液晶装置及び電子機器
【課題】視野角特性を種々に切り換えることが可能な液晶装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】液晶装置1は、表示用液晶パネル6と、第1制御用液晶パネル7と、第2制御用液晶パネル8とを備える。表示用液晶パネル6は、一対のガラス基板11,21と、ガラス基板11の対向面に形成された画素電極及び共通電極と、ガラス基板11,21の間に配置され、ガラス基板11に平行に配向した液晶分子を含む表示用液晶層50と、を有する。第1制御用液晶パネル7は、垂直配向の第1制御用液晶層79を有する。第2制御用液晶パネル8は、水平配向の第2制御用液晶層89を有する。第1制御用液晶層79と第2制御用液晶層89とは、互いに独立して駆動される。
【解決手段】液晶装置1は、表示用液晶パネル6と、第1制御用液晶パネル7と、第2制御用液晶パネル8とを備える。表示用液晶パネル6は、一対のガラス基板11,21と、ガラス基板11の対向面に形成された画素電極及び共通電極と、ガラス基板11,21の間に配置され、ガラス基板11に平行に配向した液晶分子を含む表示用液晶層50と、を有する。第1制御用液晶パネル7は、垂直配向の第1制御用液晶層79を有する。第2制御用液晶パネル8は、水平配向の第2制御用液晶層89を有する。第1制御用液晶層79と第2制御用液晶層89とは、互いに独立して駆動される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る一態様は、液晶装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置の1つに、基板に平行な電界(横電界)によって液晶分子を駆動させるIPS(In Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モードの液晶装置が知られている。IPSモード又はFFSモードの液晶装置に、正のCプレート及び正のAプレートを順に重ねることで、液晶装置の表示を広視野角化することができる。
【0003】
さらに、上記液晶装置において、広視野角状態と狭視野角状態とを切り換えることが可能な構成が知られている。例えば特許文献1には、IPSモードの液晶装置に、正のCプレート及び水平配向の液晶層を順に重ねた構成の液晶装置が開示されている。この構成においては、水平配向の液晶層に電圧を印加しない状態では広視野角が得られ、水平配向の液晶層に電圧を印加すると表示を狭視野角化することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−309020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成において、水平配向の液晶層に電圧を印加した狭視野角状態は、液晶装置に正のCプレートを2枚重ねた状態に相当し、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する状態しかとり得ない。すなわち、上記構成では、全方位で高コントラストが得られる広視野角状態と、2つの方位においてのみ高コントラストが得られる狭視野角状態との間でしか視野角特性を切り換えることができないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]対向して配置された第1の基板及び第2の基板と、前記第1の基板の、前記第2の基板に対向する面に形成された画素電極及び共通電極と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間に配置され、前記第1の基板に平行に配向した液晶分子を含む表示用液晶層と、を有する表示用液晶パネルと、前記表示用液晶パネルに平行に配置され、垂直配向の第1制御用液晶層を有する第1制御用液晶パネルと、前記表示用液晶パネルに平行に配置され、水平配向の第2制御用液晶層を有する第2制御用液晶パネルと、を備え、前記第1制御用液晶層と前記第2制御用液晶層とは、互いに独立して駆動される液晶装置。
【0008】
このような構成によれば、表示用液晶パネルは、第1の基板に平行な成分を有する電界(横電界)により表示用液晶層を駆動して表示を行うことができる。ここで、第1及び第2制御用液晶層に電圧が印加されていない場合には、第1及び第2制御用液晶層が2軸性の位相差板と同等の作用を透過光に及ぼすため、表示用液晶パネルによる表示を広視野角化することができる。また、第1及び第2制御用液晶層の少なくとも一方に電圧を印加して駆動することにより、広視野角となる光学条件を崩して狭視野角化することができる。ここで、第1及び第2制御用液晶層を独立に駆動することにより、種々のコントラスト分布を有する狭視野角状態を実現することができる。例えば、第1制御用液晶層のみを駆動することにより、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態が得られ、また第2制御用液晶層のみを駆動することにより、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態が得られる。なお、本明細書において水平配向の液晶層とは、電圧無印加時において基板に平行に配向する液晶分子を含むような液晶層を言い、垂直配向の液晶層とは、電圧無印加時において基板に垂直に配向する液晶分子を含むような液晶層を言う。
【0009】
[適用例2]上記液晶装置であって、前記第1制御用液晶パネルは、前記表示用液晶パネルと前記第2制御用液晶パネルとの間に配置され、前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向は、前記表示用液晶層の電圧無印加時の配向方向に沿った方向である液晶装置。
【0010】
このような構成によれば、第1及び第2制御用液晶層に電圧が印加されていない場合に、表示用液晶パネルによる表示を広視野角化することができる。広視野角化のためには、第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向は、表示用液晶層の電圧無印加時の配向方向に平行とすることが好ましい。
【0011】
[適用例3]上記液晶装置であって、前記第2制御用液晶パネルは、前記表示用液晶パネルと前記第1制御用液晶パネルとの間に配置され、前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向は、前記表示用液晶層の電圧無印加時の配向方向と交差する方向である液晶装置。
【0012】
このような構成によれば、第1及び第2制御用液晶層に電圧が印加されていない場合に、表示用液晶パネルによる表示を広視野角化することができる。広視野角化のためには、第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向は、表示用液晶層の電圧無印加時の配向方向と直交することが好ましい。
【0013】
[適用例4]上記液晶装置であって、前記第1制御用液晶層は、電圧印加時にランダムな方向に配向する液晶装置。
【0014】
このような構成によれば、第1制御用液晶層に電圧を印加し、第2制御用液晶層を電圧無印加とすることで、第1及び第2制御用液晶層がともに電圧無印加状態である場合に比べて視野角を一回り狭めた状態(状態A)とすることができる。また、第1及び第2制御用液晶層に電圧を印加することにより、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0015】
[適用例5]上記液晶装置であって、前記第1制御用液晶層は、電圧印加時に、前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向に沿った方向に配向する液晶装置。
【0016】
このような構成によれば、第1制御用液晶層に電圧を印加することで、上記状態Aに比べて視野角を一回り狭めた状態であって、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態(状態B)とすることができる。
【0017】
[適用例6]上記液晶装置であって、前記第1制御用液晶層は、電圧印加時に、前記表示用液晶パネルの面に沿った方向であって前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向に交差する方向に配向する液晶装置。
【0018】
このような構成によれば、第1制御用液晶層に電圧を印加することで、上記状態Bに比べて視野角を一回り狭めた状態であって、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0019】
[適用例7]上記液晶装置であって、前記第1制御用液晶パネルは、一対の基板と、前記一対の基板の間に配置された垂直配向の前記第1制御用液晶層と、前記一対の基板のそれぞれの前記第1制御用液晶層側の面に形成された電極と、を有し、前記第2制御用液晶パネルは、一対の基板と、前記一対の基板の間に配置された平行配向の前記第2制御用液晶層と、前記一対の基板のそれぞれの前記第2制御用液晶層側の面に形成された電極と、を有する液晶装置。
【0020】
このような構成によれば、第1制御用液晶層を挟む電極間に電圧を印加することで、第1制御用液晶層を、一対の基板の面に沿った方向(又は平行な方向)に配向させることができる。また、第2制御用液晶層を挟む電極間に電圧を印加することで、第2制御用液晶層を、一対の基板の面に交差する方向(又は直交する方向)に配向させることができる。このように第1及び第2制御用液晶層を駆動させることにより、表示用液晶パネルによる表示の視野角を変更することができる。
【0021】
[適用例8]上記液晶装置を表示部に備える電子機器。
【0022】
このような構成によれば、表示部における表示の視野角特性を種々の状態に変更可能な電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照し、液晶装置及び電子機器の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0024】
(第1の実施形態)
<A.液晶装置の構成>
図1は、第1の実施形態に係る液晶装置1の断面図である。液晶装置1は、表示用液晶パネル6と、表示用液晶パネル6に平行に重ねられた第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8を備えている。第1制御用液晶パネル7及び第2制御用液晶パネル8は、液晶装置1の視野角特性を制御するための液晶パネルである。第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8は、いずれも平面視で表示用液晶パネル6と重なるように配置されている。したがって、表示用液晶パネル6を透過する光は、第1制御用液晶パネル7及び第2制御用液晶パネル8も透過する。第1制御用液晶パネル7は、表示用液晶パネル6と第2制御用液晶パネル8との間に配置されている。表示用液晶パネル6、第2制御用液晶パネル8の外側には、それぞれ偏光板53,55が貼り付けられている。偏光板53を挟んで表示用液晶パネル6の反対側には、光源91を備えたバックライト9が配置されている。バックライト9から偏光板53に入射した光は、表示用液晶パネル6、第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8、偏光板55を順次透過し、偏光板55から射出された光が表示光として観察者に視認される。ここで、液晶装置1による表示は、バックライト9から入射した光を、表示用液晶パネル6の偏光変換機能と、偏光板53,55の偏光選択機能とによって変調して偏光板55側から取り出すことで行われる。
【0025】
表示用液晶パネル6は、シール材58を介して対向して貼り合わされたガラス基板11,21と、ガラス基板11,21、シール材58によって囲まれた領域に封入された表示用液晶層50とを有している。ガラス基板11,21は、それぞれ第1の基板、第2の基板に対応する。第1制御用液晶パネル7は、シール材78を介して対向して貼り合わされたガラス基板71,72と、ガラス基板71,72、シール材78によって囲まれた領域に封入された第1制御用液晶層79とを有している。第2制御用液晶パネル8は、シール材88を介して対向して貼り合わされたガラス基板81,82と、ガラス基板81,82、シール材88によって囲まれた領域に封入された第2制御用液晶層89とを有している。以下、表示用液晶パネル6、第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8の構成について詳述する。
【0026】
図2は、表示用液晶パネル6の斜視図である。表示用液晶パネル6は、枠状のシール材58を介して対向して貼り合わされた素子基板10及び対向基板20を有している。素子基板10にはガラス基板11が含まれており、対向基板20にはガラス基板21が含まれている。素子基板10、対向基板20、シール材58によって囲まれた空間には、表示用液晶層50が封入されている。素子基板10は、対向基板20より大きく、一部が対向基板20に対して張り出した状態で貼り合わされている。この張り出した部位には、表示用液晶層50を駆動するためのドライバIC57が実装されている。
【0027】
表示用液晶層50が封入された領域には、表示に寄与するサブ画素4R,4G,4B(図3)がマトリクス状に多数配置されている。以下では、サブ画素4R,4G,4Bの集合からなる領域を画素領域5とも呼ぶ。
【0028】
図3は、画素領域5の拡大平面図である。画素領域5には、矩形のサブ画素4R,4G,4Bが多数配置されている。サブ画素4R,4G,4Bは、それぞれ赤、緑、青のいずれかの色の表示に寄与する。以下では、サブ画素4R,4G,4Bについて、色を区別しない場合には、単にサブ画素4とも呼ぶ。サブ画素4R,4G,4Bには、それぞれ赤、緑、青に対応するカラーフィルタ23(図6)が配置されている。カラーフィルタ23は、入射した光の特定の波長成分を吸収することによって透過光を所定の色とすることができる。隣接するサブ画素4の間には、カラーフィルタ23と同一層に形成された遮光層22が配置されている。
【0029】
サブ画素4は、マトリクス状に配置されており、ある列に配置されるサブ画素4の色はすべて同一である。換言すれば、サブ画素4は、対応する色がストライプ状に並ぶように配置されている。また、行方向に並んだ隣り合う3つのサブ画素4R,4G,4Bの集合によって画素3が構成される。画素3は、表示の最小単位(ピクセル)となる。各画素3において、サブ画素4R,4G,4Bの輝度バランスを調節することによって、種々の色の表示を行うことができる。
【0030】
図4は、画素領域5を構成する複数のサブ画素4における各種素子、配線等の等価回路図である。画素領域5においては、複数の走査線12と複数のデータ線13とが交差するように配線され、走査線12とデータ線13との交差に対応して、TFT(Thin Film Transistor)素子30、画素電極16を含むサブ画素4が形成されている。画素電極16は、TFT素子30のドレイン領域に電気的に接続されている。また、サブ画素4には、共通電極18が配置されている。各共通電極18は、共通線18aを介して等電位に保たれている。
【0031】
TFT素子30は、走査線12から供給される走査信号G1,G2,…,Gmに含まれるON信号によってオンとなり、このときデータ線13に供給された画像信号S1,S2,…,Snを画素電極16に供給する。そして、画素電極16と、共通電極18との間の電位差に応じた電界が表示用液晶層50にかかると、表示用液晶層50の配向状態が変化する。これにより、表示用液晶パネル6の偏光変換機能を所望の状態とすることができる。
【0032】
次に、サブ画素4の構成要素を、図5及び図6を用いて詳述する。図5は、素子基板10のうち、1つのサブ画素4に対応する部分を抽出して示す平面図である。また、図6は、図5中のA−A線の位置における断面図である。以下の説明において「上層」又は「下層」とは、図6において相対的に上又は下に形成された層を指す。
【0033】
図5に示すように、各サブ画素4には、走査線12とデータ線13とが交差するように配置されており、この交差に対応してTFT素子30が形成されている。本明細書では、走査線12の延在方向をX方向、データ線13の延在方向をY方向とする。各サブ画素4には、櫛歯状をなす部分を有する画素電極16、共通電極18が形成されている。このうち画素電極16は、TFT素子30のドレイン電極33に電気的に接続されている。また、共通電極18は、共通線18aと一体で形成されており、隣接するサブ画素4の共通電極18との間で共通線18aを介して電気的に接続されている。画素電極16、共通電極18は、櫛歯状をなす部分が互い違いに入り込んだ状態で対向して配置されている。
【0034】
続いて、図6を用いてサブ画素4の断面構造について説明する。ガラス基板11の、ガラス基板21に対向する面には、走査線12が形成されている。走査線12と同層には、ドレイン電極33との間で容量を形成する容量線を形成してもよい。ガラス基板11と走査線12との間には、酸化シリコン(SiO2)等からなる絶縁層が設けられていてもよい。走査線12の上層には、酸化シリコン(SiO2)等からなるゲート絶縁層42を挟んで半導体層31が形成されている。半導体層31は、例えばアモルファスシリコンから構成することができる。また、半導体層31に一部が重なる状態で、ソース電極13aとドレイン電極33が形成されている。ソース電極13aは、データ線13(図5)と一体で形成されている。半導体層31、ソース電極13a、ドレイン電極33、走査線12等からTFT素子30が構成される。走査線12は、TFT素子30のゲート電極としての役割を兼ねる。走査線12(ゲート電極)、ソース電極13a(データ線13)、ドレイン電極33は、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)等の金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、あるいは導電性ポリシリコン等から構成することができる。
【0035】
TFT素子30の上層には、酸化シリコン(SiO2)等からなる層間絶縁層43を挟んで、透光性を有するITO(Indium Tin Oxide)からなる画素電極16、共通電極18が形成されている。図6の断面においては、共通電極18と画素電極16とは、電極の櫛歯状の部分が交互に配置されている。このうち画素電極16は、層間絶縁層43に設けられたコンタクトホール34を介してTFT素子30のドレイン電極33に電気的に接続されている。このように、画素電極16及び共通電極18は、ガラス基板11の、ガラス基板21に対向する面に形成されている。
【0036】
画素電極16、共通電極18上には、ポリイミドからなる配向膜48が形成されている。配向膜48は、表示用液晶層50に接する部材であり、配向膜48をラビングすることで、表示用液晶層50の液晶分子50aを当該ラビングの方向に沿って配向させることができる。本実施形態では、配向膜48は、+95度の方向に沿ってラビングがなされている。なお、本明細書におけるラビング方向又は液晶分子の配向方向は、X−Y平面をZ軸の正方向から見て、X軸の正方向を0度とし、Z軸を中心とした左回り(反時計回り)を正方向とする方位角で表す。素子基板10は、ガラス基板11から配向膜48までの要素により構成される。
【0037】
一方、ガラス基板21のうち、ガラス基板11に対向する面上には、カラーフィルタ23、配向膜28がこの順に積層されている。カラーフィルタ23が形成されている層には、より詳しくは、赤、緑、青に対応する3種のカラーフィルタ23と、これら各色のカラーフィルタ23の間に配置された遮光層22(図3)とが形成されている。配向膜28はポリイミドからなり、素子基板10側の配向膜48と同様の性質を有している。本実施形態では、配向膜28は、−95度の方向に沿ってラビングがなされている。したがって、配向膜28,48のラビング方向は、互いに平行かつ逆方向である。対向基板20は、ガラス基板21から配向膜28までの要素により構成される。
【0038】
素子基板10と対向基板20との間の領域、すなわち配向膜28と配向膜48とによって挟まれた領域には、液晶分子50aを有する表示用液晶層50が配置されている。表示用液晶層50のΔnd(液晶分子50aの複屈折率Δnと、表示用液晶層50の厚さdとの積)は、例えば300nmから400nmの間に設定することができる。本実施形態では360nmとした。
【0039】
表示用液晶層50の液晶分子50aは、電圧無印加時(オフ状態に相当する弱い電圧が印加された状態を含む。以下同じ)においては、配向膜28,48のラビング方向、すなわち95度の方向に沿って配向する。配向膜28,48のラビング方向は、上記したように平行かつ逆方向であるため、表示用液晶層50はいわゆるアンチパラレル配向となっている。したがって、表示用液晶層50の液晶分子50aの少なくとも一部は、駆動電圧の大きさ(電界の大きさ)に関わらず、ガラス基板11に対して平行に配向する。
【0040】
表示用液晶パネル6を挟むように配置された偏光板53,55(図1)は、吸収軸と直交する偏光軸を有する直線偏光を透過させる光学素子である。偏光板53,55としては、例えばヨウ素を吸着させたポリビニルアルコールを延伸させて製造される吸収型偏光板を用いることができる。当該吸収型偏光板においては、延伸方向に沿った方向が吸収軸となる。本実施形態では、偏光板53の吸収軸は95度、偏光板55の吸収軸は5度である。
【0041】
上記構成において、共通電極18は所定の共通電位に保たれている一方で、画素電極16にはデータ線13、TFT素子30を介して画像信号が書き込まれる。これにより、共通電極18と画素電極16との間には、画像信号の大きさに応じた駆動電圧が印加される。駆動電圧が印加され、電位差が生じると、画素電極16の表面から出て共通電極18の表面に至る電気力線を有するような電界が生じる。このとき、共通電極18及び画素電極16の上部、すなわち表示用液晶層50が配置された層においては、ガラス基板11と平行な電界(横電界)が生じる。換言すれば、当該電界は、ガラス基板11に平行な成分を有している。そして、この横電界の平面視での方向は、共通電極18及び画素電極16の櫛歯状電極の延在方向に直交する方向である。表示用液晶層50に含まれる液晶分子50aは、この横電界の大きさに応じて、ガラス基板11に平行な面内で配向方向を変える。ここで、電圧無印加時における液晶分子50aの配向方向と、電圧印加時において生じる横電界の方向(共通電極18及び画素電極16の櫛歯状電極の延在方向に直交する方向)とのなす角は約85度となっている。このようにすれば、横電界が印加された際の、液晶分子50aの回転方向を一様にすることができる。これにより、上記回転方向の不均一に起因するドメインの発生を抑制することができる。
【0042】
電圧無印加時においては、表示用液晶層50の液晶分子50aは、配向膜28,48のラビング方向(95度)に沿って配向する。このとき、偏光板53を透過した直線偏光は、その偏光軸が液晶分子50aの配向方向と直交するため、表示用液晶層50によっては位相差を与えられずに直線偏光のまま表示用液晶層50を透過し、偏光板55によって吸収される。したがって、電圧無印加時では、偏光板55からは表示光が取り出されず、黒表示が行われる。
【0043】
一方、電圧印加時には、表示用液晶層50の液晶分子50aは、横電界によって駆動され、配向方向が95度から変化する。このとき、偏光板53を透過した直線偏光は、その偏光軸が液晶分子50aの配向方向とは直交しないため、表示用液晶層50によって位相差を与えられ、偏光状態が変化する。この偏光状態の変化量は、表示用液晶層50のリタデーション(Δnd)及び液晶分子50aの回転角度に依存する。表示用液晶層50を透過して偏光状態の変化を受けた光は、偏光板55の吸収軸に直交する成分を有して偏光板55に入射するため、一部又は全部が偏光板55を透過し、観察者に視認される。こうして、電圧印加時には、例えば白表示が行われる。
【0044】
なお、黒表示時と白表示時の中間の大きさの電圧が印加されている場合は、液晶分子50aの配向方向が、その電圧の大きさに応じた角度だけ変化する。よって、表示用液晶層50において透過光が受ける偏光状態の変化の量が変わる。したがって、印加される電圧の大きさに応じて偏光板55を透過する光量が変化し、中間調表示が行われる。
【0045】
このような液晶モードは、IPSモードと呼ばれる。IPSモードは、常に液晶分子50aがガラス基板11に略平行に保たれるため、視角によるリタデーションの変化が少なく、広視野角な表示を行うことができる。
【0046】
次に、第1制御用液晶パネル7及び第2制御用液晶パネル8について説明する。図7は、第1制御用液晶パネル7を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のB−B線における断面図である。第1制御用液晶パネル7は、枠状のシール材78を介して対向して貼り合わされた一対のガラス基板71,72を有している。ガラス基板71,72、シール材78によって囲まれた空間には、垂直配向の第1制御用液晶層79が封入されている。ガラス基板71,72の第1制御用液晶層79側の面には、それぞれITOからなる透光性の電極73,74が略全面に形成されている。また、電極73,74の第1制御用液晶層79側には、それぞれポリイミドからなる配向膜77が略全面に形成されている。ガラス基板71は、ガラス基板72より大きく、一部がガラス基板72に対して張り出した状態で貼り合わされている。この張り出した部位には、電極73,74から引き回された端子73a,74aが形成されている。端子73a,74aに外部から信号を供給することで、電極73,74間に駆動電圧を印加することができる。当該駆動電圧の印加により、第1制御用液晶層79に電界を生じさせることができる。第1制御用液晶層79は、この電界によって駆動され、配向方向が変化する。
【0047】
第1制御用液晶層79は、垂直配向の液晶層であり、電圧無印加時においてガラス基板71に交差する方向(より好ましくは垂直な方向)に配向する液晶分子79aを有している。電極73,74間に駆動電圧が印加されると、液晶分子79aは、例えばガラス基板71の面に沿った方向(より好ましくは平行な方向)に配向する。このときの平面視での配向方向は、配向膜77のラビング方向に沿った方向となる。あるいは、ガラス基板71又は72の第1制御用液晶層79側に突起状の配向制御手段を設けることにより、平面視での配向方向を、上記配向制御手段を中心とする放射状に並ぶ方向とすることもできる。この場合は、巨視的には各液晶分子79aがランダムな方向に配向していることとなるため、以下ではランダム配向とも呼ぶ。第1制御用液晶層79のΔndは、例えば50nmから200nmの間に設定することができる。本実施形態では100nmとした。
【0048】
図8は、第2制御用液晶パネル8を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のC−C線における断面図である。第2制御用液晶パネル8は、枠状のシール材88を介して対向して貼り合わされた一対のガラス基板81,82を有している。ガラス基板81,82、シール材88によって囲まれた空間には、水平配向の第2制御用液晶層89が封入されている。ガラス基板81,82の第2制御用液晶層89側の面には、それぞれITOからなる透光性の電極83,84が略全面に形成されている。また、電極83,84の第2制御用液晶層89側には、それぞれポリイミドからなる配向膜87が略全面に形成されている。ガラス基板81は、ガラス基板82より大きく、一部がガラス基板82に対して張り出した状態で貼り合わされている。この張り出した部位には、電極83,84から引き回された端子83a,84aが形成されている。端子83a,84aに外部から信号を供給することで、電極83,84間に駆動電圧を印加することができる。当該駆動電圧の印加により、第2制御用液晶層89に電界を生じさせることができる。第2制御用液晶層89は、この電界によって駆動され、配向方向が変化する。
【0049】
第2制御用液晶層89は、水平配向の液晶層であり、電圧無印加時においてガラス基板81の面に沿った方向(より好ましくは平行な方向)に配向する液晶分子89aを有している。液晶分子89aの電圧無印加時における平面視での配向方向は、配向膜87のラビング方向に沿った方向となる。電極83,84間に駆動電圧が印加されると、液晶分子89aは、ガラス基板81に交差する方向(より好ましくは垂直な方向)に配向する。第2制御用液晶層89のΔndは、例えば100nmから200nmの間に設定することができる。本実施形態では130nmとした。
【0050】
第1制御用液晶パネル7の第1制御用液晶層79と、第2制御用液晶パネル8の第2制御用液晶層89は、端子73a,74a及び端子83a,84aに異なる信号を供給することにより、互いに独立に駆動させることができる。
【0051】
<B.視野角制御方法>
続いて、液晶装置1において視野角の広さを制御する方法について説明する。図9は、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89の配向状態と、液晶装置1の視野角特性との関係を示す図である。図9上部のグラフは、液晶装置1の視野角特性(コントラスト分布)を示すものである。各グラフの中心点は、表示用液晶パネル6の法線方向に対応し、中心点を同心とする円は、直径の小さいものから順に、法線方向からの傾き(極角)が20度、40度、60度、80度となる方向に対応する。グラフ中の等高線は、コントラストが100又は500となる方向の分布を示す。各グラフの下には、表示用液晶パネル6の表示用液晶層50、第1制御用液晶パネル7の第1制御用液晶層79、第2制御用液晶パネル8の第2制御用液晶層89の配向状態を示す図が描かれている。ここで、液晶分子に斜線が付されていない液晶層は電圧無印加状態の液晶層を示し、液晶分子に斜線が付されている液晶層は、電圧の印加により駆動されて配向状態が変化している液晶層を示す。配向状態を示す図の下の表は、各液晶層の配向方向を示している。「95」又は「5」の数値は平面視での配向方向(度)を示し、「垂直」は垂直配向であることを示し、「ランダム」はランダム配向であることを示す。図9(a)〜(g)における表示用液晶層50は、いずれも電圧無印加の状態を示しており、その配向方向は95度である。
【0052】
図9(a)は、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89がいずれも駆動されていない状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79は垂直配向であり、第2制御用液晶層89は、表示用液晶層50の電圧無印加時の配向方向と平行な、95度の水平配向状態となっている。このような構成によれば、第1制御用液晶層79及び第2制御用液晶層89が2軸性(例えばnz>nx>ny)の位相差板と同等の作用を透過光に及ぼすため、液晶装置1による表示を最も広視野角化することができる。
【0053】
図9(b)は、第1制御用液晶層79が、電圧印加時にランダムな方向に配向する構成において、第1制御用液晶層79が駆動され、第2制御用液晶層89が駆動されていない状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79はランダム配向であり、第2制御用液晶層89は95度の水平配向である。第1制御用液晶層79が、電圧印加時にランダムな方向に配向する構成とするためには、例えば上述のように突起状の配向制御手段を設ければよい。このような構成においては、広視野角となる光学条件が崩れ、第1制御用液晶層79及び第2制御用液晶層89がともに電圧無印加状態である場合に比べて視野角を一回り狭めた状態(状態Aと呼ぶ)とすることができる。
【0054】
図9(c)は、第1制御用液晶層79が、電圧印加時に、第2制御用液晶層89の電圧無印加時の配向方向に沿った方向に配向する構成において、第1制御用液晶層79が駆動され、第2制御用液晶層89が駆動されていない状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89は互いに平行な95度の水平配向となる。第1制御用液晶層79が、電圧印加時に上記のように配向する構成とするためには、配向膜77、配向膜87のラビング方向を平行とすればよい。このような構成においては、広視野角となる光学条件が崩れ、状態Aに比べて視野角をさらに狭めた状態であって、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態(状態Bと呼ぶ)とすることができる。すなわち、表示用液晶パネル6の法線方向から、X軸又はY軸方向に沿って(方位角0度、90度、180度、270度の方向に沿って)視角を傾けた場合には高コントラストの表示が視認されるが、その他の方位に沿って視角を傾けた場合にはコントラストが著しく低下して表示が視認されない。
【0055】
図9(d)は、第1制御用液晶層79が、電圧印加時に、表示用液晶パネル6に平行な方向であって第2制御用液晶層89の電圧無印加時の配向方向に交差する方向に配向する構成において、第1制御用液晶層79が駆動され、第2制御用液晶層89が駆動されていない状態を示す。本実施形態では、このとき、第1制御用液晶層79は5度、第2制御用液晶層89は95度の水平配向となっている。すなわち、第1制御用液晶層79と第2制御用液晶層89とは、互いに直交する水平配向となる。第1制御用液晶層79が、電圧印加時に上記のように配向する構成とするためには、配向膜77、配向膜87のラビング方向を直交する方向とすればよい。このような構成においては、広視野角となる光学条件がさらに崩れ、状態Bに比べて視野角を一回り狭めた状態であって、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0056】
なお、第1制御用液晶層79を駆動した際に図9(b),(c),(d)のいずれの状態となるかは、上述のように、第2制御用液晶パネル8の配向膜87におけるラビング方向や、突起状の配向制御手段の有無に依存する。したがって、第2制御用液晶パネル8の構成を変えることで、図9(b),(c),(d)のいずれか所望の視野角状態を実現することができる。
【0057】
図9(e)は、第1制御用液晶層79が駆動されておらず、第2制御用液晶層89が駆動されている状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89はいずれも垂直配向となる。このような構成においては、広視野角となる光学条件が崩れ、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。すなわち、表示用液晶パネル6の法線方向から、Y軸方向に沿って(方位角90度、270度の方向に沿って)視角を傾けた場合には高コントラストの表示が視認されるが、その他の方位に沿って視角を傾けた場合にはコントラストが著しく低下して表示が視認されない。
【0058】
図9(f)は、図9(e)の状態から、第1制御用液晶層79を駆動して95度の水平配向とした状態を示す。このような構成によれば、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0059】
図9(g)は、図9(e)の状態から、第1制御用液晶層79を駆動してランダム配向とした状態を示す。このような構成によれば、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0060】
以上のように、独立に駆動可能な第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89を備えた液晶装置1によれば、視野角特性を種々の状態に変化させることができる。すなわち、全方位にわたって広視野角な状態、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態が選択でき、また各状態のコントラスト分布を調整することができる。よって、液晶装置1の使用者は、液晶装置1の用途に応じて、適宜所望の視野角特性を選択することができる。例えば、通常は広視野角状態で使用し、左右(X軸)方向からは表示を覗かれたくないような場合には方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とし、ゲーム等において、左右(X軸)及び前後(Y軸)の方向に位置する人とのみ表示内容を共有したいような場合には方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とする、といった態様で使用することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態に係る液晶装置1の断面図である。この図においては、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0062】
本実施形態の液晶装置1は、第1の実施形態から、表示用液晶パネル6と第2制御用液晶パネル8の位置を入れ替え、また偏光板53と偏光板55の位置を入れ替えたものである。したがって、バックライト9からの光は偏光板55に入射し、その後第2制御用液晶パネル8、第1制御用液晶パネル7、表示用液晶パネル6、偏光板53を順次透過して観察者に表示光として視認される。このような構成によっても、光学的には第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。すなわち、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89を、図9の第1の実施形態に係る表にしたがって駆動することで、第1の実施形態と同様の状態に視野角特性を制御することができる。
【0063】
(第3の実施形態)
<A.液晶装置の構成>
続いて、第3の実施形態について説明する。本実施形態の液晶装置1は、第1の実施形態の構成において、第1制御用液晶パネル7と第2制御用液晶パネル8の位置を入れ替え、かつ第2制御用液晶層89の配向方向を変更したものであり、その他の構成は第1の実施形態と同様である。以下の記載及び図においては、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0064】
図11は、第3の実施形態に係る液晶装置1の断面図である。この液晶装置1は、表示用液晶パネル6と、表示用液晶パネル6に平行に重ねられた第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8を備えている。ここで、第2制御用液晶パネル8は、表示用液晶パネル6と第1制御用液晶パネル7との間に配置されている。表示用液晶パネル6、第1制御用液晶パネル7の外側には、それぞれ偏光板53,55が貼り付けられている。偏光板53を挟んで表示用液晶パネル6の反対側には、光源91を備えたバックライト9が配置されている。バックライト9から偏光板53に入射した光は、表示用液晶パネル6、第2制御用液晶パネル8、第1制御用液晶パネル7、偏光板55を順次透過し、偏光板55から射出された光が表示光として観察者に視認される。
【0065】
ここで、第2制御用液晶層89の電圧無印加時の配向方向は、表示用液晶層50の電圧無印加時の配向方向と交差する方向となっている。本実施形態では、第2制御用液晶層89の配向方向と表示用液晶層50の配向方向とは互いに直交している。すなわち、表示用液晶層50の電圧無印加時の配向方向は95度の方向であり、第2制御用液晶層89の電圧無印加時の配向方向は5度の方向である。
【0066】
<B.視野角制御方法>
続いて、第3の実施形態の液晶装置1において視野角の広さを制御する方法について、図9を用いて説明する。図9の下段には、第3の実施形態における表示用液晶層50、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89の配向状態を示す図、及び各液晶層の配向方向を示す表が記載されている。以下、図9上段のグラフと、図9下段の第3の実施形態に係る図及び表に基づいて説明する。本実施形態においても、図9中の表示用液晶層50は、いずれも電圧無印加の状態を示しており、その配向方向は95度である。
【0067】
図9(a)は、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89がいずれも駆動されていない状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79は垂直配向であり、第2制御用液晶層89は、表示用液晶層50の電圧無印加時の配向方向と直交する、5度の水平配向状態となっている。このような構成によれば、第1制御用液晶層79及び第2制御用液晶層89が2軸性(例えばnz>nx>ny)の位相差板と同等の作用を透過光に及ぼすため、液晶装置1による表示を最も広視野角化することができる。
【0068】
図9(b)は、第1制御用液晶層79が、電圧印加時にランダムな方向に配向する構成において、第1制御用液晶層79が駆動され、第2制御用液晶層89が駆動されていない状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79はランダム配向であり、第2制御用液晶層89は5度の水平配向である。このような構成においては、広視野角となる光学条件が崩れ、第1制御用液晶層79及び第2制御用液晶層89がともに電圧無印加状態である場合に比べて視野角を一回り狭めた状態(状態Aと呼ぶ)とすることができる。
【0069】
図9(c)は、第1制御用液晶層79が、電圧印加時に、第2制御用液晶層89の電圧無印加時の配向方向に沿った方向に配向する構成において、第1制御用液晶層79が駆動され、第2制御用液晶層89が駆動されていない状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89は互いに平行な5度の水平配向となる。このような構成においては、広視野角となる光学条件が崩れ、状態Aに比べて視野角をさらに狭めた状態であって、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態(状態Bと呼ぶ)とすることができる。
【0070】
図9(d)は、第1制御用液晶層79が、電圧印加時に、表示用液晶パネル6に平行な方向であって第2制御用液晶層89の電圧無印加時の配向方向に交差する方向に配向する構成において、第1制御用液晶層79が駆動され、第2制御用液晶層89が駆動されていない状態を示す。本実施形態では、このとき、第1制御用液晶層79は95度、第2制御用液晶層89は5度の水平配向となっている。すなわち、第1制御用液晶層79と第2制御用液晶層89とは、互いに直交する水平配向となる。このような構成においては、広視野角となる光学条件がさらに崩れ、状態Bに比べて視野角を一回り狭めた状態であって、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0071】
図9(e)は、第1制御用液晶層79が駆動されておらず、第2制御用液晶層89が駆動されている状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89はいずれも垂直配向となる。このような構成においては、広視野角となる光学条件が崩れ、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0072】
図9(f)は、図9(e)の状態から、第1制御用液晶層79を駆動して5度の水平配向とした状態を示す。このような構成によれば、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0073】
図9(g)は、図9(e)の状態から、第1制御用液晶層79を駆動してランダム配向とした状態を示す。このような構成によれば、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0074】
以上のように、第3の実施形態に係る液晶装置1によっても、第1の実施形態と同様に、視野角特性を種々の状態に変化させることができる。すなわち、全方位にわたって広視野角な状態、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態が選択でき、また各状態のコントラスト分布を調整することができる。
【0075】
(第4の実施形態)
続いて、第4の実施形態について説明する。図12は、第4の実施形態に係る液晶装置1の断面図である。この図においては、第3の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0076】
本実施形態の液晶装置1は、第3の実施形態から、表示用液晶パネル6と第1制御用液晶パネル7の位置を入れ替え、また偏光板53と偏光板55の位置を入れ替えたものである。したがって、バックライト9からの光は偏光板55に入射し、その後第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8、表示用液晶パネル6、偏光板53を順次透過して観察者に表示光として視認される。このような構成によっても、光学的には第3の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。すなわち、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89を、図9の第3の実施形態に係る表にしたがって駆動することで、第3の実施形態と同様の状態に視野角特性を制御することができる。
【0077】
(電子機器)
以上に説明した液晶装置1は、例えば、携帯電話機等の電子機器に搭載して用いることができる。図15は、電子機器としての携帯電話機100の斜視図である。携帯電話機100は、表示部110及び操作ボタン120を有している。表示部110は、内部に組み込まれた液晶装置1によって、操作ボタン120で入力した内容や着信情報を始めとする様々な情報について表示を行うことができる。このとき、第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8を駆動させることによって、表示部110における表示の視野角特性を種々に切り換えることができる。
【0078】
なお、液晶装置1は、上記携帯電話機100の他、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器等の各種電子機器に用いることができる。
【0079】
上記実施形態に対しては、様々な変形を加えることが可能である。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0080】
(変形例)
上記各実施形態の液晶装置1は、IPSモードの表示用液晶パネル6を採用しているが、これに限定する趣旨ではなく、液晶分子50aが横電界によって駆動されるモードであればどのようなモードであってもよい。本変形例は、このようなモードのうちFFSモードを適用した表示用液晶パネル6を備えた液晶装置1に係るものである。
【0081】
図13は、FFSモードを適用した表示用液晶パネル6の素子基板10のうち、1つのサブ画素4に対応する部分を抽出して示す平面図である。また、図14は、図13中のD−D線の位置における断面図である。以下では、図5及び図6と共通する構成要素については説明を省略する。
【0082】
図13に示すように、TFT素子30には、略長方形の画素電極16が電気的に接続されている。画素電極16には、多数の平行なスリット(開口部)16aが等間隔で設けられている。スリット16aは、細長い長方形又は平行四辺形をなしており、その長辺は、X軸方向に対して所定の角度に傾いている。本実施形態では、当該角度は5度となっている。画素電極16の下層側には、共通電極18が形成されている。共通電極18は、+Z方向から見て、画素電極16の略全面に重なる位置に形成されている。
【0083】
図14に示すように、TFT素子30の上層には、酸化シリコン(SiO2)等からなる層間絶縁層43を挟んで、ITOからなる共通電極18が積層されている。
【0084】
共通電極18の上層には、酸化シリコン(SiO2)等からなる層間絶縁層44を挟んでITOからなる画素電極16が形成されている。画素電極16は、サブ画素4ごとに独立して設けられている。画素電極16は、層間絶縁層43,44を貫通して設けられたコンタクトホール34を介してドレイン電極33に電気的に接続されている。画素電極16には、上記したように多数のスリット16aが設けられている。ここで、画素電極16、共通電極18及びこれに挟まれた層間絶縁層44は、蓄積容量としても機能する。画素電極16上には、ポリイミドからなる配向膜48が積層されている。
【0085】
本変形例では、配向膜28,48は0度の方向に沿ってラビングされている。したがって、表示用液晶層50は0度の方向に沿ったアンチパラレル配向となっている。これにともなって、本変形例では、偏光板53,55の吸収軸、第1制御用液晶層79及び第2制御用液晶層89の配向方向については、上記各実施形態で95度となっていたものは0度に変更し、5度となっていたものは90度に変更する。
【0086】
共通電極18は所定の共通電位に保たれている一方で、画素電極16にはデータ線13、TFT素子30を介して画像信号が書き込まれるため、共通電極18と画素電極16との間には、画像信号の大きさに応じた駆動電圧が印加される。駆動電圧が印加され、電位差が生じると、画素電極16の表面から出て共通電極18の表面に至る電気力線を有するような電界が生じる。このとき、画素電極16の上部、すなわち表示用液晶層50が配置された層においては、ガラス基板11と平行な電界(横電界)が生じる。そして、この横電界の方向は、画素電極16のスリット16aの長手方向に直交する方向である。表示用液晶層50に含まれる液晶分子50aは、この横電界の大きさに応じて、ガラス基板11に平行な面内で配向方向を変える。
【0087】
本変形例の液晶装置1は、以上に示したFFSモードの表示用液晶パネル6と、第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8とを備えている。このような構成によっても、上記各実施形態と同様に、視野角特性を、広視野角状態と、種々の狭視野角状態との間で切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】第1の実施形態に係る液晶装置の断面図。
【図2】表示用液晶パネルの斜視図。
【図3】画素領域の拡大平面図。
【図4】画素領域を構成する複数のサブ画素における各種素子、配線等の等価回路図。
【図5】素子基板のうち、1つのサブ画素に対応する部分を抽出して示す平面図。
【図6】図5中のA−A線の位置における断面図。
【図7】第1制御用液晶パネルを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のB−B線における断面図。
【図8】第2制御用液晶パネルを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のC−C線における断面図。
【図9】第1制御用液晶層、第2制御用液晶層の配向状態と、液晶装置の視野角特性との関係を示す図。
【図10】第2の実施形態に係る液晶装置の断面図。
【図11】第3の実施形態に係る液晶装置の断面図。
【図12】第4の実施形態に係る液晶装置の断面図。
【図13】FFSモードを適用した液晶装置の素子基板のうち、1つのサブ画素に対応する部分を抽出して示す平面図。
【図14】図13中のD−D線の位置における断面図。
【図15】電子機器としての携帯電話機の斜視図。
【符号の説明】
【0089】
1…液晶装置、3…画素、4…サブ画素、5…画素領域、6…表示用液晶パネル、7…第1制御用液晶パネル、8…第2制御用液晶パネル、9…バックライト、10…素子基板、11…第1の基板としてのガラス基板、12…走査線、13…データ線、13a…ソース電極、16…画素電極、16a…スリット、18…共通電極、18a…共通線、20…対向基板、21…第2の基板としてのガラス基板、22…遮光層、23…カラーフィルタ、28,48,77,87…配向膜、30…TFT素子、31…半導体層、33…ドレイン電極、34…コンタクトホール、42…ゲート絶縁層、43,44…層間絶縁層、50…表示用液晶層、50a,79a,89a…液晶分子、53,55…偏光板、57…ドライバIC、58,78,88…シール材、71,72,81,82…ガラス基板、73,74,83,84…電極、73a,74a,83a,84a…端子、79…第1制御用液晶層、89…第2制御用液晶層、91…光源、100…電子機器としての携帯電話機、110…表示部、120…操作ボタン。
【技術分野】
【0001】
本発明に係る一態様は、液晶装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置の1つに、基板に平行な電界(横電界)によって液晶分子を駆動させるIPS(In Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モードの液晶装置が知られている。IPSモード又はFFSモードの液晶装置に、正のCプレート及び正のAプレートを順に重ねることで、液晶装置の表示を広視野角化することができる。
【0003】
さらに、上記液晶装置において、広視野角状態と狭視野角状態とを切り換えることが可能な構成が知られている。例えば特許文献1には、IPSモードの液晶装置に、正のCプレート及び水平配向の液晶層を順に重ねた構成の液晶装置が開示されている。この構成においては、水平配向の液晶層に電圧を印加しない状態では広視野角が得られ、水平配向の液晶層に電圧を印加すると表示を狭視野角化することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−309020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成において、水平配向の液晶層に電圧を印加した狭視野角状態は、液晶装置に正のCプレートを2枚重ねた状態に相当し、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する状態しかとり得ない。すなわち、上記構成では、全方位で高コントラストが得られる広視野角状態と、2つの方位においてのみ高コントラストが得られる狭視野角状態との間でしか視野角特性を切り換えることができないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]対向して配置された第1の基板及び第2の基板と、前記第1の基板の、前記第2の基板に対向する面に形成された画素電極及び共通電極と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間に配置され、前記第1の基板に平行に配向した液晶分子を含む表示用液晶層と、を有する表示用液晶パネルと、前記表示用液晶パネルに平行に配置され、垂直配向の第1制御用液晶層を有する第1制御用液晶パネルと、前記表示用液晶パネルに平行に配置され、水平配向の第2制御用液晶層を有する第2制御用液晶パネルと、を備え、前記第1制御用液晶層と前記第2制御用液晶層とは、互いに独立して駆動される液晶装置。
【0008】
このような構成によれば、表示用液晶パネルは、第1の基板に平行な成分を有する電界(横電界)により表示用液晶層を駆動して表示を行うことができる。ここで、第1及び第2制御用液晶層に電圧が印加されていない場合には、第1及び第2制御用液晶層が2軸性の位相差板と同等の作用を透過光に及ぼすため、表示用液晶パネルによる表示を広視野角化することができる。また、第1及び第2制御用液晶層の少なくとも一方に電圧を印加して駆動することにより、広視野角となる光学条件を崩して狭視野角化することができる。ここで、第1及び第2制御用液晶層を独立に駆動することにより、種々のコントラスト分布を有する狭視野角状態を実現することができる。例えば、第1制御用液晶層のみを駆動することにより、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態が得られ、また第2制御用液晶層のみを駆動することにより、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態が得られる。なお、本明細書において水平配向の液晶層とは、電圧無印加時において基板に平行に配向する液晶分子を含むような液晶層を言い、垂直配向の液晶層とは、電圧無印加時において基板に垂直に配向する液晶分子を含むような液晶層を言う。
【0009】
[適用例2]上記液晶装置であって、前記第1制御用液晶パネルは、前記表示用液晶パネルと前記第2制御用液晶パネルとの間に配置され、前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向は、前記表示用液晶層の電圧無印加時の配向方向に沿った方向である液晶装置。
【0010】
このような構成によれば、第1及び第2制御用液晶層に電圧が印加されていない場合に、表示用液晶パネルによる表示を広視野角化することができる。広視野角化のためには、第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向は、表示用液晶層の電圧無印加時の配向方向に平行とすることが好ましい。
【0011】
[適用例3]上記液晶装置であって、前記第2制御用液晶パネルは、前記表示用液晶パネルと前記第1制御用液晶パネルとの間に配置され、前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向は、前記表示用液晶層の電圧無印加時の配向方向と交差する方向である液晶装置。
【0012】
このような構成によれば、第1及び第2制御用液晶層に電圧が印加されていない場合に、表示用液晶パネルによる表示を広視野角化することができる。広視野角化のためには、第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向は、表示用液晶層の電圧無印加時の配向方向と直交することが好ましい。
【0013】
[適用例4]上記液晶装置であって、前記第1制御用液晶層は、電圧印加時にランダムな方向に配向する液晶装置。
【0014】
このような構成によれば、第1制御用液晶層に電圧を印加し、第2制御用液晶層を電圧無印加とすることで、第1及び第2制御用液晶層がともに電圧無印加状態である場合に比べて視野角を一回り狭めた状態(状態A)とすることができる。また、第1及び第2制御用液晶層に電圧を印加することにより、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0015】
[適用例5]上記液晶装置であって、前記第1制御用液晶層は、電圧印加時に、前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向に沿った方向に配向する液晶装置。
【0016】
このような構成によれば、第1制御用液晶層に電圧を印加することで、上記状態Aに比べて視野角を一回り狭めた状態であって、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態(状態B)とすることができる。
【0017】
[適用例6]上記液晶装置であって、前記第1制御用液晶層は、電圧印加時に、前記表示用液晶パネルの面に沿った方向であって前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向に交差する方向に配向する液晶装置。
【0018】
このような構成によれば、第1制御用液晶層に電圧を印加することで、上記状態Bに比べて視野角を一回り狭めた状態であって、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0019】
[適用例7]上記液晶装置であって、前記第1制御用液晶パネルは、一対の基板と、前記一対の基板の間に配置された垂直配向の前記第1制御用液晶層と、前記一対の基板のそれぞれの前記第1制御用液晶層側の面に形成された電極と、を有し、前記第2制御用液晶パネルは、一対の基板と、前記一対の基板の間に配置された平行配向の前記第2制御用液晶層と、前記一対の基板のそれぞれの前記第2制御用液晶層側の面に形成された電極と、を有する液晶装置。
【0020】
このような構成によれば、第1制御用液晶層を挟む電極間に電圧を印加することで、第1制御用液晶層を、一対の基板の面に沿った方向(又は平行な方向)に配向させることができる。また、第2制御用液晶層を挟む電極間に電圧を印加することで、第2制御用液晶層を、一対の基板の面に交差する方向(又は直交する方向)に配向させることができる。このように第1及び第2制御用液晶層を駆動させることにより、表示用液晶パネルによる表示の視野角を変更することができる。
【0021】
[適用例8]上記液晶装置を表示部に備える電子機器。
【0022】
このような構成によれば、表示部における表示の視野角特性を種々の状態に変更可能な電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照し、液晶装置及び電子機器の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0024】
(第1の実施形態)
<A.液晶装置の構成>
図1は、第1の実施形態に係る液晶装置1の断面図である。液晶装置1は、表示用液晶パネル6と、表示用液晶パネル6に平行に重ねられた第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8を備えている。第1制御用液晶パネル7及び第2制御用液晶パネル8は、液晶装置1の視野角特性を制御するための液晶パネルである。第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8は、いずれも平面視で表示用液晶パネル6と重なるように配置されている。したがって、表示用液晶パネル6を透過する光は、第1制御用液晶パネル7及び第2制御用液晶パネル8も透過する。第1制御用液晶パネル7は、表示用液晶パネル6と第2制御用液晶パネル8との間に配置されている。表示用液晶パネル6、第2制御用液晶パネル8の外側には、それぞれ偏光板53,55が貼り付けられている。偏光板53を挟んで表示用液晶パネル6の反対側には、光源91を備えたバックライト9が配置されている。バックライト9から偏光板53に入射した光は、表示用液晶パネル6、第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8、偏光板55を順次透過し、偏光板55から射出された光が表示光として観察者に視認される。ここで、液晶装置1による表示は、バックライト9から入射した光を、表示用液晶パネル6の偏光変換機能と、偏光板53,55の偏光選択機能とによって変調して偏光板55側から取り出すことで行われる。
【0025】
表示用液晶パネル6は、シール材58を介して対向して貼り合わされたガラス基板11,21と、ガラス基板11,21、シール材58によって囲まれた領域に封入された表示用液晶層50とを有している。ガラス基板11,21は、それぞれ第1の基板、第2の基板に対応する。第1制御用液晶パネル7は、シール材78を介して対向して貼り合わされたガラス基板71,72と、ガラス基板71,72、シール材78によって囲まれた領域に封入された第1制御用液晶層79とを有している。第2制御用液晶パネル8は、シール材88を介して対向して貼り合わされたガラス基板81,82と、ガラス基板81,82、シール材88によって囲まれた領域に封入された第2制御用液晶層89とを有している。以下、表示用液晶パネル6、第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8の構成について詳述する。
【0026】
図2は、表示用液晶パネル6の斜視図である。表示用液晶パネル6は、枠状のシール材58を介して対向して貼り合わされた素子基板10及び対向基板20を有している。素子基板10にはガラス基板11が含まれており、対向基板20にはガラス基板21が含まれている。素子基板10、対向基板20、シール材58によって囲まれた空間には、表示用液晶層50が封入されている。素子基板10は、対向基板20より大きく、一部が対向基板20に対して張り出した状態で貼り合わされている。この張り出した部位には、表示用液晶層50を駆動するためのドライバIC57が実装されている。
【0027】
表示用液晶層50が封入された領域には、表示に寄与するサブ画素4R,4G,4B(図3)がマトリクス状に多数配置されている。以下では、サブ画素4R,4G,4Bの集合からなる領域を画素領域5とも呼ぶ。
【0028】
図3は、画素領域5の拡大平面図である。画素領域5には、矩形のサブ画素4R,4G,4Bが多数配置されている。サブ画素4R,4G,4Bは、それぞれ赤、緑、青のいずれかの色の表示に寄与する。以下では、サブ画素4R,4G,4Bについて、色を区別しない場合には、単にサブ画素4とも呼ぶ。サブ画素4R,4G,4Bには、それぞれ赤、緑、青に対応するカラーフィルタ23(図6)が配置されている。カラーフィルタ23は、入射した光の特定の波長成分を吸収することによって透過光を所定の色とすることができる。隣接するサブ画素4の間には、カラーフィルタ23と同一層に形成された遮光層22が配置されている。
【0029】
サブ画素4は、マトリクス状に配置されており、ある列に配置されるサブ画素4の色はすべて同一である。換言すれば、サブ画素4は、対応する色がストライプ状に並ぶように配置されている。また、行方向に並んだ隣り合う3つのサブ画素4R,4G,4Bの集合によって画素3が構成される。画素3は、表示の最小単位(ピクセル)となる。各画素3において、サブ画素4R,4G,4Bの輝度バランスを調節することによって、種々の色の表示を行うことができる。
【0030】
図4は、画素領域5を構成する複数のサブ画素4における各種素子、配線等の等価回路図である。画素領域5においては、複数の走査線12と複数のデータ線13とが交差するように配線され、走査線12とデータ線13との交差に対応して、TFT(Thin Film Transistor)素子30、画素電極16を含むサブ画素4が形成されている。画素電極16は、TFT素子30のドレイン領域に電気的に接続されている。また、サブ画素4には、共通電極18が配置されている。各共通電極18は、共通線18aを介して等電位に保たれている。
【0031】
TFT素子30は、走査線12から供給される走査信号G1,G2,…,Gmに含まれるON信号によってオンとなり、このときデータ線13に供給された画像信号S1,S2,…,Snを画素電極16に供給する。そして、画素電極16と、共通電極18との間の電位差に応じた電界が表示用液晶層50にかかると、表示用液晶層50の配向状態が変化する。これにより、表示用液晶パネル6の偏光変換機能を所望の状態とすることができる。
【0032】
次に、サブ画素4の構成要素を、図5及び図6を用いて詳述する。図5は、素子基板10のうち、1つのサブ画素4に対応する部分を抽出して示す平面図である。また、図6は、図5中のA−A線の位置における断面図である。以下の説明において「上層」又は「下層」とは、図6において相対的に上又は下に形成された層を指す。
【0033】
図5に示すように、各サブ画素4には、走査線12とデータ線13とが交差するように配置されており、この交差に対応してTFT素子30が形成されている。本明細書では、走査線12の延在方向をX方向、データ線13の延在方向をY方向とする。各サブ画素4には、櫛歯状をなす部分を有する画素電極16、共通電極18が形成されている。このうち画素電極16は、TFT素子30のドレイン電極33に電気的に接続されている。また、共通電極18は、共通線18aと一体で形成されており、隣接するサブ画素4の共通電極18との間で共通線18aを介して電気的に接続されている。画素電極16、共通電極18は、櫛歯状をなす部分が互い違いに入り込んだ状態で対向して配置されている。
【0034】
続いて、図6を用いてサブ画素4の断面構造について説明する。ガラス基板11の、ガラス基板21に対向する面には、走査線12が形成されている。走査線12と同層には、ドレイン電極33との間で容量を形成する容量線を形成してもよい。ガラス基板11と走査線12との間には、酸化シリコン(SiO2)等からなる絶縁層が設けられていてもよい。走査線12の上層には、酸化シリコン(SiO2)等からなるゲート絶縁層42を挟んで半導体層31が形成されている。半導体層31は、例えばアモルファスシリコンから構成することができる。また、半導体層31に一部が重なる状態で、ソース電極13aとドレイン電極33が形成されている。ソース電極13aは、データ線13(図5)と一体で形成されている。半導体層31、ソース電極13a、ドレイン電極33、走査線12等からTFT素子30が構成される。走査線12は、TFT素子30のゲート電極としての役割を兼ねる。走査線12(ゲート電極)、ソース電極13a(データ線13)、ドレイン電極33は、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)等の金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、あるいは導電性ポリシリコン等から構成することができる。
【0035】
TFT素子30の上層には、酸化シリコン(SiO2)等からなる層間絶縁層43を挟んで、透光性を有するITO(Indium Tin Oxide)からなる画素電極16、共通電極18が形成されている。図6の断面においては、共通電極18と画素電極16とは、電極の櫛歯状の部分が交互に配置されている。このうち画素電極16は、層間絶縁層43に設けられたコンタクトホール34を介してTFT素子30のドレイン電極33に電気的に接続されている。このように、画素電極16及び共通電極18は、ガラス基板11の、ガラス基板21に対向する面に形成されている。
【0036】
画素電極16、共通電極18上には、ポリイミドからなる配向膜48が形成されている。配向膜48は、表示用液晶層50に接する部材であり、配向膜48をラビングすることで、表示用液晶層50の液晶分子50aを当該ラビングの方向に沿って配向させることができる。本実施形態では、配向膜48は、+95度の方向に沿ってラビングがなされている。なお、本明細書におけるラビング方向又は液晶分子の配向方向は、X−Y平面をZ軸の正方向から見て、X軸の正方向を0度とし、Z軸を中心とした左回り(反時計回り)を正方向とする方位角で表す。素子基板10は、ガラス基板11から配向膜48までの要素により構成される。
【0037】
一方、ガラス基板21のうち、ガラス基板11に対向する面上には、カラーフィルタ23、配向膜28がこの順に積層されている。カラーフィルタ23が形成されている層には、より詳しくは、赤、緑、青に対応する3種のカラーフィルタ23と、これら各色のカラーフィルタ23の間に配置された遮光層22(図3)とが形成されている。配向膜28はポリイミドからなり、素子基板10側の配向膜48と同様の性質を有している。本実施形態では、配向膜28は、−95度の方向に沿ってラビングがなされている。したがって、配向膜28,48のラビング方向は、互いに平行かつ逆方向である。対向基板20は、ガラス基板21から配向膜28までの要素により構成される。
【0038】
素子基板10と対向基板20との間の領域、すなわち配向膜28と配向膜48とによって挟まれた領域には、液晶分子50aを有する表示用液晶層50が配置されている。表示用液晶層50のΔnd(液晶分子50aの複屈折率Δnと、表示用液晶層50の厚さdとの積)は、例えば300nmから400nmの間に設定することができる。本実施形態では360nmとした。
【0039】
表示用液晶層50の液晶分子50aは、電圧無印加時(オフ状態に相当する弱い電圧が印加された状態を含む。以下同じ)においては、配向膜28,48のラビング方向、すなわち95度の方向に沿って配向する。配向膜28,48のラビング方向は、上記したように平行かつ逆方向であるため、表示用液晶層50はいわゆるアンチパラレル配向となっている。したがって、表示用液晶層50の液晶分子50aの少なくとも一部は、駆動電圧の大きさ(電界の大きさ)に関わらず、ガラス基板11に対して平行に配向する。
【0040】
表示用液晶パネル6を挟むように配置された偏光板53,55(図1)は、吸収軸と直交する偏光軸を有する直線偏光を透過させる光学素子である。偏光板53,55としては、例えばヨウ素を吸着させたポリビニルアルコールを延伸させて製造される吸収型偏光板を用いることができる。当該吸収型偏光板においては、延伸方向に沿った方向が吸収軸となる。本実施形態では、偏光板53の吸収軸は95度、偏光板55の吸収軸は5度である。
【0041】
上記構成において、共通電極18は所定の共通電位に保たれている一方で、画素電極16にはデータ線13、TFT素子30を介して画像信号が書き込まれる。これにより、共通電極18と画素電極16との間には、画像信号の大きさに応じた駆動電圧が印加される。駆動電圧が印加され、電位差が生じると、画素電極16の表面から出て共通電極18の表面に至る電気力線を有するような電界が生じる。このとき、共通電極18及び画素電極16の上部、すなわち表示用液晶層50が配置された層においては、ガラス基板11と平行な電界(横電界)が生じる。換言すれば、当該電界は、ガラス基板11に平行な成分を有している。そして、この横電界の平面視での方向は、共通電極18及び画素電極16の櫛歯状電極の延在方向に直交する方向である。表示用液晶層50に含まれる液晶分子50aは、この横電界の大きさに応じて、ガラス基板11に平行な面内で配向方向を変える。ここで、電圧無印加時における液晶分子50aの配向方向と、電圧印加時において生じる横電界の方向(共通電極18及び画素電極16の櫛歯状電極の延在方向に直交する方向)とのなす角は約85度となっている。このようにすれば、横電界が印加された際の、液晶分子50aの回転方向を一様にすることができる。これにより、上記回転方向の不均一に起因するドメインの発生を抑制することができる。
【0042】
電圧無印加時においては、表示用液晶層50の液晶分子50aは、配向膜28,48のラビング方向(95度)に沿って配向する。このとき、偏光板53を透過した直線偏光は、その偏光軸が液晶分子50aの配向方向と直交するため、表示用液晶層50によっては位相差を与えられずに直線偏光のまま表示用液晶層50を透過し、偏光板55によって吸収される。したがって、電圧無印加時では、偏光板55からは表示光が取り出されず、黒表示が行われる。
【0043】
一方、電圧印加時には、表示用液晶層50の液晶分子50aは、横電界によって駆動され、配向方向が95度から変化する。このとき、偏光板53を透過した直線偏光は、その偏光軸が液晶分子50aの配向方向とは直交しないため、表示用液晶層50によって位相差を与えられ、偏光状態が変化する。この偏光状態の変化量は、表示用液晶層50のリタデーション(Δnd)及び液晶分子50aの回転角度に依存する。表示用液晶層50を透過して偏光状態の変化を受けた光は、偏光板55の吸収軸に直交する成分を有して偏光板55に入射するため、一部又は全部が偏光板55を透過し、観察者に視認される。こうして、電圧印加時には、例えば白表示が行われる。
【0044】
なお、黒表示時と白表示時の中間の大きさの電圧が印加されている場合は、液晶分子50aの配向方向が、その電圧の大きさに応じた角度だけ変化する。よって、表示用液晶層50において透過光が受ける偏光状態の変化の量が変わる。したがって、印加される電圧の大きさに応じて偏光板55を透過する光量が変化し、中間調表示が行われる。
【0045】
このような液晶モードは、IPSモードと呼ばれる。IPSモードは、常に液晶分子50aがガラス基板11に略平行に保たれるため、視角によるリタデーションの変化が少なく、広視野角な表示を行うことができる。
【0046】
次に、第1制御用液晶パネル7及び第2制御用液晶パネル8について説明する。図7は、第1制御用液晶パネル7を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のB−B線における断面図である。第1制御用液晶パネル7は、枠状のシール材78を介して対向して貼り合わされた一対のガラス基板71,72を有している。ガラス基板71,72、シール材78によって囲まれた空間には、垂直配向の第1制御用液晶層79が封入されている。ガラス基板71,72の第1制御用液晶層79側の面には、それぞれITOからなる透光性の電極73,74が略全面に形成されている。また、電極73,74の第1制御用液晶層79側には、それぞれポリイミドからなる配向膜77が略全面に形成されている。ガラス基板71は、ガラス基板72より大きく、一部がガラス基板72に対して張り出した状態で貼り合わされている。この張り出した部位には、電極73,74から引き回された端子73a,74aが形成されている。端子73a,74aに外部から信号を供給することで、電極73,74間に駆動電圧を印加することができる。当該駆動電圧の印加により、第1制御用液晶層79に電界を生じさせることができる。第1制御用液晶層79は、この電界によって駆動され、配向方向が変化する。
【0047】
第1制御用液晶層79は、垂直配向の液晶層であり、電圧無印加時においてガラス基板71に交差する方向(より好ましくは垂直な方向)に配向する液晶分子79aを有している。電極73,74間に駆動電圧が印加されると、液晶分子79aは、例えばガラス基板71の面に沿った方向(より好ましくは平行な方向)に配向する。このときの平面視での配向方向は、配向膜77のラビング方向に沿った方向となる。あるいは、ガラス基板71又は72の第1制御用液晶層79側に突起状の配向制御手段を設けることにより、平面視での配向方向を、上記配向制御手段を中心とする放射状に並ぶ方向とすることもできる。この場合は、巨視的には各液晶分子79aがランダムな方向に配向していることとなるため、以下ではランダム配向とも呼ぶ。第1制御用液晶層79のΔndは、例えば50nmから200nmの間に設定することができる。本実施形態では100nmとした。
【0048】
図8は、第2制御用液晶パネル8を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のC−C線における断面図である。第2制御用液晶パネル8は、枠状のシール材88を介して対向して貼り合わされた一対のガラス基板81,82を有している。ガラス基板81,82、シール材88によって囲まれた空間には、水平配向の第2制御用液晶層89が封入されている。ガラス基板81,82の第2制御用液晶層89側の面には、それぞれITOからなる透光性の電極83,84が略全面に形成されている。また、電極83,84の第2制御用液晶層89側には、それぞれポリイミドからなる配向膜87が略全面に形成されている。ガラス基板81は、ガラス基板82より大きく、一部がガラス基板82に対して張り出した状態で貼り合わされている。この張り出した部位には、電極83,84から引き回された端子83a,84aが形成されている。端子83a,84aに外部から信号を供給することで、電極83,84間に駆動電圧を印加することができる。当該駆動電圧の印加により、第2制御用液晶層89に電界を生じさせることができる。第2制御用液晶層89は、この電界によって駆動され、配向方向が変化する。
【0049】
第2制御用液晶層89は、水平配向の液晶層であり、電圧無印加時においてガラス基板81の面に沿った方向(より好ましくは平行な方向)に配向する液晶分子89aを有している。液晶分子89aの電圧無印加時における平面視での配向方向は、配向膜87のラビング方向に沿った方向となる。電極83,84間に駆動電圧が印加されると、液晶分子89aは、ガラス基板81に交差する方向(より好ましくは垂直な方向)に配向する。第2制御用液晶層89のΔndは、例えば100nmから200nmの間に設定することができる。本実施形態では130nmとした。
【0050】
第1制御用液晶パネル7の第1制御用液晶層79と、第2制御用液晶パネル8の第2制御用液晶層89は、端子73a,74a及び端子83a,84aに異なる信号を供給することにより、互いに独立に駆動させることができる。
【0051】
<B.視野角制御方法>
続いて、液晶装置1において視野角の広さを制御する方法について説明する。図9は、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89の配向状態と、液晶装置1の視野角特性との関係を示す図である。図9上部のグラフは、液晶装置1の視野角特性(コントラスト分布)を示すものである。各グラフの中心点は、表示用液晶パネル6の法線方向に対応し、中心点を同心とする円は、直径の小さいものから順に、法線方向からの傾き(極角)が20度、40度、60度、80度となる方向に対応する。グラフ中の等高線は、コントラストが100又は500となる方向の分布を示す。各グラフの下には、表示用液晶パネル6の表示用液晶層50、第1制御用液晶パネル7の第1制御用液晶層79、第2制御用液晶パネル8の第2制御用液晶層89の配向状態を示す図が描かれている。ここで、液晶分子に斜線が付されていない液晶層は電圧無印加状態の液晶層を示し、液晶分子に斜線が付されている液晶層は、電圧の印加により駆動されて配向状態が変化している液晶層を示す。配向状態を示す図の下の表は、各液晶層の配向方向を示している。「95」又は「5」の数値は平面視での配向方向(度)を示し、「垂直」は垂直配向であることを示し、「ランダム」はランダム配向であることを示す。図9(a)〜(g)における表示用液晶層50は、いずれも電圧無印加の状態を示しており、その配向方向は95度である。
【0052】
図9(a)は、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89がいずれも駆動されていない状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79は垂直配向であり、第2制御用液晶層89は、表示用液晶層50の電圧無印加時の配向方向と平行な、95度の水平配向状態となっている。このような構成によれば、第1制御用液晶層79及び第2制御用液晶層89が2軸性(例えばnz>nx>ny)の位相差板と同等の作用を透過光に及ぼすため、液晶装置1による表示を最も広視野角化することができる。
【0053】
図9(b)は、第1制御用液晶層79が、電圧印加時にランダムな方向に配向する構成において、第1制御用液晶層79が駆動され、第2制御用液晶層89が駆動されていない状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79はランダム配向であり、第2制御用液晶層89は95度の水平配向である。第1制御用液晶層79が、電圧印加時にランダムな方向に配向する構成とするためには、例えば上述のように突起状の配向制御手段を設ければよい。このような構成においては、広視野角となる光学条件が崩れ、第1制御用液晶層79及び第2制御用液晶層89がともに電圧無印加状態である場合に比べて視野角を一回り狭めた状態(状態Aと呼ぶ)とすることができる。
【0054】
図9(c)は、第1制御用液晶層79が、電圧印加時に、第2制御用液晶層89の電圧無印加時の配向方向に沿った方向に配向する構成において、第1制御用液晶層79が駆動され、第2制御用液晶層89が駆動されていない状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89は互いに平行な95度の水平配向となる。第1制御用液晶層79が、電圧印加時に上記のように配向する構成とするためには、配向膜77、配向膜87のラビング方向を平行とすればよい。このような構成においては、広視野角となる光学条件が崩れ、状態Aに比べて視野角をさらに狭めた状態であって、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態(状態Bと呼ぶ)とすることができる。すなわち、表示用液晶パネル6の法線方向から、X軸又はY軸方向に沿って(方位角0度、90度、180度、270度の方向に沿って)視角を傾けた場合には高コントラストの表示が視認されるが、その他の方位に沿って視角を傾けた場合にはコントラストが著しく低下して表示が視認されない。
【0055】
図9(d)は、第1制御用液晶層79が、電圧印加時に、表示用液晶パネル6に平行な方向であって第2制御用液晶層89の電圧無印加時の配向方向に交差する方向に配向する構成において、第1制御用液晶層79が駆動され、第2制御用液晶層89が駆動されていない状態を示す。本実施形態では、このとき、第1制御用液晶層79は5度、第2制御用液晶層89は95度の水平配向となっている。すなわち、第1制御用液晶層79と第2制御用液晶層89とは、互いに直交する水平配向となる。第1制御用液晶層79が、電圧印加時に上記のように配向する構成とするためには、配向膜77、配向膜87のラビング方向を直交する方向とすればよい。このような構成においては、広視野角となる光学条件がさらに崩れ、状態Bに比べて視野角を一回り狭めた状態であって、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0056】
なお、第1制御用液晶層79を駆動した際に図9(b),(c),(d)のいずれの状態となるかは、上述のように、第2制御用液晶パネル8の配向膜87におけるラビング方向や、突起状の配向制御手段の有無に依存する。したがって、第2制御用液晶パネル8の構成を変えることで、図9(b),(c),(d)のいずれか所望の視野角状態を実現することができる。
【0057】
図9(e)は、第1制御用液晶層79が駆動されておらず、第2制御用液晶層89が駆動されている状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89はいずれも垂直配向となる。このような構成においては、広視野角となる光学条件が崩れ、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。すなわち、表示用液晶パネル6の法線方向から、Y軸方向に沿って(方位角90度、270度の方向に沿って)視角を傾けた場合には高コントラストの表示が視認されるが、その他の方位に沿って視角を傾けた場合にはコントラストが著しく低下して表示が視認されない。
【0058】
図9(f)は、図9(e)の状態から、第1制御用液晶層79を駆動して95度の水平配向とした状態を示す。このような構成によれば、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0059】
図9(g)は、図9(e)の状態から、第1制御用液晶層79を駆動してランダム配向とした状態を示す。このような構成によれば、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0060】
以上のように、独立に駆動可能な第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89を備えた液晶装置1によれば、視野角特性を種々の状態に変化させることができる。すなわち、全方位にわたって広視野角な状態、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態が選択でき、また各状態のコントラスト分布を調整することができる。よって、液晶装置1の使用者は、液晶装置1の用途に応じて、適宜所望の視野角特性を選択することができる。例えば、通常は広視野角状態で使用し、左右(X軸)方向からは表示を覗かれたくないような場合には方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とし、ゲーム等において、左右(X軸)及び前後(Y軸)の方向に位置する人とのみ表示内容を共有したいような場合には方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とする、といった態様で使用することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態に係る液晶装置1の断面図である。この図においては、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0062】
本実施形態の液晶装置1は、第1の実施形態から、表示用液晶パネル6と第2制御用液晶パネル8の位置を入れ替え、また偏光板53と偏光板55の位置を入れ替えたものである。したがって、バックライト9からの光は偏光板55に入射し、その後第2制御用液晶パネル8、第1制御用液晶パネル7、表示用液晶パネル6、偏光板53を順次透過して観察者に表示光として視認される。このような構成によっても、光学的には第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。すなわち、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89を、図9の第1の実施形態に係る表にしたがって駆動することで、第1の実施形態と同様の状態に視野角特性を制御することができる。
【0063】
(第3の実施形態)
<A.液晶装置の構成>
続いて、第3の実施形態について説明する。本実施形態の液晶装置1は、第1の実施形態の構成において、第1制御用液晶パネル7と第2制御用液晶パネル8の位置を入れ替え、かつ第2制御用液晶層89の配向方向を変更したものであり、その他の構成は第1の実施形態と同様である。以下の記載及び図においては、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0064】
図11は、第3の実施形態に係る液晶装置1の断面図である。この液晶装置1は、表示用液晶パネル6と、表示用液晶パネル6に平行に重ねられた第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8を備えている。ここで、第2制御用液晶パネル8は、表示用液晶パネル6と第1制御用液晶パネル7との間に配置されている。表示用液晶パネル6、第1制御用液晶パネル7の外側には、それぞれ偏光板53,55が貼り付けられている。偏光板53を挟んで表示用液晶パネル6の反対側には、光源91を備えたバックライト9が配置されている。バックライト9から偏光板53に入射した光は、表示用液晶パネル6、第2制御用液晶パネル8、第1制御用液晶パネル7、偏光板55を順次透過し、偏光板55から射出された光が表示光として観察者に視認される。
【0065】
ここで、第2制御用液晶層89の電圧無印加時の配向方向は、表示用液晶層50の電圧無印加時の配向方向と交差する方向となっている。本実施形態では、第2制御用液晶層89の配向方向と表示用液晶層50の配向方向とは互いに直交している。すなわち、表示用液晶層50の電圧無印加時の配向方向は95度の方向であり、第2制御用液晶層89の電圧無印加時の配向方向は5度の方向である。
【0066】
<B.視野角制御方法>
続いて、第3の実施形態の液晶装置1において視野角の広さを制御する方法について、図9を用いて説明する。図9の下段には、第3の実施形態における表示用液晶層50、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89の配向状態を示す図、及び各液晶層の配向方向を示す表が記載されている。以下、図9上段のグラフと、図9下段の第3の実施形態に係る図及び表に基づいて説明する。本実施形態においても、図9中の表示用液晶層50は、いずれも電圧無印加の状態を示しており、その配向方向は95度である。
【0067】
図9(a)は、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89がいずれも駆動されていない状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79は垂直配向であり、第2制御用液晶層89は、表示用液晶層50の電圧無印加時の配向方向と直交する、5度の水平配向状態となっている。このような構成によれば、第1制御用液晶層79及び第2制御用液晶層89が2軸性(例えばnz>nx>ny)の位相差板と同等の作用を透過光に及ぼすため、液晶装置1による表示を最も広視野角化することができる。
【0068】
図9(b)は、第1制御用液晶層79が、電圧印加時にランダムな方向に配向する構成において、第1制御用液晶層79が駆動され、第2制御用液晶層89が駆動されていない状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79はランダム配向であり、第2制御用液晶層89は5度の水平配向である。このような構成においては、広視野角となる光学条件が崩れ、第1制御用液晶層79及び第2制御用液晶層89がともに電圧無印加状態である場合に比べて視野角を一回り狭めた状態(状態Aと呼ぶ)とすることができる。
【0069】
図9(c)は、第1制御用液晶層79が、電圧印加時に、第2制御用液晶層89の電圧無印加時の配向方向に沿った方向に配向する構成において、第1制御用液晶層79が駆動され、第2制御用液晶層89が駆動されていない状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89は互いに平行な5度の水平配向となる。このような構成においては、広視野角となる光学条件が崩れ、状態Aに比べて視野角をさらに狭めた状態であって、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態(状態Bと呼ぶ)とすることができる。
【0070】
図9(d)は、第1制御用液晶層79が、電圧印加時に、表示用液晶パネル6に平行な方向であって第2制御用液晶層89の電圧無印加時の配向方向に交差する方向に配向する構成において、第1制御用液晶層79が駆動され、第2制御用液晶層89が駆動されていない状態を示す。本実施形態では、このとき、第1制御用液晶層79は95度、第2制御用液晶層89は5度の水平配向となっている。すなわち、第1制御用液晶層79と第2制御用液晶層89とは、互いに直交する水平配向となる。このような構成においては、広視野角となる光学条件がさらに崩れ、状態Bに比べて視野角を一回り狭めた状態であって、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0071】
図9(e)は、第1制御用液晶層79が駆動されておらず、第2制御用液晶層89が駆動されている状態を示す。このとき、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89はいずれも垂直配向となる。このような構成においては、広視野角となる光学条件が崩れ、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0072】
図9(f)は、図9(e)の状態から、第1制御用液晶層79を駆動して5度の水平配向とした状態を示す。このような構成によれば、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0073】
図9(g)は、図9(e)の状態から、第1制御用液晶層79を駆動してランダム配向とした状態を示す。このような構成によれば、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態とすることができる。
【0074】
以上のように、第3の実施形態に係る液晶装置1によっても、第1の実施形態と同様に、視野角特性を種々の状態に変化させることができる。すなわち、全方位にわたって広視野角な状態、方位角180度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態、方位角90度ごとに高コントラスト領域を有する狭視野角状態が選択でき、また各状態のコントラスト分布を調整することができる。
【0075】
(第4の実施形態)
続いて、第4の実施形態について説明する。図12は、第4の実施形態に係る液晶装置1の断面図である。この図においては、第3の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0076】
本実施形態の液晶装置1は、第3の実施形態から、表示用液晶パネル6と第1制御用液晶パネル7の位置を入れ替え、また偏光板53と偏光板55の位置を入れ替えたものである。したがって、バックライト9からの光は偏光板55に入射し、その後第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8、表示用液晶パネル6、偏光板53を順次透過して観察者に表示光として視認される。このような構成によっても、光学的には第3の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。すなわち、第1制御用液晶層79、第2制御用液晶層89を、図9の第3の実施形態に係る表にしたがって駆動することで、第3の実施形態と同様の状態に視野角特性を制御することができる。
【0077】
(電子機器)
以上に説明した液晶装置1は、例えば、携帯電話機等の電子機器に搭載して用いることができる。図15は、電子機器としての携帯電話機100の斜視図である。携帯電話機100は、表示部110及び操作ボタン120を有している。表示部110は、内部に組み込まれた液晶装置1によって、操作ボタン120で入力した内容や着信情報を始めとする様々な情報について表示を行うことができる。このとき、第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8を駆動させることによって、表示部110における表示の視野角特性を種々に切り換えることができる。
【0078】
なお、液晶装置1は、上記携帯電話機100の他、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器等の各種電子機器に用いることができる。
【0079】
上記実施形態に対しては、様々な変形を加えることが可能である。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0080】
(変形例)
上記各実施形態の液晶装置1は、IPSモードの表示用液晶パネル6を採用しているが、これに限定する趣旨ではなく、液晶分子50aが横電界によって駆動されるモードであればどのようなモードであってもよい。本変形例は、このようなモードのうちFFSモードを適用した表示用液晶パネル6を備えた液晶装置1に係るものである。
【0081】
図13は、FFSモードを適用した表示用液晶パネル6の素子基板10のうち、1つのサブ画素4に対応する部分を抽出して示す平面図である。また、図14は、図13中のD−D線の位置における断面図である。以下では、図5及び図6と共通する構成要素については説明を省略する。
【0082】
図13に示すように、TFT素子30には、略長方形の画素電極16が電気的に接続されている。画素電極16には、多数の平行なスリット(開口部)16aが等間隔で設けられている。スリット16aは、細長い長方形又は平行四辺形をなしており、その長辺は、X軸方向に対して所定の角度に傾いている。本実施形態では、当該角度は5度となっている。画素電極16の下層側には、共通電極18が形成されている。共通電極18は、+Z方向から見て、画素電極16の略全面に重なる位置に形成されている。
【0083】
図14に示すように、TFT素子30の上層には、酸化シリコン(SiO2)等からなる層間絶縁層43を挟んで、ITOからなる共通電極18が積層されている。
【0084】
共通電極18の上層には、酸化シリコン(SiO2)等からなる層間絶縁層44を挟んでITOからなる画素電極16が形成されている。画素電極16は、サブ画素4ごとに独立して設けられている。画素電極16は、層間絶縁層43,44を貫通して設けられたコンタクトホール34を介してドレイン電極33に電気的に接続されている。画素電極16には、上記したように多数のスリット16aが設けられている。ここで、画素電極16、共通電極18及びこれに挟まれた層間絶縁層44は、蓄積容量としても機能する。画素電極16上には、ポリイミドからなる配向膜48が積層されている。
【0085】
本変形例では、配向膜28,48は0度の方向に沿ってラビングされている。したがって、表示用液晶層50は0度の方向に沿ったアンチパラレル配向となっている。これにともなって、本変形例では、偏光板53,55の吸収軸、第1制御用液晶層79及び第2制御用液晶層89の配向方向については、上記各実施形態で95度となっていたものは0度に変更し、5度となっていたものは90度に変更する。
【0086】
共通電極18は所定の共通電位に保たれている一方で、画素電極16にはデータ線13、TFT素子30を介して画像信号が書き込まれるため、共通電極18と画素電極16との間には、画像信号の大きさに応じた駆動電圧が印加される。駆動電圧が印加され、電位差が生じると、画素電極16の表面から出て共通電極18の表面に至る電気力線を有するような電界が生じる。このとき、画素電極16の上部、すなわち表示用液晶層50が配置された層においては、ガラス基板11と平行な電界(横電界)が生じる。そして、この横電界の方向は、画素電極16のスリット16aの長手方向に直交する方向である。表示用液晶層50に含まれる液晶分子50aは、この横電界の大きさに応じて、ガラス基板11に平行な面内で配向方向を変える。
【0087】
本変形例の液晶装置1は、以上に示したFFSモードの表示用液晶パネル6と、第1制御用液晶パネル7、第2制御用液晶パネル8とを備えている。このような構成によっても、上記各実施形態と同様に、視野角特性を、広視野角状態と、種々の狭視野角状態との間で切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】第1の実施形態に係る液晶装置の断面図。
【図2】表示用液晶パネルの斜視図。
【図3】画素領域の拡大平面図。
【図4】画素領域を構成する複数のサブ画素における各種素子、配線等の等価回路図。
【図5】素子基板のうち、1つのサブ画素に対応する部分を抽出して示す平面図。
【図6】図5中のA−A線の位置における断面図。
【図7】第1制御用液晶パネルを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のB−B線における断面図。
【図8】第2制御用液晶パネルを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のC−C線における断面図。
【図9】第1制御用液晶層、第2制御用液晶層の配向状態と、液晶装置の視野角特性との関係を示す図。
【図10】第2の実施形態に係る液晶装置の断面図。
【図11】第3の実施形態に係る液晶装置の断面図。
【図12】第4の実施形態に係る液晶装置の断面図。
【図13】FFSモードを適用した液晶装置の素子基板のうち、1つのサブ画素に対応する部分を抽出して示す平面図。
【図14】図13中のD−D線の位置における断面図。
【図15】電子機器としての携帯電話機の斜視図。
【符号の説明】
【0089】
1…液晶装置、3…画素、4…サブ画素、5…画素領域、6…表示用液晶パネル、7…第1制御用液晶パネル、8…第2制御用液晶パネル、9…バックライト、10…素子基板、11…第1の基板としてのガラス基板、12…走査線、13…データ線、13a…ソース電極、16…画素電極、16a…スリット、18…共通電極、18a…共通線、20…対向基板、21…第2の基板としてのガラス基板、22…遮光層、23…カラーフィルタ、28,48,77,87…配向膜、30…TFT素子、31…半導体層、33…ドレイン電極、34…コンタクトホール、42…ゲート絶縁層、43,44…層間絶縁層、50…表示用液晶層、50a,79a,89a…液晶分子、53,55…偏光板、57…ドライバIC、58,78,88…シール材、71,72,81,82…ガラス基板、73,74,83,84…電極、73a,74a,83a,84a…端子、79…第1制御用液晶層、89…第2制御用液晶層、91…光源、100…電子機器としての携帯電話機、110…表示部、120…操作ボタン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された第1の基板及び第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板に対向する面に形成された画素電極及び共通電極と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間に配置され、前記第1の基板に平行に配向した液晶分子を含む表示用液晶層と、を有する表示用液晶パネルと、
前記表示用液晶パネルに平行に配置され、垂直配向の第1制御用液晶層を有する第1制御用液晶パネルと、
前記表示用液晶パネルに平行に配置され、水平配向の第2制御用液晶層を有する第2制御用液晶パネルと、を備え、
前記第1制御用液晶層と前記第2制御用液晶層とは、互いに独立して駆動されることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶装置であって、
前記第1制御用液晶パネルは、前記表示用液晶パネルと前記第2制御用液晶パネルとの間に配置され、
前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向は、前記表示用液晶層の電圧無印加時の配向方向に沿った方向であることを特徴とする液晶装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液晶装置であって、
前記第2制御用液晶パネルは、前記表示用液晶パネルと前記第1制御用液晶パネルとの間に配置され、
前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向は、前記表示用液晶層の電圧無印加時の配向方向と交差する方向であることを特徴とする液晶装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記第1制御用液晶層は、電圧印加時にランダムな方向に配向することを特徴とする液晶装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記第1制御用液晶層は、電圧印加時に、前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向に沿った方向に配向することを特徴とする液晶装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記第1制御用液晶層は、電圧印加時に、前記表示用液晶パネルの面に沿った方向であって前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向に交差する方向に配向することを特徴とする液晶装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記第1制御用液晶パネルは、
一対の基板と、
前記一対の基板の間に配置された垂直配向の前記第1制御用液晶層と、
前記一対の基板のそれぞれの前記第1制御用液晶層側の面に形成された電極と、を有し、
前記第2制御用液晶パネルは、
一対の基板と、
前記一対の基板の間に配置された平行配向の前記第2制御用液晶層と、
前記一対の基板のそれぞれの前記第2制御用液晶層側の面に形成された電極と、を有することを特徴とする液晶装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の液晶装置を表示部に備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
対向して配置された第1の基板及び第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板に対向する面に形成された画素電極及び共通電極と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間に配置され、前記第1の基板に平行に配向した液晶分子を含む表示用液晶層と、を有する表示用液晶パネルと、
前記表示用液晶パネルに平行に配置され、垂直配向の第1制御用液晶層を有する第1制御用液晶パネルと、
前記表示用液晶パネルに平行に配置され、水平配向の第2制御用液晶層を有する第2制御用液晶パネルと、を備え、
前記第1制御用液晶層と前記第2制御用液晶層とは、互いに独立して駆動されることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶装置であって、
前記第1制御用液晶パネルは、前記表示用液晶パネルと前記第2制御用液晶パネルとの間に配置され、
前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向は、前記表示用液晶層の電圧無印加時の配向方向に沿った方向であることを特徴とする液晶装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液晶装置であって、
前記第2制御用液晶パネルは、前記表示用液晶パネルと前記第1制御用液晶パネルとの間に配置され、
前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向は、前記表示用液晶層の電圧無印加時の配向方向と交差する方向であることを特徴とする液晶装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記第1制御用液晶層は、電圧印加時にランダムな方向に配向することを特徴とする液晶装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記第1制御用液晶層は、電圧印加時に、前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向に沿った方向に配向することを特徴とする液晶装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記第1制御用液晶層は、電圧印加時に、前記表示用液晶パネルの面に沿った方向であって前記第2制御用液晶層の電圧無印加時の配向方向に交差する方向に配向することを特徴とする液晶装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記第1制御用液晶パネルは、
一対の基板と、
前記一対の基板の間に配置された垂直配向の前記第1制御用液晶層と、
前記一対の基板のそれぞれの前記第1制御用液晶層側の面に形成された電極と、を有し、
前記第2制御用液晶パネルは、
一対の基板と、
前記一対の基板の間に配置された平行配向の前記第2制御用液晶層と、
前記一対の基板のそれぞれの前記第2制御用液晶層側の面に形成された電極と、を有することを特徴とする液晶装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の液晶装置を表示部に備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−192865(P2009−192865A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34072(P2008−34072)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
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