説明

液晶表示装置

【課題】液晶表示装置において、IC等が発生させる熱の表示品位に対する影響を低減する技術を提供する。
【解決手段】シート群50とバックライトシャーシ60とは、実質的に密着して配置されている。さらに、バックライトシャーシ60には、IC80の取り付け部分に対応する位置に、所定深さの絞り部62が形成されている。したがって、バックライトシャーシ60とシート群50とは、絞り部62以外の領域では密着しているが、絞り部62の領域ではそれら間に形成される断熱空間68によって離間している。そして、絞り部62の上面に、回路基板70の下側に取り付けられているIC80が、密着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係り、例えば、液晶テレビ等やタブレット型表示装置に好適な薄型の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビの薄型軽量化が進んでおり、表示サイズが20型であっても、持ち運んで移動可能なテレビが市場に投入されるようになっている。そこで、製造各社は、薄型軽量化のために、様々な発明を製品に対して投入している。その様な技術の一種に、バックライトシャーシ部に絞り加工を施したうえでネジを配置する技術がある(特許文献1参照)。この技術の液晶モジュールでは、内部にバックライトを設けた矩形枠状モールドフレームの前面に液晶セルが配置される。さらに、バックライトの後面に合成樹脂製反射シートを介して金属製バックライトシャーシが固定されている。また、バックライトにより後方から液晶セルを照らすように形成され、バックライトシャーシに複数の支持台が所定間隔をおいて形成され、その各支持台に基板をビス止めするようにされている。そして、各支持台が、バックライトシャーシに絞り加工を施すことにより後方に膨出されている。この技術によって、部品点数や加工の手間を省くことが可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−227057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高画質化も同時に進んでいることから、薄型の筺体に高性能の画像処理ICを搭載するなど、表示装置内部(セット内)に多くの熱源が配置される場合も多い。一般に、液晶テレビ等において、液晶パネルは、液体内の液晶素子の物理的動作であることから温度の影響を大きく受けるという傾向がある。液晶パネル全体に対する温度変化であれば、温度センサによって検知し、パネル全体の制御を微調整することで対応できる。しかし、局所的な温度変化については、対応が難しいという課題があり改善が求められていた。薄型軽量の可搬型テレビの場合は、市場からは限界まで薄くすることの要請が強い。そのため、回路基板とバックライトシャーシの距離も、据え置きを前提とした一般的なテレビよりも大幅に接近してしまう。そうすると、例えば、基板内の画像処理ICやマイコンのような高速処理を行うICでは、高温となってしまう。このICが、薄型化のために、バックライトシャーシに接近してしまうと、バックライトシャーシの一部を高温で熱してしまうことになる。すると、エッジ型バックライトの場合には、バックライトシャーシと液晶パネルが接近していることから、その熱は、そのままパネルに伝わってしまう。そのため、液晶パネルの一部の応答が他の場所と異なるため、映像の白浮き等の症状が発生してしまう。このような症状の改善が求められていた。
【0005】
また、特許文献1に開示の技術用では、バックライトが直下型である場合は、バックライトシャーシと液晶パネルの間に距離があり、空気層があることから、基板の熱は、バックライトシャーシに逃がすのが通例であり、なんら問題は生じなかった。液晶パネル等のシート群とバックライトシャーシが密着するような構造において、上記のような熱の問題が顕著になり、別の技術が求められていた。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであって、薄型表示装置において、IC等が発生させる熱の表示品位に対する影響を低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る装置は、液晶パネルを含むシート群とバックライトシャーシとが密着して配置される液晶表示装置であって、前記バックライトシャーシは、前記シート群と非密着状態となる加工面を備え、前記加工面に、回路基板の発熱部品が固定される。
また、前記加工面は、絞り加工によって、前記シート群とは反対側に膨出されて形成されてもよい。
また、前記加工面は、前記発熱部品の固定面より大きな面積であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液晶表示装置において、IC等が発生させる熱の表示品位に対する影響を低減する技術を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る、液晶テレビの外観を示す平面図及び側面図である。
【図2】実施形態に係る、液晶テレビの外観を示す分解斜視図である。
【図3】実施形態に係る、バックライトシャーシの背面図である。
【図4】実施形態に係る、ICとバックライトシャーシの固定部分を詳細に示した断面図である。
【図5】実施形態に係る、ICとバックライトシャーシの固定部分を模式的に示した断面図である。
【図6】実施形態の変形例に係る、ICとバックライトシャーシの固定部分を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を、図面を参照して具体的に説明する。以下では、薄型液晶表示装置として、液晶テレビについて例示するが、当然に、液晶モニタや携帯端末(携帯電話やタブレット型表示装置)についても適用することができる。
【0011】
本実施形態のポイントの概要は以下の通りである。
バックライトシャーシの一部に絞り構造を付加することによって、反射シートや導光板等のシート群とバックライトシャーシとの間に空間を形成し離間させる。加工面の一種である絞り構造部分に、発熱部品の一種であるIC(集積回路)を接触させることによって、つまり、回路基板のICの直下となるように、絞りを形成することによって、ICからバックライトシャーシに伝わった熱が、高熱のまま導光板及びパネル等のシート群に伝わることを防止する。また、絞り構造は、ICの接続部分の面積より広く形成される。なお、加工面として、バックライトシャーシにおける一般的な加工形態として絞り構造を例示しているがこれに限る趣旨ではなく、材料等に応じた切削等の加工形態が用いられてもよい。また、発熱部品として、ICについて例示しているが、液晶テレビ10の駆動に伴い発熱する各種部品、例えばバッテリやインバータ部品についても適用することができる。
【0012】
図1は、本実施形態に係る液晶テレビ10の外観を示す図である。また、図2は、液晶テレビ10の分解斜視図である。液晶テレビ10は、外装として外装側面キャビネットである枠状のフレーム20と、前側の透明保護カバー30と、後側のリアキャビネット40を備えている。そして、それら外装の内部には、透明保護カバー30側から、フロントキャビネット枠35、シート群50、バックライトシャーシ60が配置されている。
【0013】
フレーム20は、金属製の加工部材(押し出し材または引き抜き材を加工)による成形部品である。詳細な構造については後述するが、例えば20インチクラスであれば、概略大きさは幅約490mm×高さ約290mmである。
【0014】
透明保護カバー30は、例えばガラス板であって、シート群50を保護する。リアキャビネット40は、樹脂材で成形されている。
【0015】
フロントキャビネット枠35は、フレーム20と略同様の大きさ及び形状に樹脂材で成形され、フレーム20の背面側に取り付けられる。なお、フレーム20には、所定位置に円柱状の位置決め用突部25が後ろ方向に延びて形成されている。位置決め用突部25に対応して、フロントキャビネット枠35の前面側には、位置決め用ボス穴37が設けられている。
【0016】
シート群50は、前方側から液晶パネル51、Dfシート52、レンズシート53、導光板54、拡散シート55、反射板56が積層状に配置されている。
【0017】
バックライトシャーシ60は、金属の板状体を所定形状に加工したものであって、図示しない光源(例えばLEDエッジライト)や、映像駆動回路(回路基板70)、バッテリ90等が配置されている。回路基板70の取り付け部分では、後述するようにIC80が、放熱のためにバックライトシャーシ60に固定されている。
【0018】
つづいて、本実施形態に特徴的であるバックライトシャーシ60とIC80との固定構造について説明する。
【0019】
図3は、本実施形態に係るバックライトシャーシ60の背面図(リアキャビネット40側の図)である。図示のように、バックライトシャーシ60のリアキャビネット40側には、図示左下側の領域に回路基板70が取り付けられる。また、図示右側の領域には、伝熱調整用の孔92が複数設けられており、それら孔92を覆うように薄型バッテリ90が取り付けられる。さらに、回路基板70が取り付けられる領域には、回路基板70のIC80が接触可能に絞り部62が形成されている。絞り部62は上面視で、円形に形成されており、IC80に対して十分大きな取り付け面を備えている。
【0020】
図4は、絞り部62に回路基板70のIC80が取り付けられた状態を示した断面図である。また、図5(a)及び(b)に、図4の絞り部62とIC80の取り付け構造を分かりやすく模式的に示している。なお、図示下側が液晶テレビ10の前側に対応し、図示上側が液晶テレビ10の後側に対応している。回路基板70の下側に、IC80が取り付けられている。回路基板70は、バックライトシャーシ60に対してビス99によって固定される。そして、回路基板70が固定されると、IC80の下側の面が絞り部62に密着して固定される。
【0021】
図4に示すように、シート群50とバックライトシャーシ60とは、実質的に密着して配置されている。さらに、バックライトシャーシ60には、IC80の取り付け部分に対応する位置に、所定深さDの絞り部62が形成されている。したがって、バックライトシャーシ60とシート群50とは、絞り部62以外の領域では密着しているが、絞り部62の領域ではそれら間に形成される断熱空間68によって離間している。
【0022】
そして、絞り部62の図示の上面(液晶テレビ10の後方側の面)に、回路基板70の下側(液晶テレビ10の前方側)に取り付けられているIC80が、密着する。なお、IC80と絞り部62との間には、確実な密着と適正な伝熱効率の確保のために、放熱シート82が使用されている。
【0023】
以上、実施形態によると、絞り部62が形成され断熱空間68が存在することから、回路基板70に配置されたIC80の高温の熱が、高温のままバックライトシャーシ60からシート群50(液晶パネル51)に伝わることを軽減することができる。その結果、液晶パネル51の表示に白浮き現象が発生することを回避できる。
【0024】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、絞り部62は、絞り加工に伴い発生する加工歪み低減の観点から、上述のように円形が好ましいが、絞り加工の量が小さく歪みの発生が小さい場合は、矩形等の他の形状が選択されてもよい。また、絞り部62の面積は、IC80の下側の面より広く確保されたが、発熱量や実際の発熱部分の面積等の関係を考慮した上で白浮き現象が発生しない場合は、IC80の下側の面より狭く設定されてもよい。さらに、伝熱を調整するための穴形状が形成されてもよい。さらに、絞り部62は、上述のように絞り加工で形成されたが、それに限らず、例えば、背面側はフラットのままで、前面側が切削加工されて断熱空間68が形成されてもよい。
【0025】
また、別の変形例を図6に示す。図6は、変形例に係る、IC80とバックライトシャーシ60の固定部分を模式的に示した断面図及び平面図である。図6(b)の平面図は図6(a)の断面図に対応した図である。また、図6(c)は図6(b)の平面図の更なる変形例を示している。図6(a)及び図6(b)に示すように、回路基板70の図示の上面には、IC80を挟むように二つの放熱用パターン72が形成されている。放熱用パターン72は、銅等の薄膜金属である。そして、絞り部62には所定の領域にビス穴69が形成されていて、回路基板70は、絞り部62と放熱用ビス74によって接続される。このときに、放熱用ビス74のネジ部がビス穴69に螺接しており、また、放熱用ビス74の頭皿部分が放熱用パターン72の領域に接続される。その結果、絞り部62の熱が放熱用ビス74を介して回路基板70側に逃がすことができる。なお、放熱用パターン72は、形状を特に限定するものでなく、図6(c)に示すように、円弧状(図示では4分割)に形成されてもよい。また、放熱用ビス74の替わりに金属の板状体が用いられてもよい。このような構造によって、断熱空間68の空間の高さDを低くすることができる。さらに、放熱用パターン72は、IC80が配置される側の面に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0026】
10 液晶テレビ
20 フレーム
25 位置決め用突部
30 透明保護カバー
35 フロントキャビネット枠
37 位置決め用ボス穴
40 リアキャビネット
50 シート群
51 液晶パネル
52 Dfシート
53 レンズシート
54 導光板
55 拡散シート
56 反射板
60 バックライトシャーシ
62 絞り部
68 断熱空間
69 ビス穴
70 回路基板
72 放熱用パターン
74 放熱用ビス
80 IC
82 放熱シート
90 薄型バッテリ
92 孔
99 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルを含むシート群とバックライトシャーシとが密着して配置される液晶表示装置であって、
前記バックライトシャーシは、前記シート群と非密着状態となる加工面を備え、
前記加工面に、回路基板の発熱部品が固定されることを特徴とする液晶表示装置
【請求項2】
前記加工面は、絞り加工によって、前記シート群とは反対側に膨出されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記加工面は、前記発熱部品の固定面より大きな面積であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−237908(P2012−237908A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107727(P2011−107727)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】