説明

液晶表示装置、ブラックマトリクス基板、及びカラーフィルタ基板

【課題】人間の視感度に近い高精度な光センサを備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様において、液晶表示装置は、第1の基板と、前記第1の基板と液晶を介して対向する第2の基板と、前記第1の基板の前記液晶側の面に形成されている青用表示素子、緑用表示素子、赤用表示素子、短波長用光センサ、赤用光センサ、赤外光用光センサと、前記第1の基板と前記第2の基板の間に形成されており、前記青用表示素子、前記緑用表示素子、前記赤用表示素子、前記短波長用光センサ、前記赤用光センサ、前記赤外光用光センサにそれぞれ対応する青フィルタ、緑フィルタ、第1の赤フィルタ、短波長透過フィルタ、第2の赤フィルタ、赤外光透過フィルタを含むカラーフィルタと
を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサを備えた液晶表示装置と、この液晶表示装置に備えられるブラックマトリクス基板及びカラーフィルタ基板とに関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置は、液晶を、例えばアモルファスシリコンTFT(thin film transistor)、ポリシリコンTFTなどのような薄膜トランジスタで駆動する。液晶表示装置は、携帯電話などのモバイル機器、大型のテレビジョンなど各種機器に用いられている。
【0003】
液晶表示装置は、自ら発光できない表示装置であり、反射型液晶表示装置と透過型液晶表示装置とに分けることができる。反射型液晶表示装置は、自然光などの外光を、液晶画面に入射させ、液晶層を通過させた後反射させて表示を行う。透過型液晶表示装置は、観測者側と反対側の面に光源を配置し、光源からの透過光で表示を行う。また、外光環境(明るい環境又は暗い環境)に応じて、光源を用いる透過型として又は太陽光や室内光などを利用する反射型として動作する反射・透過兼用の半透過型液晶表示装置も実用化されている。
【0004】
携帯電話又は携帯可能な小型パーソナルコンピュータなどのモバイル機器に備えられる液晶表示装置においては、キーボードによる入力が困難であるため、例えば静電容量式又は電気抵抗方式などのタッチパネルが液晶表示装置の表面に設置されることが多い。しかしながら、タッチパネルを液晶表示装置に設置すると、液晶表示装置の厚さが増す。特に、モバイル機器の液晶表示装置においては、表面反射又は透過光のロスなどのようなタッチパネルを原因とする光の損失が発生し、液晶表示画像の画質が低下する場合がある。
【0005】
近年では、液晶表示装置の裏面に設置される蛍光灯の輝度アップ又は輝度の高いLED電源により、透過型液晶表示装置の明るさは一段と増している。しかしながら、このような透過型液晶表示装置においては、夜間又は暗い場所でテレビジョンを視聴する場合に画面が明るすぎて、視聴者にとって画面が見にくくなる場合がある。また、透過型液晶表示装置においては、透過型液晶表示装置の消費電力は、約80%が裏面の光源によるものであり、低消費電力化が大きな課題となっている。
【0006】
また、近年、企業内の機器における液晶画面操作、金融機関の現金自動預け払い機などの機器に対する液晶画面操作に加えて、モバイル機器における液晶表示装置の操作においても、セキュリティ確保が求められている。
【0007】
文献1(特開2007−47789号公報)には、液晶を駆動する薄膜トランジスタの形成されたTFT基板に光センサを形成し、液晶表示装置の明るさ調整に利用する技術が開示されている。
【0008】
文献2(特開2005−352490号公報)には、液晶を駆動する薄膜トランジスタの形成されたTFT基板に光センサを形成し、タッチパネルとして用いる技術が開示されている。
【0009】
文献3(特開2008−89619号公報)には、液晶を駆動する薄膜トランジスタの形成されたTFT基板の周辺に光センサを配置し、光センサ上に青、緑、又は、赤のカラーフィルタを形成し、外光の種別に対して、青、緑、又は、赤のカラーフィルタを用いる技術が開示されている。
【0010】
文献4(特開2009−129397号公報)には、複数色のカラーフィルタと、2色以上のカラーフィルタを積層した検出用フィルタの背後に設けられた光電センサとを備えた表示装置が開示されている。この文献4では、光電センサの検出値から、別途形成のノイズ除去センサの検出値を減算する。
【0011】
文献5(特開2009−128686号公報)には、第1の光センサ部と、2種類のカラーフィルタを積層した第2の光センサ部とを持つ表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−47789号公報
【特許文献2】特開2005−352490号公報
【特許文献3】特開2008−89619号公報
【特許文献4】特開2009−129397号公報
【特許文献5】特開2009−128686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の文献1では、外光種類(晴天時の太陽光、曇りの時の太陽光、蛍光灯の光)又は人間の視感度を考慮して輝度調整を行うことまでは検討されていない。
【0014】
文献2では、外光の強度又はバックライト輝度の影響により、使用者の液晶画面への接触について誤差が発生する場合がある。また、この文献2においては、第1光センサと第2光センサとの配置について記載されているが、使用者の指について個人差が大きいこと及びセキュリティ確保のための認証については何ら検討されていない。
【0015】
文献3では、バックライトの光の波長分布の影響、光センサ自体の持つ暗電流(dark current)の温度ばらつき、素子それぞれのばらつきは考慮されていない。文献3を適用する場合よりも、高い精度で外光の種別を区別することが望まれる。さらに、文献3は、外光による輝度調整技術であり、指などによるタッチパネル入力については考慮されていない。
【0016】
文献4は、この文献4の請求項2に記載されているように、非可視光の波長域で透過率が高くなる点から、光電センサによる可視域における光の波長分離に関する技術とは異なっている。ゆえに、文献4は、外光の種別の判断、セキュリティ確保のための技術ではなく、液晶表示装置の輝度調整に用いられる技術でもない。文献4においては、可視光の識別の技術とはいえない。また、文献4には、この文献4の請求項7に係わるノイズ除去センサに設けられる遮光部の分光特性が記載されておらず、用いられるセンサの非可視光の波長域での感度についても記載されておらず、減算処理に係わるノイズ除去センサの検出値と減算結果とが明確に特定されていない。
【0017】
文献5では、この文献5の請求項1に開示されているように、第1の光センサ部の検出信号と、2種類のカラーフィルタを積層した第2の光センサ部の検出信号との差分処理を行う技術が提案されている。しかし、当該文献5に開示されているセンサでは、青(B)、緑(G)、赤(R)の外光を高精度に分別することが困難であり、このため外光の種類を高精度に判断することが困難である。同様に、赤及び緑を含む肌色を高精度に識別することが困難であるため、指入力の認識に用いることが困難である。さらに、文献5の図6、図8に示されるように赤及び近赤外領域(例えば700nmから800nm)に相当する透過光の誤差を含むため、正確な色分離が困難である。この色分離の困難さを以下に説明する。文献5の図6の緑の吸収率に示されるように、緑は700nmから800nm付近に光透過域を持つ。また、文献5の図8、図9に示されるように、赤外フィルタの光透過域の50%透過率の波長は780nm前後と認められる。文献5に開示されている技術では、検出信号に赤の光成分が含まれ、可視域外の700nmから800nmで誤差が発生する。さらに、文献5には、赤(R)及び青(B)に用いる色材の開示がなく、赤(R)及び青(B)のカラーフィルタ及び赤外フィルタを構成する具体的技術について説明されていない。
【0018】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたもので、高精度な光センサを備えた液晶表示装置、この液晶表示装置に備えられるブラックマトリクス、及びカラーフィルタ基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様に係る液晶表示装置は、第1の基板と、前記第1の基板と液晶を介して対向する第2の基板と、前記第1の基板の前記液晶側の面に形成されている青用表示素子、緑用表示素子、赤用表示素子、短波長用光センサ、赤用光センサ、赤外光用光センサと、前記第1の基板と前記第2の基板の間に形成されており、前記青用表示素子、前記緑用表示素子、前記赤用表示素子、前記短波長用光センサ、前記赤用光センサ、前記赤外光用光センサにそれぞれ対応する青フィルタ、緑フィルタ、第1の赤フィルタ、短波長透過フィルタ、第2の赤フィルタ、赤外光透過フィルタを含むカラーフィルタとを具備する。
【0020】
本発明の第2の態様に係るブラックマトリクス基板は、上記第1の態様に係る液晶表示装置に備えられ、前記第1の基板を対向させた状態で平面視された場合に、前記第1の基板において隣接して形成されている複数の光センサの間に配置される遮光性を持つブラックマトリクスと、平面視された場合に前記ブラックマトリクスに重なるように形成されており2種以上の高さの異なるスペーサとを具備する。
【0021】
本発明の第3の態様に係るカラーフィルタ基板は、青フィルタ、緑フィルタ、第1の赤フィルタ、短波長透過フィルタ、第2の赤フィルタ、赤外光透過フィルタを格子状に配置して形成されるカラーフィルタと、前記カラーフィルタの外周に形成される遮光性領域とを具備する。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、人間の視感度にそった高精度な光センサを備えた液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る液晶表示装置の一例を示すブロック図。
【図2】第1の実施の形態に係る液晶表示装置のカラーフィルタの一例を示す平面図。
【図3】第1の実施の形態に係る表示用画素の一例を示す断面図。
【図4】第1の実施の形態に係る光検出用画素の一例を示す断面図。
【図5】短波長透過フィルタ、第の2赤フィルタ、赤外光透過フィルタの分光特性の一例を示すグラフ。
【図6】第1の実施の形態に係る演算部における引き算によって得られる分光特性の一例を示すグラフ。
【図7】指の分光反射率の一例を示すグラフ。
【図8】シリコン系フォトダイオードの感度域と太陽光エネルギーの波長分布との一例を示すグラフ。
【図9】3波長昼白色蛍光灯の波長分布の一例を示すグラフ。
【図10】白色蛍光灯の波長分布の一例を示すグラフ。
【図11】電球の波長分布の一例を示すグラフ。
【図12】人の目の視感度の一例を示すグラフ。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る液晶表示装置に備えられている光検出用画素の一例を示す断面図。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る液晶表示装置の一例を示すブロック図。
【図15】第3の実施の形態に係る液晶表示装置のカラーフィルタの一例を示す平面図。
【図16】第3の実施の形態に係る表示用画素の一例を示す断面図。
【図17】第3の実施の形態に係る光検出用画素の一例を示す断面図。
【図18】第3の実施の形態に係る短波長透過フィルタ、第の2赤フィルタ、赤外光透過フィルタ、黄フィルタの分光特性の一例を示すグラフ。
【図19】第3の実施の形態に係る演算部における引き算によって得られる分光特性の一例を示すグラフ。
【図20】一般的な青フィルタ、緑フィルタ、赤フィルタの透過率を示すグラフ。
【図21】本発明の第4の実施の形態に係る液晶表示装置の光センサの配列方向の断面の一例を示す図。
【図22】第4の実施の形態に係る液晶表示装置の表示素子の配列方向の断面の一例を示す図。
【図23】本発明の第5の実施の形態に係るブラックマトリクス基板の一例を示す断面図。
【図24】本発明の第6の実施の形態に係るカラーフィルタ基板の例を示す第1の断面図。
【図25】第6の実施の形態に係るカラーフィルタ基板の例を示す第2の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の各図において同一又はほぼ同一の要素には同一の符号を付して説明を省略するか又は簡単に説明し、異なる部分についてのみ詳しく説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
本実施の形態においては、光信号入力が可能であり、表示品質が外光条件に影響されることを抑制し、誤動作の少ない液晶表示装置について説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る液晶表示装置の一例を示すブロック図である。
【0027】
本実施の形態に係る液晶表示装置1は、表示画面部2の裏(この図1では、把握し易いよう下部に示している)に光源3を備えている。光源3は、青、緑、赤の3波長の光を発光する。例えば、光源3としては、3波長発光タイプの蛍光灯又はLED素子、面発光タイプの有機EL素子などが用いられる。
【0028】
表示素子走査部4、表示素子駆動部5、センサ走査部6、センサ読取部7は、それぞれ、表示画面部2と電気的に接続されている。
【0029】
表示画面部2は、カラーフィルタ10を備えている。本実施の形態においては、この表示画面部2の表示領域内に、表示用の画素15及び光検出用の画素(光センサ)16が配設される。
【0030】
表示素子走査部4及び表示素子駆動部5は、画像信号に基づいて表示画面部2に画像を表示させるための動作を行う。
【0031】
さらに、表示画面部2は、表示領域の外周に、遮光性を持つ額縁領域29を備えている。額縁領域29は、赤層と青層と緑層のうちの少なくとも一つの層を光学的に重畳して形成されるとしてもよく、遮光性の材質に赤層と青層と緑層のうちの少なくとも一つの層を光学的に重畳して形成されるとしてもよい。
【0032】
センサ走査部6及びセンサ読取部7は、表示画面部2における光検出用画素に含まれている各光センサから、複数の光波長域についての光の検出値(測定値)を読み出すための動作を行う。センサ読取部7は、光の検出値を演算部8に渡す。光の検出値は、例えば、電気信号、光信号などのような各種の信号で表される。本実施の形態においては、光センサが光電変換素子であるとし、光の検出値は電気信号であるとする。
【0033】
演算部8は、センサ読取部7から受けた複数の光波長域についての光の検出値に基づいて、複数の光波長域についての光の強さを算出し、複数の光波長域についての光の強さを示す信号を制御部9に渡す。例えば、演算部8は、第1の波長域の光を測定する第1の光センサによって変換された入射光の電気信号と、この第2の波長域の次に短い第2の波長域の光を測定する第2の光センサによって変換された入射光の電気信号との差分を演算する。
【0034】
本実施の形態において、演算部8は、短波長用光センサの検出値から赤用光センサの検出値を引き算する第1の処理、赤用光センサの検出値から赤外光用光センサの検出値を引き算する第2の処理を実行する。
【0035】
第1の処理は、外光、又は、位置指定物体からの反射光の青及び緑成分の信号強度を求める処理である。なお、以下において、位置指定物体は、ユーザの指である場合を例として説明するが、画面の位置を指定する指示棒、指示光などのような他の手段であってもよい。
【0036】
第2の処理は、外光又は指からの反射光の赤成分の信号強度を求める処理である。
【0037】
この演算部8のように、引き算することで、薄膜トランジスタ(TFT)などのような表示素子のばらつき、暗電流の影響、光源3の影響を、検出結果から除去することができる。
【0038】
制御部9は、演算部8から受けた複数の光波長域における光の強さに基づいて、光源3の発する光の強さを制御する。また、制御部9は、センサ読取部7、表示素子駆動部(データドライバ)5、センサ走査部6、表示素子走査部(ゲートドライバ)4の動作を制御する。センサ読取部7、表示素子駆動部5、センサ走査部6、表示素子走査部4は、表示領域外に備えられる。
【0039】
制御部9は、演算部8から受けた光の検出値(信号強度)と、記憶装置11に記憶されているテーブル12、しきい値、制御値を決定するための判断条件、又は、所定の制御演算式などに基づいて、この光の検出値に対応する最適な光源3の制御値を求める。そして、制御部9は、決定された光源3の制御値を光源3に渡し、光源3を制御し、液晶表示装置1の輝度調整を行う。光源3が、それぞれ青色、緑色、赤色に発光するLED素子の場合、制御部9は、各素子個別に発光輝度を調整し、外光の明るさや色に合わせて表示画面部2の表示を最適化する。
【0040】
さらに、制御部9は、表示画面部2に接近又は接触する物体の検出、表示画面部2に指を接近又は接触させることによる画面に対する2次元的な指定位置の検出、指の移動状態の検出、及び個人認証のための処理を実行する。
【0041】
具体的には、制御部9は、3波長を発光する光源3が点灯されている場合に、表示画面に均等に配置されている光検出用画素16によって変換された電気信号の分布状態を検知するとともに、画面内の部分的な光検出用画素16によって変換された電気信号の変化を利用して、表示画面に接触又は接近している物体、画面に対する2次元的な物体の位置、及び物体の移動を検知する。例えば、制御部9は、各光検出用画素16の位置情報と各光検出用画素16の識別情報とを関係付けた情報と、各光検出用画素16からの電気信号と、この電気信号を発した光検出用画素の識別情報とに基づいて、電気信号を発した位置を識別する。
【0042】
また、制御部9は、指による個人認証のために、表示画面に全点灯領域である窓14を表示する第1の認証部9aと、この全点灯領域に接触された指に関する情報であり光検出用画素16によって得られた電気信号によって表されている指パターンデータと、予め登録された個人の指のパターンデータ13とを比較し、個人認証を行う第2の認証部9bとを具備する。
【0043】
指による個人認証においては、光源3の明るさが均等であり、光源3について青・緑・赤の3波長成分が均等な状態で行われることが好ましい。特に、指による個人認証においては、指の肌色検出に必要な緑・赤の2波長成分を高精度で検出することが必要である。この条件を満たすために、制御部9は、個人認証を行う場合に、表示画面部2のうち指を接近又は接触させる部分を、白表示(ノーマリーブラックの液晶表示装置においてはオン状態)の窓14とする。この白表示の窓14は、個人認証を行う場合に、表示画面上に表示される。ユーザは、この窓14に指を接近又は接触させる。すると、窓14に配置されている光検出用画素16は、この指の反射光を検出する。この検出結果は演算部8で処理され、演算処理後の結果は制御部9に入力される。制御部9は、処理後の検出値と記憶装置11に予め登録されているパターンデータ13とを比較・照合することにより、個人認証を行う。
【0044】
本実施の形態において、制御部9は、演算部8の上記第1及び第2の処理によって求められる2種の信号強度に基づいて、外光の種類、接近又は接触している位置指定物体の検出、位置指定物体による画面に対する2次元的な位置指定の有無の判断、画面に対する2次元的な位置指定物体の位置及び移動の判断、指の検出値と登録されているパターンデータ13との整合性の判断を行う。
【0045】
なお、本実施の形態において、液晶表示画面の窓14は、指認証可能な面積を持つ矩形状の領域であり、認証作業をアナウンスする文字データとともに表示される。パターンデータ13を記憶する記憶装置11は、液晶表示装置1に内蔵されているとしてもよく、液晶表示装置1と通信可能に接続されているシステムに備えられているとしてもよく、ICカードなどのようなオフラインの記憶媒体としてもよい。
【0046】
制御部9は、演算部8による演算後の検出値を受けるのではなく、光検出用画素16によって得られた検出値に基づいて各種処理を実行するとしてもよい。
【0047】
各光検出用画素16は、各表示用画素15の近傍、例えば隣接するように配置される。複数の光検出用画素16は、液晶表示装置1の表示画面内に、ほぼ均等に配置される。
【0048】
液晶表示装置1の表示画面部2には、表示用画素15と光検出用画素16との組み合わせが、格子状に配設されている。
【0049】
表示用画素15は、青用画素15B、緑用画素15G、第1の赤用画素15Rを含む。
【0050】
光検出用画素16は、短波長画素16W、第2の赤用画素16R、赤外光用画素16Blkを含む。
【0051】
図2は、本実施の形態に係る液晶表示装置1のカラーフィルタ10の一例を示す平面図である。
【0052】
図3は、表示用画素15の一例を示す断面図である。この図3は、図2のT1−T2断面図である。
【0053】
図4は、光検出用画素16の一例を示す断面図である。この図4は、図2のS1−S2断面図である。
【0054】
カラーフィルタ10は、青用画素15Bのための青フィルタ17B、緑用画素15Gのための緑フィルタ17G、第1の赤用画素15Rのための第1の赤フィルタ17R、短波長画素16Wのための短波長透過フィルタ(透明フィルタ)18W、第2の赤用画素16Rのための第2の赤フィルタ18R、赤外光用画素16Blkのための赤外光透過フィルタ18Blkを含む。
【0055】
赤外線透過フィルタ18Blkは、複数の色を光学的に重畳することで実現される。例えば、本実施の形態において、赤外光透過フィルタ18Blkは、赤色と青色の有機顔料を混合した一層構成によって形成される。
【0056】
なお、光学的重畳とは、複数の顔料を混合することと、複数の色のフィルタを重ねることなどを含む。すなわち、赤外光透過フィルタ18Blkは、赤色の有機顔料と青色の有機顔料と混合した1層構成としてもよく、赤色のフィルタと青色のフィルタとを積層した2層構成としてもよい。
【0057】
また、光学的重畳とは、フィルタを光センサ上に直接配置した構成、又は、ある程度(例えば2μm〜6μmなど)の距離を介して対向するように間接的に配置した構成を含むとする。光学的重畳は、入射光又は光源3からの光に対して、実質的に作用する構成を意味する。
【0058】
短波長透過フィルタ18W、第2の赤フィルタ18R、赤外線透過フィルタ18Blkは、基板21と液晶22を介して対向している基板25の開口部に配置されるとしてもよい。
【0059】
なお、本実施の形態に係る短波長透過フィルタ18Wとは、青色以降の長波長側の光(青を含む)を透過するフィルタ、あるいは、緑色以降の長波長側の光(緑を含む)を透過するフィルタである。本実施の形態の以下の記載において、前者を透明フィルタ、後者を黄フィルタと記載する。
【0060】
表示用画素15における青用画素15B、緑用画素15G、第1の赤用画素15Rにおいて、青フィルタ17B、緑フィルタ17G、第1の赤フィルタ17Rの下層側には、それぞれ青用表示素子(例えば薄型トランジスタ)19B、緑用表示素子19G、赤用表示素子19Rが備えられている。
【0061】
光検出用画素16における短波長画素16W、第2の赤用画素16R、赤外光用画素16Blkにおいて、短波長透過フィルタ18W、第2の赤フィルタ18R、赤外光透過フィルタ18Blkの下には、短波長用光センサ20W、赤用光センサ20R、赤外光用光センサ20Blkが備えられている。短波長用光センサ20W、赤用光センサ20R、赤外光用光センサ20Blkは、例えば、光を電気に変換する光電変換素子である。
【0062】
本実施の形態においては、基板21の一方の面に、青用表示素子19B、緑用表示素子19G、赤用表示素子19R、短波長用光センサ20W、赤用光センサ20R、赤外光用光センサ20Blkが形成される。基板21の他方の面側(画面側とは逆となる裏面)には、光源3が備えられる。
【0063】
カラーフィルタ10における各フィルタ17B,17G,17R,18W,18R,18Blkは、基板21上の表示領域内に配設されている。
【0064】
表示素子19B,19G,19R、光センサ20W,20R,20Blk、及び、フィルタ17B,17G,17R,18W,18R,18Blkの上には、液晶22を介して、ブラックマトリクス23と透明樹脂である平滑化層24とを含む基板25が配置されている。すなわち、上記図3においては、基板21上には、表示素子19B,19G,19Rと、この表示素子19B,19G,19Rに電気的に接続されている透明電極26とが形成されており、これらの形成面に対して、フィルタ17B,17G,17R、液晶22、コントラスト向上のためのブラックマトリクス23、基板25が積層されている。
【0065】
ブラックマトリクス23は、例えば、赤外光透過フィルタ18Blkの材料にさらに有機顔料を包含して遮光性を持たせることにより形成される。本実施の形態において、ブラックマトリクス23は、基板25に形成されているが、基板21の液晶22側の面と基板25とのうちの少なくとも一方に形成されればよい。
【0066】
額縁領域29とブラックマトリクス23とのうちの少なくとも一つは、波長420nmより短波長側で光を吸収する紫外線吸収剤を含有する樹脂材料の硬化膜を備えているか、又は、この硬化膜に覆われているとしてもよい。
【0067】
上記図3及び図4においては、光源3、光拡散板、偏光フィルム、位相差フィルムは省略されている。なお、光源3、光拡散板は、基板21の裏面、すなわち、基板21の液晶22とは反対側の面に配置される。
【0068】
光源3の光は、フィルタ17B,17G,17R経由で、外部に発光される。
【0069】
外部から入射される光は、フィルタ18W,18R,18Blk経由で、光センサ20W,20R,20Blkに受光される。
【0070】
本実施の形態において、基板21は、液晶22を介して基板25と対向している。カラーフィルタ10は、基板21と基板25との間に形成されるが、本実施の形態においては、基板21の液晶22側の面に形成されている。
【0071】
すなわち、本実施の形態に係るカラーフィルタ10は、光センサ20W,20R,20Blkと液晶22を駆動する表示素子19B,19G,19Rとが形成された基板21の面に対して形成される。光センサ20W,20R,20Blkと表示素子19B,19G,19Rとは、基板21の2つの面のうち、液晶表示装置1の観察者と向かい合い、かつ、液晶22と接する面に形成される。
【0072】
上記図4に示すように、基板21上には、光センサ16として、短波長用光センサ20Wと短波長透過フィルタ18Wとの積層、赤用光センサ20Rと第2の赤フィルタ18Rとの積層、赤外光用光センサ20Blkと赤外光透過フィルタ18Blkとの積層が配置されている。基板21と基板25との間には、液晶22のギャップを規制するためのスペーサ27が配置されている。
【0073】
図5は、短波長透過フィルタ18W、第の2赤フィルタ18R、赤外光透過フィルタ18Blkの分光特性の一例を示すグラフである。
【0074】
短波長透過フィルタ18Wは、光の波長380nm〜450nmの範囲に50%透過率を持ち、当該50%透過率の波長より短波長側で透過率が低くなり当該50%透過率の波長より長波長側で透過率が高くなる透過率特性を持つ。短波長透過フィルタ18Wは、短波長用光センサ20Wに対して光学的に重畳されている。短波長透過フィルタ18Wの透過率は、380nmより低い波長の光については低く、光の波長がおよそ380nm以上となると急激に高くなり、光の波長が450nm付近もしくはそれ以上になると高い値で維持される。
【0075】
短波長透過フィルタ18Wの形成は、液晶22の配向に影響がなければ省略してもよい。液晶セルの両面に貼付する偏光フィルム又は位相差フィルムが紫外線カット機能を備える場合には、短波長透過フィルタ18Wを省略してもよい。
【0076】
第の2赤フィルタ18Rは、光の波長580nm〜620nmの範囲に50%透過率を持ち、当該50%透過率の波長より短波長側で透過率が低くなり当該50%透過率の波長より長波長側で透過率が高くなる透過率特性を持つ。第2の赤フィルタ18Rは、赤用光センサ20Rに対して光学的に重畳されている。第2の赤フィルタ18Rの透過率は、570nm付近より低い波長の光については低く、光の波長がおよそ570nm以上となると急激に高くなり、光の波長が640nm付近もしくはそれ以上になると高い値で維持される。
【0077】
赤外光透過フィルタ18Blkは、光の波長650nm〜720nmの範囲に50%透過率を持ち、当該50%透過率の波長より短波長側で透過率が低くなり当該50%透過率の波長より長波長側で透過率が高くなる透過率特性を持つ。赤外光透過フィルタ18Blkは、赤外光用光センサ20Blkに対して光学的に重畳されている。赤外光透過フィルタ18Blkの透過率は、580nm付近より低い波長の光については低く、光の波長がおよそ580nm以上となると急激に高くなり、光の波長が750nm付近もしくはそれ以上になると高い値で維持される。
【0078】
なお、50%透過率とは、その測定波長において基板であるガラスの透過率を100%とし、測定対象のフィルタの透過率が50%となる光の波長(nm)であるとする。
【0079】
本実施の形態において、光センサ20W,20R,20Blk上に積層されるフィルタ18W,18R,18Blk、及び後で説明される図17の黄フィルタ37Yは、50%透過率点から短波長側では透過率が低く、50%透過率点から長波長側では高透過率である特性を持つことが好ましい。
【0080】
上記図5のそれぞれの分光特性における各波長の透過率と、各波長での光センサ20W,20R,20Blkの感度とを積算することにより、本実施の形態に係るフィルタ18W,18R,18Blkを用いた光センサ20W,20R,20Blkの実効感度が求められる。
【0081】
図6は、本実施の形態に係る演算部8における引き算によって得られる分光特性の一例を示すグラフである。
【0082】
各波長について、短波長透過フィルタ18Wの透過率から第2の赤フィルタ18Rの透過率を引き算した結果が分光特性28B・Gである。この分光特性28B・Gにおける透過率の高い波長域は、青及び緑の光の波長域に対応する。
【0083】
したがって、演算部8は、短波長用光センサ20Wの検出値から赤用光センサ20Rの検出値を引き算し、青・緑の検出値を算出する。
【0084】
各波長について、第2の赤フィルタ18Rの透過率から赤外光透過フィルタ18Blkの透過率を引き算した結果が分光特性28Rである。この分光特性28Rにおける透過率の高い波長域は、赤の光の波長域に対応する。
【0085】
したがって、演算部8は、赤用光センサ20Rの検出値から赤外光用光センサ20Blkの検出値を引き算し、赤の検出値を算出する。
【0086】
制御部9は、演算部8によって算出された青・緑の検出値と赤の検出値とに基づいて、光源3の制御、接近又は接触している位置指定物体の検出、画面に対する2次元的な指定位置及び移動の検出、個人認証などの処理を行う。
【0087】
演算部8における引き算によって得られる上記図6の分光特性(波長が短波長から長波長になるにつれて変化する透過率)の増加及び減少は、急峻である。また、引き算によって求められる青・緑の透過率のピークは高い値となる。すなわち、青・緑の光を検出する場合に重要な波長域において、引き算によって求められる青・緑の透過率は高くなる。したがって、青・緑の光を検出する場合、短波長の検出値から赤の検出値を引き算して検出することにより、高精度に青・緑の光の検出を行うことができる。なお、赤の検出についても同様であり、赤の検出値から赤外光の検出値を引き算して検出することにより、高精度に赤の光の検出を行うことができる。
【0088】
本実施の形態において、基板21には、液晶22を介して基板25が備えられており、この基板25には、ブラックマトリクス23と平滑化層24とスペーサ27が備えられている。
【0089】
平滑化層24を形成する透明樹脂には、紫外線吸収機能を持つクマリン系染料を固形比で3%含有させた樹脂が用いられる。平滑化層24とスペーサ27とは、厚さ(高さ)が異なる。
【0090】
平滑化層24とスペーサ27とは、例えばハーフトーンマスクを用いて同一の工程において形成される。紫外線吸収剤が添加されることにより、透明樹脂は、波長が420nmより短波長側の光を吸収する。紫外線吸収剤の添加量は、平坦化層24の膜厚又は50%透過率点の波長位置の調整などの目的に応じて調整される。
【0091】
スペーサ27は、液晶22のセルギャップ(液晶厚み)を規制するメインスペーサと、サブスペーサとを含む。サブスペーサは、メインスペーサよりも高さが低い。
【0092】
スペーサ27は、表示素子19B,19G,19Rと干渉のない位置であり、かつ、ブラックマトリクス23の液晶22側に配置される。また、スペーサ27は、例えば上記図4で光センサ20Wと光センサ20Blkの間に配置されているように、ある光センサと他の光センサとの間に配設される。
【0093】
すなわち、スペーサ27は、液晶表示装置1を平面視した場合に、ブラックマトリクス23の下部に位置し、かつ、隣接する複数の光センサの間に位置する。このように、スペーサ27が配置されることにより、液晶表示装置1の表示面に強い圧力がかけられた場合であっても、スペーサ27の下部に表示素子19B,19G,19R及び光センサ20W,20R,20Blkが存在しないため、これら表示素子19B,19G,19R及び光センサ20W,20R,20Blkの破壊を防ぐことができる。
【0094】
本実施の形態においては、短波長透過フィルタ18Wと平滑化層24の少なくとも一方に、例えば光の波長420nmより短波長側で入射光を吸収する紫外線吸収機能を備えた透明樹脂を用いることが好ましい。このように、短波長透過フィルタ20Wと平滑化層24の少なくとも一方に、紫外線吸収機能を備えることにより、アモルファスシリコン、又は、ポリシリコンによる光センサ20W,20R,20Blk及び表示素子19B,19G,19Rの紫外線受光によるノイズ発生を防止することができる。
【0095】
光センサ20W,20R,20Blkとしては、例えば、シリコン系フォトダイオードが用いられる。
【0096】
図7は、指の分光反射率の一例を示すグラフである。
【0097】
指の分光反射率は、およそ450nmから700nmの範囲で、ブロードのような反射色を持つが、個人差が大きい。メラニン、ヘモグロビンは呈色の中心となる。指の色の測定は、指内部の光散乱の影響を受けやすい。肌色は、反射光では緑色(およそ550nm)と赤色(およそ610nm)で抽出されることが好ましい。
【0098】
したがって、本実施の形態においては、短波長用光センサ20Wの検出値から赤用光センサ20Rの検出値を引き算した青・緑の検出値を求め、さらに、赤用光センサ20Rの検出値から赤外光用光センサ20Blkの検出値を引き算した赤の検出値を求め、これらの検出値に基づいて指による個人認証を行うことで、高精度な認証を実現する。本実施の形態に係る液晶表示装置が指による個人認証に用いられる場合、短波長透過フィルタ18Wは、光の波長480nm〜520nmの範囲に50%透過率を持つ黄フィルタに置き換えてもよい。広い色度範囲の実現を目的として、カラーフィルタが、青フィルタ、緑フィルタ、黄フィルタ、赤フィルタの4色画素より構成される液晶表示装置においては、容易に短波長透過フィルタ20Wを黄フィルタに置き換えることができる。
【0099】
人の目の視感度のピークは、個人差はあるが、およそ550nmの緑付近にあり、可視域は、およそ400nm〜700nm付近となる。
【0100】
図8は、シリコン系フォトダイオードの感度域と太陽光エネルギーの波長分布との一例を示すグラフである。
【0101】
光センサ20W,20R,20Blkとして用いられるシリコン系フォトダイオードの感度域は、アモルファスシリコン系フォトダイオードとポリシリコン系フォトダイオードのどちらを用いるかでそれぞれ異なるが、シリコン系フォトダイオードは、おおまかには光の波長350nmから850nmの範囲で感度を持つ。
【0102】
図9は、3波長昼白色蛍光灯の波長分布の一例を示すグラフである。
【0103】
図10は、白色蛍光灯の波長分布の一例を示すグラフである。
【0104】
図11は、電球(タングステンランプ)の波長分布の一例を示すグラフである。
【0105】
光センサに検出される外光環境は多種多様である。自然光であっても天気によって光の波長は変動する。例えば、天気によって短波長(青色)の波長分布は大きく変動する。
【0106】
このように、外光の強度は、外光条件・外光環境によって大きく相違するため、光源3の強さは、この外光条件・外光環境に応じて変化させることが好ましい。
【0107】
光源3を制御する制御部9は、光センサ20W,20R,20Blkによって測定され、演算部8によって算出された結果を示す信号に基づいて、最適な光源3の強さを決定し、この強さを実現するための制御信号を光源3に出力する。
【0108】
図12は、人の目の視感度の一例を示すグラフである。
【0109】
一般的に、人の目の視感度ピークは、個人差があるがおよそ550nmの付近にあり、およそ400nm〜700nmの範囲が可視域となる。
【0110】
本実施の形態において、演算部8は、短波長用光センサ20Wの検出値(紫外線の検出値)から赤用光センサ20Rの検出値を引き算し、また、赤用光センサ20Rの検出値から赤外光用光センサ20Blkの検出値(赤外線の検出値)を引き算する。これにより、人の可視域のみの光の強さを求めることができる。
【0111】
例えば、制御部9は、予め人の可視域の光の強さとこの光の強さにおいて適切な光源3の強さとを関連付けたテーブル12に基づいて、算出された可視域の光の強さに対応する光源3の強さを決定する。また、例えば、制御部9は、人の可視域の光の強さから適切な光源3の強さを算出する演算式、しきい値、判断処理と、測定された可視域の光の強さとに基づいて、光源3の強さを決定する。検出値と光源3の適切な強さとの関係は、理論的、経験、実測的に求めることができる。
【0112】
指による認証に必要な肌色情報は、緑色成分(およそ550nm)と赤色成分(およそ610nm)における指からの反射光・散乱光を光センサ20W,20R,20Blkによって受光することで取得される。本実施の形態において、短波長透過フィルタ18Wは、光の緑色の成分(およそ550nm)について高い透過率を持つ。第2の赤フィルタ20Rは、光の赤色成分(およそ610nm)について高い透過率を持つ。この光の緑色成分と光の赤色成分との検出値を用いることで、制御部9は、指による認証を高精度に行うことができる。
【0113】
指の色は、主にメラニン、ヘモグロビンが呈色の中心であり、光の反射のみではなく指の中での光散乱の影響を受ける。また、指の色のばらつきは、個人差によるばらつきのみではなく、指の外光環境、液晶表示装置1の表示状態、光源3の影響も受ける。本実施の形態に係る演算部8及び制御部9は、様々な要因により発生する指の色のばらつきの影響を抑制する。これにより、高精度にユーザ認証を行うことが可能である。
【0114】
上記のような構成を持つ本実施の形態に係る液晶表示装置1の作用について説明する。
【0115】
液晶表示装置1は、実効的に入射光の青成分と緑成分に対応する短波長用センサ20Wと、入射光の赤成分に対応する赤用光センサ20Rと、実効的に可視域より長波長側の近赤外光成分に対応する赤外光用光センサ20Blkの3種類の光センサを備えている。この液晶表示装置1は、入射光の成分、量、信号の内容に基づいて、明るさ及び指などの入力の認識を行う。この3種の光センサ20W,20R,20Blkに対しては、それぞれ、光の波長800nmより長波長において90%以上であり同等の透過率を持つ短波長透過フィルタ18W、第2の赤フィルタ18R、赤外光透過フィルタ18Blkが光学的に重畳されている。このため、3種の光センサ20W,20R,20Blkは、いずれも800nmより長波長域においてほぼ同じ感度特性を持つことになるため、液晶表示装置1は、光センサ20Wの検出値から光センサ20Rの検出値を引き算することによる青・緑成分の検出、光センサ20Rの検出値から光センサ20Blkの検出値を引き算することによる赤成分の検出を高精度で確実に行うことができ、可視域での光の波長分離の精度を向上させることができる。
【0116】
液晶表示装置1の短波長透過フィルタ18W、第2の赤フィルタ18R、赤外光透過フィルタ18Blkが上記図5のような分光特性を持つことにより、液晶表示装置1は、外光種別を判別することができ、肌色の反射光成分である緑成分の光と赤成分の光とを識別することができる。
【0117】
液晶表示装置1では、赤外光透過フィルタ18Blkの材料にさらに有機顔料を包含したブラックマトリクス23が、基板25に形成される。また、表示領域の外周には、赤層と青層と緑層のうちの少なくとも一つの層を光学的に重畳している遮光性の額縁領域29が形成される。これにより、一般的に2μm〜6μmの範囲にある液晶22の厚みに起因する外部からの入射光の迷光及び光源3からの迷光の影響を抑制することができる。
【0118】
液晶表示装置1では、赤外光透過フィルタ18Blkの材料にさらに有機顔料を包含したブラックマトリクス23が、基板21の液晶22側の面に形成されるとしてもよい。この場合には、赤外光透過フィルタ18Blkを形成する工程を増やすことなく、液晶表示装置1に表示と入力の双方の機能を持たせることができる。
【0119】
液晶表示装置1では、3種の光センサ20W,20R,20Blkによって得られる信号に基づいて演算(引き算)を行って光の各種成分が求められる。これにより、光センサ20W,20R,20Blkの持つ暗電流などのノイズを除去することができ、入射光の青及び緑成分、赤成分を高精度に分離することができる。
【0120】
液晶表示装置1には、基板21と基板25との間のギャップを規制するスペーサ27が備えられている。このため、液晶表示装置1に機械的な圧力がかかった場合に、表示素子19B,19G,19R及び光センサ20W,20R,20Blkに損傷及びダメージが発生することを防止することができる。
【0121】
液晶表示装置1において、スペーサ27と短波長透過フィルタ18Wとが1つの工程で形成されることにより、液晶表示装置1の製造工程を簡略化することができ、製造コストを抑制することができる。
【0122】
液晶表示装置1において、短波長透過フィルタ18Wは、波長420nmより短波長側で入射光を吸収する紫外線吸収剤を含有するとしてもよい。また、ブラックマトリクス23又は額縁領域29は、波長420nmより短波長側で光を吸収する紫外線吸収剤を含有する樹脂材料の硬化膜を具備するとしてもよい。これにより、光センサ20Wがアモルファスシリコン又はポリシリコンを含むシリコン系光電変換素子の場合に、420nmより短波長の光が検出されることを防止することができ、光センサ20Wによる信号の信頼性を高くすることができる。
【0123】
なお、偏光板26又は位相差板に、420nmより短波長の光を吸収又は反射する機能を液晶表示装置1に持たせるとしてもよい。
【0124】
液晶表示装置1は、光センサ20W,20R,20Blkからの信号によって得られる外光の波長分布に基づいて液晶画面の表示を調整し、画質を向上させることができる。
【0125】
人の目の視感度は、光の波長380nm〜700nm程度の範囲にあるが、上記図12の比視感度図に示すように、実効的に420nm〜660nmの範囲を検出対象とするとよい。明所と暗所の条件で視感度のピーク位置は若干シフトする。本実施の形態に係る液晶表示装置1では、この人間の視感度にそった外光認識が正確に行われる。
【0126】
液晶表示装置1においては、光センサ20W,20R,20Blkが表示領域に均等に配置されており、さらに、青、緑、赤の3波長を含む光を発光する光源3が画面表示に用いられる。これにより、光源3から発光される青、緑、赤の3波長の光を用いて高精度にユーザからの入力を受け付けることができる。
【0127】
液晶表示装置1は、液晶表示の画面から、この表示画面に接触又は接近している物体を検出することができる。
【0128】
液晶表示装置1は、全点灯している窓14(ノーマリーブラックの液晶表示では、赤、緑、青の全てをオンとした画面領域)から入力された指についての信号による個人認証を行う。これにより、精度の高い個人認証を行うことができる。なお、全点灯領域は、液晶画面全体としてもよく、指の大きさを受容できる面積の窓14を、指認証ガイダンスのテキストとともに部分的に表示させるとしてもよい。指による認証においては、光センサ20W,20R,20Blkの形成密度を高めることが好ましい。
【0129】
上記のような本実施の形態に係る液晶表示装置1によって得られる効果について説明する。
【0130】
本実施の形態は、光センサを備えた液晶表示装置1の技術分野に有効である。本実施の形態においては、人間の視感度にそった高精度な光センサを備えた液晶表示装置1を提供することができる。
【0131】
液晶表示装置1においては、光を入力し、外光条件に応じて光源3の強さが調整される。
【0132】
これにより、液晶表示装置1の表示品質を向上させることができ、外光条件の影響を受けて表示品質が低下することを防止することができる。
【0133】
本実施の形態においては、青・緑の検出値と、赤の検出値を高い精度で求めることができ、この青・緑の検出値と赤の検出値とを区別して各種の処理を実行することができる。
【0134】
本実施の形態においては、短波長用光センサ20Wの検出値から赤用光センサ20Rの検出値の検出値が引き算され、赤用光センサ20Rの検出値から赤外光用光センサ20Blkの検出値が引き算される。これにより、光源3の制御、接近又は接触している位置指定物体の検出、画面に対する2次元的な位置指定物体の位置又は移動の検出、指の肌色の検出、指による個人認証のための高精度な情報を得ることができ、誤検出及び誤動作を防止することができ、高精度で確実にユーザからの入力操作を受け付けることができる。すなわち、本実施の形態においては、ユーザの個人認証の精度を向上させることができ、ユーザが指又はその他の指示手段で指定した位置及びその指定位置の移動などの検出精度を向上させることができる。
【0135】
本実施の形態においては、人の可視域の光の強さを高精度に求めることができ、さらに、光の検出値における暗電流及びノイズの影響を削減させることができる。
【0136】
本実施の形態に係る液晶表示装置1においては、評価者である人間の目の視感度に適合した輝度調整を行うことができ、外光の種別に基づく各種の液晶表示への影響を抑制することができ、高精度で確実な輝度調整を行うことができる。
【0137】
本実施の形態においては、タッチパネルなどがなくても、画面に対するユーザの指示入力を受け付けることができ、パーツ数を削減することができる。これにより、コストを低下させることができ、液晶表示装置1の厚さを薄くすることができる。
【0138】
本実施の形態において、表示用画素15と光検出用画素16とは同一の工程で製造することができるため、製造工程が複雑化することを防止できる。
【0139】
なお、本実施の形態において、外光の強度に応じて光源3の輝度を調整する場合には、光検出用画素16を有効表示画面の外、例えば表示領域の外周部に配置するとしてもよい。
【0140】
本実施の形態において、例えば、パーソナルコンピュータ、ディスプレイのスリープ時などのように、光源3が非点灯の時に、光検出用画素16によって信号が検出され、液晶表示装置1の点灯が開始される時点で、この検出されていた信号に基づいて光源3の強さが制御されるとしてもよい。この光検出用画素16は、液晶表示装置1の例えばレーザ光又はLED光などを用いた光通信の受信機として使用されるとしてもよい。
【0141】
本実施の形態において、表示素子19B,19G,19R及び光センサ20W,20R,20Blkはスタガ構造で表記されているが、逆スタガ構造で表示されてもよい。表示素子19B,19G,19R及び光センサ20W,20R,20Blkは、アモルファスシリコン、ポリシリコン、低温ポリシリコンのいずれかを用いて形成されてもよい。表示素子19B,19G,19Rの表示素子走査部4、表示素子駆動部5、及び光センサ20W,20R,20Blkのセンサ走査部6、センサ読取部7は、FPC(フレキシブルプリントサーキット)などによって基板への電気的接続が行われているとしてもよく、基板上にモノシリック化してシステムオンパネルの形式で電気的に接続されるとしてもよい。
【0142】
本実施の形態に係る液晶表示装置1は、様々に変形することができる。例えば、演算部8と制御部9とは一体構成としてもよい。制御部9で実行される各種処理のうち少なくとも一つの処理は、独立のモジュールで実行されるとしてもよい。
【0143】
(第2の実施の形態)
本実施の形態においては、上記第1の実施の形態の変形例であり、赤外線透過フィルタを複数のフィルタの積層によって形成する場合について説明する。
【0144】
図13は、本実施の形態に係る液晶表示装置に備えられている光検出用画素の一例を示す断面図である。
【0145】
本実施の形態において、赤外線透過フィルタ30Blkは、赤フィルタ31と青フィルタ32との積層によって形成される。
【0146】
本実施の形態において、基板25には、光を取り入れる複数の開口部33が形成されている。それぞれの開口部33は、液晶22を介して、赤外線透過フィルタ30Blk、赤フィルタ18R、短波長透過フィルタ18Wに対向する。光センサ20Blk,20R,20Wは、複数の開口部33、液晶22、赤外光透過フィルタ30Blkと赤色フィルタ18Rと短波長透過フィルタ18Wとのうちのいずれかを介して、観測すべき光を受光する。
【0147】
本実施の形態において、赤外光透過フィルタ30Blkは、青フィルタ17B、緑フィルタ17G、第1の赤フィルタ17R、第2の赤フィルタ18Rなどのような他の用途に用いられるフィルタを複数積層することにより形成される。したがって、赤外光透過フィルタ30Blkを形成する工程を増やすことなく液晶表示装置を製造することができる。
【0148】
(第3の実施の形態)
本実施の形態においては、上記第1及び第2の実施の形態の変形例であり、光検出用画素16に、黄用画素がさらに具備されている液晶表示装置について説明する。
【0149】
図14は、本実施の形態に係る液晶表示装置の一例を示すブロック図である。
【0150】
本実施の形態に係る液晶表示装置30は、表示画面部31の裏に光源3を備えている。表示素子走査部4、表示素子駆動部5、センサ走査部6、センサ読取部7は、それぞれ、表示画面部31と電気的に接続されている。
【0151】
表示画面部31は、カラーフィルタ32を備えている。本実施の形態においては、この表示画面部31の表示領域内に、表示用の画素33及び光検出用の画素34が配設される。光検出用画素34は、表示画面に均等に配置されている。
【0152】
表示素子走査部4及び表示素子駆動部5は、画像信号に基づいて表示画面部31に画像を表示させるための動作を行う。
【0153】
さらに、表示画面部31は、表示領域の外周に、遮光性を持つ額縁領域29を備えている。
【0154】
センサ走査部6及びセンサ読取部7は、表示画面部31における光検出用画素から、複数の光波長域についての光の検出値(測定値)を読み出すための動作を行う。センサ読取部7は、光の検出値を演算部8に渡す。
【0155】
本実施の形態において、演算部8は、短波長用光センサの検出値から黄用光センサの検出値を引き算する第1の処理、黄用光センサの検出値から赤用光センサの検出値を引き算する第2の処理、赤用光センサの検出値から赤外光用光センサの検出値を引き算する第3の処理を実行する。
【0156】
第1の処理は、外光、又は、位置指定物体からの反射光の青成分の信号強度を求める処理である。
【0157】
第2の処理は、外光、又は、位置指定物体からの反射光の緑成分の信号強度を求める処理である。
【0158】
第3の処理は、外光又は指からの反射光の赤成分の信号強度を求める処理である。
【0159】
この演算部8のように、引き算することで、表示素子のばらつき、暗電流の影響、光源3の影響を、検出結果から除去することができる。
【0160】
制御部9は、演算部8から受けた青の検出値、緑の検出値、赤の検出値と、記憶装置11に記憶されているテーブル12、しきい値、制御値を決定するための判断条件、又は、所定の制御演算式などに基づいて、これら3種の光の検出値に対応する最適な光源3の制御値を求め、光源3を制御し、液晶表示装置1の輝度調整を行う。
【0161】
さらに、制御部9は、表示画面部2に接近又は接触している指の検出、表示画面部2に指を接近又は接触させることによる画面に対する2次元的な指定位置又は移動の検出、及び、演算部8から受けた青の検出値、緑の検出値、赤の検出値と、記憶装置11に記憶されているパターンデータ13に基づく個人認証のための処理を実行する。
【0162】
光検出用画素34は、表示用画素33の近傍、例えば隣接するように配置される。複数の光検出用画素34は、液晶表示装置1の表示画面内に、ほぼ均等に配置される。
【0163】
液晶表示装置30の表示画面部31には、表示用画素33と光検出用画素34との組み合わせが、格子状に配設されている。
【0164】
表示用画素33は、青用画素15B、緑用画素15G、第1の赤用画素15R、透明画素33Wを含む。
【0165】
光検出用画素34は、短波長画素16W、第2の赤用画素16R、赤外光用画素16Blk、黄用画素34Yを含む。
【0166】
図15は、本実施の形態に係る液晶表示装置30のカラーフィルタ32の一例を示す平面図である。
【0167】
図16は、表示用画素33の一例を示す断面図である。
【0168】
図17は、光検出用画素34の一例を示す断面図である。この図17は、図15のS3−S4断面図である。
【0169】
カラーフィルタ32は、青用画素15Bのための青フィルタ17B、緑用画素15Gのための緑フィルタ17G、第1の赤用画素15Rのための第1の赤フィルタ17R、透明画素33Wのための透明フィルタ35W、短波長画素16Wのための短波長透過フィルタ(透明フィルタ)18W、第2の赤用画素16Rのための第2の赤フィルタ18R、赤外光用画素16Blkのための赤外光透過フィルタ18Blk、黄用画素34Yのための黄フィルタ37Yを含む。
【0170】
本実施の形態において透明画素33Wは、液晶表示の明るさを上げるために配設される。透明画素33Wの透明フィルタ35Wは、黄フィルタ、シアンフィルタ、マゼンタフィルタのいずれかに置き換えても、液晶表示の明るさを上げることができ、液晶表示装置30の消費電力を抑制することができる。特に、透明フィルタ35Wを黄フィルタに置き換えることにより、高い明度で色度範囲の広い表示素子を実現できる。この黄フィルタに置き換えられた4色構成のカラーフィルタ構成では、短波長用光センサ20Wに対して黄色フィルタを光学的に重畳する構成を適用し、後述する赤用光センサ20R、赤外光用光センサ20Blkと組み合わせて用いることができる。
【0171】
表示用画素33における青用画素15B、緑用画素15G、第1の赤用画素15R、透明画素33Wにおいて、青フィルタ17B、緑フィルタ17G、第1の赤フィルタ17R、透明フィルタ35Wの下層側には、それぞれ青用表示素子19B、緑用表示素子19G、赤用表示素子19R、透明用表示素子36Wが備えられている。
【0172】
光検出用画素34における短波長画素16W、第2の赤用画素16R、赤外光用画素16Blk、黄用画素34Yにおいて、短波長透過フィルタ18W、第2の赤フィルタ18R、赤外光透過フィルタ18Blk、黄フィルタ37Yの下には、短波長用光センサ20W、赤用光センサ20R、赤外光用光センサ20Blk、黄用光センサ38Yが備えられている。
【0173】
本実施の形態においては、基板21の一方の面に、青用表示素子19B、緑用表示素子19G、赤用表示素子19R、透明用表示素子36W、短波長用光センサ20W、赤用光センサ20R、赤外光用光センサ20Blk、黄用光センサ38Yが形成される。基板21の他方の面側には、光源3が備えられる。
【0174】
カラーフィルタ32における各フィルタ17B,17G,17R,35W,18W,18R,18Blk、37Yは、基板21上の表示領域内に配設されている。
【0175】
表示素子19B,19G,19R,36W、光センサ20W,20R,20blk,38Y、及び、フィルタ17B,17G,17R,35W,18W,18R,18Blk,37Yの上には、液晶22を介して、ブラックマトリクス23と平滑化層24とを含む基板25が配置されている。すなわち、上記図16においては、表示素子19B,19G,19R,36Wの形成されている基板21の上に、この表示素子19B,19G,19R,36Wと電気的に接続されている透明電極26、フィルタ17B,17G,17R,35W、液晶22、ブラックマトリクス23、平滑化層24、基板25が積層されている。
【0176】
光源3の光は、フィルタ17B,17G,17R,35W経由で、外部に発光される。
【0177】
外部から入射される光は、フィルタ18W,18R,18Blk,37Y経由で、光センサ20W,20R,20Blk,38Yに受光される。
【0178】
カラーフィルタ32は、基板21と基板25との間に形成されるが、本実施の形態においては、基板21の液晶22側の面に形成されている。
【0179】
上記図17に示すように、基板21上には、光検出用画素34として、短波長用光センサ20Wと短波長透過フィルタ18Wとの積層、赤用光センサ20Rと第2の赤フィルタ18Rとの積層、赤外光用光センサ20Blkと赤外光透過フィルタ18Blkとの積層、黄用光センサ38Yと黄フィルタ37Yとの積層が配置されており、加えてスペーサ27が配置されている。
【0180】
なお、本実施の形態において、液晶表示装置30は、画素の一部に、光を反射する反射電極を備えた半透過型の液晶表示装置であってもよい。
【0181】
図18は、短波長透過フィルタ18W、第2の赤フィルタ18R、赤外光透過フィルタ18Blk、黄フィルタ37Yの分光特性の一例を示すグラフである。
【0182】
短波長透過フィルタ18W、第2の赤フィルタ18R、赤外光透過フィルタ18Blkの分光特性については、上記図5の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0183】
黄フィルタ37Yは、光の波長480nm〜520nmの範囲に50%透過率を持ち、当該50%透過率の波長より短波長側で透過率が低くなり当該50%透過率の波長より長波長側で透過率が高くなる透過率特性を持ち、黄用光センサ38Yに対して光学的に重畳されている。黄色フィルタ37Yの透過率は、およそ460nmより低い波長の光については低く、光の波長がおよそ460nmから長波長になるほど急激に高くなり、光の波長が540nm付近もしくはそれ以上になると95%以上の高い値で維持される。
【0184】
本実施の形態において、光センサ38Y上に積層されるフィルタ37Yは、50%透過率点から短波長側では透過率が低く、50%透過率点から長波長側では高透過率である特性を持つことが好ましい。
【0185】
上記図18の黄フィルタ37Yの分光特性における各波長の透過率と、光センサ38Yの各波長での感度とを積算することにより、本実施の形態に係る黄フィルタ37Yを用いた光センサ38Yの実効感度が得られる。
【0186】
図19は、本実施の形態に係る演算部8における引き算によって得られる分光特性の一例を示すグラフである。
【0187】
各波長について、短波長透過フィルタ18Wの透過率から黄フィルタ37Yの透過率を引き算した結果が分光特性39Bである。この分光特性39Bの透過率の高い波長域は、青の光の波長域に対応する。
【0188】
したがって、演算部8は、黄用光センサ38Yの検出値から短波長用光センサ20Wの検出値を引き算し、青の検出値を算出する。
【0189】
各波長について、黄フィルタ37Yの透過率から第2の赤フィルタ18Rの透過率を引き算した結果が分光特性39Gである。この分光特性39Gの透過率の高い波長域は、緑の光の波長域に対応する。
【0190】
したがって、演算部8は、黄用光センサ38Yの検出値から赤用光センサ20Rの検出値を引き算し、緑の検出値を算出する。
【0191】
各波長について、第2の赤フィルタ18Rの透過率から赤外光透過フィルタ18Blkの透過率を引き算した結果が分光特性39Rである。この分光特性39Rにおける透過率の高い波長域は、赤の光の波長域に対応する。
【0192】
したがって、演算部8は、赤用光センサ20Rの検出値から赤外光用光センサ20Blkの検出値を引き算し、赤の検出値を算出する。
【0193】
制御部9は、演算部8によって算出された青の検出値、緑の検出値、赤の検出値に基づいて、光源3の制御、接近又は接触している位置指定物体の検出、ユーザによって指定された画面に対する2次元的な位置の検出、ユーザによって指定された位置の移動の検出、ユーザの個人認証などの処理を行う。
【0194】
図20は、各波長における一般的な青フィルタ、緑フィルタ、赤フィルタの透過率を示すグラフである。
【0195】
一般的なカラーフィルタに用いられる青フィルタ及び緑フィルタの透過特性には、それぞれ長波長側で分光の浮きなどが発生しており、不均一な透過率特性を持つ。
【0196】
上記図19の引き算によって得られる分光特性とこの図20の分光特性とを比較すると、例えば、引き算によって求められる青の分光特性の増加及び減少は、一般的な青フィルタの分光特性の増加及び減少よりも急峻である。また、引き算によって求められる青の透過率のピークは、一般的な青フィルタの透過率のピークより高い。すなわち、青の光を検出する場合に重要な波長域においては、引き算によって求められる青の透過率の方が、一般的な青フィルタの透過率よりも高い。したがって、青の光を測定する場合、引き算によって青の光の強さを測定する方が、一般的な青フィルタを用いて青の光の強さを測定する場合よりも、高精度に青の光を測定することができる。
【0197】
例えば、引き算によって求められる緑の分光特性の増加及び減少は、一般的な緑フィルタの分光特性の増加及び減少よりも急峻である。また、引き算によって求められる緑の透過率のピークは、一般的な緑フィルタの透過率のピークより高い。すなわち、緑の光を検出する場合に重要な波長域(例えば、550nm付近)においては、引き算によって求められる緑の透過率の方が、一般的な緑のフィルタの透過率よりも高い。一般的な緑フィルタの透過率は、例えばおよそ640nm以上の高波長域で分光の浮きが発生している。これに対して、引き算によって求められる緑色の透過率では、分光の浮きが抑制されている。したがって、緑の光を測定する場合、引き算によって緑の光の強さを測定する方が、一般的な緑フィルタを用いて緑の光の強さを測定する場合よりも、高精度に緑の光の測定を行うことができる。
【0198】
例えば、一般的な赤フィルタの透過率は、可視光域より高波長側の赤外線域においても高い値となっており、人間が感知できない光まで測定される。これに対して、引き算によって求められる赤の透過率は、可視光域より高波長側の赤外線域において抑制されている。すなわち、赤の光を検出する場合に測定されることを防止したい光波長域においては、引き算によって求められる赤の透過率の方が、一般的な赤のフィルタの透過率よりも低くなる。したがって、赤の光を測定する場合、引き算によって赤の光の強さを測定する方が、一般的な赤フィルタを用いて赤の光の強さを測定する場合よりも、高精度で人間の感覚に近い光の測定を行うことができる。
【0199】
以上説明した本実施の形態に係る液晶表示装置30は、黄フィルタ37Yとこの黄フィルタ37Y経由で入射光を受光する光センサ38Yとを具備する。本実施の形態では、4種類の光センサからの信号に基づいて演算を行うことにより、光の検出結果から光センサの持つ暗電流などのノイズを除去することができ、入射光を青、緑、赤の成分に高精度に分離することができ、入射光の認識精度を向上させることができる。
【0200】
本実施の形態においては、人の目の視感度に合わせた外光認識を行うことができ、光検出用画素34によって入力された信号に基づいて適切な制御を実現することができる。
【0201】
本実施の形態においては、通常の3原色カラーフィルタを用いる場合よりも良好な光の検出値を得ることができ、指の肌色の認識、個人認証を有効に行うことができる。
【0202】
なお、黄フィルタ37Yと黄用光センサ38Yとを加えることに代えて、短波長透過フィルタ18Wと短波長用光センサ20Wとを、黄色測定用としても、高精度に、かつ、人間の感性に近い状態で、青、緑、赤の光を測定し、この測定値に基づいて光源3を調整することができ、高精度で入力信号に対する各種認識を行うことができる。
【0203】
(第4の実施の形態)
本実施の形態においては、上記各実施の形態の変形例であり、表示面側の基板25側に、カラーフィルタ10又はカラーフィルタ32が形成されている液晶表示装置について説明する。なお、以下においては、上記第2及び第3の実施の形態の変形例について説明するが、他の実施の形態においても同様の変更を行うことができる。
【0204】
図21は、本実施の形態に係る液晶表示装置の光センサの配列方向の断面の一例を示す図である。
【0205】
図22は、本実施の形態に係る液晶表示装置の表示素子の配列方向の断面の一例を示す図である。
【0206】
本実施の形態において、カラーフィルタ32は、表示画面側の基板25側であり、基板25の液晶22側の面に形成される。液晶表示装置の表示領域40の外周には、額縁領域29が形成されている。額縁領域29では、赤層41と青層42とが積層されている。
【0207】
カラーフィルタ32の表示領域40には、格子状にブラックマトリクス23が配置されている。カラーフィルタ32の表示領域40の下には、表示素子19R,19G,19B,36Wと光センサ20R,20W,20Blk、38Yが設置されている。
【0208】
額縁領域29は、ブラックマトリクス23を延長した遮光膜により形成されるとしてもよい。さらに、額縁領域29においては、遮光膜に加えて、赤層41と青層42とが積層されることにより、この額縁領域29の遮光性を高くすることができる。
【0209】
なお、カラーフィルタ32を、光センサ及び表示素子が形成される基板21側に形成する場合には、赤層41と青層42についても、基板21側に形成することが好ましい。また、本実施の形態において、短波長用光センサ20W、赤用光センサ20R、赤外光用光センサ20Blk、黄用光センサ38Yは、表示素子19R,19G,19B,36Wが形成される基板21に形成されることが好ましい。これにより、液晶表示装置の製造工程を簡素化することができるためである。
【0210】
本実施の形態に係る液晶表示装置が横電界方式又はIPSと呼ばれる液晶駆動方式の場合には、カラーフィルタ32上に形成される透明電極を省略することができる。
【0211】
以上説明した本実施の形態においては、額縁領域29において遮光部に加えて赤層41と青層42とが積層されるため、額縁領域29の遮光性を向上させることができる。
【0212】
また、カラーフィルタ32の形成とあわせて、赤層41と青層42とを形成することができるため、液晶表示装置の製造工程が複雑になることを防止することができる。
【0213】
(第5の実施の形態)
本実施の形態においては、上記各実施の形態に係る液晶表示装置に備えることが可能なブラックマトリクス基板について説明する。
【0214】
図23は、本実施の形態に係るブラックマトリクス基板の一例を示す断面図である。
【0215】
ブラックマトリクス基板43において、透明基板25上には、ブラックマトリクス23が形成されており、さらに透明基板25とブラックマトリクス23との上には、平坦化層24が形成される。平滑化層24の上には、スペーサ27が形成される。
【0216】
本実施の形態において、スペーサ27に含まれているメインスペーサ及びサブスペーサは、ブラックマトリクス基板43が平面視された場合に、平坦化層24を介してマトリクス状に形成されているブラックマトリクス23のパターン上に重なるように形成される。
【0217】
メインスペーサの高さは、液晶セル化した場合に、必要な液晶の厚みとほぼ同じ高さ(例えば、4.1μm)とする。サブスペーサは、メインスペーサよりも低い(例えば、3.4μm)とする。なお、スペーサ27の高さは、平坦化層24の表面からスペーサのトップまでの高さとする。
【0218】
スペーサ27は、ブラックマトリクス基板43とカラーフィルタ10又はカラーフィルタ32を備えた基板21とを貼り合わせて平面視した場合に、基板21にマトリクス状に形成されている複数の光センサの間に位置するように形成される。基板21では、光センサを含むアクティブ素子上にカラーフィルタ10又はカラーフィルタ32が積層されている。
【0219】
サブスペーサは、液晶表示装置に強い圧力がかかった場合に、ブラックマトリクス基板43と基板21とのギャップを保持する副次的なスペーサである。
【0220】
スペーサ27の原材料としては、感光性の透明樹脂を用いることができる。スペーサ27は、例えば、フォトリソグラフィー法により形成される。
【0221】
(第6の実施の形態)
本実施の形態においては、上記各実施の形態に係る液晶表示装置に備えることが可能なカラーフィルタ基板について説明する。
【0222】
図24及び図25は、本実施の形態に係るカラーフィルタ基板の例を示す第1及び第2の断面図である。
【0223】
カラーフィルタ基板44におけるガラスなどの透明基板25上には、ブラックマトリクス23がマトリクス状に形成されており、表示領域の外周部に遮光性の額縁領域29が形成される。
【0224】
透明基板25におけるブラックマトリクス23形成側の面には、赤用光センサ20Rに対応する赤フィルタ18R、短波長用光センサ20Wに対応する短波長透過フィルタ18W、赤外光用光センサ20Blkに対応し赤層41と青層42とを積層した赤外線透過フィルタ18Blkを含むカラーフィルタ32が形成され、さらに、このカラーフィルタ32の上には、スペーサ27が形成されている。
【0225】
メインスペーサの高さは、液晶22のセル化時に必要な液晶厚みとほぼ同じ高さ(例えば4.1μm)とする。サブスペーサの高さは、例えば3.4μmとする。
【0226】
スペーサ27は、カラーフィルタ基板44と、表示素子及び光センサの形成されている基板21とを貼り合わせて平面視した時に、マトリクス状に形成されている光センサの間に位置するように形成される。
【0227】
サブスペーサは、液晶表示装置に強い圧力がかかった場合に、カラーフィルタ基板44と基板21とのギャップを保持する副次的なスペーサである。スペーサ27の高さは、カラーフィルタ32の表面からスペーサ27のトップまでの高さである。平坦化層24をカラーフィルタ32上に形成する場合には、スペーサ27の高さは、平坦化層24の表面からスペーサ27のトップまでの高さとする。
【0228】
本実施の形態において、表示領域29には、膜厚の薄いブラックマトリクス23が形成される。表示領域40外の額縁領域29は、遮光性を持ち、さらに赤層41と青層42とが積層されており、これにより額縁領域29の遮光性が補充されている。
【0229】
通常、ブラックマトリクス23については、高い光学濃度、例えばOD値で3〜4が要求される。しかしながら、光学濃度を上げることについては次のような2つの問題がある。第1の問題は、フォトリソグラフィーでのパターン形成において露光が入りにくくなることである。このため、例えば15μm以下の細線形成が困難となり、現像工程での剥がれ又は形状不良が発生する。第2の問題は、光学濃度を上げるために、ブラックマトリクス23の膜厚を例えば1.5μmから2μmなどのように厚くする必要があることである。ブラックマトリクス23が厚くなると、このブラックマトリクス23とカラーフィルタ32とが重なっている部分も厚くなり、ブラックマトリクス23上のいわゆるツノの高さが、液晶22の配光を乱し、画質低下の原因になる場合がある。
【0230】
表示領域40のブラックマトリクス23の遮光性は、表示素子の外光起因の誤動作及びノイズを避ける光学濃度(例えば、OD値で1程度)であればよい。これに対して、表示領域23の外周部である額縁領域29については、表示品質の観点から高レベルの遮光性が強く要求される。
【0231】
本実施の形態において、表示領域40内のブラックマトリクス23は、例えば1μm(光学濃度で2前後)で形成される。表示領域40外の額縁領域29においては、ブラックマトリクス23の同様の遮光物質に加えて、赤層41と青層42を積層して、光学濃度が加算される。例えば、額縁領域29の光学濃度は1.5〜2とすることができる。
【0232】
そして、表示領域40内におけるブラックマトリクス23の膜厚を1μmとした場合、例えば、1.5μmのブラックマトリクス23を用いたときのツノの高さは、0.6μmから0.3μm以下に半減でき、液晶配向を安定化させることができる。
【0233】
表示領域40内のブラックマトリクス23の光学濃度については、表示素子(TFT)の誤動作及びノイズを抑制する観点から、光学濃度が1以上あればよい。
【0234】
例えば、横電界方式(水平配向方式)、垂直配向方式の液晶表示装置などのような、部材の誘電率が小さいことが要求される高画質液晶表示装置では、液晶と接する部材又は液晶に近い位置に配設される部材について、ブラックマトリクス23の色材から誘電率の高いカーボンを極力排除することが好ましい。表示領域40内のブラックマトリクス23の膜厚は、液晶配向の観点より、1μm以下が好ましい。
【0235】
なお、本実施の形態においては、カラーフィルタ基板と表示素子の形成されているTFT基板とを貼り合わせることが、TFT基板の製造での収率に影響を与えない点で好ましい。
【0236】
TFT基板にカラーフィルタ32を配設し、カラーフィルタ32を備えたTFT基板に、対向する基板を貼り合わせる構成は、光センサ上に直接カラーフィルタ32が積層されるため、斜め入射光の影響を受けにくい点で好ましい。
【0237】
(第6の実施の形態)
本実施の形態においては、上記各実施の形態で用いられる顔料又は染料について説明する。
【0238】
第1及び第2の赤フィルタ17R,18Rなどに適用される赤色の顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7, 14, 41, 48:2, 48:3, 48:4, 81:1, 81:2, 81:3, 81:4, 146, 168, 177, 178, 179, 184, 185, 187, 200, 202, 208, 210, 246, 254, 255, 264、 270, 272, 279等の赤色顔料を用いることができる。赤色顔料は、黄色顔料又は橙色顔料と併用されてもよい。
【0239】
黄フィルタ36Yなどに適用される黄色の顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1, 2, 3, 4, 5, 6, 10, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 24, 31, 32, 34, 35, 35:1, 36, 36:1, 37, 37:1, 40, 42, 43, 53, 55, 60, 61, 62, 63, 65, 73, 74, 77, 81, 83, 93, 94, 95, 97, 98, 100, 101, 104, 106, 108, 109, 110, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 123, 126, 127, 128, 129, 139, 147, 151, 152, 153, 154, 155, 156, 161, 162, 164, 166, 167, 168, 169, 170, 171, 172, 173, 174, 175, 176, 177, 179, 180, 181, 182, 187, 188, 193, 194, 198, 199, 213, 214等の黄色顔料を用いることができる。なお、上記の黄フィルタ36Yの顔料としては、主にC.I.Pigment Yellow 139を用いている。
【0240】
緑フィルタ17Gに適用される緑色の顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7, 10, 36, 37, 58等の緑色顔料を用いることができる。緑色の顔料は、黄色顔料と併用されてもよい。
【0241】
青フィルタ17Bの適用される青色の顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15, 15:1, 15:2, 15:3, 15:4, 15:6, 16, 22, 60, 64等の青色顔料を用いることができる。青色の顔料は、紫色顔料と併用されてもよい。この場合、紫色顔料としては、C.I.Pigment Violet 1, 19, 23, 27, 29, 30, 32, 37, 40, 42, 50等が用いられる。
【0242】
赤外光透過フィルタ18Blkに適用される顔料は、例えば、上記の顔料のうちの複数の種類の顔料を混合することにより得られる。例えば、赤外光透過フィルタ18Blkに適用される顔料としては、青色顔料と赤色顔料とが混合された顔料が好ましい。例えば、赤外光透過フィルタ18Blkに適用される顔料として、紫色顔料に黄色顔料を混合した顔料を適用することができる。また、例えば、赤外光透過フィルタ18Blkに適用される顔料として、紫色顔料に黄色顔料および赤色顔料を混合した顔料を適用することができる。
【0243】
ブラックマトリクス23に用いる色材には、透明樹脂にカーボン、グラファイト、有機顔料、染料などを添付する分散系を適用可能である。カーボンは、ポリマー、分散剤とともに有機溶剤に分散したペーストの形で市販されているものを用いることができる。ブラックマトリクス23を形成する場合又はブラックマトリクス23と赤外光透過フィルタ18Blkを同じ塗布工程からフォトリソグラフィーの工程で形成する場合に、色材比率(色材のみでの重量比)について有機顔料を90%以上とし、カーボンの添加量を残りの10%以下とする。カーボンは、光の近赤外線域を含む赤外光波長を吸収するため、赤外光透過フィルタ18Blkのカーボン添加量は、10%以下が好ましく、3%以下とすることがより好ましい。有機顔料を主な色材とするブラックマトリクス23は、カーボン添加量の多いブラックマトリクス23と比較して遮光性に劣る。したがって、表示領域40外周の額縁領域29は、カラーフィルタ32を構成する赤フィルタ17R,18R、青フィルタ17B、緑フィルタ17Gから選択される1乃至3層を、この額縁領域29において光学的に重畳して形成されることが好ましい。または、有機顔料を主な色材とするブラックマトリクス23は、例えば、1μmなどの薄い膜厚で、カラーフィルタ基板44とTFT基板の双方に形成されるとしてもよい。
【0244】
上記各実施の形態における短波長透過フィルタ18Wに添付可能な紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サルチル酸系化合物、クマリン系化合物、あるいはこれら紫外線吸収剤に光安定化剤又はクエンチャーを添付したものが挙げられる。また、例えば、光開始剤又は硬化剤などのうち紫外線吸収機能を持つ材料が紫外線吸収剤として選択されてもよい。
【0245】
本実施の形態における透明樹脂は、可視光波長域である400nm〜700nmの波長領域において、透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂とする。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び感光性樹脂が含まれる。透明樹脂の前駆体には、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマー又はオリゴマーが含まれる。透明樹脂としては、各種の樹脂を単独で用いてもよく、2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。透明樹脂に対しては、上述した顔料をアルカリ可溶な感光性樹脂として分散適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0246】
本発明は、光センサを備えた液晶表示装置の技術分野に有効である。
【符号の説明】
【0247】
1…液晶表示装置、2…表示画面部、3…光源、4…表示素子走査部、5…表示素子駆動部、6…センサ走査部、7…センサ読取部、8…演算部、9…制御部、9a…第1の認証部、9b…第2の認証部、10…カラーフィルタ、11…記憶装置、12…テーブル、13…パターンデータ、14…窓、15…表示用画素、15B…青用画素、15G…緑用画素、15R…第1の赤用画素、16,34…光検出用画素、16W…短波長画素、16R…第2の赤用画素、16Blk…赤外光用画素、17B…青フィルタ、17G…緑フィルタ、17R…第1の赤フィルタ、18W…短波長透過フィルタ、18R…第2の赤フィルタ、18Blk,30Blk…赤外光透過フィルタ、19B…青用表示素子、19G…緑用表示素子、19R…赤用表示素子、20W…短波長用光センサ、20R…赤用光センサ、20Blk…赤外光用光センサ、21,25…基板、22…液晶、23…ブラックマトリクス、24…平滑化層、26…透明電極、27…スペーサ、29…額縁領域、31…赤フィルタ、32…青フィルタ、33…開口部、35W…透明フィルタ、36W…透明用表示素子、37Y…黄フィルタ、38Y…黄用光フィルタ、40…額縁領域、43…ブラックマトリクス基板、44…カラーマトリクス基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板と液晶を介して対向する第2の基板と、
前記第1の基板の前記液晶側の面に形成されている青用表示素子、緑用表示素子、赤用表示素子、短波長用光センサ、赤用光センサ、赤外光用光センサと、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に形成されており、前記青用表示素子、前記緑用表示素子、前記赤用表示素子、前記短波長用光センサ、前記赤用光センサ、前記赤外光用光センサにそれぞれ対応する青フィルタ、緑フィルタ、第1の赤フィルタ、短波長透過フィルタ、第2の赤フィルタ、赤外光透過フィルタを含むカラーフィルタと
を具備する液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の液晶表示装置において、
前記第1の赤フィルタ及び前記第2の赤フィルタは、光の波長580nm〜620nmの範囲に50%透過率を持ち、当該50%透過率の波長より短波長側で透過率が低くなり当該50%透過率の波長より長波長側で透過率が高くなる透過率特性を持ち、それぞれ前記赤用表示素子及び前記赤用光センサに対して光学的に重畳されており、
前記赤外光透過フィルタは、光の波長650nm〜720nmの範囲に50%透過率を持ち、当該50%透過率の波長より短波長側で透過率が低くなり当該50%透過率の波長より長波長側で透過率が高くなる透過率特性を持ち、前記赤外光用光センサに対して光学的に重畳されている
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の液晶表示装置において、
前記カラーフィルタ経由で入射光を測定する前記複数の光センサのうち、第1の光センサによって得られる入射光の信号と、前記第1の光センサの次に短い波長域を検出するための第2の光センサによって得られる入射光の信号との差分を演算する演算部をさらに具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記第1の基板に形成されており前記カラーフィルタ経由で入射光を測定する前記複数の光センサによって得られる信号に基づいて、表示領域に接触又は接近している物体を検出する制御部をさらに具備する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記第1の基板に形成されている複数の表示素子を制御し、表示領域のうちの少なくとも一部の領域を全点灯とする第1の認証部と、
前記少なくとも一部の領域に接触又は接近している指からの反射光を、前記カラーフィルタ経由で前記第1の基板に形成されている複数の光センサによって測定し、前記複数の光センサによって得られる信号と予め登録されている個人の指パターンデータとを比較し、個人認証を行う第2の認証部と
をさらに具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記カラーフィルタ経由で入射光を測定する前記複数の光センサによって得られる入射光の信号に基づいて、表示される明るさを制御する制御部をさらに具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記カラーフィルタ経由で入射光を測定する前記複数の光センサは、表示領域内に均等に配置されており、
前記第1の基板の前記液晶側ではない裏面側に、少なくとも青、緑、赤の3波長を含む光を発光する光源をさらに具備する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7記載の液晶表示装置において、
前記第1の基板の前記液晶側の面に形成されている黄用光センサをさらに具備し、
前記カラーフィルタは、前記黄用光センサに対応する黄フィルタをさらに具備する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
請求項8記載の液晶表示装置において、
前記黄フィルタは、光の波長480nm〜520nmの範囲に50%透過率を持ち、当該50%透過率の波長より短波長側で透過率が低くなり当該50%透過率の波長より長波長側で透過率が高くなる透過率特性を持ち、前記黄用光センサに対して光学的に重畳されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記短波長透過フィルタは、光の波長380nm〜450nmの範囲に50%透過率を持ち、当該50%透過率の波長より短波長側で透過率が低くなり当該50%透過率の波長より長波長側で透過率が高くなる透過率特性を持ち、前記短波長用光センサに対して光学的に重畳されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記短波長透過フィルタは、光の波長480nm〜520nmの範囲に50%透過率を持ち、当該50%透過率の波長より短波長側で透過率が低くなり当該50%透過率の波長より長波長側で透過率が高くなる透過率特性を持つ第1の黄色フィルタであり、前記短波長用光センサに対して光学的に重畳されており、
前記第1の基板の前記液晶側の面に形成されている黄用表示素子と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に形成されており、前記黄用表示素子と光学的に重畳する第2の黄色フィルタとをさらに具備する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記赤外光透過フィルタは、赤層と青層を含む積層構造であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記赤外光透過フィルタの材料にさらに有機顔料を包含した遮光性を持つブラックマトリクスを、前記第1の基板の前記液晶側の面と前記第2の基板とのうちの少なくとも一方に形成することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
表示領域の外周に、赤層と青層と緑層のうちの少なくとも一つの層を光学的に重畳している遮光性の領域をさらに具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記第1の基板と前記第2の基板との間のギャップを規制し、平面視された場合に前記第1の基板において隣接する前記複数の光センサの間に位置するスペーサ、をさらに具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項16】
請求項15記載の液晶表示装置において、
前記スペーサは、前記短波長透過フィルタと同一工程で形成されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記短波長透過フィルタは、光の波長420nmより短波長側で入射光を吸収する紫外線吸収剤を含有する樹脂材料を用いて形成されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記カラーフィルタは、前記第1の基板の前記液晶側の面に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項19】
請求項13記載の液晶表示装置において、
前記ブラックマトリクスは、波長420nmより短波長側で光を吸収する紫外線吸収剤を含有する樹脂材料の硬化膜をさらに具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項20】
請求項1記載の液晶表示装置に備えられるブラックマトリクス基板において、
前記第1の基板を対向させた状態で平面視された場合に、前記第1の基板に隣接して形成されている前記複数の光センサの間に配置される遮光性を持つブラックマトリクスと、
平面視された場合に前記ブラックマトリクスに重なるように形成されており2種以上の高さの異なるスペーサと
を具備することを特徴とするブラックマトリクス基板。
【請求項21】
青フィルタ、緑フィルタ、第1の赤フィルタ、短波長透過フィルタ、第2の赤フィルタ、赤外光透過フィルタを格子状に配置して形成されるカラーフィルタと、
前記カラーフィルタの外周に形成される遮光性領域と
を具備するカラーフィルタ基板。
【請求項22】
請求項21記載のカラーフィルタ基板において、
前記遮光性領域に、赤層と青層と緑層のうちの少なくとも一つの層を光学的に重畳していることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項23】
請求項21記載のカラーフィルタ基板において、
青用表示素子、緑用表示素子、赤用表示素子、短波長用光センサ、赤用光センサ、赤外光用光センサの形成されている基板に対向するように配置された状態で平面視された場合に、当該基板において隣接する複数の光センサの間に配置される遮光性を持つブラックマトリクスと、
平面視された場合に前記ブラックマトリクスに重なるように形成されており2種以上の高さの異なるスペーサと
をさらに具備することを特徴とするカラーフィルタ基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2011−65133(P2011−65133A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113591(P2010−113591)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】