説明

液滴付着装置

インクジェット装置は、水冷式シャシー(100)の平行な熱管理面(50a、50b)に背面合わせに配置された2つの圧電アクチュエータ(106、108)を有する。シャシーは、熱伝導率の高い2つの凹状プラスチック成形部品(102、104)を合わせることによって形成される。2つのアクチュエータに取り付けられた共通のノズル(112)プレートは、正確なノズル整合を保証する助けとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴付着装置に関し、特にドロップオンデマンドインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷の分野においては、画質はドット毎インチ(dpi)で測定されることが多く、ドット数が大きいほど画像が良いとされる。これは一般的目安ではあるが、必ずしも全ての場合に当てはまるものではない。例えば、ドットのサイズによってドット間の間隔が狭くなる場合には、画質は向上しないであろう。現に、そういう状況においては、過剰のインキの付着によって、泣出し(bleeding)、カクリング(cockling)、裏抜け(strikethrough)を生起して画質が下がることがあろう。
【0003】
市販のインクジェットプリンタの大半は、1つのドットサイズのインキ付着を可能とされる。しかし、人間の眼によって知覚される画像の質は、1つのサイズの液滴よりも様々なサイズの液滴を付着させることによって向上される。様々なサイズの液滴を付着させる技法は、当業界ではグレースケールとして知られている。
【0004】
15の様々な液滴サイズを解像度360dpiで印刷可能なプリントヘッドは、人間の眼には、同じ画像を二値方式で720dpi或いはさらに1440dpiで印刷した場合より質が良く見える画像を生成することが可能とされる。
【0005】
その高dpi画像は、プリントヘッドを下地の上で繰返し通過させることによって生成しなければならない。通過の度に付着されたドットは、前に印刷されたドットに挟み合わされる。各通過を終えるのに一定時間が掛かるため、画像の印刷に要する時間は通過の数に比例して増加する。
【0006】
一定のプリントヘッド構造は、画像を360dpiで印刷することが可能とされる。そのようなプリントヘッドは、従来技術文献に例示されている(例えば、特許文献1参照)。固有密度を約180dpiとする2つのアクチュエータがオフセット構成の下地の両側に取り付けられ、固有解像度を360dpiとするプリントヘッドが得られる。そのようなプリントヘッドは、一般に「背面合わせ(back to back)」アクチュエータとして知られている。
【特許文献1】特開平4−259563号公報
【0007】
アクチュエータを重ね合わせてより高解像度のプリントヘッドを形成することが容易かどうかは、アクチュエータの固有解像度次第による。180dpiでは、液滴は紙に140μm毎に付着され、360dpiでは液滴は70μm毎に付着される。360dpiの画像を付着させるために重ねられた2つの180dpiアクチュエータは、液滴が規則的且つ一様に70μm間隔で付着されるよう保証しなければならない。液滴が正確に整列されないと、画像の質に欠陥が生じる。例えば、画像エラーに薄暗い帯が見えるのは、一般にバンディング(banding)として知られている。しかし、最適の間隔からいずれかに僅かな許容差は受容可能とされ、画像の質に視認可能な影響は及ぼさない。その許容差は、一般に360dpiヘッドにおいて+/−15μmとされる。
【0008】
2つの360dpiアクチュエータを重ね合わせることによって720dpi画像を与える場合には、噴出された液滴がそれぞれ35μm台の規則的な間隔で配置されなければならない。この配列では、間隔の許容差は約+/−7μmに下がる。
【0009】
アクチュエータが取り付けられる基板をスリムにすることを保証することによって整合は簡潔化される。基板が厚いと2つのアクチュエータの分離が拡大し、一方のアクチュエータと他方との心合わせ誤差が大きくなる可能性がある。
【0010】
背面合わせアクチュエータの重要な問題は、熱管理問題とされる。アクチュエータおよび集積回路はプリントヘッドの作動中に熱を生成し、集積回路は圧電プリントヘッドにおける熱生成の主要な原因とされる。抵抗加熱によりバブルを発生させるプリントヘッドの主な熱生成源は、抵抗要素自体とされる。
【0011】
特に圧電プリントヘッドに関しては、一般に使用される材料PZTは熱伝導が悪く、且つ熱膨張差により容易に亀裂および損傷の虞がある。
【0012】
また、作動中にプリントヘッドの温度を定温に保つことにより、例えば温度変動によりインキの粘性に変化を来す等の温度による印刷の欠陥を回避することも重要とされる。
【0013】
1列プリントヘッドを使用の場合には、アクチュエータの支持盤の厚さに制限はない。したがって、アクチュエータ要素から熱を吸収し除去するのに十分な大きさに構成することによって、温度変化を最小限にすることが可能とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
背面合わせ構築においては、アクチュエータおよびチップの数が倍加し、1列プリントヘッドの場合より熱生成が倍増する。上述の通り、支持材の厚さを最小限にして製造の助けとすることが望ましい。しかし、支持材の厚さを減らせば、アクチュエータから熱を伝達除去するのに利用可能な材料の嵩が減少する。
【0015】
本発明は、この問題および他の問題に取り組もうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明の1つの態様によれば、シャシーと、少なくとも第1および第2作動手段とを備え、各作動手段は電気的に作動可能な液滴噴出アクチュエータおよびそのアクチュエータに動作信号を与えるための電気的駆動回路を備える液滴付着装置であって、前記シャシーは、2つの平行な、対向する熱管理面と、前記熱管理面の間に位置する内部流体キャビティで前記キャビティ内の流体が前記熱管理面と熱接触を確立するキャビティと、前記シャシーの外側に配置され且つ前記内部キャビティと連通して流体を前記内部キャビティに供給し且つ循環させる流体ポートとを備え、前記第1および第2作動手段はそれぞれ前記2つの熱管理面に取り付けられる液滴付着装置が提供される。
【0017】
各作動手段のアクチュエータおよび駆動回路は双方とも、関係する熱管理面と熱接触状態にあることが有利とされる。
【0018】
各アクチュエータは、関係する熱管理面に熱接触状態で取り付けられる圧電材料の本体を備えるのが適切とされる。
【0019】
シャシーは、熱伝達率の大きい材料により形成されるのが好ましい。特に好ましい材料は、熱伝導性プラスチックとされるが、金属等、他の材料も適切とされよう。
【0020】
シャシーは複数部品により形成され、該部品の組合せによって内部キャビティを画成することが好ましい。複数部品は成形もしくは他の方法により形成することが可能とされ、アクチュエータが取り付けられる面は機械加工により所要の平坦度とするのが好ましい。該面は、複数部品を組み合わせた後に機械加工するのが好ましい。
【0021】
内部キャビティは分離手段を備え、これにより、前記内部キャビティが、前記アクチュエータの熱管理をする第1溝と集積回路の熱管理をする第2溝とに分けられることが好ましい。分離手段は壁とすることが可能とされ、各溝の相対的寸法は、集積回路か或いはアクチュエータか、どちらがより大きい熱エネルギーを生成するかによって、どちらかに流体が適切に流れるように選択されることが好ましい。
【0022】
流体は水が好ましいが、ガスもしくは別の液体でも適当であろう。流体の入口温度は一定に維持可能とされよう。
【0023】
整合特徴部は、シャシーの外側面に形成もしくは設置可能とされ、それによってアクチュエータもしくはシャシーの取付の他の構成部分の整合が助成される。
【0024】
取付面間の厚さは5mm未満とするのが好ましく、より好ましくは3mm未満、より一層好ましくは2mm台とされる。
【0025】
別の態様においては、本発明は製造方法の改良を提案する。
【0026】
したがって、本発明の別の態様は、シャシーと、少なくとも第1および第2液滴噴出アクチュエータとを備える液滴付着装置の製造方法にあり、その方法は、第1および第2の平行な、対向する熱管理面と、前記熱管理面の間に位置する内部流体キャビティを有するシャシーを形成する段階と、前記第1および第2液滴噴出アクチュエータをそれぞれ前記第1および第2熱管理面に取り付け、それによって前記キャビティ内の流体が両アクチュエータと熱接触を確立する段階と、前記熱管理面に直交な平面に配置され且つ前記アクチュエータの第1組のノズル群と前記第2アクチュエータの第2組のノズル群とを画成することによって第1組および第2組のノズル群の相互整合が第1および第2アクチュエータの相互整合と無関係とされる共通ノズルプレートを設ける段階と、から成る。
【0027】
以下に本発明を概略図を参照して説明するが、もとより、単なる例示として説明するにすぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、従来技術のプリントヘッドを示す。溝6は、矢印Pの方向に分極された圧電材料のシート2に形成される。溝同士を分ける壁には電極材料が与えられ、電極材料に電圧が印加されると壁に剪断偏向が生じる。それによって、溝内に含まれたインキに圧力波が生起し、圧力波がノズルプレート4に形成されたノズルに集中することにより液滴が噴出される。
【0029】
アクチュエータの後方に、電気トラック18を含む基板16が設けられ、基板はさらにドライバチップ(図示せず)に接続される。トラックは、壁8、10の電極に20でワイヤボンディングされ、電気的接続が形成される。これに代わる実施形態においては、基板16は溝付きコンポーネント10の下に延在し、圧電材料のためのシャシーとして作用する。
【0030】
溝の上部はカバープレート12によって画定され、カバープレートのアパーチャ14がインキマニホルドとして作用することにより、インキが溝に入ることが可能とされる。インキ内を音波が進む距離とされる溝の有効長さは、溝を閉じるカバープレートの部分の長さによって定まり、符号Lで示す。
【0031】
インキマニホルド14は、適切な方法によりインキ溜め(図示せず)に接続される。
【0032】
ノズルプレート4は、アクチュエータの全面に取り付けられ、各溝に対して1つのノズル(図示せず)を含む。
【0033】
このタイプのプリントヘッドからの液滴噴出機構は、従来技術の文献に十分に示されており、したがって、本出願においてはこれ以上詳説しない。
【0034】
背面合わせアクチュエータは、図2に示す通り、従来技術において知られている。このアクチュエータは、圧電材料の層から形成される。層30、31および35、36は矢印Pにより示すように反対方向に分極され、張り合わされてシートを形成する。これらのシートは、中央支持材40の対向側に接合される。溝6は、シート内に切られ、電極材料38が分離壁の画成面に堆積される。溝は、カバー32、37によって閉じられる。
【0035】
図3から7は、本発明による装置を示す。
【0036】
一般に、本装置は、2つの凹状のプラスチック成形部品102および104の接合により形成されるシャシー100を備える。シャシー100は、その全体を図3に示し、その2つの部品を別々に図4および5に示す。シャシーは、2つの作動手段の熱管理面(以下にさらに説明する)として支持を与え、作動手段はそれぞれ圧電アクチュエータ106、108を関係する駆動回路(以下にさらに説明する)とともに備える。ノズル支持材110は、シャシーとノズルプレート112と両方に接合され且つノズルプレートの縁辺支持材となる形状および寸法に作られる。
【0037】
次いでシャシー100の詳細に関し、基板の前部側に、平行な取付面50a、50bがあり、取付面の平面に対して垂直方向に3mm台の間隔で離間されている。取付面間の間隔については、(一般に成形工程で予想されるより)一段きつい許容差が、取付面の一方または両方を機械的または化学的に機械加工して一層平坦な面を得る機械加工段階によって達成される。本発明により、シャシーの他の部分の機械加工を要することなく、取付面の機械加工が可能とされる。
【0038】
各取付面は、長さ68mm台、幅14mm台、面積10cm台とされる。これらの寸法は、溝数約350、有効長さ1mm、15通りの液滴サイズを発射可能な、シャーモード、共有壁圧電液滴付着装置を搭載するのに十分とされる。
【0039】
取付面50a、50bに隣り合う第2の平坦部52a、52bは、駆動回路の保持に適した保持面を与える。集積回路をシャシーのこの面に直接接合するか、或いは中間プリント基板に取り付けることが可能とされよう。
【0040】
ウイング54は、シャシーの側部縁端に設けられ、基準機能およびプリントヘッドのプリンタ内への取付を可能とする特徴部とともに設けられる。ウイングは、製造中を通して視認可能とされ、完成されたヘッドにおいては、バーコードもしくはヘッドに関する情報を内蔵可能な他のマーキングデバイスを設けることが可能とされる。
【0041】
ポート56は、シャシーの後部に設けられ、冷却液、好ましくは水がシャシーの内部キャビティを介して循環されるのを可能とする。シャシーの大きな上下面50、52は、発熱構成要素の大半を冷却液により効率的に冷却可能とすることを保証する。
【0042】
構成部分の材料は熱伝導性プラスチックとされ、Coolpoly(登録商標)として知られCoolpolymers, Inc.から市販のものが適切とされる。このプラスチックは、選択される材料次第により1.2W/mKと20W/mKの間で優れた熱伝導率を表し、上述の外部特徴部および後述する内部特徴部の安価且つ迅速な製造を可能とする成形性を備える。一段と高い許容差を要する部分の機械加工性が成形によって達成可能とされることは長所である。電気絶縁性があり且つ例えば射出成形によって成形可能な熱伝導性ポリマーが入手可能とされる。それらは、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、およびポリブチレンテレフタレート等をベースとすることが可能とされる。
【0043】
構成部分を個別に成形し結合することによって、2つの構成部分の整合を助勢する内部の特徴をシャシーに与え、液状シールを与え、且つ/もしくはシャシーを通る液体の所望の流路を保証することが可能とされる。成形と組合せによって、狭い内部溝を形成し、寸法が重要なシャシーの厚さを極小化することも可能とされる。
【0044】
図4は、シャシーの第1構成部分102によって得られるシャシーの内部特徴部を示す。構成部分は、流体内蔵部62の外周に延在する突条60を備える。突条は、シャシーを形成し接着剤の助勢により液密シールを保証する第2構成部分104に設けられた溝と咬合する。さらに、突部64は構成部分相互の整合を助勢する。
【0045】
流体内蔵部内のバリア部66は、アクチュエータ冷却溝68をチップ冷却溝70から分離する。これらの溝のそれぞれの相対的サイズ且つ、したがってこれらの溝をそれぞれ通る流体の流れの割合は、チップおよびアクチュエータの相対的熱生成の比率次第による。圧電プリントヘッドの場合は、本実施形態におけるように、生成熱の大半はチップから与えられるため、チップ冷却溝がアクチュエータ冷却溝より寸法が大きい。
【0046】
図5は、シャシーの第2構成部分104を示す。第2構成部分は、第1構成部分102の突出部が形成されるところに第2構成部分では相補的な咬合溝60a、64aが設けられることを除けば、第1構成部分と大凡同じである。
【0047】
本発明による装置の製造方法について以下に説明する。
【0048】
シャシー100は、2つの成形部品102、104を上述のように接合することによって形成される。取付面50aおよび50bは、機械加工することによって両面とも平坦、平行且つ正しい間隔を保つように保証することが可能とされる。次いで第1および第2圧電アクチュエータ106および108は、それぞれ取付面50aおよび50bに接合される。シャシーには、整合を助ける基準面を設けることが可能とされる。圧電アクチュエータ106および108は、例えば、熱伝導性接着剤により取付面50a、50bに接合することが可能とされる。
【0049】
ノズル支持材110は、平行な、細長アパーチャ114、116を有し、取付面50a、50bに対して直交配置される。アパーチャ114、116の間に位置するノズル支持材の条片区域118は、シャシーの前部端縁に当接する。それは、図7で最も明らかに分かる。アクチュエータ106および108は、それぞれノズル支持材110のアパーチャ114および116から延び出るようにこのシャシー縁端に迫り出して位置付けられる。斯様に、支持材110は、アクチュエータ106および108の前部端縁とともに面一の面を与え、それにノズルプレート112が接合可能とされる。ノズル支持材110は、ノズルプレート112の縁全体の周囲を支持し、仮にノズルプレートを自己支持式とした場合に必要とされる材料より堅牢性の少ない材料でノズルプレート112を形成可能なことが理解されよう。
【0050】
ノズルプレートが固定されたら、2組のノズル群120、122をレーザアブレーションプロセスで形成することが可能とされ、ノズルの一方の組120はアクチュエータ106のインキ溝に対応し、他方の組122はアクチュエータ108のインキ溝に対応する。これらの2組のノズル群は、アクチュエータの厚さおよびシャシー100の2つの面50a、50bの離隔によって定まる量の分離隔されよう。そもそもノズルは、一方の組と他方の組の間で1ノズルピッチと半分ずれ、それによってアクチュエータ106の溝とアクチュエータ108の溝の間の相対的ずれが調整されることが理解されよう。
【0051】
2組のノズル群を共通のノズルプレートに形成することによって、2組のノズル群の正確な相互整合が容易に確保される。その相互の整合は、2つのアクチュエータが同じ許容差で整合されることに依存しない。ノズルがそれと連通する溝の断面に対する位置に僅かな変化があっても問題はないことが判明している。図7で最もよく分かるように、この構成は各アクチュエータ106、108と内部シャシーキャビティの「アクチュエータ冷却」溝68の間の熱伝導が良好である。
【0052】
一般的な構成においては、本発明によるプリントヘッドは、図6に示すようにさらに幾つかの構成部分により完成される。インキフィルタモジュール602、604は、シャシー100およびアクチュエータ106、108と係合して、インキ供給を管理する。適切なフィルタリングが行われる。プリント基板606、608は、集積回路610を担持し、シャシー100の熱管理面52aおよび52bとそれぞれ密接な熱接触状態にある。
【0053】
上部カバー612および底カバー614は、概ね鏡像状態とされ、先述のインキ流路を封止する構成部分をサンドイッチ状に挟む。バックプレート620には、冷却液入口および出口(622のみ図示)と、インキ入口および出口(626と628の2つのみ図示)が設けられる。プリント基板606および604との電気的接続は、フレキシブルコネクタ630を介するのが好都合とされ、その接続にはスナップ嵌合蓋650を介してアクセス可能とされる。
【0054】
以上に、本発明を一方の取付面に1つのアクチュエータを接合する例について説明したが、複数のアクチュエータ構成部分を両取付面に接合することも可能とされることは理解されよう。内部流体キャビティは、両アクチュエータと両駆動回路の間に延在し、且つこれらと熱的に連通するのが好ましい。しかし、幾つかの構成においては、キャビティは駆動回路間に延在すれば十分とされよう。
【0055】
さらに別の変形においては、面50aおよび50bに開口を設け、冷却流体と圧電材料の間の直接接触が可能とされる。
【0056】
ノズルの組の相互整合がアクチュエータの相互整合に小さな誤差があっても影響を受けないという長所は、2組のノズル群を予め正確に形成したノズルプレートをシャシーおよびアクチュエータに接合することによっても達成可能とされる。
【0057】
背面合わせ構成について以上に説明したが、前面対前面もしくは前後面合わせも一定の応用においては適切な代替構成となろう。
【0058】
概略図、明細書本文もしくは特許請求範囲に記載の各特徴は、個別でも、或いは本書で述べた他の特徴と組み合わせても請求範囲に組み込むことが可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】一列の溝を有する従来技術の圧電プリンタを示す図である。
【図2】従来技術の背面合わせアクチュエータの断面図である。
【図3】本発明による装置のシャシー、2つのアクチュエータおよびノズルプレート構成の分解図である。
【図4】シャシーの第1構成部分により得られるシャシーの内部特徴を示す図である。
【図5】シャシーの第2構成部分により得られるシャシーの内部特徴を示す図である。
【図6】図3の構成部分とともに本発明による装置の残部構成部分を示す分解図である。
【図7】図6に示す装置の要部構成部分の相互関係を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0060】
50a、50b 熱管理面
52a、52b 平坦部
54 ウイング
56 ポート
60 突条
60a、64a 咬合溝
62 流体内蔵部
64 突部
66 バリア部
68 アクチュエータ冷却溝
70 チップ冷却溝
100 シャシー
102、104 シャシー部品
106、108 アクチュエータ
50a、50b アクチュエータ取付面
110 ノズル支持材
112 ノズルプレート
114、116 細長アパーチャ
118 条片区域
120、122 ノズル群
602、604 インキフィルタモジュール
606、608 プリント基板
610 集積回路
612 上部カバー
614 底カバー
620 バックプレート
622 冷却液入口および出口
626、628 インキ入口および出口
630 フレキシブルコネクタ
650 スナップ嵌合蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャシーと、少なくとも第1および第2作動手段と、を備え、各作動手段は電気的に作動可能な液滴噴出アクチュエータおよびそのアクチュエータに動作信号を与えるための電気的駆動回路を備える液滴付着装置であって、
前記シャシーは、
2つの平行な、対向する熱管理面と、
前記熱管理面の間に位置する内部流体キャビティで前記キャビティ内の流体が前記熱管理面と熱接触を確立するキャビティと、
前記シャシーの外側に配置され且つ前記内部キャビティと連通して流体を前記内部キャビティに供給し且つ循環させる流体ポートと、を備え、
前記第1および第2作動手段はそれぞれ前記2つの熱管理面に取り付けられる液滴付着装置。
【請求項2】
各作動手段の前記アクチュエータおよび前記駆動回路は双方とも、関係する熱管理面と熱接触状態にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各アクチュエータは、関係する熱管理面に熱接触状態で取り付けられる圧電材料の本体を備える、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
圧電材料の各本体は一連の液滴噴出溝を画成し、
前記装置は前記熱管理面に直交な平面に配置され且つ前記第1作動手段の液滴噴出溝の第1組のノズル群と前記第2作動手段の液滴噴出溝の第2組のノズル群とを画成することによって第1組および第2組のノズル群の相互整合が第1および第2作動手段の相互整合と無関係とされる共通ノズルプレートを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記シャシーは、熱伝導率が1.2W/mKより大きい材料により形成される、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記シャシーは、熱伝導性プラスチックにより形成される、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記シャシーは第1および第2の概ね凹状のシャシー部品から形成され、
各シャシー部品は熱管理面部品の1つを画成し、かつ前記シャシー部品を組み合わせて前記内部キャビティが形成される、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記シャシー部品は成形により形成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記熱管理面は、前記シャシー部品の組合せ後に機械加工されて相互整合される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記内部キャビティは分離手段を備え、
これにより、前記内部キャビティが、前記アクチュエータの熱管理をする第1溝と前記電気的駆動回路の熱管理をする第2溝とに分けられる、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記第2溝の容積は前記第1溝より大きい、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
シャシーと、少なくとも第1および第2液滴噴出アクチュエータとを備える液滴付着装置の製造方法であって、前記方法は、
第1および第2の平行な、対向する熱管理面と、前記熱管理面の間に位置する内部流体キャビティを有するシャシーを形成する段階と、
前記第1および第2液滴噴出アクチュエータをそれぞれ前記第1および第2熱管理面に取り付け、それによって前記キャビティ内の流体が両アクチュエータと熱接触を確立する段階と、
前記熱管理面に直交な平面に配置され且つ前記アクチュエータの第1組のノズル群と前記第2アクチュエータの第2組のノズル群とを画成することによって第1組および第2組のノズル群の相互整合が第1および第2アクチュエータの相互整合と無関係とされる共通ノズルプレートを設ける段階と、から成る方法。
【請求項13】
前記第1および第2液滴噴出アクチュエータをそれぞれ前記第1および第2熱管理面に取り付けることによって、前記装置における前記第1および第2アクチュエータの相互整合を確保する働きをする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
各アクチュエータは、関係する熱管理面に熱接触状態で取り付けられる圧電材料の本体を備える、請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記シャシーは、熱伝導性プラスチックにより形成される、請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記シャシーは第1および第2の概ね凹状のシャシー部品から形成され、
各シャシー部品は熱管理面部品の1つを画成し、且つ前記シャシー部品を組み合わせて前記内部キャビティが形成される、請求項12から請求項15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記シャシー部品は成形により形成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記熱管理面は前記シャシー部品の組合せ後に機械加工されて相互整合される、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−524534(P2007−524534A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500297(P2007−500297)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000739
【国際公開番号】WO2005/082629
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(301055608)ザール テクノロジー リミテッド (31)
【Fターム(参考)】