液晶表示装置
【課題】本発明の目的は、従来の吸収型偏光子を用いた偏光板に代わり、液晶セルの基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置によって、従来の吸収型偏光子を用いた偏光板を使用した液晶表示装置に比較し、視野角拡大効果、輝度向上効果、部材削減による透明度/画質向上効果、フィルムのケン化/貼合処理等の工数削減効果、更には耐久性(耐湿熱性)が向上した視認性の高い液晶表示装置を提供することにある。
【解決手段】液晶層を2枚の基板で挟んだ液晶セルを有する液晶表示装置において、該液晶セルの少なくとも一方の基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を有することを特徴とする液晶表示装置。
【解決手段】液晶層を2枚の基板で挟んだ液晶セルを有する液晶表示装置において、該液晶セルの少なくとも一方の基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を有することを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関し、詳しくは液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、広く用いられている液晶表示装置は、偏光子としてPVA/ヨウ素を用いていることから、様々な制約、課題がある。第一に、偏光子が吸収型であるため、原理的に光の有効利用効率が最大50%となることである。これは、別途、住友3M社製のDBEF等に代表される輝度向上フィルムを用い、残り50%の光の一部を再利用することで利用効率を上げることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)が、部材点数増による透明性、画質の低下、また工数増によるコスト増、生産性低下といった問題がある。
【0003】
第二の課題として、PVA/ヨウ素偏光子の耐水性が低く、特に高湿熱下において、偏光度の低下や画面の表示ムラを引き起こす。これについては、PVA/ヨウ素偏光子の保護膜としてCOP等の低透湿性フィルムを用いる提案がなされている(例えば、特許文献2参照。)が、このようなフィルムは、疎水性であるためPVAとの接着性が悪い。また接着工程において、その低透湿性のために接着剤の乾燥性が悪く、そのため片面をTACフィルム等の透湿性フィルムとしているのが現状である。また、両面への貼合を容易にするために、硬化性接着剤を用い、乾燥レスとすることが提案されているが、PVA中に残存する水分が偏光板から抜けにくいため、高温下での偏光板の耐久性が低下する問題がある。
【特許文献1】特開2003−43261号公報
【特許文献2】特開2003−211588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の目的は、従来の吸収型偏光子を用いた偏光板に代わり、液晶セルの基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置によって、従来の吸収型偏光子を用いた偏光板を使用した液晶表示装置に比較し、視野角拡大効果、輝度向上効果、部材削減による透明度/画質向上効果、フィルムのケン化/貼合処理等の工数削減効果、更には耐久性(耐湿熱性)が向上した視認性の高い液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
【0006】
1.液晶層を2枚の基板で挟んだ液晶セルを有する液晶表示装置において、該液晶セルの少なくとも一方の基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を有することを特徴とする液晶表示装置。
【0007】
2.前記液晶セルの基板とワイヤグリッドの間に位相差層が形成されていることを特徴とする前記1に記載の液晶表示装置。
【0008】
3.前記位相差層が円盤状液晶性化合物を含むことを特徴とする前記2に記載の液晶表示装置。
【0009】
4.前記液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子が前記液晶セルの両面に形成されていることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、従来の吸収型偏光子を用いた偏光板に代わり、液晶セルの基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置によって、従来の吸収型偏光子を用いた偏光板を使用した液晶表示装置に比較し、視野角拡大効果、輝度向上効果、部材削減による透明度/画質向上効果、フィルムのケン化/貼合処理等の工数削減効果、更には耐久性(耐湿熱性)が向上した視認性の高い液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】
本発明者らは、上記課題に対し検討を加えた結果、請求項1の発明では、液晶層を2枚の基板で挟んだ液晶セルを有する液晶表示装置において、該液晶セルの少なくとも一方の基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を有することを特徴とする液晶表示装置により、従来の吸収型偏光子を用いた偏光板の使用に比較し、視野角拡大効果、輝度向上効果、部材削減による透明度/画質向上効果、フィルムのケン化/貼合処理等の工数削減効果、更には耐久性(耐湿熱性)が向上した視認性の高い液晶表示装置が得られることを見出したものである。
【0013】
本発明に係る液晶セルの基板上にワイヤグリッドが形成されている偏光子(液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子)は、液晶セルの基板がワイヤグリッド偏光子の支持体となっており、ワイヤグリッド偏光子が形成された別のフィルムや基材と液晶セルの基板とを貼合して形成されたものではない。
【0014】
また、上記液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子の上に、さらにプロテクト、アンチグレア、反射防止等の各種機能層或いは機能性フィルムを積層しても良い。本発明の液晶表示装置は、液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を用いることが特徴であるが、液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子以外の吸収型偏光子や、光拡散、輝度向上、アンチグレア、反射防止等の各種機能性フィルムを用いても良い。中でも、アンチグレア、反射防止層を有する機能性フィルムであることが望ましい。これらのフィルム及び基板等は液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子に密着していることが好ましく、密着させるためには公知の粘着剤や接着剤を用いることができる。
【0015】
請求項2の発明では、前記液晶セルの基板上に位相差層が形成されており、更に該位相差層上に前記ワイヤグリッドが形成されている偏光子を有することを特徴とする液晶表示装置である。ワイヤグリッド偏光子の場合、上記位相差層の遅相軸に対し、ワイヤグリッドの方向が平行或いは直交するように形成されることが望ましい。
【0016】
請求項3の発明では、前記位相差層が円盤状液晶性化合物を含むことを特徴とし、請求項4の発明では、前記ワイヤグリッド偏光子層が該液晶セルの両面に形成されていることを特徴とすることにより、前記本発明の効果がより向上することを見出したものである。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
《液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子》
偏光子はその方式において大きく二つに大別することができる。ある電場の振動面を持つ光を吸収し、これと直行する電場の振動面を持つ光を透過する吸収型偏光子と、ある電場の振動面を持つ光を反射し、これと直行する電場の振動面を持つ光を透過する非吸収型偏光子である反射散乱型偏光子の2種である。吸収型偏光子においては、片方の偏光を吸収し熱エネルギーに変えるためバックライトからの光を最大半分しか利用することができない。このような偏光子として、PVAフィルム等を基材とし、ヨウ素や有機染料等の二色性材料を吸着・配向させたものや、ポリイミドフィルム等の基材に異方性粒子を配向させたものが知られている。
【0019】
一方、反射散乱型偏光子の場合、偏光子で反射した光を反射板により反射させ再利用することが可能であり、吸収型偏光子と比較してより多くの光を有効利用することができるため、液晶表示装置の輝度を向上させるメリットがある。
【0020】
反射散乱型偏光子にはいくつかの方式が提案されており、ワイヤグリッド、コレステリック液晶、二種類のポリマーの多層膜、海−島構造を有するポリマーブレンドフィルム等が知られている。
【0021】
例えば、特開平9−274108号公報、特開平11−174231号公報には、正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーをブレンドし一軸延伸することで異方性散乱体を作製する方法が提案されている。また、特表平11−509014号公報に開示されているように、光学的連続相の屈折率と光学的異方性を有するドメインの透過軸側の屈折率とを実質的に等しくしたフィルムを形成することにより、所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的に散乱し、散乱光を再利用することにより輝度向上ができる方式もある。
【0022】
本発明の偏光子は、液晶セルの基板上にワイヤグリッドが形成された液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子であることが特徴である。ワイヤグリッド偏光子はグリッド部と光透過部とからなり、この二つの構造が周期的なピッチで配置した構造をしている。ワイヤグリッド偏光子は高い偏光分離能を持っており、現在赤外域では実用化されているが、可視光で利用するためにはピッチを赤外域で使用されている場合より小さくする必要がある。ワイヤグリッド作製は一般的にリソグラフィー法によるが、特開2005−195824号公報に開示されているように、可視光で偏光分離が可能なピッチを作製するためには非常に短波長の紫外光レーザーや電子線等による露光を利用した方法も挙げられている。
【0023】
ワイヤグリッド偏光子の構成について図をもって説明する。図1は本発明に係る液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子の模式図である。図1に示すように液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子100は、液晶セルの基板120上に互いに平行に並んだワイヤグリッド110からなる構造をしている。図1中、pはピッチを表し、tはワイヤグリッドの高さを表し、wはワイヤグリッドの幅を表す。
【0024】
ワイヤグリッド110の材料は特に限定されないが、可視光に対し高い反射率を示し、かつ導電性材料から選択することが好ましい。ワイヤグリッド110の素材は、これらの観点からカーボンナノファイバーなどのナノカーボン等の炭素分子、或いは銀、アルミニウム、ニッケル、ロジウム、または白金等の導電性金属材料を用いることが好ましい。
【0025】
上記ナノカーボンは、公知のカーボン繊維を使用し、繊維径が50〜200nmの範囲にあり、アスペクト比が10〜200の範囲にあるカーボン繊維に、下記表面処理を行うことによって得られる。このようなカーボン繊維は、気相法炭素繊維”VGCFまたはVGNF(いずれも昭和電工製)”シリーズが使用できる。このカーボン繊維の表面にポリアクリルニトリル系、フェノール系、フラン系、ジビニルベンゼン系、不飽和ポリエステル系、ポリイミド系、ジアリルフタレーと系、ビニルエステル系、ポリウレタン系、メラミン系、ユリア系等の有機高分子を付着後、焼成することにより、カーボン繊維の表面にカーボンを固着させて比表面積を増加させ電子導電体としたものである。
【0026】
本発明では可視光の反射率が平坦で、高い反射率が求められることを考慮すると、ワイヤグリッドに、銀、アルミニウム等の導電性金属材料を用いることがより好ましく、コスト面からも特にアルミニウムを用いることが好ましい。
【0027】
ワイヤグリッド偏光子の性能を決定する要因の一つが、ピッチp(nm)と入射光の波長λ(nm)との関係である。ワイヤグリッドのピッチpが波長のほぼ2分の1から2倍の範囲では、特定波長の光に対し偏光分離性能が著しく低下する。このような現象は一般に「レイリー共鳴」と呼ばれており、この共鳴が起こる最も長い波長(最大共鳴波長)λres−maxは下記式(1)で表現されることが知られている。詳細は、Philosophical Magazine,Vol.14.No.79.60(1907)に記載されている。
【0028】
式(1) λres−max=p(n+sinθ)
式中、n、θはそれぞれ基板の屈折率、光の入射角を表す。
【0029】
レイリー共鳴が起こる波長前後においては、ワイヤグリッド偏光子の性能が急激に落ちるため、可視光に対し十分な偏光分離性能を示すためには、最大共鳴波長λres−maxが可視光の波長よりも短くなるようにしなければならない。
【0030】
ワイヤグリッドの高さt(金属厚み)は、ワイヤグリッド偏光子の偏光分離性能から必要な値が決まり、具体的には光の透過率が1%以下であればよく、30nm以上の厚みであれば良好な性能を得ることができる。あまりに金属が薄いと、光の透過が無視できず、偏光分離性能が低下する。逆に金属が厚すぎると、光の利用効率が低下するため、厚みの上限は約200nmである。ワイヤグリッドをアルミニウムで形成する場合、金属厚みは40〜200nm程度であることが望ましい。
【0031】
ワイヤグリッドのピッチpは、0°入射、真空の屈折率n=1において式(1)より導出される最大共鳴波長λres−maxが使用する光の波長以下になればよく、可視光に対しては400nmであれば問題がないことから、ピッチpは380nm以下、100〜200nmが好ましく、偏光の分離能力から160nm以下であることがさらに好ましい。
【0032】
ワイヤグリッドの幅wに関しては、ピッチpの約半分程度のときにワイヤグリッド偏光子の偏光分離性能がよくなり、0.3p<w<0.7pの範囲であることが好ましい。
【0033】
ワイヤグリッドの断面形状は、特に限定されるものではなく、正方形、長方形、台形、円形、楕円形、その他さまざまな形状を持っていてもよい。
【0034】
ワイヤグリッドが基材表面にむき出しの状態である場合、スクラッチ耐性に問題が出やすくなることもあるので、プロテクトフィルム等でカバーすることが好ましい。
【0035】
(ワイヤグリッド偏光子の作製方法)
ワイヤグリッド偏光子の作製方法は特に限定されるものではないが、金属膜を基材上に形成する方法としては、電子線加熱や抵抗加熱による真空蒸着法、スパッター法や、メッキや電解メッキ法、金属化合物などを溶液状態で塗布した後、酸化還元することにより金属膜とする方法などが挙げられ、この中でも、基材との密着性に優れた真空蒸着法、スパッター法、電解メッキ法などが好ましい。また、形成した金属膜から縞状パターンを形成する方法としては、極紫外レーザーを用いた干渉露光法、電子線リソグラフィーを用いた製造方法があげられる。
【0036】
例えば、基材上に120nm程度のアルミニウム層を抵抗加熱蒸着等により製膜し、さらにスピンコートでフォトレジスト層を設ける。続いてArFレーザー(波長193nm)の二光束干渉露光により、透明樹脂フィルム上に縞状パターン(例えば、ピッチ180nm、ライン:スペース≒1:1)を形成し、現像後、ドライエッチングで不要部のアルミニウムを除去し、ワイヤグリッド偏光子を得る。
【0037】
別法として、予め形成した縞状パターンを有する金型を作製し、これに基材との接着性に優れるアクリル等の熱可塑性樹脂や紫外線硬化型樹脂をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、押し出しコーター、或いはスプレー塗布、インクジェット塗布等により塗設し、これを基材に貼合、転写し、転写された縞状パターン上にアルミニウムを抵抗加熱蒸着等により斜め方向から蒸着する。これにより、例えばピッチp150nm、高さ90nm、凸部幅60nmのパターン上に高さ60nmのアルミニウムが蒸着され、ワイヤグリッド偏光子を得る。
【0038】
上記ワイヤグリッド偏光子は液晶表示装置の色味の観点から400〜700nmにおける波長領域での透過率が平坦であることが好ましい。上記の波長領域において透過率の最小値が最大値の90%以上であることが好ましい。更に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上である。
【0039】
また、下記式で表される偏光度Pは99以上、より好ましくは99.5以上、特に好ましくは99.8以上である。
【0040】
偏光度P=((H0−H90)/(H0+H90))1/2×100
H0 :偏光子2枚を組み合わせた時の、平行透過率
H90 :偏光子2枚を組み合わせた時の、直行透過率
《液晶セル及び基板》
本発明に係るワイヤグリッド偏光子の基材としては、前述したように液晶セルの基板であることが特徴である。
【0041】
液晶セルの基板は高度な平面性、平滑性が要求されることから、主に透光性を有するガラス基板が用いられており、本発明のワイヤグリッドは該ガラス基板の液晶セルとは反対側の面、すなわち電極パターン等が形成されている面とは反対側の面に形成される。また、所望の平面性、平滑性を満たす場合には、ガラス基板ではなくプラスチック基板でもよい。プラスチック基板を用いたときは、基板の厚さを0.2mm以下の薄厚にすることが容易であり、そのため表示素子をきわめて薄く、かつ軽量にすることができる。また、基板が薄いために表示が二重像とならず広視角の表示素子を得ることができる。
【0042】
液晶セルの作製方法は、光配向法、スリット法等があるが以下の通りである。
【0043】
〔液晶セルの作製方法1〕
光配向法を用いた場合の液晶セル作製方法について述べる。
【0044】
1.所定の電極パターンを有するガラス基板に、側鎖型の垂直配向膜(日産化学工業製SE・1211)を厚さ500Åで塗布し、焼成する。
【0045】
2.フォトマスクをガラス基板上にセットし、セッティングで紫外光を斜め方向から照射する。ここでは、波長254nmを中心に持つバンドパスフィルタを用い、波長254nmにおける照度は1.35mWで、照射時間は3分間とする。なお、照射角度はガラス基板の法線から45度である。
【0046】
3.次に、フォトマスクを半ピッチずらして、開口部が上記2.の非照射部に合うようにセットし、上記2.とは180度反対の方向から紫外光を照射する。この場合、照射する紫外光の照度、時間、角度は上記2.で述べたものと全く同じである。
【0047】
4.上記2.、3.と全く同じ操作を反対側の基板にも施す。このとき、次の5.で述べるようにプレティルト角が上下の基板間で揃う必要があるため、フォトマスクの位置合わせには十分注意する。
【0048】
5.二枚の基板を、プレティルト角が上下の基板で揃うようにギャップコントロール材(触媒化成工業製シリカビーズ4.0μm)を介して重ね合わせ、メインシール材を硬化させる。
【0049】
6.所定の大きさにガラスを切断した後、垂直配向型液晶(メルク製、△n=0.15)を真空注入法にてセル内に注し、注入口を封止する。
【0050】
このようにして、2ドメインの垂直配向型LCDを作製することができる。
【0051】
〔液晶セルの作製方法2〕
スリット法を用いた湯合の液晶セル作製方法について述べる。
【0052】
1.所定のスリットパターンを含む電極パターンを有したガラス基板に、側鎖型の垂直配向膜(日産化学工業製SE・1211)を厚さ500Åで塗布し、焼成する。この操作は上下基板の両方に施す。
【0053】
2.二枚の基板を対向するような配置で、ギャップコントロール材(触媒化成工業製シリカビーズ4.0μm)を介して重ね合わせ、メインシール材を硬化させる。
【0054】
3.所定の大きさにガラスを切断した後、垂直配向型液晶(メルク製、△n=0.15)を真空注入法にてセル内に注し、注入口を封止する。
【0055】
このようにして、スリットによる斜め電界を用いた2ドメインの垂直配向型LCDを作製することができる。
【0056】
本発明のワイヤグリッドは、前記方法により液晶セルを作製する前のガラス基板に対し形成してもよく、液晶セルを形成した後に、該液晶セルを所望の大きさに切り出して形成してもよい。
【0057】
《位相差層》
本発明は、前記液晶セルの基板上に位相差層が形成され、更に該位相差層上に前記ワイヤグリッドが形成されて、液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子とすることも好ましい態様である。この構成により視野角拡大等の視認性の向上した液晶表示装置が得られる。
【0058】
液晶配向層を形成する際には、いわゆる垂直配向膜を用いても良く、垂直配向膜として特に制限はないが、液晶材料自身が空気界面で垂直配向する場合で、その配向規制力が空気界面と反対の界面まで及ぶ場合には該配向膜は特に必要ではなく、構成が簡素化できる観点からもその方が好ましい。垂直配向膜を使用する場合は、特開2005−148473号公報などに記載されている(メタ)アクリル系ブロックポリマーを含有するブロックポリマー組成物の架橋体からなる配向膜等を用いることも好ましい。
【0059】
本発明に係る位相差層は面内方向における下記式で定義される589nmにおける面内位相差値Roが30〜100nmであり、かつ厚み方向の位相差値Rthが70〜300nmであり、Rth/Roが2〜5の範囲にあることが好ましい。
【0060】
Ro=(nx−ny)×d
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
該位相差層を上記範囲とするためには、位相差層の膜厚制御、紫外線硬化時の温度、チルト角制御、および支持体と空気界面でのプレチルト角の制御を行うことが好ましい。
【0061】
本発明では、位相差層に円盤状化合物を用いることが好ましい。円盤状化合物としては、一般的に、ベンゼンや1,3,5−トリアジン、カリックスアレーンなどのような環状母核を分子の中心に配し、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその側鎖として放射状に置換された構造を指すものである。
【0062】
円盤状化合物として代表的なものは例えば、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.Liq.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されている、ベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体や、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されているシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Soc.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系のマクロサイクルが挙げられる。本発明に好ましい具体的な化合物例を示すと下記のようになる。
【0063】
特に、これら円盤状化合物のなかで、ネマチック配向をとりやすいトリフェニレン誘導体を用いることが好ましい。また、光学補償シ−トとしての耐熱性を考慮すると、これら円盤状化合物の放射状側鎖の末端に反応性の置換基を有することが好ましい。これらの化合物の例を下記に示すが、これに限定されるものではない。
【0064】
これら円盤状化合物は、配向膜を用いることにより、該配向膜上への塗布、加熱配向、冷却の操作だけで、モノドメイン性が得られる。
【0065】
配向膜としては、無機または有機の配向膜が用いられる。金属斜方蒸着膜としてはSiO斜方蒸着膜が、また有機配向膜としてはラビングされたポリイミド膜が代表的なものであるが、その他ラビングしたアルキル変性ポバールやラビングしたシリル化剤で処理したガラス基板またはラビングしたゼラチン膜などが用いられる。しかし、ラビングする代わりにポリビニルアルコールの薄膜を4〜5倍に延伸したり、特別に上記の保護膜を設けないで直接ガラス基板をラビングしたりするなどの方法も用いることができる。
【0066】
【化1】
【0067】
【化2】
【0068】
【化3】
【0069】
また、本発明の位相差層として用いられる液晶材料として、重合性液晶材料を用いることも好ましい。重合性液晶材料は、所定の活性放射線を照射することにより重合させて用いることができ、重合させた状態では配向状態は固定化されているので、重合性液晶材料を用いる場合には、液晶相となる温度の下限は特に限定されるものではない。
【0070】
重合性液晶材料としては、重合性液晶モノマー、重合性液晶オリゴマー、もしくは重合性液晶ポリマーのいずれかを用いることができ、相互に混合して用いることもできる。重合性液晶材料は、配向状態を固定化することが可能であるので、液晶の配向を低温で容易に行うことが可能であり、かつ使用に際しては配向状態が固定化されているので、温度等の使用条件にかかわらず使用することができる。
【0071】
重合性液晶材料としては、上記のうちでも、特に重合性液晶モノマーが好適に用いられる。重合性液晶モノマーは、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマーと比較して、より低温で配向が可能であり、かつ配向に際しての感度が高いことから、配向させることが容易だからである。
【0072】
具体的な重合性液晶モノマーとしては、下記の一般式(1)で表される棒状液晶性化合物(I)、および下記の一般式(2)で表される棒状液晶性化合物(II)を挙げることができる。化合物(I)としては、一般式(1)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することもでき、同様に、化合物(II)としては、一般式(2)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することもできる。また、化合物(I)を1種以上と化合物(II)を1種以上を混合して使用することもできる。
【0073】
【化4】
【0074】
【化5】
【0075】
化合物(I)を表す一般式(1)において、R1およびR2はそれぞれ水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR1およびR2は共に水素であることが好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、もしくはニトロ基のいずれであっても差し支えないが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、化合物(I)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環とのスペーサであるアルキレン基の鎖長を示すaおよびbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数を取り得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物は、安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、aおよびbがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物は、アイソトロピック転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどちらも液晶性を示す温度範囲が狭く好ましくない。
【0076】
化合物(I)は任意の方法で合成することができる。例えば、Xがメチル基である化合物(I)は、1当量のメチルヒドロキノンと2当量の4−(m−(メタ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応により得ることができる。エステル化反応は、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物などで活性化し、これとメチルヒドロキノンとを反応させるのが通例である。また、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて、カルボン酸単位とメチルヒドロキノンを直接反応させることもできる。これ以外の方法としては、1当量のメチルヒドロキノンと、2当量の4−(m−ベンジルオキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応をまず行い、次いで得られたエステルを水素添加反応等により脱ベンジル化した後、分子末端をアクリロイル化する方法によっても、化合物(I)を合成することができる。メチルヒドロキノンと4−(m−ベンジルオキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応を行うに際しては、メチルヒドロキノンをジアセテートに導入した後、上記の安息香酸と溶融状態で反応させ、直接エステル体を得ることも可能である。一般式(1)のXがメチル基でない場合の化合物(I)も、対応する置換基を有するヒドロキノンを、メチルヒドロキノンの代わりに用いて上と同様の反応を行うことにより得ることができる。
【0077】
化合物(II)を表す一般式(2)において、R3は水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR3は水素であることが好ましい。アルキレン基の鎖長を示すcに関して言えば、この値が2〜12である化合物(II)は液晶性を示さない。しかしながら、液晶性を持つ化合物(I)との相溶性を考慮すると、cは4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがより好ましい。化合物(II)も任意の方法で合成可能であり、例えば、1当量の4−シアノフェノールと1当量の4−(n−(メタ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応により化合物(II)を合成することができる。このエステル化反応は化合物(I)を合成する場合と同様に、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物などで活性化し、これと4−シアノフェノールとを反応させるのが一般的である。また、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて上記安息香酸と4−シアノフェノールを反応させてもよい。
【0078】
以上の他、本発明においては、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマー等を用いることが可能である。このような重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマーとしては、従来提案されているものを適宜選択して用いることが可能である。
【0079】
本発明においては、上記円盤状化合物、重合性液晶材料に加え、必要に応じて光重合開始剤を用いてもよい。電子線照射により重合性液晶材料を重合させる際には、光重合開始剤が不要な場合があるが、一般的に用いられている例えば紫外線(UV)照射による硬化の場合においては、通常光重合開始剤が重合促進のために用いられるからである。
【0080】
光重合開始剤としては、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、もしくは1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。光重合開始剤の添加量としては、一般的には0.01%〜20%が好ましく、より好ましくは0.1%〜10%であり、もっと好ましくは0.5%〜5%の範囲で、本発明の円盤状化合物や重合性液晶材料に添加することができる。尚、光重合開始剤の他に、本発明の目的が損なわれない範囲で増感剤を添加することも可能である。
【0081】
本発明における液晶層の膜厚は0.1μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、0.2〜10μmの範囲内であることがより好ましい。本発明の液晶層が上記範囲を超えて厚くなると必要以上の光学異方性が生じてしまい、また上記範囲より薄いと所定の光学異方性が得られない場合がある。よって、液晶層の膜厚は、本発明に必要な光学異方性に準じて決定すればよい。
【0082】
円盤状化合物、重合性液晶材料は、必要に応じて光重合開始剤、増感剤等を配合して液晶層形成用組成物を調製して用い、基材上に塗工し、液晶層形成用層を形成する。液晶層形成用層を形成する方法としては、例えばドライフィルム等を予め形成してこれを液晶層形成用層としたものを基材上に積層する方法や、液晶層形成用組成物を融解させて基材上に塗工する方法等をとることも可能であるが、本発明においては、液晶層形成用組成物としては溶媒を加えて、その他の成分を溶解した塗工用組成物を用いて基材上に塗工し、溶媒を除去することにより液晶層形成用層を形成することが好ましい。これは、他の方法と比較して工程上簡便である。
【0083】
溶媒としては、上述した円盤状化合物、重合性液晶材料等を溶解することが可能な溶媒であり、かつ透明樹脂フィルムの性状を低下させない溶媒であれば特に限定されるものではなく、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類;メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、もしくは2,4−ペンタンジオン等のケトン類;酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、もしくはγ−ブチロラクトン等のエステル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、もしくはジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、もしくはオルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、もしくはブチルセルソルブ等のアルコール類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種または2種以上が使用可能である。
【0084】
単一種の溶媒を使用しただけでは、円盤状化合物、重合性液晶材料等の溶解性が不充分であったり、上述したように基材が侵食される場合がある。しかし2種以上の溶媒を混合使用することにより、この不都合を回避することができる。上記した溶媒のなかにあって、単独溶媒として好ましいものは、炭化水素系溶媒とグリコールモノエーテルアセテート系溶媒であり、混合溶媒として好ましいのは、エーテル類またはケトン類と、グリコール類との混合系である。溶液の濃度は、円盤状化合物、重合性液晶材料等の溶解性や製造しようとする液晶層の膜厚に依存するため一概には規定できないが、通常は1%〜60%が好ましく、より好ましくは3%〜40%の範囲で調整される。
【0085】
本発明に用いられる液晶層形成用組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、上記以外の化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族もしくは脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物、またはアクリル基もしくはメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。本発明の液晶層形成用組成物に対するこれら化合物の添加量は、本発明の目的が損なわれない範囲で選択され、一般的には、本発明の液晶層形成用組成物の40%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下である。これらの化合物の添加により、本発明における液晶材料の硬化性が向上し、得られる液晶層の機械強度が増大し、またその安定性が改善される。
【0086】
また、溶剤を配合した液晶層形成用組成物には、塗工を容易にするために界面活性剤等を加えることができる。添加可能な界面活性剤を例示すると、イミダゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面活性剤;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、第一級あるいは第二級アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリエチレングリコールおよびそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族あるいは芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物等の陰イオン系界面活性剤;ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活性剤;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン系界面活性剤;パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル・親油基含有オリゴマーパーフルオロアルキル基含有ウレタン等のフッ素系界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、液晶材料の種類、溶媒の種類、さらには溶液を塗工する配向膜の種類にもよるが、通常は溶液に含まれる重合性液晶材料の10ppm〜10%が好ましく、より好ましくは100ppm〜5%であり、もっと好ましくは0.1〜1%の範囲である。
【0087】
液晶層形成用組成物を塗工する方法としては、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、ブレードコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、もしくは押し出しコート法等が挙げられる。液晶層形成用組成物を塗工した後、溶媒を除去する方法としては、例えば、風乾、加熱除去、もしくは減圧除去、さらにはこれらを組み合わせる方法等により行われる。溶媒が除去されることにより、液晶層形成用層が形成される。
【0088】
円盤状化合物、重合性液晶材料を硬化させる工程では、硬化させるためのエネルギーが与えられ、熱エネルギーでもよいが、通常は、重合を起こさせる能力がある電離放射線の照射によって行う。電離放射線としては、重合性液晶材料を重合せさることが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光または可視光線が使用され、波長が150〜500nmの光が好ましく、より好ましくは250〜450nmであり、より好ましくは300〜400nmの波長の紫外線である。
【0089】
本発明においては、紫外線(UV)を活性放射線として照射し、紫外線で重合開始剤からラジカルを発生させ、ラジカル重合を行わせる方法が好ましい。活性放射線としてUVを用いる方法は、既に確立された技術であることから、用いる重合開始剤を含めて、本発明への応用が容易である。
【0090】
この紫外線を照射するための光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、もしくはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)等を挙げることができる。なかでもメタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等の使用が推奨される。照射強度は、液晶層を形成している重合性液晶材料の組成や光重合開始剤の多寡によって適宜に調整すればよい。
【0091】
活性放射線の照射による配向固定化工程は、上述した液晶層形成用層を形成する工程における処理温度、すなわち重合性液晶材料が液晶相となる温度条件で行ってもよく、また液晶相となる温度より低い温度で行ってもよい。一旦液晶相となった円盤状化合物、重合性液晶材料は、その後温度を低下させても、配向状態が急に乱れることはない。
【0092】
《アンチグレア層》
本発明は、液晶セルに対して視認側に位置するワイヤグリッド偏光子の表面にアンチグレア層を有することが好ましい。アンチグレア層は直接、または他の層を介して該偏光子表面に形成されるか、アンチグレア層を有する機能性フィルムを該偏光子に貼合することで得られる。
【0093】
本発明においてアンチグレア層とは、液晶表示装置やCRTなどの表示装置の見やすさを向上させるために、例えば蛍光灯の光などが画面に写るのを防ぐ働きをするもので、この光を乱反射させる機能を有する層をいい、有機樹脂材料を成分として含むことが好ましい。
【0094】
アンチグレア層を構成する有機樹脂材料としては、アンチグレア層におけるバインダーとしての性質を有し、アンチグレア層形成後の皮膜として十分な強度を持ち、さらに透明性のあるものを特に制限なく使用できる。前記樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化型樹脂が挙げられるが、皮膜の強度、加工性の点で、熱硬化型樹脂または活性エネルギー線硬化型樹脂が好ましい。
【0095】
熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられ、中でも、表面硬度、耐繰り返し疲労性及び耐擦傷性に優れる観点から、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂が好ましい。
【0096】
また、これらの樹脂に必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えて使用することができる。
【0097】
活性エネルギー線硬化型樹脂は、分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー及び/またはモノマーが、エネルギー線の照射により硬化してなる樹脂である。活性エネルギー線は、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合または架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は紫外線または電子線を用いる。
【0098】
紫外線および電子線硬化型樹脂としては特に制限はなく、従来から使用されているものの中から、適宜選択して用いることができる。この紫外線硬化型樹脂は、光重合性プレポリマー、または光重合性モノマー、光重合開始剤や光増感剤を含有するものである。また、電子線硬化型樹脂は、光重合性プレポリマーまたは光重合性モノマーを含有するものである。
【0099】
前記光重合性プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系等が挙げられる。これらの光重合性プレポリマーは1種用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また,光重合性モノマーとしては、例えばポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0100】
本発明においては、プレポリマーとしてウレタンアクリレート系、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を用いることが好ましい。
【0101】
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられる。また、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。
【0102】
本発明においては、アンチグレア層は、前記熱硬化型樹脂または活性エネルギー線硬化型樹脂と、微粒子とからなるものが好ましい。アンチグレア層が、前記構成をとることにより、表面凹凸形状を実現することができる。
【0103】
前記微粒子としては、平均粒子径が5〜100nm、好ましくは10〜50nmのものを用いる。平均粒子径は、500個の粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)等により得られる二次電子放出のイメージ写真からの目視やイメージ写真を画像処理することにより、または動的光散乱法、静的光散乱法等を利用する粒度分布計等により計測することができる。ここでいう平均粒子径は、個数平均粒子径をさす。以下同様である。
【0104】
より具体的には、上記粒子径を有する微粒子であればよいが、導電性微粒子が好ましい。前記微粒子として、導電性微粒子を用いることにより、帯電防止性、機械的強度に優れるアンチグレア層を得ることができる。加えて、アンチグレア層の屈折率を容易に制御することができる。
【0105】
導電性微粒子は、導電性を有する微粒子であれば特に制約はないが、透明性に優れることから、金属酸化物の微粒子が好ましい。
【0106】
導電性の金属酸化物としては、例えば、五酸化アンチモン、酸化スズ、リンがドープされた酸化スズ(PTO)、アンチモンがドープされた酸化スズ(ATO)、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)、スズがドープされた酸化インジウム(ITO)、亜鉛がドープされた酸化インジウム(IZO)、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛(AZO)、酸化亜鉛/酸化アルミニウム、アンチモン酸亜鉛等が挙げられる。これらの金属酸化物微粒子は一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、透明性に優れること等から、五酸化アンチモン及び/またはリンがドープされた酸化スズの使用が好ましい。
【0107】
また本発明においては、導電性の金属酸化物微粒子として、導電性を持たない金属酸化物微粒子に、導電性金属酸化物を被覆することによって、導電性を付与したものを使用することもできる。例えば、屈折率は高いが導電性を有しない酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の微粒子の表面に、前記導電性金属酸化物を被覆して導電性を付与して用いることができる。
【0108】
本発明においては、アンチグレア層における微粒子の含有量は、少なくとも30体積%であることが好ましく、40〜60体積%であることがさらに好ましい。前記微粒子の含有量が前記範囲よりも少ないとアンチグレア層の表面凹凸の高さが不十分となり、逆に多いとアンチグレア層の強度が不十分となる傾向がある。
【0109】
本発明においては、アンチグレア層の表面の凹凸の高さは、十点平均粗さRzで0.1〜0.8μm、好ましくは0.2〜0.7μmである。前記凹凸の高さが前記範囲より小さいと防眩性が不十分となり、逆に大きいと散乱が大きくなりすぎて、画像表示装置に用いたときヘイズが大きくなったり、画像鮮明性が低下したり、さらに画像表示を黒表示にしたときの白味も強くなる。
【0110】
アンチグレア層の表面の凹凸の高さとして表される十点平均粗さRzは、JIS B0601−1994に準じて、例えば、ダイヤモンドからなる先端部を頂角55度の円錐形とした直径1mmの測定針を介して凹凸構造面上を一定方向に3mmの長さで走査し、その場合の測定針の上下方向の移動変化を測定してそれを記録した表面粗さ曲線として知見を得ることができる。或いは光学干渉式表面粗さ測定機によっても測定することができる。
【0111】
本発明においては、アンチグレア層の表面の凹凸の周期の範囲は、通常4〜100μm、好ましくは10〜80μmである。前記凹凸の周期が前記範囲よりも小さいと防眩性が不十分となり、逆に大きいと画像表示装置に用いたときにギラツキが生じてしまう。
【0112】
アンチグレア層の周期は、前述の表面粗さ曲線における凹凸変化が微小な部分に基づいて表面粗さ曲線の凹凸変化が凸部として評価できる基準線を想定し、その基準線からの当該凸部の高さの平均を中心線として、表面粗さ曲線がその中心線を下から上(または上から下)に通過する際の交点に基づきその交点間の距離の平均として定義することができる。
【0113】
本発明においては、アンチグレア層の平均傾斜角は、3度以下、好ましくは2度以下である。アンチグレア層の平均傾斜角が前記範囲よりも大きいと、散乱が大きくなりすぎて、画像表示装置に用いたときヘイズが大きくなったり、画像鮮明性が低下したり、さらに画像表示を黒表示にしたときの白味が強くなる。
【0114】
平均傾斜角は、前述の表面粗さ曲線における前記した凹凸変化が微小な部分の勾配に基づいてその勾配の絶対値の平均として定義することができる。
【0115】
本発明においては、アンチグレア層の凸部を主面側からみたときの形状が、多角形になっていることが好ましい。前記形状が、多角形になっていることにより、防眩性と、白ボケ防止および透過画像鮮明性との両立が可能となる。多角形としては、五角形、六角形、八角形が挙げられる。前記形状は、これらが2種以上組み合わさったものでもよい。
【0116】
本発明においては、アンチグレア層の屈折率は、好ましくは1.55以上、より好ましくは1.60以上である。アンチグレア層の屈折率がこの範囲にあると、アンチグレア層上に低屈折率層を設けた場合に、外光の反射を抑制し、写り込みを防止することができる。屈折率は、例えば、公知の分光エリプソメーターを用いて測定して求めることができる 本発明においては、アンチグレア層は、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板)で「HB」以上の硬度を示すことが好ましい。アンチグレア層の鉛筆硬度が前記範囲であることにより、アンチグレア層がハードコート層を兼ねることができ、部材を薄くすることができ好ましい。
【0117】
アンチグレア層の厚みは、1〜30μmの範囲であることが好ましい。
【0118】
本発明においては、アンチグレア層の上に、更に屈折率が1.25〜1.37である低屈折率層を有することが好ましい。低屈折率層を有することにより、本発明の液晶表示装置に反射防止性を備えることができる。
【0119】
本発明において、低屈折率層を構成する材料としては、屈折率が上記範囲である層を構成する材料であれば特に制限されないが、屈折率の制御が容易である点及び耐水性に優れる点で、エアロゲルが好ましい。
【0120】
エアロゲルは、マトリックス中に微小な気泡が分散した透明性多孔質体である。気泡の大きさは大部分が200nm以下であり、気泡の含有量は通常10体積%以上60体積%以下、好ましくは20体積%以上40体積%以下である。
【0121】
微小な気泡が分散したエアロゲルの具体例としては、シリカエアロゲル、中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体が挙げられる。
【0122】
シリカエアロゲルは、米国特許第4402927号公報、米国特許第4432956号公報、米国特許第4610863号公報等に開示されているように、アルコキシシランの加水分解重合反応によって得られたシリカ骨格からなる湿潤状態のゲル状化合物を、アルコール或いは二酸化炭素等の溶媒(分散媒)の存在下で、この溶媒の臨界点以上の超臨界状態で乾燥することによって製造することができる。超臨界乾燥は、例えばゲル状化合物を液化二酸化炭素中に浸漬し、ゲル状化合物が含む溶媒の全部または一部をこの溶媒よりも臨界点が低い液化二酸化炭素に置換し、この後、二酸化炭素の単独系、或いは二酸化炭素と溶媒との混合系の超臨界条件下で乾燥することによって、行うことができる。また、シリカエアロゲルは、米国特許第5137279号公報、米国特許5124364号公報等に開示されているように、ケイ酸ナトリウムを原料として、上記と同様にして製造しても良い。シリカエアロゲルの屈折率は、シリカエアロゲルの原料配合比によって自由に変化させることができる。
【0123】
また、シリカエアロゲルを用いる場合において、上記のようにしてアルコキシシランの加水分解、重合反応によって得られたゲル状化合物を疎水化処理することによって、シリカエアロゲルに疎水性を付与することが好ましい。このように疎水性を付与した疎水性シリカエアロゲルは、湿気や水等が浸入し難くなり、シリカエアロゲルの屈折率や光透過性等の性能が劣化することを防ぐことができるものである。
【0124】
この疎水化処理は、ゲル状化合物を超臨界乾燥する前、或いは超臨界乾燥中に行うことができる。疎水化処理は、ゲル状化合物の表面に存在するシラノール基の水酸基を疎水化処理剤の官能基と反応させ、疎水化処理剤の疎水基と置換させることによって疎水化するために行うものである。疎水化処理を行う手法としては、疎水化処理剤を溶媒に溶解させた疎水化処理液中にゲルを浸漬し、混合するなどしてゲル内に疎水化処理剤を浸透させた後、必要に応じて加熱して、疎水化反応を行わせる方法があげられる。
【0125】
疎水化処理に用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、キシレン、トルエン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げることができるが、疎水化処理剤が容易に溶解し、かつ、疎水化処理前のゲルが含有する溶媒と置換可能なものであればよく、これらに限定されるものではない。また後の工程で超臨界乾燥が行われる場合、超臨界乾燥の容易な媒体、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、液化二酸化炭素などと同一種類もしくはそれと置換可能なものが好ましい。また疎水化処理剤としては例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0126】
疎水化処理については、特開平5−279011号公報、特開平7−138375号公報に開示されている方法を用いることもできる。
【0127】
中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体としては、特開2001−233611号公報、特開2003−149642号公報に開示されているような、微粒子の内部に空隙を持つ中空微粒子をバインダー樹脂に分散させた多孔質体が挙げられる。
【0128】
バインダー樹脂としては中空微粒子の分散性、多孔質体の透明性、多孔質体の強度等の条件に適合する樹脂等から選択して用いることができ、例えば従来から用いられているポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂、これら樹脂の混合物、さらにはこれら樹脂の共重合体や変性体などの塗料用樹脂、またはアルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物・およびその加水分解物等が挙げられる。
【0129】
これらの中でも微粒子の分散性、多孔質体の強度からアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物・およびその加水分解物が好ましい。
【0130】
低屈折率層として中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体を用いる場合には、低屈折率層の反射特性や防汚性を向上させることから、上記樹脂にフッ素樹脂を混合してもよい。
【0131】
中空微粒子は、無機化合物の微粒子であれば、特に制限されないが、外殻の内部に空洞が形成された無機中空微粒子が好ましく、シリカ系中空微粒子の使用が特に好ましい。
【0132】
無機化合物としては、無機酸化物が一般的である。無機酸化物としては、SiO2、Al2O3、B2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、Ce2O3、P2O5、Sb2O3、MoO3、ZnO2、WO3等の1種または2種以上を挙げることができる。2種以上の無機酸化物として、TiO2−Al2O3、TiO2−ZrO2、In2O3−SnO2、Sb2O3−SnO2を例示することができる。これらは1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0133】
無機中空微粒子としては、(A)無機酸化物単一層、(B)種類の異なる無機酸化物からなる複合酸化物の単一層、及び(C)上記(A)と(B)との二重層を包含するものを用いることができる。
【0134】
外殻は細孔を有する多孔質なものであってもよく、或いは細孔が閉塞されて空洞が外殻の外側に対して密封されているものであってもよい。外殻は、内側の第1無機酸化物被覆層及び外側の第2無機酸化物被覆層からなる複数の無機酸化物被覆層であることが好ましい。外側に第2無機酸化物被覆層を設けることにより、外殻の細孔を閉塞させて外殻を緻密化でき、さらには、内部の空洞を密封した無機中空微粒子を得ることができる。特に第2無機酸化物被覆層の形成に含フッ素有機珪素化合物を用いる場合は、フッ素原子を含む被覆層が形成されるために、得られる粒子はより低屈折率となるとともに、有機溶媒への分散性もよく、さらに低屈折率層の防汚性付与にも効果があり好ましい。このような含フッ素有機珪素化合物としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン等をあげることができる。
【0135】
無機中空微粒子の平均粒子径は特に制限されないが、5〜2000nmが好ましく、20〜100nmがより好ましい。5nmよりも小さいと、中空によって低屈折率になる効果が小さく、逆に2000nmよりも大きいと、透明性が極端に悪くなり、拡散反射による寄与が大きくなってしまう。ここで、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡観察による数平均粒子径である。
【0136】
上述のような無機中空微粒子の製造方法は、例えば、特開2001−233611号公報に詳細に記載されており、本発明に使用できる無機中空微粒子は、そこに記載された方法に基づいて製造することができ、また一般に市販されている無機中空微粒子を用いることもできる。
【0137】
無機微粒子の配合量は、特に制限されないが、低屈折率層全体に対して、10〜30質量%であるのが好ましい。無機微粒子の配合量がこの範囲であるときに、低屈折率性と耐擦傷性を兼ね備えた光学積層フィルムを得ることができる。
【0138】
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.25〜1.37、さらに好ましくは1.30〜1.37である。低屈折率層の屈折率を前記範囲にすることにより、防眩性フィルムに反射防止性に加えて、耐擦傷性を付与することができる。
【0139】
低屈折率層の屈折率は、アンチグレア層の屈折率と同様の方法で測定することができる。
【0140】
低屈折率層の厚みは、可視光線の吸収をよくするため、10〜1000nm、好ましくは30〜500nmである。
【0141】
本発明においては、低屈折率層の上に防汚層を有していても良い。防汚層は、低屈折率層を保護し、かつ、防汚性能を高めるために設けるものである。
【0142】
防汚層の形成材料としては、低屈折率層の機能が阻害されず、防汚層としての要求性能が満たされる限り特に制限はない。通常、疎水基を有する化合物を好ましく使用できる。具体的な例としてはパーフルオロアルキルシラン化合物、パーフルオロポリエーテルシラン化合物、フッ素含有シリコーン化合物を使用することができる。防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法;化学的気相成長(CVD)法;湿式コーティング法;等を用いることができる。防汚層の厚みは特に制限はないが、通常20nm以下が好ましく、1〜10nmであるのがより好ましい。
【0143】
本発明の製造方法において、アンチグレア層を形成する塗布液に含まれる揮発性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;及びこれらの2種以上からなる組み合わせ;等が挙げられる。
【0144】
これらの中でも、塗布液の対流を発生させ、表面凹凸を形成するために、ASTM.D3539.76に従い測定した酢酸n−ブチルの蒸発速度を1とした場合の相対蒸発速度で0.7以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。このような有機溶剤としては、メタノール、エタノール、トルエン、n−ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。
【0145】
塗布液における有機溶剤の含有量は、20体積%以上であり、40体積%以上であることが好ましい。前記範囲より少ないと、塗布液の対流が十分に発生しないため、表面凹凸の高さが不十分となる。
【0146】
本発明において、アンチグレア層を形成する塗布液に含まれる平均粒子径が5〜100nmである微粒子の含有量は、少なくとも5体積%であり、好ましくは7〜30体積%である。
【0147】
アンチグレア層を形成するための塗布液に含まれる界面活性剤の含有量は、多くとも1000ppmであり、好ましくは多くとも500ppmであり、最も好ましくは0ppmである。界面活性剤の含有量が前記範囲よりも多いと、塗布液の対流が十分に発生せず、アンチグレア層の表面に凹凸が形成されなくなる。
【0148】
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤が挙げられる。フッ素系の界面活性剤としては、スリーエム社製のフロラードFC−431等のパーフルオロアルキルスルホン酸アミド基含有ノニオン、大日本インキ社製のメガファックF−171、F−172、F−173、F−176PF、F−470、F−471等のパーフルオロアルキル基含有オリゴマー等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等のオリゴマー等の各種の置換基で側鎖や主鎖の末端が変性されたポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
【0149】
アンチグレア層を形成するための塗布液の粘度は50mPa・s以下であることが好ましく、30mPa・s以下であることがより好ましい。粘度が前記範囲より大きいと、塗布液の対流が十分に発生せず、表面凹凸の高さが不十分となる。前記塗布液の粘度は、JIS Z 8803に従い、単一円筒形回転粘度計により測定することができる。測定時の塗布液温度は、実際の塗布環境温度で行う。
【0150】
アンチグレア層を形成するための塗布液の塗工方法としては、特に制限されず、公知の塗工方法が採用できる。塗工方法としては、ワイヤバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。塗布後の厚みは、塗布直後、溶剤乾燥前の溶液の状態で、平均厚みで10μm以上であることが好ましく、平均厚みで30μm〜100μmであることがより好ましい。塗布後の厚みが、前記範囲より薄いと、表面凹凸の高さが不十分となる。逆に塗布後の厚みが前記範囲より厚いと、表面凹凸高さ、周期が大きくなり、白ぼけが増し、透過画像鮮明性が悪化するため好ましく無い。
【0151】
上記アンチグレア層を構成する塗布液を塗工した後、これを乾燥及び硬化させることにより、表面に凹凸を有するアンチグレア層を形成することができる。
【0152】
乾燥温度及び乾燥時間は、アンチグレア層を構成する塗布液の溶剤や有機樹脂材料の種類、基材フィルムの種類に応じて適宜設定される。乾燥温度は、通常、室温から基材フィルムのガラス転移温度以下の範囲である。
【0153】
アンチグレア層の塗膜を得てこれを乾燥した後は、熱硬化型樹脂を含有する場合には加熱することにより、活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する場合には活性エネルギー線を照射することにより、それぞれ硬化させてアンチグレア層を形成することができる。硬化させる条件は、アンチグレア層を構成する有機樹脂材料の種類によって異なる。
【0154】
有機樹脂材料が、熱硬化型樹脂である場合は、使用する熱硬化型樹脂に適した硬化条件で加熱して、硬化させればよい。
【0155】
有機樹脂材料が、活性エネルギー線硬化型樹脂である場合は、電子線または紫外線の照射によって硬化することができる。電子線硬化の場合は、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000KeVのエネルギーを有する電子線が使用される。紫外線硬化の場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が挙げられる。
【0156】
アンチグレア層の上に低屈折率層を形成する場合は、低屈折率層を構成する塗布液をアンチグレア層の上に塗工し、次いで乾燥することにより得られる。
【0157】
塗工方法としては、ワイヤバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等の公知の塗工方法が挙げられる。
【0158】
低屈折率層の上に防汚層を形成する場合、防汚層の形成方法としては、形成する材料に応じて、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法;化学的気相成長(CVD)法;湿式コーティング法;が挙げられる。
【0159】
本発明のアンチグレア層は、全光線透過率が90%以上であり、かつヘイズが10%以下であることが好ましく、全光線透過率が92%以上であり、かつヘイズが5%以下であることがさらに好ましい。
【0160】
《液晶表示装置の構成》
液晶表示装置は、外部光を利用して、液晶セルを備えた表示ユニットを照明する反射型液晶表示装置であってもよく、表示ユニットを照明するためのバックライトユニットを備えた透過型液晶表示装置であってもよい。前記反射型液晶表示装置では、外部からの入射光を、表示ユニットを介して取り込み、表示ユニットを透過した透過光を反射部材により反射して表示ユニットを照明できる。反射型液晶表示装置では、前記反射部材から前方の光路内に防眩性フィルムや光学部材(特に偏光板と防眩性フィルムとの積層体)を配設できる。例えば、反射部材と表示ユニットとの間、表示ユニットの前面などに防眩性フィルムや光学部材を配設又は積層できる。
【0161】
透過型液晶表示装置において、バックライトユニットは、光源(冷陰極管などの管状光源,発光ダイオードなどの点状光源など)からの光を一方の側部から入射させて前面の出射面から出射させるための導光板(例えば、断面楔形状の導光板)を備えていてもよい。また、必要であれば、導光板の前面側にはプリズムシートを配設してもよい。なお、通常、導光板の裏面には、光源からの光を出射面側へ反射させるための反射部材が配設されている。このような透過型液晶表示装置では、通常、光源から前方の光路内に防眩性フィルムや光学部材を配設又は積層できる。
【0162】
本発明の液晶表示装置は、アンチグレア層を設けると防眩性に優れ、更に低屈折率層を設けた場合は反射防止性にも優れるので視認性が極めて良好である。
【0163】
本発明の液晶表示装置の構成例を図をもって説明する。但し、本発明の液晶表示装置の構成はこれらに限定されるものではない。
【0164】
図2は従来型の液晶表示装置を示す模式図である。ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素や二色性染料等よりなる二色性物質による染色処理、延伸処理を施した吸収型偏光子3aの両側を、アルカリ鹸化処理したTACフィルム保護膜4a、4bを完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせ偏光板3Aを作製する。同様にして吸収型偏光子3bにTACフィルム保護膜4c、4dを貼合した偏光板3Bを作製し、作製した偏光板3A、3Bを、位相差フィルム7a、7bを介してガラス基板2により挟持された液晶セル1の両側に完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる。液晶表示装置の光源ユニット6は、光源、導光板、拡散フィルム、レンズフィルム、反射板等により構成されている。更に偏光板3Aの外側には保護・機能性フィルム5を設け、例えばハードコート効果を付与する。
【0165】
図3は従来型の別の液晶表示装置を示す模式図である。図2の構成において、視野角拡大のために、位相差フィルム7a、7bをガラス基板2と偏光板3A、3Bの間に設けた構成である。
【0166】
図4は従来型の別の液晶表示装置を示す模式図である。図3の構成において、TACフィルム保護膜4b、4cの代わりに位相差フィルム7a、7bを用いて部材の削減を行った構成である。
【0167】
図5は、本発明の液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置の模式図である。
【0168】
液晶セルのガラス基板2上にワイヤグリッドを設け、液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子8aとし、吸収型の偏光板3Aの代わりに用いた例である。
【0169】
図6は、本発明の液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【0170】
図5の構成に対し、光源ユニット側に本発明に係る液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子8bを設けた例である。
【0171】
図7は本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【0172】
本発明に係る液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子8a、8bを液晶セルの両側に用いた例である。図2〜図4の従来型の構成に対し薄膜化が可能である。
【0173】
図8は本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【0174】
保護・機能性フィルム5の替わりに、アンチグレア層9をワイヤグリッド偏光子上に塗設した例である。ワイヤグリッド偏光子2枚を用い、かつアンチグレア層9を塗設した構成の液晶表示装置は、従来型液晶表示装置に対して大幅に薄膜化、部材数の低減が可能である。
【0175】
図9は本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。図6の構成に対し、偏光板3Aに位相差フィルム7aを組み込んだ例である。
【0176】
図10は本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【0177】
図7の構成において、ガラス基板2上に位相差層10a、10bを設けた後、ワイヤグリッド偏光子8a、8bを設けた例である。更に図11では、保護・機能性フィルム5の代わりに、アンチグレア層9をワイヤグリッド偏光子上に塗設した例である。位相差層により視野角拡大効果の高い薄膜の液晶表示装置が得られる。
【0178】
ワイヤグリッド偏光子8a、8bを他の部材と接着するには、接着剤層または粘着剤層を介して行うことが好ましい。接着剤層に用いる接着剤または粘着剤としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や透明性等の観点から、アクリル系のものが好ましい。また、プライマー溶液を介して貼り合わせることも好ましい。プライマー溶液としては、無水マレイン酸変性スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物を、溶媒に溶解させたものなどを好ましく用いることができる。
【0179】
更に、本発明の液晶表示装置は、その目的に応じて、反射防止フィルム等の機能性フィルムを適宜貼合することができる。
【0180】
本発明の液晶表示装置は、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型、VA(Vertical Alignment)、MVA(Multiple Vertical Alignment)型、IPS(In Plane Switching)型、OCB(Optical Compensated Bend)型等の半透過型、反射型等、あらゆる液晶セルを好ましく用いることができる。
【実施例】
【0181】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0182】
〈アンチグレアフィルム AG−1の作製〉
アクリル樹脂[サイクロマーP(ACA)320M、ダイセル化学工業社製]
13部
セルロースアセテートプロピオネート(CAP−482−20、イーストマン社製)
2.5部
UV硬化モノマー(DPHA、ダイセル・ユ−シービー社製) 15部
光重合開始剤(イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ社製)
1.5部
メチルエチルケトン 50部
1−ブタノール 14部
1−メトキシ−2−プロパノール 4部
上記組成物を混合、溶解後、この溶液を、ワイヤバー#24を用いて市販のセルロースアシレートフィルム(KC8UY、コニカミノルタオプト社製、以下 TACフィルム F−1)上に塗布した。これを、80℃で乾燥後、UV硬化処理した。さらに、低屈折率層として、熱硬化性含フッ素化合物塗工液(LR204−6、日産化学社製製)をワイヤバー#5を用いて塗布し、乾燥後、90℃で5分間熱硬化させ、アンチグレアフィルムAG−1を作製した。アンチグレア層の下記測定法による十点平均粗さRzは0.6μmであった。
【0183】
(十点平均粗さRzの測定)
アンチグレア層の表面の凹凸の高さとして表される十点平均粗さRzは、JIS B0601−1994に準じて、光学干渉式表面粗さ計RST/PLUS(WYKO社製)を使用して、1.2mm×0.9mmの面積に対して求めた。
【0184】
《偏光板の作製》
〈偏光板P−1の作製〉
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で6倍縦延伸を行い、偏光膜を作製した。これに、ケン化処理したTACフィルムF−1を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の両面に貼合し、偏光板P−1を作製した。
【0185】
〈偏光板P−2の作製〉
偏光膜の片面に、TACフィルムF−1を、もう片面に位相差フィルムである、セルロースアシレートフィルム(KC8UCR、コニカミノルタオプト社製、以下 TACフィルム F−2)を、その面内遅相軸と偏光膜の透過軸が平行になるように貼合した以外は偏光板P−1と同様の操作を行い、位相差フィルム積層偏光板P−2を作製した。
【0186】
〈偏光板P−3の作製〉
ポリカーボネートフィルムを延伸し、厚さ50μm、Ro=250nm、Nz=0.5の位相差フィルムF−3を作製した。このフィルムと偏光膜を、位相差フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸が平行となるように、また、もう片面にTACフィルムF−1を、それぞれ貼合し、位相差フィルム積層偏光板P−3を作製した。
【0187】
(レターデ−ションの測定)
アッベ屈折率計(4T)を用いてフィルム構成材料の平均屈折率を測定した。また、市販のマイクロメーターを用いてフィルムの厚さを測定した。
【0188】
自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下24時間放置したフィルムにおいて、同環境下、波長が589nmにおけるフィルムのレターデーション測定を行った。上述の平均屈折率と膜厚を入力し、面内レターデーション(Ro)及び厚み方向のレターデーション(Rth)、及びNzの値を得た。
【0189】
Ro=(nx−ny)×d
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
《ワイヤグリッド偏光子の作製》
〈ワイヤグリッド偏光子G−1の作製〉
所定の電極パターンを有するガラス基板G−0(液晶セル用ガラス板(日本板硝子(株)製「Hコートガラス」)厚さ 0.55mm)の電極パターンとは反対側の面上に、蒸着により、120nm厚のアルミニウム層を成膜した後、さらにスピンコートによりフォトレジスト層を塗設した。続いて、ArFレーザー(波長193nm)の二光束干渉露光により、縞状パターン(ピッチ200nm、巾100nm)を形成し、現像後、ドライエッチングでアルミニウムを除去し、ワイヤグリッド偏光子G−1を作製した。
【0190】
〈ワイヤグリッド偏光子G−2の作製〉
塗布基材として、TACフィルムF−1の代わりに偏光子G−1を用いた以外は、AG−1の作製と同様の操作を行い、アンチグレア層付きワイヤグリッド偏光子G−2を作製した。
【0191】
〈ワイヤグリッド偏光子G−3の作製〉
ガラス基板G−0上に、下記組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した後、形成した膜にラビング処理を実施した。
【0192】
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
【0193】
【化6】
【0194】
配向膜上に、下記塗布液を#3のワイヤバーで塗布した。これを、130℃で2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、130℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷し、位相差層を形成した。(Ro=40nm、円盤面とガラス基板間の傾斜角=42°)
下記円盤状液晶性化合物 41.01質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製) 4.06質量部
セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製) 0.90質量部
セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)
0.23質量部
光重合開始剤(イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ社製)
1.35質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.45質量部
メチルエチルケトン 102質量部
【0195】
【化7】
【0196】
さらに、この位相差層の上に、G−1と同様の操作を行い、ワイヤグリッド層を形成、位相差層付きWG偏光子G−3を作製した。
【0197】
〈ワイヤグリッド偏光子G−4の作製〉
ワイヤグリッド偏光子G−3を基材として、AG−1の作製と同様の操作を行い、アンチグレア層及び位相差層付きワイヤグリッド偏光子G−4を作製した。
【0198】
《液晶セルの作製》
〈液晶セルC−0の作製〉
光配向法を用いて液晶セルC−0を作製した。
【0199】
1.所定の電極パターンを有するガラス基板G−0に、側鎖型の垂直配向膜(日産化学工業製SE・1211)を厚さ500Åで塗布し、焼成する。
【0200】
2.フォトマスクをガラス基板上にセットし、セッティングで紫外光を斜め方向から照射する。ここでは、波長254nmを中心に持つバンドパスフィルタを用い、波長254nmにおける照度は1.35mWで、照射時間は3分間とする。なお、照射角度はガラス基板の法線から45度である。
【0201】
3.次に、フォトマスクを半ピッチずらして、開口部が上記2.の非照射部に合うようにセットし、上記2.とは180度反対の方向から紫外光を照射する。この場合、照射する紫外光の照度、時間、角度は上記2.で述べたものと全く同じである。
【0202】
4.上記2.、3.と全く同じ操作を反対側の基板にも施す。このとき、次の5.で述べるようにプレティルト角が上下の基板間で揃う必要があるため、フォトマスクの位置合わせには十分注意する。
【0203】
5.二枚の基板を、プレティルト角が上下の基板で揃うようにギャップコントロール材(触媒化成工業製シリカビーズ4.0μm)を介して重ね合わせ、メインシール材を硬化させる。
【0204】
6.所定の大きさにガラスを切断した後、垂直配向型液晶(メルク製、△n=0.15)を真空注入法にてセル内に注し、注入口を封止する。
【0205】
このようにして、2ドメインの垂直配向型LCDを作製した。
【0206】
〈液晶セルC−1〜6の作製〉
ガラス基板として、先に作製したワイヤグリッド偏光子を用い、表1記載の構成にて、C−0と同様の操作を行い、液晶セルC−1〜6を作製した。
【0207】
【表1】
【0208】
《液晶表示装置の作製》
表2、表3記載の構成にて、アンチグレア層、偏光板、位相差フィルム、液晶セルを粘着剤を介して、貼合した。これを、垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)に設けられている液晶セル部分と交換し、光源、導光板、拡散板部と一体化して、液晶表示装置1〜10を作製した。
【0209】
【表2】
【0210】
【表3】
【0211】
《液晶表示装置としての評価》
液晶表示装置を室内に設置し、画面輝度、画像コントラスト、耐久性について、以下の基準で目視評価した。
【0212】
(輝度)
比較例−1を基準として、
○:輝度向上が強い
△:輝度向上が弱い
×:輝度向上が認められない
(画像コントラスト)
◎:非常に鮮明に見える
○:鮮明に見える
△:やや不鮮明に見える
×:不鮮明でありはっきり見えない
(耐久性)
作製した各偏光子について、耐久試験(60℃、80%RH、250時間放置)を行った後、パネルを作製し、画像の黒表示について評価した。
【0213】
◎:黒表示が鮮明に見える
○:やや白っぽく見える
△:白っぽく見える
×:白く見える
(厚み)
表2、表3記載の液晶表示装置構成要素のうち、液晶セルを除く要素のおよその厚みを市販のマイクロメーターを用いて測定した。
【0214】
これらの評価結果を表4に示す。
【0215】
【表4】
【0216】
表4より、本発明の液晶表示装置は、優れた輝度、画像コントラスト、耐久性を示していることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0217】
【図1】本発明に係る位相差フィルム一体型ワイヤグリッド偏光素子の模式図である。
【図2】従来型の液晶表示装置の構成を示す模式図である。
【図3】従来型の液晶表示装置の別の構成を示す模式図である。
【図4】従来型の液晶表示装置の別の構成を示す模式図である。
【図5】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置の模式図である。
【図6】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【図7】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【図8】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【図9】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【図10】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【図11】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【符号の説明】
【0218】
1 液晶セル
2 ガラス基板
3a、3b 吸収型偏光子
3A、3B 偏光板
4a、4b、4c、4d TACフィルム保護膜
5 保護・機能性フィルム
6 光源ユニット
7a、7b 位相差フィルム
8a、8b ワイヤグリッド偏光子
9 アンチグレア層
10a、10b 位相差層
100 液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子
110 金属グリッド
120 基板
t 金属グリッド高さ
w 金属グリッド幅
p 金属グリッドピッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関し、詳しくは液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、広く用いられている液晶表示装置は、偏光子としてPVA/ヨウ素を用いていることから、様々な制約、課題がある。第一に、偏光子が吸収型であるため、原理的に光の有効利用効率が最大50%となることである。これは、別途、住友3M社製のDBEF等に代表される輝度向上フィルムを用い、残り50%の光の一部を再利用することで利用効率を上げることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)が、部材点数増による透明性、画質の低下、また工数増によるコスト増、生産性低下といった問題がある。
【0003】
第二の課題として、PVA/ヨウ素偏光子の耐水性が低く、特に高湿熱下において、偏光度の低下や画面の表示ムラを引き起こす。これについては、PVA/ヨウ素偏光子の保護膜としてCOP等の低透湿性フィルムを用いる提案がなされている(例えば、特許文献2参照。)が、このようなフィルムは、疎水性であるためPVAとの接着性が悪い。また接着工程において、その低透湿性のために接着剤の乾燥性が悪く、そのため片面をTACフィルム等の透湿性フィルムとしているのが現状である。また、両面への貼合を容易にするために、硬化性接着剤を用い、乾燥レスとすることが提案されているが、PVA中に残存する水分が偏光板から抜けにくいため、高温下での偏光板の耐久性が低下する問題がある。
【特許文献1】特開2003−43261号公報
【特許文献2】特開2003−211588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の目的は、従来の吸収型偏光子を用いた偏光板に代わり、液晶セルの基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置によって、従来の吸収型偏光子を用いた偏光板を使用した液晶表示装置に比較し、視野角拡大効果、輝度向上効果、部材削減による透明度/画質向上効果、フィルムのケン化/貼合処理等の工数削減効果、更には耐久性(耐湿熱性)が向上した視認性の高い液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
【0006】
1.液晶層を2枚の基板で挟んだ液晶セルを有する液晶表示装置において、該液晶セルの少なくとも一方の基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を有することを特徴とする液晶表示装置。
【0007】
2.前記液晶セルの基板とワイヤグリッドの間に位相差層が形成されていることを特徴とする前記1に記載の液晶表示装置。
【0008】
3.前記位相差層が円盤状液晶性化合物を含むことを特徴とする前記2に記載の液晶表示装置。
【0009】
4.前記液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子が前記液晶セルの両面に形成されていることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、従来の吸収型偏光子を用いた偏光板に代わり、液晶セルの基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置によって、従来の吸収型偏光子を用いた偏光板を使用した液晶表示装置に比較し、視野角拡大効果、輝度向上効果、部材削減による透明度/画質向上効果、フィルムのケン化/貼合処理等の工数削減効果、更には耐久性(耐湿熱性)が向上した視認性の高い液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】
本発明者らは、上記課題に対し検討を加えた結果、請求項1の発明では、液晶層を2枚の基板で挟んだ液晶セルを有する液晶表示装置において、該液晶セルの少なくとも一方の基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を有することを特徴とする液晶表示装置により、従来の吸収型偏光子を用いた偏光板の使用に比較し、視野角拡大効果、輝度向上効果、部材削減による透明度/画質向上効果、フィルムのケン化/貼合処理等の工数削減効果、更には耐久性(耐湿熱性)が向上した視認性の高い液晶表示装置が得られることを見出したものである。
【0013】
本発明に係る液晶セルの基板上にワイヤグリッドが形成されている偏光子(液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子)は、液晶セルの基板がワイヤグリッド偏光子の支持体となっており、ワイヤグリッド偏光子が形成された別のフィルムや基材と液晶セルの基板とを貼合して形成されたものではない。
【0014】
また、上記液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子の上に、さらにプロテクト、アンチグレア、反射防止等の各種機能層或いは機能性フィルムを積層しても良い。本発明の液晶表示装置は、液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を用いることが特徴であるが、液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子以外の吸収型偏光子や、光拡散、輝度向上、アンチグレア、反射防止等の各種機能性フィルムを用いても良い。中でも、アンチグレア、反射防止層を有する機能性フィルムであることが望ましい。これらのフィルム及び基板等は液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子に密着していることが好ましく、密着させるためには公知の粘着剤や接着剤を用いることができる。
【0015】
請求項2の発明では、前記液晶セルの基板上に位相差層が形成されており、更に該位相差層上に前記ワイヤグリッドが形成されている偏光子を有することを特徴とする液晶表示装置である。ワイヤグリッド偏光子の場合、上記位相差層の遅相軸に対し、ワイヤグリッドの方向が平行或いは直交するように形成されることが望ましい。
【0016】
請求項3の発明では、前記位相差層が円盤状液晶性化合物を含むことを特徴とし、請求項4の発明では、前記ワイヤグリッド偏光子層が該液晶セルの両面に形成されていることを特徴とすることにより、前記本発明の効果がより向上することを見出したものである。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
《液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子》
偏光子はその方式において大きく二つに大別することができる。ある電場の振動面を持つ光を吸収し、これと直行する電場の振動面を持つ光を透過する吸収型偏光子と、ある電場の振動面を持つ光を反射し、これと直行する電場の振動面を持つ光を透過する非吸収型偏光子である反射散乱型偏光子の2種である。吸収型偏光子においては、片方の偏光を吸収し熱エネルギーに変えるためバックライトからの光を最大半分しか利用することができない。このような偏光子として、PVAフィルム等を基材とし、ヨウ素や有機染料等の二色性材料を吸着・配向させたものや、ポリイミドフィルム等の基材に異方性粒子を配向させたものが知られている。
【0019】
一方、反射散乱型偏光子の場合、偏光子で反射した光を反射板により反射させ再利用することが可能であり、吸収型偏光子と比較してより多くの光を有効利用することができるため、液晶表示装置の輝度を向上させるメリットがある。
【0020】
反射散乱型偏光子にはいくつかの方式が提案されており、ワイヤグリッド、コレステリック液晶、二種類のポリマーの多層膜、海−島構造を有するポリマーブレンドフィルム等が知られている。
【0021】
例えば、特開平9−274108号公報、特開平11−174231号公報には、正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーをブレンドし一軸延伸することで異方性散乱体を作製する方法が提案されている。また、特表平11−509014号公報に開示されているように、光学的連続相の屈折率と光学的異方性を有するドメインの透過軸側の屈折率とを実質的に等しくしたフィルムを形成することにより、所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的に散乱し、散乱光を再利用することにより輝度向上ができる方式もある。
【0022】
本発明の偏光子は、液晶セルの基板上にワイヤグリッドが形成された液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子であることが特徴である。ワイヤグリッド偏光子はグリッド部と光透過部とからなり、この二つの構造が周期的なピッチで配置した構造をしている。ワイヤグリッド偏光子は高い偏光分離能を持っており、現在赤外域では実用化されているが、可視光で利用するためにはピッチを赤外域で使用されている場合より小さくする必要がある。ワイヤグリッド作製は一般的にリソグラフィー法によるが、特開2005−195824号公報に開示されているように、可視光で偏光分離が可能なピッチを作製するためには非常に短波長の紫外光レーザーや電子線等による露光を利用した方法も挙げられている。
【0023】
ワイヤグリッド偏光子の構成について図をもって説明する。図1は本発明に係る液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子の模式図である。図1に示すように液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子100は、液晶セルの基板120上に互いに平行に並んだワイヤグリッド110からなる構造をしている。図1中、pはピッチを表し、tはワイヤグリッドの高さを表し、wはワイヤグリッドの幅を表す。
【0024】
ワイヤグリッド110の材料は特に限定されないが、可視光に対し高い反射率を示し、かつ導電性材料から選択することが好ましい。ワイヤグリッド110の素材は、これらの観点からカーボンナノファイバーなどのナノカーボン等の炭素分子、或いは銀、アルミニウム、ニッケル、ロジウム、または白金等の導電性金属材料を用いることが好ましい。
【0025】
上記ナノカーボンは、公知のカーボン繊維を使用し、繊維径が50〜200nmの範囲にあり、アスペクト比が10〜200の範囲にあるカーボン繊維に、下記表面処理を行うことによって得られる。このようなカーボン繊維は、気相法炭素繊維”VGCFまたはVGNF(いずれも昭和電工製)”シリーズが使用できる。このカーボン繊維の表面にポリアクリルニトリル系、フェノール系、フラン系、ジビニルベンゼン系、不飽和ポリエステル系、ポリイミド系、ジアリルフタレーと系、ビニルエステル系、ポリウレタン系、メラミン系、ユリア系等の有機高分子を付着後、焼成することにより、カーボン繊維の表面にカーボンを固着させて比表面積を増加させ電子導電体としたものである。
【0026】
本発明では可視光の反射率が平坦で、高い反射率が求められることを考慮すると、ワイヤグリッドに、銀、アルミニウム等の導電性金属材料を用いることがより好ましく、コスト面からも特にアルミニウムを用いることが好ましい。
【0027】
ワイヤグリッド偏光子の性能を決定する要因の一つが、ピッチp(nm)と入射光の波長λ(nm)との関係である。ワイヤグリッドのピッチpが波長のほぼ2分の1から2倍の範囲では、特定波長の光に対し偏光分離性能が著しく低下する。このような現象は一般に「レイリー共鳴」と呼ばれており、この共鳴が起こる最も長い波長(最大共鳴波長)λres−maxは下記式(1)で表現されることが知られている。詳細は、Philosophical Magazine,Vol.14.No.79.60(1907)に記載されている。
【0028】
式(1) λres−max=p(n+sinθ)
式中、n、θはそれぞれ基板の屈折率、光の入射角を表す。
【0029】
レイリー共鳴が起こる波長前後においては、ワイヤグリッド偏光子の性能が急激に落ちるため、可視光に対し十分な偏光分離性能を示すためには、最大共鳴波長λres−maxが可視光の波長よりも短くなるようにしなければならない。
【0030】
ワイヤグリッドの高さt(金属厚み)は、ワイヤグリッド偏光子の偏光分離性能から必要な値が決まり、具体的には光の透過率が1%以下であればよく、30nm以上の厚みであれば良好な性能を得ることができる。あまりに金属が薄いと、光の透過が無視できず、偏光分離性能が低下する。逆に金属が厚すぎると、光の利用効率が低下するため、厚みの上限は約200nmである。ワイヤグリッドをアルミニウムで形成する場合、金属厚みは40〜200nm程度であることが望ましい。
【0031】
ワイヤグリッドのピッチpは、0°入射、真空の屈折率n=1において式(1)より導出される最大共鳴波長λres−maxが使用する光の波長以下になればよく、可視光に対しては400nmであれば問題がないことから、ピッチpは380nm以下、100〜200nmが好ましく、偏光の分離能力から160nm以下であることがさらに好ましい。
【0032】
ワイヤグリッドの幅wに関しては、ピッチpの約半分程度のときにワイヤグリッド偏光子の偏光分離性能がよくなり、0.3p<w<0.7pの範囲であることが好ましい。
【0033】
ワイヤグリッドの断面形状は、特に限定されるものではなく、正方形、長方形、台形、円形、楕円形、その他さまざまな形状を持っていてもよい。
【0034】
ワイヤグリッドが基材表面にむき出しの状態である場合、スクラッチ耐性に問題が出やすくなることもあるので、プロテクトフィルム等でカバーすることが好ましい。
【0035】
(ワイヤグリッド偏光子の作製方法)
ワイヤグリッド偏光子の作製方法は特に限定されるものではないが、金属膜を基材上に形成する方法としては、電子線加熱や抵抗加熱による真空蒸着法、スパッター法や、メッキや電解メッキ法、金属化合物などを溶液状態で塗布した後、酸化還元することにより金属膜とする方法などが挙げられ、この中でも、基材との密着性に優れた真空蒸着法、スパッター法、電解メッキ法などが好ましい。また、形成した金属膜から縞状パターンを形成する方法としては、極紫外レーザーを用いた干渉露光法、電子線リソグラフィーを用いた製造方法があげられる。
【0036】
例えば、基材上に120nm程度のアルミニウム層を抵抗加熱蒸着等により製膜し、さらにスピンコートでフォトレジスト層を設ける。続いてArFレーザー(波長193nm)の二光束干渉露光により、透明樹脂フィルム上に縞状パターン(例えば、ピッチ180nm、ライン:スペース≒1:1)を形成し、現像後、ドライエッチングで不要部のアルミニウムを除去し、ワイヤグリッド偏光子を得る。
【0037】
別法として、予め形成した縞状パターンを有する金型を作製し、これに基材との接着性に優れるアクリル等の熱可塑性樹脂や紫外線硬化型樹脂をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、押し出しコーター、或いはスプレー塗布、インクジェット塗布等により塗設し、これを基材に貼合、転写し、転写された縞状パターン上にアルミニウムを抵抗加熱蒸着等により斜め方向から蒸着する。これにより、例えばピッチp150nm、高さ90nm、凸部幅60nmのパターン上に高さ60nmのアルミニウムが蒸着され、ワイヤグリッド偏光子を得る。
【0038】
上記ワイヤグリッド偏光子は液晶表示装置の色味の観点から400〜700nmにおける波長領域での透過率が平坦であることが好ましい。上記の波長領域において透過率の最小値が最大値の90%以上であることが好ましい。更に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上である。
【0039】
また、下記式で表される偏光度Pは99以上、より好ましくは99.5以上、特に好ましくは99.8以上である。
【0040】
偏光度P=((H0−H90)/(H0+H90))1/2×100
H0 :偏光子2枚を組み合わせた時の、平行透過率
H90 :偏光子2枚を組み合わせた時の、直行透過率
《液晶セル及び基板》
本発明に係るワイヤグリッド偏光子の基材としては、前述したように液晶セルの基板であることが特徴である。
【0041】
液晶セルの基板は高度な平面性、平滑性が要求されることから、主に透光性を有するガラス基板が用いられており、本発明のワイヤグリッドは該ガラス基板の液晶セルとは反対側の面、すなわち電極パターン等が形成されている面とは反対側の面に形成される。また、所望の平面性、平滑性を満たす場合には、ガラス基板ではなくプラスチック基板でもよい。プラスチック基板を用いたときは、基板の厚さを0.2mm以下の薄厚にすることが容易であり、そのため表示素子をきわめて薄く、かつ軽量にすることができる。また、基板が薄いために表示が二重像とならず広視角の表示素子を得ることができる。
【0042】
液晶セルの作製方法は、光配向法、スリット法等があるが以下の通りである。
【0043】
〔液晶セルの作製方法1〕
光配向法を用いた場合の液晶セル作製方法について述べる。
【0044】
1.所定の電極パターンを有するガラス基板に、側鎖型の垂直配向膜(日産化学工業製SE・1211)を厚さ500Åで塗布し、焼成する。
【0045】
2.フォトマスクをガラス基板上にセットし、セッティングで紫外光を斜め方向から照射する。ここでは、波長254nmを中心に持つバンドパスフィルタを用い、波長254nmにおける照度は1.35mWで、照射時間は3分間とする。なお、照射角度はガラス基板の法線から45度である。
【0046】
3.次に、フォトマスクを半ピッチずらして、開口部が上記2.の非照射部に合うようにセットし、上記2.とは180度反対の方向から紫外光を照射する。この場合、照射する紫外光の照度、時間、角度は上記2.で述べたものと全く同じである。
【0047】
4.上記2.、3.と全く同じ操作を反対側の基板にも施す。このとき、次の5.で述べるようにプレティルト角が上下の基板間で揃う必要があるため、フォトマスクの位置合わせには十分注意する。
【0048】
5.二枚の基板を、プレティルト角が上下の基板で揃うようにギャップコントロール材(触媒化成工業製シリカビーズ4.0μm)を介して重ね合わせ、メインシール材を硬化させる。
【0049】
6.所定の大きさにガラスを切断した後、垂直配向型液晶(メルク製、△n=0.15)を真空注入法にてセル内に注し、注入口を封止する。
【0050】
このようにして、2ドメインの垂直配向型LCDを作製することができる。
【0051】
〔液晶セルの作製方法2〕
スリット法を用いた湯合の液晶セル作製方法について述べる。
【0052】
1.所定のスリットパターンを含む電極パターンを有したガラス基板に、側鎖型の垂直配向膜(日産化学工業製SE・1211)を厚さ500Åで塗布し、焼成する。この操作は上下基板の両方に施す。
【0053】
2.二枚の基板を対向するような配置で、ギャップコントロール材(触媒化成工業製シリカビーズ4.0μm)を介して重ね合わせ、メインシール材を硬化させる。
【0054】
3.所定の大きさにガラスを切断した後、垂直配向型液晶(メルク製、△n=0.15)を真空注入法にてセル内に注し、注入口を封止する。
【0055】
このようにして、スリットによる斜め電界を用いた2ドメインの垂直配向型LCDを作製することができる。
【0056】
本発明のワイヤグリッドは、前記方法により液晶セルを作製する前のガラス基板に対し形成してもよく、液晶セルを形成した後に、該液晶セルを所望の大きさに切り出して形成してもよい。
【0057】
《位相差層》
本発明は、前記液晶セルの基板上に位相差層が形成され、更に該位相差層上に前記ワイヤグリッドが形成されて、液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子とすることも好ましい態様である。この構成により視野角拡大等の視認性の向上した液晶表示装置が得られる。
【0058】
液晶配向層を形成する際には、いわゆる垂直配向膜を用いても良く、垂直配向膜として特に制限はないが、液晶材料自身が空気界面で垂直配向する場合で、その配向規制力が空気界面と反対の界面まで及ぶ場合には該配向膜は特に必要ではなく、構成が簡素化できる観点からもその方が好ましい。垂直配向膜を使用する場合は、特開2005−148473号公報などに記載されている(メタ)アクリル系ブロックポリマーを含有するブロックポリマー組成物の架橋体からなる配向膜等を用いることも好ましい。
【0059】
本発明に係る位相差層は面内方向における下記式で定義される589nmにおける面内位相差値Roが30〜100nmであり、かつ厚み方向の位相差値Rthが70〜300nmであり、Rth/Roが2〜5の範囲にあることが好ましい。
【0060】
Ro=(nx−ny)×d
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
該位相差層を上記範囲とするためには、位相差層の膜厚制御、紫外線硬化時の温度、チルト角制御、および支持体と空気界面でのプレチルト角の制御を行うことが好ましい。
【0061】
本発明では、位相差層に円盤状化合物を用いることが好ましい。円盤状化合物としては、一般的に、ベンゼンや1,3,5−トリアジン、カリックスアレーンなどのような環状母核を分子の中心に配し、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその側鎖として放射状に置換された構造を指すものである。
【0062】
円盤状化合物として代表的なものは例えば、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.Liq.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されている、ベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体や、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されているシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Soc.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系のマクロサイクルが挙げられる。本発明に好ましい具体的な化合物例を示すと下記のようになる。
【0063】
特に、これら円盤状化合物のなかで、ネマチック配向をとりやすいトリフェニレン誘導体を用いることが好ましい。また、光学補償シ−トとしての耐熱性を考慮すると、これら円盤状化合物の放射状側鎖の末端に反応性の置換基を有することが好ましい。これらの化合物の例を下記に示すが、これに限定されるものではない。
【0064】
これら円盤状化合物は、配向膜を用いることにより、該配向膜上への塗布、加熱配向、冷却の操作だけで、モノドメイン性が得られる。
【0065】
配向膜としては、無機または有機の配向膜が用いられる。金属斜方蒸着膜としてはSiO斜方蒸着膜が、また有機配向膜としてはラビングされたポリイミド膜が代表的なものであるが、その他ラビングしたアルキル変性ポバールやラビングしたシリル化剤で処理したガラス基板またはラビングしたゼラチン膜などが用いられる。しかし、ラビングする代わりにポリビニルアルコールの薄膜を4〜5倍に延伸したり、特別に上記の保護膜を設けないで直接ガラス基板をラビングしたりするなどの方法も用いることができる。
【0066】
【化1】
【0067】
【化2】
【0068】
【化3】
【0069】
また、本発明の位相差層として用いられる液晶材料として、重合性液晶材料を用いることも好ましい。重合性液晶材料は、所定の活性放射線を照射することにより重合させて用いることができ、重合させた状態では配向状態は固定化されているので、重合性液晶材料を用いる場合には、液晶相となる温度の下限は特に限定されるものではない。
【0070】
重合性液晶材料としては、重合性液晶モノマー、重合性液晶オリゴマー、もしくは重合性液晶ポリマーのいずれかを用いることができ、相互に混合して用いることもできる。重合性液晶材料は、配向状態を固定化することが可能であるので、液晶の配向を低温で容易に行うことが可能であり、かつ使用に際しては配向状態が固定化されているので、温度等の使用条件にかかわらず使用することができる。
【0071】
重合性液晶材料としては、上記のうちでも、特に重合性液晶モノマーが好適に用いられる。重合性液晶モノマーは、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマーと比較して、より低温で配向が可能であり、かつ配向に際しての感度が高いことから、配向させることが容易だからである。
【0072】
具体的な重合性液晶モノマーとしては、下記の一般式(1)で表される棒状液晶性化合物(I)、および下記の一般式(2)で表される棒状液晶性化合物(II)を挙げることができる。化合物(I)としては、一般式(1)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することもでき、同様に、化合物(II)としては、一般式(2)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することもできる。また、化合物(I)を1種以上と化合物(II)を1種以上を混合して使用することもできる。
【0073】
【化4】
【0074】
【化5】
【0075】
化合物(I)を表す一般式(1)において、R1およびR2はそれぞれ水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR1およびR2は共に水素であることが好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、もしくはニトロ基のいずれであっても差し支えないが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、化合物(I)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環とのスペーサであるアルキレン基の鎖長を示すaおよびbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数を取り得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物は、安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、aおよびbがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物は、アイソトロピック転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどちらも液晶性を示す温度範囲が狭く好ましくない。
【0076】
化合物(I)は任意の方法で合成することができる。例えば、Xがメチル基である化合物(I)は、1当量のメチルヒドロキノンと2当量の4−(m−(メタ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応により得ることができる。エステル化反応は、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物などで活性化し、これとメチルヒドロキノンとを反応させるのが通例である。また、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて、カルボン酸単位とメチルヒドロキノンを直接反応させることもできる。これ以外の方法としては、1当量のメチルヒドロキノンと、2当量の4−(m−ベンジルオキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応をまず行い、次いで得られたエステルを水素添加反応等により脱ベンジル化した後、分子末端をアクリロイル化する方法によっても、化合物(I)を合成することができる。メチルヒドロキノンと4−(m−ベンジルオキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応を行うに際しては、メチルヒドロキノンをジアセテートに導入した後、上記の安息香酸と溶融状態で反応させ、直接エステル体を得ることも可能である。一般式(1)のXがメチル基でない場合の化合物(I)も、対応する置換基を有するヒドロキノンを、メチルヒドロキノンの代わりに用いて上と同様の反応を行うことにより得ることができる。
【0077】
化合物(II)を表す一般式(2)において、R3は水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR3は水素であることが好ましい。アルキレン基の鎖長を示すcに関して言えば、この値が2〜12である化合物(II)は液晶性を示さない。しかしながら、液晶性を持つ化合物(I)との相溶性を考慮すると、cは4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがより好ましい。化合物(II)も任意の方法で合成可能であり、例えば、1当量の4−シアノフェノールと1当量の4−(n−(メタ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応により化合物(II)を合成することができる。このエステル化反応は化合物(I)を合成する場合と同様に、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物などで活性化し、これと4−シアノフェノールとを反応させるのが一般的である。また、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて上記安息香酸と4−シアノフェノールを反応させてもよい。
【0078】
以上の他、本発明においては、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマー等を用いることが可能である。このような重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマーとしては、従来提案されているものを適宜選択して用いることが可能である。
【0079】
本発明においては、上記円盤状化合物、重合性液晶材料に加え、必要に応じて光重合開始剤を用いてもよい。電子線照射により重合性液晶材料を重合させる際には、光重合開始剤が不要な場合があるが、一般的に用いられている例えば紫外線(UV)照射による硬化の場合においては、通常光重合開始剤が重合促進のために用いられるからである。
【0080】
光重合開始剤としては、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、もしくは1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。光重合開始剤の添加量としては、一般的には0.01%〜20%が好ましく、より好ましくは0.1%〜10%であり、もっと好ましくは0.5%〜5%の範囲で、本発明の円盤状化合物や重合性液晶材料に添加することができる。尚、光重合開始剤の他に、本発明の目的が損なわれない範囲で増感剤を添加することも可能である。
【0081】
本発明における液晶層の膜厚は0.1μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、0.2〜10μmの範囲内であることがより好ましい。本発明の液晶層が上記範囲を超えて厚くなると必要以上の光学異方性が生じてしまい、また上記範囲より薄いと所定の光学異方性が得られない場合がある。よって、液晶層の膜厚は、本発明に必要な光学異方性に準じて決定すればよい。
【0082】
円盤状化合物、重合性液晶材料は、必要に応じて光重合開始剤、増感剤等を配合して液晶層形成用組成物を調製して用い、基材上に塗工し、液晶層形成用層を形成する。液晶層形成用層を形成する方法としては、例えばドライフィルム等を予め形成してこれを液晶層形成用層としたものを基材上に積層する方法や、液晶層形成用組成物を融解させて基材上に塗工する方法等をとることも可能であるが、本発明においては、液晶層形成用組成物としては溶媒を加えて、その他の成分を溶解した塗工用組成物を用いて基材上に塗工し、溶媒を除去することにより液晶層形成用層を形成することが好ましい。これは、他の方法と比較して工程上簡便である。
【0083】
溶媒としては、上述した円盤状化合物、重合性液晶材料等を溶解することが可能な溶媒であり、かつ透明樹脂フィルムの性状を低下させない溶媒であれば特に限定されるものではなく、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類;メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、もしくは2,4−ペンタンジオン等のケトン類;酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、もしくはγ−ブチロラクトン等のエステル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、もしくはジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、もしくはオルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、もしくはブチルセルソルブ等のアルコール類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種または2種以上が使用可能である。
【0084】
単一種の溶媒を使用しただけでは、円盤状化合物、重合性液晶材料等の溶解性が不充分であったり、上述したように基材が侵食される場合がある。しかし2種以上の溶媒を混合使用することにより、この不都合を回避することができる。上記した溶媒のなかにあって、単独溶媒として好ましいものは、炭化水素系溶媒とグリコールモノエーテルアセテート系溶媒であり、混合溶媒として好ましいのは、エーテル類またはケトン類と、グリコール類との混合系である。溶液の濃度は、円盤状化合物、重合性液晶材料等の溶解性や製造しようとする液晶層の膜厚に依存するため一概には規定できないが、通常は1%〜60%が好ましく、より好ましくは3%〜40%の範囲で調整される。
【0085】
本発明に用いられる液晶層形成用組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、上記以外の化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族もしくは脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物、またはアクリル基もしくはメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。本発明の液晶層形成用組成物に対するこれら化合物の添加量は、本発明の目的が損なわれない範囲で選択され、一般的には、本発明の液晶層形成用組成物の40%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下である。これらの化合物の添加により、本発明における液晶材料の硬化性が向上し、得られる液晶層の機械強度が増大し、またその安定性が改善される。
【0086】
また、溶剤を配合した液晶層形成用組成物には、塗工を容易にするために界面活性剤等を加えることができる。添加可能な界面活性剤を例示すると、イミダゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面活性剤;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、第一級あるいは第二級アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリエチレングリコールおよびそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族あるいは芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物等の陰イオン系界面活性剤;ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活性剤;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン系界面活性剤;パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル・親油基含有オリゴマーパーフルオロアルキル基含有ウレタン等のフッ素系界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、液晶材料の種類、溶媒の種類、さらには溶液を塗工する配向膜の種類にもよるが、通常は溶液に含まれる重合性液晶材料の10ppm〜10%が好ましく、より好ましくは100ppm〜5%であり、もっと好ましくは0.1〜1%の範囲である。
【0087】
液晶層形成用組成物を塗工する方法としては、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、ブレードコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、もしくは押し出しコート法等が挙げられる。液晶層形成用組成物を塗工した後、溶媒を除去する方法としては、例えば、風乾、加熱除去、もしくは減圧除去、さらにはこれらを組み合わせる方法等により行われる。溶媒が除去されることにより、液晶層形成用層が形成される。
【0088】
円盤状化合物、重合性液晶材料を硬化させる工程では、硬化させるためのエネルギーが与えられ、熱エネルギーでもよいが、通常は、重合を起こさせる能力がある電離放射線の照射によって行う。電離放射線としては、重合性液晶材料を重合せさることが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光または可視光線が使用され、波長が150〜500nmの光が好ましく、より好ましくは250〜450nmであり、より好ましくは300〜400nmの波長の紫外線である。
【0089】
本発明においては、紫外線(UV)を活性放射線として照射し、紫外線で重合開始剤からラジカルを発生させ、ラジカル重合を行わせる方法が好ましい。活性放射線としてUVを用いる方法は、既に確立された技術であることから、用いる重合開始剤を含めて、本発明への応用が容易である。
【0090】
この紫外線を照射するための光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、もしくはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)等を挙げることができる。なかでもメタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等の使用が推奨される。照射強度は、液晶層を形成している重合性液晶材料の組成や光重合開始剤の多寡によって適宜に調整すればよい。
【0091】
活性放射線の照射による配向固定化工程は、上述した液晶層形成用層を形成する工程における処理温度、すなわち重合性液晶材料が液晶相となる温度条件で行ってもよく、また液晶相となる温度より低い温度で行ってもよい。一旦液晶相となった円盤状化合物、重合性液晶材料は、その後温度を低下させても、配向状態が急に乱れることはない。
【0092】
《アンチグレア層》
本発明は、液晶セルに対して視認側に位置するワイヤグリッド偏光子の表面にアンチグレア層を有することが好ましい。アンチグレア層は直接、または他の層を介して該偏光子表面に形成されるか、アンチグレア層を有する機能性フィルムを該偏光子に貼合することで得られる。
【0093】
本発明においてアンチグレア層とは、液晶表示装置やCRTなどの表示装置の見やすさを向上させるために、例えば蛍光灯の光などが画面に写るのを防ぐ働きをするもので、この光を乱反射させる機能を有する層をいい、有機樹脂材料を成分として含むことが好ましい。
【0094】
アンチグレア層を構成する有機樹脂材料としては、アンチグレア層におけるバインダーとしての性質を有し、アンチグレア層形成後の皮膜として十分な強度を持ち、さらに透明性のあるものを特に制限なく使用できる。前記樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化型樹脂が挙げられるが、皮膜の強度、加工性の点で、熱硬化型樹脂または活性エネルギー線硬化型樹脂が好ましい。
【0095】
熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられ、中でも、表面硬度、耐繰り返し疲労性及び耐擦傷性に優れる観点から、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂が好ましい。
【0096】
また、これらの樹脂に必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えて使用することができる。
【0097】
活性エネルギー線硬化型樹脂は、分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー及び/またはモノマーが、エネルギー線の照射により硬化してなる樹脂である。活性エネルギー線は、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合または架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は紫外線または電子線を用いる。
【0098】
紫外線および電子線硬化型樹脂としては特に制限はなく、従来から使用されているものの中から、適宜選択して用いることができる。この紫外線硬化型樹脂は、光重合性プレポリマー、または光重合性モノマー、光重合開始剤や光増感剤を含有するものである。また、電子線硬化型樹脂は、光重合性プレポリマーまたは光重合性モノマーを含有するものである。
【0099】
前記光重合性プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系等が挙げられる。これらの光重合性プレポリマーは1種用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また,光重合性モノマーとしては、例えばポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0100】
本発明においては、プレポリマーとしてウレタンアクリレート系、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を用いることが好ましい。
【0101】
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられる。また、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。
【0102】
本発明においては、アンチグレア層は、前記熱硬化型樹脂または活性エネルギー線硬化型樹脂と、微粒子とからなるものが好ましい。アンチグレア層が、前記構成をとることにより、表面凹凸形状を実現することができる。
【0103】
前記微粒子としては、平均粒子径が5〜100nm、好ましくは10〜50nmのものを用いる。平均粒子径は、500個の粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)等により得られる二次電子放出のイメージ写真からの目視やイメージ写真を画像処理することにより、または動的光散乱法、静的光散乱法等を利用する粒度分布計等により計測することができる。ここでいう平均粒子径は、個数平均粒子径をさす。以下同様である。
【0104】
より具体的には、上記粒子径を有する微粒子であればよいが、導電性微粒子が好ましい。前記微粒子として、導電性微粒子を用いることにより、帯電防止性、機械的強度に優れるアンチグレア層を得ることができる。加えて、アンチグレア層の屈折率を容易に制御することができる。
【0105】
導電性微粒子は、導電性を有する微粒子であれば特に制約はないが、透明性に優れることから、金属酸化物の微粒子が好ましい。
【0106】
導電性の金属酸化物としては、例えば、五酸化アンチモン、酸化スズ、リンがドープされた酸化スズ(PTO)、アンチモンがドープされた酸化スズ(ATO)、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)、スズがドープされた酸化インジウム(ITO)、亜鉛がドープされた酸化インジウム(IZO)、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛(AZO)、酸化亜鉛/酸化アルミニウム、アンチモン酸亜鉛等が挙げられる。これらの金属酸化物微粒子は一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、透明性に優れること等から、五酸化アンチモン及び/またはリンがドープされた酸化スズの使用が好ましい。
【0107】
また本発明においては、導電性の金属酸化物微粒子として、導電性を持たない金属酸化物微粒子に、導電性金属酸化物を被覆することによって、導電性を付与したものを使用することもできる。例えば、屈折率は高いが導電性を有しない酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の微粒子の表面に、前記導電性金属酸化物を被覆して導電性を付与して用いることができる。
【0108】
本発明においては、アンチグレア層における微粒子の含有量は、少なくとも30体積%であることが好ましく、40〜60体積%であることがさらに好ましい。前記微粒子の含有量が前記範囲よりも少ないとアンチグレア層の表面凹凸の高さが不十分となり、逆に多いとアンチグレア層の強度が不十分となる傾向がある。
【0109】
本発明においては、アンチグレア層の表面の凹凸の高さは、十点平均粗さRzで0.1〜0.8μm、好ましくは0.2〜0.7μmである。前記凹凸の高さが前記範囲より小さいと防眩性が不十分となり、逆に大きいと散乱が大きくなりすぎて、画像表示装置に用いたときヘイズが大きくなったり、画像鮮明性が低下したり、さらに画像表示を黒表示にしたときの白味も強くなる。
【0110】
アンチグレア層の表面の凹凸の高さとして表される十点平均粗さRzは、JIS B0601−1994に準じて、例えば、ダイヤモンドからなる先端部を頂角55度の円錐形とした直径1mmの測定針を介して凹凸構造面上を一定方向に3mmの長さで走査し、その場合の測定針の上下方向の移動変化を測定してそれを記録した表面粗さ曲線として知見を得ることができる。或いは光学干渉式表面粗さ測定機によっても測定することができる。
【0111】
本発明においては、アンチグレア層の表面の凹凸の周期の範囲は、通常4〜100μm、好ましくは10〜80μmである。前記凹凸の周期が前記範囲よりも小さいと防眩性が不十分となり、逆に大きいと画像表示装置に用いたときにギラツキが生じてしまう。
【0112】
アンチグレア層の周期は、前述の表面粗さ曲線における凹凸変化が微小な部分に基づいて表面粗さ曲線の凹凸変化が凸部として評価できる基準線を想定し、その基準線からの当該凸部の高さの平均を中心線として、表面粗さ曲線がその中心線を下から上(または上から下)に通過する際の交点に基づきその交点間の距離の平均として定義することができる。
【0113】
本発明においては、アンチグレア層の平均傾斜角は、3度以下、好ましくは2度以下である。アンチグレア層の平均傾斜角が前記範囲よりも大きいと、散乱が大きくなりすぎて、画像表示装置に用いたときヘイズが大きくなったり、画像鮮明性が低下したり、さらに画像表示を黒表示にしたときの白味が強くなる。
【0114】
平均傾斜角は、前述の表面粗さ曲線における前記した凹凸変化が微小な部分の勾配に基づいてその勾配の絶対値の平均として定義することができる。
【0115】
本発明においては、アンチグレア層の凸部を主面側からみたときの形状が、多角形になっていることが好ましい。前記形状が、多角形になっていることにより、防眩性と、白ボケ防止および透過画像鮮明性との両立が可能となる。多角形としては、五角形、六角形、八角形が挙げられる。前記形状は、これらが2種以上組み合わさったものでもよい。
【0116】
本発明においては、アンチグレア層の屈折率は、好ましくは1.55以上、より好ましくは1.60以上である。アンチグレア層の屈折率がこの範囲にあると、アンチグレア層上に低屈折率層を設けた場合に、外光の反射を抑制し、写り込みを防止することができる。屈折率は、例えば、公知の分光エリプソメーターを用いて測定して求めることができる 本発明においては、アンチグレア層は、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板)で「HB」以上の硬度を示すことが好ましい。アンチグレア層の鉛筆硬度が前記範囲であることにより、アンチグレア層がハードコート層を兼ねることができ、部材を薄くすることができ好ましい。
【0117】
アンチグレア層の厚みは、1〜30μmの範囲であることが好ましい。
【0118】
本発明においては、アンチグレア層の上に、更に屈折率が1.25〜1.37である低屈折率層を有することが好ましい。低屈折率層を有することにより、本発明の液晶表示装置に反射防止性を備えることができる。
【0119】
本発明において、低屈折率層を構成する材料としては、屈折率が上記範囲である層を構成する材料であれば特に制限されないが、屈折率の制御が容易である点及び耐水性に優れる点で、エアロゲルが好ましい。
【0120】
エアロゲルは、マトリックス中に微小な気泡が分散した透明性多孔質体である。気泡の大きさは大部分が200nm以下であり、気泡の含有量は通常10体積%以上60体積%以下、好ましくは20体積%以上40体積%以下である。
【0121】
微小な気泡が分散したエアロゲルの具体例としては、シリカエアロゲル、中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体が挙げられる。
【0122】
シリカエアロゲルは、米国特許第4402927号公報、米国特許第4432956号公報、米国特許第4610863号公報等に開示されているように、アルコキシシランの加水分解重合反応によって得られたシリカ骨格からなる湿潤状態のゲル状化合物を、アルコール或いは二酸化炭素等の溶媒(分散媒)の存在下で、この溶媒の臨界点以上の超臨界状態で乾燥することによって製造することができる。超臨界乾燥は、例えばゲル状化合物を液化二酸化炭素中に浸漬し、ゲル状化合物が含む溶媒の全部または一部をこの溶媒よりも臨界点が低い液化二酸化炭素に置換し、この後、二酸化炭素の単独系、或いは二酸化炭素と溶媒との混合系の超臨界条件下で乾燥することによって、行うことができる。また、シリカエアロゲルは、米国特許第5137279号公報、米国特許5124364号公報等に開示されているように、ケイ酸ナトリウムを原料として、上記と同様にして製造しても良い。シリカエアロゲルの屈折率は、シリカエアロゲルの原料配合比によって自由に変化させることができる。
【0123】
また、シリカエアロゲルを用いる場合において、上記のようにしてアルコキシシランの加水分解、重合反応によって得られたゲル状化合物を疎水化処理することによって、シリカエアロゲルに疎水性を付与することが好ましい。このように疎水性を付与した疎水性シリカエアロゲルは、湿気や水等が浸入し難くなり、シリカエアロゲルの屈折率や光透過性等の性能が劣化することを防ぐことができるものである。
【0124】
この疎水化処理は、ゲル状化合物を超臨界乾燥する前、或いは超臨界乾燥中に行うことができる。疎水化処理は、ゲル状化合物の表面に存在するシラノール基の水酸基を疎水化処理剤の官能基と反応させ、疎水化処理剤の疎水基と置換させることによって疎水化するために行うものである。疎水化処理を行う手法としては、疎水化処理剤を溶媒に溶解させた疎水化処理液中にゲルを浸漬し、混合するなどしてゲル内に疎水化処理剤を浸透させた後、必要に応じて加熱して、疎水化反応を行わせる方法があげられる。
【0125】
疎水化処理に用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、キシレン、トルエン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げることができるが、疎水化処理剤が容易に溶解し、かつ、疎水化処理前のゲルが含有する溶媒と置換可能なものであればよく、これらに限定されるものではない。また後の工程で超臨界乾燥が行われる場合、超臨界乾燥の容易な媒体、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、液化二酸化炭素などと同一種類もしくはそれと置換可能なものが好ましい。また疎水化処理剤としては例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0126】
疎水化処理については、特開平5−279011号公報、特開平7−138375号公報に開示されている方法を用いることもできる。
【0127】
中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体としては、特開2001−233611号公報、特開2003−149642号公報に開示されているような、微粒子の内部に空隙を持つ中空微粒子をバインダー樹脂に分散させた多孔質体が挙げられる。
【0128】
バインダー樹脂としては中空微粒子の分散性、多孔質体の透明性、多孔質体の強度等の条件に適合する樹脂等から選択して用いることができ、例えば従来から用いられているポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂、これら樹脂の混合物、さらにはこれら樹脂の共重合体や変性体などの塗料用樹脂、またはアルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物・およびその加水分解物等が挙げられる。
【0129】
これらの中でも微粒子の分散性、多孔質体の強度からアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物・およびその加水分解物が好ましい。
【0130】
低屈折率層として中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体を用いる場合には、低屈折率層の反射特性や防汚性を向上させることから、上記樹脂にフッ素樹脂を混合してもよい。
【0131】
中空微粒子は、無機化合物の微粒子であれば、特に制限されないが、外殻の内部に空洞が形成された無機中空微粒子が好ましく、シリカ系中空微粒子の使用が特に好ましい。
【0132】
無機化合物としては、無機酸化物が一般的である。無機酸化物としては、SiO2、Al2O3、B2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、Ce2O3、P2O5、Sb2O3、MoO3、ZnO2、WO3等の1種または2種以上を挙げることができる。2種以上の無機酸化物として、TiO2−Al2O3、TiO2−ZrO2、In2O3−SnO2、Sb2O3−SnO2を例示することができる。これらは1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0133】
無機中空微粒子としては、(A)無機酸化物単一層、(B)種類の異なる無機酸化物からなる複合酸化物の単一層、及び(C)上記(A)と(B)との二重層を包含するものを用いることができる。
【0134】
外殻は細孔を有する多孔質なものであってもよく、或いは細孔が閉塞されて空洞が外殻の外側に対して密封されているものであってもよい。外殻は、内側の第1無機酸化物被覆層及び外側の第2無機酸化物被覆層からなる複数の無機酸化物被覆層であることが好ましい。外側に第2無機酸化物被覆層を設けることにより、外殻の細孔を閉塞させて外殻を緻密化でき、さらには、内部の空洞を密封した無機中空微粒子を得ることができる。特に第2無機酸化物被覆層の形成に含フッ素有機珪素化合物を用いる場合は、フッ素原子を含む被覆層が形成されるために、得られる粒子はより低屈折率となるとともに、有機溶媒への分散性もよく、さらに低屈折率層の防汚性付与にも効果があり好ましい。このような含フッ素有機珪素化合物としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン等をあげることができる。
【0135】
無機中空微粒子の平均粒子径は特に制限されないが、5〜2000nmが好ましく、20〜100nmがより好ましい。5nmよりも小さいと、中空によって低屈折率になる効果が小さく、逆に2000nmよりも大きいと、透明性が極端に悪くなり、拡散反射による寄与が大きくなってしまう。ここで、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡観察による数平均粒子径である。
【0136】
上述のような無機中空微粒子の製造方法は、例えば、特開2001−233611号公報に詳細に記載されており、本発明に使用できる無機中空微粒子は、そこに記載された方法に基づいて製造することができ、また一般に市販されている無機中空微粒子を用いることもできる。
【0137】
無機微粒子の配合量は、特に制限されないが、低屈折率層全体に対して、10〜30質量%であるのが好ましい。無機微粒子の配合量がこの範囲であるときに、低屈折率性と耐擦傷性を兼ね備えた光学積層フィルムを得ることができる。
【0138】
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.25〜1.37、さらに好ましくは1.30〜1.37である。低屈折率層の屈折率を前記範囲にすることにより、防眩性フィルムに反射防止性に加えて、耐擦傷性を付与することができる。
【0139】
低屈折率層の屈折率は、アンチグレア層の屈折率と同様の方法で測定することができる。
【0140】
低屈折率層の厚みは、可視光線の吸収をよくするため、10〜1000nm、好ましくは30〜500nmである。
【0141】
本発明においては、低屈折率層の上に防汚層を有していても良い。防汚層は、低屈折率層を保護し、かつ、防汚性能を高めるために設けるものである。
【0142】
防汚層の形成材料としては、低屈折率層の機能が阻害されず、防汚層としての要求性能が満たされる限り特に制限はない。通常、疎水基を有する化合物を好ましく使用できる。具体的な例としてはパーフルオロアルキルシラン化合物、パーフルオロポリエーテルシラン化合物、フッ素含有シリコーン化合物を使用することができる。防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法;化学的気相成長(CVD)法;湿式コーティング法;等を用いることができる。防汚層の厚みは特に制限はないが、通常20nm以下が好ましく、1〜10nmであるのがより好ましい。
【0143】
本発明の製造方法において、アンチグレア層を形成する塗布液に含まれる揮発性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;及びこれらの2種以上からなる組み合わせ;等が挙げられる。
【0144】
これらの中でも、塗布液の対流を発生させ、表面凹凸を形成するために、ASTM.D3539.76に従い測定した酢酸n−ブチルの蒸発速度を1とした場合の相対蒸発速度で0.7以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。このような有機溶剤としては、メタノール、エタノール、トルエン、n−ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。
【0145】
塗布液における有機溶剤の含有量は、20体積%以上であり、40体積%以上であることが好ましい。前記範囲より少ないと、塗布液の対流が十分に発生しないため、表面凹凸の高さが不十分となる。
【0146】
本発明において、アンチグレア層を形成する塗布液に含まれる平均粒子径が5〜100nmである微粒子の含有量は、少なくとも5体積%であり、好ましくは7〜30体積%である。
【0147】
アンチグレア層を形成するための塗布液に含まれる界面活性剤の含有量は、多くとも1000ppmであり、好ましくは多くとも500ppmであり、最も好ましくは0ppmである。界面活性剤の含有量が前記範囲よりも多いと、塗布液の対流が十分に発生せず、アンチグレア層の表面に凹凸が形成されなくなる。
【0148】
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤が挙げられる。フッ素系の界面活性剤としては、スリーエム社製のフロラードFC−431等のパーフルオロアルキルスルホン酸アミド基含有ノニオン、大日本インキ社製のメガファックF−171、F−172、F−173、F−176PF、F−470、F−471等のパーフルオロアルキル基含有オリゴマー等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等のオリゴマー等の各種の置換基で側鎖や主鎖の末端が変性されたポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
【0149】
アンチグレア層を形成するための塗布液の粘度は50mPa・s以下であることが好ましく、30mPa・s以下であることがより好ましい。粘度が前記範囲より大きいと、塗布液の対流が十分に発生せず、表面凹凸の高さが不十分となる。前記塗布液の粘度は、JIS Z 8803に従い、単一円筒形回転粘度計により測定することができる。測定時の塗布液温度は、実際の塗布環境温度で行う。
【0150】
アンチグレア層を形成するための塗布液の塗工方法としては、特に制限されず、公知の塗工方法が採用できる。塗工方法としては、ワイヤバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。塗布後の厚みは、塗布直後、溶剤乾燥前の溶液の状態で、平均厚みで10μm以上であることが好ましく、平均厚みで30μm〜100μmであることがより好ましい。塗布後の厚みが、前記範囲より薄いと、表面凹凸の高さが不十分となる。逆に塗布後の厚みが前記範囲より厚いと、表面凹凸高さ、周期が大きくなり、白ぼけが増し、透過画像鮮明性が悪化するため好ましく無い。
【0151】
上記アンチグレア層を構成する塗布液を塗工した後、これを乾燥及び硬化させることにより、表面に凹凸を有するアンチグレア層を形成することができる。
【0152】
乾燥温度及び乾燥時間は、アンチグレア層を構成する塗布液の溶剤や有機樹脂材料の種類、基材フィルムの種類に応じて適宜設定される。乾燥温度は、通常、室温から基材フィルムのガラス転移温度以下の範囲である。
【0153】
アンチグレア層の塗膜を得てこれを乾燥した後は、熱硬化型樹脂を含有する場合には加熱することにより、活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する場合には活性エネルギー線を照射することにより、それぞれ硬化させてアンチグレア層を形成することができる。硬化させる条件は、アンチグレア層を構成する有機樹脂材料の種類によって異なる。
【0154】
有機樹脂材料が、熱硬化型樹脂である場合は、使用する熱硬化型樹脂に適した硬化条件で加熱して、硬化させればよい。
【0155】
有機樹脂材料が、活性エネルギー線硬化型樹脂である場合は、電子線または紫外線の照射によって硬化することができる。電子線硬化の場合は、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000KeVのエネルギーを有する電子線が使用される。紫外線硬化の場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が挙げられる。
【0156】
アンチグレア層の上に低屈折率層を形成する場合は、低屈折率層を構成する塗布液をアンチグレア層の上に塗工し、次いで乾燥することにより得られる。
【0157】
塗工方法としては、ワイヤバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等の公知の塗工方法が挙げられる。
【0158】
低屈折率層の上に防汚層を形成する場合、防汚層の形成方法としては、形成する材料に応じて、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法;化学的気相成長(CVD)法;湿式コーティング法;が挙げられる。
【0159】
本発明のアンチグレア層は、全光線透過率が90%以上であり、かつヘイズが10%以下であることが好ましく、全光線透過率が92%以上であり、かつヘイズが5%以下であることがさらに好ましい。
【0160】
《液晶表示装置の構成》
液晶表示装置は、外部光を利用して、液晶セルを備えた表示ユニットを照明する反射型液晶表示装置であってもよく、表示ユニットを照明するためのバックライトユニットを備えた透過型液晶表示装置であってもよい。前記反射型液晶表示装置では、外部からの入射光を、表示ユニットを介して取り込み、表示ユニットを透過した透過光を反射部材により反射して表示ユニットを照明できる。反射型液晶表示装置では、前記反射部材から前方の光路内に防眩性フィルムや光学部材(特に偏光板と防眩性フィルムとの積層体)を配設できる。例えば、反射部材と表示ユニットとの間、表示ユニットの前面などに防眩性フィルムや光学部材を配設又は積層できる。
【0161】
透過型液晶表示装置において、バックライトユニットは、光源(冷陰極管などの管状光源,発光ダイオードなどの点状光源など)からの光を一方の側部から入射させて前面の出射面から出射させるための導光板(例えば、断面楔形状の導光板)を備えていてもよい。また、必要であれば、導光板の前面側にはプリズムシートを配設してもよい。なお、通常、導光板の裏面には、光源からの光を出射面側へ反射させるための反射部材が配設されている。このような透過型液晶表示装置では、通常、光源から前方の光路内に防眩性フィルムや光学部材を配設又は積層できる。
【0162】
本発明の液晶表示装置は、アンチグレア層を設けると防眩性に優れ、更に低屈折率層を設けた場合は反射防止性にも優れるので視認性が極めて良好である。
【0163】
本発明の液晶表示装置の構成例を図をもって説明する。但し、本発明の液晶表示装置の構成はこれらに限定されるものではない。
【0164】
図2は従来型の液晶表示装置を示す模式図である。ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素や二色性染料等よりなる二色性物質による染色処理、延伸処理を施した吸収型偏光子3aの両側を、アルカリ鹸化処理したTACフィルム保護膜4a、4bを完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせ偏光板3Aを作製する。同様にして吸収型偏光子3bにTACフィルム保護膜4c、4dを貼合した偏光板3Bを作製し、作製した偏光板3A、3Bを、位相差フィルム7a、7bを介してガラス基板2により挟持された液晶セル1の両側に完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる。液晶表示装置の光源ユニット6は、光源、導光板、拡散フィルム、レンズフィルム、反射板等により構成されている。更に偏光板3Aの外側には保護・機能性フィルム5を設け、例えばハードコート効果を付与する。
【0165】
図3は従来型の別の液晶表示装置を示す模式図である。図2の構成において、視野角拡大のために、位相差フィルム7a、7bをガラス基板2と偏光板3A、3Bの間に設けた構成である。
【0166】
図4は従来型の別の液晶表示装置を示す模式図である。図3の構成において、TACフィルム保護膜4b、4cの代わりに位相差フィルム7a、7bを用いて部材の削減を行った構成である。
【0167】
図5は、本発明の液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置の模式図である。
【0168】
液晶セルのガラス基板2上にワイヤグリッドを設け、液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子8aとし、吸収型の偏光板3Aの代わりに用いた例である。
【0169】
図6は、本発明の液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【0170】
図5の構成に対し、光源ユニット側に本発明に係る液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子8bを設けた例である。
【0171】
図7は本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【0172】
本発明に係る液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子8a、8bを液晶セルの両側に用いた例である。図2〜図4の従来型の構成に対し薄膜化が可能である。
【0173】
図8は本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【0174】
保護・機能性フィルム5の替わりに、アンチグレア層9をワイヤグリッド偏光子上に塗設した例である。ワイヤグリッド偏光子2枚を用い、かつアンチグレア層9を塗設した構成の液晶表示装置は、従来型液晶表示装置に対して大幅に薄膜化、部材数の低減が可能である。
【0175】
図9は本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。図6の構成に対し、偏光板3Aに位相差フィルム7aを組み込んだ例である。
【0176】
図10は本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【0177】
図7の構成において、ガラス基板2上に位相差層10a、10bを設けた後、ワイヤグリッド偏光子8a、8bを設けた例である。更に図11では、保護・機能性フィルム5の代わりに、アンチグレア層9をワイヤグリッド偏光子上に塗設した例である。位相差層により視野角拡大効果の高い薄膜の液晶表示装置が得られる。
【0178】
ワイヤグリッド偏光子8a、8bを他の部材と接着するには、接着剤層または粘着剤層を介して行うことが好ましい。接着剤層に用いる接着剤または粘着剤としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や透明性等の観点から、アクリル系のものが好ましい。また、プライマー溶液を介して貼り合わせることも好ましい。プライマー溶液としては、無水マレイン酸変性スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物を、溶媒に溶解させたものなどを好ましく用いることができる。
【0179】
更に、本発明の液晶表示装置は、その目的に応じて、反射防止フィルム等の機能性フィルムを適宜貼合することができる。
【0180】
本発明の液晶表示装置は、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型、VA(Vertical Alignment)、MVA(Multiple Vertical Alignment)型、IPS(In Plane Switching)型、OCB(Optical Compensated Bend)型等の半透過型、反射型等、あらゆる液晶セルを好ましく用いることができる。
【実施例】
【0181】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0182】
〈アンチグレアフィルム AG−1の作製〉
アクリル樹脂[サイクロマーP(ACA)320M、ダイセル化学工業社製]
13部
セルロースアセテートプロピオネート(CAP−482−20、イーストマン社製)
2.5部
UV硬化モノマー(DPHA、ダイセル・ユ−シービー社製) 15部
光重合開始剤(イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ社製)
1.5部
メチルエチルケトン 50部
1−ブタノール 14部
1−メトキシ−2−プロパノール 4部
上記組成物を混合、溶解後、この溶液を、ワイヤバー#24を用いて市販のセルロースアシレートフィルム(KC8UY、コニカミノルタオプト社製、以下 TACフィルム F−1)上に塗布した。これを、80℃で乾燥後、UV硬化処理した。さらに、低屈折率層として、熱硬化性含フッ素化合物塗工液(LR204−6、日産化学社製製)をワイヤバー#5を用いて塗布し、乾燥後、90℃で5分間熱硬化させ、アンチグレアフィルムAG−1を作製した。アンチグレア層の下記測定法による十点平均粗さRzは0.6μmであった。
【0183】
(十点平均粗さRzの測定)
アンチグレア層の表面の凹凸の高さとして表される十点平均粗さRzは、JIS B0601−1994に準じて、光学干渉式表面粗さ計RST/PLUS(WYKO社製)を使用して、1.2mm×0.9mmの面積に対して求めた。
【0184】
《偏光板の作製》
〈偏光板P−1の作製〉
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で6倍縦延伸を行い、偏光膜を作製した。これに、ケン化処理したTACフィルムF−1を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の両面に貼合し、偏光板P−1を作製した。
【0185】
〈偏光板P−2の作製〉
偏光膜の片面に、TACフィルムF−1を、もう片面に位相差フィルムである、セルロースアシレートフィルム(KC8UCR、コニカミノルタオプト社製、以下 TACフィルム F−2)を、その面内遅相軸と偏光膜の透過軸が平行になるように貼合した以外は偏光板P−1と同様の操作を行い、位相差フィルム積層偏光板P−2を作製した。
【0186】
〈偏光板P−3の作製〉
ポリカーボネートフィルムを延伸し、厚さ50μm、Ro=250nm、Nz=0.5の位相差フィルムF−3を作製した。このフィルムと偏光膜を、位相差フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸が平行となるように、また、もう片面にTACフィルムF−1を、それぞれ貼合し、位相差フィルム積層偏光板P−3を作製した。
【0187】
(レターデ−ションの測定)
アッベ屈折率計(4T)を用いてフィルム構成材料の平均屈折率を測定した。また、市販のマイクロメーターを用いてフィルムの厚さを測定した。
【0188】
自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下24時間放置したフィルムにおいて、同環境下、波長が589nmにおけるフィルムのレターデーション測定を行った。上述の平均屈折率と膜厚を入力し、面内レターデーション(Ro)及び厚み方向のレターデーション(Rth)、及びNzの値を得た。
【0189】
Ro=(nx−ny)×d
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
《ワイヤグリッド偏光子の作製》
〈ワイヤグリッド偏光子G−1の作製〉
所定の電極パターンを有するガラス基板G−0(液晶セル用ガラス板(日本板硝子(株)製「Hコートガラス」)厚さ 0.55mm)の電極パターンとは反対側の面上に、蒸着により、120nm厚のアルミニウム層を成膜した後、さらにスピンコートによりフォトレジスト層を塗設した。続いて、ArFレーザー(波長193nm)の二光束干渉露光により、縞状パターン(ピッチ200nm、巾100nm)を形成し、現像後、ドライエッチングでアルミニウムを除去し、ワイヤグリッド偏光子G−1を作製した。
【0190】
〈ワイヤグリッド偏光子G−2の作製〉
塗布基材として、TACフィルムF−1の代わりに偏光子G−1を用いた以外は、AG−1の作製と同様の操作を行い、アンチグレア層付きワイヤグリッド偏光子G−2を作製した。
【0191】
〈ワイヤグリッド偏光子G−3の作製〉
ガラス基板G−0上に、下記組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した後、形成した膜にラビング処理を実施した。
【0192】
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
【0193】
【化6】
【0194】
配向膜上に、下記塗布液を#3のワイヤバーで塗布した。これを、130℃で2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、130℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷し、位相差層を形成した。(Ro=40nm、円盤面とガラス基板間の傾斜角=42°)
下記円盤状液晶性化合物 41.01質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製) 4.06質量部
セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製) 0.90質量部
セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)
0.23質量部
光重合開始剤(イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ社製)
1.35質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.45質量部
メチルエチルケトン 102質量部
【0195】
【化7】
【0196】
さらに、この位相差層の上に、G−1と同様の操作を行い、ワイヤグリッド層を形成、位相差層付きWG偏光子G−3を作製した。
【0197】
〈ワイヤグリッド偏光子G−4の作製〉
ワイヤグリッド偏光子G−3を基材として、AG−1の作製と同様の操作を行い、アンチグレア層及び位相差層付きワイヤグリッド偏光子G−4を作製した。
【0198】
《液晶セルの作製》
〈液晶セルC−0の作製〉
光配向法を用いて液晶セルC−0を作製した。
【0199】
1.所定の電極パターンを有するガラス基板G−0に、側鎖型の垂直配向膜(日産化学工業製SE・1211)を厚さ500Åで塗布し、焼成する。
【0200】
2.フォトマスクをガラス基板上にセットし、セッティングで紫外光を斜め方向から照射する。ここでは、波長254nmを中心に持つバンドパスフィルタを用い、波長254nmにおける照度は1.35mWで、照射時間は3分間とする。なお、照射角度はガラス基板の法線から45度である。
【0201】
3.次に、フォトマスクを半ピッチずらして、開口部が上記2.の非照射部に合うようにセットし、上記2.とは180度反対の方向から紫外光を照射する。この場合、照射する紫外光の照度、時間、角度は上記2.で述べたものと全く同じである。
【0202】
4.上記2.、3.と全く同じ操作を反対側の基板にも施す。このとき、次の5.で述べるようにプレティルト角が上下の基板間で揃う必要があるため、フォトマスクの位置合わせには十分注意する。
【0203】
5.二枚の基板を、プレティルト角が上下の基板で揃うようにギャップコントロール材(触媒化成工業製シリカビーズ4.0μm)を介して重ね合わせ、メインシール材を硬化させる。
【0204】
6.所定の大きさにガラスを切断した後、垂直配向型液晶(メルク製、△n=0.15)を真空注入法にてセル内に注し、注入口を封止する。
【0205】
このようにして、2ドメインの垂直配向型LCDを作製した。
【0206】
〈液晶セルC−1〜6の作製〉
ガラス基板として、先に作製したワイヤグリッド偏光子を用い、表1記載の構成にて、C−0と同様の操作を行い、液晶セルC−1〜6を作製した。
【0207】
【表1】
【0208】
《液晶表示装置の作製》
表2、表3記載の構成にて、アンチグレア層、偏光板、位相差フィルム、液晶セルを粘着剤を介して、貼合した。これを、垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)に設けられている液晶セル部分と交換し、光源、導光板、拡散板部と一体化して、液晶表示装置1〜10を作製した。
【0209】
【表2】
【0210】
【表3】
【0211】
《液晶表示装置としての評価》
液晶表示装置を室内に設置し、画面輝度、画像コントラスト、耐久性について、以下の基準で目視評価した。
【0212】
(輝度)
比較例−1を基準として、
○:輝度向上が強い
△:輝度向上が弱い
×:輝度向上が認められない
(画像コントラスト)
◎:非常に鮮明に見える
○:鮮明に見える
△:やや不鮮明に見える
×:不鮮明でありはっきり見えない
(耐久性)
作製した各偏光子について、耐久試験(60℃、80%RH、250時間放置)を行った後、パネルを作製し、画像の黒表示について評価した。
【0213】
◎:黒表示が鮮明に見える
○:やや白っぽく見える
△:白っぽく見える
×:白く見える
(厚み)
表2、表3記載の液晶表示装置構成要素のうち、液晶セルを除く要素のおよその厚みを市販のマイクロメーターを用いて測定した。
【0214】
これらの評価結果を表4に示す。
【0215】
【表4】
【0216】
表4より、本発明の液晶表示装置は、優れた輝度、画像コントラスト、耐久性を示していることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0217】
【図1】本発明に係る位相差フィルム一体型ワイヤグリッド偏光素子の模式図である。
【図2】従来型の液晶表示装置の構成を示す模式図である。
【図3】従来型の液晶表示装置の別の構成を示す模式図である。
【図4】従来型の液晶表示装置の別の構成を示す模式図である。
【図5】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置の模式図である。
【図6】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【図7】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【図8】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【図9】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【図10】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【図11】本発明のワイヤグリッド偏光子を用いた別の液晶表示装置の模式図である。
【符号の説明】
【0218】
1 液晶セル
2 ガラス基板
3a、3b 吸収型偏光子
3A、3B 偏光板
4a、4b、4c、4d TACフィルム保護膜
5 保護・機能性フィルム
6 光源ユニット
7a、7b 位相差フィルム
8a、8b ワイヤグリッド偏光子
9 アンチグレア層
10a、10b 位相差層
100 液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子
110 金属グリッド
120 基板
t 金属グリッド高さ
w 金属グリッド幅
p 金属グリッドピッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶層を2枚の基板で挟んだ液晶セルを有する液晶表示装置において、該液晶セルの少なくとも一方の基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶セルの基板とワイヤグリッドの間に位相差層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記位相差層が円盤状液晶性化合物を含むことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子が前記液晶セルの両面に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
液晶層を2枚の基板で挟んだ液晶セルを有する液晶表示装置において、該液晶セルの少なくとも一方の基板上にワイヤグリッドを形成した液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶セルの基板とワイヤグリッドの間に位相差層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記位相差層が円盤状液晶性化合物を含むことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶セル一体型ワイヤグリッド偏光子が前記液晶セルの両面に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−292909(P2008−292909A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140264(P2007−140264)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
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