説明

液晶表示装置

【課題】青色光源の利用により高い光利用効率でカラー表示でき、視野角色表示特性に優れた液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】青色光を発光する青色光源と、液晶セル及び前記液晶セルを挟持する一対の偏向板を有する液晶素子と、前記青色光により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体、及び、前記青色光により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体を有するカラーフィルターと、少なくとも前記青色光を散乱させる光散乱フィルムとを含むことを特徴とする液晶表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青色光源の利用により高い光利用効率でカラー表示でき、視野角色表示特性に優れた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、CRT、EL等に代表される画像表示装置は、テレビやコンピュータをはじめとして様々な分野で使用されており、目覚しい発展を遂げている。特にLCDは薄く、軽量で、かつ汎用性に富むディスプレイとして、薄型テレビや携帯電話、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、PDA、その他各種デバイス用の表示媒体として普及が著しい。
LCDの表示形式としては、TNモード、VAモード、IPSモード、OCBモード等の表示装置が開発されてきた。これらの液晶表示装置に表示形式は、液晶の配向形態が異なっており、それぞれの液晶の配向形態に特有の画像表示特性を示す。
【0003】
液晶表示装置は、一般に、青色、赤色、緑色の3原色からなる表示画素を、加色混合することにより、カラー表示している。従来、液晶表示装置は、青色、赤色、緑色をそれぞれ選択的に透過させるカラーフィルターと、白色光源とを用いて、3原色を表示する構成であった。
しかしながら、白色光源を用いると、カラーフィルターによりカットされる波長が多く、光利用効率が悪いという問題があった。
【0004】
そこで、青色光を発光する青色光源と、前記青色光により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体、及び、前記青色光により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体を有するカラーフィルターとを用いる構成が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。前記構成によれば、青色表示画素として青色光源から発光した青色光をそのまま利用できるので、光利用効率を高くすることができる。
しかしながら、青色光源を用いた液晶表示装置においては、表示画像を斜めから見たときに黄色味に色づき、視野角色表示特性が低下するという問題があった。
【0005】
したがって、青色光源の利用により高い光利用効率でカラー表示でき、視野角色表示特性に優れた液晶表示装置は、未だ満足なものが提供されていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特開2000−131683号公報
【特許文献2】特開2006−309225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、青色光源の利用により高い光利用効率でカラー表示でき、視野角色表示特性に優れた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究した結果、以下のような知見を得た。即ち、青色光源を用いた液晶表示装置において、表示画像を斜めから見たときに黄色味に色づく原因は、カラーフィルターにおいて蛍光により発光した赤色光及び緑色光と、カラーフィルターにおいて透過した青色光との、指向性が異なることによること;液晶表示装置において、少なくとも青色光を散乱させる光散乱フィルムを設けることにより、前記赤色光及び緑色光と、青色光との指向性の違いが解消されること;を知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 青色光を発光する青色光源と、
液晶セル及び前記液晶セルを挟持する一対の偏向板を有する液晶素子と、
前記青色光により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体、及び、前記青色光により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体を有するカラーフィルターと、
少なくとも前記青色光を散乱させる光散乱フィルムとを含むことを特徴とする液晶表示装置である。
<2> 青色光源と、液晶素子と、カラーフィルターと、光散乱フィルムとが、この順に配されてなる<1>に記載の液晶表示装置である。
<3> 光散乱フィルムが、支持体と、前記支持体上に、少なくとも1種の光散乱粒子及び透光性樹脂を有する層とを含む<1>から<2>のいずれかに記載の液晶表示装置である。
<4> 光散乱フィルムにおける波長435nm及び545nmでの光透過率を、それぞれT435及びT545としたとき、下記(1)式を満たす<3>に記載の液晶表示装置である。
0.20<T435/T545<1.25 ・・・(1)
<5> カラーフィルターの青色表示画素に対応する部分が、透明の部材、及び、青色以外の光を遮断するフィルターのうちいずれかである<1>から<4>のいずれかに記載の液晶表示装置である。
<6> カラーフィルターの青色表示画素、赤色表示画素及び緑色表示画素の少なくともいずれかに対応する部分が、それぞれの表示画素に対応する色の顔料を含む<1>から<5>のいずれかに記載の液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、青色光源の利用により高い光利用効率でカラー表示でき、視野角色表示特性に優れた液晶表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置は、青色光源と、液晶素子と、カラーフィルターと、光散乱フィルムとを含み、更に必要に応じてその他の構成を含んでなる。
【0012】
<青色光源>
前記青色光源は、青色光を発光する光源である。
前記青色光源の発光ピーク波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、波長400〜500nmが好ましく、430〜480nmがより好ましい。液晶素子に使用される偏向板には偏向膜を保護するために紫外線吸収剤が添加されることがあり、前記発光ピーク波長が400nm未満であると、前記紫外線吸収剤により大部分の光が吸収されてしまい、光利用効率が低下することがある。前記ピーク波長が500nmを超えると、そのまま青色表示に利用できないことがある。
【0013】
前記青色光源としては、特に制限はなく、例えば、LED(Light Emitting Diodes)、蛍光ランプ(冷陰極管、熱陰極管等)などが挙げられる。
前記蛍光ランプに使用する蛍光体としては、例えば、Sr10(POCl:Eu2+、(Sr,Ca)10(POCl:Eu2+、(Sr,Ca)10(POCl・nB:Eu2+等のハロ酸リン塩蛍光体、Sr:Eu2+等のリン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)AlSi:Eu2+、BaMgSi:Eu2+等のケイ酸塩蛍光体、CaWO等のタングステン酸塩蛍光体、BaMgAl1627:Eu2+、SrMgAl1017:Eu2+等のアルミン酸塩蛍光体などが挙げられる。
前記蛍光体は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0014】
前記青色光源は、発光する光をそのまま青色表示に用いることができ、紫外線を含まないので、前記液晶表示装置の光源として使用したときに、白色光源に比べて光利用効率を上げることができる。前記青色光源は、発光する光の波長が短いので、赤色及び緑色の蛍光を発するための励起光として好適に利用できる。即ち、青色光源を用いることで、高い光利用効率で、RGBの3原色を画面に表示することができる。
【0015】
<液晶素子>
前記液晶素子は、液晶セル及び前記液晶セルを挟持する一対の偏向板を有する。
前記液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、液晶セルと一方の偏光板との間に、光学異方性層が一枚配置されるか、又は、液晶セルと双方の偏光板との間に、光学異方性層が2枚配置されることもある。
前記液晶素子は、前記青色光源から発光する青色光を選択的に透過させる、光シャッターとしての機能を有する。
前記液晶素子においては、一般に、青色表示画素、赤色表示画素及び緑色表示画素が交互に配され、各色表示画素において別々に、青色光の透過/遮断が制御される。
前記各表示画素を交互に配列する方法としては、特に制限はなく、公知の配列方法の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
前記液晶セルの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード、ECBモードなどが挙げられる。
【0016】
<カラーフィルター>
前記カラーフィルターは、前記青色光により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体、及び、前記青色光により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体を有する。
前記赤色の蛍光ピーク波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、波長600〜700nmが好ましく、620〜680nmがより好ましい。
前記緑色の蛍光ピーク波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、波長500〜600nmが好ましく、520〜580nmがより好ましい。
【0017】
前記カラーフィルターは、表示画素毎に、その色に対応するフィルター(蛍光体を含む)が透明基材上にパターニングされることで形成される。
前記透明基材の材料としては、可視光を透過することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて選択することができ、例えば、ガラス板、樹脂板、樹脂フィルムなどが挙げられる。また、液晶パネルの積層構造のうち、カラーフィルターを形成する位置により、偏光板の部材、液晶セルのガラス基板、光散乱フィルムなどを前記透明基材として兼用し、その表面にフィルターをパターニングする構成も好ましく用いることができる。
【0018】
前記カラーフィルターにおける、前記液晶素子の赤色表示画素に対応する領域には、青色光により励起されて、赤色の蛍光を発する赤色用蛍光体がパターニングされる。
前記カラーフィルターにおける、前記液晶素子の緑色表示画素に対応する領域には、青色光により励起されて、緑色の蛍光を発する緑色用蛍光体がパターニングされる。
前記カラーフィルターにおける、前記液晶素子の青色表示画素に対応する領域には、透明の部材及び青色以外の光を遮断するフィルターのいずれかがパターニングされる。
また、蛍光体により発する蛍光は拡散光であるので、異なる色の画素に対応する領域に光が漏れることがないように、異なる画素に対応するフィルターとの境に、可視光を吸収するブラックマトリクスを形成してもよい。
【0019】
前記蛍光体としては、青色光を励起光として、赤色又は緑色の蛍光を発することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、蛍光顔料;レーザー色素のような有機系の蛍光色素;などが挙げられる。
【0020】
前記赤色用蛍光体としては、例えば、CaS:Eu2+、CaSiN:Eu2+、SrSi:Eu2+、(Sr,Ca)SiO:Eu2+、CaAlSiN:Eu2+等の無機蛍光体、ローダミンB、ベーシックレッド2等のローダミン系色素、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリン)−4Hビラン等のシアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジウム−パーコラレイト等のピリジン系色素、オキサジン系色素等の有機蛍光体などが挙げられる。
【0021】
前記緑色用蛍光体としては、例えば、SrCa:Eu2+、(Ba,Sr)SO:Eu2+、YAl12:Ce3+、ベータサイアロン(β−sialon:Eu2+)等の無機蛍光体、(3−2’−ベンゾチアゾイル)−ジエチルアミノクマリン、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9s,1−gh)クマリン、(3−2’−ベンゾチアゾイル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン等のクマリン色素やクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51等の有機蛍光体などが挙げられる。
前記蛍光体は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
前記透明の部材及び前記青色以外の光を遮断するフィルターとしては、少なくとも青色光を透過させることができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。前記透明の部材としては、例えば、前記透明基材と同様の部材を用いてもよく、前記透明基材により兼用されていてもよい。
【0023】
また、赤色光及び緑色光の色純度を高めるために、赤色用蛍光体及び緑色蛍光体にそれぞれ赤色及び緑色の顔料を含む構成としたり、赤色又は緑色以外の波長光を遮断するフィルターを積層したりしてもよい。
同様に、前記透明の部材及び前記青色以外の光を遮断するフィルターを透過した青色光の色純度を高めるために、前記透明の部材及び前記青色以外の光を遮断するフィルターに青色の顔料を含む構成としてもよい。
【0024】
前記パターニングする方法としては、特に制限はなく、例えば、蛍光材料をインク基材に練りこんだインクを使用する印刷法;蛍光色素を液状のレジスト中に分散させ、これをスピンコート法などにより成膜したのちフォトリソグラフィ法でパターニングする方法;などが挙げられる。
【0025】
前記カラーフィルターは、青色表示画素に対応する領域において青色光を透過し、赤色表示画素に対応する領域において赤色用蛍光体が青色光により励起されて赤色の蛍光を発し、緑色表示画素に対応する領域において緑色用蛍光体が青色光により励起されて緑色の蛍光を発するので、青色光源から発光した青色光を、高い光利用効率で3原色に変換することができる。
【0026】
<光散乱フィルム>
前記光散乱フィルムは、少なくとも前記青色光を散乱させる光散乱フィルムである。
前記光散乱フィルムは、支持体と、前記支持体上に、少なくとも1種の光散乱粒子(以下、透光性粒子と言うことがある。)及び透光性樹脂を有する層(以下、光散乱層ということがある)とを含み、必要に応じて、ハードコート層、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層、帯電防止層、防湿層、ガスバリア層などの、その他の層を含む。
【0027】
〔光散乱フィルムの光学特性〕
以下に、前記光散乱フィルムの好適な光学特性を示す。
なお、光散乱フィルムの光学特性は、前記光散乱層の構成により規定されるものである。前記光散乱層の詳細な構成については、後記する。
【0028】
前記光散乱フィルムは、特に短波長の青色光を効率的に散乱することが好ましい。
前記光散乱フィルムは、波長435nm及び545nmでの光透過率を、それぞれT435及びT545としたとき、下記(1)式を満たすことが好ましく、下記(2)式を満たすことがより好ましく、下記(3)式を満たすことが更に好ましい。
0.20<T435/T545<1.25 ・・・・(1)
0.20<T435/T545<0.85 ・・・・(2)
0.20<T435/T545<0.60 ・・・・(3)
【0029】
前記(T435/T545)の値が、0.20以下であると、相対的に青色光を過度に散乱させることにより、正面透過光が黄〜赤色味を帯びることがある。前記(T435/T545)の値が、1.25以上であると、青色光の散乱が不足し、斜め視野での色味の改善効果が不足することがある。
【0030】
光散乱の機能は、光散乱粒子と透光性樹脂との屈折率の差によって得られる。本発明における光散乱の効果は、(イ)光散乱粒子の方が透光性樹脂よりも屈折率が大きい場合、(ロ)透光性樹脂の方が光散乱粒子よりも屈折率が大きい場合、のいずれにおいても得ることができる。屈折率の差は、波長545nmにおいて、0.02〜0.15が好ましく、0.03〜0.13がより好ましい。
【0031】
屈折率の波長に対する依存性を波長分散といい、屈折率の波長依存性が小さいとき屈折率の波長依存性が小さいとき屈折率の波長分散が小さいという。一般に、光散乱粒子や透光性樹脂に用いられる物質の屈折率の波長分散には、短波長になるに従って大きくなる傾向があるが、その程度は物質の種類により異なる。本発明の構成においては、特に短波長の青色光を散乱させることが効果的であり、前述のように、光散乱フィルムとして(1)式を満たすことが好ましい。これを満足するための手段としては、光散乱粒子及び透光性樹脂の2者について、下記(a)又は(b)の手段を単独で又は併用して用いることが好ましい。
(a)屈折率が小さい方を構成する物質として、波長分散がより平坦に近いものを選択する。
(b)屈折率の大きい方を構成する物質として、波長分散がより急峻であるものを選択する。
【0032】
〔光散乱フィルムの構成〕
以下に光散乱フィルムを構成する各要素について詳述する。
−光散乱層−
前記光散乱層は、少なくとも1種の光散乱粒子及び透光性樹脂を有し、必要に応じて、無機フィラー、光重合開始剤、面状改良剤、塗布溶媒などのその他の成分を含む。
【0033】
前記透光性樹脂は、前記光散乱粒子との関係で、屈折率について前記(イ)又は(ロ)の関係を満たす限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0034】
後記の光散乱粒子を用いた場合に前記(イ)の関係を満たす、即ち、光散乱粒子よりも屈折率が小さい透光性樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂などが挙げられる。
【0035】
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0036】
前記熱硬化型樹脂としては、フラン樹脂、ケトン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記熱硬化型樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0037】
前記電離放射線硬化型樹脂としては、硬化膜の硬度上昇の点から、多官能モノマー及び多官能オリゴマーが好ましい。前記電離放射線硬化型樹脂に含まれる重合性官能基としては、光重合性、電子線重合性、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0038】
光重合性である2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル{例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,3,5−シクロヘキサントリオールトリメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレートなど}、ビニルスルホン(例えばジビニルスルホンなど)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミドなど)などが挙げられる。中でも、膜硬度、即ち耐擦傷性の観点から、少なくとも3つの官能基を有するアクリレート又はメタアクリレートモノマーが好ましく、少なくとも5つの官能基を有するアクリレートモノマーがより好ましい。また、市販されているジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物が特に好ましい。
【0039】
また、アクリロイル基がウレタン結合を介して導入されている多官能モノマーが、屈折率の波長分散が大きい点で、特に好ましい。前記アクリロイル基がウレタン結合を介して導入されている多官能モノマーの市販品としては、ダイセルサイテック(株)の“Ebecryl”シリーズの脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
【0040】
上記の重合性不飽和基を有するモノマーの代わりに、又は該重合性不飽和基を有するモノマーに加えて、架橋性官能基をバインダーに導入してもよい。前記架橋性官能基としては、例えば、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基などが挙げられる。他にも、前記架橋性官能基としては、ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも利用できる。また、前記架橋性官能基としては、ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。即ち、前記架橋性官能基としては、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。前記架橋性官能基を有するバインダーは、塗布後に加熱することによって、架橋構造を形成することができる。
【0041】
前記透光性樹脂のうち、前記(1)式を満足する前記(a)の手段として、構成する化合物に芳香族基を含まないものを使用すると、透光性樹脂の波長分散がより平坦化して好ましい。特に好ましい例として、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチルなどの汎用重合性モノマー、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどの光重合性の多官能モノマーが挙げられる。
【0042】
後記の光散乱粒子を用いた場合に前記(ロ)の関係を満たす、即ち、光散乱粒子よりも屈折率が大きい透光性樹脂としては、例えば、前記の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂に、高屈折率を有するモノマーを共重合する、又は、高屈折率を有する金属酸化物超微粒子を混合する、ことによって形成することができる。
【0043】
前記高屈折率を有するモノマーとしては、例えば、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド及び4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテルが挙げられる。
【0044】
前記高屈折率を有する金属酸化物超微粒子としては、例えば、粒径が100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。金属酸化物に用いる金属としては、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫又はアンチモンが好ましい。金属酸化物としては、例えば、ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOなどが挙げられ、中でも、ZrOが特に好ましい。前記金属酸化物超微粒子の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、透光性樹脂の10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
【0045】
前記透光性樹脂のうち、前記(1)式を満足する前記(b)の手段として、構成する化合物に芳香族基を含むものを使用する、又は、芳香族基を含まないものと併用すると、透光性樹脂の波長分散がより急峻となる、即ち、短波長でより大きくなるので好ましい。
【0046】
構成する化合物に芳香族基を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、芳香族基を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。また、メラミン樹脂の原料であるメチロールメラミンやそのアルコール変性体と、分子内に水酸基を複数個含有する化合物との縮合物からなる樹脂は、両者の混合比や水酸基を有する化合物の選択の幅が広くできる点で好ましい。前記構成する化合物に芳香族基を有する熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0047】
光重合性であるエチレン性不飽和基を有するモノマーのうち、構成する化合物に芳香族基を有するものとしては、例えば、ビニルベンゼンの誘導体(例えば、ビニルベンゼン、p−ターシャリーブチルビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノンなど)、芳香族基を有する(メタ)アクリレート誘導体(フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等)などが挙げられる。また、特にアクリロイル基がウレタン結合を介して導入されている芳香族基含有多官能モノマーは、屈折率の波長分散が大きく好ましい。市販されている化合物としては、“Ebecryl−204”、“Ebecryl−205”、“Ebecryl−210”、“Ebecryl−215”、“Ebecryl−220”、“Ebecryl−6202”、“KRM8098”、(以上ダイセルサイテック株式会社製)などが挙げられる。
【0048】
−−光散乱粒子−−
前記光散乱粒子としては、前記透光性樹脂との関係で、屈折率について前記(イ)又は前記(ロ)の関係を満たす限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記光散乱粒子としては、例えば、以下の汎用の有機微粒子又は無機微粒子を使用することができる。
【0049】
前記有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.54)、メラミンホルムアルデヒドビーズ(屈折率1.65)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)、スチレンビーズ(屈折率1.60)、架橋ポリスチレンビーズ(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ(屈折率1.68)などが挙げられる。
【0050】
前記無機微粒子としては、例えば、シリカビーズ(屈折率1.51)、アルミナビーズ(屈折率1.63)等が挙げられる。
【0051】
前記光散乱粒子は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。透光性粒子を併用する場合には、少なくとも1種以上の粒子は光散乱に主として寄与するが、その他の粒子は散乱に寄与せずともよい。
【0052】
適度な散乱性を得るための光散乱粒子の粒径としては、0.5〜6.0μmが好ましく、0.6〜5.0μmがより好ましく、0.7〜4.0μmが特に好ましい。
前記光散乱粒子の形状としては、特に制限はなく、球状、扁平状、紡錘状等様々な形状をとることができるが、中でも、球状が好ましい。
【0053】
光散乱粒子の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、透光性樹脂100質量部に対して5〜30質量部含有させるとよい。
【0054】
−−無機フィラー−−
上記のような透光性微粒子の場合には、樹脂組成物(透光性樹脂)中で透光性微粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性微粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、透光性樹脂に対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満含有させるとよい。
【0055】
−−光重合開始剤−−
支持体上のいずれかの層を作製するのに用いる塗布液としては、光照射により透光性樹脂を硬化するための光重合開始剤を含むことが好ましく、光ラジカル重合開始剤を含むことがより好ましい。
前記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号公報等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
【0056】
前記重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。また、「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており、これらを好適に利用できる。
【0057】
市販の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、日本化薬(株)製の「カヤキュアー(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「イルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)」、サートマー社製の“Esacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)”などが挙げられる。前記市販の光ラジカル重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0058】
前記光重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
【0059】
−−面状改良剤−−
支持体上のいずれかの層を作製するのに用いる塗布液には、面状故障(塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥など)を改良するために、フッ素系及びシリコーン系の少なくともいずれかの面状改良剤を添加することが好ましい。
【0060】
−−塗布溶媒−−
各層を形成するための塗布組成物に用いられる溶媒としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること等の観点で選ばれる各種の溶媒が使用できる。
【0061】
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶媒を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶媒を少量含有することが好ましい。
【0062】
沸点が100℃以下の溶媒としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類;ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル (90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類;ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類;アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類;メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類;アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類;二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
【0063】
沸点が100℃を以上の溶媒としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
【0064】
前記光散乱層の厚みとしては、適度な散乱性を実現でき、かつフィルムとしての製品適性を保持する範囲である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。即ち、層厚が薄すぎると散乱性が少なく、満足な視覚改良効果を得られないが、層厚が厚すぎると著しくカールの発生を伴う場合がある。したがって、前記光散乱層の厚みとしては、3μm〜15μmが好ましく、4μm〜12μmが更に好ましく、5μm〜10μmが特に好ましい。
【0065】
前記光散乱フィルムは、必要性に応じて、フィルム表面に凹凸形状をつけることで防眩性を付与することも可能である。画像の鮮明性を維持する目的で、クリアな表面を得るためには、表面粗さを示す特性のうち、例えば中心線平均粗さ(Ra)を0.08μm以下とすることが好ましい。Raとしては、0.07μm以下がより好ましく、0.06μm以下が更に好ましい。
【0066】
前記光散乱層の形成方法としては、前記(1)式を満たす限り、特に制限はなく、公知の塗布方法により形成することができ、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法などが挙げられる。中でも、マイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
【0067】
前記マイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、光散乱層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
【0068】
前記マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
【0069】
−支持体−
前記光散乱フィルムの支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなどが挙げられる。
前記透明樹脂フィルムとしては、例えば、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルムポリオレフィン、脂環式構造を有するポリマー[ノルボルネン系樹脂{「アートン」(商品名)、JSR(株)製}、非晶質ポリオレフィン{「ゼオネックス」(商品名)、日本ゼオン(株)製}]などが挙げられる。中でも、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、脂環式構造を有するポリマーが好ましく、トリアセチルセルロースが特に好ましい。
【0070】
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常25μm〜1000μm程度であり、25μm〜250μmが好ましく、30μm〜90μmがより好ましい。
前記支持体の幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から、通常は100〜5000mmであり、800〜3000mmが好ましく、1000〜2000mmがより好ましい。前記支持体はロール形態の長尺で取り扱うことができ、通常100m〜5000mであり、500m〜3000mが好ましい。
【0071】
前記支持体の表面は平滑であることが好ましい。前記支持体の平均粗さRaとしては、1μm以下が好ましく、0.0001〜0.5μmが好ましく、0.001〜0.1μmが更に好ましい。
【0072】
−光散乱フィルムにおけるその他の層−
前記光散乱フィルムは、前記光散乱層及び前記支持体に加えて、目的に応じて必要な機能層を設けることもできる。
以下、前記光散乱フィルムに付加することのできる構成層について説明する。
【0073】
好ましい一つの態様としては、光散乱層を有する支持体上に光学干渉によって反射率が減少するように、屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層された反射防止層を挙げることができる。なお、本明細書で反射防止層とは、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称した呼称である。
【0074】
反射防止層は、最も単純な構成では、光散乱層を有する支持体上に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、光散乱層よりも屈折率の高い高屈折率層と、光散乱層よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、支持体側から光散乱層/高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(支持体、光散乱層又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層及び光散乱層を有する支持体上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に反射防止層を塗布することが好ましく、例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の構成が挙げられる。
【0075】
また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例えば、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
【0076】
前記反射防止層を有する光散乱フィルム(以下、反射防止性光散乱フィルムともいう)の、好ましい層構成の例を下記に示す。前記反射防止性光散乱フィルムは、光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。この構成において、光散乱層に防眩性の機能を持たせることも可能である。
【0077】
・支持体フィルム/光散乱層/低屈折率層
・支持体フィルム/光散乱層/帯電防止層/低屈折率層
・支持体フィルム/ハードコート層/光散乱層/低屈折率層
・支持体フィルム/ハードコート層/光散乱層/帯電防止層/低屈折率層
・支持体フィルム/ハードコート層/帯電防止層/光散乱層/低屈折率層
・支持体フィルム/光散乱層/高屈折率層/低屈折率層
・支持体フィルム/光散乱層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層
・支持体フィルム/光散乱層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・支持体フィルム/光散乱層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/支持体フィルム/光散乱層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・支持体フィルム/帯電防止層/光散乱層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/支持体フィルム/光散乱層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/支持体フィルム/光散乱層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
【0078】
また、別の態様として、光学干渉を積極的には用いずに、ハードコート性、防湿性、ガスバリア性、防眩性、防汚性付与などの目的のために必要な層を設けた光散乱フィルムも好ましい。
【0079】
上記態様のフィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。
・支持体フィルム/光散乱層/ハードコート層
・支持体フィルム/光散乱層
・支持体フィルム/光散乱層/防眩層
・支持体フィルム/ハードコート層/光散乱層
・支持体フィルム/光散乱層/ハードコート層
・支持体フィルム/帯電防止層/光散乱層
・支持体フィルム/防湿層/光散乱層
・支持体フィルム/ガスバリア層/光散乱層
・支持体フィルム/光散乱層/防汚層
・帯電防止層/支持体フィルム/光散乱層
・光散乱層/支持体フィルム/帯電防止層
【0080】
これらの層は、蒸着、大気圧プラズマ、塗布などの方法により形成することができる。生産性の観点からは、塗布により形成することが好ましい。
【0081】
前記光散乱フィルムは、少なくとも青色光を散乱することができるので、前記カラーフィルターにおいて蛍光により発光した赤色光及び緑色光と、指向性を同程度にすることができる。したがって、前記光散乱フィルムを本発明の液晶表示装置に適用することで、表示画像を斜めから見たときに黄色味に色づく問題を解消し、視野角色表示特性を向上することができる。
【0082】
<液晶表示装置の構成例>
以下に、前記液晶表示装置の構成例を示すが、本発明の液晶表示装置はこれらに限定されるものではない。
なお、図1〜3において、図面上では各構成要素の間隔が離れているが、実際には、粘着剤などを用いて密着させている。
【0083】
−構成例1−
図1は、構成例1の液晶表示装置の断面模式図である。
図1に示す液晶表示装置100は、バックライトユニット1と、バックライト側偏光板2と、液晶セル3と、視認側偏光板4と、カラーフィルター5と、光散乱フィルム6とが、この順に配されてなる。
【0084】
バックライトユニット1は、反射シート11、青色光源12、反射板13、導光板14、第1拡散シート15、プリズムシート16及び第2拡散シート17からなる。バックライト装置1とバックライト側偏光板2との間に、拡散板や輝度向上フイルムを配置してもよい。
バックライト側偏光板2は、バックライト側第2透明保護フィルム21、バックライト側偏光子22及びバックライト側第1透明保護フィルム23からなる。
液晶セル3は、バックライト側ガラス基板31、バックライト側透明電極32及びバックライト側配向膜33、液晶層34、視認側配向膜35、視認側透明電極36及び視認側ガラス基板37からなる。
視認側偏向板4は、視認側第1透明保護フィルム41、視認側偏光子42及び視認側第2透明保護フィルム43からなる。
カラーフィルター5は、青色発色層51、緑色発色層52、赤色発色層53及びブラックマトリクス54からなる。
光散乱フィルム6は、ベースフィルム61、光散乱層62及び低屈折率層63からなる。
構成例1の液晶表示装置は、カラーフィルター5が、偏光板4と光散乱フィルム6との間に配されていることにより、液晶セル及び偏光板の組み合わせで行われる偏光制御の機能に対し、カラーフィルターによる光散乱の悪影響を及ぼすことがなく、かつ、光がカラーフィルターを透過することで生じる散乱性の色間差を直後の光散乱フィルムで効率よく補正できる点で有利である。
【0085】
−構成例2−
図2は、構成例2の液晶表示装置の断面模式図である。
図2に示す液晶表示装置101は、バックライトユニット1と、カラーフィルター5と、バックライト側偏光板2と、液晶セル3と、視認側偏光板4と、光散乱フィルム6とが、この順に配されてなる。
視認側偏光板4と光散乱フィルム6との間に、カラーフィルター5が配されていないため、視認側第2透明保護フィルム43とベースフィルム61とは、同じ部材により兼用されている。
なお、他の構成については、構成例1で説明したものと同じであるので説明を省略する。
【0086】
−構成例3−
図3は、構成例3の液晶表示装置の断面模式図である。
図3に示す液晶表示装置102は、バックライトユニット1と、バックライト側偏光板2と、カラーフィルター5を内部に含む液晶セル3と、視認側偏光板4と、光散乱フィルム6とが、この順に配されてなる。
液晶セル3において、カラーフィルター5は、視認側透明電極36と視認側ガラス基板37との間に配される。
視認側偏光板4と光散乱フィルム6との間に、カラーフィルター5が配されていないため、視認側第2透明保護フィルム43とベースフィルム61とは、同じ部材により兼用されている。
なお、他の構成については、構成例1で説明したものと同じであるので説明を省略する。
【実施例】
【0087】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0088】
(実施例1)
<構成例1の液晶表示装置の製造>
図1に示す構成例1の液晶表示装置100を、下記手順により製造した。
【0089】
−バックライトユニットの作製−
図4Aは、導光板の横断面図であり、図4Bは、導光板の縦断面図である。
図4A及び図4Bに示すように、青色発光ダイオード(光源)12を、ポリカーボネート製の楔形導光板(導光板)14の端面に配置した。スレンレス製の光源カバー(反射板)13を、光源を覆うようにセットした。底面側(視認側の反対面)から順に、白色PET製の反射シート(反射シート)11、光源及び反射板を装着した導光板(導光板)14、拡散シート(第1拡散シート)15、プリズムシート16、拡散シート(第2拡散シート)17を順に積層し、固定することにより、バックライトユニット1を作製した。
【0090】
−偏光板の作製−
バックライト側偏光板2及び視認側偏光板4は同一のものを使用した。バックライト側第2透明保護フィルム21及び視認側第2透明保護フィルム43としては、市販のTACフィルムTD80(富士フイルム(株)製)を使用した。
バックライト側偏光子22、視認側偏光子42は、延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着して膜状の偏光子を作製し、バックライト側偏光子22及び視認側偏光子42として用いた。
バックライト側第1透明保護フィルム23及び視認側第1透明保護フィルム41としては、市販のTN液晶セル用の視野角補償フィルムWV−EA(富士フイルム(株)製)を使用した。同品は、セルロースアセテートフィルムに光学異方層を塗接したものである。
バックライト側第2透明保護フィルム21、バックライト側偏光子22及びバックライト側第1透明保護フィルム23を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼合し、偏光板2を作製した。バックライト側第1透明保護フィルム23は、塗設した光学異方層側を外面になるように、配置した。同様に、視認側第2透明保護フィルム43、視認側偏光子42及び視認側第1透明保護フィルム41から偏光板4を作製した。
【0091】
−液晶セルの作製−
ITO電極32,36付きのガラス基板31,37に、ポリイミド膜を配向膜33,35として設け、それぞれの配向膜にラビング処理を行った。得られた2枚のガラス基板をラビング方向が直行する配置で向かい合わせ、セルギャップを6μmに設定した。セルギャップに液晶性化合物MLC−9100(メルク社製)を注入して液晶層34を形成し、TNモードの液晶セル3を作成した。
【0092】
−カラーフィルターの作製−
青色透過層51を作製するためのレジスト剤として、紫外線架橋性シリコン樹脂を用意した。
緑色発光層52を作製するためのレジスト剤として、SrSi:Eu2+を紫外線架橋性シリコン樹脂に35wt%分散させたものを用意した。
赤色発光層53を作製するためのレジスト剤として、CaSiN:Eu2+を紫外線架橋性シリコン樹脂に35wt%分散させたものを用意した。
ブラックマトリクス54を作製するためのレジスト剤として、カーボンブラックを紫外線架橋性シリコン樹脂に35wt%分散させたものを用意した。
視認側偏光板4を基材として、視認側第2透明保護フィルム43面上に、フォトレジストプロセスにより各レジスト剤を用いて、カラーフィルター5を形成した。
具体的には、液晶セルの青色表示画素対応する領域に青色透過層51を形成し、液晶セルの緑色表示画素に対応する領域に緑色発光層52を形成し、液晶セルの赤色表示画素に対応する領域に赤色発光層53を形成し、各色間の境界にブラックマトリクス54を形成した。
【0093】
−光散乱フィルムの作製−
光散乱フィルム6は、ベースフィルム61上に、光散乱層62及び低屈折率層63を順次塗設、形成することで作製した。
ベースフィルム61としては、市販のTACフィルムTD−80U(富士フイルム製)を使用した。
光散乱層62は、ベースフィルム61の面上に、乾燥膜厚5.0μmとなるように下記組成の光散乱層用塗布液1を塗工、溶媒乾燥後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス製)を用いて、照度1.5kW/cm2、照射量95mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、光散乱層62を形成した。
【0094】
[光散乱層用塗布液1]
光散乱層を構成する透光性樹脂として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート{日本化薬(株)製}を100質量部、透光性粒子としてメラミン樹脂粒子「オプトビーズ2000M」を9質量部、及び重合開始剤「イルガキュア184」6質量部を混合してメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(30/70質量比)により固形分50質量%になるように調製した。
【0095】
低屈折率層63は、ベースフィルム61の上に光散乱層62を塗設・形成した面上に、下記組成の低屈折率層用塗布液を、乾燥膜厚0.1μmとなるように塗工、溶媒乾燥後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス製)を用いて、照度1.5kW/cm、照射量95mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、低屈折率層63を形成した。
【0096】
−低屈折率層用塗布液の調製―
−−ゾル液aの調製−−
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
【0097】
−−分散液Aの調製−−
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616号公報の調製例4に準じ、サイズを変更して作製)500質量部に、“KBM−5103”(信越化学工業(株)製)30質量部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5質量部を加え混合した後に、イオン交換水9質量部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加した。この分散液500質量部に、ほぼシリカの含量が一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にした。このようにして分散液Aを調製した。
【0098】
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー{特開2005−89536公報製造例3に記載のフッ素ポリマー(A−1)}固形分として45.0質量部を、メチルイソブチルケトン500質量部に溶解し、更に、分散液Aを195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、コロイダルシリカ分散物{シリカ、“MEK−ST”の粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製}30.0質量部(固形分として9.0質量部)、ゾル液a 17.0質量部(固形分として5.0質量部)、光重合開始剤“PM980M”{和光純薬(株)製}2.0質量部を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になるようにメチルエチルケトンで希釈して、低屈折率用塗布液を調製した。
なお、実施例1において、前記光散乱層用塗布液1を用いて作製した光散乱フィルム6を、光散乱フィルムHSF−1と称する。
【0099】
−−光散乱フィルムの透過率Tの測定−
上記光散乱フィルム(HSF−1)の、波長435nm、545nmにおける光透過率T435、T545を、UV−可視分光光度計“UV−3150”{(株)島津製作所製}により、測定した。結果を表1に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
そして、前記バックライトユニット1、前記バックライト側偏光板2、前記液晶セル3、前記視認側偏光板4、前記カラーフィルター5及び前記光散乱フィルム6を、粘着剤を用いて、図1に示す順番に密着させ、実施例1の液晶表示装置を製造した。
【0102】
(実施例2)
実施例1において、光散乱層用塗布液1に代えて下記組成の光散乱層用塗布液2を塗布することにより、光散乱フィルム(HSF−1)に代えて光散乱フィルム(HSF−2)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の液晶表示装置を製造した。
また、光散乱フィルム(HSF−2)の光透過率を、光散乱フィルム(HSF−1)を測定した方法と同様の方法により測定した。結果を表1に示す。
【0103】
[光散乱層用塗布液2]
光散乱層を構成する透光性樹脂として、ペンタエリスリトールテトラアクリレートを100質量部、透光性粒子としてメラミン樹脂粒子「オプトビーズ2000M」を9質量部、及び重合開始剤「イルガキュア184」6質量部を混合してメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(30/70質量比)により固形分50質量%になるように調製した。
【0104】
(実施例3)
実施例1において、光散乱層用塗布液1に代えて下記組成の光散乱層用塗布液3を塗布することにより、光散乱フィルム(HSF−1)に代えて光散乱フィルム(HSF−3)を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の液晶表示装置を製造した。
また、光散乱フィルム(HSF−3)の光透過率を、光散乱フィルム(HSF−1)を測定した方法と同様の方法により測定した。結果を表1に示す。
【0105】
[光散乱層用塗布液3]
光散乱層を構成する透光性樹脂として、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物{DPHA,日本化薬(株)製}を30質量部、及びジルコニア超微粒子含有ハードコート組成液{JSR(株)製}を96質量部、透光性粒子としてアクリル系(PMMA系)架橋微粒子MXS300{綜研化学(株)、架橋剤量5質量%、粒子径3.11μm}を4質量部、及びシリカ微粒子KEP150{日本触媒(株)、粒子径1.56μm}を8質量部、シランカップリング剤{KBM−5103、信越化学工業(株)製}を10質量部を混合し、メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(30/70質量比)により固形分50質量%になるように調製した。
【0106】
(実施例4)
図2に示す構成例2の液晶表示装置101を、下記手順により製造した。
実施例1において、視認側偏光板4を基材として、視認側第2透明保護フィルム43面上にカラーフィルター層を形成したことに代えて、バックライト側偏光板2を基材として、バックライト側第2透明保護フィルム21面状にカラーフィルター層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の液晶表示装置を製造した。
なお、実施例4においては、前記バックライトユニット1、前記バックライト側偏光板2、前記液晶セル3、前記視認側偏光板4、前記カラーフィルター5及び前記光散乱フィルム6を、粘着剤を用いて、図2に示す順番に密着させている。
【0107】
(実施例5)
図3に示す構成例3の液晶表示装置102を、下記手順により製造した。
実施例1において、視認側偏光板4を基材として、視認側第2透明保護フィルム43面上にカラーフィルター層を形成することに代えて、視認側ガラス基板37を基材として同液晶層側面にカラーフィルター層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の液晶表示装置を製造した。
なお、実施例5においては、前記バックライトユニット1、前記バックライト側偏光板2、前記液晶セル3、前記視認側偏光板4、前記カラーフィルター5及び前記光散乱フィルム6を、粘着剤を用いて、図3に示す順番に密着させている。
【0108】
(比較例1)
実施例1において、光散乱フィルム(HSF−1)に代えて市販のTACフィルムTD−80U(富士フイルム製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の液晶表示装置を製造した。
【0109】
[表示性能の計測評価]
実施例1〜5及び比較例1の液晶表示装置について、55Hzの矩形波電圧を印加し、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとして、白表示、黒表示、青表示、緑表示、赤表次の5種の画像を表示した。それぞれの表示について、測定機“EZ−Contrast 1 60D”{ELDIM(株)製}を用いて輝度の測定を行った。正面における白表示の輝度と黒表示の輝度の比を、正面コントラスト「CR」とした。また、青表示、緑表示、赤表示のそれぞれについて、正面の輝度に対しての水平右方向で鉛直(正面)から60°方向の斜め視野の輝度比を計算し、視野角輝度比「R60」とした。更にR60(青)、R60(緑)、R60(赤)の3者の内の最大値/最小値の差をR60(緑)で除したものを「色間差Δ」とした。結果を表2に示す。
[表示性能の目視評価]
上記の白表示について、水平右方向で鉛直(正面)から60°方向の斜め視野から観察し表示画像の色味の見えを目視で評価して以下の基準で評定した。結果を表2に示す。
◎:白色に見える。
○:僅かに黄色味を帯びた白色に見える。
△:黄色味を帯びた白色に見える。
×:著しく黄色着色を認める。
【0110】
【表2】

【0111】
光散乱フィルムを用いない比較例1の構成では、斜め視野での色間差が大きく、が小さいため、白表示をしたときの斜め視野での黄色味が著しい。一方、光散乱フィルムを使用した実施例1から実施例5の構成では、色間差が縮小してR60(青)がR60(緑)及びR60(赤)の2者に近づくとともに、斜め視野での黄色味が改善される。
【符号の説明】
【0112】
1 バックライトユニット
2 バックライト側偏光板
3 液晶セル
4 視認側偏光板
5 カラーフィルター
6 光散乱フィルム
11 反射シート
12 光源
13 反射板
14 導光板
15 第1拡散シート
16 プリズムシート
17 第2拡散シート
21 バックライト側第2透明保護フィルム
22 バックライト側偏光子
23 バックライト側第1透明保護フィルム
31 バックライト側ガラス基板
32 バックライト側透明電極
33 バックライト側配向膜
34 液晶層
35 視認側配向膜
36 視認側透明電極
37 視認側ガラス基板
41 視認側第1透明保護フィルム
42 視認側偏光子
43 視認側第2透明保護フィルム
51 青色透過層
52 緑色発光層
53 赤色発光層
54 ブラックマトリクス
61 ベースフィルム
62 光散乱層
63 低屈折率層
100,101,102 液晶表示装置
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】図1は、構成例1の液晶表示装置の縦断面図である。
【図2】図2は、構成例2の液晶表示装置の縦断面図である。
【図3】図3は、構成例3の液晶表示装置の縦断面図である。
【図4A】図4Aは、導光板の横断面図である。
【図4B】図4Bは、導光板の縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色光を発光する青色光源と、
液晶セル及び前記液晶セルを挟持する一対の偏向板を有する液晶素子と、
前記青色光により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体、及び、前記青色光により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体を有するカラーフィルターと、
少なくとも前記青色光を散乱させる光散乱フィルムとを含むことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
青色光源と、液晶素子と、カラーフィルターと、光散乱フィルムとが、この順に配されてなる請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
光散乱フィルムが、支持体と、前記支持体上に、少なくとも1種の光散乱粒子及び透光性樹脂を有する層とを含む請求項1から2のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項4】
光散乱フィルムにおける波長435nm及び545nmでの光透過率を、それぞれT435及びT545としたとき、下記(1)式を満たす請求項3に記載の液晶表示装置。
0.20<T435/T545<1.25 ・・・(1)
【請求項5】
カラーフィルターにおける、液晶素子の青色表示画素に対応する領域が、透明の部材及び青色以外の光を遮断するフィルターのいずれかである請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
カラーフィルターにおける、液晶素子の青色表示画素、赤色表示画素及び緑色表示画素の少なくともいずれかに対応する領域が、それぞれの表示画素に対応する色の顔料を含む請求項1から5のいずれかに記載の液晶表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2009−244383(P2009−244383A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88507(P2008−88507)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】