説明

液晶表示装置

【課題】外部機器とのケーブル接続等の煩雑な作業を行うことなく、出荷ポジションにおける消費電力を目標値に近づける。
【解決手段】輝度の設定値を記憶する記憶部24と、輝度の設定値に応じて光源の輝度を調整する制御部22と、外部輝度を検出する照度センサー26とを備え、液晶テレビ100の画面に対して所定の相対位置に固定された反射材にて液晶テレビ100の画面発光を反射入力された状態で、制御部22が輝度の設定値を変更して光源の輝度を徐々に変更させつつ照度センサー26に輝度を検出させ、当該輝度が所定値となる設定値を記憶部24に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関し、特に光源により液晶の背面から光を照射する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置における調光制御は、一般的に、調光制御パルスのデューティー制御により行われ(特許文献1等)、複数の調光段数を設けて各調光段階に対応したバックライトデューティーに基づいて光源に供給する電力をPWM制御したり(特許文献4等)、受光素子にて検出したバックライト光や外部光の明るさに応じてバックライトデューティーのオン/オフ時間を制御したりすることが行われている(特許文献2,3等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−173892号公報
【特許文献2】特開平09−021998号公報
【特許文献3】特開平11−2795号公報
【特許文献4】特開2005−019226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EU(欧州連合)の領域内で販売する製品には、「エネルギー関連製品のエコデザイン指令(ErP指令)」が課される。当該ErP指令では、客先で最初に表示される輝度(出荷ポジションの輝度)が最大輝度の65%以上と規定され、また、エネルギー効率ラベルにより出荷ポジションでの消費電力がランク付けされる。すなわち、出荷ポジションでの輝度が最大輝度の65%に近いほどランクが上昇する。
【0005】
ここで、バックライトデューティーの出荷ポジション等のように、製品の出荷時に予め設定されるバックライトデューティーに関する設定値は、カラーアナライザ等の外部機器を用いた画面輝度の測定により最適なバックライトデューティーを設定したり、同じ機種について一律の設定値を設定したりする。しかし、前者では、外部機器とのケーブル接続等の煩雑な作業が必要であり、後者では、パネルバラツキ等の各機体特性により画面輝度にバラツキが発生してしまう。また、後者では、個体バラツキを考慮して余裕を持たせた全体的に高いデューティーの設定値とせざるを得ず、ランクが低下していた。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、外部機器とのケーブル接続等の煩雑な作業を行うことなく、出荷ポジションにおける消費電力を目標値に近づけることが可能な液晶表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様の1つは、光源により液晶の背面から光を照射する液晶表示装置において、輝度の設定値を記憶する記憶部と、前記輝度の設定値に応じて前記光源の輝度を調整する輝度調整部と、当該液晶表示装置の外部輝度を検出する照度センサーと、当該液晶表示装置の画面に対して所定の相対位置に固定された反射材にて当該液晶表示装置の画面発光を反射入力された状態で前記輝度調整部による前記設定値の変更により前記光源の輝度を徐々に変更させつつ前記照度センサーに輝度を検出させ、当該輝度が所定値となる設定値を前記記憶部に記憶させる輝度設定値設定部と、を備える構成とされる。
【0008】
なお、上述した液晶表示装置は、他の機器に組み込まれた状態で実施されたり、他の方法とともに実施されたりする等の各種の態様を含む。また、上述した液晶表示装置を備える印刷システム、上述した液晶表示装置を製造する製造方法、上述した液晶表示装置の構成に対応した機能をコンピュータに実現させるプログラム、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、等としても実現可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部機器とのケーブル接続等の煩雑な作業を行うことなく、目標値に近い画面輝度となる設定値を出荷ポジションに設定することが可能な液晶表示装置を提供することができる。
請求項2にかかる発明によれば、最大輝度に対して所定割合の輝度となる設定値を出荷ポジションとして設定することにより、ErP指令等に適合した設定値を設定することが可能となる。
請求項3にかかる発明によれば、画面輝度が安定領域に達するまでの時間を短縮しつつ設定値を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】輝度設定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】所定位置における液晶テレビと反射材との位置関係を示す図である。
【図3】液晶テレビの構成を示すブロック図である。
【図4】輝度設定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)本実施形態の構成:
(2)輝度のデフォルト設定値の設定処理:
【0012】
(1)本実施形態の構成:
図1は、輝度設定システムSの構成を示すブロック図である。同図において、輝度設定システムSは、液晶テレビ100を搬送する搬送ラインLと、液晶テレビ100と、反射材200と、暗幕Eと、を備えている。反射材200は鏡等で構成され、搬送ラインLの所定位置に液晶テレビ100が搬送されたときに当該液晶テレビ100に対して所定の相対位置となるように固定されている。暗幕Eは、当該反射材200の設置された所定位置の周囲を囲っている。液晶テレビ100が搬送ラインLにて所定位置まで搬送されると、液晶テレビ100と反射材200は、暗幕Eにて覆われ、後述の輝度設定値の設定処理が行われる際に照度センサー26に対する外光の入射が可能な限り低減される。
【0013】
図2は、所定位置における液晶テレビ100と反射材200との位置関係を示す図である。同図において、反射材200は、液晶テレビ100の画面側に位置し、斜めに傾けた状態で反射面を液晶テレビ100の画面(液晶モジュール16の画面)に対面している。また、反射材200は、液晶テレビ100の画面から発する光を反射面で反射した光の通過領域内に、照度センサー26が入るように配置され、液晶テレビ100が所定位置に配置されると、液晶テレビ100の画面の画面発光を反射入力された状態となる。
【0014】
図3は、液晶テレビ100の構成を示すブロック図である。同図において、液晶テレビ100は、テレビ放送を受信して当該テレビ放送から所望のチャンネルにかかる放送信号を抽出するチューナー10と、チューナー10の出力する放送信号に適宜の復調や復号等を行うことにより各種の信号(映像信号、音声信号、文字データ、等)を再生する映像処理部12と、画面に映像を表示する液晶モジュール16と、映像処理部12の出力する映像信号に基づいて液晶モジュール16の液晶の駆動制御を行う液晶駆動部14と、光源駆動部18と、光源20と、制御部22と、記憶部24と、照度センサー26とを備えている。
【0015】
光源20は液晶モジュール16の液晶パネルの光源となる。なお、液晶テレビ100は、バックライト方式とエッジライト方式の何れであってもよく、光源20は、液晶パネルの背面もしくは側面から光を照射する。
【0016】
光源駆動部18は、制御部22の制御に従って電源電圧を生成し、生成した電源電圧を光源20に対して供給する。制御部22は、調光制御信号により光源駆動部18の生成する電源電圧を制御しており、調光制御信号は例えばPWM信号とされる。光源駆動部18は、不図示の電源回路から直流電源を入力されており、制御部22から入力されるPWM信号のオンデューティーに対応する電源電圧を生成する。すなわち、輝度の設定値に応じて光源20の輝度を調整する制御部22は、本実施形態において輝度調整部を構成する。
【0017】
なお、光源20がDC電源で駆動されるLED(発光ダイオード)等で構成される場合は、光源駆動部18は直流電源をDC/DC変換して光源20に供給する電源電圧を生成し、光源20がAC電源で駆動される蛍光管等の放電灯で構成される場合は、光源駆動部18は直流電源をDC/AC変換して光源20に供給する電源電圧を生成する。
【0018】
記憶部24は、フラッシュIC等の不揮発性メモリーにより構成され、光源駆動部18に入力するPWM信号のオンデューティーのデフォルトの設定値(いわゆる、出荷ポジション)が記憶されている。以下、当該本明細書では、PWM信号のオンデューティーの設定値のことを、BLデューティー設定値と呼ぶことにする。
【0019】
液晶テレビ100のユーザーは、不図示のリモコン等の操作により、画面輝度にかかるBLデューティー設定値をデフォルトの設定値から変更したユーザー設定値とすることが可能であり、このとき記憶部24はデフォルトの設定値とユーザー設定値の双方を記憶することになる。
【0020】
また、記憶部24には、コントラストやブライトネス等のように画面の表示にかかるデフォルトの設定値も記憶されている。むろん、その他、液晶テレビ100の各種設定値も記憶部24に記憶されている。
【0021】
照度センサー26は、液晶テレビ100の外部の明るさを検知するセンサーであり、液晶テレビ100の外部の明るさに応じた信号(以下、輝度信号と記載する)を出力する。制御部22は、照度センサー26の出力する輝度信号を取得し、液晶テレビ100の外部の明るさを検知することができる。
【0022】
制御部22は、CPU、RAM、ROM等を備え、RAMをワークエリアとして利用しつつROMに記憶された制御プログラムに従った演算をCPUが行うことにより、液晶テレビ100の全体を制御する。
例えば、制御部22は、液晶テレビ100の設置された部屋の明かりが消灯されたりして輝度信号が所定値を下回ると、PWM信号のオンデューティーをその時点でのBLデューティー設定値に対応した値よりも低下させて液晶テレビ100の輝度を低下させ、液晶テレビ100の設置された部屋の明かりが再点灯されたりして輝度信号が所定値を超えると、PWM信号のオンデューティーをその時点でのBLデューティー設定値に対応した値に戻す、といった制御を行うことができる。
また、制御部22は、所定のプログラムを実行することにより、照度センサー26の輝度信号を利用しつつ、以下に説明する輝度設定値の設定処理を実行することができる。
【0023】
(2)輝度のデフォルト設定値の設定処理:
図4は、輝度のデフォルト設定処理の流れを示すフローチャートである。同図に示す処理は、例えば、工場の作業者が不図示のリモコンに対して所定のキー操作を行うことにより開始される。作業者は、図1に示す搬送ラインにおいて液晶テレビ100が所定位置に配置されたときに、当該所定のキー操作を行う。当該所定のキー操作が行われると、液晶テレビ100は工場設定モードが開始され、制御部22においてBLデューティーのデフォルト設定値を設定するための設定プログラムが開始される。なお、輝度のデフォルト設定値の設定処理を実行する制御部22は、本実施形態において輝度設定値設定部を構成する。
【0024】
処理が開始されると、液晶テレビ100の画面を最大輝度とする(S10)。具体的には、コントラストやブライトネス等の映像に関する各種設定値を調整することにより液晶パネルの開口を全開放とする。このとき、画面は白ベタ表示状態となる。また、BLデューティーの設定値をオンデューティーが最大となるように変更し、画面の輝度を最大とする。ステップS10においては、記憶部24に記憶されている各種の設定値を取得して制御部22のワークエリアに一時的に保存し、当該一時データを利用して各種の調整を行う。
【0025】
そして、液晶テレビの画面が最大輝度となった状態で、照度センサー26に輝度を測定させる(S20)。制御部22は、BLデューティーの設定値をオンデューティーが最大となるように変更してから所定時間(例えば、バックライトがLEDであれば3hr、バックライトが冷陰極蛍光管であれば30分等)が経過して光源20の輝度が安定領域に達してから、照度センサー26に輝度を測定させ、照度センサー26の輝度信号を取得し、RAMに一時的に記憶される。以下、当該ステップS20でRAMに一時的に記憶される輝度信号を、最大輝度と呼ぶことにする。なお、最大輝度は、本実施形態において最大輝度や基準輝度を構成する。
【0026】
次に、BLデューティー設定値以外のコントラストやブライトネス等の映像に関する設定値を、出荷ポジションに戻す(S30)。これにより、BLデューティー設定値を除く映像に関する設定値は、当該液晶テレビ100を購入したユーザーが液晶テレビ100を購入して最初に視聴するときの状態になる。なお、コントラストやブライトネス等の映像に関する設定値は、当該輝度のデフォルト設定値(出荷ポジション)の設定処理が行われるまでに、デフォルトの設定値(出荷ポジション)が記憶部24に設定済みであり、記憶部24から読み出したデフォルトの設定値を制御部22のワークエリアの所定領域に保存することにより、映像に関する各種設定を出荷ポジションに戻すことができる。
【0027】
次に、BLデューティーの設定値を単位量だけ低下させて(S40)、照度センサー26に輝度を測定させ(S50)、照度センサー26から輝度信号を取得し、取得した輝度信号をRAMに一時的に記憶する。以下、当該ステップS40においてRAMに一時的に記憶される輝度信号の示す輝度を、テスト輝度と呼ぶことにする。なお、BLデューティーの設定値を変化させて画面輝度を変更すると、光源20の輝度が安定領域に達するまで時間が必要だが、本実施形態のように高い輝度から低い輝度へと低下させるように輝度を変化させる場合は、比較的短時間で輝度が安定する。
【0028】
次に、最大輝度に対するテスト輝度の比率(テスト輝度/最大輝度)が66%であるか否か判断する(S60)。上述したErP指令では、最大輝度の65%が出荷ポジションの理想値であるが、本実施形態では、当該理想値に1%の余裕を持たせて最大輝度の66%の輝度が出荷ポジションに設定されるようにしてある。むろん、照度センサー26の測定精度が高く測定環境が良好である場合は、より理想値に近づけてもよいし、照度センサー26の測定精度が低かったり測定環境が良好でない場合は、本実施形態よりも余裕を大きくしてもよい。なお、本実施形態においては、66%が所定値ならびに所定割合を構成する。
【0029】
ここで、最大輝度に対するテスト輝度の比率(テスト輝度/最大輝度)が66%よりも大きい場合は(S60:NO)、ステップS40に戻り、テスト輝度が最大輝度の66%になるまでステップS40〜S60の処理を繰り返す。一方、最大輝度に対するテスト輝度の比率(テスト輝度/最大輝度)が66%である場合は(S60:YES)、現在のBLデューティーの設定値をBLデューティーのデフォルト設定値(出荷ポジション)として記憶部24に記憶させ(S70)、処理を終了する。
【0030】
以上のように、輝度の設定値を記憶する記憶部24と、輝度の設定値に応じて光源の輝度を調整する制御部22と、外部輝度を検出する照度センサー26とを備え、制御部22は、液晶テレビ100の画面に対して所定の相対位置に固定された反射材にて液晶テレビ100の画面発光を反射入力された状態で、輝度の設定値を変更して光源の輝度を徐々に変更させつつ照度センサー26に輝度を検出させ、当該輝度が所定値となる設定値を記憶部24に記憶させる。よって、外部機器とのケーブル接続等の煩雑な作業を行うことなく、出荷ポジションにおける消費電力を目標値に近づけることができる。
【0031】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0032】
10…チューナー、12…映像処理部、14…液晶駆動部、16…液晶モジュール、18…光源駆動部、20…光源、22…制御部、24…記憶部、26…照度センサー、100…液晶テレビ、200…反射材、E…暗幕、L…搬送ライン、S…輝度設定システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源により液晶の背面から光を照射する液晶表示装置において、
輝度の設定値を記憶する記憶部と、
前記輝度の設定値に応じて前記光源の輝度を調整する輝度調整部と、
当該液晶表示装置の外部輝度を検出する照度センサーと、
前記輝度調整部が前記設定値を変更することにより前記光源の輝度を徐々に変更させつつ当該液晶表示装置の画面に対して所定の相対位置に固定された反射材にて反射される当該液晶表示装置の画面発光を前記照度センサーにて検出し、前記照度センサーの検出する輝度が所定値となる設定値を前記記憶部に記憶させる輝度設定値設定部と、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記所定値は、前記液晶を全開放させつつ前記輝度調整部に前記光源を最大輝度とさせたときに前記照度センサーの検出する輝度に対し所定割合となる輝度とされることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記輝度設定値設定部は、当該液晶表示装置の画面に対して所定の相対位置に固定された反射材にて当該液晶表示装置の画面発光を反射入力された状態で、前記液晶を全開放させつつ前記輝度調整部による前記設定値の調整により前記光源を最大輝度とさせたときに前記照度センサーの検出する輝度を基準輝度とし、その後、前記輝度調整部による設定値の変更により前記光源の輝度を徐々に低下させつつ前記照度センサーに輝度を検出させ、前記照度センサーの検出する輝度が前記基準輝度に対して所定割合となるときの設定値を前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−230299(P2012−230299A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99321(P2011−99321)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】