説明

液滴を吐出する装置、画像形成装置

【課題】廃液タンクを交換可能に着脱できる構成を採用した場合、廃液タンクを確実に装置本体に収納保持できるとともに、廃液タンクを取出すときには容易な作業で取り出せるようにしなければならない。
【解決手段】廃液タンク90には装置本体1に対して着脱するときに用いる取っ手部94を備え、取っ手部94は、蓋部材92と一体形成された弾性変形可能なアーム部95と、このアーム部95の先端部に一体形成されて装置本体1内の係止部301に係合可能な係合部95と、左右の係合部95を架橋するとともに、着脱時にケース本体91aの先端部(装着方向手前側部)91aと共に挟み持つための架橋部97とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液滴を吐出する装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタ/ファックス/コピア或いはこれらの機能を複合した画像形成装置としては、例えば、記録液(液体)の液滴を吐出する液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッドを含む液滴を吐出する装置を用いて、媒体(以下「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、また、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。)を搬送しながら、記録液(以下、インクともいう。)を用紙に付着させて画像形成(記録、印刷、印写、印字も同義語で用いる。)を行なうものがある。
【0003】
このような液滴を吐出する装置を備えて画像を形成する画像形成装置においては、記録液を吐出する記録ヘッドの性能を維持回復する機能が不可欠であることから、その一環として、記録ヘッドの液滴を吐出する面(吐出面、ノズル面)をキャッピングするキャップ部材、ノズル面を清浄化するワイピング部材、ノズルから記録(画像形成)に寄与しない液滴(廃液となる液滴)を吐出する空吐出受け部などを含む維持回復機構(装置)を備えるようにしている。
【0004】
このようなヘッドの維持回復機構としては、例えば特許文献1に記載されているように、複数のキャップ部材と、ワイピング部材と、これらのキャップ部材などを昇降させるカムと、カムを取り付けたカム軸などを有し、1つのカム軸を回転させることでキャップ部材やワイピング部材の昇降を行うようにしたものがある。
【0005】
このようなヘッドの維持回復機構にあっては、カム軸のホーム位置を検出する必要があることから、上記特許文献1に記載の機構では、カム軸にホーム位置検出用カムを設け、キャップ部材が最下端に来たときにホーム位置検出用カムによってホーム位置検出用レバーが作動され、ホーム位置センサが開状態になることでカム軸のホーム位置を検出するようにしている。なお、ホーム位置検出用レバーはバネなどの付勢手段でホーム位置以外ではホーム位置センサが閉状態になる位置に保持されている。
【0006】
また、ヘッドの維持回復機構は、装置本体の側板(フレーム部材)に固定される。一方、キャリッジのホーム位置を検出する構成として、特許文献2に記載されているように、キャリッジを、ガイドロッドの端部を保持する側板に突き当て、この突き当て位置を基準として所定の処理を行うことによってホームポジションとする構成が採用されることがある。
【0007】
また、特許文献3に記載されているようにヘッドの維持回復機構によって生じる廃液を収容するための廃液タンクを装置本体に対して着脱自在に装着するようにした画像形成装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−144910号公報
【特許文献2】特開2003−200570号公報
【特許文献3】特開2002−331685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1に記載されているようなヘッドの維持回復機構(装置)にあっては、カム軸のホーム位置を検出するための構成が複雑になるという課題がある。
【0010】
上述した特許文献2に記載されているようなキャリッジのホーム位置検出構成を採用した場合、キャリッジを側板に突き当てることで側板が傾いたときに、維持回復機構のキャップ部材とキャリッジに搭載しているヘッドとの位置関係がずれて、ヘッドを正しくキャッピングできなくなるおそれがあるという課題がある。
【0011】
上述した特許文献3に記載されているような廃液タンクを交換可能に着脱できる構成を採用した場合、廃液タンクを確実に装置本体に収納保持できるとともに、廃液タンクを取出すときには容易な作業で取り出せるようにしなければならないという課題がある。
【0012】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、廃液タンクの着脱を確実、容易に行うことができるようにし、あるいは、キャリッジのホーム位置検出でキャッピング不良を生じないようにする目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液滴を吐出する装置は、記録ヘッドの性能を回復するための動作で生じる廃液を収容する廃液タンクが装置本体に対して着脱可能に装着され、廃液タンクには変位可能で装置本体に係合可能な係合部を有する取っ手部が設けられている構成とした。
【0014】
本発明に係る液滴を吐出する装置は、維持回復機構はキャリッジが突き当たる部分に近い上部部分が側板に固定されている構成とした。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液滴を吐出する装置を備えているものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る液滴を吐出する装置によれば、記録ヘッドの性能を回復するための動作で生じる廃液を収容する廃液タンクが装置本体に対して着脱可能に装着され、廃液タンクには変位可能で装置本体に係合可能な係合部を有する取っ手部が設けられている構成としたので、廃液タンクを確実に装置本体に収納保持できるとともに、容易に装置本体から取出すことができる。
【0017】
本発明に係る液滴を吐出する装置によれば、維持回復機構はキャリッジが突き当たる部分に近い上部部分が側板に固定されている構成としたので、キャリッジのホーム位置を側板に突き当てて規定する場合に側板の傾きによってキャッピング不良が生じることを防止できる。
【0018】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る液滴を吐出する装置を備えているので、上述した効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の前方側から見た斜視説明図である。
【図2】同装置の機構部の全体構成を説明する側面概略構成図である。
【図3】同機構部の要部平面説明図である。
【図4】同装置の維持回復機構の外観斜視説明図である。
【図5】同維持回復機構を一部展開した状態で示す模式的説明図である。
【図6】同維持回復機構のフィラー部材の斜視説明図である。
【図7】同維持回復機構の側板に対する固定構造の説明に供する主走査方向に沿う方向から見た側面説明図である。
【図8】同じく正面説明図である。
【図9】廃液タンクの概略斜視説明図である。
【図10】同廃液タンクの取っ手部分の拡大斜視説明図である。
【図11】同廃液タンクを装置本体に収納(装着)した状態の要部斜視説明図である。
【図12】同じく模式的断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係る液滴を吐出する装置を含む本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置を前方側から見た斜視説明図である。
このインクジェット記録装置は、装置本体1と、装置本体1に装着された用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3とを備えている。さらに、装置本体1の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体1の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部4を有し、このカートリッジ装填部4の上面は操作ボタンや表示器などを設ける操作/表示部5としている。
【0021】
このカートリッジ装填部4には、色の異なる色材である記録液(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液カートリッジであるインクカートリッジ10k、10c、10m、10y(色を区別しないときは「インクカートリッジ10」という。)を、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部4の前面側には、インクカートリッジ10を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)6を開閉可能に設けている。
【0022】
次に、このインクジェット記録装置の機構部について図2及び図3を参照して説明する。なお、図2は同機構部の概要を示す側面模式的説明図、図3は同じく要部平面説明図である。
左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図3で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0023】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0024】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0025】
記録ヘッド34を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0026】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には各色の供給チューブ36を介して、前述したように、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジ装填4にはインクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット24が設けられている。
【0027】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0028】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0029】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図3のベルト搬送方向に周回移動する。
【0030】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロ63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0031】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0032】
さらに、図3に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む本発明に係るヘッドの維持回復装置である維持回復機構81を配置している。
【0033】
この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84などを備えている。なお、ヘッドの維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク90(図3参照)は装置本体に対して交換可能に装着される。
【0034】
また、図3に示すように、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける本発明に係る液体回収容器であるインク回収ユニット(空吐出受け)88を配置し、このインク回収ユニット88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0035】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0036】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0037】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0038】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ33は維持回復機構81側に移動されて、キャップ82で記録ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ82で記録ヘッド34をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などには回収ユニット88などに向けて記録と関係しないインク(廃液となる液体の液滴)を吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
【0039】
次に、維持回復機構81の概要について図4及び図5を参照して説明する。なお、図4は同維持回復機構の外観斜視説明図、図5は同維持回復機構を一部展開した状態で示す模式的説明図である。
【0040】
この維持回復機構81には、前述したように、吸引及び保湿用キャップ82aを保持する保持機構を含むキャップホルダ201Aと、保湿用キャップ82bを保持する保持機構を含むキャップホルダ201Bと、記録ヘッド34のノズル面(ノズルが形成された面)を清浄化する(拭き取る)ための弾性体からなるブレードであるワイパーブレード83を保持するブレードホルダ203と、記録ヘッド34から印字に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作(予備吐出動作)を行うための空吐出受け84と、ワイパーブレード83を清浄化するためのワイパークリーナ85(図4のみ図示)が配置されている。
【0041】
ここで、キャップ82aには可撓性チューブ210を介して吸引手段であるチュービングポンプ(吸引ポンプ)211を接続している。したがって、記録ヘッド34の維持回復動作を行うときには、回復動作を行う記録ヘッド34をキャップ82aによってキャッピング可能な位置に選択的に移動させる。
【0042】
また、これらのキャップホルダ201A、201Bの下方にはフレーム212に回転自在に支持したカム軸213を配置し、このカム軸213には、キャップホルダ201A、201Bを昇降させるためのキャップカム214A、214Bと、ブレードホルダ203を昇降させるためのワイパーカム215と、図5では図示を省略しているワイパークリーナ85を揺動させるためのクリーナーカムをそれぞれ設けている。
【0043】
そして、チュービングポンプ211及びカム軸213を回転駆動するために、モータ221の回転をモータ軸221aに設けたモータギヤ222に、チュービングポンプ211のポンプ軸211aに設けたポンプギヤ223を噛み合わせ、更にこのポンプギヤ223と一体の中間ギヤ224に中間ギヤ225を介して一方向クラッチ227付きの中間ギヤ226を噛み合わせ、この中間ギヤ226と同軸の中間ギヤ228に中間ギヤ229を介してカム軸213に固定したカムギヤ230を噛み合わせている。
【0044】
この維持回復機構81においては、モータ221が正転することによってモータギヤ222、中間ギヤ224、ポンプギヤ223、中間ギヤ225、226までが回転し、チュービングポンプ211の軸211aが回転することでチュービングポンプ211が作動して、キャップ82a内を吸引する(この動作を「キャップ内吸引」又は「ヘッド吸引」という。)。その他のギヤ228以降は一方向クラッチ227によって回転が遮断されるので回転(作動)しない。
【0045】
また、モータ221が逆転することによって、一方向クラッチ227が連結されるので、モータ221の回転が、モータギヤ222、中間ギヤ224、ポンプギヤ223、中間ギヤ225、226、228、229を経てカムギヤ230に伝達され、カム軸213が回転する。このとき、チュービングポンプ211はポンプ軸211aの逆転では作動しない構造となっている。このカム軸213の回転によってキャップカム214A、214B及びワイパーカム215がそれぞれ所定のタイミングで上昇、下降する。
【0046】
なお、記録ヘッド34のノズル面aを清掃するときにはワイパーブレード83を上昇させた状態にして、記録ヘッド34をワイパーブレード83に相対的に移動させることによってノズル面をワイピングする。
【0047】
そこで、この維持回復機構81におけるカム軸213のホーム位置を検出する手段の構成について図6をも参照して説明する。なお、図6はフィラー部材の斜視説明図である。
前述したカム軸213の一端部(フレーム212の外側)には、カム軸213とともに回転するフィラー部材241を結合している。このフィラー部材241は、図6も参照して、カム軸213の端部に装着され、カム軸213の延長部となる延長軸部241aと、カム軸213の軸心方向に沿う方向の検知片部241bと、延長軸部241aと検知片部241bをつなぐ架橋部241cとを一体に形成したものである。
【0048】
そして、このフィラー部材241の検知片部241aを検知する透過型フォトセンサ一などからなるカム軸ホーム位置センサ242をフレーム212の外面側に配置している。
【0049】
これによって、後述する図7にも示すように、カム軸213が回転することによってフィラー部材241も回転し、カム軸213が1回転する間にフィラー部材241の検知片部241aがカム軸ホーム位置センサ242を通過するので、カム軸213のホーム位置を検出することができる。
【0050】
このようにカム軸の端部に設けたフィラー部材を検知手段で直接検出することによって、部品の積み上げ公差が少なくなり、カム軸のホーム位置を正確に、簡単な構成で検出することができる。
【0051】
次に、この維持回復機構81の側板21Bへの固定構造について図7及び図8をも参照して説明する。なお、図7は同固定構造の説明に供する主走査方向に沿う方向から見た側面説明図、図8は同じく正面説明図である。
維持回復機構81は、フレーム212の上部部分に側板21Bに固定するための固定用穴部251a〜251c(図4も参照)を形成して、側板21Bのキャリッジ33の突き当て部材253が突き当たる部分に近い上部部分を、側板21Bにネジなどの締結部材254(図8参照)によって固定している。
【0052】
つまり、この画像形成装置では、キャリッジ33のホームポジション(ホーム位置)検出を、キャリッジ33に設けた突き当て部材253を側板21Bに突き当て、このときのキャリッジ駆動用モータの信号変化からキャリッジ33が固体に当接したことを検知し、この位置から所定量移動させた位置をキャリッジ33のホームポジションとする構成を採用している。
【0053】
この場合、キャリッジ33の当接によって側板21Bに傾き(倒れ)が生じると、キャリッジ33のホームポジションと維持回復機構81の位置関係がずれるおそれがある。キャリッジ33のホームポジションと維持回復機構81の位置関係がずれると、キャリッジ33の各記録ヘッド34と維持回復機構81の各キャップ82a、82bとの位置関係がずれるおそれがある。
【0054】
そこで、維持回復機構81はキャリッジ33の突き当て部材253が突き当てられる部分に近い上部部分で側板21Bに固定して保持することにより、側板21Bがキャリッジ33の突き当てによって傾いても、突き当て位置と維持機構81の保持位置が近いために、キャリッジ33のホームポジションと維持回復機構81の相対的位置関係がおおきくずれることを防止でき、キャッピング不良の発生を防止できる。
【0055】
次に、この画像形成装置における廃液タンクについて図9ないし図12を参照して説明する。なお、図9は同廃液タンクの概略斜視説明図、図10は同廃液タンクの取っ手部分の拡大斜視説明図、図11は同廃液タンクを装置本体に収納(装着)した状態の要部斜視説明図、図12は同じく模式的断面説明図である。
【0056】
この廃液タンク90は、タンクケース本体(容器本体)91と、このケース本体91内に収納した液体状の廃液を吸収する積層体からなる図示しない吸収部材(吸収体)と、ケース本体91の上部を覆う蓋部材92を備えている。蓋部材92には廃液投入口92aが形成され、維持回復機構81から排出される廃液が廃液投入口92aから内部に投入される。
【0057】
そして、この廃液タンク90には装置本体1に対して着脱するときに用いる取っ手部94を備えている。この取っ手部94は、蓋部材92と一体形成された弾性変形可能なアーム部95と、このアーム部95の先端部(装着方向手前側部)に一体形成されて装置本体1内の係止部301(図12参照)に係合可能な係合部95と、左右の係合部95を架橋するとともに、着脱時にケース本体91aの先端部(装着方向手前側部)91aと共に挟み持つための架橋部97とを有している。
【0058】
したがって、廃液タンク90を装置本体1内に収納するときには、廃液タンク90の取っ手部94を押し下げた状態で廃液タンク90を装置本体1内のタンク収納部302内に押し込み、取っ手部94の押し下げを解除することによって、図12に示すように、取っ手部94の係合部96がタンク収納部302の係止部301に係合して、廃液タンク90は装置本体1内に確実に収納され状態になり、この状態では廃液タンク90が自然に装置本体1外に出ることが防止される。
【0059】
そして、廃液タンク90を交換するときには、図12に示す状態から、取っ手部94を矢示A方向に押し下げて係合部96と係止部301との係合を解除した状態にし、そのまま廃液タンク90を装置本体1から矢示B方向へ引き出すことによって、容易に廃液タンク90の引出しを行うことができ、交換作業が簡単になる。
【0060】
なお、本発明に係る画像形成装置は、プリンタ単機能構成のものに限らず、プリンタ/ファクシミリ/複写などの複合機能を有する画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0061】
1…装置本体
2…給紙トレイ
3…排紙トレイ
4…カートリッジ装填部
10k、10c、10m、10y…インクカートリッジ
21B…側板
33…キャリッジ
34…記録ヘッド
35…ヘッドタンク
36…インク供給チューブ
51…搬送ベルト
81…維持回復機構
90…廃液タンク
241…フィラー部
242…カム軸ホーム位置センサ
253…突き当て部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドからなる記録ヘッドの性能を回復するための維持回復機構を備える液滴を吐出する装置において、前記記録ヘッドの性能を回復するための動作で生じる廃液を収容する廃液タンクが装置本体に対して着脱可能に装着され、前記廃液タンクには変位可能で前記装置本体に係合可能な係合部を有する取っ手部が設けられていることを特徴とする液滴を吐出する装置。
【請求項2】
液体吐出ヘッドからなる記録ヘッドの性能を回復するための維持回復機構を備え、前記記録ヘッドを搭載したキャリッジのホーム位置を、前記キャリッジを側板側に突き当てることで規定する、液滴を吐出する装置において、
前記維持回復機構は前記キャリッジが突き当たる部分に近い上部部分が前記側板に固定されていることを特徴とする液滴を吐出する装置。
【請求項3】
液体吐出ヘッドから媒体に液滴を吐出して画像を形成する画像形成装置において、前記請求項1又は2に記載の液滴を吐出する装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−102040(P2011−102040A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11476(P2011−11476)
【出願日】平成23年1月22日(2011.1.22)
【分割の表示】特願2006−49104(P2006−49104)の分割
【原出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】