説明

液晶表示装置とその製造方法

【課題】 液晶パネルへのマーカ形成に起因する額縁部(非表示領域)の拡大と製造コストの上昇を回避あるいは最小限に抑えながら、高い位置精度で液晶パネルに光学素子を貼り合わせできる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 駆動基板1と対向基板18間に液晶35が封入され、少なくとも対向基板18に偏光板31bが貼り合わされた液晶パネル34に、光学素子を貼り合わせるためのマーカ21と、マーカ21の近傍で液晶分子の配向方向を所定方向に規制する配向方向規制手段を設ける。ノーマリホワイト方式の場合、配向方向規制手段は、表示領域に形成された配向膜とは非連続として、非表示領域でマーカ21に重ねて形成された配向膜12a、12bとされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置とその製造方法に関し、さらに言えば、液晶パネル上に光学素子を貼り合わせる際に使用されるマーカを備えた液晶表示装置と、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は低消費電力、軽量、薄型という特性を活かして、プロジェクタ装置、携帯電話等の小型の表示装置に急速に普及が進んでいる。レンズなどの光学素子を液晶表示装置の液晶パネルに貼り合わせることで、付加価値を高めた製品を提供することも可能である。
【0003】
液晶パネルに光学素子を貼り合わせた際にその光学素子の特性を最大限に活かすためには、光学素子と液晶表示装置の貼り合わせを高い位置精度で行う必要がある。このような高精度の貼り合わせのためには、液晶パネルと光学素子それぞれにマーカ(marker)を形成しておき、そのマーカを読み取りながら位置合わせをして所望の位置に貼り合わせることが必要となる。
【0004】
表示領域の外側にある額縁部分が狭められた液晶パネル(狭額縁化された液晶パネル)では、シール材の外側に余分なスペースがほとんどないため、貼り合わせ用マーカはシール材の内側の非表示領域に配置される。このとき、光漏れを防ぐために、偏光板がシール材を覆うように貼り合わされているため、マーカは偏光板の下方(液晶層に近い側)に配置されることになる。光学素子は、液晶パネル上に貼り合わされた偏光板の上にさらに貼り合わされることになるため、光学素子と液晶パネルの貼り合わせの際には、偏光板を介して液晶パネル上のマーカを読み取る必要がある。
【0005】
透過型の液晶表示装置では、通常、2枚の偏光板が液晶パネルの各面にそれらの吸収軸が直交するように貼り合わされているため、ノーマリブラック(normally black)方式であれば、液晶分子にオン電圧を印加しない限り光が液晶パネルを透過しない。したがって、光学素子と液晶パネルの貼り合わせの際に、液晶パネル上のマーカを読み取ることはできないという問題がある。他方、ノーマリホワイト(normally white)方式の場合は、液晶分子にオン電圧を印加しなくても光が液晶パネルを透過するが、配向膜は表示領域の内部だけに形成されているから、ノーマリブラック方式と同様に、配向膜が存在しない非表示領域に形成されているマーカを読み取ることはできないという問題がある。
【0006】
反射型の液晶表示装置では、液晶パネルの入射側とは反対側に設けられた反射電極(または反射板)で、液晶パネルの入射側から入射した外光を反射させることにより、表示を可能としている。したがって、入射した外光は、液晶パネルの入射側に設けられた1枚の偏光板のみを2回透過する点で、透過型の液晶表示装置とは異なっている。
【0007】
反射型の液晶表示装置では、例えばVA(Vertically Aligned)方式の場合、液晶パネルの入射側の偏光板を介して直線偏光が入射すると、直線偏光は入射側の偏光板に隣接して設けられたλ/4板(位相差フィルム)を透過することにより、例えば左円偏光になって反射電極に入射し、反射される。反射電極での反射で生成される反射光は、例えば右円偏光になってλ/4板を透過し、直線偏光となる。この直線偏光は、入射した直線偏光とは直交しているため、液晶分子にオン電圧を印加しない限り、入射側の偏光板を透過することができない。したがって、反射型の液晶表示装置においても、透過型の液晶表示装置で表示形式がノーマリブラック方式の場合と同様に、光学素子と液晶パネルの貼り合わせの際にマーカを読み取ることはできないという問題がある。
【0008】
また、反射型の液晶表示装置では、通常、反射電極で生成される反射光によるコントラストは低いため、マーカを高精度で認識できないという問題もある。
【0009】
半透過型の液晶表示装置は、透過型の液晶表示装置と反射型の液晶表示装置を組み合わせたような構成を有しているから、両者について上述したことは半透過型の液晶表示装置にもそのまま当てはまる。
【0010】
そこで、このような問題を考慮して、従来より種々の改良がなされている。
【0011】
例えば、特許第3496675号公報(特許文献1)には、駆動基板側の偏光板と対向基板側の偏光板をずらして貼り合わせ、そのずらした部分にマークを形成することにより、偏光板を介してマークの読み取りを可能にする、という方法が提案されている。特許文献1に開示された液晶パネルを図21に示す。
【0012】
図21の液晶パネルは、間に液晶を封入した一対の基板である上ガラス101および下ガラス102と、上ガラス101に貼り合わされた上偏光板103と、下ガラス102に貼り合わされた下偏光板104とを備えている。下ガラス102には、マーク105a、105b、105cおよび105dが形成されている。上偏光板103は、上ガラス101の外側に配置されている。下偏光板104は、下ガラス102の外側に配置されている。上偏光板103と下偏光板104は、それらの長手方向(図21の横方向)に距離Δだけずらして貼り合わせてあり、左右の重なり合っていない部分に四つのマーク105a、105b、105cおよび105dを形成している。マーク105aと105bは、右側の重なり合っていない部分に配置され、マーク105cと105dは、左側の重なり合っていない部分に配置されている。
【0013】
特許文献1では、マーク105a、105b、105cおよび105dをこのように配置することにより、上偏光板103または下偏光板104を介してマーク105a、105b、105cおよび105dを目視やCCDカメラ等で読み取ることができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3496675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許第3496675号公報(特許文献1)に開示された液晶パネルでは、上偏光板103を上ガラス101に貼り合わせる際に、上偏光板103の端部が表示領域の境界とマーク105aおよび105bの間に配置されるようにし、下偏光板104を下ガラス102に貼り合わせる際に、下偏光板104の端部が表示領域の境界とマーク105cおよび105dの間に配置されるようにしなければならない。このため、上偏光板103と下偏光板104の貼り合わせ精度を考慮すると、マーク105a、105b、105cおよび105dは表示領域より大きく外側に形成せざるを得ない。よって、表示領域と、液晶を封止するシール材との距離が大きくなってしまう、換言すれば、額縁部が大きくなってしまうという問題がある。
【0016】
また、上偏光板103と下偏光板104を正確にずらして貼り合わせるための工数が必要になるため、低コスト化できないという問題もある。
【0017】
本発明はこれらの問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、液晶パネルへのマーカの形成に起因する額縁部(非表示領域)の拡大と製造コストの上昇を回避あるいは最小限に抑えながら、高い位置精度で液晶パネルに光学素子を貼り合わせることのできる液晶表示装置およびその製造方法を提供することにある。
【0018】
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(1) 本発明の第1の観点による液晶表示装置は、
主基板および対向基板の間に液晶が封入されていると共に、少なくとも前記対向基板に偏光板が貼り合わされている液晶パネルと、
前記主基板上または前記対向基板上において非表示領域内の前記偏光板と重なる箇所に形成された、前記液晶パネル上に光学素子を貼り合わせる際に使用されるマーカと、
前記マーカの近傍において前記液晶の分子の配向方向を所定方向に規制して、少なくとも前記対向基板を光が透過可能にする配向方向規制手段と
を備えていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第1の観点による液晶表示装置では、上述したように、前記液晶パネルの前記主基板上または前記対向基板上において非表示領域内の前記偏光板と重なる箇所に、前記液晶パネル上に光学素子を貼り合わせる際に使用される前記マーカが形成されており、また、前記配向方向規制手段により前記マーカの近傍において前記液晶の分子の配向方向を所定方向に規制して、少なくとも前記対向基板を光が透過可能にしている。このため、前記液晶パネル上に光学素子を貼り合わせる際に、前記マーカを前記偏光板を介して目視やCCDカメラ等で読み取ることができる。よって、前記液晶パネルに光学素子を貼り合わせる際の基準として前記マーカを使用して、前記偏光板上に高い位置精度で光学素子を貼り合わせることが可能となる。
【0021】
また、前記配向方向規制手段により前記マーカの近傍において前記液晶の分子の配向方向を規制して、少なくとも前記対向基板を光が透過可能にするだけでよいだけでなく、そのような配向方向規制手段は、前記液晶パネルに包含されている配向膜や画素電極等と、当該液晶パネルの製造工程で使用されるプロセスとを用いて容易に実現できるため、前記液晶パネルへの前記マーカの形成に起因する額縁部(非表示領域)の拡大と製造コストの上昇を回避あるいは最小限に抑えることができる。
【0022】
(2) 本発明の第1の観点による液晶表示装置では、前記液晶パネルの表示方式がノーマリホワイト方式であれば、前記配向方向規制手段として、前記マーカに重ねて形成された配向膜が備えられていればよい。すなわち、ノーマリホワイト方式では配向膜のある領域で光が透過することを利用し、前記配向膜を前記マーカに重ねて配置することによって少なくとも前記対向基板を光が透過可能にすることができる。このため、前記偏光板を介して目視等でマーカを読み取ることが可能となる。
【0023】
(3) 本発明の第1の観点による液晶表示装置では、前記液晶パネルの表示方式がノーマリブラック方式であれば、前記配向方向規制手段として、前記マーカの近傍における前記液晶の分子の配向方向を表示領域における前記液晶の分子の配向方向とは異ならせる手段とすればよい。すなわち、ノーマリブラック方式では、前記マーカの近傍における前記液晶の分子の配向方向を前記表示領域におけるそれと同一にすると、光が前記偏光板を透過できないため、前記配向方向規制手段で前記マーカの近傍において前記液晶の分子を表示領域とは異なる方向に配向させることにより、局所的に少なくとも前記対向基板を光が透過可能となる。よって、前記偏光板を介して目視等でマーカを読み取ることが可能となる。
【0024】
(4) 前記液晶パネルの表示方式がノーマリブラック方式の場合、前記配向方向規制手段は、前記マーカの近傍において前記液晶に接する膜(有機膜が好ましい)に、前記表示領域における前記液晶の分子の配向方向とは異なる方向に延在する溝または突起とするのが好ましい。前記液晶の分子は、前記溝または突起と同じ方向に配向する性質があるため、前記マーカの近傍における前記液晶の分子の配向方向を前記表示領域における前記液晶の分子の配向方向とは異ならせることができるからである。この場合、前記マーカの近傍には配向膜は配置されない。
【0025】
(5) また、前記液晶パネルの表示方式がノーマリブラック方式の場合、前記配向方向規制手段は、前記マーカの近傍に配置された少なくとも一つの電極とし、その電極に電圧を印加することにより、前記マーカの近傍における前記液晶の分子の配向を前記表示領域におけるそれとは異なる方向にすることができるようにしてもよい。前記電極に電圧を印加すると、前記マーカの近傍が局所的に透光性となるので、前記偏光板を介して目視等でマーカを読み取ることができる。
【0026】
(6) 前記液晶パネルが反射型または半透過型の場合は、前記マーカは、反射部材と同一の材料により形成されるのが好ましい。前記反射部材は反射率が高い材料で形成されているため、強度の高い反射光を用いて高い位置精度で前記マーカを読み取ることができるからである。この場合、前記配向方向規制手段としては、必要に応じて、上記(2)〜(5)のいずれかに記載したものを使用することができる。
【0027】
(7) 本発明の第1の観点による液晶表示装置の好ましい例では、前記マーカの平面形状が、前記マーカの少なくとも一つの縁が前記液晶の分子の配向方向に沿って延在するように設定される。こうすると、前記マーカの形成によって生じる段差の付近において、前記液晶の分子の配向が前記段差によって乱されるのを最小限に抑えることができる。
【0028】
(8) 本発明の第1の観点による液晶表示装置の他の好ましい例では、少なくとも一つの前記マーカが前記液晶パネルの液晶注入孔のある辺に配置される。こうすることにより、前記マーカによって前記液晶パネルの額縁領域が拡大する影響を最小限に抑えることができる。
【0029】
(9) 本発明の第2の観点による液晶表示装置の製造方法は、
主基板および対向基板の間に液晶が封入されていると共に、少なくとも前記対向基板に偏光板が貼り合わされている液晶パネルに、光学素子を貼り合わせて製造される液晶表示装置の製造方法であって、
前記主基板上または前記対向基板上において非表示領域内の前記偏光板と重なる箇所に、前記液晶パネル上に光学素子を貼り合わせる際に使用されるマーカを形成する工程と、
前記マーカの近傍において前記液晶の分子の配向方向を所定方向に規制して、少なくとも前記対向基板を光が透過可能にする配向方向規制手段を、前記液晶パネルに形成する工程と、
前記偏光板を介して前記マーカを読み取りながら前記光学素子を前記液晶パネルに貼り合わせる工程と
を有することを特徴とするものである。
【0030】
本発明の第2の観点による液晶表示装置の製造方法では、前記主基板上または前記対向基板上において前記非表示領域内の前記偏光板と重なる箇所に、前記マーカが形成され、しかも、前記マーカの近傍において前記液晶の分子の配向方向を所定方向に規制して、少なくとも前記対向基板を光が透過可能にする配向方向規制手段が、前記液晶パネルに形成されるので、前記偏光板を介して前記マーカを認識することができる。このため、前記光学素子を前記液晶パネルに貼り合わせる工程において、前記偏光板を介して前記マーカを目視やCCDカメラ等で読み取りながら前記マーカを基準として使用することができる。よって、前記液晶パネルに高い位置精度で光学素子を貼り合わせることが可能となる。
【0031】
また、前記配向方向規制手段を前記液晶パネルに形成するだけでよいだけでなく、そのような配向方向規制手段は、前記液晶パネルに包含されている配向膜や画素電極等と、当該液晶パネルの製造工程で使用されるプロセスとを用いて容易に実現できるため、前記液晶パネルへの前記マーカの形成に起因する額縁部(非表示領域)の拡大と製造コストの上昇を回避あるいは最小限に抑えることができる。
【0032】
(10) 本発明の第2の観点による液晶表示装置の製造方法では、必要に応じて、上記(2)〜(8)のいずれかに記載したものを使用することができる。すなわち、前記液晶パネルの表示方式がノーマリホワイト方式の場合、前記配向方向規制手段を形成する工程において、配向膜が前記マーカに重ねて形成されるのが好ましい。
【0033】
(11) また、前記液晶パネルの表示方式がノーマリブラック方式の場合、前記配向方向規制手段を形成する工程において、前記マーカの近傍における前記液晶の分子の配向方向を表示領域における前記液晶の分子の配向方向とは異ならせる手段が施されるのが好ましい。
【0034】
(12) 前記液晶パネルの表示方式がノーマリブラック方式の場合、前記配向方向規制手段を形成する工程において、前記マーカの近傍において前記液晶に接する膜(有機膜が好ましい)に、前記表示領域における前記液晶の分子の配向方向とは異なる方向に延在する溝または突起が形成されるのが好ましい。
【0035】
(13) 前記液晶パネルの表示方式がノーマリブラック方式の場合、前記配向方向規制手段を形成する工程において、前記マーカの近傍に少なくとも一つの電極が形成される。そして、前記光学素子を前記液晶パネルに貼り合わせる工程では、前記電極に電圧を印加して、前記マーカの近傍における前記液晶の分子の配向を前記表示領域におけるそれとは異なる方向にしてから、前記光学素子の貼り合わせが行われる。
【0036】
(14) 前記液晶パネルが反射型または半透過型の場合は、前記マーカを反射部材と同一の材料により形成するのが好ましい。
【0037】
(15) 本発明の第2の観点による液晶表示装置の製造方法の好ましい例では、前記マーカを形成する工程において、前記マーカの平面形状が、前記マーカの少なくとも一つの縁が前記液晶の分子の配向方向に沿って延在するように設定される。こうすると、前記マーカの形成によって生じる段差の付近において、前記液晶の分子の配向が前記段差によって乱されるのを最小限に抑えることができる。
【0038】
(16) 本発明の第2の観点による液晶表示装置の製造方法の他の好ましい例では、前記マーカを形成する工程において、前記マーカが前記液晶パネルの液晶注入孔のある辺に配置される。こうすることにより、前記マーカによって前記液晶パネルの額縁領域が拡大する影響を最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の第1の観点による液晶表示装置および本発明の第2の観点による液晶表示装置の製造方法によれば、液晶パネルへのマーカの形成に起因する額縁部(非表示領域)の拡大と製造コストの上昇を回避あるいは最小限に抑えながら、高い位置精度で液晶パネルに光学素子を貼り合わせることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の対向基板上に偏光板を貼り合わせた状態を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿った要部断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の液晶表示装置に光学素子を貼り合わせた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の多結晶シリコンTFTの製造方法の各工程を示す要部断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の多結晶シリコンTFTの製造方法の各工程を示す要部断面図で、図4の続きである。
【図6】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の多結晶シリコンTFTの製造方法の各工程を示す要部断面図で、図5の続きである。
【図7】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の駆動基板側の画素領域の要部平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の駆動基板の構造を示す斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の駆動基板の分割前の状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の対向基板の製造方法の各工程を示す、マーカ付近の部分断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の対向基板の分割前の状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の第1実施形態の液晶駆動装置の駆動基板と対向基板を重ね合わせる前の状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の第1実施形態の液晶駆動装置において、駆動基板と対向基板を重ね合わせた後、偏光板を貼り合わせる前の状態を示す斜視図である。
【図14】本発明の第1実施形態の液晶駆動装置において、駆動基板側にマーカを配置した場合の構成を示す図12と同様の図である
【図15】本発明の第2実施形態の液晶駆動装置のマーカ付近の要部断面図である。
【図16】本発明の第2実施形態の液晶駆動装置のマーカ付近の要部平面説明図である。
【図17】本発明の第3実施形態の液晶駆動装置のマーカ付近の要部断面図である。
【図18】(a)は本発明の第4実施形態の液晶駆動装置のマーカ付近の要部断面図、(b)は本発明の第5実施形態の液晶駆動装置のマーカ付近の要部断面図である。
【図19】本発明の第6実施形態の液晶駆動装置のマーカおよび液晶分子の配向方向を示す平面説明図である。
【図20】本発明の第7実施形態の液晶駆動装置において、駆動基板と対向基板を重ね合わせた後、偏光板を貼り合わせる前の状態を示す斜視図である。
【図21】従来の液晶表示装置に組み込まれた液晶パネルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0042】
(第1実施形態)
図1および図2は、本発明の第1実施形態の液晶表示装置を示す。図1はその液晶表示装置の液晶パネルの対向基板上に偏光板を貼り合わせた状態を示す斜視図、図2は図1のマーカ付近のA−A線に沿った要部断面図である。
【0043】
本実施形態では、ノーマリホワイト方式の液晶表示装置を例にとって説明する。
【0044】
図1および図2において、34は本発明の第1実施形態の液晶表示装置に組み込まれた液晶パネルである。この液晶パネル34は、主基板となる駆動基板1と、この駆動基板1に対向して接合された対向基板18と、両基板1および18の間に封入された液晶35(図2を参照)と、駆動基板1と対向基板18の外面にそれぞれ貼り合わされた偏光板31aおよび31bと、対向基板18上において偏光板31bと重なる箇所に形成された四つのマーカ21とを備えている。各マーカ21は、遮光性を有する材料(不透明な材料)で形成されており、液晶パネル34上に光学素子を貼り合わせる際の位置決めに使用される。
【0045】
駆動基板1と、マーカ21が形成されている対向基板18は、シール材(接着剤)30によって接合されている。駆動基板1の偏光板31aと対向基板18の偏光板31bは、それらの吸収軸が互いに直交するように貼り合わせられている。各マーカ21は、図2に明瞭に示すように、対向基板18の内面(偏光板31bとは反対側の面)に形成されており、シール材30で囲まれた領域の内側で且つ表示領域の外側(つまり非表示領域)に位置している。マーカ21は、ここでは4箇所に設けられているが、少なくとも2箇所に設けられていれば足りる。マーカ21は、対向基板18の内面に配置された配向膜12bで覆われているが、この配向膜12bは駆動基板1の内面に配置された配向膜12aと重なり合っている。配向膜12aおよび12bの表面には、それぞれラビング等の所定の配向処理が行われている。
【0046】
TN(Twisted Nematic)液晶を用いたノーマリホワイト方式の液晶表示装置の場合、配向膜12aおよび12bによって液晶分子が所定方向に配向せしめられている表示領域の内部では、液晶パネル34の中に駆動基板1の側から入射した光(入射光)は、偏光板31aによって直線偏光となるが、液晶分子の配向によってその偏光面が回転するので、液晶35に電圧を印加しない状態で対向基板18側の偏光板31bを透過することができる。すなわち、対向基板18の偏光板31bを透過して液晶パネル34から透過光が出射する。
【0047】
本実施形態では、遮光性を有するマーカ21に重ねて配向膜12aおよび12bを形成しているため、マーカ21に重ねて偏光板31を貼り合わせた状態でも、非表示領域にあるマーカ21の近傍において液晶パネル34が透光性を有することになり、したがって2枚の偏光板31aおよび31bを介してマーカ21を認識することができる。このため、液晶パネル34の対向基板18上に光学素子32を重ね合わせる際の基準としてマーカ21を利用することができる。よって、対向基板18側の偏光板31bの上に、光学素子32を高い位置精度で貼り合わせることが可能になる。
【0048】
図3に本実施形態における液晶表示装置に光学素子32を貼り合わせた場合の斜視図を示す。光学素子32としては、例えばレンズ、光拡散フィルムなどが使用される。
【0049】
多結晶シリコン製の薄膜トランジスタ(Thin-Film Transistor,TFT)を用いた液晶表示装置は、電子の移動度が高いため、TFTを微細化して高精細化することができる。また、TFTの動作速度も高速化されているため、画素を駆動する周辺駆動回路を基板1内に形成することができ、狭額縁化することができる。
【0050】
そこで、以下の説明では、多結晶シリコンTFTを用いた液晶表示装置を例にとり、図1および図2に示した第1実施形態の液晶表示装置の製造方法の一例について、図4〜図9を参照しながら説明する。
【0051】
図4(a)〜図6(c)は、画素駆動の多結晶シリコンTFTの製造方法を示す工程断面図である。図7は、駆動基板1側の画素領域の要部平面図である。図8は、駆動基板1の構造を示す斜視図である。図9は、駆動基板1の分割前の状態を示す斜視図である。
【0052】
駆動基板1用のガラス基板1a上に、下地絶縁膜2(例えばSiO膜)を形成した後、この下地絶縁膜2上にアモルファスシリコン膜を成長させる。このアモルファスシリコン膜にレーザ光を照射してアニールし、多結晶シリコン膜3aに変化させる(図4(a))。その後、フォトリソグラフィおよびエッチング法により、多結晶シリコン膜3aをパターン化して、多結晶シリコン製のアイランド領域3を形成する(図4(b))。
【0053】
続いて、多結晶シリコン製アイランド領域3を形成したガラス基板1a上に、パターン化されたフォトレジスト膜27を形成し、アイランド領域3の所定領域に選択的にドーパントとして所定のイオンをドーピングする(図4(c))。ドーピングの後、フォトレジスト膜27を剥離すると、アイランド領域3の両側に、間隔をあけてTFTのソース領域24とドレイン領域25が形成される(図4(d))。アイランド領域3のソース領域24とドレイン領域25に挟まれた部分は、チャネル領域となる。
【0054】
次に、アイランド領域3の全体を覆うように、下地絶縁膜2の上にゲート酸化膜4(例えばSiO膜)を形成してから、その上に導電膜(例えばCr膜)を形成する。その導電膜をフォトリソグラフィおよびエッチング法によりパターン化して、ゲート酸化膜4上の所定の領域にゲート電極・配線5を形成する(図5(a))。ゲート電極・配線5は、ゲート電極とゲート配線が一体的に形成されたものである。ゲート酸化膜4は、ガラス基板1aの全面にわたって形成する。
【0055】
次に、ゲート酸化膜4上に下部絶縁膜6(例えばSiO膜)を形成して、ゲート電極・配線5を覆う。下部絶縁膜6は、ガラス基板1aの全面にわたって形成する(図5(b))。その後、下部絶縁膜6およびゲート酸化膜4の所定位置にコンタクトホールを形成してから、ゲート酸化膜4上に導電膜(例えばCr膜)を形成する。その導電膜をフォトリソグラフィおよびエッチング法によりパターン化すると、前記コンタクトホールを介してソース領域24およびドレイン領域25にそれぞれ電気的に接続されたソース電極・配線7およびドレイン電極8が得られる(図5(c))。ソース電極・配線7は、ソース電極とソース配線が一体的に形成されたものである。この段階でTFT36が完成する。
【0056】
このようにしてソース電極7およびドレイン電極8を設けた後、ガラス基板1aの全面にわたって層間絶縁膜9を形成する(図6(a))。さらに、表面凹凸の平坦化のため、層間絶縁膜9上に平坦化膜10を形成する(図6(b))。層間絶縁膜9としては、ソース電極7およびドレイン電極8と反応しないように無機絶縁膜を用い、平坦化膜10としては平坦化効果の大きい有機樹脂を用いることが望ましい。
【0057】
ドレイン電極8上の層間絶縁膜9と平坦化膜10の所定位置にそれらを貫通するコンタクトホールを形成してから、平坦化膜10上に透明導電膜(例えばITO(Indium Tin Oxide))を形成する。その導電膜をフォトリソグラフィおよびエッチング法によりパターン化すると、前記コンタクトホールを介してドレイン電極8と電気的に接続された画素電極11が平坦化膜10上に得られる(図6(c))。画素電極11は、可視光に対して透過性を有する材料を用いることが望ましい。
【0058】
最後に、平坦化膜10上に画素電極11を覆うように配向膜12a(図示せず)を形成してから、その配向膜12aの表面に所定の配向処理を行い、当該表面に接した液晶分子が所定方向に配向するようにすると、駆動基板1が得られる。
【0059】
上記のようにして形成された画素領域26の平面図を図7に示す。各ゲート電極・配線5は図7の左右方向に延在しており、各ソース電極・配線7は図7の上下方向に延在している。隣接する2本のゲート電極・配線5と隣接する2本のソース電極・配線7によって画定された領域が、画素領域26となる。画素領域26は、ガラス基板1a上にマトリックス状に配置されている。各画素領域26は、一つの画素電極11と一つのTFT36を含む。ここでは、各画素領域26内にあるTFT36や画素電極11等をまとめて、駆動基板側液晶駆動素子14と呼ぶ。図7では、わかりやすくするために主要部の要素のみを示している。
【0060】
一群の駆動基板側液晶駆動素子14(画素領域26)は、図8に示すように、表示領域内にマトリックス状に配置されている。これらの駆動基板側液晶駆動素子14は、ゲート電極・配線5により、表示領域の外部(非表示領域)に配置されたゲート線駆動回路15と電気的に接続されていると共に、ソース電極・配線7により、同じく表示領域の外部(非表示領域)に配置されたソース線駆動回路16と電気的に接続されている。ゲート線駆動回路15とソース線駆動回路16は、いずれも、上述したのと同じ方法でTFT36を用いて形成されている。
【0061】
対向基板18との重ね合わせの際には、駆動基板1の平坦化膜10上にシール材30が所定パターンで形成される、駆動基板1の平坦化膜10上の領域の一部には、対向基板18と導通をとるためのトランスファ電極13が形成されている。トランスファ電極13は、画素電極11を形成する工程で画素電極11と同一の材料で形成することが望ましい。液晶の駆動方法によっては、トランスファ電極13は形成しなくてもよい。
【0062】
ゲート線駆動回路15とソース線駆動回路16およびトランスファ電極13は、外部接続配線29を介して、駆動基板1の一辺に形成された複数の外部接続端子28と電気的に接続されている。ゲート線駆動回路15とソース線駆動回路16およびトランスファ電極13、換言すれば当該液晶表示装置は、これら外部接続端子28によって外部回路と電気的に接続される。
【0063】
以上の説明では、説明および図を簡単にするために、ガラス基板1a上に図8に示した駆動基板1の構造が一つ形成されるものとしているが、実際の製造工程では、図9に示すように、ガラス基板1a上に複数個が同時に形成される。したがって、上記の工程により、単一のガラス基板1a上に、駆動基板側液晶駆動素子14や外部接続端子28等を含む図8の構造が複数個形成される。
【0064】
その後、駆動基板1の平坦化膜10上に、印刷によって配向膜12aが形成される(図12を参照)。この配向膜12aは、図12に明瞭に示すように、表示領域(これはマトリックス状に配置された画素領域26の全体によって画定される略矩形の領域である)の内部だけでなく、当該表示領域の外縁とシール材30の内縁とで挟まれた非表示領域(これは略矩形リング状の領域である)のほぼ全体をも覆うように形成される。このため、対向基板18上のマーカ21に対応する箇所も配向膜12aによって覆われる。なお、配向膜12aとシール材30が接触しないように、配向膜12aの外縁とシール材30の内縁との間には微細な隙間が設けてある。
【0065】
なお、ここでは、配向膜12aが非表示領域のほぼ全面を覆うように形成されているが、非表示領域のマーカ21に対応する箇所のみを局所的に覆うように形成してもよい。
【0066】
その後、配向膜12aの表面に液晶を所定方向に配向させるための配向処理を行う。配向処理の方法としては、ポリイミドを用いた配向膜12aにラビング処理を行う配向処理や、イオンビームによる配向処理がある。
【0067】
次に、図10(a)〜図10(e)を参照しながら、駆動基板1に対向して接合される対向基板18の製造方法について説明する。図10(a)〜図10(e)は、その製造方法を示す工程断面図である。
【0068】
まず、図10(a)に示すように、対向基板18用のガラス基板18a上に、所定パターンでブラックマトリクス17を形成する。このブラックマトリクス17は、駆動基板1との接合の際に、駆動基板1の非表示領域にある液晶駆動素子14、ゲート線駆動回路15、ソース線駆動回路16、外部接続配線29などに対向する領域に配置される。
【0069】
ブラックマトリクス17は、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)などの可視光を透過しない(すなわち遮光性の)金属の膜を、フォトリソグラフィおよびエッチング法によってパターン化することにより形成される。そこで、ブラックマトリクス17と同一の遮光性金属材料を用いて、ガラス基板18a上に、ブラックマトリクス17と同時に4個のマーカ21を形成することができる。
【0070】
各マーカ21の位置は、駆動基板1の非表示領域に対向(対応)する位置で、且つ駆動基板1と対向基板18を接着するためのシール材30に覆われない箇所に設定される。各マーカ21は、ここでは、図1に示したように、表示領域の外縁とシール材30の内縁とで挟まれた矩形リング状の非表示領域内において、当該非表示領域の四隅の近傍にそれぞれ配置されている。
【0071】
各マーカ21の形状は、各マーカ21を目視、CCD等で認識することによって、光学部材32を対向基板18上の所定位置に位置決めできるものであればよい。例えば、図示しているように十字型に設定し、各マーカ21の十字形状の中央部(交差部)を対向基板18の対応する箇所に合致させるように配置すれば、これら4個のマーカ21を光学素子32の貼り合わせの際の基準とすることができる。各マーカ21の形状は、十字型に限定されず、I字型、円形などの他の形状であってもよいことは言うまでもない。
【0072】
マーカ21の数は、光学素子32の貼り付け時の位置決めに使用するのであるから、少なくとも2つに設定するのが望ましい。
【0073】
次に、図10(b)に示すように、駆動基板1の画素電極11に対向する領域(これは表示領域内にある)に、カラーフィルターとして所定パターンを持つ赤(R)、緑(G)、青(B)の三色の色層20をそれぞれフォトリソグラフィおよびエッチング法によって形成する。
【0074】
続いて、図10(c)に示すように、各色の色層20とブラックマトリクス17(およびマーカ21)との膜厚差によって生じる凹凸を緩和するために、色層20およびブラックマトリクス17の上にオーバーコート膜19を形成する。オーバーコート膜19は、対向基板18の全面に形成する。オーバーコート膜19は、平坦化効果の大きい有機樹脂などであることが望ましいが、液晶表示装置の特性によってはオーバーコート膜19を形成しなくてもよい。オーバーコート膜19の表面は平坦になる。
【0075】
その後、図10(d)に示すように、オーバーコート膜19上に対向電極23を形成する。この対向電極23は、画素電極11のすべてに対して共通して使用されるものであり、駆動基板1上の全画素電極11に対応する領域(すなわち表示領域)から、駆動基板1上のトランスファ電極13に対応する領域までを覆うように形成される。こうして対向基板18が完成する。
【0076】
対向基板18上に上記のようにして形成される対向電極23と色層20とブラックマトリクス17は、対向基板側液晶駆動素子22を構成しており、駆動基板1との接合時には、対応する駆動基板側液晶駆動素子14にそれぞれ対面する。
【0077】
以上の説明では、ガラス基板18a上に図10(d)に示した対向基板18の構造が一つ形成されるものとしているが、実際の製造工程では、図11に示すように、複数個が同時に形成される。したがって、上記の工程により、単一のガラス基板18a上に、対向基板側液晶駆動素子22が複数個形成される。
【0078】
こうして製造された対向基板18には、図10(e)および図12に示すように、配向膜12bが対向電極23上に形成される。この時、配向膜12bは、駆動基板1上の配向膜12aとほぼ正確に重なり合うように形成されるので、配向膜12bは、表示領域だけでなくマーカ21とも重なる。その後、駆動基板1の場合と同様にして、配向膜12bの表面に液晶を所定方向に配向させるための配向処理を行う。
【0079】
なお、ここでは、配向膜12bが非表示領域のほぼ全面を覆うように形成されているが、非表示領域のマーカ21のみを局所的に覆うように形成してもよい。
【0080】
引き続き、シール材30を用いて、次のようにして駆動基板1と対向基板18を接合・一体化する。
【0081】
すなわち、駆動基板1の内面(図6(c)の平坦化膜10の表面)に、図12に示すように、表示領域の外側で当該表示領域の外縁に沿って、シール材30を矩形リング状に塗布し、液晶35を封入する領域を画定する。当該領域内に毛細管現象を利用して液晶35を注入する場合は、注入用の箇所を空けた状態にしてシール材30を塗布してから、駆動基板1と対向基板18を重ね合わせる。液晶滴下型注入を行う場合は、駆動基板1と対向基板18を重ね合わせる前に駆動基板1または対向基板18上に液晶35を滴下した後に両者を重ね合わせる。その後、例えば紫外線を照射してシール材30を硬化させると共に、液晶35の導入口を封止すると、駆動基板1と対向基板18は間に液晶35を挟んで接合・一体化される。こうして図1および図2に示した液晶パネル34が得られる。
【0082】
実際の製造工程では、図9および図11に示すように、複数個の液晶パネル構造が同時に形成される。したがって、駆動基板1と対向基板18を接合・一体化した後、駆動基板側液晶駆動素子14および対向基板側液晶駆動素子22の組ごとに駆動基板1と対向基板18を切断して、液晶パネル構造毎に分離すれば、一組の駆動基板側液晶駆動素子14および対向基板側液晶駆動素子22を含む液晶パネル34が複数個、同時に得られる。
【0083】
その後、図13に示すように、駆動基板1と対向基板18の外面にそれぞれ偏光板31aおよび31bを貼り付ける。その際に、両偏光板31aおよび31bの吸収軸が互いに直交するようにする。
【0084】
この液晶パネル34では、2枚の配向膜12aおよび12bを4個のマーカ21と重なるように形成すると共に、それらの配向膜12aおよび12bの全面に所定の配向処理を行っているため、吸収軸が互いに直交するように配置された2枚の偏光板31aおよび31bを介して、マーカ21の位置と形状を鮮明に識別することができる。したがって、図1に示すように、駆動基板1と対向基板18の外面にそれぞれ偏光板31aおよび31bを貼り付けた後でも、マーカ21を目視等で認識することができる。このため、光学素子32に、同様のマーカ(図示せず)を設けておけば、液晶パネル34のマーカ21と光学素子32のマーカと整合させることにより、液晶パネル34(駆動基板1と対向基板18)と光学素子32を高精度に位置合わせして貼り合わせることが可能である。
【0085】
以上述べたように、本第1実施形態の液晶表示装置では、主基板である駆動基板1および対向基板18間に液晶35が封入され、且つ駆動基板1と対向基板18の外面に偏光板31aおよび31bがそれぞれ貼り合わされた液晶パネル34が設けられており、対向基板18上には偏光板31aおよび31bと重なる箇所に4個のマーカ21が配置されている。また、駆動基板1と対向基板18の内面には、それぞれ、配向処理が施された配向膜12aおよび12bが形成されていると共に、それら配向膜12aおよび12bは各マーカ21と重なっているため、各マーカ21の近傍における液晶分子の配向が表示領域内における液晶分子の配向と同じ方向に規制されている。
【0086】
さらに、この液晶表示装置は、表示方式がノーマリホワイト方式であるから、液晶35に電圧を印加しない時でも2枚の偏光板31aおよび31bを介して光が透過するが、各マーカ21は偏光板31aおよび31bと配向膜12aおよび12bとに重なっているため、各マーカ21の近傍においても光が透過可能である。
【0087】
このように、ノーマリホワイト方式では、オン電圧を印加しなくても配向膜12aおよび12bが配置された領域を光が透過することを利用して、各マーカ21の近傍にも配向膜12aおよび12bを配置することで光を透過可能とし、もって偏光板31aおよび31bを介して各マーカ21を視認できる(つまり、目視やCCDカメラ等で読み取ることができる)ようにしている。よって、液晶パネル34に光学素子32を貼り合わせる際の基準として各マーカ21を使用することができ、その結果、偏光板31上に高い位置精度で光学素子32を貼り合わせることができる。
【0088】
また、配向方向規制手段としての配向膜12aおよび12bにより、マーカ21の近傍において液晶分子の配向方向を規制して、駆動基板1と対向基板18を光が透過可能にするだけでよいだけでなく、そのような配向方向規制手段は、液晶パネル34に包含されている配向膜12aおよび12bを用いて容易に実現できるため、液晶パネル34へのマーカ21の形成に起因する額縁部(非表示領域)の拡大と製造コストの上昇を回避あるいは最小限に抑えることができる。
【0089】
さらに、本第1実施形態の液晶表示装置の製造方法では、対向基板18の内面に、ブラックマトリックス17を形成する工程でブラックマトリックス17と同一の遮光性材料を用いてマーカ21を形成していると共に、マーカ21を所定の配向処理がなされた、対向基板18側の配向膜12bで覆っている。また、マーカ21の位置を、駆動基板1および対向基板18上に配置された偏光板31aおよび31bと重なる位置に設定している。そして、マーカ21を読み取りながら、光学素子32を液晶パネル34の対向基18板側に貼り合わせている。よって、液晶パネル34に光学素子32を貼り付けてなる本第1実施形態の液晶表示装置を得ることができる。
【0090】
なお、本第1実施形態では各マーカ21を対向基板18上に形成しているが、図14に示すように、各マーカ21を駆動基板1上に形成してもよい。図14の例では、図12の場合と同様に、各マーカ21はシール材30の内側の非表示領域に形成されており、一部がゲート駆動回路15またはソース駆動回路16と重なっている。この例では、各マーカ21は、ゲート電極5、ソース電極7もしくはトランスファ電極13を形成する際に同時に形成することが望ましい。工程数の増加を避けるためである。また、対向基板18上で各マーカ21に対向する部分に位置するブラックマトリクス17は、除去しておくことが望ましい。各マーカ21に対向する部分の透光性を上げるためである。
【0091】
マーカ21をゲート電極・配線5を形成する際に同時に形成する場合、好ましくは、マーカ21はゲート電極・配線5と同じ遮光性を持つ導電性材料で形成され、ゲート絶縁膜4の上に配置される(図5(a)を参照)。
【0092】
マーカ21をソース電極・配線7を形成する際に同時に形成する場合、好ましくは、マーカ21はソース電極・配線7と同じ遮光性を持つ導電性材料で形成され、下部絶縁膜6の上に配置される(図5(c)を参照)。
【0093】
マーカ21をトランスファ電極13を形成する際に同時に形成する場合、好ましくは、マーカ21はトランスファ電極13と同じ遮光性を持つ導電性材料で形成され、平坦化膜10の上に配置される(図6(c)を参照)。
【0094】
(第2実施形態)
図15および図16は、本発明の第2実施形態の液晶表示装置に組み込まれた液晶パネルを示す。この液晶表示装置は、上述した第1実施形態とは異なり、ノーマリブラック方式である。図15は、その液晶パネルの対向基板18上に形成されたマーカ21付近の構成を示す要部断面図、図16は一つのマーカ21の近傍および表示領域内における液晶分子の配向状態を示した要部平面図である。マーカ21は、上記第1実施形態で使用したものと同じである。
【0095】
ノーマリブラック方式の液晶表示装置の場合、マーカ21の近傍における液晶分子の配向方向を表示領域内における液晶分子の配向方向と同一にしても、視覚でマーカ21を認識することができない。これは、液晶分子にオン電圧が印加されない状態では、光は液晶パネル34を透過しないからである。
【0096】
例えば、IPS(In-Plane Switching, 水平配列)型の液晶表示装置では、オン電圧を印加しない状態で液晶分子の配向がいずれか一方の偏光板31aまたは31bの吸収軸とほぼ同じ方向であるため、駆動基板1側の偏光板31aを透過した偏光は、対向基板18側の偏光板31bにほとんど吸収されてしまう。したがって、オン電圧を印加しない状態では、その偏光は偏光板31bを透過することはできない。
【0097】
また、VA(Vertical Aligned, 垂直配列)型の液晶表示装置では、液晶分子が駆動基板1および対向基板18に垂直方向に配向しており、液晶35中では入射光の偏光方向が変化しない。このため、オン電圧を印加しない状態では、IPS型の場合と同様に、駆動基板1側の偏光板31を透過した偏光は対向基板18側の偏光板31bを透過することはできない。
【0098】
したがって、ノーマリブラック方式の液晶表示装置において2枚の偏光板31aおよび31bを介してマーカ21を認識できるようにするためには、マーカ21の近傍における液晶分子の配向方向を表示領域内におけるそれとは異なる方向に、局所的に配向させる必要がある。そこで、本第2実施形態では、図15に示すように、配向方向規制手段として、マーカ21の近傍において平坦化膜10とオーバーコート膜19に選択的に、複数本の平行な溝(または突起)10aおよび19aをそれぞれ形成している。これは、液晶分子がラビングによって配向膜12に形成された溝に沿って配向する性質を利用するものである。
【0099】
図15では、配向膜12aおよび12bが描かれていないが、これは、上記第1実施形態とは異なり、本第2実施形態では、通常の液晶パネルと同様に配向膜12aおよび12bが表示領域の内部にのみ形成されており、マーカ21が形成されている非表示領域には配向膜12aおよび12bは存在しないからである。そこで、駆動基板1側で液晶分子に接触する平坦化膜10の表面に溝10aを形成し、対向基板18側で液晶分子に接触するオーバーコート膜19の表面に溝19aを形成している。
【0100】
図16に示すように、平坦化膜10の表面の溝10aおよびオーバーコート膜19の表面の溝19aはいずれも、マーカ21の近傍のみに設けられているため、液晶分子は平坦化膜10の溝10aおよびオーバーコート膜19の溝19aに接し、その結果、溝10aおよび19aの作用によって局所的にY方向に配向する。これに対し、表示領域内にある対向基板側の液晶駆動素子22の近傍では、平坦化膜10およびオーバーコート膜19の表面に配向膜12aおよび12bが存在しているため、配向膜12aおよび12bの作用によって液晶分子はY方向とは異なるX方向に配向する。
【0101】
本第2実施形態において、溝10aおよび19aによって生成されるマーカ21の近傍での液晶分子の配向方向Yは、一方の偏光板31aまたは31bの吸収軸(すなわち表示領域内での液晶分子の配向方向X)に対して45°程度ずれていることが望ましい。この方向に液晶分子が配向していると、駆動基板1側の偏光板31aを透過した光は、複屈折により偏光の向きが変化し、吸収軸が直交している対向基板18側の偏光板31bを透過することが可能になるからである。
【0102】
ただし、Y方向とX方向の角度差が45°程度である必要は必ずしもない。Y方向が表示領域の配向方向Xと同じでなければ、その角度差を45°程度にしたときよりは暗いが、光が透過してマーカ21を視認できるからである。
【0103】
平坦化膜10上に溝10a(または突起)を形成する場合は、平坦化膜10にコンタクトホールを形成する工程と同時に行うことが好ましい。オーバーコート膜19上に溝19a(または突起)を形成する工程は、別個に追加する必要がある。
【0104】
以上説明したように、本第2実施形態の液晶表示装置では、表示方式がノーマリブラック方式であって、マーカ21近傍の液晶分子の配向方向を規制する手段として、マーカ21の近傍において有機絶縁膜である平坦化膜10およびオーバーコート膜19に形成された溝10aおよび19aを採用している。そして、これらの溝10aおよび19aの作用により、マーカ21の近傍においてのみ、表示領域内における液晶分子の配向方向Xとは異なるY方向に液晶分子を配向させ、もってマーカ21の近傍において局所的に透光性を持たせている。このため、ノーマリブラック方式であってもマーカ21を視認することが可能である。
【0105】
なお、本第2実施形態では、平坦化膜10とオーバーコート膜19の双方に複数本の平行な溝10aおよび19aをそれぞれ形成しているが、平坦化膜10とオーバーコート膜19のいずれか一方に形成してもよい。この場合、液晶分子のY方向への配向は、平坦化膜またはオーバーコート膜19の表面付近だけに生じるが、そのような状態でもマーカ21の近傍では光が透過するので、そのマーカ21を視認することができるからである。
【0106】
また、平坦化膜10およびオーバーコート膜19とは別個に、溝10aまたは19a(または突起)を形成するための有機膜をマーカ21の近傍に選択的に形成し、その有機膜に同様の溝または突起を設けるようにしてもよい。
【0107】
(第3実施形態)
図17は、本発明の第3実施形態の液晶表示装置に組み込まれた液晶パネルを示す、マーカ21付近の要部断面図である。マーカ21は、上記第1実施形態で使用したものと同じであり、対向基板18の内面上(具体的にはオーバーコート膜19の表面)にある。シール材30の図示は省略している。
【0108】
図17に示す液晶パネルは、上記第2実施形態と同様にノーマリブラック方式であり、マーカ21近傍の液晶分子の配向方向を規制する手段(配向方向規制手段)として、マーカ21付近の液晶に電圧を印加するための一対の電極、すなわち液晶分子の配向方向を規制する電極(配向方向規制電極)を備えている。ここでは、配向方向規制電極として、IPS方式の液晶表示装置に組み込まれた画素電極11を使用した例を示している。すなわち、本来は表示領域内にのみ形成される複数の画素電極11のうちの一部を、表示領域の外(すなわち非表示領域)にあるマーカ21付近まで延在したものである。
【0109】
マーカ21とそれに対向する一対の配向方向規制電極(ここでは画素電極11)は、いずれも非表示領域に配置されているが、図17に示すように、それらは配向膜12bおよび12aによってそれぞれ覆われている。これは、配向膜12bおよび12aが、上記第1実施形態の場合と同様に、表示領域内だけでなく、マーカ21と一対の配向方向規制電極までそれぞれ延在されていることを意味する。マーカ21と一対の配向方向規制電極が、このように配向膜12bおよび12aでそれぞれ覆われていることから、一対の配向方向規制電極間に電圧を印加することにより、マーカ21の近傍において液晶分子の配向方向を局所的に変えることが可能になる。
【0110】
図17には、配向方向規制電極として、隣接する画素に属する二つの画素電極11を示しており、両方の画素電極11間に適当な電圧を印加することにより、マーカ21付近において駆動基板1および対向基板18にほぼ平行な方向に液晶分子を配向させ、光が透過する状態にすることができる。なお、配向方向規制電極としての画素電極11は、駆動基板1の内面上(具体的には平坦化膜10の表面)にある。
【0111】
このように、本第3実施形態の液晶表示装置では、マーカ21近傍の配向方向規制電極として画素電極11が設置されているので、ノーマリブラック方式であっても、これらの画素電極11に電圧を印加することによりマーカ21を読み取ることができる。よって、光学素子32を液晶パネル34に貼り合わせる際に、対向電極23側の偏光板31bを介してマーカ21を認識することが可能となる。
【0112】
配向方向規制電極(画素電極11)の形状は、図17に示した例に限られず、FFS(Field Fringe Switching)、VA等、それぞれの方式に合わせて適当な形状にすることができる。
【0113】
なお、ここでは、配向方向規制電極として一対の画素電極11を使用しているが、一つの画素電極11と対向基板18上の対向電極23とを配向方向規制電極として使用してもよい。また、配向方向規制電極として画素電極11や対向電極23を流用せずに、専用の配向方向規制電極を別個に設けてもよいが、構造と製造工程が複雑化するので、画素電極11等の既存の電極を流用する方が好ましい。
【0114】
また、図17の構成において、マーカ21を反射率の高い材料で形成すれば、反射型または半透過型でノーマリブラック方式の液晶表示装置の場合に、反射光でマーカ21を認識することができる。マーカ21は駆動基板1側に設けてもよい。
【0115】
(第4実施形態)
図18(a)は、本発明の第4実施形態の液晶表示装置に組み込まれた液晶パネルを示す、マーカ21付近の要部断面図である。
【0116】
上述した第1〜第3実施形態の液晶表示装置は、いずれも透過型であったが、第4実施形態の液晶表示装置は反射型または半透過型であり、上述した第1〜第3実施形態の構成を反射型あるいは半透過型に適用する場合の好ましい形態を示している。第4実施形態はノーマリホワイト方式(第1実施形態を参照)である。
【0117】
本第4実施形態では、図18(a)に示すように、マーカ21を、反射型あるいは半透過型液晶表示装置において使用されている反射電極あるいは反射板(以下、反射部材という)と同じ材料で形成している。また、マーカ21は、上述した第1〜第3実施形態とは異なり、駆動基板1上(具体的には平坦化膜10または図示しない透過電極の表面)に配置されている。シール材30の図示は省略している。
【0118】
駆動基板1の非表示領域に配置されているマーカ21は、上記第3実施形態と同様に、配向膜12aによって覆われている。また、マーカ21に対向する対向基板18の領域は、配向膜12bによって覆われている。これは、配向膜12aおよび12bが、上記第1実施形態の場合と同様に、表示領域内だけでなく、マーカ21とそれに対向する領域までそれぞれ延在されていることを意味する。マーカ21とそれに対向する領域が、このように配向膜12aおよび12bでそれぞれ覆われていることから、マーカ21の近傍においても表示領域内部と同様に液晶分子の配向方向が制御される。その結果、マーカ21の近傍においても、表示領域内部と同様に光が透過可能となる。
【0119】
マーカ21は、反射率が高い反射部材と同じ材料で形成されているので、ノーマリホワイト方式の本第4実施形態の液晶表示パネルでは、反射光を利用して、入射側の対向基板18側から容易にマーカ21を認識することができる。
【0120】
よって、液晶表示装置が反射型あるいは半透過型でノーマリホワイト方式である場合でも、図18(a)に示す配向方向規制手段を採用することにより、液晶パネル34に光学素子32を貼り合わせる際に反射光でマーカ21を認識できるため、偏光板31aおよび31bを貼った状態の液晶パネル34に光学素子32を高い位置精度で貼り合わせることが可能となる。
【0121】
(第5実施形態)
図18(b)は、本発明の第5実施形態の液晶表示装置に組み込まれた液晶パネルを示す、マーカ21付近の要部断面図である。
【0122】
本第5実施形態の液晶表示装置は、上記第4実施形態と同様に反射型または半透過型であるが、上記第4実施形態とは異なり、ノーマリブラック方式(第2実施形態を参照)である。
【0123】
本第5実施形態では、上記第4実施形態と同様に、マーカ21が反射部材と同じ材料で形成されており、駆動基板1上(具体的には平坦化膜10または図示しない透過電極の表面)に配置されている。
【0124】
本第5実施形態の液晶表示パネルは、図18(b)に示すように、対向基板18上に形成されたオーバーコート膜19のマーカ21に対応する箇所に、局所的に、上記第2実施形態と同様の複数本の平行な溝(または突起)19aが形成されている。このため、上記第2実施形態と同様に、マーカ21の近傍における液晶分子の配向方向が、表示領域のそれとは異なることになり、したがって、反射光がマーカ21の近傍において局所的に透過可能となる。その結果、反射光を利用して入射側の対向基板18側から容易にマーカ21を認識することができる。
【0125】
このように、液晶表示装置が反射型あるいは半透過型でノーマリブラック方式である場合でも、図18(b)に示す配向方向規制手段を採用することにより、液晶パネル34に光学素子32を貼り合わせる際に反射光でマーカ21を認識できるため、偏光板31を貼った状態の液晶パネル34に光学素子32を高い位置精度で貼り合わせることが可能となる。
【0126】
なお、図18(b)には配向膜12aおよび12bが描かれていないが、これは、配向膜12aおよび12bが表示領域内だけに形成され、マーカ21とそれに対向する領域には存在しないためである。
【0127】
複数本の平行な溝(または突起)を駆動基板1側に追加してもよいことは言うまでもない。
【0128】
また、溝19aを除去し、代わりにマーカ21の近傍に第3実施形態(図17)で使用した一対の画素電極11を配向方向規制電極として設けてもよい。こうすれば、第3実施形態と同様に、一対の画素電極11間に電圧を印加することにより、反射光でマーカ21を認識できるようになる。
【0129】
(第6実施形態)
図19は、本発明の第6実施形態の液晶表示装置を示す。図19はマーカ21の形状を変えた場合の液晶分子の配向方向との関係を示した要部平面図である。この液晶表示装置は、マーカ21の平面形状を、液晶の配向方向に沿った形に形成したことを特徴とするものである。
【0130】
図19(a)に示すマーカ21の形状は長方形(直線形)であり、その長手方向(の縁)が液晶分子の配合方向と整合している。
【0131】
図19(b)に示すマーカ21の形状は正方形であり、その平行な二つの辺(二つの縁)が液晶分子の配合方向と整合している。
【0132】
図19(c)に示すマーカ21の形状は、縦方向の長方形(直線形)部分と横方向の長方形(直線形)部分とを交差してなる十字形であり、縦方向の長方形部分(の長手方向の縁)が液晶分子の配合方向と整合している。縦方向の長方形部分と横方向の長方形部分とは、ほぼ同じ幅と長さを有している。
【0133】
図19(d)に示すマーカ21の形状は、正方形リング状であり、二つの縦方向の長方形(直線形)部分と二つの横方向の長方形(直線形)部分とを組み合わせて構成されている。二つの縦方向の長方形部分(の長手方向の平行な外縁と内縁)が液晶分子の配合方向と整合している。縦方向の長方形部分と横方向の長方形部分とは、ほぼ同じ幅と長さを有している。
【0134】
図19(a)〜(d)に示したいずれのマーカ21であっても、マーカ21とマーカ21が形成されている面との間に段差が生じ、マーカ21を覆う配向膜12にその段差が反映される。このため、その段差に起因してマーカ21の近傍で液晶分子の配向が乱れる可能性がある。しかし、図19(a)〜(d)に示したマーカ21では、その相対的に長い部分とその外縁または内縁(エッジ)の方向を液晶分子の配合方向と整合させているので、その外縁または内縁(段差)の付近での液晶分子の配向がマーカ21によって生じる段差に影響され難い。よって、マーカ21の認識精度を高めることができる。
【0135】
マーカ21の形成方法と液晶分子の配向方法は、前記第1〜第5実施形態に記載の内容と同一でよい。
【0136】
以上述べたように、本第6実施形態の液晶表示装置では、マーカ21によって生じる段差の近傍において液晶分子の配向方向がマーカ21のパターンと整合しているので、段差付近の液晶の配向が段差によって乱されるのを最小限に抑えることができ、マーカ21の認識精度を高めることができる。
【0137】
(第7実施形態)
図20は、本発明の第7実施形態の液晶表示装置の斜視図を示す。この液晶表示装置は、少なくとも一つのマーカ21が、非表示領域において液晶注入孔33の付近に形成されていることを特徴とするものである。図20では、一つのマーカ21が液晶注入孔33の付近に形成されているが、複数のマーカ21を液晶注入孔33の付近に並べて配置してもよい。
【0138】
接合一体化した駆動基板1と対向基板18の間の隙間に毛細管現象を利用して液晶を注入する場合、表示領域の外縁に沿ってシール材30を塗布するが、液晶注入孔33となるべき箇所では塗布しないで空けた状態にして液晶注入孔33とする。液晶注入孔33の付近は、ゲート線駆動回路15、ソース線駆動回路16等が実装されていない空き領域であるので、マーカ21用の領域を別個に確保する必要がなく、したがって、シール材30と表示領域との距離を縮めることができる。つまり、より狭額縁の表示装置を製造することができる。
【0139】
マーカ21は、液晶注入孔33の付近であれば、駆動基板1と対向基板18のどちらに形成されていてもよく、またその数は任意である。
【0140】
本第7実施形態の液晶表示装置では、少なくとも一つのマーカ21が駆動基板1または対向基板18の液晶注入孔33のある辺で、液晶注入孔33の付近に配置されているので、マーカ21の形成によって額縁領域が拡大する影響を最小限に抑えることができる。
【0141】
(その他の実施形態)
上記第1〜7の実施形態は、本発明の好適な例を示すものであるから、本発明はこれらの実施形態に限定されず、種々の変形が可能なことは言うまでもない。例えば、上記第1〜7の実施形態では、マーカ21の平面形状を十字形としているが、本発明は十字形に限定されるものではなく、マーカ21としての機能を果たすことができるものであれば、図19(a)、(b)または(d)に示した形状でもよいし、それら以外の任意の形状にしてもよい。
【符号の説明】
【0142】
1 駆動基板
1a ガラス基板
2 下地絶縁膜
3 多結晶シリコン製アイランド領域
3a 多結晶シリコン膜
4 ゲート酸化膜
5 ゲート電極・配線
6 下部絶縁膜
7 ソース電極・配線
8 ドレイン電極
9 層間絶縁膜
10 平坦化膜(有機膜)
10a 平坦化膜の溝
11 画素電極
12a、12b 配向膜
13 トランスファ電極
14 駆動基板側液晶駆動素子
15 ゲート駆動回路
16 ソース駆動回路
17 ブラックマトリクス
18 対向基板
18a ガラス基板
19 オーバーコート膜(有機膜)
19a オーバーコート膜の溝
20 色層
21 マーカ
22 対向基板側液晶駆動素子
23 対向電極
24 ソース領域
25 ドレイン領域
26 駆動基板側の画素領域
27 フォトレジスト
28 外部接続端子
29 外部接続配線
30 シール材
31a、31b 偏光板
32 光学素子
33 液晶注入孔
34 液晶パネル
35 液晶
36 TFT

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主基板および対向基板の間に液晶が封入されていると共に、少なくとも前記対向基板に偏光板が貼り合わされている液晶パネルと、
前記主基板上または前記対向基板上において非表示領域内の前記偏光板と重なる箇所に形成された、前記液晶パネル上に光学素子を貼り合わせる際に使用されるマーカと、
表示領域に形成された配向膜とは非連続として、前記マーカに重ねて形成された配向膜と、
前記マーカの近傍における前記液晶の分子の配向方向を前記表示領域における前記液晶の分子の配向方向とは異なる方向に規制して、前記偏光板を介して少なくとも前記対向基板を光が透過可能にする配向方向規制手段と
を備えていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶パネルの表示方式がノーマリホワイト方式であり、前記配向方向規制手段が、前記マーカに重ねて形成された前記配向膜である請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶パネルの表示方式がノーマリブラック方式であり、前記配向方向規制手段が、前記マーカの近傍において前記液晶に接する膜に形成された、前記表示領域における前記液晶の分子の配向方向とは異なる方向に延在する溝または突起である請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶パネルの表示方式がノーマリブラック方式であり、前記配向方向規制手段が、前記マーカの近傍に配置された少なくとも一つの電極であり、前記電極に電圧を印加することにより、前記マーカの近傍における前記液晶の分子の配向を前記表示領域におけるそれとは異なる方向にすることができる請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶パネルが反射型または半透過型であって、前記マーカが、反射部材と同一の材料により形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記マーカの平面形状が、前記マーカの少なくとも一つの縁が前記液晶の分子の配向方向に沿って延在するように設定されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
少なくとも一つの前記マーカが前記液晶パネルの液晶注入孔のある辺に配置されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
主基板および対向基板の間に液晶が封入されていると共に、少なくとも前記対向基板に偏光板が貼り合わされている液晶パネルに、光学素子を貼り合わせて製造される液晶表示装置の製造方法であって、
前記主基板上または前記対向基板上において非表示領域内の前記偏光板と重なる箇所に、前記液晶パネル上に光学素子を貼り合わせる際に使用されるマーカを形成する工程と、
表示領域に形成された配向膜とは非連続として、前記マーカに重ねて配向膜を形成する工程と、
前記マーカの近傍における前記液晶の分子の配向方向を前記表示領域における前記液晶の分子の配向方向とは異なる方向に規制して、前記偏光板を介して少なくとも前記対向基板を光が透過可能にする配向方向規制手段を、前記液晶パネルに形成する工程と、
前記偏光板を介して前記マーカを読み取りながら前記光学素子を前記液晶パネルに貼り合わせる工程と
を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記液晶パネルの表示方式がノーマリホワイト方式であり、前記配向方向規制手段が、前記マーカに重ねて形成された前記配向膜である請求項8に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記液晶パネルの表示方式がノーマリブラック方式であり、前記配向方向規制手段を形成する工程において、前記配向方向規制手段として、前記マーカの近傍において前記液晶に接する膜に、前記表示領域における前記液晶の分子の配向方向とは異なる方向に延在する溝または突起が形成される請求項8に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記液晶パネルの表示方式がノーマリブラック方式であり、前記配向方向規制手段を形成する工程において、前記配向方向規制手段として、前記マーカの近傍に少なくとも一つの電極が形成され、
前記光学素子を前記液晶パネルに貼り合わせる工程において、前記電極に電圧を印加して、前記マーカの近傍における前記液晶の分子の配向を前記表示領域におけるそれとは異なる方向にしてから、前記光学素子の貼り合わせが行われる請求項8に記載の液晶表示装置の製造方法
【請求項12】
前記液晶パネルが反射型または半透過型であり、
前記マーカの形成工程において、前記マーカが反射部材と同一の材料により形成される請求項8〜11のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記マーカを形成する工程において、前記マーカの平面形状が、前記マーカの少なくとも一つの縁が前記液晶の分子の配向方向に沿って延在するように設定される請求項8〜12のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記マーカを形成する工程において、前記マーカが前記液晶パネルの液晶注入孔のある辺に配置される請求項8〜13のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−155351(P2012−155351A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−119067(P2012−119067)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【分割の表示】特願2007−132644(P2007−132644)の分割
【原出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】