説明

液状農薬組成物

【課題】スルホニルウレア系化合物の分解が抑制された液状農薬組成物を提供すること。
【解決手段】スルホニルウレア系化合物、界面活性剤及び有機溶媒を含有する液状農薬組成物であって、有機溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、炭素数が5〜12でありかつ分子量が80〜240であって25℃で液体である有機化合物、及び芳香族炭化水素が含有されてなることを特徴とする液状農薬組成物、界面活性剤が液状農薬組成物に対して0.1〜20重量%含有されてなる液状農薬組成物、液状農薬組成物が界面活性剤としてノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を含有する液状農薬組成物等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホニルウレア系化合物を含有する液状農薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スルホニルウレア系化合物又はその塩は、除草剤の有効成分として高活性を有することが知られている。この活性成分は、通常の保存条件下では、殆ど分解されず化学的に安定であるが、液体製剤中においては、保存中に活性成分が容易に分解してしまうことが知られている。そのため液体製剤において、分解を抑制し安定化させる技術が要望されている。これまでに、液体製剤中におけるスルホニルウレア系化合物又はその塩の分解を抑制するため、様々な化合物を添加することが検討されてきた。例えば、特許文献1では、スルホニルウレア系化合物を飽和炭化水素系溶剤に懸濁分散させることが開示されている。また、特許文献2では、スルホニルウレア系化合物を無機塩とスルホン酸塩類とを配合した水性懸濁状除草組成物に配合させることが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−257063号公報
【特許文献2】特開2007−153870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、スルホニルウレア系化合物の分解が抑制された液状農薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討し本発明に至った。すなわち本発明は、下記の発明を提供する。
[発明1]
スルホニルウレア系化合物、界面活性剤及び有機溶媒を含有する液状農薬組成物であって、
有機溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、炭素数が5〜12でありかつ分子量が80〜240であって25℃で液体である有機化合物、及び芳香族炭化水素が含有されてなることを特徴とする液状農薬組成物。
[発明2]
界面活性剤が液状農薬組成物に対して0.1〜20重量%含有されてなる発明1に記載の液状農薬組成物。
[発明3]
液状農薬組成物が界面活性剤としてノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を含有する発明1又は2に記載の液状農薬組成物。
[発明4]
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが液状農薬組成物に対して10〜50重量%含有されてなる発明1〜3のいずれか一に記載の液状農薬組成物。
[発明5]
芳香族炭化水素が液状農薬組成物に対して5〜80重量%含有されてなる発明1〜4のいずれか一に記載の液状農薬組成物。
[発明6]
炭素数が5〜12でありかつ分子量が80〜240であって25℃で液体である有機化合物が液状農薬組成物に対して10〜80重量%含有されてなる発明1〜5のいずれか一に記載の液状農薬組成物。
[発明7]
炭素数が5〜12でありかつ分子量が80〜240であって25℃で液体である有機化合物がプロピレングリコールジアセテート又はシュウ酸ジエチルである発明1〜6のいずれか一に記載の液状農薬組成物。
[発明8]
スルホニルウレア系化合物が液状農薬組成物に対して0.1〜10重量%含有されてなる発明1〜7のいずれか一に記載の液状農薬組成物。
[発明9]
発明1〜8のいずれか一に記載の液状農薬組成物を、50〜20000倍に水で希釈してなる水希釈液。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、スルホニルウレア系化合物の分解が抑制された液状農薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の液状農薬組成物(以下、本液状農薬組成物と記すこともある。)において使用しうるスルホニルウレア系化合物としては、特に限定されるものではないが例えば次式:
Q−SO2NHCONH−R
(式中、Qは、各種の置換基で置換されていてもよいフェニル基、ベンジル基、もしくは複素環基を示し、Rは、各種の置換基で置換されていてもよいピリミジル基もしくはトリアジル基を示す。)で表される誘導体が挙げられ、例えばエチル−5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾール−4−カルボキシレート(一般名:ピラゾスルフロンエチル)〔除草化合物1〕、メチル α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−O−トルアート(一般名:ベンスルフロンメチル)〔除草化合物2〕、1−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−3−[2−(2−メトキシエトキシ)フェニルスルホニル]ウレア(一般名:シノスルフロン)〔除草化合物3〕、N−(2−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルスルホニル)−N−(4,6−ジメトキシ−2−ピリミジニル)ウレア(一般名:イマゾスルフロン)〔除草化合物4〕、1−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)−3−[1−メチル−4−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−ピラゾール−5−イル]スルホニルウレア(一般名:アジムスルフロン)〔除草化合物5〕、1−(4,6ジメトキシピリミジン−2−イル)−3−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジルスルホニル)ウレア(一般名:フラザスルフロン)〔除草化合物6〕、1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルフォニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア〔除草化合物7〕等が挙げられる。
【0008】
スルホニルウレア系化合物の含有量は、本液状農薬組成物に対し、0.1〜10重量%であることが好ましい。
【0009】
本液状農薬組成物において農薬活性化合物はスルホニルウレア系化合物のみであってもよいが、スルホニルウレア系化合物の安定性に影響を与えない範囲において、スルホニルウレア系化合物以外の農薬活性化合物を含有していてもよい。スルホニルウレア系化合物以外の農薬活性化合物としては、例えば下記の除草活性化合物を挙げることができる。
フルミクロラックペンチル〔除草化合物8〕、フルミオキサジン〔除草化合物9〕、シニドンエチル〔除草化合物10〕、フルフェンピルエチル〔除草化合物11〕、ブロムピラゾン〔除草化合物12〕、ブタフェナシル〔除草化合物13〕、ブロマシル〔除草化合物14〕、フルプロパシル〔除草化合物15〕、ベンゾフェンジゾン〔除草化合物16〕、カルフェントラゾンエチル〔除草化合物17〕、スルフェントラゾン〔除草化合物18〕、ラクトフェン〔除草化合物19〕、ビフェノックス〔除草化合物20〕、クロルニトロフェノン〔除草化合物21〕、クロメトキシニル〔除草化合物22〕、クロアジホップ〔除草化合物23〕、ジクロホップ〔除草化合物24〕、フルアジホップ〔除草化合物25〕、ジクロスラム〔除草化合物26〕、クロランスラム〔除草化合物27〕、フルメトスラム〔除草化合物28〕、ペノクスラム〔除草化合物29〕、ピロクスラム〔除草化合物30〕、メトスラム〔除草化合物31〕、ピコリナフェン〔除草化合物32〕、フルフェナセット〔除草化合物33〕、メフェナセット〔除草化合物34〕、アトラジン〔除草化合物35〕、メトリブジン〔除草化合物36〕、フルオメツロン〔除草化合物37〕、イソプロチュロン〔除草化合物38〕、ダイムロン〔除草化合物39〕、イマザピル〔除草化合物40〕、イマザキン〔除草化合物41〕、イマゼタピル〔除草化合物42〕、プレチラクロール〔除草化合物43〕、ブタクロール〔除草化合物44〕、ベンチオカーブ〔除草化合物45〕、エスプロカルブ〔除草化合物46〕、モリネート〔除草化合物47〕、ブロモブチド〔除草化合物48〕、プロパニル〔除草化合物49〕、カフェンストロール〔除草化合物50〕、ピラゾキシフェン〔除草化合物51〕、ベンゾフェナップ〔除草化合物52〕、メチル={2−クロロ−4−フルオロ−5−[5,6,7,8−テトラヒドロ−3−オキソ−1H,3H−[1,3,4]チアジアゾロ[3,4−a]ピリダジン−1−イリデンアミノ]フェニルチオ}アセテート〔除草化合物53〕、N−ベンジル−2−(α,α,α,4−テトラフルオロ−m−トリルオキシ)ブチルアミド〔除草化合物54〕、2−(2,4−ジクロロ−5−プロプ−2−イニルオキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3(2H)−オン〔除草化合物55〕等。
【0010】
他にスルホニルウレア系化合物以外の農薬活性化合物として、例えば下記の殺菌活性化合物を挙げることができる。
プロピコナゾール〔殺菌化合物1〕、トリアジメノール〔殺菌化合物2〕、プロクロラズ〔殺菌化合物3〕、ペンコナゾール〔殺菌化合物4〕、テブコナゾール〔殺菌化合物5〕、フルシラゾール〔殺菌化合物6〕、ジニコナゾール〔殺菌化合物7〕、ブロムコナゾール〔殺菌化合物8〕、エポキシコナゾール〔殺菌化合物9〕、ジフェノコナゾール〔殺菌化合物10〕、シプロコナゾール〔殺菌化合物11〕、メトコナゾール〔殺菌化合物12〕、トリフルミゾール〔殺菌化合物13〕、テトラコナゾール〔殺菌化合物14〕、マイクロブタニル〔殺菌化合物15〕、フェンブコナゾール〔殺菌化合物16〕、ヘキサコナゾール〔殺菌化合物17〕、フルキンコナゾール〔殺菌化合物18〕、トリティコナゾール〔殺菌化合物19〕、ビテルタノール〔殺菌化合物20〕、イマザリル〔殺菌化合物21〕、フルトリアホール〔殺菌化合物22〕、フェンプロピモルフ〔殺菌化合物23〕、トリデモルフ〔殺菌化合物24〕、フェンプロピモルフ〔殺菌化合物25〕、ジメトモルフ〔殺菌化合物26〕、カルベンダジム〔殺菌化合物27〕、ベノミル〔殺菌化合物28〕、チアベンダゾール〔殺菌化合物29〕、チオファネートメチル〔殺菌化合物30〕、アゾキシストロビン〔殺菌化合物31〕、トリフロキシストロビン〔殺菌化合物32〕、ピコキシストロビン〔殺菌化合物33〕、ピラクロストロビン〔殺菌化合物34〕、ジモキシストロビン〔殺菌化合物35〕、フルオキサストロビン〔殺菌化合物36〕、メトミノストロビン〔殺菌化合物37〕、オリサストロビン〔殺菌化合物38〕、プロシミドン〔殺菌化合物39〕、イプロジオン〔殺菌化合物40〕、ビンクロゾリン〔殺菌化合物41〕、フラメトピル〔殺菌化合物42〕、メプロニル〔殺菌化合物43〕、フルトラニル〔殺菌化合物44〕、トリフルザミド〔殺菌化合物45〕、シプロジニル〔殺菌化合物46〕、ピリメタニル〔殺菌化合物47〕、メパニピリム〔殺菌化合物48〕、フェンピクロニル〔殺菌化合物49〕、フルジオキソニル〔殺菌化合物50〕、イプロバリカルブ〔殺菌化合物51〕、ベンチアバリカルブ〔殺菌化合物52〕、ジエトフェンカルブ〔殺菌化合物53〕、ボスカリド〔殺菌化合物54〕、フルアジナム〔殺菌化合物55〕、(Z)−2’−メチルアセトフェノン=4,6−ジメチルピリミジン−2−イルヒドラゾン〔殺菌化合物56〕、1−(メトキシカルボニル)−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン〔殺菌化合物57〕、1−[(エチルチオ)カルボニル]−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン〔殺菌化合物58〕、1−[(2−プロペニルチオ)カルボニル]−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン〔殺菌化合物59〕、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ−[3,4−b][1,3]ベンゾチアゾール〔殺菌化合物60〕、1,2,5,6−テトラヒドロピロロ[3,2,1−ij]キノリン−4−オン〔殺菌化合物61〕、3−アリロキシ−1,2−ベンゾチアゾール−1,1−ジオキシド〔殺菌化合物62〕等。
【0011】
他にスルホニルウレア系化合物以外の農薬活性化合物として、例えば下記の殺虫(殺ダニ)活性化合物を挙げることができる。
フェニトロチオン〔殺虫化合物1〕、ダイアジノン〔殺虫化合物2〕、クロルピリホス〔殺虫化合物3〕、ベンフラカルブ〔殺虫化合物4〕、プロポキスル〔殺虫化合物5〕、カルボスルファン〔殺虫化合物6〕、カルバリル〔殺虫化合物7〕、アルジカルブ〔殺虫化合物8〕、フェノチオカルブ〔殺虫化合物9〕、エトフェンプロックス〔殺虫化合物10〕、フェンバレレート〔殺虫化合物11〕、エスフェンバレレート〔殺虫化合物12〕、フェンプロパトリン〔殺虫化合物13〕、シペルメトリン〔殺虫化合物14〕、ペルメトリン〔殺虫化合物15〕、シハロトリン〔殺虫化合物16〕、デルタメトリン〔殺虫化合物17〕、シクロプロトリン〔殺虫化合物18〕、フルバリネート〔殺虫化合物19〕、ビフェンスリン〔殺虫化合物20〕、ハルフェンプロックス〔殺虫化合物21〕、トラロメトリン〔殺虫化合物22〕、シラフルオフェン〔殺虫化合物23〕、d−フェノトリン〔殺虫化合物24〕、シフェノトリン〔殺虫化合物25〕、d−レスメトリン〔殺虫化合物26〕、アクリナスリン〔殺虫化合物27〕、シフルトリン〔殺虫化合物28〕、テフルトリン〔殺虫化合物29〕、トランスフルスリン〔殺虫化合物30〕、テトラメトリン〔殺虫化合物31〕、アレトリン〔殺虫化合物32〕、プラレトリン〔殺虫化合物33〕、エンペントリン〔殺虫化合物34〕、イミプロスリン〔殺虫化合物35〕、d−フラメトリン〔殺虫化合物36〕、クロチアニジン〔殺虫化合物37〕、イミダクロプリド〔殺虫化合物38〕、チアメトキサム〔殺虫化合物39〕、チアクロプリド〔殺虫化合物40〕、クロルフルアズロン〔殺虫化合物41〕、テフルベンズロン〔殺虫化合物42〕、フルフェノクスロン〔殺虫化合物43〕、ビストリフルロン〔殺虫化合物44〕、ブプロフェジン〔殺虫化合物45〕、トリフルムロン〔殺虫化合物46〕、アセトプロール〔殺虫化合物47〕、エチプロール〔殺虫化合物48〕、フィプロニル〔殺虫化合物49〕、ピラクロフォス〔殺虫化合物50〕、ピリプロキシフェン〔殺虫化合物51〕、フェノキシカルブ〔殺虫化合物52〕、(RS)−5−ターシャリーブチル−2−[2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−4−イル]フェネトール〔殺虫化合物53〕、2,6−ジクロロ−4−(3,3−ジクロロアリロキシ)フェニル=3−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジルオキシ]プロピル=エーテル〔殺虫化合物54〕等。
【0012】
他にスルホニルウレア系化合物以外の農薬活性化合物として、例えば下記の植物成長制御化合物を挙げることができる。
ウニコナゾールP〔植物成長制御化合物1〕、パクロブトラゾール〔植物成長制御化合物2〕、(RS)−4’−クロロ−2’−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド〔植物成長制御化合物3〕等。
本液状農薬組成物がスルホニルウレア系化合物以外の農薬活性成分を含有する場合、その含有量は特に限定されるものではないが、本液状農薬組成物に対してスルホニルウレア系化合物以外の農薬活性成分が0.1〜30重量%であることが望ましい。
上記の農薬活性化合物は、The Pesticide Manual第13版(1987年 The British Crop Protection Consil発行)等の公知の文献に記載された化合物である。
【0013】
本液状農薬組成物に含有される界面活性剤の含有量は、本液状農薬組成物に対し0.1〜20重量%の範囲であることが好ましく、5〜15重量%の範囲であることが更に好ましい。
また、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤であればよく、アニオン性界面活性剤の1種以上とノニオン性界面活性剤の1種以上との組み合わせからなる界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤の1種以上とノニオン性界面活性剤の1種以上との重量比が1:0.1〜1:10の範囲であることが更に好ましい。
【0014】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等のアルキルアリールスルホン酸塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸等のポリオキシエチレン(ポリ)アリールアリールエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸等のポリオキシエチレン(ポリ)アリールアリールエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルが使用することができ、より好ましくはアルキルアリールスルホン酸塩、特にドデシルベンゼンスルホン酸塩(ナトリウム塩およびカルシウム塩)が好ましく使用することができる。
一般にスルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩において、ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
ドデシルベンゼンスルホン酸塩としては、例えばRhodacal 70、Rhodacal 70/B、Rhodacal 60/BE(いずれもローディア日華製)、Nansa EVM 62/H(Huntsman製)等の市販の界面活性剤が使用できる。ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸としては、例えばSoprophor DSS/7(ローディア日華製)等の市販の界面活性剤が使用できる。ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸としては、例えばSoprophor FLK(ローディア日華製)等の市販の界面活性剤が使用できる。ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステルとしては、Rhodafac PS/17(ローディア日華製)等の市販の界面活性剤が使用できる。ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルとしては、Rhodafac MB(ローディア日華製)等の市販の界面活性剤が使用できる。
【0015】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリアリールエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油等のポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化植物油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヒマシ油等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン植物油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルフォスフェートジエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリスチリルフェニルフォスフェートジエステル、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、グリセリン脂肪酸エステルが使用することができ、より好ましくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレン硬化植物油、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルフォスフェートジエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリスチリルフェニルフォスフェートジエステルが挙げられる。
【0016】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーとしては、Teric PE 64(Huntsman製)等の市販の界面活性剤が使用できる。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、Antarox BO/327(ローディア日華製)等の市販の界面活性剤が使用できる。ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルとしては、ソルポール T26(東邦化学工業製)等の市販の界面活性剤が使用できる。ポリオキシエチレンヒマシ油としては、Alkamuls OR/40、Alkamuls BR(いずれもローディア日華製)等の市販の界面活性剤が使用できる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、NIKKOL HCO−20(日光ケミカルズ製)等の市販の界面活性剤が使用できる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、ペグノール24−O、ペグノール14−S(いずれも東邦化学工業製)等の市販の界面活性剤が使用できる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ペグノールST−7(東邦化学工業製)等の市販の界面活性剤が使用できる。グリセリン脂肪酸エステルとしては、NIKKOL MGU、NIKKOL DGS−80(いずれも日光ケミカルズ製)等の市販の界面活性剤が使用できる。
【0017】
本発明において、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンは、市販のものを使用することができ、その含有量は特に限定されるものではないが、本液状農薬組成物に対して10〜50重量%の範囲であることが好ましい。
【0018】
炭素数が5〜12でありかつ分子量が80〜240であって25℃で液体である有機化合物としては、エステル系化合物、エーテル系化合物、ラクトン系化合物等が挙げられる。
エステル系化合物としては、シュウ酸ジエチル、プロピレングリコールジアセテート、tert−ブチルアセトアセテート、アリルアセトアセテート、ベンジルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、サリチル酸メチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等が挙げられる。
エーテル系化合物としては、ビス−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
ラクトン系化合物としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
本発明において、シュウ酸ジエチル、プロピレングリコールジアセテート、tert−ブチルアセトアセテート、アリルアセトアセテート、ベンジルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、サリチル酸メチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、ビス−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンは市販されているものを使用することができ、その含有量は特に限定されるものではないが、本液状農薬組成物に対して10〜80重量%の範囲であることが好ましい。
本液状農薬組成物に含有される炭素数が5〜12でありかつ分子量が80〜240であって25℃で液体である有機化合物は、プロピレングリコールジアセテート又はシュウ酸ジエチルのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0019】
芳香族炭化水素としては、アルキルベンゼン(例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、テトラメチルベンゼン等)、アルキルナフタレン(例えば、メチルナフタレン等)、ジフェニルエタン、ジキシリルエタン、フェニルキシリルエタン等が使用できる。芳香族炭化水素の含有量は、5〜80重量%の範囲であることが好ましい。
【0020】
芳香族炭化水素溶媒として、市販されている溶媒としては、例えばハイゾールSAS−296(1−フェニル−1−キシリルエタンと1−フェニル−1−エチルフェニルエタンの混合物、新日本石油株式会社の商品名)、カクタスソルベントHP−MN(メチルナフタレン80%、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントHP−DMN(ジメチルナフタレン80%、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントP−100(炭素数9〜10のアルキルベンゼン、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントP−150(アルキルベンゼン、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントP−180(メチルナフタレンとジメチルナフタレンの混合物、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントP−200(メチルナフタレンとジメチルナフタレンの混合物、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントP−220(メチルナフタレンとジメチルナフタレンの混合物、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントPAD−1(ジメチルモノイソプロピルナフタレン、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、ソルベッソ100(芳香族炭化水素として主にC9−10のジアルキルおよびトリアルキルベンゼン、エクソンモービル有限会社の商品名)、ソルベッソ150(芳香族炭化水素として主にC10−11のアルキルベンゼン、エクソンモービル有限会社の商品名)、ソルベッソ150ND(芳香族炭化水素として主にC10−11のアルキルベンゼン、Exxon Mobil Chemical Companyの商品名)、ソルベッソ200(芳香族炭化水素として主にC10−14のアルキルナフタレン、エクソンモービル有限会社の商品名)、ソルベッソ200ND(芳香族炭化水素として主にC10−14のアルキルナフタレン、Exxon Mobil Chemical Companyの商品名)、ULTRA LOW NAPHTHALENE AROMATIC 150(芳香族炭化水素として主にC10−11のアルキルベンゼン、Exxon Mobil Chemical Companyの商品名)、ULTRA LOW NAPHTHALENE AROMATIC 200(芳香族炭化水素として主にC10−14のアルキルナフタレン、Exxon Mobil Chemical Companyの商品名)、スワゾール100(トルエン、丸善石油化学株式会社の商品名)、スワゾール200(キシレン、丸善石油化学株式会社の商品名)等の市販品が使用し得る。
【0021】
本液状農薬組成物は、必要により酸化防止剤、着色剤、香料、効力増強剤、薬害軽減剤等の製剤用助剤を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、例えば3−/2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、ブチレイティドヒドロキシトルエン等が挙げられ、着色剤としては、例えばローダミンB、黄色4号、青色1号、赤色2号等が挙げられる。
本液状農薬組成物において、製材用助剤の総量は通常0〜5重量%の範囲である。
【0022】
本液状農薬組成物を水に希釈することにより乳化させる場合、本液状農薬組成物に対して50〜20000倍の水を用いることが好ましい。
【0023】
本液状農薬組成物は、液体製剤の一般的な製造方法により製造することができる。代表的な液状農薬組成物の製法として、農薬原体,溶剤等の資材を釜に投入後、攪拌して均一に溶解することにより製造できる。原体の溶剤への溶解速度が遅く溶解しにくい場合には、必要に応じて加温して溶解速度を速めることもできる。
【実施例】
【0024】
次に、本液状農薬組成物におけるスルホニルウレア系化合物の分解抑制効果を実施例を挙げて説明する。尚、実施例において使用した資材は下記の通りである。
アニオン性界面活性剤A:ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(Nansa EVM 62/H、Huntsman製);
ノニオン性界面活性剤A:ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー(Step−flow 26、Stepan製);
ノニオン性界面活性剤B:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Ethylan SN−90、Akzo Nobel製);
ノニオン性界面活性剤C:ポリオキシエチレンヒマシ油(Berol 904、Akzo Nobel製);
ノニオン性界面活性剤D:ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(Toximul SEE−341、Stepan製);
ノニオン性界面活性剤E:ポリオキシエチレントリスチルフェニルエーテル(Soprophor BSU、Rhodia製);
ノニオン性界面活性剤F:ポリオキシアルキレングリコールブチルエーテル(Ethylan NS−500LQ、Akzo Nobel製)
ノニオン性界面活性剤G:ポリオキシエチレンイソデシルアルコール(Makon DA−6、Stepan製);
ノニオン性界面活性剤H:ポリオキシエチレン脂肪酸誘導体(Ninex MT−610、Stepan製);
ノニオン性界面活性剤I:ジスチレン化フェノールエチレンオキシド付加体(ソルポール F−19、東邦化学製);
ノニオン性界面活性剤J:ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(ソルボン T−80、東邦化学製);
芳香族炭化水素溶剤A:Solvesso200ND(主としてC10−14のアルキルナフタレン、Exxon Mobil Chemical製);
芳香族炭化水素溶剤B:Solvesso150ND(主としてC10−11のアルキルベンゼン、Exxon Mobil Chemical製)
DMI:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(三井化学製);
PGDA:プロピレングリコールジアセテート(和光純薬工業製)
DO:シュウ酸ジエチル(和光純薬工業製)
【0025】
製造例1
室温で、除草化合物7 0.75g、アニオン性界面活性剤A 1.75g、ノニオン性界面活性剤A 1.75g、DMI 15g、PGDA 20.75g及び芳香族炭化水素溶媒A 10gを量りとった。該混合物を室温で均一になるまで攪拌し、本液状農薬組成物1を調製した。
【0026】
製造例2〜14
製造例1記載の手順に準じて、表1〜表4に記載の資材の比率にて本液状農薬組成物2〜11を調製した。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
【表4】

【0031】
比較例1
室温で、除草化合物7 0.75g、アニオン性界面活性剤A 1.75g、ノニオン性界面活性剤A 1.75g、DMI 15g、PGDA 30.75gを量りとった。該混合物を室温で均一になるまで攪拌し、液状農薬組成物を調製した。
【0032】
試験例1(原体保存安定性)
本液状農薬組成物1〜11及び比較例1を、40℃にて2日間保存後、スルホニルウレアの濃度を高速液体クロマトグラフィで測定し、下記の基準に従ってスルホニルウレア分解の抑制効果を評価した。
判定基準
◎ : 原体分解率20%以下
○ : 原体分解率20〜30%
× : 原体分解率30%以上
【0033】
試験例1の結果を以下の表5に示す。
【0034】
【表5】

【0035】
製造例15〜24
製造例1記載の手順に準じて、表6〜8に記載の資材の比率にて本液状農薬組成物15〜24を調製する。
【0036】
【表6】

【0037】
【表7】

【0038】
【表8】

【0039】
試験例2(原体保存安定性)
本液状農薬組成物15〜24を、40℃にて2日間保存後、スルホニルウレアの濃度を高速液体クロマトグラフィで測定する。本液状農薬組成物15〜24はいずれも、スルホニルウレアの分解は抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明により、スルホニルウレア系化合物の分解が抑制された液状農薬組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホニルウレア系化合物、界面活性剤及び有機溶媒を含有する液状農薬組成物であって、
有機溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、炭素数が5〜12でありかつ分子量が80〜240であって25℃で液体である有機化合物、及び芳香族炭化水素が含有されてなることを特徴とする液状農薬組成物。
【請求項2】
界面活性剤が液状農薬組成物に対して0.1〜20重量%含有されてなる請求項1に記載の液状農薬組成物。
【請求項3】
液状農薬組成物が界面活性剤としてノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を含有する請求項1又は2に記載の液状農薬組成物。
【請求項4】
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが液状農薬組成物に対して10〜50重量%含有されてなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の液状農薬組成物。
【請求項5】
芳香族炭化水素が液状農薬組成物に対して5〜80重量%含有されてなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の液状農薬組成物。
【請求項6】
炭素数が5〜12でありかつ分子量が80〜240であって25℃で液体である有機化合物が液状農薬組成物に対して10〜80重量%含有されてなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の液状農薬組成物。
【請求項7】
炭素数が5〜12でありかつ分子量が80〜240であって25℃で液体である有機化合物がプロピレングリコールジアセテート又はシュウ酸ジエチルである請求項1〜6のいずれか一項に記載の液状農薬組成物。
【請求項8】
スルホニルウレア系化合物が液状農薬組成物に対して0.1〜10重量%含有されてなる請求項1〜7のいずれか一項に記載の液状農薬組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の液状農薬組成物を、50〜20000倍に水で希釈してなる水希釈液。

【公開番号】特開2009−209101(P2009−209101A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54512(P2008−54512)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】