説明

液状の金属キレート化合物の製造方法及び金属キレート化合物

【課題】そのまま若しくは水等で希釈して使用可能な液状の金属キレート化合物を極めて簡単な方法で短時間で大量に、かつ、安価に製造することができる液状の金属キレート化合物の製造方法及び金属キレート化合物の提供。
【解決手段】有機酸を含む液中で金属を研削して未酸化の微粉金属を作ることで、この未酸化の微粉金属と有機酸を液中で化学結合させて液状の金属キレート化合物製造する。また、その液状の金属キレート化合物を吸収体に吸収させた構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状の金属キレート化合物の製造方法及び金属キレート化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンスラニル酸又は置換アンスラニル酸と、8-オキシキノリンと、無機銅塩類とをエタノールの不存在下においてアルカリ性水溶液中で反応させることを特徴とする8-オキシキノリントアンスラニル酸又は置換アンスラニル酸との銅キレート化合物の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平8−176160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来例の銅キレート化合物の製造方法で製造される銅キレート化合物は、例えば、アルカリ性水溶液に、アンスラニル酸又は置換アンスラニル酸と、8-オキシキノリンと、無機銅塩類を加えて加熱・撹拌し、これを放冷し、析出した結晶を濾過により採取し、洗浄し、脱水した後、乾燥機内で乾燥させて黄緑色の結晶化させる必要がある。
【0004】
そして、この黄緑色の結晶は水に溶かしていろんな用途に使用される。
【0005】
このように、従来例の製造方法は、様々な化合物同士の混合による反応に選る製造で、多くの手間と時間を必要とし、コストが極めて高くなるという問題があった。
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、そのまま若しくは水等で希釈して使用可能な液状の金属キレート化合物を極めて簡単な方法で短時間で大量に、かつ、安価に製造することができる液状の金属キレート化合物の製造方法、及び、効果を長く持続させることができる金属キレート化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため請求項1記載の液状の金属キレート化合物の製造方法は、有機酸を含む液中で金属を研削して未酸化の微粉金属を作ることで、該未酸化の微粉金属が前記有機酸を含む液中で酸化する時に生成される金属イオンと有機酸を液中で化学結合させて液状の金属キレート化合物を作るようにしたことを特徴とする手段とした。
【0008】
請求項2記載の金属キレート化合物は、有機酸を含む液中で金属を研削して未酸化の微粉金属を作ることで、該未酸化の微粉金属が前記有機酸を含む液中で酸化する時に生成される金属イオンと有機酸を液中で化学結合させて作られた液状の金属キレート化合物を吸収体に吸収させたことを特徴とする金属キレート化合物。
【発明の効果】
【0009】
本発明請求項1記載の液状の金属キレート化合物の製造方法では、上述のように、有機酸を含む液中で金属を研削して未酸化の微粉金属を作ることで、該未酸化の微粉金属が前記有機酸を含む液中で酸化する時に生成される金属イオンと有機酸を液中で化学結合させて液状の金属キレート化合物を作るようにしたことで、未酸化の微粉金属が有機酸の液中で酸化して短時間で効率よく金属イオンが生成され、この金属イオンが有機酸と直ちに化学結合して液状の金属キレート化合物が作られる。
【0010】
従って、そのまま若しくは水等で希釈して使用可能な液状の金属キレート化合物を極めて簡単な方法で短時間で大量に、かつ、安価に製造することができるようになるという効果が得られる。
【0011】
本発明請求項2記載の金属キレート化合物では、上述のように、液状の金属キレート化合物を吸収体に吸収させた構成としたことで、金属キレート化合物が吸収体から時間をかけて少しずつ水中、地中等にしみ出すため、効果を長く持続させることができるようになるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下にこの発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
先ず、実施例1の液状の金属キレート化合物の製造方法に付いて説明する。
この実施例1の液状の金属キレート化合物の製造方法は、請求項に記載の発明に対応する。

【0014】
この実施例1では、有機酸を含む液中で金属を研削して未酸化の微粉金属を作ることによって、該未酸化の微粉金属が有機酸を含む液中で酸化する時に金属イオンを生成させる。すると、この金属イオンと有機酸が液中で化学結合し、これにより、液状の金属キレート化合物が製造される。
【0015】
カルボン酸やヒドロキシ酸等の有機酸としては、フルボ酸、コハク酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等がある。
【0016】
研削する金属としては、銅(Cu)、鉄(Fe)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)等がある。また、それらの金属の合金であってもよい。
【0017】
例えば、有機酸としてアルゲン(CnH2n)を持つカルボン酸のクエン酸を使った水溶液の中で、鉄(Fe)を主成分とする金属材を研削し金属微粉を作ると、鉄成分が酸化して鉄イオンができる。そして、その鉄イオンはクエン酸と化学結合してクエン酸鉄という錯体(液状の金属キレート化合物)となる。
【0018】
次に、この実施例1の効果を説明する。
【0019】
この実施例1の液状の金属キレート化合物の製造方法では、上述のように、有機酸を含む液中で金属を研削して未酸化の微粉金属を作ることで、該未酸化の微粉金属が前記有機酸を含む液中で酸化する時に生成される金属イオンと有機酸を液中で化学結合させて液状の金属キレート化合物を作るようにしたことで、未酸化の微粉金属が有機酸の液中で酸化して短時間で効率よく金属イオンが生成され、この金属イオンが有機酸と直ちに化学結合して液状の金属キレート化合物が作られる。
【0020】
従って、そのまま若しくは水等で希釈して使用可能な液状の金属キレート化合物を極めて簡単な方法で短時間で大量に、かつ、安価に製造することができるようになるという効果が得られる。
【0021】
次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例1と同様の構成部分については説明を省略する。
【実施例2】
【0022】
この実施例2の金属キレート化合物は、請求項2に記載の発明に対応する。
【0023】
この実施例2の金属キレート化合物は、有機酸を含む液中で金属を研削して未酸化の微粉金属を作ることで、該未酸化の微粉金属が前記有機酸を含む液中で酸化する時に生成される金属イオンと有機酸を液中で化学結合させて作られた液状の金属キレート化合物を吸収体に吸収させた構造としたものである。
【0024】
ポーラス構造を持つ吸収体としては、植物炭(木炭、竹炭、他の炭)、ゼオライト、ケイ藻土、生分解性発泡ポリマー、パーライト等がある。
【0025】
吸収し包含能をもつ吸収体としては、バガス、バーク、ワラ等の繊維物質、高分子吸水ポリマー、粘土粉やベントナイト等がある。
【0026】
次に、この実施例2の効果を説明する。
【0027】
実施例2の金属キレート化合物では、上述のように、液状の金属キレート化合物を吸収体に吸収させた構成としたことで、金属キレート化合物が吸収体から時間をかけて少しずつ水中、地中等にしみ出すため、効果を長く持続させることができるようになるという効果が得られる。
【0028】
なお、例として上げた上記吸収体は、そのものが単なる無機質のものでなく多くの微量成分を含有しているため、金属キレート化合物との相乗効果が得られる。
【0029】
以上本実施例を説明していたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0030】
例えば、有機酸を含む液体として植物炭をつくる時に出る植物乾留液などでもよい。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸を含む液中で金属を研削して未酸化の微粉金属を作ることで、該未酸化の微粉金属が前記有機酸を含む液中で酸化する時に生成される金属イオンと有機酸を液中で化学結合させて液状の金属キレート化合物を作るようにしたことを特徴とする液状の金属キレート化合物の製造方法。
【請求項2】
有機酸を含む液中で金属を研削して未酸化の微粉金属を作ることで、該未酸化の微粉金属が前記有機酸を含む液中で酸化する時に生成される金属イオンと有機酸を液中で化学結合させて作られた液状の金属キレート化合物を吸収体に吸収させたことを特徴とする金属キレート化合物。




【公開番号】特開2009−292788(P2009−292788A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150008(P2008−150008)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(593035696)
【Fターム(参考)】