説明

液晶表示装置

【課題】データ線に印加する正極性の信号の電位と負極性の信号の電位との平均をコモン電位から一定値ずらす場合より残像の発生を抑えた液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】液晶表示装置は、マトリクス状に設けられた複数の画素回路と、前記画素回路の行に対応する複数のデータ線と、前記複数のデータ線に接続されるデータ線駆動回路と、を含む。前記各画素回路は、一端にコモン電位が供給される画素容量を含む。前記データ線駆動回路は、前記複数の画素回路のうち1つに対する階調値に応じて、正極性の信号と負極性の信号とを前記1つの画素回路に選択的に出力し、前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性の信号の電位と前記負極性の信号の電位との平均が、前記階調値、温度、前記1つの画素回路の位置に応じて変化するように、当該正極性の信号と負極性の信号とを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置、特に液晶表示装置に含まれるデータ線駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、画素回路に含まれる画素電極とコモン電極の間の電位差を用いて液晶の透過率を制御している。ここで、いずれかの画素回路の画素電極に印加される電位の時間平均がコモン電極に印加されるコモン電位からずれる(液晶に直流成分を印加するともいう)と、液晶の透過率と電位差との関係が崩れ、残像が生じることがある。この残像を回避するため、フレームが変化するごとに画素電極に印加する電位の極性を変化させている。なお、極性とは画素電極やデータ線に印加する電位がコモン電位より高いか低いかのことであり、正極性の電位はその電位がコモン電位より高いことを示し、負極性の電位はその電位がコモン電位より低いことを示す。
【0003】
ここで、ある階調についてデータ線に印加する正極性の電位と負極性の電位との平均をコモン電位とするだけでは、残像が発生する場合がある。画素電極に印加される正極性の電位と負極性の電位の平均がコモン電位と異なってしまうためである。従来はデータ線に印加する正極性の電位と負極性の電位との平均をコモン電位から一定値だけずらすような制御が行われている。
【0004】
特許文献1にはデータ線に印加する正極性および負極性のプリチャージ電位をデータ電圧振幅の中心電位から一定値ずらす液晶表示装置が開示されている。特許文献2には、温度に応じて画素回路に対するプリチャージを行うか否かを制御する液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3704716号公報
【特許文献2】特開2004−219824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者らが従来より精密に残像を観測したところ、データ線に印加する正極性の信号の電位と負極性の信号の電位との平均をコモン電位から一定値(ある最適値)だけずらしても、残像が発生する場合があることがわかった。
【0007】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、データ線に印加する正極性の信号の電位と負極性の信号の電位との平均をコモン電位から一定値ずらす場合より残像の発生を抑えた液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下の通りである。
【0009】
(1)マトリクス状に設けられた複数の画素回路と、前記画素回路の行に対応して設けられる複数のデータ線と、前記画素回路の列に対応して設けられる複数の走査線と、前記複数のデータ線に信号を供給するデータ線駆動回路と、前記複数の走査線に走査信号を供給する走査線駆動回路と、を含み、前記各画素回路は、一端にコモン電位が供給される画素容量、および、当該画素回路に対応する前記走査線からゲート電極に走査信号が供給されソース電極とドレイン電極のうち一方が前記画素容量の他端に接続され他方が当該画素回路に対応するデータ線に接続される画素トランジスタ、を含み、前記データ線駆動回路は、前記複数の画素回路のうち1つに対する階調値に応じて、正極性の信号と負極性の信号とを前記データ線に選択的に出力し、前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性の信号の電位と前記負極性の信号の電位との平均が、前記階調値、温度、前記1つの画素回路の前記走査線駆動回路からの距離、または、前記1つの画素回路の前記データ線駆動回路からの距離に応じて変化するように、当該正極性の信号と負極性の信号とを出力する、ことを特徴とする液晶表示装置。
【0010】
(2)(1)において、前記データ線駆動回路は、前記複数の画素回路のうち1つに対する階調値に応じて、正極性のプリチャージ信号および当該正極性のプリチャージ信号に続く映像信号と、負極性のプリチャージ信号および当該負極性のプリチャージ信号に続く映像信号とのうちいずれかを前記データ線に選択的に出力し、前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性のプリチャージ信号の電位と前記負極性のプリチャージ信号の電位との平均が、前記階調値、温度、前記1つの画素回路の前記走査線駆動回路からの距離、または前記1つの画素回路の前記データ線駆動回路からの距離に応じて変化するように、当該正極性のプリチャージ信号と負極性のプリチャージ信号とを出力する、ことを特徴とする液晶表示装置。
【0011】
(3)(2)において、前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性のプリチャージ信号の電位と前記負極性のプリチャージ信号の電位との平均が、前記階調値が最小値から当該階調値の範囲内のいずれかの値まで増加する場合、または温度が減少する場合に単調増加または単調減少するように、当該正極性のプリチャージ信号と負極性のプリチャージ信号とを出力する、ことを特徴とする液晶表示装置。
【0012】
(4)(2)または(3)において、前記映像信号の電位は階調値に応じて定まり、前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性および負極性のうち一方のプリチャージ信号の電位と映像信号の電位との電位差が、前記階調値の増加に応じて前記電位差が所定の値となる階調値である変化制限階調値まで変化し、かつ前記変化制限階調値を超える階調値では、前記電位差が前記変化制限階調値以下より変化しないように前記プリチャージ信号を出力する、ことを特徴とする液晶表示装置。
【0013】
(5)(2)または(3)において、前記映像信号の電位は階調値に応じて定まり、前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性および負極性のうち一方のプリチャージ信号と映像信号との電位差が、前記1つの画素回路の前記データ線駆動回路からの距離の増加に応じて前記電位差が所定の値となる前記距離まで変化し、かつ前記電位差が所定の値となる前記距離を超えると、当該距離以下より前記電位差が変化しないように前記プリチャージ信号を出力する、ことを特徴とする液晶表示装置。
【0014】
(6)(2)または(3)において、前記映像信号の電位は階調値に応じて定まり、前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性および負極性のうち一方のプリチャージ信号と映像信号との電位差が、前記1つの画素回路の前記走査線駆動回路からの距離の減少に応じて前記電位差が所定の値となる前記距離になるまで変化し、かつ前記電位差が所定の値となる前記距離未満では、当該距離以上より前記電位差が変化しないように前記プリチャージ信号を出力する、ことを特徴とする液晶表示装置。
【0015】
(7)(2)または(3)において、前記映像信号の電位は階調値に応じて定まり、前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性および負極性のうち一方のプリチャージ信号と映像信号との電位差が、温度の減少に応じて前記電位差が所定の値となる温度まで変化し、かつ前記電位差が所定の値となる前記温度未満では当該温度以上より変化しないように前記プリチャージ信号を出力する、ことを特徴とする液晶表示装置。
【0016】
(8)(2)から(7)のいずれかにおいて、前記データ線駆動回路は、少なくとも最小の階調値に応じた正極性のプリチャージ信号の電位と負極性のプリチャージ信号の電位との平均がコモン電位と等しくなるように、当該正極性のプリチャージ信号と負極性のプリチャージ信号とを出力する、ことを特徴とする液晶表示装置。
【0017】
(9)(8)において、前記データ線駆動回路は、前記階調値と、前のフレームにおける階調値である前階調値とに応じて前記正極性のプリチャージ信号と前記負極性のプリチャージ信号とを選択的に出力し、前記データ線駆動回路は、少なくとも前記前階調値が前記階調値より低い場合は、正極性のプリチャージ信号の電位と負極性のプリチャージ信号の電位との平均がコモン電位と等しくなるように、当該正極性のプリチャージ信号と負極性のプリチャージ信号とを出力する、ことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、データ線に印加する正極性の信号の電位と負極性の信号の電位との平均をコモン電位から一定値ずらす場合より残像の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態にかかる液晶表示装置の構成の一例を示す図である。
【図2】プリチャージ信号の電位と映像信号の電位との関係の一例を示す波形図である。
【図3】プリチャージ回路の構成の一例を示す図である。
【図4】補正量算出回路の構成の一例を示す図である。
【図5】ルックアップテーブルと画素回路PCの位置との関係の一例を示す図である。
【図6】正極性の映像信号に対する補正量を格納するルックアップテーブルの一例を示す図である。
【図7】負極性の映像信号に対する補正量を格納するルックアップテーブルの一例を示す図である。
【図8】表示階調データとプリチャージ補正量との関係の一例を示す図である。
【図9】表示階調データと前表示階調データとの組合せについて正極性のプリチャージ補正量と負極性のプリチャージ補正量との相違の有無の一例を示す図である。
【図10】行座標と正極性のプリチャージ補正量との関係の一例を示す図である。
【図11】列座標と正極性のプリチャージ補正量との関係の一例を示す図である。
【図12】温度とプリチャージ補正量との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。出現する構成要素のうち同一機能を有するものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0021】
本発明の実施形態に係る液晶表示装置は液晶表示パネルと、液晶表示パネルを透過する光を供給するバックライトと、制御基板と、を有している。液晶表示パネルは構造的には、画素回路PCなどが形成されるアレイ基板と、そのアレイ基板に対向して設けられる対向基板と、アレイ基板と対向基板の間に封入される液晶と、アレイ基板上に配置される集積回路パッケージと、を含んでいる。なお、アレイ基板の外側と対向基板の外側には偏光板が貼り付けられている。なお、本実施形態にかかる液晶表示装置はカラー表示を行う。
【0022】
図1は本発明の実施形態に係る液晶表示装置の構成の一例を示す図である。本実施形態に係る液晶表示装置は、矩形の表示領域DAと、プリチャージ回路PRCと、タイミング制御回路TCと、参照電位供給回路VRGと、コモン電位供給回路VCGと、走査線駆動回路YDVと、データ線駆動回路XDVと、複数の走査線GLと、複数のデータ線DLと、コモン線CLとを含む。表示領域DAと、複数の走査線GLと、複数のデータ線DLとは液晶表示パネル内のアレイ基板上に配置されている。表示領域DAには、複数の画素回路PCがマトリクス状に配置されている。走査線駆動回路YDVは、図1の表示領域DAの右側から走査信号を供給するもの(以下「右側の走査線駆動回路YDV」と呼ぶ)と左側から走査信号を供給するもの(以下「左側の走査線駆動回路YDV」と呼ぶ)の2つがある。走査線駆動回路YDVの一部はアレイ基板上の表示領域DAの左右に設けられ、残りは集積回路パッケージ内に配置される。データ線駆動回路XDVの一部は表示領域の上部に設けられ、残りは集積回路パッケージ内に配置される。またプリチャージ回路PRC、タイミング制御回路TC、参照電位供給回路VRGおよびコモン電位供給回路VCGは制御基板に配置される。
【0023】
各走査線GLは表示領域DA内を互いに並んで図中左右方向に延び、各走査線GLの右端は右側の走査線駆動回路YDVに、各走査線の左端は左側の走査線駆動回路YDVに接続される。各データ線DLは表示領域DA内を互いに並んで図中上下方向に延び、その上端はデータ線駆動回路XDVに接続される。各画素回路PCは、データ線DLと走査線GLとの交点に対応して設けられている。カラー表示のため、1つの画素をそれぞれ赤、青および緑を表示する3つの画素回路PCで表す。この3つの画素回路PCは横方向に並んでいる。画面の解像度が1920列×1080行とすると、表示領域DA内の画素回路PCの数は(1920×3)列×1080行となる。データ線DLの数は(1920×3)本、走査線GLの数は1080本となる。それぞれのデータ線DLは画素回路PCの列に対応し、それぞれの走査線GLは画素回路PCの行に対応する。各画素回路PCは対応するデータ線DLに接続される。なお、ある列を構成する画素回路PCは、同じ色を表示し、データ線DLのうち1つに接続される。
【0024】
各画素回路PCは、画素トランジスタTRと、液晶容量Clcと、配線容量Cstとを含む。液晶容量Clcは、画素電極と、コモン電極と、その間にある液晶とからなる。画素トランジスタTRはスイッチとして動作するnチャネル型の薄膜トランジスタであり、そのゲート電極はその画素トランジスタTRを含む画素回路PCに対応する走査線GLに接続される。また画素トランジスタTRのソース電極は画素回路PCに対応するデータ線DLに接続され、ドレイン電極は画素電極に接続される。なお、薄膜トランジスタには極性が無く、ソース電極とドレイン電極の呼称の違いは印加される電位により便宜的に決まる。ここではソース電極とドレイン電極の接続先を便宜的に上述のように呼んでいるが、接続先が反対であっても構わない。コモン電極は、コモン線CLと電気的に接続されている。ここで、画素電極の接続されるノードとコモン線CLとの間には液晶容量Clc以外の配線容量Cstが生じ、また、画素電極の接続されるノードと走査線GLの間には画素トランジスタTRの寄生容量Cgsが生じる。
【0025】
コモン電位供給回路VCGはコモン線CLにコモン電位を供給し、参照電位供給回路VRGはデータ線駆動回路XDVが用いる複数の参照電位を供給する。プリチャージ回路PRCは入力される表示階調データDIと入力同期信号SSとに基づいて出力データDOを出力する。タイミング制御回路TCは、入力同期信号SSに応じたタイミングで、プリチャージ回路PRCが出力した出力データDOをデータ線駆動回路XDVに入力し、またデータ線駆動回路XDVおよび走査線駆動回路YDVに水平同期信号SXや垂直同期信号SYなどを供給する。なお、正極性の信号は画素電極の電位をコモン電位より高い電位にするための信号を示し、負極性の信号は画素電極の電位をコモン電位より低い電位にするための信号を示す。本実施形態の例では、正極性とは信号等の電位がコモン電位より高いことを、負極性とはその信号等の電位がコモン電位より低いことを示している。
【0026】
液晶表示装置では、データ線DLと走査線GLとの間に生じる寄生容量などにより、データ線DLに電位を印加しても、画素回路PC内の画素トランジスタTRのソース電極がその電位に到達するまでに時間がかかる。水平期間1H内に目的の電位により近づけるために、データ線駆動回路XDVはデータ線DLに対して、水平期間1Hの前半にプリチャージ信号の電位Vpを印加し、後半に映像信号の電位Vdを印加する。図2は、プリチャージ信号の電位Vpと映像信号の電位Vdとの関係の一例を示す波形図である。一点鎖線で示される波形は走査線駆動回路YDVが走査線GLに印加する走査信号を示す。破線はデータ線駆動回路XDVがデータ線DLに印加する信号の電位を、実線は画素電極の電位を示す。走査信号の電位が立ち上がってから立ち下がるまでの期間が水平期間1Hに相当する。また、本図の例では水平期間1H中に電位が高くなる実線と破線の波形は、正極性の信号が印加される場合の画素電極の電位(実線)とデータ線DLに印加される電位(破線)とを示し、水平期間中に電位が低くなる実線と破線の波形は、負極性の信号がデータ線DLに印加される場合の画素電極の電位(実線)とデータ線DLに印加される電位(破線)とを示す。プリチャージ信号の電位Vpは、前行の画素回路PCに向けてデータ線DLに印加する映像信号の電位Vdと、現在の行の画素回路PCに向けてデータ線DLに印加する映像信号の電位Vdとの違いを強調するように補正された電位である。以下では映像信号の電位Vpを階調電位とも呼ぶ。映像信号の電位Vdが低階調を示す電位から高階調を示す電位へ変化する場合には、正極性のプリチャージ信号の電位Vppは続けて出力される正極性の映像信号の電位Vdpより高く、前記負極性のプリチャージ信号の電位Vpnは続けて出力される負極性の映像信号の電位Vdnより低くなる。映像信号の電位Vdが高階調を示す電位から低階調を示す電位へ変化する場合には、正極性のプリチャージ信号の電位Vppは続けて出力される正極性の映像信号の電位Vdpより低く、前記負極性のプリチャージ信号の電位Vpnは続けて出力される負極性の映像信号の電位Vdnより高くなる。
【0027】
図3は、プリチャージ回路PRCの構成の一例を示す図である。プリチャージ回路PRCは、プリチャージ信号の電位Vpを決定し、そのプリチャージ信号の電位Vpと、映像信号の電位Vdとをデータ線駆動回路に出力させる。プリチャージ回路PRCは、ラインメモリLMと、補正量算出回路PCAと、プリチャージ信号用の倍速化回路DBPと、映像信号用の倍速化回路DBRと、水平カウンタHTと、セレクタSELと、を含む。ラインメモリLMは、1行分の表示階調データDIを記憶し、その記憶したデータを次の表示階調データDIが入力されるタイミングで出力する。言い換えれば、ラインメモリLMは、前行の表示階調データである前表示階調データLDIを出力する。補正量算出回路PCAは、表示階調データDI、前表示階調データLDI、入力同期信号SSおよび温度信号TMPに基づいて、映像信号の電位Vdとプリチャージ信号の電位Vpとの差を示す値を補正量データPDDとして算出し、加算回路ACに出力する。加算回路ACは、表示階調データDIの値と補正量データPDDの値とを加算し、プリチャージ信号の電位Vpを示す階調値をプリチャージデータPDとして求める。水平カウンタHTは、入力同期信号SSに含まれるクロックや水平同期信号SXに基づいて、水平期間1Hの半分の期間ごとに電位が切り替わる信号を出力する。セレクタSELは、水平カウンタHTが出力する信号に応じて、ある行の画素回路PCに対するプリチャージデータPDと表示階調データDIとを1水平期間内に続けて出力する。なお、倍速化回路DBPはセレクタSELが1水平期間の半分の期間でプリチャージデータPDを出力するように、プリチャージデータPDの出力タイミングを調整する。また倍速化回路DBRはセレクタSELがプリチャージデータPD出力後の1水平期間の半分の期間で表示階調データDIを出力するように、表示階調データDIの出力タイミングを調整する。
【0028】
データ線駆動回路XDVは、1水平期間の前半の期間はプリチャージデータPDの値が示す電位をプリチャージ信号として出力し、後半の期間は表示階調データDIの値が示す電位を映像信号として出力する。
【0029】
図4は、補正量算出回路PCAの構成の一例を示す図である。補正量算出回路PCAは位置情報取得部LGと、ルックアップテーブル選択部LTSと、ルックアップテーブル記憶部LTGと、代表補正量計算部DRGと、内挿処理部IPCとを含む。補正量算出回路PCAは、表示階調データDIが示す階調値と、温度と、映像信号と、プリチャージ信号の供給対象となる画素回路PCの位置とに応じて補正量を算出する。ルックアップテーブル記憶部LTGは複数のルックアップテーブルを記憶する。
【0030】
各ルックアップテーブルには、表示階調データDIの階調値と前表示階調データLDIの階調値の組合せのそれぞれについて補正量を求めるための情報が設定されている。ルックアップテーブルは、T種類の温度の条件、M種類の列の条件、N種類の行の条件、また映像信号の極性の条件によって異なるものが用意されている。ルックアップテーブルはこれらの条件の組合せの数だけ存在するので、ルックアップテーブルの総数は(T×M×N×2)である。M種類の列は画素回路PCの列のうち一部の列であり、これらを代表列とよぶ。N種類の行は画素回路PCの行のうち一部の行であり、これらを代表行という。図5は、ルックアップテーブルと画素回路PCの位置との関係の一例を示す図である。代表列には列座標xが最小(図中右端)および最大(図中左端)の列が含まれ、代表行には行座標yが最小(図中上端)および最大(図中下端)の行が含まれる。ここで、列座標は画素回路PCの列を上から順序づけた場合の順位を、行座標は画素回路PCの行を左から順序づけた場合の順位を示す。なお、本実施形態ではあるフレーム期間では1つのデータ線DLに印加する電位の極性は変化しないため、前行に印加する電位の極性と現在の行に印加する電位の極性とは同じとなる。そのため、極性の条件は、前行の映像信号と現在行の映像信号とが正極性の場合と、それらの映像信号が負極性の場合の2つに分けられる。
【0031】
各ルックアップテーブルは、より具体的には、表示階調データDIの階調値のうちいくつかの代表値と前表示階調データLDIの階調値のうちいくつかの代表値との組合せのそれぞれに対する補正量データの集合である。
【0032】
位置情報取得部LGは、入力同期信号SSに基づいて、入力される表示階調データDIに応じた映像信号が供給される画素回路PCの位置を示す位置情報情報を生成する。また位置情報取得部LGは、その画素回路PCに供給する信号が正極性か負極性かを示す極性情報を出力する。
【0033】
ルックアップテーブル選択部LTSは、位置情報、極性情報および温度情報に基づいて補正量の算出に用いるルックアップテーブルを選択する。ルックアップテーブル選択部LTSは、まず、温度信号TMPが示す温度に最も近い温度条件を取得する。次に位置情報が示す列座標xと同じ1つの代表列かそれに最も近い2つの代表列を取得し、行座標yと同じ1つの代表行かそれに最も近い2つの代表行を取得する。次に、取得した極性情報と温度条件を満たすルックアップテーブルのうち、上述の代表列と代表行との組合せに対応するルックアップテーブルを選択する。なお、ルックアップテーブル選択部LTSが選択するルックアップテーブルの数は、1から4である。
【0034】
代表補正量計算部DRGは、ルックアップテーブル選択部LTSが選択したルックアップテーブルを用いて、そのルックアップテーブルごとに補正量を算出する。内挿処理部IPCは、ルックアップテーブルごとに求められた補正量とルックアップテーブルに対応する代表列および代表行と、位置情報とに基づいて内挿処理を行い、位置情報が示す列座標xおよび行座標yにおける補正量を求め、補正量データPDDとして出力する。
【0035】
ルックアップテーブルの設定について説明する。図6は、正極性の映像信号に対する補正量を格納するルックアップテーブルの一例を示す図である。図7は、負極性の映像信号に対する補正量を格納するルックアップテーブルの一例を示す図である。図6および図7の例では、階調値の代表値は、0、32、64、96、128、160、192,224、255の8つとしている。本図には一部の表示階調データDIと前表示階調データLDIの組合せについて補正量の値が空欄となっているものがあるが、実際にはそれらの欄にも値が設定されている。そして、代表補正量計算部DRGは補正量を格納していない表示階調データDIと前表示階調データLDIの組合せについての補正量を内挿により求める。
【0036】
ここで、本実施形態では人が感じる階調により近づけた表示とするため、階調値が1つ変化する場合の電位の変化量は、変化前の階調値に応じて異なる。よって、図6や図7の表のセル間の値の大小は、プリチャージ信号の電位と映像信号の電位の大小とは異なる場合がある。図8は、表示階調データDIとプリチャージ補正量との関係の一例を示す図である。本図の横軸は表示階調データDIの階調値を、縦軸はプリチャージ補正量を示す。プリチャージ補正量は、正極性のプリチャージ信号の電位と正極性の映像信号の電位との差、または負極性の映像信号の電位と負極性のプリチャージ信号の電位との差を示す。図8は、ある温度における正極性の映像信号に対するプリチャージ補正量(太線:以下では正極性のプリチャージ補正量とよぶ)と、負極性の映像信号に対するプリチャージ補正量(細線:以下では負極性のプリチャージ補正量とよぶ)とを示している。本図の符号PVPs(sは0,32,64,96,128)を付した線は、前表示階調データLDIの階調値がsの場合の正極性のプリチャージ補正量を示し、本図のPVNsを付した線は、前表示階調データLDIの階調値がsの場合の負極性のプリチャージ補正量を示す。
【0037】
まず、前表示階調データLDIの階調値が最小(0)の場合をみればわかるように、少なくとも表示階調データDIの階調値が最小の場合については、正極性のプリチャージ補正量と負極性のプリチャージ補正量とが同じである。これは、正極性のプリチャージ信号の電位と負極性のプリチャージ信号の電位とがコモン電位を中心として対称であることを示す。よってこの場合にはプリチャージ補正量により補正された正極性および負極性のプリチャージ信号の電位の平均はコモン電位になる。なお、表示階調データDIの階調値が最小の階調値から増加しても、上記最小の階調値から階調値の範囲内のいずれかの値までは正極性のプリチャージ補正量と負極性のプリチャージ補正量とは同じである。図9は、表示階調データDIと前表示階調データLDIとの組合せについて正極性のプリチャージ補正量と負極性のプリチャージ補正量との相違の有無の一例を示す図である。本図の「○」は負極性のプリチャージ補正量と正極性のプリチャージ補正量とが同じことを示し、「△」はその表示階調データDIの階調値を超えると負極性のプリチャージ補正量と正極性のプリチャージ補正量とが異なることを示し、「×」は、正極性のプリチャージ補正量が負極性のプリチャージ補正量より大きいことを示す。少なくとも前表示階調データLDIの階調値が表示階調データDIの階調値より低い場合は正極性のプリチャージ補正量と負極性のプリチャージ補正量とが同じであり、前表示階調データLDIの階調値が表示階調データDIの階調値より高い場合でも前表示階調データLDIの階調がある程度低い場合には、それぞれの前表示階調データLDIや温度、位置等に応じて定まる変化制限階調値まで正極性のプリチャージ補正量と負極性のプリチャージ補正量とが同じとなる。
【0038】
また、正極性のプリチャージ補正量と負極性のプリチャージ補正量とが異なる場合には、正極性のプリチャージ補正量は負極性のプリチャージ補正量より大きい。これは、正極性のプリチャージ信号の電位と負極性のプリチャージ信号の電位との平均が、コモン電位より高いことを示す。画素トランジスタTRはnチャネル型の薄膜トランジスタであり、画素トランジスタTRがオンされる際にはコモン電位や正極性の映像信号の最大の電位より高い電位が走査線GLに供給される。画素トランジスタTRのソース電極に正極性の信号が印加される場合と、負極性の信号が印加される場合とでは、ソース−ゲート間の電位差が異なるなどの理由により、負極性の信号の方が正極性の信号より電流が流れやすい。そのため、正極性の信号と負極性の信号との平均がコモン電位となると画素電極に印加される正極性の電位と負極性の電位の平均はコモン電圧からずれてしまう。また、正極性の電位と負極性の電位との差が大きくなるほどそのずれの量は大きくなる。また、例えば前表示階調データの階調値が0となるような後述する制限が加えられるの場合を除けば、正極性のプリチャージ補正量と負極性のプリチャージ補正量との差は、表示階調データDIの階調値の増加によって単調増加するようにルックアップテーブルに補正量が設定されている。本実施形態では映像信号の電位を示す表示階調データDIに応じて正極性および負極性のプリチャージ信号の平均を調整しているため、信号の電位の変化に起因する残像を抑えることができる。
【0039】
さらに、前表示階調データLDIの階調値が一定であるとすると、階調データDIの階調値が最小値から増加するにつれ、正極性のプリチャージ補正量が単調増加する。ただし、ただ増加するのではなく、所定の量(本図では1V)になると判断される階調値(変化制限階調値)まで増加すると、階調値が変化制限階調値から増加してもその所定の量を超える正極性のプリチャージ補正量とならないようになっている。図8では前表示階調データLDIの値が0の場合の正極性のプリチャージ補正量をみるとその制限がかかっていることがわかる。ここで、ルックアップテーブルに格納される補正量は離散的なデジタル値である。厳密には変化制限階調値は、そのデジタル値が示すプリチャージ補正量がその所定の量の近似値となる階調値であり、変化制限階調値以上の階調値では、補正量のデジタル値が示すプリチャージ補正量は所定の値の近似値となっている。変化制限階調値以上の階調値では、所定の値との誤差はせいぜい1階調の電位差程度であるため、変化制限階調値より小さい階調値よりもプリチャージ補正量の変化は小さい。
【0040】
発明者らの実験によれば、正極性のプリチャージ補正量が所定の量より大きくなると、正極性の映像信号により到達する画素電極の電位にばらつきが生じる。このため負極性の映像信号により到達する画素電極の電位との平均がコモン電位とずれ、残像が発生する場合がある。本実施形態では上述のように制限を設けることで、このばらつきに起因する残像の発生を抑えることができる。
【0041】
図10は、行座標yと正極性のプリチャージ補正量との関係の一例を示す図である。本図は、前表示階調データLDIの階調値と、表示階調データDIの階調値と、温度と、列座標xが一定の場合についての図である。データ線駆動回路XDVと画素回路PCとの間のデータ線DLの長さが長い(距離が大きい)ほど、プリチャージ補正量が大きくなっている。これにより、データ線DLの長さに起因する特性の違いに対応している。一方で、上述のようにプリチャージ補正量が所定の量を超えると残像の原因となる場合がある。よって、所定の量になると判断される距離(変化制限行距離)まで増加すると、階調値が変化制限行距離から増加してもその所定の量を超える正極性のプリチャージ補正量とならないようになっている。なお、変化制限行距離以上の距離では、補正量のデジタル値が示すプリチャージ補正量が所定の値の近似値となっている点は階調値の増加の場合と同様である。
【0042】
図11は、列座標xと正極性のプリチャージ補正量との関係の一例を示す図である。本図は、前表示階調データLDIの階調値と、表示階調データDIの階調値と、温度と、行座標yが一定の場合についての図である。走査線駆動回路YDVと画素回路PCとの間の走査線GLの長さが長い(距離が大きい)ほど、プリチャージ補正量が小さくなっている。これにより、走査線GLの長さが短いほど走査信号の影響により電位の変化が遅くなることに起因する問題を緩和している。一方で、上述のようにプリチャージ補正量が所定の量を超えると残像の原因となる場合がある。よって、所定の量になると判断される距離(変化制限列距離)まで増加すると、変化制限列距離を超えてもその所定の量を超える正極性のプリチャージ補正量とならないようになっている。なお、変化制限列距離を超える距離では、補正量のデジタル値が示すプリチャージ補正量が所定の値の近似値となっている点は階調値の増加の場合と同様である。図10や図11の例のように正極性のプリチャージ補正量が距離によって変化すると、負極性のプリチャージ補正量と正極性のプリチャージ補正量との差も変化する。複数のルックアップテーブルには、図10や図11で説明したような条件を満たすように補正量が格納されている。なお、図11のような列座標xによるプリチャージ補正量の変化がないようにルックアップテーブルを設定してもよい。
【0043】
図12は、温度とプリチャージ補正量との関係の一例を示す図である。本図は、前表示階調データLDIの階調値と、表示階調データDIの階調値と、行座標yと列座標xとが一定の場合についての図である。温度が減少すると、正極性のプリチャージ補正量と負極性のプリチャージ補正量との差が単調増加する。また、正極性のプリチャージ補正量の制限があるので、所定の量になると判断される温度(変化制限温度)まで減少すると、温度が変化制限温度から減少してもその所定の量を超える正極性のプリチャージ補正量とならないようになっている。これにより、温度による画素回路PCの特性の変化に起因する残像を抑えることができる。
【0044】
なお、画素トランジスタTRがpチャネル型の薄膜トランジスタであってもよい。この場合には、走査線GLに供給される走査信号の極性が反転するため、正極性の信号が負極性の信号よりも電流が流れやすくなる。コモン電位がずれる方向は反対になるため、補正の向きは反対となる。例えば、表示階調データDIの階調値が最小値から階調値の範囲内のいずれかの値まで増加する場合には正極性のプリチャージ補正量と負極性のプリチャージ補正量との差は単調減少し、温度が減少するにつれその差は単調減少する。また負極性のプリチャージ補正量が所定の量を超えないように階調値、温度、画素回路PCの位置により正極性のプリチャージ補正量と負極性のプリチャージ補正量が設定される。
【符号の説明】
【0045】
CL コモン線、DA 表示領域、DL データ線、GL 走査線、PC 画素回路、PRC プリチャージ回路、TC タイミング制御回路、VCG コモン電位供給回路、VRG 参照電位供給回路、XDV データ線駆動回路、YDV 走査線駆動回路、Cgs 寄生容量、Clc 液晶容量、Cst 配線容量、TR 画素トランジスタ、Vpn 負極性のプリチャージ信号の電位、Vpp 正極性のプリチャージ信号の電位、Vdn 負極性の映像信号の電位、Vdp 正極性の映像信号の電位、AC 加算回路、DBP,DBR 倍速化回路、HT 水平カウンタ、LM ラインメモリ、PCA 補正量算出回路、SEL セレクタ、LG 位置情報取得部、LTG ルックアップテーブル記憶部、LTS ルックアップテーブル選択部、DRG 代表補正量計算部、IPC 内挿処理部、DI 表示階調データ、DO 出力データ、LDI 前表示階調データ、PDD 補正量データ、PD プリチャージデータ、SS 入力同期信号、SX 水平同期信号、SY 垂直同期信号、TMP 温度信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に設けられた複数の画素回路と、
前記画素回路の行に対応して設けられる複数のデータ線と、
前記画素回路の列に対応して設けられる複数の走査線と、
前記複数のデータ線に信号を供給するデータ線駆動回路と、
前記複数の走査線に走査信号を供給する走査線駆動回路と、を含み、
前記各画素回路は、
一端にコモン電位が供給される画素容量、および、
当該画素回路に対応する前記走査線からゲート電極に走査信号が供給され、ソース電極とドレイン電極のうち一方が前記画素容量の他端に接続され他方が当該画素回路に対応するデータ線に接続される画素トランジスタ、を含み、
前記データ線駆動回路は、前記複数の画素回路のうち1つに対する階調値に応じて、正極性の信号と負極性の信号とを前記データ線に選択的に出力し、
前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性の信号の電位と前記負極性の信号の電位との平均が、前記階調値、温度、前記1つの画素回路の前記走査線駆動回路からの距離、または、前記1つの画素回路の前記データ線駆動回路からの距離に応じて変化するように、当該正極性の信号と負極性の信号とを出力する、
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記データ線駆動回路は、前記複数の画素回路のうち1つに対する階調値に応じて、正極性のプリチャージ信号および当該正極性のプリチャージ信号に続く映像信号と、負極性のプリチャージ信号および当該負極性のプリチャージ信号に続く映像信号とのうちいずれかを前記データ線に選択的に出力し、
前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性のプリチャージ信号の電位と前記負極性のプリチャージ信号の電位との平均が、前記階調値、温度、前記1つの画素回路の前記走査線駆動回路からの距離、または前記1つの画素回路の前記データ線駆動回路からの距離に応じて変化するように、当該正極性のプリチャージ信号と負極性のプリチャージ信号とを出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性のプリチャージ信号の電位と前記負極性のプリチャージ信号の電位との平均が、前記階調値が最小値から当該階調値の範囲内のいずれかの値まで増加する場合、または温度が減少するにつれ単調増加または単調減少するように、当該正極性のプリチャージ信号と負極性のプリチャージ信号とを出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記映像信号の電位は階調値に応じて定まり、
前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性および負極性のうち一方のプリチャージ信号の電位と映像信号の電位との電位差が、前記階調値の増加に応じて前記電位差が所定の値となる階調値である変化制限階調値まで変化し、かつ前記変化制限階調値を超える階調値では、前記電位差が前記変化制限階調値以下より変化しないように前記プリチャージ信号を出力する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記映像信号の電位は階調値に応じて定まり、
前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性および負極性のうち一方のプリチャージ信号と映像信号との電位差が、前記1つの画素回路の前記データ線駆動回路からの距離の増加に応じて前記電位差が所定の値となる前記距離まで変化し、かつ前記電位差が所定の値となる前記距離を超えると、当該距離以下より前記電位差が変化しないように前記プリチャージ信号を出力する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記映像信号の電位は階調値に応じて定まり、
前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性および負極性のうち一方のプリチャージ信号と映像信号との電位差が、前記1つの画素回路の前記走査線駆動回路からの距離の減少に応じて前記電位差が所定の値となる前記距離になるまで変化し、かつ前記電位差が所定の値となる前記距離未満では、当該距離以上より前記電位差が変化しないように前記プリチャージ信号を出力する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記映像信号の電位は階調値に応じて定まり、
前記データ線駆動回路は、前記階調値に応じた前記正極性および負極性のうち一方のプリチャージ信号と映像信号との電位差が、温度の減少に応じて前記電位差が所定の値となる温度まで変化し、かつ前記電位差が所定の値となる前記温度未満では当該温度以上より変化しないように前記プリチャージ信号を出力する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記データ線駆動回路は、少なくとも最小の階調値に応じた正極性のプリチャージ信号の電位と負極性のプリチャージ信号の電位との平均がコモン電位と等しくなるように、当該正極性のプリチャージ信号と負極性のプリチャージ信号とを出力する、
ことを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記データ線駆動回路は、前記階調値と、前のフレームにおける階調値である前階調値とに応じて前記正極性のプリチャージ信号と前記負極性のプリチャージ信号とを選択的に出力し、
前記データ線駆動回路は、少なくとも前記前階調値が前記階調値より低い場合は、正極性のプリチャージ信号の電位と負極性のプリチャージ信号の電位との平均がコモン電位と等しくなるように、当該正極性のプリチャージ信号と負極性のプリチャージ信号とを出力する、
ことを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−189765(P2012−189765A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52649(P2011−52649)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】