説明

液晶表示装置

【課題】 液晶表示素子が静電気の影響を受けて誤動作する虞のない液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 一対の絶縁基板11、12の内側表面に透明電極11a、12aが各々設けられることで表示部15を形成する液晶表示素子10と、複数個のリード端子16を介して液晶表示素子10と導通接続される回路基板20と、透明電極12aを取り囲むように形成される導電部17とを備え、導電部17がリード端子16の配設位置を避けるように一方の絶縁基板12に設けられている液晶表示装置において、表示部15を視認可能な透視部53を有する表示パネル50と、一端側が導電部17の第1の導電パターンT1に導通接続されているとともに他端側が表示パネル50に当接する第1のアース端子18と、一端側が導電部17の第7の導電パターンT7に導通接続されているとともに他端側が接地部21に導通接続されている第2のアース端子19とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の表示部を有する液晶表示素子と、この液晶表示素子の背後に配置される回路基板と、液晶表示素子と回路基板とを導通接続するように液晶表示素子の一端縁に沿うように設けられた複数個のリード端子とを備えた液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の液晶表示装置にあっては、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の液晶表示装置は、液晶を封止した一対の絶縁基板である上側ガラス基板、下側ガラス基板の内側表面に透明電極が各々設けられることで表示部を形成する略矩形状の液晶表示素子と、接続部材である金属製の複数個のリード端子を介して液晶表示素子と導通接続される回路基板と、透明電極を取り囲むように形成される略枠状の導電パターンからなる導電部とを備え、複数個のリード端子は下側ガラス基板の一端縁に沿うように設けられているとともに、導電部はリード端子の配設位置を避けるように下側ガラス基板の内側表面に略枠状に設けられている。
【0003】
なお、この場合、上側ガラス基板の上面側には上偏光板が、また下側ガラス基板の下面側には下偏光板が貼り付けられており、両ガラス基板に設けられた透明電極の重なり合った部分に電圧が印加されるとその部分の液晶の配列が変化し、上偏光板、下偏光板により光が透過または遮断され液晶による表示が可能となる。例えば液晶表示装置を車両用計器に適用した場合には、液晶表示装置によって車速やエンジン回転数等の車両情報が表示されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−170812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に記載の液晶表示装置を車両用計器に適用した場合、液晶表示装置の前方側には、インジケータ表示部等の表示部を有する表示パネル(前面パネル)が配置されることがある。表示パネルは、例えばポリカーボネートからなる薄板状の透光性基板を母材とし、この透光性基板の中央部領域を除いた透光性基板の背面箇所には例えば黒色印刷層が形成される。そして、液晶表示素子に形成された表示部である前記車両情報は、前記黒色印刷層が印刷形成されない抜き印刷部である透視部を通じて観察者側から視認可能となる。
【0006】
しかしながら、表示パネルの略中央部に設けられた透視部と、表示パネルと平行状態をなすように表示パネル(透視部)の背後に配置される液晶表示素子との間のクリアランスが数ミリ程度の場合、例えば透視部の表面側中央付近に人間の手が触れると、表示パネルの母材である透光性基板を構成するポリカーボネート樹脂が比較的、静電気を帯電し易い性質を有していることに起因して、静電気が透光性基板(透視部)に帯電する。そして、透視部の中央付近に帯電した静電気が下方側である回路基板側へと伝播すると、液晶表示素子を駆動させるべく回路基板に実装されている素子駆動回路が破損し、これに伴い液晶表示素子が誤動作(誤表示)してしまうという問題点があり、この点で更なる改良の余地が残されていた。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、液晶表示素子が静電気の影響を受けて誤動作する虞のない液晶表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、液晶を封止した一対の絶縁基板の内側表面に透明電極が各々設けられることで表示部を形成する液晶表示素子と、所定の接続部材を介して前記液晶表示素子と導通接続される回路基板と、前記透明電極を取り囲むように形成される導電部とを備え、前記導電部が前記接続部材の配設位置を避けるように前記一対の絶縁基板のうちどちらか一方の絶縁基板に設けられている液晶表示装置において、前記表示部を視認可能な透視部もしくは貫通部を有する前面パネルと、一端側が前記導電部の所定箇所に導通接続されているとともに他端側が前記前面パネルに当接する第1のアース部と、一端側が前記所定箇所とは異なる前記導電部の他の箇所に導通接続されているとともに他端側が前記回路基板に設けられた接地部に導通接続されている第2のアース部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記接続部材は、前記液晶表示素子と前記回路基板とを導通接続するように前記一方の絶縁基板に設けられた複数個のリード端子からなり、前記第1、第2のアース部は、前記リード端子と並設された状態で前記一方の絶縁基板に設けられた第1、第2のアース端子からなることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記第1のアース部の前記他端側は、バネ性を有した状態で前記前面パネルに当接していることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記第1のアース部は、前記接地部に導通接続される接続部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、液晶表示素子が静電気の影響を受けて誤動作する虞のない液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による液晶表示装置の正面図。
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図2中、液晶表示素子を拡大して示す断面図。
【図4】同実施形態によるリード端子、第1、第2のリード端子が装着された状態の下側ガラス基板の正面図。
【図5】図1のC−C断面図
【図6】図1のD−D断面図
【図7】同実施形態の変形例による液晶表示装置の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜図6に基づいて本発明の実施形態を例えば車両用計器に搭載されたデジタル式速度計に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0014】
図1、図2において、本実施形態による液晶表示装置としてのデジタル式速度計は、液晶表示素子10と、この液晶表示素子10の背後に配置され、後述する接続部材であるリード端子16を介して液晶表示素子10と導通接続される回路基板20と、この回路基板20上に実装される光源30と、液晶表示素子10と回路基板20との間に位置するケース体40と、液晶表示素子10を覆うように液晶表示素子10の前方側に配置される表示パネル(前面パネル)50と、この表示パネル50の周縁部を覆う見返し部材60とから主に構成されている。
【0015】
液晶表示素子10は、図3に示すように一対の絶縁基板である上側絶縁基板11と下側絶縁基板12の周囲をシール材13にて接合し、このシール材13よりも内側の両絶縁基板11、12間に液晶14を封止した構成となっている。両絶縁基板11、12は、矩形状の透明ガラス基板からなり、上側絶縁基板11の上面側には上偏光板(図示せず)が、また下側絶縁基板12の下面側には下偏光板(図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0016】
また、上側絶縁基板11の内側表面(つまり上側絶縁基板11における下側絶縁基板12との対向面上)には所定形状からなる透明電極である第1透明電極11aが設けられているとともに、下側絶縁基板12の内側表面(つまり下側絶縁基板12における上側絶縁基板11との対向面上)には第1透明電極11aに対向(対応)するように所定形状の透明電極である第2透明電極12aが設けられている。
【0017】
これら第1透明電極11a及び第2透明電極12aは、液晶14を挟むように両絶縁基板11、12の内側表面にそれぞれ配置され、その平面形状は観察者側から見たとき(液晶表示装置を正視したとき)、略同一形状となっている。そして、第1透明電極11a及び第2透明電極12aに対応する液晶表示素子10の表示面箇所が、表示パターンを構成する表示部15となる。つまり、このことは、両絶縁基板11、12の内側表面に互いに向かい合うように両透明電極11a、12aがそれぞれ設けられることで表示部15が形成されることを意味している。
【0018】
また、上側絶縁基板11と下側絶縁基板12のうち、下側絶縁基板12には、その一端縁に沿うように金属製の複数個のリード端子16が固着されている。本例の場合、個々のリード端子16は、下側絶縁基板12の前記一端縁の一部に集中的に設けられ、液晶表示素子10と回路基板20とを導通接続するものである。
【0019】
なお、詳細図示は省略するが、個々のリード端子16の形状は、後述する第2のリード端子の形状と同一形状となっており、挟持部とリード部とを有し、リード端子16の挟持部はコの字状に形成され、下側絶縁基板12の端縁に挟み込まれた際に第2透明電極12aと電気的に接続され、リード端子16のリード部先端は回路基板20に設けられた配線部(図示せず)と電気的に接続されている。
【0020】
そして、リード端子16を通じて両透明電極11a、12a間に外部測定量に応じた電圧が印加されると、車両の作動状態に応じた計測値(例えば車速)が、前述した表示部15にて黒色を有するようにデジタル表示される。なお、液晶表示素子10において、表示部15以外となる表示部15の背景部15aは、回路基板20に実装された光源30の点灯によって透過照明されるようになっている。
【0021】
また、両絶縁基板11、12のうち、下側絶縁基板12における内側表面には、第2透明電極12aを取り囲むように略枠状の導電パターンからなる導電部17が形成されている。かかる導電部17は、リード端子16の配設位置を避けるように下側絶縁基板12の内側表面に略枠状に設けられている(図4参照)。なお、図4において、導電部17の内部(下側絶縁基板12の略中央部領域)には透明電極12aが形成されているが、この透明電極12aの図示は省略してある。
【0022】
具体的には、導電部17は、一端側が後述する第1のアース端子と導通接続されるとともに他端側が前記第1のアース端子と透明電極12aとの間に位置する第1の導電パターンT1と、前記第1のアース端子との接続箇所とは反対側となる第1の導電パターンT1部分から下側絶縁基板12の右端側に引き回し形成された第2の導電パターンT2と、下側絶縁基板12の右端面に沿うように引き回し形成された第3の導電パターンT3と、下側絶縁基板12の上端面に沿うように引き回し形成された第4の導電パターンT4と、下側絶縁基板12の左端面に沿うように引き回し形成された第5の導電パターンT5と、この第5の導電パターンT5の下端部分から第2の導電パターンT2と接触しないように第2の導電パターンT2方向に延びる第6の導電パターンT6と、この第6の導電パターンT6と後述する第2のアース端子とを導通接続する第7の導電パターンT7とを備えている。
【0023】
また、各リード端子16の右方側には、第1のアース部である第1のアース端子18が各リード端子16と並設された状態で下側絶縁基板12に設けられている。第1のアース端子18は、各リード端子16と同様に金属材料にて形成され、導電部17の第1の導電パターンT1と導通接続される挟持部18aと、略コの字状に折り曲げ形成された接触片18bとを有している(図5参照)。
【0024】
挟持部18aは、略コの字状に形成され、下側絶縁基板12の端縁を挟み込むことで、第1の導電パターンT1と電気的に接続されるようになっている。一方、接触片18bは、その先端側が表示パネル50(地色部52)の背面に接触(当接)するように構成され、表示パネル50に帯電した静電気を第1のアース端子18の挟持部18aを介して導電部17(第1の導電パターンT1)へと伝播する機能を有している。
【0025】
つまり、本例の場合、第1のアース端子18は、その一端側である挟持部18aが導電部17の第1の導電パターンT1に導通接続されているとともに、その他端側である接触片18bの先端側が表示パネル50と当接する構成となっている。
【0026】
一方、第1のアース端子18とは反対側である各リード端子16の左方側には、第2のアース部である第2のアース端子19が各リード端子16と並設された状態で下側絶縁基板12に設けられている。第2のアース端子19は、各リード端子16や第1のリード端子18と同様に金属材料にて形成され、第1のアース端子18の挟持部18aと同一形状である挟持部19aと、この挟持部19aの下方(つまり回路基板20側)に垂下形成される線状のリード部19bとを有している(図6参照)。
【0027】
挟持部19aは、略コの字状に形成され、下側絶縁基板12の端縁を挟み込むことで、導電部17の第7の導電パターンT7と電気的に接続されるようになっている。一方、挟持部19aとは反対側に位置するリード部19bの先端は、回路基板20に設けられた後述する接地部と電気的に接続されている。
【0028】
つまり、本例の場合、第2のアース端子19は、その一端側である挟持部19aが導電部17の第7の導電パターンT7に導通接続されているとともに、その他端側であるリード部19bの先端側が前記接地部に導通接続される構成となっている。
【0029】
従って、静電気が表示パネル50に帯電すると、表示パネル50に帯電した静電気は、第1のアース端子18の接触片18b、挟持部18aを介して、導電部17へと伝播して(つまり第1〜第7の導電パターンT1〜T7へと順次伝播して)、その後、第7の導電パターンT7に導通接続された第2のアース端子19の挟持部19a、リード部19bを経て回路基板20に設けられた前記接地部へと流れることになる(図4〜図6参照)。
【0030】
回路基板20は、例えばガラスエポキシ系基材に前記配線部である配線パターンを施した硬質回路基板からなり、光源30と、液晶表示素子10を駆動する素子駆動回路(図示せず)と、光源30を駆動する光源駆動回路(図示せず)と、抵抗、コンデンサ等の各種回路部品(図示せず)とが前記配線部に導通接続されている。
【0031】
なお、21は、回路基板20の表面に設けられたグランドパターンからなる接地部であり、この接地部21は、第2のアース端子19のリード部19bと導通接続される。また、この場合、リード部19bに対応する回路基板20箇所には回路基板20の表裏を貫通する孔部22が設けられ、リード部19bの先端部は孔部22を貫通して回路基板20の背後に突出している。つまり、接地部21は、孔部22の周囲となる回路基板20の表面(もしくは背面)にパターン形成され、半田付け等によりリード部19bと電気的に接続される。
【0032】
光源30は、例えば適宜色を発するチップ型発光ダイオードからなり、回路基板20上に設けられた前記配線部に実装され、液晶表示素子10に照明光を供給する発光体からなる。この光源30からの照明光は、表示部15以外となる背景部15aを透過照明する。
【0033】
ケース体40は、例えば白色の合成樹脂からなり、液晶表示素子10や表示パネル50を支持する支持体としての機能、光源30からの照明光を液晶表示素子10側に反射させる反射体としての機能、各リード端子16や第2のアース端子19を案内保持する端子保持体としての機能を有している。
【0034】
かかるケース体40は、液晶表示素子10及び表示パネル50を支持する略枠形状からなる基部41と、各リード端子16及び第2のアース端子19を案内保持するための複数個の端子保持部42と、基部41と各端子案内部42とを連結する連結部43とが一体形成された構成なっている。
【0035】
また、個々の端子保持部42は、略枠形状からなり、その内部空間にて各リード端子16のリード部並びに第2のアース端子19のリード部19bをガイド(案内)するものである。なお、図6では、第2のアース端子19のリード部19bに対応する端子保持部42のみを示しているが、各リード端子16のリード部に対応する端子保持部42の形状も、リード部19bの場合と同一形状であることは言うまでもない。
【0036】
表示パネル50は、例えばインジケータ表示部等の表示意匠(図示せず)が形成された意匠パネルからなり、ポリカーボネートからなる透光性基板51を母材とし、この透光性基板51の背面には黒色印刷層からなる地色部52がスクリーン印刷等の手段を用いて印刷形成されている。
【0037】
そして、この場合、液晶表示素子10の表示部15に対応する地色部52の中央部領域には、地色部52を形成する前記黒色印刷層が形成されない抜き印刷部である略矩形状の透視部53が設けられる。従って、観察者が液晶表示装置の前方側から液晶表示装置を正視すると、観察者側からは表示パネル50に備えられる透視部53を通じて液晶表示素子10の表示部15の表示が透視可能(視認可能)となる。
【0038】
また、この場合、表示パネル50の中央部領域に形成される透視部53と、表示パネル50と平行状態をなすように表示パネル50(透視部53)の背後に配置される液晶表示素子10(上側絶縁基板11)との間のクリアランスは、数ミリ程度に設定されているものとする。なお、地色部52は、透光性基板51の背面ではなく透光性基板51の表面に印刷形成してもよいし、表示パネル50を前記表示意匠を備えていないパネル体として形成してもよい。さらには、必要に応じて表示パネル50と回路基板20との間に光源30からの照明光を均一に拡散するための拡散板(図示せず)を配置してもよい。
【0039】
見返し部材60は、例えば黒色の合成樹脂からなり、表示パネル50の所要部を覆うように表示パネル50上に配置され、透視部53に対応する開口窓からなる開口部61を備えている。
【0040】
以上の各部により液晶表示装置が構成されている。このような構成において、例えば人間の手が表示パネル50における透視部53の表面側中央付近に触れた際に表示パネル50(透光性基板51)に帯電した静電気は、表示パネル50と当接している第1のアース端子18の接触片18b、狭持部18a、導電部17の所定箇所である第1の導電パターンT1、第2の導電パターンT2、第3の導電パターンT3、第4の導電パターンT4、第5の導電パターンT5、第6の導電パターンT6、前記所定箇所とは異なる導電部17の他の箇所である第7の導電パターンT7、第2のアース端子19の狭持部19a、リード部19bへと順次伝播し、最終的にリード部19bに導通接続された回路基板20のグランドパターンである接地部21へと積極的に流れることから、静電気により前記素子駆動回路が破壊するのを抑制し、これにより液晶表示素子10が静電気の影響を受けて誤動作(誤表示)する虞がなくなり、表示品位の向上した液晶表示装置を得ることができる。
【0041】
以上のように本実施形態では、液晶14を封止した一対の絶縁基板11、12の内側表面に透明電極11a、12aが各々設けられることで表示部15を形成する液晶表示素子10と、複数個のリード端子16を介して液晶表示素子10と導通接続される回路基板20と、透明電極12aを取り囲むように形成される導電部17とを備え、導電部17がリード端子16の配設位置を避けるように一方の絶縁基板12に設けられている液晶表示装置において、表示部15を視認可能な透視部53を有する表示パネル50と、一端側が導電部17の第1の導電パターンT1に導通接続されているとともに他端側が表示パネル50に当接する第1のアース端子18と、一端側が導電部17の第7の導電パターンT7に導通接続されているとともに他端側が回路基板20に設けられた接地部21に導通接続されている第2のアース端子19とを備えているものである。また、接続部材である複数個のリード端子16は、液晶表示素子10と回路基板20とを導通接続するように下側絶縁基板12に設けられ、第1、第2のアース部である第1、第2のアース端子18、19は、各リード端子16と並設された状態で下側絶縁基板12に設けられているものである。
【0042】
従って、例えば人間の手が透視部53の表面側中央付近に触れた際に表示パネル50に帯電した静電気は、液晶表示素子10側へと伝播することなく、表示パネル50と接触(当接)している第1のアース端子18の接触片18bへと伝播し、この接触片18bに伝播した静電気は狭持部18aを経て表示部15を取り囲むように形成された導電パターンからなる導電部17へと伝播する。そして、導電部17へと伝播した静電気は、導電部17と導通接続されている第2のアース端子19の狭持部19a、リード部19bを経て、最終的にリード部19bと導通接続されているグランドパラーンからなる接地部21へと積極的に流れることから、液晶表示素子10が静電気の影響を受けて誤動作(誤表示)する虞がなくなり、表示品位の向上した液晶表示装置を得ることができる。
【0043】
また本実施形態では、第1のアース端子18の他端側に位置する接触片18bが表示パネル50と当接するようにコの字状に折り曲げ形成されている例について説明したが、接触片18bの形状は表示パネル50と接触(当接)可能な形状であればあらゆる形状を採用することができ、例えば接触片18bの形状は螺旋(渦巻き)形状や蛇行(S字)形状であってもよい。
【0044】
さらに、第1のアース端子18の他端側に位置する接触片18bは、常時、表示パネル50にテンション(押圧弾性力)を与えるようにバネ性を有した状態で表示パネル50に当接していることが望ましい。このように接触片18bがバネ性を有した状態で表示パネル50に当接していることにより、第1のアース端子18と表示パネル50との接続信頼性を向上させることができる。
【0045】
また本各実施形態では、表示部15に対応する表示パネル50箇所に表示部15を透視可能とする透視部53が形成されている例について説明したが、例えば詳細図示は省略するが、表示部15に対応する表示パネル50箇所(つまり透光性基板51箇所)に略矩形状の貫通孔からなる貫通部を設け、前記貫通部を通じて観察者側から表示部15の表示を視認できるような構成としてもよい。このとき、地色部52は、前記貫通部を除いた透光性基板51の背面部分(あるいは表面部分)に設ければよい。
【0046】
なお本実施形態では、第1のアース端子18が、狭持部18aと接触片18bとからなる場合について説明したが、例えば本実施形態の変形例として図7に示すように第1のアース端子18を狭持部18aと、接触片18と、回路基板20側である狭持部18aの下方側に垂下形成される線状の接続部18cとで構成し、この接続部18cを接地部21に導通接続させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 液晶表示素子
11 上側絶縁基板(絶縁基板)
11a 第1透明電極(透明電極)
12 下側絶縁基板(絶縁基板)
12a 第2透明電極(透明電極)
14 液晶
15 表示部
16 リード端子(接続部材)
17 導電部
18 第1のアース端子(第1のアース部)
18a、19a 挟持部
18b 接触片
18c 接続部
19 第2のアース端子(第2のアース部)
19b リード部
20 回路基板
21 接地部
40 ケース体
50 表示パネル(前面パネル)
51 透光性基板
53 透視部
60 見返し部材
T1 第1の導電パターン(導電部の所定箇所)
T2 第2の導電パターン
T3 第3の導電パターン
T4 第4の導電パターン
T5 第5の導電パターン
T6 第6の導電パターン
T7 第7の導電パターン(導電部の他の箇所)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶を封止した一対の絶縁基板の内側表面に透明電極が各々設けられることで表示部を形成する液晶表示素子と、
所定の接続部材を介して前記液晶表示素子と導通接続される回路基板と、
前記透明電極を取り囲むように形成される導電部とを備え、
前記導電部が前記接続部材の配設位置を避けるように前記一対の絶縁基板のうちどちらか一方の絶縁基板に設けられている液晶表示装置において、
前記表示部を視認可能な透視部もしくは貫通部を有する前面パネルと、
一端側が前記導電部の所定箇所に導通接続されているとともに他端側が前記前面パネルに当接する第1のアース部と、
一端側が前記所定箇所とは異なる前記導電部の他の箇所に導通接続されているとともに他端側が前記回路基板に設けられた接地部に導通接続されている第2のアース部とを備えていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記接続部材は、前記液晶表示素子と前記回路基板とを導通接続するように前記一方の絶縁基板に設けられた複数個のリード端子からなり、
前記第1、第2のアース部は、前記リード端子と並設された状態で前記一方の絶縁基板に設けられた第1、第2のアース端子からなることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1のアース部の前記他端側は、バネ性を有した状態で前記前面パネルに当接していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1のアース部は、前記接地部に導通接続される接続部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のうち何れか1つに記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−155176(P2012−155176A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14975(P2011−14975)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】