説明

液晶組成物および液晶表示素子

【課題】 ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの特性において、複数の特性を充足する液晶組成物を提供することである。この目的は、複数の特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物を提供する。この組成物を含有する液晶表示素子を提供する。小さな粘度、0.10〜0.15の光学異方性および低いしきい値電圧を有する組成物を含有し、そして短い応答時間、大きな電圧保持率などの特性を有するAM素子を提供する。なかでも重要な目的は素子の短い応答時間である。
【解決手段】 第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、正の誘電率異方性を有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物とする。


ここで、R11およびR12は互いに異なる炭素数のアルキルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AM(active matrix)素子などに適する液晶組成物およびこの組成物を含有するAM素子などに関する。特に、ネマチック相を有する組成物、および誘電率異方性が正である組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子において、液晶の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)などである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMはスタティック(static)とマルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMはTFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。TFTの分類は非晶質シリコン(amorphous silicon)および多結晶シリコン(polycrystal silicon)である。後者は製造工程によって高温型と低温型とに分類される。光源に基づいた分類は、自然光を利用する反射型、バックライトを利用する透過型、そして自然光とバックライトの両方を利用する半透過型である。
【0003】
これらの素子は適切な特性を有する液晶組成物を含有する。この液晶組成物はネマチック相を有する。良好な一般的特性を有するAM素子を得るには組成物の一般的特性を向上させる。2つの一般的特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の一般的特性を市販されているAM素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は−20℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。素子で動画を表示するためには短い応答時間が好ましい。したがって、組成物における小さな粘度が好ましい。低い温度における小さな粘度はより好ましい。
【0004】

【0005】
組成物の光学異方性は、素子のコントラスト比に関連する。素子におけるコントラスト比を最大にするために、組成物の光学異方性(Δn)と素子のセルギャップ(d)との積(Δn・d)を約0.45μmに設計する。したがって、組成物における光学異方性は主に0.08〜0.12の範囲である。近年、素子の応答時間を短くするために、Δn・dを0.38〜0.42μmに設計するようになってきている。この場合の組成物の光学異方性は、0.10〜0.15の範囲である。組成物における低いしきい値電圧は素子における小さな消費電力と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、低いしきい値電圧が好ましい。組成物における大きな比抵抗は、素子における大きな電圧保持率と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。長時間使用したあと、室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。
【0006】
従来の組成物は、下記の特許文献1〜7に開示されている。特許文献3、4および6は、強誘電性液晶組成物(スメクチック相を有する組成物)に関する。特許文献2および5は、ネマチック相を有し、そして誘電率異方性が負である液晶組成物に関する。一方、特許文献1および7は、ネマチック相を有し、そして誘電率異方性が正である液晶組成物に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−51135号公報(US4,594,465、EP0132377A2)
【特許文献2】特表平1−500860号公報(WO88/02130A2)
【特許文献3】特表平1−503455号公報(WO87/07890A2)
【特許文献4】特開平4−279695号公報
【特許文献5】特開平9−183974号公報(GB2300642A)
【特許文献6】特表平10−501019号公報(WO95/33802A1)
【特許文献7】国際公開第2004/035710号パンフレット
【0008】
望ましいAM素子は、使用できる温度範囲が広い、応答時間が短い、コントラスト比が大きい、などの特性を有する。1ミリ秒でもより短い応答時間が望ましい。したがって、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な値を有する光学異方性、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの特性を有する組成物が特に望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの特性において、複数の特性を充足する液晶組成物を提供することである。この目的は、複数の特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物を提供することでもある。この目的は、この組成物を含有する液晶表示素子を提供することでもある。この目的は、小さな粘度、0.10〜0.15の光学異方性および低いしきい値電圧を有する組成物を含有し、そして短い応答時間、大きな電圧保持率などの特性を有するAM素子を提供することでもある。なかでも重要な目的は素子の短い応答時間である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、正の誘電率異方性を有し、ネマチック相を有する液晶組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子である。


ここで、R11およびR12は互いに異なる炭素数のアルキルである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組成物は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの特性において、複数の特性を充足した。この組成物は、複数の特性に関して適切なバランスを有した。本発明の素子は、この組成物を含有する。小さな粘度、0.10〜0.15の光学異方性および低いしきい値電圧を有する組成物を含有する素子は、短い応答時間および大きな電圧保持率を有し、そしてAM素子に適した。素子は、特に短い応答時間を有した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。本発明の液晶組成物または本発明の液晶表示素子をそれぞれ「組成物」または「素子」と略すことがある。液晶表示素子は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。「液晶性化合物」は、25℃でネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物または25℃で液晶相を有さないが組成物の成分として有用な化合物を意味する。光学活性な化合物は液晶性化合物に含まれない。式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を「化合物(1)」と略すことがある。式(1)で表される化合物の群も「化合物(1)」と略すことがある。他の式で表される化合物についても同様である。
【0013】
式(1)において、「R11およびR12は互いに異なる炭素数のアルキル」の意味は、1つの化合物(1)において、R11とR12は、必ず異なる炭素数のアルキルを有することである。例えば、組成物の成分として、2つの化合物(1)を含有する場合、ある化合物(1)におけるR11とR12は異なる炭素数のアルキルを有する。他の化合物(1)のR11とR12も異なる炭素数のアルキルを有する。
「式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物」とは、組成物の成分として、化合物(1)を少なくとも1つ選択する、ということを意味する。組成物の成分として、化合物(1)を2つ以上選択してもよい。他の式についても同様である。
【0014】
「式(2)〜式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物」とは、組成物の成分として、化合物(2)〜化合物(7)のいずれかを最低限1つ混合する、ということを意味する。組成物の成分として、化合物(2)〜化合物(7)のいずれか1つの式の化合物を2つ以上選択してもよい。化合物(2)〜化合物(7)の複数から選択した2つ以上の化合物を組成物の成分としてもよい。他の式についても同様である。
【0015】
「第1成分の割合」は、第1成分が1つの化合物である場合、その化合物の割合を意味する。第1成分が2つ以上の化合物である場合、第1成分を構成する化合物の合計の割合を意味する。「第2成分の割合」などの意味も同様である。
【0016】
「第2成分が、式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物」とは、第2成分は化合物(2)だけから選択されることを意味し、そして、第2成分には、化合物(2)以外の化合物を第2成分としないことを意味する。第3成分および他の式についても同様である。
【0017】
「式(1)で表される化合物の群」とは、化合物(1)が1つである場合、その化合物を指す。化合物(1)が2つ以上である場合、2つ以上の化合物(1)の総てを指す。他の式についても同様である。
【0018】
ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。「比抵抗が大きい」は、組成物が初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有することを意味する。「電圧保持率が大きい」は、素子が初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな電圧保持率を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく高い温度でも大きな電圧保持率を有することを意味する。光学異方性などの特性を説明するときは、実施例に記載した方法で測定した値を用いる。成分または液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶性化合物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。
【0019】
本発明の詳細は、下記の項のとおりである。
1. 第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、正の誘電率異方性を有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。


ここで、R11およびR12は互いに異なる炭素数のアルキルである。
【0020】
2. 第1成分の割合が3重量%から50重量%の範囲である、項1に記載記載の液晶組成物。
【0021】
3. 第1成分の割合が3重量%から10重量%未満の範囲である、項1に記載の液晶組成物。
【0022】
4. 第1成分の割合が10重量%から50重量%の範囲である、項1に記載の液晶組成物。
【0023】
5. 第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、そしてもう1つの必須成分として式(2)〜式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、正の誘電率異方性を有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。


ここで、Rはアルキルであり;Rはアルキルまたはアルケニルであり;Rはアルキル、アルケニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルであり;Rはアルキルまたはアルコキシであり;Rはアルキルまたはアルコキシメチルであり;R11およびR12は互いに異なる炭素数のアルキルであり;AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合、−(CH−、−CFO−または−COO−であり;Zは単結合または−(CH−であり;Zは単結合または−CFO−であり;Zは単結合または−COO−であり;XおよびXは独立して水素またはフッ素であり;Yはフッ素、塩素、−OCF、または−OCFHであり;そしてYはフッ素または塩素である。
【0024】
6. 第1成分の割合が3重量%から50重量%の範囲である、項5に記載の液晶組成物。
【0025】
7. 第1成分の割合が3重量%から10重量%未満の範囲である、項5に記載の液晶組成物。
【0026】
8. 第1成分の割合が10重量%から50重量%の範囲である、項5に記載の液晶組成物。
【0027】
9. 0.10から0.15の光学異方性を有する、項1〜8のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0028】
10. 第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第2成分として式(2)〜式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、そして第3成分として式(5)〜式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、正の誘電率異方性を有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。


ここで、Rはアルキルであり;Rはアルキルまたはアルケニルであり;Rはアルキル、アルケニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルであり;Rはアルキルまたはアルコキシであり;Rはアルキルまたはアルコキシメチルであり;R11およびR12は互いに異なる炭素数のアルキルであり;AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合、−(CH−、−CFO−、または−COO−であり;Zは単結合または−(CH−であり;Zは単結合または−CFO−であり;Zは単結合または−COO−であり;XおよびXは独立して水素またはフッ素であり;Yはフッ素、塩素、−OCF、または−OCFHであり;そしてYはフッ素または塩素である。
【0029】
11. 第2成分が、式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項10に記載の液晶組成物。
【0030】
12. 第2成分が、式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項10に記載の液晶組成物。
【0031】
13. 第2成分が、式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項10に記載の液晶組成物。
【0032】
14. 第2成分が、式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項10に記載の液晶組成物。
【0033】
15. 第2成分が、式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項10に記載の液晶組成物。
【0034】
16. 第2成分が、式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項10に記載の液晶組成物。
【0035】
17. 第3成分が、式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項10〜16のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0036】
18. 第3成分が、式(6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項10〜16のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0037】
19. 第3成分が、式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項10〜16のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0038】
20. 第3成分が、式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項10〜16のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0039】
21. 第3成分が、式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、式(6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項10〜16のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0040】
22. 第1成分の割合が3重量%から50重量%の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から85重量%の範囲であり、第3成分の割合が10から80重量%の範囲である、項10〜21のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0041】
23. 第1成分の割合が3重量%から10重量%未満の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から85重量%の範囲であり、第3成分の割合が10重量%から80重量%の範囲である、項10〜21のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0042】
24. 第1成分の割合が10重量%から50重量%の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から85重量%の範囲であり、第3成分の割合が10重量%から80重量%の範囲である、項10〜21のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0043】
25. 0.10〜0.15の光学異方性を有する、項10〜24のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0044】
26. 第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第2成分として式(2−1)、式(3−1)〜(3−6)、および式(4−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第3成分として式(5−1)、式(5−2)、式(6−1)、式(6−2)、および式(7−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、正の誘電率異方性を有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。


ここで、RおよびRは独立してアルキルであり;Rはアルケニルであり;そしてR11およびR12は互いに異なる炭素数のアルキルである。
【0045】
27. 第2成分が式(3−3)〜式(3−6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物であり、そして第3成分が式(5−1)、式(5−2)、式(6−1)および式(6−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項26に記載の液晶組成物。
【0046】
28. 第1成分の割合が3重量%から50重量%の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から85重量%の範囲であり、そして第3成分の割合が10から80重量%の範囲である、項26または27に液晶組成物。
【0047】
29. 第1成分の割合が3重量%から10重量%未満の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から85重量%の範囲であり、そして第3成分の割合が10重量%から80重量%の範囲である、項26または27に液晶組成物。
【0048】
30. 第1成分の割合が10重量%から50重量%の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から85重量%の範囲であり、そして第3成分の割合が10重量%から80重量%の範囲である、項26または27に液晶組成物。
【0049】
31. 0.10から0.15の光学異方性を有する、項26〜30のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0050】
32. 第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第2成分として式(3−3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、そして第3成分として式(5−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(6−1)および式(6−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、正の誘電率異方性を有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。


ここで、RおよびRは独立してアルキルであり;Rはアルケニルであり;そしてR11およびR12は互いに異なる炭素数のアルキルである。
【0051】
33. 第1成分の割合が3重量%から50重量%の範囲であり、第2成分である式(3−3)で表される化合物の割合が3重量%から40重量%の範囲であり、第3成分のうち式(5−1)で表される化合物の割合が11重量%から50重量%の範囲であり、そして式(6−1)および式(6−2)で表される化合物の割合が3重量%から45重量%の範囲である、項32に記載の液晶組成物。
【0052】
34. 第1成分の割合が3重量%から10重量%未満の範囲であり、第2成分である式(3−3)で表される化合物の割合が3重量%から40重量%の範囲であり、第3成分のうち式(5−1)で表される化合物割合が11重量%から50重量%の範囲であり、そして式(6−1)および式(6−2)で表される化合物の割合が3重量%から45重量%の範囲である、項32に記載の液晶組成物。
【0053】
35. 第1成分の割合が10重量%から50重量%の範囲であり、第2成分である式(3−3)で表される化合物の割合が3重量%から40重量%の範囲であり、第3成分のうち式(5−1)で表される化合物の割合が11重量%から50重量%の範囲であり、そして式(6−1)および式(6−2)で表される化合物の割合が3重量%から45重量%の範囲である、項32に記載の液晶組成物。
【0054】
36. 第2成分として式(3−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項32〜35のいずれか1項に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0055】
37. 第2成分として式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項36に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0056】
38. 第2成分として式(3−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項37に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0057】
39. 第2成分として式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(3−4)、式(3−5)および式(3−6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項36に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0058】
40. 第3成分として式(7−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項39に記載の液晶組成物。


ここで、RおよびRは独立してアルキルである。
【0059】
41. 第2成分として式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項32〜35のいずれか1項に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0060】
42. 第2成分として式(3−6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項41に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0061】
43. 第2成分として式(3−5)および式(4−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項32〜35のいずれか1項に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0062】
44. 第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第2成分として式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、式(3−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(3−3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、そして第3成分として式(5−1)および式(5−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、正の誘電率異方性を有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。


ここで、RおよびRは独立してアルキルであり;Rはアルケニルであり;そしてR11およびR12は互いに異なる炭素数のアルキルである。
45. 第1成分の割合が3重量%から50重量%の範囲であり、第2成分のうち式(2−1)で表される化合物の割合が3重量%から35重量%の範囲であり、式(3−1)で表される化合物の割合が5重量%から35重量%の範囲であり、式(3−3)で表される化合物の割合が3重量%から40重量%の範囲であり、そして第3成分である式(5−1)および式(5−2)で表される化合物の割合が11重量%から50重量%の範囲である、項44に記載の液晶組成物。
【0063】
46. 第1成分の割合が3重量%から10重量%未満の範囲であり、第2成分のうち式(2−1)で表される化合物の割合が3重量%から35重量%の範囲であり、式(3−1)で表される化合物の割合が5重量%から35重量%の範囲であり、式(3−3)で表される化合物の割合が3重量%から40重量%の範囲であり、そして第3成分である式(5−1)および式(5−2)で表される化合物の割合が11重量%から50重量%の範囲である、項44に記載の液晶組成物。
【0064】
47. 第1成分の割合が10重量%から50重量%の範囲であり、第2成分のうち式(2−1)で表される化合物の割合が3重量%から35重量%の範囲であり、式(3−1)で表される化合物の割合が5重量%から35重量%の範囲であり、式(3−3)で表される化合物の割合が3重量%から40重量%の範囲であり、第3成分の割合である式(5−1)および式(5−2)で表される化合物が11重量%から50重量%の範囲である、項44に記載の液晶組成物。
【0065】
48. 第2成分として式(3−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項44〜47のいずれか1項に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0066】
49. 第2成分として式(3−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第3成分として式(6−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(7−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項44〜47のいずれか1項に記載の液晶組成物。


ここで、RおよびRは独立してアルキルである。
【0067】
50. 0.10から0.15の光学異方性を有する、項32〜49のいずれか1項に記載の液晶組成物。
51. 項1〜50のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
【0068】
52. 第2成分として式(3−1)で表される化合物を5から35重量%の割合でさらに含有する、項32〜35のいずれか1項に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0069】
53. 第2成分として式(2−1)で表される化合物を3から35重量%の割合でさらに含有する、項52に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0070】
54. 第2成分として式(3−2)で表される化合物を3から30重量%の割合でさらに含有する、項53に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0071】
55. 第2成分として式(2−1)で表される化合物を3から35重量%の割合で、第2成分として式(3−4)、式(3−5)および式(3−6)で表される化合物を2から25重量%の割合でさらに含有する、項52に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0072】
56. 第3成分として式(7−1)で表される化合物を2から20重量%の割合でさらに含有する、項55に記載の液晶組成物。


ここで、RおよびRは独立してアルキルである。
【0073】
57. 第2成分として式(2−1)で表される化合物を3から35重量%の割合でさらに含有する、項32〜35のいずれか1項に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0074】
58. 第2成分として式(3−6)で表される化合物を3から20重量%の割合でさらに含有する、項57に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0075】
59. 第2成分として式(3−5)および式(4−1)で表される化合物を5から30重量%の割合でさらに含有する、項32〜35のいずれか1項に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0076】
60. 第2成分として式(3−2)で表される化合物を3から30重量%の割合でさらに含有する、項44〜47のいずれか1項に記載の液晶組成物。


ここで、Rはアルキルである。
【0077】
61. 第2成分として式(3−4)で表される化合物を3から25重量%の割合で、第3成分として式(6−2)で表される化合物を3から15重量%の割合で、そして第3成分として式(7−1)で表される化合物を2から20重量%の割合でさらに含有する、項44〜47のいずれか1項に記載の液晶組成物。



ここで、RおよびRは独立してアルキルである。
【0078】
62. 組成物の光学異方性が0.10から0.15である、項53〜62のいずれか1項に記載の液晶組成物。
63. 項52〜62のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
64.酸化防止剤をさらに含有する、項1〜50、52〜62に記載の液晶組成物。
【0079】
65.酸化防止剤が式(10)で表される化合物である、項64に記載の液晶組成物。


ここでnは1〜9の整数である。
66.液晶性化合物の全重量に基づいて、酸化防止剤の割合が50から600ppmである、項64または65に記載の液晶組成物。
67.項64〜66のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
【0080】
本発明は、次の項も含む。1)ネマチック相の上限温度が70℃以上であり、そしてネマチック相の下限温度が−20℃以下である上記の組成物、2)光学活性な化合物をさらに含有する上記の組成物、3)上記の組成物を含有するAM素子、4)上記の組成物を含有し、そしてTN、ECB、OCB、またはIPSのモードを有する素子、5)上記の組成物を含有する透過型の素子、6)上記の組成物を、ネマチック相を有する組成物としての使用、7)上記の組成物に光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用。
【0081】
本発明の組成物を次の順で説明する。第一に、本発明のポイントについて説明する。第二に、組成物における成分化合物の構成を説明する。第三に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。第四に、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。第五に、成分化合物の好ましい形態を説明する。第六に、成分化合物の具体的な例を示す。第七に、成分化合物の合成法を説明する。最後に、組成物の用途を説明する。
【0082】
第一に、本発明のポイントを説明する。
本発明の第一のポイントとして、組成物の光学異方性の違いにより、化合物(1)の効果の現れ方が異なることを見いだした。実験をとおして説明する。化合物(1)を比較的小さな光学異方性を有する組成物に用いた場合と、比較的大きな光学異方性を有する組成物に使用した場合の比較を行った。結果を表2にまとめる。表2のNo.1およびNo.2の組成物は、組成物の光学異方性を0.1以下に調製した場合であり、No.3およびNo.4は組成物の光学異方性を0.1以上に調製した場合である。No.1およびNo.3の組成物は化合物(1)を混合しない場合の例であり、No.2およびNo.4の組成物は化合物(1)を混合した場合の例である。なお、No.1〜No.4の組成物は、誘電率異方性を正、そして上限温度およびしきい値電圧を同じ値に調製した。この表から明らかなように、化合物(1)を使用し、比較的小さな光学異方性を有する組成物に調製した場合は、化合物(1)の有用性は見いだせなかった。化合物(1)を使用し、比較的大きな光学異方性を有する組成物に調製した場合は、化合物(1)の有用性を見いだすことができた。ここで言う有用性とは、回転粘度(γ1)および応答時間の特性が優れているという意味である。これらの発見が、本発明の第一のポイントである。
【0083】

【0084】
本発明の第二のポイントとして、化合物(1)の左末端と右末端のアルキルの炭素数が異なれば、組成物へ及ぼす特性に優劣が生じることを見いだした。実験をとおして説明する。化合物(1)のR11およびR12の炭素数が同じ場合と、化合物(1)のR11およびR12の炭素数が異なる場合を比較した。結果を表3にまとめる。表3のNo.5の組成物はR11とR12が異なる炭素数のアルキルを有する化合物を混合した場合であり、No.6およびNo.7の組成物はR11とR12が同じ炭素数を有する化合物を混合した場合である。これらの組成物は、誘電率異方性を正に調製した。この表から明らかなように、R11およびR12が互いに異なる炭素数を有した方が、組成物および素子の特性が向上した。すなわち、ネマチック相の下限温度をより下げることができ、そして回転粘度をより下げることができた。この発見が、本発明の第二のポイントである。
【0085】

【0086】
第二に、組成物における成分化合物の構成を説明する。本発明の組成物は組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aはその他の化合物をさらに含有してもよい。「その他の化合物」は、液晶性化合物、添加物、不純物などである。この液晶性化合物は化合物(1)〜化合物(7)とは異なる。このような液晶性化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。この添加物は光学活性な化合物、色素、酸化防止剤などである。液晶のらせん構造を誘起してねじれ角を与える目的で光学活性な化合物が組成物に混合される。GH(Guest host)モードの素子に適合させるために色素が組成物に混合される。大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するため、または、素子を長時間使用したあと、室温だけではなく高い温度でも大きな電圧保持率を有するために、酸化防止剤が組成物に混合される。酸化防止剤は、式(10)で表される化合物などである。不純物は成分化合物の合成などの工程において混入した化合物などである。
【0087】
組成物Bは、実質的に化合物(1)〜(7)のいずれかより選択された化合物のみからなる。「実質的に」は、これらの化合物と異なる液晶性化合物を組成物が含有しないことを意味する。「実質的に」は、添加物、不純物などを組成物がさらに含有してもよいことも意味する。組成物Bは組成物Aに比較して成分の数が少ない。組成物Bはコストを下げるためから組成物Aよりも好ましい。その他の液晶性化合物を混合することによって物性をさらに調整できるので、組成物Aは組成物Bよりも好ましい。
【0088】
化合物(1)〜化合物(7)とは異なる液晶性化合物には、シアノ基を有する化合物が含まれる。この化合物は式(8−1)〜式(8−3)のような部分構造を有する。このような液晶性化合物はIPSなどのモードを有する素子に用いる組成物には混合されてもよい。しかし、この化合物は組成物の比抵抗を下げるので、TN−TFT素子などに用いる組成物には好ましくない。光学活性な化合物の例は式(9−1)〜式(9−4)である。
【0089】

【0090】
前記項1〜項4の組成物に、素子を駆動させるために、10以上の誘電率異方性を有する液晶性化合物を成分として、さらに混合することが好ましい。さらに好ましくは、素子の応答時間をさらに短くするために、10以上の誘電率異方性を有する液晶性化合物をさらに混合し、および誘電率異方性が10未満の液晶性化合物をさらに混合することが好ましい。
【0091】
前記項5〜項9の組成物において、もう1つの必須成分として化合物(2)〜化合物(4)のいずれかを選択する場合、素子の応答時間をさらに短くするために、誘電率異方性が10未満の液晶性化合物をさらに混合することが好ましい。もう1つの必須成分として化合物(5)〜化合物(7)のいずれかを選択する場合、素子を駆動させるために、10以上の誘電率異方性を有する液晶性化合物を成分として、さらに混合することが好ましい。
【0092】
第三に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の目的に従って表4にまとめる。表4の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。0は誘電率異方性がほぼゼロである(または極めて小さい)ことを意味する。
【0093】

【0094】
表5に代表的な成分化合物の誘電率異方性をまとめる。表5から、素子を駆動させるための低いしきい値電圧は、本発明の第2成分に主に依存している。表5の化合物の名称は表6の表記法に基づいて表した。

【0095】
成分化合物が組成物に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は、組成物の光学異方性を上げ、そしてしきい値電圧を上げる。化合物(2)〜(4)は、組成物のしきい値電圧を下げる。化合物(2)は組成物上限温度を下げる。化合物(3)は、組成物の上限温度を上げる。化合物(4)は、組成物の上限温度をさらに上げる。化合物(5)〜(6)は、組成物の粘度を下げ、そしてしきい値電圧を上げる。化合物(5)は、組成物の上限温度を下げる。化合物(6)は、組成物の上限温度を上げる。化合物(7)は、組成物の上限温度をさらに上げる。
【0096】
これらの化合物について、さらに説明する。化合物(2)は、化合物(2−1)〜化合物(2−8)を含む。これらの中で、特に化合物(2−1)は組成物の下限温度を下げると共に粘度を下げる。
【0097】
化合物(3)は、化合物(3−1)〜化合物(3−36)を含む。これらの化合物の中で、化合物(3−1)〜化合物(3−6)は、特に次の点で特徴がある。化合物(3−1)は光学異方性を上げ、上限温度を上げ、そして粘度を下げる。化合物(3−2)は、組成物の上限温度を上げ、下限温度を下げ、そして粘度を下げる。化合物(3−3)は、組成物の光学異方性を上げ、そしてしきい値電圧を大きく下げる。化合物(3−4)は、組成物の光学異方性を上げ、下限温度を下げる。化合物(3−5)は、組成物の光学異方性を下げ、粘度を下げる。化合物(3−6)は、組成物の光学異方性を下げ、しきい値電圧を特に下げる。
【0098】
化合物(4)は、化合物(4−1)〜化合物(4−6)を含む。これらの中で、化合物(4−1)は、組成物の粘度を下げる。化合物(5)は、化合物(5−1)〜化合物(5−6)を含む。これらの中で、化合物(5−1)および化合物(5−2)は、組成物の粘度を特に下げる。化合物(5−1)は、組成物の下限温度を下げる。
【0099】
化合物(6)は、化合物(6−1)〜化合物(6−8)を含む。これらの中で、化合物(6−1)および化合物(6−2)は、組成物の粘度を特に下げる。化合物(6−1)は、組成物の下限温度を下げる。化合物(7)は、化合物(7−1)〜化合物(7−5)を含む。これらの中で、化合物(7−1)は、組成物の光学異方性を特に上げる。
【0100】
第四に、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。
【0101】
第1成分の好ましい割合は、組成物の光学異方性を上げるために3%以上であり、下限温度を下げるために50%以下である。さらに好ましい割合は、3から10%未満または10から50%である。3%から10%未満の割合は組成物の光学異方性を下げ、下限温度をさらに下げるために好ましい。10から50%の割合は組成物の光学異方性を上げるために好ましい。組成物の光学異方性を上げ、そして下限温度をさらに下げるために、特に好ましい割合は11から40%であり、さらには11から30%である。
【0102】
第2成分の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために10%以上であり、そして下限温度を下げるために85%以下である。組成物のしきい値電圧をさらに下げる、および下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は15から80%である。組成物のしきい値電圧を特に下げる、および下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は25から75%である。
【0103】
第3成分の好ましい割合は、組成物の上限温度を上げるために10%以上であり、下限温度を下げるために80%以下である。組成物の上限温度をさらに上げる、および下限温度を下げるために、さらに好ましい割合は15から75%である。組成物の上限温度を特に上げるため、および下限温度を特にさげるために、特に好ましい割合は20から65%である。
【0104】
第2成分および第3成分を構成する各々の化合物について、混合する場合の好ましい含有量を説明する。化合物(2−1)の好ましい割合は、組成物の下限温度を下げるために3%以上であり、上限温度を上げるために35%以下である。組成物の上限温度をさらに上げるために、さらに好ましい割合は3から30%である。組成物の上限温度を特に上げるために、特に好ましい割合は3から25%である。
【0105】
化合物(3−1)の好ましい割合は、組成物の上限温度を上げるために5%以上であり、下限温度を下げるために35%以下である。組成物の上限温度をさらに上げる、および下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は10から30%である。組成物の下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は10から25%である。
【0106】
化合物(3−2)の好ましい割合は、組成物の上限温度を上げるために3%以上であり、下限温度を下げるために30%以下である。組成物の下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は3から25%である。組成物の上限温度を特に上げる、および下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は5から20%である。
【0107】
化合物(3−3)の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために3%以上であり、組成物の下限温度を下げるために40%以下である。組成物のしきい値電圧をさらに下げる、および下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は5から35%である。組成物のしきい値電圧を特に下げる、および下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は10から30%である。
【0108】
化合物(3−4)の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために3%以上であり、組成物の下限温度を下げるために25%以下である。組成物の下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は3から20%である。組成物のしきい値電圧を特に下げる、および下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は5から15%である。
【0109】
化合物(3−4)、化合物(3−5)および化合物(3−6)の合計の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために2%以上であり、下限温度を下げるために25%以下である。組成物の下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は2から20%である。組成物の下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は2から15%である。
【0110】
化合物(3−6)の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために3%以上であり、組成物の下限温度を下げるために20%以下である。組成物の下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は3から15%である。組成物のしきい値電圧を特に下げる、および下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は5から10%である。
【0111】
化合物(3−5)および化合物(4−1)の合計の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために5%以上であり、下限温度を下げるために30%以下である。組成物のしきい値電圧をさらに下げる、および下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は10から25%である。組成物のしきい値電圧を特に下げる、および下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は15から20%である。
【0112】
化合物(5−1)の好ましい割合は、組成物の粘度を下げるために11%以上であり、下限温度を下げるために50%以下である。組成物の粘度をさらに下げる、および下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は15から45%である。組成物の粘度を特に下げる、および下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は20から40%である。
【0113】
化合物(5−1)および化合物(5−2)の合計の好ましい割合は、組成物の粘度を下げるために11%以上であり、下限温度を下げるために50%以下である。組成物の粘度をさらに下げる、および下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は15から45%である。組成物の粘度を特に下げる、および下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は20から40%である。
【0114】
化合物(6−2)の好ましい割合は、組成物の上限温度を上げるために3%以上であり、下限温度を下げるために15%以下である。組成物の下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は、3から10%である。組成物の下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は3から5%である。
【0115】
化合物(6−1)および化合物(6−2)の合計の好ましい割合は、組成物の上限温度を上げるために3%以上であり、下限温度を下げるために45%以下である。組成物の上限温度をさらに上げる、および下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は、5から40%である。組成物の上限温度を特に上げる、および下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は、10から35%である。
【0116】
化合物(7−1)の好ましい割合は、組成物の光学異方性を上げるために2%以上であり、下限温度を下げるために20%以下である。組成物の下限温度をさらに下げるために、さらに好ましい割合は2から15%である。組成物の下限温度を特に下げるために、特に好ましい割合は2から10%である。
【0117】
大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するため、または、素子を長時間使用したあと、室温だけではなく高い温度でも大きな電圧保持率を有するために、組成物に酸化防止剤を添加する方法がある。組成物に酸化防止剤を添加する場合、酸化防止剤の好ましい添加量は、効果を発揮させるために50ppm以上、組成物の上限温度を高くするため、または下限温度を低くするために600ppm以下である。さらに好ましくは、100ppmから300ppmである。この添加量は液晶性化合物の全重量に基づいた割合である。
本発明の組成物には、第1成分、第2成分および第3成分の合計の好ましい割合は、良好な特性を得るために70%以上である。さらに好ましい割合は90%以上である。
【0118】
第五に成分化合物の好ましい形態を説明する。成分化合物の化学式において、Rの記号を複数の化合物に用いた。これらの化合物において、Rの意味は同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(2)のRがエチルであり、化合物(4)のRがエチルであるケースがある。化合物(2)のRがエチルであり、化合物(4)のRがプロピルであるケースもある。このルールは、R、A、Z、X、Y、nなど記号についても適用される。
【0119】
好ましいRおよびRは、直鎖の炭素数1〜10のアルキルである。好ましいRは直鎖の炭素数1〜10のアルキルまたは直鎖の炭素数2〜10のアルケニルである。さらに好ましいRは、製造コストを安くするために直鎖の炭素数1〜10のアルキルである。好ましいRは直鎖の炭素数1〜10のアルキル、直鎖の炭素数2〜10のアルケニルまたは直鎖の炭素数2〜10の任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルである。好ましいRは直鎖の炭素数1〜10のアルキルまたは直鎖の炭素数1〜10のアルコキシである。好ましいRは直鎖の炭素数1〜10のアルキルまたは直鎖の炭素数1〜10のアルコキシメチルである。好ましいRは直鎖の炭素数2〜10のアルケニルである。好ましいR11およびR12は、直鎖の炭素数1〜10のアルキルである。ただし、1つの化合物におけるR11とR12は異なる炭素数を有さなければならない。
【0120】
化合物(2−1)以外において、好ましいアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルである。さらに好ましいアルキルは、粘度を下げるためにエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘプチルである。ただし、1つの化合物におけるR11とR12は異なる炭素数を有さなければならない。これらのアルキルにおいては、分岐よりも直鎖のアルキルが好ましい。
【0121】
化合物(2−1)において好ましいアルキルは、プロピル、ペンチルまたはヘプチルである。粘度を下げるために、化合物(2−1)のさらに好ましいアルキルは、プロピルまたはペンチルである。粘度を下げるために、化合物(2−1)の特に好ましいアルキルは、プロピルである。これらのアルキルにおいては、分岐よりも直鎖のアルキルが好ましい。
【0122】
好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。さらに好ましいアルケニルは、粘度を下げるためなどからビニル、1−プロペニル、3−ブテニル、または3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。粘度を下げるためなどから1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。これらのアルケニルにおいては、分岐よりも直鎖のアルケニルが好ましい。
【0123】
好ましい任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルは、2,2−ジフルオロ−ビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、5,5−ジフルオロ−4−ペンテニルである。粘度を下げるためなどからさらに好ましくは、2,2−ジフルオロ−ビニルおよび4,4−ジフルオロ−3−ブテニルである。これらの任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルにおいては、分岐よりも直鎖のアルケニルが好ましい。
【0124】
好ましいアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシである。さらに好ましいアルコキシは、粘度を下げるためなどからメトキシまたはエトキシである。これらのアルコキシにおいては、分岐よりも直鎖のアルコキシが好ましい。
【0125】
好ましいアルコキシメチルは、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチル、またはペンチルオキシメチルである。さらに好ましいアルコキシメチルは、化合物の粘度を下げるためなどからメトキシメチルである。これらのアルコキシメチルにおいては、分岐よりも直鎖のアルコキシメチルが好ましい。
【0126】
およびAは独立して1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである。Aは1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは1,4−フェニレンである。粘度を下げるために、好ましいAは、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである。Aは1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。粘度を下げるために、好ましいAは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンである。Aは1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。Aは1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンである。
【0127】
記号中または構造式中の1,4−シクロヘキシレンまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルに関する立体配置は、上限温度を上げるためシスよりもトランスが好ましい。2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンのフルオロ基は化合物の誘電率異方性を大きくするように位置している。例えば、化合物(3−3)などを参照。2−フルオロ−1,4−フェニレンのフルオロ基は、環の右側に位置してもよいし、または左側に位置してもよい。好ましい位置は、粘度を下げるために、化合物(7−1)などのように右側である。
【0128】
は単結合、−(CH−、−CFO−または−COO−である。粘度を下げるために、好ましいZは単結合、−(CH−または−CFO−である。さらに粘度を下げるためにさらに好ましいZは単結合である。Zは単結合または−(CH−である。粘度を下げるために好ましいZは単結合である。Zは単結合または−CFO−である。粘度を下げるために好ましいZは、単結合である。Zは単結合または−COO−である。粘度を下げるために好ましいZは単結合である。
【0129】
これら−COO−または−CFO−の結合基は化合物の誘電率異方性を大きくするように位置している。例えば、化合物(2−7)、化合物(2−8)などを参照。
【0130】
およびXは独立して水素またはフッ素である。粘度を下げるために、好ましいXおよびXは、共に水素である。誘電率異方性を上げるために、好ましいXおよびXは、共にフッ素である。粘度を下げ、そして誘電率異方性を上げるために、好ましいXおよびXは、それぞれ水素およびフッ素である。
【0131】
はフッ素、塩素、−OCFまたは−OCFHである。粘度を下げるために、好ましいYはフッ素、塩素または−OCFであり、さらに好ましいYはフッ素または塩素である。Yはフッ素または塩素である。粘度を下げるために、さらに好ましいYは塩素である。
【0132】
第六に、成分化合物の具体的な例を示す。下記の好ましい化合物において、RおよびRは独立してアルキルであり、好ましくは直鎖の炭素数1〜10のアルキルである。Rはアルケニルであり、好ましくは直鎖の炭素数2〜10のアルケニルである。さらに好ましいアルキルおよびアルケニルは、すでに記載したとおりである。これらの好ましい化合物において1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルに関する立体配置は、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。
【0133】
化合物(1)におけるR11およびR12の好ましい組み合わせは、下限温度を下げるため、および粘度を下げるために、エチルおよびプロピル、エチルおよびペンチル、プロピルおよびペンチル、プロピルおよびブチルである。これらのアルキルにおいては、分岐よりも直鎖のアルキルが好ましい。
【0134】
好ましい化合物(2)は、化合物(2−1)〜化合物(2−8)である。粘度を下げるため、および下限温度を下げるために、さらに好ましい化合物(2)は化合物(2−1)および化合物(2−2)である。下限温度を下げるために、特に好ましい化合物(2)は、化合物(2−1)である。
【0135】
好ましい化合物(3)は、化合物(3−1)〜化合物(3−36)である。粘度を下げるために、さらに好ましい化合物(3−1)〜化合物(3−12)であり、特に好ましい化合物(3)は化合物(3−1)〜化合物(3−6)である。
【0136】
化合物(3−1)〜化合物(3−6)において、化合物(3−1)および化合物(3−2)が、上限温度を上げるために好ましい。化合物(3−1)が上限温度を上げ、そして光学異方性を上げるために好ましい。化合物(3−2)が、上限温度を上げ、そして下限温度を下げるために好ましい。
【0137】
化合物(3−1)〜化合物(3−6)において、化合物(3−3)〜化合物(3−6)が、誘電率異方性を上げるために好ましい。化合物(3−3)および化合物(3−4)が、誘電率異方性を上げ、そして光学異方性を上げるために好ましい。化合物(3−5)および化合物(3−6)が、誘電率異方性を上げ、そして光学異方性を下げるために好ましい。
【0138】
化合物(3−3)および化合物(3−4)において、誘電率異方性をさらに上げるために化合物(3−3)が好ましい。粘度をさらに下げるために化合物(3−4)が好ましい。化合物(3−5)および化合物(3−6)において、誘電率異方性をさらに下げるために化合物(3−6)が好ましい。粘度をさらに下げるために化合物(3−5)が好ましい。
【0139】
好ましい化合物(4)は、化合物(4−1)〜化合物(4−6)である。粘度を下げるために、さらに好ましい化合物(4)は化合物(4−1)および化合物(4−2)であり、特に好ましい化合物(4)は化合物(4−1)である。
【0140】
好ましい化合物(5)は、化合物(5−1)〜化合物(5−6)である。粘度を下げるために、さらに好ましい化合物(5)は、化合物(5−1)〜化合物(5−3)であり、特に好ましい化合物(5)は化合物(5−1)および化合物(5−2)である。化合物(5−1)および化合物(5−2)において、下限温度をさらに下げるために化合物(5−1)が好まく、製造コストを下げるために化合物(5−2)が好ましい。
【0141】
好ましい化合物(6)は、化合物(6−1)〜化合物(6−8)である。粘度を下げるためにさらに好ましい化合物(6)は化合物(6−1)〜化合物(6−3)であり、特に好ましい化合物(6)は化合物(6−1)および化合物(6−2)である。化合物(6−1)および化合物(6−2)において、下限温度をさらに下げるために化合物(6−1)が好まく、製造コストを下げるために化合物(6−2)が好ましい。
【0142】
好ましい化合物(7)は、化合物(7−1)〜化合物(7−5)である。粘度を下げるために、さらに好ましい化合物(7)は化合物(7−1)〜化合物(7−3)であり、特に好ましい化合物(7−1)である。
【0143】

【0144】

【0145】

【0146】

【0147】
組成物に酸化防止剤を添加する場合、好ましい酸化防止剤は化合物(10)である。


好ましいnは1〜9の整数である。さらに好ましいnは、1、3、5、7、9である。特に好ましいnは1および7である。nが1であるときの化合物は、揮発性が大きいので、大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するときに有効である。nが7であるときの化合物は、揮発性が小さいので、素子を長時間使用しあと、室温だけではなく高い温度でも電圧保持率を大きくするときに有効である。
第七に、成分化合物の合成法を説明する。これらの化合物は既知の方法によって合成できる。合成法を例示する。化合物(1)は、特開昭60−51135号公報に記載された方法で合成する。化合物(2−1)は、特開昭58−126823号公報に記載された方法で合成する。化合物(3−3)は、特開2000−95715号公報に記載された方法で合成する。化合物(4−1)は、特開平2−233626号公報に記載された方法を修飾することによって合成する。化合物(5−1)は、特開昭61−27928号公報に記載された方法で合成する。化合物(6−2)は、特開昭57−165328号公報に記載された方法で合成する。化合物(7−1)は、特開平2−237949号公報に記載された方法で合成する。
【0148】
合成法を記載しなかった化合物は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載された方法によって合成できる。式(10)のnが1である化合物は、市販されている。この化合物は、例えばアルドリッチ(Aldrich)社から販売されている。式(10)のnが7である化合物などは、米国特許3660505号明細書に記載された方法によって合成できる。組成物は、このようにして得た化合物から公知の方法によって調製される。例えば、成分である化合物を混合し、加熱によって互いに溶解させる。
【0149】
最後に、組成物の用途を説明する。大部分の組成物は、−20℃以下の下限温度、70℃以上の上限温度、そして0.10〜0.15の光学異方性を有する。この組成物を含有する素子は大きな電圧保持率を有する。この組成物はAM素子に適する。この組成物は透過型のAM素子に特に適する。成分化合物の割合を制御することによって、またはその他の液晶性化合物を混合することによって、0.07〜0.18の光学異方性を有する組成物、さらには0.06〜0.20の光学異方性を有する組成物を調製してもよい。この組成物は、ネマチック相を有する組成物としての使用、光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用が可能である。
【0150】
この組成物はAM素子への使用が可能である。さらにPM素子への使用も可能である。この組成物は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VAなどのモードを有する素子への使用も可能である。TN、ECB、OCB、またはIPSのモードを有する素子への使用は好ましい。これらの素子が反射型、透過型または半透過型であってもよい。透過型の素子への使用は好ましい。非結晶シリコン−TFT素子または多結晶シリコン−TFT素子への使用も可能である。この組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)素子、例えばPN(polymer network)素子にも使用できる。
【0151】
実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は下記の実施例によって限定されない。比較例および実施例における化合物は、下記の表6の定義に基づいて記号により表した。
表6において、1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルに関する立体配置はトランスである。−CH=CH−の結合基に関する立体配置はトランスである。実施例において記号の後にあるかっこ内の番号は好ましい化合物の番号に対応する。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶性化合物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の特性値をまとめた。
【0152】

【0153】
組成物は、液晶性化合物などの成分の重量を測定してから混合することによって調製される。したがって、成分の重量%を算出するのは容易である。しかし、組成物をガスクロマト分析することによって成分の割合を正確に算出するのは容易でない。補正係数が液晶性化合物の種類に依存するからである。幸いなことに補正係数はほぼ1である。さらに、成分化合物における1重量%の差異が組成物の特性に与える影響は小さい。したがって、本発明においてはガスクロマトグラフにおける成分ピークの面積比を成分化合物の重量%と見なすことができる。つまり、ガスクロマト分析の結果(ピークの面積比)は、補正することなしに液晶性化合物の重量%と等価であると考えてよいのである。
【0154】
試料が組成物のときはそのまま測定し、得られた値を記載した。試料が化合物のときは、15重量%の化合物および85重量%の母液晶を混合することによって試料を調製した。測定によって得られた値から外挿法よって化合物の特性値を算出した。外挿値=(試料の測定値−0.85×母液晶の測定値)/0.15。この割合でスメクチック相(または結晶)が25℃で析出するときは、化合物と母液晶の割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更した。この外挿法によって化合物に関する上限温度、光学異方性、粘度、および誘電率異方性の値を求めた。
【0155】
母液晶の組成は下記のとおりである。
【0156】

【0157】
特性値の測定は下記の方法にしたがった。それらの多くは、日本電子機械工業会規格(Standard of Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
【0158】
ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0159】
ネマチック相の下限温度(T;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、Tを≦−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0160】
粘度(η;20℃で測定;mPa・s):測定にはE型回転粘度計を用いた。
【0161】
回転粘度(γ1;25℃で測定;mPa・s):測定はM. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995)に記載された方法に従った。ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。TN素子に16ボルトから19.5ボルトの範囲で0.5ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度の測定で使用した素子にて、下記の誘電率異方性の測定方法で求めた。
【0162】
光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0163】
誘電率異方性(Δε;25℃で測定):2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0164】
しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧である。
【0165】
電圧保持率(VHR;25℃と100℃で測定;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は6μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線によって重合する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。25℃で測定して得られた電圧保持率をVHR−1で表した。100℃で測定して得られた電圧保持率をVHR−2で表した。次に、このTN素子を100℃、250時間加熱した。VHR−3は、加熱後の素子を25℃で測定して得られた電圧保持率である。VHR−4は、加熱後の素子を100℃で測定して得られた電圧保持率である。VHR−1およびVHR−2は、初期段階における評価に相当する。VHR−3およびVHR−4は、素子を長時間使用した後の評価に相当する。
【0166】
応答時間(τ;25℃で測定;ミリ秒):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に矩形波(60Hz、5V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である。立ち上がり時間(τr:rise time)は、透過率が90%から10%に変化するのに要した時間である。立下がり時間(τf:fall time)は透過率10%から90%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立上がり時間と立下り時間との和である。
【0167】
ガスクロマト分析:測定には島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。キャリアーガスはヘリウム(2ml/分)である。試料気化室を280℃に、検出器(FID)を300℃に設定した。成分化合物の分離には、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。このカラムは、200℃で2分間保持したあと、5℃/分の割合で280℃まで昇温した。試料はアセトン溶液(0.1重量%)に調製したあと、その1μlを試料気化室に注入した。記録計は島津製作所製のC−R5A型Chromatopac、またはその同等品である。得られたガスクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
【0168】
試料を希釈するための溶媒は、クロロホルム、ヘキサンなどを用いてもよい。成分化合物を分離するために、次のキャピラリカラムを用いてもよい。Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)。化合物ピークの重なりを防ぐ目的で島津製作所製のキャピラリーカラムCBP1−M50−025(長さ50m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いてもよい。ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は成分化合物の割合に相当する。成分化合物の重量%は各ピークの面積比と完全には同一ではない。しかし、本発明においては、これらのキャピラリカラムを用いるときは、成分化合物の重量%は各ピークの面積比と同一であると見なしてよい。成分化合物における補正係数に大きな差異がないからである。
【0169】
比較例1
特開昭60−51135号公報(US4,594,465、EP0132377A2)に開示された組成物の中から混合物1を選んだ。この理由は、光学活性な化合物および負の誘電率異方性を有する化合物を組成物に含有していないからである。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。この組成物は下限温度が高く、光学異方性が大きく、γ1が大きく、VHR−2が小さく、応答時間が長い。
5−BB(F)B−5 20%
3−BB(F)B−5 20%
2−BB−C 10%
4−BB−C 10%
2−HB−C 10%
4−HB−C 10%
3−B(F)B2H−3 20%
NI=82.6℃;Tc≦0℃;Δn=0.188;Δε=6.7;γ1=144.2mPa・s;Vth=1.98V;VHR−1=99.0%;VHR−2=53.6%;τ=16.4ms.
【0170】
比較例2
WO2004/035710A1に開示された組成物の中から実施例4−a)を選んだ。この理由は、γ1の値が開示され、そして最も小さなγ1を有する組成物だからである。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。この組成物は光学異方性が小さく、γ1が大きく、応答時間が長い。
3−HH−5 3%
1V−HH−3 4%
1−HHB(F,F)−F 10%
2−HHB(F,F)−F 8%
3−HHB(F,F)−F 9%
2−HHB(F)−OCF3 12%
2−HHB−OCF3 8%
3−HHB−OCF3 8%
4−HHB−OCF3 5%
5−HHB−OCF3 7%
2−BB(F,F)XB(F,F)−F 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F 9.5%
2−HB(F)B(F,F)−F 3.5%
3−HHB(F)B(F,F)−F 5%
3−HBBH−3 2%
NI=89.6℃;Tc≦−30℃;Δn=0.094;Δε=8.8;γ1=122.1mPa・s;Vth=1.25V;VHR−1=99.7%;VHR−2=92.1%;τ=21.3ms.
【0171】
比較例3
WO2004/035710A1に開示された組成物の中から実施例3−b)−M3A+1.0wt%PGP−2−2を選んだ。この理由は、本願化合物(1)を含有した組成物だからである。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。この組成物は上限温度が低く、下限温度が高く、光学異方性が小さく、そして応答時間が長い。
V−HH−5 7.9%
5−HB−3 23.8%
2−HHB(F,F)−F 11.9%
3−HHB(F,F)−F 11.9%
5−HHB(F,F)−F 7.9%
3−HHB−1 7.9%
V−HHB(F)−F 7.9%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F 19.8%
2−BB(F)B−2 1.0%
NI=39.6℃;Tc<−10℃;Δn=0.072;Δε=5.3;γ1=56.0mPa・s;Vth=1.09V;VHR−1=99.6%;VHR−2=92.2%;τ=24.6ms.
【0172】
実施例1
2−BB(F)B−3 (1) 12%
2−HBB−F (3−1) 4%
3−HBB−F (3−1) 5%
5−HBB−F (3−1) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 20%
V−HH−3 (5−1) 40%
V−HHB−1 (6−1) 14%
NI=70.0℃;Tc≦−20℃;Δn=0.109;Δε=3.9;γ1=43.2mPa・s;Vth=1.91V;VHR−1=99.5%;VHR−2=92.0%;τ=7.1ms.
【0173】
実施例2
2−BB(F)B−3 (1) 13%
3−HB−CL (2−1) 5%
2−HBB−F (3−1) 4%
3−HBB−F (3−1) 5%
5−HBB−F (3−1) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 17%
V−HH−3 (5−1) 37%
V−HHB−1 (6−1) 8%
V2−HHB−1 (6−1) 6%
NI=70.0℃;Tc≦−20℃;Δn=0.110;Δε=3.5;γ1=44.0mPa・s;Vth=2.00V;VHR−1=99.7%;VHR−2=92.5%;τ=8.6ms.
【0174】
実施例3
2−BB(F)B−3 (1) 4%
3−HB−CL (2−1) 5%
2−HBB−F (3−1) 5%
3−HBB−F (3−1) 5%
5−HBB−F (3−1) 5%
3−HHB−CL (3−2) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 24%
V−HH−3 (5−1) 16%
1V−HH−3 (5−1) 10%
V−HHB−1 (6−1) 10%
V2−HHB−1 (6−1) 10%
NI=79.8℃;Tc≦−30℃;Δn=0.111;Δε=5.4;γ1=61.7mPa・s;Vth=1.88V;VHR−1=99.5%;VHR−2=92.3%;τ=9.5ms.
【0175】
実施例4
2−BB(F)B−5 (1) 4%
2−BB(F)B−3 (1) 7%
3−BB(F)B−5 (1) 3%
3−HB−CL (2−1) 7%
2−HBB−F (3−1) 2%
3−HBB−F (3−1) 6%
5−HBB−F (3−1) 5%
3−HHB−CL (3−2) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 17%
V−HH−3 (5−1) 19%
1V−HH−3 (5−1) 12%
V−HHB−1 (6−1) 7%
3−HHB−1 (6−2) 5%
NI=80.6℃;Tc≦−20℃;Δn=0.119;Δε=3.9;γ1=56.9mPa・s;Vth=2.17V;VHR−1=99.6%;VHR−2=92.7%;τ=8.3ms.
【0176】
実施例5
2−BB(F)B−5 (1) 6%
3−BB(F)B−5 (1) 6%
3−HB−CL (2−1) 2%
2−HBB−F (3−1) 6%
3−HBB−F (3−1) 6%
5−HBB−F (3−1) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 18%
3−HHXB(F,F)−F (3−6) 2%
V−HH−3 (5−1) 32%
V−HHB−1 (6−1) 12%
V2−HHB−1 (6−1) 4%
NI=77.7℃;Tc≦−20℃;Δn=0.114;Δε=4.0;γ1=54.6mPa・s;Vth=2.02V;VHR−1=99.8%;VHR−2=92.6%;τ=8.9ms.
【0177】
実施例6
2−BB(F)B−5 (1) 6%
2−BB(F)B−3 (1) 4%
3−HB−CL (2−1) 11%
2−HBB−F (3−1) 6%
3−HBB−F (3−1) 6%
5−HBB−F (3−1) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 10%
3−HBB(F,F)−F (3−4) 10%
2−HHB(F,F)−F (3−5) 2%
V−HH−3 (5−1) 21%
V−HHB−1 (6−1) 10%
3−HHB−1 (6−2) 6%
5−HBB(F)B−2 (7−1) 2%
NI=80.7℃;Tc≦−30℃;Δn=0.120;Δε=4.0;γ1=62.8mPa・s;Vth=2.06V;VHR−1=99.7%;VHR−2=92.3%;τ=9.4ms.
【0178】
実施例7
2−BB(F)B−5 (1) 6%
2−BB(F)B−3 (1) 4%
3−HB−CL (2−1) 14%
2−HBB−F (3−1) 6%
3−HBB−F (3−1) 6%
5−HBB−F (3−1) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 10%
3−HBB(F,F)−F (3−4) 10%
V−HH−3 (5−1) 20%
V−HHB−1 (6−1) 10%
3−HHB−1 (6−2) 6%
5−HBB(F)B−2 (7−1) 2%
NI=78.7℃;Tc≦−30℃;Δn=0.121;Δε=3.9;γ1=60.3mPa・s;Vth=2.07V;VHR−1=99.7%;VHR−2=92.2%;τ=9.3ms.
【0179】
実施例8
2−BB(F)B−3 (1) 9%
2−BB(F)B−5 (1) 9%
3−BB(F)B−5 (1) 9%
3−HB−CL (2−1) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 22%
V−HH−3 (5−1) 15%
1V−HH−3 (5−1) 10%
V−HHB−1 (6−1) 10%
V2−HHB−1 (6−1) 10%
NI=78.8℃;Tc≦−30℃;Δn=0.135;Δε=4.3;γ1=63.9mPa・s;Vth=2.24V;VHR−1=99.7%;VHR−2=99.1%;τ=8.2ms.
【0180】
実施例9
2−BB(F)B−3 (1) 8%
2−BB(F)B−5 (1) 8%
3−BB(F)B−5 (1) 8%
3−HB−CL (2−1) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 22%
3−HHXB(F,F)−F (3−6) 8%
V−HH−3 (5−1) 15%
1V−HH−3 (5−1) 8%
V−HHB−1 (6−1) 9%
V2−HHB−1 (6−1) 9%
NI=79.0℃;Tc≦−30℃;Δn=0.131;Δε=5.2;γ1=65.9mPa・s;Vth=2.08V;VHR−1=99.6;VHR−2=92.0%;τ=8.3ms.
【0181】
実施例10
2−BB(F)B−3 (1) 8%
3−HB−CL (2−1) 4%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 28%
3−HHXB(F,F)−F (3−6) 8%
V−HH−3 (5−1) 11%
1V−HH−3 (5−1) 11%
V−HHB−1 (6−1) 13%
V2−HHB−1 (6−1) 13%
3−HHB−1 (6−2) 4%
NI=80.4℃;Tc≦−30℃;Δn=0.112;Δε=6.4;γ1=65.4mPa・s;Vth=1.78V;VHR−1=99.7%;VHR−2=91.9%;τ=8.5ms.
【0182】
実施例11
2−BB(F)B−3 (1) 9%
2−BB(F)B−5 (1) 4%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 22%
3−HHB(F,F)−F (3−5) 10%
3−HHBB(F,F)−F (4−1) 6%
V−HH−3 (5−1) 32%
V−HHB−1 (6−1) 13%
V2−HHB−1 (6−1) 4%
NI=79.3℃;Tc≦−30℃;Δn=0.111;Δε=5.7;γ1=57.2mPa・s;Vth=1.73V;VHR−1=99.5%;VHR−2=92.3%;τ=8.1ms.
【0183】
実施例12
2−BB(F)B−5 (1) 4%
3−BB(F)B−4 (1) 4%
3−HB−CL (2−1) 21%
2−HBB−F (3−1) 7%
3−HBB−F (3−1) 7%
5−HBB−F (3−1) 7%
2−HHB−CL (3−2) 7%
3−HHB−CL (3−2) 7%
5−HHB−CL (3−2) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 10%
3−HH−4 (5−2) 21%
NI=79.3℃;Tc≦−20℃;Δn=0.113;Δε=3.8;γ1=63.1mPa・s;Vth=2.10V;VHR−1=99.6%;VHR−2=92.2%;τ=10.6ms.
【0184】
実施例13
2−BB(F)B−5 (1) 6%
3−BB(F)B−4 (1) 6%
3−BB(F)B−5 (1) 7%
3−HB−CL (2−1) 13%
2−HBB−F (3−1) 6%
3−HBB−F (3−1) 6%
5−HBB−F (3−1) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 10%
3−HBB(F,F)−F (3−4) 10%
V−HH−3 (5−1) 20%
3−HHB−1 (6−2) 3%
5−HBB(F)B−2 (7−1) 7%
NI=84.1℃;Tc≦−30℃;Δn=0.140;Δε=4.0;γ1=73.3mPa・s;Vth=2.23V;VHR−1=99.7%;VHR−2=92.3%;τ=9.0ms.
【0185】
実施例14
2−BB(F)B−5 (1) 6%
2−BB(F)B−3 (1) 4%
3−HB−CL (2−1) 8%
5−HEB−F (2−3) 2%
5−H2B(F)−F (2−5) 2%
5−HXB(F,F)−F (2−8) 2%
2−HBB−F (3−1) 5%
3−HBB−F (3−1) 5%
5−HBB−F (3−1) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 10%
3−HBB(F,F)−F (3−4) 10%
V−HH−3 (5−1) 16%
VFF−HH−3 (5−3) 2%
3−HB−O2 (5−6) 2%
V−HHB−1 (6−1) 10%
3−HHB−O1 (6−3) 2%
VFF−HHB−1 (6−4) 2%
V−HBB−1 (6−7) 3%
3−HHEH−3 (6−8) 2%
1O1−HBBH−3 (7−4) 2%
NI=78.8℃;Tc≦−30℃;Δn=0.117;Δε=3.9;γ1=61.5mPa・s;Vth=2.04V;VHR−1=99.5%;VHR−2=92.1%;τ=9.8ms.
【0186】
実施例15
2−BB(F)B−5 (1) 6%
3−BB(F)B−4 (1) 6%
3−BB(F)B−5 (1) 7%
3−HB−CL (2−1) 13%
2−HBB−F (3−1) 6%
3−HBB−F (3−1) 6%
5−HBB−F (3−1) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 10%
3−HH2B(F,F)−F (3−29) 2%
3−H2GB(F,F)−F (3−32) 2%
3−HHEB(F,F)−F (3−34) 2%
3−HB(F)B(F,F)−F (3−35) 4%
V−HH−3 (5−1) 20%
3−HHB−1 (6−2) 3%
5−HBB(F)B−2 (7−1) 3%
5−HB(F)BH−2 (7−2) 2%
3−HHEBH−3 (7−5) 2%
NI=85.5℃;Tc≦−30℃;Δn=0.132;Δε=4.1;γ1=72.8mPa・s;Vth=2.19V;VHR−1=99.7%;VHR−2=92.2%;τ=8.8ms.
【0187】
実施例16
2−BB(F)B−3 (1) 9%
2−BB(F)B−5 (1) 4%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 22%
3−HHB(F,F)−F (3−5) 4%
V−HHB(F)−F (3−15) 2%
3−HHB(F)−OCF2H (3−18) 2%
5−GHB(F,F)−F (3−33) 2%
3−HH2BB(F,F)−F (4−2) 2%
3−BB(F)B(F)B(F,F)−F (4−4) 2%
3−HBB(F,F)XB(F,F)−F (4−5) 2%
V−HH−3 (5−1) 32%
V−HHB−1 (6−1) 13%
V2−HHB−1 (6−1) 4%
NI=76.8℃;Tc≦−30℃;Δn=0.114;Δε=6.2;γ1=63.3mPa・s;Vth=1.68V;VHR−1=99.7%;VHR−2=92.3%;τ=9.7ms.
【0188】
実施例17
2−BB(F)B−5 (1) 4%
3−BB(F)B−4 (1) 4%
3−HB−CL (2−1) 21%
2−HBB−F (3−1) 7%
3−HBB−F (3−1) 7%
5−HBB−F (3−1) 7%
2−HHB−CL (3−2) 6%
3−HHB−CL (3−2) 6%
5−HHB−CL (3−2) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 10%
3−HHB−OCF3 (3−8) 2%
3−HH−4 (5−2) 21%
NI=78.7℃;Tc≦−30℃;Δn=0.110;Δε=3.9;γ1=64.2mPa・s;Vth=2.09V;VHR−1=99.7%;VHR−2=92.5%;τ=10.9ms.
【0189】
実施例18
2−BB(F)B−5 (1) 4%
3−BB(F)B−4 (1) 4%
3−HB−CL (2−1) 21%
2−HBB−F (3−1) 7%
3−HBB−F (3−1) 7%
5−HBB−F (3−1) 7%
2−HHB−CL (3−2) 7%
3−HHB−CL (3−2) 7%
5−HHB−CL (3−2) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 10%
3−HH−4 (5−2) 19%
1O1−HH−3 (−) 2%
NI=79.0℃;Tc≦−20℃;Δn=0.113;Δε=3.8;γ1=63.8mPa・s;Vth=2.12V;VHR−1=99.7%;VHR−2=92.2%;τ=10.5ms.
【0190】
実施例19
2−BB(F)B−3 (1) 12%
2−HBB−F (3−1) 4%
3−HBB−F (3−1) 5%
5−HBB−F (3−1) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 20%
V−HH−3 (5−1) 40%
V−HHB−1 (6−1) 14%
この組成物に、式(10)のnが1である化合物を300ppm添加した。このときの組成物の特性は次のとおりであった。NI=70.0℃;Tc≦−20℃;Δn=0.109;Δε=3.9;γ1=43.2mPa・s;Vth=1.91V;VHR−1=99.5%;VHR−2=92.0%;τ=7.1ms.
【0191】
実施例20
2−BB(F)B−3 (1) 13%
3−HB−CL (2−1) 5%
2−HBB−F (3−1) 4%
3−HBB−F (3−1) 5%
5−HBB−F (3−1) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3) 17%
V−HH−3 (5−1) 37%
V−HHB−1 (6−1) 8%
V2−HHB−1 (6−1) 6%
この組成物に、式(10)のnが7である化合物を200ppm添加した。このときの組成物の特性は次のとおりであった。NI=70.0℃;Tc≦−20℃;Δn=0.110;Δε=3.5;γ1=44.0mPa・s;Vth=2.00V;VHR−1=99.7%;VHR−2=92.5%;τ=8.6ms.
【産業上の利用可能性】
【0192】
ネマチック相を有して、誘電率異方性が正である組成物であって、AM(active matrix)素子などに適した液晶組成物およびこの組成物となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第2成分とし式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、そして第3成分として式(5)〜式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、第1成分の割合が3重量%から50重量%の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から85重量%の範囲であり、第3成分の割合が10から80重量%の範囲であり、正の誘電率異方性を有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。


ここで、Rはアルキルであり;Rはアルキルまたはアルケニルであり;Rはアルキル、アルケニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルであり;Rはアルキルまたはアルコキシであり;Rはアルキルまたはアルコキシメチルであり;R11およびR12は互いに異なる炭素数のアルキルであり;AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合、−(CH−、−CFO−、または−COO−であり;Zは単結合または−(CH−であり;Zは単結合または−CFO−であり;Zは単結合または−COO−であり;XおよびXは独立して水素またはフッ素であり;Yはフッ素、塩素、−OCF、または−OCFHであり;そしてYはフッ素または塩素である。
【請求項2】
第3成分が、式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項1記載の液晶組成物。
【請求項3】
第3成分が、式(6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項1記載の液晶組成物。
【請求項4】
第3成分が、式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項1記載の液晶組成物。
【請求項5】
第3成分が、式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項1記載の液晶組成物。
【請求項6】
第3成分が、式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、式(6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項1記載の液晶組成物。
【請求項7】
第1成分の割合が3重量%から10重量%未満の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から85重量%の範囲であり、第3成分の割合が10重量%から80重量%の範囲である、請求項のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項8】
第1成分の割合が10重量%から50重量%の範囲であり、第2成分の割合が10重量%から85重量%の範囲であり、第3成分の割合が10重量%から80重量%の範囲である、請求項のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項9】
0.10〜0.15の光学異方性を有する、請求項のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項10】
酸化防止剤をさらに含有する、請求項1〜に記載の液晶組成物。
【請求項11】
酸化防止剤が式(10)で表される化合物である、請求項10に記載の液晶組成物。


ここで、nは1〜9の整数である。
【請求項12】
液晶性化合物の全重量に基づいて、酸化防止剤の割合が50から600ppmである、請求項10または11に記載の液晶組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。

【公開番号】特開2012−1729(P2012−1729A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175941(P2011−175941)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【分割の表示】特願2006−539207(P2006−539207)の分割
【原出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【出願人】(596032100)JNC石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】