液晶装置の製造方法、液晶装置、及び電子機器
【課題】画素電極の肩部を、簡単な手法により、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な膜厚の配向膜で確実に覆うことにより、リバースチルトの発生に起因したドメインの発生を抑制することのできる液晶装置の製造方法を提供する。
【解決手段】液晶に駆動電圧を印加する画素電極がマトリクス状に設けられた基板を具備する液晶装置の製造方法であって、基板上に、液晶を配向させる配向膜を、少なくとも画素電極を平面視した状態で覆うよう塗布するステップS2を具備し、ステップS2は、画素電極上よりも画素電極間における基板上の配向膜の膜厚を厚くするとともに、画素電極における肩部を設定厚さで覆うよう配向膜を塗布する工程であることを特徴とする。
【解決手段】液晶に駆動電圧を印加する画素電極がマトリクス状に設けられた基板を具備する液晶装置の製造方法であって、基板上に、液晶を配向させる配向膜を、少なくとも画素電極を平面視した状態で覆うよう塗布するステップS2を具備し、ステップS2は、画素電極上よりも画素電極間における基板上の配向膜の膜厚を厚くするとともに、画素電極における肩部を設定厚さで覆うよう配向膜を塗布する工程であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶に駆動電圧を印加する画素電極がマトリクス状に設けられた基板を具備する液晶装置の製造方法、液晶装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電気光学装置、例えば光透過型の液晶装置は、ガラス基板、石英基板、シリコン基板等からなる2枚の基板間に液晶が介在されて構成されており、一方の基板に、例えば薄膜トランジスタ等のスイッチング素子及び画素電極をマトリクス状に配置し、他方の基板に対向電極を配置して、両基板間に介在された液晶層の光学特性を画像信号に応じて変化させることで、画像表示を可能としている。
【0003】
また、トランジスタを配置した素子基板と、この素子基板に相対して配置される対向基板とは、別々に製造される。素子基板及び対向基板は、例えば石英基板上に、所定のパターンを有する半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜を積層することによって構成される。層毎に各種膜の成膜工程とフォトリソグラフィ工程とを繰り返すことによって形成されるのである。
【0004】
このようにして形成された素子基板及び対向基板は、パネル組立工程において高精度(例えばアライメント誤差1μm以内)に貼り合わされる。このパネル組立工程の一例を説明すると、先ず、各基板の製造工程において夫々製造された素子基板の画素電極上、及び対向基板の対向電極上に、液晶分子を基板面に沿って配向させるためのポリイミド等の有機配向膜(以下、単に配向膜と称す)が塗布される。その後、焼成が行われ、さらに配向膜に対し、電圧無印加時の液晶分子の配列を規定するためのラビング処理が施される。
【0005】
次いで、例えば液晶封入方式により、素子基板と対向基板との間に液晶が介在される場合には、素子基板と対向基板との一方の基板上に、接着剤となるシール材が、一部に注入口となる切り欠きを有するよう略周状に塗布され、このシール材が用いられて素子基板に対し、対向基板が貼り合わされる。
【0006】
次いで、アライメントが施されてそれぞれ圧着硬化された後、真空下において素子基板のシール材の注入口の近傍に、規定量の液晶がそれぞれ滴下され、その後、大気解放されることにより、注入口を介して液晶が素子基板と対向基板との間にそれぞれ注入され、最後に、注入口が、封止材により封止されて、液晶装置が製造される。製造された液晶装置は、その後、プロジェクタ等の電子機器に用いられる。
【0007】
ここで、素子基板にマトリクス状に設けられた各画素を駆動する際、例えば、全画素の駆動電圧の極性を、一定周期で行毎または列毎に反転させる既知の反転駆動を用いて、各画素を駆動すると、行毎または列毎の画素電極間において、電位差が発生して、その結果、横電界が発生する。尚、画素電極間に発生する横電界は、反転駆動に限らず、素子基板の表示領域の開口率を向上させるため、液晶分子が多方向に傾斜するよう、画素を駆動した場合等にも生じる。
【0008】
画素電極間に横電界が発生すると、画素電極上の配向膜において、画素電極間に近接する側に位置する配向膜によって配向される液晶分子の傾斜角が変化する方向が、画素電極中央の配向膜によって配向される液晶分子の傾斜角が変化する方向と異なってしまう、所謂リバースチルトが発生してしまう場合があり、素子基板の表示領域において、リバースチルトに起因した光漏れ(以下、ドメインと称す)が発生し、表示領域中の画像の輝度がドメイン領域だけ異なってしまう場合があるといった問題があった。
【0009】
このような問題に鑑み、特許文献1には、画素電極上に形成される配向膜の膜厚を可変することにより、リバースチルトに起因したドメインの発生を抑制する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2005−99466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、素子基板の画素電極上に配向膜を塗布する手法としては、既知の印刷を用いた手法や、既知のインクジェットを用いた手法や、既知のスピンコーティングを用いた手法等が周知である。
【0011】
ところが、印刷を用いた手法では、素子基板上において、配向膜を均一の膜厚に塗布することが難しく、印刷によって配向膜が塗布された素子基板を具備する液晶装置を用いて表示を行うと、表示画質が低下してしまうといった問題がある。
【0012】
また、インクジェットを用いた手法では、液滴吐出手段により吐出する配向膜の粘度が高いと、塗布後、配向膜の液滴が広がり難くなることから、粘度の低い配向膜を用いざるを得ないが、この場合、塗布後、配向膜が素子基板上に定着し難くなってしまい、やはり、素子基板上において、均一の膜厚に配向膜を塗布することが難しいといった問題があった。
【0013】
以上から、配向膜の塗布は、スピン装置によって回転する素子基板上に配向膜を塗布するスピンコーティングを用いた手法により行われるのが一般的である。
【0014】
しかしながら、スピンコーティングを用いた手法によっても、図11に示すように、画素電極9上に塗布された配向膜116は、塗布後、画素電極間200に流れてしまい、特に、画素電極9の素子基板100から起立した2点鎖線で囲った外周縁部(以下、肩部と称す)9eにおいては、肩部9eを覆う配向膜116が薄くなってしまう、即ち肩部9eを覆う配向膜116の液晶分子50bの配向に十分な膜厚が確保できないといった問題があった。
【0015】
さらには、画素電極の形成に伴い画素電極を、例えばドライエッチングによりパターニングする際、ドライエッチング後、画素電極の下地膜との密着性が低下することに起因して、図12に示すように、画素電極9の側面9sに凹部150が形成されてしまい、画素電極9の肩部9eが、断面形状が鋭角に形成されてしまうことがある。
【0016】
肩部9eの断面形状が鋭角に形成されてしまうと、画素電極間200に、画素電極9上の配向膜116が流れやすくなってしまい、肩部9eを覆う配向膜116の十分な膜厚が、より確保し難くなってしまう。
【0017】
肩部9eを覆う配向膜116の膜厚が確保できないと、配向膜116は、厚い程、液晶分子50bを配向する規制力が安定するため、液晶分子50bに対する配向規制力が低下し、画素電極間200に上述した横電界Yが生じた場合、肩部9eの配向膜116によって配向される液晶分子50bに、横電界Yに起因してリバースチルトが発生し、その結果、ドメインが発生してしまうといった問題があった。
【0018】
以上のような問題に鑑み、画素電極の肩部を確実に十分な膜厚の配向膜で覆うよう、配向膜の塗布量、即ち膜厚を増やす手法も考えられるが、配向膜は、膜厚が厚すぎると、画素電極から液晶層に電圧を印加する際の抵抗となってしまう他、光透過率が低下してしまうといった問題がある。
【0019】
本発明は上記問題に着目してなされたものであり、画素電極の肩部を、簡単な手法により、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な膜厚の配向膜で確実に覆うことにより、リバースチルトの発生に起因したドメインの発生を抑制することのできる液晶装置の製造方法、液晶装置、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明に係る液晶装置の製造方法は、液晶に駆動電圧を印加する画素電極がマトリクス状に設けられた基板を具備する液晶装置の製造方法であって、前記基板上に、前記液晶を配向させる配向膜を、少なくとも前記画素電極を平面視した状態で覆うよう塗布する配向膜塗布工程を具備し、前記配向膜塗布工程は、前記画素電極上よりも前記画素電極間における前記基板上の前記配向膜の膜厚を厚くするとともに、前記画素電極における前記基板から起立した外周縁部を設定厚さで覆うよう前記配向膜を塗布する工程であることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、画素電極上よりも画素電極間における基板上の配向膜の膜厚を厚く塗布することにより、画素電極における肩部を、塗布後の配向膜により光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さで覆うことができる。このことから、画素電極の肩部上の配向膜の膜厚を確保できないことにより、肩部において画素電極間の電位差による横電界の影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、簡単な手法により確実に抑制することができる液晶装置の製造方法を提供することができるといった効果を有する。
【0022】
また、前記配向膜塗布工程において、前記画素電極間における前記基板上の前記配向膜の膜厚が、前記基板上における前記画素電極の厚みの1/2以上となるよう、前記配向膜を塗布することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、画素電極間における基板上の配向膜の膜厚が、基板上における画素電極の厚みの1/2以上となるよう配向膜を塗布することができるため、画素電極における肩部を、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜により覆うことができる。このことから、画素電極の肩部上の配向膜の膜厚を確保できないことにより、肩部において画素電極間の電位差による横電界の影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、簡単な手法により確実に抑制することができる液晶装置の製造方法を提供することができるといった効果を有する。
【0024】
さらに、前記配向膜塗布工程は、回転する前記基板上に前記配向膜を塗布するスピンコーティング法と、印刷により前記基板上に前記配向膜を塗布する印刷法と、液滴吐出手段により前記基板上に前記配向膜を塗布する液滴吐出法とのいずれかの手法により行われることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、簡単かつ確実に、画素電極上よりも画素電極間における基板上の配向膜の膜厚を厚く塗布することができるため、画素電極における肩部を、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜により覆うことができる液晶装置の製造方法を提供することができるといった効果を有する。
【0026】
また、前記配向膜塗布工程は、前記スピンコーティング法により行われ、該スピンコーティング法は、前記基板上の平面視した状態の中央に前記配向膜を滴下して、前記基板を第1の速度で回転させた後、前記基板を前記第1の速度よりも遅い第2の速度で回転させて行うことを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、配向膜の滴下後、基板を第1の速度で高速回転させることにより、基板上に素早く配向膜を広げることができるとともに、配向膜を広げた後、第1の速度よりも遅い第2の速度で基板を回転させることにより、基板上に配向膜を均一な膜厚で塗布できるとともに、画素電極における肩部を、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜により覆うことができる液晶装置の製造方法を提供することができるといった効果を有する。
【0028】
また、前記画素電極の側面部に凹部が形成されているとともに、前記凹部により、前記画素電極の前記外周縁部は、断面形状が鋭角に形成されており、前記配向膜塗布工程において、断面形状が鋭角に形成された前記外周縁部を設定厚さで覆うよう前記配向膜を塗布することを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、画素電極を所定の形状にパターニングした際、画素電極の側面に、画素電極と、該画素電極の下地膜との密着性が低下することに起因して凹部が形成されてしまい、画素電極における肩部が、断面形状が鋭角に形成されてしまったとしても、肩部を、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜により覆うことができる液晶装置の製造方法を提供することができるといった効果を有する。
【0030】
本発明に係る液晶装置は、液晶に駆動電圧を印加する画素電極がマトリクス状に設けられた基板を具備する液晶装置であって、前記基板上に、前記液晶を配向させる配向膜が、少なくとも前記画素電極を平面視した状態で覆うよう形成されており、前記配向膜は、前記画素電極上よりも前記画素電極間における前記基板上の膜厚が厚く形成されているとともに、前記画素電極における前記基板から起立した外周縁部を設定厚さで覆うよう形成されていることを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、画素電極上よりも画素電極間における基板上の配向膜の膜厚が厚く塗布されていることにより、画素電極における肩部が、配向膜により光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さで覆われることから、画素電極の肩部上の配向膜の膜厚を確保できないことにより、肩部において画素電極間の電位差による横電界の影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、確実に抑制することができるといった効果を有する。
【0032】
また、前記配向膜は、前記画素電極間における前記基板上の膜厚が、前記基板上における前記画素電極の厚みの1/2以上となるよう形成されていることを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、画素電極間における基板上の配向膜の膜厚が、基板上における画素電極の厚みの1/2以上の厚みとなるよう配向膜が塗布されていることにより、画素電極における肩部が、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜により覆われる。このことから、画素電極の肩部上の配向膜の膜厚を確保できないことにより、肩部において画素電極間の電位差による横電界の影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、確実に抑制することができる液晶装置を提供することができるといった効果を有する。
【0034】
さらに、前記画素電極の側面部に凹部が形成されているとともに、前記凹部により、前記画素電極の前記外周縁部は、断面形状が鋭角に形成されており、前記配向膜は、断面形状が鋭角に形成された前記外周縁部を設定厚さで覆うよう形成されていることを特徴とする。
【0035】
本発明によれば、画素電極が所定の形状にパターニングされた際、画素電極の側面に、画素電極と画素電極の下地膜との密着性が低下することに起因して凹部が形成されてしまい、画素電極における肩部が、断面形状が鋭角に形成されてしまったとしても、肩部は、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜によりにより覆われる。このことから、肩部において画素電極間の電位差による横電界の影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、確実に抑制することができる液晶装置を提供することができるといった効果を有する。
【0036】
本発明に係る電子機器は、請求項6〜8のいずれか1項に記載の液晶装置を具備したことを特徴とする。
【0037】
本発明によれば、画素電極上よりも画素電極間における基板上の配向膜の膜厚が厚く塗布されていることにより、画素電極における肩部が、配向膜により光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さで覆われる。このことから、画素電極の肩部上の配向膜の膜厚を確保できないことにより、肩部において画素電極間の電位差による横電界の影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、確実に抑制することができる構成を具備する電子機器を提供することができるといった効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照にして本実施の形態を説明する。尚、以下に示す実施の形態において液晶装置は、光透過型の液晶装置を例に挙げて説明する。また、液晶装置において対向配置される一対の基板の内、一方の基板は、素子基板(以下、TFT基板と称す)を、また他方の基板は、TFT基板に対向する対向基板を例に挙げて説明する。
【0039】
先ず、本実施の形態の液晶装置の製造方法によって製造される液晶装置の構成を、図1〜図3を用いて説明する。
【0040】
図1は、本実施の形態を示す液晶装置の平面図、図2は、図1中のII−II線に沿って切断した断面図、図3は、画素を構成する図1のTFT基板上の素子の等価回路図である。
【0041】
図1、図2に示すように、液晶装置1は、例えば、石英基板やガラス基板、シリコン基板等を用いたTFT基板10と、該TFT基板10に対向配置される、例えばガラス基板や石英基板、シリコン基板等を用いた対向基板20との間の内部空間に、液晶50が介在されて構成される。対向配置されたTFT基板10と対向基板20とは、シール材52によって貼り合わされている。
【0042】
TFT基板10の液晶50と接する領域に、液晶装置1の表示領域40を構成するTFT基板10の表示領域10hが構成されている。また、TFT基板10上の表示領域10hに、画素を構成するとともに、後述する対向電極21とともに液晶50に駆動電圧を印加する画素電極(ITO)9が、図3に示すように、マトリクス状に配置されている。
【0043】
また、対向基板20の基板上の液晶50と接する面の全面に、液晶50に画素電極9とともに駆動電圧を印加する対向電極(ITO)21が設けられており、対向基板20のTFT基板10の表示領域10hに対向する位置における液晶50と接する領域に、液晶装置1の表示領域40を構成する対向基板20の表示領域20hが構成されている。
【0044】
TFT基板10の画素電極9上に、液晶50を配向させるラビング処理が施された配向膜16が設けられている。また、対向基板20上の全面に渡って形成された対向電極21上にも、液晶50を配向させるラビング処理が施された配向膜26が設けられている。尚、各配向膜16,26は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。また、配向膜16の詳しい構成については、図4において後述する。
【0045】
また、図3に示すように、TFT基板10の表示領域10hにおいては、複数本の走査線11と複数本のデータ線6とが交差するように配線され、走査線11とデータ線6とで区画された領域に画素電極9がマトリクス状に配置される。
【0046】
そして、図3に示すように、走査線11とデータ線6との各交差部位に対応してスイッチング素子である薄膜トランジスタ(以下、TFTと称す)30が設けられ、このTFT30毎に画素電極9が電気的に接続されている。
【0047】
TFT30は走査線11のON信号によってオンとなり、これにより、データ線6に供給された画像信号が画素電極9に供給される。この画素電極9と対向基板20に設けられた対向電極21との間の電圧が液晶50に印加される。
【0048】
また、図3に示すように、画素電極9と並列に、蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70によって、液晶50に印加される電圧の保持時間が延長され、例えば画像信号が画素電極9に供給される時間よりも3桁も長い時間の保持が可能となる。
【0049】
対向基板20に、TFT基板10の表示領域10h及び対向基板20の表示領域20hの外周を、画素領域において規定し区画することにより、表示領域40を規定する額縁としての遮光膜53が設けられている。
【0050】
液晶50がTFT基板10と対向基板20との間の空間に、既知の液晶注入方式で注入される場合、シール材52は、シール材52の1辺の一部において欠落して塗布されている。尚、液晶50がTFT基板10と対向基板20との間の空間に、既知の液晶滴下方式で滴下される場合、シール材52は、途中で欠落することなく連続的に周状に塗布される。
【0051】
シール材52の欠落した箇所は、該欠落した箇所から貼り合わされたTFT基板10及び対向基板20との間に液晶50を注入するための液晶注入口108を構成している。液晶注入口108は、液晶注入後、封止材109で封止される。尚、液晶滴下方式で液晶50が滴下される場合は、液晶注入口108、封止材109は不要となる。
【0052】
シール材52の外側の領域に、TFT基板10の図示しないデータ線に画像信号を所定のタイミングで供給して該データ線を駆動するドライバであるデータ線駆動回路101及び外部回路との接続のための外部接続端子102が、TFT基板10の一辺に沿って設けられている。
【0053】
この一辺に隣接する二辺に沿って、TFT基板10の走査線11及び図示しないゲート電極に、走査信号を所定のタイミングで供給することにより、ゲート電極を駆動するドライバである走査線駆動回路103,104が設けられている。走査線駆動回路103,104は、シール材52の内側の遮光膜53に対向する位置において、TFT基板10上に形成されている。
【0054】
また、TFT基板10上に、データ線駆動回路101、走査線駆動回路103,104、外部接続端子102及び上下導通端子107を接続する配線105が、遮光膜53の3辺に対向して設けられている。
【0055】
上下導通端子107は、シール材52のコーナー部の4箇所のTFT基板10上に形成されている。そして、TFT基板10と対向基板20相互間に、下端が上下導通端子107に接触し上端が対向電極21に接触する上下導通材106が設けられており、該上下導通材106によって、TFT基板10と対向基板20との間で電気的な導通がとられている。
【0056】
尚、半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜等の各種薄膜形成前の、石英基板、ガラス、シリコン基板等のTFT基板10を構成する基板の表面上に、上述したTFT30や画素電極9の他、これらを含む各種薄膜の構成が積層構造をなして備えられているが、この積層構造、及び積層された各層の機能は周知であるため、その説明及び図示は省略する。
【0057】
次に、TFT基板10に形成された配向膜16の詳しい構成について、図4を用いて説明する。図4は、図1のTFT基板上に形成された画素電極及び配向膜の構成を示す部分拡大断面図である。
【0058】
尚、図4においても、TFT基板10上に形成された半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜等の各種薄膜は、画素電極9及び配向膜16以外は、図面を簡略化するため省略して示してある。
【0059】
図4に示すように、TFT基板10上に、少なくとも画素電極9を平面視した状態で覆うよう、配向膜16が形成されている。詳しくは、TFT基板10上における画素電極間200における配向膜16の膜厚h1が、画素電極9上の配向膜16の膜厚h4よりも厚くなる(h1>h4)とともに、より具体的には、画素電極間200における配向膜16の膜厚h1が、画素電極9の厚みh2の1/2以上となる(h1≧1/2×h2)とともに、画素電極9の肩部9eを、設定厚さh3、例えば10〜20nmで覆うよう配向膜16が形成されている。
【0060】
尚、TFT基板10上における画素電極間200の配向膜16の膜厚h1が、画素電極9上の配向膜16の膜厚h4と同じにならずに、膜厚h4よりも厚くなるのは、例えばスピンコーティング法を用いて配向膜16を塗布した際、画素電極9上に塗布された配向膜16が、画素電極間200に流れてしまうためである。
【0061】
よって、スピンコーティング法を用いて配向膜16が塗布される際は、画素電極間200に流れ込む配向膜16の膜厚h1が、画素電極9の厚みh2の1/2以上となる量の配向膜16がTFT基板10上に塗布される。
【0062】
次に、このように構成された液晶装置の製造方法を、図5〜図7を用いて説明する。図5は、液晶装置の製造方法を概略的に示すフローチャート、図6は、TFT基板上に塗布する配向膜の粘度とスピンコーティングにおけるTFT基板の回転数とに対する画素電極間の配向膜の厚みを示す図表、図7は、スピンコーティングにおける時間に対するTFT基板の回転数を示す図である。
【0063】
尚、以下に示す製造工程以外の液晶装置の製造工程は周知であるため、その説明は省略する。
【0064】
図5に示すように、先ず、ステップS1において、複数の薄膜が積層されて形成されたTFT基板10上に、画素電極9を、図3に示すようにマトリクス状に所定の形状に形成する画素電極形成工程を行う。
【0065】
次いで、ステップS2において、TFT基板10上に、配向膜16を、少なくとも画素電極9を平面視した状態で覆うように、スピンコーティング法により塗布する配向膜塗布工程を行う。
【0066】
具体的には、先ず、TFT基板10上の平面視した状態の中央に、上述したように、画素電極間200に流れ込む配向膜16の膜厚h1が、画素電極9の厚みh2の1/2以上となる量の配向膜16を塗布する。
【0067】
次いで、TFT基板10を、スピン装置を用いて、図7に示すように第1の速度(1st)で高速回転させて、TFT基板10上に滴下した配向膜16を素早く広げた後、第1の速度よりも遅い第2の速度(2nd)でTFT基板10を回転させ、さらに第2の速度よりも遅い第3の速度(3rd)で回転させることにより、TFT基板10の面内において塗布した配向膜16を均一の膜厚にする。尚、配向膜16滴下後のTFT基板10の回転速度の変化は、3回に限定されない。
【0068】
その後、画素電極9上に塗布された配向膜16が、TFT基板10上における画素電極間200に所定量流れ込むことにより、画素電極間200の配向膜16の厚みh1が、画素電極9の厚みh2以上となる。この際、画素電極9の肩部9eは、十分な膜厚の設定厚さh3、例えば10〜20nmで覆われることが実験の結果分かった。
【0069】
尚、スピンコーティング法を用いた配向膜16の塗布に際し、第2の速度(2nd)と第3の速度(3rd)とは、同一速度であっても構わない。
【0070】
また、スピンコーティング法を用いた配向膜16の塗布に際し、図6に示すように、例えば、配向膜16の材料粘度が同じ4.0mPa・sの場合、第1の回転速度(1st)〜第3の回転速度(3rd)を、3350rpm、2750rpm、1550rpmにした場合における画素電極間200の膜厚h1が30nmになるのに対し、第1の回転速度(1st)〜第3の回転速度(3rd)を、2450rpm、1400rpm、1400rpmにした場合における画素電極間200の膜厚h1が50nmになることが実験の結果分かった。よって、配向膜16の吐出量、吐出時間が同じ場合、TFT基板10の回転数を下げる程、画素電極間200の膜厚h1を厚くすることができることが図6から読み取れる。
【0071】
さらに、スピンコーティング法を用いた配向膜16の塗布に際し、図6に示すように、例えば画素電極間200の膜厚h1を同じ50nmに形成する場合、配向膜16の材料粘度が4.0mPa・sの場合、第1の回転速度(1st)〜第3の回転速度(3rd)が、2450rpm、1400rpm、1400rpmになるのに対し、配向膜16の材料粘度が5.0mPa・sの場合、第1の回転速度(1st)〜第3の回転速度(3rd)が、4150rpm、2400rpm、2400rpmとなることが実験の結果分かった。
【0072】
よって、配向膜16の吐出量、吐出時間が同じ場合において、配向膜16の材料粘度を上げた場合、TFT基板10の回転数を下げると、画素電極間200の膜厚h1を同じに形成することができることが分かる。即ち、配向膜16の材料粘度を上げた場合、TFT基板10の回転数も上げると、画素電極間200の膜厚h1を厚くすることができることが図6から読み取れる。
【0073】
図5に戻って、配向膜塗布工程後は、TFT基板10を、焼成炉に投入して焼成処理した後、続いてステップS3において、TFT基板10上に形成された配向膜16全体にラビング処理するラビング処理工程を行う。
【0074】
最後に、ステップS4において、配向膜16全体にラビング処理が施されたTFT基板10を、配向膜26が形成され、該配向膜26にラビング処理が施された対向基板20に対し、上述したように、シール材52を介して貼り合わせる、貼り合わせ工程を行う。その結果、液晶装置1は製造される。
【0075】
このように、本実施の形態においては、TFT基板10上において、少なくとも画素電極9を平面視した状態で覆うよう形成される配向膜16は、TFT基板10上における画素電極間200における配向膜16の膜厚h1が、画素電極9上の配向膜16の膜厚h4よりも厚くなる(h1>h4)、より具体的には、画素電極間200における配向膜16の膜厚h1が、画素電極9の厚みh2の1/2以上となる(h1≧1/2×h2)とともに、画素電極9の肩部9eを、設定厚さh3、例えば10〜20nmで覆うよう形成されていると示した。
【0076】
このことによれば、画素電極間200におけるTFT基板上10の配向膜16の膜厚h1が、画素電極9上の配向膜16の膜厚h4より厚く、画素電極9の厚みh2の1/2以上となっているため、画素電極9における肩部9eを、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な設定厚さh3の配向膜16により確実に覆うことができる。
【0077】
このことから、図11に示すように、画素電極9の肩部9e上の配向膜16の膜厚を確保できないことにより、肩部9eにおいて画素電極間200の電位差による横電界Yの影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、簡単な手法により確実に抑制することができる液晶装置1の製造方法、液晶装置1を提供することができる。
【0078】
尚、以下、変形例を示す。本実施の形態においては、TFT基板10への配向膜16の塗布は、スピンコーティング法を用いて行うと示したが、これに限らず、印刷によりTFT基板10上に配向膜16を塗布する印刷法を用いた場合や、液滴吐出手段、例えばインクジェットにより、TFT基板10上に配向膜16を塗布する液滴吐出法を用いた場合においても、本実施の形態が適用可能である。
【0079】
このことによれば、簡単かつ確実に、画素電極9上の膜厚h4よりも画素電極間200におけるTFT基板10上の配向膜16の膜厚h1を厚く塗布することができるため、画素電極9における肩部9eを、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な設定厚さh3の配向膜16により覆うことができる液晶装置1の製造方法、液晶装置1を提供することができる。
【0080】
尚、以下、別の変形例を、図8、図9を用いて示す。図8は、図1のTFT基板上に形成された画素電極の側面に凹部が形成された場合における画素電極及び配向膜の構成を示す部分拡大断面図、図9は、画素電極間の配向膜の膜厚に対する、画素電極間のドメイン発生電圧の電位差を示す図表である。
【0081】
上述したように、図5のステップS1において、画素電極形成工程を行う際、画素電極を、例えばドライエッチングによってパターニングすると、ドライエッチング後、画素電極9の図示しない下地膜との密着性が低下することに起因して、図8に示すように、画素電極9の側面部である側面9sに凹部150が形成されてしまい、画素電極9の肩部9eが、断面形状が鋭角に形成されてしまうことがある。尚、画素電極9の側面9sに凹部150が形成されてしまう理由としては、ドライエッチングによるパターニングに限定されない。
【0082】
肩部9eの断面形状が鋭角に形成されてしまうと、画素電極間200に、画素電極9上の配向膜16が流れやすくなり、図12に示すように、肩部9eを覆う配向膜116の十分な膜厚が、より確保し難くなってしまう。
【0083】
肩部9eを覆う配向膜116の膜厚が確保できないと、配向膜116は、厚い程、液晶分子を配向する規制力が安定するため、液晶分子に対する配向規制力が低下し、画素電極間200に上述した横電界Yが生じた場合、肩部9eの配向膜116によって配向される液晶分子に、横電界Yに起因してリバースチルトが発生し、その結果、ドメインが発生してしまう。
【0084】
このような場合であっても上述した本実施の形態同様、図8に示すように、TFT基板10上において、少なくとも画素電極9を平面視した状態で覆うよう形成される配向膜16を、TFT基板10上における画素電極間200における配向膜16の膜厚h1が、画素電極9上の配向膜16の膜厚h4よりも厚くなる(h1>h4)、より具体的には、画素電極間200における配向膜16の膜厚h1が、画素電極9の厚みh2の1/2以上となる(h1≧1/2×h2)とともに、画素電極9の肩部9eを、設定厚さh3、例えば10〜20nmで覆うよう形成すれば良い。
【0085】
具体的には、例えば画素電極9の厚みh2が120nmの場合、図9に示すように、画素電極間200の配向膜16の厚みh1が51.6nmと、厚みh2の1/2以下の場合は、図12に示すように、肩部9eを覆う配向膜116の十分な膜厚h3が確保し難くなってしまう。
【0086】
しかしながら、図9に示すように、画素電極間200の配向膜16の厚みh1が69.4nmと、厚みh2の1/2以上の場合は、図8に示すように、肩部9eを覆う配向膜116の十分な膜厚h3を確保することができ、その結果、横電界Yが生じた場合、肩部9eの配向膜116によって配向される液晶分子に、画素電極間200に発生した横電界Yに起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを防ぐことができる。
【0087】
これは、図9に示すように、画素電極間200の配向膜16の厚みh1が51.6nmの場合に画素電極間200に発生するドメイン発生電圧の電位差が、実験の結果4.3Vになるのに対し、画素電極間200の配向膜16の厚みh1が69.4nm場合に画素電極間200に発生するドメイン発生電圧の電位差が、実験の結果4.8Vになることからも、ドメインが発生し難くなることがわかる。
【0088】
以上から、画素電極9を所定の形状にパターニングした際、画素電極9の側面9sに、画素電極9と、該画素電極9の下地膜との密着性が低下することに起因して凹部150が形成されてしまい、画素電極9における肩部9eが、断面形状が鋭角に形成されてしまったとしても、肩部9eを、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜16により覆うことができる液晶装置1の製造方法、液晶装置1を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
また、液晶装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述した液晶装置は、TFT(薄膜トランジスタ)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールを例に挙げて説明したが、これに限らず、TFD(薄膜ダイオード)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールであっても構わない。
【0090】
さらに、本実施の形態においては、液晶装置は、半導体基板に素子を形成する表示用デバイス、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等であっても構わない。LCOSでは、素子基板として単結晶シリコン基板を用い、画素や周辺回路に用いるスイッチング素子としてトランジスタを単結晶シリコン基板に形成する。また、画素には、反射型の画素電極を用い、画素電極の下層に画素の各素子を形成する。
【0091】
また、液晶装置は、片側の基板の同一層に、一対の電極が形成される表示用デバイス、例えばIPS(In-Plane Switching)や、片側の基板において、絶縁膜を介して一対の電極が形成される表示用デバイスFFS(Fringe Field Switching)等であっても構わない。
【0092】
さらに、本発明の液晶装置が用いられる電子機器としては、投写型表示装置、具体的には、プロジェクタが挙げられる。図10は、図1の液晶装置が3つ配設されたプロジェクタの構成を示す図である。
【0093】
同図に示すように、プロジェクタ1100に、液晶装置1は、各々RGB用のライトバルブとして、例えば3つ(1R,1G,1B)配設されている。
【0094】
プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投写光が発せされると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ1R,1G,1Bに各々導かれる。
【0095】
この際、特にB光は、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。
【0096】
そして、ライトバルブ1R,1G,1Bにより各々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投写レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投写される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本実施の形態を示す液晶装置の平面図。
【図2】図1中のII−II線に沿って切断した断面図。
【図3】画素を構成する図1のTFT基板上の素子の等価回路図。
【図4】図1のTFT基板上に形成された画素電極及び配向膜の構成を示す部分拡大断面図。
【図5】液晶装置の製造方法を概略的に示すフローチャート。
【図6】TFT基板上に塗布する配向膜の粘度とスピンコーティングにおけるTFT基板の回転数とに対する画素電極間の配向膜の厚みを示す図表。
【図7】スピンコーティングにおける時間に対するTFT基板の回転数を示す図。
【図8】図1のTFT基板上に形成された画素電極の側面に凹部が形成された場合における画素電極及び配向膜の構成を示す部分拡大断面図。
【図9】画素電極間の配向膜の膜厚に対する、画素電極間のドメイン発生電圧の電位差を示す図表。
【図10】図1の液晶装置が3つ配設されたプロジェクタの構成を示す図。
【図11】従来のTFT基板上に形成された画素電極及び配向膜の構成を示す部分拡大断面図。
【図12】従来のTFT基板上に形成された画素電極の側面に凹部が形成された場合における画素電極及び配向膜の構成を示す部分拡大断面図。
【符号の説明】
【0098】
1…液晶装置、9…画素電極、9s…側面、9e…肩部、10…TFT基板、16…配向膜、50…液晶、150…凹部、200…画素電極間、1100…プロジェクタ、h3…肩部上の配向膜の設定厚さ、1st…第1の速度、2nd…第2の速度。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶に駆動電圧を印加する画素電極がマトリクス状に設けられた基板を具備する液晶装置の製造方法、液晶装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電気光学装置、例えば光透過型の液晶装置は、ガラス基板、石英基板、シリコン基板等からなる2枚の基板間に液晶が介在されて構成されており、一方の基板に、例えば薄膜トランジスタ等のスイッチング素子及び画素電極をマトリクス状に配置し、他方の基板に対向電極を配置して、両基板間に介在された液晶層の光学特性を画像信号に応じて変化させることで、画像表示を可能としている。
【0003】
また、トランジスタを配置した素子基板と、この素子基板に相対して配置される対向基板とは、別々に製造される。素子基板及び対向基板は、例えば石英基板上に、所定のパターンを有する半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜を積層することによって構成される。層毎に各種膜の成膜工程とフォトリソグラフィ工程とを繰り返すことによって形成されるのである。
【0004】
このようにして形成された素子基板及び対向基板は、パネル組立工程において高精度(例えばアライメント誤差1μm以内)に貼り合わされる。このパネル組立工程の一例を説明すると、先ず、各基板の製造工程において夫々製造された素子基板の画素電極上、及び対向基板の対向電極上に、液晶分子を基板面に沿って配向させるためのポリイミド等の有機配向膜(以下、単に配向膜と称す)が塗布される。その後、焼成が行われ、さらに配向膜に対し、電圧無印加時の液晶分子の配列を規定するためのラビング処理が施される。
【0005】
次いで、例えば液晶封入方式により、素子基板と対向基板との間に液晶が介在される場合には、素子基板と対向基板との一方の基板上に、接着剤となるシール材が、一部に注入口となる切り欠きを有するよう略周状に塗布され、このシール材が用いられて素子基板に対し、対向基板が貼り合わされる。
【0006】
次いで、アライメントが施されてそれぞれ圧着硬化された後、真空下において素子基板のシール材の注入口の近傍に、規定量の液晶がそれぞれ滴下され、その後、大気解放されることにより、注入口を介して液晶が素子基板と対向基板との間にそれぞれ注入され、最後に、注入口が、封止材により封止されて、液晶装置が製造される。製造された液晶装置は、その後、プロジェクタ等の電子機器に用いられる。
【0007】
ここで、素子基板にマトリクス状に設けられた各画素を駆動する際、例えば、全画素の駆動電圧の極性を、一定周期で行毎または列毎に反転させる既知の反転駆動を用いて、各画素を駆動すると、行毎または列毎の画素電極間において、電位差が発生して、その結果、横電界が発生する。尚、画素電極間に発生する横電界は、反転駆動に限らず、素子基板の表示領域の開口率を向上させるため、液晶分子が多方向に傾斜するよう、画素を駆動した場合等にも生じる。
【0008】
画素電極間に横電界が発生すると、画素電極上の配向膜において、画素電極間に近接する側に位置する配向膜によって配向される液晶分子の傾斜角が変化する方向が、画素電極中央の配向膜によって配向される液晶分子の傾斜角が変化する方向と異なってしまう、所謂リバースチルトが発生してしまう場合があり、素子基板の表示領域において、リバースチルトに起因した光漏れ(以下、ドメインと称す)が発生し、表示領域中の画像の輝度がドメイン領域だけ異なってしまう場合があるといった問題があった。
【0009】
このような問題に鑑み、特許文献1には、画素電極上に形成される配向膜の膜厚を可変することにより、リバースチルトに起因したドメインの発生を抑制する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2005−99466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、素子基板の画素電極上に配向膜を塗布する手法としては、既知の印刷を用いた手法や、既知のインクジェットを用いた手法や、既知のスピンコーティングを用いた手法等が周知である。
【0011】
ところが、印刷を用いた手法では、素子基板上において、配向膜を均一の膜厚に塗布することが難しく、印刷によって配向膜が塗布された素子基板を具備する液晶装置を用いて表示を行うと、表示画質が低下してしまうといった問題がある。
【0012】
また、インクジェットを用いた手法では、液滴吐出手段により吐出する配向膜の粘度が高いと、塗布後、配向膜の液滴が広がり難くなることから、粘度の低い配向膜を用いざるを得ないが、この場合、塗布後、配向膜が素子基板上に定着し難くなってしまい、やはり、素子基板上において、均一の膜厚に配向膜を塗布することが難しいといった問題があった。
【0013】
以上から、配向膜の塗布は、スピン装置によって回転する素子基板上に配向膜を塗布するスピンコーティングを用いた手法により行われるのが一般的である。
【0014】
しかしながら、スピンコーティングを用いた手法によっても、図11に示すように、画素電極9上に塗布された配向膜116は、塗布後、画素電極間200に流れてしまい、特に、画素電極9の素子基板100から起立した2点鎖線で囲った外周縁部(以下、肩部と称す)9eにおいては、肩部9eを覆う配向膜116が薄くなってしまう、即ち肩部9eを覆う配向膜116の液晶分子50bの配向に十分な膜厚が確保できないといった問題があった。
【0015】
さらには、画素電極の形成に伴い画素電極を、例えばドライエッチングによりパターニングする際、ドライエッチング後、画素電極の下地膜との密着性が低下することに起因して、図12に示すように、画素電極9の側面9sに凹部150が形成されてしまい、画素電極9の肩部9eが、断面形状が鋭角に形成されてしまうことがある。
【0016】
肩部9eの断面形状が鋭角に形成されてしまうと、画素電極間200に、画素電極9上の配向膜116が流れやすくなってしまい、肩部9eを覆う配向膜116の十分な膜厚が、より確保し難くなってしまう。
【0017】
肩部9eを覆う配向膜116の膜厚が確保できないと、配向膜116は、厚い程、液晶分子50bを配向する規制力が安定するため、液晶分子50bに対する配向規制力が低下し、画素電極間200に上述した横電界Yが生じた場合、肩部9eの配向膜116によって配向される液晶分子50bに、横電界Yに起因してリバースチルトが発生し、その結果、ドメインが発生してしまうといった問題があった。
【0018】
以上のような問題に鑑み、画素電極の肩部を確実に十分な膜厚の配向膜で覆うよう、配向膜の塗布量、即ち膜厚を増やす手法も考えられるが、配向膜は、膜厚が厚すぎると、画素電極から液晶層に電圧を印加する際の抵抗となってしまう他、光透過率が低下してしまうといった問題がある。
【0019】
本発明は上記問題に着目してなされたものであり、画素電極の肩部を、簡単な手法により、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な膜厚の配向膜で確実に覆うことにより、リバースチルトの発生に起因したドメインの発生を抑制することのできる液晶装置の製造方法、液晶装置、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明に係る液晶装置の製造方法は、液晶に駆動電圧を印加する画素電極がマトリクス状に設けられた基板を具備する液晶装置の製造方法であって、前記基板上に、前記液晶を配向させる配向膜を、少なくとも前記画素電極を平面視した状態で覆うよう塗布する配向膜塗布工程を具備し、前記配向膜塗布工程は、前記画素電極上よりも前記画素電極間における前記基板上の前記配向膜の膜厚を厚くするとともに、前記画素電極における前記基板から起立した外周縁部を設定厚さで覆うよう前記配向膜を塗布する工程であることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、画素電極上よりも画素電極間における基板上の配向膜の膜厚を厚く塗布することにより、画素電極における肩部を、塗布後の配向膜により光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さで覆うことができる。このことから、画素電極の肩部上の配向膜の膜厚を確保できないことにより、肩部において画素電極間の電位差による横電界の影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、簡単な手法により確実に抑制することができる液晶装置の製造方法を提供することができるといった効果を有する。
【0022】
また、前記配向膜塗布工程において、前記画素電極間における前記基板上の前記配向膜の膜厚が、前記基板上における前記画素電極の厚みの1/2以上となるよう、前記配向膜を塗布することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、画素電極間における基板上の配向膜の膜厚が、基板上における画素電極の厚みの1/2以上となるよう配向膜を塗布することができるため、画素電極における肩部を、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜により覆うことができる。このことから、画素電極の肩部上の配向膜の膜厚を確保できないことにより、肩部において画素電極間の電位差による横電界の影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、簡単な手法により確実に抑制することができる液晶装置の製造方法を提供することができるといった効果を有する。
【0024】
さらに、前記配向膜塗布工程は、回転する前記基板上に前記配向膜を塗布するスピンコーティング法と、印刷により前記基板上に前記配向膜を塗布する印刷法と、液滴吐出手段により前記基板上に前記配向膜を塗布する液滴吐出法とのいずれかの手法により行われることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、簡単かつ確実に、画素電極上よりも画素電極間における基板上の配向膜の膜厚を厚く塗布することができるため、画素電極における肩部を、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜により覆うことができる液晶装置の製造方法を提供することができるといった効果を有する。
【0026】
また、前記配向膜塗布工程は、前記スピンコーティング法により行われ、該スピンコーティング法は、前記基板上の平面視した状態の中央に前記配向膜を滴下して、前記基板を第1の速度で回転させた後、前記基板を前記第1の速度よりも遅い第2の速度で回転させて行うことを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、配向膜の滴下後、基板を第1の速度で高速回転させることにより、基板上に素早く配向膜を広げることができるとともに、配向膜を広げた後、第1の速度よりも遅い第2の速度で基板を回転させることにより、基板上に配向膜を均一な膜厚で塗布できるとともに、画素電極における肩部を、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜により覆うことができる液晶装置の製造方法を提供することができるといった効果を有する。
【0028】
また、前記画素電極の側面部に凹部が形成されているとともに、前記凹部により、前記画素電極の前記外周縁部は、断面形状が鋭角に形成されており、前記配向膜塗布工程において、断面形状が鋭角に形成された前記外周縁部を設定厚さで覆うよう前記配向膜を塗布することを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、画素電極を所定の形状にパターニングした際、画素電極の側面に、画素電極と、該画素電極の下地膜との密着性が低下することに起因して凹部が形成されてしまい、画素電極における肩部が、断面形状が鋭角に形成されてしまったとしても、肩部を、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜により覆うことができる液晶装置の製造方法を提供することができるといった効果を有する。
【0030】
本発明に係る液晶装置は、液晶に駆動電圧を印加する画素電極がマトリクス状に設けられた基板を具備する液晶装置であって、前記基板上に、前記液晶を配向させる配向膜が、少なくとも前記画素電極を平面視した状態で覆うよう形成されており、前記配向膜は、前記画素電極上よりも前記画素電極間における前記基板上の膜厚が厚く形成されているとともに、前記画素電極における前記基板から起立した外周縁部を設定厚さで覆うよう形成されていることを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、画素電極上よりも画素電極間における基板上の配向膜の膜厚が厚く塗布されていることにより、画素電極における肩部が、配向膜により光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さで覆われることから、画素電極の肩部上の配向膜の膜厚を確保できないことにより、肩部において画素電極間の電位差による横電界の影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、確実に抑制することができるといった効果を有する。
【0032】
また、前記配向膜は、前記画素電極間における前記基板上の膜厚が、前記基板上における前記画素電極の厚みの1/2以上となるよう形成されていることを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、画素電極間における基板上の配向膜の膜厚が、基板上における画素電極の厚みの1/2以上の厚みとなるよう配向膜が塗布されていることにより、画素電極における肩部が、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜により覆われる。このことから、画素電極の肩部上の配向膜の膜厚を確保できないことにより、肩部において画素電極間の電位差による横電界の影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、確実に抑制することができる液晶装置を提供することができるといった効果を有する。
【0034】
さらに、前記画素電極の側面部に凹部が形成されているとともに、前記凹部により、前記画素電極の前記外周縁部は、断面形状が鋭角に形成されており、前記配向膜は、断面形状が鋭角に形成された前記外周縁部を設定厚さで覆うよう形成されていることを特徴とする。
【0035】
本発明によれば、画素電極が所定の形状にパターニングされた際、画素電極の側面に、画素電極と画素電極の下地膜との密着性が低下することに起因して凹部が形成されてしまい、画素電極における肩部が、断面形状が鋭角に形成されてしまったとしても、肩部は、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜によりにより覆われる。このことから、肩部において画素電極間の電位差による横電界の影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、確実に抑制することができる液晶装置を提供することができるといった効果を有する。
【0036】
本発明に係る電子機器は、請求項6〜8のいずれか1項に記載の液晶装置を具備したことを特徴とする。
【0037】
本発明によれば、画素電極上よりも画素電極間における基板上の配向膜の膜厚が厚く塗布されていることにより、画素電極における肩部が、配向膜により光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さで覆われる。このことから、画素電極の肩部上の配向膜の膜厚を確保できないことにより、肩部において画素電極間の電位差による横電界の影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、確実に抑制することができる構成を具備する電子機器を提供することができるといった効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照にして本実施の形態を説明する。尚、以下に示す実施の形態において液晶装置は、光透過型の液晶装置を例に挙げて説明する。また、液晶装置において対向配置される一対の基板の内、一方の基板は、素子基板(以下、TFT基板と称す)を、また他方の基板は、TFT基板に対向する対向基板を例に挙げて説明する。
【0039】
先ず、本実施の形態の液晶装置の製造方法によって製造される液晶装置の構成を、図1〜図3を用いて説明する。
【0040】
図1は、本実施の形態を示す液晶装置の平面図、図2は、図1中のII−II線に沿って切断した断面図、図3は、画素を構成する図1のTFT基板上の素子の等価回路図である。
【0041】
図1、図2に示すように、液晶装置1は、例えば、石英基板やガラス基板、シリコン基板等を用いたTFT基板10と、該TFT基板10に対向配置される、例えばガラス基板や石英基板、シリコン基板等を用いた対向基板20との間の内部空間に、液晶50が介在されて構成される。対向配置されたTFT基板10と対向基板20とは、シール材52によって貼り合わされている。
【0042】
TFT基板10の液晶50と接する領域に、液晶装置1の表示領域40を構成するTFT基板10の表示領域10hが構成されている。また、TFT基板10上の表示領域10hに、画素を構成するとともに、後述する対向電極21とともに液晶50に駆動電圧を印加する画素電極(ITO)9が、図3に示すように、マトリクス状に配置されている。
【0043】
また、対向基板20の基板上の液晶50と接する面の全面に、液晶50に画素電極9とともに駆動電圧を印加する対向電極(ITO)21が設けられており、対向基板20のTFT基板10の表示領域10hに対向する位置における液晶50と接する領域に、液晶装置1の表示領域40を構成する対向基板20の表示領域20hが構成されている。
【0044】
TFT基板10の画素電極9上に、液晶50を配向させるラビング処理が施された配向膜16が設けられている。また、対向基板20上の全面に渡って形成された対向電極21上にも、液晶50を配向させるラビング処理が施された配向膜26が設けられている。尚、各配向膜16,26は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。また、配向膜16の詳しい構成については、図4において後述する。
【0045】
また、図3に示すように、TFT基板10の表示領域10hにおいては、複数本の走査線11と複数本のデータ線6とが交差するように配線され、走査線11とデータ線6とで区画された領域に画素電極9がマトリクス状に配置される。
【0046】
そして、図3に示すように、走査線11とデータ線6との各交差部位に対応してスイッチング素子である薄膜トランジスタ(以下、TFTと称す)30が設けられ、このTFT30毎に画素電極9が電気的に接続されている。
【0047】
TFT30は走査線11のON信号によってオンとなり、これにより、データ線6に供給された画像信号が画素電極9に供給される。この画素電極9と対向基板20に設けられた対向電極21との間の電圧が液晶50に印加される。
【0048】
また、図3に示すように、画素電極9と並列に、蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70によって、液晶50に印加される電圧の保持時間が延長され、例えば画像信号が画素電極9に供給される時間よりも3桁も長い時間の保持が可能となる。
【0049】
対向基板20に、TFT基板10の表示領域10h及び対向基板20の表示領域20hの外周を、画素領域において規定し区画することにより、表示領域40を規定する額縁としての遮光膜53が設けられている。
【0050】
液晶50がTFT基板10と対向基板20との間の空間に、既知の液晶注入方式で注入される場合、シール材52は、シール材52の1辺の一部において欠落して塗布されている。尚、液晶50がTFT基板10と対向基板20との間の空間に、既知の液晶滴下方式で滴下される場合、シール材52は、途中で欠落することなく連続的に周状に塗布される。
【0051】
シール材52の欠落した箇所は、該欠落した箇所から貼り合わされたTFT基板10及び対向基板20との間に液晶50を注入するための液晶注入口108を構成している。液晶注入口108は、液晶注入後、封止材109で封止される。尚、液晶滴下方式で液晶50が滴下される場合は、液晶注入口108、封止材109は不要となる。
【0052】
シール材52の外側の領域に、TFT基板10の図示しないデータ線に画像信号を所定のタイミングで供給して該データ線を駆動するドライバであるデータ線駆動回路101及び外部回路との接続のための外部接続端子102が、TFT基板10の一辺に沿って設けられている。
【0053】
この一辺に隣接する二辺に沿って、TFT基板10の走査線11及び図示しないゲート電極に、走査信号を所定のタイミングで供給することにより、ゲート電極を駆動するドライバである走査線駆動回路103,104が設けられている。走査線駆動回路103,104は、シール材52の内側の遮光膜53に対向する位置において、TFT基板10上に形成されている。
【0054】
また、TFT基板10上に、データ線駆動回路101、走査線駆動回路103,104、外部接続端子102及び上下導通端子107を接続する配線105が、遮光膜53の3辺に対向して設けられている。
【0055】
上下導通端子107は、シール材52のコーナー部の4箇所のTFT基板10上に形成されている。そして、TFT基板10と対向基板20相互間に、下端が上下導通端子107に接触し上端が対向電極21に接触する上下導通材106が設けられており、該上下導通材106によって、TFT基板10と対向基板20との間で電気的な導通がとられている。
【0056】
尚、半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜等の各種薄膜形成前の、石英基板、ガラス、シリコン基板等のTFT基板10を構成する基板の表面上に、上述したTFT30や画素電極9の他、これらを含む各種薄膜の構成が積層構造をなして備えられているが、この積層構造、及び積層された各層の機能は周知であるため、その説明及び図示は省略する。
【0057】
次に、TFT基板10に形成された配向膜16の詳しい構成について、図4を用いて説明する。図4は、図1のTFT基板上に形成された画素電極及び配向膜の構成を示す部分拡大断面図である。
【0058】
尚、図4においても、TFT基板10上に形成された半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜等の各種薄膜は、画素電極9及び配向膜16以外は、図面を簡略化するため省略して示してある。
【0059】
図4に示すように、TFT基板10上に、少なくとも画素電極9を平面視した状態で覆うよう、配向膜16が形成されている。詳しくは、TFT基板10上における画素電極間200における配向膜16の膜厚h1が、画素電極9上の配向膜16の膜厚h4よりも厚くなる(h1>h4)とともに、より具体的には、画素電極間200における配向膜16の膜厚h1が、画素電極9の厚みh2の1/2以上となる(h1≧1/2×h2)とともに、画素電極9の肩部9eを、設定厚さh3、例えば10〜20nmで覆うよう配向膜16が形成されている。
【0060】
尚、TFT基板10上における画素電極間200の配向膜16の膜厚h1が、画素電極9上の配向膜16の膜厚h4と同じにならずに、膜厚h4よりも厚くなるのは、例えばスピンコーティング法を用いて配向膜16を塗布した際、画素電極9上に塗布された配向膜16が、画素電極間200に流れてしまうためである。
【0061】
よって、スピンコーティング法を用いて配向膜16が塗布される際は、画素電極間200に流れ込む配向膜16の膜厚h1が、画素電極9の厚みh2の1/2以上となる量の配向膜16がTFT基板10上に塗布される。
【0062】
次に、このように構成された液晶装置の製造方法を、図5〜図7を用いて説明する。図5は、液晶装置の製造方法を概略的に示すフローチャート、図6は、TFT基板上に塗布する配向膜の粘度とスピンコーティングにおけるTFT基板の回転数とに対する画素電極間の配向膜の厚みを示す図表、図7は、スピンコーティングにおける時間に対するTFT基板の回転数を示す図である。
【0063】
尚、以下に示す製造工程以外の液晶装置の製造工程は周知であるため、その説明は省略する。
【0064】
図5に示すように、先ず、ステップS1において、複数の薄膜が積層されて形成されたTFT基板10上に、画素電極9を、図3に示すようにマトリクス状に所定の形状に形成する画素電極形成工程を行う。
【0065】
次いで、ステップS2において、TFT基板10上に、配向膜16を、少なくとも画素電極9を平面視した状態で覆うように、スピンコーティング法により塗布する配向膜塗布工程を行う。
【0066】
具体的には、先ず、TFT基板10上の平面視した状態の中央に、上述したように、画素電極間200に流れ込む配向膜16の膜厚h1が、画素電極9の厚みh2の1/2以上となる量の配向膜16を塗布する。
【0067】
次いで、TFT基板10を、スピン装置を用いて、図7に示すように第1の速度(1st)で高速回転させて、TFT基板10上に滴下した配向膜16を素早く広げた後、第1の速度よりも遅い第2の速度(2nd)でTFT基板10を回転させ、さらに第2の速度よりも遅い第3の速度(3rd)で回転させることにより、TFT基板10の面内において塗布した配向膜16を均一の膜厚にする。尚、配向膜16滴下後のTFT基板10の回転速度の変化は、3回に限定されない。
【0068】
その後、画素電極9上に塗布された配向膜16が、TFT基板10上における画素電極間200に所定量流れ込むことにより、画素電極間200の配向膜16の厚みh1が、画素電極9の厚みh2以上となる。この際、画素電極9の肩部9eは、十分な膜厚の設定厚さh3、例えば10〜20nmで覆われることが実験の結果分かった。
【0069】
尚、スピンコーティング法を用いた配向膜16の塗布に際し、第2の速度(2nd)と第3の速度(3rd)とは、同一速度であっても構わない。
【0070】
また、スピンコーティング法を用いた配向膜16の塗布に際し、図6に示すように、例えば、配向膜16の材料粘度が同じ4.0mPa・sの場合、第1の回転速度(1st)〜第3の回転速度(3rd)を、3350rpm、2750rpm、1550rpmにした場合における画素電極間200の膜厚h1が30nmになるのに対し、第1の回転速度(1st)〜第3の回転速度(3rd)を、2450rpm、1400rpm、1400rpmにした場合における画素電極間200の膜厚h1が50nmになることが実験の結果分かった。よって、配向膜16の吐出量、吐出時間が同じ場合、TFT基板10の回転数を下げる程、画素電極間200の膜厚h1を厚くすることができることが図6から読み取れる。
【0071】
さらに、スピンコーティング法を用いた配向膜16の塗布に際し、図6に示すように、例えば画素電極間200の膜厚h1を同じ50nmに形成する場合、配向膜16の材料粘度が4.0mPa・sの場合、第1の回転速度(1st)〜第3の回転速度(3rd)が、2450rpm、1400rpm、1400rpmになるのに対し、配向膜16の材料粘度が5.0mPa・sの場合、第1の回転速度(1st)〜第3の回転速度(3rd)が、4150rpm、2400rpm、2400rpmとなることが実験の結果分かった。
【0072】
よって、配向膜16の吐出量、吐出時間が同じ場合において、配向膜16の材料粘度を上げた場合、TFT基板10の回転数を下げると、画素電極間200の膜厚h1を同じに形成することができることが分かる。即ち、配向膜16の材料粘度を上げた場合、TFT基板10の回転数も上げると、画素電極間200の膜厚h1を厚くすることができることが図6から読み取れる。
【0073】
図5に戻って、配向膜塗布工程後は、TFT基板10を、焼成炉に投入して焼成処理した後、続いてステップS3において、TFT基板10上に形成された配向膜16全体にラビング処理するラビング処理工程を行う。
【0074】
最後に、ステップS4において、配向膜16全体にラビング処理が施されたTFT基板10を、配向膜26が形成され、該配向膜26にラビング処理が施された対向基板20に対し、上述したように、シール材52を介して貼り合わせる、貼り合わせ工程を行う。その結果、液晶装置1は製造される。
【0075】
このように、本実施の形態においては、TFT基板10上において、少なくとも画素電極9を平面視した状態で覆うよう形成される配向膜16は、TFT基板10上における画素電極間200における配向膜16の膜厚h1が、画素電極9上の配向膜16の膜厚h4よりも厚くなる(h1>h4)、より具体的には、画素電極間200における配向膜16の膜厚h1が、画素電極9の厚みh2の1/2以上となる(h1≧1/2×h2)とともに、画素電極9の肩部9eを、設定厚さh3、例えば10〜20nmで覆うよう形成されていると示した。
【0076】
このことによれば、画素電極間200におけるTFT基板上10の配向膜16の膜厚h1が、画素電極9上の配向膜16の膜厚h4より厚く、画素電極9の厚みh2の1/2以上となっているため、画素電極9における肩部9eを、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な設定厚さh3の配向膜16により確実に覆うことができる。
【0077】
このことから、図11に示すように、画素電極9の肩部9e上の配向膜16の膜厚を確保できないことにより、肩部9eにおいて画素電極間200の電位差による横電界Yの影響に起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを、簡単な手法により確実に抑制することができる液晶装置1の製造方法、液晶装置1を提供することができる。
【0078】
尚、以下、変形例を示す。本実施の形態においては、TFT基板10への配向膜16の塗布は、スピンコーティング法を用いて行うと示したが、これに限らず、印刷によりTFT基板10上に配向膜16を塗布する印刷法を用いた場合や、液滴吐出手段、例えばインクジェットにより、TFT基板10上に配向膜16を塗布する液滴吐出法を用いた場合においても、本実施の形態が適用可能である。
【0079】
このことによれば、簡単かつ確実に、画素電極9上の膜厚h4よりも画素電極間200におけるTFT基板10上の配向膜16の膜厚h1を厚く塗布することができるため、画素電極9における肩部9eを、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な設定厚さh3の配向膜16により覆うことができる液晶装置1の製造方法、液晶装置1を提供することができる。
【0080】
尚、以下、別の変形例を、図8、図9を用いて示す。図8は、図1のTFT基板上に形成された画素電極の側面に凹部が形成された場合における画素電極及び配向膜の構成を示す部分拡大断面図、図9は、画素電極間の配向膜の膜厚に対する、画素電極間のドメイン発生電圧の電位差を示す図表である。
【0081】
上述したように、図5のステップS1において、画素電極形成工程を行う際、画素電極を、例えばドライエッチングによってパターニングすると、ドライエッチング後、画素電極9の図示しない下地膜との密着性が低下することに起因して、図8に示すように、画素電極9の側面部である側面9sに凹部150が形成されてしまい、画素電極9の肩部9eが、断面形状が鋭角に形成されてしまうことがある。尚、画素電極9の側面9sに凹部150が形成されてしまう理由としては、ドライエッチングによるパターニングに限定されない。
【0082】
肩部9eの断面形状が鋭角に形成されてしまうと、画素電極間200に、画素電極9上の配向膜16が流れやすくなり、図12に示すように、肩部9eを覆う配向膜116の十分な膜厚が、より確保し難くなってしまう。
【0083】
肩部9eを覆う配向膜116の膜厚が確保できないと、配向膜116は、厚い程、液晶分子を配向する規制力が安定するため、液晶分子に対する配向規制力が低下し、画素電極間200に上述した横電界Yが生じた場合、肩部9eの配向膜116によって配向される液晶分子に、横電界Yに起因してリバースチルトが発生し、その結果、ドメインが発生してしまう。
【0084】
このような場合であっても上述した本実施の形態同様、図8に示すように、TFT基板10上において、少なくとも画素電極9を平面視した状態で覆うよう形成される配向膜16を、TFT基板10上における画素電極間200における配向膜16の膜厚h1が、画素電極9上の配向膜16の膜厚h4よりも厚くなる(h1>h4)、より具体的には、画素電極間200における配向膜16の膜厚h1が、画素電極9の厚みh2の1/2以上となる(h1≧1/2×h2)とともに、画素電極9の肩部9eを、設定厚さh3、例えば10〜20nmで覆うよう形成すれば良い。
【0085】
具体的には、例えば画素電極9の厚みh2が120nmの場合、図9に示すように、画素電極間200の配向膜16の厚みh1が51.6nmと、厚みh2の1/2以下の場合は、図12に示すように、肩部9eを覆う配向膜116の十分な膜厚h3が確保し難くなってしまう。
【0086】
しかしながら、図9に示すように、画素電極間200の配向膜16の厚みh1が69.4nmと、厚みh2の1/2以上の場合は、図8に示すように、肩部9eを覆う配向膜116の十分な膜厚h3を確保することができ、その結果、横電界Yが生じた場合、肩部9eの配向膜116によって配向される液晶分子に、画素電極間200に発生した横電界Yに起因してリバースチルトが発生し、ドメインが発生してしまうことを防ぐことができる。
【0087】
これは、図9に示すように、画素電極間200の配向膜16の厚みh1が51.6nmの場合に画素電極間200に発生するドメイン発生電圧の電位差が、実験の結果4.3Vになるのに対し、画素電極間200の配向膜16の厚みh1が69.4nm場合に画素電極間200に発生するドメイン発生電圧の電位差が、実験の結果4.8Vになることからも、ドメインが発生し難くなることがわかる。
【0088】
以上から、画素電極9を所定の形状にパターニングした際、画素電極9の側面9sに、画素電極9と、該画素電極9の下地膜との密着性が低下することに起因して凹部150が形成されてしまい、画素電極9における肩部9eが、断面形状が鋭角に形成されてしまったとしても、肩部9eを、光透過率を低下させることなく液晶分子の配向に十分な厚さの配向膜16により覆うことができる液晶装置1の製造方法、液晶装置1を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
また、液晶装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述した液晶装置は、TFT(薄膜トランジスタ)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールを例に挙げて説明したが、これに限らず、TFD(薄膜ダイオード)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールであっても構わない。
【0090】
さらに、本実施の形態においては、液晶装置は、半導体基板に素子を形成する表示用デバイス、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等であっても構わない。LCOSでは、素子基板として単結晶シリコン基板を用い、画素や周辺回路に用いるスイッチング素子としてトランジスタを単結晶シリコン基板に形成する。また、画素には、反射型の画素電極を用い、画素電極の下層に画素の各素子を形成する。
【0091】
また、液晶装置は、片側の基板の同一層に、一対の電極が形成される表示用デバイス、例えばIPS(In-Plane Switching)や、片側の基板において、絶縁膜を介して一対の電極が形成される表示用デバイスFFS(Fringe Field Switching)等であっても構わない。
【0092】
さらに、本発明の液晶装置が用いられる電子機器としては、投写型表示装置、具体的には、プロジェクタが挙げられる。図10は、図1の液晶装置が3つ配設されたプロジェクタの構成を示す図である。
【0093】
同図に示すように、プロジェクタ1100に、液晶装置1は、各々RGB用のライトバルブとして、例えば3つ(1R,1G,1B)配設されている。
【0094】
プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投写光が発せされると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ1R,1G,1Bに各々導かれる。
【0095】
この際、特にB光は、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。
【0096】
そして、ライトバルブ1R,1G,1Bにより各々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投写レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投写される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本実施の形態を示す液晶装置の平面図。
【図2】図1中のII−II線に沿って切断した断面図。
【図3】画素を構成する図1のTFT基板上の素子の等価回路図。
【図4】図1のTFT基板上に形成された画素電極及び配向膜の構成を示す部分拡大断面図。
【図5】液晶装置の製造方法を概略的に示すフローチャート。
【図6】TFT基板上に塗布する配向膜の粘度とスピンコーティングにおけるTFT基板の回転数とに対する画素電極間の配向膜の厚みを示す図表。
【図7】スピンコーティングにおける時間に対するTFT基板の回転数を示す図。
【図8】図1のTFT基板上に形成された画素電極の側面に凹部が形成された場合における画素電極及び配向膜の構成を示す部分拡大断面図。
【図9】画素電極間の配向膜の膜厚に対する、画素電極間のドメイン発生電圧の電位差を示す図表。
【図10】図1の液晶装置が3つ配設されたプロジェクタの構成を示す図。
【図11】従来のTFT基板上に形成された画素電極及び配向膜の構成を示す部分拡大断面図。
【図12】従来のTFT基板上に形成された画素電極の側面に凹部が形成された場合における画素電極及び配向膜の構成を示す部分拡大断面図。
【符号の説明】
【0098】
1…液晶装置、9…画素電極、9s…側面、9e…肩部、10…TFT基板、16…配向膜、50…液晶、150…凹部、200…画素電極間、1100…プロジェクタ、h3…肩部上の配向膜の設定厚さ、1st…第1の速度、2nd…第2の速度。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶に駆動電圧を印加する画素電極がマトリクス状に設けられた基板を具備する液晶装置の製造方法であって、
前記基板上に、前記液晶を配向させる配向膜を、少なくとも前記画素電極を平面視した状態で覆うよう塗布する配向膜塗布工程を具備し、
前記配向膜塗布工程は、前記画素電極上よりも前記画素電極間における前記基板上の前記配向膜の膜厚を厚くするとともに、前記画素電極における前記基板から起立した外周縁部を設定厚さで覆うよう前記配向膜を塗布する工程であることを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項2】
前記配向膜塗布工程において、前記画素電極間における前記基板上の前記配向膜の膜厚が、前記基板上における前記画素電極の厚みの1/2以上となるよう、前記配向膜を塗布することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項3】
前記配向膜塗布工程は、回転する前記基板上に前記配向膜を塗布するスピンコーティング法と、印刷により前記基板上に前記配向膜を塗布する印刷法と、液滴吐出手段により前記基板上に前記配向膜を塗布する液滴吐出法とのいずれかの手法により行われることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項4】
前記配向膜塗布工程は、前記スピンコーティング法により行われ、該スピンコーティング法は、前記基板上の平面視した状態の中央に前記配向膜を滴下して、前記基板を第1の速度で回転させた後、前記基板を前記第1の速度よりも遅い第2の速度で回転させて行うことを特徴とする請求項3に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項5】
前記画素電極の側面部に凹部が形成されているとともに、前記凹部により、前記画素電極における前記外周縁部は、断面形状が鋭角に形成されており、
前記配向膜塗布工程において、断面形状が鋭角に形成された前記外周縁部を設定厚さで覆うよう前記配向膜を塗布することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項6】
液晶に駆動電圧を印加する画素電極がマトリクス状に設けられた基板を具備する液晶装置であって、
前記基板上に、前記液晶を配向させる配向膜が、少なくとも前記画素電極を平面視した状態で覆うよう形成されており、
前記配向膜は、前記画素電極上よりも前記画素電極間における前記基板上の膜厚が厚く形成されているとともに、前記画素電極における前記基板から起立した外周縁部を設定厚さで覆うよう形成されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項7】
前記配向膜は、前記画素電極間における前記基板上の膜厚が、前記基板上における前記画素電極の厚みの1/2以上となるよう形成されていることを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記画素電極の側面部に凹部が形成されているとともに、前記凹部により、前記画素電極の前記外周縁部は、断面形状が鋭角に形成されており、
前記配向膜は、断面形状が鋭角に形成された前記外周縁部を設定厚さで覆うよう形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の液晶装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の液晶装置を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
液晶に駆動電圧を印加する画素電極がマトリクス状に設けられた基板を具備する液晶装置の製造方法であって、
前記基板上に、前記液晶を配向させる配向膜を、少なくとも前記画素電極を平面視した状態で覆うよう塗布する配向膜塗布工程を具備し、
前記配向膜塗布工程は、前記画素電極上よりも前記画素電極間における前記基板上の前記配向膜の膜厚を厚くするとともに、前記画素電極における前記基板から起立した外周縁部を設定厚さで覆うよう前記配向膜を塗布する工程であることを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項2】
前記配向膜塗布工程において、前記画素電極間における前記基板上の前記配向膜の膜厚が、前記基板上における前記画素電極の厚みの1/2以上となるよう、前記配向膜を塗布することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項3】
前記配向膜塗布工程は、回転する前記基板上に前記配向膜を塗布するスピンコーティング法と、印刷により前記基板上に前記配向膜を塗布する印刷法と、液滴吐出手段により前記基板上に前記配向膜を塗布する液滴吐出法とのいずれかの手法により行われることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項4】
前記配向膜塗布工程は、前記スピンコーティング法により行われ、該スピンコーティング法は、前記基板上の平面視した状態の中央に前記配向膜を滴下して、前記基板を第1の速度で回転させた後、前記基板を前記第1の速度よりも遅い第2の速度で回転させて行うことを特徴とする請求項3に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項5】
前記画素電極の側面部に凹部が形成されているとともに、前記凹部により、前記画素電極における前記外周縁部は、断面形状が鋭角に形成されており、
前記配向膜塗布工程において、断面形状が鋭角に形成された前記外周縁部を設定厚さで覆うよう前記配向膜を塗布することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項6】
液晶に駆動電圧を印加する画素電極がマトリクス状に設けられた基板を具備する液晶装置であって、
前記基板上に、前記液晶を配向させる配向膜が、少なくとも前記画素電極を平面視した状態で覆うよう形成されており、
前記配向膜は、前記画素電極上よりも前記画素電極間における前記基板上の膜厚が厚く形成されているとともに、前記画素電極における前記基板から起立した外周縁部を設定厚さで覆うよう形成されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項7】
前記配向膜は、前記画素電極間における前記基板上の膜厚が、前記基板上における前記画素電極の厚みの1/2以上となるよう形成されていることを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記画素電極の側面部に凹部が形成されているとともに、前記凹部により、前記画素電極の前記外周縁部は、断面形状が鋭角に形成されており、
前記配向膜は、断面形状が鋭角に形成された前記外周縁部を設定厚さで覆うよう形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の液晶装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の液晶装置を具備したことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−309832(P2008−309832A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154792(P2007−154792)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]