説明

液晶表示装置

【課題】フロントキャビネットの額縁部裏面のプリント配線基板に設けたリモコン受光部、照度センサー部、LED発光部などに発生しやすい静電気放電障害を防止し、障害対策用の板金部品の取付強度を向上させると共に、板金部品の強度低下を防止した液晶表示装置を提供する。
【解決手段】リモコン受光部6と照度センサー部7とLED発光部8で発生しやすい静電気放電障害を防止するための板金部品9をプリント配線基板5に取付けたものを、フロントキャビネット1の額縁1aの裏面に設ける。板金部品9の長さ方向両端の側板部9bと幅方向一端の側板部9cに形成した差込み片9g,9iを、プリント配線基板5に形成したスリット穴5bに差込んで取付け、額縁1aの裏面の配線基板支持リブ1bが嵌まり込む溝形開口部9kを、板金部品9の被覆板部9aから幅方向一端の側板部9cの差込み片9iに亘って形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶テレビなどの液晶表示装置に関し、更に詳しくは、フロントキャビネットの額縁部裏面のプリント配線基板に設けられたリモコン受光部、照度センサー部、LED発光部などに発生しやすい静電気放電障害を防止できるように改良した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の狭額縁、薄型デザインの液晶テレビなどの液晶表示装置は、フロントキャビネットの額縁部の裏面に帯板状のプリント配線基板(センサー基板)を取付け、このプリント配線基板にリモコン受光部、照度センサー部、LED発光部などを実装したものが一般的である。しかしながら、斯かる液晶表示装置は、ESD試験において、リモコン受光部、照度センサー部、LED発光部などに静電気放電障害が発生しやすいという問題があった。
【0003】
そこで、本発明者は、静電気放電障害を防止するための対策用部品をプリント配線基板に取付けることを試みたが、プリント配線基板が小さい帯状の基板で小型の対策用部品を使用する必要があるため、対策用部品を充分な固定強度で取付固定することが難しく、それ故、プリント配線基板を半田ディップ槽に通したときに対策用部品が浮いて他の部品と干渉する恐れのあることが判明した。しかもフロントキャビネットの額縁部の裏面には、プリント配線基板を支持するリブが形成されているため、この配線基板支持リブを避ける切込み溝を対策用部品に形成する必要があり、この切込み溝によって対策用部品の強度低下を招くという不都合を生じることも判明した。
【0004】
一方、シールドケースの両側面に腕部を設け、回路基板の輪郭に形成した凹部にシールドケースの腕部の先端を内側に折り曲げて、シールドケースを回路基板に取付けたリモコンセンサが知られている(特許文献1)。
また、受光ユニットをシールドケースで覆った電気機器(特許文献2)や、キャビネットの額縁部の裏面にセンサー基板を取付けた液晶テレビ(特許文献3)なども知られている。
【0005】
しかしながら、これらの特許文献1〜3の技術内容では、前述したフロントキャビネットの額縁部裏面の小さな帯状のプリント配線基板(センサー基板)に、静電気放電対策用の小型部品を取付ける場合の不都合等を解消することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−037276号公報
【特許文献2】特開2002−151706号公報
【特許文献3】特開2008−078745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情の下になされたものであって、その解決しようとする第一の課題は、フロントキャビネットの額縁部裏面のプリント配線基板に設けたリモコン受光部、照度センサー部、LED発光部などに発生しやすい静電気放電障害を防止することができる液晶表示装置を提供することにある。
そして、本発明が解決しようとする第二の課題は、障害対策用の板金部品を充分な固定強度でプリント配線基板に取付固定することができ、しかも、板金部品の強度低下が生じないように板金部品の形状を工夫した液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る液晶表示装置は、リモコン受光部と照度センサー部とLED発光部を少なくとも備えたプリント配線基板がフロントキャビネットの額縁部の裏面に取付けられた液晶表示装置において、リモコン受光部と照度センサー部とLED発光部で発生しやすい静電気放電障害を防止するための板金部品がプリント配線基板に取付けられていることを特徴とするものである。
【0009】
そして、第二の課題を解決するため、本発明の請求項2に係る発明は、上記請求項1の液晶表示装置において、板金部品の長さ方向両端の側板部と幅方向一端の側板部に差込み片が形成され、これらの差込み片がプリント配線基板のスリット穴に差込まれていることを特徴とし、また、本発明の請求項3に係る発明は、フロントキャビネットの額縁部の裏面に形成された配線基板支持リブを嵌め込む溝形開口部が、板金部品の被覆板部から板金部材の幅方向一端の側板部の差込み片に亘って形成されていることを特徴とし、更に、本発明の請求項4に係る発明は、差込み片に抜止め部が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係る液晶表示装置は、リモコン受光部と照度センサー部とLED発光部で発生しやすい静電気放電障害を防止するための板金部品をプリント配線基板に取付けているため、この板金部品によって静電気放電障害を防止することができる。
【0011】
そして、本発明の請求項2に係る発明のように、板金部品の長さ方向両端の側板部と幅方向一端の側板部に差込み片を形成し、これらの差込み片をプリント配線基板のスリット穴に差込んで板金部品を取付固定すると、板金部品がその三辺でプリント配線基板に取付固定されることになるため、板金部品の固定安定性及び固定強度が向上し、プリント配線基板を半田ディップ槽に通したときに板金部品が浮いて他の部品と干渉する心配を解消することができる。
【0012】
更に、本発明の請求項3に係る発明のように、フロントキャビネットの額縁部の裏面に形成された配線基板支持リブが嵌め込まれる溝形開口部を、板金部品の被覆板部から板金部材の幅方向一端の側板部の差込み片に亘って形成すると、前述した切込み溝を設ける場合のように、板金部品が切込み溝の一端で分断されることがなく、板金部品が溝形開口部の両端で繋がっているため、板金部品の実質的な強度低下を招く心配を解消することができる。
【0013】
また、本発明の請求項4に係る発明のように、板金部品の差込み片に抜止め部が形成されていると、板金部品を取付固定したプリント配線基板を半田ディップ槽に通すときに、板金部品の浮き上がりを該抜止め部によって防止でき、板金部品が他の部品と干渉する恐れを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の要部断面図である。
【図2】同液晶表示装置の要部斜視図である。
【図3】板金部品を取付けたプリント配線基板の部分斜視図である。
【図4】プリント配線基板と板金部品を分離した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る液晶表示装置の代表的な実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る液晶表示装置の代表例である狭額縁、薄型デザインの液晶テレビを示したもので、1(1a)はフロントキャビネットの額縁(下辺沿いの額縁)、2はフロントキャビネット1と脱着可能に接合されたリアキャビネット、3はフロントキャビネット1の前面開口部(額縁で囲まれた開口部)に取付けられた液晶モジュール、4は液晶モジュール3の背面に取付けられたメイン基板、5はフロントキャビネット1の下辺沿いの額縁1aの裏面に取付けられた小さな帯状のプリント配線基板(以下、センサー基板という)を示している。
【0017】
上記液晶モジュール3は、そのフレーム3aの内部にバックライトユニット(不図示)を収容すると共に、このバックライトユニットの前面側に光拡散シートなどの光学シート(不図示)を介して液晶パネル3bを設けたものであり、バックライトユニットとしては、冷陰極管などの線状光源を液晶パネル3bの背後に配設した直下ライト型のものや、導光板の端面にLEDなどの点光源や冷陰極管などの線状光源を配設したエッジライト型のものが好ましく採用される。
【0018】
図3,図4に示すように、センサー基板5の前面には少なくともリモコン受光部6と照度センサー部7とLED発光部8が設けられており、これらの箇所で発生しやすい静電気放電障害を防止するための板金部品9が取付けられている。そして、図1に示すように、センサー基板5のコネクタ5aと液晶モジュール3の背面のメイン基板4のコネクタ4aがケーブル10で接続されている。
【0019】
静電気放電障害を防止する板金部品9は、図3,図4に示すように、略長方形の被覆板部9aと、その長さ方向両端に形成された側板部9b,9bと、幅方向一端に形成された側板部9cと、幅方向他端に部分的に形成された側板部9dとを備えたもので、被覆板部9aには、リモコン受光部6及び照度センサー部7をそれぞれ避けるための凹欠部9e,9eと、LED発光部8を避けるため穴部9fが形成されている。従って、リモコン受光部6、照度センサー部7、LED発光部8の機能が被覆板部9aによって妨げられる心配はない。
【0020】
この板金部品9の長さ方向両端の側板部9b,9bには、図4に示すように差込み片9g,9gが突設されており、各差込み片9gの中間部には「く」字形に屈曲された抜止め部9hが形成されている。また、板金部品9の長さ方向一端の側板部9cには階段形の一対の差込み片9i,9iが突設されており、これらの差込み片9i,9iには、切起し片からなる抜止め部9jが形成されている。
【0021】
図4に示すように、センサー基板5には、上記の差込み片9g,9g,9i,9iに対応して四つのスリット穴5bが形成されており、これらのスリット穴5bに上記の差込み片9g,9g,9i,9iを差し込むことによって板金部品9がセンサー基板5に取付けられている。このように、板金部品9はその三辺でセンサー基板5に取付固定されているため、板金部品9の固定安定性が良好で固定強度が大きく、しかも、抜止め部9h,9jがスリット穴5bの縁に係合して差込み片9g,9g,9i,9iの抜け出しを防止するため、このセンサー基板5を半田ディップ槽に通したときに板金部品9がセンサー基板5から浮いて他の部品と干渉する恐れをなくすことができる。
【0022】
フロントキャビネット1の下辺沿いの額縁1aの裏面には、図2に示すようにセンサー基板5の前面を支持する一対の基板支持リブ1b、1bと、センサー基板5の一側縁を保持する保持突起1c(図1参照)が形成されており、基板支持リブ1b,1bは、リモコン受光部6とLED発光部8と照度センサー部7を仕切る仕切部材としての役目も兼ねている。このような基板支持リブ1b,1bがあると、該基板支持リブ1b,1bが板金部品9に当たらないようにすることが必要になるが、その場合、板金部品9の被覆板部9aから幅方向一端の側板部9cにかけて、基板支持リブ1bが嵌まり込む切込み溝を設けると、板金部品9が該切込み溝の一端で分断されることになるため、板金部品9の強度が大幅に低下するという不都合が生じる。そこで、この実施形態では、図3,図4,図5に示すように、板金部品9の被覆板部9aから幅方向一端の側板部9cの差込み片9i,9iに亘って、基板支持リブ1b,1bがそれぞれ嵌まり込む両端の閉塞した溝形開口部9k,9kを形成することにより、板金部材9が溝形開口部9k,9kの両端で分断されないで繋がるようにして、板金部材9の強度低下を防止している。
【0023】
上記のように板金部品9を取付けた小さな帯状のセンサー基板5は、図1に示すように、板金部材9を前方に向けてフロントキャビネット1の下辺沿いの額縁1aの裏面に配置され、保持突起1cで保持されると共に、基板支持リブ(図1には表れていない)で前面側から支持された状態で、ビス止めされて取付けられる。このように取付けた状態では、リモコン受光部6、LED発光部8、照明センサー部7が、いずれもフロントキャビネット1の額縁1aに形成された穴に臨むので、それぞれの機能を発揮することができる。
【0024】
以上の説明から理解できるように、この液晶テレビは、板金部品9によって、リモコン受光部6と照度センサー部7とLED発光部8で発生しやすい静電気放電障害を充分防止することができ、しかも、板金部品9の長さ方向両端の側板部9b,9bと幅方向一端の側板部9cに形成した差込み片9g,9iをセンサー基板5のスリット穴5bに差込んで、板金部品9その三辺でセンサー基板5に取付固定すると共に、差込み片9g,9iに抜止め部9h,9jを形成したため、板金部品9の固定安定性及び固定強度が向上し、センサー基板5の半田ディップ時に板金部品9が浮いて他の部品と干渉する心配をなくすことができる。
また、フロントキャビネット1の額縁部1aの裏面に形成された配線基板支持リブ1bが嵌まり込む両端の閉鎖された溝形開口部9kを、板金部品9の被覆板部9aから板金部品の幅方向一端の側板部9cの差込み片9iに亘って形成することにより、板金部品9が分断されないようにしたため、板金部品9の実質的な強度低下をなくすこともできる。
【符号の説明】
【0025】
1 フロントキャビネット
1a フロントキャビネットの下辺沿いの額縁
5 プリント配線基板(センサー基板)
5b スリット穴
6 リモコン受光部
7 照度センサー部
8 LED発光部
9 板金部品
9a 被覆板部
9b 板金部品の長さ方向両端の側板部
9c 板金部品の幅方向一端の側板部
9g,9i 差込み片
9h,9j 抜止め部
9k 溝形開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモコン受光部と照度センサー部とLED発光部を少なくとも備えたプリント配線基板がフロントキャビネットの額縁部の裏面に取付けられた液晶表示装置において、リモコン受光部と照度センサー部とLED発光部で発生しやすい静電気放電障害を防止するための板金部品がプリント配線基板に取付けられていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
板金部品の長さ方向両端の側板部と幅方向一端の側板部に差込み片が形成され、これらの差込み片がプリント配線基板のスリット穴に差込まれていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
フロントキャビネットの額縁部の裏面に形成された配線基板支持リブを嵌め込む溝形開口部が、板金部品の被覆板部から板金部品の幅方向一端の側板部の差込み片に亘って形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
差込み片に抜止め部が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−156912(P2012−156912A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15949(P2011−15949)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】