説明

淋菌を検出するための試薬及び方法

【課題】試料中の淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、またはクラミジア・トラコマチスを検出するための組成物及び方法、および、関連する反応混合物、キット、システム、及びコンピュータの提供。
【解決手段】特定の塩基配列の何れか1つ、或いはその相補体に対して、少なくとも90%の配列同一性を有する核酸を含んでなるオリゴヌクレオチドであって、50以下のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分子生物学及び核酸化学の分野に関する。本発明は、淋菌等の病原体を検出するための方法及び試薬を提供し、従って、医療診断及び予後の分野にも関連する。
【背景技術】
【0002】
ナイセリア(Neisseria)属はグラム陰性好気細菌からなり、ヒトの病原体である淋菌(N. gonorrhoeae)を含む。これは淋病の原因物質である。淋菌感染は有病率が高いが死亡率は低い。一般には性的接触によって感染し、通常は男性の尿道及び女性の子宮頸部の粘膜を侵す。但し、感染が他の組織に広がる場合もある。例えば、男性における性器感染は尿道を上昇し、前立腺炎の症状を引き起こし得る一方、女性では子宮頚部の淋菌感染を治療せずに放置すると卵管に広がって、最終的には不妊等の症状を引き起こす場合もある。淋菌の発症機序には、細菌の線毛を介した非線毛性上皮細胞への付着が関与している。本機序には、内毒素及びIgAプロテアーゼの産生も含まれる。
【0003】
淋菌は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)との共感染が見られる場合が多い。これらの感染は、子宮外妊娠の既知の2つの原因であり、治療せずに放置すれば、不妊に至る可能性もある。また、これらの感染は、粘液膿性子宮頸管炎及び骨盤炎症性疾患の急性臨床症候群におけるは既知の原因でもある。従って、特に女性における淋菌及びC.トラコマチス(C. trachomatis)感染(無症状の場合もある)の検出は、治療を必要とする人達にとって、更には感染してそれを伝播し得るより多人数の集団にとって極めて重要である。
【0004】
細菌感染の検出及び同定は、従来は純粋培養による単離及び決定の手順によって行われてきた。本手順では、標本源、生育要件、視認し得る生育の特徴、顕微鏡的形態、染色反応、及び生化学的性質の知識を利用する。例えば、淋菌感染を検出及び同定する既存の方法は、グラム染色、選択寒天培地での培養、並びにシトクロムオキシダーゼ及び炭水化物利用試験を用いる。また、共同凝集反応及び蛍光抗体染色を含む血清学アッセイも、淋菌の検出法として報告されている。培養による方法は感度が比較的高いものの、一般に実施に時間を要する(一晩のインキュベーションが必要な場合も多い)上に手間もかかる。グラム染色及び抗体による試験によれば、通常は1時間もかからずに結果が得られるものの、一般には培養による方法と比べて感度が低い。
【0005】
問題のある免疫学的同定アッセイや他の既存の方法論に対する代替策の1つとして、特異的なポリヌクレオチド配列をプローブとして用いた感染物質の認識が挙げられる。例えば、サザンブロットやドットブロット等のハイブリダイゼーション法では、標的となる核酸配列に相補的な核酸プローブを用いて、標的核酸配列の検出が行われてきた。これらのハイブリダイゼーション法の多くは、生物の培養及び/又は濃縮に依存するものであり、従って迅速な診断には適していない。特定の核酸配列を高速に増幅する技術(特にポリメラーゼ連鎖反応)の出現によって、配列特異的プローブを臨床標本に対して直接使用する機構が提供され、ハイブリダイゼーションアッセイの実施に先立って病原体を濃縮し、インビトロ(in vitro)で培養するという作業が不要となった。即ち、増幅に基づくハイブリダイゼーションアッセイによれば、臨床試料における病原体の検出のための、簡便且つ高速な診断技法が提供される。
【0006】
現在までに用いられてきたプローブの多くは、相同性が高い核酸配列を有する病原性物質(例えば淋菌、髄膜炎菌(N. meningitidis)等)を区別する上で、十分な特異性を有していなかった。これにより、アッセイ結果に歪みが生じる場合がある(偽陽性等)。かかる誤診の帰結の1つとして、患者に対して不適当な治療行為を行なってしまう可能性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、淋菌を高速に検出するための種特異な方法及び試薬を提供する。種特異とは、ナイセリア属の他の種、或いは他の属由来の種の検出を実質的に伴わないという意である。例えば、本発明の核酸検出試薬(例えばプローブ核酸、配列特異的抗体等)は、通常は、淋菌に存在するが他の種には存在しないヌクレオチド配列に結合する。更に、淋菌感染患者はクラミジア・トラコマチスにも感染していることが多いことから、本発明は、試料中の淋菌及びC.トラコマチスを同時に検出する方法も提供する。この方策によって、患者が受けるべき診断手順の数を最小化することができ、ひいては診断の総費用も最小限に抑えることが可能になる。組成物及び反応混合物に加えて、本発明は、これらの病原性物質を検出するためのキット及びシステム、並びに、関連するコンピュータ及びコンピュータ読取可能媒体にも関する。
【0008】
一態様によれば、本発明は、配列番号37〜60からなる群より選択される配列を有する核酸、又はそれらの相補体からなるオリゴヌクレオチドを提供する。
別の態様によれば、本発明は、配列番号37〜60からなる群より選択される配列を有する核酸、又はそれらの相補体を含んでなるオリゴヌクレオチドであって、ヌクレオチド数50以下のオリゴヌクレオチドを提供する。更に別の態様によれば、本発明は、配列番号37〜60の何れか1つに対して、少なくとも90%(例えば少なくとも95%等)の配列同一性を有する核酸、或いはその相補体を含んでなるオリゴヌクレオチドを提供する。これらの実施形態において、これらのオリゴヌクレオチドは通常、プライマー核酸、プローブ核酸等である。これらの実施形態の一部において、オリゴヌクレオチドは40以下のヌクレオチド(例えば35以下のヌクレオチド、30以下のヌクレオチド等)を有する。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1の修飾ヌクレオチドを含んでなる。任意により、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1の標識及び/又は少なくとも1のクエンチャー成分を含んでいてもよい。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1の保存的に修飾された変異を含有する。
【0009】
別の態様によれば、本発明は、試料中の淋菌を検出する方法であって、(a)試料由来の核酸を、少なくとも1の核酸増幅反応において、少なくとも第1のプライマー核酸の対に接触させる工程を有する方法を提供する。ここで、第1のプライマー核酸の対は、配列番号37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号37〜60の何れか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号37〜60及びその変異体の相補体からなる群より選択される、少なくとも1の核酸を含んでなる。この方法は、更に、(b)(a)の間又は後に、前記核酸、及び/又は、核酸増幅反応由来のその1又は2以上の単位複製配列を検出することにより、試料中の淋菌を検出する工程を有する。一部の実施形態において、(a)は、前記試料由来の核酸を、少なくとも、クラミジア・トラコマチス核酸に対して少なくとも部分的に相補的な第2のプライマー核酸の対に対して接触させることを含んでなる。これらの実施形態において、(b)は、(a)の間又は後に、1又は2以上の核酸増幅反応由来の更なる単位複製配列を検出することにより、試料中のクラミジア・トラコマチスを検出することを含んでなる。特定の実施形態によれば、プライマー核酸の少なくとも1つが、修飾プライマー核酸を含んでなる。一部の実施形態において、プライマー核酸の少なくとも1つが、少なくとも1の標識を含んでなる。これらの実施形態において、(b)が、前記標識によって精製された検出可能な信号を検出すること、或いは、前記標識によって精製された検出可能な信号を増幅して増幅信号を生成し、その増幅信号を検出することを、任意で含んでいてもよい。一部の実施形態において、(b)は、単位複製配列と1又は2以上の核酸検出試薬との結合を監視することを含んでなる。核酸検出試薬は、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号36に対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号36又はその変異体の相補体からなる配列を有する核酸に対して、検出可能に結合する。ここで、ある実施形態によれば、核酸検出試薬の少なくとも1つが、オリゴヌクレオチドを含んでなる。更に、特定の実施形態によれば、核酸検出試薬の少なくとも1つが、配列番号37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号37〜60の何れか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号37〜60及びその変異体の相補体からなる群より選択される配列を有する核酸を含んでなる。
【0010】
通常は、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、少なくとも1の標識及び/又は少なくとも1のクエンチャー成分を含んでなる。これらの実施形態によれば、(b)が、前記標識によって精製された検出可能な信号を検出すること、或いは、前記標識によって精製された検出可能な信号を増幅して増幅信号を生成し、その増幅信号を検出することを、任意で含んでいてもよい。
【0011】
別の態様によれば、本発明は、試料中における淋菌の存在を決定する方法を提供する。かかる方法は、(a)試料由来の核酸及び/又はその1又は2以上の単位複製配列を、少なくとも1の核酸増幅反応において、少なくとも第1のプライマー核酸の対と接触させる工程を含んでなる。ここで、プライマー核酸の各々のヌクレオチド数は、12から100の範囲であり、また、プライマー核酸の少なくとも1つが、配列番号36の下位配列、或いはその相補体と、少なくとも90%の配列同一性を含んでなる。この方法は更に、(b)(a)の間又は後に、前記核酸、及び/又は、核酸増幅反応由来のその1又は2以上の単位複製配列を検出することにより、試料中の淋菌を検出する。本方法のある態様によれば、(a)が、試料由来の核酸を、少なくとも、クラミジア・トラコマチス核酸に対して少なくとも部分的に相補的な第2のプライマー核酸の対と接触させることを含んでなり、(b)が、(a)の間又は後に、核酸増幅反応由来の1又は2以上の更なる単位複製配列を検出することにより、試料中のクラミジア・トラコマチスを検出することを含んでなる。本方法の別の態様によれば プライマー核酸の少なくとも1つが、修飾プライマー核酸を含んでなる。更に別の態様によれば、(b)が、単位複製配列と1又は2以上の核酸検出試薬との結合を監視することを含んでなるとともに、前記核酸検出試薬が、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号36に対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号36又はその変異体の相補体からなる配列を有する核酸に対して検出可能に結合する。別の態様によれば、1又は2以上のプライマー核酸が、配列番号37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号37〜60の何れか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号37〜60及びその変異体の相補体からなる群より選択される配列を有する。
【0012】
本発明の別の態様は、(a)50以下のヌクレオチドを有する少なくとも1のオリゴヌクレオチドであって、配列番号36又はその相補体の下位配列と、少なくとも90%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;並びに、1又は2以上の:(b)試料中の淋菌の存在が知られておらず、又は確証されていない場合に、試料由来の核酸及び/又はその単位複製配列と、前記オリゴヌクレオチドとの間の結合を監視することにより、前記試料中の淋菌の存在を判定するための使用説明書;又は、(c)少なくとも前記オリゴヌクレオチドを包装するための、少なくとも1の容器とを含んでなるキットに関する。ある態様によれば、キットに提供されるオリゴヌクレオチドは、配列番号37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号37〜60の何れか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号37〜60及びその変異体の相補体からなる群より選択される配列を有する。このキットは更に、クラミジア・トラコマチス核酸に対して検出可能に結合する1又は2以上の核酸検出試薬を含んでなる。ある態様によれば このキットは更に少なくとも1の酵素を含んでなる。
【0013】
本発明の更に別の態様は、配列番号36の1又は2以上の下位配列、実質的に同一なその変異体であって、配列番号36に対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号36又はその変異体の相補体に対応する配列を有する一組の単位複製配列を含んでなる反応混合物であって、前記単位複製配列は終止ヌクレオチドを欠き、少なくとも前記一組の単位複製配列のサブセットが、配列番号37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号37〜60の何れか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに配列番号37〜60及びその変異体の相補体からなる群より選択される配列を有する少なくとも1のプライマー核酸を用いて製造される、反応混合物に関する。
【0014】
本発明の核酸検出試薬は種々の実施形態を含有する。例として、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、オリゴヌクレオチド(例えばプローブ核酸、プライマー核酸等)を含んでいてもよい。通常は、このオリゴヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号36の下位配列、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36のうち1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体に対して、少なくとも85%(例えば約90%、約95%等)の配列同一性を有する。任意により、オリゴヌクレオチドは、約8から約100ヌクレオチドの長さの配列を有していてもよい。特定の実施形態によれば、このオリゴヌクレオチドは、配列番号3〜27及び37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号3〜27及び37〜60の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに配列番号3〜27及び37〜60及び変異体の相補体からなる群より選択される配列を有する。任意により、オリゴヌクレオチドの少なくとも1のヌクレオチドが修飾されていてもよい。一部の実施形態によれば、例えば、このヌクレオチドが修飾されることによって、未修飾ヌクレオチドと比べ、核酸ハイブリダイゼーションの安定性が向上する。
【0015】
更なる例として、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、任意により、配列番号1の259、260、262、264、265、266、268、269、273、275、276、277、279、297、298、300、301、302、303、304、305、306、308、313、314、315、316、317、318、320、321、325、326、428、429、431、432、433、434、435、440、441、及び447からなる群より選択される1又は2以上のヌクレオチド位置を含んでなる核酸断片に検出可能に結合するものでもよい。更なる選択肢として、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、配列番号2の89、90、91、92、95、98、101、105、106、107、216、217、220、222、223、225、233、235、236、238、335、336、337、338、339、342、345、346、及び351からなる群より選択される1又は2以上のヌクレオチド位置を含んでなる、核酸断片に検出可能に結合する。別の実施形態によれば、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、例えば配列特異的抗体を含んでなる。
【0016】
特定の実施形態によれば、これらの核酸、その単位複製配列、及び/又は、核酸検出試薬は、少なくとも1の標識及び/又は少なくとも1のクエンチャー成分を含んでなる。例えば、この標識は、蛍光染料、弱蛍光標識、非蛍光標識、比色分析標識、化学発光標識、生物発光標識、抗体、抗原、ビオチン、ハプテン、質量修飾基(mass-modifying group)、放射性同位体、酵素等を、任意で含んでいてもよい。これらの実施形態によれば、(b)は、通常は、前記標識によって精製された検出可能な信号を検出することを含んでなる。例として、(b)は、(i)前記標識によって精製された検出可能な信号を増幅して増幅信号を生成し、(ii)その増幅信号を検出することを、任意で含んでいてもよい。
【0017】
一部の実施形態によれば、(a)の前又は間に、少なくとも1の核酸増幅法を用いて、前記核酸の少なくとも1の断片を増幅し、単位複製配列を生成するとともに、(b)が、増幅の間又は後に、核酸及び/又はその単位複製配列と、核酸検出試薬との結合を監視することを含んでなる。例えば、核酸増幅法は通常、ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応、及び/又はその他を含んでなる。これらの実施形態において、この断片の増幅には、任意により、配列番号3〜27及び37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号3〜27及び37〜60の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号3〜27及び37〜60及び前記変異体の相補体からなる群より選択される配列を含んでなる、少なくとも1のプライマー核酸を用いてもよい。これらの実施形態の一部において、プライマー核酸は、本明細書に記載の、或いは本技術分野で公知の、少なくとも1の標識を含んでなる。任意により、プライマー核酸は、修飾プライマー核酸(例えば、核酸増幅特異性を変更する修飾、制限部位リンカー、及び/又はその他)を含んでいてもよい。
【0018】
別の態様によれば、本発明は、試料中の淋菌を検出する方法に関する。この方法は、(a)試料由来の核酸を、少なくとも1の核酸増幅反応において、少なくとも第1のプライマー核酸の対に接触させる工程を有する。第1のプライマー核酸の対は、配列番号3〜27及び37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号3〜27及び37〜60の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号3〜27及び37〜60及び前記変異体の相補体からなる群より選択される、少なくとも1の核酸を含んでなる。加えて、この方法は、(b)(a)の間又は後に、前記核酸、及び/又は、核酸増幅反応由来のその1又は2以上の単位複製配列を検出することにより、試料中の淋菌を検出する工程を有する。特定の実施形態によれば、例えば前記核酸及び/又はその単位複製配列は、配列番号28〜33からなる群より選択される、少なくとも1の配列を含んでなる。この試料は、通常はヒト対象等の哺乳類対象に由来する。任意により、プライマー核酸の少なくとも1つが、修飾プライマー核酸をを含んでなる。一部の実施形態において、例えば、修飾プライマー核酸は、核酸増幅特異性を変更する修飾及び/又は制限部位リンカー修飾を含んでなる。特定の実施形態によれば、(a)が、前記試料由来の核酸を、少なくともクラミジア・トラコマチス核酸に対して少なくとも部分的に相補的な第2のプライマー核酸の対に接触させることを含んでなるとともに、(b)が、(a)の間又は後に、1又は2以上の更なる核酸増幅反応由来の単位複製配列を検出することにより、試料中のクラミジア・トラコマチスを検出することを含んでなる。
【0019】
一部の実施形態によれば、プライマー核酸の少なくとも1つが、少なくとも1の標識を含んでなる。標識は、例えば、蛍光染料、弱蛍光標識、非蛍光標識、比色分析標識、化学発光標識、生物発光標識、抗体、抗原、ビオチン、ハプテン、質量修飾基、放射性同位体、酵素等を、任意で含んでいてもよい。これらの実施形態によれば、(b)は通常、前記標識によって精製された検出可能な信号を検出することを含んでなる。任意により、(b)は、(i)前記標識によって精製された検出可能な信号を増幅して増幅信号を生成する工程、及び、(ii)その増幅信号を検出する工程を含んでいてもよい。特定の実施形態によれば、(b)は、単位複製配列と1又は2以上の核酸検出試薬との結合を監視することを含んでなる。核酸検出試薬は、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又はその変異体の相補体からなる配列を有する核酸に、特異的に結合する。任意により、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、オリゴヌクレオチド(例えばプローブ核酸等)を含んでいてもよい。これらの実施形態の一部において、(b)は、オリゴヌクレオチドと単位複製配列とのハイブリダイゼーションを検出することを含んでなる。任意により、オリゴヌクレオチドは、約8から約100ヌクレオチド長の配列を含んでいればよい。特定の実施形態によれば、前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1のヌクレオチドは、(例えば未修飾ヌクレオチドに対する相対的な核酸ハイブリダイゼーション安定性を改変する目的等で)修飾されてなる。例えば、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、配列番号3〜27及び37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号3〜27及び37〜60の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号3〜27及び37〜60及び前記変異体の相補体からなる群より選択される配列を含んでなる核酸を含んでなる。更なる例として、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、任意で、配列番号1における、259、260、262、264、265、266、268、269、273、275、276、277、279、297、298、300、301、302、303、304、305、306、308、313、314、315、316、317、318、320、321、325、326、428、429、431、432、433、434、435、440、441、及び447からなる群より選択される、1又は2以上のヌクレオチド位置を含んでなる核酸断片に対して、検出可能に結合してもよい。更なる選択肢によれば、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、配列番号2における、89、90、91、92、95、98、101、105、106、107、216、217、220、222、223、225、233、235、236、238、335、336、337、338、339、342、345、346、及び351からなる群より選択される1又は2以上のヌクレオチド位置を含んでなる核酸断片に、検出可能に結合する。一部の実施形態において、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、配列特異的抗体等を含んでなる。任意により、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、を含んでなる 少なくとも1の標識及び/又は少なくとも1のクエンチャー成分。標識の例には、蛍光染料、弱蛍光標識、非蛍光標識、比色分析標識、化学発光標識、生物発光標識、抗体、抗原、ビオチン、ハプテン、質量修飾基、放射性同位体、酵素等が任意で含まれる。これらの実施形態によれば、(b)は通常、前記標識によって精製された検出可能な信号を検出することを含んでなる。これらの実施形態の一部において、(b)は、(i)前記標識によって精製された検出可能な信号を増幅して増幅信号を生成すること、及び、(ii)その増幅信号を検出することを含んでなる。
【0020】
別の態様によれば、本発明は、試料中の淋菌を検出する方法であって、(a)試料由来の核酸を、少なくとも1の核酸増幅反応において、少なくとも第1のプライマー核酸の対に接触させる工程を有する方法を提供する。ここで、前記プライマー核酸の各々が、12から100のヌクレオチドを有し、前記プライマー核酸の少なくとも1つが、配列番号1、配列番号2、配列番号36、或いはその相補体の下位配列と、少なくとも90%の配列同一性を含んでなる。この方法は更に、(b)(a)の間又は後に、前記核酸、及び/又は、核酸増幅反応由来のその1又は2以上の単位複製配列を検出することにより、試料中の淋菌を検出する工程を有する。通常は(a)の前に、試料中の淋菌の存在は不知又は未確認である。一部の実施形態において、前記プライマー核酸の1又は2以上が、配列番号3〜27及び37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号3〜27及び37〜60の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号3〜27及び37〜60及び前記変異体の相補体からなる群より選択される配列を有する。
【0021】
更に別の態様によれば、本発明は、試料中における淋菌の存在を決定する方法であって、(a)前記試料由来の核酸及び/又はその単位複製配列を、12から100のヌクレオチドを有する少なくとも1のオリゴヌクレオチドと接触させる工程を有する方法に関する。このオリゴヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、或いはその相補体の下位配列と、少なくとも90%の配列同一性を含んでなる。加えて、この方法は、更に(b)前記核酸及び/又はその単位複製配列と前記オリゴヌクレオチドとの結合を監視する工程を有する。ここで、前記核酸及び/又はその単位複製配列とオリゴヌクレオチドとの検出可能な結合によって、試料中の淋菌の存在が決定される。通常は(a)の前に、試料中の淋菌の存在は不知又は未確認である。特定の実施形態によれば、前記プライマー核酸の1又は2以上が、配列番号3〜27及び37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号3〜27及び37〜60の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号3〜27及び37〜60及び前記変異体の相補体からなる群より選択される配列を有する。
【0022】
別の態様によれば、本発明は、対象由来の試料と、1又は2以上の核酸検出試薬とを含んでなる組成物に関する。核酸検出試薬は、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体からなる配列を有する核酸に選択的に結合する。試料中の淋菌の存在は、一般には不知又は未確認である。通常は、この核酸検出試薬は、少なくとも1の化学的に合成された核酸を含んでなる。特定の実施形態によれば、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、オリゴヌクレオチド(例えばプローブ核酸、プライマー核酸等)を含んでなる。通常このオリゴヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、或いはその相補体の下位配列と、少なくとも85%(例えば約90%、約95%等)の配列同一性を含んでなる。これらの実施形態の一部において、このオリゴヌクレオチドは、約8から約100ヌクレオチド長の配列(例えば約12から約50のヌクレオチド長)を有する。特定の実施形態によれば、前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1のヌクレオチドが、(例えば未修飾ヌクレオチドと比べた場合の核酸ハイブリダイゼーション安定性を改変するべく)修飾されてなる。例えば、この核酸検出試薬は任意で、配列番号3〜27及び37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号3〜27及び37〜60の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号3〜27及び37〜60及び前記変異体の相補体からなる群より選択される配列を有する、少なくとも1の核酸を含んでいてもよい。更なる例として、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが任意で、配列番号1における、259、260、262、264、265、266、268、269、273、275、276、277、279、297、298、300、301、302、303、304、305、306、308、313、314、315、316、317、318、320、321、325、326、428、429、431、432、433、434、435、440、441、及び447からなる群より選択される、1又は2以上のヌクレオチド位置を含んでなる核酸断片に、検出可能に結合してもよい。更なる選択肢においては、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、配列番号2における、89、90、91、92、95、98、101、105、106、107、216、217、220、222、223、225、233、235、236、238、335、336、337、338、339、342、345、346、及び351からなる群より選択される1又は2以上のヌクレオチド位置を含んでなる核酸断片に検出可能に結合する。一部の実施形態において、この核酸検出試薬は、少なくとも1の配列特異的抗体を含んでなる。特定の実施形態によれば、この組成物は更に、クラミジア・トラコマチス核酸に検出可能に結合する、少なくとも1の更なる核酸検出試薬を含有する。
【0023】
通常は、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが、少なくとも1の標識及び/又は少なくとも1のクエンチャー成分を含んでなる。例として、この標識は任意で、蛍光染料、弱蛍光標識、非蛍光標識、比色分析標識、化学発光標識、生物発光標識、抗体、抗原、ビオチン、ハプテン、質量修飾基、放射性同位体、酵素等を含んでいてもよい。
【0024】
本発明の組成物の核酸検出試薬は、種々の形態で提供される。一部の実施形態によれば、例えば、前記核酸検出試薬の少なくとも1つが溶液の形態である。他の実施形態によれば、固相支持体が、前記核酸検出試薬の少なくとも1つを含んでなる。この実施形態によれば、核酸検出試薬は、非共有結合又は共有結合により、固相支持体に接着される。かかる実施形態で使用される固相支持体の例は、プレート、マイクロウェルプレート、ビーズ、マイクロビーズ(例えば磁性マイクロビーズ等)、チューブ(例えばマイクロチューブ等)、ファイバー、ウィスカー、コム、ハイブリダイゼーションチップ、膜、単結晶、セラミック層、自己集合単分子層等から、任意に選択される。
【0025】
更なる例として、核酸検出試薬は任意で、ビオチン又はビオチン誘導体に接合されていてもよく、固相支持体は任意で、アビジン又はアビジン誘導体、或いはストレプトアビジン又はストレプトアビジン誘導体に接合されていてもよい。一部の実施形態によれば、リンカーによって核酸検出試薬を固相支持体に結合させる。リンカーは通常、例えばオリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴポリアミド、オリゴエチレングリセロール、オリゴアクリルアミド、アルキル鎖等から選択される。任意により、開裂可能な結合によって、核酸検出試薬を固相支持体に結合させてもよい。かかる開裂可能な結合は、一般には、例えば熱、酵素、化学薬品、電磁放射等によって開裂することができる。
【0026】
別の態様によれば、本発明は、一組の単位複製配列を含有する反応混合物を提供する。単位複製配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体の下位配列に対応する配列を有するとともに、終止ヌクレオチドが欠落している。通常は、少なくとも前記一組の単位複製配列のサブセットが、配列番号3〜27及び37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号3〜27及び37〜60の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号3〜27及び37〜60及び前記変異体の相補体からなる群より選択される配列を有する、少なくとも1のプライマー核酸を用いて生成される。特定の実施形態によれば、プライマー核酸は、修飾プライマー核酸を含んでなる。例えば、修飾プライマー核酸は任意で、核酸増幅特異性を変更する修飾、制限部位リンカー修飾、及び/又はその他を含んでいてもよい。一部の実施形態によれば、反応混合物は更に、クラミジア・トラコマチス核酸配列に対応する配列を含んでなる、単位複製配列の更なる組を含んでいてもよい。
【0027】
別の態様によれば、本発明は、(a)50以下のヌクレオチドを有する少なくとも1のオリゴヌクレオチドであって、配列番号36又はその相補体の下位配列と、少なくとも90%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;並びに1又は2以上の:(b)試料中の淋菌の存在が知られておらず、又は確証されていない場合に、試料由来の核酸及び/又はその単位複製配列と、前記オリゴヌクレオチドとの間の結合を監視することにより、前記試料中の淋菌の存在を判定するための使用説明書;又は(c)少なくとも前記オリゴヌクレオチドを包装するための、少なくとも1の容器とを含んでなるキットを提供する。これらの実施形態の一部において、前記オリゴヌクレオチドは、約8から約100ヌクレオチド長の配列を有する。特定の実施形態によれば、例えば、前記オリゴヌクレオチドは、配列番号3〜27及び37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号3〜27及び37〜60の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号3〜27及び37〜60及び前記変異体の相補体からなる群より選択される配列。更なる例として、前記オリゴヌクレオチドは任意で、配列番号1における259、260、262、264、265、266、268、269、273、275、276、277、279、297、298、300、301、302、303、304、305、306、308、313、314、315、316、317、318、320、321、325、326、428、429、431、432、433、434、435、440、441、及び447からなる群より選択される、1又は2以上のヌクレオチド位置を含んでなる核酸断片に、検出可能に結合してもよい。更なる選択肢によれば、前記オリゴヌクレオチドは、配列番号2における、89、90、91、92、95、98、101、105、106、107、216、217、220、222、223、225、233、235、236、238、335、336、337、338、339、342、345、346、及び351からなる群より選択される、1又は2以上のヌクレオチド位置を含んでなる核酸断片に検出可能に結合する。他の実施形態によれば、前記核酸検出試薬は、配列特異的抗体である。特定の実施形態によれば、このキットは更に、クラミジア・トラコマチス核酸に特異的に結合する1又は2以上の核酸検出試薬を有する。これらの実施形態によれば、このキットは通常は更に、前記試料由来の核酸及び/又はその単位複製配列と前記の更なる核酸検出試薬との結合を監視することにより、試料中のクラミジア・トラコマチスを検出するための使用説明書、及び/又は、前記の更なる核酸検出試薬を収容する1又は2以上の容器を有する。一部の実施形態において、キットは通常は更に、少なくとも1の酵素(例えばポリメラーゼ等)、及び/又は、1又は2以上のヌクレオチドを含有する。
【0028】
一部の実施形態によれば、核酸検出試薬は溶液の形態であり、別の形態によれば、固相支持体が前記核酸検出試薬を含んでなる。固相支持体は任意で、例えばプレート、マイクロウェルプレート、ビーズ、マイクロビーズ、チューブ、ファイバー、ウィスカー、コム、ハイブリダイゼーションチップ、膜、単結晶、セラミック層、自己集合単分子層等から選択される。
【0029】
通常は、前記のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1の標識及び/又は少なくとも1のクエンチャー成分を含んでなる。標識の例としては、例えば蛍光染料、弱蛍光標識、非蛍光標識、比色分析標識、化学発光標識、生物発光標識、抗体、抗原、ビオチン、ハプテン、質量修飾基、放射性同位体、酵素等が挙げられる。
【0030】
更に別の態様によれば、本発明は、試料中の淋菌を検出するためのシステム(例えば自動システム)を提供する。このシステムは、(a)12と100又はそれ以下との間のヌクレオチドを有する、少なくとも1のオリゴヌクレオチドを有し、このオリゴヌクレオチドは配列番号1、配列番号2、配列番号36、或いはその相補体の下位配列と、少なくとも90%の配列同一性を含んでなる。このシステムは更に、(b)前記試料由来の核酸及び/又はその単位複製配列と前記オリゴヌクレオチドとの結合を検出する、少なくとも1の検出器、並びに、(c)前記検出器に作動式に連結される少なくとも1の制御装置を含んでなり、制御装置が、前記検出器により検出された結合を試料中の淋菌の存在と相関付ける、1又は2以上の命令セットを含んでなる。このオリゴヌクレオチドは通常、配列番号3〜27及び37〜60、又はそれらの相補体からなる群より選択される配列を有する。更なる例として、オリゴヌクレオチドは任意で、配列番号1における259、260、262、264、265、266、268、269、273、275、276、277、279、297、298、300、301、302、303、304、305、306、308、313、314、315、316、317、318、320、321、325、326、428、429、431、432、433、434、435、440、441、及び447からなる群より選択される、1又は2以上のヌクレオチド位置を含んでなる核酸断片に、検出可能に結合してもよい。更なる選択肢として、このオリゴヌクレオチドは、配列番号2における、89、90、91、92、95、98、101、105、106、107、216、217、220、222、223、225、233、235、236、238、335、336、337、338、339、342、345、346、及び351からなる群より選択される1又は2以上のヌクレオチド位置を含んでなる核酸断片に、検出可能に結合する。加えて、このオリゴヌクレオチドは通常、少なくとも1の標識及び/又は少なくとも1のクエンチャー成分を含んでなる。特定の実施形態によれば、このシステムは更に、クラミジア・トラコマチス核酸に特異的に結合する1又は2以上の更なる核酸検出試薬を有してなり、前記検出器が、前記前記試料由来の核酸及び/又はその単位複製配列と、前記の更なる核酸検出試薬との結合を検出し、前記制御装置が、前記検出器により検出された結合を、試料中におけるクラミジア・トラコマチスの存在と相関付ける、少なくとも1の命令セットを含んでなる。一部の実施形態によれば、少なくとも1の容器又は固相支持体が、前記オリゴヌクレオチドを含んでなる。これらの実施形態によれば、このシステムは更に任意で、(d)前記の容器又は固相支持体に作動式に連結され、前記の容器内又は固相支持体上の温度を調節する、少なくとも1の温度調節器、及び/又は、(e)前記の容器又は固相支持体に対して、及び/又は、前記の容器又は固相支持体から、流体を移送する少なくとも1の流体移送要素(例えば、容器内又は固相支持体上で、1又は2以上の核酸増幅法を実施するための)等を有していてもよい。
【0031】
別の態様によれば、本発明は、(a)配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体の下位配列に対応する複数の配列に対応する複数の文字列を含んでなるデータセットを含んでなるコンピュータ又はコンピュータ読取可能媒体を有するシステムを提供する。このシステムは更に、(b)コンピュータ又はコンピュータ読取可能媒体の出力と連結されてなる自動合成機を有する。この自動合成機は、前記データセット内の1又は2以上の文字列に対応する1又は2以上の核酸の合成を指示する、コンピュータ又はコンピュータ読取可能媒体からの命令を受領する。通常は、文字列の少なくとも1つが、配列番号3〜27及び37〜60 又はそれらの相補体からなる群より選択される配列に対応する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
I.定義
本発明を詳細に説明する前に留意すべき点として、本発明は特定のオリゴヌクレオチドプローブ、方法、組成物、反応混合物、キット、システム、コンピュータ、又はコンピュータ読取可能媒体に限定されるものではなく、これらは当然ながら変更することが可能である。同様に留意すべき点として、本明細書で使用する用語法は、具体的に実施形態を説明することを目的とするものに過ぎず、限定することを意図するものではない。更に、別途定義する場合を除き、本明細書で使用する技術用語及び科学用語はいずれも、本発明が属する分野の当業者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。本発明の説明及び請求における後出の用語法及び文法上の活用形は、次に示す定義に従って使用される。
【0033】
「5’−ヌクレアーゼプローブ」は、少なくとも2つの標識を含んでなるプローブであって、2つの標識のうち1つが開裂されるか、或いはプローブから分離されると、より強い強度の放射を発するオリゴヌクレオチドプローブを意味する。特定の実施形態によれば、例えば、5’−ヌクレアーゼプローブは異なる2つの蛍光染料、例えば5’末端リポーター色素と、3’末端クエンチング色素又は成分とで標識される。プローブが無傷である場合には、通常は2つのフルオロフォアの間にエネルギー移動が生じ、リポーター色素からの蛍光放出が消光される。ポリメラーゼ連鎖反応の延長工程の際には、例えば、鋳型核酸に結合された5’−ヌクレアーゼプローブが、Taqポリメラーゼ等の5’−ヌクレアーゼ活性によって開裂され、リポーター色素からの蛍光放出が消光される。5’−ヌクレアーゼプローブの例は、米国特許番号第5,210,015、米国特許番号第5,994,056、及び米国特許番号第6,171,785に記載されている。
【0034】
「変更」という語は、核酸配列における変化を指す。例としては、これらに限定されるものではないが、置換、挿入,及び/又はが挙げられる。
【0035】
「増幅反応」は、プライマーにより開始される1又は2以上の標的核酸配列又はその相補体の複製を指す。
【0036】
「単位複製配列」は、他の分子を複写又は転写して作製される分子を指す。例えば、転写、クローニング、及び/又は、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」) (例えば鎖置換(strand displacement)PCR増幅(SDA)、二重(duplex)PCR 増幅等)や他の核酸増幅法において得られる。通常、単位複製配列は、選択された核酸(例えば鋳型又は標的核酸)のコピーであるか、又はそれに相補的である。
【0037】
「増幅された信号」は、増幅反応の不在下で、或いは増幅反応と同時に生成される、増強された検出可能な信号を指す。信号増幅法の例は、例えばCao et al. (1995) 「Clinical evaluation of branched DNA signal amplification for quantifying HIV type 1 in human plasma」 AIDS Res Hum Retroviruses 11(3):353-361、米国特許番号第5,437,977、米国特許番号第6,033,853、及び米国特許番号第6,180,777等に記載されている。
【0038】
「抗体」は、検出可能なリガンドとの結合に関与し得る、少なくとも1の免疫グロブリン遺伝子、又は、少なくとも1の免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的にコードされるポリペプチドを指す。この語には、天然形に加えて、断片及び誘導体が含まれる。本明細書で使用される断片という語の範囲には、種々のペプチダーゼによる消化によって得られる断片、例えばFab、Fab'、及びF(ab)'2断片や、化学解離や化学開裂により得られる断片が含まれる。但し、かかる断片は、疾病の指標となる抗原等の標的分子へ検出可能に結合する能力を維持していることが必要である。
【0039】
「アレイ」は、要素の集合体(assemblage of elements)を指す。集合体は、空間的に整列されていてもよく(「パターン化アレイ」)、不規則でもよい(「ランダムパターン化」アレイ)。アレイは、1又は2以上の機能要素(例えばマイクロアレイ上のプローブ領域)を形成し、又はかかる機能要素を含んでいてもよく、機能を有していなくてもよい。
【0040】
「接着される(attached)」又は「接合される(conjugated)」という語は、物質又は化合物が互いに結合され、或いは他の方式で連結される相互作用及び/又は状態を指す。これらの相互作用及び/又は状態は通常、例えば共有結合、イオン結合、化学吸着、物理吸着、及びそれらの組み合わせによって生成される。特定の実施形態によれば、例えば、オリゴヌクレオチドプローブが固相支持体に接着される。これらの実施形態の一部によれば、オリゴヌクレオチドプローブがビオチンに接合され(即ちビオチン化され)、固相支持体がアビジンに接合される。これにより、例えばビオチンとアビジンとの結合相互作用を介して、プローブが固相支持体に接着する。
【0041】
分子種が「結合する(bind)」とは、共有結合性及び/又は非共有結合性の相互作用を介して相互に会合することをいう。例えば、二本の相補的な一本鎖核酸は相互にハイブリダイズして、少なくとも1の二本鎖領域を有する核酸を形成する。更なる例として、抗体及びそれに対応する抗原も、非共有結合により互いに会合し得る。
【0042】
「開裂(clevarage)」という語は、他の物質又は化合物への結合から、物質又は化合物を遊離させるプロセスを指す。特定の実施形態によれば、例えば固相支持体から、例えばオリゴヌクレオチドが開裂されることにより、溶液相法によるオリゴヌクレオチドの分析が可能となる。例えばWells et al. (1998)「Clevarage and Analysis of Material from Single Resin Beads」 J. Org. Chem. 63:6430 を参照のこと。
【0043】
「文字(character)」とは、文字列の文字について使用する場合、その列のサブユニットを指す。一の実施形態によれば、生体分子をコードする文字列の文字は、その生体分子の1のサブユニットをコードする。即ち、例えばコードされる生体分子がポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドである場合、文字列の文字は1のヌクレオチドをコードする。
【0044】
「文字列」は、配列情報(例としては、生体分子のサブユニット構造、例えば核酸のヌクレオチド配列等)を保存することが可能な、任意の実体を指す。一実施形態によれば、文字列は文字(文字(letters)、数字、又は他の記号)の単なる配列でもよく、かかる情報の有形又は無形(例えば電子的、磁気的等)の数値表現又は暗号化表現でもよい。文字列は「線形(linear)」である必要はなく、数々の他の形態で存在していてもよい。例えば、連結リストや他の非線形アレイ(例えば線形の文字アレイを生成するためのコードとして使用されるもの)等が挙げられる。文字列は通常、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド列を、直接又は間接的にコードする。例としては、任意の暗号化列、又は画像、又は対象の配列であって、ポリヌクレオチド等(天然又は人工のいずれのモノマーからなるものでもよい)におけるモノマー又はマルチマーの配列を表す文字列に一義的に変換され得るものが挙げられる。
【0045】
「クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)」「C.トラコマチス(C. trachomatis)」又は「CT」という語は、クラミジア(Chlamydia)属の細菌種であるトラコマチス(trachomatis)を指す。例えば、Stephens et al. (1998)「Genome sequence of an obligate intracellular pathogen of humans: Chlamydia trachomatis」、Science 282:754-759、Kalman et al. (1999)「Comparative genomes of Chlamydia pneumoniae and C. trachomatis」、Nature Genetics 21:385-389、及び、Stephens, Chlamydia: Intracellular Biology, Pathogenesis, and Immunity, ASM Press (1999) を参照のこと。クラミジア・トラコマチスのゲノムの完全配列には、例えばNC_000117等のGenBank(登録商標)受託番号が割り当てられている。また、クラミジア・トラコマチス・データベースも参照のこと。これは2004年3月12日の時点で、ワールドワイドウェブstdgen.lanl.govに存在する。
【0046】
「クラミジア・トラコマチス核酸」又は「C.トラコマチス核酸」という語は、クラミジア・トラコマチスに由来し、或いはクラミジア・トラコマチスから単離核酸(及び/又はその単位複製配列)を指す。
【0047】
「その相補体」という語は、所与の核酸と同一長であり、かつ正確に相補的な核酸を指す。
【0048】
「組成物」は、2以上の異なる成分の組み合わせを指す。特定の実施形態によれば、例えば組成物は、1又は2以上のオリゴヌクレオチドプローブを含んでなる固相支持体を有し、かかるプローブは、例えば共有結合又は非共有結合により支持体表面に接着される。別の実施例によれば、組成物は1又は2以上のオリゴヌクレオチドプローブを溶液として有する。
【0049】
「欠失」という語は、核酸配列との関連では、少なくとも1のヌクレオチドが核酸配列から(例えば5’−末端から、3’−末端から、及び/又は、核酸配列の内部位置から)除去されてなる変更を指す。
【0050】
という語「誘導体」は、別の物質と構造的に関連する化学物質、又は、例えば化学又は酵素修飾により、別の物質から作製される化学物質(即ち、別の物質から誘導される)を指す。例として、オリゴヌクレオチドプローブは任意で、ビオチン又はビオチン誘導体に接合されていてもよい。更なる例として、1の核酸は別の核酸から、その別の核酸の配列に関する知識に基づく化学合成や、その別の核酸の増幅等の過程を通じて「誘導(derived)」され得る。
【0051】
「検出可能に結合する」という語は、少なくとも2つの分子種(例えばプローブ核酸と標的核酸、配列特異的抗体と標的核酸等)の結合であって、1又は2以上の検出法によって、バックグラウンド信号(例えばノイズ)から検出可能な結合を指す。
【0052】
核酸が「延長(extended)」又は「伸長(elongated)」されるとは、更なるヌクレオチド(又は他の類似分子)が核酸に取り込まれることを指す。例えば、核酸は任意で、ヌクレオチド取り込み生体触媒により延長することができる。かかる触媒としてはポリメラーゼが挙げられる。これは通常、ヌクレオチドを核酸の3’末端に付加する。
【0053】
「延長(extended)プライマー核酸」とは、プライマー核酸に対して1又は2以上の更なるヌクレオチドが付加され、或いは他の方式で取り込まれた(例えば共有結合により結合された)ものを指す。
【0054】
核酸が「ハイブリダイズする(hybridize)」又は「結合する」とは、通常は溶液中で、拡散が互いに会合することを言う。核酸のハイブリダイズは、水素結合、溶媒排除、塩基スタッキング等、特性決定された種々の物理化学力によって生じる。核酸のハイブリダイゼーションに関する包括的な概説は、Tijssen (1993) Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Acid Probes part I chapter 2, 「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」(Elsevier, New York)や、Ausubel (Ed.) Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I, II, and III, 1997 に記載されている。Hames and Higgins (1995) Gene Probes 1 IRL Press at Oxford University Press, Oxford, England, (Hames and Higgins 1) や、Hames and Higgins (1995) Gene Probes 2 IRL Press at Oxford University Press, Oxford, England (Hames and Higgins 2) には、オリゴヌクレオチドを含めたDNA及びRNAの合成、標識、検出、及び定量化に関する詳細が記載されている。
【0055】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ又は実験(例えば核酸増幅反応、サザン及びノーザン ハイブリダイゼーション等)との関連では、配列に依存するともに、環境パラメータが異なればそれによっても異なる。核酸のハイブリダイゼーションについての包括的な概説は、上掲のTijssen (1993) 及びHames and Higgins, 1 and 2 に記載されている。
【0056】
本発明の目的において、一般には、「高度にストリンジェントな(highly stringent)」ハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、具体的な配列について、所定のイオン強度及びpHの下、熱的な融点(Tm)より少なくとも約5℃低くなるように選択される。Tmは、完全にマッチするプローブに対して、(所定のイオン強度及びpHの下)試験配列の50%がハイブリダイズする温度である。非常にストリンジェントな(very stringent)条件は、特定のプローブのTmと等しくなるように選択される。
【0057】
サザン又はノーサンブロットにおける、フィルター上での相補核酸のハイブリダイゼーションのためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、1mgのへパリンを加えた50%のホルマリン中、42℃で、ハイブリダイゼーションを一晩行う条件が挙げられる。ストリンジェントな洗浄条件の例としては、65℃で15分の0.2×SSC洗浄(SSCの説明については、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (2001) を参照のこと)。高ストリンジェンシー洗浄の前には、バックグラウンドプローブ信号を除去するために、低ストリンジェンシー洗浄を行う場合が多い。低ストリンジェンシー洗浄の例としては、40℃で15分の2×SSC洗浄が挙げられる。一般に、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおいて、無関係のプローブについて観察される信号と比べて、対ノイズ比5×(又は5×超)の信号は、特異的ハイブリダイゼーションの検出を示す。
【0058】
比較ハイブリダイゼーションを用いて本発明の核酸を同定することができる。
【0059】
特に、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの検出は、本発明との関連では、例えば本明細書添付の配列表に記載された核酸に対して、高度な構造類似性を有することを示す。例えば、本明細書に例示された核酸に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする試験核酸を同定することが望ましい。ストリンジェントなハイブリダイゼーションの基準の1つは、掲載された核酸(例えば、配列番号3〜27及び37〜60、並びにその相補体から選択される配列を有する核酸)の1つに対して、ストリンジェントな条件下で、検出可能にハイブリダイズする能力である。任意の試験核酸についてのストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、実験により容易に決定することができる。
【0060】
例えば、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件を決定するには、(例えば、ハイブリダイゼーション又は洗浄における、温度の上昇、塩濃度の低下、界面活性剤濃度の上昇、及び/又は、ホルマリン等の有機溶媒の濃度の上昇等により)ハイブリダイゼーション及び洗浄条件のストリンジェンシーを、選択した判定基準が満たされるまで徐々に上昇させる。例えば、ハイブリダイゼーション及び洗浄条件のストリンジェンシーを配列番号3〜27及び37〜60及びそれに相補的なポリヌクレオチド配列から選択される1又は2以上の核酸配列からなる、或いはかかる核酸配列を含んでなるプローブが、完全にマッチする相補的な標的(これも、配列番号3〜27及び37〜60及びそれに相補的な核酸配列から選択される1又は2以上の核酸配列を含んでなる核酸)に結合し、非標的核酸に対するプローブのハイブリダイゼーションに観察される信号に対して、信号対ノイズ比が少なくとも5×となるまで徐々に上昇させる。この場合、非標的核酸は淋菌以外の生物の核酸であり、特定の実施形態によれば、C.トラコマチスの核酸である。かかる非標的核酸の例としては、例えば、GenBank(登録商標) 受託番号AE01469(ブタ流産菌(Brucella suis)1330染色体Iセクション155)及びAE002435(髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型群B株MC58セクション77)等の配列が挙げられる。かかる配列の更なる例は、当業者であればGenBank(登録商標)等から見出すことが可能である。
【0061】
試験核酸がプローブ核酸に特異的にハイブリダイズするとは、完全にマッチする相補的な標的に対するハイブリダイズの少なくとも半分の程度でプローブにハイブリダイズすること、即ち、完全にマッチするプローブが、完全にマッチする相補的な標的に対して、非標的核酸AE01469(ブタ流産菌1330染色体Iセクション155)又はAE002435(髄膜炎菌血清型群B株MC58セクション77)に対するハイブリダイゼーションに観察される信号に対して、少なくとも約5×〜10×の信号対ノイズ比で結合するような条件下で、プローブの標的に対するハイブリダイゼーションの少なくとも半分の信号対ノイズ比でハイブリダイズすることをいう。
【0062】
超高ストリンジェンシー(ultra high stringency)ハイブリダイゼーション及び洗浄条件とは、ハイブリダイゼーション及び洗浄条件のストリンジェンシーを、非標的核酸AE01469(ブタ流産菌1330染色体Iセクション155)又はAE002435(髄膜炎菌血清型群B株MC58セクション77)に対するハイブリダイゼーションについて観察される信号に対して少なくとも10×の高さの信号対ノイズ比で、プローブが完全にマッチする相補的な標的核酸に結合するまで上昇させた条件を言う。かかる条件下で、完全にマッチする相補的な標的核酸の場合の少なくとも半分の信号対ノイズ比で、プローブにハイブリダイズする標的核酸を、超高ストリンジェンシー条件下でプローブに結合すると言う。
【0063】
同様に、更に高いレベルのストリンジェンシーは、関連するハイブリダイゼーションアッセイのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄条件のストリンジェンシーを徐々に上昇させることにより、決定することができる。例えば、ハイブリダイゼーションアッセイのハイブリダイゼーション及び洗浄条件のストリンジェンシーを、完全にマッチする相補的な標的核酸に対するプローブの結合の信号対ノイズ比が、非標的核酸AE01469(ブタ流産菌1330染色体Iセクション155)又はAE002435(髄膜炎菌血清型群B株MC58セクション77)に対するハイブリダイゼーションについて観察される信号の、少なくとも10×、20×、50×、100×、又は500×以上の高さとなるまで上昇させた条件とすることができる。かかる条件下で、完全にマッチする相補的な標的核酸の少なくとも半分の信号対ノイズ比で、プローブにハイブリダイズする標的核酸を、プローブに対して超々高ストリンジェンシー(ultra-ultra high stringency)条件下で結合すると言う。
【0064】
配列番号3〜27及び37〜60によって表わされる核酸に、高、超高、及び超々高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする標的核酸の検出は、本発明の特徴の一つである。かかる核酸の例としては、所与の核酸配列に対して1個又は数個の沈黙又は保存核酸置換を有するものが挙げられる。
【0065】
「同一(identical)」又はパーセント「同一性(identity)」という語は、2以上の核酸又はポリペプチド配列との関連では、2以上の配列又は下位配列が、最も高い一致度となるよう整列比較した場合に、例えば当業者が利用可能な配列比較アルゴリズムの1つを用いて、或いは目視観察によって計測した場合に、同一であること、或いは特定の割合のアミノ酸残基又はヌクレオチドが同一であることを指す。パーセント配列同一性及び配列類似性を決定するための適切なアルゴリズムの例としては、BLASTプログラムが挙げられる。これは例えば、Altschul et al. (1990)「Basic local alignment search tool」、J. Mol. Biol. 215: 403-410、Gish et al. (1993)「Identification of protein coding regions by database similarity search」 Nature Genet. 3:266-272、Madden et al. (1996)「Applications of network BLAST server」 Meth. Enzymol. 266: 131-141、Altschul et al. (1997)「Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs」、Nucleic Acids Res. 25:3389-3402、及び Zhang et al. (1997) 「PowerBLAST: A new network BLAST application for interactive or automated sequence analysis and annotation」、Genome Res. 7: 649-656 が挙げられる。他にも多数の最適アラインメントアルゴリズムが本技術分野で公知であり、パーセント配列同一性の決定に任意に使用することができる。
【0066】
「溶液中」という語句は、アッセイ又は反応の成分が固相支持体に接着されず、液状媒質中に存在するようなアッセイ又は反応条件を指す。液状媒質の例としては、水系又は有機流体が挙げられる。例えば、本発明の特定のアッセイとしては、オリゴヌクレオチドプローブを淋菌核酸及び淋菌核酸の単位複製配列と一緒に溶液中でインキュベートし、ハイブリダイゼーションを生じさせることが挙げられる。
【0067】
「挿入」という語は、核酸配列との関連では、少なくとも1のヌクレオチドが核酸配列に(例えば5’−末端に、3’−末端に、及び/又は、核酸配列の中間位置に)付加されるような変更を指す。
【0068】
「標識」は、分子に対して(共有結合又は非共有結合により)接着される、或いは接着され得る成分であって、その分子に関する情報(例えば、その分子に関する記述、同定等の情報)、或いはその標識された分子と相互作用する(例えばハイブリダイズする等)別の分子に関する情報を提供する、或いは提供し得る成分を指す。標識の例としては、蛍光標識(例えばクエンチャーやアブゾーバー等)、弱蛍光標識、非蛍光標識、比色分析標識、化学発光標識、生物発光標識、放射性標識、質量修飾基、抗体、抗原、ビオチン、ハプテン、酵素(例えばペルオキシダーゼ、ホスファターゼ等)等が挙げられる。
【0069】
「リンカー」は、化合物又は置換基を、共有結合又は非共有結合により、別の成分(例えば核酸、オリゴヌクレオチドプローブ、プライマー核酸、単位複製配列、固相支持体等)に接着する化学成分を指す。例えば、リンカーは任意で、(例えば線形又は他の論理プローブアレイにおいて)オリゴヌクレオチドプローブを固相支持体に接着するのに使用され得る。更なる例として、リンカーは任意で、標識(例えば蛍光染料、放射性同位体等)を、オリゴヌクレオチドプローブ、プライマー核酸等に接着するのに使用され得る。リンカーは通常、少なくとも二官能性の化学成分であり、特定の実施形態によれば、開裂可能な結合を含んでなる。かかる結合は、例えば熱、酵素、化学薬品、電磁放射等で開裂し、例えば固相支持体から物質や化合物を遊離し得る。リンカーを慎重に選択することにより、化合物の安定性やアッセイ法と適合し得る、適切な条件下で開裂を生じさせることが可能となる。一般にリンカーは、例えば化学種を連結したり、かかる種の間に最低の距離や他の何らかの空間的な関係を維持したりする他には、特別な生物活性を有さない。しかしながら、結合される化学種の何らかの特性(例えば三次元構造、正味荷電、疎水性等)に影響を与えるように、リンカーの構成要素を選択してもよい。リンカーの例としては、オリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴポリアミド、オリゴエチレングリセロール、オリゴアクリルアミド、アルキル鎖等が挙げられる。リンカー分子に関する更なる説明は、例えばHermanson, Bioconjugate Techniques, Elsevier Science (1996)、Lyttle et al. (1996) Nucleic Acids Res. 24(14):2793、Shchepino et al. (2001) Nucleosides, Nucleotides, & Nucleic Acids 20:369、Doronina et al (2001) Nucleosides, Nucleotides, & Nucleic Acids 20:1007、Trawick et al. (2001) Bioconjugate Chem. 12:900、Olejnik et al. (1998) Methods in Enzymology 291:135、及びPljevaljcic et al. (2003) J. Am. Chem. Soc. 125(12):3486に記載されている。
【0070】
「質量修飾(mass modifying)」基は、かかる基を含んでなる分子の質量(通常は分子量として、ダルトンで計測される)を修飾するものである。例えば、そのサイズや配列が一塩基のみ異なる少なくとも2つの核酸について、その識別性をより高める質量修飾基を用いることにより、例えば分子量決定を用いた配列決定を容易に行うことが可能となる。
【0071】
「混合物」は、2以上の異なる成分の組み合わせを指す。「反応混合物」とは、所与の反応に関与し得る、及び/又は、所与の反応を容易化し得る分子を含んでなる混合物を指す。「増幅反応混合物」は、増幅反応の実施に必要な試薬を含有する溶液を指す。通常はプライマー、熱安定DNAポリメラーゼ、dNTP、及び、二価の金属カチオンを、適切なバッファー中に含有する。反応に必要な全試薬を含有している反応混合物は完全であると言い、必要な試薬の一部の組(サブセット)しか含有していない反応混合物は不完全であると言う。当業者であれば理解するように、反応成分は通常は個別の溶液として保管され、その各々は全成分のサブセットのみを含有する。その理由としては、簡便性、保存安定性、又は、用途に応じた成分濃度の調整を可能にすること等が挙げられる。また、反応成分を反応前に混合し、完全な反応混合物を作製する。更に、当業者であれば理解するように、反応成分は販売用に個別に包装され、有用な市販のキットは、本発明の修飾プライマーを含む、反応成分の任意のサブセットを含有していてもよい。
【0072】
「修飾プライマー核酸」は、プライマー核酸に所望の特性を付与するヌクレオチドの成分又は配列を含んでなるプライマー核酸を指す。特定の実施形態によれば、例えば、修飾プライマー核酸は、「核酸増幅特異性を変更する修飾」を含んでなる。例としては、非特異的核酸増幅を低減する(例えば、プライマー二量体形成等を最小化する)修飾、目的とする標的単位複製配列の収率を増大する修飾、及び/又は、その他の修飾が挙げられる。核酸増幅特異性を変更する修飾の例は、例えば米国特許番号第6,001,611に記載されている。他のプライマー核酸修飾の例としては、「制限部位リンカー修飾」が挙げられる。これは、選択された制限部位を含んでなるヌクレオチド配列を、例えばプライマー核酸の5’−末端に接着するものである。通常は、その後の単位複製配列クローニング等を容易にするために、制限部位リンカーをプライマー核酸に接着する。
【0073】
「成分(moiety)」又は「基(group)」は、分子等を分割して得られる部分(例えば官能基、置換基等)の1つを指す。例えば、オリゴヌクレオチドプローブは任意で、クエンチャー成分、標識化成分等を含んでいてもよい。
【0074】
「淋菌(Neisseria gonorrhoeae、N. gonorrhoeae)」又は「NG」という語は、ナイセリア属の細菌種ゴノレア(gonorrhoeae)を指す。例えば、Schoolnik (Ed.) Pathogenic Neisseriae: Proceedings of the Fourth International Symposium, Asilomar, California, 21-25 October 1984, Amer. Society for Microbiology (1986) 等を参照のこと。淋菌及びC.トラコマチスに関する更なる概説は、例えば Struthers and Westran, Clinical Bacteriology, ASM Press and Manson Publishing (2003), Persing et al., Molecular Microbiology: Diagnostic Principles and Practice, ASM Press (2003), Murray, Manual of Clinical Microbiology, 8th Ed., ASM Press (2003) に記載されている。また、2004年3月12日の時点でワールドワイドウェブstdgen.lanl.govで提供されている淋菌データベースも参照のこと。
【0075】
「淋菌核酸」又は「淋菌核酸」という語は、淋菌由来の、又は淋菌から単離される核酸(及び/又はその単位複製配列)を指す。
【0076】
「核酸」という語は、ヌクレオチド(例えばリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシヌクレオチド等)や、かかるヌクレオチドを含んでなるポリマーが、共有結合により互いに連結された直鎖状又は分岐鎖状の構造を指す。核酸の例としては、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、DNA−RNAハイブリッド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、遺伝子、cDNA、アプタマー、アンチセンス核酸、干渉RNA(RNAis)、分子指標、核酸プローブ、ペプチド核酸(PNA)、施錠核酸(LNA商標)、PNA−DNA接合体、PNA−RNA接合体、LNA商標−DNA接合体、LNA商標−RNA接合体等が挙げられる。
【0077】
核酸は通常は一本鎖又は二本鎖であり、一般にはリン酸ジエステル結合を含有する。しかし、場合によっては、本明細書に概説するように、核酸類似体も挙げられる。これらは異なる骨格を有していてもよく、例としては、これらに制限されるものではないが、ホスホラミド(Beaucage et al. (1993) Tetrahedron 49(10):1925 及び本文献に引用された文献;Letsinger (1970) J. Org. Chem. 35:3800;Sprinzl et al. (1977) Eur. J. Biochem. 81:579;Letsinger et al. (1986) Nucl. Acids Res. 14: 3487;Sawai et al. (1984) Chem. Lett. 805;Letsinger et al. (1988) J. Am. Chem. Soc. 110:4470;及びPauwels et al. (1986) Chemica Scripta 26: 1419)、ホスホロチオエート(Mag et al. (1991) Nucleic Acids Res. 19:1437;及び米国特許番号第5,644,048)、ホスホロジチオエート(Briu et al. (1989) J. Am. Chem. Soc. 111:2321)、O−メチルホスホラミダイト結合(Eckstein, Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, Oxford University Press (1992) 参照)、及び、ペプチド核酸骨格及び結合(Egholm (1992) J. Am. Chem. Soc. 114:1895;Meier et al. (1992) Chem. Int. Ed. Engl. 31:1008;Nielsen (1993) Nature 365:566;及びCarlsson et al. (1996) Nature 380:207 を参照)が挙げられる。他の類似核酸としては、正荷電骨格を有するもの(Denpcy et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:6097);非イオン性骨格を有するもの(米国特許番号5,386,023、5,637,684、5,602,240、5,216,141、及び4,469,863;Angew (1991) Chem. Intl. Ed. English 30: 423;Letsinger et al. (1988) J. Am. Chem. Soc. 110:4470;Letsinger et al. (1994) Nucleoside & Nucleotide 13:1597; Chapters 2 and 3, ASC Symposium Series 580, 「Carbohydrate Modifications in antisense Research」, Ed. Y. S. Sanghvi and P. Dan Cook; Mesmaeker et al. (1994) Bioorganic & Medicinal Chem. Lett. 4: 395; Jeffs et al. (1994) J. Biomolecular NMR 34:17; and Tetrahedron Lett. 37:743 (1996))、並びに、非リボース骨格を有するもの、例えば米国特許番号5,235,033及び5,034,506、並びにChapters 6 and 7, ASC Symposium Series 580, Carbohydrate Modifications in Antisense Research, Ed. Y. S. Sanghvi and P. Dan Cookに記載のものが挙げられる。1又は2以上の炭素環式糖を有する核酸も、核酸の定義に含まれる(Jenkins et al. (1995) Chem. Soc. Rev. pp169-176 を参照)。また、例えばRawls, C & E News Jun. 2, 1997 page 35にも、幾つかの核酸類似体が記載されている。これらのリボース−リン酸骨格の修飾によって、更なる成分(例えば標識等)の付加の容易化や、生理環境におけるかかる分子の安定性及び半減期の改変等が可能になる。
【0078】
核酸に通常見られる天然の複素環式塩基(例えばアデニン, グアニン, チミン, シトシン、及びウラシル)に加えて、核酸類似体には、非天然の複素環式又は修飾塩基も含まれる。これらの多くは本明細書に記載され、或いは引用されている。特に、非天然塩基の多くは更に、例えばSeela et al. (1991) Helv. Chim. Acta 74:1790、Grein et al. (1994) Bioorg. Med. Chem. Lett. 4:971-976、及びSeela et al. (1999) Helv. Chim. Acta 82:1640に記載されている。更なる例として、融解温度(Tm)修飾因子として機能するヌクレオチドに使用される特定の塩基も、任意に挙げることができる。例えば、これらの一部としては、7−デアザプリン(例えば7−デアザグアニン、7−デアザアデニン等)、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、プロピニル−dN(例えばプロピニル−dU、プロピニル−dC等)等が挙げられる。例えば、米国特許番号第5,990,303を参照のこと。他の代表的な複素環式塩基としては、例えば、ヒポキサンチン、イノシン、キサンチン;2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、イノシン及びキサンチンの8−アザ誘導体;アデニン、グアニン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、イノシン、及びキサンチン7−デアザ−8−アザ誘導体;6−アザシトシン;5−フルオロシトシン;5−クロロシトシン;5−ヨードシトシン;5−ブロモシトシン;5−メチルシトシン;5−プロピニルシトシン;5−ブロモビニルウラシル;5−フルオロウラシル;5−クロロウラシル;5−ヨードウラシル;5−ブロモウラシル;5−triフルオロメチルウラシル;5−メトキシメチルウラシル;5−エチニルウラシル;5−プロピニルウラシル等が挙げられる。
【0079】
修飾塩基及びヌクレオチドの例は、例えば米国特許番号第5,484,908、米国特許番号第5,645,985、米国特許番号第5,830,653、米国特許番号第6,303,315、及び米国特許出願公開番号2003/0092905に記載されている。
【0080】
「核酸検出試薬」という語は、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体を含んでなる核酸に対して、検出可能に結合(例えば核酸ハイブリダイゼーション、抗体−抗原認識等における水素結合、又は他の種類の結合相互作用)する試薬を指す。例えば、配列番号3〜27及び37〜60又はそれらの相補体から選択される配列を含んでなる核酸(例えばプローブ核酸、プライマー核酸等)は、これらの配列を有する核酸に特異的に結合する。他の核酸検出試薬の例としては、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体を含んでなる核酸に特異的に結合する配列特異的抗体が挙げられる。
【0081】
「ヌクレオチド」は、ヌクレオシドのエステル、例えばヌクレオシドのリン酸エステルを指す。例えば、ヌクレオチドとしては、1、2、3、又はそれ以上の リン酸基が、共有結合によりヌクレオシドの糖成分の5’位に連結されたものが挙げられる。
【0082】
「ヌクレオチド取り込み生体触媒」とは、ヌクレオチドの核酸への取り込みを触媒する触媒を指す。ヌクレオチド取り込み生体触媒は、通常は酵素である。「酵素」とは、タンパク質及び/又は核酸系触媒であって、他の化合物又は「基質」が関与する化学反応の活性化エネルギーを低減する機能を有するものをいう。「ヌクレオチド取り込み酵素」とは、例えば核酸増幅等における、ヌクレオチドの核酸への取り込みを触媒する酵素を指す。ヌクレオチド取り込み酵素の例としては、ポリメラーゼ、末端トランスフェラーゼ、逆転写酵素、テロメラーゼ、ポリヌクレオチドホスホリラーゼ等が挙げられる。
【0083】
「オリゴヌクレオチド」は、少なくとも2つの核酸モノマー単位(例えばヌクレオチド)、通常は3つを超えるモノマー単位、より一般には10を超えるモノマー単位を有する核酸を指す。オリゴヌクレオチドの正確なサイズは、一般には最終的な機能やオリゴヌクレオチドの用途等、種々の因子に応じて異なる。オリゴヌクレオチドは任意により、適切な方法によって調製される。例としては、これらに限定されるものではないが、既存又は天然の配列の単離、DNAの複製又は増幅、適当な配列の逆転写、クローニング及び制限消化、又は直接化学合成が挙げられる。直接化学合成の例としては、Narang et al. (1979) Meth. Enzymol. 68:90-99 のホスホトリエステル法; Brown et al. (1979) Meth. Enzymol. 68:109-151 のホスホジエステル法; Beaucage et al. (1981) Tetrahedron Lett. 22:1859-1862 のジエチルホスホラミダイト法;Matteucci et al. (1981) J. Am. Chem. Soc. 103:3185-3191 のトリエステル法;自動合成法;又は、米国特許番号第4,458,066の固相支持法、或いは、本技術分野で公知の他の方法が挙げられる。
【0084】
「オリゴヌクレオチドプローブ」、「プローブ核酸」、又は「プローブ」という語は、適切な条件下で、標的核酸に対して選択的にハイブリダイズし得る標識又は非標識オリゴヌクレオチドを指す。通常は、プローブは、核酸試料に含まれる特定の標的配列(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体を含んでなる淋菌核酸、C.トラコマチス核酸配列等)に対して十分に相補的であり、選択されたハイブリダイゼーション条件(例えば、これらに限定されるものではないが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件)の下で、標的配列と安定なハイブリダイゼーション二重鎖を形成する。十分にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でプローブを用いてハイブリダイゼーションアッセイを行うことにより、特定の標的配列の選択的検出が可能となる。「ハイブリダイズ領域」という語は、標的配列に対して正確に、又は実質的に相補的であり、従って標的配列にハイブリダイズする核酸領域を指す。配列における1つのヌクレオチドの違いをハイブリダイゼーションアッセイで識別するために、ハイブリダイズ領域は通常、約8から約100のヌクレオチド長を有する。ハイブリダイズ領域は一般にはオリゴヌクレオチドの全体を指すが、プローブは、プローブ配列を固相支持体等に接着させるための部位を提供するリンカー結合部位等として機能する、更なるヌクレオチド配列を有していてもよい。特定の実施形態によれば、本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、1又は2以上の標識(例えばリポーター色素、クエンチャー成分等)を含んでなる。例としてはFRETプローブ、分子指標等が挙げられる。これらは、試料中におけるプローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションの検出にも使用できる。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイズ領域は、標的配列に対して完全に相補的である。しかしながら、一般に、完全な相補性は必要ではない。安定な二重鎖に、ミスマッチ塩基やアンマッチ塩基が含まれていてもよい。安定なハイブリダイゼーション二重鎖における1又は2以上の塩基対ミスマッチやアンマッチ塩基を許容するには、ストリンジェントな条件の修正が必要な場合がある。Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (2001)に、適切な修正についての概説が記載されている。標的/プローブの二重鎖の安定性は、オリゴヌクレオチド長、オリゴヌクレオチドの塩基組成及び配列、温度、並びにイオン条件等、数々の変数に依存する。当業者には当然であるが、一般には、所与のプローブの正確な相補体も、プローブと同様に有用である。配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体からなる配列を有する淋菌核酸に結合する本発明のプローブの例としては、配列番号3〜27及び37〜60並びにその相補体から選択される配列が挙げられる。これも当業者には当然であるが、特定の実施形態によれば、プローブ核酸をプライマー核酸として使用することもできる。
【0085】
「プライマー核酸」又は「プライマー」とは、鋳型核酸(例えば配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体を含んでなる、淋菌核酸、C.トラコマチス核酸等)にハイブリダイズし得る核酸であって、例えばヌクレオチド取り込み生体触媒、例えばポリメラーゼを用い、適当な反応条件下で鎖延長又は伸長を実施可能であるものをいう。プライマー核酸は通常、天然又は合成のオリゴヌクレオチド(例えば一本鎖オリゴデオキシリボヌクレオチド等)である。他の長さのプライマー核酸を使用することも可能であるが、通常は約8から約100ヌクレオチド長にわたるハイブリダイズ領域を含んでなる。短いプライマー核酸を用いれば、一般にはより低い温度で、鋳型となる淋菌又はC.トラコマチス核酸との間に、十分に安定なハイブリッド複合体を形成することができる。鋳型となる淋菌又はC.トラコマチス核酸の下位配列に対して少なくとも部分的に相補的なプライマー核酸を用いれば、通常は十分に鋳型にハイブリダイズして延長を生じさせることが可能である。プライマー核酸は所望により、例えば分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、又は他の手法によって検出可能な標識を取り込んで、標識されていてもよい。例として、有用な標識としては、放射性同位体、蛍光染料、高電子密度試薬、酵素(ELISAに一般に使用されるもの等)、ビオチン、又はハプテン、及び、抗血清又はモノクローナル抗体が利用可能なタンパク質が挙げられる。これらの多くや、更に他の標識が、本明細書に記載され、及び/又は、本技術分野で公知である。配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体からなる配列を有する淋菌核酸に結合する本発明のプライマー核酸の例としては、配列番号3〜27及び37〜60並びにその相補体から選択される配列が挙げられる。当業者には当然であるが、特定の実施形態によれば、プライマー核酸をプローブ核酸として使用することもできる。
【0086】
「クエンチャー成分」又は「クエンチャー」は、検出可能な放射(例えば蛍光又はルミネッセント放射)の放出源からのこれらの放射の放出を低減する、及び/又は、低減し得る成分を指す。クエンチャーは通常、かかる放出源から放出される検出可能な放射を、少なくとも50%、通常は少なくとも80%、より一般的には少なくとも90%低減する。クエンチャーの例は、例えば米国特許番号第6,465,175に記載されている。
【0087】
「試料」という語は、淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸を含有する、又は含有すると推測される、任意の物質を指す。例としては、これらに限定されるものではないが、1又は2以上の対象又は個体から単離された組織又は流体、インビトロの細胞培養物成分、並びに臨床試料が挙げられる。試料の例としては、血液、血漿、血清、尿、髄液、精液、精漿、前立腺液、膣液、頚液、子宮液、頚部擦取物、羊膜液、肛門拭取物、粘液、唾液、組織等が挙げられる。
【0088】
「対象由来の試料」という語句は、対象から得られる試料を指す。分析前にその試料が、1又は2以上の処理工程(例えば細胞溶解、残屑除去、安定化等)を経たか否かは問わない。例として、試料は対象から、擦り取り、静脈穿刺、拭き取り、生検、又は本技術分野で公知の他の手法によって採取される。
【0089】
「選択的に結合する」又は「選択的結合」という語は、核酸検出試薬との関連では、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体からなる配列を有する淋菌核酸に対して結合する核酸検出試薬であって、その結合の程度が、同一のハイブリダイゼーション条件下での、表X及びXIの各々から選択される少なくとも3種の生物由来の核酸に対しる結合の程度と比べてより強い核酸検出試薬を指す。
【0090】
「選択的に検出する」という語は、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体からなる配列を有する淋菌核酸を、他の生物由来の核酸よりもより高い精度で検出する能力を指す。
【0091】
「選択的にハイブリダイズする」又は「選択的ハイブリダイゼーション」とは、核酸配列が、非標的核酸配列に対するハイブリダイゼーションの程度よりも検出可能に高い程度で、特定の核酸標的配列にハイブリダイズすることをいう。選択的にハイブリダイズする配列は、互いに、少なくとも50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は90%以上の配列同一性、例えば、通常は95〜100%の配列同一性(即ち相補性)を有する。
【0092】
核酸の「配列」は、核酸におけるヌクレオチドの順序及び同一性を指す。配列は通常、5’から3’への方向で読み取る。
【0093】
「配列特異的抗体」は、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体からなる配列を有する核酸に、検出可能に結合する抗体を指す。
【0094】
「シークエンシング反応」は、例えば終止ヌクレオチドの使用を伴い、所与の核酸におけるヌクレオチドの配列を解明することを目的とした反応を指す。
【0095】
「セット(組:set)」は、少なくとも2つのものの集合を指す。例えば、セットには、2、3、4、5、10、20、50、100、1,000、又は、その他の数の分子又は配列種が含まれ得る。例えば、本発明のある態様は、単位複製配列のセットを有する反応混合物を含む。「サブセット(下位群:subset)」は、セットの任意の一部を指す。
【0096】
「固相支持体」は、例えばオリゴヌクレオチドプローブ等の化学成分を用いて誘導体化され得る、或いはかかる化学成分に対して接着され得る固体物質を指す。固相支持体の例としては、プレート、ビーズ、マイクロビーズ、チューブ、ファイバー、ウィスカー、コム、ハイブリダイゼーションチップ(例えばマイクロアレイ基板、例えばGeneChip(登録商標)プローブアレイ(Affymetrix, Inc., Santa Clara, CA, USA)に使用されるもの等)、膜、単結晶、セラミック層、自己集合単分子層等が挙げられる。
【0097】
オリゴヌクレオチドプローブが標的配列に「特異的」であるとは、オリゴヌクレオチドと標的配列との間に存在するミスマッチ数が、オリゴヌクレオチドと試料中に存在する非標的配列との間に存在するミスマッチ数よりも少ないことを指す。存在するミスマッチ数が、オリゴヌクレオチドと標的配列との間に存在するミスマッチ数よりも小さくなる場合にのみ、安定な二重鎖が形成されるハイブリダイゼーション条件を選択することができる。かかる条件の下では、標的特異的オリゴヌクレオチドは、標的配列のみと安定な二重鎖を形成し得る。即ち、適切なストリンジェントな増幅条件の下で標的特異的プライマーを使用することにより、標的プライマー結合部位を含有するこれらの配列の増幅が可能となる。同様に、適切なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下で標的特異的プローブを使用することにより、特定の標的配列の検出が可能となる。
【0098】
「対象」とは生物を指す。通常は、生物は哺乳類、特にヒトである。特定の実施形態によれば、例えば対象は、NG及び/又はCT感染を有することが疑われる患者である。
【0099】
「下位配列」又は「断片」とは、全長核酸配列の任意の部分を指す。
【0100】
「実質的に同一な変異体」とは、核酸又はポリペプチドとの関連では、最も一致度の高い状態で整列比較した場合に、例えば配列比較アルゴリズムを用い、或いは目視観察による測定で、互いに少なくとも85%、通常は少なくとも90%、より一般的には少なくとも95%のヌクレオチド又は配列同一性を有する2以上の配列を指す。実質的同一性は通常、少なくとも約15ヌクレオチド長又はアミノ酸長の配列の領域にわたって、より一般的には少なくとも約20ヌクレオチド長又はアミノ酸長の領域にわたって存在し、更に一般的には、これらの配列は少なくとも約25ヌクレオチド長又はアミノ酸長の領域にわたって実質的に同一である。一部の実施形態によれば、例えば配列は、比較される核酸又はポリペプチドの全長にわたって実質的に同一である。配列番号36は、配列番号1の変異体の一例であると考えることができる。
【0101】
「置換」という語は、核酸配列との関連では、核酸配列の少なくとも1のヌクレオチドが、異なるヌクレオチドで置き換えられる変更を指す。
【0102】
「標的配列」、「標的領域」、及び「標的核酸」という語は、増幅、検出、或いはその他の分析の対象となる核酸領域を指す。
【0103】
「終止ヌクレオチド」は、核酸へ取り込まれると、例えば少なくとも1のヌクレオチド取り込み生体触媒によって、核酸の更なる延長を阻害するヌクレオチドを指す。
【0104】
「熱安定酵素」は、熱に対して安定であり、熱耐性を有し、一定時間にわたる昇温に供した場合に十分な触媒活性を維持する酵素を指す。例えば、熱安定ポリメラーゼは、二本鎖核酸の変性を生じさせるのに必要な時間にわたって昇温に供した場合に、その後のプライマー延長反応を有効に行うのに十分な活性を維持する。核酸変性に必要な加熱条件は本技術分野では周知であり、米国特許番号4,683,202及び4,683,195に例示されている。本明細書で使用される場合、熱安定ポリメラーゼは通常、温度周回反応、例えばポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)での使用に適したものである。熱安定ポリメラーゼの場合、酵素活性とは、適切な方法によるヌクレオチドの組み合わせの触媒作用であって、鋳型核酸(例えば選択された淋菌又はC.トラコマチスゲノムの下位配列)に相補的なプライマー延長産物を形成する作用を指す。
【0105】
II.概観
本発明は淋菌の選択的検出に関する。特に、淋菌ゲノムの2つの標的領域の少なくとも1つを用いた新たな検出の方策に基づいて、本明細書に記載の方法及び試薬を用いて淋菌感染を診断することができる。これらの標的領域は各々、淋菌ゲノムに複数のコピーが存在する。従って、本明細書に記載の方策を用いることにより、通常は、ゲノムの単一コピー領域を標的とする手法と比較して、試料中の淋菌の検出が容易となる。加えて、本明細書に記載の核酸検出試薬は一般に、選択されたアッセイ条件下で、淋菌に存在するが他の種には存在しないヌクレオチド配列に対して検出可能に結合する。これによって、例えば偽陽性の発生を、最小限に抑えることができる。この特異性の例は、例えば、図5〜7、9、及び10、並びに、以下に掲げる実施例の関連する記載によって例証される。本発明の他の特徴の多くも、本明細書に記載されている。
【0106】
更なる例として、本発明の一部の方法は、核酸検出試薬を、対象(例えば淋菌感染等が疑われるヒト患者)に由来する試料中の核酸、又はかかる試料に由来する核酸と接触させ、或いはかかる核酸とインキュベートする工程を有する。特定の実施形態によれば、核酸検出試薬と接触させる前に、或いは接触と同時に、試料中の核酸の標的領域を増幅する。核酸検出試薬は、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体からなる配列を有する核酸に対して、検出可能に結合する。更に以下に述べるように、配列番号1及び配列番号2は、本発明の方法で対象とする淋菌ゲノムの2つの領域に対応するコンセンサス配列である。配列番号36は配列番号1の変異体である。これらの方法は更に、(例えば一時点で、離れた二つの時点で、選択された期間にわたって継続的に、等の方式で)核酸及び/又は単位複製配列と核酸検出試薬との結合を監視し、試料中に淋菌が存在するか否かを決定する(例えば、試料を採取した患者を診断する、淋菌感染と診断された患者の治療経過を監視する、及び/又はその他の)工程を有する。
【0107】
一部の実施形態において、これらの方法は、標的領域の核酸及び/又は単位複製配列を、クラミジア・トラコマチス核酸に対して検出可能に結合する更なる核酸検出試薬と接触させる工程を更に有する。これらの実施形態によれば、この方法は更に、前記の核酸及び/又は単位複製配列と、前記の更なる核酸検出試薬との結合を監視し、試料中にクラミジア・トラコマチスが存在するか否かを決定する工程を有する。任意により、更なる試料(例えば同一の対象由来の資料)を用いてこれらの方法を1回又は2回以上繰り返し、例えば淋菌及び/又はクラミジア・トラコマチス感染と診断された対象の治療経過、感染の再発、及び/又はその他を監視してもよい。
【0108】
本発明の別の方法は、試料由来の核酸を核酸増幅反応において、少なくとも、配列番号3〜27及び37〜60 又はそれらの相補体からなる群より選択される少なくとも1の核酸を含有する第1のプライマー核酸の対と接触させ、或いはかかる核酸の対とインキュベートする工程を有する。以下により詳しく説明するように、配列番号3〜27及び37〜60は、配列番号1又は配列番号2又は配列番号36の下位配列を有するオリゴヌクレオチドである。加えて、これらの方法は更に、増幅反応の間又は後に、単位複製配列の検出を実施し、淋菌が試料中に存在するか否かを検出する工程を有する。任意により、これらの方法は、増幅反応の間又は後に、試料由来の核酸を、少なくともクラミジア・トラコマチス核酸に対して少なくとも部分的に相補的な第2のプライマー核酸の対と接触させ、更なる単位複製配列の検出を実施して、試料中にクラミジア・トラコマチスが存在するか否かを決定する工程を更に有する。これらの方法を任意で、選択された時点で繰り返してもよい。
【0109】
組成物及び反応混合物に加えて、本発明は、これらの病原性物質を検出するためのキット及びシステム、並びに関連するコンピュータ及びコンピュータ読取可能媒体にも関する。
【0110】
III.核酸検出試薬
本発明の核酸検出試薬は、プローブ核酸、プライマー核酸、配列特異的抗体等、様々な実施形態を有する。これらの核酸検出試薬の一部は、リピート130(本明細書では「NGDR9」ともいう)を対象とする。これは、淋菌ゲノムにおける806塩基対の直接反復で、タンパク質をコードすると考えられる。淋菌ゲノムは2コピーのNGDR9を有する。1つはヌクレオチド位置458182〜458988に存在し、もう1つはヌクレオチド位置1586504〜1587310に存在する。NGDR9のコンセンサス配列は配列番号1に相当する。これを表Iに示す。表IにはNGDR9座位の一方の鎖しか示していないが、当業者であれば当然理解するように、配列番号1によって二本鎖ゲノム核酸の一領域が同定され、双方の鎖の配列は以下に提示の配列情報によって十分に特定される。
【0111】
【表1】

【0112】
例として、核酸検出試薬は、配列番号3〜12、17〜20、24〜26、又はそれらの相補体、標的NGDR9又はそれらの相補体を含んでなる。配列番号3〜12、17〜20、及び24〜26を表IIに示す。
【0113】
【表2】

【0114】
本発明の別の核酸検出試薬は、リピート116(本明細書では「NGDR33」ともいう)を対象とする。これは、淋菌ゲノム中の1142塩基対の直接反復であって、ポリペプチドをコードすると考えられる。淋菌ゲノムは2コピーのNGDR33を有し、一方はヌクレオチド位置491768〜492910、他方はヌクレオチド位置1606987〜1608129に存在する。NGDR33のコンセンサス配列は配列番号2に相当する。これを表IIIに示す。表IIIにはNGDR33座位の一方の鎖しか示していないが、当業者であれば当然理解するように、配列番号2によって二本鎖ゲノム核酸の一領域が同定され、双方の鎖の配列は以下に提示の配列情報によって十分に特定される。
【0115】
【表3】

【0116】
例えば、配列番号13〜16、21〜23、27、又はそれらの相補体に対応する核酸検出試薬は、NGDR33又はそれらの相補体を標的とする。配列番号13〜16、21〜23、及び27を表IVに示す。
【0117】
【表4】

【0118】
NGDR9を標的とする一部の実施形態では、プローブ及び/又はプライマーは任意で、配列番号1における259、260、262、264、265、266、268、269、273、275、276、277、279、297、298、300、301、302、303、304、305、306、308、313、314、315、316、317、318、320、321、325、326、428、429、431、432、433、434、435、440、441、及び447からなる群より選択される、1又は2以上のヌクレオチド位置を含んでなる核酸断片に対して、検出可能に結合してもよい。これらのヌクレオチド位置を表Vに強調表示及び下線で示すが、かかる位置は、NGDR9の配列とブタ流産菌(B.スイス)1330染色体Iセクション155(GenBank(登録商標)受託番号AE014469)とのアラインメントによって同定された、ブタ流産菌1330染色体Iセクション155の配列とのミスマッチの一部の例を示すものである。この配列とブタ流産菌ゲノムとの他のミスマッチについては図4に示す。このB.スイスのゲノム配列は、他の細菌種由来の配列と比べて、NGDR9との間により高い同一性を有している。NGDR9の配列とこのB.スイス配列とのアラインメントについては、後述の実施例において更に説明する。
【0119】
【表5】

【0120】
NGDR33を標的とする一部の実施形態では、プローブ及び/又はプライマーは任意で、配列番号2における89、90、91、92、95、98、101、105、106、107、216、217、220、222、223、225、233、235、236、238、335、336、337、338、339、342、345、346、及び351からなる群より選択される1又は2以上のヌクレオチド位置を含んでなる核酸断片に対して、検出可能に結合してもよい。これらのヌクレオチド位置を表VIに強調表示及び下線で示すが、かかる位置は、NGDR33の配列と髄膜炎菌血清型群B株MC58セクション77(GenBank(登録商標)受託番号 AE002435)とのアラインメントによって同定された、髄膜炎菌血清型群B株MC58セクション77の配列とのミスマッチの一部の例を示すものである。この配列と髄膜炎菌ゲノムとの他のミスマッチについては図8に示す。この髄膜炎菌ゲノムは、他の細菌種由来の配列と比べて、NGDR33との間により高い同一性を有している。NGDR33の配列とこの髄膜炎菌配列とのアラインメントについては、後述の実施例において更に説明する。
【0121】
【表6】

【0122】
本発明の他の核酸検出試薬は、リピート130の変異配列(本明細書では「NGDR9Var」とも言う)を標的とするものである。NGDR9Varのコンセンサス配列は配列番号36に相当する。これを表Aに示す。表AにはNGDR9Var座位の一方の鎖しか示していないが、当業者であれば当然理解するように、配列番号36によって二本鎖ゲノム核酸の一領域が同定され、双方の鎖の配列は以下に提示の配列情報によって十分に特定される。
【0123】
【表7】

【0124】
例として、配列番号37〜45、又はそれらの相補体を含んでなる核酸検出試薬は、NGDR9Var又はそれらの相補体を標的とする。配列番号37〜45を表Bに示す。
【0125】
【表8】

【0126】
本発明の別の核酸検出試薬は、NGDR9及びNGDR9Varの双方を標的とする。例として、配列番号46〜60、又はそれらの相補体を含んでなる核酸検出試薬は、NGDR9及びNGDR9Var、又はそれらの相補体を対象とする。これらの配列は別名「普遍(universal)」 配列とも呼ばれる。配列番号46〜60を表Cに示す。
【0127】
【表9】

【0128】
上述したように、本発明の一部の実施形態において、核酸検出試薬は、オリゴヌクレオチド(例えばプローブ核酸、プライマー核酸等)を含んでなる。他の長さのものを任意で用いてもよいが、オリゴヌクレオチドは一般に、通常は約8から約100ヌクレオチド長、より一般的には約10から約75 ヌクレオチド長、更に一般的には約12から約50のヌクレオチド長、特に一般的には約15から約35ヌクレオチド長(例えば約20、約25、又は約30ヌクレオチド長)の配列を含んでなる。オリゴヌクレオチドを調製する方法(例えば核酸合成法)について、以下でより詳しく説明する。
【0129】
当業者であれば、様々な方策を利用して、NGDR9及び/又はNGDR9Var、又はNGDR33に選択的に結合するオリゴヌクレオチド(例えば実質的に同一な核酸の変異体で、配列番号3〜27及び37〜60又はそれらの相補体から選択される配列を有するもの)を設計し、淋菌の検出に使用することが可能である。例として、DNASTAR, Inc.(Madison, WI)から販売されているソフトウェアパッケージDNAstarを、配列アラインメントに使用することができる。例えば、NGDR9とB.スイス、或いはNGDR33と髄膜炎菌の核酸配列を、DNAstar EditSeq プログラムに、個別のファイルとしてアップロードする。対となる配列ファイル(例えばNGDR9及びB.スイス)をDNAstar MegAlign 配列アラインメントプログラム内で開き、Clustal W アラインメント法を適用すればよい。Clustal W アラインメントに使用されるパラメータは、任意でソフトウェアのデフォルト設定としてもよい。MegAlignでは通常、2つの配列間のパーセント同一性の要約は得られない。これは通常は、手動で計算する。アラインメントから、互いの同一性が例えば85%未満の領域を通常は同定し、これらの領域内のオリゴヌクレオチド配列を選択することができる。他にも多数の配列アラインメントアルゴリズム及びソフトウェアパッケージを任意に使用できる。配列アラインメントアルゴリズムについては、例えばMount, Bioinformatics: Sequence and Genome Analysis, Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)、及びDurbin et al., Biological Sequence Analysis: Probabilistic Models of Proteins and Nucleic Acids, Cambridge University Press(1998)に記載されている。
【0130】
更なる例として、配列比較のための最適アラインメントは、例えば、Smith & Waterman (1981) Adv. Appl. Math. 2:482の局所相同性アルゴリズム、Needleman & Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson & Lipman(1988)Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性検索法、Wisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ(Genetics Computer Group(Madison, WI))内のアルゴリズム(GAP, BESTFIT, FASTA, and TFASTA)のコンピュータによる実行、或いは目視観察によっても行うことが可能である。
【0131】
パーセント配列同一性を決定するのに適したアルゴリズムの別の例としてはBLASTアルゴリズムが挙げられる。これは例えばAltschul et al.(1990)J. Mol. Biol. 215:403-410に記載されている。BLAST分析の種々のヴァージョンを実行するためのソフトウェアは、2004年3月12日の時点で、National Center for Biotechnology Informationのワールドワイドウェブ(ncbi.nlm.nih.gov/)から一般に入手可能である。このアルゴリズムは、まず、データベース配列内の同一長の単語と整列した場合に、何らかの正数値の閾値スコアTと一致又はかかるスコアを満足する、クエリー配列中の長さWの短い単語を同定することにより、高スコア配列対(HSP)を同定する工程を有する。Tは近隣単語スコア閾値と呼ばれる(Altschul et al.、上掲)。これらの初回の近隣単語ヒットをシードとして、それを含むより長いHSPを見つけるための検索を開始する。次いで、累積アラインメントスコアを上昇させることが可能な限り、得られた単語ヒットを各配列に沿って両方向に延長する。累積スコアの算出は、ヌクレオチド配列の場合、パラメータM(マッチする残基対の報酬スコア;常に>0)及びN(ミスマッチ残基の罰スコア;常に<0)を用いて行う。アミノ酸配列の場合、スコア化マトリックスを用いて累積スコアを算出する。各方向における単語ヒットの延長は:累積アラインメントスコアがその最高達成値から量Xだけ低下した場合;1又は2以上の負スコアの残基アラインメントの蓄積によって、累積スコアが0以下に落ち込んだ場合;或いは、何れかの配列の末端に達した場合に停止する。BLAST アルゴリズムパラメータW、T、及びXによって、アラインメントの感度及び速度が決定される。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列の場合)の初期設定としては、単語長さ(W)11、期待値(E)10、カットオフ100、M=5、N=−4、及び量鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTP プログラムの初期設定としては、単語長さ(W)3、期待値(E)10、及びBLOSUM62スコア化マトリックスを使用する(Henikoff & Henikoff(1989)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 参照)。
【0132】
パーセント配列同一性の計算に加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計分析を実施する(例えば、Karlin & Altschul(1993)Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90:5873-5787を参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの指標は最小計可能性(P(N))である。これは、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列の間にマッチが偶然生じる可能性の指標を提供するものである。例えば、ある核酸が基準配列と類似している(ひいては相同である)とは、試験核酸を基準核酸と比較した場合における最小計可能性が、約0.1未満、又は約0.01未満、更には約0.001未満であることをいう。
【0133】
有用な配列アラインメントアルゴリズムの更なる例としてはPILEUPが挙げられる。PILEUPは、関連する配列群から、累進的対合アラインメントを用いて、多数の配列アラインメントを作成する。また、アラインメントの作成に使用されるクラスター化関係を表すツリーをプロットすることもできる。PILEUPは、Feng & Doolittle (1987) J. Mol. Evol. 35:351-360 の累進的アラインメント法を単純化したものを使用している。使用される方法は、Higgins & Sharp (1989) CABIOS 5:151-153 に記載の方法に類似する方法である。このプログラムは、例えば、最長5,000文字の配列を最高300も整列(アライン)することができる。多重アラインメント法ではまず、最も類似した2つの配列の対合アラインメントを行い、2つの整列配列のクラスターを作成する。次いで、このクラスターを、その次に最も関連の強い配列又は整列配列のクラスターに対してアラインする。2つの配列のクラスターは、2つの個別の配列の対合アラインメントを単純に延長することによって、アラインすることができる。最後のアラインメントは、一連の累進的対合アラインメントによって達成される。また、このプログラムによって、クラスター化関係のデンドグラム又はツリー表現をプロットすることもできる。このプログラムは、具体的な配列とそのアミノ酸又はヌクレオチド座標を配列比較の領域として指定することにより、実行することができる。
【0134】
本発明のプローブ及びプライマーは任意で、以下に詳細に説明する、1又は2以上の標識を含んでいてもよい。加えて、プローブ及びプライマーは任意で、種々の他の修飾を有していてもよい。かかる修飾の例としては、ハイブリダイゼーション融解温度を改変するための修飾ヌクレオチド、単位複製配列クローニングを容易にするための制限部位リンカー、核酸増幅反応の特異性を高めるための修飾基、及び/又はその他が挙げられる。例えば、核酸ハイブリダイゼーションの融解温度を高める特定の修飾ヌクレオチドを任意で含めることにより、より小さなプローブ及びプライマー(例えば、約8から約14ヌクレオチドのもの)の使用を可能とすることができる。これらの修飾されたオリゴヌクレオチドの例としては、1又は2以上のLNA商標モノマーを有するものが挙げられる。例えば、これらのヌクレオチド類似体については、例えば米国特許番号第6,639,059、米国特許番号第6,303,315、及び米国特許出願公開番号2003/0092905に更に記載されている。LNA商標モノマーを含んでなるオリゴヌクレオチドは、例えばExiqon A/S(Vedbaek, DK)から市販されている。上の定義に該当する更なるプローブ及びプライマー修飾も、本明細書では対象とされる。
【0135】
特定の実施形態によれば、本明細書において利用される核酸検出試薬は、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体を標的とする配列特異的抗体である。配列番号1及び配列番号2及び配列番号36については先に詳しく説明し、また、それぞれ表I及びII及びAに示した。本発明のこれらの実施形態での使用に適した抗体は、従来の方法論及び/又は遺伝子操作により調製することができる。抗体断片は、例えば軽鎖及び/又は重鎖(VH及びVL)の可変領域(超可変領域を含む)から、又はVH及びVL領域の双方から、遺伝子操作により作製することができる。例えば、本明細書で使用される「抗体」という語には、ポリクローナル及びモノクローナル抗体、並びに生物学的に活性なその断片が含まれる。他にも様々な可能性があるが、中でも「一価」抗体(Glennie et al. (1982) Nature 295:712);共有結合又は非共有結合により凝集されたFab'及びF(ab’)2断片を含むFabタンパク質;軽鎖及び重鎖単独、通常は可変重鎖及び軽鎖領域(VH及びVL領域)、そしてより一般的には超可変領域(別名VH及びVL領域の相補性決定領域(CDR))等;Fcタンパク質;2以上の抗原と結合し得る「ハイブリッド」抗体;定常−可変領域のキメラ;起源が異なる重鎖及び軽鎖を有する「複合免疫グロブリン」;特異性や他の特性が改善された「改変」抗体、例えば標準的な組み換え技術、変異原性技術、又は本技術分野で公知の他の特異的進化技術により得られるものが挙げられる。
【0136】
本明細書において利用される配列特異的抗体は、標識されておても、されていなくてもよい。適切な標識としては、例えば、放射性核種、酵素、共酵素、蛍光染料、化学発光染料、色素原、酵素基質又は共因子、酵素阻害剤、遊離ラジカル等が挙げられる。かかる標識試薬は、様々な周知のアッセイで使用することができる。例としては、放射性免疫アッセイ、酵素免疫アッセイ、例えばELISA、蛍光免疫アッセイ等が挙げられる。例えば米国特許番号3,766,162;3,791,932;3,817,837;及び4,233,402を参照のこと。更なる標識については本明細書で詳しく説明する。
【0137】
一部の実施形態によれば、NGDR9及びNGDR33及びNGDR9Varによってコードされる、転写されたRNA及び/又は翻訳されたタンパク質が、検出の標的となる。RNA及び/又はタンパク質を検出する手法は、本技術分野では多数知られている。例えば、本発明のプローブ及びプライマー核酸を、逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)アッセイでの使用に合わせて作製し、NGDR9及び/又はNGDR9Var、又はNGDR33転写産物の検出を行ってもよい。更に、種々の電気泳動アッセイ(例えばSDS−PAGE等)、免疫アッセイ、質量スペクトル法アッセイ(例えばマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)による分析、表面増強レーザー脱離イオン化(SELDI)によるアッセイ等)、及び/又は他の方策を用いて、NGDR9及び/又はNGDR9Var、又はNGDR33によりコードされるタンパク質を検出することができる。これらの多く、更に他の適切なRNA及びタンパク質検出法が、本明細書記載の引用文献に開示されている。
【0138】
本発明を実施する上で、分子生物学及び組み換えDNAにおける従来の多くの技術を任意で使用することができる。これらの技術は周知であり、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I, II, and III, 1997 (F. M. Ausubel ed.);Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 2001;Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology volume 152 Academic Press, Inc., San Diego, CA (Berger), DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II, 1985 (D. N. Glover ed.);Oligonucleotide Synthesis, 1984 (M. L. Gait ed.);Nucleic Acid Hybridization, 1985, (Hames and Higgins);Transcription and Translation, 1984 (Hames and Higgins eds.);Animal Cell Culture, 1986 (Freshney ed.);Immobilized Cells and Enzymes, 1986 (IRL Press);Perbal, 1984, A Practical Guide to Molecular Cloning;the series, Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells, 1987 (J. H. Miller and M. P. Calos eds., Cold Spring Harbor Laboratory);Methods in Enzymology Vol. 154 and Vol. 155 (それぞれWu and Grossman及びWu, eds.)に説明されている。
【0139】
IV.配列変異
多数の核酸及びポリペプチド配列が本発明の範囲に含まれる。例として、図1に、淋菌ダイレクトリピート9(NGDR9)配列と、種々の淋菌株のゲノムDNAの単位複製配列の少なくとも一部の配列との配列アラインメントを示す。より具体的には、5種の淋菌株(即ちNG株1117、1120、6346、6359、及び6364)由来のゲノムDNAを、DK101(配列番号7)及びDK102R(配列番号25)に対応するプライマー核酸を用いて増幅及び配列決定した。オリゴヌクレオチドDK101、及び、DK102Rに対する相補体(即ちDK102(配列番号8))、並びにオリゴヌクレオチドNG519(配列番号5)及びNG514(配列番号6)の位置を、図1に示すNGDR9の配列内に下線で示す。加えて、DR9配列と5種の淋菌株との多数配列又はコンセンサス配列も示す。
【0140】
更なる例として、一部のNGDR9関連核酸配列変異の例は、遺伝子ID番号NG0465、NG0466、NG0467、IGR0389、IGR0390、NG1616、NG1617、NG1618、IGR1318、及びIGR1319と関連しており、一部のNGDR33関連核酸配列変異の例は、遺伝子ID番号NG0518、NG0519、NG0520、IGR0430、IGR0431、NG1649、NG1650、IGR1345、及びIGR1346と関連している。これらはいずれも2004年3月12日の時点で、ワールドワイドウェブ上でstdgen.lanl.govにおいて公開されている。しかしながら、NGDR9Var配列(配列番号36)については、2007年8月1日の時点で一般にアクセス可能なデータベースには見つからなかった。配列番号36は、NGDR9領域の包括的な配列分析研究の際に、意外にも同定されたものである。
【0141】
沈黙変異
当業者には当然であるが、遺伝コードの縮重によって、NGDR9及びNGDR33及びNGDR9Varポリペプチドをコード化する核酸配列は多数作成することができる。その中には、本明細書に明示された核酸配列に対して、最低限の配列相同性しか有さないものもある。NGDR9ポリペプチドの例は、遺伝子ID番号NG0465、NG0466、NG0467、NG1616、NG1617、及びNG1618に関連し、NGDR33ポリペプチドの例は、遺伝子ID番号NG0518、NG0519、NG0520、NG1649、及びNG1650に関連する。これらはいずれも2004年3月12日の時点で、ワールドワイドウェブ上でstdgen.lanl.govにおいて公開されている。
【0142】
【表10】

【0143】
例えば、コドン表(表VII)を見るとわかるように、コドンAGA、AGG、CGA、CGC、CGG、及びCGUは、いずれもアミノ酸アルギニンをコードする。すなわち、本発明の核酸においてコドンによりアルギニンが特定される場面では、コードされるポリペプチドを変更することなく、そのコドンを上に記載される対応する任意のコドンに置き換えることができる。なお、RNA配列におけるUは、DNA配列におけるTに対応すると解される。
【0144】
かかる「沈黙変異」は、以下に説明する「保存的に修飾された変異」の一種である。当業者には当然であるが、核酸中の各コドン(AUGを除く。これは普通、メチオニンを表す唯一のコドンである)は、機能的に同一のポリペプチドをコードする標準的な手法によって修飾することができる。従って、ポリペプチドをコードする核酸について、記載された配列には、その各々の沈黙変異が含意される。本発明は、NGDR9及びNGDR33及びNGDR9Varポリペプチドをコード化する核酸配列について、その可能な変異のすべてを提供するものである。かかる変異は、可能なコドンの選択に基づいて組み合わせを選択することにより得ることができる。これらの組み合わせは、標準的な三塩基遺伝コード(例えば表1に示すような)に従って、NGDR9及びNGDR33及びNGDR9Varポリペプチドをコード化する核酸配列に合わせて作成することができる。遺伝コードとの組み合わせで配列を考慮することによって、本明細書に記載の全ての核酸のかかる変異が、具体的に提供及び記載される。
【0145】
保存変異
ある核酸配列の「保存的に修飾された変異」、或いは単に「保存変異」とは、同一又は実質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、或いは、その核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、実質的に同一の配列を指す。当業者には当然であるが、コード化配列における単一のアミノ酸又は少数のアミノ酸(通常は5%未満、より一般的には4%、2%又は1%未満)を変更し、付加し、又は欠失させる個々の置換、欠失、又は付加は、その変更によって、1アミノ酸の欠失、1アミノ酸の付加、又は化学的に類似のアミノ酸による1アミノ酸の置換が生じる場合、「保存的に修飾された変異」である。
【0146】
機能的に類似するアミノ酸を示す保存的置換表は、本技術分野では周知である。表VIIIは、互いに「保存的置換」であるアミノ酸を含む6つの群を示している。
【0147】
【表11】

【0148】
即ち、本明細書において、NGDR9又はNGDR33又はNGDR9Varポリペプチドの「保存的に置換された変異」とは、ポリペプチド配列の少数の(通常は5%未満、より一般的には2%又は1%未満の)アミノ酸を、保存的に選択された同一の保存的置換群のアミノ酸で置換することを言う。
【0149】
コードされた核酸分子の活性変更しない配列の付加、例えば、非機能配列の付加は、基の核酸の保存変異である。
【0150】
当業者であれば理解するように、本明細書に記載の核酸の保存変異の多くは、機能的に同一の核酸を生じるものである。例えば、上述したように、遺伝コードの縮重度によって、「沈黙置換」(即ち、コードされるポリペプチドを変更しない核酸配列の置換)は、アミノ酸をコードする核酸配列のすべてが有している特徴である。同様に、アミノ酸配列における1つ又は少数のアミノ酸が、極めて類似性が高い特性を有する異なるアミノ酸で置換された「保存アミノ酸置換」も、開示されたコンストラクトと極めて類似性が高いものと、容易に同定することができる。開示された各配列のかかる保存変異は、本発明の特徴である。
【0151】
V.プローブ及びプライマーの合成
本発明のオリゴヌクレオチドプローブ及びプライマーは、本技術分野で公知の手法のうち、実質的に任意のものを用いて調整することができる。特定の実施形態によれば、例えば、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドプローブ及びプライマーは、実質的に任意の核酸合成法を用いて化学的に合成できる。かかる手法の例としては、例えば、Beaucage and Caruthers (1981), Tetrahedron Letts. 22(20):1859-1862に記載の固相ホスホラミダイトトリエステル方法、又は、本技術分野で公知の別の合成法、例えばNeedham VanDevanter et al. (1984) Nucleic Acids Res. 12:6159 6168に記載の自動合成機の使用が挙げられる。自動オリゴヌクレオチド合成用の装置としては、広範な種類の装置が多数市販されている。多重ヌクレオチド合成法(例えばトリヌクレオチド合成等)も任意に利用することができる。更に、本明細書に記載のプライマー核酸は任意で、種々の修飾を含んでいてもよい。特定の実施形態によれば、例えば、プライマーは、例えばその後の単位複製配列クローニング等を容易にする目的で、制限部位リンカーを含有する。更なる例として、プライマーは任意で、例えば米国特許番号第6,001,611に記載のように、増幅反応の特異性を向上させる目的で修飾されていてもよい。プライマー及びプローブは、本明細書に記載された、或いはその他の本技術分野で公知の種々の他の修飾とともに、合成することも可能である。
【0152】
本発明の核酸検出試薬の標識には、実質的に任意の標識を利用することができる。一部の実施形態によれば、例えば、標識は、蛍光染料(例えばローダミン染料(例えばR6G、R110、TAMRA、ROX等)、フルオレセイン染料(例えばJOE、VIC、TET、HEX、FAM等)、ハロフルオレセイン染料、シアニン染料(例えばCY3、CY3.5、CY5、CY5. 5等)、BODIPY(登録商標)染料(例えばFL、530/550、TR、TMR等)、ALEXA FLUOR(登録商標)染料(例えば488、532、546、568、594、555、653、647、660、680等)、ジクロロローダミン染料、エネルギー移動染料(例えばBigDye商標v1染料、BigDye商標v2染料、BigDye商標v3染料等)、Lucifer染料(例えばLucifer yellow等)、CASCADE BLUE(登録商標)、Oregon Green等を含んでなる。更なる蛍光染料の例は、例えばHaugland, Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Products, Ninth Ed. (2003)及びそのアップデートに記載されている。蛍光染料は一般に、様々な商業供給者から提供されている。例としては、Molecular Probes, Inc. (Eugene, OR), Amersham Biosciences Corp. (Piscataway, NJ), Applied Biosystems (Foster City, CA)等が挙げられる。他の標識としては、例えばビオチン、弱蛍光標識(Yin et al. (2003) Appl Environ Microbiol. 69(7):3938, Babendure et al. (2003) Anal. Biochem. 317(1):1, and Jankowiak et al. (2003) Chem Res Toxicol. 16(3):304)、非蛍光標識、比色分析標識、化学発光標識(Wilson et al. (2003) Analyst. 128(5):480 and Roda et al. (2003) Luminescence 18(2):72)、ラマン標識、電気化学標識、生物発光標識(Kitayama et al. (2003) Photochem Photobiol. 77(3):333, Arakawa et al. (2003) Anal. Biochem. 314(2):206, and Maeda (2003) J. Pharm. Biomed. Anal. 30(6):1725)、並びに、例えば米国仮特許出願番号60/428,484に記載のアルファ−メチル−PEG標識化試薬等が挙げられる。核酸標識化については以下でも詳細に説明する。
【0153】
加えて、実質的に任意の核酸(そして、標準か非標準かを問わず、実質的に任意の標識核酸)を、様々な商業供給源から、既製品として、又は特注品として、注文することが可能である。例えば、The Midland Certified Reagent Company、The Great American Gene Company、ExpressGen Inc.、Operon Technologies Inc.、Proligo LLC、他にも多数が挙げられる。
【0154】
VI.試料調製及び核酸増幅
試料は一般には、淋菌及び/又はC.トラコマチス感染の疑いがある対象(通常は哺乳類対象、より一般的にはヒト対象)から単離される。試料又は標本の例としては、血液、血漿、血清、尿、髄液、精液、精漿、前立腺液、膣液、頚液、子宮液、頚部擦取物、羊膜液、肛門拭取物、粘液、唾液、組織等が挙げられる。これらの試料を取得するのに、実質的に任意の手法を利用することができる。かかる手法としては、例えば、擦り取り、静脈穿刺、拭き取り、生検、又は本技術分野で公知の他の手法が挙げられる。更なる例として、特定の実施形態によれば、例えば淋菌性咽頭炎(gonococcal pharyngitis)等のスクリーニングの一部として、咽頭スワブを対象から採取する。
【0155】
標本を保存し、細胞を培養し、これらの核酸原から核酸を単離及び調製する方法は、一般には本技術分野では公知であり、その多くは更に、本明細書に記載の文献及び/又は実施例で詳しく説明されている。
【0156】
更なる例として、本明細書に記載の標的核酸を分析する前に、通常は異なる成分の複合混合物である試料から、それらの核酸を精製又は単離してもよい。集められた試料中の細胞を、通常は溶解して細胞含有物を放出させる。例えば、特定の試料中の淋菌及び他の細胞を、様々な酵素、化学薬品と接触させることにより、及び/又は、細菌細胞壁を分解する等の本技術分野で公知の他の方策により、溶解することができる。一部の実施形態によれば、細胞溶解物中の核酸を直接分析する。他の実施形態によれば、検出の前に、細胞溶解物の核酸を更に精製又は抽出する。実質的に任意の核酸抽出法を用いて、本発明の方法に利用される試料中の核酸を精製することができる。核酸を精製するために使用可能な手法の例としては、例えば親和性クロマトグラフィー、固相支持体に固定化されたプローブに対するハイブリダイゼーション、液液抽出(例えばフェノール−クロロホルム 抽出等)、沈殿(例えばエタノール等)、濾紙による抽出、ミセル形成試薬(例えばセチル−トリメチル−アンモニウム−ブロミド等)による抽出、固定化挿入染料(例えばエチジウムブロミド、アクリジン等)への結合、シリカゲル又は二原子土類(diatomic earths)への吸着、カオトロピック条件下での磁性ガラス粒子又は有機シラン粒子への吸着、及び/又はその他が挙げられる。試料の処理については、例えば米国特許番号5,155,018、6,383,393及び5,234,809にも記載されている。
【0157】
更なる例として、シリカ表面を有する材料に、未修飾の核酸を結合させてもよい。本発明の方法の実施に適用することが可能なかかる処理の多くは、本技術分野の文献に記載されている。例として、Vogelstein et al. (1979) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:615-619 は、ヨウ化ナトリウムの存在下、擦りフリントガラスを用いたアガロースゲルからの核酸の精製を開示している。Marko et al. (1982) Anal. Biochem. 121:382-387 は、過塩素酸ナトリウムの存在下、ガラス粉を用いた細菌からの核酸の精製を開示している。DE−A3734442では、ガラスファイバーフィルターにより核酸を単離している。これらのガラスファイバーフィルターに結合した核酸を洗浄した後、メタノール含有トリス/EDTAバッファーで溶出する。同様の手順が Jakobi et al. (1988) Anal. Biochem. 175:196-201 にも記載されている。特に Jakobi et al. は、カオトロピック塩溶液中で核酸をガラス表面に選択的に結合させ、混入物(例えばアガロース、タンパク質、及び細胞残渣)から核酸を分離することを開示している。ガラス粒子を混入物から分離するには、粒子を遠心分離し、或いは流体をガラスファイバーフィルターに通過させればよい。加えて、塩及びエタノールの添加による沈殿後に磁性粒子を用いて核酸を固定することが、例えばAlderton et al. (1992) Anal. Biochem. 201:166-169 及びPCT/GB91/00212に記載されている。この手順において、核酸は磁性粒子とともに凝集する。磁場を印加して凝集物を元の溶媒から分離し、1又は2以上の洗浄工程を実施する。少なくとも1の洗浄工程の後、核酸を通常はトリスバッファーに溶解させる。
【0158】
本発明の特定の実施形態では、例えばストレプトアビジン含有層により被覆された多孔質ガラスマトリックス中の磁性粒子も利用することができる。これらの粒子を用いれば、例えばビオチンが接合された核酸及びタンパク質を単離することができる。フェリ磁性、フェロ磁性、及び超常磁性粒子も任意で利用することができる。本明細書に記載の方法の実施に応用できる磁性ガラス粒子及び関連する方法は、例えばWO01/37291に記載されている。
【0159】
核酸を取得及び検出するための最も強力且つ基本的な手法は核酸増幅である。本発明において、注目する核酸の増幅は、通常はそのDNAの検出の後に、或いは検出と同時に行う。加えて、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドプローブは任意で、例えば化学合成等の後に増幅してもよい。一部の実施形態によれば、検出可能な信号を、例えば分岐核酸や、本技術分野で公知の他の信号増幅方式を用いて増幅する。
【0160】
本明細書に記載のオリゴヌクレオチド及び方法に任意で利用又は応用できる増幅法としては、例えば様々なポリメラーゼ又はリガーゼ媒介増幅法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、核酸配列による増幅(NASBA), ローリング・サークル増幅(RCA)、及び/又はその他が挙げられる。これらの増幅法やその他の増幅法の使用に関する詳細は、種々の論文及び/又は様々な任意の標準書籍中に見出すことができる。例としては、Berger, Sambrook, Ausubel, and PCR Protocols A Guide to Methods and Applications (Innis et al. eds) Academic Press, Inc., San Diego, CA (1990) (Innis), Schweitzer et al.(2001)「Combining nucleic acid amplification and detection」、Curr Opin Biotechnol. 12(1) :21-27 が挙げられる。利用可能な生物学の書籍の多くには、PCR及び関連する増幅法に関する長大な議論も記載されている。核酸増幅については、例えばMullis et al., (1987)、米国特許番号4,683,202及びSooknanan and Malek (1995) Biotechnology 13:563 にも記載されている。増幅する大型の核酸をPCRで増幅する改良法については、Cheng et al. (1994) Nature 369:684 に要約されている。特定の実施形態によれば、二重鎖PCRを利用して標的核酸を増幅することができる。二重鎖PCR増幅については、例えばGabriel et al. (2003), 「Identification of human remains by immobilized sequence-specific oligonucleotide probe analysis of mtDNA hypervariable regions I and II」, Croat. Med. J. 44(3)293、及び、La et al. (2003), 「Development of a duplex PCR assay for detection of Brachyspira hyodysenteriae and Brachyspira pilosicoli in pig feces」, J. Clin. Microbiol. 41(7):3372 に、より詳しい記載がある。任意により、標識プライマー(例えばビオチン化プライマー、サソリプライマー等)を用いて試料中の核酸を増幅することにより、例えば単位複製配列等の検出を容易にすることができる。サソリプライマーについては、例えばWhitcombe et al. (1999), 「Detection of PCR products using self-probing amplicons and fluorescence」, Nat Biotechnol. 17(8):804-807 にも記載されている。標識化については本明細書に更に記載されている。
【0161】
単位複製配列は任意で、本技術分野で周知の数々の方法、例えば電気泳動、クロマトグラフィー、沈殿、透析、濾過、及び/又は遠心分離等を用いて、他の反応成分から回収及び精製することができる。核酸精製の態様については、例えばDouglas et al., DNA Chromatography, Wiley, John & Sons, Inc. (2002) 及びSchott, Affinity Chromatography: Template Chromatography of Nucleic Acids and Proteins, Chromatographic Science Series, #27, Marcel Dekker (1984) に記載されている。特定の実施形態によれば、検出前に単位複製配列の生成を実施しない。単位複製配列の検出については以下により詳しく述べる。
【0162】
VII.プローブアレイ
本発明の一部の実施形態では、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドプローブを共有結合又は非共有結合により固相支持体に接着させ、続いてこれを、対象由来の増幅された標識核酸試料に接触させる。他の実施形態によれば、本発明のプローブは溶液中に遊離状態で提供される。実質的に任意の基板材料を、本発明のこれらの態様に任意で応用することができる。特定の実施形態によれば、例えば、基板はケイ素、ガラス、又はポリマー材料(例えばガラス又はポリマー製顕微鏡用スライド、シリコンウエハー等)から作製される。適切なガラス又はポリマー製基板(顕微鏡用スライドを含む)は、種々の商業供給者(例えば Fisher Scientific(Pittsburgh, PA)等)から入手可能である。一部の実施形態によれば、本発明で利用される固相支持体は膜である。適切な膜材料は、例えばポリアミド膜、ポリカーボネート膜、多孔質プラスチックマトリックス膜(例えばPOREX(登録商標)多孔質プラスチック等)、多孔質金属マトリックス膜、ポリエチレン膜、ポリ(二フッ化ビニリデン)膜、ポリアミド膜、ナイロン膜、セラミック膜、ポリエステル膜、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON(登録商標))膜、織りメッシュ膜、マイクロ濾過膜、ナノ濾過膜、ウルトラ濾過膜、透析膜、複合膜、親水性膜、疎水性膜、ポリマー系膜、非ポリマー系膜、粉末化活性炭膜、ポリプロピレン膜、ガラスファイバー膜、ガラス膜、ニトロセルロース膜、セルロース膜、硝酸セルロース膜、酢酸セルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ポリオレフィン膜等から任意に選択される。これらの膜材料の多くは、種々の商業供給者、例えば P.J. Cobert Associates, Inc.(St. Louis, MO), Millipore Corporation(Bedford, MA)等から広く入手可能である。他に任意で利用可能な固相支持体の例としては、セラミック、金属、樹脂、ゲル、プレート、ビーズ、マイクロビーズ(例えば磁性マイクロビーズ等)、チューブ(例えばマイクロチューブ等)、ウィスカー、ファイバー、コム、単結晶、及び自己集合単分子層等が挙げられる。
【0163】
本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、例えば利用可能な任意の化学的又は物理的な方法によって、直接又は間接的に(例えばリンカーを介して、例えばウシ血清アルブミン(BSA)等)支持体に接着される。広範な種類の固相支持体に分子を結合させる上で、広範な種類の結合化学を利用することができる。より具体的には、共有結合によって、例えばカップリング剤を用いた連結によって、或いは非共有結合によって、例えば静電相互作用、水素結合、又は抗体抗原結合によって、或いはこれらの組み合わせによって、核酸を固相支持体に接着することができる。典型的なカップリング剤としては、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)タンパク質A/IgG抗体Fc断片、及び、ストレプトアビジン/タンパク質Aキメラ(Sano et al. (1991) Bio/Technology 9:1378)、或いはこれらのカップリング剤の誘導体又は組み合わせが挙げられる。核酸の固相支持体への接着は、光開裂可能な結合、静電結合、ジスルフィド結合、ペプチド結合、ジエステル結合、又はこれらの結合の組み合わせによって行うことができる。また、任意により、選択的放出可能な結合、例えば4,4'−ジメトキシトリチル又はその誘導体等により、核酸を固相支持体に接着してもよい。有用性が判明した誘導体としては、3又は4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−メチル−安息香酸、N−スクシンイミジル−3又は4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−メチル−安息香酸、N−スクシンイミジル−3又は4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−ヒドロキシメチル−安息香酸、N−スクシンイミジル−3又は4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−クロロメチル−安息香酸、及びこれらの酸の塩等が挙げられる。
【0164】
上で述べたように、核酸と固相支持体との間にリンカーを介して、オリゴヌクレオチドプローブを固相支持体に接着してもよい。有用なリンカーとしては、カップリング剤が挙げられる。これについては、他の物質や更なるカップリング相手への結合について上述した。或いは、固相支持体への結合を開裂可能なものとすることも可能である。
【0165】
開裂可能な結合は、開裂可能な化学成分を、プローブと固相支持体との間に接着させることにより生成できる。かかる化学成分の例としては、オリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴポリアミド、オリゴアクリルアミド、オリゴエチレングリセロール、炭素原子数約6から20のアルキル鎖、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの成分の開裂は、例えば、化学薬品の添加、電磁放射、又は酵素等によって行うことができる。酵素によって開裂可能な結合の例としては、プロテアーゼによって開裂されるペプチド結合、及び、ヌクレアーゼによって開裂されるリン酸ジエステル結合が挙げられる。
【0166】
ジスルフィド結合は、例えばβ−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール(DTT)、及びその他の還元剤等の化学薬品によって開裂される。その他の有用な薬剤としては、酸化剤、水和剤、及びその他の選択的活性を有する化合物が挙げられる。光開裂可能な結合は、例えば紫外線、赤外線、及び可視光線等の電磁放射によって開裂される。例えば熱処理や酵素処理、或いは可逆化学又は磁性結合を用いて、結合を可逆としてもよい。例えば磁場又は電場を用いて放出及び再結合を行うことも可能である。
【0167】
淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸を検出するには、多数の単位複製配列の存在を同時に検出することが可能な、アレイを用いたハイブリダイゼーションがとりわけ適している。数々のアレイシステムが報告されており、これらを本発明に応用することができる。例えば、Affymetrix, Inc.(Santa Clara, CA, USA)等の商業供給者から入手可能なものが挙げられる。アレイの構成及び使用の態様については、例えばSapolsky et al. (1999) 「High-throughput polymorphism screening and genotyping with high-density oligonucleotide arrays.」 Genetic Analysis: Biomolecular Engineering 14:187-192; Lockhart (1998) 「Mutant yeast on drugs」 Nature Medicine 4:1235-1236; Fodor (1997) 「Genes, Chips and the Human Genome.」 FASEB Journal 11:A879; Fodor (1997) 「Massively Parallel Genomics」 Science 277: 393-395; and Chee et al. (1996) 「Accessing Genetic Information with High-Density DNA Arrays」 Science 274:610-614にも記載されている。
【0168】
任意により、淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸を検出するための他のプローブ及びプライマーを、上述のプローブ及びプライマーと組み合わせて、本発明の方法や他の態様を実施してもよい。かかる他のプローブ及びプライマーは、例えば米国特許番号第5,550,040及び米国特許番号第6,090,557に記載されている。
【0169】
VIII.核酸ハイブリダイゼーション
オリゴヌクレオチドプローブの標的淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸へのハイブリダイゼーションは、適当なハイブリダイゼーション条件を選択することによって達成できる。プローブ:標的核酸ハイブリッドの安定性は、通常はアッセイ及び洗浄条件に適合するように選択され、これによって安定且つ検出可能なハイブリッドが、プローブと標的淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸との間のみで形成される。様々なアッセイパラメータのうち1又は2以上を操作することで、特定のハイブリダイゼーションアッセイの正確な感度及び特異性を決定することが可能となる。
【0170】
より具体的には、DNA、RNA、PNA、又は、DNA、RNA及びPNAの組み合わせにおける、相補的な塩基の間のハイブリダイゼーションは、温度、塩濃度、静電強度、バッファー組成物等の異なる広範な種類の条件下で生じ得る。これらの条件の例や、これらの条件を適用する方法の例は、例えば上掲のTijssen (1993)や上掲のHames and Higgins に記載されている。ハイブリダイゼーションは通常、ハイブリダイズさせる配列の性質及び長さに応じて、約0℃から約70℃の温度下で、約1分から約1時間で生じる。しかし、当然ながら、ハイブリダイゼーションは、反応の条件によっては、数分又は数時間で生じる場合もある。例として、2種の20量体の混合物の場合における典型的なハイブリダイゼーション条件によれば、2μlであれば、混合物を68℃にし、続いて室温(22℃)に5分間冷却し、或いは極めて低い温度、例えば2℃に冷却する。核酸間のハイブリダイゼーションは、バッファー、例えばトリス−EDTA(TE)、トリス−HCl及びHEPES、塩溶液(例えばNaCl、KCl、CaCl2)、又は他の水溶液、試薬及び化学薬品を用いることによって容易となる。これらの試薬の例としては、一本鎖結合タンパク質、例えばRecAタンパク質、T4遺伝子32タンパク質、大腸菌(E. coli)一本鎖結合タンパク質、及び、主要又は非主要核酸溝結合タンパク質が挙げられる。かかる試薬及び化学薬品のその他の例としては、二価のイオン、多価イオン、及び挿入物質、例えばエチジウムブロミド、アクチノマイシンD、ソラーレン及びアンジェリシンが挙げられる。本発明に使用されるハイブリダイゼーション法の例は、COBAS AMPLICOR(登録商標)クラミジア・トラコマチス(CT)/淋菌(NG)試験プロトコル(Roche Diagnostics Corporation, Indianapolis, IN)記載の条件と同様の条件に従う。
【0171】
IX.検出及びプローブ変異
上述したように、本発明の方法に利用される、試料中の増幅された標的淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸を、任意により標識すれば、オリゴヌクレオチドプローブ−標的ハイブリダイゼーション二重鎖の検出を可能とすることができる。一般に、標識としては、例えば増幅に利用されるプライマーに対して接着することができ、且つ、検出可能な信号(例えば、定量可能な信号)を供することが可能な、任意の成分を用いることができる。標識は、本技術分野で公知の様々な手法によって、プライマーに直接又は間接的に接着することができる。使用される標識の種類に応じて、標識は末端(プライマーの5’又は3’末端)又は非末端ヌクレオチドに接着してもよく、また、種々のサイズ及び組成を有するリンカー又はスペーサ腕を介して間接的に接着してもよい。適切に保護されたホスホアミダイトを介して、5’又は3’末端のいずれかに官能基(例えばチオール又は一級アミン等)を有するオリゴマーを、市販のホスホラミダイト試薬を用いて、例えばPCR Protocols: A Guide to Methods and Applications(Innis et al, eds. Academic Press, Inc. (1990))に記載のプロトコルに従って作製し、かかるオリゴヌクレオチドを標識することができる。一実施形態によれば、標識は、プライマーの5’末端に共有結合により結合されたビオチン分子からなる。「ビオチン化プライマー」という語は、1又は2以上のビオチン分子が、直接プライマーに結合され、或いはリンカー分子を介在させて間接的にプライマーに結合されたものを指す。
【0172】
更なる例として、オリゴヌクレオチドプローブ−標的ハイブリダイゼーション二重鎖の検出を、ルミノール系試薬を用いた化学発光アッセイにより行ってもよい。かかる試薬は、例えばWhitehead, et al. (1983) Nature 30(5):158 二記載されており、また、市販されている。プローブと標識された標的DNAとのハイブリダイゼーションに続いて、標的DNAに接着されたビオチン分子が、例えばストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(SA−HRP)に接合される。或いは、標的DNAをホースラディッシュペルオキシダーゼで直接標識し、別個の接合工程を省略してもよい。いずれの場合でも、その後にホースラディッシュペルオキシダーゼ酵素でルミノールが酸化されることによって放出される光子を、例えば標準的なオートラジオグラフィーフィルム等で検出する。信号の強度はDNA量の関数である。通常は、1又は2以上の不知の試料とともに、既知量のDNAを含有する一連のDNA標準をアッセイする。既知のDNA標準の信号強度によって、信号強度とDNA量との間の関数関係を経験的に決定することができ、これによって不知の試料の定量が可能となる。他にも多数の検出方法を任意により、本発明の方法の実施に用いることができる。かかる検出方法は、本明細書に引用された文献に言及されており、及び/又は、一般に本技術分野で公知である。
【0173】
淋菌及び/又はC.トラコマチス単位複製配列の検出に利用可能な任意の方法を本発明で使用することができる。一般的な方策としては、5’−ヌクレアーゼプローブの分子指針を用いたリアルタイム増幅検出、挿入染料の検出、増幅プローブ又は増幅核酸自体に取り込まれた標識の検出(例えば、それに続く、取り込まれなかった標識からの増幅産物の電気泳動による分離)、ハイブリダイゼーションを用いたアッセイ(例えばアレイを用いたアッセイ)、及び/又は、核酸に結合する二次試薬の検出等が挙げられる。例えば、本発明の一部の実施形態によれば、NG及び/又はCTの検出は、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドを用いて、AMPLICOR(登録商標)試験方式で行われる。
【0174】
更なる例として、分子指針又は5’−ヌクレアーゼプローブを任意により、本発明のオリゴヌクレオチドプローブ(即ち、配列番号3〜27から選択される)又はその相補体)を含むように設計し、かかる分子指針又は5’−ヌクレアーゼプローブを用いて、淋菌及び/又はC.トラコマチス単位複製配列を検出してもよい。分子指針又は5’−ヌクレアーゼプローブについては、以下により詳細に説明する。これらの一般的な方策は、本明細書に引用された文献、例えばSambrook and Ausubelに記載されている。核酸を標識するための更なる標識化の方策、並びに対応する検出の方策は、例えばHaugland (2003) Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals Ninth Edition by Molecular Probes, Inc. (Eugene, OR)に開示されている。
【0175】
分子指針(MB)は、標的核酸(例えば標的淋菌及び/又はC.トラコマチス単位複製配列)のリアルタイム検出及び定量化のために設計されたオリゴヌクレオチドである。MBの5’及び3’末端は、MBに検出可能な性質を付与する一対の成分を分け持っている。一末端はフルオロフォアに接着され、他末端は、フルオロフォアの蛍光放出をクエンチすることが可能なクエンチャー分子に接着される。例えば、フルオロフォア−クエンチャー対の一例として、フルオロフォアとして例えばEDANS又はフルオレセインを、例えば5’−末端に用い、クエンチャーとして例えばダブシルを、例えば3’−末端に用いることができる。MBが溶液中に遊離状態で存在する場合、即ち、第2の核酸にハイブリダイズしていない場合、MBの基部は相補的塩基の対合によって安定化されている。この自己相補的な対合によって、MBは「ヘアピンループ」構造を形成する。かかる構造において、フルオロフォアとクエンチング成分とは互いに近接して存在する。かかる立体構造では、蛍光成分はフルオロフォアによってクエンチされている。分子指針のループは通常、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドプローブ(即ち、配列番号3〜27及び37〜60又はその相補体から選択される)を含んでなり、従って、標的淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸中の検出対象となる配列に相補的である。これによって、ループが標的中の相補的な配列にハイブリダイズすると、基部が解離して、フルオロフォアとクエンチャーとが互いに離れる。これによって、フルオロフォアによるクエンチが停止され、MBの蛍光が増加する。
【0176】
MBを作製及び使用するための標準的な方法についての詳細は、文献において十分に確立されており、MBは数々の商業試薬メーカーから入手可能である。MBの作製及び使用方法に関する更なる詳細は、例えば、Leone et al. (1995) “Molecular beacon probes combined with amplification by NASBA enable homogenous real-time detection of RNA,” Nucleic Acids Res. 26:2150-2155; Hsuih et al. (1997) “Novel, ligation-dependent PCR assay for detection of hepatitis C in serum” J Clin Microbiol 34:501-507; Kostrikis et al. (1998) “Molecular beacons: spectral genotyping of human alleles” Science 279:1228-1229; Sokol et al. (1998) “Real time detection of DNA:RNA hybridization in living cells” Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95:11538-11543; Tyagi et al. (1998) “Multicolor molecular beacons for allele discrimination” Nature Biotechnology 16:49-53; Fang et al. (1999) “Designing a novel molecular beacon for surface-immobilized DNA hybridization studies” J. Am. Chem. Soc. 121:2921-2922; and Marras et al. (1999) “Multiplex detection of single-nucleotide variation using molecular beacons” Genet. Anal. Biomol. Eng. 14:151-156 に記載されている。MBの構成及び使用の態様は、特許文献、例えば、米国特許番号第5,925,517、米国特許番号第6,150,097、及び米国特許番号第6,037,130等にも掲載されている。
【0177】
MB成分(例えばオリゴ、例えばフルオロフォア又はクエンチャーで標識されたもの)は、従来の方法を用いて合成することができる。これらの方法の一部についての詳細は上述した。例えば、オリゴヌクレオチド又はペプチド核酸(PNA)は、市販の自動オリゴヌクレオチド/PNA合成機で、標準法を用いて合成することができる。標識のオリゴヌクレオチド又はPNAへの接着は、自動合成の間に、或いは合成後反応によって行われる。これについては、例えば上掲のTyagi and Kramer (1996) を参照のこと。官能化オリゴヌクレオチドの合成に関する態様は、Nelson, et al. (1989) “Bifunctional Oligonucleotide Probes Synthesized Using A Novel CPG Support Are Able To Detect Single Base Pair Mutations” Nucleic Acids Res. 17:7187-7194 に開示されている。標識/クエンチャーのオリゴヌクレオチド又はPNAへの導入は、例えば制御細孔ガラスカラムを用いて、例えばクエンチャー(例えば4−ジメチルアミノアゾベンゼン−4'−スルホニル成分(DABSYL)を導入することにより行うことができる。例えば、自動合成の際に、クエンチャーをオリゴヌクレオチドの3'末端に付加することができ;結合部位が第1級アミノ基である場合には、4−(4'−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸のスクシンイミジルエステル(DABSYL)を使用することができ;また、結合部位がスルフィドリル基である場合には、4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4'−マレイミド(DABMI)を用いることができる。同様に、ヌクレオシドをフルオレセインと置換するフルオレセインホスホラマダイトを用いることにより、或いは、フルオレセイン成分をチミジン環にリンカーを介して導入するフルオレセインdTホスホラマダイトを用いることにより、フルオレセインをオリゴヌクレオチドに導入することもできる。フルオレセイン成分を末端位置に連結するために、ヨードアセトアミドフルオレセインをスルフィドリル基に結合させてもよい。自動合成の際に5'−テトラクロロ−フルオレセイン ホスホラマダイトを用いてテトラクロロフルオレセイン(TET)を導入することもできる。その他の反応可能なフルオロフォア誘導体、及びその対応する結合部位としては、アミノ基に結合された5−カルボキシローダミン−6G(RHD)のスクシンイミジルエステル;スルフィドリル基に結合されたテトラメチルローダミンのヨードアセトアミド;アミノ基に結合されたテトラメチルローダミンのイソチオシアネート;或いは、スルフィドリル基に結合されたテキサスレッドのスルホニルクロリド等が挙げられる。これらの標識成分の合成時に、接合されたオリゴヌクレオチド又はPNAを所望により、例えば高圧液体クロマトグラフィーやその他の方法で精製してもよい。
【0178】
様々な商業供給者が既製及び特注の分子指針を製造している。例としては、Cruachem(cruachem.com)、Oswel Research Products Ltd.(UK; oswel.com)、Research Genetics(Invitrogen の一部門、Huntsville AL(resgen.com))、the Midland Certified Reagent Company(Midland, TX mcrc.com)、及び、Gorilla Genomics, LLC(Alameda, CA)等が挙げられる。分子指針を用いた様々なキットも市販されている。例としては、Stratagene(La Jolla, CA)製のSentinel商標分子指針Allelic Discriminationキットや、Eurogentec SA(Belgium, eurogentec.com)及びIsogen Bioscience BV(The Netherlands, isogen.com)製の種々のキットが挙げられる。
【0179】
特定の実施形態によれば、1又は2以上の5’−ヌクレアーゼプローブを含むリアルタイムPCRアッセイシステムが、増幅された淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸の検出に用いられる。これらのシステムは、特定のポリメラーゼの内因性ヌクレアーゼ活性を用いて、クエンチャー及び標識を含んでなる本発明のオリゴヌクレオチドからクエンチャー又は標識を開裂して遊離し、標識のクエンチを停止することにより作動する。ポリメラーゼは、複製が開始した場合のみ、即ち、オリゴヌクレオチドが鋳型に結合してポリメラーゼがプライマーを延長する場合のみ、クエンチャー又は標識を開裂する。即ち、適切に標識されたオリゴヌクレオチドプローブと、適当なヌクレアーゼ活性を含んでなるポリメラーゼを用いることで、注目する淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸を検出することができる。FRET等(及び関連するリアルタイム逆転写PCR)等によるリアルタイムPCR産物の分析に基づく、リアルタイムPCRによる監視の手法は周知であり、様々な分野で使用されているが、これを本明細書に記載のプローブ及び方法に応用することもできる(Laurendeau et al. (1999) “TaqMan PCR-based gene dosage assay for predictive testing in individuals from a cancer family with INK4 locus haploinsufficiency” Clin Chem 45(7):982-6; Laurendeau et al. (1999) “Quantitation of MYC gene expression in sporadic breast tumors with a real-time reverse transcription-PCR assay” Clin Chem 59(12):2759-65; and Kreuzer et al. (1999) “LightCycler technology for the quantitation of bcr/ab1 fusion transcripts” Cancer Research 59(13):3171-4 を参照)。
【0180】
X.システム
本発明は、試料中の淋菌及び/又はC.トラコマチスを検出するためのシステムも提供する。このシステムは、本明細書に記載の1又は2以上の核酸検出試薬(例えばプローブ核酸、配列特異的抗体等)を有する。特定の実施形態によれば、この核酸検出試薬は固相支持体に配列され、別の実施形態では、例えば溶液中で圧政を行う場合のために、1又は2以上の容器内に提供される。このシステムは更に、前記試料由来の核酸及び/又はその単位複製配列と核酸検出試薬との結合を検出する、少なくとも1の検出器(例えば分光計等)を有する。他の検出器については以下に詳しく説明する。加えて、このシステムは更に、前記検出器に作動式に連結された、少なくとも1の制御装置を有する。この制御装置は、前記検出器により検出された結合と、試料中の淋菌及び/又はC.トラコマチスの存在とを相関付ける、1又は2以上の命令セットを有する。
【0181】
一部の実施形態によれば、少なくとも1の容器に、核酸検出試薬が収容される。これらの実施形態によれば、このシステムは、例えばこの容器内で1又は2以上の核酸増幅法を実施するために、この容器に作動式に連結され、容器中の温度を調節する、少なくとも1の温度調節器、及び/又は、流体をこの容器に、及び/又は、この容器から移送する、少なくとも1の流体移送要素(例えば自動ピペッター等)を更に有していてもよい。
【0182】
本明細書に記載の核酸検出試薬(例えば、配列番号3〜27及び37〜60又はその相補体からなる群より選択される配列を含んでなるオリゴヌクレオチドプローブ、配列特異的抗体等)を用いた淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸の検出に利用可能な市販のシステムの例としては、Roche Diagnostics Corporation(Indianapolis, IN)から入手可能なCOBAS AMPLICOR(登録商標)Analyzer、Luminex Corporation(Austin, TX)から入手可能なLUMINEX 100商標 システム、Applied Biosystems(Foster City, CA)から入手可能なABI PRISM(登録商標)配列検出システム等が挙げられる。
【0183】
本発明は更に、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体の下位配列に対応する複数の配列に対応する複数の文字列を含んでなるデータセットを有するコンピュータ又はコンピュータ読取可能媒体を提供する。通常は、文字列の少なくとも1つが、配列番号3〜27及び37〜60又はそれらの相補体からなる群より選択される配列に対応する。通常は、このコンピュータ又はコンピュータ読取可能媒体は、コンピュータ又はコンピュータ読取可能媒体の出力に連結された自動合成機を更に有する。この自動合成機は、例えば、データセット中の1又は2以上の文字列に対応する1又は2以上のプローブ核酸の合成を指示する、コンピュータ又はコンピュータ読取可能媒体からの命令を受信する。システム及びシステム要素の例について下に詳しく説明する。
【0184】
検出器は、例えばシステムの他の要素の内部又は近傍(例えば容器中、固相支持体上等)で生成された検出可能な信号を、検出するように構成される。これらのシステムで利用又は応用可能な適切な信号検出器は、例えば蛍光、燐光、放射活性、吸光度、屈折率、発光等を検出するものである。検出器は任意で、例えば所与のアッセイ工程の実施の上流及び/又は下流からの1又は複数の信号を監視してもよい。例えば、検出器は任意で、「リアルタイム」の結果に一部対応する複数の光学信号を監視してもよい。検出器又はセンサーの例としては、光電子増倍管、CCDアレイ、光学センサー、温度センサー、圧力センサー、pHセンサー、伝導度センサー、走査検出器等が挙げられる。これらの各々や、他の種類のセンサーは、本明細書に記載のシステムに、容易に組み入れることができる。任意により、本発明のシステムは多重検出器を含んでいてもよい。
【0185】
これらのシステムに利用可能な、より具体的な検出器の例としては、例えば共鳴光散乱検出器、放出分光器、蛍光分光器、燐光分光器、発光分光器、分光光度計、光度計等が挙げられる。また、種々の合成要素も、本発明のシステムに利用又は応用することができる。例としては、例えば本明細書に記載のオリゴヌクレオチドプローブを合成するための自動核酸合成機が挙げられる。本発明のシステムに含めることが可能な検出器及び合成要素については、例えばSkoog et al., Principles of Instrumental Analysis, 5th Ed., Harcourt Brace College Publishers(1998)and Currell, Analytical Instrumentation: Performance Characteristics and Quality, John Wiley & Sons, Inc.(2000)に、より詳しく記載されている。
【0186】
本発明のシステムは、通常は更に、システムの1又は2以上の要素(例えば検出器、合成要素、温度調節器、流体移送要素等)に作動式に連結され、その要素の動作を制御する制御装置を有する。より具体的には、制御装置は一般に、個別又は一体のシステム要素を有し、それらは例えば、検出器からデータを受信する、容器内の温度に作用し、及び/又は、温度を制御する、選択された容器に対して、或いは選択された容器からの流体流に作用し、及び/又は、その流体流を制御する等の目的で使用される。制御装置及び/又は他のシステム要素は任意で、適切にプログラムされた処理装置、コンピュータ、デジタル機器、又は他の情報装置(例えば、必要によりアナログ・デジタル又はデジタル・アナログ変換器等)に連結されていてもよい。かかる装置は、予めプログラムされた命令やユーザが入力した命令に従ってこれらの機器の動作に指示を与える機能、これらの機器からデータ及び情報を受信する機能、更には、この情報を解釈し、操作し、ユーザに報告する機能を有する。適切な制御装置は、一般には本技術分野で公知であり、種々の商業源から入手可能である。
【0187】
制御装置又はコンピュータはいずれも、モニターを有していてもよい。これは多くの場合、陰極線管(「CRT」)ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ(例えばアクティブマトリックス液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイ等)、又はその他である。コンピュータ回路は多くの場合、筺体に収められる。筺体には、多数の集積回路チップ、例えばマイクロプロセッサ、メモリ、インターフェース回路等を有する。この筺体は更に任意で、ハードディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、大容量リムーバブルドライブ、例えば書き込み可能なCD−ROM、及び他の周辺機器を有していてもよい。ユーザの入力のために、例えばキーボードやマウス等の入力装置を任意で提供してもよい。これらの要素について以下により詳しく説明する。
【0188】
コンピュータは通常、ユーザの命令を受けるための適当なソフトウェアを有する。これは、(例えばGUIにおける)一組のパラメータフィールドへのユーザの入力の形態、或いは、予めプログラムされた(例えば、種々の異なる具体的な動作について予めプログラムされた)命令の形態をとる。続いて、ソフトウェアはこれらの命令を、1又は2以上の制御装置に指示するための適当な言語に変換し、所望の動作を実施する。次いでコンピュータは、例えばシステムに含まれるセンサー/検出器からデータを受信し、そのデータを解釈して、ユーザの理解可能なフォーマットで提供し、或いはそのデータを用いて、プログラム内容に基づき更に制御装置への命令を開始する(例えば、重量計等から受信した流体重量データに応じて、流体流制御装置を制御する)。
【0189】
コンピュータとしては、例えばPC(Intel x86又はPentium(登録商標)チップ互換DOS商標、OS2商標、WINDOWS(登録商標)商標、WINDOWS(登録商標) NT商標、WINDOWS(登録商標)95商標、WINDOWS(登録商標)98商標、WINDOWS(登録商標)2000商標、WINDOWS(登録商標) XP商標、LINUXベースのマシン、MACINTOSH商標、Power PC、又はUNIX(登録商標)ベース(例えばSUN商標ワークステーション)マシン)、或いは当業者に公知の市販のコンピュータが挙げられる。標準的なデスクトップアプリケーション、例えばワードプロセッシングソフトウェア(例えばMicrosoft Word商標又はCorel Word Perfect商標)及びデータベースソフトウェア(例えばスプレッドシートソフトウェア、例えば Microsoft Excel商標、Corel Quattro Pro商標、又はデータベースプログラム、例えば Microsoft Access商標 又はParadox商標)を本発明に応用することができる。温度調節器や流体流制御装置の制御等を行うソフトウェアは、標準的なプログラミング言語、例えばVisual basic、Fortran、Basic、Java(登録商標)等を用いて、当業者が構築したものでもよい。
【0190】
図2及び3は、本発明の種々の態様を具現化した論理装置を有するシステムの代表例を示す模式図である。本技術分野の熟練者であれば本明細書の教示から理解するように、本発明を任意により、ハードウェア及び/又はソフトウェアで実現することも可能である。一部の実施形態によれば、本発明の異なる態様を、クライアント側論理とサーバ側論理のいずれで実現することも可能である。本技術分野では当然であるが、本発明又はその要素を、適切に構成された演算装置にロードすると、その装置を本発明に従って動作させるような論理命令及び/又はデータを有する媒体プログラム要素(例えば固定媒体要素)によって実現することも可能である。本技術分野では当然であるが、論理命令を有する固定媒体を視聴者に送達するために、固定媒体を視聴者のコンピュータに物理的にロードするようにしてもよく、論理命令を有する固定媒体を遠隔サーバに置き、視聴者が通信媒体を用いてアクセスして、プログラム要素をダウンロードするようにしてもよい。
【0191】
特に、図2では、検出器202及び流体移送要素204が作動式に連結されたコンピュータ200を模式的に示している。任意により、検出器202及び/又は流体移送要素204を、サーバ(図2では省略)を介してコンピュータ200に作動式に連結してもよい。動作時には、流体移送要素204は通常、流体(例えば標識淋菌及び/又はC.トラコマチス単位複製配列を含んでなる試料のアリコート)を、核酸検出試薬アレイ206(例えば本明細書に記載のオリゴヌクレオチドプローブ、配列特異的抗体等が、その上に配列されてなる)に移送する。その後、流体移送要素204を用いて1又は2以上の洗浄工程を実施し、ハイブリダイズしていない核酸を核酸検出試薬アレイ206から洗い流してから、検出器202が通常、核酸検出試薬アレイ206に接着されたプローブにハイブリダイズした標識単位複製配列が生成する検出可能な信号(例えば蛍光放出等)を検出する。更に示すように、温度調節器208がコンピュータ200に作動式に連結される。ハイブリダイゼーションアッセイを実施する前に、標識プライマー核酸(例えば配列番号3〜27及び37〜60から選択される配列を含んでなるプライマー等)を用いて標的淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸を増幅してもよい。その後、通常はこれらの増幅反応の単位複製配列を、上述のように流体移送要素204を用いて核酸検出試薬アレイ206に移送し、結合アッセイを実施する。一部の実施形態によれば、結合アッセイと同時に、温度調節器208において、淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸の増幅を、例えば配列番号3〜27及び37〜60から選択される配列を含んでなる分子指針、5’−ヌクレアーゼプローブ等を用いて行う。これらの実施形態によれば、温度調節器208で増幅反応が実施されるとともに、生成された検出可能な信号を検出器202が検出する。
【0192】
図3は、情報機器又はデジタル装置300を模式的に示す図である。これは、媒体302及び/又はネットワークポート304から命令を読み取る論理装置と考えることができる。これは任意で、固定媒体308を有するサーバ306に接続されていてもよい。デジタル装置300はその後、これらの命令を用いて、サーバ又はクライアント論理(当業者には公知である)に、本発明の態様を実施するよう指示する。本発明を実施可能な論理装置の一形態としては、300に示すコンピュータシステムが挙げられる。これはCPU310、光学入力装置312及び314、ディスクドライブ316及び光学モニター318を有する。固定媒体302、又は304上の固定媒体308は、かかるシステムをプログラムするために使用され、ディスク型光学又は磁性媒体、磁性テープ、固体動的又は静的メモリ等が使用される。特定の実施形態によれば、本発明の全部又は一部が、この固定媒体に記録されたソフトウェアによって実現される。通信ポート304は、かかるシステムをプログラムするための命令を最初に受診するためにも使用され、任意の種類の通信接続が使用される。任意により、本発明の全部又は一部を、特定用途向け集積回路(ACIS)又はプログラム可能論理装置(PLD)で実現してもよい。かかる場合には、本発明をコンピュータの理解可能な記述言語で実現してもよく、これを用いてASIC又はPLDを作製してもよい。
【0193】
図3は更に、サーバ306を介してデジタル装置300に作動式に連結された、自動合成機320を有する。任意により、自動合成機320を直接、デジタル装置300に接続してもよい。動作時には、自動合成機320は通常、配列番号3〜27及び37〜60又はその相補体からなる群より選択される配列を含んでなる1又は2以上のプライマー又はプローブを合成する命令を受信する。かかる命令は、例えばデジタル装置300及び/又はコンピュータ読取可能媒体(例えば固定媒体302及び/又は308)が有するデータセットに含まれる。
【0194】
XI.キット
本発明の方法に使用される核酸検出試薬を包装してキットとしてもよい。本明細書に記載のように、本発明の核酸検出試薬は、配列番号1、配列番号2、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号1又は2又は36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号1、配列番号2、配列番号36、又は変異体の相補体からなる配列を有する核酸に対して検出可能に結合する。加えて、このキットは、適切に包装された試薬、並びにDNAの固定化、ハイブリダイゼーション、及び/又は検出に必要な材料、かかる固相支持体、バッファー、酵素、及びDNA標準、並びにアッセイを実施するための使用説明書を含んでいてもよい。任意により、本発明の核酸検出試薬(例えばオリゴヌクレオチドプローブ、配列特異的抗体等)は、固相支持体に予め接着され、或いは他の方式で固定化された形態で提供される。別の選択肢として、例えば本発明の検出方法を溶液相で実施するために、核酸検出試薬は容器内の溶液中に遊離状態で提供される。これらの実施形態の一部によれば、例えば分子指針、5’−ヌクレアーゼプローブ等が、配列番号3〜27及び37〜60から選択される配列を含んでなる場合には、キットの核酸検出試薬が標識及び/又はクエンチャー成分を含んでなる。特定の実施形態によれば、キットは、試料中の標的淋菌及び/又はC.トラコマチス配列を増幅するための標識プライマーを更に有する。
【0195】
このキットは更に、核酸検出試薬を試料由来の核酸又はその単位複製配列と接触させ、核酸検出試薬と淋菌及び/又はC.トラコマチス核酸との結合を(結合がある場合には)検出するための一組の使用説明書、或いは、前記の核酸検出試薬を収容するための少なくとも1の容器、及び、前記の一組の使用説明書のうち、1又は2以上を有する。本発明のキットにおける固相支持体の例は、プレート、マイクロウェルプレート、ビーズ、マイクロビーズ、チューブ(例えばマイクロチューブ等)、ファイバー、ウィスカー、コム、ハイブリダイゼーションチップ、膜、単結晶、セラミック層、自己集合単分子層等から任意で選択される。
【0196】
一部の実施形態において、このキットは更に、少なくとも1のプライマー核酸を有する。これは、例えば淋菌核酸の断片を増幅するために、淋菌核酸の少なくとも1の断片に対して、少なくとも部分的に相補的である。特定の実施形態によれば、このキットは更に、C.トラコマチス核酸の1又は2以上の断片を増幅するための1又は2以上のプライマーを有する。これらの実施形態によれば、このキットは通常、これらの核酸の1又は2以上の下位配列を、プライマー核酸を用いて増幅するための一組の使用説明書、少なくとも1のヌクレオチド取り込み生体触媒、及び、1又は2以上のヌクレオチドを更に有する。特定の実施形態によれば、プライマー核酸は、少なくとも1の標識(例えばa 蛍光染料、放射性同位体等)を含んでなる。適切な標識については本明細書に詳しく説明する。例えば、プライマー核酸は任意で、ビオチン又はビオチン誘導体に接合されていてもよい。これらの実施形態によれば、このキットは通常、例えば本発明の核酸検出試薬と標的核酸との結合の検出を有効にするために、アビジン又はアビジン誘導体、又はストレプトアビジン又はストレプトアビジン誘導体に接合された酵素を更に有する。これらの実施形態によれば、このキットは一般には、少なくとも1のヌクレオチド取り込み生体触媒(例えばポリメラーゼ、リガーゼ等)を更に有する。これらの実施形態によれば、このキットは通常は更に、例えば標的核酸の増幅に使用される、1又は2以上のヌクレオチドを含んでなる。任意により、ヌクレオチドの少なくとも1つが、標識を含んでなる。これらの実施形態の一部において、このキットは、少なくとも1のピロホスファターゼ(例えば熱安定ピロホスファターゼ)を、例えば加ピロリン酸分解の最小化のために、ウラシルN−グリコシラーゼ(UNG)(例えば熱安定UNG)を、例えばキャリーオーバー汚染からの防護が望ましい用途のために、更に有する。
【実施例】
【0197】
本明細書に記載の実施例及び実施形態は、あくまでも説明を目的とするものであり、特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図するものではないと解すべきである。また、本明細書に記載の実施例及び実施形態に照らして、当業者には種々の変更や変形が示唆されるはずであるが、それらも本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲に含まれるものと解すべきである。
【0198】
実施例I:淋菌ダイレクトリピート9を用いた淋菌の検出
PCR分析のための淋菌ダイレクトリピート9特異的オリゴヌクレオチドプライマーの選択及び合成
【0199】
淋菌ダイレクトリピート9(NGDR9)は従来、淋菌ゲノム内で2コピーのDNA配列として同定された。NGDR9の配列は、Los Alamos National Laboratory Sexually Transmitted Diseases データベースから、ワールドワイドウェブにより、stdgen.lanl.gov/stdgen/bacteria/ngon/で取得した。全長806塩基対のNGDR9配列は、髄膜炎菌ゲノムのいずれの配列とも実質的同一性を有しないが、ブタ流産菌1330染色体Iセクション155(GenBank(登録商標)受託番号AE014469)に対して、ギャップ込みで36.85%の同一性(ギャップ抜きで44.4%の同一性)を有している。図4に、NGDR9配列(配列番号1)と、このブルセラ(Brucella)配列の一部(配列番号34)とのClustal Wアラインメントを示す。NGDR9配列のうち、B.スイスとの配列同一性が最低となる領域を走査し、NGDR9の190塩基対の領域に亘る上流側及び下流側のオリゴヌクレオチドプライマー(それぞれNG519(5’−CTCTCAATGCCCAATCATAAAGC−3’(配列番号5)及びNG514に対する相補体(即ち5’−GATAAAGCAGACGAAGCGGATAC−3’(配列番号24))を合成した。これらのプライマーの双方の3’末端におけるデオキシシチジル酸単位は、例えば米国特許番号第6,001,611に記載のように、t−ブチルベンジル基を含むよう予め修飾しておいた。NGDR9中におけるNG519及びNG514の位置を図4に下線で示す。
【0200】
上流側及び下流側のオリゴヌクレオチドプライマー対の他の例についても、図4に下線でその位置を示す。特に、DK101(5’−GTTTGGCGGCAAGCATCT−3’(配列番号7))及びDK102(5’−AAATGGGATGCTGTCGTCAA−3’(配列番号8))を示す。プライマー対DK101及びDK102に対する相補体(即ち5’−TTGACGACAGCATCCCATTT−3’(配列番号25))は、NGDR9の416塩基対の領域を増幅するように設計されている。DK101及びDK102の相補体に対応するプライマー(更に5’−末端に制限部位リンカーを有する)も合成した。すなわち、HINDDK101(5’−GGCAAGCTTGTTTGGCGGCAAGCATCT−3’(配列番号9);HindIII制限部位を下線で示す)及びBAMDK102(5’−GGCGGATCCTTGACGACAGCATCCCATTT−3’(配列番号10);BamHI制限部位を下線で示す)である。このプライマー対を用いた淋菌の検出を示すアガロースゲルの写真を下に示す。DK103(5’−AAACGCAATCTTCAAACACCTCA−3’(配列番号11))及びDK104(5’−TTTGACGGCCTCACGCATAA−3’(配列番号12))についても図4に下線で示す。DK103及びDK104に対する相補体(即ち5’−TTATGCGTGAGGCCGTCAAA−3’(配列番号26))からなるプライマー対は、NGDR9の384塩基対の領域をを増幅するように設計されている。
【0201】
ナイセリアゲノムDNA精製
種々のナイセリア株ゲノムDNAの抽出は、PureGene(登録商標)DNA精製 システム(Gentra Systems, Minneapolis MN)を用いて行った。細菌細胞をチョコレート寒天(Hardy Diagnostics, Santa Maria, CA)上、5%CO2中で、37℃で48 時間増殖させた。この細胞を寒天表面から掻き取り、PBSに再懸濁させ、13,000〜16,000×gで5秒間遠心分離して細胞をペレット化した。上清を吸引除去し、10〜20μlの残液を残した。試料をよくぼるテックスしてペレットを残液に再懸濁させた。メーカーの指示に従ってDNA抽出を行った。要約すると、300μlの細胞溶解溶液を再懸濁細胞に加え、ピペッティングして細胞を溶解した。続いて、1.5μlのRNAseA溶液を細胞溶解物に加え、チューブを25回反転させて試料を混合し、37℃で5分間インキュベートした。試料を氷上で1分間放置して室温に冷却した。100μl量のタンパク質沈殿溶液をRNAse処理細胞溶解物に加え、高速で20秒間よくボルテックスして試料を混合した。13,000〜16,000×gで1分間遠心分離してタンパク質残留物を沈殿させた。DNA試料を含有する上清を、各々300μlの100%イソプロパノールを含有する清浄な1.5mlのマイクロ遠心管に移した。遠心管をゆっくりと50回反転させて試料を混合し、続いて13,000〜16,000×gで1分間遠心分離した。上清を捨て、ペレットを300μlの70%エタノールで洗浄した。遠心管を再度、13,000〜16,000×gで1分間遠心分離した。上清の除去後、遠心管を逆さにして溶液を排出し、DNAペレットを50μlの水和溶液に再懸濁させた。PicoGreen dsDNA定量試薬(Molecular Probes, Eugene, OR)を用いてゲノムDNAを定量し、再懸濁DNAを使用時まで−20℃で保存した。
【0202】
NGDR9の断片の増幅
種々のナイセリア種から単離されたゲノムDNAを鋳型として用い、プライマー対としてNG519及びNG514に対する相補体(上述)を用いて、個別にPCR反応を実施した。PCRは全量100μl(50mMトリシン(pH8.3)、80mM K(OAc)2(pH7.5)、2mM Mn(OAc)2(pH6.5)、50μM dATP、50μM dGTP、50μM dCTP、100μM dUTP、20UのZO5 DNAポリメラーゼ(Roche Molecular Systems, Alameda, CA)、5U AmpErase(登録商標)UNG(ウラシル−N−グリコシラーゼ)、0.5μMの各プライマー、及び1ng/μlのエチジウムブロミドを含有)で行った。ゲノムDNAを鋳型として、淋菌については一反応当たり103ゲノム等量、髄膜炎菌及び他のナイセリア株については一反応当たり106ゲノム等量となるように加えた。反応は60サイクルで、変性を95℃で15秒間、アニーリングを58℃で20秒間、最後の延長を72℃で5分間、COBAS TaqMan(登録商標)PCRシステム(Roche Molecular Systems, Alameda, CA)を用いて行った。
【0203】
また、種々のナイセリア種から単離されたゲノムDNAを鋳型として用い、プライマー対としてHINDDK101及びBAMDK102(上述)を用いて、NGDR9の190塩基対の断片を増幅するのに使用した上述の手順と同様の手順に従い、個別にPCR反応を実施した。
【0204】
PCR産物の分析アガロースゲル電気泳動
20μlのDNA試料を8μlの10×ゲルローディングバッファー(0.025% ブロモフェノール青染料、100mM EDTA、及び30%ショ糖)に加えることにより、ゲル電気泳動分析用のPCR産物を調製した。続いて試料を、3.0%(w/v)Nusieve、0.5%(w/v)アガロースゲル及び0.5μg/mlのエチジウムブロミドを1×TBバッファー(0.089Mトリス、0.09Mホウ酸、2mM EDTA、pH8.0)中に含有する、水平浸漬ゲルのレーンにロードした。電気泳動ランニングバッファーは、0.5μg/mlエチジウムブロミドを含有する1×TBバッファーとした。ゲルを95〜100Vで1時間泳動した後に取り出して、長波長UVトランスイルミネーターで可視化した。特定のゲルについて、PCR増幅産物が、予測されるサイズである190又は416bpに存在するか否かを調べた。
【0205】
図5A及びB並びに6A及びBは、190塩基対のNGDR9断片の検出を示すアガロースゲルの写真であり、図7は、416塩基対のNGDR9断片の検出を示すアガロースゲルの写真である。
【0206】
実施例II:淋菌の選択的検出を示すアッセイ
本実施例では、プライマー核酸であるNG519(配列番号5に対応する配列を有する)及びNG514R(配列番号24に対応する配列を有する)、並びに5’−ヌクレアーゼプローブ(配列番号18に対応する配列を有する)を単独又はC.トラコマチスプライマーとの組み合わせで使用したアッセイで分析された生物のリストを提供する。特に、これらのアッセイの包含率(inclusivity)(即ち、試料中の標的生物、淋菌の検出能を示す指標)を表IXに示す。
【0207】
【表12】

【0208】
これらのアッセイの排除率(exclusivity)(即ち、ゴノレア以外のナイセリア生物種が試料中に存在する場合の、偽陽性の排除能を示す指標)を表Xに示す。
【0209】
【表13】

【0210】
これらのアッセイの特異性(即ち、非ナイセリア生物が試料中に存在する場合の、偽陽性の排除能を示す指標)を表XIに示す。
【0211】
【表14】

【0212】
【表15】

【0213】
【表16】

【0214】
実施例III:淋菌ダイレクトリピート33を用いた淋菌の検出
PCR分析のための淋菌ダイレクトリピート33特異的オリゴヌクレオチドプライマーの選択及び合成
【0215】
淋菌ダイレクトリピート33(NGDR33)は従来、淋菌ゲノム内で2コピーのDNA配列として同定された。NGDR33の配列は、Los Alamos National Laboratory Sexually Transmitted Diseases データベースから、ワールドワイドウェブにより、stdgen.lanl.gov/stdgen/bacteria/ngon/で取得した。NGDR33をblast相同性サーチしたところ、髄膜炎菌との有意なヒットが多数見られた。全長1142塩基対のNGDR33配列は、髄膜炎菌血清型群B株MC58セクション77(GenBank(登録商標)受託番号AE002435)と、ギャップ込みで38.09%の同一性(ギャップ抜きで50.44%の同一性)を有していた。図8は、NGDR33配列(配列番号2)と、この髄膜炎菌配列の一部(配列番号35)とのClustal Wアラインメントを示す。NGDR33配列のうち、髄膜炎菌との配列同一性が最低となる領域を走査し、NGDR33の265塩基対の領域に亘る上流側及び下流側のオリゴヌクレオチドプライマー(それぞれNG613(5’−AATGTCGGGTTTGACGAAACTC−3’(配列番号15)及びNG614に対する相補体(即ち5’−AACGTCCGACAACCGGTAAC−3’(配列番号27))を合成した。NG613及びNG614の位置を図8に下線で示す。これらのプライマーの双方の3’末端におけるデオキシシチジル酸単位は、t−ブチルベンジル基を含むよう予め修飾しておいた。
【0216】
ナイセリアゲノムDNAの精製、増幅、及び分析アガロースゲル電気泳動
実施例Iについて上述した手順により、種々のナイセリア種のゲノムDNAを精製した。種々のナイセリア種から単離されたゲノムDNAを鋳型として用い、プライマー対としてNG613及びNG614相補体(上述)を用いて、190塩基対のNGDR9断片の増幅に用いた上述の手順と同様の手順に従って、個別にPCR反応を行った。加えて、これらの増幅反応のPCR産物を、実施例Iについて上述した手順により、電気泳動で分離した。得られたゲルについて、PCR増幅産物が、予測されるサイズである265bpに存在するか否かを調べた。図9A及びB並びに10は、この265塩基対のNGDR33断片の検出を示す、アガロースゲルの写真である。
【0217】
実施例IV:臨床試料中における淋菌/C.トラコマチスの検出
この理論上の実施例では、臨床試料中の淋菌及びC.トラコマチスを検出するためのプロトコルについて説明する。
【0218】
臨床試料
女性由来の頸管内スワブ標本及び男性由来の尿道スワブ標本を、本技術分野で公知の標準法で採取する。スワブを適切な培養物輸送培地(例えば2SP、M−4(Microtest, Inc., Atlanta, GA)、Bartel's chlamydial(Intracel Corp., Issaquah, WA)等)に接種し、続いてこれをPCR分析に使用する(Van der Pol et al.(2000)J. Clin. Microbiol. 38:1105-1112 も参照)。これらの標本は一般には2から8℃で保存し、通常は採取後24から72時間以内に実験室に移送する。これらの標本は通常、管内のスワブをボルテックスし、細胞培養物を接種し、各標本のアリコートを新たな管に移送し、これを一般には2から8℃で採取後最長7日間保存した後、PCR分析用に処理する。
【0219】
任意により、50mlの初出尿のアリコートを、男性及び女性双方から採取してもよい。女性の尿標本はスワブ採取の前後いずれかに採取する。男性の尿標本は尿道スワブ標本の取得後に採取する。尿標本は通常、室温で保存し、24時間以内に実験室に輸送する。或いは、採取後24時間以内に輸送しない場合には、例えば2から8℃で保存する。実験室に到着後、500μlのアリコートを、通常は2から8℃で採取時から最長7日間保存した後、PCR分析用に処理する。
【0220】
PCR分析
各標本は通常、処理した後に、メーカーによる添付文書に記載の手順に従って、AMPLICOR(登録商標)及びCOBAS AMPLICOR(登録商標)試験の一方又は両方に供する。各処理標本について、C.トラコマチス、淋菌、及び内部標準(IC)標的DNAを、単一の反応混合物中で同時に増幅する。反応混合物は、少なくとも2対のプライマー対、即ち、C.トラコマチスに特異的な対を少なくとも1対と、淋菌に特異的な対を少なくとも1対(例えば、配列番号3〜27から選択される少なくとも1の配列を含んでなる)を含有する。得られた増幅産物を一般には別々に取得し、淋菌(例えば、配列番号3〜27から選択される配列を含んでなる)、C.トラコマチス、及びIC特異的オリゴヌクレオチドプローブで被覆されたマイクロウェルプレート(AMPLICOR(登録商標)format)(Crotchfelt et al. (1997) “Detection of Neisseria gonorrhoeae and Chlamydia trachomatis in genitourinary specimens from men and women by a coamplification PCR assay,” J. Clin. Microbiol. 35:1536-1540)又は磁性微小粒子(COBAS AMPLICOR(登録商標)方式)にハイブリダイゼーションさせ、比色分析により検出する。COBAS AMPLICOR(登録商標)分析器を用いて、増幅、ハイブリダイゼーション、及び検出工程のすべてを自動で実施する(DiDomenico et al. (1996) “COBAS AMPLICORTM: a fully automated RNA and DNA amplification and detection system for routine diagnostic PCR,” Clin. Chem. 42:1915-1923, Jungkind et al. (1996) “Evaluation of automated COBAS AMPLICOR PCR system for detection of several infectious agents and its impact on laboratory management,” J. Clin. Microbiol. 34:2778-2783)。AMPLICOR(登録商標)方式では、例えばGeneAmp(登録商標)PCRシステム9700熱サイクラー(Perkin-Elmer, Norwalk, CT)を用いて増幅を行い、ハイブリダイゼーション及び検出については手動で行う(Loeffelholz et al. (1992) “Detection of Chlamydia trachomatis in endocervical specimens by polymerase chain reaction,” J. Clin. Microbiol. 30:2847-2851)。
【0221】
データ分析
陽性カットオフ(C.トラコマチスについては光学密度[OD]2.0(A660)、淋菌についてはOD3.5(A660))を超える信号を発する標本を、IC結果にかかわらず、通常は特定生物について陽性であると判断する。淋菌又はC.トラコマチス信号が陰性カットオフ(例えばOD0.2)に満たない標本を、通常は特定生物について陰性であると判断する(但し、IC信号が所定のカットオフ(例えばOD0.2)を超え、試験が有効であると判断された場合に限る)。淋菌又はC.トラコマチスとICの双方の信号がカットオフ値に満たない標本を、一般には抑制的であると解釈する。抑制標本は通常、原標本の凍結アリコートを処理して再試験する。繰り返し試験の結果を上記判断基準を用いて分類する。
【0222】
得られた結果が陰性及び陽性カットオフの間(淋菌については≧0.2、<3.5、C.トラコマチスについては≧0.2、<2.0)である標本を、IC結果にかかわらず、通常は特定生物について両義的と判断する。両義的な結果は一般には、原標本の凍結アリコートを処理し、二重に再試験し、初回試験の結果と比較することによって解決する。これらの標本は通常、少なくとも2度の有効な試験において、淋菌又はC.トラコマチスのODが特定生物について≧2.0であれば、特定生物について陽性であると判断する。これらの標本は通常、2回の繰り返し試験において、淋菌又はC.トラコマチスのODが特定生物について<2.0であれば、特定生物について陰性であると判断する(但し、IC信号が所定のカットオフを超えている場合に限る)。2回の繰り返し試験において、淋菌又はC.トラコマチスのODが特定生物について<0.2であり、IC信号が2重の繰り返し試験のいずれかで所定のカットオフに満たない場合には、その標本は一般には抑制的であると解釈する。
【0223】
実施例V:淋菌ダイレクトリピート9変異体を用いた淋菌の検出
PCR分析のためのNGDR9Varオリゴヌクレオチドの選択及び合成
【0224】
実施例Iで説明したように、淋菌ダイレクトリピート9(NGDR9)は従来、淋菌ゲノム内で2コピーのDNA配列として同定されたが、その後、3コピーのDNA配列であることが確認された。しかしながら、NGDR9プライマーを用いたプロトタイプNGアッセイの包含試験では、臨床試料から単離された4つの淋菌株(株NG889を含む)が増幅されなかった。その後の株NG889由来のゲノムDNAの配列分析によって、3コピーの同一の変異体配列(NGDR9Var)の存在が明らかになった。これはNGDR9の標的領域内に顕著なミスマッチを有し、これがNG519(配列番号5)及びNG514(配列番号24)プライマーによる増幅の妨げとなっていた。全長727塩基対のNGDR9Var配列(配列番号36)は、髄膜炎菌ゲノムのいずれの配列とも同一性を有しなかったが、NGDR9配列(配列番号1)とは全体で70%の同一性を有していた。NGDR9Var配列について、変異体配列との配列同一性が最大となるものを更なる淋菌株から走査し、NGDR9Varの215bp領域に亘る上流側及び下流側のオリゴヌクレオチドプライマー、NG579(5’−GTTTCGACAGGCTTGCGAA−3’)(配列番号38)及びNG552(5’−CCTGTTTGCGACAAAGAGGA−3’)(配列番号40)を合成した。これらのプライマーの双方の3’末端におけるデオキシシチジル酸単位は、例えば米国特許番号第6,001,611に記載のように、t−ブチルベンジル基を含むよう予め修飾しておいた。NGDR9Var中におけるNG579及びNG552の位置を図11に下線で示す。
【0225】
NGDR9Varの215bp断片の増幅
(実施例Iにて上述したような)種々のナイセリア種から単離されたゲノムDNAを鋳型として用い、プライマー対としてNG579及びNG552(上述)を用いて、個別にPCR反応を行った。PCRは全量100μl(50mM トリシン(pH8.3)、80mM K(OAc)2(pH7.5)、1mM Mn(OAc)2(pH6.5)、5%グリセロール、1mM Mg(OAc)2(pH6.5)、50μM dATP、50μM dGTP、50μM dCTP、100μM dUTP、20UのZO5(登録商標)DNAポリメラーゼ(Roche Molecular Systems, Alameda, CA)、5U AmpErase(登録商標)UNG(ウラシル−N−グリコシラーゼ)、及び0.5μMの各プライマーを含有)で行った。ゲノムDNAを鋳型として、淋菌については一反応当たり103ゲノム等量、髄膜炎菌及び他のナイセリア株については一反応当たり106ゲノム等量加えた。反応は60サイクルにわたって、変性は95℃で15秒、アニーリングは58℃で40秒、及び最後の延長は72℃で5分間、COBAS Taqman(登録商標)PCRシステム(Roche Molecular Systems, Alameda, CA)を用いて行った。
【0226】
NGDR9Var PCR産物の分析アガロースゲル電気泳動
実施例Iに記載の手順で、ゲル電気泳動分析用のPCR産物を調製した。得られたゲルについて、PCR増幅産物が期待されるサイズである215bpに存在するか否かを調べた。
【0227】
図12A及びBは、215塩基対のNGDR9Var断片の検出を示すアガロースゲルの写真である。
【0228】
実施例VI:淋菌ダイレクトリピート9を用いた淋菌の検出
PCR分析のためのNGDR9Univオリゴヌクレオチドの選択及び合成
【0229】
NGDR9及びNGDR9Var配列の同時増幅及び検出のための単一組のオリゴヌクレオチドを利用するために、両配列について、配列同一性が最大となる領域を走査し、NGDR9の473塩基対の領域、NGDR9Varの394塩基対の領域に亘るコンセンサス配列である、上流及び下流オリゴヌクレオチドNGSU2(5’−GCGGCAAGCATCTGTTTTGC−3’)(配列番号47)及びNGSL2(5’−AGTAGCAGGCGCGAAGATTGA−3’)(配列番号49)を合成した。NGSU2及びNGSL2プライマーのそれぞれデオキシシトシン及びデオキシアデノシン塩基の3’末端は、えば米国特許番号第6,001,611の記載に従って、t−ベンジル基を含むように予め修飾しておいた。NGSU2及びNGSL2のNGDR9及びNGDR9Varにおける位置を、図11に下線で示す。
【0230】
NGDR9の473bp断片及びNGDR9Varの394bp断片の増幅
(実施例Iにて上述したような)種々のナイセリア種から単離されたゲノムDNAを鋳型として用い、プライマー対としてNGSU2及びNGSL2(上述)を用いて、個別にPCR反応を行った。PCRは全量100μl(50mM トリシン(pH8.3)、80mM K(OAc)2(pH7.5)、1mM Mn(OAc)2(pH6.5)、5%グリセロール、50μM dATP、50μM dGTP、50μM dCTP、100μM dUTP、20UのZO5(登録商標)DNAポリメラーゼ(Roche Molecular Systems, Alameda, CA)、5U AmpErase(登録商標)UNG(ウラシル−N−グリコシラーゼ)、及び0.5μMの各プライマーを含有)で行った。ゲノムDNAを鋳型として、淋菌については一反応当たり103ゲノム等量、髄膜炎菌及び他のナイセリア株については一反応当たり106ゲノム等量加えた。反応は60サイクルにわたって、変性は95℃で15秒、アニーリングは58℃で40秒、及び最後の延長は72℃で5分間、COBAS Taqman(登録商標)PCRシステム(Roche Molecular Systems, Alameda, CA)を用いて行った。
【0231】
NGDR9Univ PCR産物の分析アガロースゲル電気泳動
実施例Iの記載に従って、ゲル電気泳動分析用のPCR産物を調製した。得られたゲルについて、期待されるサイズである473bp(NGDR9)及び394bp(NGDR9Var)に、PCR増幅産物が存在するか否かを調べた。
【0232】
図13A及びBは、473塩基対のNGDR9断片及び394塩基対のNGDR9Var断片の検出を示すアガロースゲルの写真である。
【0233】
実施例VII:NGDR9Varプライマーを用いた淋菌の選択的検出を示すアッセイ
【0234】
本実施例では、プライマー核酸であるNG579(配列番号38)及びNG552(配列番号40)、並び5’−ヌクレアーゼプローブ(配列番号42に対応する配列を有する)を単独又はC.トラコマチスプライマーとの組み合わせで使用したアッセイで分析された生物のリストを提供する。
【0235】
これらのアッセイの包含率(即ち、試料中の標的生物、淋菌の検出能を示す指標)を表XIIに示す。
【0236】
【表17】

【0237】
これらのアッセイの排除率(即ち、ゴノレア以外のナイセリア生物種が試料中に存在する場合の、偽陽性の排除能を示す指標)を表XIIIに示す。
【0238】
【表18】

【0239】
これらのアッセイの特異性(即ち、非ナイセリア生物が試料中に存在する場合の、偽陽性の排除能を示す指標)を表XIVに示す。
【0240】
【表19】

【0241】
【表20】

【0242】
以上、本発明を明確化及び理解の目的である程度詳しく説明したが、当業者には本開示から明らかなように、本発明の真の範囲を逸脱しない範囲において、形式及び詳細において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述したいずれの手法及び装置も、種々の組み合わせで使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1−1】淋菌ダイレクトリピート9(NGDR9)配列(配列番号1)と、種々の淋菌株(株1117、配列番号29;株1120、配列番号30;株6346、配列番号31;株6359、配列番号32;及び株6364、配列番号33)由来のゲノムDNAの単位複製配列との配列アラインメントである。主要(コンセンサス)配列は配列番号28である。
【図1−2】淋菌ダイレクトリピート9(NGDR9)配列(配列番号1)と、種々の淋菌株(株1117、配列番号29;株1120、配列番号30;株6346、配列番号31;株6359、配列番号32;及び株6364、配列番号33)由来のゲノムDNAの単位複製配列との配列アラインメントである。主要(コンセンサス)配列は配列番号28である。
【図1−3】淋菌ダイレクトリピート9(NGDR9)配列(配列番号1)と、種々の淋菌株(株1117、配列番号29;株1120、配列番号30;株6346、配列番号31;株6359、配列番号32;及び株6364、配列番号33)由来のゲノムDNAの単位複製配列との配列アラインメントである。主要(コンセンサス)配列は配列番号28である。
【図1−4】淋菌ダイレクトリピート9(NGDR9)配列(配列番号1)と、種々の淋菌株(株1117、配列番号29;株1120、配列番号30;株6346、配列番号31;株6359、配列番号32;及び株6364、配列番号33)由来のゲノムDNAの単位複製配列との配列アラインメントである。主要(コンセンサス)配列は配列番号28である。
【図1−5】淋菌ダイレクトリピート9(NGDR9)配列(配列番号1)と、種々の淋菌株(株1117、配列番号29;株1120、配列番号30;株6346、配列番号31;株6359、配列番号32;及び株6364、配列番号33)由来のゲノムDNAの単位複製配列との配列アラインメントである。主要(コンセンサス)配列は配列番号28である。
【図1−6】淋菌ダイレクトリピート9(NGDR9)配列(配列番号1)と、種々の淋菌株(株1117、配列番号29;株1120、配列番号30;株6346、配列番号31;株6359、配列番号32;及び株6364、配列番号33)由来のゲノムDNAの単位複製配列との配列アラインメントである。主要(コンセンサス)配列は配列番号28である。
【図1−7】淋菌ダイレクトリピート9(NGDR9)配列(配列番号1)と、種々の淋菌株(株1117、配列番号29;株1120、配列番号30;株6346、配列番号31;株6359、配列番号32;及び株6364、配列番号33)由来のゲノムDNAの単位複製配列との配列アラインメントである。主要(コンセンサス)配列は配列番号28である。
【図1−8】淋菌ダイレクトリピート9(NGDR9)配列(配列番号1)と、種々の淋菌株(株1117、配列番号29;株1120、配列番号30;株6346、配列番号31;株6359、配列番号32;及び株6364、配列番号33)由来のゲノムDNAの単位複製配列との配列アラインメントである。主要(コンセンサス)配列は配列番号28である。
【図2】試料中の淋菌を検出するためのシステムの代表例を示すブロック図である。
【図3】本発明を具現化し得る種々の態様におけるコンピュータ及びコンピュータ読取可能媒体を含むシステムの代表例を示すブロック図である。
【図4−1】NGDR9配列(配列番号1)ブタ流産菌1330染色体Iセクション155(GenBank(登録商標)受託番号AE014469)配列の一部(配列番号34)とのClustalWアラインメントである。
【図4−2】NGDR9配列(配列番号1)ブタ流産菌1330染色体Iセクション155(GenBank(登録商標)受託番号AE014469)配列の一部(配列番号34)とのClustalWアラインメントである。
【図4−3】NGDR9配列(配列番号1)ブタ流産菌1330染色体Iセクション155(GenBank(登録商標)受託番号AE014469)配列の一部(配列番号34)とのClustalWアラインメントである。
【図5】190塩基対のNGDR9断片の検出を示すアガロースゲルの写真である。
【図6】190塩基対のNGDR9断片の検出を示すアガロースゲルの写真である
【図7】416塩基対のNGDR9断片の検出を示すアガロースゲルの写真である。
【図8−1】淋菌ダイレクトリピート33(NGDR33)(配列番号2)配列と、髄膜炎菌血清型群B株MC58セクション77(GenBank(登録商標)受託番号AE002435)の配列の一部(配列番号35)とのClustalWアラインメントを示す図である。
【図8−2】淋菌ダイレクトリピート33(NGDR33)(配列番号2)配列と、髄膜炎菌血清型群B株MC58セクション77(GenBank(登録商標)受託番号AE002435)の配列の一部(配列番号35)とのClustalWアラインメントを示す図である。
【図8−3】淋菌ダイレクトリピート33(NGDR33)(配列番号2)配列と、髄膜炎菌血清型群B株MC58セクション77(GenBank(登録商標)受託番号AE002435)の配列の一部(配列番号35)とのClustalWアラインメントを示す図である。
【図8−4】淋菌ダイレクトリピート33(NGDR33)(配列番号2)配列と、髄膜炎菌血清型群B株MC58セクション77(GenBank(登録商標)受託番号AE002435)の配列の一部(配列番号35)とのClustalWアラインメントを示す図である。
【図9】265塩基対のNGDR33断片の検出を示すアガロースゲルの写真である。
【図10】265塩基対のNGDR33断片の検出を示すアガロースゲルの写真である。
【図11−1】淋菌ダイレクトリピート9変異体(NGDR9Var)配列(配列番号36)と、種々の淋菌株(株1137、配列番号61;株6676、配列番号62;株6677、配列番号63;株6864A、配列番号64;株2072、配列番号65;株3533、配列番号66;及び株6864B、配列番号67)由来のゲノムDNAの単位複製配列及びNGDR9配列(配列番号1)との配列アラインメントを示す図である。
【図11−2】淋菌ダイレクトリピート9変異体(NGDR9Var)配列(配列番号36)と、種々の淋菌株(株1137、配列番号61;株6676、配列番号62;株6677、配列番号63;株6864A、配列番号64;株2072、配列番号65;株3533、配列番号66;及び株6864B、配列番号67)由来のゲノムDNAの単位複製配列及びNGDR9配列(配列番号1)との配列アラインメントを示す図である。
【図11−3】淋菌ダイレクトリピート9変異体(NGDR9Var)配列(配列番号36)と、種々の淋菌株(株1137、配列番号61;株6676、配列番号62;株6677、配列番号63;株6864A、配列番号64;株2072、配列番号65;株3533、配列番号66;及び株6864B、配列番号67)由来のゲノムDNAの単位複製配列及びNGDR9配列(配列番号1)との配列アラインメントを示す図である。
【図11−4】淋菌ダイレクトリピート9変異体(NGDR9Var)配列(配列番号36)と、種々の淋菌株(株1137、配列番号61;株6676、配列番号62;株6677、配列番号63;株6864A、配列番号64;株2072、配列番号65;株3533、配列番号66;及び株6864B、配列番号67)由来のゲノムDNAの単位複製配列及びNGDR9配列(配列番号1)との配列アラインメントを示す図である。
【図11−5】淋菌ダイレクトリピート9変異体(NGDR9Var)配列(配列番号36)と、種々の淋菌株(株1137、配列番号61;株6676、配列番号62;株6677、配列番号63;株6864A、配列番号64;株2072、配列番号65;株3533、配列番号66;及び株6864B、配列番号67)由来のゲノムDNAの単位複製配列及びNGDR9配列(配列番号1)との配列アラインメントを示す図である。
【図11−6】淋菌ダイレクトリピート9変異体(NGDR9Var)配列(配列番号36)と、種々の淋菌株(株1137、配列番号61;株6676、配列番号62;株6677、配列番号63;株6864A、配列番号64;株2072、配列番号65;株3533、配列番号66;及び株6864B、配列番号67)由来のゲノムDNAの単位複製配列及びNGDR9配列(配列番号1)との配列アラインメントを示す図である。
【図11−7】淋菌ダイレクトリピート9変異体(NGDR9Var)配列(配列番号36)と、種々の淋菌株(株1137、配列番号61;株6676、配列番号62;株6677、配列番号63;株6864A、配列番号64;株2072、配列番号65;株3533、配列番号66;及び株6864B、配列番号67)由来のゲノムDNAの単位複製配列及びNGDR9配列(配列番号1)との配列アラインメントを示す図である。
【図12A】215塩基対のNGDR9Var断片の検出を示すアガロースゲルの写真である。
【図12B】215塩基対のNGDR9Var断片の検出を示すアガロースゲルの写真である。
【図13A】473塩基対のNGDR9断片及び394塩基対のNGDR9Var断片の同時検出を示すアガロースゲルの写真である。
【図13B】473塩基対のNGDR9断片及び394塩基対のNGDR9Var断片の同時検出を示すアガロースゲルの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号37〜60の何れか1つ、或いはその相補体に対して、少なくとも90%の配列同一性を有する核酸を含んでなるオリゴヌクレオチドであって、50以下のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
前記核酸が、配列番号37〜60の何れか1つ、或いはその相補体に対して、少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチドが少なくとも1の修飾ヌクレオチドを含んでなる、請求項1記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
前記オリゴヌクレオチドが少なくとも1の標識及び/又は少なくとも1のクエンチャー成分を含んでなる、請求項1記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
試料中の淋菌(Neisseria gonorrhoeae)を検出する方法であって:
(a)試料由来の核酸を、少なくとも1の核酸増幅反応において、少なくとも第1のプライマー核酸の対と接触させる工程であって、前記プライマー核酸が、配列番号37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号37〜60の何れか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号37〜60及び変異体の相補体からなる群より選択される少なくとも1の核酸を含んでなる工程;並びに
(b)(a)の間又は後に、前記核酸、及び/又は、核酸増幅反応由来のその1又は2以上の単位複製配列(amplicons)を検出することにより、前記試料中の淋菌を検出する工程を含んでなる方法。
【請求項6】
(a)が、前記試料由来の核酸を、少なくとも、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)核酸に対して少なくとも部分的に相補的な第2のプライマー核酸の対と接触させることを含んでなり、
(b)が、(a)の間又は後に、前記核酸増幅反応由来の1又は2以上の更なる単位複製配列を検出することにより、試料中のクラミジア・トラコマチスを検出することを含んでなる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
(b)が、前記単位複製配列と、1又は2以上の核酸検出試薬との間の結合を監視することを含んでなり、
前記核酸検出試薬が、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号36の1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号36又はその変異体の相補体からなる配列を有する核酸に、検出可能に結合する、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記核酸検出試薬の少なくとも1が、配列番号37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号37〜60の何れか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号37〜60及びその変異体の相補体からなる群より選択される配列を有する核酸を含んでなる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
試料中の淋菌を検出する方法であって:
(a)試料由来の核酸を、少なくとも1の核酸増幅反応において、少なくとも第1のプライマー核酸の対と接触させる工程であって、前記プライマー核酸の各々が12から100のヌクレオチドを有するとともに、前記プライマー核酸の少なくとも1つが、配列番号36の下位配列又はその相補体と、少なくとも90%の配列同一性を有する工程;並びに、
(b)(a)の間又は後に前記核酸、及び/又は、前記核酸増幅反応由来の1又は2以上の単位複製配列を検出することにより、試料中の淋菌を検出する方法。
【請求項10】
(a)が、
前記試料由来の核酸を、少なくとも、クラミジア・トラコマチス核酸に対して少なくとも部分的に相補的な、第2のプライマー核酸の対に接触させることを含んでなり、
(b)が、(a)の間又は後に、核酸増幅反応由来の1又は2以上の更なる単位複製配列を検出することにより、試料中のクラミジア・トラコマチスを検出することを含んでなる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
(b)が、前記単位複製配列と、1又は2以上の核酸検出試薬との結合を監視することを含んでなり、
前記核酸検出試薬が、配列番号36、実質的に同一なその変異体であって、配列番号36に対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号36又はその変異体の相補体からなる配列を有する核酸に対して検出可能に結合する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
(a)50以下のヌクレオチドを有する少なくとも1のオリゴヌクレオチドであって、配列番号36又はその相補体の下位配列と、少なくとも90%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;並びに
1又は2以上の:
(b)試料中の淋菌の存在が知られておらず、又は確証されていない場合に、試料由来の核酸及び/又はその単位複製配列と、前記オリゴヌクレオチドとの間の結合を監視することにより、前記試料中の淋菌の存在を判定するための使用説明書;又は
(c)少なくとも前記オリゴヌクレオチドを包装するための、少なくとも1の容器とを含んでなるキット。
【請求項13】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号37〜60の何れか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号37〜60及びその変異体の相補体からなる群より選択される配列を有する、請求項12記載のキット。
【請求項14】
クラミジア・トラコマチス核酸に対して検出可能に結合する、1又は2以上の核酸検出試薬を更に有する、請求項12記載のキット。
【請求項15】
配列番号36の1又は2以上の下位配列、実質的に同一なその変異体であって、配列番号36に対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、或いは、配列番号36又はその変異体の相補体に対応する配列を有する一組の単位複製配列を含んでなる反応混合物であって、
前記単位複製配列は終止ヌクレオチドを欠き、
少なくとも前記一組の単位複製配列のサブセットが、配列番号37〜60、実質的に同一なその変異体であって、配列番号37〜60の何れか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体、並びに、配列番号37〜60及びその変異体の相補体からなる群より選択される配列を有する少なくとも1のプライマー核酸を用いて製造される、反応混合物。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図1−7】
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【図1−8】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図8−4】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図11−4】
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【図11−5】
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【図11−6】
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【図11−7】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【公開番号】特開2009−100742(P2009−100742A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−265797(P2008−265797)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】