説明

液晶組成物および液晶表示素子

【課題】ネマチック相の高い上限温度及び低い下限温度、大きな光学異方性、誘電率異方性、比抵抗、小さな粘度、紫外線および熱に対する高い安定性を示す液晶組成物及びそれを用いた液晶表示素子の提供。
【解決手段】例えば、第1成分として4位にフッ素、4´位にアルケニル基が置換されたビフェニル成分、第2成分として3,4,5−トリフルオロフェニルと2,6−ジフルオロビフェニルが−CFO−で結合した化合物及び3,4,5−トリフェニルターフェニル化合物から選ばれた成分、及び第3成分として3,4,5−トリフルオロビフェニルシクロヘキサン化合物及び3,4,5−トリフルオロビフェニルジシクロヘキサン化合物から選ばれた成分を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてAM(active matrix)素子などに適する液晶組成物およびこの組成物を含有するAM素子などに関する。この組成物はネマチック相および正の誘電率異方性を有する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子において、液晶の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)などである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMはスタティック(static)とマルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMはTFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。TFTの分類は非晶質シリコン(amorphous silicon)および多結晶シリコン(polycrystal silicon)である。後者は製造工程によって高温型と低温型とに分類される。光源に基づいた分類は、自然光を利用する反射型、バックライトを利用する透過型、そして自然光とバックライトの両方を利用する半透過型である。
【0003】
これらの素子は適切な特性を有する液晶組成物を含有する。この液晶組成物はネマチック相を有する。良好な一般的特性を有するAM素子を得るには組成物の一般的特性を向上させる。2つの一般的特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の一般的特性を市販されているAM素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は−10℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。素子で動画を表示するためには短い応答時間が好ましい。したがって、組成物における小さな粘度が好ましい。低い温度における小さな粘度はより好ましい。
【0004】

【0005】
組成物の光学異方性は、素子のコントラスト比に関連する。組成物の光学異方性(Δn)と素子のセルギャップ(d)との積(Δn・d)は、コントラスト比を最大にするように設計される。適切な積の値は動作モードの種類に依存する。TNのようなモードの素子では、適切な値は約0.45μmである。この場合、小さなセルギャップの素子には大きな光学異方性を有する組成物が好ましい。組成物における大きな誘電率異方性は素子における低いしきい値電圧、小さな消費電力と大きなコントラスト比に寄与する。一般的に、誘電率異方性が大きいほど粘度が大きくなる。素子の用途によって適切な誘電率異方性が求められる。組成物における大きな比抵抗は、素子における大きな電圧保持率と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。長時間使用したあと、室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。紫外線および熱に対する組成物の安定性は、液晶表示素子の寿命に関する。これらの安定性が高いとき、この素子の寿命は長い。
【0006】
従来の組成物は、下記の特許文献1および2に開示されている。
【特許文献1】特開昭61−27931
【特許文献2】特開平10−114693
【0007】
望ましいAM素子は、使用できる温度範囲が広い、応答時間が短い、コントラスト比が大きい、しきい値電圧が低い、電圧保持率が大きい、寿命が長い、などの特性を有する。1ミリ秒でもより短い応答時間が望ましい。したがって、組成物の望ましい特性は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、大きな光学異方性、大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、などである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、大きな光学異方性、大きな誘電率異方性、小さな粘度、大きな比抵抗、紫外線および熱に対する高い安定性などの特性において、複数の特性を充足する液晶組成物を提供することである。この目的は、複数の特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物を提供することである。この目的は、このような組成物を含有する液晶表示素子を提供することでもある。本発明の側面は、0.13から0.17の大きい光学異方性、大きな誘電率異方性などを有する組成物を提供することであり、そして低いしきい値電圧、短い応答時間、大きな電圧保持率、大きなコントラスト比、長い寿命などを有するAM素子を提供することである。特に、大きな光学異方性、大きな誘電異方性および小さな粘度を求められるTNモードまたはOCBモードを利用したAM素子に適している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第2成分として式(2−1)および式(2−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第3成分として式(3−1)および式(3−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物、およびこの液晶組成物を含有する液晶表示素子。






ここで、Rは炭素数2から12のアルケニル、炭素数4から12のアルカジエニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;Rは炭素数1から12のアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルであり;Yはフッ素または塩素であり;Yはフッ素またはトリフルオロメトキシであり;XおよびXは独立して水素またはフッ素であり;ZおよびZは独立して単結合または−CHCH−である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の組成物は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、大きな光学異方性、大きな誘電率異方性、小さな粘度、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性などの特性において、複数の特性を充足する。この組成物は、複数の特性に関して適切なバランスを有する。本発明の素子は、この組成物を含有する。この組成物の多くは、0.13から0.17の大きな光学異方性、大きな誘電異方性などの特性を有し、そして低いしきい値電圧、短い応答時間、大きな電圧保持率、大きなコントラスト比、長い寿命などを有するAM素子に適する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。本発明の液晶組成物または本発明の液晶表示素子をそれぞれ「組成物」または「素子」と略すことがある。液晶表示素子は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。「液晶性化合物」は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物または液晶相を有さないが組成物の成分として有用な化合物を意味する。この有用な化合物は1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を含有し、直線状の分子構造を有する。光学活性な化合物は組成物に添加されることがある。この化合物が液晶性化合物であったとしても、ここでは添加物として分類される。式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を「化合物(1)」と略すことがある。式(1)で表される化合物の群も「化合物(1)」と略すことがある。他の式で表される化合物についても同様である。
【0012】
ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。「比抵抗が大きい」は、組成物が初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有することを意味する。「電圧保持率が大きい」は、素子が初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな電圧保持率を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく高い温度でも大きな電圧保持率を有することを意味する。光学異方性などの特性を説明するときは、実施例に記載した方法で測定した値を用いる。「第1成分の割合」は、液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)を意味する。第2成分の割合などにおいても同様である。組成物に混合される添加物の割合は、液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)を意味する。
【0013】
下記の化合物(1)は大きな光学異方性、大きな誘電率異方性、小さな粘度および優れた相溶性を有する。そこで、高い信頼性および種々の特性のバランスを満足するように、化合物(2−1)と化合物(2−2)、および化合物(3−1)と化合物(3−2)を選択し本組成物を完成した。化合物(2−1)と化合物(2−2)は、非常に大きな誘電率異方性および大きな光学異方性を有し、化合物(3−1)と化合物(3−2)は、大きな誘電異方性、小さい粘度および高い上限温度と低い下限温度を有する。このような着想に基づいて組成物を調製し、大きな光学異方性、大きな誘電率異方性、小さい粘性、高い信頼性および高い上限温度と低い下限温度などの特性を有する組成物を見出した。組成物の特性を微調整できるような成分化合物をさらに検討し、本発明を完成させた。
【0014】

ここで、Rは炭素数2から12のアルケニル、炭素数4から12のアルカジエニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり、Yはフッ素または塩素である。
【0015】
本発明の詳細は、下記の項などである。
1. 第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第2成分として式(2−1)および式(2−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第3成分として式(3−1)および式(3−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。
【0016】

【0017】

【0018】

【0019】
ここで、Rは炭素数2から12のアルケニル、炭素数4から12のアルカジエニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;Rは炭素数1から12のアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルであり;Yはフッ素または塩素であり;Yはフッ素またはトリフルオロメトキシであり;XおよびXは独立して水素またはフッ素であり;ZおよびZは独立して単結合または−CHCH−である。
【0020】
2. 第2成分が式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物であり、第3成分が式(3−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項1に記載の液晶組物。
【0021】
3. 液晶組成物の全重量に基づいて、第1成分の割合が5重量%から25重量%の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から40重量%の範囲であり、そして第3成分の割合が25重量%から65重量%の範囲である、項1または2に記載の液晶組成物。
【0022】
4. 第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第2成分として式(2−1)および式(2−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第3成分として式(3−1)および式(3−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第4成分として式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。
【0023】

【0024】

【0025】

【0026】

【0027】
ここで、Rは炭素数2から12のアルケニル、炭素数4から12のアルカジエニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルあり;Rは炭素数1から12のアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルであり;RおよびRは独立して炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルコキシアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルであり;Yはフッ素または塩素であり;Yはフッ素またはトリフルオロメトキシであり;X、XおよびXは独立して水素またはフッ素であり;ZおよびZは独立して単結合または−CHCH−である。
【0028】
5. 第2成分が式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物であり、第3成分が式(3−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項4に記載の液晶組成物。
【0029】
6. 式(1)においてYがフッ素であり、式(3−1)および式(3−2)においてXが水素であり、式(4)においてXがフッ素である、項4または5に記載の液晶組成物。
【0030】
7. 液晶組成物の全重量に基づいて、第1成分の割合が5重量%から25重量%の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から40重量%の範囲であり、第3成分の割合が25重量%から65重量%の範囲であり、そして第4成分の割合が5重量%から30重量%の範囲である、項6に記載の液晶組成物。
【0031】
8. 第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第2成分として式(2−1)および式(2−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第3成分として式(3−1)および式(3−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第4成分として式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第5成分として式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。
【0032】

【0033】

【0034】

【0035】

【0036】

【0037】
ここで、Rは炭素数2から12のアルケニル、炭素数4から12のアルカジエニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルあり;Rは炭素数1から12のアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルであり;RおよびRは独立して炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルコキシアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルであり;Yはフッ素または塩素であり;Yはフッ素またはトリフルオロメトキシであり;X、X、X、X、XおよびXは独立して水素またはフッ素であり、X、XおよびXのうち、少なくとも一つはフッ素であり;ZおよびZは独立して単結合または−CHCH−である。
【0038】
9. 第2成分が式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物であり、第3成分が式(3−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項8に記載の液晶組成物。
【0039】
10. 式(1)においてYがフッ素であり、式(3−1)および式(3−2)においてXが水素であり、式(4)においてXがフッ素であり、式(5)においてXがフッ素であり、XおよびXが水素である、項8または9に記載の液晶組成物。
【0040】
11. 液晶組成物の全重量に基づいて、第1成分の割合が5重量%から25重量%の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から40重量%の範囲であり、第3成分の割合が25重量%から65重量%の範囲であり、第4成分の割合が5重量%から30重量%の範囲であり、そして第5成分の割合が3重量%から20重量%の範囲である、項10に記載の液晶組成物。
【0041】
12. ネマチック相の上限温度が70℃から110℃の範囲であり、25℃で波長589nmにおける光学異方性が0.13から0.18の範囲であり、そして25℃における誘電率異方性が7から17の範囲である、項1から11のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0042】
13. 項1から12のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
【0043】
本発明は、次の項も含む。1)光学活性な化合物をさらに含有する上記の組成物、2)酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤などの添加物をさらに含有する上記の組成物。3)上記の組成物を含有するAM素子、4)上記の組成物を含有し、そしてTN、ECB、OCB、またはIPSのモードを有する素子、5)上記の組成物を含有する透過型の素子、6)上記の組成物を、ネマチック相を有する組成物としての使用、7)上記の組成物に光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用。
【0044】
本発明の組成物を次の順で説明する。第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。第三に、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。第五に、成分化合物の具体的な例を示す。第六に、成分化合物の合成法を説明する。第七に、組成物に混合してもよい添加物を説明する。最後に、組成物の用途を説明する。
【0045】
第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。本発明の組成物は組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aはその他の液晶性化合物、添加物、不純物などをさらに含有してもよい。「その他の液晶性化合物」は、化合物(1)、化合物(2−1)、化合物(2−2)、化合物(3−1)、化合物(3−2)、化合物(4)および化合物(5)とは異なる液晶性化合物である。このような化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。添加物は、光学活性な化合物、色素、酸化防止剤、紫外線吸収剤などである。不純物は成分化合物の合成などの工程において混入した化合物などである。
【0046】
組成物Bは、実質的に、化合物(1)、化合物(2−1)、化合物(2−2)、化合物(3−1)、化合物(3−2)、化合物(4)および化合物(5)から選択された化合物のみからなる。「実質的に」は、これらの化合物と異なる液晶性化合物を組成物が含有しないことを意味する。「実質的に」は、添加物、不純物などを組成物がさらに含有してもよいことも意味する。組成物Bは組成物Aに比較して成分の数が少ない。組成物Bはコストを下げるためから組成物Aよりも好ましい。その他の液晶性化合物を混合することによって物性をさらに調整できるので、組成物Aは組成物Bよりも好ましい。
【0047】
第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の目的に従って表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。
【0048】

【0049】
成分化合物を組成物に混合したとき、成分化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は誘電率異方性を上げ、光学異方性を上げ、粘度を下げ、そしてネマチック相の下限温度を下げる。化合物(2−1)および化合物(2−2)は誘電率異方性を特に上げ、光学異方性を上げる。化合物(3−1)および(3−2)は、誘電率異方性を上げ、ネマチック相の上限温度を上げ、そしてネマチック相の下限温度を下げる。化合物(4)は、特にネマチック相の上限温度を上げ、光学異方性を上げ、そして粘度を下げる。化合物(5)は、光学異方性を上げ、そして粘度を下げる。
【0050】
第三に、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。第1成分の好ましい割合は、誘電率異方性を上げ、光学異方性を上げ、粘度を下げ、下限温度を下げるために5%以上であり、上限温度を上げ、下限温度を下げるために25%以下である。さらに好ましい割合は5%から20%の範囲である。特に好ましい割合は6%から15%の範囲である。
【0051】
第2成分の好ましい割合は、光学異方性を上げ、特に誘電異方性を上げるために10%以上であり、下限温度を下げるために40%以下である。さらに好ましい割合は10%から35%である。特に好ましい割合は15%から30%の範囲である。
【0052】
第3成分の好ましい割合は、誘電異方性を上げ、上限温度を上げ、そして下限温度を下げるために25%以上であり、下限温度を下げるために65%以下である。さらに好ましい割合は、25%から60%の範囲である。特に好ましい割合は、30%から55%の範囲である。
【0053】
第4成分は付加的な成分であり、特に大きな光学異方性、低い粘度、高い上限温度および低い下限温度を有する組成物の調整に適している。この成分の好ましい割合は、光学異方性を上げ、粘度を下げ、上限温度を上げ、下限温度を下げ、かつ大きい誘電異方性を確保するために、30%以下である。さらに好ましい割合は、25%以下である。
第5成分は付加的な成分であり、特に大きな光学異方性および低い粘度を有する組成物の調整に適している。この成分の好ましい割合は、光学異方性を上げ、粘度を下げ、かつ大きい誘電異方性を確保するために、20%以下である。さらに好ましい割合は、15%以下である。
【0054】
組成物Aにおいて、第1成分、第2成分、第3成分、第4成分および第5成分の合計の好ましい割合は、良好な特性を得るために70%以上である。さらに好ましい割合は90%以上である。組成物Bにおける5つの成分の合計は100%である。
【0055】
第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。
は炭素数2から12のアルケニル、炭素数4から12のアルカジエニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルある。好ましいRは下限温度を下げ、粘度を下げるなどの観点から、炭素数2から8のアルケニル、炭素数4から8のアルカジエニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から8のアルケニルである。さらに好ましいRは炭素数2から5のアルケニルである。
【0056】
は炭素数1から12のアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルである。好ましいRは下限温度を下げ、粘度を下げるなどの観点から、炭素数1から8のアルキルまたは炭素数2から8のアルケニルである。RおよびRは独立して炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数1から12のアルコキシアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルである。好ましいRおよびRは下限温度を下げ、粘度を下げるなどの観点から炭素数1から8のアルキル、炭素数1から8のアルコキシ、炭素数1から8のアルコキシアルキルまたは炭素数2から8のアルケニルである。さらに好ましいRおよびRは炭素数1から5のアルキルまたは炭素数2から5のアルケニルである。特に好ましいRおよびRは炭素数1から5のアルキルである。
【0057】
好ましいアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルである。さらに好ましいアルキルは、小さな粘度などの観点からエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘプチルである。
【0058】
好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。さらに好ましいアルケニルは、小さな粘度の観点などからビニル、1−プロペニル、3−ブテニル、または3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。粘度を下げるためなどから1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。これらのアルケニルにおいては、分岐よりも直鎖のアルケニルが好ましい。
【0059】
好ましいアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシである。さらに好ましいアルコキシは、小さな粘度などの観点からメトキシまたはエトキシである。
【0060】
好ましいアルコキシアルキルは、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチル、ペンチルオキシメチル、ヘキシルオキシメチル、またはヘプチルオキシメチルである。さらに好ましいアルコキシアルキルは、小さな粘度などの観点からメトキシメチルである。
【0061】
任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルの好ましい例は、2,2−ジフルオロビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、5,5−ジフルオロ−4−ペンテニル、または6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニルである。さらに好ましい例は、粘度を下げるために2,2−ジフルオロビニルである。
【0062】
1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、高い上限温度の観点からシスよりもトランスが好ましい。
【0063】
およびZは単結合または−CHCH−である。さらに好ましいZおよびZは下限温度を下げ、粘度を下げるなどの観点から単結合である。
【0064】
は水素またはフッ素である。Xは水素またはフッ素である。特に好ましいXは下限温度を下げるなどの観点から水素である。Xは水素またはフッ素である。特に好ましいXは下限温度を下げるなどの観点からフッ素である。X、XおよびXは水素またはフッ素であり、X、XおよびXのうち、少なくとも一つはフッ素であり。好ましいX、XおよびXは下限温度を下げ、粘度を下げるなどの観点から、順にフッ素、水素および水素、または水素、フッ素および水素またはフッ素、水素およびフッ素、である。さらに好ましいX、XおよびXは順にフッ素、水素および水素である。
【0065】
はフッ素または塩素である。特に好ましいYは下限温度を下げるなどの観点から、フッ素である。Yはフッ素またはトリフルオロメトキシである。
【0066】
第五に、成分化合物の具体的な例を示す。下記の好ましい化合物において、Rは炭素数1から12のアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルであり、RおよびRは独立して炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数1から12のアルコキシアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルである。これらの化合物において1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、高い上限温度の観点からシスよりもトランスが好ましい。成分化合物の化学式において、Rの記号を複数の化合物に用いた。これらの化合物において、Rの意味は同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(2−1−1)のRがエチルであり、化合物(3−1−1)のRがエチルであるケースがある。化合物(2−1−1)のRがエチルであり、化合物(3−1−1)のRがプロピルであるケースもある。このルールは、R、R、X、Zなどにも適用される。
【0067】
好ましい化合物(1)は化合物(1−1)から化合物(1−40)である。化合物(1−20)から化合物(1−38)および化合物(1−40)のCLは、塩素を示す。さらに好ましい化合物(1)は高い上限温度、低い下限温度、大きい誘電率異方性および小さい粘度の観点から化合物(1)は化合物(1−1)、化合物(1−5)、化合物(1−20)および化合物(1−24)である。特に好ましい化合物(1)は化合物(1−5)である。
【0068】
好ましい化合物(2−1)は化合物(2−1−1)から化合物(2−1−4)である。さらに好ましい化合物(2−1)は低い下限温度、大きな誘電異方性および小さな粘度の観点から、化合物(2−1−2)および化合物(2−1−3)である。
好ましい化合物(2−2)は化合物化合物(2−2−1)および化合物(2−2−2)である。さらに好ましい化合物(2−2)は低い下限温度の観点から、化合物(2−2−1)である。
【0069】
好ましい化合物(3−1)は化合物(3−1−1)から化合物(3−1−4)である。さらに好ましい化合物(3−1)は、低い下限温度、小さな粘度の観点から化合物(3−1−1)および化合物(3−1−3)である。特に好ましい化合物(3−1)は化合物(3−1−1)である。好ましい化合物(3−2)は化合物(3−2−1)から化合物(3−2−6)である。さらに好ましい化合物(3−2)は、低い下限温度、小さな粘度の観点から化合物(3−2−1)および化合物(3−2−4)である。特に好ましい化合物(3−2)は化合物(3−2−1)である。
【0070】
好ましい化合物(4)は化合物(4−1)および化合物(4−2)である。さらに好ましい化合物(4)は、低い下限温度の観点から化合物(4−2)である。
好ましい化合物(5)は化合物(5−1)から化合物(5−3)である。特に好ましい化合物(5)は、低い下限温度および小さい粘度の観点から化合物(5−1)である。
【0071】

【0072】

【0073】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】

【0078】

【0079】
第六に、成分化合物の合成法を説明する。これらの化合物は既知の方法によって合成できる。合成法を例示する。化合物(1−5)および化合物(1−24)は、特開昭61−27931号公報に記載された方法で合成する。化合物(2−1−2)および化合物(2−1−3)は、特開平10−251186号公報に記載された方法で合成する。化合物(3−1−1)および(3−2−2)は、特開平2−233626号公報に記載された方法で合成する。化合物(4−2)は、特開平2−237949号公報に記載された方法で合成する。化合物(5−1)は、特開昭60−51135号公報に記載された方法で合成する。
【0080】
合成法を記載しなかった化合物は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John
Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載された方法によって合成できる。
【0081】
第七に、組成物に混合してもよい添加物を説明する。このような添加物は、光学活性な化合物、色素、酸化防止剤、紫外線吸収剤などである。液晶のらせん構造を誘起してねじれ角を与える目的で光学活性な化合物が組成物に混合される。このような化合物の例は、化合物(6−1)から化合物(6−4)である。光学活性な化合物の好ましい割合は5%以下である。さらに好ましい割合は0.01%から2%の範囲である。
【0082】

【0083】
GH(Guest host)モードの素子に適合させるために色素が組成物に混合される。色素の好ましい割合は、0.01%から10%の範囲である。大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するために、または、素子を長時間使用したあと、室温だけではなく高い温度でも大きな電圧保持率を維持するために、酸化防止剤が組成物に混合される。酸化防止剤の好ましい割合は、その効果を得るために50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように600ppm以下である。さらに好ましい割合は、100ppmから300ppmの範囲である。
【0084】
酸化防止剤の好ましい例は、kが1から9の整数である化合物(7)などである。化合物(7)において、好ましいkは、1、3、5、7、または9である。さらに好ましいkは1または7である。kが1である化合物(7)は、揮発性が大きいので、大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するときに有効である。kが7である化合物(7)は、揮発性が小さいので、素子を長時間使用したあと、室温だけではなく高い温度でも大きな電圧保持率を維持するのに有効である。
【0085】

【0086】
紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。紫外線吸収剤の好ましい割合は、その効果を得るために50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように10000ppm以下である。さらに好ましい割合は100ppmから5000ppmの範囲である。
【0087】
最後に、組成物の用途を説明する。大部分の組成物は、−20℃以下の下限温度、70℃以上の上限温度、そして0.13から0.18の光学異方性を有する。この組成物を含有する素子は大きな電圧保持率を有する。この組成物はAM素子に適する。この組成物は透過型のAM素子に特に適する。成分化合物の割合を制御することによって、またはその他の液晶性化合物を混合することによって、0.11から0.20の光学異方性を有する組成物、さらには0.09から0.30の光学異方性を有する組成物を調製してもよい。この組成物は、ネマチック相を有する組成物としての使用、光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用が可能である。
【0088】
この組成物はAM素子への使用が可能である。さらにPM素子への使用も可能である。この組成物は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VAなどのモードを有する素子への使用も可能である。TNまたはOCBモードを有する素子への使用は特に好ましい。これらの素子が反射型、透過型または半透過型であってもよい。透過型の素子への使用は好ましい。非結晶シリコン−TFT素子または多結晶シリコン−TFT素子への使用も可能である。この組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)素子、例えばPN(polymer network)素子にも使用できる。
【実施例】
【0089】
実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は下記の実施例によって限定されない。比較例および実施例における化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号により表した。
表3において、1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルに関する立体配置はトランスである。−CH=CH−の結合基に関する立体配置はトランスである。実施例において記号の後にあるかっこ内の番号は好ましい化合物の番号に対応する。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の特性値をまとめた。
【0090】

【0091】
試料が組成物のときはそのまま測定し、得られた値を記載した。試料が化合物のときは、15重量%の化合物および85重量%の母液晶を混合することによって試料を調製した。測定によって得られた値から外挿法よって化合物の特性値を算出した。外挿値=(試料の測定値−0.85×母液晶の測定値)/0.15。この割合でスメクチック相(または結晶)が25℃で析出するときは、化合物と母液晶の割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更した。この外挿法によって化合物に関する上限温度、光学異方性、粘度、および誘電率異方性の値を求めた。
【0092】
母液晶の組成は下記のとおりである。

【0093】
特性値の測定は下記の方法にしたがった。それらの多くは、日本電子機械工業会規格(Standard of Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
【0094】
ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0095】
ネマチック相の下限温度(T;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、Tを≦−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0096】
粘度(η;20℃で測定;mPa・s):測定にはE型回転粘度計を用いた。
【0097】
回転粘度(γ1;25℃で測定;mPa・s):測定はM. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995)に記載された方法に従った。ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。TN素子に16ボルトから19.5ボルトの範囲で0.5ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度の測定で使用した素子にて、下記の誘電率異方性の測定方法で求めた。
【0098】
光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0099】
誘電率異方性(Δε;25℃で測定):2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0100】
しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が約0.45 / Δn (μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧である。
【0101】
電圧保持率(VHR−1;25℃;%、VHR−2;80℃;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線によって重合する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60μs)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7msのあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。
【0102】
電圧保持率(VHR−3;25℃;%):紫外線を照射したあと、電圧保持率(VHR−3;25℃;%)を測定し、紫外線に対する安定性を評価した。大きなVHR−3を有する組成物は紫外線に対して大きな安定性を有する。測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そしてセルギャップは5μmである。この素子に試料を注入し、光を20分間照射した。光源は超高圧水銀ランプUSH−500D(ウシオ電機製)であり、素子と光源の間隔は20cmである。VHR−3の測定では、減衰する電圧を1667ミリ秒のあいだ測定した。
【0103】
応答時間(τ;25℃で測定;ms(ミリ秒)):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が約0.45 / Δn (μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に矩形波(60Hz、5V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である。立ち上がり時間(τr:rise time)は、透過率が90%から10%に変化するのに要した時間である。立ち下がり時間(τf:fall time)は透過率10%から90%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立ち上がり時間と立ち下がり時間との和である。
【0104】
ガスクロマト分析:測定には島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。キャリアーガスはヘリウム(2ml/分)である。試料気化室を280℃に、検出器(FID)を300℃に設定した。成分化合物の分離には、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。このカラムは、200℃で2分間保持したあと、5℃/分の割合で280℃まで昇温した。試料はアセトン溶液(0.1重量%)に調製したあと、その1μlを試料気化室に注入した。記録計は島津製作所製のC−R5A型Chromatopac、またはその同等品である。得られたガスクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
【0105】
試料を希釈するための溶媒は、クロロホルム、ヘキサンなどを用いてもよい。成分化合物を分離するために、次のキャピラリカラムを用いてもよい。Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)。化合物ピークの重なりを防ぐ目的で島津製作所製のキャピラリーカラムCBP1−M50−025(長さ50m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いてもよい。
一般には成分化合物の重量%は各ピークの面積比と完全には同一ではない。しかし、本発明においては、これらのキャピラリカラムを用いるときは、実質的に補正係数は1であるので、試料中の成分化合物の重量%は、試料中の各ピークの面積%とほぼ対応する。各成分の液晶性化合物における補正係数に大きな差異がないからである。ガスクロクロマトグラムにより液晶組成物中の液晶化合物の組成比をより正確に求めるには、ガスクロマトグラムによる内部標準法を用いる。一定量正確に秤量された各液晶化合物成分(被検成分)と基準となる液晶化合物(基準物質)を同時にガスクロ測定して、得られた被検成分のピークと基準物質のピークとの面積比の相対強度をあらかじめ算出する。基準物質に対する各成分のピーク面積の相対強度を用いて補正すると、液晶組成物中の液晶化合物の組成比をガスクロ分析からより正確に求めることができる。
【0106】
比較例1
特許文献2(特開平10−114693号)に開示された組成物の中から実施例4を選んだ。選択の理由は、この組成物が化合物(1−3)を含有するからである。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。この組成物を調整し物性値の測定を行った。
V2−BB−F (1−3) 20%
V−HHB(F)−F (−) 40%
V2−HHB(F)−F (−) 40%
NI=74.8℃;Tc≦0℃;Δn=0.098;Δε=3.4;γ1=70.5mPa・s;Vth=2.10V;VHR−1=99.1%;VHR−2=98.2%;τ=13.9ms.
【0107】
[実施例1]
1V2−BB−F (1−5) 12%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 15%
2−HBB(F,F)−F (3−1−1) 10%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 30%
5−HBB(F,F)−F (3−1−1) 7%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 12%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 12%
3−HBB(F)−F (−) 2%
NI=90.8℃;Tc≦−20℃;Δn=0.159;Δε=8.8;γ1=160.6mPa・s;Vth=1.52V;VHR−1=99.0%;VHR−2=98.1%;τ=47.8ms.
実施例1の組成物は、比較例1の組成物と比較して、高い上限温度、低い下限温度、大きな屈折率異方性、大きな誘電異方性および低いしきい値電圧を有した。
【0108】
[実施例2]
1V2−BB−CL (1−24) 12%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 15%
2−HBB(F,F)−F (3−1−1) 10%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 30%
5−HBB(F,F)−F (3−1−1) 7%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 12%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 12%
3−HBB(F)−F (−) 2%
NI=96.0℃;Tc≦−20℃;Δn=0.168;Δε=9.3;γ1=166.2mPa・s;Vth=1.50V;VHR−1=98.9%;VHR−2=98.0%;τ=48.9ms.
【0109】
[実施例3]
V2−BB−F (1−3) 6%
1V2−BB−F (1−5) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 10%
3−BB(F,F)XB(F)−OCF3 (2−1−3) 8%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 7%
2−HBB(F,F)−F (3−1−1) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 30%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 5%
3−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 8%
5−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 7%
3−HH2BB(F,F)−F (3−2−2) 3%
3−HHB(F)B(F,F)−F (3−2−4) 5%
NI=74.5℃;Tc≦−20℃;Δn=0.139;Δε=11.9;γ1=174.8mPa・s;Vth=1.24V;VHR−1=98.7%;VHR−2=98.1%;τ=48.7ms.
【0110】
[実施例4]
V2−BB−F (1−3) 3%
1V2−BB−F (1−5) 12%
V4−BB−F (1−10) 6%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 10%
5−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 10%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 21%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 5%
3−H2BB(F,F)−F (3−1−2) 5%
3−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 4%
5−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 4%
3−HHB(F)B(F,F)−F (3−2−4) 4%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 8%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 8%
NI=89.9℃;Tc≦−20℃;Δn=0.164;Δε=8.5;γ1=155.2mPa・s;Vth=1.54V;VHR−1=98.5%;VHR−2=97.9%;τ=46.7ms
【0111】
[実施例5]
1V2−BB−F (1−5) 7%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 20%
3−BB(F,F)XB(F,F)−OCF3 (2−1−4) 10%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 5%
5−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 25%
3−H2BB(F,F)−F (3−1−2) 5%
2−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
3−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 8%
3−HHB(F)B(F,F)−F (3−2−4) 5%
3−HH2B(F)B(F,F)−F (3−2−5) 5%
NI=73.5℃;Tc≦−20℃;Δn=0.142;Δε=15.1;γ1=191.5mPa・s;Vth=1.10V;VHR−1=98.0%;VHR−2=97.9%;τ=51.2ms.
【0112】
[実施例6]
1V2−BB−F (1−5) 8%
V2V2−BB−F (1−19) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 10%
3−BB(F,F)XB(F)−F (2−1−1) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−OCF3 (2−1−4) 5%
3−BB(F,F)XB(F)−OCF3 (2−1−3) 10%
2−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
3−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 8%
5−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
3−HHB(F)B(F,F)−F (3−2−4) 8%
3−HH2B(F)B(F,F)−F (3−2−5) 5%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 5%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 5%
2−HBB−F (−) 5%
3−HBB−F (−) 6%
5−HBB−F (−) 5%
NI=109.8℃;Tc≦−20℃;Δn=0.156;Δε=11.4;γ1=185.2mPa・s;Vth=1.40V;VHR−1=98.5%;VHR−2=97.5%;τ=52.1ms.
【0113】
[実施例7]
1V2−BB−CL (1−24) 5%
VFF2−BB−CL (1−40) 3%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 15%
3−BB(F,F)XB(F)−OCF3 (2−1−3) 10%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 10%
2−HBB(F,F)−F (3−1−1) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 20%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 10%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 7%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 5%
3−HBB(F)−F (−) 10%
NI=71.8℃;Tc≦−20℃;Δn=0.158;Δε=12.7;γ1=164.2mPa・s;Vth=1.19V;VHR−1=98.1%;VHR−2=97.7%;τ=45.3ms.
【0114】
[実施例8]
1V2−BB−F (1−5) 7%
2V2−BB−F (1−8) 5%
V2V2−BB−F (1−19) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 10%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 5%
5−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 20%
3−H2BB(F,F)−F (3−1−2) 5%
4−H2BB(F,F)−F (3−1−2) 5%
5−H2BB(F,F)−F (3−1−2) 5%
3−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 7%
5−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
2−BB(F)B−3 (5−1) 4%
1V2−BB(F)B−2 (5−1) 4%
2−BBB(2F)−3 (5−2) 4%
2−BB(2F,5F)B−2 (5−3) 4%
NI=71.5℃;Tc≦−20℃;Δn=0.155;Δε=9.3;γ1=145.4mPa・s;Vth=1.39V;VHR−1=98.0%;VHR−2=97.5%;τ=42.6ms.
【0115】
[実施例9]
1V2−BB−F (1−5) 6%
V2−BB−CL (1−22) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 10%
3−BB(F,F)XB(F)−F (2−1−1) 5%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 10%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 15%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 10%
3−HBBB−3 (4−1) 4%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 4%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 8%
2−BB(2F,5F)B−2 (5−3) 5%
3−BB(2F,5F)B−3 (5−3) 5%
3−HHB−1 (−) 3%
V−HHB−1 (−) 3%
3−HHB−F (−) 3%
3−HHB−CL (−) 3%
NI=91.4℃;Tc≦−20℃;Δn=0.169;Δε=9.2;γ1=151.4mPa・s;Vth=1.49V;VHR−1=98.0%;VHR−2=97.5%;τ=44.6ms.
【0116】
[実施例10]
1V2−BB−CL (1−24) 5%
V2V2−BB−CL (1−38) 5%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 10%
5−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 10%
2−HBB(F,F)−F (3−1−1) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 10%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 15%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 5%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 5%
3−HB−CL (−) 8%
3−HH−V (−) 5%
3−HHB(F,F)−F (−) 5%
5−HB(F)BH−3 (−) 4%
1O1−HBBH−3 (−) 4%
1O1−HBBH−4 (−) 4%
NI=92.0℃;Tc≦−20℃;Δn=0.157;Δε=8.2;γ1=141.3mPa・s;Vth=1.58V;VHR−1=97.9%;VHR−2=97.4%;τ=42.9ms.
【0117】
[実施例11]
1V2−BB−CL (1−24) 4%
2V2−BB−CL (1−27) 5%
V2V2−BB−CL (1−38) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−OCF3 (2−1−4) 20%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 10%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 10%
2−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 6%
3−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 6%
3−HHB(F)B(F,F)−F (3−2−4) 10%
7−HB−1 (−) 5%
3−HH−VFF (−) 3%
3−HHB(F)−F (−) 4%
3−H2BB(F)−F (−) 12%
NI=80.4℃;Tc≦−10℃;Δn=0.139;Δε=11.8;γ1=155.6mPa・s;Vth=1.28V;VHR−1=98.2%;VHR−2=97.7%;τ=43.7ms.
【0118】
[実施例12]
1V2−BB−F (1−5) 6%
VFF2−BB−F (1−39) 4%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 10%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 10%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 10%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 15%
3−HHB(F)B(F,F)−F (3−2−4) 10%
2O−HBBB−3 (4−1) 5%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 10%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 5%
3−HB−CL (−) 5%
3−BB(F,F)B−F (−) 10%
NI=94.4℃;Tc≦−20℃;Δn=0.170;Δε=11.1;γ1=166.1mPa・s;Vth=1.37V;VHR−1=98.6%;VHR−2=97.9%;τ=47.0ms.
【0119】
[実施例13]
V2−BB−F (1−3) 4%
1V2−BB−F (1−5) 8%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 10%
5−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 8%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 10%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 10%
2−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
3−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
5−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 4%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 4%
2−BB(F)B−3 (5−1) 6%
3−HBB−2 (−) 4%
V2−HBB−2 (−) 5%
1V2−HBB−2 (−) 5%
3−HBB(F)−F (−) 7%
NI=107.0℃;Tc≦−20℃;Δn=0.173;Δε=8.2;γ1=160.9mPa・s;Vth=1.64V;VHR−1=98.2%;VHR−2=97.8%;τ=48.9ms.
【0120】
[実施例14]
1V2−BB−F (1−5) 11%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 10%
3−BB(F,F)XB(F)−OCF3 (2−1−3) 10%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 8%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 25%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 8%
3−H2BB(F,F)−F (3−1−2) 5%
5−H2BB(F,F)−F (3−1−2) 5%
3−HBB(F)−F (−) 4%
1O1−HBBH−3 (−) 7%
1O1−HBBH−4 (−) 7%
NI=75.1℃;Tc≦−20℃;Δn=0.144;Δε=11.2;γ1=155.5mPa・s;Vth=1.28V;VHR−1=98.1%;VHR−2=97.9%;τ=43.9ms.
【0121】
[実施例15]
1V2−BB−F (1−5) 7%
1V2−BB−CL (1−24) 7%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 12%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 8%
5−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 8%
2−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
3−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
5−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
3−HHB(F)B(F,F)−F (3−2−4) 7%
3−HH2B(F)B(F,F)−F (3−2−5) 5%
3−H2HB(F)B(F,F)−F (3−2−6) 5%
3−HB−CL (−) 6%
V−HHB−1 (−) 5%
2−HBB−F (−) 5%
3−HBB−F (−) 5%
5−HBB−F (−) 5%
NI=100.7℃;Tc≦−20℃;Δn=0.156;Δε=11.1;γ1=163.5mPa・s;Vth=1.39V;VHR−1=98.1%;VHR−2=97.9%;τ=46.3ms.
【0122】
[実施例16]
1V2−BB−CL (1−24) 5%
2V2−BB−CL (1−27) 5%
V2V2−BB−CL (1−38) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 10%
3−BB(F,F)XB(F,F)−OCF3 (2−1−4) 5%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 10%
5−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 26%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 3%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 7%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 7%
2−BB(F)B−3 (5−1) 4%
2−BBB(2F)−3 (5−2) 4%
2−BB(2F,5F)B−2 (5−3) 4%
NI=82.0℃;Tc≦−10℃;Δn=0.180;Δε=10.7;γ1=154.3mPa・s;Vth=1.35V;VHR−1=98.2%;VHR−2=97.7%;τ=44.0ms.
【0123】
[実施例17]
V2−BB−F (1−3) 3%
1V2−BB−F (1−5) 12%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 10%
3−BB(F,F)XB(F)−OCF3 (2−1−3) 10%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 25%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 6%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 6%
2−HBB−F (−) 5%
3−HBB−F (−) 5%
5−HBB−F (−) 3%
3−HHXB(F,F)−F (−) 10%
NI=78.0℃;Tc≦−20℃;Δn=0.148;Δε=10.0;γ1=129.4mPa・s;Vth=1.37V;VHR−1=98.2%;VHR−2=97.7%;τ=37.4ms.
【0124】
[実施例18]
1V2−BB−F (1−5) 10%
1V2−BB−CL (1−24) 4%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 10%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 10%
5−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 10%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 20%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 5%
2−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 4%
3−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 3%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 4%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 4%
3−HGB(F,F)−F (−) 8%
3−GHB(F,F)−F (−) 8%
NI=71.5℃;Tc≦−20℃;Δn=0.150;Δε=12.7;γ1=169.6mPa・s;Vth=1.19V;VHR−1=98.3%;VHR−2=97.9%;τ=46.7ms.
【0125】
[実施例19]
1V2−BB−F (1−5) 11%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 5%
3−BB(F,F)XB(F)−F (2−1−1) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−OCF3 (2−1−4) 5%
3−BB(F,F)XB(F)−OCF3 (2−1−3) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 18%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 10%
3−HHB(F)B(F,F)−F (3−2−4) 8%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 2%
2−BB(F)B−3 (5−1) 5%
3−HBB(F)−F (−) 5%
3−H2BB(F)−F (−) 5%
3−HBEB(F,F)−F (−) 4%
5−HBEB(F,F)−F (−) 4%
3−HHEB(F,F)−F (−) 8%
NI=72.2℃;Tc≦−20℃;Δn=0.139;Δε=12.3;γ1=157.9mPa・s;Vth=1.21V;VHR−1=98.4%;VHR−2=97.7%;τ=43.7ms.
【0126】
[実施例20]
1V2−BB−F (1−5) 12%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 10%
5−BB(F)B(F,F)−F (2−2−1) 8%
3−B(F)B(F)B(F,F)−F (2−2−2) 5%
5−B(F)B(F)B(F,F)−F (2−2−2) 5%
2−HBB(F,F)−F (3−1−1) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 20%
2−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
3−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
5−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
3−HHB(F)B(F,F)−F (3−2−4) 5%
2−HBB−F (−) 5%
3−HBB−F (−) 5%
5−HBB−F (−) 5%
NI=84.5℃;Tc≦−20℃;Δn=0.159;Δε=11.3;γ1=167.0mPa・s;Vth=1.31V;VHR−1=98.3%;VHR−2=97.5%;τ=47.0ms.
【0127】
[実施例21]
1V2−BB−F (1−5) 10%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−1−2) 10%
3−B(F)B(F)B(F,F)−F (2−2−2) 6%
5−B(F)B(F)B(F,F)−F (2−2−2) 6%
3−HBB(F,F)−F (3−1−1) 25%
5−HBB(F,F)−F (3−1−1) 5%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−1−3) 5%
2−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
3−HHBB(F,F)−F (3−2−1) 5%
5−HBB(F)B−2 (4−2) 6%
5−HBB(F)B−3 (4−2) 6%
2−BB(F)B−3 (5−1) 5%
3−HB−CL (−) 6%
NI=81.5℃;Tc≦−20℃;Δn=0.161;Δε=11.1;γ1=153.0mPa・s;Vth=1.32V;VHR−1=98.4%;VHR−2=97.7%;τ=42.0ms.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第2成分として式(2−1)および式(2−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第3成分として式(3−1)および式(3−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。







ここで、Rは炭素数2から12のアルケニル、炭素数4から12のアルカジエニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;Rは炭素数1から12のアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルであり;Yはフッ素または塩素であり;Yはフッ素またはトリフルオロメトキシであり;XおよびXは独立して水素またはフッ素であり;ZおよびZは独立して単結合または−CHCH−である。
【請求項2】
第2成分が式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物であり、第3成分が式(3−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項1に記載の液晶組物。
【請求項3】
液晶組成物の全重量に基づいて、第1成分の割合が5重量%から25重量%の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から40重量%の範囲であり、そして第3成分の割合が25重量%から65重量%の範囲である、請求項1または2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第2成分として式(2−1)および式(2−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第3成分として式(3−1)および式(3−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第4成分として式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。









ここで、Rは炭素数2から12のアルケニル、炭素数4から12のアルカジエニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルあり;Rは炭素数1から12のアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルであり;RおよびRは独立して炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルコキシアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルであり;Yはフッ素または塩素であり;Yはフッ素またはトリフルオロメトキシであり;X、XおよびXは独立して水素またはフッ素であり;ZおよびZは独立して単結合または−CHCH−である。
【請求項5】
第2成分が式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物であり、第3成分が式(3−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項4に記載の液晶組成物。
【請求項6】
式(1)においてYがフッ素であり、式(3−1)および式(3−2)においてXが水素であり、式(4)においてXがフッ素である、請求項4または5に記載の液晶組成物。
【請求項7】
液晶組成物の全重量に基づいて、第1成分の割合が5重量%から25重量%の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から40重量%の範囲であり、第3成分の割合が25重量%から65重量%の範囲であり、そして第4成分の割合が5重量%から30重量%の範囲である、請求項6に記載の液晶組成物。
【請求項8】
第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第2成分として式(2−1)および式(2−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第3成分として式(3−1)および式(3−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第4成分として式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第5成分として式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。











ここで、Rは炭素数2から12のアルケニル、炭素数4から12のアルカジエニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルあり;Rは炭素数1から12のアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルであり;RおよびRは独立して炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルコキシアルキルまたは炭素数2から12のアルケニルであり;Yはフッ素または塩素であり;Yはフッ素またはトリフルオロメトキシであり;X、X、X、X、XおよびXは独立して水素またはフッ素であり、X、XおよびXのうち、少なくとも一つはフッ素であり;ZおよびZは独立して単結合または−CHCH−である。
【請求項9】
第2成分が式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物であり、第3成分が式(3−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項8に記載の液晶組成物。
【請求項10】
式(1)においてYがフッ素であり、式(3−1)および式(3−2)においてXが水素であり、式(4)においてXがフッ素であり、式(5)においてXがフッ素であり、XおよびXが水素である、請求項8または9に記載の液晶組成物。
【請求項11】
液晶組成物の全重量に基づいて、第1成分の割合が5重量%から25重量%の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から40重量%の範囲であり、第3成分の割合が25重量%から65重量%の範囲であり、第4成分の割合が5重量%から30重量%の範囲であり、そして第5成分の割合が3重量%から20重量%の範囲である、請求項10に記載の液晶組成物。
【請求項12】
ネマチック相の上限温度が70℃から110℃の範囲であり、25℃で波長589nmにおける光学異方性が0.13から0.18の範囲であり、そして25℃における誘電率異方性が7から17の範囲である、請求項1から11のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。

【公開番号】特開2007−291338(P2007−291338A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26872(P2007−26872)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】