説明

液晶装置及び電子機器

【課題】光利用効率を向上させ、その正面輝度を高くすることができる液晶装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】液晶装置10は、対向する一対の基板14,16の間に配置された液晶層18と、一対の基板14,16に平行に配置された偏光板46,48と、偏光板48を挟んで液晶層18の反対側に配置されたカラーフィルタ40と、を含む。偏光板48は、一対の基板14,16のうちの一方の基板16の液晶層側の面とは反対側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング素子を形成した素子基板と、それに対向するカラーフィルタを形成した対向基板とをシール材によって貼り合わせた構造の液晶装置において、カラーフィルタを形成した基板上であってサブ画素の4辺に対応する領域に遮光部材を形成してブラックマスクとして機能させるようにした液晶パネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−295178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の構造を有する液晶パネルでは、カラーフィルタの層として高分子バインダ中に顔料を分散させた材料を使用するため、顔料部分で入射光の偏光が乱れてしまい楕円偏光成分が生ずるために入射光の漏れ光が生じてしまい、その結果、液晶パネルのコントラストを劣化させることから、コントラストの低下を防ぐことが出来なかった。又、従来の液晶表示装置においては、カラーフィルタと偏光板とはガラス基板を間に挟む形態で設置されており、ここでガラス基板の厚みは通常は1mm程度あり、カラーフィルタと偏光板との距離を近づけることが不可能であるので、液晶表示装置の画面を斜めから見た際の表示の鮮明さが失われる視野角依存性が高いという欠点が避けられず、表示画質向上の大きな問題となっている。このようにカラーフィルタ層において偏光解消が発生すると、偏光解消がほとんどない場合、或いは全くない場合と比較して、暗状態の画素における透過光が増加し、装置の性能が劣化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]対向する一対の基板の間に配置された液晶層と、前記一対の基板に平行に配置された偏光板と、前記偏光板を挟んで前記液晶層の反対側に配置されたカラーフィルタと、を含むことを特徴とする液晶装置。
【0007】
これによれば、カラーフィルタを偏光板の外にもってくることにより、カラーフィルタによる偏光解消がなくなり、光利用効率を向上させ、その正面輝度を高くすることができる液晶装置を提供する。
【0008】
[適用例2]上記液晶装置であって、前記偏光板は、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側の面とは反対側に配置されていることを特徴とする液晶装置。
【0009】
これによれば、偏光板が基板の外面に配置されるので、偏光板の作成が容易になる。
【0010】
[適用例3]上記液晶装置であって、前記カラーフィルタは、各画素の領域に対応し、前記偏光板の外側の基板に形成されていることを特徴とする液晶装置。
【0011】
これによれば、カラーフィルタを作成した後に、偏光板に密着する構造とすることができ、カラーフィルタの作成が容易になる。
【0012】
[適用例4]上記液晶装置であって、前記一方の基板は薄く研磨されていることを特徴とする液晶装置。
【0013】
これによれば、カラーフィルタが液晶層の近傍に配置され、画素の領域に対応することが容易になる。
【0014】
[適用例5]上記液晶装置であって、前記カラーフィルタの外側に配置された面発光体と、前記面発光体と前記カラーフィルタとの間に、前記面発光体から照射される光を前記画素の領域に収束させる収束レンズと、を更に含むことを特徴とする液晶装置。
【0015】
これによれば、液晶装置に入射する光は、収束レンズによって画素の領域に収束され、光の利用効率が非常に高くなる。又、正面輝度も向上する。更には、正面輝度が向上するので、同じ正面輝度の液晶装置を構成する場合でも、消費電力を小さくすることができる。
【0016】
[適用例6]上記液晶装置であって、前記偏光板は、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側の面に配置され、前記カラーフィルタは、前記一方の基板と前記偏光板との間に配置されていることを特徴とする液晶装置。
【0017】
これによれば、偏光板及びカラーフィルタが基板の内面に配置されるので、液晶装置を薄くすることができる。
【0018】
[適用例7]上記液晶装置であって、前記偏光板は、複数の微細ワイヤーを含む、偏光分離機能を有するグリッドであることを特徴とする液晶装置。
【0019】
これによれば、入射光は、グリッドにおいて、微細ワイヤーと平行な偏光軸を有する成分が反射され、微細ワイヤーと垂直な偏光軸を有する成分が透過する。以上から、入射光を偏光状態の異なる反射光及び透過光に分離することができる。
【0020】
[適用例8]上記に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【0021】
これによれば、上記液晶装置を搭載しているので、正面輝度を向上させることができ、視認性が良好になる電子機器が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照にして実施形態を説明する。尚、本実施形態では、液晶装置は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)等のスイッチング素子が形成された素子基板及び該素子基板に対向配置される対向基板を用いた液晶装置を例に挙げて説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
(液晶装置)
図1は、本実施形態に係る液晶装置10の概略構成を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)中のI−I線における断面図である。液晶装置10は、枠状のシール材12を介して対向して貼り合わされた一対の基板としての素子基板14及び対向基板16(一方の基板)を有している。素子基板14、対向基板16、及びシール材12によって囲まれた空間には、液晶18が封入されている。素子基板14は、対向基板16より大きく、一部が対向基板16に対して張り出した状態で貼り合わされている。この張り出した部位には、液晶18を駆動するためのドライバIC20が実装されている。液晶装置10は、液晶18が封入された表示領域22において表示を行う。液晶装置10は透過型液晶装置である。
【0024】
図2は、本実施形態に係る液晶装置10の表示領域22の拡大平面図である。この図に示すように、液晶装置10は、赤、緑、青に対応した矩形の画素24R,24G,24B(以下では、色を区別しない場合には単に画素24とも呼ぶ)を多数有している。画素24は、マトリクス状に配置されており、ある列に配置される画素24の色はすべて同一である。換言すれば、画素24は、対応する色がストライプ状に並ぶように配置されている。又、行方向に並んだ隣り合う3つの画素24R,24G,24Bの集合が、表示の最小単位(ピクセル)となる。液晶装置10は、各ピクセルにおいて、画素24R,24G,24Bの輝度バランスを調節することによって、種々の色の表示を行うことができる。
【0025】
隣接する各画素24の間には、遮光層(ブラックマスク)26が配置されている。遮光層26は、画素24の間から漏れる光を遮って表示のコントラストを向上させる役割を果たす。
【0026】
続いて、図3を用いて、画素24の詳細な構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る画素24の詳細な構成を示す模式断面図であり、液晶装置10を、ある画素24において列方向に沿って切断したときの様子を示している。
【0027】
素子基板14は、ガラス基板28を基体として構成されており、又対向基板16は、ガラス基板30を基体として構成されている。ガラス基板28の、ガラス基板30に対向する面には、TFT(Thin Film Transistor)素子32が形成されている。より詳しくは、ガラス基板28上には、ゲート電極32g、ゲート絶縁膜34、半導体層32aがこの順に積層されており、又、半導体層32aのソース領域にはソース電極32sが、又ドレイン領域にはドレイン電極32dが一部重なった状態で形成されている。ソース電極32sは、図示しないデータ線に接続されている。半導体層32a、ソース電極32s、ドレイン電極32d、及びゲート電極32g等により、TFT素子32が構成される。
【0028】
TFT素子32の上には、SiO2又はSiN等からなる層間絶縁膜36が形成されている。層間絶縁膜36は、必要に応じて更に多層とすることもできる。
【0029】
層間絶縁膜36上には、光透過性を有するITOからなる画素電極38が形成されている。画素電極38は、層間絶縁膜36を貫通して設けられたコンタクトホールを介してTFT素子32のドレイン電極32dに電気的に接続されている。画素電極38上には、図示しない配向膜が形成されている。ガラス基板28から配向膜までの構成要素によって、素子基板14が構成される。
【0030】
一方、対向基板16の基体であるガラス基板30は薄く研磨されている。ガラス基板30のうち素子基板14に対向する面上には、光透過性を有する樹脂からなるオーバーコート42が形成されている。
【0031】
オーバーコート42の上には、ITOからなる共通電極44が形成されている。共通電極44の上には、図示しない配向膜が形成されている。ガラス基板30から配向膜までの構成要素によって、対向基板16が構成される。
【0032】
素子基板14と対向基板16との間には、TNモードの液晶18が配置されている。液晶18は、画素電極38と共通電極44との間に印加される駆動電圧の大きさに応じて配向方向を変え、透過光の偏光状態を上記配向方向に応じて変化させる。又、素子基板14、対向基板16の外側には、それぞれ素子基板14及び対向基板16に平行に配置された偏光板46,48が貼り付けられている。
図4は、本実施形態に係る偏光板46,48の光学軸の方向を示す図である。図4中、偏光板46,48に付された矢印は透過軸を示す。このように、偏光板46,48は透過軸が互いに直交するように配置されている。
【0033】
図3に戻り、偏光板48の外側には、カラーフィルタ40が形成されている。カラーフィルタ40は、各画素24の領域に対応している。カラーフィルタ40は、入射した光のうち特定の波長の光を吸収することにより、透過光を所定の色(例えば赤、緑、又は青)とすることができる。又、隣接する画素24の間の領域には、遮光性を有する黒色の樹脂からなる遮光層26が形成されている。
【0034】
そして、偏光板46に対向する位置には、面発光体としての面光源装置50が配置されている。面光源装置50はエッジライト型である。導光板52は、屈折率の高い光透過性材料(例えば、アクリル樹脂)によって板状に形成されている。導光板52の下面には、光を拡散反射させるための拡散反射層54が設けられている。拡散反射層54は面光源装置50の輝度ムラや指向性を緩和するためのものであって、導光板52の下面に拡散性塗料をドット印刷したものや、切削加工によって表面粗度を高くしたもの等があり、蛍光管(冷陰極管)56からの距離に応じてパターンが変化している。導光板52の一方側面(入射側端面)には蛍光管56が配置されており、蛍光管56の外周部から導光板52の下面にかけては反射シート58が配設されている。又、導光板52の上面(光射出面)には拡散板60が設けられている。
【0035】
蛍光管56から出た光は入射側端面から導光板52内に入射する。光は導光板52内に閉じ込められて導光板52の上面(光射出面)及び下面(拡散反射層54)で反射を繰り返し、光射出面に対する入射角が全反射の臨界角よりも小さくなると光射出面から射出され、拡散板60を透過することによって均等拡散光(ランバート光)として放射される。尚、反射シート58は蛍光管56の光を効率的に導光板52に導くため、及び導光板52の下面から光が射出されるのを阻害して光射出面から100%光を取り出せるようにするためにある。このようなエッジライト型の面光源装置50は薄型化に適している。液晶装置10は、偏光板46,48の偏光選択機能と、液晶18の偏光変換機能とを用いて表示を行う装置である。
【0036】
ここで、図3及び図4を参照しながら、液晶装置10の表示原理について説明する。面光源装置50から入射した入射光62が、素子基板14を透過して、液晶18に入射する。ここで、液晶18がOFF状態である場合には、偏光板46を透過した直線偏光は、液晶18の旋光性によってこれに直交する直線偏光に変換され、偏光板48を透過して観察者に視認される。すなわち、液晶18がOFF状態である場合には、明表示が行われる。他方で、液晶18がON状態である場合には、偏光板46を透過した直線偏光は、液晶18によっては偏光変換を受けずに透過し、偏光板48によって吸収される。すなわち、液晶18がON状態である場合には、観察者側に光が透過せず、暗表示が行われる。
【0037】
このように、偏光板46,48間の外にカラーフィルタ40が配置されていることによって、カラーフィルタ40による偏光解消がなくなり、面光源装置50の利用効率を向上させることができる。これにより、面光源装置50の光量を節約することができ、ひいては消費電力を低減させることができる。
【0038】
(液晶装置の製造方法)
続いて、図5を参照しながら、上記液晶装置10の製造方法について説明する。
図5は、本実施形態に係る液晶装置10の製造方法を示すフローチャートである。図5において、工程P11及び工程P12は、素子基板14を製造するための工程であり、工程P21及び工程P22は、対向基板16を製造するための工程である。工程P31〜工程P34は、素子基板14と対向基板16とを組み合わせて液晶装置10を製造するための工程である。工程P11及び工程P12と、工程P21及び工程P22とは、それぞれ独立に行われる。
【0039】
先ず、工程P11では、ガラス基板28に、TFT素子32や各種配線、層間絶縁膜36等を含む回路素子層を形成する。
【0040】
次に、工程P12では、層間絶縁膜36上に画素電極38を形成する。尚、工程P12に続いて、配向膜の塗付やラビング処理が行われ、工程P11及び工程P12を経て、素子基板14が完成する。
【0041】
一方、工程P21では、ガラス基板30上にオーバーコート42を形成する。この工程は、スピンコート法やフォトリソグラフィー法等を用いて行われる。
【0042】
次に、工程P22では、オーバーコート42に積層して共通電極44を形成する。尚、工程P22に続いて、配向膜の塗付やラビング処理が行われ、工程P21及び工程P22を経て、対向基板16が完成する。
【0043】
工程P31では、素子基板14と対向基板16とを貼り合わせる。貼り合わせは、素子基板14又は対向基板16にシール材12を塗布し、アライメント(位置合わせ)をした後、素子基板14と対向基板16とを接触、圧着して行われる。
【0044】
工程P32では、シール材12の開口部(注入口)から素子基板14と対向基板16との間に液晶18を注入し、注入口を封止する。
【0045】
工程P33では、素子基板14及び対向基板16の外側に、それぞれ偏光板46,48を貼り付ける。
【0046】
工程P34では、偏光板48上にカラーフィルタ40及び遮光層26を形成する。この工程は、スピンコート法やフォトリソグラフィー法等を用いて行われる。その後、適宜面光源装置50を取付けて液晶装置10が完成する。
【0047】
上記は、貼り合わせ後に液晶18を注入する方式の製造方法であるが、これに代えて、貼り合わせ前に素子基板14又は対向基板16に液晶18を滴下し、その後両基板を貼り合わせる方式で製造することもできる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図面を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係る画素24の詳細な構成を示す模式断面図であり、液晶装置64を、ある画素24において列方向に沿って切断したときの様子を示している。尚、本実施形態の液晶装置64は、第1の実施形態に係る液晶装置10と同様、TFTアクティブマトリクス方式の透過型液晶装置であり、その特徴とするところは、カラーフィルタ40と偏光板46,48との位置関係にある。従って本実施形態の液晶装置64の基本構成は第1の実施形態の液晶装置10と同様であるから、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略若しくは簡略する。
【0049】
本実施形態の液晶装置64は、図6に示すように、偏光板46の外側には、カラーフィルタ40が形成されている。カラーフィルタ40は、各画素24の領域に対応している。カラーフィルタ40は、入射した光のうち特定の波長の光を吸収することにより、透過光を所定の色(例えば赤、緑、又は青)とすることができる。素子基板14の基体であるガラス基板28は薄く研磨されている。
【0050】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図面を参照して説明する。
図7は、本実施形態に係る画素24の詳細な構成を示す模式断面図であり、液晶装置66を、ある画素24において列方向に沿って切断したときの様子を示している。尚、本実施形態の液晶装置66は、第1の実施形態に係る液晶装置10と同様、TFTアクティブマトリクス方式の透過型液晶装置であり、その特徴とするところは、カラーフィルタ40と偏光板46とワイヤーグリッド偏光素子68との位置関係にある。従って本実施形態の液晶装置66の基本構成は第1の実施形態の液晶装置10と同様であるから、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略若しくは簡略する。
【0051】
本実施形態の液晶装置66は、図7に示すように、対向基板16の基体であるガラス基板30のうち素子基板14に対向する面上には、カラーフィルタ40が形成されている。カラーフィルタ40は、入射した光のうち特定の波長の光を吸収することにより、透過光を所定の色(例えば赤、緑、又は青)とすることができる。又、隣接する画素24の間の領域には、遮光性を有する黒色の樹脂からなる遮光層26が形成されている。カラーフィルタ40上には、光透過性を有する樹脂からなるオーバーコート42が形成されている。
【0052】
オーバーコート42の上には、複数の微細ワイヤーを含んだ偏光分離機能を備えるワイヤーグリッド偏光素子68が形成されている。ワイヤーグリッド偏光素子68上には、光透過性を有する樹脂からなる絶縁層69が形成されている。
【0053】
絶縁層69の上には、ITOからなる共通電極44が形成されている。共通電極44の上には、図示しない配向膜が形成されている。ガラス基板30から配向膜までの構成要素によって、対向基板16が構成される。
【0054】
ワイヤーグリッド偏光素子68は、偏光分離機能を備える光学素子である。これは、光の波長より短いピッチで並べられた多数の導体の微細ワイヤーを持つ素子であり、入射光のうち微細ワイヤーに平行な偏光軸を有する成分を反射すると共に、微細ワイヤーに垂直な偏光軸を有する成分を透過する性質を持っている。
【0055】
図8は、本実施形態に係るワイヤーグリッド偏光素子68の機能を示す図である。図8に示すように、ワイヤーグリッド偏光素子68への入射光70は、微細ワイヤーと平行な偏光軸を有する成分pがワイヤーグリッド偏光素子68によって反射され、微細ワイヤーと垂直な偏光軸を有する成分sがワイヤーグリッド偏光素子68を透過する。すなわち、ワイヤーグリッド偏光素子68は偏光分離機能を備えており、入射光70を、偏光状態の異なる反射光70r及び透過光70tに分離することができる。入射光70は、ワイヤーグリッド偏光素子68において、微細ワイヤーと平行な偏光軸を有する成分が反射され、微細ワイヤーと垂直な偏光軸を有する成分が透過する。以上から、上記ワイヤーグリッド偏光素子68によれば、入射光70を偏光状態の異なる反射光70r及び透過光70tに分離することができる。偏光板46及びワイヤーグリッド偏光素子68は透過軸が互いに直交するように配置されている。
【0056】
ここで、図7を参照しながら、液晶装置66の表示原理について説明する。面光源装置50から入射した入射光62が、素子基板14を透過して、液晶18に入射する。ここで、液晶18がOFF状態である場合には、偏光板46を透過した直線偏光は、液晶18の旋光性によってこれに直交する直線偏光に変換され、ワイヤーグリッド偏光素子68を透過して観察者に視認される。すなわち、液晶18がOFF状態である場合には、明表示が行われる。他方で、液晶18がON状態である場合には、偏光板46を透過した直線偏光は、液晶18によっては偏光変換を受けずに透過し、ワイヤーグリッド偏光素子68によって反射される。すなわち、液晶18がON状態である場合には、観察者側に光が透過せず、暗表示が行われる。
【0057】
以上のような構成の液晶装置66は、偏光分離機能を備えるワイヤーグリッド偏光素子68を対向する基板の内面に備えるため、薄型化を実現することができると共に、基板の厚さに起因する視差等のない、高品位な表示を行うことができる。
【0058】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について図面を参照して説明する。
図9は、本実施形態に係る画素24の詳細な構成を示す模式断面図であり、液晶装置78を、ある画素24において列方向に沿って切断したときの様子を示している。図10は、本実施形態に係る液晶装置78のレンズアレイシート(収束レンズ)80を備えた面光源装置を示す図であり、(A)は一部破断した分解斜視図、(B)はレンズアレイシート80の作用説明図である。尚、本実施形態の液晶装置78は、第1の実施形態に係る液晶装置10と同様、TFTアクティブマトリクス方式の透過型液晶装置であり、その特徴とするところは、入射光62の収束にある。従って本実施形態の液晶装置78の基本構成は第1の実施形態の液晶装置10と同様であるから、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略若しくは簡略する。
【0059】
本実施形態の液晶装置78は、図9に示すように、拡散板60の前にレンズアレイシート80を配置した面光源装置81が設けられている。この面光源装置81では、図10(A)に示すように、レンズアレイシート80で収束させた光を液晶装置78の画素開口82へ収束させるようにしている。液晶装置78は、一方のガラス基板28の内面には、TFT等の電極やTFTをドライブするための配線(ブラックマトリックス部分)84が設けられており、他方のガラス基板30の内面には光透過性電極が設けられており、両ガラス基板28,30間に形成された隙間には液晶材料が封止されている。又、両ガラス基板28,30の外面には偏光板46,48が配設されている。従って、液晶装置78には、電極や配線84によって囲まれた画素開口82が形成されている。レンズアレイシート80には、液晶装置78の各画素開口82に対応させて各々マイクロレンズ86が配列されており、図10(B)に示すように、マイクロレンズ86に入射した光を液晶装置78の画素開口82内に収束させることにより、光Rが液晶装置78の電極や配線84で遮られないようにしている。又、レンズアレイシート80は、マイクロレンズ86に入射した光を液晶装置78の画素開口82内に収束させるために、マイクロレンズ86と画素開口82との間隔は、ガラス基板28やマイクロレンズ86よりも屈折率の小さい光透過性材料88で保持されている。
【0060】
尚、レンズアレイシート80は、いわゆる2P法(Photo-Polymerization法)によって作製することができる。すなわち、レンズアレイシート80の反転パターンを形成されたスタンパによって、基板の表面に紫外線硬化樹脂のようなエネルギー線硬化樹脂を転写し、基板を通して紫外線のようなエネルギー線を照射して当該樹脂を硬化させ、エネルギー線硬化樹脂によってレンズアレイシート80を成形する。
【0061】
この実施形態では、レンズアレイシート80は、パターン面側を素子基板14に向けて素子基板14側に配置されている。導光板52から射出されて拡散板60を通過した光(均等拡散光)は、レンズアレイシート80に入射し、各マイクロレンズ86によって液晶装置78の画素開口82内に効果的に収束され、液晶装置78の電極や配線84に遮られることなく液晶装置78の画素開口82を透過する(図10(B)参照)。
【0062】
これによれば、液晶装置78に入射する光は、レンズアレイシート80によって液晶装置78の画素開口82内に収束され、光の利用効率が非常に高くなる。又、液晶装置78の正面輝度も向上する。更には、正面輝度が向上するので、同じ正面輝度の液晶装置78を構成する場合でも、面光源装置81の消費電力を小さくすることができる。
【0063】
(電子機器)
図11は、本実施形態に係る電子機器の一例を示す斜視図である。図11に示す携帯電話(電子機器)100は、上記実施形態の液晶装置を小サイズの表示部102として備え、複数の操作ボタン104、受話口106、及び送話口108を備えて構成されている。上記実施形態の液晶装置は、低電圧、且つ短時間でOCBモードの初期転移動作を円滑に行うことができるので、表示品質に優れた液晶表示部を備えた携帯電話100を提供することができる。
【0064】
上記各実施形態の液晶装置は、上記した電子機器に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型或いはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、及びタッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、更に携帯電話用LCDや車載用LCDの動画対応を目的とした高速応答LCD、フィールドシーケンシャル(FS)表示方式を用いた3D液晶ディスプレイや2画面液晶ディスプレイ、及びプロジェクションテレビ向けライトバルブ等、いずれの電子機器においても明るく、高コントラストの優れた表示品質を得ることが可能になっている。
【0065】
(変形例1)
上記実施形態の液晶装置は、透過型の液晶装置であるが、これに限定する趣旨ではなく、例えば反射型又は半透過反射型の液晶装置としてもよい。
【0066】
(変形例2)
上記実施形態において、液晶装置の画素24は、赤、緑、青の画素24R,24G,24Bがストライプ状に配列されているが、これに代えて、図12に示すようなデルタ配列であってもよい。この配列においては、画素24R,24G,24Bは、三角状に隣接する3つの画素24をどのように選んでも、必ずその中に画素24R,24G,24Bが一つずつ含まれるように配置されている。こうした構成の液晶装置によっても、カラーフィルタによる偏光解消がなくなり、面光源装置の消費電力を大きくすることなく、光利用効率を向上させ、その正面輝度を高くする高品位な表示を行うことができる。
【0067】
(変形例3)
上記実施形態の液晶装置は、液晶18がOFF状態の場合に明表示を行うノーマリーホワイトモードのものであるが、偏光板46,48及びワイヤーグリッド偏光素子68の光学軸を適宜変更することにより、液晶18がOFF状態の場合に暗表示を行うノーマリーブラックモードの装置とすることもできる。
【0068】
(変形例4)
上記実施形態の液晶装置に含まれる液晶18のモードは、TNモードに限られず、IPS(In Plain Switching)、FFS(Fringe Field Switching)、VA(Vertical Alignment:垂直配向)、及びSTN(Super Twisted Nematic)等、種々のモードを採用することができる。カラーフィルタによる偏光解消がなくなり、面光源装置の消費電力を大きくすることなく、光利用効率を向上させ、その正面輝度を高くすることを利用するに際しては、これらのモードのうち、広視野角の得られるIPS、FFS、及びVAが好適である。液晶18を広視野角の得られるモードとすれば、正面から傾いた視角において視認される画像を高輝度且つ高品位に表示することができる。
【0069】
(変形例5)
上記実施形態の液晶装置に含まれる偏光板46又は偏光板48の外側に設けられるカラーフィルタ40は、偏光板46又は偏光板48の外側に配置される基板に形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1の実施形態に係る液晶装置の概略構成を示す図。
【図2】第1の実施形態に係る液晶装置の表示領域の拡大平面図。
【図3】第1の実施形態に係る画素の詳細な構成を示す模式断面図。
【図4】第1の実施形態に係る偏光板の光学軸の方向を示す図。
【図5】第1の実施形態に係る液晶装置の製造方法を示すフローチャート。
【図6】第2の実施形態に係る画素の詳細な構成を示す模式断面図。
【図7】第3の実施形態に係る画素の詳細な構成を示す模式断面図。
【図8】第3の実施形態に係るワイヤーグリッド偏光素子の機能を示す図。
【図9】第4の実施形態に係る画素の詳細な構成を示す模式断面図。
【図10】第4の実施形態に係る液晶装置のレンズアレイシートを備えた面光源装置を示す図。
【図11】本実施形態に係る電子機器の一例を示す斜視図。
【図12】変形例における液晶装置の画素の配置を示す図。
【符号の説明】
【0071】
10…液晶装置 12…シール材 14…素子基板 16…対向基板(一方の基板) 18…液晶(液晶層) 20…ドライバIC 22…表示領域 24…画素 26…遮光層(ブラックマスク) 28,30…ガラス基板 32…TFT素子 32a…半導体層 32d…ドレイン電極 32g…ゲート電極 32s…ソース電極 34…ゲート絶縁膜 36…層間絶縁膜 38…画素電極 40…カラーフィルタ 42…オーバーコート 44…共通電極 46,48…偏光板 50…面光源装置 52…導光板 54…拡散反射層 56…蛍光管(冷陰極管) 58…反射シート 60…拡散板 62…入射光 64,66…液晶装置 68…ワイヤーグリッド偏光素子 69…絶縁層 70…入射光 70r…反射光 70t…透過光 78…液晶装置 80…レンズアレイシート(収束レンズ) 81…面光源装置 82…画素開口 84…配線 86…マイクロレンズ 88…光透過性材料 100…携帯電話(電子機器) 102…表示部 104…操作ボタン 106…受話口 108…送話口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の基板の間に配置された液晶層と、
前記一対の基板に平行に配置された偏光板と、
前記偏光板を挟んで前記液晶層の反対側に配置されたカラーフィルタと、
を含むことを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶装置において、
前記偏光板は、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側の面とは反対側に配置されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液晶装置において、
前記カラーフィルタは、各画素の領域に対応し、前記偏光板の外側の基板に形成されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の液晶装置において、
前記一方の基板は薄く研磨されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の液晶装置において、
前記カラーフィルタの外側に配置された面発光体と、
前記面発光体と前記カラーフィルタとの間に、前記面発光体から照射される光を前記画素の領域に収束させる収束レンズと、
を更に含むことを特徴とする液晶装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液晶装置において、
前記偏光板は、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側の面に配置され、
前記カラーフィルタは、前記一方の基板と前記偏光板との間に配置されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶装置において、
前記偏光板は、複数の微細ワイヤーを含む、偏光分離機能を有するグリッドであることを特徴とする液晶装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−175569(P2009−175569A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15868(P2008−15868)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】