説明

液晶表示付き押しボタンスイッチ

【課題】 液晶表示付き押しボタンスイッチの液晶表示部がより見やすいスイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】 スイッチ本体の上方に接触機構部を動作させるプランジャ上部と操作ボタンの下面に配設した押さえ板の略中央部より下方に作動軸を各々形成して、前記各作動軸に凹凸関係による係合部を設けることにより、前記操作ボタンが扇状に回転する角度切替節度機構を形成し、操作部を傾斜させ角度の調整ができ、液晶表示部をより見やすくした。また、スイッチ本体と操作ボタンを電気的に接続するフレキシブルプリント基板の一部に切欠を入れ、操作ボタンの回転にフレキシブルプリント基板が追従しやすくした。これによりユーザは常に視認性の良い状態で使用することができる。また、光の映り込み等による反射を防止する目的だけでなく、液晶が付属していないスイッチのように斜めや横方向に本発明の液晶表示付き押しボタンスイッチを設置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示付き押しボタンスイッチにおいて、操作ボタンを扇状に角度調整できる角度切替節度機構を備えたことを特徴とする液晶表示付き押しボタンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接触機構部を配設したスイッチ本体と前記接触機構部を動作させる液晶表示装置を配備した操作ボタンからなる液晶表示付き押しボタンスイッチにおいて、押さえ板下面に作動軸を有し、該作動軸とプランジャが嵌着し、該プランジャに操作部を配備させてスイッチを構成していた。
【特許文献1】特願平10−277009号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のように構成されている液晶表示付き押しボタンスイッチは、作動軸にプランジャを嵌着させていたため操作部を自由に動かすことができず、使用方法によっては光の映り込み等により液晶表示が見にくくなる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記問題を解決するために、液晶表示付き押しボタンスイッチにおいて、接触機構部を配設したスイッチ本体の上方に配設されたプランジャ上部と操作ボタンの下方に配設した押さえ板下部に突片を設けるとともに、前記プランジャと前記押さえ板の突片の略中央部に凹凸関係による係合部をそれぞれ設け、前記操作ボタンが扇状に回転する角度切替節度機構を設けた。さらにはスイッチ本体と操作ボタンを電気的に接続するフレキシブルプリント基板の一部に切欠を入れ、操作ボタンの回転にフレキシブルプリント基板が追従しやすくなるようにした。
【0005】
本発明によれば次のような効果を奏することができる。
(1)プランジャと押さえ板の突片の略中央部に凹凸関係による係合部を設けたことにより、操作ボタンを扇状に回転させることができる。
(2)スイッチ本体と操作ボタンを電気的に接続するフレキシブルプリント基板の一部に切欠を入れたことにより、フレキシブルプリント基板が操作ボタンの回転に追従しやすくなった。

(3)光の映り込み等により液晶表示が見にくくなる場合に、操作部の角度を自在に変えられることにより、常に視認性の良い状態で使用することができる。
(4)液晶表示部に反射防止剤等のコーティング剤を塗布する必要がなくなるためコストダウンを図ることができる。
(5)光の映り込み等による反射を防止する目的だけでなく、液晶が付属していないスイッチのように斜めや横方向に本発明の液晶表示付き押しボタンスイッチを設置することができ、さらには液晶の欠点である視野角の問題も解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明によれば、液晶表示付き押しボタンスイッチにおいて、前記プランジャと前記作動軸のどちらか一方に凹部を形成するとともに該凹部内に弾性を有する凸部を設け、他方に凹部を形成するとともに該凹部の周囲に凹凸部を設けて角度切替節度機構を形成したため操作部の角度を自在に変えることにより、常に視認性の良い状態で使用することができる。また、スイッチ本体と操作ボタンを電気的に接続するフレキシブルプリント基板の一部に切欠を入れ、操作ボタンの回転にフレキシブルプリント基板が追従しやすくすることができる。
【実施例】
【0007】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の分解斜視図である。1はボタンであり、この中に液晶表示を行う液晶表示素子2、インターコネクタ3、光を拡散させるディフュ−ザ4、液晶表示素子2からディフュ−ザ4までを保持するホルダ5、バックライトの役割を果たすLED6、ICチップ7を搭載した基板8、液晶表示素子2に電気を送るフレキシブルプリント基板9、押さえ板10までが収納される。前記液晶表示素子2はボタン1の下面に接し、ホルダ5を介して基板8の回路パターンへインターコネクタ3により接続されている。前記ホルダ5周辺にはLED6が装着される。前記基板8にはICチップ7を組み込み、インターコネクタ3やLED6のリード端子を回路パターン(図示なし)へ接続している。また、前記フレキシブルプリント基板9は、片側に切欠部18を設け操作部の傾きに対し追従をし易くしている。また、該フレキシブルプリント基板9は貫通孔17を有し、押さえ板10の下部の作動軸19とプランジャ12の上部の作動軸20に遊嵌され、フレキシブルプリント基板9の回路パターン21は基板8の回路パターンに接続されている。さらに、フレキシブルプリント基板9の回路パターン22は後述するコネクタ16に接続される。ケース15は、ラバードーム14とコネクタ16を収納するための開口をそれぞれ有しており、カバー11によりプランジャ12からケース15までが覆われる。また、押さえ板10の略中央部より下方に突出して作動軸19を形成し、さらにプランジャ12の略中央部より上方に突出して作動軸20を形成して、各々の作動軸19、20に凹凸関係による係合部を設け、該係合部を中心として前記ボタン1を扇状に角度調整を可能としている。
【0008】
図2は本発明の角度切替節度形状を構成している押さえ板10とプランジャ12の各々の作動軸19、20の係合部分を拡大した図である。この図に示すように、プランジャ12の作動軸20に凹部23を形成するとともに凹部23内に弾性を有する凸部24を設け、押さえ板10の作動軸19に凸部25を形成するとともに、凸部25の周囲に凹凸部26を設けて、角度切替節度機構を形成している。凸部24と凹凸部26の係合位置を変えることにより、ボタン1の複数の回転角度に保持することができる。なお、凸部24や凹凸部26の形成箇所はプランジャ12、押さえ板10のどちらでも構わない。

【0009】
図3は本発明の操作部の角度の切替状態を示したものである。操作部を倒さない状態では鉛直上方を向いているが、押さえ板10とプランジャ12の各々の作動軸19、20に設けた角度切替節度形状により操作部を倒し、扇状に回転させることができる。これによりユーザは常に視認性の良い状態で使用することができる。また、光の映り込み等による反射を防止する目的だけでなく、液晶が付属していないスイッチのように斜めや横方向に本発明の液晶表示付き押しボタンスイッチを設置することができ、さらには視野角の問題も解決することができる。
【0010】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の液晶表示付き押しボタンスイッチの分解斜視図である。
【図2】本発明の液晶表示付き押しボタンスイッチの操作部の角度の切替状態を示した図である。
【図3】本発明の液晶表示付き押しボタンスイッチのプランジャと押さえ板の各々の作動軸の係合部を拡大した図である。
【図4】従来の液晶表示付き押しボタンスイッチの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0012】
1、101 ボタン
2、102 液晶表示素子
3、103 インターコネクタ
4、104 ディフューザ
5、105 ホルダ
6、106 LED
7、107 ICチップ
8、108 基板
9、109 フレキシブルプリント基板
10、110 押さえ板
11、111 カバー
12、112 プランジャ
13、113 スイッチ素子
14、114 ラバードーム
15、115 ケース
16、116 コネクタ
17、117 貫通孔
18 切欠部
19、20、118、119 作動軸
21、22、120、121 回路パターン
23 凹部
24、25 凸部
26 凹凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触機構部を配設したスイッチ本体と前記接触機構部を動作させる液晶表示装置を配備した操作ボタンからなる液晶表示付き押しボタンスイッチにおいて、前記スイッチ本体の上方に配設されたプランジャの上部と前記操作ボタンの下方に配設した押さえ板の下部に各々突片を設けるとともに、前記プランジャと前記押さえ板の各突片の略中央部に凹凸関係による係合部をそれぞれ設け、前記操作ボタンの押圧により前記接触機構部を動作させるとともに前記係合部を中心として前記操作ボタンを扇状に角度調整を可能としたことを特徴とする液晶表示付き押しボタンスイッチ。
【請求項2】
前記係合部を構成する前記プランジャと前記押さえ板の突片のいずれか一方に円状凹部を設けるとともに該円状凹部の円周上に弾性を有する凹凸部を設け、もう一方には円柱状凸部を設けるとともに該円柱状凸部の円周上に凹凸部を設け、これらの凹凸の係合により角度切替節度機構を形成し、前記操作ボタンを複数の回転角度に保持することを特徴とした請求項1記載の液晶表示付き押しボタンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−156200(P2006−156200A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346632(P2004−346632)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000230722)日本開閉器工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】