説明

液面検出装置

【課題】タンク内に収容されてカップ状のキャップ体を取り付けたフロートに埋設した磁石によりリードスイッチを作動させる液面検出装置において、タンクの上面開口を覆うカバーの下面に結露した水滴がキャップ体内に落下しないようにする。
【解決手段】キャップ体49とともに上下動するフロート47の磁石48により支柱44に内蔵したリードスイッチ46を作動させるようにしてタンク41内の液面を検出するようにした液面検出装置40において、タンク41の上面開口を覆うカバー43には支柱44を貫通させる貫通孔43aの周囲にて下方に延びてキャップ体49の外周面上部との間に隙間を設けた状態にてこれを覆う下側筒部43cを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄機等の機器の液面を検出するための液面検出装置に関し、特に湯の液面を検出するための液面検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には食器洗浄機における洗浄水貯留タンク内の液面を検出するための液面検出装置が開示されている。この液面検出装置は、洗浄水貯留タンクと導管により連通接続されて上面開口が蓋体により通気可能に覆蓋されたタンクと、このタンク内に略鉛直に設けられて内部にリードスイッチを埋設してなる支柱と、支柱に上下動自在に嵌合させてリードスイッチを作動させる磁石を埋設してなる環状フロートとを備えている。この液面出装置においては、支柱と環状フロートとの間の隙間に異物の入り込みを防ぐことを目的として、環状フロートにはこれを内部に収容してこれとともに一体的に上下動し、上端の開口縁が液面上に位置するカップ状カバーが脱着可能に取り付けられている。これによって、液面検出装置は洗浄水等の液体に異物が含まれていても、支柱と環状フロートとの間の隙間に異物が入り込むことがなく、環状フロートが円滑に上下動して長期間にわたって的確な液面検出を行うことができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6−017053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の液面検出装置を用いた食器洗浄機においては、洗浄力を高めるために高温の洗浄水を用いることが多いが、タンクの上面開口を覆う蓋体の下面に洗浄水貯留タンクからタンク内に流入した高温の洗浄水によって結露が生じることがある。蓋体の下面の結露がカップ状カバー内に落下して溜まると、環状フロートがカップ状カバー内の水の重量によって沈み、液面検出装置は正確な液面を検出できないことがあった。本発明はこのような問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、上面の開口を覆うカバーを備えたタンクと、カバーに形成した貫通孔に挿通された状態にてタンク内に鉛直に設けられて内部にリードスイッチを内蔵した支柱と、この支柱に上下動自在に嵌合させてリードスイッチを作動させる磁石を埋設してなる環状フロートと、この環状フロートを内部に収容してこれと一体的に上下動して上端の開口縁がタンク内に収容した液体の液面より上側に位置するカップ状のキャップ体とを備え、タンク内の液面をキャップ体とともに上下動する環状フロートの磁石によりリードスイッチを作動させるようにしてタンク内の液面を検出するようにした液面検出装置において、カバーには貫通孔の周囲にて下方に延びてキャップ体の外周面上部との間に隙間を設けた状態にてこれを覆う下側筒部を設けたことを特徴とする液面検出装置を提供するものである。
【0006】
上記のように構成した液面検出装置においては、カバーには貫通孔の周囲にて下方に延びてキャップ体の外周面上部との間に隙間を設けた状態にてこれを覆う下側筒部を設けたので、タンクに高温の液体を収容して、カバーの下面に結露が生じても、この結露による水滴は下側筒部によってキャップ体内に流入しないようになる。これにより、フロートが水滴の重みによって下側に移動しないようになり、正確な液面を検出できないことを防ぐことができる。
【0007】
上記のように構成した液面検出装置においては、カバーには貫通孔の周囲にて上方に延びる上側筒部を設けるのが好ましく、このようにしたときには、カバーの上面に水や埃等の異物が落下しても、異物が上側筒部により貫通孔からキャップ体内に侵入しないようになる。これにより、フロートが異物の重みによって下側に移動しないようになり、正確な液面を検出できないことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による液面検出装置を備えた洗浄装置の側面から見た概略図である。
【図2】液面検出装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明による液面検出装置を備えた洗浄装置を図面を参照して説明する。洗浄装置10は、食器または医療用器具等の被洗浄物を洗浄するためのものであり、図1に示すように、食器または医療用器具等の被洗浄物を収容して下部に洗浄水を貯える貯水部21を有した洗浄槽20と、貯水部21に湯よりなる洗浄水を供給する給湯管24と、洗浄槽20内に収容した被洗浄物に貯水部21の洗浄水を噴射する洗浄ノズル26,27と、貯水部21の洗浄水を洗浄ノズル26,27に送出する洗浄ポンプ29と、洗浄槽20の貯水部21の液面を検出するための液面検出装置40とを備えている。
【0010】
図1に示すように、この洗浄装置10はハウジング11内に洗浄槽20を備えており、洗浄槽20の下部には洗浄水を貯える貯水部21を一体的に有している。洗浄槽20の貯水部21の底部には、洗浄水の温度を検出する温度センサ22と、洗浄水を加熱するためのヒータ23が設けられている。図1に示すように、洗浄槽20の後壁上部には湯よりなる洗浄水を供給するための給湯口20aが形成されている。給湯口20aには給湯管24が接続されており、給湯管24は給湯器25等の給湯源に接続されている。給湯管24には給湯弁24aが介装されており、給湯器25の湯は給湯弁24aの開放により給湯管24を通って洗浄槽20の貯水部21に供給される。
【0011】
図1に示すように、洗浄槽20内の上面及び下面には被洗浄物に洗浄水を噴射する洗浄ノズル26,27が回転可能に支持されており、これら洗浄ノズル26,27には洗浄槽20の下部の貯水部21から導出した循環パイプ28が接続されている。循環パイプ28には貯水部21の洗浄水を洗浄ノズル26,27に送出する洗浄ポンプ29が介装されている。洗浄ポンプ29を作動させると、貯水部21内の洗浄水は循環パイプ28を介して洗浄ノズル26,27に送られ、洗浄ノズル26,27は洗浄水の噴出反力により回転しながら洗浄水を被洗浄物に向けて噴射する。なお、被洗浄物に噴射された洗浄水は落下して貯水部21に還流する。
【0012】
図1に示すように、洗浄槽20の貯水部21にはその底面に形成した排水口21aに排水管30が接続され、排水管30には排水ポンプ31が介装されている。排水ポンプ31を作動させると、貯水部21の洗浄水は排水管30を通して外部に排出される。
【0013】
図1に示すように、洗浄槽20の貯水部21には液面検出装置40が接続されており、この液面検出装置40は貯水部21の洗浄水が洗浄に必要な所定水位となったことを検出するものである。液面検出装置40はタンク41を備えており、このタンク41は上縁に一体的に設けられたブラケット部41aが洗浄槽20の後壁の後面にねじによって固定されている。タンク41の底面は導管42により洗浄槽20の貯水部21に連通接続されており、タンク41の水位は導管42によって貯水部21の水位と同じ水位となっている。
【0014】
タンク41の上面開口にはこれを覆う金属製のカバー43が設けられており、カバー43の略中止には円形の貫通孔43aが形成されている。カバー43の貫通孔43aには上下方向に延びる金属製円筒部材よりなる筒部43bが固着されている。筒部43bはカバー43より下側に延びる下側筒部43cと上側に延びる上側筒部43dとからなる。下側筒部43cは後述するフロート47が上下方向の最も下側位置にあるときにこれに取り付けられたキャップ体49の上端の開口縁より低い位置までの長さとなっている。
【0015】
タンク41内にはカバー43の貫通孔43aを挿通した状態にて支柱44が鉛直に設けられている。この支柱44は、洗浄槽20の後壁の後面下部にタンク41のブラケット部41aを介して取付用ブラケット45により上下に位置調整可能に固定されている。支柱44の下部にはリードスイッチ46が内蔵されており、このリードスイッチ46は洗浄槽20の貯水部21が所定水位であることを検出するものである。支柱44にはこの下端に設けられたストッパ44aにより下方に抜け止めされた状態にて上下動自在に環状のフロート47が隙間を設けて嵌合されており、このフロート47にはリードスイッチ46を作動させる磁石48が埋設されている。フロート47は洗浄槽20の貯水部21から導管42を通ってタンク41内に流入する洗浄水により上下動し、タンク41内の水位が所定水位となると磁石48によりリードスイッチ46を作動させる。
【0016】
フロート47にはこれを収容してこれと一体的に上下動するカップ状のキャップ体49が取り付けられている。キャップ体49は支柱44とフロート47との間に異物が入り込むのを防ぐためのものである。キャップ体49は筒部43bの下側筒部43cとの内周面との間に接触しない程度の隙間を設けて挿通されている。キャップ体49の上端となる開口縁はタンク41内の洗浄水の液面より上側に位置している。キャップ体49のフロート47の上端と対向する位置には半径方向の互いに対向する2箇所に爪49aが形成されており、これら爪49aはキャップ体49をフロート47の外周に嵌着して取り付けた状態でフロート47の上面に係止されている。キャップ体49を脱着するときには、爪49aを弾性的に開いてキャップ体49をフロート47の壁面に対して摺動できるようになっている。
【0017】
上記のように構成した洗浄装置10を用いて洗浄槽20内に収容した被洗浄物を洗浄するときには、洗浄槽20の貯水部21には液面検出装置40によって所定水位を検出するまで給湯器25の湯が供給される。これを詳述すると、洗浄槽20に被洗浄物を収容して、洗浄装置10の洗浄プログラムを開始させると、給湯弁24aが開放され、給湯器25の湯は給湯管24から洗浄槽20の貯水部21に供給される。貯水部21に湯が供給されると、貯水部21の湯は導管42を通って液面検出装置40のタンク41内に流入する。タンク41内の湯面が上昇すると、これに伴ってキャップ体49と一体になっているフロート47が支柱44を上方に移動する。支柱44の下部に内蔵されているリードスイッチ46が上昇したフロート47の磁石48により作動すると、この作動に基づいて図示しない制御装置が給湯弁24aが閉止させ、洗浄槽20の貯水部21への給湯が終了する。この給湯後に、洗浄ポンプ29を所定時間作動させることにより、貯水部21の湯よりなる洗浄水が洗浄ノズル26,27から被洗浄物に噴射されて洗浄される。この洗浄後に、排水ポンプ31を所定時間作動させることにより、貯水部21の湯よりなる洗浄水は排水管30を通して外部に排出される。この洗浄装置10においては、これらの給湯、洗浄及び排水処理を複数回繰り返し実行することによって被洗浄物を洗浄する。
【0018】
上記のように構成した洗浄装置10に用いた液面検出装置40においては、支柱44とフロート47との間の隙間に異物の入り込みを防ぐことを目的として、フロート47にはカップ状のキャップ体49が取り付けられている。このキャップ体49の上端の開口縁はタンク41内の湯よりなる洗浄水の液面より上側に位置している。また、このような洗浄装置10は洗浄力を高めるために洗浄水に湯を用いているので、これに用いた液面検出装置40のタンク41のカバー43の下面には結露によって水滴が付着する。このカバー43の下面に付着した水滴がキャップ体49内に落下すると、フロート47がキャップ体49内に流入した水滴の重みによって下側に移動して、正確な液面を検出できないおそれがある。しかし、本発明の液面検出装置40においては、カバー43には貫通孔43aの周囲にて下方に延びてキャップ体49の外周面上部との間に隙間を設けた状態にてこれを覆う下側筒部43cを設けた。これにより、タンク41に湯よりなる洗浄水を収容して、カバー43の下面に結露による水滴が生じても、この結露による水滴はカバー43の下側筒部43cによってキャップ体49内に流入しないようになる。これにより、フロート47がキャップ体49内に流入する水滴の重みによって下側に移動しないようになり、正確な液面を検出できないことを防ぐことができる。
【0019】
また、キャップ体49はタンク41内にて湯中に浮かんでいるので温度が高くなっているのに対し、下側筒部43cは湯と離れているのでキャップ体49より温度が低くなっている。下側筒部43cとキャップ体49との間に湯から発生した蒸気が上昇したときには、キャップ体49より温度の低い下側筒部43cの内周面で結露するようになって、この結露した水滴は下側筒部43cの内周面を流下する。これにより、下側筒部43cとキャップ体49との間に湯から発生した蒸気が上昇しても、キャップ体49内には結露が生じることがなく、また、下側筒部43cの内周面に結露した水滴がキャップ体49内に流入することもない。これにより、フロート47がキャップ体49内に流入する水滴の重みによって下側に移動しないようになり、正確な液面を検出できないことを防ぐことができる。
【0020】
また、カバー43には貫通孔43aの周囲にて上方に延びる上側筒部43dを設けたので、カバー43の上面に水や埃等の異物が落下しても、異物が上側筒部43dにより貫通孔43aからキャップ体49内に侵入しないようになる。これにより、フロート47がキャップ体49内に落下する異物の重みによって下側に移動しないようになり、正確な液面を検出できないことを防ぐことができる。また、筒部43bは、下側筒部43cとこれの上端から上側に連続する上側筒部43dとからなり、熱伝導性の高い金属製筒部材よりなる。タンク41内の湯よりなる洗浄水により温められた下側筒部43cの熱はこれに連続する上側筒部43dに伝わって放冷される。これにより、下側筒部43cとキャップ体49との間に湯から発生した蒸気が上昇したときに、下側筒部43cの内周面に結露しやすくなり、キャップ体49内で結露するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0021】
40…液面検出装置、41…タンク、43…カバー、43a…貫通孔、43c…下側筒部、43d…上側筒部、44…支柱、46…リードスイッチ、47…フロート、48…磁石、49…キャップ体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面の開口を覆うカバーを有するタンクと、前記カバーに形成した貫通孔に挿通された状態にて前記タンク内に鉛直に設けられて内部にリードスイッチを内蔵した支柱と、この支柱に上下動自在に隙間を設けて嵌合させて前記リードスイッチを作動させる磁石を埋設してなるフロートと、このフロートを内部に収容してこれと一体的に上下動して上端の開口縁が前記タンク内に収容した液体の液面より上側に位置するカップ状のキャップ体とを備え、前記キャップ体とともに上下動する前記環状フロートの磁石により前記リードスイッチを作動させるようにして前記タンク内の液面を検出するようにした液面検出装置において、
前記カバーには前記貫通孔の周囲にて下方に延びて前記キャップ体の外周面上部との間に隙間を設けた状態にてこれを覆う下側筒部を設けたことを特徴とする液面検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液面検出装置において、
前記カバーには前記貫通孔の周囲にて上方に延びる上側筒部を設けたことを特徴とする液面検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate