説明

液晶表示素子

【課題】表示特性の経時的変化を抑制する信頼性に優れた液晶表示素子を提供すること。
【解決手段】ネマチック液晶材料およびカイラル材料を含む液滴粒子6が固相バインダー樹脂5中に分散されてなる液晶シート層4を一対の電極3,7間に有し、ネマチック液晶材料がハロゲン原子含有液晶性化合物をネマチック液晶材料全量に対して30重量%以上含むことを特徴とする液晶表示素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子、特に液晶が高分子樹脂中に分散された液晶シート層を有する液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶を高分子樹脂中に分散させた液晶シート層を有する液晶表示素子の研究がなされている(例えば特許文献1、2)。この液晶シート層は固相高分子樹脂中に液晶の液滴が分散された構成となっているため、柔軟で、屈曲や押圧にも表示した像が変化しないという特徴を有している。また、基板を介さないで複数の液晶シート層を直接積層することが可能なため、多色化にも適している。
【0003】
液晶シート層は、一般に、バインダーとしての高分子樹脂を溶解した水溶液に、少なくとも液晶を含む油性相を粒子状に分散させたものを塗布・乾燥することによって形成される。このように液晶シート層は塗布による形成が可能であるから、低コストで液晶表示素子を提供することが可能である。
【特許文献1】米国特許第6585849号明細書
【特許文献2】米国特許第6690447号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、液晶シート層の形成に際し、水やバインダーを使用して液晶を含む油性相の液滴化を行うため、水やバインダー中に含まれる不純物イオンが液晶の液滴中に取り込まれ、結果として液晶表示素子の表示特性が経時的に変化するという信頼性の問題が生じていた。例えば、白表示時の明るさや白表示時と黒表示時とのコントラストが経時的に低下した。
【0005】
本発明は、表示特性の経時的変化を抑制する信頼性に優れた液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ネマチック液晶材料およびカイラル材料を含む液滴粒子が固相バインダー樹脂中に分散されてなる液晶シート層を一対の電極間に有し、ネマチック液晶材料がハロゲン原子含有液晶性化合物をネマチック液晶材料全量に対して30重量%以上含むことを特徴とする液晶表示素子に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液晶表示素子は、液晶の液滴中への不純物イオンの取り込みが抑制されるので、表示特性は経時的にほとんど変化せず、結果として優れた信頼性を発揮する。
本発明の液晶表示素子は、液晶層がシート形態を有するため、外部圧力による液晶の配向変化が起こり難く、また取扱いが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の一実施形態である液晶表示素子の断面構造を示す概略斜視図である。図1に示す液晶表示素子1は、基板2上にストライプ状に形成された第1の電極3と第2の電極7との間に、液晶シート層4を有してなり、第2の電極7の上には保護層8が形成されている。第1の電極3と液晶シート層4との間および/または液晶シート層4と第2の電極7との間には絶縁層を有しても良い。
以下、本発明に係る液晶表示素子の各構成要素の詳細について、順次説明する。
【0009】
(基板)
基板2は、その上に形成される電極、液晶シート層を保持できれば特に制限されないが、基板側から素子の表示を観察する場合は、透光性を有するものである。透光性を有する基板として、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレート等の柔軟な透明樹脂フィルムまたはガラス等が使用可能である。
【0010】
(電極)
第1の電極3および第2の電極7はともに平行な複数のストライプ状に形成され、第1の電極3と第2の電極7とは互いに交差するように向かい合わされて配置される。第1の電極3および第2の電極7は少なくとも一方を透光性を有する電極とする。特に、基板側から素子の表示を観察する場合は、少なくとも第1の電極3を透光性を有する電極とする。
【0011】
透光性を有する電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。透明電極を形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。
【0012】
透光性を有さなくても良い電極の材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の公知の金属種を用いることができる。具体的には、銀ペースト等を電極材料として用いることができる。そのような電極の作製方法は、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、CVD法、リソグラフィ法、レーザーエッチング法、静電誘導方式のインクジェット法、ディッピング法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の既存の方法を用いることができる。
【0013】
第1の電極および第2の電極の表面抵抗値は300Ω/□以下が好ましい。電極の厚みは特に制限はないが、特に透明電極の場合で0.1〜20μmであるのが一般的である。
【0014】
(液晶シート層)
液晶シート層4は、固相バインダー樹脂5中に液晶組成物を含む液滴粒子6が分散されてなっている。
【0015】
バインダー樹脂5は水溶性を有し、透明または半透明で無色の天然ポリマー、合成ポリマー及び合成コポリマーが好ましく使用される。そのようなバインダー樹脂の具体例として、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、カゼイン、デンプン、セルロースエステル類等が挙げられる。より好ましくはポリビニルアルコールである。バインダー樹脂は2種以上を併用して用いてもよい。
【0016】
バインダー樹脂が有する水溶性は、液晶シート層を後述する厚みで形成可能な程度の量でバインダー樹脂が水に溶解されればよく、例えば、バインダー樹脂は、水100重量部に対して少なくとも0.5重量部のバインダー樹脂が溶解され得る程度の水溶性を有すればよい。
【0017】
ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、カチオン性基を有するカチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン性基を有するノニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール等も含まれる。
【0018】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは平均重合度が1000以上のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1500〜5000のものが好ましく用いられる。ケン化度は50〜100%のものが好ましく、60〜99.5%のものが特に好ましい。
【0019】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられる。これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得ることができる。カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールにおけるカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0020】
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0021】
ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは重合度や変性の種類などが異なる2種類以上を併用することもできる。
【0022】
液晶表示素子においてバインダー樹脂相5は液晶シート層の膜強度を確保する為に重要であり、バインダー樹脂と共に膜厚を一定化するため、バインダー樹脂相中に樹脂柱構造物やスペーサー粒子が配置されてもよいが、製造工程の簡略化からそれらは特に使用しないことが好ましい。
【0023】
液滴粒子6に含まれる液晶組成物はコレステリック相を示すものが好ましく、カイラルネマチック液晶を用いる。カイラルネマチック液晶はコレステリック相を示す液晶の代表的なもので、ネマチック液晶材料およびカイラル材料を含んでなっている。このカイラルネマチック液晶は、一般に、棒状の液晶分子がねじれた配列をなし、コレステリック相を示している。この液晶に光が入射すると、ヘリカル軸に対して平行な方向から光が入射した場合、λ=npで示される波長の光を選択反射する(プレーナ状態)。ここで、λは波長、nは液晶分子の平均屈折率、pは液晶分子が360°ねじれている距離である。一方、ヘリカル軸に対して垂直な方向から光が入射した場合、光は反射することなく透過する(フォーカルコニック状態)。この選択反射及び透過を利用して表示が行われる。
【0024】
本実施形態においてネマチック液晶材料はハロゲン原子含有液晶性化合物をネマチック液晶材料全量に対して30重量%以上、好ましくは30〜98重量%、より好ましくは50〜98重量%含む。これによって、液晶の液滴中への不純物イオンの取り込みが有効に抑制されるので、表示特性の経時的変化を抑制でき、結果として優れた信頼性を発揮する。ハロゲン原子含有液晶性化合物の含有量が少なすぎると、液晶の液滴中への不純物イオンの取り込みが十分に抑制されず、表示特性の経時的変化を十分に抑制できない。
【0025】
ハロゲン原子含有液晶性化合物は、いわゆるネマチック液晶化合物のうち、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子からなる群から選択される1種類以上のハロゲン原子を含有する液晶性化合物であり、好ましくはフッ素原子または塩素原子の少なくとも一方の原子を含有する液晶性化合物である。ハロゲン原子含有液晶性化合物はシアノ基を含有してもよい。ハロゲン原子含有液晶性化合物は2種類以上の化合物が含有されてよく、その場合それらの合計量が上記範囲内であればよい。
【0026】
ハロゲン原子含有液晶性化合物として、例えば、エステル型液晶性化合物、トラン型液晶性化合物、および直接結合型液晶性化合物等が挙げられる。
【0027】
ハロゲン原子含有エステル型液晶性化合物は、ベンゼン環およびシクロヘキサン環から選択される2個の環がエステル結合(−COO−)によって連結されてなるエステル部位を有し、かつハロゲン原子を含有する液晶性化合物である。
【0028】
そのようなハロゲン原子含有エステル型液晶性化合物として、例えば、一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
【0029】
【化1】

【0030】
一般式(A)中、R1aはアルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、またはシクロアルキル基であり、好ましくはアルキル基である。本明細書中、ハロアルキル基はアルキル基の少なくとも1つの水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子または/およびヨウ素原子で置換されたアルキル基である。R1aのアルキル基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。R1aのアルコキシ基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルコキシ基の具体例として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。R1aのハロアルキル基は炭素数が好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。ハロアルキル基の具体例として、例えば、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子または塩素原子で置換された炭素数1〜3のアルキル基が挙げられ、より好ましくはパーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パークロロメチル基、パークロロエチル基、パークロロ−n−プロピル基等が挙げられる。R1aのシクロアルキル基は炭素数が好ましくは3〜6、より好ましくは5〜6である。シクロアルキル基の具体例として、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0031】
2aは水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)、アルキル基、アルコキシ基、またはハロアルキル基であり、好ましくはハロゲン原子またはハロアルキル基である。R2aのハロゲン原子は好ましくはフッ素原子または塩素原子である。R2aのアルキル基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜3である。アルキル基の具体例はR1aのアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。R2aのアルコキシ基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜3である。アルコキシ基の具体例はR1aのアルコキシ基の具体例と同様のものが挙げられる。R2aのハロアルキル基は炭素数が好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。ハロアルキル基の具体例はR1aのハロアルキル基の具体例と同様のものが挙げられ、より好ましくはパーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パークロロメチル基、パークロロエチル基、パークロロ−n−プロピル基等が挙げられる。
【0032】
3a〜R10aはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)であり、好ましくは水素原子、フッ素原子または塩素原子である。
【0033】
n1およびn2はそれぞれ独立して0または1であって、n1+n2は1または2、好ましくは1である。
【0034】
但し、一般式(A)がn2の値に応じて有する基(R1a〜R10a)のうち少なくとも1つの基はハロゲン原子含有基である。例えば、n2=1のとき、R1a〜R10aのうち少なくとも1つの基がハロゲン原子含有基である。また例えば、n2=0のとき、R1a〜R6aのうち少なくとも1つの基がハロゲン原子含有基である。R1aについてハロゲン原子含有基であるとは、ハロアルキル基であるという意味である。R2aについてハロゲン原子含有基であるとは、ハロゲン原子またはハロアルキル基であるという意味である。R3a〜R10aについてハロゲン原子含有基であるとは、ハロゲン原子であるという意味である。
【0035】
例えば、n1=0、n2=1のとき、R1a〜R10aは以下の組み合わせ(SA1)であることが好ましく、より好ましくは以下の組み合わせ(SA2)である。
(SA1)R1aは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基である;R2aは水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10のアルキル基である;R3a〜R6aはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である;R7a〜R10aは水素原子である;但し、R2a〜R6aのうち少なくとも1つの基はハロゲン原子含有基である。
【0036】
(SA2)R1aは炭素数1〜6のアルキル基である;R2aはハロゲン原子である;R3a〜R6aはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である;R7a〜R10aは水素原子である。
【0037】
また例えば、n1=1、n2=0のとき、R1a〜R6aは以下の組み合わせ(SA3)であることが好ましく、より好ましくは以下の組み合わせ(SA4)である。
(SA3)R1aは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜5のハロアルキル基、または炭素数3〜6のシクロアルキル基である;R2aはハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜10のハロアルキル基である;R3a〜R6aはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である;但し、R1a〜R6aのうち少なくとも1つの基はハロゲン原子含有基である。
【0038】
(SA4)R1aは炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数3〜6のシクロアルキル基である;R2aはハロゲン原子、または炭素数1〜3のハロアルキル基である;R3a〜R6aはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である。
【0039】
ハロゲン原子含有エステル型液晶性化合物の好ましい具体例を以下に例示する。
【0040】
【化2】

【0041】
【化3】

【0042】
【化4】

【0043】
【化5】

【0044】
ハロゲン原子含有トラン型液晶性化合物は、ベンゼン環およびシクロヘキサン環から選択される2個の環がアセチレン結合(−C≡C−)によって連結されてなるトラン誘導体部位を有し、かつハロゲン原子を含有する液晶性化合物である。
【0045】
そのようなハロゲン原子含有トラン型液晶性化合物として、例えば、一般式(B)で表される化合物が挙げられる。
【0046】
【化6】

【0047】
一般式(B)中、R1bはアルキル基、またはアルコキシ基である。R1bのアルキル基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。R1bのアルコキシ基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルコキシ基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルコキシ基の具体例と同様のものが挙げられる。
【0048】
2bはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)、ハロアルキル基、またはハロアルコキシ基であり、好ましくはハロゲン原子である。本明細書中、ハロアルコキシ基はアルコキシ基の少なくとも1つの水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子または/およびヨウ素原子で置換されたアルコキシ基である。R2bのハロゲン原子は好ましくはフッ素原子または塩素原子である。R2bのハロアルキル基は炭素数が好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。ハロアルキル基の具体例はR1aのハロアルキル基の具体例と同様のものが挙げられ、より好ましくはパーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パークロロメチル基、パークロロエチル基、パークロロ−n−プロピル基等が挙げられる。R2bのハロアルコキシ基は炭素数が好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。ハロアルコキシ基の具体例として、例えば、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子または塩素原子で置換された炭素数1〜3のアルコキシ基が挙げられ、より好ましくはトリフルオロエトキシ基、トリクロロエトキシ基、パーフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロ−n−プロポキシ基、パークロロメトキシ基、パークロロエトキシ基、パークロロ−n−プロポキシ基等が挙げられる。
【0049】
3b〜R10bはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)であり、好ましくは水素原子、フッ素原子または塩素原子である。
【0050】
n3およびn4はそれぞれ独立して0または1であって、n3+n4は1または2である。特に、n4は1であることが好ましい。
【0051】
例えば、n3=0、n4=1のとき、R1b〜R10bは以下の組み合わせ(SB1)であることが好ましく、より好ましくは以下の組み合わせ(SB2)である。
(SB1)R1bは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基である;R2bはハロゲン原子、炭素数1〜5のハロアルキル基または炭素数1〜5のハロアルコキシ基である;R3b〜R6bはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である;R7b〜R10bは水素原子である。
【0052】
(SB2)R1bは炭素数1〜6のアルキル基である;R2bはハロゲン原子である;R3b〜R6bはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である;R7b〜R10bは水素原子である。
【0053】
例えば、n3=1、n4=1のとき、R1b〜R10bは以下の組み合わせ(SB3)であることが好ましい。
(SB3)R1bは炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基である;R2bはハロゲン原子である;R3b〜R6bはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である;R7b〜R10bは水素原子である。
【0054】
ハロゲン原子含有トラン型液晶性化合物の好ましい具体例を以下に例示する。
【0055】
【化7】

【0056】
【化8】

【0057】
【化9】

【0058】
【化10】

【0059】
ハロゲン原子含有直接結合型液晶性化合物は、当該化合物に含有されるベンゼン環、シクロヘキサン環、および/または複素環の全ての環が直接的に単結合(−)によって連結されてなり、かつハロゲン原子を含有する液晶性化合物である。
本明細書中、複素環はピリミジン環、ピリジン環、ジオキサン等の複素環を意味する。
【0060】
そのようなハロゲン原子含有直接結合型液晶性化合物として、例えば、一般式(C)で表される化合物が挙げられる。
【0061】
【化11】

【0062】
一般式(C)中、R1cはアルキル基、アルコキシ基、またはシクロアルキル基であり、好ましくはアルキル基である。R1cのアルキル基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。R1cのアルコキシ基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルコキシ基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルコキシ基の具体例と同様のものが挙げられる。R1cのシクロアルキル基は炭素数が好ましくは3〜6、より好ましくは5〜6である。シクロアルキル基の具体例は一般式(A)におけるR1aのシクロアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。
【0063】
2cは水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)、アルキル基、またはアルコキシ基であり、好ましくは水素原子またはハロゲン原子である。R2cのハロゲン原子は好ましくはフッ素原子または塩素原子である。R2cのアルキル基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。R2cのアルコキシ基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルコキシ基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルコキシ基の具体例と同様のものが挙げられる。
【0064】
3c〜R14cはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)であり、好ましくは水素原子、フッ素原子または塩素原子である。
【0065】
Ar1cはピリミジン−2,5−ジイル基、またはピリジン−2,5−ジイル基である。好ましくはピリミジン−2,5−ジイル基である。
【0066】
n5、n6、n7およびn8はそれぞれ独立して0または1であって、n5+n6+n7+n8は1または2である。
【0067】
但し、一般式(C)がn7およびn8の値に応じて有する基(R2c〜R14c)のうち少なくとも1つの基はハロゲン原子含有基である。例えば、n7=1、n8=1のとき、R2c〜R14cのうち少なくとも1つの基がハロゲン原子含有基である。また例えば、n7=0、n8=1のとき、R2c〜R10cのうち少なくとも1つの基がハロゲン原子含有基である。また例えば、n7=1、n8=0のとき、R2c〜R6cおよびR11c〜R14cのうち少なくとも1つの基がハロゲン原子含有基である。R2c〜R14cについてハロゲン原子含有基であるとは、ハロゲン原子であるという意味である。
【0068】
例えば、n5=0、n6=0、n7=1、n8=1のとき、R1c〜R14cは以下の組み合わせ(SC1)であることが好ましく、より好ましくは以下の組み合わせ(SC2)である。
(SC1)R1cは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または炭素数3〜6のシクロアルキル基である;R2cはハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基である;R3c〜R14cはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である;但し、R2c〜R14cのうち少なくとも1つの基はハロゲン原子である。
【0069】
(SC2)R1cは炭素数1〜6のアルキル基である;R2cはハロゲン原子である;R3c〜R14cはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である。
【0070】
また例えば、n5=0、n6=0、n7=0、n8=1のとき、R1c〜R10cは以下の組み合わせ(SC3)であることが好ましい。
(SC3)R1cは炭素数1〜3のアルキル基である;R2cは水素原子である;R3c〜R10cはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である;但し、R3c〜R10cのうち少なくとも1つの基はハロゲン原子である。
【0071】
また例えば、n5=0、n6=1、n7=0、n8=0のとき、R1c〜R6cは以下の組み合わせ(SC4)であることが好ましい。
(SC4)R1cは炭素数1〜6のアルキル基である;R2cは水素原子である;R3c〜R6cはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である;但し、R3c〜R6cのうち少なくとも1つの基はハロゲン原子である。
【0072】
また例えば、n5=1、n6=0、n7=0、n8=0のとき、R1c〜R6cおよびAr1cは以下の組み合わせ(SC5)であることが好ましい。
(SC5)R1cは炭素数1〜6のアルキル基である;R2c〜R6cはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である;Ar1cはピリミジン−2,5−ジイル基またはピリジン−2,5−ジイル基である;但し、R2c〜R6cのうち少なくとも1つの基はハロゲン原子である。
【0073】
ハロゲン原子含有直接結合型液晶性化合物の好ましい具体例を以下に例示する。
【0074】
【化12】

【0075】
【化13】

【0076】
【化14】

【0077】
ハロゲン原子含有液晶性化合物は少なくともハロゲン原子含有エステル型液晶性化合物およびハロゲン原子含有トラン型液晶性化合物を組み合わせて含有されることが好ましく、より好ましくはハロゲン原子含有エステル型液晶性化合物、ハロゲン原子含有トラン型液晶性化合物およびハロゲン原子含有直接結合型液晶性化合物を組み合わせて含有される。
【0078】
ネマチック液晶材料は上記ハロゲン原子含有液晶性化合物以外に、他の液晶性化合物を含んでも良い。そのような他の液晶性化合物として、例えば、ハロゲン原子を含有しないが、シアノ基を含有するシアノ基含有液晶性化合物、ハロゲン原子およびシアノ基を含有しないハロゲン原子−シアノ基フリー液晶性化合物等が挙げられる。
【0079】
シアノ基含有液晶性化合物は、素子の信頼性のさらなる向上の観点から、含有量がネマチック液晶材料全量に対して10重量%以下、特に3重量%以下であることが好ましい。
【0080】
シアノ基含有液晶性化合物の具体例として、例えば、以下に示す化合物(D1)〜(D22)等が挙げられるが、以下の化合物に限定されるものではない。
【0081】
【化15】

【0082】
【化16】

【0083】
ハロゲン原子−シアノ基フリー液晶性化合物は、液晶組成物の粘度、屈折率、誘電率、相転移点などの物性値を調整するために好ましく含有される。ハロゲン原子−シアノ基フリー液晶性化合物の含有量は特に制限されず、通常はネマチック液晶材料全量に対して30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
【0084】
ハロゲン原子−シアノ基フリー液晶性化合物として、例えば、エステル型液晶性化合物、トラン型液晶性化合物、および直接結合型液晶性化合物等が挙げられ、それらの化合物からなる群から選択される1種類以上の液晶性化合物が使用される。2種類以上のハロゲン原子−シアノ基フリー液晶性化合物が使用される場合それらの合計含有量が前記範囲内であればよい。
【0085】
ハロゲン原子−シアノ基フリーエステル型液晶性化合物は、ベンゼン環およびシクロヘキサン環から選択される2個の環がエステル結合(−COO−)によって連結されてなるエステル部位を有し、かつハロゲン原子もシアノ基も含有しない液晶性化合物である。
【0086】
そのようなハロゲン原子−シアノ基フリーエステル型液晶性化合物として、例えば、一般式(E−I)で表される化合物が挙げられる。
【0087】
【化17】

【0088】
一般式(E−I)中、R1eはアルキル基、またはアルコキシ基であり、好ましくはアルキル基である。R1eのアルキル基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。R1eのアルコキシ基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルコキシ基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルコキシ基の具体例と同様のものが挙げられる。
【0089】
2eは水素原子、アルキル基、またはアルコキシ基であり、好ましくはアルキル基である。R2eのアルキル基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。R2eのアルコキシ基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルコキシ基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルコキシ基の具体例と同様のものが挙げられる。
【0090】
n11およびn12はそれぞれ独立して0〜2の整数、好ましくは0または1であって、n11+n12は1〜3の整数、好ましくは1または2である。
【0091】
ハロゲン原子−シアノ基フリーエステル型液晶性化合物の具体例として、例えば、後述の化合物(E1)〜(E2)等が挙げられる。
【0092】
ハロゲン原子−シアノ基フリートラン型液晶性化合物は、ベンゼン環およびシクロヘキサン環から選択される2個の環がアセチレン結合(−C≡C−)によって連結されてなるトラン誘導体部位を有し、かつハロゲン原子もシアノ基も含有しない液晶性化合物である。
【0093】
そのようなハロゲン原子−シアノ基フリートラン型液晶性化合物として、例えば、一般式(E−II)で表される化合物が挙げられる。
【0094】
【化18】

【0095】
一般式(E−II)中、R3eはアルキル基、またはアルコキシ基であり、好ましくはアルコキシ基である。R3eのアルキル基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。R3eのアルコキシ基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルコキシ基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルコキシ基の具体例と同様のものが挙げられる。
【0096】
4eは水素原子、アルキル基、またはアルコキシ基であり、好ましくはアルキル基である。R4eのアルキル基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。R4eのアルコキシ基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルコキシ基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルコキシ基の具体例と同様のものが挙げられる。
【0097】
n13およびn14はそれぞれ独立して0〜3の整数、好ましくは0または1であって、n13+n14は1〜3の整数、好ましくは1または2である。より好ましくはn13は0、n14は1である。
【0098】
ハロゲン原子−シアノ基フリートラン型液晶性化合物の具体例として、例えば、後述の化合物(E3)〜(E6)等が挙げられる。
【0099】
ハロゲン原子−シアノ基フリー直接結合型液晶性化合物は、当該化合物に含有されるベンゼン環、シクロヘキサン環、および/または複素環の全ての環が直接的に単結合(−)によって連結されてなり、かつハロゲン原子もシアノ基も含有しない液晶性化合物である。
【0100】
そのようなハロゲン原子−シアノ基フリー直接結合型液晶性化合物として、例えば、一般式(E−III)で表される化合物が挙げられる。
【0101】
【化19】

【0102】
一般式(E−III)中、R5eはアルキル基、またはアルコキシ基である。R5eのアルキル基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。R5eのアルコキシ基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルコキシ基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルコキシ基の具体例と同様のものが挙げられる。
【0103】
6eは水素原子、アルキル基、またはアルコキシ基である。R6eのアルキル基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。R6eのアルコキシ基は炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルコキシ基の具体例は一般式(A)におけるR1aのアルコキシ基の具体例と同様のものが挙げられる。
【0104】
Ar1eはピリミジン−2,5−ジイル基、またはピリジン−2,5−ジイル基である。好ましくはピリミジン−2,5−ジイル基である。
【0105】
n15は0〜2の整数、好ましくは0または1である。
n16は0〜2の整数、好ましくは0〜1の整数である。
n17は0〜2の整数、好ましくは0〜2の整数である。
n15+n16+n17は2〜4の整数、好ましくは2または3である。
【0106】
ハロゲン原子−シアノ基フリー直接結合型液晶性化合物の具体例として、例えば、後述の化合物(E7)〜(E12)等が挙げられる。
【0107】
ハロゲン原子−シアノ基フリー液晶性化合物の具体例をまとめて以下に示す。
【0108】
【化20】

【0109】
ハロゲン原子含有液晶性化合物およびハロゲン原子−シアノ基フリー液晶性化合物を組み合わせて使用する場合、エステル型、トラン型および直接結合型のものを組み合わせて使用することが好ましい。
【0110】
例えば、ハロゲン原子含有液晶性化合物としてエステル型液晶性化合物を使用しない場合、ハロゲン原子−シアノ基フリー液晶性化合物としてエステル型液晶性化合物を使用することが好ましい。
また例えば、ハロゲン原子含有液晶性化合物としてトラン型液晶性化合物を使用しない場合、ハロゲン原子−シアノ基フリー液晶性化合物としてトラン型液晶性化合物を使用することが好ましい。
また例えば、ハロゲン原子含有液晶性化合物として直接結合型液晶性化合物を使用しない場合、ハロゲン原子−シアノ基フリー液晶性化合物として直接結合型液晶性化合物を使用することが好ましい。
【0111】
カイラル材料は、カイラルネマチック液晶の分野で棒状の液晶分子をねじれた配列構造とするために一般的に使用されているものが使用可能であり、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
【0112】
【化21】

【0113】
カイラル材料は、素子の信頼性のさらなる向上の観点から、ハロゲン原子を含有する化合物を使用することが好ましく、より好ましくはシアノ基を含有せず、かつフッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等から選択される1種類以上のハロゲン原子、特にフッ素原子または塩素原子の少なくとも一方の原子を含有する化合物を使用する。
【0114】
カイラル材料の含有量は、カイラルネマチック液晶がコレステリック相を示す限り特に制限されず、通常はネマチック液晶材料とカイラル材料との合計量に対して5〜50重量%であり、好ましくは5〜40重量%である。カイラル材料は2種類以上使用されてよく、その場合それらの合計量が上記範囲内であればよい。特にシアノ基を含有するカイラル材料を使用する場合、シアノ基を含有しないカイラル材料を併用することが好ましい。
【0115】
液滴粒子を構成する液晶組成物にはネマチック液晶材料およびカイラル材料以外に二色性色素、紫外線(UV)吸収剤等の添加剤が含有されてもよい。
【0116】
液晶シート層における液滴粒子6の平均分散粒径は特に制限されるものではなく、通常は1〜50μmであり、好ましくは1〜20μmである。
【0117】
液晶シート層の形成に際しては、まず、バインダー樹脂が溶解された水溶液(水性相)に、少なくとも前記液晶組成物を含む油性相を粒子状に分散させて塗布液を調製する。塗布液における油性相の液滴粒子はそのまま水性相中に分散されていてもよいが、バインダ中に分散させて、様々なものの表面に塗布できる、あるいは圧力や曲げに強い、などの観点から、表面に固相の壁材が形成されていることが好ましい。表面に壁材が形成された油性相の液滴粒子を以下、マイクロカプセル粒子と呼ぶものとする。すなわち、マイクロカプセル粒子は、表面に固相の壁材が形成されながらも、その内部には液状の油性相が含有されている粒子である。
【0118】
そのような好ましい塗布液の調製方法としては、例えば、in−situ法、界面重合法、コアセルベーション法等を採用できる。
【0119】
例えば、in−situ法では、壁材構成モノマーを油性相に含有させておき、加熱することにより、当該モノマーの重合を行い、油性相の液滴粒子表面に壁材を形成する。詳しくは、バインダー樹脂が溶解された水性相に、前記ネマチック液晶材料、前記カイラル材料、壁材構成モノマーおよび有機溶媒を含む油性相を粒子状に分散させてエマルジョンを得た後、系全体を加熱することによって上記モノマーの重合を油性相粒子と水性相との界面で進行させる(マイクロカプセル化)。その結果、マイクロカプセル粒子が水性相中に分散された塗布液が得られる。
【0120】
壁材構成モノマーとしては、例えば、多価イソシアネート、ポリアミン、ポリオール等が単独でまたは組み合わせて使用可能である。例えば、多価イソシアネートを単独で用いた場合、油性相中に溶解されたイソシアネートが加熱されることで重合し、皮膜を形成する。また例えば、多価イソシアネートとポリアミンを組み合わせて用いた場合、壁材としてポリ尿素樹脂が得られる。また例えば、多価イソシアネートとポリオールを組み合わせて用いた場合、壁材としてポリウレタンが得られる。
【0121】
有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、トルエン、MEK、アセトン等が挙げられる。
【0122】
油性相に予め補強材を溶解させておくことにより、マイクロカプセル壁の強度を向上させることができる。そのような補強材として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、アクリル樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ジエン樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、アラミド、ポリイミド、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−キシレン、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリヒダントイン、ポリパラバン酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジアゾール、ポリキノキサリン等が挙げられる。
【0123】
また例えば、in−situ法では、油溶性モノマーを反応させて皮膜を作るのに対し、界面重合法は油溶性モノマーと水溶性モノマーを反応させる。
【0124】
また例えば、コアセルベーション法では、2種類の水溶性高分子(例:アラビアゴムとゼラチン)の水溶液をpH・温度を調整して相分離させてカプセルを作成する。
【0125】
塗布液を得た後は、当該塗布液を第1の電極3上に塗布し、乾燥することによって、液晶シート層4を得ることができる。第1の電極3と液晶シート層4との間に絶縁層を形成する場合は、当該絶縁層の上に塗布液を塗布し、乾燥すればよい。塗布量は特に制限されず、例えば、乾燥後の塗布量で1mあたり100g以下が好ましく、特に20g以下にするのが適当である。
【0126】
塗布液中のマイクロカプセル粒子の粒径を均一化することによって、液晶シート層中における液滴粒子の粒径の均一化を達成できる。これによって、しきい値電圧を低くできる(小さいカプセル→電圧アップ)。マイクロカプセル粒子の粒径均一化は、塗布液からマイクロカプセル粒子を取り出して乾燥・分級することによって達成できる。乾燥方法としては、スプレードライヤ、ロータリー乾燥機、バンド乾燥機等の乾燥方法を用いた方法が挙げられ、中でも、スプレードライヤまたはロータリー乾燥機が乾燥の迅速性が高いうえ乾燥と同時にマイクロカプセル表面のコーティングが可能であり、かつ乾燥後、マイクロカプセルの凝集が少ないため好ましい。スプレードライヤは、前記マイクロカプセルをノズルより噴出させ、マイクロカプセルを含有する液滴と温風とを混合させることにより乾燥させるものであって、市販のスプレードライヤを好適に用いることができる。また、ロータリー乾燥機は、円筒状のドライヤー本体中にカプセルを供給し、乾燥室自身または、撹拌スクリュウを回転させることにより、乾燥させるものであって、例えば、(株)大和三光製作所から市販されている。本発明の分級する方法としては、比重方式、ふるい方式などが挙げられ、破壊されたマイクロカプセルの除去もされるなどの点で比重方式が好ましい。比重方式としては、気流分級方式が挙げられ乾燥したマイクロカプセルを風力で撹拌し、遠心力などの効果で分級を行う方式である。日本ニューマチック工業(株)、(株)セイシン企業から市販されており、好適に用いることができる。分級・乾燥した後は、バインダー樹脂が溶解された水溶液(水性相)に再度、分散させて、塗布液を調製すればよい。
【0127】
(保護層)
保護層8は第2の電極7を水分や機械的な衝撃から保護するためのものである。保護層8として光吸収性の材料を用いると、ストライプ状になっている第2の電極7間の隙間を通過した光を吸収させ得る。第2の電極として透光性の材料を用いた場合は、保護層として光吸収性の材料を使用するのは特に効果的である。保護層8の具体例として、例えば、黒色PETフィルムが挙げられるが、他の材料のフィルムを用いてもよい。ただし、保護層8として透光性の材料を用いた場合は、保護層の上部に、光吸収性の部材を形成することが望ましい。光吸収性の電極や保護層は液晶表示装置の黒品位に影響を与えるので、反射率は少なくとも15%以下であることが望ましい。
【0128】
(製造プロセス)
図2を用いて一実施形態に係る液晶表示素子1の製造プロセスを簡単に説明する。
まず、図2(a)に示すように、基板2の上にストライプ状の第1の電極3を形成する。次いで、図2(b)に示すように、第1の電極3上に液晶シート層4を形成した後、図2(c)に示すように、液晶シート層4の上に第2の電極7を形成する。その後、図2(d)に示すように、第2の電極7の上に保護層8を形成する。
【0129】
(動作方法)
本実施形態に係る液晶表示素子の表示動作方法は、テクニカルペーパーSID国際シンポジューム要約(SID International Symposium Digest of Technical Paper)第29巻、897頁に開示されているメモリー性を有する反射型液晶表示体の動作モードを採用すればよい。この動作モードは、カイラルネマチック液晶の配向状態をプレーナ状態(光の選択反射状態)及びフォーカルコニック状態(光の透過状態)のいずれかに切り換えて表示を行う方式である。プレーナ状態及びフォーカルコニック状態は、それぞれ安定な状態であるため、一旦液晶をいずれかの状態にセットすれば、外力が加わらない限り、半永久的にその状態を維持する。即ち、画像を一旦表示すれば電源を切っても表示された画像がそのまま維持されるメモリ性を備えた反射型液晶表示素子として有用である。
【0130】
詳しくは、液晶表示素子1はコレステリック相を示す液晶の捩れを解くための第1の閾値電圧をVth1とすると、電圧Vth1を十分な時間印加した後に、電圧を第1の閾値電圧Vth1よりも小さい第2の閾値電圧Vth2以下に急に下げるとプレーナ状態になる。また、Vth2以上でVth1以下の電圧をVth3とし十分な時間印加するとフォーカルコニック状態になる。すなわちフォーカルコニック状態からプレーナ状態へはVth1、プレーナ状態からフォーカルコニック状態へはVth3を印加すればよい。この二つの状態は電圧印加を停止した後でも安定に維持される(メモリ性を有する)。また、Vth1〜Vth2間の電圧を印加することにより、プレーナ状態とフォーカルコニック状態とをミクロな状態で混在させることができ、中間調の表示、即ち、階調表示が可能である。
【0131】
具体的には、第1の電極3を透明電極とし、第2の電極7および保護層8を黒色のものとした液晶表示素子1において、第1の電極3および第2の電極7間にパルス幅5ms、電圧100Vのパルス電圧を電源9によって印加すると液晶液滴6の液晶相はプレーナ相を示し特定波長の光を反射する。したがって、液晶表示素子1を基板2の側から観察すると、例えば、反射波長が550nmのときは緑色を示す。次に、第1および第2の電極間にパルス幅5ms、電圧60Vのパルス電圧を電源9によって印加すると、液晶液滴6の液晶相はフォーカルコニック相を示し、基板2側から入射した光は液晶シート層4を透過し、第2の電極7および保護層8で吸収される。したがって、基板1側から観察すると液晶表示素子1は黒色を示す。
【0132】
本実施形態では液晶材料の選択反射波長を可視域にしているが、選択反射波長はこれに限定されるものではない。例えば、選択反射は波長を赤外域に取った場合、液晶層の散乱・透過による表示が可能になる。
【実施例】
【0133】
本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、化合物の記号および番号は前記のものに対応するものである。
(実験例1;実施例)
化合物A6を20重量部と化合物A14を13重量部と化合物B5を10重量部と化合物B16を10重量部と化合物D8を8重量部と化合物E4を11重量部と化合物E12を8重量部と、カイラル材料G1を20重量部を混合して、波長550nmの光を選択反射するカイラルネマチック液晶Aを得た。フッ素含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して66重量%、シアノ基含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して10重量%であった。
【0134】
この液晶A10重量部と、多価イソシアネートとしてタケネートD−110N(三井武田ケミカル社製)1重量部を酢酸エチル100重量部中に溶解して油相組成物を調製した。ポリビニルアルコール(PVA124C;クラレ社製)2重量部を水100重量部に溶解してポリビニルアルコール水溶液を調製した。油相組成物10重量部をポリビニルアルコール水溶液100重量部中に投入し、ミキサーで攪拌・分散して、油滴の平均粒径約8μmのエマルジョンを作製した。これを60℃で3時間攪拌しながら加熱しマイクロカプセルを作成し、塗布液とした。
【0135】
第1の電極および第2の電極として、ストライプ状パターンの電極ではなく、素子面を一様に被う全面電極を用いたこと、および保護層を形成しなかったこと以外、図1と同様の構成を有する液晶表示素子を製造した。詳しくは、基板には全面にITO膜が形成されたPES基板を用い、ITO膜を第1の電極とした。上記塗布液を第1の電極上にバーコート塗布し乾燥させ、厚み4μmの液晶シート層を形成した。次いで、銀ペースト(東洋紡製;DW−250H−5)を用いスクリーン印刷法により液晶シート層の上に第2の電極を形成した。
【0136】
液晶表示素子の表示特性(白表示時の明るさおよび白表示時と黒表示時とのコントラスト)について評価した。
液晶表示素子における第1の電極と第2の電極の間に評価電圧として、パルス幅5ms、電圧100Vのパルス電圧と、パルス幅5ms、電圧60Vのパルス電圧とを交互に印加した。試験電圧を5時間印加しても、その表示特性にはほとんど変化は見られなかった。
【0137】
(実験例2;比較例)
実験例1と異なる点は以下のカイラルネマチック液晶Bを使用した点である。すなわち、化合物D4を25重量部と化合物E1を15重量部と化合物D9を20重量部と化合物D22を15重量部と化合物E7を10重量部と、カイラル材料G3を10重量部とカイラル材料G2を5重量部混合して、波長550nmの光を選択反射するカイラルネマチック液晶Bを作成し使用した。本液晶においてフッ素含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して0重量%、シアノ基含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して71重量%であった。
【0138】
上記液晶を使用して作成した液晶表示素子に試験電圧を5時間印加すると、表示特性は試験電圧印加前に比べて大きく劣化した。これは、ハロゲン原子含有液晶性化合物を含まず、不純物を液晶中に取り込みやすいシアノ基含有化合物を60重量部含んだ液晶を使用したためと考えられる。
【0139】
(実験例3;比較例)
実験例1と異なる点は以下のカイラルネマチック液晶Cを使用した点である。すなわち、化合物E7(シアノビフェニル系液晶;メルク株式会社)を60重量部とカイラル材G3を40重量部混合して波長550nmの光を選択反射するカイラルネマチック液晶Cを作成し使用した。本液晶においてフッ素含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して0重量%であった。
【0140】
上記液晶を使用して作成した液晶表示素子に試験電圧を5時間印加すると、表示特性は試験電圧印加前に比べて大きく劣化した。これは、ハロゲン原子含有液晶性化合物を含まない液晶を使用したためと考えられる。
【0141】
(実験例4;実施例)
実験例1と異なる点は以下のカイラルネマチック液晶Dを使用した点である。すなわち、化合物C23を15重量部と化合物B18を15重量部と化合物B2を15重量部と化合物A17を15重量部と化合物A7を15重量部と化合物E10を5重量部と、カイラル材料G1を20重量部混合して、波長550nmの光を選択反射するカイラルネマチック液晶Dを作成し使用した。本液晶においてフッ素含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して94重量%、シアノ基含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して0重量%であった。
上記液晶を使用して作成した液晶表示素子に試験電圧を5時間印加しても、その表示特性には全く変化は見られなかった。
【0142】
(実験例5;実施例)
実験例1と異なる点は以下のカイラルネマチック液晶Eを使用した点である。すなわち、化合物C23を15重量部と化合物B18を15重量部と化合物B2を15重量部と化合物A17を15重量部と化合物A7を14重量部と化合物E10を5重量部と、カイラル材料G6を22重量部混合して、波長550nmの光を選択反射するカイラルネマチック液晶Eを作成し使用した。本液晶においてフッ素含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して94重量%、シアノ基含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して0重量%であった。
上記液晶を使用して作成した液晶表示素子に試験電圧を5時間印加しても、その表示特性には全く変化は見られなかった。
【0143】
(実験例6;実施例)
実験例1と異なる点は以下のカイラルネマチック液晶Fを使用した点である。すなわち、化合物C23を15重量部と化合物B18を15重量部と化合物B2を16重量部と化合物A17を17重量部と化合物A7を16重量部と化合物E10を7重量部と、カイラル材料G1を15重量部混合して、波長670nmの光を選択反射するカイラルネマチック液晶Fを作成し使用した。本液晶においてフッ素含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して92重量%、シアノ基含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して0重量%であった。
上記液晶を使用して作成した液晶表示素子に試験電圧を5時間印加しても、その表示特性には全く変化は見られなかった。
【0144】
(実験例7;実施例)
実験例1と異なる点は以下のカイラルネマチック液晶Gを使用した点である。すなわち、化合物E2を22重量部と化合物A14を10重量部と化合物B5を8重量部と化合物B16を7重量部と化合物D6を5重量部と化合物E4を15重量部と化合物E12を13重量部と、カイラル材料G1を20重量部混合して、波長550nmの光を選択反射するカイラルネマチック液晶Gを作成し使用した。本液晶においてフッ素含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して31重量%、シアノ基含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して6重量%であった。
上記液晶を使用して作成した液晶表示素子に試験電圧を5時間印加しても、その表示特性にはほぼ変化は見られなかった。
【0145】
(実験例8;実施例)
実験例1と異なる点は以下のカイラルネマチック液晶Hを使用した点である。すなわち、化合物C23を20重量部と化合物B4を15重量部と化合物A17を18重量部と化合物D8を4重量部と化合物C24を21重量部と化合物B14を7重量部と、カイラル材料G2を5重量部とカイラル材料G3を10重量部混合して、波長550nmの光を選択反射するカイラルネマチック液晶Hを作成し使用した。本液晶においてフッ素含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して95重量%、シアノ基含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して5重量%であった。
上記液晶を使用して作成した液晶表示素子に試験電圧を5時間印加しても、その表示特性にはほぼ変化は見られなかった。
【0146】
(実験例9;実施例)
実験例1と異なる点は以下のカイラルネマチック液晶Iを使用した点である。すなわち、化合物C24を15重量部と化合物B19を14重量部と化合物B4を16重量部と化合物A17を8重量部と化合物C11を7重量部と化合物A6を15重量部と化合物E10を5重量部と、カイラル材料G1を20重量部混合して、波長550nmの光を選択反射するカイラルネマチック液晶Iを作成し使用した。本液晶においてフッ素含有液晶性化合物と塩素含有液晶性化合物との合計量はネマチック液晶材料全量に対して94重量%、シアノ基含有液晶性化合物はネマチック液晶材料全量に対して0重量%であった。
上記液晶を使用して作成した液晶表示素子に試験電圧を5時間印加しても、その表示特性には全く変化は見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示素子の斜視図である。
【図2】図1に示した液晶表示素子の製造プロセスを示す断面図である。
【符号の説明】
【0148】
1:液晶表示素子、2:基板、3:第1の電極、4:液晶シート層、5:バインダー、6:液晶、7:第2の電極、8:保護層、9:電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネマチック液晶材料およびカイラル材料を含む液滴粒子が固相バインダー樹脂中に分散されてなる液晶シート層を一対の電極間に有し、
ネマチック液晶材料がハロゲン原子含有液晶性化合物をネマチック液晶材料全量に対して30重量%以上含むことを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
ネマチック液晶材料がハロゲン原子含有液晶性化合物をネマチック液晶材料全量に対して30〜98重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
【請求項3】
ハロゲン原子含有液晶性化合物がフッ素原子または塩素原子の少なくとも一方の原子を含有する1種類以上の液晶性化合物である請求項1または2に記載の液晶表示素子。
【請求項4】
ネマチック液晶材料がさらにシアノ基含有液晶性化合物をネマチック液晶材料全量に対して10重量%以下含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示素子。
【請求項5】
ネマチック液晶材料がさらに、ハロゲン原子およびシアノ基を含有しない液晶性化合物を含み、該液晶性化合物がエステル型液晶性化合物、トラン型液晶性化合物、および直接結合型液晶性化合物からなる群から選択される1種類以上の液晶性化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示素子。
【請求項6】
カイラル材料がハロゲン原子を含有するカイラル材を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液晶表示素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−26703(P2008−26703A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200654(P2006−200654)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】