説明

液浸材包装容器

【課題】 本発明は、液浸材、たとえば、ウェットティシュ、水性または油性の化粧料が浸漬した部材、消毒用等の薬液が浸漬した部材を繰り返し開閉可能な密封性の高い包装容器内に収納することができる液浸材包装容器に関するものである。
【解決手段】 本発明の液浸材包装容器は、液浸材を収容する容器本体と、前記容器本体の底部を塞ぐ底部材と、前記容器本体に設けられた前記開口部を開閉自在に塞ぐ接着剤が塗布されている蓋部材とから構成されている。前記開口部の外部周辺には、前記開口部に沿って設けられた開口溝部と、前記開口溝部から開口部に向かう複数の放射溝部とが設けられている。また、前記開口部の内部周辺には、開口部周辺において、液浸材との間のスペーサとなる放射状に設けられた複数の内部放射状突条部が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸材、たとえば、ウェットティシュ、水性または油性の化粧料が浸漬した部材、消毒用等の薬液が浸漬した部材を繰り返し開閉可能な密封性の高い包装容器に収納することができる液浸材包装容器に関するものである。本明細書において、「液浸材」は、前記ウェットティシュ、水性または油性の化粧料が浸漬した部材、消毒用等の薬液が浸漬した部材等を意味する。また、本発明の「液浸材」は、紙、綿、織布、不織布等からなるものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液浸材包装容器は、ポリプロピレンまたはポリエチレン等からなる容器から構成され、上面に開口部が設けられている。前記液浸材包装容器は、内部に積層された液浸材が乾燥しないように収納され、底部の底部材と、上部の開口部に接着剤が塗布された蓋部材によって閉塞されている。前記液浸材は、使用する際に、前記開口部の蓋材を剥がし、開口部の内部から取り出される。前記液浸材包装容器は、たとえば、特開2003−137369号公報に詳細が記載されている。
【特許文献1】特開2003−137369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記液浸材包装容器は、内部の液浸材を取り出す度に、接着剤の付着した蓋部材を何回も剥離あるいは付着を繰り返す。前記接着剤の付着した蓋部材は、接着力に逆らって剥離する際に、内部に収納された液浸材の溶液が接着剤にかかると、接着性を弱め、密閉状態を悪くする。そのため、前記液浸材は、溶液が蒸発し、乾燥状態になり、使用することができなくなる。また、前記蓋部材は、薄い膜であるため、剥離と付着を繰り返しているうちに、皺ができ、その皺の部分によって密閉状態を悪くする。さらに、前記液浸材包装容器の開口部周辺には、液浸材の溶液が付着し易く、前記溶液により、接着剤の接着性を弱めるという問題があった。
【0004】
以上のような課題を解決するために、本発明は、液浸材包装容器の蓋部材における開口部の外部周辺に沿った開口溝部、前記開口溝部から前記開口部に向かって設けられた複数の放射溝部、あるいは、前記蓋部材の内部に向かって突出した複数の内部放射状突条部の少なくとも一つを備えることにより、容器の密閉性を向上させることができる液浸材包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(第1発明)
第1発明の液浸材包装容器は、液浸材を非通気性の状態で収容し、上部の開口部から適宜取り出すことができるものであり、収容された前記液浸材を取り出す開口部を有するとともに、前記開口部の外部に沿った開口溝部と、前記開口溝部から前記開口部に向かって設けられた複数の放射溝部と、内部に向かって突出した複数の内部放射状突条部とを備えている容器本体と、前記容器本体の底部を塞ぐ底部材と、前記容器本体の開口部を開閉自在に塞ぐ接着剤が塗布されている蓋部材とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0006】
(第2発明)
第2発明の液浸材包装容器は、液浸材を非通気性の状態で収容し、上部の開口部から適宜取り出すことができるものであり、収容された前記液浸材を取り出す開口部を有するとともに、前記開口部の外部に沿った開口溝部と、前記開口溝部から前記開口部に向かって設けられた複数の放射溝部とを備えている容器本体と、前記容器本体の底部を塞ぐ底部材と、前記容器本体の開口部を開閉自在に塞ぐ接着剤が塗布されている蓋部材とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0007】
(第3発明)
第3発明の液浸材包装容器は、液浸材を非通気性の状態で収容し、上部の開口部から適宜取り出すことができるものであり、収容された前記液浸材を取り出す開口部を有するとともに、内部に向かって突出した複数の内部放射状突条部とを備えている容器本体と、前記容器本体の底部を塞ぐ底部材と、前記容器本体の開口部を開閉自在に塞ぐ接着剤が塗布されている蓋部材とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0008】
(第4発明)
第4発明の液浸材包装容器は、第1発明から第3発明における開口溝部および前記放射溝部の幅および深さが0.3mmから2.0mmであることを特徴とする。
【0009】
(第5発明)
第5発明の液浸材包装容器は、第1発明から第4発明における内部放射状突条部が幅が0.3mmから2.0mmで、長さが蓋部材の端部近傍に達するものであることを特徴とする。
【0010】
(第6発明)
第6発明の液浸材包装容器は、第1発明から第4発明における容器本体の内部において、積層された前記液浸材が二つのブロックに分割され、その間に前記容器本体の上部から底部材の近傍に達するスペーサが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液浸材包装容器における開口部の外部周辺に設けられた開口溝部および前記開口溝部から開口部に向かう複数の放射溝部は、蓋部材が開かれた際に、前記蓋部材に付着した溶液が垂れて前記開口溝部から放射溝部を通り、容器本体に流れるため、前記溶液が前記蓋部材を通り外部に漏れることがない。したがって、前記蓋部材に塗布された接着剤は、前記開口周辺部において、溶液により汚染されないため、前記蓋部材の開け閉めによる劣化がなく、容器本体の密閉状態を保持することができる。
【0012】
本発明によれば、液浸材包装容器の蓋部材は、周辺に溶液が付かないため、密着性を弱めないだけでなく、再度蓋をする際に皺が寄らない。
【0013】
本発明によれば、液浸材包装容器内部に設けられた内部放射状突条部は、容器本体の上面と液浸材との間において、スペーサとなるため、通常の使用状態において、前記蓋部材に溶液の付着を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1発明)
第1発明の液浸材包装容器は、溶液が浸漬されて積層状態となっている液浸材を非通気性の状態で収容し、上部の開口部から適宜一枚ずつ取り出して、使用することができるものである。前記容器本体は、前記液浸材を収容する容器本体と、前記容器本体の底部を塞ぐ底部材と、前記容器本体に設けられた前記開口部を開閉自在に塞ぐ接着剤が塗布されている蓋部材とから構成されている。
【0015】
前記開口部の外部周辺には、前記開口部に沿って設けられた開口溝部と、前記開口溝部から開口部に向かう複数の放射溝部とが設けられている。また、前記開口部の内部周辺には、開口部周辺において、液浸材との間のスペーサとなる放射状に設けられた複数の内部放射状突条部が備えられている。また、前記内部放射状突条部は、前記蓋部材の近傍に延びる長さを有する。
【0016】
前記開口部の外部周辺に設けられた開口溝部および前記開口溝部から開口部に向かう複数の放射溝部は、前記蓋部材が開かれた際に、前記蓋部材に付着した溶液が垂れて前記開口溝部から放射溝部を通り、容器本体に流れるため、前記溶液が前記蓋部材を通り外部に漏れることがない。したがって、前記蓋部材に塗布された接着剤は、前記開口部周辺において、溶液により汚染されないため、前記蓋部材の開け閉めによる劣化がなく、容器本体の密閉状態を保持することができる。また、前記蓋部材は、周辺に溶液が付かないため、密着性を弱めないだけでなく、再度蓋をする際に皺が寄らない。さらに、前記容器本体内部に設けられた内部放射状突条部は、容器本体の上面と液浸材との間において、スペーサとなるため、通常の使用状態において、前記蓋部材に溶液の付着を少なくすることができる。
【0017】
(第2発明)
第2発明の液浸材包装容器は、容器本体の内部に内部放射状突条部が設けられていない点で第1発明と異なっている。第2発明は、前記内部放射状突条部が容器本体内部にない場合であっても、前記開口部の外部周辺に沿って設けられた開口溝部と、前記開口溝部から開口部に向かう複数の放射溝部とによって、蓋部材の接着剤が劣化しないようにすることができる。
【0018】
(第3発明)
第3発明の液浸材包装容器は、容器本体の内部に内部放射状突条部のみが設けられている点で第1発明および第2発明と異なっている。第3発明は、前記内部放射状突条部が容器本体内部にあるため、この部分が液浸材と蓋部材との間におけるスペーサとなるため、通常の使用状態であれば、前記蓋部材に塗布された接着剤が劣化しないようにすることができる。
【0019】
(第4発明)
第4発明の液浸材包装容器に設けられた開口溝部および前記放射溝部の幅および深さは、0.3mmから2.0mmとした。前記幅および深さは、溶液が毛細管現象により移動し易い大きさであり、本発明に使用する液浸材包装容器に適した大きさであることが判った。
【0020】
(第5発明)
第5発明の液浸材包装容器に設けられた内部放射状突条部は、幅が0.3mmから2.0mmで、長さが蓋部材の端部近傍に達するようにした。前記内部放射状突条部の幅および長さは、通常の液浸材と容器本体との間におけるスペーサとしての機能を十分に果たすことができた。
【0021】
(第6発明)
第6発明の液浸材包装容器は、積層された液浸材が二つの部に分割されて内部に収容できる大きさのものである。前記液浸材包装容器の内部において、積層された前記液浸材が、二つのブロックに分割され、互いにぶつかり合うことができないように、その間に前記容器本体の上部から底部材の近傍に達するスペーサが設けられている。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明の第1実施例で、液浸材包装容器を説明するための斜視図である。図2は本発明の第1実施例で、液浸材包装容器を説明するための平面図である。図3は本発明の第1実施例で、液浸材包装容器を説明するための正面図である。図4は本発明の第1実施例で、液浸材包装容器を説明するための図2におけるA−A断面図である。図1から図4において、液浸材包装容器11は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等、およびこれらの混合物からなる金型による成形容器であり、液浸材311、312を収納する容器本体12と、液浸材311、312を収納した後、底部を閉める底部材13と、前記液浸材311、312を取り出す開口部121を閉塞する蓋部材14とから構成されている。
【0023】
前記容器本体12は、下部にフランジ124を有し、上部に前記液浸材311、312を取り出す開口部121を備えている。前記容器本体12は、内部に液浸材311、312を収納した後、底部材13によって閉塞される。また、容器本体12の開口部121は、再剥離可能な接着剤141が塗布された蓋部材14によって閉塞される。
【0024】
前記液浸材包装容器11の開口部121には、開口部121の近傍周辺に成形された開口溝部122と、前記開口溝部122から開口部121に繋がる放射状の放射溝部123とが成形されている。前記液浸材包装容器11の開口部121の内部下面には、内部放射状突条部125が蓋部材14の端部近傍に達する長さに成形されている。前記開口溝部122および放射溝部123は、蓋部材14に液浸材311、312の溶液が付着しても、毛細管現象により、前記溝に沿って容器本体12内に入る。また、前記内部放射状突条部125は、前記液浸材311、312の上部と容器本体12の下面とのスペーサとなり、通常の使用状態において、蓋部材14に液浸材311、312の溶液が付着し難い。
【0025】
前記開口溝部122および放射溝部123の幅および深さは、大きさを変えて溶液の状態を調べた結果、0.3mmから2.0mm程度のものが良好であった。また、前記内部放射状突条部125は、高さおよび幅が0.3mmから2.0mmで、前記開口部121から蓋部材14の端部近傍に延びるように成形されることが好ましい。
【0026】
前記蓋部材14は、全面に接着剤141が塗布されており、複数回の剥離および付着が可能な接着性を有するものである。また、前記蓋部材14の剥離側には、つまみ142となる凸部を有し、前記つまみ142の反対側には、粘着固定部143が設けられている。前記粘着固定部143には、「J」字状切込み部144が両端に設けられている。前記「J」字状切込み部144は、前記蓋部材14を開いた状態にした場合、この部分において、粘着固定部143の部分が剥がれないようになっている。なお、前記「J」字状切込み部144についての詳細は、たとえば、特開2005−271966号公報に詳細が記載されている。
【0027】
前記容器本体12の上面下部には、下方に向け底部材13の近傍まで延びるスペーサ126が設けられている。前記スペーサ126は、前記容器本体12を二分する位置にあり、液浸材311と液浸材312が互いの端部を押しつけて、重ならないようにしている。
【実施例2】
【0028】
図5は本発明の第2実施例で、液浸材包装容器を説明するための平面図である。図6は本発明の第2実施例で、液浸材包装容器を説明するための図5におけるB−B断面図である。図5および図6において、容器本体12の内部下面に内部放射状突条部125のみが設けられており、開口溝部および放射溝部が設けられていない点で、第1実施例と異なっている。前記液浸材包装容器11は、前記内部放射状突条部125が前記容器本体12の下面と液浸材との間に存在し、スペーサ126の役割を果たしている。前記スペーサ126は、液浸材の溶液が前記蓋部材14に付着し難くなっている。
【0029】
その他の実施例としては、図1における開口溝部122のみを設けたもの、あるいは、放射溝部123のみを設けたもの、開口溝部122および放射溝部123を組み合わせたもののみを設けたもの等がある。効果は、図1の第1実施例であるが、必ずしも全部を備える必要がない。
【0030】
以上、本実施例を詳述したが、本発明は、前記本実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明の液浸材包装容器の形状は、実施例以外に、円形、楕円形、多角形とすることができる。
【0031】
また、本発明の液浸材は、実施例以外に、公知または周知のものを含む。さらに、本発明の接着剤および容器本体、底部材、蓋部材の材質は、公知または周知のものを含む。特に、蓋部材は、プラスチックフィルムだけでなく、プラスチックフィルムにアルミ箔蒸着フィルムを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施例で、液浸材包装容器を説明するための斜視図である。(実施例1)
【図2】本発明の第1実施例で、液浸材包装容器を説明するための平面図である。
【図3】本発明の第1実施例で、液浸材包装容器を説明するための正面図である。
【図4】本発明の第1実施例で、液浸材包装容器を説明するための図2におけるA−A断面図である。
【図5】本発明の第2実施例で、液浸材包装容器を説明するための平面図である。
【図6】本発明の第2実施例で、液浸材包装容器を説明するための図5におけるB−B断面図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0033】
11・・・液浸材包装容器
12・・・容器本体
121・・・開口部
122・・・開口溝部
123・・・放射溝部
124・・・フランジ
125・・・内部放射状突条部
126・・・スペーサ
13・・・底部材
14・・・蓋部材
141・・・接着剤
142・・・つまみ
143・・・粘着固定部
144・・・「J」字状切込み部
311、312・・・液浸材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液浸材を非通気性の状態で収容し、上部の開口部から適宜取り出すことができる液浸材包装容器において、
収容された前記液浸材を取り出す開口部を有するとともに、前記開口部の外部に沿った開口溝部と、前記開口溝部から前記開口部に向かって設けられた複数の放射溝部と、内部に向かって突出した複数の内部放射状突条部とを備えている容器本体と、
前記容器本体の底部を塞ぐ底部材と、
前記容器本体の開口部を開閉自在に塞ぐ接着剤が塗布されている蓋部材と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする液浸材包装容器。
【請求項2】
液浸材を非通気性の状態で収容し、上部の開口部から適宜取り出すことができる液浸材包装容器において、
収容された前記液浸材を取り出す開口部を有するとともに、前記開口部の外部に沿った開口溝部と、前記開口溝部から前記開口部に向かって設けられた複数の放射溝部とを備えている容器本体と、
前記容器本体の底部を塞ぐ底部材と、
前記容器本体の開口部を開閉自在に塞ぐ接着剤が塗布されている蓋部材と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする液浸材包装容器。
【請求項3】
液浸材を非通気性の状態で収容し、上部の開口部から適宜取り出すことができる液浸材包装容器において、
収容された前記液浸材を取り出す開口部を有するとともに、内部に向かって突出した複数の内部放射状突条部とを備えている容器本体と、
前記容器本体の底部を塞ぐ底部材と、
前記容器本体の開口部を開閉自在に塞ぐ接着剤が塗布されている蓋部材と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする液浸材包装容器。
【請求項4】
前記開口溝部および前記放射溝部の幅および深さは、0.3mmから2.0mmであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された液浸材包装容器。
【請求項5】
前記内部放射状突条部は、幅が0.3mmから2.0mmで、長さが蓋部材の端部近傍に達するものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された液浸材包装容器。
【請求項6】
前記容器本体の内部において、積層された前記液浸材は、二つのブロックに分割され、その間に前記容器本体の上部から底部材の近傍に達するスペーサが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された液浸材包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−153432(P2007−153432A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354503(P2005−354503)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(592163789)大一紙工株式会社 (6)
【Fターム(参考)】