説明

液膜計測装置及び液膜計測方法

【課題】
本発明の目的は、BWR型原子炉内部の二相流状態を模擬した約300℃の蒸気-水環境において、BWR型原子炉内部の燃料棒を模擬した円管周りの液膜厚さを計測できる液膜計測装置を提供することである。
【解決手段】
本発明の液膜計測装置は、燃料棒を模擬した第1の円管に回転可能に配置された第1の磁石を、前記第1の円管の周囲に配置され燃料棒を模擬した第2の円管の内部に配置された第2の磁石で回転させ、前記第1の円管に配置された圧電素子からの超音波を前記第1の円管に径方向に放射し、前記第1の円管の外表面の液膜厚さを計測することを第1の特徴とする。また、前記圧電素子は回転可能な容器に内蔵されており、前記容器を設置した前記第1の円管の箇所に、内部と外部とで液体が出入り可能な連通口が設けられていることを第2の特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液膜計測装置及び液膜計測方法に係わり、特に、沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)内部の気液二相流状態を模擬した、約300℃の蒸気-水環境での利用が可能な液膜計測装置及び液膜計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、BWR型原子炉の炉心内部を流れる冷却材の挙動を詳細に把握するために、BWR型原子炉内部の気液二相流流動を模擬した実験が数多く行われている。原子炉の炉心を構成する燃料棒に沿って流れる液膜の挙動についても、燃料棒を模擬した円管を用い、その表面の液膜厚さを計測するなど、色々な実験が行われている。液膜厚さを計測する方法として、超音波を利用した実験も報告されている。そのような先行技術文献として、非特許文献1及び非特許文献2がある。
【0003】
非特許文献1は、常温、大気圧の条件のもとで、超音波を利用して液膜厚さを計測した実験として、模擬燃料棒内部に設置した反射体を、マイクロモータで回転させることにより、円周方向の液膜厚さの分布を高速に計測できる液膜計測装置が利用されている。当該液膜計測装置の詳細についてはNuclear Engineering and Design 184 (1998) 349-362に記載されている。
【0004】
一方、非特許文献2は、常温よりも高い温度で、超音波を利用して液膜の厚さが計測された例を示し、12.3mmのポリイミド製円管の内部に圧電素子が固定され、200℃の蒸気-水雰囲気で形成される液膜の厚さを計測する実験が報告されている。当該実験の詳細は、日本原子力学会誌和文論文誌、Vol.5, No.1, pp.14-24(2006)に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】T. Kamei, A.Serizawa, Nuclear Engineering and Design 184 (1998) 349-362
【非特許文献2】佐藤他5名、日本原子力学会和文論文誌、Vol.5, No.1, pp.14-24(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、BWR型原子炉の運転状態を模擬した、液膜の温度が約300℃に達する実験の場合には、非特許文献1が示したマイクロモータを用いた液膜計測装置を使用することは困難である。モータを使用する雰囲気温度が高くなると、巻線部の絶縁が確保できなくなるなどの問題があり、約300℃で使用可能な、直径10mm程度の円管内に設置できる小型モータは提供されていない。
【0007】
また、非特許文献2は、圧電素子の取付方向として、”中央サブチャンネルに面した向きに配置”、と記載(P20、Fig.16)されており、水平断面の円周方向で異なる向きの液膜厚さが計測可能については記載されていない。
【0008】
本発明の目的は、BWR型原子炉内部の二相流状態を模擬した約300℃の蒸気-水環境において、BWR型原子炉の燃料棒を模擬した円管周りの液膜厚さを計測できる液膜計測装置または液膜計測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、燃料棒を模擬した第1の円管に回転可能に配置された第1の磁石を、前記第1の円管の周囲に配置され燃料棒を模擬した第2の円管の内部に配置された第2の磁石で回転させ、前記第1の円管に配置された圧電素子からの超音波を前記第1の円管の径方向に放射し、前記第1の円管の外表面の液膜厚さを計測することを第1の特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記目的を達成するために、燃料棒を模擬した第1の円管と、圧電素子を固定する第1の支持体と、第1の磁石を固定する第1の磁石支持体と、該第1の磁石支持体を固定し該第1の円管内部の中心軸を回転中心とする回転軸と、前記第1の円管の周囲に配置され、前記第1の磁石を介して該回転軸を回転させる第2の磁石を内部に具備する複数の燃料棒を模擬した第2の円管とを有することを第2の特徴とする
さらに、本発明は、上記目的を達成するために、第2の特徴を加え、前記第1の支持体は前記回転軸に固定され、前記圧電素子は前記第1の円管の径方向に超音波を放射することを第3の特徴とする
また、本発明は、上記目的を達成するために、第2の特徴を加え、前記回転軸に固定され前記圧電素子からの超音波を前記第1の円管の径方向に反射させる反射体を有し、前記第1の支持体は前記第1の円管に固定されていることを第4の特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、上記目的を達成するために、第2または第3の特徴を加え、前記第1の支持体は前記圧電素子を内部に固定する密閉された容器であることを第5の特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記目的を達成するために、第5の特徴を加え、前記第1の円管の外部と内部が連通する連通口を有することを第6の特徴とする。
【0013】
さらに、本発明は、上記目的を達成するために、第2または第3の特徴を加え、
前記圧電素子に接続された信号線が、前記回転軸まわりに一周以上巻かれていることを第7の特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記目的を達成するために、第3の特徴を加え、前記第2の磁石は、前記中心軸方向に移動可能で、前記第1の磁石に対し引力または斥力を作用し、前記第1の円管に正対させる手段を有することを第8の特徴とする。
【0015】
さらに、本発明は、上記目的を達成するために、第2の特徴を加え、前記第2の磁石は前記第2の円管に固定され、前記第1の磁石に対し引力または斥力を作用させる電磁石であることを第9の特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記目的を達成するために、第2の特徴を加え、前記第2の円管は、その本数は8であり、前記第1の円管の周辺に正方格子状に配置されたことを第10の特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、BWR型原子炉内部の二相流状態を模擬した約300℃の蒸気-水環境において、BWR型原子炉内部の燃料棒を模擬した円管周りの液膜厚さを計測できる液膜計測装置または液膜計測方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の液膜計測装置の第1の実施形態の構成を示す図で、BWR型原子炉内部の二相流状態を模擬できる試験装置内部に配置された模擬燃料棒の縦方向の断面図である。
【図2】BWR型原子炉内部の二相流状態を模擬できる試験装置内部に配置された模擬燃料棒の一部を上部から見た図で、液膜厚さを計測する圧電素子を内蔵した計測用円管と、圧電素子を回転させる操作用円管8本を、BWR燃料集合体の構造を模擬するように、計測用円管周辺に正方格子状に配置した図である。
【図3】図2から回転容器2を45度反時計回りに回転した位置での計測用円管表面の液膜厚さを計測する状態を示す図である。
【図4】図2から回転容器2を90度反時計回りに回転した位置での計測用円管表面の液膜厚さを計測する状態を示す図である。
【図5】本発明の液膜計測装置の第2の実施形態の構成を示す図で、BWR型原子炉内部の二相流状態を模擬できる試験装置内部に配置された模擬燃料棒の縦方向の断面図である。
【図6】本発明の液膜計測装置の第3の実施形態の構成を示す図で、BWR型原子炉内部の二相流状態を模擬できる試験装置内部に配置された模擬燃料棒の縦方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の液膜計測装置の第1の実施形態の構成を示す図で、BWR型原子炉内部の二相流状態を模擬できる試験装置内部に配置された模擬燃料棒の縦方向の断面図である。図2は、BWR型原子炉内部の二相流状態を模擬できる試験装置内部に配置された模擬燃料棒の一部を上部から見た図で、液膜厚さを計測する圧電素子1を内蔵した燃料棒を模擬した計測用円管9と、燃料棒を模擬し圧電素子1を回転させる操作用円管8本を、BWR燃料集合体の構造を模擬するように、計測用円管9周辺に正方格子状に配置した図である。
【0020】
本実施形態の液膜計測装置は、計測用円管9内に回転可能に設けられた圧電素子1が、8本の操作用円管に内在する操作用磁石によって、圧電素子を計測用円管9の円周方向に回転させられる。これにより、液膜計測装置は圧電素子から放射される超音波の方向を変えることができ、円周方向異なる位置での計測用円管周辺の液膜厚さの分布を計測できる。
【0021】
以下、本発明の第1の実施形態の詳細を説明する。まず、計測用円管9の構成を図1を用いて説明する。
圧電素子1は、密閉された回転容器2内部の空間に、はんだ付けなどの方法で支持固定される。圧電素子1と回転容器2を接着材で固定する方法もある。回転容器2には、中心軸に回転軸4が取り付けられている。回転容器2の上方に、回転用磁石3が取り付けられている。回転用磁石3は密閉された磁石ケース8に封入されており、回転軸4を介して回転容器2に接続されており、回転容器2と回転用磁石3が一体となって回転できる構造となっている。回転軸4は、計測用円管9内部の空間上下に形成された軸受5に嵌め込まれている。圧電素子1には、電気パルスを供給し、かつ圧電素子1が受信した超音波の信号を伝達するため、リード線6が接続されている。リード線6は、信号ケーブル7に接続され、外部の信号処理装置(図示せず)へ液膜信号を伝達する。信号ケーブル7は、回転容器2の外部に引き出された上方位置において、回転軸4の周りにコイル状に複数回巻かれた後、計測用円管9外部へと引き出されている。信号ケーブル7がコイル状に巻かれていることにより、回転容器2は回転軸周りに回転する際に受ける抵抗力を小さくすることができる。
【0022】
計測用円管9の側面には、計測用円管9の外側から内側へ液体が流入できるように、連通口10が設けられている。液膜計測装置を使用する前の準備段階で、計測用円管9周辺を水で満たすことにより、計測用円管9内部に水が流入する。これにより、計測用円管9と回転容器2との間隙部分が水で満たされるため、水が流入していない状態に比べて、圧電素子1から放射される超音波が、回転容器2から計測用円管9へ到達する際の減衰を大幅に小さくすることができ、計測用円管9外側へも超音波を伝達できるようになる。連通口10を設けることにより、回転容器2を内包する計測用円管9の内部空間と外側の圧力がほぼ等しくなり、圧力による破損を考慮する必要がないため、回転容器2を内包する部分の計測用円管9の厚さを薄くすることができる。また、あらかじめ計測用円管9内部の空間に水を封入しておくことで、水を流入させる手順を省くことも可能である。
【0023】
次に、操作用円管12を図1、図2を用いて説明する。操作用円管12は、前述したように、回転容器2、即ち回転容器2に固定された圧電素子1の方向を調節するために、計測用円管9周辺に、BWR燃料集合体の構造を模擬するように、正方格子状に配置されている。また、操作用円管12には、その内部に操作用磁石21が組み込まれている。図2の例では、操作用円管12は8本であり、回転容器2は8方向に向きを調節することができる。操作用円管12内部の操作用磁石21は、操作用磁石ケース24内部に封入されている。図2に示したように、操作用磁石ケース24の側面には凹みが設けられており、その凹部が操作用円管12内部に固定された凸状のガイド23に沿って上下に移動する。ガイド23は、操作用磁石12を上下させる際に、操作用円管12内部で円周方向に回転することを防止している。操作用磁石21は、操作ロッド22を介して外部から上下方向に移動させることができる。操作ロッド22は、回転容器2の方向を調節した後、操作用円管12上方で固定される。操作用磁石21の上下方向位置は、操作用円管12の内部空間26の下端と、ストッパ25で定めることができる。
【0024】
また、計測用円管9及び操作用円管12の下部には、発熱体11が設置され、BWR型原子炉で使用される燃料の発熱を模擬し、約300℃の蒸気-水環境を実現することができる
次に、図2、図3及び図4を用いて回転容器2、即ち圧電素子1の方向を調節し、液膜厚さを計測する方法を説明する。図2では、計測用円管9の右隣位置に図示した操作用円管12のみの操作用磁石21が、操作用円管12の内部空間26の下端まで下がった状態を示している。その他7本の操作用円管12については、操作用磁石21はストッパ25に接する位置まで引き上げられている。8本ある操作用円管12は、内部にとりつけられたガイドの円周方向の位置がそれぞれ異なっており、回転用磁石3と操作用磁石21との間の磁力による引力又は斥力ができるだけ大きくなるように配慮されている。また、それぞれの操作用円管21内部の操作用磁石21の極性は、計測用円管9に近い側がN極となるように設置されている。
【0025】
回転容器2内部の圧電素子1は図示していないが、圧電素子1と回転用磁石3の長辺が同じ向きとなるように固定する。即ち、回転用磁石3と操作用磁石21とが正対したときに、圧電素子1も当該操作用磁石21を有する操作用円管12に正対するように固定されている。ただし、異なる方向の液膜厚さを計測する必要がある場合には、所定の角度を設けて固定することも可能である。圧電素子1と回転用磁石3の長辺が同じ向きに固定されている場合には、圧電素子1から放射された超音波が反射される信号を観察すると、操作用磁石21が下げられた操作用円管12表面で反射される超音波が観察されるので、回転容器2が目的とする方向を向いていることを、圧電素子1の信号に基づいて確認することができ、図2に示す位置での計測用円管9表面の液膜厚さを計測できる。
【0026】
図3は、計測用円管9の右隣に図示した操作用円管12内の操作用磁石21を上方ストッパ25位置まで引き上げ、さらに、計測用円管9の右斜め上方に図示した操作用円管12内部の操作用磁石21を操作用円管12の内部空間26の下端まで下げた状態を示している。この場合、図2の状態から、回転容器2は45度反時計回りに回転した状態となる。その結果、図3に示す位置での液膜厚さを計測できる。
【0027】
図4は、計測用円管9の上側に図示した操作用円管12内部の操作用磁石21のみを操作用円管12の内部空間下端まで下げた状態を示している。この場合、図2の状態から、回転容器2は90度反時計回りに回転した状態となる。同様の操作として、計測用円管9周辺の操作用磁石21を適切に上下させることによって、回転容器2を円周方向に45度刻みで回転させることができ、計測用円管9表面におけるその位置での液膜厚さを計測できる。
【0028】
図2、図3及び図4では、操作用磁石21の極性として、計測用円管9に近い側をN極として説明したが、計測用円管9に近い側をS極としても同様の操作が可能である。また、回転容器2を360度回転する必要がない場合には、計測用円管9を挟んで向かい合う操作用円管12の二本を一組として、それぞれの操作用磁石21の極性を反対にしておき、二つの操作用磁石21を操作用円管12の内部空間26の下端まで下げることで、操作用磁石21一つで操作した場合にくらべ、強い磁力を回転用磁石3に作用させられるため、回転容器2の方向をより安定させることが可能である。
【0029】
以上説明した第1の実施形態によれば、圧電素子を回転可能な容器に内蔵させ、磁力を用いて容器の方向を変えているため、約300℃の雰囲気でも容器を回転させる機能は維持することができる。その結果、BWR型原子炉内部の気液二相流状態を模擬した約300℃の蒸気-水環境において、燃料棒を模擬した計測用円管周りの液膜厚さが、円周方向の複数点で計測でき、計測用円管周辺の液膜厚さの分布状態を知ることができる。
【0030】
また、第1の実施形態によれば、計測用円管9の側面には、計測用円管9の外側から内側へ液体が流入できるように、連通口10が設けられているので、圧電素子による液膜計測をより高精度にできる。また、連通口10を設けることにより、計測用円管9の内部空間と外側の圧力がほぼ等しくなり、計測用円管9の厚さを薄くすることができる。
【0031】
さらに、第1の実施形態によれば、磁力の強さを制御する必要がない操作用磁石を機械的に所望の位置に設定できるので、簡単な機構で確実に所望の位置の液膜厚さを計測できる。
【0032】
図5は、本発明の液膜計測装置の第2の実施形態の構成を示す図で、BWR型原子炉内部の二相流状態を模擬できる試験装置内部に配置された模擬燃料棒の縦方向の断面図である。第1の実施形態と異なる点は、操作用磁石21を操作用電磁石31に置き換えた構造としている点である。操作用円管12内部には、操作用電磁石31が磁極座34にピンなどを差し込むことで高さ方向の位置が支持されるとともに、円周方向の位置が変化しない構造となっている。コイル32へは直流電流を電線33から供給する。直流電流を流す方向を反転させることで、回転用磁石3に近い側の極性を反転させることができるので、回転用磁石3の両側の電磁石を用いて回転容器2の方向を調整することができ、計測用円管9表面におけるその方向の液膜厚さを計測できる。
【0033】
また、第2の実施形態において、隣接する2本の操作用円管12内部における
操作用電磁石31の直流電流の流れの方向及び電流量を予め調節しデータ化することによって、隣接する2本の操作用円管の中間位置または任意の位置に圧電素子1を正対させることができ、その位置での計測用円管9表面の液膜厚さを計測できる。
【0034】
第2の実施形態においても、第1の実施形態で説明したように、計測用円管9を挟んで向かい合う操作用円管12の2本または4本を一組として操作用電磁石31を制御することによってより安定して圧電素子1の位置決めをすることができる。
【0035】
以上説明した第2の実施形態において、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
また、第2の実施形態によれば、操作用磁石として電磁石を用いることで可動部を少なくできより信頼性の高い液膜計測装置を提供できる。
さらに、第2の実施形態によれば、第1の実施形態より、計測用円管の円周方向のより多くの計測点で液膜厚さを計測できる。
【0036】
図6は、本発明の液膜計測装置の第3の実施形態の構成を示す図で、BWR型原子炉内部の二相流状態を模擬できる試験装置内部に配置された模擬燃料棒の縦方向の断面図である。第1及び第2の実施形態と異なる点は、圧電素子1を計測用円管9に固定された容器16に内蔵し、回転用磁石3と連動して回転する反射体15を設けた点である。なお、回転軸4の反射体側はやや細くなっており、回転軸は連通口10から水が流入したときに容器16側に流入水が行き渡るように格子形状を有するスペーサ14によって回転可能に支持されている。
【0037】
本実施形態では、圧電素子を回転させなくとも、反射体15を回転用磁石3と連動して回転させることによって計測用円管9の所望位置の液膜厚さを計測できる。
【0038】
以上説明した第3の実施形態において、第1または第2の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0039】
また、第3の実施形態では、圧電素子を回転させる必要がないので、信号ケーブル7を回転軸4の周りにコイル状に複数回巻く必要がなく固定でき、信号の送受信を安定して行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1:圧電素子 2:回転容器 3:回転用磁石
4:回転軸 5:軸受 6:リード線
7:信号ケーブル 8:磁石ケース 9:計測用円管
10:連通口 11:発熱体 12:操作用円管
14:スペーサ 15:反射体 16:容器
21:操作用磁石 22:操作ロッド 23:ガイド
24:操作用磁石ケース 25:ストッパ 26:操作用円管の内部空間
31:操作用電磁石 32:コイル 33:電線
34:磁極座。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料棒を模擬した第1の円管と、圧電素子を固定する第1の支持体と、第1の磁石を固定する第1の磁石支持体と、該第1の磁石支持体を固定し該第1の円管内部の中心軸を回転中心とする回転軸と、前記第1の円管の周囲に配置され、前記第1の磁石を介して該回転軸を回転させる第2の磁石を内部に具備する複数の燃料棒を模擬した第2の円管とを有することを特徴とする液膜計測装置。
【請求項2】
前記第1の支持体は前記回転軸に固定され、前記圧電素子は前記第1の円管の径方向に超音波を放射することを特徴とする請求項1に記載の液膜計測装置。
【請求項3】
前記回転軸に固定され前記圧電素子からの超音波を前記第1の円管の径方向に反射させる反射体を有し、前記第1の支持体は前記第1の円管に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の液膜計測装置。
【請求項4】
前記第1の支持体は前記圧電素子を内部に固定する密閉された容器であることを特徴とする請求項2又は3に記載の液膜計測装置。
【請求項5】
前記第1の円管の外部と内部が連通する連通口を有することを特徴とする請求項4項に記載の液膜計測装置。
【請求項6】
前記圧電素子に接続された信号線が、前記回転軸まわりに一周以上巻かれていることを特徴とする請求項2に記載の液膜計測装置。
【請求項7】
前記第2の磁石は、前記中心軸方向に移動可能で、前記第1の磁石に対し引力または斥力を作用し、前記第1の円管に正対させる手段を有することを特徴とする請求項2に記載の液膜計測装置。
【請求項8】
前記第2の磁石は前記第2の円管に固定され、前記第1の磁石に対し引力または斥力を作用させる電磁石であることを特徴とする請求項1に記載の液膜計測装置。
【請求項9】
前記第2の円管は、その本数は8であり、前記第1の円管の周辺に正方格子状に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の液膜計測装置。
【請求項10】
燃料棒を模擬した第1の円管に回転可能に配置された第1の磁石を、前記第1の円管の周囲に配置され燃料棒を模擬した第2の円管の内部に配置された第2の磁石で回転させ、前記第1の円管に配置された圧電素子からの超音波を前記第1の円管の径方向に放射し、前記第1の円管の外表面の液膜厚さを計測することを特徴とする液膜計測方法。
【請求項11】
前記圧電素子は前記第1の磁石と共に回転することを特徴とする請求項10に記載の液膜計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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