説明

液晶表示装置及びその制御方法

【課題】ローカルディミングによるコントラスト向上の効果が低減することを抑制しつつ、視認性良くグラフィックス画像を表示することのできる液晶表示装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の液晶表示装置は、入力された画像信号に基づく画像を表示する液晶表示装置であって、液晶パネルと、画面の領域を複数に分割することにより得られる分割領域毎に発光輝度値を調整可能なバックライトと、分割領域毎にバックライトの発光輝度値を制御する制御手段と、入力された画像信号に基づく画像にグラフィックス画像が重畳された合成画像信号を生成する生成手段と、を有し、制御手段は、グラフィックス画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値を均一にし、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値を前記入力された画像信号に基づいて制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置で用いられる液晶パネルは、バックライトから照射される光の透過率を変えることによって画像を表示している。液晶表示装置では、バックライトからの光が液晶パネルから漏れることによって、黒色の再現性が低くなるという問題がある。
このような問題に対して、液晶表示装置のバックライトの発光輝度値を入力画像信号に応じて動的に調整する技術が注目されている。この技術を用いれば、入力画像信号の輝度値が低い場合に、バックライト全体の発光輝度値を調整(低下)することによって、黒色の再現性を高めることができる。
【0003】
また、液晶表示装置は、通常、メニュー画像等のOSD(On Screen Display)画像を表示する機能を有している。しかしながら、前述したように入力画像信号に応じてバックライトの発光輝度値を低下させた状態でOSD画像を表示してしまうと、OSD画像が暗く表示され、OSD画像の視認性が悪化してしまう。
このような問題を解決する従来技術として、OSD画像の表示時にバックライト全面の発光輝度値を一定に保つ画像表示装置が提案されている(特許文献1)。
また、OSD画像の表示時にバックライト全面の発光輝度値を所定値以下に低下させないように制限する画像表示装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−321424号公報
【特許文献2】特開2008−299191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、バックライトの光源として、LED(Light Emitting Diode)が採用されてきている。LEDを使用したバックライト(LEDバックライト)として、液晶パネルの背面にLEDを配置した直下型のLEDバックライトがある。直下型のLEDバックライトでは、部分的にバックライトの発光輝度値を変えられるという特徴がある。このような特徴を活かしたバックライトの制御方法(制御方式)として、入力画像信号に応じてバックライトの発光輝度値を領域毎に制御する方法がある。この方法は、ローカルディミングと呼ばれる。ローカルディミングでは、領域毎にバックライトの発光輝度値が調整されるため、バックライト全面の発光輝度値を調整する場合に比べて、コントラスト向上の効果がより期待できる。
【0006】
このようなローカルディミングによるバックライト制御を行う場合にも、OSD画像の視認性の悪化を防ぐ必要がある。しかしながら、上述した従来技術はバックライト全面の発光輝度値を調整する場合を想定したものであり、ローカルディミングによるバックライト制御は考慮されていなかった。そのため、従来技術を用いてOSD画像の視認性の悪化を抑制すると、ローカルディミングによるコントラスト向上の効果が低減されてしまう。
具体的には、特許文献1に開示の技術では、OSD画像の表示時にバックライト全面の発光輝度値が一定に保たれるため、OSD画像を表示した場合にローカルディミングが行えない。
特許文献2に開示の技術では、OSD画像の表示時にバックライト全面の最低輝度値が
設定されるため、OSD画像を表示した場合にローカルディミングによるコントラスト向上の効果が低減されてしまう。
【0007】
本発明は、ローカルディミングによるコントラスト向上の効果が低減することを抑制しつつ、視認性良くグラフィックス画像を表示することのできる液晶表示装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液晶表示装置は、
入力された画像信号に基づく画像を表示する液晶表示装置であって、
液晶パネルと、
画面の領域を複数に分割することにより得られる分割領域毎に発光輝度値を調整可能なバックライトと、
前記分割領域毎にバックライトの発光輝度値を制御する制御手段と、
入力された画像信号に基づく画像にグラフィックス画像が重畳された合成画像信号を生成する生成手段と、
を有し、
前記制御手段は、グラフィックス画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値を均一にし、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値を前記入力された画像信号に基づいて制御する
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の液晶表示装置の制御方法は、
液晶パネルと、画面の領域を複数に分割することにより得られる分割領域毎に発光輝度値を調整可能なバックライトと、を有する液晶表示装置の制御方法であって、
前記分割領域毎にバックライトの発光輝度値を制御する制御ステップと、
入力された画像信号に基づく画像にグラフィックス画像が重畳された合成画像信号を生成する生成ステップと、
を有し、
前記制御ステップでは、グラフィックス画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値が均一にされ、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値は前記入力された画像信号に基づいて制御される
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ローカルディミングによるコントラスト向上の効果が低減することを抑制しつつ、視認性良くグラフィックス画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1に係る液晶表示装置の機能構成の一例を示すブロック図。
【図2】分割領域の一例を示す図。
【図3】実施例1に係るバックライト制御の一例を示すフローチャート。
【図4】OSDの画像信号の一例を示す図。
【図5】図3のステップS12で抽出される画像信号の一例を示す図。
【図6】従来技術の課題の一例を示す図。
【図7】実施例1の効果の一例を示す図。
【図8】実施例2に係るバックライト制御の一例を示すフローチャート。
【図9】実施例2の効果の一例を示す図。
【図10】実施例3に係るバックライト制御の一例を示すフローチャート。
【図11】実施例3の効果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例に係る液晶表示装置は、入力された画像信号に基づく画像を表示する。また、以下の実施例に係る液晶表示装置は、ローカルディミングによりバックライトを制御する。ローカルディミングは、画面の領域を複数に分割することにより得られる分割領域毎にバックライトの発光輝度値を制御する制御方法である。なお、以下の実施例では、一例として、図2に示すように、画面の領域を5×9の45個の分割領域に分割し、分割領域毎にバックライトの発光輝度値を調整する場合について説明する。なお、分割領域の数及び画面の分割方法はこれに限らない。例えば、複数の分割領域は、画面を短冊状に分割することにより得られる領域であってもよい。
【0013】
<実施例1>
以下、本発明の実施例1に係る液晶表示装置及びその制御方法について説明する。
図1は、実施例1に係る液晶表示装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。液晶表示装置100は、画像信号出力装置200から入力された画像信号に基づく画像を表示する。また、液晶表示装置100は、画像信号出力装置200から入力された画像信号に基づいてバックライトの発光輝度値を分割領域毎に制御する。
【0014】
画像信号入力部101には、画像信号出力装置200から画像信号が入力される。画像信号入力部101は、入力された画像信号(入力画像信号)を後述するバックライト制御部102と画像信号補正部103に送る。
バックライト制御部102は、入力画像信号とOSD(On Screen Display)画像の画像信号(OSD画像信号)に基づいて、分割領域毎に、後述するバックライト108の発光輝度値を決定し、制御する。バックライト制御部102の詳細については、図3のフローチャートを参照して後述する。
画像信号補正部103は、バックライト制御部102によって決定されたバックライトの発光輝度値に応じて、バックライトの発光輝度値の変化による各画素の表示輝度値の変化を補うように入力画像信号に補正処理を施す。
【0015】
インターフェース部104は、コントローラ等のユーザインターフェースから、OSD画像の表示を要求する制御信号を受信する。上記制御信号は、ユーザがユーザインターフェースを用いてOSD画像を表示するための操作を行うことにより、該ユーザインターフェースから出力される。インターフェース部104は、上記制御信号の受信に応じてOSD生成部105に対してOSD画像信号の生成を要求する。
OSD生成部105は、インターフェース部104からの要求に従って、OSD画像信号を生成する。OSD生成部105は、生成したOSD画像信号をバックライト制御部102、及び、画像合成部106に送る。
【0016】
画像合成部106は、入力画像信号に基づく画像にOSD画像が重畳された合成画像信号を生成する。具体的には、画像合成部106は、画像信号補正部103によって補正された入力画像信号に、OSD生成部105によって生成されたOSD画像信号を合成して、合成画像信号を生成する。画像合成部106は、生成した合成画像信号を、液晶パネル107に送る。
液晶パネル107は、複数の液晶素子を有し、画像合成部106で生成された合成画像信号に基づいて、各液晶素子の透過率を制御する。
バックライト108は、光源としてLEDを有し、液晶パネル107に光を照射する。バックライト108は、分割領域毎に発光輝度値を調整可能なバックライトである。バックライト108は、分割領域毎に、バックライト制御部102によって決定された発光輝
度値で発光する。
バックライト108からの光が液晶パネル107を透過することで、液晶表示装置100の画面に画像が表示される。
【0017】
バックライト制御部102によるバックライト制御について図3のフローチャートを参照して説明する。図3のフローチャートは、1つの分割領域(図2の分割領域N)のバックライト制御を示す。バックライト制御部102は、図3のフローチャートで示す処理を全ての分割領域について行う。それにより、OSD画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値は均一にされ、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値は入力画像信号に基づいて制御される。
【0018】
まず、ステップS11で、バックライト制御部102は、OSD生成部105からOSD画像信号として、図4に示すような画像の信号を取得する。ステップS11で取得されるOSD画像信号の画像サイズは、画面のサイズと同じサイズである。また、ステップS11で取得されるOSD画像信号は、各画素の色信号(RGB(赤緑青)値)と透明度を示す信号とを含む。ここで、透明度は、OSD画像信号に基づく画像の透明度を表す。即ち、OSD画像信号に基づく画像おいて透明度100%の領域の画像は、入力画像信号に基づく画像(画像信号補正部103によって補正された入力画像信号に基づく画像)に重畳しても、表示されない。透明度100%未満の領域の画像は、入力画像信号に基づく画像に重畳したときに、透明度に応じた合成比率で合成して表示される(透明度70%の場合、入力画像信号とOSD画像信号の合成比は70:30となる)。図4において、斜線で示した領域は透明度100%の領域であり、黒で示した領域は透明度100%未満の領域である。本実施例では、透明度100%未満の画像をOSD画像と呼び、透明度100%の画像はOSD画像とは呼ばないものとする。なお、画像信号はRGB信号に限らない。例えば、YCbCr信号であってもよい。
【0019】
次に、ステップS12で、バックライト制御部102は、ステップS11で取得したOSD画像信号から、分割領域Nの画像信号を抽出する。図5(A),5(B)は、ステップS12で抽出される画像信号の一例を示す図である。図5(A),5(B)において、斜線で示した領域が透明度100%の領域であり、黒で示した領域が透明度100%未満の領域(OSD画像の領域)である。図5(A)は、OSD画像信号が図4に示すOSD画像を表す画像信号である場合に、図2に示す分割領域NのOSD画像信号として抽出される画像信号を示す図である。図5(A)の例では、抽出されるOSD画像信号に、透明度100%のOSD画像信号と、透明度100%未満のOSD画像信号とが含まれる。図5(B)は、OSD画像信号が図4とは異なるOSD画像を表すOSD画像信号である場合に、図2に示す分割領域NのOSD画像信号として抽出される画像信号を示す図である。図5(B)の例では、抽出されるOSD画像信号に、透明度100%のOSD画像信号のみが含まれ、透明度100%未満のOSD画像信号は含まれない。
【0020】
そして、ステップS13で、バックライト制御部102は、分割領域NにOSD画像の表示領域が含まれるか否かを判定する。具体的には、バックライト制御部102は、ステップS12で抽出した画像信号を解析して、該画像信号に、透明度が100%未満の画素が含まれるか否かを判定する。図5(A)の例では、透明度100%未満の画素が含まれると判定される。即ち、分割領域NにOSD画像の表示領域が含まれると判定される。図5(B)の例では、透明度100%未満の画素が含まれないと判定される。即ち、分割領域NにOSD画像の表示領域が含まれないと判定される。
【0021】
次に、ステップS14で、バックライト制御部102は、ステップS13で透明度100%未満の画素が含まれる(分割領域NにOSD画像の表示領域が含まれる)と判定した場合に、処理をステップS15へ進める。また、バックライト制御部102は、ステップ
S13で透明度100%未満の画素が含まれない(分割領域NにOSD画像の表示領域が含まれない)と判定した場合に、処理をステップS16へ進める。
【0022】
ステップS15では、バックライト制御部102は、分割領域Nのバックライトの発光輝度値を最大値にする。
【0023】
ステップS16では、バックライト制御部102は、入力画像信号に基づいて分割領域Nのバックライトの発光輝度値を制御する。即ち、バックライト制御部102は、分割領域Nでローカルディミングによるバックライト制御を行う。具体的には、バックライト制御部102は、画像信号入力部101から入力した画像信号から分割領域Nの画像信号を抽出し、該抽出した画像信号の輝度値を解析する。そして、バックライト制御部102は、分割領域Nの画像信号に高輝度の画素が多く含まれる場合にはバックライトの発光輝度値を高くし、低輝度の画素が多く含まれる場合にはバックライトの発光輝度値を低くする。
このように、入力画像信号に基づいて分割領域毎にバックライトの発光輝度値を制御することで、コントラストの向上を図ることができる。
【0024】
次に、実施例1のバックライト制御について、具体例を用いて説明する。
図6(B)は、図6(A)に示す画像を表示する際にローカルディミングを行った場合の、分割領域毎のバックライトの発光輝度値を示した図である。
【0025】
図6(B)において、輝度値A〜Eのうち、輝度値Aが最も高い発光輝度値(最大値)であり、輝度値B、輝度値C、輝度値D、輝度値E(最小値)の順に発光輝度値は低くなる。具体的には、輝度値Aに対する輝度値Bの割合(輝度値Bの最大輝度比)は75%、輝度値Cの最大輝度比は50%、輝度値Dの最大輝度比は25%、輝度値Eの最大輝度比は0%である。図6(B)に示されるように、画像の暗い領域を多く含む分割領域のバックライトの発光輝度値は低くされる。そのため、実施例1のバックライト制御を適用しない場合には、図6(C)に示すように、バックライトの発光輝度値が低い分割領域でOSD画像が暗く表示され、OSD画像の視認性が著しく低下してしまう。また、OSD画像の表示領域を含む複数の分割領域間で発光輝度値がばらつくことにより、OSD画像の視認性が著しく低下してしまう。
【0026】
図7(A)は、図6(A)の画像に図6(C)のOSD画像を重畳した画像を表示する際に実施例1のバックライト制御を行った場合の、分割領域毎のバックライトの発光輝度値を示す。図7(B)は、図7(A)の発光輝度値で、図6(A)の画像に図6(C)のOSD画像を重畳した画像を表示した場合の表示例を示す。
【0027】
図7(A)において、輝度値A〜Eのうち、輝度値Aが最も高い発光輝度値(最大値)であり、輝度値B、輝度値C、輝度値D、輝度値E(最小値)の順に発光輝度値は低くなる。具体的には、輝度値Bの最大輝度比は75%、輝度値Cの最大輝度比は50%、輝度値Dの最大輝度比は25%、輝度値Eの最大輝度比は0%である。実施例1を適用した場合、図7(A)に示すように、OSD画像の表示領域を含む分割領域のバックライトの発光輝度値が均一にされる。即ち、OSD画像の表示領域を含む分割領域では、ローカルディミングによるバックライト制御が無効とされる。そのため、図7(B)に示すように、OSD画像の表示領域を含む複数の分割領域間で発光輝度値がばらつくことによる、OSD画像の視認性の低下を抑制することができる。また、図7(B)に示すように、ローカルディミングによるOSD画像の表示輝度値の低下が抑制されるため、OSD画像の視認性をより高めることができる。更に、図7(A)に示すように、OSD画像の表示領域を含む分割領域以外の分割領域のバックライトの発光輝度値はローカルディミングにより制御される。そのため、ローカルディミングによるコントラスト向上の効果を得ることもで
きる。
即ち、ローカルディミングによるコントラスト向上の効果が低減することを抑制しつつ、視認性良くOSD画像を表示することができる。
【0028】
以上説明したように、実施例1によれば、OSD画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値が均一にされ、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値が入力画像信号に基づいて制御される。それにより、ローカルディミングによるコントラスト向上の効果が低減することを抑制しつつ、視認性良くOSD画像を表示することができる。
また、本実施例によれば、OSD画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値が最大値にされる。それにより、OSD画像の表示輝度値を最大限に高めることができ、OSD画像の視認性をより高めることができる。
【0029】
なお、本実施例では、入力画像信号に基づく画像に重畳する画像がOSD画像である場合について説明したが、重畳する画像はOSD画像に限らない。例えば、データ放送などで送信される画像信号に基づく画像であってもよい。入力画像信号に基づく画像以外の画像であればどのような画像であってもよい。本実施例では、これら(重畳する画像)を“グラフィックス画像”と呼ぶ。
【0030】
なお、本実施例では、画像信号補正部103が入力画像信号を補正し、画像合成部106が補正された入力画像信号とOSD画像信号(グラフィックス画像信号)を合成する構成としたが、この構成に限らない。画像合成部106が補正前の入力画像信号とグラフィックス画像信号を合成して合成画像信号を生成し、画像信号補正部103が該合成画像信号を補正する構成であってもよい。そのような構成にすることにより、バックライトの発光輝度値の変化によるOSD画像の表示輝度値の変化を補うことができ、グラフィックス画像を所望の表示輝度値で表示することが可能となる。
【0031】
なお、本実施例では、グラフィックス画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値を最大値にする例について説明したが、発光輝度値は最大値に限らない。どのような値であっても、グラフィックス画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値を均一にすることにより、グラフィックス画像の視認性を向上することができる。具体的には、グラフィックス画像の表示領域を含む複数の分割領域間で発光輝度値がばらつくことによる、グラフィックス画像の視認性の低下を抑制することができる。また、グラフィックス画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値を、該グラフィックス画像の最大輝度値よりも高くする構成であってもよい。そのような構成とすれば、画像信号補正部103による補正処理を適用することにより、グラフィックス画像を所望の表示輝度値で表示することが可能となる。
【0032】
なお、本実施例では、OSD画像信号(グラフィックス画像信号)が、画面のサイズと同じサイズの画像の信号である場合について説明したが、グラフィックス画像信号はこれに限らない。グラフィックス画像信号は、グラフィックス画像を表す信号であればよい。例えば、グラフィックス画像信号は、グラフィックス画像信号の各画素の値と、グラフィックス画像信号の表示領域を表す情報とを含む情報であってもよい。グラフィックス画像信号の表示領域を表す情報は、例えば、グラフィックス画像のサイズと表示位置、表示領域の開始点(例えば左上隅))と終了点(例えば右下隅)の位置座標、などである。
【0033】
<実施例2>
以下、本発明の実施例2に係る液晶表示装置及びその制御方法について説明する。実施例2では、分割領域の面積に対する、該分割領域に含まれるグラフィックス画像の表示領域の面積の割合に基づいて、該分割領域のバックライトの発光輝度値を制御する。なお、
実施例2に係る液晶表示装置100の構成は実施例1と同様であるため、その説明は省略する。また、以下では、グラフィックス画像がOSD画像である場合を例に説明する。
【0034】
バックライト制御部102によるバックライト制御について図8のフローチャートを参照して説明する。図8のフローチャートは、1つの分割領域(図2の分割領域N)のバックライト制御を示す。バックライト制御部102は、図8のフローチャートで示す処理を全ての分割領域について行う。それにより、分割領域の面積に対する、該分割領域に含まれるOSD画像の表示領域の面積の割合が所定値以上の複数の分割領域のバックライトの発光輝度値は均一にされる。そして、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値は入力画像信号に基づいて制御される。
【0035】
ステップS21〜S23の処理は、図3のステップS11〜S13の処理と同様であるため、その説明は省略する。
ステップS23の次に、ステップS24で、バックライト制御部102は、ステップS23で分割領域NにOSD画像の表示領域が含まれると判定した場合に、処理をステップS25へ進め、含まれないと判定した場合に、処理をステップS30へ進める。
【0036】
ステップS25では、バックライト制御部102は、分割領域Nの面積を算出する。具体的には、バックライト制御部102は、ステップS22で抽出した画像信号で表される画像の画素数Aを算出(カウント)する。図5(A)の例の場合、分割領域Nの面積は、(640−426)×(432−216)=46224となる。なお、分割領域の面積は予め装置内に記憶されていてもよい。
【0037】
次に、ステップS26で、バックライト制御部102は、分割領域Nに含まれるOSD画像の表示領域の面積を算出する。具体的には、バックライト制御部102は、ステップS22で抽出した画像信号で表される画像のうち、OSD画像(即ち、透明度が100%未満の画像)の画素数Bを算出(カウント)する。図5(A)の例の場合、分割領域Nに含まれるOSD画像の表示領域の面積は、(640−533)×(432−324)=11556となる。
【0038】
そして、ステップS27で、バックライト制御部102は、分割領域Nの面積に対する、分割領域Nに含まれるOSD画像の表示領域の面積の割合を算出する。具体的には、バックライト制御部102は、ステップS25で算出した画素数Aに対するステップS26で算出した画素数Bの割合を算出する。図5(A)の例の場合、分割領域Nの面積に対する、分割領域Nに含まれるOSD画像の表示領域の面積の割合は、(11556/46224)×100=25%となる。
【0039】
次に、ステップS28で、バックライト制御部102は、ステップS27で算出した割合が所定値以上か否かを判定する。そして、バックライト制御部102は、ステップS27で算出した割合が所定値以上であると判定した場合には、処理をステップS29へ進め、所定値未満であると判定した場合には、処理をステップS30へ進める。本実施例では、所定値を30%とする。図5(A)の例の場合、分割領域Nの面積に対する、分割領域Nに含まれるOSD画像の表示領域の面積の割合は25%であるため、所定値未満と判定され、処理がステップS30へ進められる。なお、所定値は30%に限らない。上記所定値はどのような値であってもよく、例えば、20%、50%、80%などであってもよい。上記所定値はメーカによって予め定められていてもよいし、ユーザが設定(変更)可能であってもよい。
【0040】
ステップS29,S39の処理は、図3のステップS15,S16の処理と同様であるため、その説明は省略する。
【0041】
次に、実施例2のバックライト制御について、具体例を用いて説明する。
図9(A)は、図6(A)の画像に図6(C)のOSD画像を重畳した画像を表示する際に実施例2のバックライト制御を行った場合の、分割領域毎のバックライトの発光輝度値を示す。図9(B)は、図9(A)の発光輝度値で、図6(A)の画像に図6(C)のOSD画像を重畳した画像を表示した場合の表示例を示す。
【0042】
図9(A)において、輝度値A〜Eのうち、輝度値Aが最も高い発光輝度値(最大値)であり、輝度値B、輝度値C、輝度値D、輝度値E(最小値)の順に発光輝度値は低くなる。具体的には、輝度値Aに対する輝度値Bの割合(輝度値Bの最大輝度比)は75%、輝度値Cの最大輝度比は50%、輝度値Dの最大輝度比は25%、輝度値Eの最大輝度比は0%である。図9(A)の太線で囲まれている複数の分割領域は、OSD画像の表示領域を含む分割領域である。図9(A)の太線で囲まれている複数の分割領域のうち、四隅に位置する分割領域は、分割領域の面積に対する、該分割領域に含まれるOSD画像の表示領域の面積の割合が所定値未満の領域である。そのため、それらの分割領域のバックライトの発光輝度値は、入力画像信号に基づいて制御される。換言すれば、それらの分割領域では、ローカルディミングによるバックライト制御が有効とされる。また、実施例1と同様に、OSD画像の表示領域を含まない分割領域でも、ローカルディミングによるバックライト制御は有効とされる。
従って、実施例2では、実施例1に比べ、ローカルディミングの適用範囲をより広くすることができ、より高いコントラスト向上の効果を得ることができる。
【0043】
また、図9(A)の太線で囲まれている複数の分割領域のうち、上記四隅に位置する分割領域以外の分割領域のバックライトの発光輝度値は均一(最大値)とされる。
上述したように、本実施例では、分割領域の面積に対する、該分割領域に含まれるOSD画像の表示領域の面積の割合が所定値未満の分割領域では、ローカルディミングが有効にされる。そのため、図9(B)に示すように、OSD画像の一部(図9(B)の例ではOSD画像の四隅)が、OSD画像の他の部分よりも暗く(または明るく)表示されることがある。しかしながら、ローカルディミングが有効にされる分割領域に含まれるOSD画像の表示領域はわずかであるため、ローカルディミングのOSD画像の視認性低下への影響は小さい。そのため、本実施例の構成であっても、OSD画像を視認性良く表示することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施例によれば、分割領域の面積に対する、該分割領域に含まれるグラフィックス画像の表示領域の面積の割合が所定値以上の複数の分割領域のバックライトの発光輝度値が均一にされる。そして、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値が入力画像信号に基づいて制御される。それにより、ローカルディミングによるコントラスト向上の効果が低減することを抑制しつつ、視認性良くグラフィックス画像を表示することができる。また、実施例1に比べ、ローカルディミングの適用範囲をより広くすることができ、より高いコントラスト向上の効果を得ることができる。
【0045】
<実施例3>
以下、本発明の実施例3に係る液晶表示装置及びその制御方法について説明する。実施例3では、グラフィックス画像の表示領域のうち、入力画像信号に基づくバックライトの発光輝度値より高い輝度値の領域が含まれるか否かに基づいて、分割領域のバックライトの発光輝度値を制御する。ここで、入力画像信号に基づくバックライトの発光輝度値とは、ローカルディミングにより決定される発光輝度値を意味する。なお、実施例3に係る液晶表示装置100の構成は実施例1と同様であるため、その説明は省略する。また、以下では、グラフィックス画像がOSD画像である場合を例に説明する。
【0046】
バックライト制御部102によるバックライト制御について、図10のフローチャートを参照して説明する。図10のフローチャートは、1つの分割領域(図2の分割領域)のバックライト制御を示す。バックライト制御部102では、図10のフローチャートで示す処理を全ての分割領域について行う。それにより、グラフィックス画像の表示領域のうち、入力画像信号に基づくバックライトの発光輝度値より高い輝度値の領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値は均一にされる。そして、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値は入力画像信号に基づいて制御される。
【0047】
ステップS31〜S33の処理は、図3のステップS11〜S13の処理と同様であるため、その説明は省略する。
ステップS33の次に、ステップS34で、バックライト制御部102は、ステップS33で分割領域NにOSD画像の表示領域が含まれると判定した場合に、処理をステップS35へ進め、含まれないと判定した場合に、処理をステップS38へ進める。
【0048】
ステップS35では、バックライト制御部102は、入力画像信号に基づいて、分割領域Nのバックライトの発光輝度値を算出する。即ち、ローカルディミングによるバックライト制御を行う場合の分割領域Nのバックライトの発光輝度値(ローカルディミング発光輝度値)が算出される。そして、バックライト制御部102は、ステップS32で抽出した画像信号を解析し、分割領域Nに、OSD画像の表示領域のうち、上記算出したローカルディミング発光輝度値より高い輝度値の領域(OSD画像の高輝度領域)が含まれるか否かを判定する。具体的には、バックライト制御部102は、ステップS32で抽出した画像信号で表されるOSD画像(即ち、透明度100%未満の画像)の各画素の輝度値を算出する。そして、バックライト制御部102は、算出した各画素の輝度値の中に、上記算出したローカルディミング発光輝度値より高い輝度値の画素が存在するか否かを判定する。OSD画像の画素の輝度値Yは、例えば、OSD画像信号に含まれる各画素の色信号(RGB値)から、以下の計算式により算出される。

Y=0.29891R+0.58661G+0.11448B

【0049】
次に、ステップS36で、バックライト制御部102は、ステップS35で分割領域Nに、OSD画像の高輝度領域が含まれると判定した場合に、処理をステップS37へ進める。また、バックライト制御部102は、ステップS35で分割領域NにOSD画像の高輝度領域が含まれないと判定した場合に、処理をステップS38に進める。
【0050】
ステップS37,S38の処理は、図3のステップS15,S16の処理と同様であるため、その説明は省略する。
【0051】
次に、実施例3のバックライト制御について、具体例を用いて説明する。
図11(A)は、図6(A)の画像に図11(B)のOSD画像を重畳した画像を表示する際に実施例3のバックライト制御を行った場合の、分割領域毎のバックライトの発光輝度値を示す。図11(B)のOSD画像は、背景を構成する画素の輝度値が低く、それ以外(例えば文字)を構成する画素の輝度値が高い画像である。図11(B)は、図11(A)の発光輝度値で、図6(A)の画像に上記OSD画像を重畳した画像を表示した場合の表示例を示す。
【0052】
図11(A)において、輝度値A〜Eのうち、輝度値Aが最も高い発光輝度値(最大値)であり、輝度値B、輝度値C、輝度値D、輝度値E(最小値)の順に発光輝度値は低くなる。具体的には、輝度値Aに対する輝度値Bの割合(輝度値Bの最大輝度比)は75%、輝度値Cの最大輝度比は50%、輝度値Dの最大輝度比は25%、輝度値Eの最大輝度
比は0%である。図11(A)の太線で囲まれている複数の分割領域は、OSD画像の表示領域を含む分割領域である。図11(A)の太線で囲まれている複数の分割領域のうち、太破線で囲まれている分割領域は、OSD画像の表示領域のうち、ローカルディミング発光輝度値より高い輝度値の領域を含まない分割領域である。そのため、それらの分割領域のバックライトの発光輝度値は、入力画像信号に基づいて制御される。換言すれば、それらの分割領域では、ローカルディミングによるバックライト制御が有効とされる。また、実施例1と同様に、OSD画像の表示領域を含まない分割領域でも、ローカルディミングによるバックライト制御は有効とされる。
従って、実施例3では、実施例1に比べ、ローカルディミングの適用範囲をより広くすることができ、より高いコントラスト向上の効果を得ることができる。
【0053】
また、図11(A)の太線で囲まれている複数の分割領域のうち、太破線で囲まれていない分割領域のバックライトの発光輝度値は均一(最大値)とされる。
上述したように、本実施例では、OSD画像の表示領域のうち、ローカルディミング発光輝度値より高い輝度値の領域を含まない分割領域で、ローカルディミングが有効とされる。そのため、OSD画像の一部(低輝度値の領域)が、OSD画像の他の部分よりも暗く(または明るく)表示されることがある。しかしながら、OSD画像において視認性が求められる領域は高輝度値の領域を含んでいる可能性が高い。そのため、ローカルディミングによりOSD画像の低輝度値の領域がOSD画像の他の領域よりも暗く(または明るく)表示されたとしても、OSD画像の視認性の低下は小さく、図11(B)に示すように、OSD画像を視認性良く表示することができる。
【0054】
また、本実施例では、ローカルディミングが有効とされる分割領域には、OSD画像の表示領域として、ローカルディミング発光輝度値以下のOSD画像の表示領域しか含まれない。そのため、画像合成部106が補正前の入力画像信号とグラフィックス画像信号を合成して合成画像信号を生成し、画像信号補正部103が該合成画像信号を補正する構成であることが好ましい。そのような構成とすれば、画像信号補正部103の処理により、バックライトの発光輝度値の変化によるOSD画像の表示輝度値の変化を補うことができ、OSD画像全体を所望の表示輝度値で表示することが可能となる。
【0055】
以上説明したように、本実施例によれば、グラフィックス画像の表示領域のうち、入力画像信号に基づくバックライトの発光輝度値より高い輝度値の領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値が均一される。そして、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値が入力画像信号に基づいて制御される。それにより、ローカルディミングによるコントラスト向上の効果が低減することを抑制しつつ、視認性良くグラフィックス画像を表示することができる。また、実施例1に比べ、ローカルディミングの適用範囲をより広くすることができ、より高いコントラスト向上の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
100 液晶表示装置
102 バックライト制御部
106 画像合成部
107 液晶パネル
108 バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像信号に基づく画像を表示する液晶表示装置であって、
液晶パネルと、
画面の領域を複数に分割することにより得られる分割領域毎に発光輝度値を調整可能なバックライトと、
前記分割領域毎にバックライトの発光輝度値を制御する制御手段と、
入力された画像信号に基づく画像にグラフィックス画像が重畳された合成画像信号を生成する生成手段と、
を有し、
前記制御手段は、グラフィックス画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値を均一にし、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値を前記入力された画像信号に基づいて制御する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記グラフィックス画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値を、該グラフィックス画像の最大輝度値よりも高くする
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記グラフィックス画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値を最大値にする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、分割領域の面積に対する、該分割領域に含まれる前記グラフィックス画像の表示領域の面積の割合が所定値以上の複数の分割領域のバックライトの発光輝度値を均一にし、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値を前記入力された画像信号に基づいて制御する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、グラフィックス画像の表示領域のうち、前記入力された画像信号に基づくバックライトの発光輝度値より高い輝度値の領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値を均一にし、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値を前記入力された画像信号に基づいて制御する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
液晶パネルと、画面の領域を複数に分割することにより得られる分割領域毎に発光輝度値を調整可能なバックライトと、を有する液晶表示装置の制御方法であって、
前記分割領域毎にバックライトの発光輝度値を制御する制御ステップと、
入力された画像信号に基づく画像にグラフィックス画像が重畳された合成画像信号を生成する生成ステップと、
を有し、
前記制御ステップでは、グラフィックス画像の表示領域を含む複数の分割領域のバックライトの発光輝度値が均一にされ、それ以外の分割領域のバックライトの発光輝度値は前記入力された画像信号に基づいて制御される
ことを特徴とする液晶表示装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−242672(P2012−242672A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113884(P2011−113884)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】