説明

液晶表示装置、光源装置、及び液晶表示装置における光源調整方法

【課題】調整条件に応じて対向する光源の電流分配比率を決定する液晶表示装置を提供する。
【解決手段】
LED制御部17は、制御部15から調整条件である設置状態を入力すると、LED電流算出処理部17aを起動する。LED電流算出処理部17aは、LED電流分配比率設定テーブル14aから設置状態に対応する上部LEDと下部LEDのLED電流分配比率を取り出し、上部LEDと下部LEDに分配される電流値を算出する。LED制御部17は、LED電流算出処理部17aによって算出された上部LEDと下部LEDの電流値を、LED駆動部18に出力する。LED駆動部18のLED電流制御部18aは、LED制御部17から上部LEDと下部LEDの電流値を入力すると、これらの電流値に基づいてLEDバックライト20に供給する電流を制御する。LEDバックライト20は、液晶表示部21の背面から光を照射することで映像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置のバックライトの光源に係り、特に光源の電流調整に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(発光ダイオード)の普及により、液晶表示装置のバックライトの光源がCCFL(冷陰極蛍光ランプ)からエッジライト型のLED(以下、エッジライトLEDという)に置き換えられている。このエッジライトLEDを用いることで、液晶表示装置の薄型化や軽量化が可能となった。また、LEDはCCFLに比べ省エネであるので、リチウム電池等の2次電池を搭載することで高容量化となり、バッテリーで長時間の駆動が可能となった。更に、ワイヤレス通信機器を搭載することで、アンテナケーブルの接続が不要となり、設置場所を選ばないようになった。このように、液晶表示装置も電子書籍やPCタブレット等のように視聴場所を選ばない環境が整い、液晶表示装置を使用した関連商品が拡大している。そして、チューナを搭載した液晶テレビでも省エネ、薄型化、及び軽量化が進み、従来テレビのようなスタンドによる固定設置から手軽に設置場所が移動できるクレドールによる簡易固定やテーブル等への平置き、手に持って使用、手軽な吊り下げ設置等ができるようになった。また、液晶テレビにバッテリーを搭載し、映像または放送の無線接続することで、従来テレビのように電気コード及びアンテナを接続せずに、家の中で自由に視聴設置スタイルが選べるようになった。例えば、1つの商品形態として、表面全体が映像表示画面であり、バッテリーを搭載し、無線によってチューナから映像信号を受けるようなipadのような液晶テレビも考えられる。
【0003】
このように視聴設置スタイルが選べるようになると、液晶表示装置の本来の上下位置を逆にしたり、又は本来の左右位置を上下にしたり、更にテーブルなどの面に平らに置くなど液晶表示装置が設置されるときの状態(以下、設置状態という)が変化するようになる。しかし、LEDは、高輝度のため高温となるので、液晶表示装置のLEDが一列に並べられている側面は高温となる。従来の液晶表示装置は、この高温により発生した熱をシャーシに放熱、又は自然対流によってセット内に分散して放熱する構造としていた。本来の上下位置が正しく設置されている状態(以下、正置状態という)であれば、同じような構造によりLEDの高温による発熱に対処することができるが、本来の上下位置が逆に設置されている状態(以下、逆置状態という)、左右位置が上下に設置されている状態(以下、縦置状態という)、及び平らに設置されている状態(以下、平置状態という)などでは、従来の放熱構造では発熱に対処できないことがある。
【0004】
LEDの発熱を調整する技術として特開2010−32731号公報(特許文献1)と特開2010−32730号公報(特許文献2)を挙げることができる。特許文献1と特許文献2に開示の技術では、LEDバックライトの入射面の中で周囲温度がより高い部分の近傍に配置されたLEDに、より低い電流を供給することで、LEDの発熱を調整する対策を行っている。また、液晶素子の温度を略均一に保つことで発熱を調整する技術として特開平9−146094(特許文献3)を挙げることができる。特許文献3に開示の技術では、照明素子の上側の光源を下側の光源よりも輝度を低くすることにより、上側の光源の発熱を下側の光源よりも低く抑え、暖められた空気が上昇して照明素子の上方部に溜った場合でも、照明素子の上下の温度差を小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−32731号公報
【特許文献2】特開2010−32730号公報
【特許文献3】特開平9−146094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1と特許文献2に開示の技術では、周囲温度がより高い部分の近傍に配置されたLEDにより低い電流を供給することで、LEDの発熱を調整することができる。また、特許文献3に開示の技術では、照明素子の上下の温度差を小さくするように上側の光源の発熱を下側の光源よりも低く抑えることができる。しかし、本来と異なる設置状態であるときには、LEDの発熱を調整することはできない。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液晶表示装置は、表示パネルの対向する2辺に光源を備える液晶表示装置において、前記光源の調整条件の1つ又は複数の調整条件の組み合わせに応じて2辺の光源に対する電流分配比率を決定する電流分配比率決定手段と、前記2辺の光源の前記電流分配比率に基づいて前記2辺の光源の電流を制御する電流制御手段と、を備えることを特徴としている。
また、本発明の液晶表示装置の前記調整条件の1つは、設置状態とすることを特徴としている。
また、本発明の液晶表示装置は、前記設置状態を検出する設置状態検出手段を備えることを特徴としている。
また、本発明の液晶表示装置は、前記設置状態が設定される設置状態設定手段を備えることを特徴としている。
また、本発明の液晶表示装置の前記設置状態は、正置状態、逆置状態、縦置状態、又は平置状態のいずれかとすることを特徴としている。
また、本発明の液晶表示装置の前記電流分配比率決定手段は、前記調整条件の1つが省エネモードのときには、前記2辺の光源に対応する前記電流分配比率を前記液晶表示装置の全体の電流に応じて変更することを特徴としている。
また、本発明の液晶表示装置の前記電流分配比率決定手段は、前記調整条件の1つが映像モードのときには、前記2辺の光源に対する前記電流分配比率を前記映像モードの画質や映像の明るさに応じて変更することを特徴としている。
また、本発明の液晶表示装置の前記電流分配比率決定手段は、前記調整条件の1つが使用環境の温度のときには、前記2辺の光源に対する電流分配比率を前記使用環境の温度に応じて変更することを特徴としている。
また、本発明の液晶表示装置の前記電流分配比率決定手段は、前記調整条件の1つが使用環境の明るさのときには、前記2辺の光源に対する電流分配比率を前記使用環境の明るさに応じて変更することを特徴としている。
また、本発明の液晶表示装置の前記電流分配比率決定手段は、前記調整条件の1つが前記液晶表示装置に収納されている機器の配置と前記機器の発熱量のときには、前記2辺の光源に対する電流分配比率を前記機器の配置と前記機器の発熱量に応じて変更することを特徴としている。
また、本発明の液晶表示装置の前記光源は、エッジライトLEDであることを特徴としている。
また、本発明の液晶表示装置は、光源装置とすることを特徴としている。
また、本発明の液晶表示装置の光源調整方法は、表示パネルの対向する2辺に光源を備える液晶表示装置において、前記光源の調整条件の1つ又は複数の調整条件の組み合わせに応じて2辺の光源に対する電流分配比率を決定する電流分配比率決定工程と、前記2辺の光源の前記電流分配比率に基づいて前記2辺の光源の電流を制御する電流制御工程と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液晶表示装置が備えるバックライトの光源は、設置状態などの条件に応じて発熱調整が可能になるので、耐熱性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の機能構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る液晶表示装置のLEDバックライトと液晶表示部の構造を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の設置状態を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るLED電流分配比率設定テーブルの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るLED電流算出処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る液晶制御部(TCON)とLEDバックライトの第1の発熱調整方法を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態に係る液晶制御部(TCON)とLEDバックライトの第2の発熱調整方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための実施の形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して説明する。実施形態の液晶表示装置1は、上部側面と下部側面の両面にエッジライトLEDを備える形態である。
【0012】
実施形態における液晶表示装置1の機能構成について、図1を用いて説明する。液晶表示装置1は、操作部11、装置状態検出部12、チューナ部13、記憶部14、制御部15、映像信号処理部16、LED制御部17、LED駆動部18、液晶制御部(TCON)19、LEDバックライト20、及び液晶表示部21から構成されている。記憶部14は、LED電流分配比率設定テーブル14aを備えている。LED制御部17は、LED電流算出処理部17aを備えている。LED駆動部18は、LED電流制御部18aを備えている。
【0013】
操作部11は、ユーザの操作やユーザが設定する液晶表示装置1の設置状態を検出し、制御部15に出力する。設置状態検出部12は、傾斜を測定する加速度センサーまたは上下位置を検出するSW(スイッチ)などを用いて、計測した傾斜または検出した上下位置により設置状態を検出し、制御部15に出力する。記憶部14は、フラッシュメモリ等からなる記憶装置で、制御部15が実行する処理のプログラムやデータを記憶する。記憶部14が備えるLED電流分配比率設定テーブル14aは、設置状態に対応する上部側面と下部側面のエッジライトLEDの電流分配比率が記録されているテーブルである。LED電流分配比率設定テーブル14aの構成については、後述する。制御部15は、液晶表示装置1全体を制御する。また、制御部15は、操作部11または設置状態検出部12から設置状態を入力すると、LED制御部17に設置状態を通知する。
【0014】
LED制御部17は、制御部15から設置状態の通知を入力すると、LED電流算出処理部17aを起動する。LED制御部17が備えるLED電流算出処理部17aは、上部側面と下部側面のエッジライトLEDに分配される電流値を算出する処理である。LED電流算出処理部17aが実行するLED電流算出処理については、後述する。LED制御部17は、LED電流算出処理部17aによって算出された上部側面と下部側面のエッジライトLEDの電流値を、LED駆動部18に出力する。LED駆動部18は、LEDバックライト20の駆動制御を行う。LED駆動部18の電力は、液晶表示装置1の電源部(図示せず)から供給される。LED駆動部18のLED電流制御部18aは、LED制御部17から上部側面のエッジライトLEDと下部側面のエッジライトLEDの電流値を入力すると、これらの電流値に基づいてLEDバックライト20に供給する電流を制御する。LEDバックライト20は、上部側面の一辺と下部側面の一辺にLED並べた光源で、液晶表示部21の背面から光を照射することで映像を表示する。
【0015】
チューナ部13は、放送波を受信するアンテナ2のアンテナ入力端子に接続され、アンテナ入力端子から入力する放送波を復調し、映像信号処理部16に出力する。映像信号処理部16は、チューナ部13から映像信号を入力すると、液晶表示部21で表示可能な信号に変換し、液晶制御部(TCON)19に出力する。液晶制御部(TCON)19は、タイミングコントローラであり、映像信号処理部16から映像信号の1ライン分のデータを順に入力し、液晶表示部21の最上部ラインから順に書き込む制御を行う。液晶表示部21は、ソースドライバ、ゲートドライバ、及び液晶パネルなどを備え、液晶制御部(TCON)19から順に書き込まれた映像信号の1フレーム分を映像として表示する。
【0016】
液晶表示装置1のLEDバックライト19と液晶表示部20の構造について、図2を用いて説明する。液晶表示装置1のLEDバックライト19と液晶表示部20の構造は、液晶パネル31、光学シート(拡散板)32、導光板33、BLシャーシ34、上部のLED基板35(以下、上部LED35という)、下部のLED基板36(以下、下部LED36という)、上部LED固定放熱バー37、及び下部LED固定放熱バー38から構成されている。液晶パネル31、光学シート(拡散板)32、導光板33、及びBLシャーシ34が液晶表示部21の機器である。上部LED35、下部LED36、上部LED固定放熱バー37、及び下部LED固定放熱バー38がLEDバックライト20の機器である。
【0017】
液晶パネル31は、透明電極が組み込まれた2枚の透明な基板の間に液晶分子を挟み、透明電極に電圧を加えて液晶分子の向きを変化させて通過する光の状態を制御することで、画像を表示するパネルである。光学シート(拡散板)32は、上部LED35と下部LED36の光を拡散させるシートである。導光板33は、上部LED35と下部LED36の光を液晶パネル31の背面から照明するために導光を行う背面板である。BLシャーシ34は、導光板33、上部LED35、下部LED36、上部LED固定放熱バー37、及び下部LED固定放熱バー38を固定するシャーシである。上部LED35は、液晶表示装置1の上部のエッジライトLEDで、上部側面の一辺に並べられているLEDである。下部LED36は、液晶表示装置1の下部のエッジライトLEDで、下部側面の一辺に並べられているLEDである。上部LED固定放熱バー37は、上部LED35が高温となることで発生する熱を放出するための孔を備えたバーである。下部LED固定放熱バー38は、下部LED36が高温となることで発生する熱を放出するための孔を備えたバーである。
【0018】
液晶表示装置1の設置状態について図3を用いて説明する。図3(1)は、上下位置が正しく設置されている液晶表示装置1の正置状態を示す。図3(2)は、上下位置が逆に設置されている液晶表示装置1の逆置状態を示す。図3(3)は、左右位置が上下に設置されている液晶表示装置1の縦置状態を示す。図3(4)は、平らに設置されている液晶表示装置1の平置状態を示す。
【0019】
次に、液晶表示装置1のLED電流分配比率設定テーブル14aの構成について、図4を用いて説明する。LED電流分配比率設定テーブル14aは、「設置状態」と「LED電流分配比率(%)」の項目が設けられている。また、「LED電流分配比率(%)」には、「上部LED」と「下部LED」の項目が設けられている。「設置状態」は、図3に示す液晶表示装置1の設置状態であり、「正置」、「逆置」、「縦置」、及び「平置」が設定されている。「上部LED」は、図2に示す上部LED35に対応している。「上部LED」には、液晶表示装置1のLED全体の電流を100%としたときに、上部LED35に供給される電流の分配比率(%)が設定される項目である。「下部LED」は、図2に示す下部LED36に対応している。「下部LED」には、液晶表示装置1のLED全体の電流を100%としたときに、下部LED36に供給される電流の分配比率(%)が設定される項目である。このようなLED電流分配比率設定テーブル14aにおいて、図4に示すように「設置状態」が「逆置」に対応する「LED電流分配比率(%)」の「上部LED」には「R1」、「LED電流分配比率(%)」の「下部LED」には「R2」が設定されている。また、LED駆動部18がLEDバックライト20に供給するLED全体の電流値をR(A)とすると、「上部LED35」の電流値は、R×R1/100(A)となる。同様に、「下部LED36」の電流値は、R×R2/100(A)となる。
【0020】
次に、本発明の実施形態におけるLED電流算出処理部17aが実行するLED電流算出処理について、図5を用いて説明する。LED制御部17が制御部15から設置状態の通知を入力すると、LED電流算出処理部17aを起動する。この起動により、LED電流算出処理部17aがLED電流算出処理を実行する。
【0021】
まず、ステップS10において、LED電流算出処理部17aは、操作部11または設置状態検出部12が検出した「設置状態」を制御部15から入力する。
【0022】
次いでステップS20において、LED電流算出処理部17aは、記憶部14からLED電流分配比率設定テーブル14aを取り出す。
【0023】
次いでステップS30において、LED電流算出処理部17aは、LED電流分配比率設定テーブルに基づいてステップS10で取り出した「設置状態」に対応する「LED電流分配比率(%)」の「上部LED」を取り出す。例えば、ステップS10で取り出した「設置状態」が「縦置」であれば、「縦置」に対応する「LED電流分配比率(%)」の「上部LED」の「V1」が取り出される。
【0024】
次いでステップS40において、LED電流算出処理部17aは、LED電流分配比率設定テーブルに基づいてステップS10で取り出した「設置状態」に対応する「LED電流分配比率(%)」の「下部LED」を取り出す。例えば、ステップS10で取り出した「設置状態」が「縦置」であれば、「縦置」に対応する「LED電流分配比率(%)」の「下部LED」の「V2」が取り出される。
【0025】
次いでステップS50において、LED電流算出処理部17aは、ステップS30で取り出した「LED電流分配比率(%)」の「上部LED」から上部LED35の電流値を算出する。例えば、ステップS30で取り出した「LED電流分配比率(%)」の「上部LED」が「V1」で、LED全体の電流値がR(A)であれば、上部LED35の電流値は、R×V1/100(A)となる。
【0026】
次いでステップS60において、LED電流算出処理部17aは、ステップS40で取り出した「LED電流分配比率(%)」の「下部LED」から下部LED36の電流値を算出する。例えば、ステップS40で取り出した「LED電流分配比率(%)」の「下部LED」が「V2」で、LED全体の電流値がR(A)であれば、下部LED36の電流値は、R×V2/100(A)となる。
【0027】
次いでステップS70において、LED電流算出処理部17aは、上部LED35の電流値と下部LED36の電流値をLED駆動部18に出力し、LED電流算出処理を終了する。
【0028】
本実施形態の液晶表示装置1における液晶制御部(TCON)19とLEDバックライト20の発熱調整方法について説明する。
【0029】
まず、LEDバックライト20が動作可能な温度条件における余裕(以下、LEDバックライト20の温度余裕という)が、液晶制御部(TCON)19が動作可能な温度条件における余裕(以下、液晶制御部(TCON)19の温度余裕という)より大きい場合の第1の発熱調整方法について、図6を用いて説明する。図6(1)は、液晶表示装置1が正置状態であり、図6(2)は、液晶表示装置1が逆置状態である。図6(1)に示すように液晶表示装置1が正置状態で、LEDバックライト20の温度余裕が液晶制御部(TCON)19の温度余裕より大きい場合には、液晶制御部(TCON)19は上部LED35による影響を受けないが、下部LED36による影響を受ける。このような場合には上部LED35のみを用いると、上部LED35から発生する熱は画面の上部分に集中するので、液晶制御部(TCON)19の温度を更に上昇させることがない。従って、液晶表示装置1が正置状態であるときは、上部LED35を点灯し、下部LED36を消灯する。つまり、図4に示すLED電流分配比率設定テーブル14aの「設置状態」が「正置」に対応する「LED電流分配比率(%)」の「上部LED」に「100」を設定し、「LED電流分配比率(%)」の「下部LED」に「0」を設定する。
【0030】
また、図6(2)に示すように液晶表示装置1が逆置状態で、LEDバックライト20の温度余裕が液晶制御部(TCON)19の温度余裕より大きい場合には、液晶制御部(TCON)19は下部LED36による影響を受けないが、上部LED35による影響を受ける。このような場合には下部LED36のみを用いると、下部LED36から発生する熱は画面の上部分に集中するので、液晶制御部(TCON)19の温度を更に上昇させることがない。従って、液晶表示装置1が逆置状態であるときは、上部LED35を消灯し、下部LED36を点灯する。つまり、図4に示すLED電流分配比率設定テーブル14aの「設置状態」が「逆置」に対応する「LED電流分配比率(%)」の「上部LED」に「0」を設定し、「LED電流分配比率(%)」の「下部LED」に「100」を設定する。
【0031】
次に、LEDバックライト20の温度余裕が、液晶制御部(TCON)19の温度余裕より小さい場合の第2の発熱調整方法について、図7を用いて説明する。図7(1)は、液晶表示装置1が正置状態であり、図7(2)は、液晶表示装置1が逆置状態である。図7(1)に示すように液晶表示装置1が正置状態で、LEDバックライト20の温度余裕が液晶制御部(TCON)19の温度余裕より小さい場合には、下部LED36は液晶制御部(TCON)19による影響を受けないが、上部LED35は液晶制御部(TCON)19による影響を受ける。このような場合には下部LED36のみを用いると、液晶制御部(TCON)19から発生する熱が画面の上部分に集中するので、下部LED36の温度を更に上昇させることがない。従って、液晶表示装置1が正置状態であるときは、上部LED35を消灯し、下部LED36を点灯する。つまり、図4に示すLED電流分配比率設定テーブル14aの「設置状態」が「正置」に対応する「LED電流分配比率(%)」の「上部LED」に「0」を設定し、「LED電流分配比率(%)」の「下部LED」に「100」を設定する。
【0032】
また、図7(2)に示すように液晶表示装置1が逆置状態で、LEDバックライト20の温度余裕が液晶制御部(TCON)19の温度余裕より小さい場合には、上部LED35は液晶制御部(TCON)19による影響を受けないが、下部LED36は液晶制御部(TCON)19による影響を受ける。このような場合には上部LED35のみを用いると、液晶制御部(TCON)19から発生する熱が画面の上部分に集中するので、上部LED35の温度を更に上昇させることがない。従って、液晶表示装置1が逆置状態であるときは、上部LED35を点灯し、下部LED36を消灯する。つまり、図4に示すLED電流分配比率設定テーブル14aの「設置状態」が「逆置」に対応する「LED電流分配比率(%)」の「上部LED」に「100」を設定し、「LED電流分配比率(%)」の「下部LED」に「0」を設定する。
【0033】
なお、実施形態において説明したように、液晶表示装置1の設置状態の検出は、ユーザが操作部11から現在の設置状態を設定する方法と、設置状態検出部12によって自動で設置状態を検出する方法との両方、又はいずれかで設置状態を検出することが可能である。
【0034】
また、実施形態においては、液晶表示装置1のLED全体の電流値を一定の「R(A)」としているが、LED全体の電流についても制御可能である。例えば、パワーセーブを行う省エネモードのときには、LED全体の電流値を下げることも可能である。また、逆にこの省エネモードを解除したときには、LED全体の電流値を上げることも可能である。
【0035】
また、実施形態においては、液晶表示装置1の設置状態における発熱調整に基づいて上部LED35と下部LED36のLED電流分配比率(%)を決定する例について説明したが、例えば、省エネモード、映像モード、室内の温度や室内の明るさなどの使用環境、又は収納されている機器の配置など(以下、調整条件という)の1つ、又は複数の調整条件の組み合わせに応じて上部LED35と下部LED36のLED電流分配比率(%)を自動的に決定することも可能である。
【0036】
例えば、液晶表示装置1がパワーセーブを行う省エネモードのときには、LED全体の電流が抑えられる。このような場合では、上部LED35と下部LED36による発熱量が小さくなる。このため、発熱量を制御するために決定されたLED電流分配比率(%)の差を小さくすることで輝度の差が小さくなるので、映像の明るさのバランスがよいLED電流分配比率(%)とすることができる。また、映画、ゲーム、またはテレビなどの映像の種別である映像モードに応じて液晶表示装置1の画質や映像の明るさが変わる。このような場合では、映像モードの画質や映像の明るさに適したLED電流分配比率(%)とすることができる。また、天井部分の温度だけが高いときなど液晶表示装置1の使用環境の温度に応じて上部LED35と下部LED36の発熱の制御量が変わる。このような場合では、使用環境の温度も考慮した電流分配比率(%)とすることができる。また、部分照明などにより室内の一部分が明るいときなど液晶表示装置1の使用環境の明るさに応じて上部LED35と下部LED36の輝度の制御量が変わる。このような場合では、使用環境の明るさも考慮した電流分配比率(%)とすることができる。また、収納されている機器の配置とその発熱量に応じて上部LED35と下部LED36の発熱の制御量が変わる。このような場合では、収納されている機器の配置とその発熱量に応じた電流分配比率(%)とすることができる。
【0037】
以上の調整条件により、図4に示すLED電流分配比率設定テーブル14aの設定例について説明する。例えば、「設置状態」が「正置」で、「上部LED」の「N1」が「20%」、「下部LED」の「N2」が「80%」であるときに、「設置状態」が「逆置」では、「上部LED」の「R1」が「80%」、「下部LED」の「R2」が「20%」となる。しかし、「設置状態」が「逆置」において、液晶表示装置1が省エネモードのときには、LED全体の電流が抑えられることで、「上部LED」の電流も抑えられる。また、「上部LED」と「下部LED」の電流の差により映像の明るさがアンバランスとなることがある。このような場合では、「上部LED」の「R1」を「70%」、「下部LED」の「R2」を「30%」などのように設定すると、発熱調整及び映像の明るさのアンバランス解消に効果がある。また、「設置状態」が「平置」であるときには、通常は「上部LED」と「下部LED」が同じ状態となるので、「上部LED」の「F1」と「下部LED」の「F2」は共に「50%」とになる。しかし、「設置状態」が「平置」において、液晶表示装置1の「上部LED」側の照明が明るい場合には、「上部LED」の「F1」を「40%」、「下部LED」の「F2」を「60%」などのように設定することで、映像の明るさのアンバランス解消に効果がある。
【0038】
以上、具体的な実施形態により本発明を説明したが、上記の実施形態は本発明の例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、液晶表示装置に好適であるが、光源を有する装置(以下、光源装置という)に適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1・・・・・・・液晶表示装置
2・・・・・・・アンテナ
11・・・・・・・操作部
12・・・・・・・設置状態検出部
13・・・・・・・チューナ部
14・・・・・・・記憶部
14a・・・・・・LED電流分配比率設定テーブル
15・・・・・・・制御部
16・・・・・・・映像信号処理部
17・・・・・・・LED制御部
17a・・・・・・LED電流算出処理部
18・・・・・・・LED駆動部
18a・・・・・・LED電流制御部
19・・・・・・・液晶制御部(TCON)
20・・・・・・・LEDバックライト
21・・・・・・・液晶表示部
31・・・・・・・液晶パネル
32・・・・・・・光学シート(拡散板)
33・・・・・・・導光板
34・・・・・・・BLシャーシ
35・・・・・・・上部のLED基板(上部LED)
36・・・・・・・下部のLED基板(下部LED)
37・・・・・・・上部LED固定放熱バー
38・・・・・・・下部LED固定放熱バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの対向する2辺に光源を備える液晶表示装置において、
前記光源の調整条件の1つ又は複数の調整条件の組み合わせに応じて2辺の光源に対する電流分配比率を決定する電流分配比率決定手段と、
前記2辺の光源の前記電流分配比率に基づいて前記2辺の光源の電流を制御する電流制御手段と、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記調整条件の1つは、設置状態であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記設置状態を検出する設置状態検出手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記設置状態が設定される設置状態設定手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記設置状態は、正置状態、逆置状態、縦置状態、又は平置状態のいずれかであることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記電流分配比率決定手段は、前記調整条件の1つが省エネモードのときには、前記2辺の光源に対応する前記電流分配比率を前記液晶表示装置の全体の電流に応じて変更することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記電流分配比率決定手段は、前記調整条件の1つが映像モードのときには、前記2辺の光源に対する前記電流分配比率を前記映像モードの画質や映像の明るさに応じて変更することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記電流分配比率決定手段は、前記調整条件の1つが使用環境の温度のときには、前記2辺の光源に対する電流分配比率を前記使用環境の温度に応じて変更することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記電流分配比率決定手段は、前記調整条件の1つが使用環境の明るさのときには、前記2辺の光源に対する電流分配比率を前記使用環境の明るさに応じて変更することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記電流分配比率決定手段は、前記調整条件の1つが前記液晶表示装置に収納されている機器の配置と前記機器の発熱量のときには、前記2辺の光源に対する電流分配比率を前記機器の配置と前記機器の発熱量に応じて変更することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記光源は、エッジライトLEDであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記液晶表示装置は、光源装置であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項13】
表示パネルの対向する2辺に光源を備える液晶表示装置において、
前記光源の調整条件の1つ又は複数の調整条件の組み合わせに応じて2辺の光源に対する電流分配比率を決定する電流分配比率決定工程と、
前記2辺の光源の前記電流分配比率に基づいて前記2辺の光源の電流を制御する電流制御工程と、
を備えることを特徴とする液晶表示装置の光源調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−25022(P2013−25022A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158806(P2011−158806)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】