説明

液晶表示素子の製造システムおよび液晶表示素子の製造方法

【課題】剥離体とキャリアフィルムとの接触部での安定性が増し、貼り付け時の気泡を抑制できる液晶表示素子の製造システムおよび液晶表示素子の製造方法を提供する。
【解決手段】粘着剤を含む偏光フィルムのシート片が形成されている長尺のキャリアフィルムを巻き掛けることで、前記偏光フィルムから前記キャリアフィルムを剥離する剥離体と、前記剥離体で剥離された前記キャリアフィルムを巻き取る巻取手段と、前記偏光フィルムの前記粘着剤の粘着面と液晶パネルとを貼り付ける貼付手段とを有し、前記剥離体は、前記キャリアフィルムが接する当該剥離体の面のうち、当該剥離体先端を境にして少なくとも上流側の面が、前記キャリアフィルムの搬送方向に対して凸状の曲面となっており、さらに、前記剥離体の凸状の曲面が前記キャリアフィルムを押し上げるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤を含む偏光フィルムのシート片が形成されている長尺のキャリアフィルムを剥離体に巻き掛けてシート片からキャリアフィルムを剥離し、当該キャリアフィルムを巻き取るとともに、シート片の粘着面と液晶パネルとを貼り付ける液晶表示素子の製造システムおよび液晶表示素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着剤を介して偏光フィルムのシート片が形成されているキャリアフィルムを内側にして先端で折り返して当該キャリアフィルムから偏光フィルムのシート片を粘着剤とともに剥離するとともに、剥離された偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して液晶パネルに貼り付ける方法が知られている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57−052017号公報
【特許文献2】特開2004−361741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1または2のように、偏光フィルムのシート片から長尺のキャリアフィルムを剥離するには、一般にキャリアフィルムに対し垂直方向の厚みが搬送方向にいくに従い薄くなっていくナイフエッジ状(断面視で三角形状)の剥離体などでキャリアフィルムを折り返す方法が採用されている。しかし、この場合、貼り付け後の液晶パネルに気泡が散見される場合もあった。気泡が生じる理由として、剥離体とキャリアフィルムとの接触面が非常に不安定であり、時々刻々の接触部が変化し、フィルム幅方向の摩擦力が変化するためと推察される。このように、フィルム幅方向の保持が不安定であるため、剥離時にうねりや、しわが生じ、それが貼り付け部まで伝わり、気泡が発生してしまうのではないかと考えられる。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、剥離体とキャリアフィルムとの接触部での安定性が増し、貼り付け時の気泡を抑制できる液晶表示素子の製造システムおよび液晶表示素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下の本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
本発明は、粘着剤を含む偏光フィルムのシート片が形成されている長尺のキャリアフィルムを巻き掛けることで、前記偏光フィルムから前記キャリアフィルムを剥離する剥離体と、
前記剥離体で剥離された前記キャリアフィルムを巻き取る巻取手段と、
前記偏光フィルムの前記粘着剤の粘着面と液晶パネルとを貼り付ける貼付手段とを有する液晶表示素子の製造システムであって、
前記剥離体は、前記キャリアフィルムが接する当該剥離体の面のうち、当該剥離体先端を境にして少なくとも上流側の面が、前記キャリアフィルムの搬送方向に対して凸状の曲面となっており、さらに、前記剥離体の凸状の曲面が前記キャリアフィルムを押し上げるように配置される。
【0008】
この構成では、剥離体のキャリアフィルムと接する面に凸状の曲面を設けてキャリアフィルムを押し上げることで、従来と比較し、キャリアフィルムと剥離体との接触部(接触面)が安定し、フィルム幅方向(キャリアフィルムの搬送方向と直交する方向)で均一な摩擦力を確保でき、剥離による振動やシワの発生を抑制することができ、貼り付け時における偏光フィルムを安定させ気泡やスジの発生を抑制することができる。
【0009】
上記発明において、前記剥離体先端から前記凸状の曲面が形成されていることが好ましい。これによって、上記本発明の作用効果を容易に得ることができる。
【0010】
また、他の本発明は、粘着剤を含む偏光フィルムのシート片が形成されている長尺のキャリアフィルムを剥離体に巻き掛けることで、前記偏光フィルムから前記キャリアフィルムを剥離する剥離工程と、
前記剥離工程で剥離された前記キャリアフィルムを巻き取る巻取工程と、
前記偏光フィルムの前記粘着剤の粘着面と液晶パネルとを貼付手段で貼り付ける貼付工程とを有する液晶表示素子の製造方法であって、
前記キャリアフィルムが接する前記剥離体の面のうち、前記剥離体先端を境にして少なくとも上流側の面が、前記キャリアフィルムの搬送方向に対して凸状の曲面となっており、さらに、前記剥離体の凸状の曲面が前記キャリアフィルムを押し上げるように配置される。
【0011】
この構成では、剥離体のキャリアフィルムと接する面に凸状の曲面を設けてキャリアフィルムを押し上げることで、従来と比較し、キャリアフィルムと剥離体との接触部(接触面)が安定し、フィルム幅方向(キャリアフィルムの搬送方向と直交する方向)で均一な摩擦力を確保でき、剥離による振動やシワの発生を抑制することができ、貼り付け時における偏光フィルムを安定させ気泡やスジの発生を抑制することができる。
【0012】
上記発明において、前記剥離体先端から前記凸状の曲面が形成されていることが好ましい。これによって、上記本発明の作用効果を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】液晶表示素子の製造システムの一例を示した概略図。
【図2】剥離体(断面視で湾曲形状)とキャリアフィルムとの接触部について説明するための図。
【図3】剥離体(断面視で直線形状)とキャリアフィルムとの接触部について説明するための図。
【図4】実施例および比較例における剥離体の側面断面視の形状を示す図。
【図5】剥離体先端の角度を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(偏光フィルムおよび連続ロール)
本実施形態において、偏光フィルムがキャリアフィルムに形成されている形態は特に制限されない。例えば、ロール状に巻かれた連続ロールで構成されていてもよい。連続ロールとしては、例えば、(1)キャリアフィルムと当該キャリアフィルム上に粘着剤を含む偏光フィルムとを有する光学フィルム積層体をロール状に巻いたものが挙げられる。この場合、液晶表示素子の製造システムは、偏光フィルムから偏光フィルムのシート片を形成するために、キャリアフィルムを切断せずに残して、当該偏光フィルム(粘着剤を含む)を所定間隔に切断(ハーフカット)する切断手段を有する。この切断において、例えば、製造システム内の欠点検査装置の検査結果に基づいて、良品のシート片と、不良品のシート片を区別するように切断が行われてもよい。
【0015】
また、連続ロールとして、例えば、(2)キャリアフィルムと当該キャリアフィルム上に粘着剤を含む偏光フィルムのシート片とを有する光学フィルム積層体をロール状に巻いたもの(いわゆる切り目入り偏光フィルムの連続ロール)が挙げられる。
【0016】
例えば、図1に示す連続ロール1は、キャリアフィルム12と、キャリアフィルム12に形成された偏光フィルム13(粘着剤を含む)を有する光学フィルム積層体11をロール状に巻いたものである。
【0017】
偏光フィルムは、例えば、偏光子(厚さは5〜80μm程度)と、偏光子の片面または両面に偏光子保護フィルム(厚さは一般的に1〜500μm程度)が接着剤または接着剤なしで形成される。光学フィルム積層体11を構成する他のフィルムとして、例えば、位相差フィルム(厚さは一般的に10〜200μm)、視角補償フィルム、輝度向上フィルム、表面保護フィルム等が挙げられる。光学フィルム積層体の厚みは、例えば、10μm〜500μmの範囲が挙げられる。偏光フィルムとキャリアフィルムとの間に介在する粘着剤は、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。粘着剤の層厚みは、例えば、10〜50μmの範囲が好ましい。キャリアフィルムは、例えばプラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム)等のフィルムを用いることができる。また、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の剥離剤でコート処理したものを用いうる。
【0018】
(液晶表示素子)
液晶表示素子は、液晶パネルの片面または両面に少なくとも偏光フィルムのシート片が形成されたものであり、必要に応じて駆動回路が組込まれる。液晶パネルは、例えば、垂直配向(VA)型、面内スイッチング(IPS)型などの任意なタイプのものを用いることができる。図1に示す液晶パネル4は、対向配置される一対の基板(第1基板、第2基板)間に液晶層が封止された構成である。
【0019】
(実施形態1)
本実施形態に係る液晶表示素子の製造システムは、粘着剤を含む偏光フィルムのシート片が形成されている長尺のキャリアフィルムを巻き掛けることで、前記偏光フィルムから前記キャリアフィルムを剥離する剥離体と、前記剥離体で剥離された前記キャリアフィルムを巻き取る巻取手段と、前記偏光フィルムの前記粘着剤の粘着面と液晶パネルとを貼り付ける貼付手段とを有する液晶表示素子の製造システムであって、前記剥離体は、前記キャリアフィルムが接する当該剥離体の面のうち、当該剥離体先端を境にして少なくとも上流側の面が、前記キャリアフィルムの搬送方向に対して凸状の曲面となっており、さらに、前記剥離体の凸状の曲面が前記キャリアフィルムを押し上げるように配置される。
以下、図1を参照しながら、本実施形態に係る液晶表示素子の製造システムおよび液晶表示素子の製造方法をさらに具体的に説明するが、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではない。
【0020】
図1に示す、液晶表示素子の製造システムは、液晶パネルの一方面に偏光フィルムのシート片を貼り付けるために、キャリアフィルム搬送手段101と、液晶パネル搬送ライン102と、貼付手段103(貼付ロール50a、駆動ロール50b)とを有している。さらに製造システムは、液晶パネルのその他面に偏光フィルムのシート片を貼り付けるために、キャリアフィルム搬送手段と、貼付手段(貼付ロール、駆動ロール)とを有してもいてもよい。本実施形態では、液晶パネルの上側から偏光フィルムのシート片を貼り付けている。さらに、シート片を貼り付けた液晶パネルを反転(裏表反転、必要に応じて90°旋回)させて、当該液晶パネルの上側から偏光フィルムのシート片を貼り付けてもよく、液晶パネルの下側からシート片を貼り付け、液晶パネルを反転させて、液晶パネルの下側からシート片を貼り付けてもよく、液晶パネルの上側からシート片を貼り付け、液晶パネルを反転させないで、液晶パネルの下側からシート片を貼り付けてもよく、液晶パネルの下側からシート片を貼り付け、液晶パネルを反転させないで、液晶パネルの上側から第2シート片を貼り付けてもよい。
【0021】
液晶パネル搬送ライン102は、貼付手段103に液晶パネル4を供給し搬送するためのラインである。本実施形態では、液晶パネル搬送ライン102を構成する搬送手段として、搬送ローラ80または吸着プレート等が例示される。搬送ローラ80を回転させることで、あるいは吸着プレートを移送させることで、液晶パネル4を製造ライン下流側へ搬送する。また、液晶パネル搬送ライン102は、貼付手段103によりシート片13が貼り付けられた液晶パネル4を次の貼付手段に供給する場合、シート片13が貼り付けられた液晶パネル4を90°水平回転させる旋回機構(不図示)と、シート片13が貼り付けられた液晶パネル4を上下反転させる反転機構(不図示)が備えられていてもよい。
【0022】
キャリアフィルム搬送手段101は、連続ロール1から光学フィルム積層体11を繰り出し、偏光フィルム(粘着剤を含む)を所定間隔で切断して偏光フィルムのシート片13をキャリアフィルム12上に形成し、剥離体40の先端部でキャリアフィルム12を内側にして折り返して、シート片13からキャリアフィルム12を剥離し、剥離されたシート片13(粘着剤を含む)を貼付手段103に供給する。そのために、キャリアフィルム搬送手段101は、切断手段20、ダンサーロール30、剥離体40、巻取手段60を有する。
【0023】
切断手段20は、吸着手段21でキャリアフィルム12側から光学フィルム積層体11を固定しておいて、偏光フィルム(粘着剤を含む)を切断し、キャリアフィルム12上にシート片13を形成する。切断手段20としては、例えばカッター、レーザー装置などが挙げられる。
【0024】
ダンサーロール30は、キャリアフィルム12の張力を保持する機能を持つ。キャリアフィルム搬送手段101は、ダンサーロール30を介してキャリアフィルム12を搬送する。
【0025】
(剥離体)
剥離体40は、液晶パネル4にシート片13を貼り付ける場合に、剥離体40の先端部でキャリアフィルム12を内側にして折り返して、シート片13(粘着剤を含む)からキャリアフィルムを剥離する。図2(a)(b)に示すように、剥離体40は、キャリアフィルム12が接する当該剥離体40の面のうち、当該剥離体先端42を境にして少なくとも上流側の面が、キャリアフィルム12の搬送方向に対して凸状の曲面(湾曲部)41となっており、さらに、剥離体40の凸状の曲面41がキャリアフィルム12を押し上げるように配置される。図2(b)において剥離体40の凸状の曲面41とキャリアフィルム12が接触している接触部のエリアを斜線で示す。
【0026】
また、剥離体先端42の曲率半径R2は、例えば、0mmを超えて10mm以下であり、好ましくは1mm以上7mm以下であり、より好ましくは1mm以上5mm以下である。
【0027】
図3(a)(b)に示すように、剥離体40は、キャリアフィルム12が接する当該剥離体40の面のうち、当該剥離体先端42を境にして少なくとも上流の面が、平面となっており、そのため剥離体40とキャリアフィルム12との接触によって生じる摩擦力がフィルム幅方向で不均一に非常に不安定な状態となる。一方、図2(a)(b)に示す本実施形態のように、キャリアフィルム12と接触する面が凸状の曲面(湾曲面)41となる剥離体40の場合は、湾曲面全体で安定して接触し(図2(b)において斜線で示す接触部である)、かつ、キャリアフィルム12を押し上げることで、フィルム幅方向で均一な摩擦力を得ることができ、キャリアフィルム剥離時の安定化が図れる。また、本実施形態において、本質的にはフィルム幅方向で安定した保持力が得られればよく、キャリアフィルム12と剥離体40の接触部は必ずしも湾曲面全体である必要はなく、剥離体先端方向であるキャリアフィルムの剥離点側の接触部の部位がフィルム幅方向で均一であればよい。
【0028】
巻取手段60は、シート片13(粘着剤を含む)が剥離されたキャリアフィルム12を巻き取る。
【0029】
貼付手段103は、液晶パネル搬送手段102により供給された液晶パネル4の上側からキャリアフィルム搬送手段101により供給されたシート片13を粘着剤を介して貼り付ける。本実施形態では、貼付手段103は、貼付ローラ50a、駆動ローラ50bで構成される。なお、駆動ローラ50bの駆動に応じて、貼付ローラ50aが従動する機構であるが、これに制限されず、駆動と従動が逆の機構でもよく、両方が駆動機構であってもよい。
【0030】
前述したように、液晶パネル4の他方面に偏光フィルムのシート片を貼り付けるための各種手段は、上記で説明した各種手段、装置等を用いることができる。
【0031】
また、液晶パネル搬送ライン102には、両面に偏光フィルムのシート片が貼り付けられた液晶表示素子Yを検査するための検査装置が設置されていてもよい。この検査装置の検査目的、検査方法は特に制限されない。
【0032】
(製造方法)
本実施形態に係る液晶表示素子の製造方法は、粘着剤を含む偏光フィルムのシート片が形成されている長尺のキャリアフィルムを剥離体に巻き掛けることで、前記偏光フィルムから前記キャリアフィルムを剥離する剥離工程と、前記剥離工程で剥離された前記キャリアフィルムを巻き取る巻取工程と、前記偏光フィルムの前記粘着剤の粘着面と液晶パネルとを貼付手段で貼り付ける貼付工程とを有する液晶表示素子の製造方法である。
【0033】
(切断工程および剥離工程)
本実施形態では、キャリアフィルム12と、キャリアフィルム12上に形成された偏光フィルム(粘着剤を含む)とを有する光学フィルム積層体11をロール状に巻いた連続ロール1から光学フィルム積層体11を繰り出す。次いで、キャリアフィルム12を残して(切断せずに)偏光フィルム(粘着剤を含む)を切断して、キャリアフィルム12上に偏光フィルムのシート片13を形成する(切断工程)。次いで、剥離体40の先端42でキャリアフィルム12を内側に折り返し搬送して、シート片13(粘着剤を含む)からキャリアフィルム12を剥離する(剥離工程)。
【0034】
剥離工程で用いられる剥離体40は、キャリアフィルム12が接する剥離体40の面のうち、剥離体先端42を境にして少なくとも上流側の面が、キャリアフィルム12の搬送方向に対して凸状の曲面(湾曲部)41となっており、かつ、剥離体40の凸状の曲面41がキャリアフィルム12を押し上げるように配置される。
【0035】
(貼付工程)
貼付工程は、剥離工程でキャリアフィルム12が剥離されたシート片13(粘着剤を含む)を当該粘着剤を介して液晶パネル4の基板に貼り付ける工程である。
【0036】
(巻取工程)
巻取工程は、剥離工程でシート片13から剥離されたキャリアフィルム12を巻取手段60で巻き取る工程である。
【0037】
なお、液晶パネル4の他方面にも偏光フィルムのシート片を貼り付ける場合には、液晶パネル4の旋回および上下反転工程を有していてもよい。旋回および上下反転工程は、偏光フィルムのシート片13が貼り付けられた液晶パネル4を90°水平回転および上下反転させる工程である。そして、その他方面に偏光フィルムのシート片を貼り付ける場合、上述と同様の切断工程、剥離工程、巻取工程、貼付工程とを有していてもよい。
【0038】
(別実施形態)
上記実施形態1では、連続ロールから繰り出された光学フィルム積層体を所定間隔で切断するものであったが、とくにこの構成に制限されない。例えば、連続ロールから繰り出された光学フィルム積層体を欠点検査し、当該検査結果に基づいて欠点を避けるように切断(いわゆるスキップカット)してもよい。また、光学フィルム積層体に予め付された欠点情報を読み取り、当該欠点情報に基づいて欠点を避けるように切断してもよい。
【0039】
また、連続ロールの偏光フィルムは予め切断されていてもよい。すなわち、連続ロールとして、いわゆる切り目入り連続ロールを用いてもよい。この場合、切断手段が不要となるため、タクトタイムを短縮することができる。
【実施例】
【0040】
図1の製造システムにおいて、図4に示す各剥離体を用いて液晶パネル(32インチ)にその長辺側から偏光フィルムのシート片を貼り付け、液晶パネルとシート片との間の気泡発生について評価した。表1の剥離体先端の角度は、図5に示すように、剥離体を水平面に載置させたときの、先端曲率部が終了した点での接線と水平線とで形成される角度とする。
【0041】
実施例1の剥離体は、その側面断面視において全長が85mm、その先端から10mmまでを平面とし、10〜50mmまでを曲率半径R1が150mmの湾曲形状とし、50〜85mmまでを平面とした。剥離体先端の曲率半径R2を1.5mmとし、剥離体先端の角度を10°とした。
【0042】
実施例2の剥離体は、その側面断面視において全長を60mm、その先端から60mmまでを曲率半径R1が150mmの湾曲形状とした。剥離体先端の曲率半径R2を1.5mmとし、剥離体先端の角度を10°とした。
【0043】
実施例3の剥離体は、その先端から40mmまでを平面とし、40〜85mmまでを曲率半径R1が150mmの湾曲形状とした以外は、実施例1と同じである。
【0044】
実施例4の剥離体は、その先端から40mmまでを曲率半径R1が60mmの湾曲形状とし、40〜85mmまでを平面とした。剥離体先端の曲率半径R2を1.5mmとし、剥離体先端の角度を30°とした。
【0045】
実施例5の剥離体は、その側面断面視において全長を50mm、その先端から10mmまでを曲率半径R1が30mmの湾曲形状とし、10〜50mmまでを平面とした。剥離体先端の曲率半径R2を1.5mmとし、剥離体先端の角度を30°とした。
【0046】
実施例6の剥離体は、その側面断面視において全長が40mm、その先端から40mmまでを曲率半径R1が150mmの湾曲形状を上下面に設けた。剥離体先端の曲率半径R2を1.5mmとし、剥離体先端の角度を10°とした。
【0047】
比較例1の剥離体は、その側面断面視において全長を80mm、その先端から80mmまでを平面とした。剥離体先端の曲率半径R2を1.5mmとし、剥離体先端の角度を10°とした。
【0048】
(評価方法)
実施例および比較例ともにn=300枚での気泡発生率(%)を目視検査で評価した。表1にその結果を示す。
【0049】
【表1】

【0050】
表1の結果から、実施例1〜6はいずれも、比較例1よりも気泡発生率が低い。剥離体の凸状の曲面(湾曲部)が剥離体先端側に配置されている実施例2、4、5、6のほうが、そうでない実施例1、3よりも気泡発生率が低い。
【符号の説明】
【0051】
4 液晶パネル
12 キャリアフィルム
13 偏光フィルムのシート片
40 剥離体
41 凸状の曲面(湾曲部)
42 剥離体先端
60 巻取手段
103 貼付手段
R1 剥離体の凸状の曲面(湾曲部)の曲率半径
R2 剥離体先端の曲率半径
Y 液晶表示素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤を含む偏光フィルムのシート片が形成されている長尺のキャリアフィルムを巻き掛けることで、前記偏光フィルムから前記キャリアフィルムを剥離する剥離体と、
前記剥離体で剥離された前記キャリアフィルムを巻き取る巻取手段と、
前記偏光フィルムの前記粘着剤の粘着面と液晶パネルとを貼り付ける貼付手段とを有する液晶表示素子の製造システムであって、
前記剥離体は、前記キャリアフィルムが接する当該剥離体の面のうち、当該剥離体先端を境にして少なくとも上流側の面が、前記キャリアフィルムの搬送方向に対して凸状の曲面となっており、さらに、前記剥離体の凸状の曲面が前記キャリアフィルムを押し上げるように配置される、液晶表示素子の製造システム。
【請求項2】
前記剥離体先端から前記凸状の曲面が形成されている、請求項1に記載の液晶表示素子の製造システム。
【請求項3】
粘着剤を含む偏光フィルムのシート片が形成されている長尺のキャリアフィルムを剥離体に巻き掛けることで、前記偏光フィルムから前記キャリアフィルムを剥離する剥離工程と、
前記剥離工程で剥離された前記キャリアフィルムを巻き取る巻取工程と、
前記偏光フィルムの前記粘着剤の粘着面と液晶パネルとを貼付手段で貼り付ける貼付工程とを有する液晶表示素子の製造方法であって、
前記キャリアフィルムが接する前記剥離体の面のうち、前記剥離体先端を境にして少なくとも上流側の面が、前記キャリアフィルムの搬送方向に対して凸状の曲面となっており、さらに、前記剥離体の凸状の曲面が前記キャリアフィルムを押し上げるように配置される、液晶表示素子の製造方法。
【請求項4】
前記剥離体先端から前記凸状の曲面が形成されている、請求項3に記載の液晶表示素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−242607(P2012−242607A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112532(P2011−112532)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】