説明

液晶配向膜組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、および液晶配向膜を含む光学フィルム

【課題】
【解決手段】本発明は、液晶配向膜組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、および液晶配向膜を含む光学フィルムに関する。より具体的には、本発明に係る液晶配向膜組成物は、光反応性重合体にさらに架橋反応が可能な官能基を有したモノマーを導入することにより、前記液晶配向膜組成物から製造される液晶配向膜の熱的安定性および耐久性を向上させることができる。また、前記液晶配向膜を用いて光学フィルムを製造する時、基材と液晶配向膜、液晶配向膜と液晶フィルムとの間に強い接着力を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向膜組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、および液晶配向膜を含む光学フィルムに関する。
【0002】
本出願は2008年1月18日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2008−0005839号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
一般的に位相差フィルム、視野角補償フィルムなどの光学フィルムは、偏光板と液晶表示素子との間に挿入して液晶ディスプレイ(LCD)装置の色相変化を減らし、視野角を拡大し、輝度を向上させるなどの用途として使われている。このような用途として使うための光学フィルムには、大きく、高分子フィルムを延伸して光学異方性を付与した延伸フィルムとプラスチック基材上に重合性液晶化合物を塗布して乾燥し紫外線を照射して硬化させることによって製造される液晶フィルムの光学異方性を利用したものが提案されている。特に、液晶フィルムは液晶分子の模様により棒状液晶と円盤状液晶に分けることができ、この中の棒状液晶は平面(planar)、垂直(homeotropic)、傾斜(tilted)、スプレイ(splay)、コレステリック(cholesteric)などの様々な配向形態が存在するため、延伸フィルムを通じて得られない光学性質を提供することができる。したがって、延伸フィルムに重合性液晶化合物を直接塗布して前記の様々な液晶配向特性を付加すれば、偏光板の偏光素子の保護フィルムと延伸フィルムだけでは実現し難い光学補償フィルムの役割を同時に提供することができる。
【0004】
このような液晶フィルムは、通常、プラスチック基材上にポリイミドまたはポリビニルアルコールなどの配向剤を塗布して配向膜を形成させ、これを一定の方向にラビングした後、再び重合性液晶化合物を塗布して配向させることにより製造される。しかし、上記のように配向膜を使う場合には、液晶フィルムとの接着力が不足するため、高温多湿な環境においては液晶フィルムが剥離したり収縮したりするなどの問題が生じ得る。その上、ラビングを用いた方法は、ラビング時の摩擦によって静電気やスクラッチなどが発生しやすく、ラビング布などから微細なホコリが発生するなどの問題を避けられない。
【0005】
したがって、このようなラビング方法の問題点を解決するための努力として非接触式液晶配向方法が研究されており、その中、光照射を利用して液晶配向膜を製造する光配向法が提案されている。この時、液晶を配向させるための光配向膜物質としてはシンナメート基、クマリン基、カルコン基などの光二量化反応によるもの、アゾベンゼン基を含む高分子の光異性化反応によるもの、およびポリイミド高分子の光分解反応によるものなどが報告されているが、一般的に熱的安定性または光安定性などが脆弱し、分解生成物による汚染が生じ得る。
【0006】
また、重合性液晶化合物を用いた位相差フィルム、視野角補償フィルム、輝度向上フィルムなどを製造するためには、通常、プラスチック基材上に配向膜を形成することが一般的であるが、前記過程により製造された配向膜組成物であるとしても使用可能なプラスチック基材の種類に制限があるしかない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は前記問題点を解決するためのものであって、光反応性重合体に架橋反応が可能な官能基を有したモノマーを導入することにより、短い光照射によっても、追加的な架橋反応を通じ、液晶配向特性、熱的安定性および耐久性に優れ、基材と液晶配向膜、液晶配向膜と液晶フィルムとの間の接着力に優れた液晶配向膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、
1)シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体、下記化学式1で示される単位を含む光反応性重合体および下記化学式2で示される単位を含む光反応性重合体からなる群から選択された光反応性重合体一種以上、2)前記1)光反応性重合体と架橋反応可能な多官能性モノマー、3)光開始剤、および4)有機溶媒を含む液晶配向膜組成物を提供する。
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
また、本発明は、
1)基材上に前記液晶配向膜組成物を塗布した後に乾燥して被膜を形成するステップ、および
2)前記基材上に形成された被膜に紫外線を照射するステップ
を含む液晶配向膜の製造方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記液晶配向膜の製造方法により製造される液晶配向膜を含む光学フィルムを提供する。
【0013】
また、本発明は前記光学フィルムを含む液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る液晶配向膜組成物を用いて液晶配向膜を製造する場合、液晶配向膜の熱的安定性および表面硬度が改善され、基材と液晶配向膜、液晶配向膜と液晶フィルムとの接着力に優れるため、光学フィルムの耐久性を向上させることができる。また、高温多湿な環境においても液晶フィルムが液晶配向膜から剥離したり収縮したりするなどの問題点を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1によって製造された配向膜上に形成されたスプレイ配向液晶フィルムの視野角に応じた位相差分布を示す図である。
【図2】本発明の実施例2によって製造された配向膜上に形成された垂直配向液晶フィルムの視野角に応じた位相差分布を示す図である。
【図3】本発明の実施例3によって製造された配向膜上に形成されたコレステリック配向液晶フィルムの透過率を示す図である。
【図4】本発明の実施例7によって製造された配向膜上に形成された平面配向液晶フィルムの視野角に応じた位相差分布を示す図である。
【図5】本発明の実施例9によって製造された配向膜上に形成されたスプレイ配向液晶フィルムの視野角に応じた位相差分布を示す図である。
【図6】本発明の実施例10によって製造された配向膜上に形成されたコレステリック配向液晶フィルムの透過率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0017】
本発明に係る液晶配向膜組成物は、1)シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体、前記化学式1で示される単位を含む光反応性重合体および前記化学式2で示される単位を含む光反応性重合体からなる群から選択された光反応性重合体一種以上、2)前記1)光反応性重合体と架橋反応可能な多官能性モノマー、3)光開始剤、および4)有機溶媒を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る液晶配向膜組成物において、前記1)光反応性重合体は数平均分子量が10,000〜500,000であるものを用いることが好ましい。
【0019】
前記シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体は下記化学式3で示される単位を含んでもよい。
【0020】
【化3】

【0021】
前記化学式3において、
nは50〜5,000であり、
R1およびR2のうち少なくとも1つは下記化学式4で示され、
残りは 水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基および下記化学式4の基からなる群から選択され、
【0022】
【化4】

【0023】
前記化学式4において、R3は各々独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基およびアリルオキシ基からなる群から選択される。
【0024】
前記シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体としてはポリノルボルネンシンナメート、ポリノルボルネンアルコキシシンナメート(アルコキシ基は炭素数1〜20)、ポリノルボルネンアリロイルオキシシンナメート、ポリノルボルネンフッ素化シンナメート、ポリノルボルネン塩素化シンナメートおよびポリノルボルネンジシンナメートからなる群から選択されたいずれか1つ以上を用いることができるが、これらだけに限定されるものではない。
【0025】
本発明に係る液晶配向膜組成物において、前記シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体は、下記化学式5〜化学式10で示される単位のうちのいずれか1つ以上を用いることがより好ましい。
【0026】
【化5】

【0027】
【化6】

【0028】
【化7】

【0029】
前記化学式5〜化学式10において、nは50〜5,000である。
【0030】
本発明に係る液晶配向膜組成物において、前記1)光反応性重合体の含有量は、液晶配向膜組成物全体に基づき0.1〜20重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましい。前記含有量が0.1重量%未満である場合には、被膜の厚さが小さすぎるために良好な配向膜を得ることができず、20重量%を超過する場合には、被膜の厚さが大きすぎるために良好な配向膜を得にくい。
【0031】
本発明に係る液晶配向膜組成物において、前記2)多官能性モノマーは前記1)光反応性重合体と共に用いられ、紫外線の照射時、光反応性重合体の二量化反応の以外に追加的な架橋反応を誘導する役割を果たす。
【0032】
前記架橋反応は、光反応性重合体内の架橋反応、光反応性重合体と多官能性モノマー間の架橋反応、および光反応性重合体と液晶分子間の架橋反応の全てを含む。
【0033】
シンナメート基は、偏光した紫外線が照射されれば、偏光紫外線の垂直方向に整列する特性があるが、全体シンナメート基のうちの一部だけ反応が進行され、残りは未反応状態で残る。本発明において、基材と液晶配向膜、液晶配向膜と液晶フィルムとの間の付着力を増進させる方法は、前記未反応状態で残っているシンナメート基を活用することである。すなわち、光開始剤および多官能性モノマーが投入され、未反応状態のシンナメート間またはシンナメート基と多官能性モノマーとの間で架橋反応が誘導され、その後、液晶配向膜上に塗布される液晶分子とも架橋反応が誘導される。
【0034】
本明細書において、前記「多官能性」の意味は官能基を2つ以上含むこととして定義する。
【0035】
前記官能基はラジカルによって架橋反応および重合反応の役割を果たし、炭素間二重結合を含むものであればその種類に制限はない。例えば、代表的な官能基としてアクリレート基が挙げられるが、これだけに限定されるものではない。
【0036】
前記多官能性モノマーは、下記構造式からなる群から選択されたラジカル反応を生じる官能基(炭素間二重結合)を含む多官能性モノマーであることが好ましい。
【0037】
【化8】

【0038】
前記多官能性モノマーの具体的な例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)/テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ/ペンタアクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メチル)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−カルボキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、モノ−2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、ビニルアクリレート、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール1,3−ジグリセロレートジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)グリセロレートジアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、メチル2−アセトアミドアクリレート、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、テトラシアノエチレンオキシド、トリアリル1,3,5−ベンゼントリカルボキシレート、ジアセトンアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、ポリ(メラミン−co−ホルムアルデヒド)、2−カルボキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、モノ−2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、ビニルアクリレート、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(2−オキソ−イミダゾリジニル)エチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルエステル、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルマレート、1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]メタン、2−ビニル−1,3−ジオキサレンなどを1種または2種以上含むことができるが、これらだけに限定されるものではない。
【0039】
前記多官能性モノマーはペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートまたはトリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレートであることができるが、これらだけに限定されるものではない。
【0040】
前記多官能性モノマーの含有量は、液晶配向膜組成物全体に基づき0.1〜20重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがより好ましい。前記含有量が0.1重量%未満である場合には追加的な架橋反応の効果がなく、20重量%を超過する場合には配向能力を失うので好ましくない。
【0041】
本発明に係る液晶配向膜組成物において、前記3)光開始剤は、ラジカル反応を誘導できるものであればいずれもよい。具体的には、前記光開始剤としてはα−ヒドロキシケトン系、α−アミノケトン系、フェニルグリオキシレート系、オキシムエステル系などを用いることができるが、これらだけに限定されるものではない。
【0042】
前記光開始剤の含有量は、液晶配向膜組成物全体に基づき0.01〜5重量%であることが好ましく、0.01〜2重量%であることがより好ましい。前記含有量が0.01重量%未満である場合には追加的な架橋反応の効果を期待することができず、5重量%を超過する場合には配向能力が顕著に減少するので好ましくない。
【0043】
本発明に係る液晶配向膜組成物において、前記4)有機溶媒は、エーテル系、芳香族系、ハロゲン系、オレフィン系、およびケトン系からなる群から選択された1種または2種以上の有機溶媒を用いることができる。より具体的には、シクロペンタノン、クロロベンゼン、N−メチルピロリドン、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフランなどを用いることができるが、これらだけに限定されるものではない。
【0044】
また、本発明に係る液晶配向膜の製造方法は、1)基材上に本発明に係る液晶配向膜組成物を塗布した後に乾燥して被膜を形成するステップ、および2)前記基材上に形成された被膜に紫外線を照射するステップを含む。
【0045】
本発明に係る液晶配向膜の製造方法において、前記1)ステップの基材は特に制限されるものではなく、ガラスまたはプラスチック基材などを用いることができ、特に好ましくは、アセチルセルロース系フィルム、シクロオレフィン系フィルム、アクリル系フィルムなどが挙げられる。
【0046】
前記アセチルセルロース系フィルムは特に制限されるものではなく、当技術分野で一般的に用いられるアセチルセルロース系フィルムを用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどを用いることができるが、これだけに限定されるものではない。
【0047】
前記シクロオレフィン系フィルムは特に制限されるものではなく、当技術分野で一般的に用いられるシクロオレフィン系樹脂から製造されたフィルムを用いることができる。例えば、シクロオレフィンの開環重合体を必要により水素添加した重合体、シクロオレフィンの付加重合体、シクロオレフィンとα−オレフィンとの共重合体、または前記重合体もしくは共重合体を不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成したグラフト変性体を含むシクロオレフィン系樹脂から製造されたフィルムを用いることができる。前記シクロオレフィン系フィルムは無延伸フィルム、延伸フィルムの両方とも用いることができる。
【0048】
前記アクリル系フィルムは(メタ)アクリル系樹脂を含むことができる。
【0049】
前記(メタ)アクリル系樹脂としては当技術分野で知られているものなどを用いることができ、特に(メタ)アクリル系単量体のホモまたは共重合体;(メタ)アクリル系単量体および芳香族ビニル系単量体の共重合体;(メタ)アクリル系単量体、芳香族ビニル系単量体および酸無水物の共重合体;(メタ)アクリル系単量体および環状単量体の共重合体などを用いることができる。
【0050】
前記(メタ)アクリル系単量体としてはエステル基のカルボニル基と共役化した(conjugated)炭素との間の二重結合を有する化合物であればよく、その置換基は特に限定されない。本明細書に記載される(メタ)アクリル系単量体は、アクリレートだけでなく、アクリレート誘導体を含むことを意味するものであり、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルブタクリレートなどを含む概念として理解しなければならない。例えば、前記(メタ)アクリル系単量体の例としては下記化学式11で示される化合物が含まれる。
【0051】
【化9】

【0052】
前記化学式11において、
1、R2およびR3は各々独立に水素原子、ヘテロ原子を含んでも含まなくてもよい炭素数1〜30の1価炭化水素基を示し、R1、R2およびR3のうちの少なくとも1つはエポキシ基であってもよく;R4は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【0053】
具体的には、前記(メタ)アクリル系単量体としてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルエタクリレート、およびエチルエタクリレートからなる群から選択された1種以上のアクリル系単量体を用いることができ、特にメチルメタクリレート(MMA)を用いることが最も好ましい。
【0054】
前記芳香族ビニル系単量体としては、ベンゼン核またはビニル基が1つ以上のC1〜C5のアルキル基またはハロゲン基で置換もしくは非置換された構造の単量体を用いることが好ましい。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエンなどからなる群から選択された1種以上のスチレン系単量体が好ましい。
【0055】
前記酸無水物としてはカルボン酸無水物を用いることができ、1価または2価以上の多価カルボン酸無水物を用いることができる。好ましくは、マレイン酸無水物またはその誘導体を用いることができ、例えば、下記化学式12の化合物を用いることができる。
【0056】
【化10】

【0057】
前記化学式12において、
7およびR8は各々独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【0058】
前記環状単量体としては無水マレイン酸、マレイミド、グルタル酸無水物、グルタルイミド、ラクトンおよびラクタムまたはこれらの誘導体を用いることができ、マレイミド系単量体がより好ましい。前記マレイミド系単量体はN−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミドまたはこれらの誘導体を含むが、これらだけに限定されるものではなく、特にN−シクロヘキシルマレイミドまたはその誘導体が最も好ましい。前記(メタ)アクリル系単量体と環状単量体の共重合体のうちの環状単量体の含有量は1〜50重量%であることがフィルムのヘイズ値を下げるのに有利である。
【0059】
前記(メタ)アクリル系樹脂を含むフィルムは、さらにヒドロキシ基含有部を有する鎖および芳香族部を有する芳香族系樹脂;スチレン系樹脂;およびスチレン系単量体と環状単量体の共重合体のうちの少なくとも1種をさらに含むことができる。
【0060】
前記ヒドロキシ基含有部を有する鎖および芳香族部を有する芳香族系樹脂の数平均分子量は1,500〜2,000,000g/molであることが好ましい。前記芳香族系樹脂はフェノキシ系樹脂を含むことが好ましい。ここで、フェノキシ系樹脂はベンゼン環に少なくとも1つの酸素ラジカルが結合された構造を含む。例えば、前記ヒドロキシ基含有部を有する鎖および芳香族部を有する芳香族系樹脂は、下記化学式13で示されるユニットを1種以上含むことができる。前記芳香族系樹脂は下記化学式13のユニットを5〜10,000個、より好ましくは5〜7,000個、さらに好ましくは5〜5,000個含むことが好ましい。前記芳香族系樹脂に下記化学式13で示されるユニットが2種以上含まれる場合、これらはランダム、交代またはブロックの形態で含まれ得る。
【0061】
【化11】

【0062】
前記化学式13において、
Xは少なくとも1つのベンゼン環を含む2価基であり、Rは炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレンである。
【0063】
具体的には、Xは下記化学式14〜化学式16のような化合物から由来した2価基であることが好ましいが、これだけに限定されるものではない。
【0064】
【化12】

【0065】
前記化学式14において、
1は直接結合、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン、または炭素数3〜20のシクロアルキリデンであり、
2およびR3は各々独立に水素、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、nおよびmは各々独立に1〜5の整数である。
【0066】
【化13】

【0067】
前記化学式15において、
4は各々独立に水素、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、pは1〜6の整数である。
【0068】
【化14】

【0069】
前記化学式16において、
6およびR7は各々独立に直接結合、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン、または炭素数3〜20のシクロアルキリデンであり、
5およびR8は各々独立に水素、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、qおよびrは各々独立に1〜5の整数である。
【0070】
前記化学式14〜化学式16で示される化合物の具体的な例は下記の通りであるが、これらの例だけに限定されるものではない。
【0071】
【化15】

【0072】
前記芳香族系樹脂は、特に下記化学式17で示される1種以上のフェノキシ系ユニットを5〜10,000個含むことが最も好ましい。
【0073】
【化16】

【0074】
前記芳香族系樹脂の末端はOH基であってもよい。
【0075】
前記(メタ)アクリル系樹脂を含むフィルムが前記ヒドロキシ基含有部を有する鎖および芳香族部を有する芳香族系樹脂を含む場合、(メタ)アクリル系樹脂の含有量は約40〜99重量%であることが好ましく、約70〜98重量%であることがより好ましく、前記芳香族系樹脂の含有量は約1〜60重量%であることが好ましく、約2〜30重量%であることがより好ましい。
【0076】
前記スチレン系単量体と環状単量体の共重合体が用いられる場合、この共重合体のうちの環状単量体の含有量は約1〜99重量%、好ましくは約1〜70重量%、より好ましくは約5〜60重量%である。
【0077】
前記(メタ)アクリル系樹脂を含むフィルムが、前記ヒドロキシ基含有部を有する鎖および芳香族部を有する芳香族系樹脂と共に、前記スチレン系樹脂または前記スチレン系単量体と環状単量体の共重合体を含む場合、(メタ)アクリル系樹脂の含有量は約50〜99重量%であることが好ましく、約75〜98重量%であることがより好ましく、前記芳香族系樹脂の含有量は約0.5〜40重量%であることが好ましく、約1〜30重量%であることがより好ましく、前記スチレン系樹脂またはスチレン系単量体と環状単量体の共重合体の含有量は約0.5〜30重量%であることが好ましく、約1〜20重量%であることがより好ましい。
【0078】
前記1)ステップにおいて、基材上に液晶配向膜組成物を塗布する方法は、当技術分野で通常的に実施できる方法であればいずれもよく、基材上に800〜2,000Å程度の厚さで均一に塗布できるのが好ましい。
【0079】
前記1)ステップにおいて、基材上に液晶配向膜組成物を塗布した後、残存溶媒を除去するために25〜150℃で少なくとも30秒間乾燥させる。前記乾燥温度が25℃未満である場合には、十分に乾燥されないために染みができたり、残存溶媒の影響により配向性能が低下したりし、150℃を超過する場合には、基材の変形をもたらすので好ましくない。
【0080】
本発明に係る液晶配向膜の製造方法において、前記2)ステップは、液晶配向膜組成物を用いて得られた被膜に所定方向に線偏光した紫外線を0.5秒以上照射することにより、所望する任意の方向に配向を付与するステップである。これは、液晶配向膜を構成する光反応性重合体などが紫外線照射による二量化(環状付加)反応を通じ、紫外線偏光板(ワイヤーグリッド偏光板)の透過軸に垂直した方向(吸収軸)に1次分子配向を誘導する。したがって、照射する紫外線の偏光方向を調節する場合、配向膜の配向方向を任意の所望の角度に調節することができ、よって、今後、液晶配向膜上に塗布される重合性液晶化合物の光軸を基材の進行方向に対して任意の角度に調節することができる。
【0081】
また、本発明は、前記本発明に係る液晶配向膜の製造方法により製造される液晶配向膜および重合性液晶化合物を含む光学フィルムを提供する。
【0082】
本発明に係る光学フィルムは光学異方性の特徴を有し得るし、液晶表示装置用の位相差フィルム、偏光膜保護フィルムなどとして用いることができる。
【0083】
本発明に係る液晶配向膜は基材と液晶配向膜との間の接着力に優れるため、前記液晶配向膜を光学フィルムに適用する時に基材を含む液晶配向膜、すなわち基材一体型液晶配向膜を利用することができ、必要によっては、基材を分離し、液晶配向膜だけを光学フィルムに適用することもできる。
【0084】
前記重合性液晶化合物は光によって周辺の液晶モノマーと重合され、液晶ポリマーを形成するネマチック液晶またはコレステリック液晶が使われ得る。
【0085】
一般的に、重合性液晶化合物は、配向性のあるプラスチック基材またはプラスチック基材に配向膜組成物を塗布して固定した配向膜上に等方性状態で塗布された後、乾燥および硬化過程において重合反応によってネマチック規則性またはコレステリック規則性を有する液晶に相転移されて特定方向に配向される特性があり、よって、他の層を積層しても配向は変化しない。
【0086】
本発明に係る光学フィルムにおいて、前記重合性液晶化合物は、光反応によって重合可能なアクリレート基を有する物質が1種以上用いられることが好ましい。前記アクリレート基を有する物質としては、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、シアノフェニルエステル系アクリレート、安息香酸フェニルエステル系アクリレート、フェニルピリミジン系アクリレート、これらの混合物などのような室温または高温においてネマチックまたはコレステリック液晶相を示す低分子液晶が挙げられる。
【0087】
本発明に係る光学フィルムは、偏光紫外線を照射して所望の角度に配向性を付与した液晶配向膜に液晶化合物溶液を塗布し乾燥した後、紫外線を照射することによって製造することができる。
また、本発明は1)本発明に係る液晶配向膜組成物から形成された液晶配向膜上に、重合性液晶化合物、光開始剤、および有機溶媒を含む液晶化合物溶液を塗布した後、乾燥して液晶層を形成するステップ、および2)前記形成された液晶層に紫外線を照射して液晶フィルム形成するステップを含む 光学フィルムの製造方法を提供する。
【0088】
前記液晶化合物溶液は、重合性液晶化合物および光開始剤を有機溶媒に溶解させて製造することができる。前記液晶化合物溶液のうちの重合性液晶化合物の含有量は特に制限されるものではないが、全液晶化合物溶液100重量部当たり5〜70重量部であることが好ましく、5〜50重量部であることがより好ましい。前記重合性液晶化合物の含有量が5重量部未満である場合には染みの発生がひどく、70重量部を超過する場合には溶媒の量が少ないために重合性液晶化合物が析出される。
【0089】
前記液晶化合物溶液には光開始剤が少量含まれる。前記光開始剤の含有量は、全液晶化合物溶液のうちの重合性液晶化合物100重量部当たり3〜10重量部であることが好ましい。前記光開始剤の含有量が3重量部未満である場合には紫外線の照射時に十分な硬化が起こらず、10重量部を超過する場合には光開始剤の影響により液晶配向が変わる。
【0090】
また、前記液晶化合物溶液には、光開始剤の他にも、液晶配向を妨げない限り、キラル剤、界面活性剤、重合性モノマー、ポリマーなどを添加することができる。
【0091】
前記液晶化合物溶液の製造時における有機溶媒としてはクロロホルム、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン類;イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどのアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類;などを用いることができるが、これらだけに限定されず、単一または混合物の形態で用いることができる。
【0092】
前記配向膜上に液晶化合物溶液を塗布した後には乾燥過程を経るが、乾燥温度は25〜120℃が好ましく、乾燥時間は少なくとも1分が好ましい。前記乾燥温度は液晶の配向位置の決定に重要な要因となり、前記温度範囲および時間範囲から脱する場合には、液晶の配向に影響を及ぼし得るし、染みなどが発生し得る。
【0093】
前記乾燥過程を経た後、配向膜上に配向された液晶層は、紫外線照射を通じて重合し硬化させることによって固定される。この時、重合による硬化は、紫外線領域の波長を吸収する光開始剤の存在下でなされる。紫外線の照射は、大気中、あるいは反応効率を上げるために酸素を遮断した窒素雰囲気下で行うことができる。通常、紫外線照射器は80w/cm以上の強さを有する中圧あるいは高圧の水銀紫外線ランプ、またはメタルハライドランプを使用することができる。紫外線の照射時、液晶層の表面温度が液晶状態を有する温度範囲以内になるように、基材と紫外線ランプとの間にコールドミラーやその他の冷却装置を設置することもできる。
【0094】
また、本発明は、前記光学フィルムを1つまたは2つ以上含む液晶表示装置を提供する。
【0095】
本発明に係る光学フィルムは、液晶表示装置用光学補償部材として好適に用いられる。その例としては、STN(Super Twist Nematic)型LCD、TFT−TN(Thin Film Transistor−Twisted Nematic)型LCD、VA(Vertical Alignment)型LCD、IPS(In−Plane Switching)型LCDなどの位相差フィルム;1/2波長板;1/4波長板;逆波長分散特性フィルム;光学補償フィルム;カラーフィルタ;偏光板との積層フィルム;偏光板補償フィルムなどが挙げられる。
【0096】
前記光学フィルムを1つまたは2つ以上含む液晶表示装置をより具体的に説明すれば次の通りである。
【0097】
液晶セルおよび該液晶セルの両面に各々備えられた第1偏光板および第2偏光板を含む液晶表示装置において、光学フィルムは前記液晶セルと前記第1偏光板および/または第2偏光板との間に備えられ得る。すなわち、第1偏光板と液晶セルとの間に光学異方性フィルムが備えられ得るし、第2偏光板と液晶セルとの間に、または第1偏光板と液晶セルとの間と第2偏光板と液晶セルとの間の全てに光学フィルムが1つまたはそれ以上備えられ得る。
【0098】
前記第1偏光板および第2偏光板は一面または両面に保護フィルムを含むことができる。前記内部保護フィルムとしてはトリアセテートセルロース(TAC)フィルム、開環メタセシス重合(ring opening metathesis polymerization;ROMP)により製造されたポリノルボルネン系フィルム、開環重合された環状オレフィン系重合体を再び水素添加して得られたHROMP(ring opening metathesis polymerization followed by hydrogenation)重合体、ポリエステルフィルム、または付加重合(addition polymerization)により製造されたポリノルボルネン系フィルムなどであってもよい。この他にも透明な高分子材料から製造されたフィルムが保護フィルムなどとして使われ得るが、これらだけに限定されるものではない。
【0099】
また、本発明は偏光膜を含み、前記偏光膜の一面または両面に本発明に係る光学フィルムを保護フィルムとして1つまたはそれ以上含む一体型偏光板を提供する。
【0100】
本発明に係る光学フィルムが前記一体型偏光板内の保護フィルムとして適用される場合、偏光膜と接する部分は本発明の光学フィルムの基材面であってもよく、液晶フィルム面であってもよい。
【0101】
偏光膜の一面だけに位相差フィルムが備えられる場合、残りの他面には当技術分野で知られている保護フィルムが備えられ得る。
【0102】
前記偏光膜としてはヨウ素または二色性染料を含むポリビニルアルコール(PVA)からなるフィルムを用いることができる。前記偏光膜はPVAフィルムにヨウ素または二色性染料を染着させて製造するが、その製造方法は特に限定されるものではない。本明細書において、偏光膜は保護フィルムを含まない状態を意味し、偏光板は偏光膜と保護フィルムを含む状態を意味する。
【0103】
本発明の一体型偏光板において、保護フィルムと偏光膜は当技術分野で知られている方法によって貼り合わせることができる。
【0104】
例えば、保護フィルムと偏光膜との貼り合わせは接着剤を用いた接着方式によってなされる。すなわち、先ず、偏光膜の保護フィルムまたは偏光膜であるPVAフィルムの表面上にロールコータ、グラビアコータ、バーコータ、ナイフコータまたはキャピラリーコータなどを使用して接着剤をコーティングする。接着剤が完全に乾燥される前に保護フィルムと偏光膜を貼り合わせロールで加熱圧着するか常温圧着して貼り合わせる。ホットメルト型接着剤を用いる場合には加熱圧着ロールを使わなければならない。
【0105】
前記保護フィルムと偏光板を貼り合わせる時に使用可能な接着剤は一液型または二液型のPVA接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、スチレンブタジエンゴム系(SBR系)接着剤またはホットメルト型接着剤などがあるが、これらだけに限定されるものではない。ポリウレタン系接着剤を使用する場合には、光によって黄変しない脂肪族イソシアネート系化合物を用いて製造したポリウレタン系接着剤を使用することが好ましい。一液型または二液型のドライラミネート用接着剤またはイソシアネートとヒドロキシ基との反応性が比較的に低い接着剤を使用する場合には、アセテート系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤または芳香族系溶剤などにより薄められた溶液型接着剤を使用することもできる。この時、接着剤の粘度は5,000cps以下の低粘度型のものが好ましい。前記接着剤は、貯蔵安定性に優れつつ、400〜800nmにおける光透過度が90%以上であるものが好ましい。
【0106】
十分な粘着力を発揮できるのであれば粘着剤も使用することができる。粘着剤は、貼り合わせ後、熱または紫外線によって十分に硬化が起こって機械的強度が接着剤レベルに向上されるのが好ましく、界面接着力も大きくて粘着剤が付着された両側フィルムのうちのいずれか一方を破壊しなくては剥離されない程度の粘着力を有することが好ましい。
【0107】
使用可能な粘着剤の具体的な例としては、光学透明性に優れた天然ゴム、合成ゴムまたはエラストマ、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアクリレートまたは変性ポリオレフィン系粘着剤などと、ここにイソシアネートなどの硬化剤を添加した硬化型粘着剤が挙げられる。
【0108】
また、本発明は、前記一体型偏光板を含む液晶表示装置を提供する。
【0109】
本発明に係る液晶表示装置が前述した一体型偏光板を含む場合にも、本発明に係る光学フィルム1枚以上を偏光板と液晶セルとの間にさらに含んでもよい。
【実施例】
【0110】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。但し、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるだけであって、それによって本発明の内容が限定されるものではない。
【0111】
<実施例>
<実施例1>
下記表1のように光反応性重合体である5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)と、多官能性モノマーであるペンタエリスリトールトリアクリレート、および光開始剤であるIrgacure907(スイス、Ciba−Geigy社)をシクロペンタノンに各々2重量%、2重量%、0.5重量%の濃度で溶解し、前記組成で作られた液晶配向膜塗工液をシクロオレフィン系フィルム(日本、SEKISUI、KANEKA)上に、乾燥後、厚さが1,000Åになるように塗布し、70℃乾燥オーブンで2分間熱風乾燥させて液晶配向膜を形成した。
【0112】
前記液晶配向膜は、光源として80w/cm強さの高圧水銀ランプを使用し、Moxtek社のワイヤーグリッド偏光板を利用し、基材の進行方向と垂直した偏光紫外線が出るように設けて、3m/分の速度で1回露光させることによって配向性を付与した。
【0113】
前記液晶配向膜上に、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなるスプレイ配向が可能な重合性液晶化合物(Merck)95重量%と光開始剤であるIrgacure907(スイス、Ciba−Geigy社)5重量%が混合された固形分を全体溶液100重量部当たり含有量が25重量部になるようにトルエンに溶解させて製造した重合性液晶化合物塗工液を乾燥後の厚さが1ミクロンになるように塗布し、60℃乾燥オーブンで2分間熱風乾燥した後、80w/cm強さの高圧水銀ランプで非偏光紫外線を照射、硬化させることによって液晶フィルムを製作した。
【0114】
よって、最終的には、シクロオレフィン系フィルム、前記シクロオレフィン系フィルム上に形成された液晶配向膜、前記液晶配向膜上に形成された液晶フィルムの順に積層された光学フィルムを得ることができる。
【0115】
各層間結合力、言い換えれば、シクロオレフィン系延伸フィルムと液晶配向膜、液晶配向膜と液晶フィルムとの間の接着力はASTMで規定するcross−cut試験方法を利用して評価し、液晶配向膜上に形成された液晶フィルムの光学特性は複屈折測定装置であるAxoscan(Axomatrix社製)を使って定量的な位相差値を測定した。
【0116】
【表1】

【0117】
<実施例2>
シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなるスプレイ配向が可能な重合性液晶化合物の代わりに、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなる垂直配向が可能な重合性液晶化合物(Merck)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法により液晶フィルムを製作した。
【0118】
<実施例3>
シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレートおよびシアノフェニルエステル系アクリレートからなるスプレイ配向が可能な重合性液晶化合物の代わりに、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、シアノフェニルエステル系アクリレート、安息香酸フェニルエステル系アクリレート、フェニルピリミジン系アクリレートからなるコレステリック配向が可能な重合性液晶化合物(Merck)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法により液晶フィルムを製作した。
【0119】
<実施例4>
光反応性重合体を5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)の代わりに、5−ノルボルネン−2−メチル−(4−フルオロシンナメート)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0120】
<実施例5>
光反応性重合体を5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)の代わりに、5−ノルボルネン−2−メチル−(4−アリルオキシシンナメート)( 化学式6で示される化合物)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0121】
<実施例6>
光反応性重合体を5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)の代わりに、5−ノルボルネン−2−メチル−シンナメート( 化学式5で示される化合物)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0122】
<実施例7>
下記表2のように、光反応性重合体である5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)と、多官能性モノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、および光開始剤であるIrgacure907(スイス、Ciba−Geigy社)をトルエンに各々2重量%、2重量%、0.5重量%の濃度で溶解し、前記組成で作られた液晶配向膜塗工液を厚さ80ミクロンのアセチルセルロース基材上に乾燥後の厚さが1,000Åになるように塗布した後、70℃乾燥オーブンで2分間熱風乾燥させて液晶配向膜を形成した。
【0123】
前記液晶配向膜は、光源として80w/cm強さの高圧水銀ランプを使用し、Moxtek社のワイヤーグリッド偏光板を利用し、基材の進行方向と垂直した偏光紫外線が出るように設けて、3m/分の速度で1回露光させることによって配向性を付与した。
【0124】
前記液晶配向膜上に、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなる平面配向が可能な重合性液晶化合物(Merck)95重量%と光開始剤であるIrgacure907(スイス、Ciba−Geigy社)5重量%が混合された固形分を全体溶液100重量部当たり含有量が25重量部になるようにトルエンに溶解させて製造した液晶化合物塗工液を乾燥後の厚さが1ミクロンになるように塗布し、60℃乾燥オーブンで2分間熱風乾燥した後、80w/cm強さの高圧水銀ランプで非偏光紫外線を3m/分の速度で1回露光させ硬化させることによって液晶フィルムを製造した。
【0125】
よって、最終的には、アセチルセルロース基材、前記基材上に形成された液晶配向膜、前記液晶配向膜上に形成された液晶フィルムの順に積層された光学フィルムを得ることができる。
【0126】
各層間結合力、言い換えれば、アセチルセルロース基材と液晶配向膜、液晶配向膜と液晶フィルムとの間の接着力はASTMで規定するcross−cut試験方法を利用して評価し、液晶配向膜上に形成された液晶フィルムの光学特性は複屈折測定装置であるAxoscan(Axomatrix社製)を使って定量的な位相差値を測定した。
【0127】
【表2】

【0128】
<実施例8>
下記表3のように、多官能性モノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの代わりに、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレートを用いたことを除いては、前記実施例7と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0129】
【表3】

【0130】
<実施例9>
シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなる平面配向が可能な重合性液晶化合物の代わりに、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなるスプレイ配向が可能な重合性液晶化合物(Merck)を用いたことを除いては、前記実施例7と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0131】
<実施例10>
シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなる平面配向が可能な重合性液晶化合物の代わりに、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、シアノフェニルエステル系アクリレート、安息香酸フェニルエステル系アクリレート、フェニルピリミジン系アクリレートからなるコレステリック配向が可能な重合性液晶化合物(Merck)を用いたことを除いては、前記実施例7と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0132】
<実施例11>
液晶配向膜を製造する時、偏光紫外線の方向が基材の進行方向に対して15度になるように照射したことを除いては、前記実施例7と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0133】
<実施例12>
液晶配向膜を製造する時、偏光紫外線の方向が基材の進行方向に対して75度になるように照射したことを除いては、前記実施例7と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0134】
<実施例13>
光反応性重合体を5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)の代わりに、5−ノルボルネン−2−メチル−(4−フルオロシンナメート)を用いたことを除いては、前記実施例7と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0135】
<実施例14>
光反応性重合体を5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)の代わりに、5−ノルボルネン−2−メチル−(4−アリルオキシシンナメート)( 化学式6で示される化合物)を用いたことを除いては、前記実施例7と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0136】
<実施例15>
光反応性重合体を5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)の代わりに、5−ノルボルネン−2−メチル−シンナメート(化学式5で示される化合物)を用いたことを除いては、前記実施例7と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0137】
<実施例16>
ポリ(N−シクロヘキシルマレイミド−co−メチルメタクリレート)樹脂およびフェノキシ系樹脂を85:15の重量比で均一に混合した樹脂組成物を、原料ホッパー(hopper)から押出機までを窒素置換した16φの押出機に供給し、250℃で溶融して原料ペレット(pellet)を製造した。
【0138】
フェノキシ系樹脂としてはInChemRez○R社のPKFE(Mw=60,000、Mn=16,000、Tg=98℃)を用い、ポリ(N−シクロヘキシルマレイミド−co−メチルメタクリレート)樹脂は、NMR分析結果、N−シクロヘキシルマレイミドの含有量が6.5重量%であった。
【0139】
得られた原料ペレットを真空乾燥し、250℃において押出機で溶融、コートハンガータイプのT−ダイ(T−die)に通過させ、クロムメッキキャスティングロールおよび乾燥ロールなどを経て厚さ40μmのアクリル系フィルムを製造した。
【0140】
下記表4のように、光反応性重合体である5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)と、多官能性モノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、および光開始剤であるIrgacureOXE02(スイス、Ciba−Geigy社)をシクロペンタノンに各々2重量%、2重量%、0.5重量%の濃度で溶解し、前記組成で作られた液晶配向膜塗工液を前記アクリル系フィルム上に乾燥後の厚さが1,000Åになるように塗布した後、70℃乾燥オーブンで2分間熱風乾燥させて液晶配向膜を形成した。
【0141】
前記液晶配向膜は、光源として80w/cm強さの高圧水銀ランプを使用し、Moxtek社のワイヤーグリッド偏光板を利用し、基材の進行方向と垂直した偏光紫外線が出るように設けて、3m/分の速度で1回露光させることによって配向性を付与した。
【0142】
前記液晶配向膜上に、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなる平面配向が可能な重合性液晶化合物(Merck)95重量%と光開始剤であるIrgacure907(スイス、Ciba−Geigy社)5重量%が混合された固形分を全体溶液100重量部当たり含有量が25重量部になるようにトルエンに溶解させて製造した液晶化合物塗工液を乾燥後の厚さが1ミクロンになるように塗布し、60℃乾燥オーブンで2分間熱風乾燥した後、80w/cm強さの高圧水銀ランプで非偏光紫外線を照射、硬化させることによって液晶フィルムを製造した。
【0143】
よって、最終的には、アクリル系フィルム、前記アクリル系フィルム上に形成された液晶配向膜、前記液晶配向膜上に形成された液晶フィルムの順に積層された光学フィルムを得ることができる。
【0144】
【表4】

【0145】
<実施例17>
シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなる平面配向が可能な重合性液晶化合物の代わりに、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなるスプレイ配向が可能な重合性液晶化合物(Merck)を用いたことを除いては、前記実施例16と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0146】
<実施例18>
シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなる平面配向が可能な重合性液晶化合物の代わりに、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、シアノフェニルエステル系アクリレート、安息香酸フェニルエステル系アクリレート、フェニルピリミジン系アクリレートからなるコレステリック配向が可能な重合性液晶化合物(Merck)を用いたことを除いては、前記実施例16と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0147】
<比較例1>
下記表5のように、液晶配向膜組成物において、多官能性モノマーと光開始剤を除いた5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)のみからなる組成物を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法により液晶フィルムを製作した。
【0148】
【表5】

【0149】
<比較例2>
下記表6のように、液晶配向膜組成物において、5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)の代わりに、5−ノルボルネン−2−メトキシ−ヘキシルアクリレートを用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法により液晶フィルムを製作した。
【0150】
【表6】

【0151】
<比較例3>
下記表7のように、液晶配向膜組成物において、多官能性モノマーと光開始剤を除いた5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)のみからなる組成物を用いたことを除いては、前記実施例7と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0152】
【表7】

【0153】
<比較例4>
下記表8のように、液晶配向膜組成物において、5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)の代わりに、5−ノルボルネン−2−メトキシ−ヘキシルアクリレートを用いたことを除いては、前記実施例7と同じ方法により液晶フィルムを製造した。
【0154】
【表8】

【0155】
<スプレイ配向の位相差確認(シクロオレフィン系フィルム)>
図1は、前記実施例1によって製造された配向膜上に形成されたスプレイ配向液晶フィルムの視野角に応じた位相差分布を示すものである。図1から分かるように、視野角が変化することに伴い、前記スプレイ配向液晶フィルムの位相差が良好に分布していることを確認することができる。
【0156】
<垂直配向の位相差確認(シクロオレフィン系フィルム)>
図2は、前記実施例2によって製造された配向膜上に形成された垂直配向液晶フィルムの視野角に応じた位相差分布を示すものである。図2から分かるように、視野角が変化することに伴い、前記垂直配向液晶フィルムの位相差が良好に分布していることを確認することができる。
【0157】
<コレステリック配向の透過率確認(シクロオレフィン系フィルム)>
図3は、前記実施例3によって製造された配向膜上に形成されたコレステリック配向液晶フィルムの透過率を示すものである。図3から分かるように、各波長帯別に液晶がコレステリック配向されていることを確認することができる。
【0158】
<平面配向の位相差確認(アセチルセルロースフィルム)>
図4は、前記実施例7によって製造された配向膜上に形成された平面配向液晶フィルムの視野角に応じた位相差分布を示すものである。図4から分かるように、視野角が変化するに伴い、前記平面配向液晶フィルムの位相差が良好に分布していることを確認することができる。
【0159】
<スプレイ配向の位相差確認(アセチルセルロースフィルム)>
図5は、前記実施例9によって製造された配向膜上に形成されたスプレイ配向液晶フィルムの視野角に応じた位相差分布を示すものである。図5から分かるように、視野角が変化するに伴い、前記スプレイ配向液晶フィルムの位相差が良好に分布していることを確認することができる。
【0160】
<コレステリック配向の透過率確認(アセチルセルロースフィルム)>
図6は、前記実施例10によって製造された配向膜上に形成されたコレステリック配向液晶フィルムの透過率を示すものである。図6から分かるように、各波長帯別に液晶がコレステリック配向されていることを確認することができる。
【0161】
<配向性および接着性の確認>
実施例1〜9および比較例1〜4による液晶フィルムの配向性と、基材と配向膜との間の接着性、配向膜と液晶との間の接着性を評価し、その結果を下記表9に示す。配向性評価は、配向が全くなっていない場合(X)と、若干の偏差はあるものの、配向される場合(O)を基準にして実施した。接着性は、ASTM規格に従い、液晶フィルムの表面に1mm間隔に碁盤目状にクロス−カット(cross−cut)した後、その上にセロハンテープをつけ、それを剥がす時についているか否かを判断したものであり、(O)は完全についている場合を、(X)は碁盤目状の間が部分的に剥離されるかあるいは完全に剥離される場合を示す。
【0162】
【表9】

【0163】
<配向膜の熱安定性確認>
実施例1〜18および比較例1〜4によって製作された光配向膜を100℃乾燥オーブンに48時間以上放置し、前記配向膜上に重合性液晶化合物を載せて配向性および接着性を調べることにより配向膜の熱安定性を確認して下記表10に示す。配向性の評価は、全く配向されない場合(X)と、若干の偏差はあるものの、配向される場合(O)を基準にして実施した。接着性は、ASTM規格に従い、液晶フィルムの表面に1mm間隔に碁盤目状にクロス−カット(cross−cut)した後、その上にセロハンテープをつけ、それを剥がす時についているか否かを判断したものであり、(O)は完全についている場合を、(X)は碁盤目状の間が部分的に剥離されるかあるいは完全に剥離される場合を示す。
【0164】
【表10】

【0165】
前記結果から、本発明に係る液晶配向膜組成物を用いて液晶配向膜を製造する場合、液晶配向膜の熱的安定性および表面硬度が改善され、基材と液晶配向膜、液晶配向膜と液晶フィルムとの接着力に優れ、光学フィルムの耐久性を向上させられることが分かる。したがって、高温多湿な環境においても液晶フィルムが液晶配向膜から剥離したり収縮したりするなどの問題点を解決することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体、下記化学式1で示される単位を含む光反応性重合体および下記化学式2で示される単位を含む光反応性重合体からなる群から選択された光反応性重合体一種以上、2)前記1)光反応性重合体と架橋反応可能な多官能性モノマー、3)光開始剤、および4)有機溶媒を含む液晶配向膜組成物:
【化17】

【請求項2】
前記1)光反応性重合体は、数平均分子量が10,000〜500,000であることを特徴とする、請求項1に記載の液晶配向膜組成物。
【請求項3】
前記シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体は下記化学式3で示される単位を含むことを特徴とする、請求項1に記載の液晶配向膜組成物:
【化18】

前記化学式3において、
nは50〜5,000であり、
R1およびR2のうち少なくとも1つは下記化学式4で示され、
残りは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基および下記化学式4の基からなる群から選択され、
【化19】

前記化学式4において、R3は各々独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基およびアリルオキシ基からなる群から選択される。
【請求項4】
前記シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体はポリノルボルネンシンナメート、ポリノルボルネンアルコキシシンナメート(アルコキシ基は炭素数1〜20)、ポリノルボルネンアリロイルオキシシンナメート、ポリノルボルネンフッ素化シンナメート、ポリノルボルネン塩素化シンナメートおよびポリノルボルネンジシンナメートからなる群から選択されたいずれか1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の液晶配向膜組成物。
【請求項5】
前記シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体は、下記化学式5〜化学式10で示される単位のうちのいずれか1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の液晶配向膜組成物:
【化20】

【化21】

【化22】

前記化学式5〜化学式10において、nは50〜5,000である。
【請求項6】
前記1)光反応性重合体の含有量は、液晶配向膜組成物全体に基づき0.1〜20重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の液晶配向膜組成物。
【請求項7】
前記2)多官能性モノマーは、下記構造式からなる群から選択されたラジカル反応を生じる官能基を含むことを特徴とする、請求項1に記載の液晶配向膜組成物:
【化23】

【請求項8】
前記2)多官能性モノマーは、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)/テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ/ペンタアクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メチル)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−カルボキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、モノ−2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、ビニルアクリレート、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール1,3−ジグリセロレートジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)グリセロレートジアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、メチル2−アセトアミドアクリレート、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N,N’−(1,2ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、テトラシアノエチレンオキシド、トリアリル1,3,5−ベンゼントリカルボキシレート、ジアセトンアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、ポリ(メラミン−co−ホルムアルデヒド)、2−カルボキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、モノ−2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、ビニルアクリレート、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(2−オキソ−イミダゾリジニル)エチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルエステル、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルマレート、1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]メタン、および2−ビニル−1,3−ジオキサレンからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の液晶配向膜組成物。
【請求項9】
前記2)多官能性モノマーの含有量は、液晶配向膜組成物全体に基づき0.1〜20重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の液晶配向膜組成物。
【請求項10】
前記3)光開始剤の含有量は、液晶配向膜組成物全体に基づき0.01〜5重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の液晶配向膜組成物。
【請求項11】
前記4)有機溶媒は、エーテル系、芳香族系、ハロゲン系、オレフィン系、およびケトン系からなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の液晶配向膜組成物。
【請求項12】
1)基材上に請求項1〜11のうちのいずれか一項による液晶配向膜組成物を塗布した後に乾燥して被膜を形成するステップ、および
2)前記基材上に形成された被膜に紫外線を照射するステップ
を含む液晶配向膜の製造方法。
【請求項13】
前記1)ステップの基材は、ガラス基板またはプラスチック基材であることを特徴とする、請求項12に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項14】
前記1)ステップの形成される被膜の厚さは800〜2,000Åであることを特徴とする、請求項12に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項15】
請求項12による液晶配向膜の製造方法により製造される液晶配向膜および重合性液晶化合物を含む光学フィルム。
【請求項16】
前記重合性液晶化合物は、光反応によって重合可能なアクリレート基を有する物質から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項15に記載の光学フィルム。
【請求項17】
前記アクリレート基を有する物質は、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、シアノフェニルエステル系アクリレート、安息香酸フェニルエステル系アクリレート、フェニルピリミジン系アクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の光学フィルム。
【請求項18】
1)請求項1〜11のうちのいずれか一項による液晶配向膜組成物から形成される液晶配向膜上に、重合性液晶化合物、光開始剤、および有機溶媒を含む液晶化合物溶液を塗布した後に乾燥して液晶層を形成するステップ、および
2)前記形成された液晶層に紫外線を照射して液晶フィルムを形成するステップ
を含む光学フィルムの製造方法。
【請求項19】
前記1)ステップの重合性液晶化合物の含有量は、全液晶化合物溶液100重量部当たり5〜70重量部であり、光開始剤の含有量は、全液晶化合物溶液のうちの前記重合性液晶化合物100重量部当たり3〜10重量部であることを特徴とする、請求項18に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項20】
前記1)ステップの液晶化合物中の溶媒は、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、およびセロソルブ類からなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項18に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項21】
請求項15〜17のうちのいずれか一項の光学フィルムを1つまたは2つ以上含む液晶表示装置。
【請求項22】
偏光膜を含み、前記偏光膜の一面または両面に請求項15〜17のうちのいずれか一項の光学フィルムを保護フィルムとして1つまたは2つ以上含むことを特徴とする一体型偏光板。
【請求項23】
請求項22の一体型偏光板を含む液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−510345(P2011−510345A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543062(P2010−543062)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【国際出願番号】PCT/KR2009/000272
【国際公開番号】WO2009/091225
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】