】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし10いずれか一項記載の液晶媒体。
【化14】
(式中、R1およびR2は、それぞれ互いに独立に、炭素数9までのn−アルキル基、アルコキシ基、オキサアルキル基、フルオロアルキル基またはアルケニル基を表す。)
【請求項12】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし11いずれか一項記載の液晶媒体。
【化15】
(式中、R0、X0、Y1およびY2は、請求項5中に示される意味を有する。。)
【請求項13】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし12いずれか一項記載の液晶媒体。
【化16.1】
【化16.2】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項14】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし13いずれか一項記載の液晶媒体。
【化17】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項15】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を更に含む請求項1ないし14いずれか一項記載の液晶媒体。
【化18】
(式中、
環DおよびEは、請求項10中に示される意味を有し、
R0、X0、Y1およびY2は、請求項5中に示される意味を有し、および
環DおよびEは、同時にシクロヘキシレンを表さない。)
【請求項16】
以下の式から選ばれる1種類以上の化合物を含む請求項15記載の液晶媒体。
【化19】
(式中、R0およびX0は、請求項5中に示される意味を有する。)
【請求項17】
1〜25質量%の式Iの化合物と、
25〜80質量%の式IIおよび/またはIIIの化合物と、
5〜30質量%の式VI−2の化合物と
を含む請求項1ないし16いずれか一項記載の液晶媒体。
【請求項18】
式Iの化合物。
【化20】
(式中、
R0、n、A、BおよびL1は、請求項1中に示される意味を有し、
【化21】
および/または、nは、2である。)
【請求項19】
【化22】
請求項18記載の化合物。
【請求項20】
L1はFを表す請求項18または19
記載の化合物。
【請求項21】
以下の式から選ばれる請求項18ないし20いずれか一項記載の化合物。
【化23.1】
【化23.2】
【化23.3】
【化23.4】
【化23.5】
(式中、R0およびL1は、請求項18中に示される意味を有する。)
【請求項22】
電気光学的目的のための請求項1ないし21いずれか一項記載の液晶媒体または化合物の使用。
【請求項23】
請求項1ないし21いずれか一項記載の液晶媒体または化合物を備える電気光学的液晶ディスプレイ。
【請求項24】
請求項1または2で定義される式Iの化合物の1種類以上を、請求項3ないし16いずれか一項記載の化合物の1種類以上と、または更なる液晶化合物および/または添加剤と混合する請求項1ないし17いずれか一項記載の液晶媒体の調製方法。
【公開番号】特開2008−189927(P2008−189927A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22564(P2008−22564)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】
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