説明

液晶表示装置

【課題】ユーザの位置情報によって視野角モードを任意に切り換え表示品質を落とすことなく低消費電力を実現できる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】マルチドメイン方式の液晶表示装置において、使用者位置情報検出部101を有し、使用者位置検出部101の使用者位置情報から、視野角制御部102により視野角モード切り換えを行い、マルチドメイン駆動信号の停止およびマルチドメイン駆動用電力の停止の制御を行い、視野角モードにより表示特性を制御することによって、表示品質を落とすことなく液晶表示装置の消費電力の低減を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、使用者の位置情報を取得して視野角モードを切り換える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な薄型表示装置の一つである液晶表示装置は、近年、薄型テレビ、パソコンモニタ、そしてデジタルサイネージなど、幅広く利用されている。また、昨今、地球温暖化が社会的な問題となっており、CO2排出量削減のため低消費電力の液晶表示装置が注目されている。
【0003】
従来、液晶表示装置では視野角が問題となっていたが、その視野角を改善する技術としては、特許文献1に記載されているIPSモードや、特許文献2に記載されているVAパネルのマルチドメインによる方式があげられる。
【0004】
また特許文献3では、液晶素子に印加する電圧を制御することで使用形態に応じた広視野角特性と狭視野角特性を任意に切り換えることが可能となっている。
【特許文献1】特公昭63−21907号公報
【特許文献2】特開平11−242225号公報
【特許文献3】特開平11−174489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、少人数で液晶表示装置の画面を正面から見る場合や、部屋の角地に液晶表示装置を設置した場合においては、使用者が液晶パネル表示を見る方向は正面方向に限定されるため、広視野角表示である必要はない。したがって、このような使用条件においては、広視野角駆動のための電力消費が、装置の無駄な消費電力増加を招いている。
【0006】
本発明はかかる諸点に鑑みてされたものであり、その主な目的は消費電力を低減できるマルチドメイン方式の液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の液晶表示装置は、マルチドメイン方式の液晶表示装置において、使用者の位置情報を検出する位置検出手段を有し、前記位置検出手段で検出した使用者の位置情報に応じて視野角モードを切り換えることを特徴とする。
【0008】
さらに本発明の液晶表示装置は、前記視野角モード切り換えによって、マルチドメイン駆動用信号の停止制御を行うことを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の液晶表示装置は、前記視野角モード切り換えによって、マルチドメイン駆動用電源の停止制御を行うことを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の液晶表示装置は、前記視野角モード切り換えによって、映像の表示特性の変換制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用者の位置情報により、視野角モードを切り換えて制御し、表示特性を制御することで、マルチドメイン方式の液晶表示装置の消費電力を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の基本的な構成として、使用者の位置をセンサーによって検出する使用者位置検出部101を有し、且つマルチドメイン方式による広視野角モードを有する液晶表示パネル107を備え、使用者位置検出部101の使用者の位置検出情報から視野角モードを狭視野角モードへの切り換えを行い、視野角モード切り換えにより、表示特性を調整する表示特性制御部106とマルチドメイン駆動の制御信号およびマルチドメイン駆動用電源を停止する手段とを有する。さらに、使用者位置検出部101は、使用者位置検出のカメラ等により位置検出を行う。
【0013】
本発明の実施形態に係る液晶表示装置について、図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の全体構成の一例を示すブロック図である。図2は本実施形態に係る液晶表示装置における視野角モード切り換え、および消費電力低減の手順を示すフローチャートである。図3、図4は本実施形態に係る液晶表示装置と使用者との位置関係を表す図である。
【0015】
図1に示す本実施形態に係る液晶表示装置の全体構成において、101は使用者位置検出部、102は視野角制御部、103はマルチドメイン駆動用電源、104はマルチドメイン用駆動信号生成部、105は画像処理部、106は表示特性制御部、107はマルチドメイン方式の液晶パネルをそれぞれ表す。
【0016】
まず、使用者位置検出部101により、使用者が液晶表示装置に対して、正面またはそれ以外の斜めの位置にいるかを判別し使用者の位置情報を検出する。使用者位置検出は、センサー、カメラによる顔認識、人物認識によって行い、使用者位置検出部101の使用者位置情報により、視野角制御部102で視野角モードの切り換えを行う視野角モード切り換え制御信号を生成する。次に視野角モード切り換え制御信号により、液晶パネルのマルチドメイン駆動用信号の制御、およびマルチドメイン駆動用電源の停止制御を行う。また視野角モード切り換え制御信号により、画像処理部105の表示特性制御部106において視野角モードに適した映像信号の表示特性調整を行い、液晶パネル107で表示特性調整後の画像データ表示を行う。
【0017】
次に視野角モード切り換えを行い、マルチドメイン駆動用制御信号およびマルチドメイン駆動用電源を停止し、表示特性を制御する各制御方法について、図2の視野角モード切り換えのフローチャートを用いて説明する。視野角モード切り換えは、まず使用者による視野角モード切り換え(ステップS1)によって決定する。使用者による狭視野角モードの設定制御がない場合、使用者位置検出部からの切り換え制御信号により視野角モード切り換えを行う(ステップS2)。ステップS1、ステップS2により狭視野角モードに切り替わると、マルチドメイン駆動信号停止の制御(ステップS3)、マルチドメイン用電源の停止制御(ステップS4)、表示特性の制御(ステップS5)をそれぞれ行う。
【0018】
次に、液晶表示装置と使用者との位置関係について図3,図4を用いて説明する。図3の301、図4の401は液晶表示装置、図3の302、303、304、図4の402、403、404は使用者、図3の305、306は広視野角位置範囲、図3の307,図4の405は狭視野角位置範囲を示す。また、図4の406は部屋の壁を示す。使用者が図3の使用者位置302、304のように広視野角位置範囲305,306にいる場合、広視野角モードとしてマルチドメイン駆動を行う。使用者位置303のように、狭視野角位置範囲307にいる場合、狭視野角モードとしてマルチドメイン駆動を停止する。また、図4のように部屋の角地に液晶表示装置を設置する場合、使用者の位置は、図4の使用者位置402、使用者位置403、使用者位置404のように、壁406により使用位置が正面の範囲に制限され、405の狭視野角範囲内となり、狭視野角モードとしてマルチドメイン駆動を停止することができる。
【0019】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、次のような構成と作用を奏するものを特徴とする。すなわち、使用者の位置情報を検出する手段を備え、マルチドメインによる視野角改善技術の施された液晶表示装置を、狭視野角モードに切り換えることで、マルチドメイン駆動用信号の停止制御、マルチドメイン駆動用電源の停止制御により表示品質を保ったまま液晶表示装置の消費電力の低減を図ることができる。使用者の位置情報検出は、センサー、カメラによる顔認識、人物認識によって行う。また、狭視野角モードへの切り換えは手動によって設定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る液晶表示装置における視野角モード切り換えの手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る液晶表示装置と使用者の位置関係を表す図である。
【図4】本実施形態に係る液晶表示装置と使用者の位置関係を表す図である。
【符号の説明】
【0021】
101 使用者位置検出部
102 視野角制御部
103 マルチドメイン駆動用電源
104 マルチドメイン用駆動信号生成部
105 画像処理部
106 表示特性制御部
107 マルチドメイン方式の液晶パネル
301 液晶表示装置
302 使用者
303 使用者
304 使用者
305 広視野角範囲
306 広視野角範囲
307 狭視野角範囲
401 液晶表示装置
402 使用者
403 使用者
404 使用者
405 狭視野角範囲
406 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチドメイン方式の液晶表示装置において、使用者の位置情報を検出する位置検出手段を有し、前記位置検出手段で検出した使用者の位置情報に応じて視野角モードを切り換えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1において、前記視野角モード切り換えによって、マルチドメイン駆動用信号の停止制御を行うことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記視野角モード切り換えによって、マルチドメイン駆動用電源の停止制御を行うことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項3において、前記視野角モード切り換えによって、映像の表示特性の変換制御を行うことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−117619(P2010−117619A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291714(P2008−291714)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】