説明

淡水製造装置

【課題】安価な設備コストで、かつ効率良く淡水を製造する。
【解決手段】第1領域11に第1溶液waを設ける。第2領域12に被処理水wbを設ける。好ましくは、第1領域11と第2領域12を変位可能な可動仕切り13によって仕切る。第1領域11と第1外部領域21を第1膜23で仕切る。第1外部領域21には、第1溶液waより浸透圧が低い外部溶液wcを設ける。第1溶液waと外部溶液wcの浸透圧の差が、被処理水wbの浸透圧より大きい。第1膜23は、外部溶液wcの成分のうち溶媒のみ透過を許容する。第2領域12と淡水取り出し領域32を第2膜33で仕切る。第2膜33は、被処理水wbの成分のうち水分のみ透過を許容する。好ましくは、被処理水wbが塩水であり、第1溶液waが被処理水wbより高濃度の塩水であり、外部溶液wcが第1溶液waより低濃度の塩水である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、海水等の被処理水から淡水を製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1では、太陽光を集光レンズで集光して塩水に照射する。これにより、塩水を加熱し、水蒸気を発生させる。この水蒸気を凝縮させて淡水を得ている。
【0003】
非特許文献1では、塩田で生成された濃縮塩水の水蒸気吸収力を駆動力として、海水又は低濃度塩水から水蒸気を発生させ、この水蒸気を凝縮させて淡水を得ている。
【特許文献1】特開2003−126841号公報
【非特許文献1】木下幹夫、濃厚塩水−希薄塩水利用の吸収ヒートポンプによる脱塩システム、平成12年2月23日、インターネット <URL:http://www2.neweb.ne.jp/wd/kinoshita/desalt.htm>又はMACRO REVIEW, VOl.12,No.1,pp.25-36
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、太陽光の集熱効率を高めるには集光レンズを大口径にする必要がある。したがって、設備コストが嵩む。レンズに代えて集熱パネルを用いたとしても設備コストが嵩む。
非特許文献1では、集光レンズや太陽熱集熱パネルを設ける必要がなく、比較的低い設備コストで淡水製造装置を造ることができる。しかし、海水又は低濃度塩水から水分子を蒸発させるために、多くの蒸発潜熱を必要とする。この蒸発潜熱はプロセス内の凝縮熱と相殺されるため外部から加える必要はないが、プロセスに温度差があると、系のエントロピーが増大して効率が低下する。
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであり、海水等の被処理水を原料にして、安価な設備コストで、かつ効率良く淡水を製造できる淡水製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、被処理水から淡水を製造する装置であって、
第1の溶液が設けられた第1領域と、
前記被処理水(第2の溶液)が設けられた第2領域と、
前記第1、第2領域を変位可能に仕切る可動仕切りと、
前記第1領域を、前記第1溶液より浸透圧が低い外部溶液(第3の溶液)が設けられた第1外部領域から仕切り、又は前記第1領域に連なる第1中間領域を、前記第1外部領域から仕切り、前記外部溶液の成分のうち溶媒のみ透過を許容する第1膜と、
前記第2領域を淡水取り出し領域から仕切り、又は前記第2領域に連なる第2中間領域を前記淡水取り出し領域から仕切り、前記被処理水の成分のうち水分のみ透過を許容する第2膜と、
を備え、前記第1領域と第2領域の合計容積が一定であり、前記可動仕切りの変位により前記第1領域と第2領域のうち一方の容積が増え、他方の容積が減り、前記第1溶液と前記外部溶液の浸透圧の差が、前記被処理水の浸透圧より大きいことを特徴とする。
第1領域の第1溶液の浸透圧が第1外部領域の外部溶液の浸透圧より高い。そのため、外部溶液の溶媒が第1膜を透過して第1領域に直接又は第1中間領域を経て入り込む。すると、第1領域の体積が増大し、可動仕切りが第2領域側に変位する。したがって、第2領域内の被処理水に圧力がかかり、被処理水が第2膜に向けて押圧される。この押圧力の大きさは、第1溶液と外部溶液の浸透圧の差に対応し、被処理水の浸透圧より大きい。したがって、被処理水の水分が第2膜を透過して淡水取り出し領域へ漉し出される。これにより、淡水取り出し領域から淡水を取り出すことができる。安価な設備コストで、かつ効率良く淡水を製造できる。被処理水の水分を第2膜から漉し出す駆動力を第1溶液及び外部溶液の浸透圧の差によって得ることができる。したがって、外部から投入すべき駆動エネルギーを十分に小さくできる。
【0006】
前記可動仕切りが、前記第1溶液及び前記被処理水の各成分が透過不能な柔軟なシート(不透過膜)であることが好ましい。
これによって、外部溶液の溶媒が第1膜を透過して第1領域に入るのに応じて、可動仕切りが確実に第2領域の側へ変位できる。可動仕切りが第1溶液の各成分の透過を阻止し、かつ被処理水の各成分の透過を阻止するため、第1領域の第1溶液と第2領域の被処理水が混ざるのを防止できる。
【0007】
容器を備え、該容器の内部が前記可動仕切りによって前記第1領域と前記第2領域とに仕切られていることが好ましい。
これによって、第1領域及び第2領域を確実かつ容易に形成できる。
【0008】
第1膜ユニットを備え、該第1膜ユニットの内部が前記第1膜によって前記第1外部領域と前記第1中間領域とに仕切られ、前記第1中間領域と第1領域とが、第1連通路にて連なっていることが好ましい。
これによって、第1外部領域の外部溶液の溶媒が第1膜を透過し、第1中間領域に入り込み、第1溶液に混ざる。したがって、第1溶液の体積が増える。第1溶液の増加分が、第1連通路を介して第1領域に入り、第1領域の容積が増大する。これにより、可動仕切りが第2領域側に変位し、被処理水の水分が第2膜を透過して淡水取り出し領域へ漉し出される。この結果、淡水が得られる。第1膜の面積及び形状を第1領域の断面積及び断面形状に制限されることなく設定できる。したがって、第1膜の面積を十分に大きくすることが可能であり、そうすることで、外部溶液の溶媒の透過効率を高めることができ、ひいては淡水の生産効率を向上できる。
【0009】
第2膜ユニットを備え、該第2膜ユニットの内部が前記第2膜によって前記第2中間領域と前記淡水取り出し領域とに仕切られ、前記第2中間領域と第2領域とが、第2連通路にて連なっていることが好ましい。
第2連通路によって前記第2領域の被処理水を第2中間領域へ送ることができる。第2中間領域では被処理水の水分が第2膜を透過し淡水取り出し領域へ漉し出される。これにより、淡水が得られる。第2膜の面積及び形状を第2領域の断面積及び断面形状に制限されることなく設定できる。したがって、第2膜の面積を十分に大きくすることが可能であり、そうすることで、被処理水の水分の漉し出し効率ひいては淡水の生産効率を向上できる。
【0010】
前記第1外部領域に、前記外部溶液として海水を導入する外部海水導入路と、前記海水の導入流量に対応する流量の外部溶液を排出する第1排出路とが接続されていることが好ましい。
外部溶液として海水を用いることができ、ランニングコストを低減できる。外部溶液(海水)の水分が第1膜を透過して第1溶液に移ると、外部溶液(海水)の塩分濃度が上昇するが、外部海水導入路及び第1排出路によって外部溶液(海水)を入れ替えることで、第1外部領域内の塩分濃度を常に一定にできる。したがって、外部溶液(海水)の浸透圧の上昇速度を抑制でき、反応が平衡に達するのを遅らせることができる。この結果、稼働可能時間を長くでき、淡水のトータルの生産量を増やすことができる。
【0011】
前記第2領域に前記被処理水として海水を導入する被処理海水導入路が接続されていることが好ましい。
被処理水として海水を用いることができ、海水から淡水を得ることができる。
【0012】
本発明は、被処理水から淡水を製造する装置であって、
内部に、第1溶液と、前記第1溶液の上に積層された前記被処理水とが設けられた容器と、
前記容器内の第1溶液を、第1溶液より浸透圧が低い外部溶液から仕切り、前記外部溶液の成分のうち溶媒のみ透過を許容する第1膜と、
前記容器内の被処理水を、淡水取り出し領域から仕切り、前記被処理水の成分のうち水分のみ透過を許容する第2膜と、
を備え、前記第1溶液と前記外部溶液の浸透圧の差が、前記被処理水の浸透圧より大きいことを他の特徴とする。
容器内の第1溶液の浸透圧が第1外部領域の外部溶液の浸透圧より高い。そのため、外部溶液の溶媒が第1膜を透過して第1溶液に混ざる。これにより、第1溶液の上側の被処理水が圧力を持って第2膜に押し当たる。この押圧力の大きさは、第1溶液と外部溶液の浸透圧の差に対応し、被処理水の浸透圧より大きい。したがって、被処理水の水分が第2膜を透過して淡水取り出し領域へ漉し出される。これにより、淡水取り出し領域から淡水を取り出すことができる。安価な設備コストで、かつ効率良く淡水を製造できる。被処理水の水分を第2膜から漉し出す駆動力を第1溶液及び外部溶液の浸透圧の差によって得ることができる。したがって、外部から投入すべき駆動エネルギーを十分に小さくできる。
【0013】
前記第1溶液の溶媒と前記外部溶液の溶媒が、互いに同一組成の液体であることが好ましい。
これにより、外部溶液の溶媒が第1膜を透過して第1溶液に混ざっても、第1溶液の成分構成が変わるのを防止できる。
【0014】
前記被処理水が、塩水であることが好ましい。前記被処理水として海水を用いることがより好ましい。前記第1溶液が、前記被処理水より高塩分濃度の塩水であることが好ましい。前記外部溶液が、前記第1溶液より低塩分濃度の塩水であることが好ましい。
これにより、塩水から淡水を製造できる。好ましくは海水から淡水を製造できる。かつ、塩水を用いて、淡水製造の駆動エネルギーを得ることができる。被処理水と第1溶液が混合しても、混合物を塩水として使用又は廃棄できる。第1溶液と外部溶液が混合しても、混合物を塩水として使用又は廃棄できる。混合物を濃度調節すれば、被処理水、第1溶液、外部溶液の何れかとして再使用できる。
【0015】
前記第1溶液が、塩水であり、
塩田の濃縮塩水を前記第1溶液として前記第1領域に送る濃縮塩水導入路を更に備えたことが好ましい。
塩田は、海水等の塩水を原料にして塩を生産するものである。塩の生産過程で塩水が濃縮される。この濃縮塩水を濃縮塩水導入路によって第1領域に導入し、第1溶液(塩水)として用いることができる。したがって、稼働開始時の第1溶液の塩分濃度を十分に高くでき、第1溶液と外部溶液の塩分濃度差を十分に大きくできる。よって、稼働可能時間を長くでき、淡水のトータルの生産量を増やすことができる。
【0016】
前記第1溶液が、塩水であり、前記外部溶液の溶媒が水であり、
前記第1溶液を塩田に送る塩水送路を更に備えたことが好ましい。
淡水製造装置を稼働すると、外部溶液の水分(溶媒)が第1領域に入り込み、第1溶液の塩分濃度が低下する。第1溶液の塩分濃度がある程度低下したときは、第1溶液を塩水送路によって塩田に送ることができる。これにより、第1溶液を塩田で再度濃縮できる。前記被処理水として海水を用いた場合、或いは前記外部溶液として塩水を用いた場合、第1溶液の塩分濃度は、海水或いは外部溶液の塩分濃度と比べると高濃度であるため、塩田の負担を軽減できる。
【0017】
前記被処理水に、第2膜又は可動仕切りを損傷したり目詰まりさせたりする不要物(ゴミ等)が含まれている場合、本装置に前記被処理水を導入する前に前記不要物を取り除くことが好ましい。前記第1溶液又は前記外部溶液に、可動仕切り又は第1膜を損傷したり目詰まりさせたりする不要物(ゴミ等)が含まれている場合、本装置に第1溶液又は外部溶液を導入する前に前記不要物を取り除くことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、安価な設備コストで、かつ効率良く淡水を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の基本態様に係る第1実施形態を示したものでる。淡水製造装置1は、被処理水wbから淡水を取り出すものであり、容器10と、第1外部領域画成部29と、第2外部領域画成部39を備えている。
【0020】
容器10は、例えば両端が開口された筒状になっている。容器10の内部に可動仕切り13が設けられている。可動仕切り13は、水分及び塩分が透過不能な柔軟なシート(不透過膜)で構成されている。可動仕切り13は耐塩性を有していることが好ましい。可動仕切り13の材質は、例えばオレフィン樹脂や塩化ビニール樹脂である。可動仕切り13の周縁部が容器10の内周面に全周にわたって固定されている。可動仕切り13によって、容器10の内部が第1領域11と第2領域12に仕切られている。容器10の下側部は、第1領域画成部を構成している。容器10の上側部は、第2領域画成部を構成している。
【0021】
第1領域11の容積と第2領域12の容積の合計は、可動仕切り13の変位状態に拘らず一定であり、容器10の容積に等しい。可動仕切り13の変位により第1領域11と第2領域12のうち一方の容積が増え、他方の容積が減る。
【0022】
第1領域11には第1溶液waが充填されている。第1溶液waは、海水(被処理水wb)より十分に高い塩分濃度の濃縮塩水になっている。一般に、海水の塩分濃度が3.5%(重量百分率、以下同じ)程度であるのに対し、初期状態(淡水製造装置1の稼働開始時)での第1溶液waの塩分濃度は例えば10%程度である。なお、第1溶液waの塩分濃度は、淡水製造装置1の稼働に伴なって漸減する。
【0023】
第2領域12には被処理水wbが充填されている。被処理水wbとして海水(塩分濃度:約3.5%)が用いられている。被処理水wbの塩分濃度は、第1溶液waの塩分濃度より低い。なお、被処理水wbの塩分濃度は、淡水製造装置1の稼働に伴なって上昇する。
【0024】
容器10の第1領域11側の端部(図1において下)に第1外部領域画成部29が接続されている。第1外部領域画成部29は、例えば上部が開放された容器で構成されている。第1外部領域画成部29の内部に第1外部領域21が画成されている。第1外部領域21に外部溶液wcが充填されている。外部溶液wcとして海水(塩分濃度:約3.5%)が用いられている。したがって、外部溶液wcの塩分濃度は、第1溶液waの塩分濃度より低い(後記式(1))。なお、外部溶液wcの塩分濃度は、淡水製造装置1の稼働に伴なって上昇する。第1溶液waの溶媒と外部溶液wcの溶媒は、互いに同一組成の液体(水)である。
【0025】
容器10の第1領域11側の端部(下端部)の開口に第1膜23が設けられている。第1膜23によって第1外部領域21と第1領域11とが仕切られている。第1膜23は、逆浸透膜(RO膜)で構成され、水分(溶媒)と塩分(溶質)のうち水分(溶媒)のみ透過を許容する。
【0026】
容器10の第2領域12側の端部(図1において上)に第2外部領域画成部39が設けられている。第2外部領域画成部39の内部に淡水取り出し領域32が画成されている。淡水取り出し領域32に淡水wd(塩分濃度:0%)が充填されている。淡水取り出し領域32から淡水取り出し路49が延びている。
【0027】
容器10の第2領域12側の端部(上端部)の開口に第2膜33が設けられている。第2膜33によって、第2領域12と淡水取り出し領域32とが仕切られている。第2膜33は、逆浸透膜(RO膜)で構成され、水分(溶媒)と塩分(溶質)のうち水分(溶媒)のみ透過を許容する。
【0028】
ここで、第1溶液waの塩分濃度をCa、被処理水wbの塩分濃度をCb、外部溶液wcの塩分濃度をCc、淡水wdの塩分濃度をCdとすると、以下の式(1)及び(2)が成り立つ。
Ca>Cc …(1)
Ca−Cc>Cb−Cd=Cb …(2)
すなわち、外部溶液wcの塩分濃度Ccが、第1溶液waの塩分濃度Caより低い。かつ、第1溶液waと外部溶液wcの塩分濃度差が、被処理水wbと淡水wdとの塩分濃度差より大きい。淡水の塩分濃度CdはCd=0%であるから、第1溶液waと外部溶液wcの塩分濃度差が、被処理水wbの塩分濃度より大きい。なお、Ca,Cb,Cc,Cdは浸透圧に関連する濃度であり、それぞれCaは第1溶液waの浸透圧に対応し、Cbは被処理水wbの浸透圧に対応し、Ccは外部溶液wcの浸透圧に対応し、Cdは淡水wdの浸透圧に対応する。溶液wa,wb,wcの溶質が同種の場合、浸透圧はモル濃度に概略比例する。溶液wa,wb,wcがイオン性液体の場合、イオンの電離率などの変化により浸透圧が多少変化する。ここでは、簡単のため、溶液wa,wb,wcが完全電離しているものとする。
【0029】
上記構成の淡水製造装置1の動作を説明する。
第1領域11の第1溶液waの塩分濃度が第1外部領域21の外部溶液wcの塩分濃度より高い(式(1))。ひいては、第1溶液waの浸透圧が外部溶液wcの浸透圧より高い。そのため、外部溶液wcの水分(溶媒)が第1膜23を透過して第1領域11に入り込む。すると、第1領域11の体積が増大し、可動仕切り13が第2領域12の側に押され、第2領域12内の被処理水wbに圧力がかかる。したがって、被処理水wbの水分が第2膜33を透過して淡水取り出し領域32へ漉し出される。よって、淡水取り出し領域32の淡水wdの量が増える。この淡水wdを取り出し路49によって取り出すことができる。
【0030】
上記可動仕切り13が被処理水wbを押す圧力は、理論上は第1溶液waと外部溶液wcの浸透圧の差に等しく、被処理水wbと淡水wdの浸透圧の差より大きい(式(2)より)。したがって、淡水取り出し領域32の淡水wdが第2膜33を透過して第2領域12に逆流することはない。
【0031】
淡水製造装置1によれば、安価な設備コストで、かつ効率良く淡水を製造できる。被処理水wbの水分を第2膜33から漉し出す駆動力を第1溶液waと外部溶液wcの浸透圧の差によって得ることができる。したがって、外部から投入すべき駆動エネルギーを十分に小さくできる。外部から投入すべきエネルギーは、基本的には第1溶液waとして濃縮塩水を作るエネルギーのみである。第1溶液waとして塩田で生成した濃縮海水を用いることにすれば、コストを安価にできる。塩田は、太陽エネルギーで濃縮塩水を作るものである。したがって、装置1の駆動エネルギーとして、化石燃料などのエネルギーを用いなくても済む。
【0032】
第1外部領域21の外部溶液wcは、水分が第1領域11に透過した分だけ塩分濃度が上昇する。第1領域11の第1溶液waは、第1外部領域21から水分が透過して来た分だけ塩分濃度が低下する。第2領域12の被処理水wbは、水分が淡水取り出し領域32に透過した分だけ塩分濃度が上昇する。したがって、淡水製造装置1の稼働(淡水の取り出し)に伴なって、第1溶液waと外部溶液wcの浸透圧の差(可動仕切り13が被処理水wbを押す圧力)が漸減し、被処理水wbと淡水wdの浸透圧の差が漸増する。
【0033】
第1溶液waの塩分濃度が例えば約7%になると、第1溶液waと外部溶液wcの浸透圧の差と、被処理水wbと淡水wdの浸透圧の差とが平衡するようになり、淡水製造装置1の稼働(淡水の取り出し)が停止される。その後、塩水wa,wb,wcをそれぞれ初期濃度のものに入れ替える。そして、装置1の運転を再実行する。
【0034】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において、既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を適宜省略する。
【0035】
図2は、本発明の第2実施形態を示したものである。第2実施形態の淡水製造装置1Xは、容器10と、第1膜ユニット20と、第2膜ユニット30を備えている。容器10の内部が可動仕切り13によって第1領域11と第2領域12に仕切られている。容器10は、有底かつ有蓋であり、第1領域11側(図2において下)の端部及び第2領域12側(図2において上)の端部は共に塞がれている。
【0036】
第1膜ユニット20は、容器状になっている。第1膜ユニット20の内部に逆浸透膜からなる第1膜23が設けられている。第1膜23によって、第1膜ユニット20の内部が第1外部領域21と第1中間領域22に仕切られている。
【0037】
この実施形態の第1膜23は、複数(図では1つのみ図示)の管状になっている。第1膜23を構成する各管の内部が第1中間領域22になり、管の外部が第1外部領域21になっている。第1外部領域21内には外部溶液(塩水)wcが充填されている。管状の各第1膜23内の第1中間領域22には第1溶液(濃縮塩水)waが充填されている。第1溶液waは、外部溶液wcより高圧になっている。したがって、第1膜23を構成する管が潰れることはない。
【0038】
第1外部領域21の一端部(図2において右)に外部海水導入路41が連なっている。外部海水導入路41は、海水を通す。この海水が外部溶液wcになる。外部海水導入路41に液ポンプp1が設けられている。第1外部領域21の他端部(図2において左)から第1排出路42が延びている。
【0039】
第1中間領域22の一端部(図2において右)と第1領域11の一側部(図2において右)が第1連通往路43にて接続されている。第1連通往路43に液ポンプp2が設けられている。液ポンプp2の吸込みポートは、第1中間領域22側に向けられている。液ポンプp2の吐出ポートは第1領域11側に向けられている。第1領域11の他側部(図2において左)と第1中間領域22の他端部(図2において左)が第1連通復路44にて接続されている。第1中間領域22と第1領域11が第1連通路43,44を介して連通している。
【0040】
第2膜ユニット30は、容器状になっている。第2膜ユニット30の内部に逆浸透膜からなる第2膜33が設けられている。第2膜33によって、第2膜ユニット30の内部が第2中間領域31と淡水取り出し領域32に仕切られている。
【0041】
この実施形態の第2膜33は、複数(図では1つのみ図示)の管状になっている。第2膜33を構成する各管の内部が第2中間領域31になり、管の外部が淡水取り出し領域32になっている。管状の各第2膜33内の第2中間領域31には被処理水(塩水)wbが充填されている。淡水取り出し領域32内には淡水wdが充填されている。被処理水wbは、淡水wdより高圧になっている。したがって、第2膜33を構成する管が潰れることはない。
【0042】
第2領域12の一側部(図2において右)と第2中間領域31の一端部(図2において右)が第2連通往路45にて接続されている。第2連通往路45に液ポンプp3が設けられている。液ポンプp3の吸込みポートは、第2領域12側に向けられている。液ポンプp3の吐出ポートは第2中間領域31側に向けられている。第2中間領域31の他端部(図2において左)と第2領域12の他側部(図2において左)が第2連通復路46にて接続されている。第2領域12と第2中間領域31が、第2連通路45,46を介して連通している。
【0043】
外部海水導入路41から被処理海水導入路47が分岐している。被処理海水導入路47は、液ポンプp3より上流側の第2連通往路45に合流している。被処理海水導入路47に開閉弁v3が設けられている。
【0044】
第2連通復路46から第2排出路48が分岐している。第2排出路48に開閉弁v4が設けられている。
【0045】
淡水取り出し領域32の一端部(図2において右)から淡水取り出し路49が延びている。
【0046】
淡水製造装置1Xは、塩田2と接続されている。塩田2は、塩水濃縮路2aを有している。塩水濃縮路2aは、天日開放され、たとえば九十九折り状になっている。太陽エネルギーで塩水濃縮路2aの塩水の塩分濃度が漸次高められ、濃縮塩水が得られ、更に塩分が取り出される。
【0047】
塩水濃縮路2aの下流端から濃縮塩水導入路51が延びている。濃縮塩水導入路51は、第1連通復路44に連なっている。濃縮塩水導入路51には、液ポンプp4と開閉弁v1が上流の塩田2側から順次設けられている。
【0048】
第1連通往路43から塩水送路52が分岐している。塩水送路52が、塩田2の塩水濃縮路2aの上流端に連なっている。塩水送路52は、液ポンプp2と第1膜ユニット20との間の第1連通往路43から分岐しているが、液ポンプp2と容器10との間の第1連通往路43から分岐していてもよい。塩水送路52には、開閉弁v2と液ポンプp5が上流側(第1連通往路43の側)から順次設けられている。
【0049】
淡水製造装置1Xの運転は、準備工程、淡水生成工程、後処理工程の順に実行する。
[準備工程]
いま、可動仕切り13は、容器10の第1領域11側(図2において下)の端部の近くに位置し、第1領域11の容積が十分に小さく、第2領域12の容積が十分に大きくなっているものとする。
【0050】
塩田2によって海水より十分に高塩分濃度の濃縮塩水を生成する。そして、開閉弁v1を開け、液ポンプp4を駆動する。これにより、塩水濃縮路2aの濃縮塩水が、濃縮塩水導入路51を通り、連通路44の一部を経て、第1領域11に導入される。この濃縮塩水が第1溶液waになる。なお、濃縮塩水導入路51を通る濃縮塩水の一部は、連通路44の他の一部を経て、第1中間領域22に導入される。
【0051】
開閉弁v2、v3は、閉じておく。液ポンプp2、p3、p5は、停止しておく。
【0052】
第1溶液waが第1領域11に導入されるにしたがって、可動仕切り13が第2領域12の側に変位する。第1領域11の容積が増大し、第2領域12の容積が減少する。開閉弁v4は、開状態にしておく。これにより、可動仕切り13の第2領域12側への変位に伴なって、第2領域12の被処理水wbが、第2領域12から連通路46を経て第2排出路48に押し出され、海へ排出される。
【0053】
第1領域11の容積(第1溶液waの体積)がある程度の大きさになったとき、ポンプp4を停止し、弁v1及びv4を閉じ、準備工程を終了する。
【0054】
[淡水生成工程]
淡水生成工程は、すべての開閉弁v1〜v4を閉じた状態で行なう。ポンプp4,p5は停止しておく。そして、ポンプp1,p2,p3を駆動する。なお、これらポンプp1〜p3の出力は、対応する各路41,43,45に流れが生じる程度であればよく低出力でよい。
【0055】
液ポンプp1の駆動によって、海水(塩分濃度:約3.5%)が外部海水導入路41を通り、第1外部領域21(第1膜ユニット20内における管状第1膜23の外側の部分)に導入される。この海水が外部溶液wcになる。海水を外部溶液wcとして用いるため、ランニングコストを低減できる。
【0056】
管状第1膜23内の第1中間領域22には第1溶液(濃縮塩水)waが通される。第1溶液waは外部溶液wcより塩分濃度ひいては浸透圧が十分に高い。したがって、外部溶液wcの水分(溶媒)が管状第1膜23を透過して第1中間領域22内に入り込み、第1溶液waに混入する。第1膜23は、容器10とは別の第1膜ユニット20に設けられているため、容器10の断面積及び形状に制限されることなく、大きさ及び形状を設定できる。第1膜23を複数の管で構成することで、第1膜23の総面積を十分に大きくでき、可動仕切り13の受圧面積より十分に大きくすることができる。よって、外部溶液wcの水分の浸透効率を十分に高くすることができる。
【0057】
第1溶液waは、液ポンプp2の駆動によって第1連通路43,44を介して第1中間領域22と第1領域11とを循環する。第1溶液waの総体積は、外部溶液wcの水分の透過分だけ増大する。この第1溶液waの体積増大によって、可動仕切り13が第2領域12側に変位する。可動仕切り13には第2領域12の側に向けて押圧力が作用する。これにより、第2領域12内の被処理水wbの圧力が高まる。第2実施形態でも式(1)及び式(2)が満たされている。したがって、上記押圧力は、被処理水wbと淡水wdの浸透圧差より大きく、被処理水wbの浸透圧より大きい。
【0058】
被処理水wbは、液ポンプp3の駆動によって第2連通路45,46を介して第2領域12と管状第2中間領域31とを循環する。この被処理水wbが管状第2中間領域31を通るとき、被処理水wbの水分が管状第2中間領域31を透過して淡水取り出し領域32へ漉し出される。これにより、取り出し路49から淡水を取り出すことができる。
【0059】
第2膜33が容器10とは別の第2膜ユニット30に設けられているため、容器10の断面積及び形状に制限されることなく、第2膜33の大きさ及び形状を設定できる。第2膜33を複数の管で構成することで、第2膜33の総面積を十分に大きくできる。よって、被処理水wbの水分の漉し出し効率を十分に高くすることができる。ひいては、淡水の生産効率を十分に高くすることができる。
【0060】
淡水生成工程の継続に伴なって、第1領域11の容積が漸増し、第2領域12の容積が漸減し、可動仕切り13が第2領域12側へ片寄っていく。第1溶液waの塩分濃度は、外部溶液wcからの水分混入により漸減する。また、被処理水wbの塩分濃度は、淡水取り出し領域32への水分の漉し出しによって漸増する。
【0061】
第1外部領域21の下流部分(図2において左側部分)における外部溶液wcの塩分濃度は、水分の第1中間領域22への透過によって若干高くなり、例えば約3.6%程度になる。この外部溶液wcが、第1外部領域21から第1排出路42に排出される。第1排出路42に排出される外部溶液wcの流量は、外部海水導入路41によって第1外部領域21に供給される海水の流量に対応する。厳密には、外部溶液wcの第1排出路42への排出流量は、外部海水導入路41からの海水供給流量から上記水分の透過流量を差し引いた大きさである。外部海水導入路41及び第1排出路42によって、第1外部領域21内の外部溶液wcを常時新たな海水に入れ替えることができる。したがって、第1外部領域21内の外部溶液wcの塩分濃度分布を常に一定に保つことができ、外部溶液wcの塩分濃度が時間の経過とともに漸増するのを防止できる。よって、外部溶液wcの浸透圧の上昇速度を抑制でき、第1溶液waと外部溶液wcの浸透圧の差と、被処理水wbと淡水wdの浸透圧の差とが平衡に達するのを遅らせることができる。この結果、淡水のトータルの生産量を増やすことができる。
【0062】
第1溶液waの塩分濃度が例えば約7%になったとき、第1溶液waと外部溶液wcの浸透圧の差と、被処理水wbと淡水wdの浸透圧の差とが平衡するようになる。このとき、ポンプp1〜p3を停止し、淡水生成工程を終了する。
【0063】
[後処理工程]
後処理工程では、開閉弁v2を開き、液ポンプp5を駆動する。これにより、第1領域11及び第1中間領域22の使用済みの第1溶液waを、塩水送路52を経て塩田2の塩水濃縮路2aに送る。これにより、使用済みの第1溶液waを塩田2で再度濃縮できる。上述したように、淡水生成工程の終了時の第1溶液waの塩分濃度は、例えば約7%程度である。したがって、海水(塩分濃度:約3.5%)を直接濃縮するよりも塩田2の負荷を軽減できる。
【0064】
また、第2領域12及び第2中間領域31の被処理水wbを新たな海水に入れ替える。すなわち、開閉弁v3,v4を開け、第2領域12及び第2中間領域31内の使用済みの被処理水wbを第2排出路48に排出するとともに、被処理海水導入路47から海水(新たな被処理水wb)を第2領域12及び第2中間領域31に導入する。この操作を行なうために被処理海水導入路47又は第2排出路48に液ポンプを設けることにしてもよい。上記使用済みの被処理水wbは、第2排出路48を経て海に廃棄する。なお、この使用済みの被処理水wbをも塩田2に送ることにしてもよい。淡水生成工程の終了時の被処理水wbは、海水と比べると高塩分濃度であるため、海水を直接濃縮するよりも塩田2の負担を軽減できる。
【0065】
第1領域11からの第1溶液waの排出及び第2領域12への新たな海水(被処理水)wbの導入により、可動仕切り13が容器10の第1領域11側(図2において下側)の端部に向けて変位し、第1領域11の容積が小さくなり、第2領域12の容積が大きくなる。
【0066】
後処理工程の後、塩田2で十分高濃度の濃縮塩水が得られたとき、再度、上述した準備工程を経て、淡水生成工程を反復して実行する。
後処理工程の際に、塩田2に十分高濃度の濃縮塩水が出来ている場合は、後処理工程と準備工程を同時併行して実行することにしてもよい。すなわち、第1領域11及び第1中間領域22から使用済みの第1溶液waを排出して塩田2に送るとともに、塩田2の濃縮塩水を新たな第1溶液waとして第1領域11及び第1中間領域22に充填する。
【0067】
図3は、第3実施形態を示したものである。第3実施形態の淡水製造装置1Yは、容器10の内部に可動仕切り13が設けられていない点で第1実施形態の淡水製造装置1と異なっている。また、淡水製造装置1Yの容器10は、上下に長く延びている。容器10の内部の下側部に濃縮塩水からなる第1溶液waが充填されている。容器10の内部の上側部に希薄塩水(海水)からなる被処理水wbが充填されている。上側の低塩分濃度の被処理水wbと下側の高塩分濃度の第1溶液waとは、攪拌しない限り、上下二層に積層された状態を維持する。
【0068】
容器10の下端の開口に第1膜23が設けられ、容器10の下端部に外部溶液(塩水)wcを充填した第1外部領域画成部29が接続され、容器10の上端の開口に第2膜33が設けられ、容器10の上端部に淡水wdを充填した第2外部領域画成部39が接続されている点は、第1実施形態と同じである。
【0069】
淡水製造装置1Yにおいて、容器10内の下側部の第1溶液waの塩分濃度は、第1外部領域画成部29内の外部溶液wcの塩分の濃度より高い。そのため、外部溶液wcの水分(溶媒)が第1膜23を透過して容器10内の下側部に入り込む。これにより、容器10内の上側部の被処理水wbが圧力を持って第2膜33に押し当たり、被処理水wbの水分が第2膜33を透過して淡水取り出し領域32へ漉し出される。これにより、取り出し路49から淡水を取り出すことができる。
淡水製造装置1Yは、可動仕切り13が省略され、構造が簡素である。したがって、設備コストを一層安くできる。
【0070】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をなすことができる。
例えば、第1溶液waは、塩水に限られず、例えばミョウバン水溶液でもよい。被処理水wbは、水を含んでいればよく、塩水ないしは海水に限られず、塩以外の水溶液でもよく、下水等の汚水や泥水でもよい。外部溶液wcは、塩水に限られず、例えばミョウバン水溶液でもよい。
第1、第2実施形態では、第1領域11が第2領域12の上側に配置されていてもよく、第1領域11と第2領域12が左右に並んでいてもよい。
第1、第2実施形態の容器10は、第1領域11を画成する部分と、第2領域12を画成する部分が別々の部材で構成されていてもよく、これら別々の部材どうし間に可動仕切り13を挟むようにしてもよい。
第1、第3実施形態の容器10が、第1外部領域画成部29を一体に有していてもよい。第1、第3実施形態の容器10が、第2外部領域画成部39を一体に有していてもよい。
第1、第2実施形態の可動仕切り13は、第1領域11と第2領域12の体積が変動するように変位するものであればよく、一部又は全体が柔軟性を有していなくてもよい。
第1、第3実施形態では、第1外部領域画成部29が海に直接連なっていてもよい。海が第1膜23に直接面していてもよい。
淡水取り出し領域32は、大気に開放されていてもよい。第2膜33が大気に直接面していてもよい。
第2実施形態の塩水回路は、適宜、変更可能である。例えば、被処理海水導入路47が、第2連通往路45を介さずに第2領域12及び第2中間領域31に直接連なっていてもよい。第2排出路48が、第2連通復路46を介さずに第2領域12及び第2中間領域31に直接連なっていてもよい。濃縮塩水導入路51が、第1連通往路43を介さずに第1領域11及び第1中間領域22に直接連なっていてもよい。塩水送路52が、第1連通復路44を介さずに第1領域11及び第1中間領域22に直接連なっていてもよい。
複数の実施形態を互いに組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態(図1)又は第3実施形態(図3)において、第2実施形態(図2)と同様に、容器10の第1領域11に塩田2からの濃縮塩水導入路51を接続してもよく、第1領域11から塩水送路52を塩田2へ延ばしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、海水から淡水を製造するのに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1実施形態(基本態様)に係る淡水製造装置の断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る淡水製造装置の回路図である。
【図3】本発明の第3実施形態(他の基本態様)に係る淡水製造装置の断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 淡水製造装置
1X 淡水製造装置
1Y 淡水製造装置
2 塩田
2a 塩水濃縮路
10 容器
11 第1領域
12 第2領域
13 可動仕切り
20 第1膜ユニット
21 第1外部領域
22 第1中間領域
23 第1膜
29 第1外部領域画成部
30 第2膜ユニット
31 第2中間領域
32 淡水取り出し領域
33 第2膜
39 第2外部領域画成部
41 外部海水導入路
42 排出路
43,44 第1連通路
45,46 第2連通路
47 被処理海水導入路
48 第2排出路
49 淡水取り出し路
51 濃縮塩水導入路
52 塩水送路
p1、p2、p3、p4、p5 ポンプ
v1、v2、v3、v4 開閉弁
wa 第1溶液
wb 被処理水
wc 外部溶液
wd 淡水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水から淡水を製造する装置であって、
第1の溶液が設けられた第1領域と、
前記被処理水が設けられた第2領域と、
前記第1、第2領域を変位可能に仕切る可動仕切りと、
前記第1領域を、前記第1溶液より浸透圧が低い外部溶液が設けられた第1外部領域から仕切り、又は前記第1領域に連なる第1中間領域を、前記第1外部領域から仕切り、前記外部溶液の成分のうち溶媒のみ透過を許容する第1膜と、
前記第2領域を淡水取り出し領域から仕切り、又は前記第2領域に連なる第2中間領域を前記淡水取り出し領域から仕切り、前記被処理水の成分のうち水分のみ透過を許容する第2膜と、
を備え、前記第1領域と第2領域の合計容積が一定であり、前記可動仕切りの変位により前記第1領域と第2領域のうち一方の容積が増え、他方の容積が減り、前記第1溶液と前記外部溶液の浸透圧の差が、前記被処理水の浸透圧より大きいことを特徴とする淡水製造装置。
【請求項2】
前記可動仕切りが、前記第1溶液及び前記被処理水の各成分が透過不能な柔軟なシートであることを特徴とする請求項1に記載の淡水製造装置。
【請求項3】
容器を備え、該容器の内部が前記可動仕切りによって前記第1領域と前記第2領域とに仕切られていることを特徴とする請求項1又は2に記載の淡水製造装置。
【請求項4】
第1膜ユニットを備え、該第1膜ユニットの内部が前記第1膜によって前記第1外部領域と前記第1中間領域とに仕切られ、前記第1中間領域と第1領域とが、第1連通路にて連なっていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の淡水製造装置。
【請求項5】
第2膜ユニットを備え、該第2膜ユニットの内部が前記第2膜によって前記第2中間領域と前記淡水取り出し領域とに仕切られ、前記第2中間領域と第2領域とが、第2連通路にて連なっていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の淡水製造装置。
【請求項6】
前記第1外部領域に、前記外部溶液として海水を導入する外部海水導入路と、前記海水の導入流量に対応する流量の外部溶液を排出する第1排出路とが接続されていることを特徴とする請求項1〜5に記載の淡水製造装置。
【請求項7】
前記第2領域に前記被処理水として海水を導入する被処理海水導入路が接続されていることを特徴とする請求項1〜6に記載の淡水製造装置。
【請求項8】
被処理水から淡水を製造する装置であって、
内部に、第1溶液と、前記第1溶液の上に積層された前記被処理水とが設けられた容器と、
前記容器内の第1溶液を、第1溶液より浸透圧が低い外部溶液から仕切り、前記外部溶液の成分のうち溶媒のみ透過を許容する第1膜と、
前記容器内の被処理水を、淡水取り出し領域から仕切り、前記被処理水の成分のうち水分のみ透過を許容する第2膜と、
を備え、前記第1溶液と前記外部溶液の浸透圧の差が、前記被処理水の浸透圧より大きいことを特徴とする淡水製造装置。
【請求項9】
前記第1溶液の溶媒と前記外部溶液の溶媒が、互いに同一組成の液体であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の淡水製造装置。
【請求項10】
前記被処理水が、塩水であり、前記第1溶液が、前記被処理水より高塩分濃度の塩水であり、前記外部溶液が、前記第1溶液より低塩分濃度の塩水であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の淡水製造装置。
【請求項11】
前記第1溶液が、塩水であり、
塩田の濃縮塩水を前記第1溶液として前記第1領域に送る濃縮塩水導入路を更に備えたことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の淡水製造装置。
【請求項12】
前記第1溶液が、塩水であり、前記外部溶液の溶媒が水であり、
前記第1溶液を塩田に送る塩水送路を更に備えたことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の淡水製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−110716(P2010−110716A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286939(P2008−286939)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】