説明

液晶表示装置及びその制御方法

【課題】バックライトのローカルディミング制御が行われる液晶表示装置において測色を行う場合に、光センサによる測定領域の周辺の表示領域における表示画質低下を抑制する。
【解決手段】バックライトの各発光ブロックに対応する液晶パネルの表示領域である分割領域毎に画像データの統計量を算出する統計量算出手段と、各分割領域の画像データの統計量に応じた発光量で各分割領域に対応する発光ブロックを発光させるバックライト制御手段と、液晶パネルの表示領域における光センサによる透過光の測定が行われる領域である測定領域の位置の情報を取得する取得手段と、を備え、バックライト制御手段は、測定領域を含まない分割領域に対応する発光ブロックについて、対応する分割領域の画像データの統計量に応じて発光量を変化させる際の変化の度合を、測定領域を含む分割領域に対応する発光ブロックからの距離が近いほど小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バックライトを複数の発光ブロックに分割し、各発光ブロックの発光量を独立して制御できる液晶表示装置が提案、開発されている。
このような液晶表示装置において、バックライトから照射されて液晶を透過した光を測色する光センサを設け、測色結果に基づいて液晶パネルとバックライトの輝度及び色度ばらつきを抑制する技術が提案されている(特許文献1)。
一方、入力画像の統計量に応じて、前記バックライトの各発光ブロックの発光量を制御する技術がある(特許文献2)。このようなバックライトの発光制御はローカルディミング制御と呼ばれる。
【0003】
また、前記光センサの受光位置に測色用に白色画像を表示し、測色用の白色画像の表示領域の輝度の検出値に基づいてバックライトの輝度を調整する液晶表示装置がある(特許文献3)。この液晶表示装置では、測色用の白色画像の表示領域以外の表示領域では、入力画像を表示することができる。すなわち、測色用の白色画像と入力画像とを合成した画像が液晶表示装置に表示される。
【0004】
ここで、バックライトのローカルディミング制御が行われる液晶表示装置において、光センサの受光位置に測色用のパッチ画像を表示させて輝度や色度のキャリブレーションを行うことを考える。この場合、光センサの受光位置に対応する発光ブロックの発光量が変化してしまうと、正確にキャリブレーションを行うことができない。そこで、光センサの受光位置に対応する発光ブロックについてはローカルディミング制御による発光量の制御を行わないようにする(発光量を固定にする)ことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−169990号公報
【特許文献2】特開2008−90076号公報
【特許文献3】特開2007−156284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5は、このようなキャリブレーションを行う場合の液晶パネルの表示画像及び発光ブロックの発光状態を示した図である。
【0007】
図5(A)は、液晶パネルの表示画像を示している。バックライトの各発光ブロックに対応する液晶パネルにおける表示領域を以下「分割領域」という。図5(A)において、分割領域101の位置には光センサが配置され、分割領域101には測色用のパッチ画像が表示されている(図中の白抜き部分)。分割領域101におけるパッチ画像以外の部分及び分割領域101に隣接する分割領域102には黒画像(図中の斜線部分)が表示されている。
【0008】
図5(A)の分割領域101及び102に対応する発光ブロックの発光量を図5(B)のグラフBに示す。分割領域101に対応する発光ブロックではローカルディミング制御が行われず、発光量は固定である。しかし、分割領域102に対応する発光ブロックでは
、分割領域102に表示される画像の統計量に応じたローカルディミング制御が行われ、発光量が発光ブロック101よりも小さくなる。図5(B)のグラフBでは、分割領域102に対応する発光ブロックの発光量は、分割領域101に対応する発光ブロックの発光量の1/3になっている。
【0009】
このときのP1とP2を結ぶ鎖線上の表示輝度は図5(C)のグラフBのようになる。図5(C)のグラフBに示すように、分割領域101の黒画像の表示部分は輝度L1で表示されているが、分割領域102は対応する発光ブロックの発光量が分割領域101に対応する発光ブロックの発光量の1/3である。そのため、分割領域102の黒画像の表示部分は輝度L1の1/3の輝度L2で表示される。なお、ここでは発光量に応じた画像データの階調補正は考慮していない。また、分割領域102の黒画像のうち隣接する分割領域101との境界に近い部分の輝度は分割領域101の高輝度の影響を受けてL2より高くなっている。すなわち分割領域102には輝度ムラが生じることになる。
【0010】
このように、光センサの受光位置に対応する発光ブロックの発光量を固定し、それ以外の発光ブロックの発光量に対し可変制御を行うと、光センサの受光位置に対応する発光ブロックの発光量と、その周辺の発光ブロックの発光量と、が大きく異なる状態が生じ得る。その場合、特に測定用のパッチ画像の表示領域の周辺の表示領域に表示される画像が低階調の画像の場合、光センサの受光位置に対応する発光ブロックの輝度の影響で、表示輝度や色度にムラが生じるなど画質が低下する可能性がある。
【0011】
本発明は、バックライトのローカルディミング制御が行われる液晶表示装置においてキャリブレーションを行う場合に、光センサによる測定領域の表示領域の周辺の表示領域における画質低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、複数の発光ブロックに分割され、発光ブロック毎に独立に発光を制御可能なバックライトと、
入力される画像データに応じた透過率で前記バックライトから照射される光を透過させる液晶パネルと、
を備え、測色用のパッチ画像が表示されたときの前記液晶パネルの透過光の光センサによる測定値に基づいて測色が行われる液晶表示装置であって、
前記バックライトの各発光ブロックに対応する前記液晶パネルの表示領域である分割領域毎に画像データの統計量を算出する統計量算出手段と、
各分割領域の画像データの統計量に応じた発光量で各分割領域に対応する発光ブロックを発光させるバックライト制御手段と、
前記液晶パネルの表示領域における前記光センサによる透過光の測定が行われる領域である測定領域の位置の情報を取得する取得手段と、
を備え、
前記バックライト制御手段は、少なくとも前記測色が行われる期間において、前記測定領域を含まない分割領域に対応する発光ブロックについて、対応する分割領域の画像データの統計量に応じて発光量を変化させる際の変化の度合を、測定領域を含む分割領域に対応する発光ブロックからの距離が近いほど小さくすることを特徴とする液晶表示装置である。
【0013】
本発明は、複数の発光ブロックに分割され、発光ブロック毎に独立に発光を制御可能なバックライトと、
入力される画像データに応じた透過率で前記バックライトから照射される光を透過させる液晶パネルと、
を備え、測色用のパッチ画像が表示されたときの前記液晶パネルの透過光の光センサによ
る測定値に基づいて測色が行われる液晶表示装置の制御方法であって、
前記バックライトの各発光ブロックに対応する前記液晶パネルの表示領域である分割領域毎に画像データの統計量を算出する統計量算出工程と、
各分割領域の画像データの統計量に応じた発光量で各分割領域に対応する発光ブロックを発光させるバックライト制御工程と、
前記液晶パネルの表示領域における前記光センサによる透過光の測定が行われる領域である測定領域の位置の情報を取得する取得工程と、
を備え、
前記バックライト制御工程は、少なくとも前記測色が行われる期間において、前記測定領域を含まない分割領域に対応する発光ブロックについて、対応する分割領域の画像データの統計量に応じて発光量を変化させる際の変化の度合を、測定領域を含む分割領域に対応する発光ブロックからの距離が近いほど小さくすることを特徴とする液晶表示装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バックライトのローカルディミング制御が行われる液晶表示装置においてキャリブレーションを行う場合に、光センサによる測定領域の表示領域の周辺の表示領域における画質低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1に係る表示装置の構成を示すブロック図
【図2】実施例1の測色動作を説明するフローチャート
【図3】分割領域の統計量、発光ブロックの発光量、ゲインの関係を示すグラフ
【図4】実施例2に係る表示装置の構成を示すブロック図
【図5】従来技術及び実施例における発光ブロックの状態を示した図
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図1において、バックライト3は、複数の発光ブロックに分割され、発光ブロック毎に発光量が独立に制御可能な照明である。例えば、各発光ブロックは1以上のLED等の光源と、その光源を駆動するドライバと、を有する。
【0017】
バックライト3から照射された光は液晶パネル4に入射される。液晶パネル4は格子状に配置された複数の画素を有しており、入力される画像データに応じて各画素の透過率が制御され、バックライト3からの光の透過量が調整されることで、入力される画像データに基づく画像が表示される。バックライト3の各発光ブロックに対応する液晶パネル4における表示領域を「分割領域」と称する。
【0018】
光センサ2は、液晶パネル4の画面上に受光面を画面側に向けて配置される。
画像データが表示装置1に入力されると、統計量算出部5は、分割領域毎に、画像データの統計量を算出する。統計量算出部5は、例えば分割領域内の画像データの最大階調値、APL(平均画像レベル)など、画像データの明るさに正の相関を有する統計量を算出する。
【0019】
統計量算出部5で算出された統計量は、バックライト制御部6に入力される。
バックライト制御部6は、入力された分割領域毎の統計量に応じて、各分割領域に対応する位置のバックライト3の発光ブロックの発光量を決定し、バックライト制御信号としてバックライト3へ出力する。
バックライト3は、バックライト制御部6からのバックライト制御信号に従う発光量で
、各発光ブロックの光源を発光させる。
入力される画像データ及び統計量算出部5からの統計量は、階調補正部7にも入力される。
【0020】
階調補正部7は、入力される画像データに対し、分割領域毎に、統計量算出部5から入力される統計量に応じて画像補正を行う。ここでは、階調補正部7は、画像データに対し階調値の補正を行い、補正画像データとして合成部8へ出力する。ここで階調補正は、例えば分割領域毎の最大階調の輝度が一定に保たれるように、入力画像データにゲインをかける階調変換処理である。或いは、階調補正は、入力画像データの階調値のヒストグラムに対して統計量に応じた度合でヒストグラム変調を施す階調変換処理も例示できる。
【0021】
合成部8は、階調補正部7から入力される補正画像データと、制御部9から入力される測色用パッチ画像データと、から合成画像データを生成し、液晶パネル4へ出力する。合成部8に入力される測色用パッチ画像データについては後述する。
液晶パネル4は、入力された合成画像データに基づいて各画素の透過率を制御し、バックライト3からの光を透過して合成画像データに基づく画像を表示する。
液晶パネル4を透過した光のうち、光センサ2の受光面の位置に対応する領域を透過した光は、光センサ2の受光面に入射する。
【0022】
制御部9は、光センサ2に入射した光の測色動作を制御する。以下、測色動作について説明する。
図2は、本実施例の測色動作を説明するフローチャートである。
まず、制御部9は、測色動作が開始されたかどうかを判定する(ステップS1)。測色動作の開始の判定は、例えば、表示装置1に備わる測色動作の開始を指示するためのボタンの押下が検知されたか否かにより行うことができる。或いは、OSD(On Screen Display)表示で測色動作の開始や表示設定等を行うメニューのGUI(Graphical User Interface)を表示し、ユーザによるGUIの操作を検知することによって行う。
【0023】
測色動作が開始されると、制御部9は光センサ2の位置の情報を取得する(ステップS2)。光センサ2の位置の情報としては、例えば光センサ2の受光面に対応する液晶パネル4の領域の画素の頂点の座標(例えば最も左上の画素及び最も右下の画素の座標)を例示できる。液晶パネル4において光センサ2を取り付けられる位置が予め決められた固定の位置である場合は、光センサ2の位置の情報を不図示の記憶部に記憶させておき、制御部9は記憶部から位置の情報を読み込むことにより光センサ2の位置の情報を取得する。光センサ2が液晶パネル4の任意の位置に設置可能な場合の光センサ2の位置の情報の取得方法については、後述する。
【0024】
制御部9は、取得した光センサ2の位置の情報をセンサ位置情報として、図1のバックライト制御部6及び階調補正部7に出力する。
次に、バックライト制御部6は、センサ位置情報に基づき、バックライト3の各発光ブロックの発光量制御を行う(ステップS3)。
階調補正部7は、センサ位置情報に基づき、入力画像データに対し分割領域毎に階調補正を行う(ステップS4)。
【0025】
ここで、ステップS3及びステップS4で行う発光量制御と階調補正について、図3を用いて説明する。
図3(A)は、統計量算出部5で算出した入力画像データの分割領域毎の統計量(ここでは最大階調値とする)と、バックライト3の各発光ブロックの発光量と、の関係を示すグラフである。
【0026】
光センサ2からの距離が予め設定された値D以上である発光ブロックの場合、分割領域内の画像データの最大階調値とその分割領域に対応する発光ブロックの発光量との関係は、図3(A)の実線のグラフAのようになる。光センサ2からの距離とは、光センサ2による液晶パネル4からの透過光の測定が行われる領域である測定領域を含む分割領域に対応する発光ブロックからの距離である。測定領域を含む分割領域が1つの場合、光センサ2から着目している発光ブロックまでの距離を、例えば、当該分割領域に対応する発光ブロックの中心と、着目している発光ブロックの中心と、の距離とする。測定領域を含む分割領域が複数ある場合、光センサ2から着目している発光ブロックまでの距離を、例えば、光センサ2の受光面の中心と、着目している発光ブロックの中心との距離とする。距離の定義はこれらの例に限らない。また、階調値は8bitで0〜255の値をとるものとする。グラフAに従う発光量制御では、最大階調値が255のときの発光ブロックの発光量に対し、最大階調値が0のときの発光ブロックの発光量が1/2倍になる。
【0027】
また、光センサ2からの距離がD/2である発光ブロックの場合、分割領域内の画像データの最大階調値とその分割領域に対応する発光ブロックの発光量との関係は、図3(A)の破線のグラフBのようになる。グラフBに従う発光量制御では、最大階調値が255のときの発光ブロックの発光量に対し、最大階調値が0のときの発光ブロックの発光量は3/4倍になる。
【0028】
光センサ2からの距離が0である発光ブロックの場合、すなわち光センサ2の位置に対応する位置にある発光ブロックの場合、分割領域内の画像データの最大階調値と発光ブロックの発光量との関係は、図3(A)の鎖線のグラフCのようになる。グラフCに従う発光量制御では、分割領域内の画像データの最大階調値にかかわらず、発光ブロックの発光量は固定値である。
【0029】
図3(A)には図示していないが、光センサ2からの距離が0〜D/2やD/2〜Dの間である発光ブロックについても、それぞれ分割領域内の画像データの最大階調値とその分割領域に対応する発光ブロックの発光量との関係が定められる。或いは、上記説明したグラフA,B,Cをもとに、光センサ2からの距離に応じた補間計算によって分割領域内の最大階調値と発光ブロックの発光量との関係を求めても良い。
【0030】
また、光センサ2からの発光ブロックの距離は、光センサ2の位置に対応する位置にある発光ブロックとその発光ブロックとの座標の差としても良い。ここで発光ブロックの座標は、例えば、バックライト3の最も左上にある発光ブロックから数えて横方向にi番目、縦方向にj番目の発光ブロックを(i,j)と定める。この場合、光センサ2の位置に対応する位置にある発光ブロックとの縦方向の座標の差分又は横方向の座標の差分の少なくとも一方がNである発光ブロックの光センサ2からの距離をNと定める、のように光センサ2からの距離を定義して良い。
【0031】
図3(A)に示すように、光センサ2からの距離によらず、分割領域内の最大階調値が255の場合の発光ブロックの発光量は最大値で等しい。しかし、光センサ2からの距離が近くなるほど、分割領域内の最大階調値が255の場合と0の場合との発光量の差が小さくなる。すなわち、光センサ2からの距離が近くなるほど、ローカルディミング制御による発光量の可変幅が小さくなる。言い換えると、或る2つの分割領域の画像データの統計量が等しい場合、当該2つの分割領域に対応する発光ブロックのうち光センサ2からの距離が近い方の発光ブロックの発光量が、他方の発光ブロックの発光量以上になる。
【0032】
これにより、光センサ2の位置に対応する位置にある発光ブロックの周辺の発光ブロックでは、対応する分割領域の画像データが低階調の暗い画像であっても、発光ブロックの
発光量が大きく低下しない。従って、光センサ2の位置に対応する位置にある発光ブロックと周辺の発光ブロックとの輝度差が大きくなることが抑制され、周辺の発光ブロックに対応する分割領域に表示される画像の表示画質の低下が抑制される。
【0033】
図3(B)は、統計量算出部5で算出した入力画像データの分割領域毎の統計量(ここでは最大階調値とする)と、分割領域毎の画像データに施す階調補正の度合(ここではゲインとする)と、の関係を示すグラフである。
【0034】
光センサ2からの距離がD以上である分割領域の場合、分割領域内の画像データの最大階調値とその分割領域内の画像データに乗算するゲインとの関係は、図3(B)の実線のグラフAのようになる。光センサ2からの距離がD/2である分割領域の場合、前記関係は図3(B)の破線のグラフB、光センサ2からの距離が0である分割領域の場合、前記関係は図3(B)の鎖線のグラフCようになる。図3(A)の分割領域の統計量と発光ブロックの発光量との関係と同様、光センサ2からの距離が0〜D/2,D/2〜Dである分割領域については、グラフA,B,Cをもとに、光センサ2からの距離に応じた補間計算などで前記関係を求めても良い。
【0035】
図3(B)に示すように、光センサ2からの距離によらず、分割領域内の最大階調値が255の場合の分割領域内の画像データにかけるゲインは等しい。しかし、光センサ2からの距離が近くなるほど、分割領域内の最大階調値が255の場合と0の場合とのゲインの差が小さくなる。これは、光センサ2からの距離が近くなるほど、分割領域内の最大階調値が255の場合と0の場合との発光量の差が小さくなることに対応している。
【0036】
分割領域内の画像データの最大階調値が0の場合、光センサ2からの距離に応じて、分割領域内の画像データにかけるゲインが変化し、距離がD以上の場合は最大階調値が255の場合のゲインの2倍、距離がD/2のときは4/3倍、距離が0のときは1倍になる。
【0037】
階調補正部7は、発光ブロックの発光量と、対応する分割領域内の画像データにかけるゲインと、を乗算すると1になるように階調補正を制御する。このようにすることで、各発光ブロックで、発光量に応じて、バックライト3から照射された光が液晶パネル4を透過する量が調節され、各発光ブロックの最大階調値の輝度を一定に保つことができる。
以上のようにして、制御部9は図2のフローチャートのステップS3及びステップS4を実行する。
【0038】
次に、制御部9は、光センサ2の位置に対応する液晶パネル4の領域に表示させるための測色用のパッチ画像を生成する(ステップS5)。測色用パッチ画像は、光センサ2の受光部よりも大きいサイズで、一様な階調値を持つ画像である。
そして、階調補正部7から出力された補正画像データと、制御部9が生成した測色用パッチ画像データと、を合成部8が合成し、合成画像データとして液晶パネル4へ出力する(ステップS6)。
合成画像データは液晶パネル4に入力され、液晶パネル4に合成画像データに基づく画像が表示され、バックライト3が照射する光は液晶パネル4を透過し、測色用パッチ画像の表示領域を透過した光が光センサ2に入射する。
【0039】
制御部9は、光センサ2にセンサ制御信号を出力する。光センサ2はセンサ制御信号を受信すると、受光部に入射した光を検出して制御部9に測色値を返す(ステップS7)。測色値は、例えばフォトダイオードの電圧値である。
制御部9は、光センサから測色値を受信すると、測色用パッチ画像を消去し(ステップS8)、測色動作を終了する。測色用パッチ画像を消去するとは、具体的には、入力画像
データと測色用パッチ画像データとの合成画像データを液晶パネル4へ出力するのを停止し、測色用パッチ画像データが合成されていない入力画像データを液晶パネル4へ出力することである。これにより、液晶パネル4には測色用パッチ画像データに基づく画像は表示されなくなる。
【0040】
ステップS1にて、測色動作が開始されていないと判定された場合、制御部9は、センサ位置情報に基づいた発光ブロック毎の発光量制御及び分割領域毎の画像データの階調補正を行わず、画面全体で同一の発光量制御及び階調補正を行う(ステップS9)。この場合、バックライト制御部6は、例えば、全ての発光ブロックに対して、図3(A)のグラフAに従うローカルディミング制御を行い、階調補正部7は、全ての分割領域内の画像データに対して、図3(B)のグラフAに従う階調補正を行う。
【0041】
以上のように制御することで、入力画像データの階調値によらず、光センサ2に対応する位置の発光ブロックの発光量が階調値255の場合の発光量の1倍のまま不変であるので、光センサ2で正しく測色を行うことができる。
【0042】
本実施例によれば、図5(B)のグラフAに示すように、パッチ画像が表示される分割領域101に対応する発光ブロックの発光量と、分割領域101に隣接する分割領域102に対応する発光ブロックの発光量と、の差が従来より小さくなる。従って、図5(C)のグラフAに示すように、分割領域102における分割領域101との境界付近の輝度が分割領域101の輝度の影響を受けて目標の輝度より高くなることによる輝度ムラの発生を従来よりも抑制できる。
【0043】
図5の従来技術のように、パッチ画像が表示される分割領域101に対応する発光ブロックのバックライトの輝度と、分割領域101に近い分割領域102に対応する発光ブロックのバックライトの輝度との差が大きい場合を考える。この場合、パッチ画像の表示領域の輝度が、分割領域102に対応する発光ブロックの輝度の影響を受けて、変化する(所望の輝度が得られない)場合がある。しかし本発明により、光センサ2からの距離が近いバックライトの発光ブロックの発光量の、光センサ2が位置するバックライトの発光ブロックの発光量に対する変化を小さくすることで、測色用パッチ画像の表示領域の輝度の変化を抑制することができる。
【0044】
また、図3に示すように、光センサ2からの距離に応じて、分割領域内の画像データの統計量と対応する発光ブロックの発光量との関係や、分割領域内の画像データの統計量と階調補正の度合との関係が段階的に変化するため、画面内の輝度ムラが抑制される。
【0045】
なお、本実施例1では、光センサ2が表示装置1に設置されている例を示しているが、表示装置1に設置されていない別の光センサを制御部9に接続して用いても良い。
その場合、光センサの位置を取得する方法としては、光センサを置くべき位置に予め測色用パッチ画像を表示し、ユーザに測色用パッチ画像の表示されている位置に光センサを置くよう指示し、測色パッチ画像の表示位置を光センサの位置とする方法を例示できる。
また、本実施例1では、測色動作が開始されたときのみ、すなわちキャリブレーションが行われる期間のみ、センサ位置情報に基づいたバックライト3の発光制御及び階調補正を行うようにしている。しかし、キャリブレーションが行われていない期間も含めて、常に、センサ位置情報に基づいた発光制御及び階調補正を行うようにしても良い。
【0046】
(実施例2)
実施例2では、光センサ2が外部のパーソナルコンピュータ(PC)などに接続され、表示装置1に設置されていない場合の例を示す。
図4は、本発明の実施例2に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図4において、表示装置1は、外部のPC10と接続されており、PC10から出力される画像データが入力される。
また、光センサ2は、PC10と接続されており、光センサ2に測色の指示を行うセンサ制御信号がPC10から出力され、測色値が光センサ2からPC10に返される。
さらに、PC10からは光センサ2の位置を示すセンサ位置情報が表示装置1のバックライト制御部6、階調補正部7、及び制御部9に入力される。
【0047】
光センサ2の位置を取得する方法として、以下の方法が例示できる。
まず、ユーザが光センサ2を液晶パネル4上に配置した後、PC10は全画面黒の画像データを生成して、表示装置1に入力する。
次に、PC10は、光センサ2と同等の大きさの白画像が黒背景上に存在する画像データを生成し、表示装置1に入力し、光センサ2へセンサ制御信号を出力し、光センサ2から測色値を取得する。
【0048】
PC10は、黒背景上の白画像の位置が異なる画像データを次々に生成して表示装置1へ入力し、白画像が表示される位置を移動させながら光センサ2による測色値を取得する。これにより、光センサ2の位置に白画像が表示されたときに、測色値として大きな値が光センサ2から返される。このときの白画像の位置を光センサ2の位置として用いることができる。
【0049】
なお、本実施例では、PC10が、光センサ2の受光面の大きさ以上の大きさ(略同一の大きさ)の白画像を所定の測定用画像として含み、且つ当該測定用画像の表示される位置が異なる複数の画像データを生成し、当該複数の画像データを液晶表示装置へ出力した。そして、PC10が、その時の液晶パネル4の透過光の光センサ2による複数の測定値に基づき、光センサ2により透過光が測定される測定領域の位置を推定した。そして、PC10により推定された測定領域の位置の情報を、液晶表示装置の制御部9、階調補正部7、バックライト制御部6が取得した。しかし、この測定領域の位置の推定の処理は、液晶表示装置に備わるこの処理を行うための処理部が実行するようにしても良い。特に、光センサ2及びキャリブレーションを行う処理部が液晶表示装置に備わる図1のような構成において、液晶パネル4における光センサ2の設置可能な位置が任意である場合には、光センサ2の位置の推定処理も液晶表示装置が行うようにすると良い。
センサ位置情報がPC10から入力された後の動作は、図2のステップS2以降と同様に行われる。
【0050】
以上のようにすることで、外部の光センサ2を用いる場合に、表示装置1に光センサ2とのインターフェースを設けることなく、外部のPCから測色を制御することができる。この場合、光センサ2による測定値に基づいて液晶表示装置のキャリブレーションを行うのは外部の装置であるPC10である。この場合、液晶表示装置は、PC10による測色結果をPC10から取得し、取得した測色結果に基づきバックライトの発光制御の補正等を行う。そこで、測色用のパッチ画像を生成する機能もPC10が実行するようにしても良い。すなわち、図4の構成では、測色用パッチ画像を制御部9が生成しているが、PC10が測色用パッチ画像を生成し、測色を行う場合にはPC10は画像データに測色用パッチ画像データを合成した合成画像データを表示装置1へ入力するようにしても良い。
また、図4の構成では、画像データはPC10から出力されるように構成されているが、PC10ではなくさらに他の画像出力装置から表示装置1に画像データを入力するようにしても良い。
【符号の説明】
【0051】
1:表示装置、2:光センサ、3:バックライト、4:液晶パネル、5:統計量算出部、6:バックライト制御部、9:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ブロックに分割され、発光ブロック毎に独立に発光を制御可能なバックライトと、
入力される画像データに応じた透過率で前記バックライトから照射される光を透過させる液晶パネルと、
を備え、測色用のパッチ画像が表示されたときの前記液晶パネルの透過光の光センサによる測定値に基づいて測色が行われる液晶表示装置であって、
前記バックライトの各発光ブロックに対応する前記液晶パネルの表示領域である分割領域毎に画像データの統計量を算出する統計量算出手段と、
各分割領域の画像データの統計量に応じた発光量で各分割領域に対応する発光ブロックを発光させるバックライト制御手段と、
前記液晶パネルの表示領域における前記光センサによる透過光の測定が行われる領域である測定領域の位置の情報を取得する取得手段と、
を備え、
前記バックライト制御手段は、少なくとも前記測色が行われる期間において、前記測定領域を含まない分割領域に対応する発光ブロックについて、対応する分割領域の画像データの統計量に応じて発光量を変化させる際の変化の度合を、測定領域を含む分割領域に対応する発光ブロックからの距離が近いほど小さくすることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記バックライト制御手段は、少なくとも前記測色が行われる期間において、測定領域を含む分割領域に対応する発光ブロックの発光量を、対応する分割領域の画像データの統計量によらず所定の発光量で固定する請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記所定の発光量は、最大の発光量である請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記バックライト制御手段は、少なくとも前記測色が行われる期間において、或る2つの分割領域の画像データの統計量が等しい場合、当該2つの分割領域に対応する発光ブロックのうち前記測定領域を含む分割領域に対応する発光ブロックからの距離が近い方の発光ブロックの発光量を、他方の発光ブロックの発光量以上に設定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記統計量は、各分割領域の画像データの明るさに正の相関を有する統計量であり、
前記バックライト制御手段は、各分割領域の画像データの統計量が大きいほど対応する発光ブロックの発光量が大きくなるように統計量に応じて発光量を変化させるものであって、少なくとも前記測色が行われる期間において、前記測定領域を含まない分割領域に対応する発光ブロックについては、統計量の最大値に対応する発光量を、測定領域を含む分割領域に対応する発光ブロックからの距離によらず最大の発光量とするとともに、統計量が最大値よりも小さい場合、統計量が小さくなるほど発光量を小さい値に変化させ、その際の統計量の変化に対する発光量の変化の度合を、測定領域を含む分割領域に対応する発光ブロックからの距離が近いほど小さくする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
各分割領域の画像データに対して、各分割領域に対応する発光ブロックの発光量に応じた補正を行う画像補正手段を備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記統計量は、各分割領域の画像データの明るさに正の相関を有する統計量であり、
前記画像補正手段は、各分割領域の画像データに対して、画像データの統計量が大きいほど小さい値となるゲインを乗じる補正を行うものであって、少なくとも前記測色が行われる期間において、前記測定領域を含まない分割領域については、統計量の最大値に対応
するゲインを測定領域を含む分割領域に対応する発光ブロックからの距離によらない固定値とするとともに、統計量が最大値よりも小さい場合、統計量が小さくなるほどゲインを大きい値に変化させ、その際の統計量の変化に対するゲインの変化の度合を、測定領域を含む分割領域に対応する発光ブロックからの距離が近いほど小さくする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記液晶パネルからの透過光を測定する光センサと、
前記光センサによる測定値に基づいて前記測色を行う測色手段と、
を備える請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記液晶パネルからの透過光を測定する光センサと、
前記光センサによる測定値に基づいて前記測色を行う測色手段と、
を備える外部装置から、測色結果を取得する請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記液晶パネルは、光センサを所定の位置に設置可能であり、
前記所定の位置に基づき予め定まる前記測定領域の位置の情報を記憶する記憶手段を備え、
前記取得手段は、前記記憶手段から前記測定領域の位置の情報を取得する請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記液晶パネルは、光センサを任意の位置に設置可能であり、
光センサの受光面の大きさ以上の大きさの所定の測定用画像を含み、且つ、当該測定用画像の表示される位置が異なる複数の画像の各々が表示されたときの、前記液晶パネルの透過光の前記光センサによる複数の測定値に基づき、前記測定領域の位置を推定する推定手段を備え、
前記取得手段は、前記推定手段から前記測定領域の位置の情報を取得する請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記液晶パネルは、光センサを任意の位置に設置可能であり、
前記取得手段は、光センサの受光面の大きさ以上の大きさの所定の測定用画像を含み、且つ、当該測定用画像の表示される位置が異なる複数の画像の各々が表示されたときの、前記液晶パネルの透過光の前記光センサによる複数の測定値に基づき、前記測定領域の位置を推定する推定手段を備える外部装置から、前記測定領域の位置の情報を取得する請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
複数の発光ブロックに分割され、発光ブロック毎に独立に発光を制御可能なバックライトと、
入力される画像データに応じた透過率で前記バックライトから照射される光を透過させる液晶パネルと、
を備え、測色用のパッチ画像が表示されたときの前記液晶パネルの透過光の光センサによる測定値に基づいて測色が行われる液晶表示装置の制御方法であって、
前記バックライトの各発光ブロックに対応する前記液晶パネルの表示領域である分割領域毎に画像データの統計量を算出する統計量算出工程と、
各分割領域の画像データの統計量に応じた発光量で各分割領域に対応する発光ブロックを発光させるバックライト制御工程と、
前記液晶パネルの表示領域における前記光センサによる透過光の測定が行われる領域である測定領域の位置の情報を取得する取得工程と、
を備え、
前記バックライト制御工程は、少なくとも前記測色が行われる期間において、前記測定
領域を含まない分割領域に対応する発光ブロックについて、対応する分割領域の画像データの統計量に応じて発光量を変化させる際の変化の度合を、測定領域を含む分割領域に対応する発光ブロックからの距離が近いほど小さくすることを特徴とする液晶表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−68810(P2013−68810A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207511(P2011−207511)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】