説明

液晶表示素子

【課題】良好な視野角特性を得ることができる垂直配向型の液晶表示素子を提供する。
【解決手段】垂直配向型の液晶表示素子において、一方の基板2の内面に設けられた複数の画素電極4に、1つの画素を区分した4つの領域にそれぞれ対応させて、一方の偏光板の吸収軸19aに対して45°の方向の複数のスリット21,22と、前記吸収軸19aに対して60°の方向の複数のスリット23,24とを設け、他方の基板の内面に、4つの領域にそれぞれ対応させて、同じ領域に対応するスリットと平行な複数の凸条31,32,33,34を、前記スリットのピッチに対して1/2ピッチずれたピッチで設け、複数の画素毎に、電界による液晶分子の倒れ方向を、前記吸収軸19aに対して45°の第1の角度で交差する方向に規定する第1の領域41a,41bと、電界による液晶分子の倒れ方向を、前記吸収軸19aに対して30°の第2の角度で交差する方向に規定する第2の領域42a,42bとを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、垂直配向型の液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子として、予め定めた間隙を設けて対向配置された一対の基板の対向する内面それぞれに、互いに対向する領域によりマトリックス状に配列する複数の画素を形成する電極と、前記電極を覆って形成された垂直配向膜とが設けられ、前記一対の基板間の間隙に、負の誘電異方性を有する液晶からなり、液晶分子が、前記配向膜の配向性により前記基板面に対して実質的に垂直に配向し、前記電極間に印加された電界により前記基板面に対して倒れ配向する液晶層が封入され、前記一対の基板の外面にそれぞれ偏光板が配置された垂直配向型のものがある。
【0003】
この垂直配向型液晶表示素子は、TN(ツイステッドネマティック)型の液晶表示素子に比べて視野角特性が良く、また、明るい表示を行うことができる。
【0004】
前記垂直配向型液晶表示素子において、前記電界による液晶分子の倒れ方向は、前記一対の基板の内面に、前記液晶分子の倒れ方向を規定するための倒れ方向規定手段を設けることにより、前記一対の基板の外面それぞれに配置された一対の偏光板のうちの一方の偏光板の光学軸に対して予め定めた角度、一般的には45°の角度で交差する方向に規定されている。
【0005】
さらに、前記垂直配向型液晶表示素子においては、視野角特性をさらに良くするために、前記複数の画素毎の液晶分子の倒れ方向を、前記一方の偏光板の光学軸に対して一方の方向と他方の方向とにそれぞれ45°の角度で交差する2つの方向に規定し、前記複数の画素毎に、前記液晶分子が、前記一方の偏光板の光学軸に対して一方の方向に45°の角度で交差する方向に倒れ配向する領域と、前記液晶分子が、前記一方の偏光板の光学軸に対して他方の方向に前記45°の角度で交差する方向に倒れ配向する領域とを形成するようにしている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−52264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、垂直配向型液晶表示素子では、十分に広い視野角特性を得ることができない。
【0007】
この発明は、良好な視野角特性を得ることができる垂直配向型の液晶表示素子を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の請求項1に記載の液晶表示素子は、
予め定めた間隙を設けて対向配置された一対の基板と、
前記一対の基板の対向する内面それぞれに設けられ、互いに対向する領域によりマトリックス状に配列する複数の画素を形成する電極と、
前記一対の基板の内面それぞれに前記電極を覆って設けられた垂直配向膜と、
前記一対の基板間の間隙に封入され、負の誘電異方性を有する液晶からなり、液晶分子が、前記配向膜の配向性により前記基板面に対して実質的に垂直に配向し、前記電極間に印加された電界により前記基板面に対して倒れ配向する液晶層と、
前記一対の基板の外面にそれぞれ配置された一対の偏光板と、
前記複数の画素における前記電界による前記液晶分子の倒れ方向を複数の方向に規定し、前記複数の画素毎に、少なくとも、前記液晶分子が、前記一対の偏光板のうちの一方の偏光板の光学軸に対して予め定めた第1の角度で交差する方向に倒れ配向する第1の領域と、前記液晶分子が、前記一方の偏光板の光学軸に対して前記第1の角度とは絶対値が異なる予め定めた第2の角度で交差する方向に倒れ配向する第2の領域とを形成する倒れ方向規定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の液晶表示素子において、前記倒れ方向規定手段は、前記第1の領域の液晶分子の倒れ方向を、前記一方の偏光板の光学軸に対して45°±5°の角度で交差する方向に規定し、前記第2の領域の液晶分子の倒れ方向を、前記一方の偏光板の光学軸に対して60°±7.5°または30°±7.5°の角度で交差する方向に規定することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載の液晶表示素子において、前記倒れ方向規定手段は、前記複数の画素毎に、複数の第1の領域と、複数の第2の領域とを、これらの領域のうちの少なくとも1つの第1の領域と少なくとも1つの第2の領域とを互いに隣接させて形成することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の液晶表示素子において、前記倒れ方向規定手段は、前記複数の第1の領域のうちの少なくとも1つの領域の液晶分子の倒れ方向と、他の第1の領域の液晶分子の倒れ方向とをそれぞれ、前記一方の偏光板の光学軸に対して一方の方向に第1の角度で交差する方向と、前記一方の偏光板の光学軸に対して他方の方向に前記第1の角度で交差する方向とに規定し、前記複数の第2の領域のうちの少なくとも1つの領域の液晶分子の倒れ方向と、他の第2の領域の液晶分子の倒れ方向とをそれぞれ、前記一方の偏光板の光学軸に対して一方の方向に第2の角度で交差する方向と、前記一方の偏光板の光学軸に対して他方の方向に前記第2の角度で交差する方向とに規定する特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1に記載の液晶表示素子において、前記倒れ方向規定手段は、前記複数の画素毎に、液晶分子が、前記一方の偏光板の光学軸に対して予め定めた第1の角度で交差する方向に倒れ配向する第1の領域と、液晶分子が、前記一方の偏光板の光学軸に対して前記第1の角度とは絶対値が異なる予め定めた第2の角度で交差する方向に倒れ配向する第2の領域と、液晶分子が、前記一方の偏光板の光学軸に対して前記第1及び第2の角度とは絶対値が異なる予め定めた第3の角度で交差する方向に倒れ配向する第3の領域とを形成することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の液晶表示素子において、前記倒れ方向規定手段は、前記第1の領域の液晶分子の倒れ方向を、前記一方の偏光板の光学軸に対して45°±5°の角度で交差する方向に規定し、前記第2の領域の液晶分子の倒れ方向を、前記一方の偏光板の光学軸に対して60°±7.5°の角度で交差する方向に規定し、前記第3の領域の液晶分子の倒れ方向を、前記一方の偏光板の光学軸に対して30°±7.5°の角度で交差する方向に規定する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記請求項5に記載の液晶表示素子において、前記倒れ方向規定手段は、前記複数の画素毎に、複数の第1の領域と、複数の第2の領域と、複数の第3の領域とを、これらの領域のうちの少なくとも1つの第1の領域と少なくとも1つの第2または第3の領域とを互いに隣接させて形成することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載の液晶表示素子において、前記倒れ方向規定手段は、前記複数の第1の領域のうちの少なくとも1つの領域の液晶分子の倒れ方向と、他の第1の領域の液晶分子の倒れ方向とをそれぞれ、前記一方の偏光板の光学軸に対して一方の方向に第1の角度で交差する方向と、前記一方の偏光板の光学軸に対して他方の方向に前記第1の角度で交差する方向とに規定し、前記複数の第2の領域のうちの少なくとも1つの領域の液晶分子の倒れ方向と、他の第2の領域の液晶分子の倒れ方向とをそれぞれ、前記一方の偏光板の光学軸に対して一方の方向に第2の角度で交差する方向と、前記一方の偏光板の光学軸に対して他方の方向に前記第2の角度で交差する方向とに規定し、前記複数の第3の領域のうちの少なくとも1つの領域の液晶分子の倒れ方向と、他の第3の領域の液晶分子の倒れ方向とをそれぞれ、前記一方の偏光板の光学軸に対して一方の方向に第3の角度で交差する方向と、前記一方の偏光板の光学軸に対して他方の方向に前記第3の角度で交差する方向とに規定する特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、前記請求項1〜8のいずれかに記載の液晶表示素子において、前記一対の基板の内面それぞれに設けられた電極のうち、一方の基板に設けられた電極は、マトリックス状に配列された複数の画素電極、他方の基板に設けられた電極は、前記複数の画素電極と対向する対向電極であり、前記倒れ方向規定手段は、前記複数の画素電極それぞれに、電界による液晶分子の倒れ方向を異ならせる複数の領域にそれぞれ対応させて、予め定めたピッチで実質的に互いに平行に、且つ対応する前記領域の液晶分子の倒れ方向と実質的に直交する方向に沿わせて設けられた複数のスリットと、前記他方の基板の内面に、前記画素の複数の領域にそれぞれ対応させ、且つ同じ領域に対応する前記複数のスリットのピッチに対して実質的に1/2ピッチずれたピッチで前記スリットと実質的に平行に設けられた複数の凸条とにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明の垂直配向型液晶表示素子によれば、良好な視野角特性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
図1〜図3はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は垂直配向型液晶表示素子の一方の基板の一部分の平面図、図2は前記液晶表示素子の図1のII−II線に沿う断面図である。
【0019】
この垂直配向型液晶表示素子は、図1及び図2に示したように、予め定めた間隙を設けて対向配置された一対の透明基板1,2と、前記一対の基板1,2の対向する内面それぞれに設けられ、互いに対向する領域により行方向(画面の左右方向)及び列方向(画面の上下方向)にマトリックス状に配列する複数の画素を形成する透明電極3,4と、前記一対の基板1,2の内面それぞれに前記電極3,4を覆って設けられた垂直配向膜16,17と、前記一対の基板1,2間の間隙に封入され、負の誘電異方性を有するネマティック液晶からなり、液晶分子18aが、前記配向膜16,17の配向性により前記基板1,2面に対して実質的に垂直に配向し、前記電極3,4間に印加された電界により前記基板1,2面に対して倒れ配向する液晶層18と、前記一対の基板1,2の外面にそれぞれ配置された一対の偏光板19,20とにより構成されている。
【0020】
なお、この液晶表示素子は、アクティブマトリックス液晶表示素子であり、前記一対の基板1,2の内面それぞれに設けられた前記電極3,4のうち、一方の基板、例えば観察側(図2において上側)とは反対側の基板(以下、後基板という)2に設けられた電極4は、予め定めた画素形状に対応する形状に形成され、マトリックス状に配列された複数の画素電極、他方の基板、つまり観察側の基板(以下、前基板という)1に設けられた電極3は、前記複数の画素の配列領域全体にわたって形成され、前記複数の画素電極4と対向する対向電極である。
【0021】
そして、前記後基板2の内面には、前記複数の画素電極4にそれぞれ対応させて配置された複数のTFT(薄膜トランジスタ)5と、前記複数のTFT5に各行毎にゲート信号を供給する複数の走査線11と、前記複数のTFT5に各列毎にデータ信号を供給する複数の信号線12とが設けられている。
【0022】
前記複数のTFT5はそれぞれ、前記後基板2の板面上に形成されたゲート電極6と、前記ゲート電極6を覆って前記複数の画素電極4の配列領域全体に形成された透明なゲート絶縁膜7と、前記ゲート絶縁膜7の上に前記ゲート電極6と対向させて形成されたi型半導体膜8と、前記i型半導体膜8の一側部と他側部の上に図示しないn型半導体膜を介して形成されたドレイン電極9及びソース電極10とからなっている。
【0023】
また、前記複数の走査線11は、前記後基板2の板面上に形成され、各行の複数のTFT5のゲート電極6にそれぞれ接続されており、前記複数の信号線12は、前記ゲート絶縁膜7の上に形成され、各列の複数のTFT5のドレイン電極9にそれぞれ接続されている。
【0024】
前記複数の画素電極4は、前記ゲート絶縁膜7の上に形成され、対応するTFT5のソース電極10に接続されている。なお、この実施例では、前記複数の画素電極4をそれぞれ、画面の上下方向と平行な縦方向の幅と、前記画面の左右方向と平行な横方向の幅との比が略2:1の縦長の矩形形状に形成し、これらの画素電極4の縦方向の一側縁の中央部に前記TFT5のソース電極10を接続している。
【0025】
また、図では省略しているが、前記後基板2の内面には、その板面上に前記複数の画素電極3の周縁部に対応させて形成され、前記複数の画素電極3の周縁部との間に、前記ゲート絶縁膜7を誘電層とする補償容量を形成する補償容量電極が設けられている。
【0026】
さらに、前記後基板2の内面には、前記複数の信号線12を覆うオーバーコート絶縁膜13が設けられており、その上に、前記複数の画素電極4を覆って垂直配向膜17が形成されている。
【0027】
一方、前記前基板1の内面には、前記複数の画素の間の領域に対向させて形成された遮光膜14と、前記複数の画素にそれぞれ対応させて形成された赤、緑、青の3色のカラーフィルタ15R,15G,15Bが設けられ、前記カラーフィルタ15R,15G,15Bの上に前記対向電極3が形成されており、その上に垂直配向膜16が形成されている。
【0028】
そして、前記一対の基板1,2は、前記複数の画素の配列領域を囲む図示しない枠状のシール材を介して接合されており、これらの基板1,2間の前記シール材で囲まれた領域に、負の誘電異方性を有するネマティック液晶からなる液晶層18が封入されている。
【0029】
また、前記一対の基板1,2の外面にそれぞれ設けられた一対の偏光板19,20は、前記複数の画素の電極3,4間に電界を印加しない無電界時の表示が黒になるように、それぞれの光学軸、つまり互いに直交する吸収軸と透過軸のいずれか一方、例えば吸収軸を、実質的に直交させて配置されている。
【0030】
図1において、一点鎖線は、前記一対の偏光板19,20のうちの観察側に配置された前偏光板19の吸収軸19aを示しており、この実施例では、前記前偏光板19の吸収軸19aを画面の左右方向と平行にし、観察側とは反対側に配置された後偏光板20の吸収軸(図示せず)を前記画面の上下方向と平行にしている。
【0031】
さらに、この液晶表示素子は、前記複数の画素における前記電界による前記液晶分子18aの倒れ方向を複数の方向に規定し、前記複数の画素毎に、少なくとも、前記液晶分子18aが、前記一対の偏光板19,20のうちの一方の偏光板、例えば前記前偏光板19の吸収軸19aに対して予め定めた第1の角度で交差する方向に倒れ配向する第1の領域41a,41bと、前記液晶分子18aが、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して前記第1の角度とは絶対値が異なる予め定めた第2の角度で交差する方向に倒れ配向する第2の領域42a,42bとを形成する倒れ方向規定手段を備えている。
【0032】
前記倒れ方向規定手段は、前記後基板2の内面に設けられた複数の画素電極4それぞれに、前記電界による液晶分子18aの倒れ方向を異ならせる複数の領域41a,41b,42a,42bにそれぞれ対応させて、予め定めたピッチで実質的に互いに平行に、且つ対応する前記領域41a,41b,42a,42bの液晶分子18aの倒れ方向と実質的に直交する方向に沿わせて設けられた複数のスリット21,22,23,24と、他方の基板、つまり前基板1の内面に、前記画素の複数の領域41a,41b,42a,42bにそれぞれ対応させ、且つ同じ領域に対応する前記複数のスリット21,22,23,24のピッチに対して実質的に1/2ピッチずれたピッチで前記スリット21,22,23,24と実質的に平行に設けられた複数の透明な凸条31,32,33,34とにより形成されている。
【0033】
なお、前記複数の凸条31,32,33,34は、前記前基板1の内面に設けられた対向電極3の上に、感光性レジストにより、前記対向電極3側から液晶層18側に向かって幅が小さくなる断面形状、例えば逆台形状の断面形状に形成されており、前記前基板1の内面の垂直配向膜17は、前記凸条31,32,33,34を覆って形成されている。
【0034】
前記倒れ方向規定手段は、前記複数の画素それぞれの電界による液晶分子18aの倒れ方向を、前記画素の前記複数の領域41a,41b,42a,42b毎に、前記複数のスリット21,22,23,24及び凸条31,32,33,34の長さ方向に対して実質的に直交する方向に規定する。
【0035】
すなわち、前記一対の基板1,2間の間隙に封入された液晶層18の液晶分子18aは、前記垂直配向膜16,17の配向性により、前基板1の内面に設けられた前記複数の凸条31,32,33,34の近傍以外の部分おいて、基板1,2面に対して実質的に垂直に配向する。
【0036】
一方、前記複数の凸条31,32,33,34の近傍の液晶分子18aは、前記凸条31,32,33,34の頂面及び両側面に対して垂直に配向しようとするため、これらの凸条31,32,33,34に対応する部分の液晶分子18aは、前記凸条31,32,33,34を挟む一方の側と他方の側においてそれぞれ、前基板1側の液晶分子18aが、前記基板1,2の法線方向に対して、前記凸条31,32,33,34の長さ方向と実質的に直交する方向に沿って前記凸条31,32,33,34に向かう方向に斜めに傾いた状態に配向する。
【0037】
そのため、前記画素電極4と対向電極3との間に電界を印加すると、前記画素の前記複数の領域41a,41b,42a,42b毎に、前記凸条31,32,33,34を挟む一方の側と他方の側においてそれぞれ、前記凸条31,32,33,34の近傍の斜めに傾いた状態に配向している液晶分子18aが、その傾きがさらに大きくなる方向に倒れ込み、それに連れて、他の領域の液晶分子18aが、液晶分子18a相互の分子間力により倒れ方向を誘導され、前記凸条31,32,33,34の近傍の液晶分子18aの倒れ方向と同じ方向に倒れ込み配向する。
【0038】
そして、前記複数の凸条31,32,33,34は、前記画素電極3に設けられた複数のスリット21,22,23,24のピッチに対して実質的に1/2ピッチずれたピッチ、つまり、隣合うスリット21,21間、22,22間、23,23間、24,24間の中央に1つの凸条31,32,33,34が対応するピッチで設けられているため、液晶分子18aは、前記画素の前記複数の領域41a,41b,42a,42b毎に、前記隣合うスリット21,21間、22,22間、23,23間、24,24間に対応する部分及び前記画素電極4の縁部と前記縁部に最も近いスリット21,22,23,24との間に対応する部分の液晶分子18aがそれぞれ、前記凸条31,32,33,34を挟む一方の側と他方の側においてそれぞれ、前記凸条31,32,33,34の長さ方向と実質的に直交する方向に沿って互いに逆向き(凸条31,32,33,34に向かう方向)に倒れ配向する。図1において、白抜きの太い矢印は、前記複数の領域41a,41b,42a,42bそれぞれの液晶分子18aの倒れ方向を示している。
【0039】
この液晶表示素子において、前記倒れ方向規定手段は、前記第1の領域41a,41bの液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の角度で交差する方向に規定し、前記第2の領域42a,42bの液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸10aに対して実質的に60°の角度で交差する方向に規定するように形成されている。
【0040】
また、前記倒れ方向規定手段は、前記複数の画素毎に、液晶分子18aが前記前偏光板19の吸収軸19aに対して前記45°の第1の角度で交差する方向に倒れ配向する複数の第1の領域41a,41bと、液晶分子18aが前記前偏光板19の吸収軸19aに対して前記60°の第2の角度で交差する方向に倒れ配向する複数の第2の領域42a,42bとを、これらの領域41a,41b,42a,42bのうちの少なくとも1つの第1の領域41aまたは41bと少なくとも1つの第2の領域42aまたは42bとを互いに隣接させて形成するように形成されている。
【0041】
さらに、前記倒れ方向規定手段は、前記複数の第1の領域41a,41bのうちの少なくとも1つの領域の液晶分子18aの倒れ方向と、他の第1の領域の液晶分子18aの倒れ方向とをそれぞれ、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して一方の方向に前記45°の第1の角度で交差する方向と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して他方の方向に前記45°の第1の角度で交差する方向とに規定し、前記複数の第2の領域42a,42bのうちの少なくとも1つの領域の液晶分子18aの倒れ方向と、他の第2の領域の液晶分子18aの倒れ方向とをそれぞれ、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して一方の方向に前記60°の第2の角度で交差する方向と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して他方の方向に前記60°の第2の角度で交差する方向とに規定するように形成されている。
【0042】
この実施例では、上記のように縦方向と横方向の幅の比が略2:1の縦長の矩形形状に形成された画素電極4に対応する形状の画素を、前記縦方向に実質的に4等分した4つの領域に区分し、複数の画素電極4にそれぞれ、前記4つの領域にそれぞれ対応させて複数のスリット21,22,23,24を設け、前基板1の内面に前記4つの領域にそれぞれ対応させて複数の凸条31,32,33,34を設けている。
【0043】
そして、この実施例では、前記4つの領域のうちの図1において最も上の領域に対応する複数のスリット21及び凸条31を、前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に45°の方向に形成し、上から2番目の領域に対応する複数のスリット22及び凸条32を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に45°の方向に形成し、上から3番目の領域に対応する複数のスリット23及び凸条33を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に30°の方向に形成し、最も下の領域に対応する複数のスリット24及び凸条34を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に30°の方向に形成している。
【0044】
なお、前記4つの領域にそれぞれ対応するスリット21,22,23,24は、画素電極4の周縁部及び隣合う領域との境界部に対応する部分を避けて設けられており、前記画素電極4の前記スリット21,22,23,24により区切られた複数の部分は、画素電極4の周縁部及び前記4つの領域相互の境界部に対応する部分において互いに導通している。
【0045】
また、前記4つの領域にそれぞれ対応する凸条31,32,33,34は、その一端と他端がそれぞれ隣合う領域との境界部または画素の外周縁に対応する長さに形成されており、前記画素の最も上と2番目の領域にそれぞれ対応させて前記45°の方向に設けられた複数のスリット21,22のうちの前記最も上と2番目の領域の境界部に向かって延びるスリットは、前記境界部に対応する部分において互いに連続し、前記画素の3番目と最も下の2つの領域にそれそれ対応させて前記60°の方向に設けられた複数のスリット23,24のうちの前記2番目と最も下の領域の境界部に向かって延びるスリットは、前記境界部に対応する部分において互いに連続している。
【0046】
すなわち、この実施例では、前記画素の4つの領域にそれぞれ対応する前記スリット21,22,23,24及び凸条31,32,33,34を上記の方向に設け、前記4つの領域のうちの前記最も上の領域と、前記上から2つ目の領域とにより、電界によって液晶分子18aが前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の第1の角度で交差する方向に倒れ配向する第1の領域41a,41bを形成し、前記上から3つ目の領域と、前記最も下の領域とにより、電界によって液晶分子18aが前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に60°の第2の角度で交差する方向に倒れ配向する第2の領域42a,42bを形成し、さらに、前記最も上の第1の領域41aにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に前記45°の角度で交差する方向に規定し、前記上から2つ目の第1の領域41bにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に前記45°の角度で交差する方向に規定し、前記上から3つ目の第2の領域42aにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に60°の角度で交差する方向に規定し、前記最も下の第2の領域42bにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に60°の角度で交差する方向に規定している。
【0047】
この液晶表示素子は、後基板2の内面の複数の画素電極4にそれぞれ設けられた前記複数のスリット21,22,23,24と、前基板の内面に設けられた前記複数の凸条31,32,33,34とからなる倒れ方向規定手段を備えることにより、複数の画素毎に、液晶分子18aが、前偏光板19の吸収軸19aに対して予め定めた第1の角度で交差する方向に倒れ配向する第1の領域41a,41bと、液晶分子18aが、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して前記第1の角度とは絶対値が異なる予め定めた第2の角度で交差する方向に倒れ配向する第2の領域42a,42bとを形成しているため、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して前記第1の角度で交差する方向への液晶分子18aの倒れ配向に対応した第1の視野角特性と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して前記第1の角度とは絶対値が異なる第2の角度で交差する方向への液晶分子18aの倒れ配向に対応した第2の視野角特性とをもっており、したがって、前記第1と第2の視野角特性とが相乗した良好な視野角特性を得ることができる。
【0048】
また、この液晶表示素子は、電界による前記第1の領域41a,41bの液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の角度で交差する方向に規定し、前記第2の領域42a,42bの液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸10aに対して実質的に60°の角度で交差する方向に規定しているため、液晶表示素子の8つの視角に対して良好なコントラストと明るさの表示を行うことができ、より良好な視野角特性を得るとともに、明表示の輝度を高くすることができる。
【0049】
すなわち、垂直配向型液晶表示素子の明表示の輝度は、前記前偏光板19の吸収軸19aに対する液晶分子18aが倒れ配向する方向の角度が45°のときに最も高く、前記前偏光板19の吸収軸19aに対する液晶分子18aが倒れ配向する方向の角度が45°よりも大きくなるか、或いは小さくなるのにともなって低下する。
【0050】
上記実施例の液晶表示素子においては、前記第1の領域41a,41bの液晶分子18aが、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の角度で交差する方向に倒れ配向し、第2の領域42a,42bの液晶分子18aが、前偏光板19の吸収軸10aに対して実質的に60°角度で交差する方向に倒れ配向する。
【0051】
そのため、前記第1の領域41a,41bの明表示の輝度は、上述したように最も高い輝度であり、また、前記第2の領域42a,42bの明表示の輝度は、前記第1の領域の明表示の輝度の約75%の十分に高い輝度である。
【0052】
そして、この液晶表示素子は、前記第1の領域41a,41bの総面積と、前記第2の領域42a,42bの総面積との比が略等しいため、1つの画素全体の明表示の輝度は、実質的に、前記第1の領域41a,41bの明表示の輝度と前記第2の領域42a,42bの明表示の輝度との平均値である。
【0053】
図3は前記液晶表示素子の電圧−輝度特性図であり、Aは、前記第1の領域41a,41bの電圧−輝度特性、Bは、前記第2の領域42a,42bの電圧−輝度特性、Cは、1つの画素全体の電圧−輝度特性を示している。なお、図3において、縦軸の輝度値は、入射光の輝度を1としたときの出射光の輝度である。
【0054】
この電圧−輝度特性図のように、上記液晶表示素子は、1つの画素全体の明表示の輝度(第1の領域41a,41bの明表示の輝度と第2の領域42a,42bの明表示の輝度との平均値)は、前記第1の領域41a,41bの最も高い輝度の85〜87%であり、したがって、高輝度の表示を得ることができる。
【0055】
また、上記液晶表示素子は、前記複数の画素毎に、前記2つの第1の領域41a,41bと、前記2つの第2の領域42a,42bとを、これらの領域41a,41b,42a,42bのうちの1つの第1の領域(図1において上から2つ目の領域)41bと1つの第2の領域(図1において上から3つ目の領域)42aとを互いに隣接させて形成しているため、より良好な視野角特性を得ることができる。
【0056】
さらに、上記液晶表示素子は、前記後基板2の内面の複数の画素電極4にそれぞれ設けられた複数のスリット21,22,23,24と、前基板の内面に設けられた複数の凸条31,32,33,34とからなる倒れ方向規定手段を、前記2つの第1の領域41a,41bのうちの1つの領域41aの液晶分子18aの倒れ方向と、他の第1の領域41bの液晶分子18aの倒れ方向とをそれぞれ、前偏光板19の吸収軸19aに対して一方の方向に実質的に45°の第1の角度で交差する方向と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して他方の方向に前記実質的に45°の第1の角度で交差する方向とに規定し、前記2つの第2の領域42a,42bのうちの1つの領域42aの液晶分子18aの倒れ方向と、他の第2の領域42bの液晶分子18aの倒れ方向とをそれぞれ、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して一方の方向に実質的に60°の第2の角度で交差する方向と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して他方の方向に前記実質的に60°の第2の角度で交差する方向とに規定するように形成しているため、さらに良好な視野角特性を得ることができる。
【0057】
なお、上記第1の実施例の液晶表示素子において、電界による液晶分子18aの倒れ方向を、前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の第1の角度で交差する方向に規定する第1の領域41a,41bと、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に60°の第2の角度で交差する方向に規定する第2の領域42a,52bは、図1のような並び順に限らず、他の並び順で形成してもよい。
【0058】
図4及び図5はそれぞれ上記第1の実施例の変形例を示す垂直配向型液晶表示素子の一方の基板(後基板)の1つの画素部の平面図であり、図4の変形例では、前記画素の4つの領域のうちの最も上の領域と、最も下の領域とにそれぞれ対応させて、前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に45°の方向のスリット21及び凸条31と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に45°の方向のスリット22及び凸条32とを設け、上から3つ目の領域と、上から2つ目の領域とにそれぞれ対応させて、前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に30°の方向のスリット23及び凸条33と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に30°の方向のスリット24及び凸条34とを設けている。
【0059】
すなわち、この変形例は、前記画素の4つの領域のうちの前記最も上の領域と、前記最も下の領域とにより、電界によって液晶分子18aが前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の第1の角度で交差する方向に倒れ配向する第1の領域41a,41bを形成し、前記上から2つ目の領域と、前記上から3つ目の領域とにより、電界によって液晶分子18aが前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に60°の第2の角度で交差する方向に倒れ配向する第2の領域42a,42bを形成し、さらに、前記最も上の第1の領域41aにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に前記45°の角度で交差する方向に規定し、前記最も下の第1の領域41aにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に前記45°の角度で交差する方向に規定し、前記上から2つ目の第2の領域42aにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に前記60°の角度で交差する方向に規定し、前記上から3つ目の第2の領域42bにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に60°の角度で交差する方向に規定したものである。
【0060】
なお、この変形例では、画素の最も上の領域と、最も下の領域とを、液晶分子18aの倒れ方向を前記前偏光板19の吸収軸19aに対して45°の角度で交差する方向に規定する第1の領域41a,41bとし、上から2番目の領域と、上から3番目の2つの領域とを、液晶分子18aの倒れ方向を前記前偏光板19の吸収軸19aに対して30°の角度で交差する方向に規定する第1の領域42a,42bとしているが、前記最も上の領域と、最も下の領域とを、液晶分子18aの倒れ方向を前記前偏光板19の吸収軸19aに対して30°の角度で交差する方向に規定する第2の領域42a,42bとし、前記上から2番目の領域と、上から3番目の2つの領域とを、液晶分子18aの倒れ方向を前記前偏光板19の吸収軸19aに対して45°の角度で交差する方向に規定する第1の領域41a,41bとしてもよい。
【0061】
また、図5の変形例では、前記画素の4つの領域のうちの最も上の領域と、上から3つ目の領域とにそれぞれ対応させて、前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に45°の方向のスリット21及び凸条31と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に45°の方向のスリット22及び凸条32とを設け、最も下の領域と、上から2つ目の領域とにそれぞれ対応させて、前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に30°の方向のスリット23及び凸条33と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に30°の方向のスリット24及び凸条34とを設けている。
【0062】
すなわち、この変形例では、前記画素の4つの領域のうちの前記最も上の領域と、前記上から3つ目の領域とにより、電界によって液晶分子18aが前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の第1の角度で交差する方向に倒れ配向する第1の領域41a,41bを形成し、前記最も下の領域と、前記上から2つ目の領域とにより、電界によって液晶分子18aが前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に60°の第2の角度で交差する方向に倒れ配向する第2の領域42a,42bを形成し、さらに、前記最も上の第1の領域41aにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に前記45°の角度で交差する方向に規定し、前記上から3つ目の第1の領域41aにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に前記45°の角度で交差する方向に規定し、前記最も下の第2の領域42aにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に前記60°の角度で交差する方向に規定し、前記上から2つ目の第2の領域42bにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に60°の角度で交差する方向に規定している。
【0063】
なお、この変形例では、画素の最も上の領域と、上から3番目の領域とを、液晶分子18aの倒れ方向を前記前偏光板19の吸収軸19aに対して45°の角度で交差する方向に規定する第1の領域41a,41bとし、上から2番目の領域と、最も下の領域とを、液晶分子18aの倒れ方向を前記前偏光板19の吸収軸19aに対して30°の角度で交差する方向に規定する第1の領域42a,42bとしているが、前記最も上の領域と、上から3番目の領域とを、液晶分子18aの倒れ方向を前記前偏光板19の吸収軸19aに対して30°の角度で交差する方向に規定する第2の領域42a,42bとし、前記上から2番目の領域と、最も下の領域とを、液晶分子18aの倒れ方向を前記前偏光板19の吸収軸19aに対して45°の角度で交差する方向に規定する第1の領域41a,41bとしてもよい。
【0064】
さらに、上記第1の実施例及び上記図4、図5の変形例では、前記第1の領域41a,41bにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の角度で交差する方向、前記第2の領域42a,42bにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に60°の角度で交差する方向としたが、前記第1の領域41a,41bにおける液晶分子18aの倒れ方向は、前偏光板19の吸収軸19aに対して45°±5°の角度で交差する方向、前記第2の領域42a,42bにおける液晶分子18aの倒れ方向は、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して60°±7.5°の角度で交差する方向であればよく、このようにすることにより、良好な視野角特性を得、しかも明表示の輝度を高くすることができる。
【0065】
さらに、前記第2の領域42a,42bにおける液晶分子18aの倒れ方向は、前記第2の領域42a,42bに対応するスリット23,24及び凸条33,34を前偏光板19の吸収軸19aに対して60°±7.5°の方向に設けることにより、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して30°±7.5°の角度で交差する方向に規定してもよく、その場合も上記実施例と同等の視野角特性及び明表示輝度を得ることができる。
【0066】
また、上記第1の実施例及びその変形例では、各画素毎に、液晶分子18aが前偏光板19の吸収軸19aに対して45°±5°の角度で交差する方向に倒れ配向する2つの第1の領域41a,42bと、液晶分子18aが前記前偏光板19の吸収軸19aに対して60°±7.5°または30°±7.5°の角度で交差する方向に倒れ配向する2つの第2の領域42a,42bとを形成しているが、1つの画素における前記第1の領域及び第2の領域の数は、3つ以上でもよい。
【0067】
さらに、前記第1の領域及び第2の領域は、上記実施例の形状に限らず、他の形状、例えば矩形形状の画素を2つの対角線に沿って区分した三角形状等に形成してもよく、また、各画素毎の第1の領域41a,41bの総面積と、第2の領域42a,42bの総面積との比は、任意に設定すればよい。
【0068】
(第2の実施形態)
図6はこの発明の第2の実施例を示す垂直配向型液晶表示素子の一方の基板(後基板)の1つの画素部の平面図である。なお、この実施例の液晶表示素子は、上記第1の実施例とは異なる倒れ方向規定手段を備えたものであり、他の構成は第1の実施例と同じであるから、重複する説明を省略する。
【0069】
この実施例の垂直配向型液晶表示素子は、前記複数の画素毎に、液晶分子18aが、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して予め定めた第1の角度で交差する方向に倒れ配向する複数の第1の領域71a,71bと、液晶分子18aが、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して前記第1の角度とは絶対値が異なる予め定めた第2の角度で交差する方向に倒れ配向する複数の第2の領域72a,72bと、液晶分子18aが、前記前偏光板の吸収軸19aに対して前記第1及び第2の角度とは絶対値が異なる予め定めた第3の角度で交差する方向に倒れ配向する複数の第3の領域73a,73bとを、これらの領域71a,71b,72a,72b,73a,73bのうちの少なくとも1つの第1の領域71aまたは71bと、少なくとも1つの第2の領域72aまたは72bと、少なくとも1つの第3の領域73aまたは73bとを、互いに隣接させて形成する倒れ方向規定手段を備えている。
【0070】
この実施例において、前記倒れ方向規定手段は、前記第1の領域71a,71bの液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の角度で交差する方向に規定し、前記第2の領域72a,72bの液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に60°の角度で交差する方向に規定し、前記第3の領域73a,73bの液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に30°の角度で交差する方向に規定するように形成されている。
【0071】
前記倒れ方向規定手段は、後基板2の内面に設けられた複数の画素電極4それぞれに、電界による液晶分子18aの倒れ方向を異ならせる複数の領域71a,71b,72a,72b,73a,73bにそれぞれ対応させて、予め定めたピッチで実質的に互いに平行に、且つ対応する前記領域71a,71b,72a,72b,73a,73bの液晶分子18aの倒れ方向と実質的に直交する方向に沿わせて設けられた複数のスリット51,52,53,54,55,56と、他方の基板、つまり前基板1の内面に、前記画素の複数の領域71a,71b,72a,72b,73a,73bにそれぞれ対応させ、且つ同じ領域に対応する前記複数のスリット51,52,53,54,55,56のピッチに対して実質的に1/2ピッチずれたピッチで前記スリット51,52,53,54,55,56と実質的に平行に設けられた複数の透明な凸条61,62,63,64,65,66とにより形成れている。
【0072】
さらに、前記倒れ方向規定手段は、前記複数の第1の領域71a,71bのうちの少なくとも1つの領域の液晶分子18aの倒れ方向と、他の第1の領域の液晶分子18aの倒れ方向とをそれぞれ、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して一方の方向に前記45°の第1の角度で交差する方向と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して他方の方向に前記45°の第1の角度で交差する方向とに規定し、前記複数の第2の領域72a,72bのうちの少なくとも1つの領域の液晶分子18aの倒れ方向と、他の第2の領域の液晶分子18aの倒れ方向とをそれぞれ、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して一方の方向に前記60°の第2の角度で交差する方向と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して他方の方向に前記60°の第2の角度で交差する方向とに規定し、前記複数の第3の領域73a,73bのうちの少なくとも1つの領域の液晶分子18aの倒れ方向と、他の第3の領域の液晶分子18aの倒れ方向とをそれぞれ、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して一方の方向に前記30°の第3の角度で交差する方向と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して他方の方向に前記30°の第3の角度で交差する方向とに規定するように形成されている。
【0073】
この実施例では、図6のように、縦方向と横方向の幅の比が略2:1の縦長の矩形形状に形成された画素電極4に対応する形状の画素の上半分を、この上半分の中央の斜め右上がり方向の帯状領域と、この帯状領域を挟む斜め右下と斜め左上の三角形状領域との3つの領域に区分し、前記画素の下半分を、この下半分の中央の斜め右下がり方向の帯状領域と、この帯状領域を挟む斜め右上と斜め左下の三角形状領域との3つの領域に区分し、複数の画素電極4にそれぞれ、前記上半分と下半分の合計6つの領域にそれぞれ対応させて複数のスリット51,52,53,54,54,55,56を設け、前基板1の内面に前記6つの領域にそれぞれ対応させて複数の凸条61,62,63,64,65,66を設けている。
【0074】
そして、この実施例では、前記画素の6つの領域のうちの前記上半分の中央の帯状領域に対応する複数のスリット51及び凸条61を、前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に45°の方向に形成し、前記下半分の中央の帯状領域に対応する複数のスリット52及び凸条62を、前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に45°の方向に形成し、前記上半分の斜め右下の三角形状領域に対応する複数のスリット53及び凸条63を、前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に30°の方向に形成し、前記下半分の斜め右上の三角形状領域に対応する複数のスリット54及び凸条64を、前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に30°の方向に形成し、前記上半分の斜め左上の三角形状領域に対応する複数のスリット55及び凸条65を、前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に60°の方向に形成し、前記下半分の斜め左下の三角形状領域に対応する複数のスリット56及び凸条66を、前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に60°の方向に形成している。
【0075】
なお、前記上半分の3つの領域にそれぞれ対応する各スリット51,53,55及び凸条61,62,63と、前記下半分の3つの領域にそれぞれ対応する各スリット52,54,56及び凸条62,64,64のうちの隣合う領域の境界部に向かって延びるスリット及び凸条は、前記隣合う一方の領域と他方の領域のスリット同士及び凸条同士が前記隣合う領域の境界部に対応する部分において連続した形状に形成されている。
【0076】
また、前記スリット51,52,53,54,55、56のうちの画素電極4の周縁部に向かって延びるスリットと、前記画素の上半分と下半分の境界部に向かって延びるスリットは、前記画素電極4の周縁部及び前記画素の上半分と下半分の境界部に対応する部分を避けて設けられており、前記画素電極4の前記スリット51,52,53,54,55,56により区切られた複数の部分は、画素電極4の周縁部及び前記上半分と下半分の境界部に対応する部分において互いに導通している。
【0077】
すなわち、この実施例では、前記画素の6つの領域にそれぞれ対応する前記スリット51,52,53,54,55,56及び凸条61,62,63,64,65.66を上記の方向に設け、前記6つの領域のうちの前記上半分の中央の帯状領域と、前記下半分の中央の帯状領域とにより、電界によって液晶分子18aが前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の第1の角度で交差する方向に倒れ配向する第1の領域71a,71bを形成し、前記上半分の右下の三角形状領域と、前記下半分の右上の三角形状領域とにより、電界によって液晶分子18aが前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に60°の第2の角度で交差する方向に倒れ配向する第2の領域72a,72bを形成し、前記上半分の左上の三角形状領域と、前記下半分の左下の三角形状領域とにより、電界によって液晶分子18aが前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に30°の第3の角度で交差する方向に倒れ配向する第3の領域73a,73bを形成し、さらに、前記上半分の中央の帯状領域71aにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に前記45°の角度で交差する方向に規定し、前記下半分の中央の帯状領域71bにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に前記45°の角度で交差する方向に規定し、前記上半分の右下の三角形状領域72aにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に60°の角度で交差する方向に規定し、前記下半分の右上の三角形状領域72bの液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に60°の角度で交差する方向に規定し、前記上半分の左上の三角形状領域73aにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て左回り方向に30°の角度で交差する方向に規定し、前記下半分の左下の三角形状領域73bにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して観察側から見て右回り方向に30°の角度で交差する方向に規定している。
【0078】
この液晶表示素子は、複数の画素毎に、液晶分子18aが、前偏光板19の吸収軸19aに対して予め定めた第1の角度で交差する方向に倒れ配向する第1の領域71a,71bと、液晶分子18aが、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して前記第1の角度とは絶対値が異なる予め定めた第2の角度で交差する方向に倒れ配向する第2の領域72a,72bと、液晶分子18aが、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して前記第1及び第2の角度とは絶対値が異なる予め定めた第3の角度で交差する方向に倒れ配向する第3の領域73a,73bとを形成しているため、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して前記第1の角度で交差する方向への液晶分子18aの倒れ配向に対応した第1の視野角特性と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して前記第1の角度とは絶対値が異なる第2の角度で交差する方向への液晶分子18aの倒れ配向に対応した第2の視野角特性と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して前記第1及び第2の角度とは絶対値が異なる第3の角度で交差する方向への液晶分子18aの倒れ配向に対応した第3の視野角特性とをもっており、したがって、前記第1と第2と第3の視野角特性とが相乗した良好な視野角特性を得ることができる。
【0079】
また、この液晶表示素子は、電界による前記第1の領域71a,71bの液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の角度で交差する方向に規定し、前記第2の領域72a,72bの液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸10aに対して実質的に60°の角度で交差する方向に規定し、前記第3の領域73a,73bの液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸10aに対して実質的に30°の角度で交差する方向に規定しているため、より良好な視野角特性を得るとともに、明表示の輝度を高くすることができる。
【0080】
すなわち、この液晶表示素子は、液晶分子18aが前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の角度で交差する方向に倒れ配向する第1の領域71a,71bの明表示の輝度が最も高い輝度であり、液晶分子18aが前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に60°の角度で交差する方向に倒れ配向する第2の領域72a,72bの明表示の輝度と、液晶分子18aが前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に30°の角度で交差する方向に倒れ配向する第3の領域73a,73bの明表示の輝度がそれぞれ、前記第1の領域の明表示の輝度の約75%の十分に高い輝度であるため、画素全体の明表示の輝度を十分に高くすることができる。
【0081】
なお、この実施例の液晶表示素子においては、各画素毎の第1の領域71a,71bと第2の領域72a,72bと第3の領域73a,73bの面積をそれぞれ、前記第1の領域71a,71bの総面積をS1、前記第2の領域72a,72bの総面積をS2、前記第3の領域73a,73bの総面積をS3としたとき、これらの総面積S1,S2,S3が、
S1>S2
S1>S3
S1<S2+S3
S2≒S3
の関係になるように設定するのが好ましく、このようにすることにより、前記第1と第2と第3の視野角特性とが相乗した良好な視野角特性を得るともに、画素全体の明表示の輝度を高くすることができる。
【0082】
また、この液晶表示素子は、複数の画素毎に、前記画素の上半分の第1の領域71aと第2及び第3の領域72a,73aとを互いに隣接させ、前記画素の下半分の第1の領域71bと第2及び第3の領域72b,73bとを互いに隣接させて形成しているため、より良好な視野角特性を得ることができる。
【0083】
さらに、この液晶表示素子は、前記画素の上半分と下半分の2つの第1の領域71a,71bのうちの1つの領域71aの液晶分子18aの倒れ方向と、他の第1の領域71bの液晶分子18aの倒れ方向とをそれぞれ、前偏光板19の吸収軸19aに対して一方の方向に実質的に45°の第1の角度で交差する方向と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して他方の方向に前記実質的に45°の第1の角度で交差する方向とに規定し、前記画素の上半分と下半分の2つの第2の領域72a,72bのうちの1つの領域72aの液晶分子18aの倒れ方向と、他の第2の領域72bの液晶分子18aの倒れ方向とをそれぞれ、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して一方の方向に実質的に60°の第2の角度で交差する方向と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して他方の方向に前記実質的に60°の第2の角度で交差する方向とに規定し、前記画素の上半分と下半分の2つの第3の領域73a,73bのうちの1つの領域73aの液晶分子18aの倒れ方向と、他の第3の領域73bの液晶分子18aの倒れ方向とをそれぞれ、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して一方の方向に実質的に60°の第2の角度で交差する方向と、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して他方の方向に前記実質的に60°の第2の角度で交差する方向とに規定しているため、さらに良好な視野角特性を得ることができる。
【0084】
なお、この実施例では、前記第1の領域71a,71bにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の角度で交差する方向、前記第2の領域72a,72bにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に60°の角度で交差する方向、前記第3の領域73a,73bにおける液晶分子18aの倒れ方向を、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に30°の角度で交差する方向としたが、前記第1の領域71a,71bにおける液晶分子18aの倒れ方向は、前偏光板19の吸収軸19aに対して45°±5°の角度で交差する方向、前記第2の領域72a,72bにおける液晶分子18aの倒れ方向は、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して60°±7,5°の角度で交差する方向、前記第3の領域73a,73bにおける液晶分子18aの倒れ方向は、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して30°±7,5°の角度で交差する方向であればよく、このようにすることにより、良好な視野角特性を得、しかも明表示の輝度を高くすることができる。
【0085】
この第2の実施例の液晶表示素子において、複数の画素電極3に設けるスリット51,52,53,54,55,56は、図6のような、画素の上半分の3つの領域にそれぞれ対応するスリット51,53,55が互いに連続し、画素の下半分の3つの領域にそれぞれ対応するスリット52,54,56が互いに連続した形状に限らず、例えば、各領域にそれぞれ対応させて、隣合う領域との境界部に対応する部分を避けて形成し、前記画素電極4の前記スリット51,52,53,54,55,56により区切られた複数の部分を、前記隣合う領域の境界部に対応する部分において導通させてもよい。
【0086】
また、この液晶表示素子において、電界による液晶分子18aの倒れ方向を、前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に45°の第1の角度で交差する方向に規定する第1の領域71a,71bと、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に60°の第2の角度で交差する方向に規定する第2の領域72a,72bと、前記前偏光板19の吸収軸19aに対して実質的に30°の第2の角度で交差する方向に規定する第3の領域73a,73bは、図6のような並び順に限らず、他の並び順で形成してもよい。
【0087】
さらに、前記各領域71a,71b,72a,72b,73a,73bの形状は、図6のような形状に限らず、他の形状、例えば矩形形状等に形成してもよく、また、各画素毎の第1の領域71a,71bの総面積と、第2の領域72a,72bの総面積と、第3の領域73a,73bの総面積との比は、任意に設定すればよい。
【0088】
(他の実施形態)
なお、上記第1及び第2の実施例では、電界による液晶分子18aの倒れ方向を、前偏光板19の吸収軸19aを規準として設定しているが、前記液晶分子18aの倒れ方向は、前偏光板19の透過軸を規準として設定しても、或いは後偏光板20の吸収軸と透過軸のいずれか一方を規準として設定してもよく、その場合も、前記液晶分子18aの倒れ方向を、規準軸(前偏光板19の透過軸または後偏光板20の吸収軸と透過軸のいずれか一方)に対して45°±5°の第1の角度で交差する方向と、前記規準軸に対して60°±5°または30°±5°の第2の角度で交差する方向、或いは、前記規準軸に対して45°±5°の第1の角度で交差する方向と、前記規準軸に対して60°±5°の第1の角度で交差する方向と、前記規準軸に対して30°±5°の第3の角度で交差する方向とに規定することにより、上記第1及び第2の実施例と同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】この発明の第1の実施例を示す垂直配向型液晶表示素子の一方の基板の一部分の平面図。
【図2】前記液晶表示素子の図1のII−II線に沿う断面図。
【図3】前記液晶表示素子の電圧−輝度特性図。
【図4】第1の実施例の変形例を示す垂直配向型液晶表示素子の一方の基板の1つの画素部の平面図。
【図5】第1の実施例の他の変形例を示す垂直配向型液晶表示素子の一方の基板の1つの画素部の平面図。
【図6】この発明の第2の実施例を示す垂直配向型液晶表示素子の一方の基板の1つの画素部の平面図。
【符号の説明】
【0090】
2…基板、3…対向電極、4…画素電極、5…TFT、11…走査線、12…信号線、15R,15G,15B…カラーフィルタ、16,17…垂直配向膜、18…液晶層、18a…液晶分子、19,20…偏光板、19a…吸収軸、21,22,23,24…スリット、31,32,33,34…凸条、41a,41b…第1の領域、42a,42b…第1の領域、51,52,53,5455,56…スリット、61,62,63,64,65,66…凸条、71a,71b…第1の領域、72a,72b…第1の領域、73a,73b…第3の領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定めた間隙を設けて対向配置された一対の基板と、
前記一対の基板の対向する内面それぞれに設けられ、互いに対向する領域によりマトリックス状に配列する複数の画素を形成する電極と、
前記一対の基板の内面それぞれに前記電極を覆って設けられた垂直配向膜と、
前記一対の基板間の間隙に封入され、負の誘電異方性を有する液晶からなり、液晶分子が、前記配向膜の配向性により前記基板面に対して実質的に垂直に配向し、前記電極間に印加された電界により前記基板面に対して倒れ配向する液晶層と、
前記一対の基板の外面にそれぞれ配置された一対の偏光板と、
前記複数の画素における前記電界による液晶分子の倒れ方向を複数の方向に規定し、前記複数の画素毎に、少なくとも、前記液晶分子が、前記一対の偏光板のうちの一方の偏光板の光学軸に対して予め定めた第1の角度で交差する方向に倒れ配向する第1の領域と、前記液晶分子が、前記一方の偏光板の光学軸に対して前記第1の角度とは絶対値が異なる予め定めた第2の角度で交差する方向に倒れ配向する第2の領域とを形成する倒れ方向規定手段と、
を備えることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
倒れ方向規定手段は、第1の領域の液晶分子の倒れ方向を、一方の偏光板の光学軸に対して45°±5°の角度で交差する方向に規定し、第2の領域の液晶分子の倒れ方向を、前記一方の偏光板の光学軸に対して60°±7.5°または30°±7.5°の角度で交差する方向に規定することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
【請求項3】
倒れ方向規定手段は、複数の画素毎に、複数の第1の領域と、複数の第2の領域とを、これらの領域のうちの少なくとも1つの第1の領域と少なくとも1つの第2の領域とを互いに隣接させて形成することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
【請求項4】
倒れ方向規定手段は、複数の第1の領域のうちの少なくとも1つの領域の液晶分子の倒れ方向と、他の第1の領域の液晶分子の倒れ方向とをそれぞれ、一方の偏光板の光学軸に対して一方の方向に第1の角度で交差する方向と、前記一方の偏光板の光学軸に対して他方の方向に前記第1の角度で交差する方向とに規定し、複数の第2の領域のうちの少なくとも1つの領域の液晶分子の倒れ方向と、他の第2の領域の液晶分子の倒れ方向とをそれぞれ、前記一方の偏光板の光学軸に対して一方の方向に第2の角度で交差する方向と、前記一方の偏光板の光学軸に対して他方の方向に前記第2の角度で交差する方向とに規定する特徴とする請求項3に記載の液晶表示素子。
【請求項5】
倒れ方向規定手段は、複数の画素毎に、液晶分子が、一方の偏光板の光学軸に対して予め定めた第1の角度で交差する方向に倒れ配向する第1の領域と、液晶分子が、前記一方の偏光板の光学軸に対して前記第1の角度とは絶対値が異なる予め定めた第2の角度で交差する方向に倒れ配向する第2の領域と、液晶分子が、前記一方の偏光板の光学軸に対して前記第1及び第2の角度とは絶対値が異なる予め定めた第3の角度で交差する方向に倒れ配向する第3の領域とを形成することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
【請求項6】
倒れ方向規定手段は、第1の領域の液晶分子の倒れ方向を、一方の偏光板の光学軸に対して45°±5°の角度で交差する方向に規定し、第2の領域の液晶分子の倒れ方向を、前記一方の偏光板の光学軸に対して60°±7.5°の角度で交差する方向に規定し、第3の領域の液晶分子の倒れ方向を、前記一方の偏光板の光学軸に対して30°±7.5°の角度で交差する方向に規定することを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子。
【請求項7】
倒れ方向規定手段は、複数の画素毎に、複数の第1の領域と、複数の第2の領域と、複数の第3の領域とを、これらの領域のうちの少なくとも1つの第1の領域と少なくとも1つの第2または第3の領域とを互いに隣接させて形成することを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子。
【請求項8】
倒れ方向規定手段は、複数の第1の領域のうちの少なくとも1つの領域の液晶分子の倒れ方向と、他の第1の領域の液晶分子の倒れ方向とをそれぞれ、一方の偏光板の光学軸に対して一方の方向に第1の角度で交差する方向と、前記一方の偏光板の光学軸に対して他方の方向に前記第1の角度で交差する方向とに規定し、複数の第2の領域のうちの少なくとも1つの領域の液晶分子の倒れ方向と、他の第2の領域の液晶分子の倒れ方向とをそれぞれ、前記一方の偏光板の光学軸に対して一方の方向に第2の角度で交差する方向と、前記一方の偏光板の光学軸に対して他方の方向に前記第2の角度で交差する方向とに規定し、複数の第3の領域のうちの少なくとも1つの領域の液晶分子の倒れ方向と、他の第3の領域の液晶分子の倒れ方向とをそれぞれ、前記一方の偏光板の光学軸に対して一方の方向に第3の角度で交差する方向と、前記一方の偏光板の光学軸に対して他方の方向に前記第3の角度で交差する方向とに規定する特徴とする請求項7に記載の液晶表示素子。
【請求項9】
一対の基板の内面それぞれに設けられた電極のうち、一方の基板に設けられた電極は、マトリックス状に配列された複数の画素電極、他方の基板に設けられた電極は、前記複数の画素電極と対向する対向電極であり、倒れ方向規定手段は、前記複数の画素電極それぞれに、電界による液晶分子の倒れ方向を異ならせる複数の領域にそれぞれ対応させて、予め定めたピッチで実質的に互いに平行に、且つ対応する前記領域の液晶分子の倒れ方向と実質的に直交する方向に沿わせて設けられた複数のスリットと、前記他方の基板の内面に、前記画素の複数の領域にそれぞれ対応させ、且つ同じ領域に対応する前記複数のスリットのピッチに対して実質的に1/2ピッチずれたピッチで前記スリットと実質的に平行に設けられた複数の凸条とにより形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の液晶表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−8693(P2010−8693A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167656(P2008−167656)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】