説明

液状チーズソース及びその製造方法

【課題】液状を維持することができる液状チーズソース及びその製造方法を提供する。
【解決手段】この発明にかかる液状チーズソース392の製造方法は、水に、チーズソース原料を溶解する溶解工程と、前記チーズ溶解液に、乳化剤を溶解する乳化剤溶解工程と、前記乳化チーズ溶解液を、均質化する第一次均質化工程と、前記第一次乳化チーズ溶解液を、殺菌する殺菌工程と、前記第一次乳化チーズ溶解液を、乳化を安定化するために更に均質化する、第二次均質化工程と、前記乳化チーズ溶解液に、油脂、油脂に溶解させた乳化剤を溶解し、加温して、予備乳化する予備乳化工程と、前記チーズ溶解液を、無菌状態においてカップ状の容器10に注入するチーズ溶解液注入工程と、前記カップ状の容器10の開口部26を蓋部で、無菌状態において密封する密封工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状チーズソース及びその製造方法に関し、特に例えば、容器に無菌充填されて常温保存することが可能な液状チーズソース及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体状のチーズソースの製造方法としては、例えばチーズ、澱粉、油脂、リン酸塩及び水を加えて、加熱・乳化するチーズソースの製造方法が提案されている(特許文献1及び2参照)。
現在、料理にかけたり、混ぜたり、手軽に使用できる液状のチーズソースが望まれている。また、特許文献1の発明のように、酢が使用されると、チーズ本来の風味(酸味)を損なう可能性があるが、チーズ本来の風味を備えたチーズソースが望まれている。
【0003】
しかしながら、上記いずれの方法によっても、液状チーズソースを常温保存で液状に維持することに問題があるのが実状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−108652号公報
【特許文献2】特開2007−166960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、液状を維持することができる液状チーズソース及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1にかかる液状チーズソースの製造方法は、水に、チーズを含むチーズソース原料を溶解するチーズソース原料溶解工程と、前記溶解工程により得られたチーズ溶解液に、乳化剤を溶解する乳化剤溶解工程と、前記乳化剤溶解工程により得られた乳化チーズ溶解液を、均質化する第一次均質化工程と、前記第一次均質化工程により得られた第一次乳化チーズ溶解液を、殺菌する殺菌工程と、前記殺菌工程を経た第一次乳化チーズ溶解液を、乳化を安定化するために更に均質化する、第二次均質化工程と、前記乳化剤溶解工程により得られた乳化チーズ溶解液に、油脂、油脂に溶解させた乳化剤を溶解し、加温して、予備乳化する予備乳化工程と、前記第二次均質化工程により得られたチーズ溶解液を、無菌状態においてカップ状の容器に注入するチーズ溶解液注入工程と、前記カップ状の容器の開口部を蓋部で、無菌状態において密封する密封工程とを含む、液状チーズソースの製造方法である。
この発明の請求項2にかかる液状チーズソースの製造方法は、前記チーズソース原料溶解工程は、80〜85℃の温水に、溶融塩及び粉末チーズを含むチーズソース原料を溶解させる、請求項1に記載の液状チーズソースの製造方法である。
この発明の請求項3にかかる液状チーズソースは、水に、チーズを含むチーズソース原料を溶解するチーズソース原料溶解工程と、前記溶解工程により得られたチーズ溶解液に、乳化剤を溶解する乳化剤溶解工程と、前記乳化剤溶解工程により得られた乳化チーズ溶解液を、均質化する第一次均質化工程と、前記第一次均質化工程により得られた第一次乳化チーズ溶解液を、殺菌する殺菌工程と、前記殺菌工程を経た第一次乳化チーズ溶解液を、乳化を安定化するために更に均質化する、第二次均質化工程と、前記乳化剤溶解工程により得られた乳化チーズ溶解液に、油脂、油脂に溶解させた乳化剤を溶解し、加温して、予備乳化する予備乳化工程とにより製造された液状チーズソースが、無菌状態においてカップ状の容器に注入され、且つ前記カップ状の容器の開口部を蓋部で、無菌状態において密封された、液状チーズソースである。
この発明の請求項4にかかる液状チーズソースは、第二次均質化工程を経たチーズ溶解液に、食塩を0.5重量%以下、無脂乳固形分を12.0重量%以下含まれるように、チーズソース原料溶解工程において調整される、請求項3に記載の液状チーズソースである。
この発明の請求項5にかかる液状チーズソースは、前記水は、第二次均質化工程を経たチーズ溶解液に、55〜80重量%含まれるように、チーズソース原料溶解工程において調整される、請求項3または請求項4に記載の液状チーズソースである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、チーズ風味(酸味)を損なうことなく、長く液状を維持することができる液状チーズソースを得ることができる。
【0008】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明にかかる液状チーズソースの製造方法を示す図解図である。
【図2】この発明の一実施の形態である容器の図解図であり、(A)はその正面図であり、(B)はその平面図であり、(C)は(B)の線IC−ICにおける断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る容器製造装置の全体の構成を示す正面図解図である。
【図4】容器成形材供給機構112の正面図解図である。
【図5】第1無菌化機構118の正面図解図である。
【図6】容器成形機構114及び充填機構120の正面図解図である。
【図7】蓋材供給機構122の正面図解図である。
【図8】容器成形材12Aに蓋材30Aを接着した状態を示す斜視図解図である。
【図9】搬送手段及び巻き取り手段を示す正面図解図である。
【図10】この発明の一実施の形態である容器の開口部を蓋部で密封するための充填シール装置の図解図である。
【図11】図10に示す充填シール装置を用いて、図2に示す容器の容器部の開口部を蓋部で密封するための工程を示す容器の図解図である。
【図12】図10に示す充填シール装置を用いて、図2に示す容器の容器部の開口部を蓋部で密封するための工程を示す充填シール装置の図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る液状チーズソースの製造方法は、水に、チーズを含むチーズソース原料を溶解するチーズソース原料溶解工程と、前記溶解工程により得られたチーズ溶解液に、乳化剤を溶解する乳化剤溶解工程と、前記乳化剤溶解工程により得られた乳化チーズ溶解液を、均質化する第一次均質化工程と、前記第一次均質化工程により得られた第一次乳化チーズ溶解液を、殺菌する殺菌工程と、前記殺菌工程を経た第一次乳化チーズ溶解液を、乳化を安定化するために更に均質化する、第二次均質化工程と、前記乳化剤溶解工程により得られた乳化チーズ溶解液に、油脂、油脂に溶解させた乳化剤を溶解し、加温して、予備乳化する予備乳化工程と、前記第二次均質化工程により得られたチーズ溶解液を、無菌状態においてカップ状の容器に注入するチーズ溶解液注入工程と、前記カップ状の容器の開口部を蓋部で、無菌状態において密封する密封工程とを必須としている。
【0011】
(チーズソース原料溶解工程について)
80〜85℃の温水に、第二リン酸Na等の溶融塩を、投入し、溶解させる。
次に、チーズを粉砕してなる粉末チーズを温水に投入して、かき混ぜて溶解させることにより、チーズ溶解液を作る。
溶融塩とチーズとの割合は、1:10〜18(重量比)である。
水の量は、適度な液状を保つために、最終製品である液状チーズソースに対して、55〜80重量%含まれるように調整する。
このとき、必要に応じて、先に、発酵セルロース,キサンタンガム等の安定剤を、温水に投入し、溶解しておいてもよい。
なお、温水に溶解させるのは、効率的にチーズソース原料を水に溶解させるためである。
【0012】
チーズは、加工形態によって、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、あるいは他の添加剤等を含有したチーズ加工品等に分類されるが、いずれのチーズを用いてもよい。
また、チーズは、水分含有量や熟成、発酵の有無によらず、いずれの種類のチーズを用いてもよい。すなわち、水分含量の違いである軟質チーズ、半硬質チーズ、硬質チーズ、超硬質チーズ、ホエーチーズ等のいずれを用いることができ、また、非熟成チーズ、細菌熟成チーズ、白カビ熟成チーズ、青カビ熟成チーズのいずれも用いることができる。具体的には、カテージ、クリーム、クワルク、モザレラリンブルガー、ハント、カマンベール、ベリー等の軟質チーズ;チルジット、ミュンスター、ブリック、ロックホール、ブルー、ゴルゴンゾラ、スチルトン等の半軟質チーズ;ゴータ、チェダー、プロボロン、エダム、エメンタール、グリュイエール等の硬質チーズ;パルメザン、ロマノ、サプサゴ等の超硬質チーズ;ミゾースト、リコッタ等のホエーチーズ等を挙げることができる。
チーズは、殺菌するときにおける金属腐食や焦げ付きを防止する点から、食塩量を0.5重量%以下、無脂乳固形分を12.0重量%以下とするのが好ましく、より好ましくは、このチーズソース原料溶解工程において、後述する第二次均質化工程を経たチーズ溶解液に食塩を0.5重量%以下、無脂乳固形分を8.0重量%以下含まれるように調整する。
【0013】
(乳化剤溶解工程について)
前記チーズソース原料溶解工程によって得られたチーズ溶解液に、乳化の安定性を保つために、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤を、最終製品に対して0.8重量%〜1.5重量%投入し、溶解させる。
その他、例えば、pH調整剤、調味料、乳類、香料及びカゼインNa等を適宜組み合わせて添加配合してもよい。
調味料としては、食塩、砂糖、各種エキス、うま味成分を含有するうま味調味料等を挙げることができる。うま味調味料としては、例えば、グルタミン酸ナトリウム、5´−イノシン酸ナトリウム、5´−グアニル酸ナトリウム等を挙げることができる。
乳類としては、例えば、脱脂粉乳、クリーム、乳清タンパク質、あるいはこれらを濃縮または粉末化したもの等を挙げることができる。
【0014】
(予備乳化工程について)
また、前記乳化剤溶解工程によって得られた乳化チーズ溶解液に、植物油脂、乳脂肪等の油脂等を投入し、溶解させて、予備乳化を行ってもよい。
予備乳化は、温度を65〜75℃に維持し、必要に応じて加熱して行う。
【0015】
以上のチーズソース原料溶解工程、乳化剤溶解工程及び予備乳化工程は、適宜な大きさの溶解タンク401にチーズソース原料、乳化剤等を投入し、攪拌羽根によって、温水に溶解させることにより行われる。
【0016】
油脂としては、油の種類、成分等特に限定されないが、あまに油、サフラワー油、向日葵油、綿実油、菜種油、大豆油、辛子油、米油、胡麻油、とうもろこし油、落花生油、オリーブ油、やし油、パーム油、パーム核油等の植物油脂や、乳脂肪、魚油、鯨油、牛脂、豚脂、羊脂等の動物油脂から選ばれる1種または2種以上を使用可能であり、これらの油脂を原料にエステル交換したものや、硬化油、分別油、混合油を用いることが可能である。
【0017】
乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリド等)、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステル)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン(大豆レシチン、卵黄レシチン)等を挙げることができる。これら乳化剤を構成する脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸を挙げることができる。
【0018】
予備乳化工程において、チーズ溶解液を加熱する方法としては、特に制限はないが、湿式加熱、乾式加熱、又はマイクロ波加熱等を挙げることができる。加熱温度は、いずれの加熱方法においても、水分散液中のチーズが溶融する温度であればよく、特に制限はないが、65〜75℃であることがより好ましい。
【0019】
(第一次均質化工程について)
前記予備乳化工程によって得られた乳化チーズ溶解液を、前記溶解タンク401より、ホモゲナイザー(乳化チーズ溶解液に含まれる諸成分の粒子を破壊及び微細化し、均質にする機械)403に、送水パイプを通して送り込み、均質化を行う。
【0020】
(殺菌工程について)
前記第一次均質化工程によって得られた第一次乳化チーズ溶解液を、予め貯めておくクッションタンク405にパイプを通して送り込む。
一旦、クッションタンク405に第一次乳化チーズ溶解液を貯留することにより、次の殺菌機に第一次乳化チーズ溶解液を連続的に送り込むことができ、効率よく確実に殺菌をすることができる。
【0021】
クッションタンク405に貯留された第一次乳化チーズ溶解液を、プレート式間接殺菌機407に、パイプを通して送り込み、殺菌をする。
プレート式間接殺菌機407によってUHT殺菌をすれば、チーズソースの風味を落とすことなく、殺菌を行える。
【0022】
(第二次均質化工程について)
前記殺菌工程によって殺菌された第一次乳化チーズ溶解液を、パイプを通して、ホモゲナイザー409に送り込み、再び均質化を行う。
【0023】
前記第二次均質化工程によって得られた第二次乳化チーズ溶解液を、アセプティックタンク411に、パイプを通して送り込み、無菌の状態で貯留する。
このアセプティックタンク411に貯蔵された第二次乳化チーズ溶解液が、次にポーションタイプの小型容器に充填される液状チーズソース392となる。
【0024】
(容器への充填工程について)
次に、アセプティックタンク411に貯留された液状チーズソース392は、ポーションタイプの小型カップ状容器10に、充填される。
かかる工程を経て、液状チーズソース392は、液状を維持し、容器10で長時間常温保存可能な液状チーズソースが得られる。
【0025】
引き続き、液状チーズソース392を、小型カップ状容器10に無菌充填するための無菌充填方法及び無菌充填装置について説明する。
【0026】
この容器10は、その上部に開口部26を有するカップ状の容器部12を含む。この容器部12は、たとえばポリスチレンなどの合成樹脂などのように溶着可能な材料をたとえば圧空成形(プラグアシスト付)、真空成形などの成形方法で成形することによって形成される。さらに、つば部18およびつまみ部20の表面には、平面的にみてつば部18およびつまみ部20と同じ形状の蓋部30が取り付けられる。この蓋は、たとえばアルミニウムなどの熱を伝えやすい材料で形成され、その下層は、たとえばポリエチレンテレフタレートないしポリエステルなどの合成樹脂などのように溶着可能な材料で形成される。
【0027】
この容器10は、弾力性を有する合成樹脂で形成された、逆截頭円錐状胴部16を有する容器部12と、前記容器部12の開口部26を密封するための蓋部30とを備える。
前記容器部12の底部14は、胴部16の端縁の近傍で形成される平面視円環形の座部16aと、前記座部16aの内側で座部16aの端縁から内側に離れた位置において連設され、前記座部16aの端縁から食み出すことがない範囲内において、座部16aがのびる側の方向に向けて、中央が最下部となる球冠状にわん曲した球冠部14aとを有し、バリア性を有する合成樹脂で前記胴部16と一体成形されている。
【0028】
また、胴部16の上端から外側に延びて、つば部18が形成される.このつば部18は、そこに後述の蓋部30を取り付けるためのものである。
さらに、つば部18の一端から外側に延びて、つまみ部20が形成される。また、つば部18とつまみ部20との間の下面には、ノッチ24が形成される。このノッチ24は、つまみ部20をつば部18から切り離しやすくするためのものである。
【0029】
この容器10を開封するためには、ノッチ24部分を折ることによってつまみ部20をつば部18から切り離し、つまみ部20とともに蓋部30をつば部18から剥がせばよい。
【0030】
(実施例1)
(チーズソース原料溶解工程について)
85℃の温水に、安定剤として発酵セルロース、キサンタンガム等を0.2重量%溶解させた後、第二リン酸Na等の溶融塩を、投入し、溶解させる。
次に、ナチュラルチーズを粉砕してなる硬質の粉末チーズを温水に投入して、かき混ぜて溶解させることにより、チーズ溶解液を作る。
温水69.4重量%に、
硬質チーズ15.0重量%、
溶融塩1.2重量%を溶融した。
溶融塩とチーズとの割合は、1:12.5(重量比)として、水の量は、最終製品である液状チーズソースに対して、69.4重量%含まれるように調整している。
チーズソース原料融解工程において、溶融塩とチーズとの割合は、1:12.5(重量比)として、温水に溶解させたところ、溶け残りが発生せず、完全に温水とチーズも溶解された。
【0031】
(乳化剤溶解工程について)
前記チーズソース原料溶解工程によって得られたチーズ溶解液に、乳化の安定性を保つために、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤を、最終製品に対して1.0重量%投入し、溶解させる。
その他、カゼインNa6.1重量%,食塩0.1重量%を組み合わせて、同時に添加配合した。
【0032】
(予備乳化工程について)
また、前記乳化剤溶解工程によって得られた乳化チーズ溶解液に、植物油脂7.0重量%を投入し、溶解させて、予備乳化を行った。
予備乳化は、温度を65〜75℃に維持し、必要に応じて加熱して行う。
前記配合割合は、最終製品に対する配合割合であり、残りは水となる。
かかる工程を得て、クリーム状の液状チーズソースを得た。
【0033】
(実施例2)
85℃の温水に、第二リン酸Na等の溶融塩を、投入し、溶解させる。
次に、ナチュラルチーズを粉砕してなる硬質の粉末チーズを温水に投入して、かき混ぜて溶解させることにより、チーズ溶解液を作る。
温水70.05重量%に、
硬質チーズ15.0重量%、
溶融塩0.85重量%を溶融した。
溶融塩とチーズとの割合は、1:18(重量比)として、水の量は、最終製品である液状チーズソースに対して、70.05重量%含まれるように調整している。
チーズソース原料融解工程において、溶融塩とチーズとの割合は、1:18(重量比)として、温水に溶解させたところ、溶け残りが発生せず、完全に温水とチーズも溶解された。
【0034】
(乳化剤溶解工程について)
前記チーズソース原料溶解工程によって得られたチーズ溶解液に、乳化の安定性を保つために、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤を、最終製品に対して1.0重量%投入し、溶解させる。
その他、カゼインNa6.1重量%を組み合わせて、同時に添加配合した。
【0035】
(予備乳化工程について)
また、前記乳化剤溶解工程によって得られた乳化チーズ溶解液に、植物油脂7.0重量%を投入し、溶解させて、予備乳化を行った。
予備乳化は、温度を65〜75℃に維持し、必要に応じて加熱して行う。
前記配合割合は、最終製品に対する配合割合であり、残りは水となる。
かかる工程を得て、クリーム状の液状チーズソースを得た。
【0036】
(比較例1)
チーズソース原料融解工程において、溶融塩とチーズとの割合を1:20としたら、チーズが温水に溶解せず、溶け残りが発生した。
【0037】
(比較例2)
全て原材料(硬質チーズ15.0重量%,植物油脂7.0重量%,食塩0.1重量%,カゼインNa6.1重量%,溶融塩1.2重量%,乳化剤1.0重量%,安定剤0.2重量%)を、一度に温水69.4重量%に混合させて、適宜な大きさの溶解タンク401に前記すべてのチーズソース原料、乳化剤等を投入し、攪拌羽根によって、温水に溶解させたところ、チーズの溶け残りが発生した。
【0038】
次に、本件発明の容器の製造方法について、図面に示す製造装置に基づいて説明する。
図3は、本発明の一実施の形態に係る容器製造装置の全体の構成を示す正面図解図である。
この容器製造装置110は、容器部12を成形するための容器成形材12Aを供給する容器成形材供給機構112と、前記容器成形材供給機構112にて供給された容器成形材12Aにより容器を成形する容器成形機構114と、容器成形材12Aを搬送する容器成形材搬送機構116と、容器成形材12Aを無菌化する第1無菌化機構118と、クリーム状の液状チーズソース392を容器部12に充填する充填機構120と、蓋材30Aを搬送する蓋材供給機構122と、蓋材30Aを無菌化する第2無菌化機構124と、容器部12に蓋材30Aを溶着するシール機構126と、容器成形材12A及び蓋材30Aを切断して適宜な形状に整形するカット機構128とを備える。
そして、容器成形機構114により成形された複数列の容器部12を所定間隔で供給して、これら容器部12を間欠的に搬送される容器搬送経路の、所定の容器停止部に設けた充填機構120により液状チーズソース392を充填し、蓋材30Aを搬送する蓋材供給機構122により容器部12に蓋材30Aを供給し、シール機構126により、蓋材30Aを容器部12のつば部18に熱溶着し、その後、カット機構128等により容器成形材12A及び蓋材30Aをカットして、次の工程に送るようになっている。
【0039】
前記容器成形材供給機構112は、上流に設けられた容器成形材12Aの原反を保持し供給する容器成形材保持供給手段130と、下流に設けられた巻き取り手段132と、中流に設けられた搬送手段134とを備える。容器成形材供給機構112の搬送手段134は、等間隔で複数個(この実施の形態では6個×3列)のカップ状の容器部12を搬送する。この搬送手段134は、間欠的に走行するようになっており、例えば、1秒間停止し、0.8秒間移動するというサイクルで容器部12を搬送する。
【0040】
容器成形材保持供給手段130は、ロール状に巻回された容器成形材12Aすなわちポリスチレンを保持する保持機136と、保持機136に保持された容器成形材12Aを引き出し、下流に送られる容器成形材12Aの下方に設けられた容器成形材交換台138と、容器成形材交換用スペース140とを備える。
【0041】
容器成形材保持供給手段130の下流において、容器成形材12Aを無菌化するための第1無菌化機構118は、過酸化水素(H22)に容器成形材12Aを浸漬して無菌化するための容器成形材過酸化水素槽142を備える。
更に、第1無菌化機構118は、容器成形材過酸化水素槽142に浸漬されて殺菌された容器成形材12Aに、無菌化された温風エアーでエアーナイフにより吹き付けることにより過酸化水素を取り除く無菌温風エアー装置146aを備える。
第1無菌化機構118には、送り出される容器成形材12Aのテンションを調節するダンサローラ154aが設けられており、容器成形材12Aは、このダンサローラ154aを介して上方に送られ、容器成形機構114に供給される。
【0042】
一方、容器部12となる容器成形材12Aは、第1無菌化機構118に設けられたダンサローラ154aに送られる。ダンサローラ154aは、上下動を繰り返して容器成形材12Aのテンションを調節しており、このダンサローラ154aは上昇し上限センサがこれを検出して送りローラ148の駆動を開始する。このダンサローラ154aが最も低位置まで下降すると、下限センサがこれを検出して送りローラ148の駆動を停止させる。
【0043】
容器成形機構114は、容器成形材12Aを加熱し軟化させるための加熱装置170と、無菌環境下で、前記加熱装置170により軟化させられた容器成形材12Aを成形プラグにより延伸させ、容器成形材12Aに無菌エアーを吹き込み、成形型で連続して圧空成形することにより、容器部12を成形するための成形装置172とを備える。
【0044】
充填機構120は、無菌環境下で連続成型された容器部12に、液状チーズソース392を無菌充填するための定量型充填ポンプ180及びそれに連結された充填装置182を備える。
加熱殺菌処理された液状チーズソース392を、予め蒸気滅菌により無菌化されたアセプティックタンク411に保管し、充填装置182までの配管及び充填装置182の無菌チャンバー間を蒸気及び過酸化水素により滅菌し、無菌状態にする。
無菌状態になったところで、アセプティックタンク411より液状チーズソース392を送液し、無菌化された充填装置182にて、無菌充填包装を行うように構成されている。
【0045】
前記充填機構120の下流側に所定の間隔を開けて、シール機構126およびカット機構128が順に設けられている。充填機構120とシール機構126の間に、後に説明する蓋材供給機構122(全体として符号122で示す)によって上方から蓋部30を構成する蓋材30Aが供給されるようになっており、この蓋部30を構成する蓋材30Aが、シール機構126を構成するプレシール装置126aの上流でその下流側(図3の左方)に向けて方向を変えられ、下流のシール機構126およびカット機構128に向けて、下方の搬送手段134によって搬送される容器部12の上面との間に送られる。
蓋部30を構成する蓋材30Aは、容器部12の停止位置でシール機構126によって容器部12の開口部のつば部18に熱圧着された後、カット機構128でつば部18及びつまみ部20の形状に沿って蓋部30となる部分の周囲が打ち抜かれる。
【0046】
次に、前記図3および蓋材供給機構122の要部を示す図7に基づき、蓋材供給機構122の構成について説明する。
前記容器製造装置110の本体部が設けられている機枠110Aの上部に突設されて、蓋材供給機構122の供給スタンド(蓋材ロール支持手段)152が設置されている(図7参照)。この供給スタンド152には、駆動軸152Aによって前記蓋材30Aがロール状に巻かれた蓋材ロール102Aが支持されている。この蓋材ロール102Aから引き出された蓋材30Aは、供給スタンド152に支持された複数のローラ152aを介して送られる。なお、容器10の蓋部30として使用される蓋材30Aは、前記したように、アルミや樹脂製のフィルムあるいはこれらをコーティングしたもの等が一般に用いられる。
【0047】
第2無菌化機構124は、蓋部30を形成するための蓋材30Aを、無菌化するために設けられる。
蓋材30Aを無菌化するための第2無菌化機構124は、過酸化水素(H22)に蓋材30Aを浸漬して無菌化するための蓋材過酸化水素槽144を備える。
更に、第2無菌化機構124は、蓋材過酸化水素槽144に浸漬されて殺菌された蓋材30Aに、無菌化された温風エアーでエアーナイフにより吹き付けることにより過酸化水素を取り除く無菌温風エアー装置146bを備える。
【0048】
前記無菌温風エアー装置146bは、蓋材過酸化水素槽144の上方に導入ローラ152bが設けられ、さらにその上方側には、搬送手段134の搬送方向Aと平行な第1上部ローラ156が設置されている。
前記第1上部ローラ156によって送り方向をほぼ90度変更された蓋材30Aは、第2上部ローラ158によってほぼ垂直方向下方に向けて方向を変えられる。
さらに、この第2上部ローラ158の下方の、前記搬送手段134の搬送面のやや上方に下部ローラ160及びローラ162が配置される。
【0049】
前記蓋材供給機構122には、送り出される蓋材30Aのテンションを調節するダンサローラ154bが設けられており、蓋材30Aは、このダンサローラ154bを介して上方に送られ、前記機枠110A内に設置されたシール機構126に供給される。
【0050】
機枠110Aの側部フレーム110Bの下方の、前記シール機構126のプレシール装置126aが設けられている位置の後方付近に、搬送手段134による容器搬送方向(図3および図7の矢印A参照)と平行に設置されたローラ162(図7参照)が取り付けられており、前記ダンサローラ154bを介して送られた蓋材30Aは、この容器搬送方向Aと平行に設置されたローラ162によって、容器搬送方向Aと直交する方向に向けて容器製造装置110の本体部内に供給される。
【0051】
容器部12の搬送方向Aと平行に設置されたローラ162を介して容器製造装置110内に送り込まれた蓋材30Aは、下部ローラ160によってほぼ90度方向を変換され、搬送手段134の上流側に向けられ、下流方向に送られる。上方から下方へ向けて送られてきた蓋材30Aは、この下部ローラ160によって搬送手段134の搬送方向下流側に向けてほぼ水平に方向を変えられ、容器部12に沿って水平方向に送られる。
【0052】
前記第2上部ローラ158と下部ローラ160との間にローラ162が設けられている。前記蓋材30Aは、シール機構126において容器10のつば部18に接着された後、走行する搬送手段134によって搬送される容器部12とともに前進するが、容器部12の移動に引っ張られることがないように、この駆動軸152Aが回転する。駆動軸152Aの回転は、ダンサローラ154bを上限センサが検出することで送られ、下限センサが検出することで停止するように構成されている。
【0053】
前記下部ローラ160の下流において、蓋材30Aに所定のピッチで印刷されているマークを検出するマークセンサ164が設けられている(図7参照)。前述のように駆動軸152Aはモータによって搬送手段134の移動に同期して作動されるようになっているが、蓋材30Aの送り量は、マークセンサ164によるマーク位置の検出結果に応じて増減される。
【0054】
搬送手段134は、走行および停止を繰り返して前記容器部12を間欠的に搬送しており、搬送される容器10は、容器搬送経路上の、容器成形材供給機構112の下流側に順に設けられている充填機構120、シール機構126およびカット機構128の位置に停止する。容器10は先ず充填機構120の下方に停止して、液状チーズソース392が充填される。液状チーズソース392が充填された容器10は、搬送手段134によって次のシール機構126の下方へ搬送される。
【0055】
前記ローラ162の下方には下部ローラ160が設けられており、第2上部ローラ158およびローラ162から垂直方向下方に向けて送られてきた蓋材30Aは、この下部ローラ160によって、水平な状態に方向を変えられて下流方向に送られる。この下部ローラ160の下流には、シール機構126を構成するプレシール装置126aが設けられており、容器成形材12Aと蓋材30Aの両端部を熱圧着してサイドシール(プレシール)される。
【0056】
容器成形材供給機構112の第1無菌化機構118、容器成形機構114の加熱装置170及び成形装置172、充填機構120、蓋材供給機構122の第2無菌化機構124、プレシール装置126aは、無菌状態にするための密閉された無菌室190内に収容されており、その無菌状態の維持は、クリーンエアー(無菌エアー)を供給することによる、陽圧によって維持されている。
容器成形材12Aは、無菌室190の容器成形材入口192から無菌室190に入り、蓋材30Aは、無菌室190の蓋材入口194から無菌室190に入るが、無菌室190は、その内部に無菌エアー(無菌フィルタを通過させた外部からの空気)を送り込み、容器成形材入口192及び蓋材入口194から無菌エアーを放出し、無菌室190内を外部より陽圧にし、外部からの菌の進入を防いでいる。
プレシールされた容器成形材12A及び蓋材30Aは、無菌室190の出口から次のシール機構126のシール装置126bに送られるが、その出口は、無菌室出口シャッター196が設けられ、無菌状態の維持を図るように構成されている。
【0057】
無菌室190内において、容器成形材12A及び蓋材30Aの端縁をプレシール装置126aによりバーシールして容器成形材12Aと蓋材30Aの中を陽圧で維持し、無菌保持のまま無菌室190より外に出すように構成されている。
【0058】
搬送手段134の下流側に向けられ、ほぼ水平状態で供給される蓋材30Aは、シール機構126によって、容器搬送手段134上を搬送されてこの位置に一時停止した容器部12の開口部に設けられているつば部18に熱圧着される。このとき、つば部18と蓋材30Aとの接着には、エチレンビニルアセテート(EVA)接着剤等が用いられる。
【0059】
続いて、シールされた容器成形材12Aと蓋材30Aとは、冷却盤200に送られ、熱圧着された部分が冷却される。
【0060】
続いて、容器成形材12Aにノッチを入れるときには、容器成形材12Aと蓋材30Aとは、ノッチ装置210に送られるが、この実施の形態においては容器成形材12Aにノッチ24が刻設されるが、段差部としてもよい。
【0061】
続いて、次のカット機構128において、蓋材30Aの容器部12の口部に貼り付けられて蓋部30となる部分の周囲がカットされる。
打抜かれたポーション容器である容器部12の開封部分であるつば部18の部分が、打抜き時の圧力により容器部12と蓋部30が付着した状態になる。その対応として、開封部であるつば部18部に連続するつまみ部20に形成されるノッチ24を、0.5mmから1.3mmに広げることにより、つまみ部20における容器部12を構成する容器成形材12Aと蓋部30を構成する蓋材30A同士の付着を防止した。
【0062】
開封部容器成形材12Aと蓋材30Aのノッチ24の部分が、機械の搬送時に振動の原因となり液状チーズソース392を容器部12外に溢れさせていた。特に、ガイドの乗り継ぎ部分で影響が大きく出ていた。その影響を無くす為、ノッチ24の部分が通過する箇所を全て研削し振動が発生し無い様な構成にする。
【0063】
次のカット機構128において、容器部12の上面に貼り付けられている蓋材30Aの、容器10の蓋部30となる部分の周囲をカットされた後、切り取られた蓋材30Aから成る蓋部30によってシールされた容器10は、そのまま搬送手段134によって搬送され、下流側で取り出されて次の工程に送られる。
一方、容器成形材12Aの容器部12部分と蓋材30Aの蓋部30の部分が切り抜かれた容器成形材12A及び蓋材の残りの部分102aは、ローラ220を介して巻き取り手段132に巻き取られる。
【0064】
この実施の形態では、容器成型を行う上で、加熱温度の確認を行なう。容器成形材12Aを125℃に加熱することを目指し、加熱装置170の温度を127℃にする。
機械のサイクルスピードが遅いとインターバル中にドローダウンが大きくなり、下型176のボトムヒータ176bに容器成形材12Aが付着しシワが発生する。
サイクルスピードを上げることにより、ドローダウンの状態が安定しボトムヒータ176bに付着することを防止できる。
サイクルスピードは、充填する液状チーズソース392の粘性が大きく影響する。粘度が低い場合は、充填時に容器部12より溢れる為、充填時の速度を遅くする必要がある。この速度が、機械のサイクルスピードに影響を与える。
成型の出来具合を調整するために成型プラグの入り込み量の調整を行なう。入り込み量が多いと成型底部の容器成形材12A厚みが厚くなりすぎる。また、底部にウエーブが出来易い。
成型プラグの入り込み量を少なくし圧空エアーで膨らませると、綺麗な形状に仕上げることをできる。
【0065】
機械停止中に、無菌温風エアー装置146aのエアーナイフ部分の乾燥エアーで、容器成形材12Aは、伸びによる変形が発生する。その為、乾燥エアーの温度を70℃に変更し過酸化水素の除去と容器成形材12Aのダメージを最小限に抑えるようにしている。
また、停止中、無菌温風エアー装置146aのエアーナイフ部にあった箇所は、加熱装置170を通過するまで成型を行なわない。熱負荷を受けている為、加熱装置170で付着し容器成形材12Aにシワが入り易くなる為である。
【0066】
「無菌充填」は、充填後の内容物には細菌類は一切なしという意味であり、また、容器10の容器部12の内部にも細菌類は一切なしという意味である。細菌が一つでも残留すると、内容物自体が細菌にとっての栄養分になるので、たちまち増殖し、腐敗する。
充填後の検査で、細菌ゼロを確認しており、経時的にも細菌が増殖する要素がないので、製造後1年経時したものについても無菌性が確保できる。
【0067】
更に、この容器10の容器部12の開口部26を蓋材30Aで密封する為の充填シール装置を備える容器製造装置について、主として図10ないし図11に基づいて説明する。
充填シール装置310は、液状チーズソース392の充填装置182と、容器10のシール機構126とを備える。
容器10の充填シール装置310を構成するシール装置126bは、容器部12の外側を保持する容器保持部320と、蓋材30Aを伸展した状態において、容器部12の開口部26と対向するように送り込む、蓋材30Aの送り部340と、蓋材30Aを容器部12の開口部26の周辺に向けて、固定する、蓋材固定部350と、容器部12の開口部26の周辺において、容器部12に蓋材30Aを接着する、蓋材30Aの接着部380とを備える。
【0068】
前記容器保持部320は、逆截頭円錐状胴部16と、前記胴部16の端縁の近傍で形成される平面視円環形の座部16a、および前記座部16aの内側で座部16aの端縁から内側に離れた位置において連設され、前記座部16aの端縁から食み出すことがない範囲内において、座部16aがのびる側の方向に向けて中央が最下部となる球冠状にわん曲した球冠部14aを有する底部14とを備え、前記胴部16と底部14とを弾力性を有する合成樹脂で一体成形された容器部12を、固定するように構成されている。
この実施の形態においては、容器保持部320は、金型322を含む。
【0069】
前記蓋材30Aの送り部340及び蓋材固定部350は、前記容器部12の開口部26に向けて、蓋材30Aを送り、容器部12の開口部26側に熱接着性を有する部位を載置するように構成されている。
この実施の形態においては、さらに、金型322の上方には、上基台352が設けられる。この上基台352には、金型322の穴324に容器部12を押し込んだ場合に容器部12のつば部18およびつまみ部20の縁部に対向するたとえば2箇所の部分に、孔352aおよび孔352bが形成される。これらの孔352aおよび孔352bは、それぞれ、その上部が径大に形成されその下部が径小に形成され、すなわち、段差状に形成される。
【0070】
さらに、この充填シール装置310は、孔352a,352bの下部の径とほぼ同じ径の押さえピン356a,押さえピン356bを含み、押さえピン356a,押さえピン356bの上部には、孔352a,352bの上部の径とほぼ同じ径のストッパ部材358a及びストッパ部材358bが固着される。これら押さえピン356aおよびストッパ部材358aは、一方の孔352aに挿通される。この場合、押さえピン356aの下端は、上基台352の下面から下方に突き出される。
また、ストッパ部材358aによって、押さえピン356aの下方向への変位が規制される。
さらに、孔352aには、その下端が押さえピン356aないしストッパ部材358aに当たるように、ばね360aが挿入される。また、孔352aの上部には、ばね360aの上端に接するように、押え部材362aが螺合される。
したがって、押さえピン356aは、ばね360aによって、下方に付勢される。また、押さえピン356aは、ばね360aの弾発力に抗して上方に変位することができる。
【0071】
これと同様に、他方の孔352bには、その上部にストッパ部材358bが固着された押さえピン356b、ばね360bおよび押え部材362bが設けられる。そして、押さえピン356bも、押さえピン356aと同様に、ばね360bによって下方に付勢され、また、上方に変位可能とされる。
【0072】
この実施の形態においては、上基台352の下面には、金型322の穴324の容器部12を入れた場合に容器部12のつば部18の封止部22およびつまみ部20の溶着部28に対向する部分に、それぞれ、リング状の加熱部材382および円柱状の加熱部材384が設けられる。これらの加熱部材382および加熱部材384は、一番下に突き出た状態の押さえピン356aおよび押さえピン356bの下面より上方に設けられる。
【0073】
前記液状チーズソース392の充填装置182は、前記胴部16の開口部26との間に空間部40を残して液状チーズソース392を注入するように、液状チーズソース392の注入量を制御できるように構成されている。
【0074】
次に、図11などを参照して、この容器10の容器部12の開口部26を蓋部30で密封するための密封方法について説明する。
まず、容器部12の中に、充填装置182によって、液状チーズソース392が充填される。
そして、この容器部12を充填シール装置310の金型322の穴324に入れ、さらに、容器部12のつば部18およびつまみ部20の上に蓋部30を構成する蓋材30Aを載せる。
それから、充填シール装置310のシリンダ等のアクチュエータを駆動して、上基台352,押さえピン356aおよび押さえピン356bなどを下方に変位し、図12に示すように押さえピン356aおよび押さえピン356bで容器部12を金型322の穴324に押し込む。
またこの状態では、容器部12のつば部18およびつまみ部20と蓋部30を構成する蓋材30Aとが金型322と押さえピン356aおよび押さえピン356bとで挟まれる。
【0075】
さらに、この状態で上基台352,加熱部材382および加熱部材384などを下方に変位して、加熱部材382で蓋部30の封止部32に溶着して容器部12の開口部26を蓋部30で密封し、且つ、加熱部材384で蓋部30の溶着部34をつまみ部20の溶着部28に溶着する。
なお、この状態では、押さえピン356aおよび押さえピン356bは、ばね360aおよびばね360bの弾発力に抗して上方に変位される。
【0076】
それから、上基台352を上方に変位して、容器部12を金型322の穴324から取り出す。
【0077】
この発明にかかるチーズソースは、液状であるので、料理にかけたり、混ぜたり、手軽に使用することが可能であり、日々の料理のアクセントとなる。
そして、液状チーズソースが小型容器10に充填されており、使いきりで使用することが可能である。
そして、液状であるので、料理にかけた際の見た目のアクセントになる。
また、無菌充填により、pHによる微生物制御や酢などの静菌作用のある原料を使用する必要がないので、チーズ本来の風味を楽しむことができる。
【0078】
冷蔵域、常温域で液状を保っており、常温保存可能であるので、保存場所を選ばない。
無菌充填ポーションパック包装とすれば、液状タイプでも腐敗の心配がなく、開封前であれば長期間衛生的である。
しかも、小型容器10に充填すれば、使いやすく、無駄がない。
【符号の説明】
【0079】
10 容器
12 容器部
12A 容器成形材
14 底部
14a 球冠部
16 胴部
16a 座部
18 つば部
20 つまみ部
22 封止部
24 ノッチ
26 開口部
28 溶着部
30 蓋部
30A 蓋材
32 封止部
34 溶着部
40 空間部
102A 蓋材ロール
102a 蓋材の残りの部分
110 容器製造装置
110A 機枠
110B フレーム
112 容器成形材供給機構
114 容器成形機構
116 容器成形材搬送機構
118 第1無菌化機構
120 充填機構
122 蓋材供給機構
124 第2無菌化機構
126 シール機構
126a プレシール装置
126b シール装置
128 カット機構
130 容器成形材保持供給手段
132 巻き取り手段
134 搬送手段
136 保持機
138 容器成形材交換台
140 容器成形材交換用スペース
142 容器成形材過酸化水素槽
144 蓋材過酸化水素槽
146a,146b 無菌温風エアー装置
148 送りローラ
152 供給スタンド
152A 駆動軸
152a ローラ
152b 導入ローラ
154a,154b ダンサローラ
156 第1上部ローラ
158 第2上部ローラ
160 下部ローラ
162 ローラ
164 マークセンサ
170 加熱装置
172 成形装置
176 下型
176b ボトムヒータ
180 充填ポンプ
182 充填装置
190 無菌室
192 容器成形材入口
194 蓋材入口
196 無菌室出口シャッター
200 冷却盤
210 ノッチ装置
220 ローラ
310 充填シール装置
320 容器保持部
322 金型
324 穴
340 送り部
350 蓋材固定部
352 上基台
352a,352b 孔
356a,356b 押さえピン
358a,358b ストッパ部材
360a,360b ばね
362a,362b 押え部材
380 接着部
382,384 加熱部材
392 液状チーズソース
401 溶解タンク
403,409 ホモゲナイザー
405 クッションタンク
407 プレート式間接殺菌機
411 アセプティックタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に、チーズを含むチーズソース原料を溶解するチーズソース原料溶解工程と、
前記溶解工程により得られたチーズ溶解液に、乳化剤を溶解する乳化剤溶解工程と、
前記乳化剤溶解工程により得られた乳化チーズ溶解液を、均質化する第一次均質化工程と、
前記第一次均質化工程により得られた第一次乳化チーズ溶解液を、殺菌する殺菌工程と、
前記殺菌工程を経た第一次乳化チーズ溶解液を、乳化を安定化するために更に均質化する、第二次均質化工程と、
前記乳化剤溶解工程により得られた乳化チーズ溶解液に、油脂、油脂に溶解させた乳化剤を溶解し、加温して、予備乳化する予備乳化工程と、
前記第二次均質化工程により得られたチーズ溶解液を、無菌状態においてカップ状の容器に注入するチーズ溶解液注入工程と、
前記カップ状の容器の開口部を蓋部で、無菌状態において密封する密封工程とを含む、液状チーズソースの製造方法。
【請求項2】
前記チーズソース原料溶解工程は、80〜85℃の温水に、溶融塩及び粉末チーズを含むチーズソース原料を溶解させる、請求項1に記載の液状チーズソースの製造方法。
【請求項3】
水に、チーズを含むチーズソース原料を溶解するチーズソース原料溶解工程と、
前記溶解工程により得られたチーズ溶解液に、乳化剤を溶解する乳化剤溶解工程と、
前記乳化剤溶解工程により得られた乳化チーズ溶解液を、均質化する第一次均質化工程と、
前記第一次均質化工程により得られた第一次乳化チーズ溶解液を、殺菌する殺菌工程と、
前記殺菌工程を経た第一次乳化チーズ溶解液を、乳化を安定化するために更に均質化する、第二次均質化工程と、
前記乳化剤溶解工程により得られた乳化チーズ溶解液に、油脂、油脂に溶解させた乳化剤を溶解し、加温して、予備乳化する予備乳化工程とにより製造された液状チーズソースが、
無菌状態においてカップ状の容器に注入され、且つ前記カップ状の容器の開口部を蓋部で、無菌状態において密封された、液状チーズソース。
【請求項4】
第二次均質化工程を経たチーズ溶解液に、食塩を0.5重量%以下、無脂乳固形分を12.0重量%以下含まれるように、チーズソース原料溶解工程において調整される、請求項3に記載の液状チーズソース。
【請求項5】
前記水は、第二次均質化工程を経たチーズ溶解液に、55〜80重量%含まれるように、チーズソース原料溶解工程において調整される、請求項3または請求項4に記載の液状チーズソース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−64(P2012−64A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139021(P2010−139021)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(391009501)メロディアン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】