液晶表示装置
【課題】 λ/4位相差層の外縁に傾斜面が形成された場合であっても光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる半透過型の液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 互いに対向する一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを備え、かつ透過表示領域と反射表示領域とを有する液晶表示装置であって、上記一対の基板の少なくとも一方は、反射表示領域にλ/4位相差層を備え、上記λ/4位相差層は、外縁に傾斜面を有し、上記液晶表示装置は、表示面側から見たときに、傾斜面と重なる位置に遮光部を有する液晶表示装置である。
【解決手段】 互いに対向する一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを備え、かつ透過表示領域と反射表示領域とを有する液晶表示装置であって、上記一対の基板の少なくとも一方は、反射表示領域にλ/4位相差層を備え、上記λ/4位相差層は、外縁に傾斜面を有し、上記液晶表示装置は、表示面側から見たときに、傾斜面と重なる位置に遮光部を有する液晶表示装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。より詳しくは、携帯電話等のモバイル機器に好適な液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型・軽量・低消費電力といった特長を活かし、幅広い分野で用いられており、近年では、携帯電話等のモバイル機器に搭載されることが多くなっている。そのような中で、モバイル機器は屋外で使用される機会が多いため、映りこみを防止する観点や、低消費電力化を図る観点から、外光とバックライトとの両方を利用して表示を行う半透過型の液晶表示装置が開発されている。半透過型の液晶表示装置は、透過型と反射型との両方のモードで表示する機能を持っている。
【0003】
半透過型の液晶表示装置において、反射表示領域には反射板及びλ/4位相差板が配置される。反射板とは、観察面側から入射してきた光を反射させるための板(膜)であり、半透過型の液晶表示装置では、反射板で反射された光を表示光として用いる。また、λ/4位相差板とは、波長λの透過光について互いに垂直な方向に振動する2つの偏光成分間にλ/4の位相差(リタデーション)を与え、円偏光とすることができるものである。反射表示領域にλ/4位相差板を配置することで、観察面側から入射した光が反射板で反射されたあとに、偏光板を通してそのまま観察面側から出射されることを防ぐことができる。
【0004】
λ/4位相差板を半透過型の液晶表示装置に配置する場合、一般的にλ/4位相差板は、直線偏光子とλ/4位相差板とを含む円偏光板として液晶表示パネルの表示面全体に貼り付けられる。このときλ/4位相差板は、反射表示領域及び透過表示領域の両方に配置されることになる。反射表示領域に入射した光は、液晶表示装置の入射時と出射時とで2度、λ/4位相差板を通過するためそのまま表示光として用いることができるが、透過表示領域でλ/4位相差板が1枚しか配置されていない場合、透過光はλ/4位相差板を1度しか通過しないことになるため、位相差を補償するために更にもう1枚別のλ/4位相差板を設ける必要がある。
【0005】
しかしながら、このようなλ/4位相差板の追加は本来透過表示では不要な追加であり、透過型や反射型の表示装置に比べて製造コストがかかり、また、セルの厚みが増加するという不都合を抱えている。更に、2枚のλ/4位相差板の張り合わせずれによって、コントラスト比が低下するという不都合も生じうる。これに対しては、液晶表示装置の反射部のみにλ/4位相差層を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このような液晶表示装置によれば、透過部において位相差を補償するための新たなλ/4位相差層を追加せずに透過表示を実現することができる。
【0006】
ところで、半透過型の液晶表示装置においては、反射領域では液晶層を2度通過するのに対し、透過領域では液晶層を1度通過するのみである。そのため、光が液晶層を通過する距離が反射領域と透過領域とで異なることになるため、これを補償するために液晶セルギャップ(液晶層の幅)が調整される。液晶セルギャップを調整する方法としては、例えば、TFT基板における層間絶縁膜の厚みを反射領域と透過領域とで異ならせる方法が挙げられる。
【0007】
しかしながら、このように層間絶縁膜を設ける場合、反射領域と透過領域との境界には、傾斜面が形成されることがある。そして、このように傾斜面が形成されると、液晶層の中に液晶分子の配向方向が不連続な領域が生じて液晶分子の配向方向が液晶層内でばらつくことになり、その影響を受けて応答速度の遅れを招くおそれがある。これに対しては、液晶分子の配向方向が不連続な領域を遮光し、表示領域として用いないことで、全体として応答速度を効率よく向上させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−322857号公報
【特許文献2】特開2005−331926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景の下、本発明者らは半透過型の液晶表示装置において反射表示領域にのみλ/4位相差層を配置する方法について種々検討を行ったところ、λ/4位相差層は、基板面を水平方向から見たときに、その外縁部において、特許文献1に記載のような直角に切り立った形状ではなく、膜厚が変化していく傾斜面が形成される場合があることを見いだした。そして、このような傾斜面が形成されることによって生じるλ/4位相差層の薄膜化により、λ/4位相差層の一部で充分なλ/4の位相差が付与されず、黒表示において光漏れが起こり、結果としてコントラスト比の低下を招くことを見いだした。
【0009】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、λ/4位相差層の外縁に傾斜面が形成された場合であっても光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる半透過型の液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、このようにλ/4位相差層の外縁に傾斜面が形成される場合に光漏れを防止することができる半透過型の液晶表示装置について種々検討したところ、反射表示領域の構成に着目した。そして、反射表示領域のうち、表示面側から見たときにλ/4位相差層の傾斜面と重なる領域に遮光部を形成してその領域を反射表示領域として用いないことで、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0011】
すなわち、本発明は、互いに対向する一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを備え、かつ透過表示領域と反射表示領域とを有する液晶表示装置であって、上記一対の基板の少なくとも一方は、反射表示領域にλ/4位相差層を備え、上記λ/4位相差層は、外縁に傾斜面を有し、上記液晶表示装置は、表示面側から見たときに、傾斜面と重なる位置に遮光部を有する液晶表示装置である。
【0012】
以下に本発明の液晶表示装置について詳述する。
【0013】
本発明の液晶表示装置は、互いに対向する一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを備え、かつ透過表示領域と反射表示領域とを有する液晶表示装置である。すなわち、本発明の液晶表示装置は、半透過型の液晶表示装置である。半透過型の液晶表示装置は、バックライト等の光源を利用し、暗い場所でも高い視認性を有する表示を行う透過型と、外部の光を利用し、低消費電力で表示を行う反射型との両方の特徴を併せ持っている。なお、このような液晶表示装置は、反射透過両用型の液晶表示装置とも呼ばれる。
【0014】
反射表示領域は、液晶表示装置外から入射した光を装置内で反射させて表示を行うことができる領域のことであり、例えば、液晶層を挟持する一対の基板のうち、観察面側の基板とは逆の背面側の基板に反射電極を設け、外部から入射した光が液晶層を1度通過し、反射電極で反射して再度液晶層を通過することができるような構成とすることで、反射表示領域を形成することができる。本明細書において反射表示領域とは、反射表示を行う表示面と重なる領域一帯をいい、表示面だけでなく、装置内全体を含む概念である。
【0015】
透過表示領域は、液晶層の背面側の基板から液晶層に向かって光を入射させ、液晶層を透過した後、観察面側の基板から光を出射させて表示を行うことができる領域のことであり、例えば、液晶表示装置内にバックライト等の光源を設けることで、透過表示領域を形成することができる。本明細書において透過表示領域とは、透過表示を行う表示面と重なる領域一帯をいい、表示面だけでなく、装置内全体を含む概念である。
【0016】
上記一対の基板の少なくとも一方は、反射表示領域にλ/4位相差層を備える。λ/4位相差層は、λ/4位相差層に入射した光に対し、可視光の波長範囲(380〜780nm以下の範囲)の波長λに対してλ/4(95〜195nm)分の位相差を付与するものであり、波長λを可視光の波長範囲の中でも視感度の高い550nmの波長に合わせ、λ/4位相差層で付与する位相差を110〜165nmに設定することが好ましい。なお、このようなλ/4位相差層を液晶層側へ隆起するように設けることで、透過表示領域よりも反射表示領域においてセル厚が薄くなるマルチギャップ構造とすることもできる。反射表示領域では光が液晶層を2度通過するのに対し、透過表示領域では光が液晶層を1度しか通過しないことから、このようにマルチギャップ層を設けることによって、セル内での光路長を調節することが可能となり、透過表示領域と反射表示領域との間で位相差が生じることを防止し、均一な表示を行うことができる。
【0017】
上記λ/4位相差層は、外縁に傾斜面を有する。以下、本明細書において、このような外縁における傾斜面を「テーパエッジ」ともいう。本発明において傾斜面は、その表面が平坦面を有するものであってもよく、曲面を有するものであってもよい。曲面を有する場合は、その面が液晶層に向かって上に凸の形状であっても良いし、下に凸の形状であってもよい。また、段や凹凸が複数形成されて全体として傾斜面を形成するものであってもよい。
【0018】
上記液晶表示装置は、表示面側から見たときにλ/4位相差層の傾斜面と重なる位置に遮光部を有する。液晶層側へ隆起したλ/4位相差層のうち傾斜面が形成された領域は、λ/4位相差層の膜厚が徐々に薄くなっている領域である。傾斜面においては、光がλ/4位相差層を透過する距離が短い。そのため、傾斜面を透過してきた光に対して充分な位相差を付与することができず、黒表示において光漏れが起こる。黒表示において光漏れを起こすと、「白表示の透過率/黒表示の透過率」で算出されるコントラスト比は低下する。本発明では、液晶表示装置内に遮光部を設け、このように光漏れが生じている領域を遮光する構成となっているので、結果として表示全体のコントラスト比を向上させることができる。なお、上記遮光部は、傾斜面の全ての範囲を必ずしも遮光するものでなくてもよく、本発明の遮光効果を得ることができる程度の範囲を遮光するものであれば、特に限定されない。好ましくは、傾斜面と重なる領域の全体を遮光する。これにより、より確実にコントラスト比を向上させることができる。
【0019】
本発明の液晶表示装置の構成としては、このような構成要素を必須として形成されるものである限り、その他の構成要素を含んでいても含んでいなくてもよく、特に限定されるものではない。
【0020】
以下に、本発明の液晶表示装置における好ましい形態について詳しく説明する。
【0021】
上記遮光部は、表示面側から見たときに、λ/4位相差層の位相差値が110nm未満の部分と重なる位置に配置されていることが好ましい。λ/4位相差層によって充分な位相差が付与されないと黒表示において光漏れが生じることは上述したが、この光漏れは、付与される位相差値が110nm未満である場合に特に大きくなるものであり、この境界を境に光漏れの量は急激に増加する。そのため、特にλ/4位相差層の位相差値が110nm未満である領域を遮光することで、コントラスト比を大きく向上させることができる。
【0022】
上記一対の基板の一方は、カラーフィルタ基板であり、上記遮光部は、カラーフィルタ基板が備えるブラックマトリクスであることが好ましい。カラーフィルタ間の光漏れに用いられるブラックマトリクスを遮光部として有効利用することで、装置構成が効率化される。また、カラーフィルタ基板が備えるブラックマトリクスによれば、アレイ基板のレイアウトに関わらず適切な場所に遮光部を配置することができる。より好ましくは、上記λ/4位相差層が、ブラックマトリクスを備えるカラーフィルタ基板に形成されている形態であり、これにより、同一基板にこれら遮光部とλ/4位相差層とが形成されることになるため、カラーフィルタ基板ともう一方の基板との張り合わせずれの影響を受けない。
【0023】
上記一対の基板の一方は、アレイ基板であり、上記遮光部は、アレイ基板が備える画素駆動用配線であることが好ましい。画素駆動用配線としては、ゲート配線、信号配線、保持容量配線等が挙げられる。これらはアレイ基板の画素駆動に用いることができるものであり、これを遮光部として有効利用することで、装置構成が効率化される。また、画素駆動用配線が形成された領域は、通常、表示領域として用いることができない領域であるため、反射表示領域及び透過表示領域を削減することなく遮光部を配置することができ、開口率が低下しない。更に、アレイ基板が備える画素駆動用配線によれば、カラーフィルタ基板のレイアウトに関わらず適切な場所に遮光部を配置することができる。より好ましくは、上記λ/4位相差層が、画素駆動用配線を備えるアレイ基板に形成されている形態であり、同一基板にこれら遮光部とλ/4位相差層とが形成されることになるため、アレイ基板ともう一方の基板との張り合わせずれの影響を受けない。
【0024】
上記λ/4位相差層は、表示面側から見たときに線状であり、かつ表示面に水平な方向から見たときに液晶層に向かって突出した誘電体突起物であり、上記液晶表示装置は、λ/4位相差層の液晶層面と逆側の面に導電体を有することが好ましい。本形態において共通電極は誘電体で形成されたλ/4位相差層下に形成されているため、λ/4位相差層の近傍に位置する液晶分子はλ/4位相差層に向かって斜め方向に傾くことになる。すなわち、λ/4位相差層自体が液晶分子の配向性を制御することができ、これにより、更に広視野角表示を実現することができる。したがって、本形態によれば、例えば、画素電極の各辺に対し斜め方向に配置された線状の誘電体突起物を有するMVA方式において、該誘電体突起物の外縁に形成された傾斜面と重なるように遮光部が設けられた形態とすることができ、広視野角の実現と高コントラストの実現の両立を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の液晶表示装置によれば、λ/4位相差層の傾斜面を透過することにより充分な位相差が付与されていない光を遮光することができるので、コントラスト比を向上させた液晶表示装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に実施例を掲げ、本発明を図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
図1は、実施例1の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図1に示すように、実施例1の液晶表示装置は、互いに対向するアレイ基板1及びカラーフィルタ基板2と、これらの一対の基板間に挟持された液晶層3とを備える。液晶層3は、負の誘電率異方性を有する液晶分子を含んで構成されている。また、これら一対の基板1、2の液晶層3と接する面には垂直配向膜が形成されている。したがって、実施例1の液晶表示装置は、電圧無印加時において液晶分子が基板面に対して垂直の方向に配向し、一定以上の電圧の印加によって液晶分子が基板面に対して水平に配向するVA(Vertical Alignment)モードの表示方式である。液晶層3を構成する液晶材料としては、例えば、屈折率異方性が0.08であるMLC−2068(メルク社製)が挙げられる。なお、上記液晶材料はカイラル材を含むが、画素構造等の必要に応じて、カイラル材が入っていない液晶材料を用いてもよい。
【0028】
アレイ基板1について説明する。図1に示すように、アレイ基板1は、液晶表示装置の背面側から表示面側に向かって、背面側偏光板11、ガラス基板(背面側)12及び層間絶縁膜13をこの順に含んで構成されている。また、反射表示領域Rにおいては層間絶縁膜13上に反射電極15が形成されており、透過表示領域Tにおいては層間絶縁膜13上に透明電極14が形成されている。ガラス基板12と層間絶縁膜13との間には、液晶駆動を行うための配線、半導体素子等を配置することができる。
【0029】
図2は、実施例1の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。図2に示すように、実施例1の液晶表示装置はアクティブマトリクス型の駆動方式であり、基板面を垂直方向から見たときに互いに直交するようにしてゲート線16及びソース線18が配置され、更に、これらの交点にTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子19が配置されている。また、画素の中央、すなわち透明電極14と反射電極15との境界付近を横切るように、かつゲート線16と平行となるように保持容量配線17が形成されている。層間絶縁膜13内にはコンタクトホールが設けられており、そのコンタクトホールを介して、TFT19と画素電極14とは電気的に接続されている。
【0030】
層間絶縁膜13上には、ゲート線16及びソース線18で囲まれる領域を1つの領域として、画素電極が透明電極14及び反射電極15で形成されており、画素電極が形成された領域ごとに液晶駆動を制御することができ、高精細な表示を行うことができる。実施例1の液晶表示装置は、このような画素電極が複数個マトリクス状に配置されることで、1つの表示面が構成される。透明電極14の材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化インジウム亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)等の金属酸化物が好適に用いられる。
【0031】
図1及び図2に示すように、アレイ基板1の反射表示領域Rにあたる領域には反射電極15が設けられている。より詳しくは、反射電極15は画素電極の約半分を占める範囲で設けられており、かつ表示面側から見たときに四角形となっている。反射電極15を設けることで表示面側から入射してきた光を反射させて表示面側に返すことができる。反射電極15の材料としては、例えば、アルミニウム、銀等の反射性を有する金属が挙げられる。反射電極15の表面には、反射電極15に照射された反射光52が均一に散乱するよう凹凸形状を形成してもよい。実施例1において反射電極15は、透明電極14と電気的に接続されている。
【0032】
なお、実施例1において透明電極14は、反射電極15の下に設けられていてもよく、このように2層となった形態であっても同様に画素電極としての機能を果たす。また、透明電極14と反射電極15とを、例えば絶縁膜を介してそれぞれ別の層に設けてもよく、その場合、透明電極14がゲート線16及びソース線18に囲まれる領域全体に配置され、透明電極14のみが画素電極として機能することとなる。アレイ基板1において反射電極15が設けられていない領域が透過表示領域Tである。透過表示に用いられる光源の種類としては、バックライト、LED(Light Emitting Diode)等が挙げられる。
【0033】
実施例1ではTFT19を用いて表示を行うアクティブマトリクス方式の液晶表示装置としているが、本発明の液晶表示装置はアクティブマトリクス方式に限定されず、例えば、パッシブマトリクス方式の液晶表示装置にも適用することができる。
【0034】
カラーフィルタ基板2について説明する。図1に示すように、カラーフィルタ基板2は、液晶表示装置の表示面側から背面側に向かって、表示面側偏光板21、ガラス基板(表示面側)22、カラー表示を行うためのカラーフィルタ層23及びカラーフィルタ層23間の遮光を目的とするブラックマトリクス(Black Matrix:BM)26、λ/4位相差層25並びに共通電極24をこの順に含んで構成されている。なお、実施例1においてカラーフィルタ層23は、反射光52が透過する反射カラーフィルタ層23Rと、透過光51が透過する透過カラーフィルタ層23Tとに分けられる。カラーフィルタ層23は赤、緑、青等の顔料を含有した感光性樹脂等を用いて形成することができ、BM26は黒の顔料を含有した感光性樹脂等を用いて形成することができる。
【0035】
λ/4位相差層25は反射表示領域Rに形成されている。したがって、図2に示すようにλ/4位相差層25は、反射電極15と同様、画素電極14の約半分を占める範囲で設けられており、かつ表示面側から見たときに四角形となっている。λ/4位相差層25を設けることで、表示面側偏光板21を抜けてきた直線偏光を円偏光に変換することができ、反射表示領域Rにおいて透過表示領域Tと同様の光制御をおこなうことができる。図1及び図2に示すように、実施例1においてλ/4位相差層25は、その外縁部に傾斜面を有する(テーパエッジを有する)台状である。また、λ/4位相差層25の断面形状は台形であるということもできる。本明細書において台形とは、上底、下底及び斜辺で構成され、上底の幅と下底の幅とが異なっている形状をいう。また、上底及び下底は実質的に互いに平行であるが、本発明のλ/4分の位相差を付与することができる限り、微細な凹凸を有していてもよく、波形となっていてもよく、液晶層に向かって凸のなだらかな湾曲形状となっていてもよい。図3(a)〜(f)は、実施例1のλ/4位相差層25の断面形状の具体例を示す模式図である。なお、λ/4位相差層25は液晶層方向に対して順テーパの形状であっても逆テーパの形状であってもよい。
【0036】
実施例1においてλ/4位相差層25の高さ(上底から下底までの距離)は約1μmである。また、傾斜面は、表示面側から見たときに約7.5μmの幅で形成され、台形の上底は約30μmの幅で形成され、台形の下底は約45μmの幅で形成されている。なお、このとき傾斜面と基板面とがなす角度は約7°である。
【0037】
実施例1においてλ/4位相差層25は、透過表示領域Tの液晶層の厚さの約1/2の厚さに設定されており、反射表示領域Rの液晶層3の厚さが透過表示領域Tの液晶層3の厚さの約1/2となったマルチギャップ構造となっている。このような形態とすることで、反射表示領域Rと透過表示領域Tとで表示光の位相差が調整される。実施例1においてこのようなセルギャップの調整はλ/4位相差層を用いているが、必要に応じて透明樹脂層等を設けて液晶層3の厚さを調整してもよい。実施例1において反射表示領域Rの液晶層3の厚さは約1.0μmであり、透過表示領域Tの液晶層3の厚さは約2.0μmである。
【0038】
実施例1においてλ/4位相差層25は、更に詳細には、重合性液晶樹脂層とλ/4位相差制御用配向膜とに分けられる。λ/4位相差制御用配向膜とは、重合性液晶樹脂層の配向性を制御して重合硬化性液晶樹脂層に対しλ/4位相差板の作用効果を付与する膜であり、これにより、重合性液晶樹脂層に対し、λ/4分の位相差付与機能を付与することができる。なお、本明細書において、位相差制御用配向膜とは、λ/4位相差層等の位相差層を構成する重合性液晶の配向を制御するために設けられるものであり、液晶層を構成する液晶分子の配向を制御するために設けられた膜(上述の垂直配向膜)とは別に形成される。
【0039】
λ/4位相差層25は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、重合性液晶樹脂層を構成する重合性液晶を所定の方向に配列させるための、ポリイミド樹脂を溶解した樹脂組成物を着色層上に塗布し、乾燥後、レーヨンを巻き付けた金属ローラを用いて、ポリイミド膜を所定の方向にラビング処理を行うことにより、位相差制御用配向膜を形成する。次に、溶剤で溶解した重合性液晶のモノマーをスピンコーティング法等により約1.5μmの厚さで塗布し、更に、紫外線照射等により露光して重合性液晶のモノマーを重合させる。これにより、重合硬化した液晶ポリマー膜が形成される。その後、レジストを液晶ポリマー膜上に塗布し、レジストのパターニングを行う。そして、パターニングしたレジストをマスクとして、エッチングによって液晶ポリマー膜及び位相差制御用配向膜をパターニングすることでλ/4位相差層25が形成される。また、重合性液晶のモノマーとしては、例えば、メソゲン基を有する重合性ネマチック液晶を用いることができる。実施例1において位相差制御用配向膜の配向処理はラビング処理に限定されず、例えば、光照射により位相差制御用配向膜の配向方向を決定する方法を用いることもできる。なお、上述のようなエッチングを用いるパターニング法によれば、λ/4位相差層25の外縁には通常、傾斜面が形成されることになる。
【0040】
実施例1においてλ/4位相差層25は、反射光52に対しλ/4分の位相差を付与することができるものであれば、その構成は特に限定されない。
【0041】
実施例1においては、カラーフィルタ基板2が備える共通電極24と、アレイ基板1が備える透明電極14及び反射電極15とにより、液晶層3に電圧を印加して液晶層3内の液晶分子を駆動制御することができる。共通電極24の材料としては、透明電極14と同様、ITO、IZO等の透明導電性材料が好適に用いられる。なお、共通電極24の更に液晶層側に誘電体で構成された突起物を設けることで、広視野角が得られるMVA(Multi Vertical Alignment)モードとしてもよい。実施例11に詳述する。
【0042】
実施例1の液晶表示装置において、アレイ基板1及びカラーフィルタ基板2のいずれにも偏光板11、21が備え付けられているが、これらは表示面側から見たときにそれぞれの吸収軸が互いに直交しているクロスニコル配置となっている。2つの偏光板11、21がクロスニコル配置であることによって、透過表示領域Tをノーマリブラックモード(液晶層3に印加する電圧が閾値電圧以下のときに黒表示を行う表示モード)で表示を行うことができる。一般的に、ノーマリブラックモードで表示を行うことにより、ノーマリホワイトモード(液晶層3に印加する電圧が閾値電圧以下のときに白表示を行う表示モード)による表示の場合と比較してコントラスト比を向上させることができる。これら偏光板11、21は、ヨウ素をポリビニルアルコール(PVA)フィルムに吸着させ、延伸させることで作製することができる。なお、これら2つの偏光板11、21に対しては、λ/4位相差板25による波長分散を補償するために更にλ/2位相差板を重ね合わせてもよい。
【0043】
実施例1の液晶表示装置の表示原理、及び、コントラスト比向上の原理について説明する。図4及び図5は、実施例1の液晶表示装置の表示原理を示す断面模式図である。図4は液晶層3に対して電圧が無印加の状態を示し、図5は液晶層3に対して閾値以上の電圧が印加されている状態を示す。なお、図4及び図5において装置外に記載された両矢印は、紙面に対して平行な方向に吸収軸ないし位相差軸を有することを示しており、×印は、紙面に対して直交する方向に吸収軸を有することを示している。また、図4及び図5において装置内に記載された両矢印は、紙面に対して平行な方向に光が振動していることを示しており、×印は、紙面に対して直交する方向に光が振動していることを示している。
【0044】
まず、透過表示領域Tにおける表示原理を示す。図4に示すように液晶層3に閾値以上の電圧が印加されていない場合、光源から出射された光は、背面側の偏光板11を通過する際に、互いに直交する偏光成分のうち一方が遮断される。液晶層3には電圧が印加されていないため液晶層内の液晶分子30は基板面に対し垂直方向に配向したままであり、背面側の偏光板11を通過した透過光51は、その偏光成分が保たれたまま液晶層3を通過し、背面側の偏光板11と透過軸が直交する表示面側の偏光板21とによって透過光51は遮断され、その表示は黒表示となる。一方、図5に示すように液晶層3に閾値以上の電圧が印加されていると、液晶層3内の液晶分子30は基板面に対し水平方向に配向するため、背面側の偏光板11を通過した光は、液晶層3によって偏光成分がその中心軸と直交する方向に屈折するため、液晶層3を透過した透過光51は表示面側の偏光板21によって遮断されず、そのまま表示光として用いることができ、白表示となる。
【0045】
次に、反射表示領域Rにおける表示原理を示す。図4に示すように液晶層3に閾値以上の電圧が印加されていない場合、外界から入射してきた光は、表示面側の偏光板21を通過する際に、互いに直交する偏光成分のうち一方が遮断される。表示面側の偏光板21を通過した光は、λ/4位相差層25を通過し、円偏光へと変換される。この円偏光は、その偏光成分が保たれたまま液晶層を通過し、反射電極15によって反射される。このとき、円偏光の向きは逆向きとなる。続いて、その円偏光はその偏光成分が保たれたまま液晶層を通過し、λ/4位相差層25を再度通過する。このとき、円偏光は直線偏光へと再変換される。そして、λ/4位相差層25を通過した反射光52は、表示面側の偏光板21によって遮断される。一方、図5に示すように液晶層3に閾値以上の電圧が印加されていると、透過表示領域Tのときと同様、液晶層3内の液晶分子30は基板面に対し水平方向に配向するため、液晶層3を通過した光は、液晶層3によって偏光成分がその中心軸と直交する方向に屈折し、液晶層3を透過した反射光52は表示面側の偏光板21によって遮断されず、そのまま表示光として用いることができ、白表示となる。
【0046】
しかしながら、このような反射表示領域Rにおいて、λ/4位相差層25を通過した光に充分な位相差が付与されない場合には、偏光板による充分な遮光機能又は透過機能が果たされず、適切な黒表示及び白表示を行うことができない。例えば、λ/4位相差層25の傾斜面においてはλ/4位相差層25の膜厚は徐々に薄くなっていくため、λ/4位相差層25の傾斜面を透過する光に対しては充分な位相差が付与されず、結果として、表示面側の偏光板21で充分に遮断されないこととなり、黒表示での光漏れにつながる。黒表示において光漏れを起こすと、「白表示時の透過率/黒表示時の透過率」で算出されるコントラスト比は低下する。そこで、実施例1においては、λ/4位相差層25の傾斜面と重なる領域にBM26を配置し、λ/4位相差層25の傾斜面を透過する光を遮光し、黒表示において光漏れをなくすことで、表示のコントラスト比が低下することを防止している。
【0047】
実施例1の液晶表示装置においては、λ/4位相差層25の傾斜面を透過する光を遮光する遮光部としてカラーフィルタ基板2が備えるBM26が用いられている。BM26をλ/4位相差層25の傾斜面と重なる場所に配置することによって、図1中の点線で示すような遮光領域10を設けることができる。なお、実施例1によれば、遮光部であるBM26とλ/4位相差層25とのいずれもがカラーフィルタ基板2に設けられているので、カラーフィルタ基板2とアレイ基板1との張り合わせずれの影響を受けなくてすむ。また、実施例1では、BM26が表示面側から見たときに反射電極と重なる位置に配置されていることから、より透過表示を行うことを優先したいときに有効である。
【0048】
以上より、実施例1の液晶表示装置によれば、透過表示領域Tにλ/4位相差層25を形成した場合に起こる、アレイ基板1とカラーフィルタ基板2との張り合わせずれによるコントラスト比の低下をなくすとともに、そのように反射表示領域Rにのみλ/4位相差層25を形成することに起因して形成された傾斜面を透過した光の光漏れの発生を妨げ、コントラスト比を向上させることができる。また、実施例1ではアレイ基板1とカラーフィルタ基板2との張り合わせずれによるλ/4位相差層25の傾斜面と遮光部26との張り合わせずれの影響もないため、その点からもコントラスト比の向上を図ることができる。
【0049】
(実施例2)
図6は、実施例2の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図6に示すように、実施例2の液晶表示装置は、λ/4位相差層25の幅が反射電極15の幅よりも広く形成されており、その結果、λ/4位相差層25の傾斜面が透過表示領域Tに形成されているが、それ以外は実施例1と同様である。このような形態であっても、表示面側から見たときに、λ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置にカラーフィルタ基板2のBM26で形成された遮光部が配置されているので、黒表示時における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。実施例2の形態によれば、実施例1の形態と比べ、反射表示領域Rが大きくなり、透過表示領域Tが小さくなる。そのため、より反射表示を行うことを優先したいときに実施例2の形態を用いることが有効である。なお、実施例2によれば、遮光部であるBM26とλ/4位相差層25とのいずれもがカラーフィルタ基板2に形成されていることから、カラーフィルタ基板2とアレイ基板1との張り合わせずれの影響を受けなくてすむ。
【0050】
(実施例3)
図7は、実施例3の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図7に示すように実施例3の液晶表示装置は、λ/4位相差層25がカラーフィルタ基板2ではなく、アレイ基板1に形成されている点で実施例1と異なるが、それ以外は実施例1と同様である。
【0051】
実施例3の液晶表示装置においてλ/4位相差層25は、反射電極15上に形成されており、更に、λ/4位相差層25上には、ITO等から構成される透明電極14が形成されている。このような形態であっても、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置にカラーフィルタ基板2のBM26で形成された遮光部が配置されているので、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。実施例3においては、λ/4位相差層25が反射電極15よりも小さく形成しており、実施例2と比べて透過表示を行うことを優先した形態といえる。
【0052】
(実施例4)
図8は、実施例4の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図8に示すように、実施例4の液晶表示装置は、λ/4位相差層25の幅が反射電極15の幅よりも広く形成されており、その結果、λ/4位相差層25の傾斜面が透過表示領域Tに形成されている。このような形態であっても、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部26を有するので、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。なお、実施例4の形態によれば、実施例3の形態と比べ、反射表示領域Rが大きくなり、透過表示領域Tが小さくなる。そのため、より反射表示を行うことを優先したいときに実施例4の形態を用いることが有効である。
【0053】
(実施例5)
図9は、実施例5の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図9に示すように、実施例5の液晶表示装置は、遮光部としてBMではなく、アレイ基板1側バスライン(画素駆動用配線)が用いられている点で実施例2と異なるが、それ以外は実施例2と同様である。実施例5において遮光部は、ゲート配線16及びCS配線(保持容量配線)17を用いているが、これらに限定されず、適宜、ソース配線、ドレイン配線等の他の配線を用いてもよい。このような形態であっても、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部16、17を有するので、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。また、もともとゲート配線16及びCS配線17は表示領域として用いられない領域であるから、実施例5によれば、開口率を低減させることなく遮光部26を形成することができる。
【0054】
(実施例6)
図10は、実施例6の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図10に示すように、実施例6の液晶表示装置は、λ/4位相差層25がカラーフィルタ基板2ではなく、アレイ基板1に形成されている点で実施例5と異なるが、それ以外は実施例5と同様である。すなわち、実施例6においてλ/4位相差層25の幅は反射電極15の幅よりも広く形成されており、その結果、λ/4位相差層25の傾斜面が透過表示領域Tに形成されている。
【0055】
実施例6において遮光部は、実施例5と同様、ゲート配線16及びCS配線(保持容量配線)17を用いているが、これらに限定されず、適宜、ソース配線、ドレイン配線等の他の配線を用いてもよい。このような形態であっても、表示面側から見たときにλ/4位相差層の傾斜面と重なる位置に遮光部16、17を有するので、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。また、実施例6ではλ/4位相差層25と遮光部である画素駆動用配線16、17とがともにアレイ基板1に形成されていることから、アレイ基板1とカラーフィルタ基板2との間の張り合わせずれの影響を受けなくてすむ。
【0056】
(実施例7)
図11は、実施例7の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図11に示すように実施例7の液晶表示装置は、遮光部として、カラーフィルタ基板2に形成されたBM26だけでなくアレイ基板1に形成された画素駆動用配線16、17も用いている点、及び、λ/4位相差層25の幅が反射電極15の幅よりも広く形成されている点で実施例2と異なるが、それ以外は実施例2と同様である。
【0057】
λ/4位相差層25のうち反射電極15の外側に形成された部位は傾斜面と重なる領域である。実施例7においてアレイ基板1に形成された遮光部は、ゲート配線16及び保持容量配線(CS配線)17を用いているが、これらに限定されず、適宜、ソース配線、ドレイン配線等の他の配線を用いてもよい。このような形態であっても、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部26、16、17を有するので、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。また、実施例7では、BM26と画素駆動用配線16、17との両方で遮光部を形成しているので、より遮光性が向上しており、黒表示の光漏れをより効果的に防止することができる。更に、λ/4位相差層25と、遮光部であるBM26とがともにカラーフィルタ基板2に形成されていることから、アレイ基板1とカラーフィルタ基板2との間の張り合わせずれの影響を受けなくてすむ。そして、もともと透過表示領域Tとして用いられない画素駆動用配線16、17がλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置にあることから、反射表示領域R及び透過表示領域Tのいずれにおいても開口率を低下させずにすむ。
【0058】
(実施例8)
図12は、実施例8の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図12に示すように実施例8の液晶表示装置は、λ/4位相差層25がアレイ基板1側に形成さ れている点で実施例7と異なるが、それ以外は実施例7と同様である。すなわち、実施例8の液晶表示装置は、遮光部として、カラーフィルタ基板2に形成されたBM26だけでなくアレイ基板1に形成された画素駆動用配線16、17も用いており、かつλ/4位相差層25の幅が反射電極15の幅よりも広く形成されている。
【0059】
このような形態であっても、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部を有するので、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。実施例8において遮光部は、ゲート配線16及びCS配線(保持容量配線)17を用いているが、これらに限定されず、適宜、ソース配線、ドレイン配線等の他の配線を用いてもよい。また、実施例8では、実施例7と同様、BM26と画素駆動用配線16、17とで遮光部が設けられているので、より遮光性が向上しており、黒表示の光漏れをより効果的に防止することができる。更に、λ/4位相差層25と遮光部である画素駆動用配線16、17とがともにアレイ基板1に形成されていることから、アレイ基板1とカラーフィルタ基板2との間の張り合わせずれの影響を受けなくてすむ。そして、もともと透過表示領域Tとして用いられない画素駆動用配線16、17がλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置にあることから、反射表示領域R及び透過表示領域Tのいずれにおいても開口率を低下させずにすむ。
【0060】
(比較例1)
図23は、比較例1の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図23に示すように、比較例1の液晶表示装置は、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる領域に遮光部が設けられていない点で実施例1と異なるが、それ以外は実施例1と同様である。なお、比較例1においてλ/4位相差層25はカラーフィルタ基板2に形成されており、λ/4位相差層25の傾斜面は、反射表示領域Rに形成されている。このような形態によれば、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部を有していないため、反射電極15によって反射された光に対しλ/4位相差層25によって充分な位相差が付与されないことによる黒表示の光漏れが発生し、実施例1と比べ、コントラスト比が低い。
【0061】
(比較例2)
図24は、比較例2の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図24に示すように、比較例2の液晶表示装置は、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる領域に遮光部が設けられていない点で実施例2と異なるが、それ以外は実施例2と同様である。このような形態によれば、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部を有していないため、バックライトから出射された光に対しλ/4位相差層25によって充分な位相差が付与されないことによる黒表示の光漏れが発生し、実施例2と比べ、コントラスト比が低い。
【0062】
(比較例3)
図25は、比較例3の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図25に示すように、比較例3の液晶表示装置は、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる領域に遮光部が設けられていない点で実施例3と異なるが、それ以外は実施例3と同様である。このような形態によれば、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部を有していないため、反射電極15によって反射された光に対しλ/4位相差層25によって充分な位相差が付与されないことによる黒表示の光漏れが発生し、実施例3と比べ、コントラスト比が低い。
【0063】
(比較例4)
図26は、比較例4の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図26に示すように、比較例4の液晶表示装置は、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる領域に遮光部が設けられていない点で実施例4と異なるが、それ以外は実施例4と同様である。このような形態によれば、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部を有していないため、バックライトから出射された光にλ/4位相差層25によって充分な位相差が付与されないことによる黒表示時の光漏れが発生し、実施例4と比べ、コントラスト比が低い。
【0064】
(実施例9)
図13は、実施例9の半透過型の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。実施例9の液晶表示装置の表示面の構成は、図13に示すように、図2で示される実施例1と異なり、カラーフィルタ基板2が備えるλ/4位相差層25が、反射電極15の形状に沿った四角形の形状ではなく、画素の境界によらず、表示面側から見たときに画素を横切る形で直線状(帯状)に形成されている。λ/4位相差層25をこのような平面形状とすることで、λ/4位相差層25の傾斜面は、実施例1と異なり画素電極の縦方向に沿った部分が形成されなくなるため、その分、遮光すべき部分も削減することができ、開口率(反射率)が向上する。また、λ/4位相差層25が画素電極の形状によらず一様に形成されているため、装置構成が効率化される。なお、実施例9のような表示面の構成は、実施例1〜8で示した形態のいずれにも適用することができる。また、反射電極15と透明電極14とが絶縁膜等を介して異なる層に形成されている場合には、反射電極15もまたλ/4位相差層25と同様に、画素の境界によらず、表示面側から見たときに画素を横切る形で直線状(帯状)に形成することができ、これにより装置構成を効率化することができる。
【0065】
(実施例10)
図14は、実施例10の半透過型の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。実施例10の液晶表示装置の表示面の構成は、図14に示すように、1つの画素における透過表示領域Tと反射表示領域Rとの周期が、通常の、「透過表示領域T及び反射表示領域R」の繰り返しではなく、「透過表示領域T、反射表示領域R、反射表示領域R及び透過表示領域T」の繰り返しとなっており、透過表示領域T及び反射表示領域Rが、それぞれ連続して横並びに配列された構造となっている。こうすることで、1つの画素における反射表示領域Rと透過表示領域Tとの面積比を変えることなく、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に形成されるλ/4位相差層25の傾斜面を削減することができるため、遮光部を設けるべき領域が少なくなり、開口率(反射率)が向上する。なお、実施例10のような表示面の構成は、実施例1〜9のいずれにも適用することができる。
【0066】
(実施例11)
図15は、実施例11の半透過型の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。また、図16は、図15におけるA−B線に沿った断面模式図である。図15に示すように、実施例11においてカラーフィルタ基板2には、表示面側から見たときに線状であり、かつ表示面に水平な方向から見たときに液晶層3に向かって突出した誘電体突起物(以下、このような構造物をリブともいう。)45が設けられている。なお、このリブ45の外縁には傾斜面が形成されている。
【0067】
実施例11においてリブ45は、表示面側から見たときに画素電極34の各辺に対して斜め方向に、かつ複数本が画素電極34を横切るように配置されている。また、このような複数本のリブ45は、それぞれが等間隔で平行に設けられている。更に、複数本のリブ45の一つは屈曲部を有し、表示面側から見たときに画素単位でV字状となっている。なお、実施例11においてリブ45は、一部に分岐部を有しているものであってもよく、また、一辺に対して平行に、又は、垂直に形成されたものであってもよい。したがって、リブ45の1本あたりの形状としては、例えば、表示面側から見たときに、直線状、U字状、V字状、W字状、又は、これらを組み合わせたような形状となる。
【0068】
図16に示すように実施例11のカラーフィルタ基板2においては、実施例1〜10と異なり、リブ45上、すなわち、液晶層と接する側の面に共通電極44が設けられておらず、一方、リブ45の下層、すなわち、リブ45の液晶層面と逆側の面に共通電極44は形成されている。これにより、リブ45に隣接する液晶分子は、それぞれが誘電体であるリブ45に向かって横並びに配向することになる。上述のようにリブ45は画素電極34の各辺に対し斜め方向に設けられているので、液晶分子のそれぞれを画素電極34の各辺に対し斜め方向に傾かせることができ、広視野角表示を実現することができる。
【0069】
また、実施例11においてアレイ基板1の画素電極34には、液晶分子を一定の方向に配向させるためのスリット31が複数本設けられている。スリット31は表示面側から見たときに線状であり、リブ45に対して平行に、かつ隣接するリブ45と等間隔で形成されている。また、複数本のスリット31の一つは屈曲部を有し、表示面側から見たときに画素単位でV字状となっている。このようなスリット31によっても、リブ45と同様に液晶分子を画素電極34の各辺に対し斜め方向に傾かせることができ、広視野角表示を実現することができる。
【0070】
このように実施例11の液晶表示装置は、液晶分子を一定の方向に配向させるための配向制御構造を有しており、いわゆるMVA方式となっている。
【0071】
実施例11においてリブ45は、λ/4位相差層で形成されている。このようなリブ45は、実施例1で示したλ/4位相差層の作製方法と同様の方法で行うことができ、レジストパターンを調整することで、実施例11のような形状とすることができる。
【0072】
実施例11においては、表示面側から見たときにリブ45と重畳する位置に反射電極35を設けており、これによって、リブ45が配置された領域を反射表示領域として利用することができる。そのため、実施例11によれば、広視野角表示を実現する半透過型の液晶表示装置を作製することができる。なお、反射電極35としては、ゲート配線、信号配線、保持容量配線等を用いてリブ(λ/4位相差層)45と重畳するものとしてもよい。
【0073】
実施例11においても、実施例1と同様、λ/4位相差層、すなわち、リブ45の外縁に形成された傾斜面と重なる位置に黒表示の光漏れを防止するための遮光部が設けられている。図16においては、実施例1のように遮光部としてカラーフィルタ層23内に設けられたBM46をリブ(λ/4位相差層)45の傾斜面と重なる場所に配置した形態を図示したが、実施例11の液晶表示装置におけるリブ(λ/4位相差層)45の傾斜面の遮光手段としては、実施例2〜8のいずれの形態も適用することができる。このような形態によれば、図16中の点線で示された領域を遮光領域40とすることができるので、実施例1と同様、高いコントラスト比を得ることができる。なお、図16に示すように、実施例11において反射電極35と画素電極34とは、層間絶縁膜33を介して別の層に形成されている。
【0074】
実施例11の液晶表示装置は、従来の、透過型のMVA方式の液晶表示装置と比べると、リブ45の外縁に形成された傾斜面で起こる透過光の光漏れを遮光することができる分、より高いコントラストを得ることができる。また、従来の、リブをλ/4位相差層として用いない半透過型のMVA方式の液晶表示装置とを比べると、リブがλ/4位相差層の機能を有していないためにリブ(λ/4位相差層)45と重畳する位置に配置された反射電極(遮光メタル)35で起こる反射光の光漏れを抑制することができる分、より高いコントラスト比を得ることができる。
【0075】
(実施例12)
図17は、実施例12の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図17に示すように、実施例12の液晶表示装置のλ/4位相差層25の下層(表示面側)には、液晶層3に向かって凸の形状を有するように段差絶縁膜27がパターニングされている。このような段差絶縁膜27は、例えば、有機樹脂を材料とし、フォトリソグラフィー法等を用いてパターニングすることができる。こうすることで、段差絶縁膜27上にλ/4位相差層がパターニングされる際に傾斜面の角度を大きくすることができ、したがって、表示面から見たときの傾斜面の範囲を小さくすることができるため、その分、遮光部を設けるべき領域が少なくなり、開口率(反射率)が向上する。なお、このような段差絶縁膜27の追加は、実施例1〜11で示した形態のいずれにも適用することができる。
【0076】
(実施例13)
図8、10及び12は、実施例13の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図でもある。図8、10及び12に示すように、実施例13の液晶表示装置のλ/4位相差層25の下層には、液晶層3に向かって隆起した反射電極15がパターニングされている。したがって、反射電極15の厚みを一定以上とし、実施例12のように段差を形成することができれば、λ/4位相差層25の傾斜面の角度を大きくすることができ、それにより表示面から見たときの傾斜面の範囲を小さくすることができるため、その分遮光部を設けるべき領域を少なくし、開口率(反射率)を向上させることができる。
【0077】
(評価試験)
外縁に傾斜面(テーパエッジ)を有するλ/4位相差層を液晶セル内に設けた場合に、その傾斜面と重畳する領域を遮光するためにどの程度の遮光幅が必要かを調べるため、反射表示領域と同じ構成を有する透過型の液晶表示装置を評価サンプルとして作製し、評価試験を行った。図18は、評価試験に用いた液晶表示装置が備える、光制御部材の配置構成を示す平面模式図である。図18に示すように、本評価試験で用いた液晶表示装置は、液晶表示装置の背面側から表示面側に向かって背面側偏光板11、液晶セル(サンプル)3、λ/4位相差層25(商品名:ゼオノア(登録商標)、日本ゼオン社製)及び表示面側偏光板21の順にこれらの部材を備える。本評価試験は反射表示領域に形成されたλ/4位相差層25での遮光幅を調査するものであるから、背面側偏光板11と表示面側偏光板21とは、それらの吸収軸が互いに平行なパラレルニコルの配置となっている。背面側偏光板11から入射した光は、液晶セル3によってλ/4方位の位相差が付与され、更に、λ/4位相差層25によってλ/4方位の位相差が付与される。このとき、液晶セル3及びλ/4位相差層25によって充分な位相差が付与されない場合には、表示面側偏光板21で充分に遮光されず、黒表示において光漏れを起こすことになる。
【0078】
図19は、評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層を断面視したときの形状プロファイルを示すグラフである。図19に示すように、本評価試験において用いるλ/4位相差層は傾斜面を有し、その断面形状は台形である。より詳しくは、上底よりも下底の幅が大きな順テーパ形状であり、その傾斜面は上に凸の曲面を有し、その上底は凹凸を有する。また、高さ(上底から下底までの距離)は約1μmであり、その傾斜面は、表示面側から見たときに約7.5μmの幅で形成され、台形の上底は約30μmの幅で形成され、台形の下底は約45μmの幅で形成されている。なお、このとき傾斜面と基板面とがなす角度は約7°である。
【0079】
図20は、評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層を透過する光に付与する位相差値プロファイルを示すグラフである。図20に示すように、λ/4位相差層が付与する位相差値は約140nmであり、傾斜面を降りていくにつれ、その値は徐々に下がっていく。これは、λ/4位相差層の位相差値がλ/4位相差層の厚みに依存するためであり、図20に示されるグラフの形状は、図19で示した形状プロファイルに準じた形となる。
【0080】
図21は、評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層の位相差値の違いに基づく光漏れの大きさを示すグラフである。図19に示すように、輝度の値は、充分な位相差が付与された領域では低い一方、付与される位相差値が下がるにつれ徐々に上昇しており、位相差値が110nm以下であるときに急激に上昇している。逆に言えば、位相差値が110nm以上であるときには輝度の変化はなだらかであり、徐々に光漏れが少なくなっている。
【0081】
図22−1〜22−5は、評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層25に光を照射したときの輝度ラインプロファイルを示すグラフである。各グラフは、図22−1が「(1)遮光なし」、図22−2が「(2)両エッジから1.7μmの遮光」、図22−3が「(3)両エッジから4.3μmの遮光」、図22−4が「(4)両エッジから6.6μm」、図22−5が「(5)両エッジから9.3μm」の遮光幅を有することを示す。図22−1〜22−5から分かるように、両エッジの起点は、それぞれ座標±23μmの地点である。
【0082】
図22−1及び図22−2から分かるように、「(1)遮光なし」及び「(2)両エッジから1.7μmの遮光」の遮光幅を有する条件では、座標が+18〜+23の領域、及び、座標が−23〜−18の領域において輝度が上昇している。このような輝度の上昇傾向は、図19での膜厚の変化、及び、図20での位相差値の変化と連動しており、このことから、λ/4位相差層を透過する光のうち傾斜面が形成された領域にはλ/4位相差層によって充分な位相差が付与されず充分な遮光が行われないと、λ/4位相差層を表示面側から見たときにλ/4位相差層の傾斜面と重なる領域で光漏れが生じてしまうことが分かる。なお、上記(1)の条件は上記比較例1〜4に相当する。
【0083】
図22−3〜22−5から分かるように、「(3)両エッジから4.3μmの遮光」、「(4)両エッジから6.6μm」、及び、「(5)両エッジから9.3μm」の遮光幅を有するものでは効果的に遮光効果が得られており、少なくとも両エッジから4.3μmの地点、すなわち、λ/4位相差層の高さで0.7μm(高さ全体の約7割)を遮光することで、充分な遮光性を得られることが分かった。なお、両エッジから4.3μmの地点は、付与される位相差値プロファイルによれば、約100μmの位相差値が付与される地点である。以上より、傾斜面と重なる領域において(3)〜(5)の条件とすることで、(1)及び(2)の条件と比べ、輝度を大幅に抑えることができ、λ/4位相差層の傾斜面で起こる光漏れを効果的に防止できることがわかった。また、開口率の減少を最小限とし、かつコントラスト比の向上を得るためには「(3)両エッジから4.3μmの遮光」の遮光幅を有する条件が最も優れていることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施例1の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図2】実施例1の半透過型の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。
【図3】実施例1のλ/4位相差層の断面形状の具体例を示す模式図である。
【図4】実施例1の液晶表示装置の表示原理を示す断面模式図であり、液晶層に対して電圧が無印加の状態を示す。
【図5】実施例1の液晶表示装置の表示原理を示す断面模式図であり、液晶層に対して閾値以上の電圧が印加されている状態を示す。
【図6】実施例2の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図7】実施例3の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図8】実施例4及び実施例13の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図9】実施例5の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図10】実施例6及び実施例13の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図11】実施例7の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図12】実施例8及び実施例13の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図13】実施例9の半透過型の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。
【図14】実施例10の半透過型の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。
【図15】実施例11の半透過型の液晶表示装置の構成を示す平面模式図である。
【図16】図15におけるA−B線に沿った断面模式図である。
【図17】実施例12の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図18】評価試験に用いた液晶表示装置が備える、光制御部材の配置構成を示す平面模式図である。
【図19】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層を断面視したときの形状プロファイルを示すグラフである。
【図20】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層を透過する光に付与する位相差値プロファイルを示すグラフである。
【図21】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層の位相差値の違いに基づく光漏れの大きさを示すグラフである。
【図22−1】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層に光を照射したときの輝度ラインプロファイルを示すグラフであり、「(1)遮光なし」のときの輝度を示す。
【図22−2】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層に光を照射したときの輝度ラインプロファイルを示すグラフであり、「(2)両エッジから1.7μmの遮光」」のときの輝度を示す。
【図22−3】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層に光を照射したときの輝度ラインプロファイルを示すグラフであり、「(3)両エッジから4.3μmの遮光」のときの輝度を示す。
【図22−4】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層に光を照射したときの輝度ラインプロファイルを示すグラフであり、「(4)両エッジから6.6μm」のときの輝度を示す。
【図22−5】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層に光を照射したときの輝度ラインプロファイルを示すグラフであり、「(5)両エッジから9.3μm」のときの輝度を示す。
【図23】比較例1の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図24】比較例2の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図25】比較例3の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図26】比較例4の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0085】
1:アレイ基板
2:カラーフィルタ基板
3:液晶層
10、40:遮光領域
11:背面側偏光板
12、22、32、42:ガラス基板
13、33:層間絶縁膜
14:透明電極(画素電極)
15:反射電極(画素電極)
16、36:ゲート配線(遮光部)
17:保持容量配線(遮光部)
18、38:ソース配線
19:TFT
21:表示面側偏光板
23、43:カラーフィルタ層
23R:カラーフィルタ層(反射表示領域)
23T:カラーフィルタ層(透過表示領域)
24:共通電極
25:λ/4位相差層
26、46:BM(遮光部)
27:段差絶縁膜
30:液晶分子
31:スリット
33:層間絶縁膜
34:画素電極
35:反射電極
45:リブ(λ/4位相差層)
51:透過光
52:反射光
T:透過領域
R:反射領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。より詳しくは、携帯電話等のモバイル機器に好適な液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型・軽量・低消費電力といった特長を活かし、幅広い分野で用いられており、近年では、携帯電話等のモバイル機器に搭載されることが多くなっている。そのような中で、モバイル機器は屋外で使用される機会が多いため、映りこみを防止する観点や、低消費電力化を図る観点から、外光とバックライトとの両方を利用して表示を行う半透過型の液晶表示装置が開発されている。半透過型の液晶表示装置は、透過型と反射型との両方のモードで表示する機能を持っている。
【0003】
半透過型の液晶表示装置において、反射表示領域には反射板及びλ/4位相差板が配置される。反射板とは、観察面側から入射してきた光を反射させるための板(膜)であり、半透過型の液晶表示装置では、反射板で反射された光を表示光として用いる。また、λ/4位相差板とは、波長λの透過光について互いに垂直な方向に振動する2つの偏光成分間にλ/4の位相差(リタデーション)を与え、円偏光とすることができるものである。反射表示領域にλ/4位相差板を配置することで、観察面側から入射した光が反射板で反射されたあとに、偏光板を通してそのまま観察面側から出射されることを防ぐことができる。
【0004】
λ/4位相差板を半透過型の液晶表示装置に配置する場合、一般的にλ/4位相差板は、直線偏光子とλ/4位相差板とを含む円偏光板として液晶表示パネルの表示面全体に貼り付けられる。このときλ/4位相差板は、反射表示領域及び透過表示領域の両方に配置されることになる。反射表示領域に入射した光は、液晶表示装置の入射時と出射時とで2度、λ/4位相差板を通過するためそのまま表示光として用いることができるが、透過表示領域でλ/4位相差板が1枚しか配置されていない場合、透過光はλ/4位相差板を1度しか通過しないことになるため、位相差を補償するために更にもう1枚別のλ/4位相差板を設ける必要がある。
【0005】
しかしながら、このようなλ/4位相差板の追加は本来透過表示では不要な追加であり、透過型や反射型の表示装置に比べて製造コストがかかり、また、セルの厚みが増加するという不都合を抱えている。更に、2枚のλ/4位相差板の張り合わせずれによって、コントラスト比が低下するという不都合も生じうる。これに対しては、液晶表示装置の反射部のみにλ/4位相差層を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このような液晶表示装置によれば、透過部において位相差を補償するための新たなλ/4位相差層を追加せずに透過表示を実現することができる。
【0006】
ところで、半透過型の液晶表示装置においては、反射領域では液晶層を2度通過するのに対し、透過領域では液晶層を1度通過するのみである。そのため、光が液晶層を通過する距離が反射領域と透過領域とで異なることになるため、これを補償するために液晶セルギャップ(液晶層の幅)が調整される。液晶セルギャップを調整する方法としては、例えば、TFT基板における層間絶縁膜の厚みを反射領域と透過領域とで異ならせる方法が挙げられる。
【0007】
しかしながら、このように層間絶縁膜を設ける場合、反射領域と透過領域との境界には、傾斜面が形成されることがある。そして、このように傾斜面が形成されると、液晶層の中に液晶分子の配向方向が不連続な領域が生じて液晶分子の配向方向が液晶層内でばらつくことになり、その影響を受けて応答速度の遅れを招くおそれがある。これに対しては、液晶分子の配向方向が不連続な領域を遮光し、表示領域として用いないことで、全体として応答速度を効率よく向上させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−322857号公報
【特許文献2】特開2005−331926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景の下、本発明者らは半透過型の液晶表示装置において反射表示領域にのみλ/4位相差層を配置する方法について種々検討を行ったところ、λ/4位相差層は、基板面を水平方向から見たときに、その外縁部において、特許文献1に記載のような直角に切り立った形状ではなく、膜厚が変化していく傾斜面が形成される場合があることを見いだした。そして、このような傾斜面が形成されることによって生じるλ/4位相差層の薄膜化により、λ/4位相差層の一部で充分なλ/4の位相差が付与されず、黒表示において光漏れが起こり、結果としてコントラスト比の低下を招くことを見いだした。
【0009】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、λ/4位相差層の外縁に傾斜面が形成された場合であっても光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる半透過型の液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、このようにλ/4位相差層の外縁に傾斜面が形成される場合に光漏れを防止することができる半透過型の液晶表示装置について種々検討したところ、反射表示領域の構成に着目した。そして、反射表示領域のうち、表示面側から見たときにλ/4位相差層の傾斜面と重なる領域に遮光部を形成してその領域を反射表示領域として用いないことで、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0011】
すなわち、本発明は、互いに対向する一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを備え、かつ透過表示領域と反射表示領域とを有する液晶表示装置であって、上記一対の基板の少なくとも一方は、反射表示領域にλ/4位相差層を備え、上記λ/4位相差層は、外縁に傾斜面を有し、上記液晶表示装置は、表示面側から見たときに、傾斜面と重なる位置に遮光部を有する液晶表示装置である。
【0012】
以下に本発明の液晶表示装置について詳述する。
【0013】
本発明の液晶表示装置は、互いに対向する一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを備え、かつ透過表示領域と反射表示領域とを有する液晶表示装置である。すなわち、本発明の液晶表示装置は、半透過型の液晶表示装置である。半透過型の液晶表示装置は、バックライト等の光源を利用し、暗い場所でも高い視認性を有する表示を行う透過型と、外部の光を利用し、低消費電力で表示を行う反射型との両方の特徴を併せ持っている。なお、このような液晶表示装置は、反射透過両用型の液晶表示装置とも呼ばれる。
【0014】
反射表示領域は、液晶表示装置外から入射した光を装置内で反射させて表示を行うことができる領域のことであり、例えば、液晶層を挟持する一対の基板のうち、観察面側の基板とは逆の背面側の基板に反射電極を設け、外部から入射した光が液晶層を1度通過し、反射電極で反射して再度液晶層を通過することができるような構成とすることで、反射表示領域を形成することができる。本明細書において反射表示領域とは、反射表示を行う表示面と重なる領域一帯をいい、表示面だけでなく、装置内全体を含む概念である。
【0015】
透過表示領域は、液晶層の背面側の基板から液晶層に向かって光を入射させ、液晶層を透過した後、観察面側の基板から光を出射させて表示を行うことができる領域のことであり、例えば、液晶表示装置内にバックライト等の光源を設けることで、透過表示領域を形成することができる。本明細書において透過表示領域とは、透過表示を行う表示面と重なる領域一帯をいい、表示面だけでなく、装置内全体を含む概念である。
【0016】
上記一対の基板の少なくとも一方は、反射表示領域にλ/4位相差層を備える。λ/4位相差層は、λ/4位相差層に入射した光に対し、可視光の波長範囲(380〜780nm以下の範囲)の波長λに対してλ/4(95〜195nm)分の位相差を付与するものであり、波長λを可視光の波長範囲の中でも視感度の高い550nmの波長に合わせ、λ/4位相差層で付与する位相差を110〜165nmに設定することが好ましい。なお、このようなλ/4位相差層を液晶層側へ隆起するように設けることで、透過表示領域よりも反射表示領域においてセル厚が薄くなるマルチギャップ構造とすることもできる。反射表示領域では光が液晶層を2度通過するのに対し、透過表示領域では光が液晶層を1度しか通過しないことから、このようにマルチギャップ層を設けることによって、セル内での光路長を調節することが可能となり、透過表示領域と反射表示領域との間で位相差が生じることを防止し、均一な表示を行うことができる。
【0017】
上記λ/4位相差層は、外縁に傾斜面を有する。以下、本明細書において、このような外縁における傾斜面を「テーパエッジ」ともいう。本発明において傾斜面は、その表面が平坦面を有するものであってもよく、曲面を有するものであってもよい。曲面を有する場合は、その面が液晶層に向かって上に凸の形状であっても良いし、下に凸の形状であってもよい。また、段や凹凸が複数形成されて全体として傾斜面を形成するものであってもよい。
【0018】
上記液晶表示装置は、表示面側から見たときにλ/4位相差層の傾斜面と重なる位置に遮光部を有する。液晶層側へ隆起したλ/4位相差層のうち傾斜面が形成された領域は、λ/4位相差層の膜厚が徐々に薄くなっている領域である。傾斜面においては、光がλ/4位相差層を透過する距離が短い。そのため、傾斜面を透過してきた光に対して充分な位相差を付与することができず、黒表示において光漏れが起こる。黒表示において光漏れを起こすと、「白表示の透過率/黒表示の透過率」で算出されるコントラスト比は低下する。本発明では、液晶表示装置内に遮光部を設け、このように光漏れが生じている領域を遮光する構成となっているので、結果として表示全体のコントラスト比を向上させることができる。なお、上記遮光部は、傾斜面の全ての範囲を必ずしも遮光するものでなくてもよく、本発明の遮光効果を得ることができる程度の範囲を遮光するものであれば、特に限定されない。好ましくは、傾斜面と重なる領域の全体を遮光する。これにより、より確実にコントラスト比を向上させることができる。
【0019】
本発明の液晶表示装置の構成としては、このような構成要素を必須として形成されるものである限り、その他の構成要素を含んでいても含んでいなくてもよく、特に限定されるものではない。
【0020】
以下に、本発明の液晶表示装置における好ましい形態について詳しく説明する。
【0021】
上記遮光部は、表示面側から見たときに、λ/4位相差層の位相差値が110nm未満の部分と重なる位置に配置されていることが好ましい。λ/4位相差層によって充分な位相差が付与されないと黒表示において光漏れが生じることは上述したが、この光漏れは、付与される位相差値が110nm未満である場合に特に大きくなるものであり、この境界を境に光漏れの量は急激に増加する。そのため、特にλ/4位相差層の位相差値が110nm未満である領域を遮光することで、コントラスト比を大きく向上させることができる。
【0022】
上記一対の基板の一方は、カラーフィルタ基板であり、上記遮光部は、カラーフィルタ基板が備えるブラックマトリクスであることが好ましい。カラーフィルタ間の光漏れに用いられるブラックマトリクスを遮光部として有効利用することで、装置構成が効率化される。また、カラーフィルタ基板が備えるブラックマトリクスによれば、アレイ基板のレイアウトに関わらず適切な場所に遮光部を配置することができる。より好ましくは、上記λ/4位相差層が、ブラックマトリクスを備えるカラーフィルタ基板に形成されている形態であり、これにより、同一基板にこれら遮光部とλ/4位相差層とが形成されることになるため、カラーフィルタ基板ともう一方の基板との張り合わせずれの影響を受けない。
【0023】
上記一対の基板の一方は、アレイ基板であり、上記遮光部は、アレイ基板が備える画素駆動用配線であることが好ましい。画素駆動用配線としては、ゲート配線、信号配線、保持容量配線等が挙げられる。これらはアレイ基板の画素駆動に用いることができるものであり、これを遮光部として有効利用することで、装置構成が効率化される。また、画素駆動用配線が形成された領域は、通常、表示領域として用いることができない領域であるため、反射表示領域及び透過表示領域を削減することなく遮光部を配置することができ、開口率が低下しない。更に、アレイ基板が備える画素駆動用配線によれば、カラーフィルタ基板のレイアウトに関わらず適切な場所に遮光部を配置することができる。より好ましくは、上記λ/4位相差層が、画素駆動用配線を備えるアレイ基板に形成されている形態であり、同一基板にこれら遮光部とλ/4位相差層とが形成されることになるため、アレイ基板ともう一方の基板との張り合わせずれの影響を受けない。
【0024】
上記λ/4位相差層は、表示面側から見たときに線状であり、かつ表示面に水平な方向から見たときに液晶層に向かって突出した誘電体突起物であり、上記液晶表示装置は、λ/4位相差層の液晶層面と逆側の面に導電体を有することが好ましい。本形態において共通電極は誘電体で形成されたλ/4位相差層下に形成されているため、λ/4位相差層の近傍に位置する液晶分子はλ/4位相差層に向かって斜め方向に傾くことになる。すなわち、λ/4位相差層自体が液晶分子の配向性を制御することができ、これにより、更に広視野角表示を実現することができる。したがって、本形態によれば、例えば、画素電極の各辺に対し斜め方向に配置された線状の誘電体突起物を有するMVA方式において、該誘電体突起物の外縁に形成された傾斜面と重なるように遮光部が設けられた形態とすることができ、広視野角の実現と高コントラストの実現の両立を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の液晶表示装置によれば、λ/4位相差層の傾斜面を透過することにより充分な位相差が付与されていない光を遮光することができるので、コントラスト比を向上させた液晶表示装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に実施例を掲げ、本発明を図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
図1は、実施例1の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図1に示すように、実施例1の液晶表示装置は、互いに対向するアレイ基板1及びカラーフィルタ基板2と、これらの一対の基板間に挟持された液晶層3とを備える。液晶層3は、負の誘電率異方性を有する液晶分子を含んで構成されている。また、これら一対の基板1、2の液晶層3と接する面には垂直配向膜が形成されている。したがって、実施例1の液晶表示装置は、電圧無印加時において液晶分子が基板面に対して垂直の方向に配向し、一定以上の電圧の印加によって液晶分子が基板面に対して水平に配向するVA(Vertical Alignment)モードの表示方式である。液晶層3を構成する液晶材料としては、例えば、屈折率異方性が0.08であるMLC−2068(メルク社製)が挙げられる。なお、上記液晶材料はカイラル材を含むが、画素構造等の必要に応じて、カイラル材が入っていない液晶材料を用いてもよい。
【0028】
アレイ基板1について説明する。図1に示すように、アレイ基板1は、液晶表示装置の背面側から表示面側に向かって、背面側偏光板11、ガラス基板(背面側)12及び層間絶縁膜13をこの順に含んで構成されている。また、反射表示領域Rにおいては層間絶縁膜13上に反射電極15が形成されており、透過表示領域Tにおいては層間絶縁膜13上に透明電極14が形成されている。ガラス基板12と層間絶縁膜13との間には、液晶駆動を行うための配線、半導体素子等を配置することができる。
【0029】
図2は、実施例1の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。図2に示すように、実施例1の液晶表示装置はアクティブマトリクス型の駆動方式であり、基板面を垂直方向から見たときに互いに直交するようにしてゲート線16及びソース線18が配置され、更に、これらの交点にTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子19が配置されている。また、画素の中央、すなわち透明電極14と反射電極15との境界付近を横切るように、かつゲート線16と平行となるように保持容量配線17が形成されている。層間絶縁膜13内にはコンタクトホールが設けられており、そのコンタクトホールを介して、TFT19と画素電極14とは電気的に接続されている。
【0030】
層間絶縁膜13上には、ゲート線16及びソース線18で囲まれる領域を1つの領域として、画素電極が透明電極14及び反射電極15で形成されており、画素電極が形成された領域ごとに液晶駆動を制御することができ、高精細な表示を行うことができる。実施例1の液晶表示装置は、このような画素電極が複数個マトリクス状に配置されることで、1つの表示面が構成される。透明電極14の材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化インジウム亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)等の金属酸化物が好適に用いられる。
【0031】
図1及び図2に示すように、アレイ基板1の反射表示領域Rにあたる領域には反射電極15が設けられている。より詳しくは、反射電極15は画素電極の約半分を占める範囲で設けられており、かつ表示面側から見たときに四角形となっている。反射電極15を設けることで表示面側から入射してきた光を反射させて表示面側に返すことができる。反射電極15の材料としては、例えば、アルミニウム、銀等の反射性を有する金属が挙げられる。反射電極15の表面には、反射電極15に照射された反射光52が均一に散乱するよう凹凸形状を形成してもよい。実施例1において反射電極15は、透明電極14と電気的に接続されている。
【0032】
なお、実施例1において透明電極14は、反射電極15の下に設けられていてもよく、このように2層となった形態であっても同様に画素電極としての機能を果たす。また、透明電極14と反射電極15とを、例えば絶縁膜を介してそれぞれ別の層に設けてもよく、その場合、透明電極14がゲート線16及びソース線18に囲まれる領域全体に配置され、透明電極14のみが画素電極として機能することとなる。アレイ基板1において反射電極15が設けられていない領域が透過表示領域Tである。透過表示に用いられる光源の種類としては、バックライト、LED(Light Emitting Diode)等が挙げられる。
【0033】
実施例1ではTFT19を用いて表示を行うアクティブマトリクス方式の液晶表示装置としているが、本発明の液晶表示装置はアクティブマトリクス方式に限定されず、例えば、パッシブマトリクス方式の液晶表示装置にも適用することができる。
【0034】
カラーフィルタ基板2について説明する。図1に示すように、カラーフィルタ基板2は、液晶表示装置の表示面側から背面側に向かって、表示面側偏光板21、ガラス基板(表示面側)22、カラー表示を行うためのカラーフィルタ層23及びカラーフィルタ層23間の遮光を目的とするブラックマトリクス(Black Matrix:BM)26、λ/4位相差層25並びに共通電極24をこの順に含んで構成されている。なお、実施例1においてカラーフィルタ層23は、反射光52が透過する反射カラーフィルタ層23Rと、透過光51が透過する透過カラーフィルタ層23Tとに分けられる。カラーフィルタ層23は赤、緑、青等の顔料を含有した感光性樹脂等を用いて形成することができ、BM26は黒の顔料を含有した感光性樹脂等を用いて形成することができる。
【0035】
λ/4位相差層25は反射表示領域Rに形成されている。したがって、図2に示すようにλ/4位相差層25は、反射電極15と同様、画素電極14の約半分を占める範囲で設けられており、かつ表示面側から見たときに四角形となっている。λ/4位相差層25を設けることで、表示面側偏光板21を抜けてきた直線偏光を円偏光に変換することができ、反射表示領域Rにおいて透過表示領域Tと同様の光制御をおこなうことができる。図1及び図2に示すように、実施例1においてλ/4位相差層25は、その外縁部に傾斜面を有する(テーパエッジを有する)台状である。また、λ/4位相差層25の断面形状は台形であるということもできる。本明細書において台形とは、上底、下底及び斜辺で構成され、上底の幅と下底の幅とが異なっている形状をいう。また、上底及び下底は実質的に互いに平行であるが、本発明のλ/4分の位相差を付与することができる限り、微細な凹凸を有していてもよく、波形となっていてもよく、液晶層に向かって凸のなだらかな湾曲形状となっていてもよい。図3(a)〜(f)は、実施例1のλ/4位相差層25の断面形状の具体例を示す模式図である。なお、λ/4位相差層25は液晶層方向に対して順テーパの形状であっても逆テーパの形状であってもよい。
【0036】
実施例1においてλ/4位相差層25の高さ(上底から下底までの距離)は約1μmである。また、傾斜面は、表示面側から見たときに約7.5μmの幅で形成され、台形の上底は約30μmの幅で形成され、台形の下底は約45μmの幅で形成されている。なお、このとき傾斜面と基板面とがなす角度は約7°である。
【0037】
実施例1においてλ/4位相差層25は、透過表示領域Tの液晶層の厚さの約1/2の厚さに設定されており、反射表示領域Rの液晶層3の厚さが透過表示領域Tの液晶層3の厚さの約1/2となったマルチギャップ構造となっている。このような形態とすることで、反射表示領域Rと透過表示領域Tとで表示光の位相差が調整される。実施例1においてこのようなセルギャップの調整はλ/4位相差層を用いているが、必要に応じて透明樹脂層等を設けて液晶層3の厚さを調整してもよい。実施例1において反射表示領域Rの液晶層3の厚さは約1.0μmであり、透過表示領域Tの液晶層3の厚さは約2.0μmである。
【0038】
実施例1においてλ/4位相差層25は、更に詳細には、重合性液晶樹脂層とλ/4位相差制御用配向膜とに分けられる。λ/4位相差制御用配向膜とは、重合性液晶樹脂層の配向性を制御して重合硬化性液晶樹脂層に対しλ/4位相差板の作用効果を付与する膜であり、これにより、重合性液晶樹脂層に対し、λ/4分の位相差付与機能を付与することができる。なお、本明細書において、位相差制御用配向膜とは、λ/4位相差層等の位相差層を構成する重合性液晶の配向を制御するために設けられるものであり、液晶層を構成する液晶分子の配向を制御するために設けられた膜(上述の垂直配向膜)とは別に形成される。
【0039】
λ/4位相差層25は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、重合性液晶樹脂層を構成する重合性液晶を所定の方向に配列させるための、ポリイミド樹脂を溶解した樹脂組成物を着色層上に塗布し、乾燥後、レーヨンを巻き付けた金属ローラを用いて、ポリイミド膜を所定の方向にラビング処理を行うことにより、位相差制御用配向膜を形成する。次に、溶剤で溶解した重合性液晶のモノマーをスピンコーティング法等により約1.5μmの厚さで塗布し、更に、紫外線照射等により露光して重合性液晶のモノマーを重合させる。これにより、重合硬化した液晶ポリマー膜が形成される。その後、レジストを液晶ポリマー膜上に塗布し、レジストのパターニングを行う。そして、パターニングしたレジストをマスクとして、エッチングによって液晶ポリマー膜及び位相差制御用配向膜をパターニングすることでλ/4位相差層25が形成される。また、重合性液晶のモノマーとしては、例えば、メソゲン基を有する重合性ネマチック液晶を用いることができる。実施例1において位相差制御用配向膜の配向処理はラビング処理に限定されず、例えば、光照射により位相差制御用配向膜の配向方向を決定する方法を用いることもできる。なお、上述のようなエッチングを用いるパターニング法によれば、λ/4位相差層25の外縁には通常、傾斜面が形成されることになる。
【0040】
実施例1においてλ/4位相差層25は、反射光52に対しλ/4分の位相差を付与することができるものであれば、その構成は特に限定されない。
【0041】
実施例1においては、カラーフィルタ基板2が備える共通電極24と、アレイ基板1が備える透明電極14及び反射電極15とにより、液晶層3に電圧を印加して液晶層3内の液晶分子を駆動制御することができる。共通電極24の材料としては、透明電極14と同様、ITO、IZO等の透明導電性材料が好適に用いられる。なお、共通電極24の更に液晶層側に誘電体で構成された突起物を設けることで、広視野角が得られるMVA(Multi Vertical Alignment)モードとしてもよい。実施例11に詳述する。
【0042】
実施例1の液晶表示装置において、アレイ基板1及びカラーフィルタ基板2のいずれにも偏光板11、21が備え付けられているが、これらは表示面側から見たときにそれぞれの吸収軸が互いに直交しているクロスニコル配置となっている。2つの偏光板11、21がクロスニコル配置であることによって、透過表示領域Tをノーマリブラックモード(液晶層3に印加する電圧が閾値電圧以下のときに黒表示を行う表示モード)で表示を行うことができる。一般的に、ノーマリブラックモードで表示を行うことにより、ノーマリホワイトモード(液晶層3に印加する電圧が閾値電圧以下のときに白表示を行う表示モード)による表示の場合と比較してコントラスト比を向上させることができる。これら偏光板11、21は、ヨウ素をポリビニルアルコール(PVA)フィルムに吸着させ、延伸させることで作製することができる。なお、これら2つの偏光板11、21に対しては、λ/4位相差板25による波長分散を補償するために更にλ/2位相差板を重ね合わせてもよい。
【0043】
実施例1の液晶表示装置の表示原理、及び、コントラスト比向上の原理について説明する。図4及び図5は、実施例1の液晶表示装置の表示原理を示す断面模式図である。図4は液晶層3に対して電圧が無印加の状態を示し、図5は液晶層3に対して閾値以上の電圧が印加されている状態を示す。なお、図4及び図5において装置外に記載された両矢印は、紙面に対して平行な方向に吸収軸ないし位相差軸を有することを示しており、×印は、紙面に対して直交する方向に吸収軸を有することを示している。また、図4及び図5において装置内に記載された両矢印は、紙面に対して平行な方向に光が振動していることを示しており、×印は、紙面に対して直交する方向に光が振動していることを示している。
【0044】
まず、透過表示領域Tにおける表示原理を示す。図4に示すように液晶層3に閾値以上の電圧が印加されていない場合、光源から出射された光は、背面側の偏光板11を通過する際に、互いに直交する偏光成分のうち一方が遮断される。液晶層3には電圧が印加されていないため液晶層内の液晶分子30は基板面に対し垂直方向に配向したままであり、背面側の偏光板11を通過した透過光51は、その偏光成分が保たれたまま液晶層3を通過し、背面側の偏光板11と透過軸が直交する表示面側の偏光板21とによって透過光51は遮断され、その表示は黒表示となる。一方、図5に示すように液晶層3に閾値以上の電圧が印加されていると、液晶層3内の液晶分子30は基板面に対し水平方向に配向するため、背面側の偏光板11を通過した光は、液晶層3によって偏光成分がその中心軸と直交する方向に屈折するため、液晶層3を透過した透過光51は表示面側の偏光板21によって遮断されず、そのまま表示光として用いることができ、白表示となる。
【0045】
次に、反射表示領域Rにおける表示原理を示す。図4に示すように液晶層3に閾値以上の電圧が印加されていない場合、外界から入射してきた光は、表示面側の偏光板21を通過する際に、互いに直交する偏光成分のうち一方が遮断される。表示面側の偏光板21を通過した光は、λ/4位相差層25を通過し、円偏光へと変換される。この円偏光は、その偏光成分が保たれたまま液晶層を通過し、反射電極15によって反射される。このとき、円偏光の向きは逆向きとなる。続いて、その円偏光はその偏光成分が保たれたまま液晶層を通過し、λ/4位相差層25を再度通過する。このとき、円偏光は直線偏光へと再変換される。そして、λ/4位相差層25を通過した反射光52は、表示面側の偏光板21によって遮断される。一方、図5に示すように液晶層3に閾値以上の電圧が印加されていると、透過表示領域Tのときと同様、液晶層3内の液晶分子30は基板面に対し水平方向に配向するため、液晶層3を通過した光は、液晶層3によって偏光成分がその中心軸と直交する方向に屈折し、液晶層3を透過した反射光52は表示面側の偏光板21によって遮断されず、そのまま表示光として用いることができ、白表示となる。
【0046】
しかしながら、このような反射表示領域Rにおいて、λ/4位相差層25を通過した光に充分な位相差が付与されない場合には、偏光板による充分な遮光機能又は透過機能が果たされず、適切な黒表示及び白表示を行うことができない。例えば、λ/4位相差層25の傾斜面においてはλ/4位相差層25の膜厚は徐々に薄くなっていくため、λ/4位相差層25の傾斜面を透過する光に対しては充分な位相差が付与されず、結果として、表示面側の偏光板21で充分に遮断されないこととなり、黒表示での光漏れにつながる。黒表示において光漏れを起こすと、「白表示時の透過率/黒表示時の透過率」で算出されるコントラスト比は低下する。そこで、実施例1においては、λ/4位相差層25の傾斜面と重なる領域にBM26を配置し、λ/4位相差層25の傾斜面を透過する光を遮光し、黒表示において光漏れをなくすことで、表示のコントラスト比が低下することを防止している。
【0047】
実施例1の液晶表示装置においては、λ/4位相差層25の傾斜面を透過する光を遮光する遮光部としてカラーフィルタ基板2が備えるBM26が用いられている。BM26をλ/4位相差層25の傾斜面と重なる場所に配置することによって、図1中の点線で示すような遮光領域10を設けることができる。なお、実施例1によれば、遮光部であるBM26とλ/4位相差層25とのいずれもがカラーフィルタ基板2に設けられているので、カラーフィルタ基板2とアレイ基板1との張り合わせずれの影響を受けなくてすむ。また、実施例1では、BM26が表示面側から見たときに反射電極と重なる位置に配置されていることから、より透過表示を行うことを優先したいときに有効である。
【0048】
以上より、実施例1の液晶表示装置によれば、透過表示領域Tにλ/4位相差層25を形成した場合に起こる、アレイ基板1とカラーフィルタ基板2との張り合わせずれによるコントラスト比の低下をなくすとともに、そのように反射表示領域Rにのみλ/4位相差層25を形成することに起因して形成された傾斜面を透過した光の光漏れの発生を妨げ、コントラスト比を向上させることができる。また、実施例1ではアレイ基板1とカラーフィルタ基板2との張り合わせずれによるλ/4位相差層25の傾斜面と遮光部26との張り合わせずれの影響もないため、その点からもコントラスト比の向上を図ることができる。
【0049】
(実施例2)
図6は、実施例2の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図6に示すように、実施例2の液晶表示装置は、λ/4位相差層25の幅が反射電極15の幅よりも広く形成されており、その結果、λ/4位相差層25の傾斜面が透過表示領域Tに形成されているが、それ以外は実施例1と同様である。このような形態であっても、表示面側から見たときに、λ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置にカラーフィルタ基板2のBM26で形成された遮光部が配置されているので、黒表示時における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。実施例2の形態によれば、実施例1の形態と比べ、反射表示領域Rが大きくなり、透過表示領域Tが小さくなる。そのため、より反射表示を行うことを優先したいときに実施例2の形態を用いることが有効である。なお、実施例2によれば、遮光部であるBM26とλ/4位相差層25とのいずれもがカラーフィルタ基板2に形成されていることから、カラーフィルタ基板2とアレイ基板1との張り合わせずれの影響を受けなくてすむ。
【0050】
(実施例3)
図7は、実施例3の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図7に示すように実施例3の液晶表示装置は、λ/4位相差層25がカラーフィルタ基板2ではなく、アレイ基板1に形成されている点で実施例1と異なるが、それ以外は実施例1と同様である。
【0051】
実施例3の液晶表示装置においてλ/4位相差層25は、反射電極15上に形成されており、更に、λ/4位相差層25上には、ITO等から構成される透明電極14が形成されている。このような形態であっても、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置にカラーフィルタ基板2のBM26で形成された遮光部が配置されているので、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。実施例3においては、λ/4位相差層25が反射電極15よりも小さく形成しており、実施例2と比べて透過表示を行うことを優先した形態といえる。
【0052】
(実施例4)
図8は、実施例4の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図8に示すように、実施例4の液晶表示装置は、λ/4位相差層25の幅が反射電極15の幅よりも広く形成されており、その結果、λ/4位相差層25の傾斜面が透過表示領域Tに形成されている。このような形態であっても、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部26を有するので、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。なお、実施例4の形態によれば、実施例3の形態と比べ、反射表示領域Rが大きくなり、透過表示領域Tが小さくなる。そのため、より反射表示を行うことを優先したいときに実施例4の形態を用いることが有効である。
【0053】
(実施例5)
図9は、実施例5の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図9に示すように、実施例5の液晶表示装置は、遮光部としてBMではなく、アレイ基板1側バスライン(画素駆動用配線)が用いられている点で実施例2と異なるが、それ以外は実施例2と同様である。実施例5において遮光部は、ゲート配線16及びCS配線(保持容量配線)17を用いているが、これらに限定されず、適宜、ソース配線、ドレイン配線等の他の配線を用いてもよい。このような形態であっても、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部16、17を有するので、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。また、もともとゲート配線16及びCS配線17は表示領域として用いられない領域であるから、実施例5によれば、開口率を低減させることなく遮光部26を形成することができる。
【0054】
(実施例6)
図10は、実施例6の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図10に示すように、実施例6の液晶表示装置は、λ/4位相差層25がカラーフィルタ基板2ではなく、アレイ基板1に形成されている点で実施例5と異なるが、それ以外は実施例5と同様である。すなわち、実施例6においてλ/4位相差層25の幅は反射電極15の幅よりも広く形成されており、その結果、λ/4位相差層25の傾斜面が透過表示領域Tに形成されている。
【0055】
実施例6において遮光部は、実施例5と同様、ゲート配線16及びCS配線(保持容量配線)17を用いているが、これらに限定されず、適宜、ソース配線、ドレイン配線等の他の配線を用いてもよい。このような形態であっても、表示面側から見たときにλ/4位相差層の傾斜面と重なる位置に遮光部16、17を有するので、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。また、実施例6ではλ/4位相差層25と遮光部である画素駆動用配線16、17とがともにアレイ基板1に形成されていることから、アレイ基板1とカラーフィルタ基板2との間の張り合わせずれの影響を受けなくてすむ。
【0056】
(実施例7)
図11は、実施例7の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図11に示すように実施例7の液晶表示装置は、遮光部として、カラーフィルタ基板2に形成されたBM26だけでなくアレイ基板1に形成された画素駆動用配線16、17も用いている点、及び、λ/4位相差層25の幅が反射電極15の幅よりも広く形成されている点で実施例2と異なるが、それ以外は実施例2と同様である。
【0057】
λ/4位相差層25のうち反射電極15の外側に形成された部位は傾斜面と重なる領域である。実施例7においてアレイ基板1に形成された遮光部は、ゲート配線16及び保持容量配線(CS配線)17を用いているが、これらに限定されず、適宜、ソース配線、ドレイン配線等の他の配線を用いてもよい。このような形態であっても、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部26、16、17を有するので、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。また、実施例7では、BM26と画素駆動用配線16、17との両方で遮光部を形成しているので、より遮光性が向上しており、黒表示の光漏れをより効果的に防止することができる。更に、λ/4位相差層25と、遮光部であるBM26とがともにカラーフィルタ基板2に形成されていることから、アレイ基板1とカラーフィルタ基板2との間の張り合わせずれの影響を受けなくてすむ。そして、もともと透過表示領域Tとして用いられない画素駆動用配線16、17がλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置にあることから、反射表示領域R及び透過表示領域Tのいずれにおいても開口率を低下させずにすむ。
【0058】
(実施例8)
図12は、実施例8の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図12に示すように実施例8の液晶表示装置は、λ/4位相差層25がアレイ基板1側に形成さ れている点で実施例7と異なるが、それ以外は実施例7と同様である。すなわち、実施例8の液晶表示装置は、遮光部として、カラーフィルタ基板2に形成されたBM26だけでなくアレイ基板1に形成された画素駆動用配線16、17も用いており、かつλ/4位相差層25の幅が反射電極15の幅よりも広く形成されている。
【0059】
このような形態であっても、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部を有するので、黒表示における光漏れを防止し、コントラスト比を向上させることができる。実施例8において遮光部は、ゲート配線16及びCS配線(保持容量配線)17を用いているが、これらに限定されず、適宜、ソース配線、ドレイン配線等の他の配線を用いてもよい。また、実施例8では、実施例7と同様、BM26と画素駆動用配線16、17とで遮光部が設けられているので、より遮光性が向上しており、黒表示の光漏れをより効果的に防止することができる。更に、λ/4位相差層25と遮光部である画素駆動用配線16、17とがともにアレイ基板1に形成されていることから、アレイ基板1とカラーフィルタ基板2との間の張り合わせずれの影響を受けなくてすむ。そして、もともと透過表示領域Tとして用いられない画素駆動用配線16、17がλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置にあることから、反射表示領域R及び透過表示領域Tのいずれにおいても開口率を低下させずにすむ。
【0060】
(比較例1)
図23は、比較例1の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図23に示すように、比較例1の液晶表示装置は、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる領域に遮光部が設けられていない点で実施例1と異なるが、それ以外は実施例1と同様である。なお、比較例1においてλ/4位相差層25はカラーフィルタ基板2に形成されており、λ/4位相差層25の傾斜面は、反射表示領域Rに形成されている。このような形態によれば、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部を有していないため、反射電極15によって反射された光に対しλ/4位相差層25によって充分な位相差が付与されないことによる黒表示の光漏れが発生し、実施例1と比べ、コントラスト比が低い。
【0061】
(比較例2)
図24は、比較例2の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図24に示すように、比較例2の液晶表示装置は、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる領域に遮光部が設けられていない点で実施例2と異なるが、それ以外は実施例2と同様である。このような形態によれば、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部を有していないため、バックライトから出射された光に対しλ/4位相差層25によって充分な位相差が付与されないことによる黒表示の光漏れが発生し、実施例2と比べ、コントラスト比が低い。
【0062】
(比較例3)
図25は、比較例3の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図25に示すように、比較例3の液晶表示装置は、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる領域に遮光部が設けられていない点で実施例3と異なるが、それ以外は実施例3と同様である。このような形態によれば、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部を有していないため、反射電極15によって反射された光に対しλ/4位相差層25によって充分な位相差が付与されないことによる黒表示の光漏れが発生し、実施例3と比べ、コントラスト比が低い。
【0063】
(比較例4)
図26は、比較例4の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図26に示すように、比較例4の液晶表示装置は、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる領域に遮光部が設けられていない点で実施例4と異なるが、それ以外は実施例4と同様である。このような形態によれば、表示面側から見たときにλ/4位相差層25の傾斜面と重なる位置に遮光部を有していないため、バックライトから出射された光にλ/4位相差層25によって充分な位相差が付与されないことによる黒表示時の光漏れが発生し、実施例4と比べ、コントラスト比が低い。
【0064】
(実施例9)
図13は、実施例9の半透過型の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。実施例9の液晶表示装置の表示面の構成は、図13に示すように、図2で示される実施例1と異なり、カラーフィルタ基板2が備えるλ/4位相差層25が、反射電極15の形状に沿った四角形の形状ではなく、画素の境界によらず、表示面側から見たときに画素を横切る形で直線状(帯状)に形成されている。λ/4位相差層25をこのような平面形状とすることで、λ/4位相差層25の傾斜面は、実施例1と異なり画素電極の縦方向に沿った部分が形成されなくなるため、その分、遮光すべき部分も削減することができ、開口率(反射率)が向上する。また、λ/4位相差層25が画素電極の形状によらず一様に形成されているため、装置構成が効率化される。なお、実施例9のような表示面の構成は、実施例1〜8で示した形態のいずれにも適用することができる。また、反射電極15と透明電極14とが絶縁膜等を介して異なる層に形成されている場合には、反射電極15もまたλ/4位相差層25と同様に、画素の境界によらず、表示面側から見たときに画素を横切る形で直線状(帯状)に形成することができ、これにより装置構成を効率化することができる。
【0065】
(実施例10)
図14は、実施例10の半透過型の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。実施例10の液晶表示装置の表示面の構成は、図14に示すように、1つの画素における透過表示領域Tと反射表示領域Rとの周期が、通常の、「透過表示領域T及び反射表示領域R」の繰り返しではなく、「透過表示領域T、反射表示領域R、反射表示領域R及び透過表示領域T」の繰り返しとなっており、透過表示領域T及び反射表示領域Rが、それぞれ連続して横並びに配列された構造となっている。こうすることで、1つの画素における反射表示領域Rと透過表示領域Tとの面積比を変えることなく、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に形成されるλ/4位相差層25の傾斜面を削減することができるため、遮光部を設けるべき領域が少なくなり、開口率(反射率)が向上する。なお、実施例10のような表示面の構成は、実施例1〜9のいずれにも適用することができる。
【0066】
(実施例11)
図15は、実施例11の半透過型の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。また、図16は、図15におけるA−B線に沿った断面模式図である。図15に示すように、実施例11においてカラーフィルタ基板2には、表示面側から見たときに線状であり、かつ表示面に水平な方向から見たときに液晶層3に向かって突出した誘電体突起物(以下、このような構造物をリブともいう。)45が設けられている。なお、このリブ45の外縁には傾斜面が形成されている。
【0067】
実施例11においてリブ45は、表示面側から見たときに画素電極34の各辺に対して斜め方向に、かつ複数本が画素電極34を横切るように配置されている。また、このような複数本のリブ45は、それぞれが等間隔で平行に設けられている。更に、複数本のリブ45の一つは屈曲部を有し、表示面側から見たときに画素単位でV字状となっている。なお、実施例11においてリブ45は、一部に分岐部を有しているものであってもよく、また、一辺に対して平行に、又は、垂直に形成されたものであってもよい。したがって、リブ45の1本あたりの形状としては、例えば、表示面側から見たときに、直線状、U字状、V字状、W字状、又は、これらを組み合わせたような形状となる。
【0068】
図16に示すように実施例11のカラーフィルタ基板2においては、実施例1〜10と異なり、リブ45上、すなわち、液晶層と接する側の面に共通電極44が設けられておらず、一方、リブ45の下層、すなわち、リブ45の液晶層面と逆側の面に共通電極44は形成されている。これにより、リブ45に隣接する液晶分子は、それぞれが誘電体であるリブ45に向かって横並びに配向することになる。上述のようにリブ45は画素電極34の各辺に対し斜め方向に設けられているので、液晶分子のそれぞれを画素電極34の各辺に対し斜め方向に傾かせることができ、広視野角表示を実現することができる。
【0069】
また、実施例11においてアレイ基板1の画素電極34には、液晶分子を一定の方向に配向させるためのスリット31が複数本設けられている。スリット31は表示面側から見たときに線状であり、リブ45に対して平行に、かつ隣接するリブ45と等間隔で形成されている。また、複数本のスリット31の一つは屈曲部を有し、表示面側から見たときに画素単位でV字状となっている。このようなスリット31によっても、リブ45と同様に液晶分子を画素電極34の各辺に対し斜め方向に傾かせることができ、広視野角表示を実現することができる。
【0070】
このように実施例11の液晶表示装置は、液晶分子を一定の方向に配向させるための配向制御構造を有しており、いわゆるMVA方式となっている。
【0071】
実施例11においてリブ45は、λ/4位相差層で形成されている。このようなリブ45は、実施例1で示したλ/4位相差層の作製方法と同様の方法で行うことができ、レジストパターンを調整することで、実施例11のような形状とすることができる。
【0072】
実施例11においては、表示面側から見たときにリブ45と重畳する位置に反射電極35を設けており、これによって、リブ45が配置された領域を反射表示領域として利用することができる。そのため、実施例11によれば、広視野角表示を実現する半透過型の液晶表示装置を作製することができる。なお、反射電極35としては、ゲート配線、信号配線、保持容量配線等を用いてリブ(λ/4位相差層)45と重畳するものとしてもよい。
【0073】
実施例11においても、実施例1と同様、λ/4位相差層、すなわち、リブ45の外縁に形成された傾斜面と重なる位置に黒表示の光漏れを防止するための遮光部が設けられている。図16においては、実施例1のように遮光部としてカラーフィルタ層23内に設けられたBM46をリブ(λ/4位相差層)45の傾斜面と重なる場所に配置した形態を図示したが、実施例11の液晶表示装置におけるリブ(λ/4位相差層)45の傾斜面の遮光手段としては、実施例2〜8のいずれの形態も適用することができる。このような形態によれば、図16中の点線で示された領域を遮光領域40とすることができるので、実施例1と同様、高いコントラスト比を得ることができる。なお、図16に示すように、実施例11において反射電極35と画素電極34とは、層間絶縁膜33を介して別の層に形成されている。
【0074】
実施例11の液晶表示装置は、従来の、透過型のMVA方式の液晶表示装置と比べると、リブ45の外縁に形成された傾斜面で起こる透過光の光漏れを遮光することができる分、より高いコントラストを得ることができる。また、従来の、リブをλ/4位相差層として用いない半透過型のMVA方式の液晶表示装置とを比べると、リブがλ/4位相差層の機能を有していないためにリブ(λ/4位相差層)45と重畳する位置に配置された反射電極(遮光メタル)35で起こる反射光の光漏れを抑制することができる分、より高いコントラスト比を得ることができる。
【0075】
(実施例12)
図17は、実施例12の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図17に示すように、実施例12の液晶表示装置のλ/4位相差層25の下層(表示面側)には、液晶層3に向かって凸の形状を有するように段差絶縁膜27がパターニングされている。このような段差絶縁膜27は、例えば、有機樹脂を材料とし、フォトリソグラフィー法等を用いてパターニングすることができる。こうすることで、段差絶縁膜27上にλ/4位相差層がパターニングされる際に傾斜面の角度を大きくすることができ、したがって、表示面から見たときの傾斜面の範囲を小さくすることができるため、その分、遮光部を設けるべき領域が少なくなり、開口率(反射率)が向上する。なお、このような段差絶縁膜27の追加は、実施例1〜11で示した形態のいずれにも適用することができる。
【0076】
(実施例13)
図8、10及び12は、実施例13の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図でもある。図8、10及び12に示すように、実施例13の液晶表示装置のλ/4位相差層25の下層には、液晶層3に向かって隆起した反射電極15がパターニングされている。したがって、反射電極15の厚みを一定以上とし、実施例12のように段差を形成することができれば、λ/4位相差層25の傾斜面の角度を大きくすることができ、それにより表示面から見たときの傾斜面の範囲を小さくすることができるため、その分遮光部を設けるべき領域を少なくし、開口率(反射率)を向上させることができる。
【0077】
(評価試験)
外縁に傾斜面(テーパエッジ)を有するλ/4位相差層を液晶セル内に設けた場合に、その傾斜面と重畳する領域を遮光するためにどの程度の遮光幅が必要かを調べるため、反射表示領域と同じ構成を有する透過型の液晶表示装置を評価サンプルとして作製し、評価試験を行った。図18は、評価試験に用いた液晶表示装置が備える、光制御部材の配置構成を示す平面模式図である。図18に示すように、本評価試験で用いた液晶表示装置は、液晶表示装置の背面側から表示面側に向かって背面側偏光板11、液晶セル(サンプル)3、λ/4位相差層25(商品名:ゼオノア(登録商標)、日本ゼオン社製)及び表示面側偏光板21の順にこれらの部材を備える。本評価試験は反射表示領域に形成されたλ/4位相差層25での遮光幅を調査するものであるから、背面側偏光板11と表示面側偏光板21とは、それらの吸収軸が互いに平行なパラレルニコルの配置となっている。背面側偏光板11から入射した光は、液晶セル3によってλ/4方位の位相差が付与され、更に、λ/4位相差層25によってλ/4方位の位相差が付与される。このとき、液晶セル3及びλ/4位相差層25によって充分な位相差が付与されない場合には、表示面側偏光板21で充分に遮光されず、黒表示において光漏れを起こすことになる。
【0078】
図19は、評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層を断面視したときの形状プロファイルを示すグラフである。図19に示すように、本評価試験において用いるλ/4位相差層は傾斜面を有し、その断面形状は台形である。より詳しくは、上底よりも下底の幅が大きな順テーパ形状であり、その傾斜面は上に凸の曲面を有し、その上底は凹凸を有する。また、高さ(上底から下底までの距離)は約1μmであり、その傾斜面は、表示面側から見たときに約7.5μmの幅で形成され、台形の上底は約30μmの幅で形成され、台形の下底は約45μmの幅で形成されている。なお、このとき傾斜面と基板面とがなす角度は約7°である。
【0079】
図20は、評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層を透過する光に付与する位相差値プロファイルを示すグラフである。図20に示すように、λ/4位相差層が付与する位相差値は約140nmであり、傾斜面を降りていくにつれ、その値は徐々に下がっていく。これは、λ/4位相差層の位相差値がλ/4位相差層の厚みに依存するためであり、図20に示されるグラフの形状は、図19で示した形状プロファイルに準じた形となる。
【0080】
図21は、評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層の位相差値の違いに基づく光漏れの大きさを示すグラフである。図19に示すように、輝度の値は、充分な位相差が付与された領域では低い一方、付与される位相差値が下がるにつれ徐々に上昇しており、位相差値が110nm以下であるときに急激に上昇している。逆に言えば、位相差値が110nm以上であるときには輝度の変化はなだらかであり、徐々に光漏れが少なくなっている。
【0081】
図22−1〜22−5は、評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層25に光を照射したときの輝度ラインプロファイルを示すグラフである。各グラフは、図22−1が「(1)遮光なし」、図22−2が「(2)両エッジから1.7μmの遮光」、図22−3が「(3)両エッジから4.3μmの遮光」、図22−4が「(4)両エッジから6.6μm」、図22−5が「(5)両エッジから9.3μm」の遮光幅を有することを示す。図22−1〜22−5から分かるように、両エッジの起点は、それぞれ座標±23μmの地点である。
【0082】
図22−1及び図22−2から分かるように、「(1)遮光なし」及び「(2)両エッジから1.7μmの遮光」の遮光幅を有する条件では、座標が+18〜+23の領域、及び、座標が−23〜−18の領域において輝度が上昇している。このような輝度の上昇傾向は、図19での膜厚の変化、及び、図20での位相差値の変化と連動しており、このことから、λ/4位相差層を透過する光のうち傾斜面が形成された領域にはλ/4位相差層によって充分な位相差が付与されず充分な遮光が行われないと、λ/4位相差層を表示面側から見たときにλ/4位相差層の傾斜面と重なる領域で光漏れが生じてしまうことが分かる。なお、上記(1)の条件は上記比較例1〜4に相当する。
【0083】
図22−3〜22−5から分かるように、「(3)両エッジから4.3μmの遮光」、「(4)両エッジから6.6μm」、及び、「(5)両エッジから9.3μm」の遮光幅を有するものでは効果的に遮光効果が得られており、少なくとも両エッジから4.3μmの地点、すなわち、λ/4位相差層の高さで0.7μm(高さ全体の約7割)を遮光することで、充分な遮光性を得られることが分かった。なお、両エッジから4.3μmの地点は、付与される位相差値プロファイルによれば、約100μmの位相差値が付与される地点である。以上より、傾斜面と重なる領域において(3)〜(5)の条件とすることで、(1)及び(2)の条件と比べ、輝度を大幅に抑えることができ、λ/4位相差層の傾斜面で起こる光漏れを効果的に防止できることがわかった。また、開口率の減少を最小限とし、かつコントラスト比の向上を得るためには「(3)両エッジから4.3μmの遮光」の遮光幅を有する条件が最も優れていることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施例1の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図2】実施例1の半透過型の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。
【図3】実施例1のλ/4位相差層の断面形状の具体例を示す模式図である。
【図4】実施例1の液晶表示装置の表示原理を示す断面模式図であり、液晶層に対して電圧が無印加の状態を示す。
【図5】実施例1の液晶表示装置の表示原理を示す断面模式図であり、液晶層に対して閾値以上の電圧が印加されている状態を示す。
【図6】実施例2の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図7】実施例3の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図8】実施例4及び実施例13の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図9】実施例5の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図10】実施例6及び実施例13の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図11】実施例7の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図12】実施例8及び実施例13の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図13】実施例9の半透過型の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。
【図14】実施例10の半透過型の液晶表示装置の表示面の画素構成を示す平面模式図である。
【図15】実施例11の半透過型の液晶表示装置の構成を示す平面模式図である。
【図16】図15におけるA−B線に沿った断面模式図である。
【図17】実施例12の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図18】評価試験に用いた液晶表示装置が備える、光制御部材の配置構成を示す平面模式図である。
【図19】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層を断面視したときの形状プロファイルを示すグラフである。
【図20】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層を透過する光に付与する位相差値プロファイルを示すグラフである。
【図21】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層の位相差値の違いに基づく光漏れの大きさを示すグラフである。
【図22−1】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層に光を照射したときの輝度ラインプロファイルを示すグラフであり、「(1)遮光なし」のときの輝度を示す。
【図22−2】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層に光を照射したときの輝度ラインプロファイルを示すグラフであり、「(2)両エッジから1.7μmの遮光」」のときの輝度を示す。
【図22−3】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層に光を照射したときの輝度ラインプロファイルを示すグラフであり、「(3)両エッジから4.3μmの遮光」のときの輝度を示す。
【図22−4】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層に光を照射したときの輝度ラインプロファイルを示すグラフであり、「(4)両エッジから6.6μm」のときの輝度を示す。
【図22−5】評価試験に用いた液晶表示装置が備えるλ/4位相差層に光を照射したときの輝度ラインプロファイルを示すグラフであり、「(5)両エッジから9.3μm」のときの輝度を示す。
【図23】比較例1の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図24】比較例2の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図25】比較例3の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図26】比較例4の半透過型の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0085】
1:アレイ基板
2:カラーフィルタ基板
3:液晶層
10、40:遮光領域
11:背面側偏光板
12、22、32、42:ガラス基板
13、33:層間絶縁膜
14:透明電極(画素電極)
15:反射電極(画素電極)
16、36:ゲート配線(遮光部)
17:保持容量配線(遮光部)
18、38:ソース配線
19:TFT
21:表示面側偏光板
23、43:カラーフィルタ層
23R:カラーフィルタ層(反射表示領域)
23T:カラーフィルタ層(透過表示領域)
24:共通電極
25:λ/4位相差層
26、46:BM(遮光部)
27:段差絶縁膜
30:液晶分子
31:スリット
33:層間絶縁膜
34:画素電極
35:反射電極
45:リブ(λ/4位相差層)
51:透過光
52:反射光
T:透過領域
R:反射領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを備え、かつ透過表示領域と反射表示領域とを有する液晶表示装置であって、
該一対の基板の少なくとも一方は、反射表示領域にλ/4位相差層を備え、
該λ/4位相差層は、外縁に傾斜面を有し、
該液晶表示装置は、表示面側から見たときに、傾斜面と重なる位置に遮光部を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記遮光部は、表示面側から見たときに、λ/4位相差層の位相差値が110nm未満の部分と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記一対の基板の一方は、カラーフィルタ基板であり、
前記遮光部は、カラーフィルタ基板が備えるブラックマトリクスであることを特徴とする請求項項1又は2記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記λ/4位相差層は、カラーフィルタ基板に形成されていることを特徴とする請求項3記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記一対の基板の一方は、アレイ基板であり、
前記遮光部は、アレイ基板が備える画素駆動用配線であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記λ/4位相差層は、アレイ基板に形成されていることを特徴とする請求項5記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記λ/4位相差層は、表示面側から見たときに線状であり、かつ表示面に水平な方向から見たときに液晶層に向かって突出した誘電体突起物であり、
前記液晶表示装置は、λ/4位相差層の液晶層面と逆側の面に導電体を有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項1】
互いに対向する一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを備え、かつ透過表示領域と反射表示領域とを有する液晶表示装置であって、
該一対の基板の少なくとも一方は、反射表示領域にλ/4位相差層を備え、
該λ/4位相差層は、外縁に傾斜面を有し、
該液晶表示装置は、表示面側から見たときに、傾斜面と重なる位置に遮光部を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記遮光部は、表示面側から見たときに、λ/4位相差層の位相差値が110nm未満の部分と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記一対の基板の一方は、カラーフィルタ基板であり、
前記遮光部は、カラーフィルタ基板が備えるブラックマトリクスであることを特徴とする請求項項1又は2記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記λ/4位相差層は、カラーフィルタ基板に形成されていることを特徴とする請求項3記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記一対の基板の一方は、アレイ基板であり、
前記遮光部は、アレイ基板が備える画素駆動用配線であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記λ/4位相差層は、アレイ基板に形成されていることを特徴とする請求項5記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記λ/4位相差層は、表示面側から見たときに線状であり、かつ表示面に水平な方向から見たときに液晶層に向かって突出した誘電体突起物であり、
前記液晶表示装置は、λ/4位相差層の液晶層面と逆側の面に導電体を有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22−1】
【図22−2】
【図22−3】
【図22−4】
【図22−5】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22−1】
【図22−2】
【図22−3】
【図22−4】
【図22−5】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2009−210591(P2009−210591A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50281(P2008−50281)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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