液晶樹脂複合体の成形方法
【目的】 本発明は上記液晶樹脂の繊維化可能領域または繊維化適性領域が高含有領域にあっても比較的少量の液晶樹脂をマトリックス樹脂内に繊維化して分散成形させる成形方法を提供することを目的とする。
【構成】 本発明は、熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂と該熱可塑性樹脂の成形可能温度よりも高い液晶転移温度の液晶樹脂からなる補強材とからなる組成物を使用して液晶樹脂複合体を成形するにあたり、上記液晶樹脂成分をマトリックス樹脂に対しその相反転以下繊維化可能領域量又は繊維化適性領域量配合し、この混合物を上記液晶転移温度以下の上記マトリックス樹脂の成形可能温度において溶融押出し、液晶樹脂がマトリックス樹脂中で繊維化して分散した複合体を得、該複合体にマトリックス樹脂を添加して上記液晶樹脂の繊維化可能領域又は繊維化適性領域以下にて成形する液晶樹脂複合体の成形方法にある。
【構成】 本発明は、熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂と該熱可塑性樹脂の成形可能温度よりも高い液晶転移温度の液晶樹脂からなる補強材とからなる組成物を使用して液晶樹脂複合体を成形するにあたり、上記液晶樹脂成分をマトリックス樹脂に対しその相反転以下繊維化可能領域量又は繊維化適性領域量配合し、この混合物を上記液晶転移温度以下の上記マトリックス樹脂の成形可能温度において溶融押出し、液晶樹脂がマトリックス樹脂中で繊維化して分散した複合体を得、該複合体にマトリックス樹脂を添加して上記液晶樹脂の繊維化可能領域又は繊維化適性領域以下にて成形する液晶樹脂複合体の成形方法にある。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶樹脂複合体の成形方法、特に、液晶樹脂の繊維化可能領域または繊維化適性領域がマトリックス樹脂に対する高含有領域にある液晶樹脂複合体の成形に適する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、合成樹脂複合体として熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂にガラス繊維または炭素繊維の補強材を添加混合した繊維強化プラスチック複合体のリサイクル性が問題となり、それに代わるプラスチック複合体として液晶樹脂複合体が提案されている(特開平1−320128号など)。しかしながら、液晶樹脂は高価であるから、マトリックス樹脂に対する配合量が比較的少量にて充分な構造強化特性がえられなければ、コスト面で従来の繊維強化プラスチックに対抗することができない現状にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これら液晶樹脂を使用して複合体を形成する場合、図1に示すように両者を液晶樹脂の融点以上((c) 領域)に加熱して一旦溶融して均一混合し、液晶樹脂の融点以下の成形可能な温度((b) 領域)で成形すれば、常温域((a)領域)ではマトリックス樹脂内に液晶樹脂の繊維が成形方向に配向して所定の物性が得られる。しかしながら、図2に示すように押出成形後液晶樹脂がマトリックス樹脂内において繊維化する適正な領域が繊維化不能領域と相反転領域の中間にあって、マトリックス樹脂の種類によってはその繊維化適正領域が高含有領域にある場合があり、比較的少量の液晶樹脂の配合によってはマトリックス樹脂内での液晶樹脂の繊維化が行われず、所定の物性が得られない場合があることが見出された。ここで、相反転とはマクロに相分離した2成分L(液晶樹脂)、M(マトリックス樹脂)がL in M型からM in L型へ、またはその逆方向に相が反転することを言い、繊維化可能領域とは液晶樹脂が成形後アスペクト比3以上となる領域を言う。そこで、本発明は上記液晶樹脂の繊維化可能領域または繊維化適性領域が高含有領域にあっても比較的少量の液晶樹脂をマトリックス樹脂内に繊維化して分散成形させる成形方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂と該熱可塑性樹脂の成形可能温度よりも液晶転移温度が高い液晶樹脂からなる補強材とからなる組成物を使用して液晶樹脂複合体を成形するにあたり、上記液晶樹脂成分をマトリックス樹脂に対しその相反転以下繊維化可能領域量又は繊維化適性領域量配合し、この混合物を上記液晶転移温度以下の上記マトリックス樹脂の成形可能温度において溶融押出し、液晶樹脂がマトリックス樹脂中で繊維化して分散した複合体を得、該複合体にマトリックス樹脂を添加して上記液晶樹脂の繊維化可能領域又は繊維化適性領域以下にて成形する液晶樹脂複合体の成形方法にある。
【0005】本発明においては、液晶樹脂成分としては液晶樹脂を単独で添加してもよいし、液晶樹脂を高含有したマトリックス樹脂との複合材の形態で添加してもよい。
【0006】また、上記方法で成形された成形品を再生する場合、その粉砕片が利用されるが、その粉砕片中の液晶樹脂含有量は繊維化可能領域にない。そこで、本発明は成形品の粉砕片を使用して液晶樹脂複合体を再成形するにあたり、上記使用済み成形品の粉砕片に液晶樹脂成分を組成物全体としてその相反転以下繊維化可能領域量となるように追加調整配合し、この混合物を上記液晶転移温度以下の上記マトリックス樹脂の成形可能温度において溶融押出し、液晶樹脂がマトリックス樹脂中で繊維化して分散した複合体を得、該複合体にマトリックス樹脂を添加して上記液晶樹脂の繊維化可能領域又は繊維化適性領域以下にて再成形する方法を提供するものでもある。
【0007】上記液晶樹脂の繊維化可能領域はマトリックス樹脂の種類によって異なる。例えば、マトリックス樹脂がナイロンに代表されるポリアミド樹脂の場合は図4R>4および図5に示すように50〜70重量%、マトリックス樹脂がABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂の場合は図6および図7に示すように40〜70重量%と高含有領域のみにあるのに対し、マトリックス樹脂がポリカーボネート(PC)/ABS樹脂の場合は3〜70重量%、ポリフェニレンオキシド/ナイロンの場合は2〜65重量%、変性ポリフェニレンオキシドの場合は3〜60重量%、ポリプロピレンの場合は2〜75重量%、ポリカーボネートの場合は3〜70重量%と高含有領域から低含有領域まで広範囲に液晶樹脂繊維化可能領域があるが、これらの下限近傍においてはほとんどの液晶樹脂がアスペクト比3以下の粒形状となる場合があり、これらの場合においても液晶樹脂の繊維形成するための溶融押出は液晶樹脂含有量の比較的高い領域において行われるのがよい。そのため、後者の場合、引張強度および流動長比のような得られる結果物性を考慮すると、上記繊維化可能領域において好ましい繊維化可能領域(繊維化適性領域)を選択することができる。すなわち、マトリックス樹脂がPC/ABS樹脂の場合、図8および図9に示すように液晶樹脂は3〜70重量%が好ましく、上記PPO/PA6樹脂の場合、図10および図11に示すように、液晶樹脂は20〜65重量%が好ましく、変成PPO樹脂の場合、図1212および図13に示すように、液晶樹脂は40〜60重量%が好ましく、PP樹脂の場合、図14および図15R>5に示すように液晶樹脂は40〜70重量%が好ましく、PC樹脂の場合は図16に示すように液晶樹脂は3〜20重量%が好ましく、PBT樹脂の場合は図17および図18に示すように、液晶樹脂は30〜70重量%が好ましく、PC/PBT樹脂の場合は図19および図2020に示すように液晶樹脂は2〜60重量%が好ましい。
【0008】上記マトリックス樹脂であるABS樹脂の物性は特に限定されない。上記マトリックス樹脂は市販品として入手できる。具体的には市販品としては、例えばクラスチックMH〔住友ノーガタック(株)製〕、サイコラックT(宇部サイコン(株)製)およびGR−2000(電気化学工業(株)製)を挙げることができる。また、本発明の樹脂組成物において使用されるマトリックス樹脂であるナイロンの物性は特に限定されないが、特にナイロン−6が好ましい。上記マトリックス樹脂は、市販品として入手できる。具体的には市販品としては、例えば1013B〔宇部興産(株)製〕、CM1017(東レ(株)製)およびテクニールC216(昭和電工(株)製)を挙げることができる。他のマトリックス樹脂は、市販の樹脂を使用することができる。PC/ABS樹脂の場合、テクニエースT105(住友ノーガタック(株)製)、T−2600(帝人化成(株)製)、サイコロイ800(宇部サイコン(株)製)が使用できる。上記PPO/PA6樹脂の場合、ノリルGTX6006(日本ジーイープラスチックス(株)製)、ユピエースNX−7000(三菱瓦斯化学(株)製)、PPA263(東レ(株)製)が使用できる。変成PPO樹脂の場合、ノリルPX2623(日本ジーイープラスチックス(株)製)、ユピエースAN30(三菱瓦斯化学(株)製)、ザイロンX5055(旭化成(株)製)が使用できる。PP樹脂の場合、H501(住友化学(株)製)、J440(三井石油化学工業(株)製)、J950H(出光石油化学工業(株)製)が使用できる。PC樹脂の場合は141(日本ジーイープラスチックス(株)製)、パンライトL1250(帝人化成(株)製)、ユピロンS−1000(三菱瓦斯化学(株)製)が使用できる。PBT樹脂の場合は、1401XO7(東レ(株)製)、C7000(帝人(株)製)、プラスチックBT−100(大日本インキ化学工業(株)製)が使用できる。液晶樹脂はPC/PBT樹脂の場合はゼノイ1101(日本ジーイープラスチックス(株)製)、AM−9060(帝人化成(株)製)が使用できる。
【0009】本発明の複合材は、液晶樹脂を含有する。液晶樹脂は、樹脂組成物の成形物中において、後述のアスペクト比を有する繊維形状をなし、成形物の強化材となる。このような液晶樹脂としては、上記マトリックス樹脂の成形可能温度より高い液晶転移温度のもの、好ましくは20℃以上高いものが選ばれてよい。液晶転移温度がマトリックス樹脂の成形可能温度より低いと、液晶樹脂が成形物中において繊維状とならず、また配向も一定せず、十分な強度が得られない。液晶樹脂としては従来公知の各種のものが適用でき、特に限定されるものではない。液晶樹脂としては各種のものが知られているが、本発明で特に好ましく用いられるものは熱可塑性の液晶ポリエステル、また液晶ポリエステルアミドである。かかるものとして、特に好ましく用いられるものとしては、下記に記載するものが挙げられる。即ち、
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】ここで、Σni=100である。そして、特に好ましいのは各構造式のniが4以上である。また、各式において、ハロゲン等をはじめ、各種の置換基が付加されていてもよい。これらに示されるものは、本発明の変性ポリエステルと良好に溶融成形しやすいので特に好ましい。また、高強度・高弾性率の複合繊維としやすい。同様に液晶ポリエステルアミドも従来公知のものが適用でき、何ら制限されるものではない。特に好ましいものとして下記の構造式に示されるものが挙げられる。即ち、
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】ここで、各構造式においてΣni=100である。そして、特に好ましいのは各構造式のniが15以上である。また、各式ともハロゲン等をはじめ、各種置換基が付加されていてもよい。これらに示されるものはポリアーリレートからなる液晶ポリマーと同様に溶融成形性があり、かつ高強度である。本発明の樹脂組成物には液晶樹脂の繊維形成を妨げるものでない限り、その他添加剤として、耐光剤、酸化防止剤、可塑剤などを加えてよい。特に、マトリックス樹脂相と液晶樹脂繊維相との間の結合力を向上させる相溶化剤を添加してもよい。この相溶化剤としてはマトリックス樹脂がABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂の場合はそれらの樹脂をエポキシ基をもつ化合物及び/又は酸無水物で変成したもの、例えばEGMA−g−AS、酸無水物変成ポリスチレン、N置換マレイミド共重合体が好ましく、ポリオレフィン樹脂の場合もポリオレフィン樹脂をエポキシ基をもつ化合物及び/又は酸無水物で変成したもの、例えばEGMA、EGMA−g−オレフィンが好ましく、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリアミド樹脂の場合はエポキシ基、カルボキシル基、オキサゾリニル基、アミノ基などを2個以上持った化合物、例えばEGMA、エポキシ樹脂、酸無水物変成ポリエステルなどが好ましい。
【0020】本発明の成形方法では、繊維化適正領域の液晶樹脂を含有する樹脂組成物を、一旦溶融状態、即ち液晶性ポリマーの融点より高い温度に加熱し、ポリマー分子に配向性を付与する状態で成形あるいは成形用材料化する。ポリマー分子に配向性を付与する状態は、押出成形、射出成形等の方法により与えられるのが一般的である。この方法で直接成形して、高い配向性(分子方向性)を有する成形物品を得てもよい。しかし、通常押出成形した後、ペレット状の成形用材料にする。この成形用材料を用いて、再度押出機や射出成形器等で溶融して成形してもよい。なお、この再溶融する時の温度はマトリックス樹脂の融点より高く、かつ液晶ポリマーの融点より低い温度である方が、液晶樹脂が繊維状態を保持しているので好ましい。上記成形物中に複合された繊維状液晶化ポリマーは、アスペクト比(即ち、長さ/太さ)3以上、好ましくは10以上有する。アスペクト比が3未満だと成形物の強度に対し異方性がなく、配向方向に対し大きな強度が得られない。 アスペクト比3以上の液晶樹脂繊維を含む複合素材または製品を製造するためには押し出される樹脂組成物の剪断速度は3×102〜105sec-1、好ましくは3×102〜104sec-1の範囲がよい。更に得られる複合体を延伸するのがよい。なぜなら、延伸によって液晶樹脂複合体には引張強度の向上が見られるからである。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、液晶樹脂が繊維化した樹脂組成物とマトリックス樹脂とを混合して成形するので、液晶樹脂含有量が繊維化可能領域または繊維化適正領域にない場合でも成形品のマトリックス樹脂には繊維化した液晶樹脂が分配されることになり、所望の物性を得ることができる。また、図3に示すようにこの液晶樹脂複合体からなる成形品を再利用するにあたっては、回収材は一般に液晶樹脂含有量が繊維化可能領域または繊維化適正領域にないため、液晶樹脂および既存プラスチックを適宜添加して繊維化適正領域に調整する。これを溶融押出し、冷却後延伸すると液晶樹脂が繊維化してマトリックス樹脂内に分散した複合材(ストランド)が得られる。これと既存プラスチックとを混合して繊維化可能領域または繊維化適正領域以下の液晶樹脂含有量とし、射出成形等の成形を行うと、成形品内には液晶樹脂が繊維化した状態で分散することになる。したがって、再利用時にも液晶樹脂を繊維化して成形品中に分散させることができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)まず、液晶樹脂としてポリプラスチックス(株)製のベクトラA950(芳香族ポリエステル、液晶転移温度:約280℃)を用い、ナイロン−6としては宇部興産(株)製の1013Bを用い、両者を所定の割合に混合して液晶樹脂複合材を得た。次に、上記液晶樹脂複合材を初期押出成形した。この場合の押出成形条件は、押出機としてプラスチック工学研究所(株)製の2軸押出機(スクリュー径:30mmを用い、樹脂温度は290℃に、スクリュー回転数は100rpm に、ダイス径2mmに、剪断速度は1700sec -1に、延伸比は2倍に各々設定した。そして、上記の液晶樹脂複合材を延伸しながら押出成形してテスト用の直径:1.4mmのストランド状の初期成形用素材を得た後、該初期成形用素材の一部を長さ:3mmに切断して初期ペレット材を得た。次に、上記初期ペレット材を射出成形して液晶樹脂複合体を得た。この場合の射出成形条件は、東芝機械(株)製の220Ton射出成形機およびテストピース型の金型を用い、樹脂温度を250℃に設定した。また、この場合に、上記の射出成形機およびスパイラルフロー型(直径:6mmの半円形)の金型を用い、樹脂温度を250℃に、射出圧を1000kg/cm2に各々設定して流動性評価テストを行った。
【0023】次に上記液晶樹脂複合体を、(株)ホーライ製 V−360の粉砕装置で粉砕し、長さ:3〜4mmの粉砕片を得た後、該粉砕片をリサイクル押出成形してテスト用の直径:1.4mmのストランド状のリサイクル成形用素材を得た後、該リサイクル成形用素材の一部を長さ:3mmに切断してリサイクルペレット材を得た。この場合の押出成形条件は初期押出成形の場合と同じであった。次に、ストランド状の初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対して引張試験を行った。測定機としては島津製作所(株)製の万能試験機(オートグラフ)を用い、引張速度を20mm/分に設定した。図4は初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対して引張試験を行った結果を示しており、液晶樹脂の含有率が40%を超える領域で液晶樹脂の繊維化が生じ、液晶樹脂含有量の全量域にわたって両者の引張強度がほぼ同じであること、つまり上記再成形方法によると高強度の合成樹脂を再成形するにもかかわらず、強度が低下しないことが確認できた。図5は液晶樹脂含有量と流動長比との関係を示しており、液晶樹脂含有量が80%を超えると流動性が極端に低下し、成形用材料としては用い難いことが明らかになった。以上の考察から、熱可塑性樹脂としてナイロン−6(PA6)を用いる場合には、液晶樹脂の含有量が50〜70%の範囲内であることが好ましい。また、初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対して電子顕微鏡(SEM)による形態観察を行ったところ、液晶樹脂の含有量が40%の時には液晶樹脂の大部分は粒状であり、一部分が繊維状であった。また、液晶樹脂の含有量が50%の時には液晶樹脂は繊維状であった。この結果から、液晶樹脂が40%以上含有されると、液晶樹脂が繊維化して引張強度が向上することが理解できる。
【0024】そこで、上記液晶樹脂含有量70%の材料を調整し(試料A)、これに必要なマトリックス樹脂PA6を添加して液晶樹脂含有量が30%になるようにして射出成形を行った(試料B)。その後この製品を粉砕し、液晶樹脂を加え、粉砕物と新規の液晶樹脂のブレンド物の液晶樹脂含有量が70%になるようにし、上記初期条件と同様にして材料を調整した(試料C)。この材料を液晶樹脂含有量が30%となるようにPA6を加え、初期と同一条件で射出成形を行った(試料D)。各試料の引張強度を上記と同様にして測定し、その結果を下記に示す。
表試料 A B C D引張強度 180MPa 75MP 170MPa 73MPa (ストランド) (成形品) (ストランド) (成形品)
また、溶融押出で液晶樹脂30%を含有した複合材を直接調整した場合のストランドの引張強度が35MPaであった。これは液晶樹脂含有量が30%である領域は繊維化可能領域外であって、液晶樹脂の繊維化がマトリックス樹脂内で行われていない結果と思われる。それに対し、本発明方法によって成形したストランドおよび成形品は全体として液晶樹脂含有量が繊維化可能領域外にあるにもかかわらず、繊維化した液晶樹脂がマトリックス樹脂内に分散し、上記引張強度が得られている。
(実施例2)まず、液晶樹脂としてポリプラスチックス(株)製のベクトラA950(芳香族ポリエステル、液晶転移温度:約280℃)を用い、ABS樹脂としてとしては住友ダウ株製のクララスチックMHを用い、両者を液晶樹脂60重量%、マトリックス樹脂40重量%の割合に混合して液晶樹脂複合材を得た。次に、上記液晶樹脂複合材を実施例1と同様の条件で初期押出成形した。上記液晶樹脂含有量60%の複合材料(試料E)に必要なマトリックス樹脂ABS樹脂を添加して液晶樹脂含有量が20%になるようにして射出成形を行った(試料F)。その後この製品を粉砕し、液晶樹脂を加え、粉砕物と新規の液晶樹脂のブレンド物の液晶樹脂含有量が60%になるようにし、上記初期条件と同様にして材料を調整した(試料G)。この材料を液晶樹脂含有量が20%となるようにABS樹脂を加え、初期と同一条件で射出成形を行った(試料H)。各試料の引張強度を上記と同様にして測定し、その結果を下記に示す。
表試料 E F G H引張強度 154MPa 63MP 148MPa 60MPa (ストランド) (成形品) (ストランド) (成形品)
また、溶融押出で液晶樹脂20%を含有した複合材を直接調整した場合のストランドの引張強度が50MPaであった。これは液晶樹脂含有量が20%である領域は繊維化可能領域外であって、液晶樹脂の繊維化がマトリックス樹脂内で行われていない結果と思われる。それに対し、本発明方法によって成形したストランドおよび成形品は全体として液晶樹脂含有量が繊維化可能領域外にあるにもかかわらず、繊維化した液晶樹脂がマトリックス樹脂内に分散し、上記引張強度が得られている。
(実施例3)まず、液晶樹脂としてポリプラスチックス(株)製のベクトラA950(芳香族ポリエステル、液晶転移温度:約280℃)を用い、PPO/PA6樹脂としてとしては日本ジーイープラスチックス(株)製のノリルGTX6006を用い、両者を液晶樹脂40重量%、マトリックス樹脂60重量%の割合に混合して液晶樹脂複合材を得た。次に、上記液晶樹脂複合材を実施例1と同様の条件で初期押出成形した。上記液晶樹脂含有量40%の複合材料(試料I)に必要なマトリックス樹脂PPO/PA6樹脂を添加して液晶樹脂含有量が10%になるようにして射出成形を行った(試料J)。その後この製品を粉砕し、液晶樹脂を加え、粉砕物と新規の液晶樹脂のブレンド物の液晶樹脂含有量が40%になるようにし、上記初期条件と同様にして材料を調整した(試料K)。この材料を液晶樹脂含有量が10%となるようにPPO/PA6樹脂を加え、初期と同一条件で射出成形を行った(試料L)。各試料の引張強度を上記と同様にして測定し、その結果を下記に示す。
表試料 I J K L引張強度 110MPa 54MP 105MPa 52MPa (ストランド) (成形品) (ストランド) (成形品)
また、溶融押出で液晶樹脂10%を含有した複合材を直接調整した場合のストランドの引張強度が40MPaであった。これは液晶樹脂含有量が10%である領域は繊維化適正領域外であって、液晶樹脂の繊維化がマトリックス樹脂内で行われていない結果と思われる。それに対し、本発明方法によって成形したストランドおよび成形品は全体として液晶樹脂含有量が繊維化適正領域外にあるにもかかわらず、繊維化した液晶樹脂がマトリックス樹脂内に分散し、上記引張強度が得られている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 液晶樹脂複合材のマトリックス樹脂と補強材(液晶樹脂)との状態の変化を示す図である。
【図2】 液晶樹脂複合材におけるマトリックス樹脂に対する液晶樹脂の含有量が及ぼす複合材の状態変化を示す図である。
【図3】 本発明にかかる成形方法の一例を示す工程図である。
【図4】 マトリックス樹脂がPA6樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図5】 上記マトリックス樹脂がPA6樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図6】 マトリックス樹脂がABS樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図7】 上記マトリックス樹脂がABS樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図8】 マトリックス樹脂がPC/ABS樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図9】 上記マトリックス樹脂がPC/ABS樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図10】 マトリックス樹脂がPPO/PA6樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図11】 上記マトリックス樹脂がPPO/PA6樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図12】 マトリックス樹脂が変成PPO樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図13】 上記マトリックス樹脂が変成PPO樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図14】 マトリックス樹脂がPP樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図15】 上記マトリックス樹脂がPP樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図16】 マトリックス樹脂がPC樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図17】 マトリックス樹脂がPBT樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図18】 上記マトリックス樹脂がPBT樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図19】 マトリックス樹脂がPC/PBT樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図20】 上記マトリックス樹脂がPC/PBT樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶樹脂複合体の成形方法、特に、液晶樹脂の繊維化可能領域または繊維化適性領域がマトリックス樹脂に対する高含有領域にある液晶樹脂複合体の成形に適する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、合成樹脂複合体として熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂にガラス繊維または炭素繊維の補強材を添加混合した繊維強化プラスチック複合体のリサイクル性が問題となり、それに代わるプラスチック複合体として液晶樹脂複合体が提案されている(特開平1−320128号など)。しかしながら、液晶樹脂は高価であるから、マトリックス樹脂に対する配合量が比較的少量にて充分な構造強化特性がえられなければ、コスト面で従来の繊維強化プラスチックに対抗することができない現状にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これら液晶樹脂を使用して複合体を形成する場合、図1に示すように両者を液晶樹脂の融点以上((c) 領域)に加熱して一旦溶融して均一混合し、液晶樹脂の融点以下の成形可能な温度((b) 領域)で成形すれば、常温域((a)領域)ではマトリックス樹脂内に液晶樹脂の繊維が成形方向に配向して所定の物性が得られる。しかしながら、図2に示すように押出成形後液晶樹脂がマトリックス樹脂内において繊維化する適正な領域が繊維化不能領域と相反転領域の中間にあって、マトリックス樹脂の種類によってはその繊維化適正領域が高含有領域にある場合があり、比較的少量の液晶樹脂の配合によってはマトリックス樹脂内での液晶樹脂の繊維化が行われず、所定の物性が得られない場合があることが見出された。ここで、相反転とはマクロに相分離した2成分L(液晶樹脂)、M(マトリックス樹脂)がL in M型からM in L型へ、またはその逆方向に相が反転することを言い、繊維化可能領域とは液晶樹脂が成形後アスペクト比3以上となる領域を言う。そこで、本発明は上記液晶樹脂の繊維化可能領域または繊維化適性領域が高含有領域にあっても比較的少量の液晶樹脂をマトリックス樹脂内に繊維化して分散成形させる成形方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂と該熱可塑性樹脂の成形可能温度よりも液晶転移温度が高い液晶樹脂からなる補強材とからなる組成物を使用して液晶樹脂複合体を成形するにあたり、上記液晶樹脂成分をマトリックス樹脂に対しその相反転以下繊維化可能領域量又は繊維化適性領域量配合し、この混合物を上記液晶転移温度以下の上記マトリックス樹脂の成形可能温度において溶融押出し、液晶樹脂がマトリックス樹脂中で繊維化して分散した複合体を得、該複合体にマトリックス樹脂を添加して上記液晶樹脂の繊維化可能領域又は繊維化適性領域以下にて成形する液晶樹脂複合体の成形方法にある。
【0005】本発明においては、液晶樹脂成分としては液晶樹脂を単独で添加してもよいし、液晶樹脂を高含有したマトリックス樹脂との複合材の形態で添加してもよい。
【0006】また、上記方法で成形された成形品を再生する場合、その粉砕片が利用されるが、その粉砕片中の液晶樹脂含有量は繊維化可能領域にない。そこで、本発明は成形品の粉砕片を使用して液晶樹脂複合体を再成形するにあたり、上記使用済み成形品の粉砕片に液晶樹脂成分を組成物全体としてその相反転以下繊維化可能領域量となるように追加調整配合し、この混合物を上記液晶転移温度以下の上記マトリックス樹脂の成形可能温度において溶融押出し、液晶樹脂がマトリックス樹脂中で繊維化して分散した複合体を得、該複合体にマトリックス樹脂を添加して上記液晶樹脂の繊維化可能領域又は繊維化適性領域以下にて再成形する方法を提供するものでもある。
【0007】上記液晶樹脂の繊維化可能領域はマトリックス樹脂の種類によって異なる。例えば、マトリックス樹脂がナイロンに代表されるポリアミド樹脂の場合は図4R>4および図5に示すように50〜70重量%、マトリックス樹脂がABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂の場合は図6および図7に示すように40〜70重量%と高含有領域のみにあるのに対し、マトリックス樹脂がポリカーボネート(PC)/ABS樹脂の場合は3〜70重量%、ポリフェニレンオキシド/ナイロンの場合は2〜65重量%、変性ポリフェニレンオキシドの場合は3〜60重量%、ポリプロピレンの場合は2〜75重量%、ポリカーボネートの場合は3〜70重量%と高含有領域から低含有領域まで広範囲に液晶樹脂繊維化可能領域があるが、これらの下限近傍においてはほとんどの液晶樹脂がアスペクト比3以下の粒形状となる場合があり、これらの場合においても液晶樹脂の繊維形成するための溶融押出は液晶樹脂含有量の比較的高い領域において行われるのがよい。そのため、後者の場合、引張強度および流動長比のような得られる結果物性を考慮すると、上記繊維化可能領域において好ましい繊維化可能領域(繊維化適性領域)を選択することができる。すなわち、マトリックス樹脂がPC/ABS樹脂の場合、図8および図9に示すように液晶樹脂は3〜70重量%が好ましく、上記PPO/PA6樹脂の場合、図10および図11に示すように、液晶樹脂は20〜65重量%が好ましく、変成PPO樹脂の場合、図1212および図13に示すように、液晶樹脂は40〜60重量%が好ましく、PP樹脂の場合、図14および図15R>5に示すように液晶樹脂は40〜70重量%が好ましく、PC樹脂の場合は図16に示すように液晶樹脂は3〜20重量%が好ましく、PBT樹脂の場合は図17および図18に示すように、液晶樹脂は30〜70重量%が好ましく、PC/PBT樹脂の場合は図19および図2020に示すように液晶樹脂は2〜60重量%が好ましい。
【0008】上記マトリックス樹脂であるABS樹脂の物性は特に限定されない。上記マトリックス樹脂は市販品として入手できる。具体的には市販品としては、例えばクラスチックMH〔住友ノーガタック(株)製〕、サイコラックT(宇部サイコン(株)製)およびGR−2000(電気化学工業(株)製)を挙げることができる。また、本発明の樹脂組成物において使用されるマトリックス樹脂であるナイロンの物性は特に限定されないが、特にナイロン−6が好ましい。上記マトリックス樹脂は、市販品として入手できる。具体的には市販品としては、例えば1013B〔宇部興産(株)製〕、CM1017(東レ(株)製)およびテクニールC216(昭和電工(株)製)を挙げることができる。他のマトリックス樹脂は、市販の樹脂を使用することができる。PC/ABS樹脂の場合、テクニエースT105(住友ノーガタック(株)製)、T−2600(帝人化成(株)製)、サイコロイ800(宇部サイコン(株)製)が使用できる。上記PPO/PA6樹脂の場合、ノリルGTX6006(日本ジーイープラスチックス(株)製)、ユピエースNX−7000(三菱瓦斯化学(株)製)、PPA263(東レ(株)製)が使用できる。変成PPO樹脂の場合、ノリルPX2623(日本ジーイープラスチックス(株)製)、ユピエースAN30(三菱瓦斯化学(株)製)、ザイロンX5055(旭化成(株)製)が使用できる。PP樹脂の場合、H501(住友化学(株)製)、J440(三井石油化学工業(株)製)、J950H(出光石油化学工業(株)製)が使用できる。PC樹脂の場合は141(日本ジーイープラスチックス(株)製)、パンライトL1250(帝人化成(株)製)、ユピロンS−1000(三菱瓦斯化学(株)製)が使用できる。PBT樹脂の場合は、1401XO7(東レ(株)製)、C7000(帝人(株)製)、プラスチックBT−100(大日本インキ化学工業(株)製)が使用できる。液晶樹脂はPC/PBT樹脂の場合はゼノイ1101(日本ジーイープラスチックス(株)製)、AM−9060(帝人化成(株)製)が使用できる。
【0009】本発明の複合材は、液晶樹脂を含有する。液晶樹脂は、樹脂組成物の成形物中において、後述のアスペクト比を有する繊維形状をなし、成形物の強化材となる。このような液晶樹脂としては、上記マトリックス樹脂の成形可能温度より高い液晶転移温度のもの、好ましくは20℃以上高いものが選ばれてよい。液晶転移温度がマトリックス樹脂の成形可能温度より低いと、液晶樹脂が成形物中において繊維状とならず、また配向も一定せず、十分な強度が得られない。液晶樹脂としては従来公知の各種のものが適用でき、特に限定されるものではない。液晶樹脂としては各種のものが知られているが、本発明で特に好ましく用いられるものは熱可塑性の液晶ポリエステル、また液晶ポリエステルアミドである。かかるものとして、特に好ましく用いられるものとしては、下記に記載するものが挙げられる。即ち、
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】ここで、Σni=100である。そして、特に好ましいのは各構造式のniが4以上である。また、各式において、ハロゲン等をはじめ、各種の置換基が付加されていてもよい。これらに示されるものは、本発明の変性ポリエステルと良好に溶融成形しやすいので特に好ましい。また、高強度・高弾性率の複合繊維としやすい。同様に液晶ポリエステルアミドも従来公知のものが適用でき、何ら制限されるものではない。特に好ましいものとして下記の構造式に示されるものが挙げられる。即ち、
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】ここで、各構造式においてΣni=100である。そして、特に好ましいのは各構造式のniが15以上である。また、各式ともハロゲン等をはじめ、各種置換基が付加されていてもよい。これらに示されるものはポリアーリレートからなる液晶ポリマーと同様に溶融成形性があり、かつ高強度である。本発明の樹脂組成物には液晶樹脂の繊維形成を妨げるものでない限り、その他添加剤として、耐光剤、酸化防止剤、可塑剤などを加えてよい。特に、マトリックス樹脂相と液晶樹脂繊維相との間の結合力を向上させる相溶化剤を添加してもよい。この相溶化剤としてはマトリックス樹脂がABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂の場合はそれらの樹脂をエポキシ基をもつ化合物及び/又は酸無水物で変成したもの、例えばEGMA−g−AS、酸無水物変成ポリスチレン、N置換マレイミド共重合体が好ましく、ポリオレフィン樹脂の場合もポリオレフィン樹脂をエポキシ基をもつ化合物及び/又は酸無水物で変成したもの、例えばEGMA、EGMA−g−オレフィンが好ましく、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリアミド樹脂の場合はエポキシ基、カルボキシル基、オキサゾリニル基、アミノ基などを2個以上持った化合物、例えばEGMA、エポキシ樹脂、酸無水物変成ポリエステルなどが好ましい。
【0020】本発明の成形方法では、繊維化適正領域の液晶樹脂を含有する樹脂組成物を、一旦溶融状態、即ち液晶性ポリマーの融点より高い温度に加熱し、ポリマー分子に配向性を付与する状態で成形あるいは成形用材料化する。ポリマー分子に配向性を付与する状態は、押出成形、射出成形等の方法により与えられるのが一般的である。この方法で直接成形して、高い配向性(分子方向性)を有する成形物品を得てもよい。しかし、通常押出成形した後、ペレット状の成形用材料にする。この成形用材料を用いて、再度押出機や射出成形器等で溶融して成形してもよい。なお、この再溶融する時の温度はマトリックス樹脂の融点より高く、かつ液晶ポリマーの融点より低い温度である方が、液晶樹脂が繊維状態を保持しているので好ましい。上記成形物中に複合された繊維状液晶化ポリマーは、アスペクト比(即ち、長さ/太さ)3以上、好ましくは10以上有する。アスペクト比が3未満だと成形物の強度に対し異方性がなく、配向方向に対し大きな強度が得られない。 アスペクト比3以上の液晶樹脂繊維を含む複合素材または製品を製造するためには押し出される樹脂組成物の剪断速度は3×102〜105sec-1、好ましくは3×102〜104sec-1の範囲がよい。更に得られる複合体を延伸するのがよい。なぜなら、延伸によって液晶樹脂複合体には引張強度の向上が見られるからである。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、液晶樹脂が繊維化した樹脂組成物とマトリックス樹脂とを混合して成形するので、液晶樹脂含有量が繊維化可能領域または繊維化適正領域にない場合でも成形品のマトリックス樹脂には繊維化した液晶樹脂が分配されることになり、所望の物性を得ることができる。また、図3に示すようにこの液晶樹脂複合体からなる成形品を再利用するにあたっては、回収材は一般に液晶樹脂含有量が繊維化可能領域または繊維化適正領域にないため、液晶樹脂および既存プラスチックを適宜添加して繊維化適正領域に調整する。これを溶融押出し、冷却後延伸すると液晶樹脂が繊維化してマトリックス樹脂内に分散した複合材(ストランド)が得られる。これと既存プラスチックとを混合して繊維化可能領域または繊維化適正領域以下の液晶樹脂含有量とし、射出成形等の成形を行うと、成形品内には液晶樹脂が繊維化した状態で分散することになる。したがって、再利用時にも液晶樹脂を繊維化して成形品中に分散させることができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)まず、液晶樹脂としてポリプラスチックス(株)製のベクトラA950(芳香族ポリエステル、液晶転移温度:約280℃)を用い、ナイロン−6としては宇部興産(株)製の1013Bを用い、両者を所定の割合に混合して液晶樹脂複合材を得た。次に、上記液晶樹脂複合材を初期押出成形した。この場合の押出成形条件は、押出機としてプラスチック工学研究所(株)製の2軸押出機(スクリュー径:30mmを用い、樹脂温度は290℃に、スクリュー回転数は100rpm に、ダイス径2mmに、剪断速度は1700sec -1に、延伸比は2倍に各々設定した。そして、上記の液晶樹脂複合材を延伸しながら押出成形してテスト用の直径:1.4mmのストランド状の初期成形用素材を得た後、該初期成形用素材の一部を長さ:3mmに切断して初期ペレット材を得た。次に、上記初期ペレット材を射出成形して液晶樹脂複合体を得た。この場合の射出成形条件は、東芝機械(株)製の220Ton射出成形機およびテストピース型の金型を用い、樹脂温度を250℃に設定した。また、この場合に、上記の射出成形機およびスパイラルフロー型(直径:6mmの半円形)の金型を用い、樹脂温度を250℃に、射出圧を1000kg/cm2に各々設定して流動性評価テストを行った。
【0023】次に上記液晶樹脂複合体を、(株)ホーライ製 V−360の粉砕装置で粉砕し、長さ:3〜4mmの粉砕片を得た後、該粉砕片をリサイクル押出成形してテスト用の直径:1.4mmのストランド状のリサイクル成形用素材を得た後、該リサイクル成形用素材の一部を長さ:3mmに切断してリサイクルペレット材を得た。この場合の押出成形条件は初期押出成形の場合と同じであった。次に、ストランド状の初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対して引張試験を行った。測定機としては島津製作所(株)製の万能試験機(オートグラフ)を用い、引張速度を20mm/分に設定した。図4は初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対して引張試験を行った結果を示しており、液晶樹脂の含有率が40%を超える領域で液晶樹脂の繊維化が生じ、液晶樹脂含有量の全量域にわたって両者の引張強度がほぼ同じであること、つまり上記再成形方法によると高強度の合成樹脂を再成形するにもかかわらず、強度が低下しないことが確認できた。図5は液晶樹脂含有量と流動長比との関係を示しており、液晶樹脂含有量が80%を超えると流動性が極端に低下し、成形用材料としては用い難いことが明らかになった。以上の考察から、熱可塑性樹脂としてナイロン−6(PA6)を用いる場合には、液晶樹脂の含有量が50〜70%の範囲内であることが好ましい。また、初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対して電子顕微鏡(SEM)による形態観察を行ったところ、液晶樹脂の含有量が40%の時には液晶樹脂の大部分は粒状であり、一部分が繊維状であった。また、液晶樹脂の含有量が50%の時には液晶樹脂は繊維状であった。この結果から、液晶樹脂が40%以上含有されると、液晶樹脂が繊維化して引張強度が向上することが理解できる。
【0024】そこで、上記液晶樹脂含有量70%の材料を調整し(試料A)、これに必要なマトリックス樹脂PA6を添加して液晶樹脂含有量が30%になるようにして射出成形を行った(試料B)。その後この製品を粉砕し、液晶樹脂を加え、粉砕物と新規の液晶樹脂のブレンド物の液晶樹脂含有量が70%になるようにし、上記初期条件と同様にして材料を調整した(試料C)。この材料を液晶樹脂含有量が30%となるようにPA6を加え、初期と同一条件で射出成形を行った(試料D)。各試料の引張強度を上記と同様にして測定し、その結果を下記に示す。
表試料 A B C D引張強度 180MPa 75MP 170MPa 73MPa (ストランド) (成形品) (ストランド) (成形品)
また、溶融押出で液晶樹脂30%を含有した複合材を直接調整した場合のストランドの引張強度が35MPaであった。これは液晶樹脂含有量が30%である領域は繊維化可能領域外であって、液晶樹脂の繊維化がマトリックス樹脂内で行われていない結果と思われる。それに対し、本発明方法によって成形したストランドおよび成形品は全体として液晶樹脂含有量が繊維化可能領域外にあるにもかかわらず、繊維化した液晶樹脂がマトリックス樹脂内に分散し、上記引張強度が得られている。
(実施例2)まず、液晶樹脂としてポリプラスチックス(株)製のベクトラA950(芳香族ポリエステル、液晶転移温度:約280℃)を用い、ABS樹脂としてとしては住友ダウ株製のクララスチックMHを用い、両者を液晶樹脂60重量%、マトリックス樹脂40重量%の割合に混合して液晶樹脂複合材を得た。次に、上記液晶樹脂複合材を実施例1と同様の条件で初期押出成形した。上記液晶樹脂含有量60%の複合材料(試料E)に必要なマトリックス樹脂ABS樹脂を添加して液晶樹脂含有量が20%になるようにして射出成形を行った(試料F)。その後この製品を粉砕し、液晶樹脂を加え、粉砕物と新規の液晶樹脂のブレンド物の液晶樹脂含有量が60%になるようにし、上記初期条件と同様にして材料を調整した(試料G)。この材料を液晶樹脂含有量が20%となるようにABS樹脂を加え、初期と同一条件で射出成形を行った(試料H)。各試料の引張強度を上記と同様にして測定し、その結果を下記に示す。
表試料 E F G H引張強度 154MPa 63MP 148MPa 60MPa (ストランド) (成形品) (ストランド) (成形品)
また、溶融押出で液晶樹脂20%を含有した複合材を直接調整した場合のストランドの引張強度が50MPaであった。これは液晶樹脂含有量が20%である領域は繊維化可能領域外であって、液晶樹脂の繊維化がマトリックス樹脂内で行われていない結果と思われる。それに対し、本発明方法によって成形したストランドおよび成形品は全体として液晶樹脂含有量が繊維化可能領域外にあるにもかかわらず、繊維化した液晶樹脂がマトリックス樹脂内に分散し、上記引張強度が得られている。
(実施例3)まず、液晶樹脂としてポリプラスチックス(株)製のベクトラA950(芳香族ポリエステル、液晶転移温度:約280℃)を用い、PPO/PA6樹脂としてとしては日本ジーイープラスチックス(株)製のノリルGTX6006を用い、両者を液晶樹脂40重量%、マトリックス樹脂60重量%の割合に混合して液晶樹脂複合材を得た。次に、上記液晶樹脂複合材を実施例1と同様の条件で初期押出成形した。上記液晶樹脂含有量40%の複合材料(試料I)に必要なマトリックス樹脂PPO/PA6樹脂を添加して液晶樹脂含有量が10%になるようにして射出成形を行った(試料J)。その後この製品を粉砕し、液晶樹脂を加え、粉砕物と新規の液晶樹脂のブレンド物の液晶樹脂含有量が40%になるようにし、上記初期条件と同様にして材料を調整した(試料K)。この材料を液晶樹脂含有量が10%となるようにPPO/PA6樹脂を加え、初期と同一条件で射出成形を行った(試料L)。各試料の引張強度を上記と同様にして測定し、その結果を下記に示す。
表試料 I J K L引張強度 110MPa 54MP 105MPa 52MPa (ストランド) (成形品) (ストランド) (成形品)
また、溶融押出で液晶樹脂10%を含有した複合材を直接調整した場合のストランドの引張強度が40MPaであった。これは液晶樹脂含有量が10%である領域は繊維化適正領域外であって、液晶樹脂の繊維化がマトリックス樹脂内で行われていない結果と思われる。それに対し、本発明方法によって成形したストランドおよび成形品は全体として液晶樹脂含有量が繊維化適正領域外にあるにもかかわらず、繊維化した液晶樹脂がマトリックス樹脂内に分散し、上記引張強度が得られている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 液晶樹脂複合材のマトリックス樹脂と補強材(液晶樹脂)との状態の変化を示す図である。
【図2】 液晶樹脂複合材におけるマトリックス樹脂に対する液晶樹脂の含有量が及ぼす複合材の状態変化を示す図である。
【図3】 本発明にかかる成形方法の一例を示す工程図である。
【図4】 マトリックス樹脂がPA6樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図5】 上記マトリックス樹脂がPA6樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図6】 マトリックス樹脂がABS樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図7】 上記マトリックス樹脂がABS樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図8】 マトリックス樹脂がPC/ABS樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図9】 上記マトリックス樹脂がPC/ABS樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図10】 マトリックス樹脂がPPO/PA6樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図11】 上記マトリックス樹脂がPPO/PA6樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図12】 マトリックス樹脂が変成PPO樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図13】 上記マトリックス樹脂が変成PPO樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図14】 マトリックス樹脂がPP樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図15】 上記マトリックス樹脂がPP樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図16】 マトリックス樹脂がPC樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図17】 マトリックス樹脂がPBT樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図18】 上記マトリックス樹脂がPBT樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【図19】 マトリックス樹脂がPC/PBT樹脂である場合の実施例により得られた初期成形用素材およびリサイクル成形用素材に対する引張試験の結果を示すグラフである。
【図20】 上記マトリックス樹脂がPC/PBT樹脂である場合の実施例により得られた成形物中の液晶樹脂含有量と流動長比を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂と該熱可塑性樹脂の成形可能温度よりも高い液晶転移温度の液晶樹脂からなる補強材とからなる組成物を使用して液晶樹脂複合体を成形するにあたり、上記液晶樹脂成分をマトリックス樹脂に対しその相反転以下繊維化可能領域量又は繊維化適性領域量配合し、この混合物を上記液晶転移温度以下の上記マトリックス樹脂の成形可能温度において溶融押出し、液晶樹脂がマトリックス樹脂中で繊維化して分散した複合体を得、該複合体にマトリックス樹脂を添加して上記液晶樹脂の繊維化可能領域又は繊維化適性領域以下にて成形することを特徴とする液晶樹脂複合体の成形方法。
【請求項2】 繊維化可能領域又は繊維化適性領域以下の液晶樹脂含有量を有する液晶樹脂複合体を再成形するにあたり、上記使用済み成形品の粉砕片に液晶樹脂成分を組成物全体としてその相反転以下繊維化可能領域量となるように追加調整配合し、この混合物を上記液晶転移温度以下の上記マトリックス樹脂の成形可能温度において溶融押出し、液晶樹脂がマトリックス樹脂中で繊維化して分散した複合体を得、該複合体にマトリックス樹脂を添加して上記液晶樹脂の繊維化可能領域又は繊維化適性領域以下にて成形することを特徴とする液晶樹脂複合体の成形方法。
【請求項3】 上記マトリックス樹脂がポリアミド樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化可能領域が樹脂複合体の50〜70重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が50重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項4】 上記マトリックス樹脂がABS樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化可能領域が樹脂複合体の40〜70重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が40重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項5】 上記マトリックス樹脂がポリカーボネート(PC)/ABS樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の3〜70重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が3重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項6】 上記マトリックス樹脂がポリフェニルオキサイド(PPO)/PA6(ナイロン)樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の20〜65重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が20重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項7】 上記マトリックス樹脂が変成ポリフェニルオキサイド(PPO)樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の40〜60重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が40重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項8】 上記マトリックス樹脂がポリプロピレン(PP)樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の40〜70重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が40重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項9】 上記マトリックス樹脂がポリカーボネート(PC)樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の3〜20重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が3重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項10】 上記マトリックス樹脂がポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の30〜70重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が30重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項11】 上記マトリックス樹脂がPC/PBT樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の2〜60重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が2重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項1】 熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂と該熱可塑性樹脂の成形可能温度よりも高い液晶転移温度の液晶樹脂からなる補強材とからなる組成物を使用して液晶樹脂複合体を成形するにあたり、上記液晶樹脂成分をマトリックス樹脂に対しその相反転以下繊維化可能領域量又は繊維化適性領域量配合し、この混合物を上記液晶転移温度以下の上記マトリックス樹脂の成形可能温度において溶融押出し、液晶樹脂がマトリックス樹脂中で繊維化して分散した複合体を得、該複合体にマトリックス樹脂を添加して上記液晶樹脂の繊維化可能領域又は繊維化適性領域以下にて成形することを特徴とする液晶樹脂複合体の成形方法。
【請求項2】 繊維化可能領域又は繊維化適性領域以下の液晶樹脂含有量を有する液晶樹脂複合体を再成形するにあたり、上記使用済み成形品の粉砕片に液晶樹脂成分を組成物全体としてその相反転以下繊維化可能領域量となるように追加調整配合し、この混合物を上記液晶転移温度以下の上記マトリックス樹脂の成形可能温度において溶融押出し、液晶樹脂がマトリックス樹脂中で繊維化して分散した複合体を得、該複合体にマトリックス樹脂を添加して上記液晶樹脂の繊維化可能領域又は繊維化適性領域以下にて成形することを特徴とする液晶樹脂複合体の成形方法。
【請求項3】 上記マトリックス樹脂がポリアミド樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化可能領域が樹脂複合体の50〜70重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が50重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項4】 上記マトリックス樹脂がABS樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化可能領域が樹脂複合体の40〜70重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が40重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項5】 上記マトリックス樹脂がポリカーボネート(PC)/ABS樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の3〜70重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が3重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項6】 上記マトリックス樹脂がポリフェニルオキサイド(PPO)/PA6(ナイロン)樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の20〜65重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が20重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項7】 上記マトリックス樹脂が変成ポリフェニルオキサイド(PPO)樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の40〜60重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が40重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項8】 上記マトリックス樹脂がポリプロピレン(PP)樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の40〜70重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が40重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項9】 上記マトリックス樹脂がポリカーボネート(PC)樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の3〜20重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が3重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項10】 上記マトリックス樹脂がポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の30〜70重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が30重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項11】 上記マトリックス樹脂がPC/PBT樹脂であって、上記液晶樹脂の繊維化適性領域が樹脂複合体の2〜60重量%であり、最終複合体製品の繊維形成液晶樹脂含有量が2重量%以下である請求項1又は2記載の成形方法。
【図5】
【図7】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図8】
【図19】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図17】
【図20】
【図7】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図8】
【図19】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図17】
【図20】
【公開番号】特開平5−200823
【公開日】平成5年(1993)8月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−262284
【出願日】平成4年(1992)9月30日
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【公開日】平成5年(1993)8月10日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)9月30日
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
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