説明

液晶表示装置及びその駆動方法

【課題】ブラック階調の映像データの残像問題を改善する液晶表示装置及びその駆動方法を具現すること。
【解決手段】液晶パネルと;T−Vカーブの特性によって各階調に対応するガンマ電圧が設定されたガンマ電圧供給部と;前記ガンマ電圧を用いて、入力されたデジタル映像データをアナログ映像データに変換し、前記液晶パネルに出力するデータ駆動部を備え、前記各階調のうち、ブラック階調に対応する前記ガンマ電圧値が0V〜0.005Vになるように設定された液晶表示装置及びその駆動方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関し、特にブラック階調の映像データの残像問題を改善する液晶表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化社会の発展に伴い、画像を表すための表示装置に対する要求が様々な形で増加しており、近来には液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)、有機電界発光素子(OLED)のような様々な平面型表示装置が活用されている。
【0003】
これらの平面型表示装置の中で、液晶表示装置は小型化、軽量化、薄型化、低電圧駆動といった長所を持っているため、広く使われている。その中でもマトリックス型に配置した多数の画素毎にスイッチング薄膜トランジスタが形成されたアクティブマトリックスタイプの液晶表示装置が、広く使われている。
【0004】
最近、モバイル製品に用いられる液晶表示装置は、ブラック階調(black gray scale)の映像データを多く使っており、また、液晶パネルにそれを表示する時間も段々増加している。
【0005】
従って、中間階調及び低階調に対する残像問題だけでなく、ブラック階調に対する残像問題も出てくる。
【0006】
表1に基づき、ブラック階調の残像問題に関して概観してみる。表1は、ノーマリーブラックモードでの各階調の駆動電圧の一例を示している。
【0007】
ブラック階調の残像問題は、表1に示すようにブラック階調(Gray0)の駆動電圧値が0.222Vを有することから発生する。ブラック階調(Gray0)の駆動電圧値を0.222Vにする理由は、階調反転(gray inversion)を解決するためである。具体的に説明すると、階調毎に輝度を順次増加させなければならないが、そのため、ブラック階調(Gray0)の駆動電圧値を階調反転が生じる前の電圧に設定し、第1階調(Gray1)の駆動電圧値を階調反転が生じた後の電圧である約0.4Vに設定して、第2階調(Gray2)、第3階調(Gray3)の駆動電圧値を順次増加させる。ここで、階調反転は約0.3V前後で生じることを前提にしている。なお、階調反転とは、ある駆動電圧範囲においては駆動電圧の増加に対して輝度が増加せずに減少する現象をいう。詳細は後述する。
【表1】

【0008】
しかしながら、前述のように、ブラック階調(Gray0)の駆動電圧値を0.2Vに設定し、ブラック階調(Gray0)の映像データを長時間駆動する場合、液晶は0.2V分だけ影響を受けることになる。そして、それによって現在のフレームに表示されているブラック階調の映像データが次のフレームにも表示され、残像が発生するという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ブラック階調の映像データの残像問題を改善する液晶表示装置及びその駆動方法を具現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前記のような目的を達成するため、液晶パネルと;T−Vカーブの特性によって各階調に対応するガンマ電圧が設定されたガンマ電圧供給部と;前記ガンマ電圧を用いて、入力されたデジタル映像データをアナログ映像データに変換し、前記液晶パネルに出力するデータ駆動部を備え、前記各階調のうち、ブラック階調に対応する前記ガンマ電圧値が0V〜0.005Vになるように設定された液晶表示装置を提供する。
【0011】
前記各階調のうち、前記ブラック階調の次の階調である第1階調に該当する前記ガンマ電圧値は、前記T−Vカーブで階調の反転後の輝度が増加する電圧範囲内で設定される。
【0012】
前記ガンマ電圧供給部は、高電位側の電源電圧と前記高電位側の電源電圧の1/2である半電圧との間に繋げられ、複数の正極性ガンマ電圧を出力する正極性ガンマ電圧生成部と;前記半電圧と低電位側の電源電圧との間に繋げられ、複数の負極性ガンマ電圧を出力する負極性ガンマ電圧生成部を備える。
【0013】
前記正極性ガンマ電圧生成部及び前記負極性ガンマ電圧生成部は、各々直列に接続された複数の抵抗からなる。
【0014】
液晶パネルとデータ駆動部とを備える液晶表示装置の駆動方法において、前記データ駆動部によって、入力デジタル映像データをアナログ映像データに変換する段階と、前記アナログ映像データを前記液晶パネルに出力する段階とを備え、前記アナログ映像データへの変換段階ではT−Vカーブの特性によって設定されたガンマ電圧を用いて変換を行い、前記ガンマ電圧のうち、ブラック階調に対応する電圧値が0V〜0.005Vになるように設定される。
【0015】
前記ガンマ電圧のうち、前記ブラック階調の次の階調である第1階調に該当する値は、前記T−Vカーブで階調の反転後の輝度が増加する電圧範囲内で設定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる液晶表示装置は、ブラック階調の映像データの残像問題を改善する効果がある。また、ブラック階調の駆動電圧値を約0Vに設定することで、消費電力を改善する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例にかかる液晶表示装置を示す概略構成図である。
【図2】ノーマリーブラックモードの液晶表示装置のガンマ曲線を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例にかかる液晶表示装置のガンマ電圧供給部を示す図である。
【図4】本発明の実施例にかかるT−Vカーブを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施例にかかる液晶表示装置を概略的に示す図面である。図1に示すように本発明の実施例にかかる液晶表示装置100は、液晶パネル200と、バックライト800と、駆動回路部とを備える。
【0020】
液晶パネル200には、横ライン(row line)の方向に沿って伸びる多数のゲート配線(GL)と、縦ライン(column line)の方向に沿って伸びる多数のデータ配線(DL)が位置する。ゲート配線(GL)とデータ配線(DL)は互いに交差し、マトリックス型の副画素(SP)を定義する。
【0021】
液晶パネル200を構成する副画素(SP)として、例えば、レッドを出力するR副画素、グリーンを出力するG副画素、そしてブルーを出力するB副画素を有することができる。このようなR、G、B副画素(SP)には、各々対応するR、G、B映像データが入力される。ここで、隣り合うR、G、B副画素(SP)は一つの画素を構成する。
【0022】
各副画素(SP)は、スイッチング薄膜トランジスタ(T)と、液晶キャパシタ(Clc)と、ストレージキャパシタ(Cst)とを備える。
【0023】
スイッチング薄膜トランジスタ(T)は、ゲート配線(GL)とデータ配線(DL)との交差部に形成される。スイッチング薄膜トランジスタ(T)は画素電極に繋がっている。一方、画素電極に対応して共通電極が形成される。画素電極にデータ電圧が印加され、共通電極に共通電圧が印加されると、これらの電極間に電界が形成され、液晶が駆動する。画素電極と共通電極、そしてこれらの電極間に位置する液晶は、液晶キャパシタ(Clc)を構成する。一方、各副画素(SP)にはストレージキャパシタ(Cst)が更に備えられ、これは画素電極に印加されるデータ電圧を次のフレームの前までセーブする役割を持つ。
【0024】
バックライト800は光を液晶パネル200に供給する役割を持つ。バックライト800として冷陰極蛍光ランプ(CCFL)、外部電極蛍光ランプ(EEFL)、発光ダイオード(LED)などを用いることができる。
【0025】
駆動回路部はタイミング制御部300と、ゲート駆動部400と、データ駆動部500と、電源電圧供給部600と、ガンマ電圧供給部700とを備えることができる。
【0026】
ここで、タイミング制御部300には、TVシステムやビデオカードのような外部システムからデジタル映像データ(RGB)と、垂直同期信号、水平同期信号、クロック信号、データイネーブル信号などの制御信号(TCS)とが入力される。一方、図示していないが、かかる信号はタイミング制御部300に備えられたインタフェースを通して入力できる。
【0027】
タイミング制御部300は入力された制御信号(TCS)を用い、ゲート駆動部400を制御するためのゲート制御信号(GCS)と、データ駆動部500を制御するためのデータ制御信号(DCS)とを生成する。ゲート制御信号(GCS)にはゲートスタートパルス信号(GSP)、ゲートシフトクロック信号(GSC)、ゲート出力イネーブル信号(GOE)などを含める。データ制御信号(DCS)にはソーススタートパルス信号(SSP)、ソースサンプリングクロック信号(SSC)、ソース出力イネーブル信号(SOE)、極性信号(POL)などを含めることができる。
【0028】
ここで、ゲートスタートパルス信号は一つの垂直帰線区間中に液晶パネル200の一つ目の駆動ラインを知らせる信号であり、ゲートシフトクロック信号はスイッチング薄膜トランジスタ(T)のゲートがオン・オフされる時間を決定する信号であり、ゲート出力イネーブル信号はゲート駆動部400の出力を制御する信号である。
【0029】
ソースサンプリングクロック信号はデータ駆動部500でデータをラッチさせるためのサンプリングクロックとして用いられ、データ駆動部500の駆動周波数を決定する。ソース出力イネーブル信号は、ソースサンプリングクロック信号によってラッチされたデータを液晶パネル200に伝送する。ソーススタートパルス信号は一つの水平帰線区間中にデータのラッチ、またはサンプリングの始まりを知らせる信号であり、極性信号は液晶のインバージョン駆動のため極性を知らせる信号である。
【0030】
また、タイミング制御部300は、入力されたデジタル映像データ(RGB)を整列してデータ駆動部500に伝送する。
【0031】
ゲート駆動部400は、タイミング制御部300から供給されるゲート制御信号(GCS)に応じ、多数のゲート配線(GL)を順次スキャンする。例えば、フレーム毎に多数のゲート配線(GL)を順次選択し、選択したゲート配線(GL)に対してゲート電圧を出力する。ゲート電圧により、該当横ラインに位置するスイッチング薄膜トランジスタ(T)はターンオンされる。一方、次のフレームをスキャンするまではゲート配線(GL)にターンオフ電圧が供給され、スイッチング薄膜トランジスタ(T)はターンオフの状態を維持する。
【0032】
データ駆動部500は、タイミング制御部300から供給されるデータ制御信号(DSC)とデジタル映像データ(RGB)に応じて、デジタル映像データ(RGB)をアナログ映像データに変換し、多数のデータ配線(DL)に供給する。即ち、ガンマ電圧(Vgamma)を用いてデジタル映像データ(RGB)に対応するデータ電圧を生成し、生成したデータ電圧をデータ配線(DL)に出力する。
【0033】
電源電圧供給部600は、外部システムから入力された基本電圧を用い、液晶パネル200及び駆動回路部の各要素に必要な電圧を生成して供給する。例えば、タイミング制御部300と、ゲート駆動部400と、データ駆動部500に供給される電源電圧、そしてゲート駆動部400に供給されるゲートハイ電圧とゲートロー電圧などを生成する。
【0034】
ガンマ電圧供給部700は、データ駆動部500がデジタル映像データ(RGB)をアナログ映像データに変換するときに必要とするガンマ電圧(Vgamma)を生成し、データ駆動部500に供給する。
【0035】
以下、図2及び図3に基づき、本発明の実施例にかかるガンマ電圧供給部700に関してより詳しく説明する。
【0036】
まず、ガンマ電圧(Vgamma)は液晶表示装置100の画素電極に供給され、液晶層に印加される電圧であり、ガンマ電圧(Vgamma)によって液晶表示装置100の透過率が変化し、該当階調が表示される。
【0037】
ガンマは変換器の入力と出力の関係を表す傾きであり、液晶表示装置100においてはデジタル映像データ(RGB)及びアナログ映像データによる透過率の関係を表し、使用者の視感を考慮すると、2.2程度のガンマ値で最適な視野角と輝度特性を得られることが知られている。
【0038】
一方、かかるガンマ電圧(Vgamma)はデジタル映像データ(RGB)とアナログ映像データの関係を表すガンマ曲線(gamma curve)で表現することができるが、それは図面に基づいて説明する。
【0039】
図2はノーマリーブラックモードの液晶表示装置100のガンマ曲線を示すグラフであり、デジタル映像データ(RGB)に対するガンマ電圧(Vgamma)の変化を示している。
【0040】
図2に示すようにデジタル映像データ(RGB)が、例えば、16進法コード(HEX)で表現された8ビットデータである場合、アナログ映像データのためのガンマ電圧(Vgamma)は256階調に分けることができる。即ち、液晶表示装置100のデータ駆動部500はデジタル映像データ(RGB)をデコーディングし、デコーディングした情報に対応するガンマ電圧(Vgamma)を選択して画素電極に供給することで、256階調の映像を表示することができる。
【0041】
ここで、ガンマ電圧(Vgamma)は高電位側の電源電圧(VDD)と低電位側の電源電圧(VSS)の間の値を持ち、そのうちの一部は、多数のガンマ基準電圧(GMA1ないしGMA18)に対応する。
【0042】
かかるガンマ電圧(Vgamma)は、電源電圧(VDD)と基底電圧(VSS)の間の電圧値を、直列接続した多数の抵抗で分圧して生成するが、これは図面に基づいて説明する。
【0043】
図3はガンマ電圧供給部700の一例を示す図面である。
【0044】
図3に示すように本発明の実施例にかかるガンマ電圧供給部700は、ガンマ基準電圧供給部710と、正極性ガンマ電圧生成部720と、負極性ガンマ電圧生成部730とを備えることができる。
【0045】
ガンマ基準電圧供給部710は多数のガンマ基準電圧(GMA1ないしGMA18)を生成し、正極性ガンマ電圧生成部720及び負極性ガンマ電圧生成部730の多数の抵抗(R0ないしR254)の間のノードに供給する。
【0046】
単に多数の抵抗(R0ないしR254)による分圧だけでガンマ電圧(Vgamma)を生成する場合、実際に出力されるガンマ電圧(Vgamma)に従って電流が漏れ、多数の抵抗(R0ないしR254)を流れる電流が減少し、その結果、設計したとおりにガンマ電圧(Vgamma)が出力できなくなる可能性がある。しかし、多数のガンマ基準電圧(GMA1ないしGMA18)によって電流の減少を補い、希望するガンマ電圧(Vgamma)を出力することができる。即ち、多数のガンマ基準電圧(GMA1ないしGMA18)は、一種の電流源として働く。
【0047】
正極性ガンマ電圧生成部720は、高電位側の電源電圧(VDD)と高電位側の電源電圧の1/2である半電圧(VDD/2)との間に直列接続された多数の抵抗(R0ないしR254)からなり、これらの多数の抵抗(R0ないしR254)の両端に印加される電圧を電圧分配法則に従って分圧し、多数の正極性ガンマ電圧値(VGMP0ないしVGMP255)を生成して出力する。
【0048】
ここで、例えば、高電位側の電源電圧(VDD)は液晶表示装置100の電源電圧供給部600で生成される固定電圧にすることができる。また、各々の抵抗(R0、R254)を抵抗(R1ないしR253)の全合計の3%に設定することができるが、例えば、抵抗(R1ないしR253)の全合計が約14kΩである場合、各々の抵抗(R0、R254)は約420Ωの抵抗値を有することになる。
【0049】
同様に負極性ガンマ電圧生成部730は、高電位側の電源電圧(VDD)の1/2である半電圧(VDD/2)と低電位側の電源電圧(VSS)との間に直列接続された多数の抵抗(R0ないしR254)からなり、これらの多数の抵抗(R0ないしR254)の両端に印加される電圧を電圧分配法則に従って分圧し、多数の負極性ガンマ電圧値(VGMN0ないしVGMN255)を生成して出力する。
【0050】
従って、多数の正極性ガンマ電圧値(VGMP0ないしVGMP255)と多数の負極性ガンマ電圧値(VGMN0ないしVGMN255)は、多数の抵抗(R0ないしR254)の大きさによって決定され、液晶表示装置100の透過率-電圧(T−V)の特性と使用者の視感を考慮した上で設計される。
【0051】
ガンマ電圧供給部700から出力されたガンマ電圧(Vgamma)は液晶表示装置100の画素電極に印加され、映像を表示するが、多数の液晶表示装置100は設計、または製造工程上の偏差によって各々異なる透過率-電圧(T−V)の特性を持ち得る。即ち、液晶表示装置100はモデルや用途によって異なる透過率-電圧(T−V)の特性を有するように設計することができる。また、同一モデルであっても製造工程のうち、画素電極などのパターンの写真食刻工程での偏差やセルギャップの偏差によって異なる透過率-電圧(T−V)の特性を持ち得る。
【0052】
以下、図4に基づき、透過率-電圧(T−V)の特性を考慮したガンマ電圧(Vgamma)の設計を説明する。
【0053】
図4は透過率-電圧カーブ(T−V curve)の一例であり、ノーマリーブラックモードの液晶表示装置100の画素電極に印加される電圧量(以下、画素電圧:Vpixel[V]と称する)による輝度値の変化量を示すグラフである。以下、T−Vカーブと称する。
【0054】
まず、図4のT−Vカーブは、1V以下の画素電圧値(Vpixel)に対する輝度値の変化を示す。即ち、低階調に該当するT−Vカーブである。
【0055】
図4に示すように画素電圧値(Vpixel)が約0.35V以下の範囲では、輝度値が殆ど変わらずに一定値を保っている。
【0056】
画素電圧値(Vpixel)が約0.45V以上になると、輝度値は増加する。具体的に説明すると、画素電圧値(Vpixel)に対する輝度の瞬間的な変化量が段々増加し、輝度値が増加する。これは、実際には人間の視覚特性上、暗い画面での明るさの違いは容易に区別できるが、明るい画面での明るさの違いは区別し難いという点を考慮したものである。
【0057】
画素電圧(Vpixel)が約0.35V〜約0.45Vの範囲では、輝度値が増加した後、減少する階調反転(gray inversion)現象が生じる。これは、液晶層に電圧が印加されると、液晶分子の動きによって液晶パネルの上部と下部が互いに非対称配向になるためである。即ち、液晶層に印加される電圧の大きさによって輝度は段々増加すべきであるが、液晶分子の性質に起因した、異なる位相遅延効果によって輝度は増加できずに一時的に減少する現象が生じる。
【0058】
以下、表2に基づき、本発明の実施例にかかるゼロ階調(Gray0)に該当する駆動電圧に関して概観する。
【0059】
表2は、図4のT−Vカーブに該当する階調と、それに対応する駆動電圧の一例を表す。
【0060】
ここで、ブラック階調はゼロ階調(Gray0)であり、かつ、ホワイト階調は第255階調(Gray255)に該当するものを例に挙げて説明する。
【表2】

【0061】
本発明の実施例では、ゼロ階調(Gray0)に該当する駆動電圧、即ちガンマ電圧(Vpixel)値を約0Vに設計する。具体的に例えば、表2に示すように0.005Vにしたり、これより小さい、または大きい値にしたりすることもできる。従って、ゼロ階調(Gray0)の駆動電圧は、0V〜0.005Vの範囲内の値を有することができる。
【0062】
即ち、ゼロ階調(Gray0)の駆動電圧は、ブラック階調の映像データを液晶パネル200に表示した後、ブラック階調の映像データの残像が残らない範囲内の値を有する。これは、前述のようにT−Vカーブの特性を考慮して流動的に決定される。
【0063】
第1階調(Gray1)に該当する駆動電圧、即ちガンマ電圧(Vpixel)値は、ゼロ階調(Gray0)に該当する駆動電圧値からその差が最大になるように設計する。また、第1階調(Gray1)の駆動電圧値は階調反転が生じた後、輝度値が段々増加する範囲内で電圧値を有することができる。
【0064】
具体的に例えば、第1階調(Gray1)の駆動電圧値は、階調反転現象が生じない範囲、即ち約0.4Vよりは大きく、かつ輝度値が段々増加する範囲(例えば、約0.45V以上)で有することができる。
【0065】
また、例えば、第1階調(Gray1)から第255階調(Gray255)まで輝度値が順次増加する範囲内で電圧値を有することができる。具体的に例えば、表2に示すように0.483Vにしたり、これより小さい、または大きい値にしたりすることもできる。
【0066】
即ち、前述のように、例えば、約0.35V〜約0.45V内では階調反転が生じるため、階調反転現象が生じない駆動電圧から第1階調(Gray1)の駆動電圧を設定することができる。また、輝度値が段々増加する部分で、例えば約0.45V以上で各階調に該当する輝度が順次増加するように第1階調(Gray1)の駆動電圧を設計する。
【0067】
このようにゼロ階調(Gray0)の駆動電圧値を約0Vに設計する場合、ブラック階調の映像データを液晶パネルに表現しても、その後、残像は残らない。これは、液晶層がブラック階調の駆動電圧に殆ど影響されないためである。従って、より鮮明な画質を具現することができる。また、より低電力でゼロ階調(Gray0)の駆動電圧を具現するため、消費電力が低下する効果もある。
【0068】
また、第1階調(Gray1)の駆動電圧を前述のように設計する場合、階調反転も生じない。
【0069】
従って、本発明の階調反転問題を解決することができ、またブラック階調の残像問題も改善することができる。
【0070】
前述のように、T−Vカーブは液晶表示装置100の設計、または製造工程上の偏差によって各々異なる特性を持ち得る。即ち、液晶表示装置100はモデルや用途に応じて異なる透過率-電圧(T−V)の特性を有するように設計することができる。従って、ゼロ階調(Gray0)と第1階調(Gray1)の駆動電圧が該当T−Vカーブの特性によって流動的な値を有することができるということは、当業者にとって明らかである。
【0071】
前述した本発明の実施例は本発明の一例であり、本発明の精神から離れない範囲であれば自由に変更可能である。従って、本発明には、本発明の特許請求の範囲及びそれと均等の範囲内での変更が含まれる。
【符号の説明】
【0072】
100 液晶表示装置、200 液晶パネル、500 データ駆動部、700 ガンマ電圧供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと;
T−Vカーブの特性によって各階調に対応するガンマ電圧が設定されたガンマ電圧供給部と;
前記ガンマ電圧を用いて、入力されたデジタル映像データをアナログ映像データに変換し、前記液晶パネルに出力するデータ駆動部を備え、
前記各階調のうち、ブラック階調に対応する前記ガンマ電圧値が0V〜0.005Vになるように設定されたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記各階調のうち、前記ブラック階調の次の階調である第1階調に該当する前記ガンマ電圧値は、前記T−Vカーブで階調の反転後の輝度が増加する電圧範囲内で設定されたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記ガンマ電圧供給部は、高電位側の電源電圧と前記高電位側の電源電圧の1/2である半電圧との間に繋げられ、複数の正極性ガンマ電圧を出力する正極性ガンマ電圧生成部と;
前記半電圧と低電位側の電源電圧との間に繋げられ、複数の負極性ガンマ電圧を出力する負極性ガンマ電圧生成部を備えることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記正極性ガンマ電圧生成部及び前記負極性ガンマ電圧生成部は、各々直列に接続された複数の抵抗からなることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
液晶パネルとデータ駆動部とを備える液晶表示装置の駆動方法において、
前記データ駆動部によって、入力デジタル映像データをアナログ映像データに変換する段階と、前記アナログ映像データを前記液晶パネルに出力する段階とを備え、
前記アナログ映像データへの変換段階ではT−Vカーブの特性によって設定されたガンマ電圧を用いて変換を行い、
前記ガンマ電圧のうち、ブラック階調に対応する電圧値が0V〜0.005Vになるように設定されることを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記ガンマ電圧のうち、前記ブラック階調の次の階調である第1階調に該当する値は、前記T−Vカーブで階調の反転後の輝度が増加する電圧範囲内で設定されたことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−93762(P2012−93762A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234757(P2011−234757)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(501426046)エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド (732)
【Fターム(参考)】