説明

液晶表示装置

【課題】多数の電子部品が高密度に配置される場合でも、発熱源がバッテリーの性能に与える影響を低減する技術を提供する。
【解決手段】バックライトシャーシ60のバッテリー配置面72には、9つのセル71で構成されるバッテリー70が取り付けられている。バッテリー配置面73全体には孔72が形成されている。また、バックライトシャーシ60の背面下部には、光源が取り付けられている。光源の熱は、バックライトシャーシ60を伝わって、バッテリー配置面73に取り付けられたバッテリー70に伝導する。しかしながら、バッテリー配置面73全体には孔72が形成されているため、バックライトシャーシ60を伝導する熱は、バッテリー配置面73全体に設けられた孔72で断熱され、バッテリー70に伝導しにくく、セル71の劣化を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係り、特に、バッテリーを有し、持ち運びが可能な液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、持ち運び可能な電子機器の電源としてバッテリーが用いられることが多い。一般的に、バッテリーは、充電可能な複数のセルで構成されている。セルは、高温環境下で劣化しやすいため、発熱源の近くに位置するセルほど他のセルよりも劣化が進み、残容量が無くなりやすい。セルは、過放電させると破損等する虞があるため、いずれかのセルの残容量が無くなった時点で、他のセルに残容量が残っていたとしても放電を停止させる必要がある。この状態でセルを充電させると、セル間の残容量バランスが崩れているため、セル間で満充電となるタイミングに差が生じる。セルは、過充電によっても破損等する虞があるため、いずれかのセルが満充電に達した時点で、他のセルの充電を停止させる必要がある。その結果、さらにセル間の充電バランスが崩れ、バッテリー全体の性能が劣化することになる。
【0003】
そのため、例えば、発熱源であるCPUからの熱がバッテリーの性能に与える影響を低減させるため、CPUとCPUに隣接するバッテリーとを離して配置することにより断熱空間を設けた可搬型電子機器が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−122132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年の電子機器は、高機能化や小型化に伴い、電子機器内部に多数の電子部品が高密度に配置され、特許文献1のような断熱空間のためのスペースを確保しにくいという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、多数の電子部品が高密度に配置される場合でも、発熱源がバッテリーの性能に与える影響を低減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液晶表示装置は、光源が取り付けられたバックライトシャーシと、前記バックライトシャーシの前記光源が取り付けられた面とは反対の面に設けられたバッテリー配置面と、前記バッテリー配置面に形成された孔と、前記バッテリー配置面に取り付けられたバッテリーとを備えたことを特徴とする。
また、前記孔は、前記バッテリーを構成するセルに対応して形成されてもよい。
また、前記孔は、前記光源からの距離が近いほど大きく形成されてもよい。
また、前記孔は、開口面積を調整可能とする形状を有してもよい。
また、前記バッテリーは、黒色のパッケージで覆われ、前記バッテリー配置面に密接して取り付けられてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多数の電子部品が高密度に配置される場合でも、発熱源がバッテリーの性能に与える影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る実施形態の液晶テレビの外観を示す平面図及び側面図である。
【図2】図1に示す液晶テレビの外観を示す分解斜視図である。
【図3】図2に示すバックライトシャーシの正面図及び斜視図である。
【図4】図2に示すバックライトシャーシの簡易側面図である。
【図5】図2に示す他の実施形態のバックライトシャーシの正面図及び斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、液晶表示装置の一例として液晶テレビ10について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る液晶テレビ10の外観を示す図である。また、図2は、液晶テレビ10の分解斜視図である。液晶テレビ10は、外装として外装側面キャビネットである枠状のフレーム20と、前側の透明保護カバー30と、後側のリアキャビネット40を備えている。そして、それら外装の内部には、透明保護カバー30側から、フロントキャビネット枠35、シート群50、バックライトシャーシ60が配置されている。
【0012】
フレーム20は、金属製の加工部材(押し出し材または引き抜き材を加工)による成形部品である。例えば20インチクラスであれば、概略大きさは幅約490mm×高さ約290mmである。
【0013】
透明保護カバー30は、例えばガラス板であって、シート群50を保護する。リアキャビネット40は、樹脂材で成形されている。
【0014】
フロントキャビネット枠35は、フレーム20と略同様の大きさ及び形状に樹脂材で成形され、フレーム20の背面側に取り付けられる。なお、フレーム20には、所定位置に円柱状の位置決め用突部25が後ろ方向に延びて形成されている。位置決め用突部25に対応して、フロントキャビネット枠35の前面側には、位置決め用ボス穴37が設けられている。
【0015】
シート群50は、前方側から液晶パネル51、Dfシート52、レンズシート53、導光板54、拡散シート55、反射板56が積層状に配置されている。
【0016】
バックライトシャーシ60は、金属の板状体を所定形状に加工したものであって、光源(例えばLEDエッジライト)や、映像駆動回路、バッテリー70等が配置されている。
【0017】
図3(a)は、バックライトシャーシ60の正面図であり、図3(b)は、バックライトシャーシ60の斜視図である。なお、図3(b)では、リアキャビネット40及びバッテリー70も示している。また、図4は、バックライトシャーシ60の簡易側面図であり、バッテリー70と光源80が装着された状態を示している。バックライトシャーシ60は、背面側下部に設けられたバックライト配置面81と正面側に設けられたバッテリー配置面73とを有している。
【0018】
バックライト配置面81には、光源80として複数のLED(Light Emitting Diode)が配置されたLEDエッジライトが取り付けられている。
【0019】
バッテリー配置面73には、縦3列横3行からなる9つのセル71で構成されるバッテリー70が取り付けられる。バッテリー配置面73全体にはバッテリー70と略等しい大きさの孔72が形成されている。バッテリー70は、光源80の光が透過しないよう黒色のパッケージで覆われており、バッテリー配置面73に形成された孔72から光源80の光が漏れないようバッテリー配置面73に密接して装着される。
【0020】
バッテリー配置面73は、光源80の熱による影響を軽減するため、バックライトシャーシ60において光源80が取り付けられた面とは反対の面に設けられている。そのため、バックライト配置面81に取り付けられた光源80の熱は、バックライトシャーシ60を伝わって、バッテリー配置面73に取り付けられたバッテリー70に伝導する。しかしながら、バッテリー配置面73全体には孔72が形成されているため、バックライトシャーシ60を伝導する熱は、バッテリー配置面73全体に形成された孔72で伝熱が阻害され、バッテリー70に伝導しにくい。したがって、本実施形態によれば、光源80の熱がバックライトシャーシ60を介してバッテリー70に与える影響を軽減することができ、セル71の劣化を防止することができる。
【0021】
ところで、光源80に近いほど周囲温度が高くなるため、バッテリー配置面73全体に形成された孔72により断熱効果を向上させても、各セル71の配置位置によってセル71間で若干温度のばらつきが残る。そこで、図5に示すバックライトシャーシ61では、バッテリー配置面73をバッテリー70の各セル71に対応する面(セル対応面74)に分割し、光源80に近づくにつれて各セル対応面74に形成された孔75による断熱効果が高くなるよう調整している。図5(a)は、バックライトシャーシ61の正面図であり、図5(b)は、バックライトシャーシ61の斜視図である。なお、図5(b)では、リアキャビネット40及びバッテリー70も示している。
【0022】
バックライトシャーシ61では、バッテリー配置面73が、バッテリー70の各セル71の位置に対応して、縦3列横3行の9つのセル対応面74に分割されている。ここでは、セル対応面74が光源80に平行に配置されているものとする。
【0023】
最も光源80に近い1行目のセル対応面74には、セル対応面74に形成される孔75の中で最も大きな孔75がそれぞれ2個ずつ形成されている。2番目に光源80に近い2行目のセル対応面74には、1行目のセル対応面74に形成された孔75よりも小さな孔75が2個ずつ形成されている。3番目に光源80に近い3行目のセル対応面74には、2行目に形成された孔75と同じ大きさの孔75が1つずつ形成されている。つまり、各セル対応面74には、光源80からの距離に応じて、光源80に近づくほど大きな孔75が形成されているため、光源80に近いセル71が光源80から遠いセル71よりも先に劣化することを防止することができる。
【0024】
よって、光源80からの熱がバックライトシャーシ61を介してバッテリー70の各セル71に均等に伝導するため、セル71間の劣化度合いを均等にすることができる。また、各セル71に応じてセル対応面74に孔75を形成することで、バッテリー配置面73全体に孔72が形成されたバックライトシャーシ60に比べて、バックライトシャーシ61の強度を強化することができる。
【0025】
なお、セル対応面74に形成される孔75は、各セル71の温度が均等になるように形成されればよく、適宜その形状、大きさ、数が変更されてもよい。例えば、各セル対応面74に形成される孔75をすべて同一の菊型(孔75の内側に歯が付いた形状)にして、セル71間の温度が均等になるように、菊型の花弁(孔75の内側に形成された歯)を折り曲げたり切り取ったりして開口面積を微調整できるようにしてもよい。なお、同様に、バッテリー配置面73全体に形成された孔72の内側に歯を付けて、孔72の開口面積を微調整できるようにしてもよい。
【0026】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々様々に変更が可能であることは言うまでもない。例えば、バッテリー70を構成するセルの数及び配置は適宜変更されてもよい。また、本実施形態を液晶モニタや携帯端末(携帯電話やタブレット型表示装置)に適用してもよい。なお、上記実施形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付してある。
【符号の説明】
【0027】
10:液晶テレビ(液晶表示装置)
20:フレーム
30:透明保護カバー
40:リアキャビネット
50:シート群
60,61:バックライトシャーシ
70:バッテリー
71:セル
72,75:孔
73:バッテリー配置面
74:セル対応面
80:光源
81:バックライト配置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が取り付けられたバックライトシャーシと、
前記バックライトシャーシの前記光源が取り付けられた面とは反対の面に設けられたバッテリー配置面と、
前記バッテリー配置面に形成された孔と、
前記バッテリー配置面に取り付けられたバッテリーと、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記孔は、前記バッテリーを構成するセルに対応して形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記孔は、前記光源からの距離が近いほど大きく形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記孔は、開口面積を調整可能とする形状を有していることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記バッテリーは、黒色のパッケージで覆われ、前記バッテリー配置面に密接して取り付けられていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−237912(P2012−237912A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107757(P2011−107757)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【特許番号】特許第5048147号(P5048147)
【特許公報発行日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】