説明

液面計測支援装置および液面計

【課題】本発明は、液面の位置の計測を支援する液面計測支援装置と、その液面計測支援装置が組み込まれた液面計とに関し、傾斜計を活用することにより、精度よく安定に所望の液面の高さを計測できることを目的とする。
【解決手段】本発明に係る液面計測支援装置は、設置された箇所の傾斜の計測に供され得る傾斜計に、液面の高さを示すフロートの位置を前記傾斜または前記傾斜の補正分として機械的に伝達する点に特徴があり、本発明に係る液面計は、設置された箇所の傾斜の計測に供され得る傾斜計と、前記傾斜計に、液面の高さを示すフロートの位置を前記傾斜または前記傾斜の補正分として機械的に伝達する伝達手段とを備えた点に特徴がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面の位置の計測を支援する液面計測支援装置と、その液面計測支援装置が組み込まれた液面計とに関する。
【背景技術】
【0002】
センサネットワークは、高度に進展したセンサ、通信および情報処理の技術が有機的に組み合わせられることにより、防災、交通、医療、防犯、食品等の多様な分野における多様なデータの収集および活用に供されつつある。
【0003】
このようなセンサネットワークの内、例えば、地理的に広範な地域における多数の地点の傾斜を計測することにより、地滑りや崩落の検知に供されるセンサネットワークの観測局には、傾斜センサが備えられている。
【0004】
このような傾斜センサは、安価に高い精度が実現され、かつ主要な方式では広範な環境条件で安定に作動するため、センサネットワークの観測局に標準的な構成要素として組み込まれている。
【0005】
また、水田地帯では、多数の水田の水位の監視の下で各水田の給水量を集中的に管理して制御することにより、専用のセンサネットワークを設置することなく安価に、稲作の効率化および近代化を図ることが強く要求されつつある。
【0006】
なお、本発明に関連がある先行技術としては、以下に列記する特許文献1および特許文献2がある。
(1) 「本体の流体導入路内に、磁石片を備えた回転体を回転自在に設け、該流体導入路外に磁気検出素子を配置し、該流体導入路を通過する流体によって該回転体を駆動して、該回転体の回転に伴う磁石片の運動に従って該磁気検出素子から出力される信号に基づいて通水路の流量を検出するようにしたフローセンサであって、前記回転体に、中心部に開口する導入口から外周部に形成した排出口に向けて湾曲した流路を複数本渦巻状に設けるとともに、それぞれの流路の排出口の開口方向を、該回転体の中心と各排出口とを結ぶ直線に対し同一方向へ傾斜する角度をもって開設し、該導入口から進入した流体を該排出口から排出する反動により該回転体を回転させるようにする」ことにより、「僅かな流量であっても安定した状態で確実に回転する回転体を備え、かつ信頼性が高い」点に特徴があるフローセンサ…特許文献1
【0007】
(2) 「河川の流速と水位に基づいて流量計測を行う流速・水位測定装置であって、
方向板を係止したプレート板を底部に固着するとともに、外観を楕球形であって環状体構造とするフロートからなるフロート部と、河床にアンカー材により固定される基底部材と、一端部を前記環状体構造とするフロートの内側に形成される内側孔に摺動自在に配置されるとともに、他端部を前記基底部材の自在継手に係着するシャフト材と、当該シャフト材の先端部に係着される傾斜計と、当該シャフト材に添装される容量式波高計とからなるアンカー部と、前記シャフト材の外周に外装され、前記プレート材と自在継手に固着されるとともに、流速測定センサを係着固定するバネ材による弾性体部とを備える」ことにより、「常に水深に対する河床から40%の水位位置に流速計を配置して安定した平均流速値を求め、かつシャフト材の先端部の傾斜計とシャフト材に添装される容量式波高計により水位の測定を可能とするために、安定した河川の流量を求めることを可能とする」点に特徴がある流量計測用の流速・水位測定装置…特許文献2
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−90022号公報
【特許文献2】特開平10−197299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来のセンサネットワークでは、水田毎の水位の観測のために設置される観測局には、水位計が別途設けられなければならず、標準的に備えられた傾斜計による地面等の傾斜の計測が不要である場合が多かった。
【0010】
しかし、水位計を個別に備えた観測局が多数設置されることは、構成が複雑となってコスト高であり、しかも、水位の観測のために電力を消費するために、バッテリで連続して稼働可能な時間が短くなり、稲作の効率化や近代化の安価な実現が阻まれる要因となる。
【0011】
本発明は、傾斜計を活用することにより、精度よく安定に所望の液面の高さを計測できる液面計測支援装置および液面計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明では、設置された箇所の傾斜の計測に供され得る傾斜計に、液面の高さを示すフロートの位置を前記傾斜または前記傾斜の補正分として機械的に伝達する。
【0013】
すなわち、液面の高さの計測に対する傾斜計の活用が図られる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、傾斜計は、設置された箇所の傾斜の計測に供され得る。伝達手段は、前記傾斜計に、液面の高さを示すフロートの位置を前記傾斜または前記傾斜の補正分として機械的に伝達する。
【0015】
すなわち、液面の高さの計測に対する傾斜計の活用が図られる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、傾斜可変機構は、液面の高さを示すフロートの位置に応じて傾斜量が変化する。傾斜計は、前記傾斜可変機構の傾斜量を計測する。
【0017】
すなわち、液面の高さは、その液面に浮かぶフロートの位置が傾斜量に変換されることによって、傾斜計を介して間接的に計測される。
【0018】
請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の液面計において、前記伝達手段は、前記液面の高さがとり得る範囲に前記傾斜または前記補正分を機械的にスケーリングして前記傾斜計に伝達する。
【0019】
すなわち、液面の高さの計測は、傾斜計が計測可能な傾斜のレンジにおいて実現される。
【0020】
請求項5に記載の発明では、請求項2に記載の液面計において、前記伝達手段は、前記液面の高さがとり得る範囲の内、特定の範囲に、前記傾斜または前記補正分を機械的にスケーリングして前記傾斜計に伝達する。
【0021】
すなわち、液面の高さの特定の範囲は、傾斜計が計測可能な傾斜のレンジ内にスケーリングされて計測される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、液面の高さが傾斜計を介して間接的に計測される。
【0023】
また、本発明では、計測結果の補正を実現する機能がない傾斜計であっても、液面の高さの計測に対する活用が図られる。
【0024】
さらに、本発明では、液面の高さの計測の精度が高められる。
【0025】
また、本発明では、液面の高さがとり得る範囲の内、所望の範囲の計測の精度が高められる。
したがって、本発明によれば、専用の液面計が備えられなくても精度等に大幅な制約を伴うことなく、傾斜計を有する標準的な構成のハードウェアやセンサネットワークによる所望の液面の高さの計測が安価に実現される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】本実施形態の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
【0028】
図において、田10-1〜10-nの回りに形成された畝には、これらの田10-1〜10-n毎に個別の入水口および出水口が形成される。以下、田10-1〜10-nに共通の事項については、第一の添え番号(1〜n)に代えて、添え番号「1」〜「n」の何れにも該当し得ることを示す添え文字「c」を付与して示す。田10-cの面の2カ所には、水面計測局20-c1 、20-c2 が配置される。田10-cから所定の距離隔たった地点には、データ収集局40が設置される。
【0029】
水面計測局20-c1 は、以下の要素から構成される。
(1) 外筐体21-c1
(2) その外筐体21-c1 の底板上に取り付けられた軸受け22-c1
(3) 軸受け22-c1 を支持する角材23-c1 の側面に支持された傾斜計30-c1
【0030】
(4) 傾斜計30-c1 が有する傾斜板30P-c1 の頂部に取り付けられた内筐体40-c1
(5) 内筐体40-c1 の内部に収納された送受信機40R-c1
(6) 内筐体40-c1 の側部に突設されたアンテナ41-c1
(7) 一端が傾斜計30-c1 の要素(後述する「くさび部材」)に回動可能に支持された棒状体からなる第一の竿部材51-c1
【0031】
(8) 一端がその第一の竿部材51-c1 の他端に蝶番52-c1 を介して連結され、その一端から所定の距離隔たった側壁が蝶番52-c1の軸に平行に回動可能な状態で軸受け22-c1 に軸支されると共に、既述の第一の竿部材51-c1 と同様の棒状体からなる第二の竿部材53-c1
(9) この第二の竿部材53-c1 の他端に接合され、かつ内部が中空の球状体である浮き球54-c1
【0032】
傾斜計30-c1 は、以下の要素から構成される。
(1) 角材23-c1 の側面に支持された台座31-c1
(2) 台座31-c1 の一方の側面に積層された案内部材32-c1
(3) 案内部材32-c1 と共に台座31-c1 の一方の面に突設され、その台座31-c1 に対して傾斜板30P-c1を回転可能に軸止する蝶番33-c1
【0033】
(4) 案内部材32-c1 に沿って摺動可能に取り付けられることにより、その案内部材32-c1 と傾斜板30P-c1 との間に介在する「くさび送り」として機能すると共に、第一の竿部材51-c1 の一端が回動可能に支持されたくさび部材34-c1
(5) 傾斜板30P-c1をくさび部材34-c1の方向に付勢するバネ35-c1
【0034】
送受信部40R-c1 は、以下の要素から構成される。
(1) アンテナ41-c1 の給電点に接続された無線部42-c1
(2) 無線部42-c1 の変復調端子および制御端子にそれぞれ接続された入出力ポートと、傾斜計30-c1 の電気的な入出力端子(図示されない。)に接続された入出力ポートとを有する制御部43-c1
【0035】
なお、水面計測局20-c2 の構成については、水面計測局20-c1 と構成および機能が同じであるので、以下では、各構成要素に付与された符号の第二の添え番号が「2」であると仮定し、その説明および図示を省略する。
【0036】
以下、図1を参照して本実施形態の動作を説明する。
まず、傾斜計30-c1 、送受信機40R-c1 およびデータ収集局40の基本的な動作を説明する。
傾斜計30-c1 では、傾斜板30P-c1 は、バネ35-c1 の弾性により与えられる付勢力によってくさび部材34-c1 の傾斜部に接触し、あるいは摺動する。
【0037】
このように傾斜板30P-c1 が接触するくさび部材34-c1 の傾斜部上の位置は、水面計測局20-c1 が設置された地点の傾斜を傾斜計30-c1 が測定可能な姿勢で配置された状態では、案内部材32-c1 に対するくさび部材34-c1 の変位に応じて変化する。
【0038】
送受信機40R-c1 では、制御部43-c1 は、このような傾斜の程度を示す変位を所定の頻度(きっかけで)取得し、無線部42-c1 およびアンテナ41-c1 を介してデータ収集局40に配信する。
【0039】
データ収集局40は、このようにして送受信機40R-c1 、40R-c2 から配信された変位を収集し、所定の処理を施すことによって得られた情報を図示されない操作表示部に出力する。
【0040】
本発明の特徴は、本実施形態では、各部が以下のように連係する点にある。
浮き球54-c1 は、入水口を介して田10-cに注入された水の水面に浮かび、その水面の水位(深さ)増減に応じて昇降する。
【0041】
このようにして昇降する浮き球54-c1 に作用する浮力は、軸受け22-c1 で軸支された第二の竿部材53-c1 と、蝶番52-c1 および第一の竿部材51-c1 を介してくさび部材34-c1 に伝達される。
【0042】
くさび部材34-c1 は、浮き球54-c1 から伝達された浮力に応じて、案内部材32-c1 に沿って摺動する。
【0043】
送受信部40R-c1 は、その摺動によって変化するくさび部材34-c1 の位置(上記水位を示す。)を既述の通りにデータ収集局40に適宜配信する。
データ収集局40では、このようにして配信された田10-1〜10-nの水位に所定の処理を施すことにより、例えば、これらの田10-1〜10-nに個別に入水口から注入される水の量の適否を判別して出力する。
【0044】
すなわち、田10-cに注入された水の水位は、既述の浮力を伝達する浮き球54-c1 、第二の竿部材53-c1 、軸受け22-c1 、蝶番52-c1 および第一の竿部材51-c1 が傾斜計30-c1 に付加される単純な機構により計測され、かつ収集される。
【0045】
このように本実施形態によれば、傾斜計30-c1 を含んで構成されるセンサネットワークの観測局の構成が大幅に変更されることなく、そのセンサネットワークを介する多数の水位の監視および制御が実現される。
【0046】
したがって、水位の監視や制御が専用の観測局によって実現される場合に比べて、置局(電力の確保を含む)に要する工事の大幅な省力化が図られる。
また、本実施形態では、上記傾斜計30-c1 は、既述の構成に限定されず、コスト、精度、環境にかかわる所望の条件を満たすならば、如何なる方式の傾斜計で代替されてもよい。
【0047】
さらに、本実施形態では、浮き球54-c1 、第二の竿部材53-c1 、軸受け22-c1 、蝶番52-c1 および第一の竿部材51-c1 は、傾斜計30-c1 によって通常計測される傾斜を機械的に補正することによって、水位を傾斜に変換している。
【0048】
すなわち、このような水位の傾斜への変換の過程では電力が消費されないため、水面計測局20-c1 の消費電力は、その水面計測局20-c1 と共に共通のセンサネットワークに組み込まれた他の観測局の消費電力より大幅に増加することがない。
【0049】
したがって、本実施形態によれば、広範な数および面積の水田に関する水位の監視および制御が安価に、かつ柔軟に実現される。
【0050】
なお、本実施形態では、第一の竿部材51-c1 は、例えば、くさび部材34-c1 に対して蝶番33-c1 の方向の付勢力が常に与えられている場合には、ひも等で代替されてもよい。
また、浮き球54-c1 、第二の竿部材53-c1 、軸受け22-c1 、蝶番52-c1 および第一の竿部材51-c1 は、例えば、図2に示すように、以下の機構で代替されてもよい。
【0051】
(1) 傾斜計に備えられて傾斜量に応じて回転する歯車伝達機構(または摩擦伝達機構)に、浮き球54-c1 に作用する浮力を伝達する機構(図2(a))
(2) 軸受け22-c1 、蝶番52-c1 および第一の竿部材51-c1 が備えられることなく構成され、既述の第二の竿部材53-c1を介してくさび部材34-c1に、浮き球54-c1 に作用する浮力を直接伝達する機構(図2(b))
【0052】
(3) 水面と反対の方向に所定の付勢力が定常的に加えられて一端(あるいは所望の第一の部位)が一定の点に軸支され、かつ傾斜計(30-c1 )が設置された板状体と、浮き球54-c1 に作用する浮力(または浮力と質量との差)をその板状体の他端(所定の第二の部位)に伝達する非弾性体の棒状体とから構成される機構(図2(c))
(4) 一端(あるいは所望の第一の部位)が一定の点に軸支されて傾斜計(30-c1 )が設置され、かつ他端(あるいは所望の第二の部位)に水面と平行な方向に所定の付勢力が定常的に加えられた板状体と、浮き球54-c1 に作用する浮力(または浮力と質量との差)をその他端(第二の部位)に伝達する非弾性体の棒状体とから構成される機構(図2(d))
【0053】
(5) 4つの蝶番を介して環状に連結されることによって断面形状が菱形である筒体を形成する4枚の平板と、その菱形の対角を浮き球54-c1 に作用する浮力(または浮力と質量との差)に応じて増減する伝達部材とから構成され、上記4枚の平板の何れか1つに設置された傾斜計(30-c1 )にこのような浮力(または差)を傾斜に変換して伝達する機構(図2(e))
【0054】
さらに、上記機構の内、図2(b)に示す機構では、くさび部材34-c1 に作用する力の方向を水面に垂直な方向に規制して案内する部材が第二の竿部材53-c1 に付加されることにより、案内部材32-c1 とくさび部材34-c1 との間の摩擦やバックラッシュに起因する誤差の軽減が図られてもよい。
【0055】
また、上記機構には、継手、巻き付け伝導、摩擦伝導、歯車伝導、くさび送り、ネジ送り、間欠運動等が適宜採用されてもよい。
【0056】
さらに、本実施形態では、例えば、第一の竿部材51-c1 と第二の竿部材53-c1 との長さおよび両者の比が予め好適に設定されることにより、計測されるべき水位の全域、または特に精度よく計測されるべき範囲(危険水位を含む。)において、案内部材32-c1 に沿ったくさび部材34-c1 の位置が精度よく線形に変化するためのスケーリングが図られてもよい。
【0057】
また、このようなスケーリングは、例えば、軸受け22-c1 や蝶番52-c1 の質量、摩擦係数等のような機械工学的な特性が予め考慮され、あるいは設定されることによって図られてもよい。
【0058】
さらに、浮き玉54-c1 に作用する浮力(または浮力と質量との差)のくさび部材34-c1 に対する伝達と、上述したスケーリングとは、その浮き玉54-c1 のサイズと質量との双方または一方が予め考慮され、あるいは設定されることによって図られてもよい。
【0059】
また、本発明は、田10-cの水位に限定されず、多様な液体の液面の高さを計測するためにも、同様に適用可能である。
【0060】
さらに、本実施形態では、傾斜計30-c1は、水面や液面の計測のためのみに用いられなくてもよく、例えば、このような水面や液面の計測が行われない期間や状態には、地滑り等の予測に供される傾斜その他の如何なる傾斜の計測のために供されてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、傾斜計30-c1は、既述の「くさび結合」が適用された傾斜センサに限定されず、水位や液面の高さが傾斜量(またはその捕捉値)に変換されて伝達されるならば、如何なる方式の傾斜計であってもよい。
【0062】
また、本実施形態では、水流や渦等に応じて水面上における浮き玉54-c1 の位置が多様に異なる可能性があるにもかかわらず、このような位置の変化が機械的な構造によって制約されることに起因する精度の低下の緩和または回避が望ましい場合には、例えば、軸受け22-c1 が「玉軸受け」として構成されてもよい。
【0063】
さらに,本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲において多様な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
【0064】
以下、本願に開示された発明の内、「特許請求の範囲」に記載しなかった発明の構成および作用効果を「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段」の欄の記載に準じた様式により列記する。
【0065】
[請求項6] 請求項2、4、5の何れか1項に記載の液面計において、
前記フロートのサイズと質量との双方または一方は、
前記液面の高さがとり得る範囲に前記傾斜または前記傾斜の補正分がスケーリングされて前記傾斜計に伝達される値に設定された
ことを特徴とする液面計。
【0066】
このような構成の液面計では、請求項2、4、5の何れか1項に記載の液面計において、前記フロートのサイズと質量との双方または一方は、前記液面の高さがとり得る範囲に前記傾斜または前記傾斜の補正分がスケーリングされて前記傾斜計に伝達される値に設定される。
【0067】
すなわち、液面の高さの計測は、傾斜計が計測可能な傾斜のレンジ内で実現される。
したがって、液面の高さの計測の精度が高められる。
【0068】
[請求項7] 請求項2、4、5の何れか1項に記載の液面計において、
前記フロートのサイズと質量との双方または一方は、
前記液面の高さがとり得る範囲の内、特定の範囲に、前記傾斜または前記傾斜の補正分がスケーリングされて前記傾斜計に伝達される値に設定された
ことを特徴とする液面計。
【0069】
このような構成の液面計では、請求項2、4、5の何れか1項に記載の液面計において、前記フロートのサイズと質量との双方または一方は、前記液面の高さがとり得る範囲の内、特定の範囲に、前記傾斜または前記傾斜の補正分がスケーリングされて前記傾斜計に伝達される値に設定される。
【0070】
すなわち、液面の高さの特定の範囲は、傾斜計が計測可能な傾斜のレンジ内にスケーリングされて計測される。
したがって、液面の高さがとり得る範囲の内、所望の範囲の計測の精度が高められる。
【0071】
[請求項8] 請求項2、4、5、6、7の何れか1項に記載の液面計において、
前記伝達手段は、
前記傾斜または前記補正分が前記傾斜計に機械的に伝達される方向を一定に維持する機構を有する
ことを特徴とする液面計。
【0072】
このような構成の液面計では、請求項2、4、5、6、7の何れか1項に記載の液面計において、前記伝達手段は、前記傾斜または前記補正分が前記傾斜計に機械的に伝達される方向を一定に維持する機構を有する。
【0073】
すなわち、液面の高さの計測に供される傾斜計には、その液面の高さを示すフロートの位置の変化が一定の方向の力として伝達される。
したがって、このような方向が一定に維持されない場合に比べて、液面計の内部の構造に応じて生じる誤差が軽減される。
【0074】
[請求項9] 請求項2、4、5、6、7、8の何れか1項に記載の液面計において、
前記伝達手段は、
継手、巻き付け伝導、摩擦伝導、歯車伝導、くさび送り、ネジ送り、間欠運動の何れの機構も含むことなく構成された
ことを特徴とする液面計。
【0075】
このような構成の液面計では、請求項2、4、5、6、7、8の何れか1項に記載の液面計において、前記伝達手段は、継手、巻き付け伝導、摩擦伝導、歯車伝導、くさび送り、ネジ送り、間欠運動の何れの機構も含むことなく構成される。
【0076】
すなわち、傾斜計に対するフロートの位置の機械的な伝達は、単純な機構を介して実現される。
したがって、構成の複雑化と、その複雑化に伴うコストの増加と、信頼性および精度の低下との回避が図られる。
【0077】
[請求項10] 請求項2、4、5、6、7、8の何れか1項に記載の液面計において、
前記伝達手段は、
前記フロートに取着され、かつ前記傾斜計に対する相対位置が一定である箇所に軸支された棒体と、
前記フロートの昇降に応じた前記棒体の所定の箇所の変位を前記傾斜または前記補正分として前記傾斜計に伝達する伝導部材とを有する
ことを特徴とする液面計。
【0078】
このような構成の液面計では、請求項2、4、5、6、7、8の何れか1項に記載の液面計において、前記伝達手段は、前記フロートに取着され、かつ前記傾斜計に対する相対位置が一定である箇所に軸支された棒体と、前記フロートの昇降に応じた前記棒体の所定の箇所の変位を前記傾斜または前記補正分として前記傾斜計に伝達する伝導部材とを有する。
【0079】
すなわち、液面の高さの計測は、その液面の高さが取り得る範囲と傾斜計による計測が可能な傾斜量の範囲との組み合わせの如何にかかわらず、上記棒体と伝導部材との形状や寸法の組み合わせによる機械的なスケーリングで実現される。
したがって、本発明に係る液面計は、設置場所と液面との間における相対的な位置と、液体の属性とに対する柔軟な適応が可能となる。
【0080】
[請求項11] 請求項7に記載の液面計において、
前記棒体は、
前記箇所において前記液面に平行な方向に回動可能な軸受けで軸支された
ことを特徴とする液面計。
【0081】
このような構成の液面計では、請求項7に記載の液面計において、前記棒体は、前記箇所において前記液面に平行な方向に回動可能な軸受けで軸支される。
【0082】
すなわち、液面の高さは、液面上におけるフロートの位置が多様に異なり、あるいは大きく変動し得る場合であっても、柔軟に精度よく計測される。
したがって、設置場所と液面との間における相対的な位置と、液体の属性と、その液体の流れの多様な変化とに対する柔軟な適応が可能となる。
【符号の説明】
【0083】
10 田
20 水面計測局
21 外筐体
22 軸受け
23 角材
30 傾斜計
30P 傾斜板
31 台座
32 案内部材
33,52 蝶番
34 くさび部材
35 バネ
40 データ収集局
40R 送受信機
41 アンテナ
42 無線部
43 制御部
51 第一の竿部材
53 第二の竿部材
54 浮き玉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置された箇所の傾斜の計測に供され得る傾斜計に、液面の高さを示すフロートの位置を前記傾斜または前記傾斜の補正分として機械的に伝達する
ことを特徴とする液面計測支援装置。
【請求項2】
設置された箇所の傾斜の計測に供され得る傾斜計と、
前記傾斜計に、液面の高さを示すフロートの位置を前記傾斜または前記傾斜の補正分として機械的に伝達する伝達手段と
を備えたことを特徴とする液面計。
【請求項3】
液面の高さを示すフロートの位置に応じて傾斜量が変化する傾斜可変機構と
前記傾斜可変機構の傾斜量を計測する傾斜計と
を備えたことを特徴とする液面計。
【請求項4】
請求項2に記載の液面計において、
前記伝達手段は、
前記液面の高さがとり得る範囲に前記傾斜または前記補正分を機械的にスケーリングして前記傾斜計に伝達する
ことを特徴とする液面計。
【請求項5】
請求項2に記載の液面計において、
前記伝達手段は、
前記液面の高さがとり得る範囲の内、特定の範囲に、前記傾斜または前記補正分を機械的にスケーリングして前記傾斜計に伝達する
ことを特徴とする液面計。

【図1】
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【図2】
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