説明

液晶表示装置およびその製造方法

【課題】 漏光による光電流の発生を防止し、TFT素子の特性を適切に防止することが可能な液晶表示装置、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 一対の基板1A,1Bと、一対の基板1A,1Bに挟まれた液晶層7と、基板1Aにマトリクス状に配置された複数の画素電極34と、複数の画素電極34に対応するように基板1A上に配置された複数の半導体層2を有するTFT素子Tと、を備える液晶表示装置Aであって、TFT素子Tが形成された基板1Aの面内方向において、半導体層2を囲うように形成された遮光部4が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TFT素子を備えた液晶表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画素スイッチング用の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFT)素子を備えた液晶表示装置としては、図10に示すものがある。この液晶表示装置Xは、TFT素子91を構成する半導体層92を備えており、この半導体層92の一部がチャンネル領域92aとされている。液晶表示装置Xが使用される際に、液晶層93を照明するための照明装置(図示略)からの光がチャンネル領域92aに入射すると、このチャンネル領域92aにおいて光電変換効果により光電流が発生し、TFT素子91の機能が適切に発揮されない。液晶表示装置Xにおいては、チャンネル領域92a下方の遮光対策として、下側遮光膜94が設けられている。また、チャンネル領域92a上方の遮光対策として、データ線95aおよび容量線95bがTFT素子91の上方を覆うように形成されており、これらのデータ線95aおよび容量線95bが上側遮光膜95として兼用されている。
【0003】
しかしながら、基板90上には絶縁膜96など複数の透光性を有する膜が複雑な形状で積層されている。このため、たとえば、TFT素子91からその側方に遠ざかった位置において絶縁膜96に入射した光が、屈折および反射を繰り返して、チャンネル領域92aに照射される場合がある。このような光に対しては、下側遮光膜94および上側遮光膜95は、遮光効果を果たさないため、上記光電流が発生することとなり、TFT素子91の機能を適切に発揮させることが困難であった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−124679号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、漏光による光電流の発生を防止し、TFT素子の特性を適切に防止することが可能な液晶表示装置、およびその製造方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される液晶表示装置は、一対の基板と、上記一対の基板に挟まれた液晶層と、上記一対の基板の一方にマトリクス状に配置された複数の画素電極と、上記複数の画素電極に対応するように上記一方の基板上に配置された複数の半導体層を有するTFT素子と、を備える液晶表示装置であって、上記TFT素子が形成された基板の面内方向において、上記半導体層を囲うように形成された遮光部が設けられていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、上記基板の面内方向から上記半導体層に向かってくる光を上記遮光部により適切に遮ることができる。したがって、上記半導体層において光電変換効果による光電流の発生を防止することが可能であり、上記TFT素子の機能を適切に発揮させることができる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記遮光部は、上記半導体層を囲う枠状部と、上記枠状部の内向き側面に形成された遮光膜とにより構成されている。このような構成によれば、上記基板の面内方向における上記半導体層の遮光を確実化するのに有利である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記枠状部は、SiO2により形成されている。このような構成によれば、上記枠状部を所望の形状および大きさに形成するのに適している。また、たとえば、SiO2をマスク材料としてエッチバック処理を施すことにより、上記半導体層に生じた段差部の平滑化がなされる構成においては、エッチバック処理において上記枠状部を形成することができる。したがって、上記枠状部を形成するための特別な工程を経ることなく、上記枠状部を容易に形成することができる。SiO2は、絶縁性が高いために、上記枠状部が上記TFT素子を構成する導電性部材や上記TFT素子に導通する配線などを不当に導通させることを回避して、上記TFT素子の機能を適切に発揮させることができる。また、SiO2は、エッチングにおける加工性が優れており、微細かつ複雑な形状に形成された上記半導体層を適切に囲うように上記枠状部を形成するのに適している。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記遮光膜は、TiまたはWにより形成されている。このような構成によれば、TiまたはWは比較的遮光効果に優れるために、上記半導体層の遮光を確実化するのに好適である。また、TiまたはWを用いれば、スパッタ法または蒸着法などにより上記遮光膜を適切に形成することができる。さらに、TiまたはWは、比較的高融点を有し、耐腐食性が高い。このため、上記液晶表示装置の製造工程において、上記遮光膜を形成した後にさらに他の部分を形成するための成膜処理やエッチングなどを施した場合にも、上記遮光膜がこれらの処理により侵食されてしまうなどの不具合を防止することができる。
【0012】
本発明の第2の側面によって提供される液晶表示装置の製造方法は、TFT素子を構成する半導体層を基板上に形成する工程を有する液晶表示装置の製造方法であって、上記半導体層を形成する工程の後に、上記基板上に上記半導体層を囲う枠状部を形成する工程と、上記基板に直交する方向に対して傾斜した方向から指向性を有する薄膜形成法を施すことにより、上記枠状部の内向き側面に遮光膜を形成する工程と、をさらに有することを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、上記遮光膜の形成において、上記枠状部材の内向き側面に上記遮光膜を適切に形成することができる。また、上記半導体層へと向かってくる上記遮光膜の材料を、上記枠状部の角部により遮ることが可能であり、上記半導体層に上記遮光膜の材料が不当に付着することを防止することができる。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記半導体層を形成する工程の後に、上記半導体層に生じた段差部の平滑化を行なう工程を有し、上記枠状部の形成は、上記平滑化を行なう工程においてなされる。このような構成によれば、上記枠状部を形成するための特別な工程が不要であり、製造工程の効率を低下させることなく、上記枠状部を容易に形成することができる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記平滑化を行なう工程は、上記基板のうち上記半導体層を含む領域をマスク材料により覆い、このマスク材料にエッチバック処理を施すことにより行い、上記枠状部の形成は、上記エッチバック処理において、上記マスク材料のうち上記半導体層を囲う部分を残存させることにより行なう。エッチバック処理とは、たとえば積層構造物において、パターン形成された各層間に生じた段差を縮小化するために用いられる、平坦化技術の一手法である。一般に、段差部を埋めるように絶縁膜を塗布し、ホトレジストを用いて上記絶縁膜のうち所定部分をエッチングすることによりなされる。エッチバック処理は、他の平坦化技術と比較して比較的簡単であること、対象物の微細化への対応が容易であることなどの長所を有する。このような構成によれば、上記枠状部をエッチバック処理により所定の位置に正確な形状で仕上げることが可能であり、上記枠状部の内向き側面を利用して、上記半導体層を適切に囲うように上記遮光膜を形成するのに適している。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記マスク材料はSiO2である。このような構成によれば、上記枠状部を所望の形状に仕上げるのに有利である。SiO2は、エッチングにおける加工性に優れているために、上記半導体層を適切に覆うように上記枠状部を形成することができる。また、エッチバック処理においてエッチング速度を制御することにより、上記枠状部を上記TFT素子に対して適切な高さとすることが好ましいが、SiO2を用いれば上記枠状部の高さを比較的正確に仕上げることができる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記指向性を有する薄膜形成法は、スパッタ法または蒸着法である。このような構成によれば、上記遮光膜の材料は高い指向性で出射されるために、上記枠状部の内向き側面に適切に上記遮光膜を形成しつつ、上記半導体層に上記遮光膜の材料が不当に付着することを防止するのに適している。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1および図2は、本発明に係る液晶表示装置の一例を示している。この液晶表示装置Aは、TFT基板1Aおよび対向基板1Bと、これらの基板間に介在する液晶層7とを備えている。なお、図2においては、説明の便宜のため層間絶縁膜52が省略されている。
【0021】
TFT基板1Aは、たとえばガラス製であり、複数のTFT素子Tがマトリクス状に配置されている。
【0022】
TFT素子Tは、半導体層2、ゲート絶縁膜51、ゲート電極31、ソース電極32などから構成されている。TFT素子Tは、この液晶表示装置Aにマトリクス状に配置された複数の画素(図示略)について、それぞれの画素に対応する液晶層7の偏光状態を切り替えるいわゆるスイッチングのために用いられるものである。
【0023】
半導体層2は、チャンネル領域21、ソース領域22、およびドレイン領域23を有しており、TFT基板1A上に形成されている。半導体層2は、多結晶シリコン(以下、poly-Si)により形成されている。チャンネル領域21は、ゲート電極31からの電界によりいわゆるチャンネルが形成される領域である。ソース領域22およびドレイン領域23は、それぞれソース電極32およびドレイン33と接合されている。なお、半導体層2は、poly-Siに代えてアモルファスシリコン(a-Si)により形成しても良い。
【0024】
ゲート電極31は、チャンネル領域21に作用させる電界を発生させるためのものであり、たとえば、アルミニウム、タンタル、タングステンなどの金属薄膜により形成されている。このゲート電極31が高電位または低電位の状態とされることにより、上記画素に対するスイッチングがなされる。ゲート絶縁膜51は、ゲート電極31などと半導体層2とを絶縁するためのものであり、たとえばSiO2やSi34などにより形成されている。
【0025】
ソース電極32は、図外のソース配線から信号電圧が供給されるものであり、たとえばゲート電極31と同様に金属薄膜により形成されている。ドレイン33は、TFT素子Tから画素電極34に信号電圧を供給するためのものであり、たとえば上述した金属薄膜により形成されている。
【0026】
遮光部4は、枠状部41と遮光膜42とにより構成されており、図2に良く表れているようにTFT素子Tの半導体層2およびゲート電極31などを囲うように設けられている。枠状部41は、SiO2を用いて、TFT基板1A上に形成されている。枠状部41は、その上面41bがゲート電極31の上面よりも十分に高位となる高さとされている。遮光膜42は、枠状部41の内向き側面41aおよび上面41bに形成されており、半導体層2に側方から向かってくる光を遮るためのものである。遮光膜42は、たとえばTiまたはWにより形成されている。TiまたはWによれば、後述するように、スパッタ法または蒸着法などを用いて形成するのに適している。
【0027】
画素電極34は、液晶層7の偏光状態を切り替えるために電圧を印加するためのものであり、透明電極(ITO)として形成されている。この画素電極34には、TFT素子Tのスイッチング機能により、その画素の表示状態に応じた電圧がドレイン33を介して供給される。
【0028】
配光膜6Aは、液晶層7の液晶材料71に混入された液晶分子を一方向に並べるためのものであり、ラビング処理などの配光処理が施されている。配光膜6Aは、たとえばポリイミド樹脂を用いて薄膜として形成されている。
【0029】
対向基板1Bは、TFT基板1Aと対向するように設けられており、たとえばガラス製である。対向基板1Bの下面には、共通電極35および配光膜6Bが形成されている。
【0030】
液晶層7は、TFT基板1Aおよび対向基板1B間の領域のうちシール材料(図示略)により密閉された空間に、ネマチック液晶などの液晶を含む液晶材料71が充填されたものである。液晶層7の所定部分の偏光状態が表示される画像に応じて変更されることにより、この液晶層7を透過する光の強度が調整されることとなり、液晶表示装置Aの画像表示が実現される。
【0031】
次に、液晶表示装置Aの製造方法について、図面を参照しつつ以下に説明する。
【0032】
まず、図3に示すようにガラス製の基板材料1A’を準備し、この基板材料1A’上に半導体層2を形成する。半導体層2の形成は、たとえばCVD法によりpoly-Siの膜を成膜し、この膜に対してフォトリソグラフィを用いたパターニングを施すことにより行なう。
【0033】
半導体層2を形成した後は、図4に示すように、この半導体層2を覆うようにゲート絶縁膜51を形成する。このゲート絶縁膜51の形成は、たとえばCVD法によりSiO2やSi34などの膜を形成した後にパターニングを施すことにより行なう。このゲート絶縁膜51上に、スパッタリング法などによりアルミニウム、タンタル、タングステンなどの金属薄膜を成膜したのちにパターニングを施すことにより、ゲート電極31を形成する。
【0034】
次いで、半導体層2およびゲート電極31に生じた段差部の平滑化を目的として、エッチバック処理を行なう。本実施形態においては、このエッチバック処理の際に、遮光部4を構成する枠状部41も形成する。まず、図5に示すように、半導体層2およびゲート電極31などを含む基板材料1A’の略全面を覆うようにSiO2の膜55を形成する。この膜55は、その厚さがこの後に形成する枠状部41の高さとなるため、その上面がゲート電極31の上面よりも十分に高位となるものとしておく。次いで、図6に示すように、肩部54および枠状部41を形成する。肩部54および枠状部41の形成は、膜55に対してエッチバック処理を施すことにより行なう。肩部54は、図6(a)に良く表れているように、ゲート電極31の上面縁部からゲート絶縁膜51に向けてなだらかな傾斜面を有し、かつ、図6(b)に良く表れているように、ゲート電極31を囲う形状とされる。枠状部41は、図6(b)に良く表れているように、膜55のうち、平面視において半導体層2およびゲート電極31から離間し、かつこれらを囲う枠状の部分を残存させることにより形成する。図6(a)に良く表れているように、枠状部41は、その上面41bがゲート電極31の上面よりも十分に高位となる高さとなっている。枠状部41の材料としてSiO2を用いれば、微細な形状に形成された半導体層2を適切に覆うような形状に枠状部41を仕上げるのに好適である。
【0035】
枠状部41を形成した後は、枠状部41の内向き側面41aおよび上面41bに遮光膜42を形成する。まず、図7(a)に示すように、枠状部41の右側部分41Rに対して、TiまたはWを用いてスパッタ法または蒸着法などの指向性を有する薄膜形成法を施す。この際、上記薄膜形成法は、基板材料1A’に直交する方向に対して傾斜した方向から行い、本実施形態においては、基板材料1A’の面内方向に対して角度θだけ傾斜した方向から行なう。スパッタ法または蒸着法は、TiまたはWなどの金属材料を高い指向性で加工対象に向けて放射するものである。本実施形態においては、TiまたはWなどが放射される方向からは、ゲート電極31および半導体層2が、枠状部41の左側部分41Lの影となっていることにより、ゲート電極31および半導体層2にTiまたはWの薄膜が形成されることを回避することができる。一方、枠状部41の右側部分41Rの内向き側面41aは、枠状部41の左側部分41Lの影とはならないために、遮光膜42を適切に形成することができる。また、図7(b)に示すように、図7(a)に示した方向とは反対側から、基板材料1A’の面内方向に対して角度θだけ傾斜した方向から上記薄膜形成法を施すことにより、枠状部41の左側部分41Lの内向き側面41aに遮光膜42を形成する。このような処理を、枠状部41に向けて四方から行なうことにより、枠状部41の内向き側面41aすべてに遮光膜42を形成することができる。遮光膜42をTiまたはWにより形成すれば、後述する工程において遮光膜42が不当に侵食されるなどの不具合を回避するのに適している。
【0036】
この後は、従来技術などと同様の既知の工程により、液晶表示装置Aを完成させる。たとえば、半導体層2にソース領域22およびドレイン領域23を形成するためのインプラを施した後に、基板材料1A’の全面を覆うように層間絶縁膜52を形成する。また、層間絶縁膜52の所定箇所にソース領域22およびドレイン領域23へと通じるコンタクトホールを形成し、その上面に金属膜をパターニングすることによりソース電極32およびドレイン33を形成する。次いで、これらを覆うように保護膜53を形成し、その上に画素電極34をパターン形成する。そして、ポリイミド樹脂などを用いて配光膜6Aを形成することにより、TFT基板1Aが得られる。一方、ガラスなどの基板材料1B’に共通電極35および配光膜6Bを積層させて、対向基板1Bを形成する。TFT基板1Aおよび対向基板1Bを対向させ、これらの間の空間をその周縁部にシール部材(図示略)を設けることにより区画し、その区画領域内に液晶材料71を充填して密封することにより液晶層7を形成する。そして、適宜、制御IC(図示略)や接続端子部(図示略)を設けることにより、液晶表装置Aが得られる。
【0037】
次に、液晶表示装置Aの作用について説明する。
【0038】
本実施形態によれば、TFT素子Tの側方遠方において、層間絶縁膜52に入射した光が層間絶縁膜52内で反射を繰り返してTFT素子Tに向かってきても、このような光は、遮光膜42により遮られるために、半導体層2に到達しない。したがって、半導体層2において側方からの漏光に起因して光電変換効果により光電流が生じることを防止することが可能であり、TFT素子Tの機能を適切に発揮させることができる。遮光膜42は、半導体層2を四方から囲うように設けられた枠状部41の内向き側面41aに形成されていることにより、半導体層2の四方について遮光するのに好適である。
【0039】
液晶表示装置Aの製造においては、TFT基板Tの厚さ方向に対して傾斜した方向から薄膜形成法を施すことにより遮光膜42を形成するために、ゲート電極31および半導体層2に遮光膜42の金属材料が不当に付着することを回避可能であり、TFT素子Tとしての機能が阻害される虞れが無い。
【0040】
また、上述した製造方法によれば、枠状部41は、半導体層2とゲート電極31との段差部を平滑化するためのエッチバック処理において一括して形成することができるために、液晶表示装置Aを従来の液晶表示装置と同等の効率で製造することができる。
【0041】
上述したように、本実施形態によれば、半導体層2の四方について適切に遮光することが可能であるが、さらに、半導体層2の上下方向についての遮光対策を図っても良い。たとえば、図8に示された実施形態においては、半導体層2の上方および下方に上部遮光膜43および下部遮光膜44が形成されている。これらは、遮光膜42と同様にTiまたはWにより形成すれば良い。
【0042】
図9に示された実施形態においては、枠状部43自体が遮光性を有する点が、上述した実施形態と異なる。枠状部43は、たとえば顔料が混入された樹脂により形成されている。このような実施形態によっても、半導体層2の遮光を適切に行なうことが可能であり、光電流の発生を抑制してTFT素子Tの機能を適切に発揮させることができる。
【0043】
本発明に係る液晶表示装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る液晶表示装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0044】
枠状部は、矩形状の外形を有するものに限定されず、たとえばリング形状であっても良い。遮光部は、枠状部とこれに形成された遮光膜とにより構成されたものが、遮光性および製造効率の向上に好ましいが、本発明はこれに限定されず、半導体層の側方から向かってくる光を適切に遮ることが可能な材質および形状であれば良く、たとえば、起立した壁状の遮光部材を設けても良い。
【0045】
上述した実施形態におけるTFT素子、その他の液晶表示装置各部の構造は、それらの一例でありこれらに限定されるものではない。本発明は、TFT素子の構成部材として光電変換効果が生じる半導体層を有するあらゆる液晶表示装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の一例を示す要部断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う要部断面図である。
【図3】本発明に係る液晶表示装置の製造方法を示す要部断面図である。
【図4】本発明に係る液晶表示装置の製造方法を示す要部断面図である。
【図5】本発明に係る液晶表示装置の製造方法を示す要部断面図である。
【図6】本図(a)は、本発明に係る液晶表示装置の製造方法を示す要部断面図であり、本図(b)は、本発明に係る液晶表示装置の製造方法を示す要部平面図である。
【図7】本図(a),(b)は、本発明に係る液晶表示装置の製造方法を示す要部断面図である。
【図8】本発明に係る液晶表示装置の他の例を示す要部断面図である。
【図9】本発明に係る液晶表示装置の他の例を示す要部断面図である。
【図10】従来の液晶表示装置の一例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0047】
A 液晶表示装置
T TFT素子
1A TFT基板
1B 対向基板
2 半導体層
4 遮光部
7 液晶層
21 チャンネル領域
22 ソース領域
23 ドレイン領域
31 ゲート電極
32 ソース電極
33 ドレイン
34 画素電極
35 共通電極
41 枠状部
42 遮光膜
43 上部遮光膜
44 下部遮光膜
51 ゲート絶縁膜
52 層間絶縁膜
53 保護膜
6A,6B 配光膜
71 液晶材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板と、
上記一対の基板に挟まれた液晶層と、
上記一対の基板の一方にマトリクス状に配置された複数の画素電極と、
上記複数の画素電極に対応するように上記一方の基板上に配置された複数の半導体層を有するTFT素子と、を備える液晶表示装置であって、
上記TFT素子が形成された基板の面内方向において、上記半導体層を囲うように形成された遮光部が設けられていることを特徴とする、液晶表示装置。
【請求項2】
上記遮光部は、上記半導体層を囲う枠状部と、上記枠状部の内向き側面に形成された遮光膜とにより構成されている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
上記枠状部は、SiO2により形成されている、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
上記遮光膜は、TiまたはWにより形成されている、請求項2または3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
TFT素子を構成する半導体層を基板上に形成する工程を有する液晶表示装置の製造方法であって、
上記半導体層を形成する工程の後に、上記基板上に上記半導体層を囲う枠状部を形成する工程と、
上記基板に直交する方向に対して傾斜した方向から指向性を有する薄膜形成法を施すことにより、上記枠状部の内向き側面に遮光膜を形成する工程と、をさらに有することを特徴とする、液晶表示装置の製造方法。
【請求項6】
上記半導体層を形成する工程の後に、上記半導体層に生じた段差部の平滑化を行なう工程を有し、
上記枠状部の形成は、上記平滑化を行なう工程においてなされる、請求項5に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項7】
上記平滑化を行なう工程は、上記基板のうち上記半導体層を含む領域をマスク材料により覆い、このマスク材料にエッチバック処理を施すことにより行い、
上記枠状部の形成は、上記エッチバック処理において、上記マスク材料のうち上記半導体層を囲う部分を残存させることにより行なう、請求項6に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項8】
上記マスク材料はSiO2である、請求項6または7に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項9】
上記指向性を有する薄膜形成法は、スパッタ法または蒸着法である、請求項5ないし8のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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